JP2016017458A - ファンハウジングおよび送風ユニット - Google Patents

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一泰 松井
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志明 鄭
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Toru Iwata
透 岩田
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Abstract

【課題】ファンハウジングにおける送風効率の低下を抑制する。【解決手段】ファンハウジング(60)は、回転軸線(O)の軸方向に送風するプロペラファン(50)を収容する。ファンハウジング(60)は、プロペラファン(50)の外周を囲うように設けられ、その内部空間にプロペラファン(50)により搬送される空気が流通するハウジング本体(61)と、ハウジング本体(61)の内周に設けられてプロペラファン(50)の風下側に配置され、プロペラファン(50)から吹き出された空気の流れを整流する静翼(62)とを備える。静翼(62)は、その後縁部の外周側に切り欠き(62a)が形成されている。【選択図】図9

Description

この発明は、プロペラファンを回転可能に収容するファンハウジングおよびそれを備えた送風ユニットに関し、特に、ファンハウジングの構造に関する。
従来より、種々の技術分野において、軸方向に送風するプロペラファンが利用されている。また、このようなプロペラファンを収容するファンハウジングに、プロペラファンから吹き出された空気の流れを整流する静翼を設けることが知られている。例えば、特許文献1には、プロペラファンと、プロペラファンから吹き出された空気の運動エネルギを圧力エネルギに変換するディフューザとを備えたファンユニットが開示されている。なお、このディフューザは、それぞれが円筒状に形成された外側シュラウドおよび内側シュラウドと、外側シュラウドと内側シュラウドとの間に設けられた複数の静翼とを備えている。
特開2003−254659号公報
特許文献1のファンユニットでは、プロペラファンから吹き出されて静翼に流れ込む空気は、プロペラファンの回転力によって内周側から外周側へ向けて広がりながら周方向に旋回しつつ、風上側から風下側へ向けて軸方向に進行していく。そのため、静翼では、静翼の正圧面の内周側よりも外周側のほうが風速が高くなっている。したがって、静翼の後縁部の外周側においてカルマン渦が発生しやすくなっている。このように、静翼の後縁部の外周側においてカルマン渦が発生すると、静翼の風下側に流れ出す空気の量が低下して送風効率が低下してしまう。
そこで、この発明は、送風効率の低下を抑制することが可能なファンハウジングおよび送風ユニットを提供することを目的とする。
第1の発明は、回転軸線(O)の軸方向に送風するプロペラファン(50)を回転可能に収容するファンハウジングであって、上記プロペラファン(50)の外周を囲うように設けられ、その内部空間に該プロペラファン(50)により搬送される空気が流通するハウジング本体(61)と、上記ハウジング本体(61)の内周に設けられて上記プロペラファン(50)の風下側に配置され、該プロペラファン(50)から吹き出された空気を整流する静翼(62)とを備え、上記静翼(62)は、その後縁部の外周側に切り欠き(62a)が形成されていることを特徴とするファンハウジングである。
上記第1の発明では、プロペラファン(50)から吹き出された空気は、プロペラファン(50)の回転力によって内周側から外周側へ向けて広がりながら周方向に旋回しつつ、風上側から風下側へ向けて軸方向に進行していく。そのため、ファンハウジング(60)では、静翼(62)の正圧面の内周側よりも外周側のほうが風速が高くなっている。すなわち、静翼(62)の後縁部の外周側へ向けて流れてくる空気の流速は、静翼(62)の後縁部の内周側へ向けて流れてくる空気の流速よりも高くなっている。したがって、静翼(62)に切り欠き(62a)が形成されていない場合、静翼(62)の後縁部の外周側においてカルマン渦が発生しやすい。
なお、上記第1の発明では、静翼(92)の後縁部の外周側に切り欠き(62a)が形成されている。そのため、静翼(62)の後縁部の外周側に流れてきた空気は、静翼(62)の後縁部の外周側に形成された切り欠き(62a)を通過する。このように、静翼(62)の後縁部の外周側において静翼(62)に空気が衝突してしまうことを回避することができるので、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を抑制することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記静翼(62)は、上記切り欠き(62a)の内周側に隣接する角部(62b)が面取りされていることを特徴とするファンハウジングである。
上記第2の発明では、静翼(62)の角部(62b)を面取りすることにより、静翼(62)の角部(62b)における空気の流れを円滑にすることができる。これにより、静翼(62)の角部(62b)におけるカルマン渦の発生を抑制することができる。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記切り欠き(62a)は、上記静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深くなるように形成されていることを特徴とするファンハウジングである。
上記第3の発明では、静翼(62)の後縁部の外周側において、内周側から外周側へ向かうに連れて、静翼(62)の後縁部へ向けて流れてくる空気の流速が高くなっている。そのため、静翼(62)の後縁部の外周側では、内周側から外周側へ向かうに連れて、カルマン渦が発生しやすくなっている。したがって、静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深さが深くなるように切り欠き(62a)を形成することにより、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を効果的に抑制することができる。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記ハウジング本体(61)は、上記プロペラファン(50)の外周を囲う部分と上記静翼(62)の外周を囲う部分とが一体に形成されていることを特徴とするファンハウジングである。
上記第4の発明では、プロペラファン(50)の外周を囲う部分と静翼(62)の外周を囲う部分とが一体に形成されるようにハウジング本体(61)を構成することにより、ハウジング本体(61)における空気の漏れを防止することができる。
第5の発明は、回転軸線(O)の軸方向に送風するプロペラファン(50)と、上記プロペラファン(50)を回転可能に収容するファンハウジング(60)とを備えた送風ユニットであって、上記ファンハウジング(60)は、第1〜第4の発明のいずれか1つのファンハウジングによって構成されていることを特徴とする送風ユニットである。
上記第5の発明では、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができる。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記プロペラファン(50)は、上記回転軸線(O)を中心として回転駆動される動翼ハブ(51)と、該動翼ハブ(51)の外周に設けられる動翼(52)とを有し、上記動翼(52)は、上記動翼ハブ(51)の外周面から突出する動翼本体(52a)と、該動翼本体(52a)の外周縁に沿って延びるように該動翼本体(52a)の正圧面の外周縁部に形成されたリブ(52b)とを有していることを特徴とする送風ユニットである。
上記第6の発明では、プロペラファン(50)に吸い込まれた空気は、動翼本体(52a)の正圧面に沿って前縁側から後縁側へ向けて流れながら、プロペラファン(50)の回転に伴う遠心力によって内周側から外周側へ向けて流れていく。そして、動翼本体(52a)の正圧面に沿って動翼本体(52a)の外周縁部へ向けて流れてきた空気は、リブ(52b)に衝突してリブ(52b)に沿って風下側に案内される。これにより、動翼本体(52a)の正圧面に沿って動翼本体(52a)の外周縁部へ向けて流れてきた空気が動翼本体(52a)の外周縁を越えて負圧面側へ回り込んでしまうことを抑制することができる。
第1の発明によれば、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を抑制することができるので、静翼(62)から風下側へ向けて流れ出す空気の量の低下を抑制することができる。これにより、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができる。
第2の発明によれば、静翼(62)の角部(62b)におけるカルマン渦の発生を抑制することができるので、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができる。
第3の発明によれば、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を効果的に抑制することができるので、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を効果的に抑制することができる。
第4の発明によれば、ハウジング本体(61)における空気の漏れを防止することができるので、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができる。
第5の発明によれば、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができるので、送風ユニット(40)の送風効率を向上させることができる。
第6の発明によれば、動翼(52)の外周縁部における正圧面側から負圧面側への空気の回り込みを抑制することができるので、プロペラファン(50)から風下側へ向けて吹き出される空気の量の低下を抑制することができる。これにより、プロペラファン(50)の送風効率を向上させることができ、その結果、送風ユニット(40)の送風効率を向上させることができる。
図1は、コンテナ用冷凍装置の構成について説明するための斜視図である。 図2は、コンテナ用冷凍装置の構造について説明するための断面図である。 図3は、コンテナ用冷凍装置の構造について説明するための斜視図である。 図4は、送風ユニットの構造について説明するための分解斜視図である。 図5は、送風ユニットの構造について説明するための縦断面図である。 図6は、プロペラファンの構造について説明するための平面図である。 図7(A)は、プロペラファンの要部について説明するための部分側面図であり、図7(B)は、プロペラファンの要部について説明するための部分斜視図である。 図8は、ファンハウジングの構造について説明するための平面図である。 図9(A)は、ファンハウジングの構造について説明するための斜視図であり、図9(B)は、ファンハウジングの要部について説明するための部分斜視図である。 図10(A)は、プロペラファンの比較例における空気の流れについて説明するための概略図であり、図10(B)は、実施形態によるプロペラファンにおける空気の流れについて説明するための概略図である。 図11(A)は、ファンハウジングの比較例における空気の流れについて説明するための概略図であり、図11(B)は、ファンハウジングにおける空気の流れについて説明するための概略図である。 図12は、動翼の変形例について説明するための部分側面図である。 図13は、静翼の変形例について説明するための部分斜視図である。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
〔コンテナ用冷凍装置〕
図1は、コンテナ用冷凍装置(以下、単に「冷凍装置(1)」と表記)の構成例を示している。冷凍装置(1)は、海上輸送などに用いられるコンテナ(2)に設けられてコンテナ(2)の庫内空気を冷却するものであり、ケーシング(10)と、冷媒回路(20)と、庫外送風ユニット(30)と、庫内送風ユニット(40)と、コントローラ(80)とを備えている。この例では、コンテナ(2)は、長手方向の一側面が開口した直方体の箱状に形成され、冷凍装置(1)は、コンテナ(2)の開口面を閉塞するようにコンテナ(2)の一端部(開口端部)に設けられている。なお、図1は、コンテナ(2)の庫外側から視た冷凍装置を示した斜視図である。
〈ケーシング〉
図2,図3に示すように、ケーシング(10)は、ケーシング本体(11)と、庫内仕切板(12)とを有している。なお、図2は、コンテナ(2)の長手方向に延びる側面と平行な冷凍装置(1)の断面を示した断面図であり、図3は、コンテナ(2)の庫内側から視た冷凍装置(1)を示した斜視図である。
《ケーシング本体》
ケーシング本体(11)は、コンテナ(2)の開放面を閉塞する平板状に形成され、その下部が庫外側から庫内側へ向けて凹むように屈曲している。このようにケーシング本体(11)を形成することにより、ケーシング本体(11)の下部の庫外側には、庫外に開口する庫外収容空間(S1)が形成され、ケーシング(10)の上部の庫内側には、庫内に開口する庫内収容空間(S2)が形成されている。なお、この例では、ケーシング本体(11)は、2枚の金属板の間に断熱層が挟持された三重構造の平板部材によって構成されている。
《庫内仕切板》
庫内仕切板(12)は、コンテナ(2)の内部空間をコンテナ(2)の奥行方向(長手方向)に仕切る平板状に形成され、ケーシング本体(11)と間隔をおいてケーシング本体(11)の庫内側に配置されている。このように庫内仕切板(12)を配置することにより、庫内収容空間(S2)は、庫内仕切板(12)の上部によってコンテナ(2)の庫内空間(S0)と仕切られ、庫内仕切板(12)の下部とケーシング本体(11)の下部との間には、庫内収容空間(S2)と連通する庫内連通空間(S3)が形成されている。
また、庫内仕切板(12)は、その上縁とコンテナ(2)の天井面との間に隙間(上側隙間)が形成され、その下縁とコンテナ(2)の底面との間に隙間(下側隙間)が形成されるように構成されている。このように隙間が形成されることにより、庫内収容空間(S2)は、その上部が上側隙間を経由して庫内空間(S0)と連通し、その下部が庫内連通空間(S3)と下側隙間とを順に経由して庫内空間(S0)と連通している。
〈冷媒回路〉
図1,図2,図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と凝縮器(22)と膨張弁(図示を省略)と蒸発器(23)とを有して冷凍サイクル動作を行う。圧縮機(21)および凝縮器(22)は、庫外収容空間(S1)に設けられ、蒸発器(23)は、庫内収容空間(S2)に設けられる。
〈庫外送風ユニット〉
図1,図2に示すように、庫外送風ユニット(30)は、庫外収容空間(S1)に設けられ、庫外から庫外収容空間(S1)に吸い込まれた空気(庫外空気)が凝縮器(22)を通過して庫外に排出されるように送風する。この例では、庫外送風ユニット(30)は、庫外プロペラファン(31)と、庫外プロペラファン(31)を回転駆動させる庫外ファンモータ(32)とを備えている。そして、凝縮器(22)は、庫外送風ユニット(30)の風上側に配置されている。
〈庫内送風ユニット〉
図1,図2,図3に示すように、庫内送風ユニット(40)は、庫内収容空間(S2)に設けられ、庫内から庫内収容空間(S2)に吸い込まれた空気(庫内空気)が蒸発器(23)を通過して庫内に供給されるように送風する。この例では、庫内送風ユニット(40)は、庫内プロペラファン(50)と、庫内プロペラファン(50)を回転可能に収容する庫内ファンハウジング(60)と、庫内プロペラファン(50)を回転駆動させる庫内ファンモータ(70)とを備えている。そして、庫内収容空間(S2)には、2つの庫内送風ユニット(40)が設けられ、蒸発器(23)は、2つの庫内送風ユニット(40)の風下側に配置されている。なお、庫内送風ユニット(40)の構造については、後で詳しく説明する。
また、この例では、ケーシング本体(11)の上部には、庫内送風ユニット(40)を庫外に露出させる作業口(11a)と、作業口(11a)を開閉可能な作業扉(11b)とが設けられている。
〈コントローラ〉
コントローラ(80)は、温度センサや湿度センサなどの各種センサ(図示を省略)の検知結果に基づいて冷媒回路(20)と庫外送風ユニット(30)と庫内送風ユニット(40)とを制御してコンテナ(2)の庫内温度を調節する。この例では、図1に示すように、コントローラ(80)は、庫外収容空間(S1)に収容された電装品ボックス(81)内に設けられている。
〈冷凍装置による冷凍運転〉
次に、図2を参照して、冷凍装置(1)の冷凍運転について説明する。冷凍運転では、圧縮機(21)と庫外ファンモータ(32)と庫内ファンモータ(70)とが駆動され、膨張弁(図示を省略)の開度が所定の開度に調節される。
庫外収容空間(S1)では、庫外から庫外収容空間(S1)の下部に吸い込まれた空気(庫外空気)は、庫内収容空間(S2)において凝縮器(22)と庫外送風ユニット(30)とを順に通過し、庫外収容空間(S1)の上部から庫外へ排出される。
庫外収容空間(S1)では、庫内から庫外収容空間(S1)の上部に吸い込まれた空気(庫内空気)は、庫内収容空間(S2)において庫内送風ユニット(40)と蒸発器(23)とを順に通過し、庫内収容空間(S2)の下部から庫内連通空間(S3)を通過して庫内に供給される。
冷媒回路(20)では、圧縮機(21)から吐出された冷媒は、凝縮器(22)において庫外空気に放熱して凝縮した後に、蒸発器(23)において庫内空気から吸熱して蒸発する。これにより、庫内空気は、蒸発器(23)において冷媒の吸熱作用により冷却されて庫内に供給される。蒸発器(23)を通過した冷媒は、圧縮機(21)に吸入される。
〔庫内送風ユニット(送風ユニット)〕
次に、図4,図5を参照して、庫内送風ユニット(40)について説明する。図4は、庫内送風ユニット(40)を示した分解斜視図である。図5は、庫内送風ユニット(40)の縦断面を示した縦断面図である。庫内送風ユニット(40)は、庫内プロペラファン(50)と庫内ファンハウジング(60)と庫内ファンモータ(70)とを備えている。
なお、以下の説明では、庫内送風ユニット(40)を「送風ユニット(40)」と表記し、庫内プロペラファン(50)を「プロペラファン(50)」と表記し、庫内ファンハウジング(60)を「ファンハウジング(60)」と表記し、庫内ファンモータ(70)を「ファンモータ(70)」と表記する。
また、以下の説明において、「軸方向」とは、回転軸線(O)の方向のことであり、「径方向」とは、回転軸線(O)の軸方向と直交する方向のことであり、「周方向」とは、回転軸線(O)周りの方向のことである。そして、「外周側」とは、回転軸線(O)からより遠い側のことであり、「内周側」とは、回転軸線(O)により近い側のことである。また、「前縁側」とは、翼における風上側のことであり、「後縁側」とは、翼における風下側のことである。そして、「正圧面」とは、翼における空気流れにより正圧側となる翼面のことであり、「負圧面」とは、翼における空気流れにより負圧側となる翼面のことである。
プロペラファン(50)は、回転軸線(O)を中心として回転可能に構成され、回転軸線(O)の軸方向に空気を送風する。ファンハウジング(60)は、プロペラファン(50)の風下側に設けられ、プロペラファン(50)から吹き出された空気を軸方向に整流する。ファンモータ(70)は、プロペラファン(50)に連結される駆動軸(71)を有し、プロペラファン(50)を回転駆動させる。
〈プロペラファン〉
次に、図4,図5,図6,図7(A),図7(B)を参照して、プロペラファン(50)について説明する。プロペラファン(50)は、動翼ハブ(51)と、複数(この例では、7枚)の動翼(52)とを備えている。例えば、プロペラファン(50)は、動翼ハブ(51)と複数の動翼(52)とが樹脂成形により一体に形成されて構成されている。なお、図6は、風上側(空気の吸込側)から視たプロペラファン(50)を示した平面図である。図7(A)は、径方向外方から視た動翼(52)を拡大して示した部分側面図である。図7(B)は、前縁部を正面にして視た動翼(52)を拡大して示した部分斜視図である。
《動翼ハブ》
動翼ハブ(51)は、ファンモータ(70)の駆動軸(71)に連結され、回転軸線(O)を中心として回転駆動される。この例では、動翼ハブ(51)は、中央部が肉厚となる底壁を有する円筒状に形成され、その底壁が風上側(この例では、上側)となるように配置されている。また、動翼ハブ(51)の底壁の中央部(すなわち、肉厚部)には、駆動軸(71)が挿入されて固定される軸孔(51a)が形成されている。
《動翼》
複数の動翼(52)は、動翼ハブ(51)の外周に設けられ、所定の間隔をおいて周方向に配列されている。具体的には、複数の動翼(52)は、動翼ハブ(51)から径方向外方へ向けて放射状に延びている。各動翼(52)は、動翼本体(52a)とリブ(52b)とを有している。
−動翼本体−
動翼本体(52a)は、動翼ハブ(51)の外周面から径方向外方へ向けて突出している。具体的には、動翼本体(52a)は、回転軸線(O)の軸方向に空気が搬送されるように、その翼弦線が回転軸線(O)の周方向(すなわち、プロペラファン(50)の回転方向)に対して傾斜した状態で、その内周縁部が動翼ハブ(51)の外周面に接続されている。また、動翼本体(52a)は、その正圧面が凹面状に形成され、その負圧面が凸面状に形成されている。さらに、動翼本体(52a)は、その外周面が回転軸線(O)を包囲する円筒面状(具体的には、回転軸線(O)を中心として軸方向に延びる円筒面状、以下同様)に形成されている。
なお、この例では、動翼本体(52a)は、上下に延びる軸方向において前縁部が上側となり後縁部が下側となるように、径方向外方から視て回転軸線(O)の周方向に対して時計回りに傾斜している。そして、プロペラファン(50)が駆動すると、プロペラファン(50)の上側から下側へ向けて空気が搬送される。
−リブ−
リブ(52b)は、動翼本体(52a)の外周縁に沿って延びるように動翼本体(52a)の正圧面の外周縁部に形成されている。また、リブ(52b)は、その外周面が回転軸線(O)を包囲する円筒面状(詳しくは、動翼本体(52a)の外周面と同一の径を有する円筒面状)に形成されて、動翼本体(52a)の外周面と面一となっている。さらに、リブ(52b)は、その内周面が動翼本体(52a)の正圧面に対して起立するように形成されている。この例では、リブ(52b)の内周面は、回転軸線(O)を包囲する円筒面状に形成されている。
また、この例では、リブ(52b)は、その高さ(H)が動翼本体(52a)の前縁側から後縁側に亘って同一となるように形成されている。さらに、リブ(52b)は、その幅(W)が動翼本体(52a)の前縁側から後縁側に亘って同一となるように形成されている。なお、リブ(52b)の高さ(H)は、動翼本体(52a)の正圧面に対するリブ(52b)の突出高さ(この例では、軸方向の長さ)を示し、リブ(52b)の幅(W)は、リブ(52b)の径方向の長さを示している。
例えば、プロペラファン(50)は、その外径(具体的には、動翼(52)の外周面の直径)が約340mmに設定されている。そして、リブ(52b)は、その高さ(H)が約1.5mmに設定され、その幅(W)が約2.0mmに設定されている。
〈ファンハウジング〉
次に、図4,図5,図8,図9(A),図9(B)を参照して、ファンハウジング(60)について説明する。ファンハウジング(60)は、ハウジング本体(61)と、複数(この例では、16枚)の静翼(62)と、静翼ハブ(63)とを備えている。例えば、ファンハウジング(60)は、ハウジング本体(61)と複数の静翼(62)と静翼ハブ(63)とが全属鋳造により一体に形成されて構成されている。なお、図8は、風上側(空気の流入側)から視たファンハウジング(60)を示した平面図である。図9(A)は、風上側(空気の流入側)から視たファンハウジング(60)を示した斜視図であり、図9(A)では、ファンハウジング(60)の一部(半周分)が切り欠かれている。図9(B)は、風下側(空気の流出側)から視た静翼(62)を拡大して示した部分斜視図である。また、図5では、静翼(62)のうち断面(紙面)よりも奥側に位置する部分の図示を省略している。
《ハウジング本体》
ハウジング本体(61)は、プロペラファン(50)の外周を囲うように設けられ、その内部空間にプロペラファン(50)により搬送される空気が流通するように構成されている。すなわち、ハウジング本体(61)は、回転軸線(O)を包囲する円筒面状(詳しくは、プロペラファン(50)の外径よりも大きい径を有する円筒面状)に形成された内周面を有し、その内周面によって空気通路(すなわち、プロペラファン(50)により搬送される空気が流通する空気通路)が構成されている。この例では、ハウジング本体(61)は、その内部空間における風上側にプロペラファン(50)が回転可能に収容され、その内部空間における風上側に複数の静翼(62)が固定されるように構成されている。また、ハウジング本体(61)は、プロペラファン(50)の外周を囲う部分と複数の静翼(62)の外周を囲う部分とが一体に形成されている。具体的には、ハウジング本体(61)は、円筒部(61a)とフランジ部(61b)とを有している。
−円筒部−
円筒部(61a)は、その内周面が回転軸線(O)を包囲する円筒面状に形成されている。また、円筒部(61a)は、その風上側の端部を除いた部分における内径が一定となるように形成され、その風上側の端部における内径が風下側から風上側へ向けて次第に広くなるように形成されている。すなわち、円筒部(61a)のうちプロペラファン(50)の外周を囲う部分は、プロペラファン(50)に空気を案内するためのベルマウスを構成し、円筒部(61a)のうち複数の静翼(62)の外周を囲う部分は、複数の静翼(62)を支持するためのシュラウドを構成している。
−フランジ部−
フランジ部(61b)は、円筒部(61a)の風上側の端部(開口端)から径方向に突出している。フランジ部(61b)は、平面視において矩形状に形成され、その中央部に円筒部(61a)の風上側の開口端と連通する円形の開口が形成されている。
《静翼》
複数の静翼(62)は、ハウジング本体(61)の内周に設けられてプロペラファン(50)の風下側(空気の吹出側)に配置され、プロペラファン(50)から吹き出された空気の流れを整流するように構成されている。また、複数の静翼(62)は、所定の間隔をおいて周方向に配列されている。各静翼(62)は、ハウジング本体(61)の内周面から径方向内方へ向けて突出している。また、各静翼(62)は、プロペラファン(50)から吹き出された空気の動圧(運動エネルギ)を静圧(圧力エネルギ)に変換するように構成されている。具体的には、各静翼(62)は、プロペラファン(50)から吹き出された空気が正圧面に沿って流れて後縁から軸方向に沿って風下側へ流れ出すように、その翼弦線が回転軸線(O)の周方向(すなわち、プロペラファン(50)の回転方向)に対して傾斜した状態で、その外周縁部がハウジング本体(61)の内周面に接続されている。また、静翼(62)は、その正圧面が凹面状に形成され、その負圧面が凸面状に形成されている。さらに、この例では、静翼(62)は、その外周縁部の厚み(周方向の長さ)が内周側から外周側へ向かうに連れて次第に厚くなるように形成されている。
−切り欠き−
また、静翼(62)は、その後縁部の外周側に切り欠き(62a)が形成されている。具体的には、切り欠き(62a)は、その深さが静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深くなるように形成されている。この例では、切り欠き(62a)は、上底が前縁側となり下底が後縁側となる直角台形状に形成されている。そして、切り欠き(62a)の斜辺および上底は、静翼(62)の外方側に凸となるように、内周側から外周側へ向かうに連れて後縁側から前縁側へ次第に湾曲している。
例えば、ハウジング本体(61)は、その内径(具体的には、円筒部(61a)の内周面の直径)が約345mmに設定されている。そして、切り欠き(62a)は、その上底が約10mmに設定され、その下底が約20mmに設定され、その高さ(深さ)が約10mmに設定されている。
−角部−
また、静翼(62)の後縁部の外周側に切り欠き(62a)が形成されることにより、静翼(62)の切り欠き(62a)の内周側に角部(62b)が構成されている。そして、この例では、静翼(62)は、その角部(すなわち、切り欠き(62a)の内周側に隣接する角部(62b))が面取りされている。なお、図9(B)では、切り欠き(62a)が形成されていない場合の静翼(62)の後縁部の外周側の外形を仮想線(二点鎖線)で示している。
なお、この例では、静翼(62)は、上下に延びる軸方向において前縁部が上側(すなわち、プロペラファン(50)に近い側)となり後縁部が下側(すなわち、プロペラファン(50)から遠い側)となるように、径方向外方から視て回転軸線(O)の周方向に対して反時計回りに傾斜している。また、回転軸線(O)の周方向に対する静翼(62)の傾斜角度は、回転軸線(O)の周方向に対する動翼本体(52a)の傾斜角度よりも急峻となっている。そして、プロペラファン(50)から吹き出された空気は、静翼(62)の正圧面に沿って上側から下側へ向けて流れ、静翼(62)の後縁から軸方向に沿って下側へ流れ出す。
《静翼ハブ》
静翼ハブ(63)は、プロペラファン(50)の動翼ハブ(51)と同軸状となるように、複数の静翼(62)の内周に設けられる。そして、静翼ハブ(63)の外周面には、複数の静翼(62)の内周縁部が接続される。すなわち、複数の静翼(62)は、静翼ハブ(63)の外周面からハウジング本体(61)の内周面へ向けて放射状に延びている。
この例では、静翼ハブ(63)は、その外周面が回転軸線(O)を包囲する円筒面状(詳しくは、ハウジング本体(61)の内周面よりも小さい径を有する円筒面状)に形成され、その外周面が複数の静翼(62)を挟んでハウジング本体(61)の内周面と対向している。また、静翼ハブ(63)は、ファンモータ(70)の一端部に取り付け可能に構成されている。具体的には、静翼ハブ(63)は、底壁を有する円筒状に形成され、その閉塞端(すなわち、底壁)がプロペラファン(50)に近い側(この例では、上側)となり開放端がプロペラファン(50)から遠い側となるように設けられている。また、静翼ハブ(63)の底壁の中央部には、挿通孔(63a)が形成されている。
〈ファンモータ〉
次に、図4,図5を参照して、ファンモータ(70)について説明する。ファンモータ(70)は、駆動軸(71)の他に、モータ本体(72)と突環部(73)とを有している。なお、図5では、ファンモータ(70)の一端部のみを図示し、ファンモータ(70)の一端部を除く他の部分については図示を省略している。
モータ本体(72)は、その外形が駆動軸(71)の軸心(すなわち、回転軸線(O))を中心として軸方向に延びる円柱状に形成されている。駆動軸(71)は、モータ本体(72)の一端面の中央部から軸方向に延びている。突環部(73)は、モータ本体(72)の一端面に突設され、駆動軸(71)の外周を囲う円環状に形成されている。なお、突環部(73)は、その外周面が回転軸線(O)を包囲する円筒面状(詳しくは、モータ本体(72)の外周面よりも小さい径を有する円筒面状)に形成されている。
また、静翼ハブ(63)は、その内周面がモータ本体(72)の外周面に対応した円筒面状(具体的には、モータ本体(72)の外周面よりも僅かに大きい径を有する円筒面状)に形成されている。また、静翼ハブ(63)の挿通孔(63a)は、突環部(73)の外周面に対応した円形状(具体的には、モータ本体(72)の外周面よりも小径で突環部(73)の外周面よりも僅かに大径な円形状)に形成されている。
〈送風ユニットの組み立て〉
図5に示すように、ファンハウジング(60)は、静翼ハブ(63)の挿通孔(63a)にモータ(70)の突環部(73)を嵌合させ、静翼ハブ(63)の内周にモータ本体(72)を嵌合させることにより、モータ(70)の一端部に取り付けられて固定(例えば、ボルト止め)されている。プロペラファン(50)は、モータ(70)の一端部にファンハウジング(60)を取り付けた後に、動翼ハブ(51)の軸孔(51a)にモータ(70)の駆動軸(71)の一端部を挿通して固定することにより、駆動軸(71)の一端部に回転可能に固定されている。
〈動翼における空気流れ〉
次に、図10(A),図10(B)を参照して、プロペラファン(50)の動翼(52)における空気流れについて説明する。ここでは、リブ(52b)が形成されていない動翼(52)を比較例として挙げて説明する。図10(A)は、動翼(52)の比較例(以下、「動翼(91)」と表記)における空気流れを示し、図10(B)は、この実施形態によるプロペラファン(50)の動翼(52)における空気流れを示している。図10(A),図10(B)では、空気流れを実線矢印で示している。
プロペラファン(50)に吸い込まれた空気は、動翼(52)の正圧面に沿って前縁側から後縁側へ向けて流れながら、プロペラファン(50)の回転に伴う遠心力によって内周側から外周側へ向けて流れていく。そのため、図10(A)に示すように、リブ(52b)が設けられていない動翼(91)の外周縁部では、動翼(91)の正圧面に沿って動翼(91)の外周縁部へ向けて流れてきた空気が、動翼(91)の外周縁を越えて負圧面側へ回り込んでしまうおそれがある。
一方、図10(B)に示すように、リブ(52b)が設けられた動翼(52)では、動翼本体(52a)の正圧面に沿って動翼本体(52a)の外周縁部へ向けて流れてきた空気は、リブ(具体的には、リブ(52b)の内周面)に衝突してリブ(52b)に沿って風下側に案内される。これにより、動翼本体(52a)の正圧面に沿って動翼本体(52a)の外周縁部へ向けて流れてきた空気が動翼本体(52a)の外周縁を越えて負圧面側へ回り込んでしまうことを抑制することができる。
〈静翼における空気流れ〉
次に、図11(A),図11(B)を参照して、ファンハウジング(60)の静翼(62)における空気流れについて説明する。ここでは、切り欠き(62a)が形成されていない静翼(62)を比較例として挙げて説明する。図11(A)は、静翼(62)の比較例(以下、「静翼(92)」と表記)における空気流れを示し、図11(B)は、この実施形態によるファンハウジング(60)の静翼(62)における空気流れを示している。なお、図11(A),図11(B)は、径方向外方から視た動翼(52)および静翼(92,62)を示した概略図であり、図11(A),図11(B)では、空気流れを実線矢印で示し、プロペラファン(50)の回転方向を白抜き矢印で示している。
プロペラファン(50)から吹き出された空気は、プロペラファン(50)の回転力によって内周側から外周側へ向けて広がりながら周方向に旋回しつつ、風上側から風下側へ向けて軸方向に進行していく。そのため、ファンハウジング(60)では、静翼(62)の正圧面の内周側よりも外周側のほうが風速が高くなっている。すなわち、静翼(62)の後縁部の外周側へ向けて流れてくる空気の流速は、静翼(62)の後縁部の内周側へ向けて流れてくる空気の流速よりも高くなっている。したがって、図11(A)に示すように、切り欠き(62a)が設けられていない静翼(92)では、静翼(92)の後縁部の外周側においてカルマン渦が発生しやすくなっている。
なお、カルマン渦の発生について詳しく説明すると、図11(A)に示した静翼(92)では、静翼(92)の後縁部に流れてきた空気が静翼(92)の後縁部に衝突して剥離するときに、静翼(92)の後縁においてカルマン渦が発生するおそれがある。また、静翼(92)の後縁部へ向けて流れてくる空気の流速が高くなるほど、その空気が静翼(92)の後縁部に衝突して剥離するときにカルマン渦が発生しやすくなる傾向にある。そして、図11(A)に示した静翼(92)では、静翼(92)の正圧面の内周側よりも外周側のほうが風速が高くなっているので、静翼(92)の後縁部の外周側においてカルマン渦が発生しやすくなっている。
一方、図11(B)に示すように、切り欠き(62a)が設けられた静翼(62)では、静翼(62)の後縁部の外周側に流れてきた空気は、静翼(62)の後縁部の外周側に形成された切り欠き(62a)を通過する。このように、静翼(62)の後縁部の外周側において静翼(62)に空気が衝突してしまうことを回避することができるので、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を抑制することができる。
〈実施形態による効果〉
以上のように、プロペラファン(50)の動翼(52)にリブ(52b)を設けることにより、動翼(52)の外周縁部における正圧面側から負圧面側への空気の回り込みを抑制することができる。これにより、プロペラファン(50)から風下側へ向けて吹き出される空気の量の低下を抑制することができるので、プロペラファン(50)の送風効率を向上させることができる。その結果、送風ユニット(40)の送風効率を向上させることができる。
また、動翼(52)のリブ(52b)の外周面を円筒面状に形成して動翼本体(52a)の外周面と面一とすることにより、動翼(52)の外周面を円筒面状に形成することができる。なお、一般的には、プロペラファン(50)の外周を囲う部材(例えば、ベルマウスやファンハウジングなど、この例では、ハウジング本体(61))は、その内周面が回転軸線(O)を包囲する円筒面状(詳しくは、プロペラファン(50)の外径よりも大きい径を有する円筒面状)に形成されている。したがって、動翼(52)の外周面を円筒面状(すなわち、プロペラファン(50)の外周を囲う部材の内周面に対応した形状)に形成することにより、動翼(52)の外周面とプロペラファン(50)の外周を囲う部材の内周面との間の隙間(以下、「動翼隙間」と表記)を狭くすることができる。これにより、動翼本体(52a)の正圧面に沿って動翼本体(52a)の外周縁部へ向けて流れてきた空気が動翼隙間を通過して負圧面側へ回り込んでしまうことを抑制することができる。このように、動翼隙間を経由する動翼(52)の正圧面側から負圧面側への空気の回り込みを抑制することができるので、プロペラファン(50)の送風効率を向上させることができる。
また、動翼本体(52a)の正圧面に対してリブ(52b)の内周面が起立するようにリブ(52b)を形成することにより、動翼本体(52a)の正圧面の外周縁部において内周側から外周側へ向かう空気の流れを確実に妨げることができる。これにより、動翼(52)の外周縁部における正圧面側から負圧面側への空気の回り込みを確実に抑制することができるので、プロペラファン(50)の送風効率を確実に向上させることができる。
また、送風ユニット(40)においてプロペラファン(50)をファンハウジング(60)に収容することにより、プロペラファン(50)から吹き出された空気の流れを整流する(具体的には、周方向に沿う空気流れを軸方向に沿う空気流れに整流する)ことができる。これにより、プロペラファン(50)から吹き出された空気の動圧(運動エネルギ)を静圧(圧力エネルギ)に変換することができるので、送風ユニット(40)の風下側における静圧を上昇させることができる。
また、ファンハウジング(60)の静翼(62)の後縁部の外周側に切り欠き(62a)を設けることにより、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を抑制することができる。これにより、静翼(62)から風下側へ向けて流れ出す空気の量の低下を抑制することができるので、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができ、その結果、送風ユニット(40)の送風効率を向上させることができる。
また、静翼(62)の切り欠き(62a)の内周側に隣接する角部(62b)を面取りすることにより、静翼(62)の角部(62b)における空気の流れを円滑にすることができる。これにより、静翼(62)の角部(62b)におけるカルマン渦の発生を抑制することができるので、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができる。
また、静翼(62)の後縁部の外周側では、静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深さが深くなるように切り欠き(62a)が形成されている。なお、静翼(62)の後縁部の外周側では、内周側から外周側へ向かうに連れて、静翼(62)の後縁部へ向けて流れてくる空気の流速が高くなっている。そのため、静翼(62)の後縁部の外周側では、内周側から外周側へ向かうに連れて、カルマン渦が発生しやすくなっている。したがって、静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深さが深くなるように切り欠き(62a)を形成することにより、静翼(62)の後縁部の外周側におけるカルマン渦の発生を効果的に抑制することができる。これにより、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を効果的に抑制することができる。
また、プロペラファン(50)の外周を囲う部分と複数の静翼(62)の外周を囲う部分とが一体に形成されるようにハウジング本体(61)を構成することにより、ハウジング本体(61)における空気の漏れ(具体的には、プロペラファン(50)の外周を囲う部分と複数の静翼(62)の外周を囲う部分との間の空気の漏れ)を防止することができる。これにより、ファンハウジング(60)における送風効率の低下を抑制することができる。
〔動翼の変形例〕
図12(A),図12(B)に示すように、リブ(52b)は、その高さ(H)が動翼本体(52a)の前縁側から後縁側へ向かうに連れて高くなるように形成されていてもよい。この例では、リブ(52b)は、その幅(W)が動翼本体(52a)の前縁側から後縁側へ亘って同一となるように形成されている。
なお、動翼(52)の外周縁部の前縁側から後縁側へ向かうに連れて、動翼(52)の外周縁部へ向けて流れてくる空気の流速が高くなっている。そのため、動翼(52)の外周縁部では、前縁側から後縁側へ向かうに連れて、動翼(52)の正圧面側から負圧面側への空気の回り込みが発生しやすくなっている。したがって、動翼本体(52a)の前縁側から後縁側へ向かうに連れて高さ(H)が高くなるようにリブ(52b)を形成することにより、動翼(52)の外周縁部における正圧面側から負圧面側への空気の回り込みを効果的に抑制することができる。これにより、プロペラファン(50)の送風効率を効果的に向上させることができる。
〔静翼の変形例〕
図13に示すように、静翼(62)は、その厚み(周方向の長さ)が内周側から外周側に亘って同一となるように形成されていてもよい。また、切り欠き(62a)は、その深さが静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深くなるように形成されていてもよい。この例では、切り欠き(62a)は、底辺が後縁側となる直角三角形状に形成されている。そして、切り欠き(62a)の斜辺は、静翼(62)の外方側に凸となるように、内周側から外周側へ向かうに連れて後縁側から前縁側へ次第に湾曲している。なお、図13では、切り欠き(62a)が形成されていない場合の静翼(62)の後縁部の外周側の外形を仮想線(二点鎖線)で示している。
〔その他の実施形態〕
以上の説明では、プロペラファン(50)の全ての動翼(52)にリブ(52b)が形成されている場合を例に挙げたが、プロペラファン(50)は、リブ(52b)が形成されていない動翼(52)を備えていてもよい。
また、ファンハウジング(60)の全ての静翼(62)に切り欠き(62a)が形成されている場合を例に挙げたが、ファンハウジング(60)は、切り欠き(62a)が形成されてない静翼(62)を備えていてもよい。
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、上述のファンハウジングは、コンテナの庫内を冷却する冷凍装置に設けられる送風ユニットなどに有用である。
1 コンテナ用冷凍装置(冷凍装置)
2 コンテナ
10 ケーシング
20 冷媒回路
30 庫外送風ユニット
40 庫内送風ユニット(送風ユニット)
50 庫内プロペラファン(プロペラファン)
51 動翼ハブ
52 動翼
52a 動翼本体
52b リブ
60 庫内ファンハウジング(ファンハウジング)
61 ハウジング本体
62 静翼
62a 切り欠き
62b 角部
63 静翼ハブ
70 庫内ファンモータ(ファンモータ)
80 コントローラ

Claims (6)

  1. 回転軸線(O)の軸方向に送風するプロペラファン(50)を回転可能に収容するファンハウジングであって、
    上記プロペラファン(50)の外周を囲うように設けられ、その内部空間に該プロペラファン(50)により搬送される空気が流通するハウジング本体(61)と、
    上記ハウジング本体(61)の内周に設けられて上記プロペラファン(50)の風下側に配置され、該プロペラファン(50)から吹き出された空気を整流する静翼(62)とを備え、
    上記静翼(62)は、その後縁部の外周側に切り欠き(62a)が形成されている
    ことを特徴とするファンハウジング。
  2. 請求項1において、
    上記静翼(62)は、上記切り欠き(62a)の内周側に隣接する角部(62b)が面取りされている
    ことを特徴とするファンハウジング。
  3. 請求項1または2において、
    上記切り欠き(62a)は、上記静翼(62)の内周側から外周側へ向かうに連れて深くなるように形成されている
    ことを特徴とするファンハウジング。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    上記ハウジング本体(61)は、上記プロペラファン(50)の外周を囲う部分と上記静翼(62)の外周を囲う部分とが一体に形成されている
    ことを特徴とするファンハウジング。
  5. 回転軸線(O)の軸方向に送風するプロペラファン(50)と、
    上記プロペラファン(50)を回転可能に収容するファンハウジング(60)とを備えた送風ユニットであって、
    上記ファンハウジング(60)は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のファンハウジングによって構成されている
    ことを特徴とする送風ユニット。
  6. 請求項5において、
    上記プロペラファン(50)は、上記回転軸線(O)を中心として回転駆動される動翼ハブ(51)と、該動翼ハブ(51)の外周に設けられる動翼(52)とを有し、
    上記動翼(52)は、上記動翼ハブ(51)の外周面から突出する動翼本体(52a)と、該動翼本体(52a)の外周縁に沿って延びるように該動翼本体(52a)の正圧面の外周縁部に形成されたリブ(52b)とを有している
    ことを特徴とする送風ユニット。
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