JP2016017440A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、エンジンの挙動の異常がどのような原因であるかを判定して適切な燃料噴射制御を実行することを目的とする。【解決手段】この発明は、メイン噴射に先行してパイロット噴射を実行する燃料噴射制御手段を備える燃料噴射制御装置において、エンジンの回転数の変動を示す値を検出する回転数変動検出手段と、エンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第1の閾値以上である時にエンジンの挙動が異常であると判定する異常判定手段とを備え、燃料噴射制御手段は、エンジンの挙動が異常であると判定された時は一定時間を経過するまでパイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少し、一定時間を経過する間にエンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第2の閾値未満にならない場合はパイロット噴射を再開することを特徴とする。【選択図】図1

Description

この発明は燃料噴射制御装置に係り、特に、エンジンの挙動の異常がどのような原因であるかを判定して燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置に関する。
ディーゼルエンジンにおいては、急激な圧力変化を緩和するため、燃焼室に主たる量の燃料を噴射するメイン噴射に先行して、少量の燃料を噴射するパイロット噴射を行う燃料噴射制御装置が知られている。これにより、ディーゼルエンジンは、燃焼がメイン噴射の前から比較的緩やかに行われるため、燃焼室の圧力上昇が緩やかになり振動や騒音対策となる。
従来のパイロット噴射を行う燃料噴射制御装置には、パイロット噴射時にエンジン回転数の変化に基づいてエンジンの挙動の異常であるサージングを検出した場合は、パイロット噴射を停止する技術が開示されている。(特許文献1)
特開平10−122022号公報
しかしながら、特許文献1の燃料噴射制御装置は、検出したサージングがパイロット噴射により生じたものである場合には有効であると考えられるが、検出したサージングがパイロット噴射により生じたものでなかった場合に、パイロット噴射を停止することで適切な燃料噴射を行えなくなる可能性がある。
この発明は、パイロット噴射が原因でエンジンの挙動の異常が生じている場合以外はパイロット噴射を再開することで、適切な燃料噴射制御を実行することができる燃料噴射制御装置を提供することが目的である。
この発明は、エンジンの燃焼室に主たる量の燃料を噴射するメイン噴射と少量の燃料を噴射するパイロット噴射とに分割して燃料を噴射する燃料噴射制御手段を備え、前記燃料噴射制御手段は、前記メイン噴射に先行して前記パイロット噴射を実行する燃料噴射制御装置において、前記エンジンの回転数の変動を示す値を検出する回転数変動検出手段と、前記回転数変動検出手段によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第1の閾値以上である時に前記エンジンの挙動が異常であると判定する異常判定手段とを備え、前記燃料噴射制御手段は、前記異常判定手段によって前記エンジンの挙動が異常であると判定された時は一定時間を経過するまで前記パイロット噴射を停止または前記パイロット噴射の燃料量を減少し、前記一定時間を経過する間に前記回転数変動検出手段によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第2の閾値未満にならない場合は前記パイロット噴射を再開することを特徴とする。
この発明は、エンジンの挙動の異常時にパイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少してエンジンの挙動の変化を監視し、パイロット噴射が原因でエンジンの挙動の異常が生じている場合以外は、パイロット噴射を再開することで、適切な燃料噴射制御を実行することができる。
図1は燃料噴射制御装置のシステム図である。(実施例) 図2は燃料噴射制御のフローチャートである。(実施例) 図3はエンジンの挙動異常の原因がパイロット噴射である場合のタイミングチャートである。(実施例) 図4はエンジンの挙動異常の原因がパイロット噴射でない場合のタイミングチャートである。(実施例)
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1〜図4は、この発明の実施例を示すものである。図1において、車両に搭載されたディーゼルエンジン(以下「エンジン」と記す。)1の燃料噴射制御装置2は、燃料噴射制御手段3を備える。燃料噴射制御手段3は、メイン噴射量決定手段4とパイロット噴射量決定手段5とを備える。メイン噴射量決定手段4は、エンジン回転数検出手段5によって検出されるエンジン回転数に基づいて、エンジン1の燃焼室に噴射する主たる量の燃料(メイン噴射量)を決定する。パイロット噴射量決定手段5は、メイン噴射量とエンジン回転数検出手段6によって検出されるエンジン回転数とに基づいて、メイン噴射量に対して少量の燃料(パイロット噴射量)を決定する。
燃料噴射制御手段3は、メイン噴射量決定手段4とパイロット噴射量決定手段5とによりそれぞれ決定された各噴射量に基づいてエンジン1の燃料噴射を制御する。燃料噴射の制御においては、メイン噴射とパイロット噴射とに分割して燃料を噴射し、メイン噴射に先行してパイロット噴射を実行する。
燃料噴射制御装置2は、回転数変動検出手段7と異常判定手段8とを備える。回転数変動検出手段7は、エンジン回転数の変動を示す値Fを検出する。異常判定手段8は、回転数変動検出手段7によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値Fが予め定められた第1の閾値A以上である時(F≧A)に、エンジン1の挙動が異常であると判定する。
燃料噴射制御手段3は、異常判定手段8によってエンジン1の挙動が異常であると判定された時は、パイロット噴射量決定手段5によってパイロット噴射を停止(パイロット噴射量を0)、またはパイロット噴射の燃料量を減少(パイロット噴射量を減少)に変更し、パイロット噴射を抑制する。
燃料噴射制御装置2は、パイロット噴射抑制時間計測手段9を備える。パイロット噴射抑制時間計測手段9は、エンジン1の挙動が異常であると判定された時の、パイロット噴射を停止、またはパイロット噴射の燃料量を減少している動作の継続時間(パイロット噴射抑制時間D)を計測する。パイロット噴射抑制時間計測手段9は、エンジン1の挙動が異常であると判定された時にパイロット噴射抑制時間Dの計測を開始し、予め定められた一定時間Cを経過する(D>C)と計測を終了するとともに、計測したパイロット噴射抑制時間Dをリセットして「0」に戻す。
これより、燃料噴射制御手段3は、異常判定手段8によってエンジン1の挙動が異常であると判定された時は、異常の判定時からのパイロット噴射抑制時間Dが一定時間Cを経過するまで(D≦C)、パイロット噴射量決定手段5によってパイロット噴射を停止、またはパイロット噴射の燃料量を減少に変更し、パイロット噴射を抑制する。
そして、燃料噴射制御手段3は、パイロット噴射抑制時間Dが一定時間Cを経過する間(D≦C)に、回転数変動検出手段7によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値Fが、予め定められた第2の閾値未満Bにならない場合、パイロット噴射を再開(通常のパイロット噴射量に復帰)する。
また、燃料噴射制御装置2は、運転領域算出手段10と運転領域記憶手段11とを備える。運転領域算出手段10は、エンジン1の振動を検出する振動検出手段12と、車両の車速を検出する車速検出手段13と、車両の加速度を検出する加速度検出手段14と、エンジン1の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段15と、エンジン1の周囲の大気圧を検出する大気圧検出手段16とを備える。運転領域算出手段10は、エンジン回転数検出手段6から入力するエンジン回転数と、メイン噴射量決定手段4から入力するメイン噴射量と、エンジン1の振動と、車両の車速と、車両の加速度と、エンジン1の冷却水温度と、エンジン1の周囲の大気圧との、少なくとも1つ以上の情報に基づいて、エンジン1の運転領域を算出する。
運転領域記憶手段11は、異常判定手段8によってエンジン1の挙動が異常であると判定され、パイロット噴射が停止またはパイロット噴射の燃料量を減少された後、パイロット噴射抑制時間Dが一定時間Cを経過する間(D≦C)に回転数変動検出手段7によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値Fが予め定められた第2の閾値B未満になった場合(F<B)、エンジン1の挙動が異常であると判定された時の運転領域算出手段10が算出したエンジン2の運転領域を記憶する。
燃料噴射制御手段3は、エンジン2の運転領域が、運転領域記憶手段11によって記憶された運転領域である場合、パイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少する。
次に作用を説明する。
燃料噴射制御装置2は、通常の燃料噴射制御中において、図2に示すように、制御のプログラムを実行する。なお、図2において、燃料噴射制御装置2は、エンジン1の異常判定時に一定時間Cを経過するまで、パイロット噴射を停止するものとして説明する。
図2において、燃料噴射制御装置2は、制御のプログラムを開始すると(S01)、エンジン1の運転領域が運転領域記憶手段11によって記憶された運転領域であるか否かを判定する(S02)。
燃料噴射制御装置2は、エンジン1の運転領域が前回制御のステップS12において記憶された運転領域である場合(S02:YES)、パイロット噴射を停止し(S13)、プログラムを終了する(S14)。燃料噴射制御装置2は、記憶された運転領域でない場合(S02:NO)、エンジン回転数の変動を示す値Fが第1の閾値A以上であるか否かを判定する(S03)。第1の閾値Aは、エンジン回転数の変動が大きく、エンジン1の挙動に異常があると判定される閾値である。
燃料噴射制御装置2は、エンジン回転数の変動を示す値Fが第1の閾値A以上でない場合(S03:NO)、判断(S02)に戻る。燃料噴射制御装置2は、エンジン回転数の変動を示す値Fが第1の閾値A以上である揚合(S03:YES)、エンジン1の挙動に異常があると判定され、異常と判定されたエンジン1の運転領域を運転領域算出手段10によって算出し(S04)、パイロット噴射を停止し(S05)、パイロット噴射抑制時間計測手段9によってパイロット噴射抑制時間Dの計測を開始する(S06)。
燃料噴射制御装置2は、パイロット噴射抑制時間Dの計測を開始すると、エンジン回転数の変動を示す値Fが第2の閾値B未満であるか否かを判定する(S07)。第2の閾値Bは、エンジン1の挙動が正常であると判定される閾値である。第1の閾値Aと第2の閾値Bとは、A>Bの関係である。
燃料噴射制御装置2は、エンジン回転数の変動を示す値Fが第2の閾値B未満となり(S07:YES)、エンジン2の挙動が正常であると判定された場合、パイロット噴射を停止したことで正常に戻ったと判断するため、パイロット噴射を停止したエンジン1の運転領域を運転領域記憶手段11に記憶し(S12)、パイロット噴射抑制時間計測手段9が計測したパイロット噴射抑制時間Dをリセットし(S11)、プログラムを終了する(S14)。
燃料噴射制御装置2は、次回以降の制御において、エンジン1の運転領域がステップS12で記憶したエンジン2の運転領域と同等であることを確認すると(S02:YES)、パイロット噴射を停止し(S13)、プログラムを終了する(S14)。
燃料噴射制御装置2は、エンジン回転数の変動を示す値Fが第2の閾値B未満でない場合(S07:NO)、パイロット噴射抑制時間計測手段9によって計測したパイロット噴射抑制時間Dの読み込みを行い(S08)、計測したパイロット噴射抑制時間Dが一定時間Cを経過しているかを判定する(S09)。
燃料噴射制御装置2は、一定時間Cが経過していない場合(S09:NO)、再びステップS07でエンジン回転数の変動を示す値Fが第2の閾値B未満であるか否かを判定する。燃料噴射制御装置2は、エンジン回転数の変動を示す値Fが第2の閾値B未満にならずに(S07:NO)、一定時間Cが経過した場合(S09:YES)、パイロット噴射を再開し(S10)、パイロット噴射抑制時間Dをリセットし(S11)、プログラムを終了する(S14)。
これは、パイロット噴射を停止して一定時間Cが経過しても、エンジン1の挙動が正常に戻らないため、パイロット噴射が原因でエンジン1の挙動に異常が発生しているのではないと判断するからである。
なお、図2の制御においては、エンジン1の挙動に異常が発生した場合にパイロット噴射を停止したが、パイロット噴射の燃料量を減少することに置き換えてもよい。
図3は、エンジン1の挙動異常(エンジン回転数の変動)の原因がパイロット噴射である場合(ステップS07:YES)のタイミングチャートである。
燃料噴射制御装置2は、図3において、
(1).エンジン回転数に変動が発生し、
(2).エンジン回転数の変動を示す値Fがエンジン1の挙動異常を判定する第1の閾値A以上となると、
(3).パイロット噴射を停止、またはパイロット噴射の燃料量を減少し、
(4).パイロット噴射を停止、またはパイロット噴射の燃料量を減少する動作の継続時間(パイロット噴射抑制時間D)の計測を開始し、
(5).計測したパイロット噴射抑制時間Dが一定時間Cを経過する前に、エンジン回転数の変動を示す値Fがエンジン1の挙動正常を判定する第2の閾値B未満となると、
(6)パイロット噴射変更フラグを立て、パイロット噴射を停止、またはパイロット噴射の燃料量の減少を停止し、このときのエンジン1の運転領域を記憶し、
(7).パイロット噴射抑制時間Dをリセットする。
図4は、エンジン1の挙動異常(エンジン回転数の変動)の原因がパイロット噴射でない場合(ステップS07:NO)のタイミングチャートである。
燃料噴射制御装置2は、図4において、
(1).エンジン回転数に変動が発生し、
(2).エンジン回転数の変動を示す値Fがエンジン1の挙動異常を判定する第1の閾値A以上となると、
(3).パイロット噴射を値止、またはパイロット噴射の燃料量を減少し、
(4).パイロット噴射を停止、またはパイロット噴射の燃料量を減少する動作の継続時間(パイロット噴射抑制時間D)の計測を開始し、
(5).計測したパイロット噴射抑制時間Dが一定時間Cを経過しても、エンジン回転数の変動を示す値Fがエンジン1の挙動正常を判定する第2の閾値B未満にならないと、
(6).パイロット噴射を再開して、
(7).パイロット噴射抑制時間Dをリセットする。
燃料噴射制御装置2は、エンジン1の挙動が異常であると判定された時は、パイロット噴射抑制時間が一定時間Cを経過するまでパイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少に変更し、一定時間Cを経過する間に、エンジン回転数の変動を示す値Fが第2の閾値未満Bにならない場合、パイロット噴射を再開する。
このように、燃料噴射制御装置2は、エンジン1の挙動の異常時にパイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少してエンジン1の挙動の変化を監視し、パイロット噴射が原因でエンジン1の挙動の異常が生じている場合以外は、パイロット噴射を再開することで、適切な燃料噴射制御を実行することができる。
また、燃料噴射制御装置2は、エンジン2の運転領域が、運転領域記憶手段11によって記憶された運転領域である場合、パイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少する。
このように、燃料噴射制御装置2は、パイロット噴射が原因でエンジン1の挙動の異常が生じたことのある運転領域においてはパイロット噴射を停止またはパイロット噴射の燃料量を減少することで、パイロット噴射によるエンジン1の挙動に異常が発生することを抑制することができる。
この発明は、パイロット噴射が原因でエンジンの挙動の異常が生じている場合以外はパイロット噴射を再開することで、適切な燃料噴射制御を実行することができ、ディーゼルエンジンにかぎらず、メイン噴射に先行してパイロット噴射を実行する燃料噴射制御装置を搭載したガソリンエンジンにも適用することができる。
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
2 燃料噴射制御装置
3 燃料噴射制御手段
4 メイン噴射量決定手段
5 パイロット噴射量決定手段
6 エンジン回転数検出手段
7 回転数変動検出手段
8 異常判定手段
9 パイロット噴射抑制時間計測手段
10 運転領域算出手段
11 運転領域記憶手段
12 振動検出手段
13 車速検出手段
14 加速度検出手段
15 冷却水温度検出手段
16 大気圧検出手段

Claims (2)

  1. エンジンの燃焼室に主たる量の燃料を噴射するメイン噴射と少量の燃料を噴射するパイロット噴射とに分割して燃料を噴射する燃料噴射制御手段を備え、前記燃料噴射制御手段は、前記メイン噴射に先行して前記パイロット噴射を実行する燃料噴射制御装置において、前記エンジンの回転数の変動を示す値を検出する回転数変動検出手段と、前記回転数変動検出手段によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第1の閾値以上である時に前記エンジンの挙動が異常であると判定する異常判定手段とを備え、前記燃料噴射制御手段は、前記異常判定手段によって前記エンジンの挙動が異常であると判定された時は一定時間を経過するまで前記パイロット噴射を停止または前記パイロット噴射の燃料量を減少し、前記一定時間を経過する間に前記回転数変動検出手段によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第2の閾値未満にならない場合は前記パイロット噴射を再開することを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 前記異常判定手段によって前記エンジンの挙動が異常であると判定され、前記パイロット噴射が停止または前記パイロット噴射の燃料量を減少された後、前記一定時間を経過する間に前記回転数変動検出手段によって検出されたエンジン回転数の変動を示す値が予め定められた第2の閾値未満になった場合、前記エンジンの挙動が異常であると判定された時の前記エンジンの運転領域を記憶する運転領域記憶手段を備え、前記燃料噴射制御手段は、前記エンジンの運転領域が前記運転領域記憶手段によって記憶された運転領域である場合、前記パイロット噴射を停止または前記パイロット噴射の燃料量を減少することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
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