JP2016019964A - ハイポフルオライトの湿式除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイポフルオライトの製造や半導体製造装置のドライクリーニング、半導体エッチングで排気されるガスに含まれるハイポフルオライトの除去処理時間を従来の湿式法と比較して短縮し、さらには、除去処理時のO2の生成を抑制できる方法を提供すること。
【解決手段】ハイポフルオライトを含有する排ガスを除去剤である水溶液に接触させる湿式法によりハイポフルオライトを除去する方法において、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などの還元剤を含む水溶液を除去剤として用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】ハイポフルオライトを含有する排ガスを除去剤である水溶液に接触させる湿式法によりハイポフルオライトを除去する方法において、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などの還元剤を含む水溶液を除去剤として用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ハイポフルオライトの製造や半導体製造装置のドライクリーニング、半導体エッチングで排気されるガスに含まれるハイポフルオライトを除去する方法に関するものである。
ハイポフルオライトはOF基を少なくとも1つ以上もつ化合物である。OF基は大気中の水蒸気によってゆっくり加水分解され、毒性の強いフッ化水素(HF)を生成する。ハイポフルオライトの製造時の排ガスや、ハイポフルオライトが、半導体製造装置のドライクリーニングや半導体製造時のエッチングなどの処理に用いられた時の排ガスなどのように、ハイポフルオライトが含有されている排ガスを大気中へ放出する際、含有するハイポフルオライトを除去する必要がある。
排ガス中のハイポフルオライトの除去方法としては、ソーダライム、CaO、CaCO3、活性アルミナ、NaOH、Na2O、Na2CO3 、Mg(OH)2 、MgO、MgCO3、Siのうちの少なくとも1種以上を含有した固体除去剤を用いてハイポフルオライトを分解除去する、乾式法に関する発明の特許出願(特許文献1)がなされている。
特許文献1に記載の乾式除去方法では、該固体除去剤とハイポフルオライトの接触効率が高いので装置がコンパクトであり、操作も簡便である。しかし、単位時間当たり排ガスの処理量が大量になると急激な発熱が起こったり、連続的な除去処理を行うと、蓄熱が起こったりすることにより、装置材質が腐食する虞がある。さらに、生成したH2Oにより固体除去剤が固結したり、大量の除去処理や連続的な除去処理により大量の固体除去剤を必要としたりするので、固体除去剤の交換作業は労力を要する問題もある。
一方、アルカリ剤を含有した水溶液を除去剤として用いてハイポフルオライトを分解除去する、湿式法に適用可能な反応が報告されている(非特許文献1、2)。
非特許文献1及び2に記載の反応では、アルカリ剤としては水に溶解し水酸化物イオンを生成するものを使用することができる。例えば、アルカリ剤としてはアルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物等を使用することができる。例えば、アルカリ金属水酸化物としてNaOHを溶解した水溶液を除去剤として用いると、CF3OF、CF2(OF)2は、乾式法でNaOHを用いた場合と同様に下記反応式(1)、(2)に示すような反応により分解除去される。
2CF3OF+12NaOH→O2+2Na2CO3+8NaF+6H2O・・・(1)
CF2(OF)2+6NaOH→O2+Na2CO3+4NaF+3H2O・・・(2)
乾式法に対して水溶液を除去剤として用いる湿式法では、NaOHとハイポフルオライトの反応熱を大量の水で吸収することができるので、単位時間当たりの除去処理量が大量になっても急激な発熱が起こることが少ない。さらに、固体に比べて液体を用いる湿式法は、水の気化熱を利用して除熱することや、熱交換器を設置して除熱することが容易なので、連続的な除去処理での蓄熱が起こることが少ない。また、水溶液を除去剤として用いるので、ポンプなどで除去剤を交換することができ、乾式法と比較して除去剤の交換作業の労力も少ない。
2CF3OF+12NaOH→O2+2Na2CO3+8NaF+6H2O・・・(1)
CF2(OF)2+6NaOH→O2+Na2CO3+4NaF+3H2O・・・(2)
乾式法に対して水溶液を除去剤として用いる湿式法では、NaOHとハイポフルオライトの反応熱を大量の水で吸収することができるので、単位時間当たりの除去処理量が大量になっても急激な発熱が起こることが少ない。さらに、固体に比べて液体を用いる湿式法は、水の気化熱を利用して除熱することや、熱交換器を設置して除熱することが容易なので、連続的な除去処理での蓄熱が起こることが少ない。また、水溶液を除去剤として用いるので、ポンプなどで除去剤を交換することができ、乾式法と比較して除去剤の交換作業の労力も少ない。
J.Am.Chem.Soc.79,5625(1957)
J.Am.Chem.Soc.89,1811(1967)
乾式法と比較して湿式法は、大量の除去処理や連続的な除去処理に適しているが、NaOHとハイポフルオライトの反応が遅いため、長い処理時間が必要となることにより、除去効率が悪くなり非常に大きな除去設備が必要となる。このため、ハイポフルオライトを大量に、かつ連続的に、かつ効率的に除去処理できる工業的な除去方法は確立できていない。
さらには、前記乾式法や前記湿式法を用いると支燃性ガスであるO2が生成するため、ハイポフルオライトを大量に除去処理する場合、除去処理後の排ガス中に可燃性ガスが大量に混入すると爆発が起きる危険性がある。
前記のとおり、従来、排ガス中のハイポフルオライトを除去する方法において、乾式法による除去方法より、除去剤の交換作業の労力も少ない点、大量の除去処理や連続的な除去処理に適している点で湿式法は優れているが、処理時間の点で除去効率が悪く、大きな除去設備を必要としたりする。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従来の湿式法と比較して、排ガス中のハイポフルオライトの除去処理時間を短縮し、除去処理時のO2の生成を抑制できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、還元剤を含む水溶液を除去剤として用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到ったものである。
すなわち本発明は、ハイポフルオライトを含有する排ガスを除去剤である水溶液に接触させる湿式法によりハイポフルオライトを除去する方法において、還元剤を含む水溶液を除去剤として用いることを特徴とする、ハイポフルオライトの湿式除去方法を提供するものである。
更には、該ハイポフルオライトは、CF3OF、CF2(OF)2、SF5OF、OF2のうち少なくとも1種類以上であることを特徴とする、前記のハイポフルオライトの湿式除去方法を提供するものである。
更には、該還元剤は、亜硫酸塩、チオ硫酸塩のうち少なくとも1種類以上であることを特徴とする、前記のハイポフルオライトの湿式除去方法、又は、該除去剤は、還元剤及びアルカリ剤を共に含む水溶液であることを特徴とする、前記のハイポフルオライトの湿式除去方法を提供するものである。
更には、該アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムのうち少なくとも1種類以上であることを特徴とする、前記のハイポフルオライトの湿式除去方法を提供するものである。
本発明により、従来の湿式法と比較して、排ガス中のハイポフルオライトの除去処理時間を短縮し、かつ除去処理によるO2の生成を抑制できる湿式除去方法を提供できる。
本発明の除去処理の対象なる排ガスに含まれているハイポフルオライトは、OF基を少なくとも1つ以上もつ化合物であり、本発明はハイポフルオライトのOF基のFをフッ素イオンとして水溶液中に回収することで、ハイポフルオライトを除去する方法である。ハイポフルオライトであれば本発明の効果を得ることが可能である。例えば、CF3OF、CF2(OF)2、CF3CF2OF、CH3COOF、FCOOF、(CF3)3COF、CF2HCF2OF、(CF3CF2)(CF3)2COF、CH3OF、CFH2OF、CF2HOF、CF3CF2CF2OF、(CF3)2CFOF、CF2(OF)2FOCF2OF、SF5OF、NOOF、O2NOF、OF2、HOF等が挙げられる。本発明では、特にCF3OF、CF2(OF)2、SF5OF、OF2の除去の効果に優れる。
除去処理の対象となる排ガスに、1種類又は2種類以上の複数の種類のハイポフルオライトが含まれても、ハイポフルオライトを除去することが可能である。
還元剤の種類としては、水溶液中での標準電極電位が水酸化物イオンの標準電極電位よりも低い物質を使用することができる。例えば、二酸化硫黄、一酸化炭素、アンモニア、ぎ酸塩、次亜りん酸塩、亜りん酸、ホルムアルデヒド、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などを使用できる。また、該還元剤は1種類又は複数の種類を併用して用いてもよい。
特に、亜硫酸塩やチオ硫酸塩は、化学的安定性が高い、毒性が低い、有毒な反応生成物が発生しない、還元剤の溶解度が大きい、還元剤を含む水溶液とハイポフルオライトの反応によって生成する塩の溶解度が大きい、安価であるという点で好ましく、より好ましくは還元力が強い亜硫酸塩である。亜硫酸塩やチオ硫酸塩を構成する陽イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオンやマグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等のオニウムイオンなどが挙げられるが、水に対する溶解度が大きいという点でアルカリ金属イオンやオニウムイオンが好ましい。
特に、亜硫酸塩やチオ硫酸塩は、化学的安定性が高い、毒性が低い、有毒な反応生成物が発生しない、還元剤の溶解度が大きい、還元剤を含む水溶液とハイポフルオライトの反応によって生成する塩の溶解度が大きい、安価であるという点で好ましく、より好ましくは還元力が強い亜硫酸塩である。亜硫酸塩やチオ硫酸塩を構成する陽イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオンやマグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン等のオニウムイオンなどが挙げられるが、水に対する溶解度が大きいという点でアルカリ金属イオンやオニウムイオンが好ましい。
使用する除去剤は、前記還元剤のいずれか1種類以上を含む水溶液であればよい。該水溶液中の還元剤の濃度は、還元剤の種類によって異なるが、還元剤を添加した効果を十分に発揮するためには、使用する前記還元剤全体で0.01mol%以上が好ましい。前記還元剤の濃度の上限は特に限定されない。還元剤の濃度が溶解度以上でも良い。ただし、除去剤とハイポフルオライトを含む排ガスとを接触させる際に、送液ポンプを用いて除去剤を循環させる場合、還元剤の沈殿、還元剤とハイポフルオライトとの反応によって生成する塩の沈殿が生じないように、還元剤の濃度を適宜調節することが好ましい。例えば、亜硫酸ナトリウムを含む水溶液を除去剤として使用し、該除去剤の温度が25℃において、該除去剤とCF3OFを含む排ガスとを接触させる場合、亜硫酸ナトリウムの濃度は、1mol%以下が好ましい。濃度が1mol%より大きい場合、反応によって生成するフッ化ナトリウムが沈殿し、送液ポンプが閉塞する虞がある。
ハイポフルオライトを含む排ガスを接触させる時の除去剤の温度は、除去剤が液体として存在する温度範囲であればよく、さらに、60℃以下が好ましい。温度が60℃よりも高いと、水蒸気圧が高くなり、除去剤から気化する水が増加するので、還元剤の濃度の管理が困難となる。また、除去剤の温度が60℃以下においても、含有する還元剤が60℃以下で分解もしくは気化する場合は、還元剤の分解もしくは気化により除去効果が低下するので、還元剤が分解する温度以下もしくは気化する温度以下での使用が好ましい。例えば、10℃〜40℃の範囲内が好ましい。
除去剤に、排ガスを連続的に接触させる場合、該除去剤と排ガス中のハイポフルオライトの組み合わせによって反応熱は異なるが、気液を接触させる装置からの放熱や水の気化熱で反応熱を除熱し、該除去剤の温度上昇を防ぐことができるように、該排ガスを希釈ガスによりハイポフルオライトの濃度が10vol%未満となるように希釈した後、該除去剤と連続的に接触させることが好ましく、より好ましくは排ガスを希釈ガスによりハイポフルオライトの濃度が2vol%未満となるように希釈した後、該除去剤と連続的に接触させることが好ましい。該希釈ガスの種類としては、ハイポフルオライト及び還元剤と直接反応しないものであれば特に問わない。例えば、N2、Ar、He、パーフルオロカーボンなどが挙げられ、該希釈ガスは1種類又は複数の種類を併用して用いてもよい。
撹拌槽、気泡塔、棚段塔、スプレー塔、充填塔等の従来からある気液を接触させる装置を用いて、除去剤と排ガスとを接触させることができる。気液の接触効率が良いことから、充填塔を用いることが好ましい。充填塔を用いる場合、向流接触又は並流接触させる方式があるが、より気液の接触効率が良い向流接触させる方式の方がより好ましい。
除去剤と排ガスとの接触に用いる気液を接触させる装置について、除去剤又は排ガスが接触する部分の材質としては、鉄、ステンレス鋼、樹脂等でよく、特に指定しないが、濃度が2vol%以上となる高濃度のハイポフルオライトを含有する排ガスが接触する部分には、フッ素樹脂が好ましい。
除去剤は、前記還元剤とアルカリ剤とを共存させることがより望ましい。アルカリ剤を共存させることで、還元剤の標準電極電位が下がり、反応後に発生する酸による還元剤の分解が抑制されると、より効率的にハイポフルオライトを除去することでできる。アルカリ剤は、水に溶解し水酸化物イオンを生成するもの、かつ還元剤と直接反応しないものであれば特に問わない。
アルカリ剤の種類としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられ、いずれか1種類以上含めばよく、上記のアルカリ剤のうち、複数の種類のアルカリ剤を混合した場合でも、ハイポフルオライトを除去することが可能である。水に対する溶解度が大きいという点でアルカリ金属水酸化物が好ましい。
除去剤の還元剤とアルカリ剤の濃度については、還元剤やアルカリ剤の種類によって異なるが、還元剤やアルカリ剤を添加した効果を十分に発揮するためには、還元剤全体の濃度とアルカリ剤全体の濃度が、それぞれ0.001mol%以上が好ましくい。還元剤とアルカリ剤を併用することで、該アルカリ剤を併用しない場合に比べ還元剤の好ましい濃度の下限は下がる。還元剤とアルカリ剤の濃度上限は特に限定されない。還元剤やアルカリ剤の濃度が溶解度以上でも良い。ただし、該除去剤とハイポフルオライトを含む排ガスとを接触させる際に、送液ポンプを用いて該除去剤を循環させる場合、還元剤やアルカリ剤の沈殿、還元剤とアルカリ剤とハイポフルオライトとの反応によって生成する塩の沈殿が生じないように、還元剤とアルカリ剤の濃度を適宜調節することが好ましい。
例えば、アルカリ剤として水酸化ナトリウムと、還元剤として亜硫酸ナトリウムを共に含む水溶液を除去剤として使用し、該除去剤の温度が25℃において、該除去剤とCF3OFを含む排ガスとを接触させる場合、水酸化ナトリウムの濃度は3mol%以下が好ましく、亜硫酸ナトリウムの濃度は0.5mol%以下が好ましい。少なくとも水酸化ナトリウムと亜硫酸ナトリウムのどちらか一方の濃度が好ましい濃度より大きい場合、反応によって生成するフッ化ナトリウムが沈殿し、送液ポンプが閉塞する虞がある。
また、アルカリ剤として水酸化カリウムを、還元剤として亜硫酸ナトリウムを共に含む水溶液を除去剤として使用し、該除去剤の温度が25℃において、該除去剤とCF3OFを含む排ガスとを接触させる場合、水酸化カリウムの濃度は7mol%以下が好ましく、亜硫酸ナトリウムの濃度は1mol%以下が好ましい。少なくとも水酸化カリウムと亜硫酸ナトリウムのどちらか一方の濃度が、好ましい濃度より大きい場合、反応によって生成するフッ化ナトリウムや硫酸カリウムが沈殿し、送液ポンプが閉塞する虞がある。
還元剤とアルカリ剤を共に含む除去剤を用いる場合、ハイポフルオライトを含む排ガスを接触させる時の該除去剤の温度は、該除去剤が液体として存在する温度範囲であればよく、さらに、60℃以下が好ましい。温度が60℃よりも高いと、水蒸気圧が高くなり、該除去剤から気化する水が増加するので、還元剤とアルカリ剤の濃度の管理が困難となる。また、該除去剤の温度が60℃以下においても、含有する還元剤が60℃以下で分解もしくは気化する場合は、還元剤の分解もしくは気化により除去効果が低下するので、還元剤が分解する温度以下もしくは気化する温度以下での使用が好ましい。例えば、10℃〜40℃の範囲内が好ましい。
さらに除去剤に排ガスを連続的に接触させる場合、該除去剤と排ガス中のハイポフルオライトの組み合わせによって反応熱は異なるが、気液を接触させる装置からの放熱や水の気化熱で反応熱を除熱し、該除去剤の温度上昇を防ぐことができるように、該排ガスを希釈ガスによりハイポフルオライトの濃度が5vol%未満となるように希釈した後、該除去剤と連続的に接触させることが好ましい。より好ましくは、該排ガスを希釈ガスによりハイポフルオライトの濃度が1vol%未満となるように希釈した後、該除去剤と連続的に接触させることが好ましい。該希釈ガスの種類としては、ハイポフルオライト、及び還元剤、及びアルカリ剤と直接反応しないものであれば特に問わない。例えば、N2、Ar、He、パーフルオロカーボンなどが挙げられ、該希釈ガスは1種類又は複数の種類を併用して用いてもよい。
撹拌槽、気泡塔、棚段塔、スプレー塔、充填塔等の従来からある気液を接触させる装置を用いて、還元剤とアルカリ剤を含む除去剤と排ガスとを接触させることができる。気液の接触効率が良いことから、充填塔を用いることが好ましい。充填塔を用いる場合、向流接触又は並流接触させる方式があるが、より気液の接触効率が良い向流接触させる方式の方がより好ましい。
還元剤とアルカリ剤を共に含む除去剤と排ガスとの接触に用いる気液を接触させる装置について、該除去剤又は排ガスが接触する部分の材質としては、鉄、ステンレス鋼、樹脂等でよく、特に指定しないが、濃度が1vol%以上となる高濃度のハイポフルオライトを含有する排ガスが接触する部分には、フッ素樹脂が好ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜19、比較例1〜10]
除去剤100gを、容積1L、内径75mmのフッ素樹脂容器に入れ、容器を密閉した。該除去剤の温度は25℃において、容器内をHe雰囲気、容器内圧力を15.8kPaAとした後、ハイポフルオライトを加えて容器内の圧力を81.6kPaAとした。5分毎に容器内ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所 GCMS−QP2010)で、ハイポフルオライトの濃度を分析し、ハイポフルオライトの濃度が許容濃度以下となるまでの時間(除去時間)を測定した。
除去剤100gを、容積1L、内径75mmのフッ素樹脂容器に入れ、容器を密閉した。該除去剤の温度は25℃において、容器内をHe雰囲気、容器内圧力を15.8kPaAとした後、ハイポフルオライトを加えて容器内の圧力を81.6kPaAとした。5分毎に容器内ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所 GCMS−QP2010)で、ハイポフルオライトの濃度を分析し、ハイポフルオライトの濃度が許容濃度以下となるまでの時間(除去時間)を測定した。
なお、ハイポフルオライトの許容濃度C1は、ハイポフルオライト中のすべてのFが毒性の強いHFになったとしてもHF許容濃度C2(=3ppm)を超えない濃度とし、HF許容濃度C2とハイポフルオライト分子中のFの数Nを下記数式(A)に代入し算出した。
式(A): C1=C2/N
また、除去剤とハイポフルオライトとの反応で生成する物質を確認するために、ガスクロマトグラフ質量分析計で容器内ガス組成を分析し、イオンクロマトグラフ(島津製作所 HIC−10A)で水溶液の組成を分析した。
式(A): C1=C2/N
また、除去剤とハイポフルオライトとの反応で生成する物質を確認するために、ガスクロマトグラフ質量分析計で容器内ガス組成を分析し、イオンクロマトグラフ(島津製作所 HIC−10A)で水溶液の組成を分析した。
下記の表1に、用いたハイポフルオライトと除去剤の組成、及び得られた除去時間と分析結果(生成物)を示した。除去剤として、超純水またはアルカリ剤を含む水溶液を用いた場合(比較例1〜10)と比較して、還元剤を含む水溶液または還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例1〜19)では、明らかに除去時間は短縮されており、ハイポフルオライトを短時間で効率的に除去することができる。
従って、還元剤を添加しない従来のアルカリ剤を含有した水溶液を、除去剤として用いる湿式法に比べ、撹拌槽、気泡塔、棚段塔、スプレー塔、充填塔等の従来からある気液を接触させる装置を用いた湿式法によるハイポフルオライトの除去方法に、本発明を用いることにより、除去効率が向上し、該装置をコンパクトにできることは明らかである。ただし、実施例5と実施例8では、除去剤とハイポフルオライトとの反応によって生成する塩が沈殿した。
特に、CF3OF、CF2(OF)2、SF5OF、OF2に対して効率的な除去の効果が高い。また、CF3OFは、還元剤を含む水溶液を用いた場合(実施例1〜6)においても、還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例7〜11)においても、炭酸イオン、フッ素イオン、硫酸イオンとして、水溶液中に回収された。CF2(OF)2は、還元剤を含む水溶液を用いた場合(実施例12)においても、還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例13)においても、炭酸イオン、フッ素イオン、硫酸イオンとして、水溶液中に回収された。SF5OFは、還元剤を含む水溶液を用いた場合(実施例14)においても、還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例15)においても、フッ素イオン、硫酸イオンとして、水溶液中に回収された。OF2は、還元剤を含む水溶液を用いた場合(実施例16)においても、還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例17)においても、フッ素イオン、硫酸イオンとして、水溶液中に回収された。O2NOFは、還元剤を含む水溶液を用いた場合(実施例18)においても、還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例19)においても、硝酸イオン、フッ素イオン、硫酸イオンとして水溶液中に吸収された。
また下記の表1に示すとおり、除去剤として、超純水またはアルカリ剤を含む水溶液を用いた場合(比較例1〜10)、生成物に酸素が検出されたが、還元剤を含む水溶液または還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例1〜19)では、酸素の生成は認められず、本発明により、酸素の発生を防ぐことができることがわかる。
[実施例20〜29、比較例11〜20]
長さ3.5m、内径25Aで、内部がフッ素樹脂加工されている塔内に、充填材として、φ1/4インチ、長さ6mmのフッ素樹脂ラシヒリングが、充填長3mで充填されている充填塔を用いた。該充填塔の塔頂部より、除去剤が充填されている液釜より該除去剤を送液ポンプにより0.3L/minの流量で導入し、該充填材を通過した該除去剤を該充填塔の底部より排出して該液釜に戻し、該除去剤を充填塔内に循環させた。この時、窒素により希釈された濃度が1vol%のハイポフルオライト含有ガスを、マスフローコントローラーにて1.6NL/minの流量で該充填塔の底部より導入し、循環している除去剤と接触しながら該充填材を通過した該ガスを該充填塔の塔頂部より放出した。
長さ3.5m、内径25Aで、内部がフッ素樹脂加工されている塔内に、充填材として、φ1/4インチ、長さ6mmのフッ素樹脂ラシヒリングが、充填長3mで充填されている充填塔を用いた。該充填塔の塔頂部より、除去剤が充填されている液釜より該除去剤を送液ポンプにより0.3L/minの流量で導入し、該充填材を通過した該除去剤を該充填塔の底部より排出して該液釜に戻し、該除去剤を充填塔内に循環させた。この時、窒素により希釈された濃度が1vol%のハイポフルオライト含有ガスを、マスフローコントローラーにて1.6NL/minの流量で該充填塔の底部より導入し、循環している除去剤と接触しながら該充填材を通過した該ガスを該充填塔の塔頂部より放出した。
放出されたガスは、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所 GCMS−QP2010)で分析し、放出ガス中のハイポフルオライト濃度C3(vol.ppm)を測定した。
下記の表2に、用いたハイポフルオライトと除去剤の組成、及び放出ガス中のハイポフルオライト濃度C3(vol.ppm)を示した。
除去剤として超純水またはアルカリ剤を含む水溶液を用いた場合(比較例11〜20)と比較して、還元剤を含む水溶液または還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例20〜29)では、明らかに放出ガス中のハイポフルオライト濃度C3は低減されていた。
特に、CF3OF、CF2(OF)2、SF5OF、OF2に対して、還元剤とアルカリ剤を共に含む水溶液を用いた場合(実施例21、23、25、27)では、ハイポフルオライトの濃度を許容濃度以下まで低減することができた。
本発明は、ハイポフルオライトの製造時の排ガスや、ハイポフルオライトが半導体製造装置のドライクリーニング又は半導体製造時のエッチングなどの処理に使用されたときに排気される排ガスに含まれるハイポフルオライトを、除去する手段として使用可能である。
Claims (5)
- ハイポフルオライトを含有する排ガスを除去剤である水溶液に接触させる湿式法によりハイポフルオライトを除去する方法において、還元剤を含む水溶液を除去剤として用いることを特徴とする、ハイポフルオライトの湿式除去方法。
- 該ハイポフルオライトは、CF3OF、CF2(OF)2、SF5OF、OF2、のうち少なくとも1種類以上であることを特徴とする、請求項1に記載のハイポフルオライトの湿式除去方法。
- 該還元剤は、亜硫酸塩、チオ硫酸塩のうち少なくとも1種類以上であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のハイポフルオライトの湿式除去方法。
- 該除去剤は、還元剤及びアルカリ剤を共に含む水溶液であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイポフルオライトの湿式除去方法。
- 該アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムのうち少なくとも1種類以上であることを特徴とする、請求項4に記載のハイポフルオライトの湿式除去方法。
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JP2014145591A Pending JP2016019964A (ja) | 2014-07-16 | 2014-07-16 | ハイポフルオライトの湿式除去方法 |
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JP (1) | JP2016019964A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018134571A (ja) * | 2017-02-21 | 2018-08-30 | セントラル硝子株式会社 | ヨウ素化合物の除去方法 |
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2014
- 2014-07-16 JP JP2014145591A patent/JP2016019964A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018134571A (ja) * | 2017-02-21 | 2018-08-30 | セントラル硝子株式会社 | ヨウ素化合物の除去方法 |
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