JP2016020308A - 環状リン含有エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

環状リン含有エポキシ化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】HCA−HQ(9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)及びその誘導体をエポキシ化して、環状リン含有エポキシ化合物を製造する、新規の製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物の製造方法であって、触媒存在下で、下記一般式(2)で表される化合物とエピハロヒドリンを反応させて、反応生成物を得る工程と、アルカリ金属アルコキシドを用いて、前記反応生成物をエポキシ化して、下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物を得る工程と、を有することを特徴とする環状リン含有エポキシ化合物の製造方法。
[化1]

【選択図】なし

Description

本発明は、環状リン含有エポキシ化合物の製造方法に関する。
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が知られているが、なかでもエポキシ樹脂は、その秀でた特性により、電気・電子絶縁材料、塗料、接着材料、複合材料等に幅広く利用されている。しかし、これら熱硬化性樹脂は可燃性であるため、これら樹脂に難燃性を付与するために、難燃剤が用いられる。
例えば、エポキシ樹脂に対しては、硬化剤でもある難燃剤(反応型の難燃剤)として、フェノール性水酸基を有する環状リン化合物を作用させて、難燃性を付与しており、前記環状リン化合物として、例えば、9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光社製「HCA−HQ」、以下、「HCA−HQ」と略記することがある)が知られている(特許文献1〜3参照)。しかし、前記環状リン化合物は、高融点で溶解性に乏しく、エポキシ樹脂との反応性に劣る等の問題点があった。そこで、この問題点を解決するものとして、エポキシ基を有する環状リン化合物を難燃剤として用いる方法が提案されている。(特許文献4及び5参照)。
化合物にエポキシ基を導入する(化合物をエポキシ化する)一般的な方法としては、例えば、原料となる化合物中の水酸基をアリルエーテル化した後、酸化剤によりアリル基を酸化して、エポキシ基を導入する方法が開示されている(非特許文献1参照)。また、これ以外の方法では、アルカリ存在下でフェノール等とエピクロロヒドリンを反応させて、エポキシ基を導入する方法が開示されている。そして、HCA−HQ及びその誘導体については、先の特許文献5において、アルカリ金属アルコキシドを触媒として用い、エピクロロヒドリンを反応させて、エポキシ化する方法が開示されている。また、HCA−HQ及びその誘導体については、アルカリ金属水酸化物及びアミン系触媒の存在下で、エピクロロヒドリンを70℃以上の温度で反応させて、エポキシ化する方法も開示されている(特許文献6参照)。
特開2002−3702号公報 特開2002−3711号公報 特開昭60−126293号公報 特開2001−348417号公報 台湾特許出願公告第393496号明細書 特開2007−119544号公報
Macromol. Rapid Commun. 2001,22,1265-1271
しかし、上述のアルカリ存在下でフェノール等とエピクロロヒドリンを反応させて、エポキシ基を導入する方法を、HCA−HQのエポキシ化に適用した場合には、HCA−HQは、ホスファレン環を有しているために加水分解され易く、さらに有機溶媒に対する溶解性が非常に小さくてほとんど不溶であるため、反応時の操作性が悪いという問題点があった。また、この方法では、アルカリ金属水酸化物の水溶液を滴下してエポキシ化を行うため、エポキシ化で導入されたグリシジル基が加水分解されてしまうという問題点があった。このように、このHCA−HQのエポキシ化方法は、好ましいものではなかった。
また、特許文献5で開示されている方法では、あらかじめHCA−HQを多量のメタノールに溶解させ、アルカリ金属アルコキシドを用いてHCA−HQのアルカリ金属塩を形成した後、メタノールを留去して、エピクロロヒドリンを反応させる必要がある。しかし、HCA−HQのアルカリ金属塩はHCA−HQよりもさらに有機溶媒に対する溶解性が低いため、不溶塩となり、操作性が著しく低く(後述する比較例3を参照)、反応効率も著しく低下してしまうという問題点があった。また、溶媒としてメタノールを多量に用いるため、エポキシ化されて生じた目的物が反応中にメタノリシスを生じて、副生物が多量に生成してしまうという問題点があった。そして、このメタノリシスを抑制するためには、エピクロロヒドリンを反応させる前に、多量のメタノールを留去する必要があり、この場合長時間と煩雑な操作を要するという問題点があった。
また、特許文献6で開示されている方法では、HCA−HQのアルカリ金属塩は溶解性が低いという、特許文献5で開示されている方法での問題点は回避できるものの、70℃以上という高温でアルカリ金属水酸化物を用いるため、HCA−HQのホスファレン環が加水分解された副生物や、エポキシ化で導入されたグリシジル基が加水分解された副生物が多量に生成してしまい、目的物を高収率で得られないという問題点があった。
このように、HCA−HQ及びその誘導体をエポキシ化して、環状リン含有エポキシ化合物を製造する従来の方法は、操作性が悪く、目的物を高純度、高収率で得られるものではなく、工業的な実用性が低いために、新規の製造方法の開発が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、HCA−HQ(9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)及びその誘導体をエポキシ化して、環状リン含有エポキシ化合物を製造する、新規の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物の製造方法であって、触媒存在下で、下記一般式(2)で表される化合物とエピハロヒドリンを反応させて、反応生成物を得る工程と、アルカリ金属アルコキシドを用いて、前記反応生成物をエポキシ化して、下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物を得る工程と、を有することを特徴とする環状リン含有エポキシ化合物の製造方法を提供する。
本発明によれば、HCA−HQ及びその誘導体をエポキシ化して、環状リン含有エポキシ化合物を製造する、新規の製造方法が提供される。
実施例1で得られた化合物(1)−101(Rf0.18成分)のIRのスペクトルデータである。 実施例1で得られた化合物(1)−101(Rf0.23成分)のIRのスペクトルデータである。 製造例1で得られた化合物(1)−101(Rf0.18成分)のIRのスペクトルデータである。 製造例1で得られた化合物(1)−101(Rf0.23成分)のIRのスペクトルデータである。 実施例4で得られた化合物(1)−107のIRのスペクトルデータである。 実施例5で得られた化合物(1)−201のIRのスペクトルデータである。
<環状リン含有エポキシ化合物の製造方法>
本発明に係る環状リン含有エポキシ化合物の製造方法は、下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物(以下、「化合物(1)」と略記することがある)の製造方法であって、触媒存在下で、下記一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」と略記することがある)とエピハロヒドリンを反応させて、反応生成物を得る工程と、アルカリ金属アルコキシドを用いて、前記反応生成物をエポキシ化して、下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物(化合物(1))を得る工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る製造方法は、HCA−HQ(9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)及びその誘導体をエポキシ化して、環状リン含有エポキシ化合物である化合物(1)を得る、新規の製造方法であり、操作性良く、化合物(1)を高純度、高収率で得ることが可能であり、経済性及び工業的な実用性が高い。
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アリル基又はグリシジル基であり、ただし、R及びRの少なくとも一方はグリシジル基であり;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アリル基又はグリシジル基であり、ただし、R及びRの少なくとも一方は水素原子であり;Xは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、アリール基又はアラルキル基であり;Yは水素原子、アリル基又はグリシジル基であり;Z及びZはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。)
[化合物(1)]
化合物(1)は前記一般式(1)で表される。
化合物(1)は、難燃性に寄与する9−オキサ−10−ホスファフェナントレン基と、反応硬化性に寄与するエポキシ基とが、同じ分子構造中に存在するため、優れた難燃性及び硬化性を併せ持つ難燃剤として有用である。
また、化合物(1)は、電子材料;画像安定剤、増感剤等の感熱記録材料;チイラン等の光学材料の製造原料としても有用である。
また、化合物(1)は、後述するジアステレオマー混合物として用いるのに、極めて有用である。
一方で、化合物(1)は、その構造中にハロゲンを含まないノン−ハロゲン化合物であるため、環境にかける負荷が小さい。
式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アリル基(2−プロペニル基)又はグリシジル基である。ただし、R及びRの少なくとも一方はグリシジル基であり、R及びRの両方がグリシジル基であってもよい。
式中、Xは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、アリール基又はアラルキル基である。
Xにおける前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が例示できる。
Xにおける前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜7であることがより好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
Xにおける前記アルケニル基としては、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、メタリル基(2−メチル−2−プロペニル基)等、Xにおける炭素数2以上の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる基が例示できる。
Xにおける前記アルケニル基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましく、2〜5であることが特に好ましい。
Xにおける前記アリール基は、炭素数が6〜12であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示でき、さらに、これらアリール基の1個以上の水素原子が、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、あるいはアリール基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、Xにおけるアルキル基として挙げたものが例示でき、アリール基としては、上記で例示したものが挙げられる。
Xにおける前記アラルキル基としては、Xにおける前記アルキル基の1個の水素原子が、Xにおける前記アリール基で置換されてなる一価の基が例示できる。
前記アラルキル基は、炭素数が7〜20であることが好ましく、より具体的には、ベンジル基(フェニルメチル基)、о−メチルベンジル基(о−メチルフェニルメチル基)、m−メチルベンジル基(m−メチルフェニルメチル基)、p−メチルベンジル基(p−メチルフェニルメチル基)、β−フェネチル基(2−フェニルエチル基)、α−フェネチル基(1−フェニルエチル基)、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が例示できる。
式中、Yは水素原子、アリル基(2−プロペニル基)又はグリシジル基である。
式中、Z及びZはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。
及びZにおける前記アルキル基及びアルケニル基としては、Xにおける前記アルキル基及びアルケニル基と同様のものが例示できる。
化合物(1)で好ましいものとしては、以下に示すものが例示できるが、これらに限定されない。
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−101で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−4’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−102で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−3’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−103で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−6’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−104で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−3’,4’−ジアリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−105で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−3’,4’,6’−トリアリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−106で表される化合物)、
8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−107で表される化合物)、
8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−4’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−108で表される化合物)、
8−メチル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−109で表される化合物)、
8−メチル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−3’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−110で表される化合物)、
8−フェニル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−111で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジグリシジルオキシ−4’−アリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−112で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’−グリシジルオキシ−5’−アリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−201で表される化合物)、
8−フェニル−9,10−ジヒドロ−10−(2’−グリシジルオキシ−5’−アリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−202で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’−アリルオキシ−5’−グリシジルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(1)−301で表される化合物)。
なお本明細書では、以下、化合物(1)及び化合物(2)について、例えば、式(1)−101で表される化合物を「化合物(1)−101」と略記するなど、式の符号を用いて化合物名の略称を記載することがある。
[化合物(2)]
化合物(2)は前記一般式(2)で表され、HCA−HQ及びその誘導体であり、化合物(1)の製造原料である。
式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アリル基(2−プロペニル基)又はグリシジル基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は水素原子であり、R及びRの両方が水素原子であってもよい。
化合物(2)で好ましいものとしては、以下に示すものが例示できるが、これらに限定されない。
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA−HQ、下記式(2)−101で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−4’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−102で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−3’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−103で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−6’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−104で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−3’,4’−ジアリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−105で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−3’,4’,6’−トリアリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−106で表される化合物)、
8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−107で表される化合物)、
8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−4’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−108で表される化合物)、
8−メチル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−109で表される化合物)、
8−メチル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−3’−アリルフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−110で表される化合物)、
8−フェニル−9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−111で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジヒドロキシ−4’−アリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−112で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’−ヒドロキシ−5’−アリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−201で表される化合物)、
8−フェニル−9,10−ジヒドロ−10−(2’−ヒドロキシ−5’−アリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−202で表される化合物)、
9,10−ジヒドロ−10−(2’−アリルオキシ−5’−ヒドロキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(下記式(2)−301で表される化合物)。
化合物(1)は、化合物(2)を原料として用い、エポキシ化反応を行って得られるものであるため、化合物(2)と同一ではない。したがって、例えば、化合物(2)において、R及びRの一方が水素原子であり、他方がグリシジル基である場合には、得られる化合物(1)は、R及びRが共にグリシジル基であるものとなる。一方、化合物(2)において、R及びRの両方が水素原子である場合には、得られる可能性がある化合物(1)は、R及びRが共にグリシジル基であるものと、R及びRの一方がグリシジル基であり、他方が水素原子であるものとなる。
[前記反応生成物を得る工程]
前記製造方法では、まず、触媒存在下で、化合物(2)とエピハロヒドリンを反応させて、前記反応生成物を得る。
化合物(2)と反応させるエピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンが例示できるが、エピクロロヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンは、例えば、あらかじめ化合物(2)と混合しておいてから、昇温して反応させてもよいし、化合物(2)を含む液体の温度が反応温度に到達した後に、前記液体に加えて反応させてもよい。本発明においては、エピハロヒドリンをあらかじめ化合物(2)と混合しておいてから、昇温して反応させることが好ましい。
エピハロヒドリンの使用量は、基質である化合物(2)のフェノール性水酸基1当量に対し、1当量以上であることが好ましく、2当量以上であることがより好ましく、5当量以上であることが特に好ましい。例えば、エピハロヒドリンの使用量を2当量以上とすることで、エピハロヒドリンを、溶媒を兼ねるものとして使用できる。
化合物(2)とエピハロヒドリンとの反応で用いる触媒としては、無機アルカリ、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水素化物、4級アンモニウム塩、イミダゾール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、有機アミン、トリフェニルホスフィン、スルホニウム塩が例示できる。
触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
触媒は、4級アンモニウム塩であることが好ましい。
前記触媒は、例えば、あらかじめ化合物(2)と混合しておいてから、昇温して反応させてもよいし、化合物(2)を含む液体の温度が反応温度に到達した後に、前記液体に加えて反応させてもよく、後者の場合、前記触媒を溶媒に溶解させた触媒溶液を、前記液体に加えて反応させてもよく、このとき前記触媒溶液を前記液体に滴下して加えてもよい。
前記触媒の使用量は、基質である化合物(2)の使用量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
化合物(2)とエピハロヒドリンとの反応は、例えば、エピハロヒドリンを、溶媒を兼ねるものとして用いて行ってもよいし、別途、溶媒を用いて行ってもよい。
別途用いる前記溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル等のエステル;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)、1−ブタノール、2−メトキシエタノール(メチルセルソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)等の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;アセトニトリル等が例示できる。
溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒は、本工程での反応液の後処理や、後述する「化合物(1)を得る工程」で用いる溶媒が好ましく、このようなものとしては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、THF、ジオキサンが例示できる。
化合物(2)とエピハロヒドリンとを反応させるときの反応温度は、50℃〜エピハロヒドリンの沸点であることが好ましく、80〜110℃であることがより好ましい。
化合物(2)とエピハロヒドリンとを反応させるときの反応時間は、1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがより好ましい。
本工程においては、化合物(2)とエピハロヒドリンとを反応させた後、得られた反応液はそのまま次工程に用いてもよいが、適宜後処理を行ってから、次工程に用いてもよい。ここで、後処理としては、減圧留去等により反応液から未反応のエピハロヒドリンを除去する処理、水洗等により反応液から触媒を除去する処理等が例示できる。
化合物(2)とエピハロヒドリンを反応させたときに、得られる可能性がある前記反応生成物は、目的物である化合物(1)と、反応中間体であり、より具体的には、ハロヒドリン体、化合物(2)のモノグリシジルエーテル体、及び化合物(2)のジグリシジルエーテル体等である。例えば、化合物(2)がHCA−HQであり、HCA−HQに対してエピハロヒドリンを2当量以上用いた(HCA−HQに対してエピハロヒドリンを2倍モル量以上用いた)場合であれば、得られる可能性がある前記反応生成物としては、化合物(1)−101と、下記式(11)〜(13)で表される化合物が例示できる。
これら化合物の式中で、「P」、「C」はそれぞれ不斉リン原子、不斉炭素原子であり、反応液中には、通常、化合物(1)や反応中間体のジアステレオマーが含まれる。すなわち、前記反応生成物は、通常、ジアステレオマー混合物を含んでおり、多種類の化合物の混合物といえるものであり、溶媒に対する溶解性が高い。したがって、本工程で得られる前記反応生成物を含む反応液は、反応の進行と共に容易に液状化して、溶液として取り扱うことが可能である。
このように、化合物(2)とエピハロヒドリンを反応させて得られた前記反応生成物(組成物)は、従来利用されているHCA−HQのアルカリ金属塩等とは異なり、溶解性が高く、操作性に優れる。
また、後述するようにアルカリ金属アルコキシドを用いて、前記反応生成物をエポキシ化して得られる化合物(1)もジアステレオマー混合物となるため、本発明の製造方法で得られる化合物(1)は、特に精製操作を行わない限り、ジアステレオマー混合物となる。化合物(1)のジアステレオマー混合物は、融点の低下や溶媒への溶解性の向上により、操作性に優れるものである。
一方で、化合物(1)の製造時に、反応生成物としてこのようなジアステレオマー混合物が得られることは、従来、知られていない。
反応中間体のジアステレオマーと、化合物(1)のジアステレオマーは、それぞれ、同じ分子量、同じ化学構造でありながら、立体構造が異なり、例えば、光学特性、融点、溶解度、クロマトグラフ等、物理化学的性質が互いに異なる。
[化合物(1)を得る工程]
前記製造方法では、前記反応生成物を得た後、アルカリ金属アルコキシドを用いて、前記反応生成物をエポキシ化して、化合物(1)を得る。本工程でエポキシ化されるのは、前記反応生成物のうち、反応中間体であるハロヒドリン体(式「−CH(−OH)−CHCl」で表される基を有する化合物)であり、化合物(1)はエポキシ化されない。
前記アルカリ金属アルコキシドとしては、リチウムメトキシド(CHOLi)、ナトリウムメトキシド(CHONa)、ナトリウムエトキシド(CHCHONa)、ナトリウムtert−ブトキシド((CHCONa)、ナトリウムペントキシド(C11ONa)、カリウムtert−ブトキシド((CHCOK)等が例示できる。
アルカリ金属アルコキシドは、例えば、ナトリウムメトキシドメタノール溶液、ナトリウムエトキシドエタノール溶液等、アルコール溶液として用いることができる。
アルカリ金属アルコキシドは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルカリ金属アルコキシドの使用量は、化合物(2)のフェノール性水酸基1当量に対し、0.7〜2当量であることが好ましく、0.9〜1.7当量であることがより好ましい。
前記アルカリ金属アルコキシドは、例えば、対象物に一括添加してもよいし、分割添加してもよい。また、アルカリ金属アルコキシドのアルコール溶液を用いる場合には、その添加(滴下)によって系内に存在する前記アルコール溶液中のアルコール及び系内で新たに生成したアルコールを、減圧下で留去しながら、アルカリ金属アルコキシドのアルコール溶液を添加(滴下)してもよい。
前記反応生成物をエポキシ化するときの温度(反応温度)は、−10〜80℃であることが好ましく、−5〜40℃であることがより好ましく、5〜40℃であることが特に好ましい。
前記反応生成物をエポキシ化するときの時間(反応時間)は、0.5〜25時間であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましい。
本工程においては、例えば、アルカリ金属アルコキシドのアルコール溶液を用いる場合には、このアルコール溶液中のアルコールをそのまま溶媒として用いることができる。また、本工程においては、前記アルコール以外の溶媒を用いてもよい。
前記アルコール以外の溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール以外の溶媒は、上述の化合物(2)とエピハロヒドリンとの反応で用いる溶媒であることが好ましく、より好ましいものとしては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;アセトニトリル等が例示できる。
前記アルコール以外の溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化反応では無機塩が生成するが、この無機塩は、反応液に有機溶媒を加えてろ過するか、又は反応液を水洗することで、容易に除去できる。
本工程においては、アルカリ金属アルコキシドを用いて前記反応生成物をエポキシ化することで、ホスファレン環の分解や、グリシジル基の開環が抑制されるため、目的物である化合物(1)を高選択的に高収率で得られる。これは、本発明者がはじめて見出したものである。
本工程においては、例えば、エポキシ化反応後に得られた有機層を冷却するか、又は前記有機層を濃縮した後、貧溶媒を添加することによって、目的物である化合物(1)を結晶化させることができる。
前記貧溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;フェノール、メチルフェノール(クレゾール)等のフェノール類(フェノール性水酸基を有する化合物);アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、安息香酸エチル等のエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール(メトキシベンゼン)等のエーテルが例示できる。
前記貧溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記貧溶媒は、トルエン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はエタノールであることが好ましく、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はエタノールであることがより好ましい。
化合物(1)は、上述の結晶化したものをろ過することで取り出すことができる。また、取り出した化合物(1)は、純度や色相を向上させるために、さらに公知の手法で精製してもよく、例えば、活性炭、活性白土等の脱色剤を用いて、脱色再結晶化により精製できる。
化合物(1)や前記反応中間体は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)、赤外分光法(IR)、紫外・可視分光法(UV−VIS吸収スペクトル)等、公知の手法で構造を確認できる。
化合物(1)は、上述のように、融点の低下や溶媒への溶解性の向上により、操作性に優れるものである。
化合物(1)を難燃剤として用いる場合には、難燃性エポキシ樹脂組成物の製造に利用できる。前記難燃性エポキシ樹脂組成物は、化合物(1)及びエポキシ樹脂を含有するものであり、好ましいものとしては、さらに硬化剤及び硬化促進剤を含有するものが例示でき、例えば、コンパウンド又はワニスとして使用される。前記難燃性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物は、化合物(1)を用いていることで、ノン−ハロゲンで十分な難燃性を有する。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<化合物(1)の製造>
[実施例1]
(化合物(1)−101の製造)
撹拌機及び温度計を備えた4つ口フラスコ内を窒素ガスで十分に置換した後、HCA−HQ(8.1g)、エピクロロヒドリン(46.8g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.16g)を仕込んだ。次いで、窒素ガス雰囲気下、内温を95℃に調節し、4時間撹拌して、反応を行った。
反応の進度は、反応液の薄層クロマトグラフィー(プレート:メルク社製「60F254シリカゲルプレート」、展開液:トルエン/酢酸エチル=5/10(体積比)、検出:254nmUVランプ)により確認した。4時間反応時点で、原料のHCA−HQは消失していた。また、HPLC分析により、反応液中の成分の組成は、化合物(1)−101/反応中間体/HCA−HQ/その他=49/43/0/8(面積%)であることを確認した。
反応終了後、反応液を60℃に冷却し、減圧下で未反応のエピクロロヒドリンを留去して、濃縮物を得た。得られた濃縮物を内温が15℃となるまで冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(6.8g)を、内温を15℃に保持しながら1時間かけて滴下して、さらに2時間撹拌して、反応を行った。次いで、減圧下でメタノールを留去した後、ジクロロメタン(10g)を加え、さらに28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(2.9g)を滴下して、10℃で3時間反応させた。HPLC分析により、反応液中の成分の組成は、化合物(1)−101/反応中間体/HCA−HQ/その他=86/2/0/12(面積%)であることを確認した。
次いで、反応液にクロロホルムを加えて有機層を水洗した後、有機層を濃縮して、濃縮残渣を得た。
得られた濃縮残渣の薄層クロマトグラフィー(プレート:メルク社製「60F254シリカゲルプレート」、展開液:トルエン/酢酸エチル=5/10(体積比)、検出:254nmUVランプ)により、反応生成物に対応する2つの主スポット(Rf0.18成分、Rf0.23成分)を確認した。
また、得られた濃縮残渣について、カラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=2/10(体積比))を行い、上記のRf0.18成分、Rf0.23成分に相当する2つの主スポットを分画し、各分画をIR、GC−MS、H−NMRにより分析した。これら分析結果を以下に示す。また、このときのRf0.18成分のIRのスペクトルデータを図1に、Rf0.23成分のIRのスペクトルデータを図2に、それぞれ示す。
これらの分析結果から、Rf0.18成分、Rf0.23成分はいずれも化合物(1)−101であることが確認された。
(Rf0.18成分の分析結果)
IR:1583, 1489, 1479, 1217, 1124, 935(cm-1)
GC-Ms(m/z):436
1H-NMR(CDCl3)δ:2.17-2.19(1H), 2.30-2.34(1H), 2.37-2.39(1H), 2.76-2.78(1H), 2.91-2.93(1H), 3.35-3.39(1H), 3.52-3.56(1H), 3.65-3.68(1H), 3.93-3.98(1H), 4.31-4.36(1H), 6.73-8.08(11H)
(Rf0.23成分の分析結果)
IR: 1583, 1487, 1228, 1120, 929(cm-1)
GC-Ms(m/z):436
1H-NMR(CDCl3)δ:2.10-2.12(1H), 2.43-2.46(1H), 2.47-2.52(1H), 2.75-2.78(1H), 2.90-2.93(1H), 3.35-3.38(1H), 3.53-3.57(1H), 3.66-3.71(1H), 3.92-3.97(1H), 4.30-4.35(1H), 6.76-8.06(11H)
[製造例1]
(化合物(1)−101の製造)
実施例1とは異なる方法、すなわち、9,10−ジヒドロ−10−(2’,5’−ジアリルオキシフェニル)−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下、「HCA−HQ−2,5−ジアリルエーテル」と略記する)の2個のアリル基を酸化剤で酸化することで、エポキシ化する工程を有する方法で、化合物(1)−101を製造した。より具体的には、以下のとおりである。
無水硫酸マグネシウム共存下で、m−クロロ過安息香酸(含量75質量%、3.1g)を溶解したクロロホルム溶液を調製した。
次いで、撹拌機及び温度計を備えた4つ口フラスコ内を窒素ガスで十分に置換した後、HCA−HQ−2,5−ジアリルエーテル(1.20g)をクロロホルム(50ml)に溶解させ、濃度が3mMのクロロホルム溶液を調製した。
次いで、25℃のこのHCA−HQ−2,5−ジ−アリルエーテルのクロロホルム溶液に、上記のm−クロロ過安息香酸のクロロホルム溶液を滴下し、25℃で8時間撹拌して、反応を行った。
反応の進度は、反応液の薄層クロマトグラフィー(プレート:メルク社製「60F254シリカゲルプレート」、展開液:酢酸エチル、検出:254nmUVランプ)により確認した。8時間反応時点で、原料のHCA−HQ−2,5−ジアリルエーテルは消失しており、実施例1の場合と同様に、反応生成物に対応する2つの主スポット(Rf0.18成分、Rf0.23成分)を確認した。
次いで、チオ硫酸ナトリウム水溶液、重層水、水をこの順で用いて反応液を洗浄処理し、有機層を乾燥後、濃縮して、濃縮残渣に酢酸エチルを加えて結晶を析出させた。ろ過により得られた結晶のRf値は0.23であった(得られた結晶はRf0.23成分であった)。
さらに、上記のろ過で生じたろ液について、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、Rf0.18成分を分離した。
得られたRf0.18成分、Rf0.23成分をIR、GC−MSにより分析した。これら分析結果を以下に示す。また、このときのRf0.18成分のIRのスペクトルデータを図3に、Rf0.23成分のIRのスペクトルデータを図4に、それぞれ示す。
(Rf0.18成分の分析結果)
IR:1583, 1489, 1479, 1217, 1124, 933(cm-1)
GC-Ms(m/z):436
(Rf0.23成分の分析結果)
IR:1583, 1487, 1228, 1120, 929(cm-1)
GC-Ms(m/z):436
<化合物(1)のジアステレオマーの存在の確認>
上記のように、実施例1及び製造例1で得られた2つの成分(Rf0.18成分、Rf0.23成分)は、それぞれIRスペクトル及び薄層クロマトグラフィーでのRf値が一致し、GC−Ms(m/z)は436を示して同一であった。また、下記のHPLC分析条件で行ったHPLCフォトアレイ分析によれば、2つの成分の保持時間とUVスペクトルは、実施例1で得られたものと製造例1で得られたものとで同一であった。
以上の結果から、実施例1及び製造例1で得られた2つの成分(Rf0.18成分、Rf0.23成分)は、化学構造が同一の化合物(1)−101のジアステレオマーであることが確認された。
(HPLC分析条件)
分析機器:島津製作所社製「HPLC20AD」
カラム:ジーエルサイエンス社製「Inertsil ODS−3(5μm、4.6×250mm)」
移動相:メタノール/1質量%(pH3.3)酢酸アンモニウム水溶液=60/40(体積比)
流速:0.8mL/分
検出:UV254nm
<化合物(1)の製造>
[実施例2]
(化合物(1)−101の製造)
実施例1の場合と同じ方法でHCA−HQ及びエピクロロヒドリンを反応させ、濃縮物を得た。
次いで、得られた濃縮物に対して、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液(12.8g)を、内温を15℃に保持しながら1時間かけて滴下し、さらに2時間撹拌して、反応を行った。次いで、減圧下でエタノールを留去した後、ジクロロメタン(10g)を加え、さらに20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液(4.2g)を滴下して、5℃で5時間反応させた。HPLC分析により、反応液中の成分の組成は、化合物(1)−101/反応中間体/HCA−HQ/その他=91/1/0/8(面積%)であることを確認した。
次いで、反応液にジクロロメタン(60g)を加えて、副生物である無機塩をろ過により除去した後、得られたろ液を濃縮し、エタノール(15g)を加えて、結晶を析出させ、この結晶をろ別することにより、化合物(1)−101を白色結晶として得た(収量9.4g)。
得られた化合物(1)−101のIRのスペクトルデータは、実施例1の場合と同じであった。
[実施例3]
(化合物(1)−101の製造)
実施例1の場合と同じ方法でHCA−HQ及びエピクロロヒドリンを反応させ、濃縮物を得た。
次いで、得られた濃縮物を内温が40℃となるまで冷却し、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液(13.6g)を滴下しながら、20℃まで徐冷した。滴下終了後、さらに5時間撹拌して、反応を行った。HPLC分析により、反応液中の成分の組成は、化合物(1)−101/反応中間体/HCA−HQ/その他=90/2/0/8(面積%)であることを確認した。
次いで、反応液にジクロロメタン(80g)を加えて、有機層を水洗した後、減圧下で溶媒を留去して、濃縮残渣を得た。次いで、得られた濃縮残渣にメチルエチルケトン(20g)加え、70℃に加熱した後、冷却して結晶を析出させ、この結晶をろ別することにより、化合物(1)−101を白色結晶として得た(収量9.1g)。
得られた化合物(1)−101のIRのスペクトルデータは、実施例1の場合と同じであった。
[実施例4]
(化合物(1)−107の製造)
HCA−HQ(8.1g)に代えて、化合物(2)−107(10.4g)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、有機層の水洗及び濃縮までを行い、化合物(1)−107を含む濃縮残渣を得た。
次いで、得られた濃縮残渣に酢酸エチル加えて、結晶を析出させ、この結晶をろ別することにより、化合物(1)−107を白色結晶として得た(収量10.9g)。
得られた化合物(1)−107のIRのスペクトルデータを図5に示す。
[実施例5]
(化合物(1)−201の製造)
HCA−HQ(8.1g)に代えて化合物(2)−201(9.1g)を用いた点以外は、実施例3と同じ方法で、化合物(1)−201を白色結晶として得た(収量8.8g)。
得られた化合物(1)−201のIRのスペクトルデータを図6に示す。
[比較例1]
(化合物(1)−101の製造)
実施例1の場合と同じ方法でHCA−HQ及びエピクロロヒドリンを反応させ、濃縮物を得た。
次いで、得られた濃縮物(17.1g)をテトラヒドロフラン(THF)(20g)に溶解させ、内温が15℃となるまで冷却し、48%水酸化ナトリウム水溶液(4.17g)を滴下して、さらに15℃で3時間撹拌して、反応を行った。しかし、目的物である化合物(1)−101は生成せず、ホスファレン環が分解した多量の副生物が生成した。
[比較例2]
(化合物(1)−101の製造)
実施例1の場合と同じ方法でHCA−HQ及びエピクロロヒドリンを反応させ、濃縮物を得た。
次いで、得られた濃縮物(17.1g)をテトラヒドロフラン(20g)に溶解させ、内温が15℃となるまで冷却し、水酸化ナトリウム(2.0g)をメタノールに溶解させたメタノール溶液(35mL)を滴下して、さらに15℃で3時間撹拌して、反応を行った。反応液のHPLC分析を行ったところ、目的物である化合物(1)−101の生成量は32面積%であり、他に多量の副生物が生成していた。
[比較例3]
HCA−HQ(3.2g)をTHF(40g)に溶解させた後、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(4.2g)を加えたところ、白色結晶が多量に析出した。このスラリー液を65℃に加熱した後、エピクロロヒドリン(4g)を加えたが、反応はほとんど進行しなかった。
本発明は、難燃剤、感熱記録材料、光学材料の原料の製造に利用可能である。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物の製造方法であって、
    触媒存在下で、下記一般式(2)で表される化合物とエピハロヒドリンを反応させて、反応生成物を得る工程と、
    アルカリ金属アルコキシドを用いて、前記反応生成物をエポキシ化して、下記一般式(1)で表される環状リン含有エポキシ化合物を得る工程と、を有することを特徴とする環状リン含有エポキシ化合物の製造方法。
    (式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アリル基又はグリシジル基であり、ただし、R及びRの少なくとも一方はグリシジル基であり;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アリル基又はグリシジル基であり、ただし、R及びRの少なくとも一方は水素原子であり;Xは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、アリール基又はアラルキル基であり;Yは水素原子、アリル基又はグリシジル基であり;Z及びZはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基である。)
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