JP2016017184A - ガスワイピング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼帯の幅方向端部におけるオーバーコートの抑止効果に優れたガスワイピング装置を提供すること。【解決手段】ガスワイピング装置10を構成するガスワイピングノズル1は、鋼帯Kの幅に応じてガスを吐出するスリット1dに沿ってスライド自在な左右の閉塞部材2a,2bと、それらの間に形成されたガス吹出口2cを有し、その中空において、左右の閉塞部材2a,2bの端部から隔壁1bへ延設する左右の外側整流片3a,3bが配設され、これらの内側に左右の内側整流片4a,4bが配設され、左右の内側整流片4a,4bの内側に中央ガス流路5aが形成され、左右の外側整流片3a,3bと内側整流片4a,4bの間にそれぞれ左右の端部ガス流路5a,5bが形成されており、中央ガス流路5aを流れるガス流速に比して端部ガス流路5b、5cを流れるガス流速を相対的に速い状態に制御しながらガスワイピングを実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、連続搬送されてメッキ浴中に浸漬された鋼帯の表面にガスを吹き付けて該表面に付着するメッキ用の溶融金属の付着量を調整するガスワイピング装置に関するものである。
溶融金属のメッキ浴中に鋼帯を連続的に浸漬させて溶融金属メッキをおこなうに当たり、浸漬後の鋼帯の未凝固メッキ面にガスを吹付けて溶融金属の付着量を調整する、いわゆるガスワイピングが一般におこなわれており、たとえば、連続搬送される鋼帯の両側にガスワイピングノズルを備えたガスワイピング装置を配置しておき、該鋼帯の両側にガスを吹出すことによってガスワイピングがおこなわれる。
ガスワイピングノズルは、メッキポットの溶融金属内に浸漬されて、その前方を上方に搬送される鋼帯の幅方向の長さに対応する細長形状を有し、該幅方向(長手方向)に沿ってガスを吹き出すスリット状のガス吹出口が形成されている。このガス吹出口から鋼帯に対してその幅方向の一端から他端に亘って直線状にガスを吹き付けることにより、鋼帯の表面の溶融金属を所望に払拭してその付着量が調整される。
ところで、上記するガスワイピングにおいては、鋼帯幅方向の両端部における溶融金属の付着量が他の部分よりも多くなるオーバーコートや、両端部でガスに払拭された溶融金属が飛散するスプラッシュが問題となっている。これらのオーバーコートやスプラッシュといった問題は、鋼帯の両端部付近において対向するガスワイピングノズルから吐出されたガス同士の衝突によって乱流が発生することなどに起因するものである。
鋼帯の幅方向両端部における上記オーバーコートやスプラッシュを低減するための技術を、本出願人は特許文献1において開示している。ここで開示されるガスワイピング装置の具体的な構成は、鋼帯の表面にガスを吹き付けて表面のメッキ用の溶融金属の付着量を調整する中空のガスワイピングノズルを備えたガスワイピング装置に関し、ガスワイピングノズルが鋼帯の幅方向に延設して中空からガスを吹出すスリットと、ガスを中空に導入するガス導入口を備えた隔壁とを備え、スリットには鋼帯の幅に応じて左右の領域を閉塞するとともにスリットに沿ってスライド自在な左右の閉塞部材が配設され、かつ、離間した左右の閉塞部材の間にガス吹出口が形成され、中空において、左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部から隔壁へ延設する左右の整流片が配設され、左右の整流片の間でガス流路が形成され、ガス吹出口の幅とガス流路の幅が同じであるという構成である。
上記構成のガスワイピング装置によれば、ガス吹出口を形成するスリット内の左右の閉塞部材のガス吹出口側端部と、ガスワイピングノズルの中空内でガス流路を画成する左右の整流片を繋ぐ構成により、ガスの縮流によって周期的に渦が生ぜしめられ、この渦によってガス流れが乱され、乱されたガス流れに起因して鋼帯の幅方向端部にオーバーコートやスプラッシュが生じるといった課題を完全に解消することができる。
しかしながら、本発明者等によれば、乱されたガス流れに起因するオーバーコートやスプラッシュは解消されるものの、あらたな課題が特定されている。
このあらたな課題は、ガスワイピング装置の前工程で設置されている鋼帯用熱処理炉において、鋼帯の板厚が厚い場合に、炉の性能上、処理(搬送)速度が低くなった際に生じることが多い。連続搬送される鋼帯の速度が低速でかつ厚目付ワイピングをおこなう際に、ガス吹出口の幅方向で吹出し量の分布が均一である場合、ワイピング後のガスが鋼帯の中央部から鋼帯の両端部方向に流れ、この中央部から両端部へのガス流れによってせん断力が生じ、このせん断力によって薄目付時よりも多くの溶融金属が鋼帯の両端部方向に押し寄せられ、結果として鋼帯の両端部におけるオーバーコートやスプラッシュの発生を完全に防止できない場合が生じ得るということである。
このことを図12を参照して説明する。図12aで示すように、不図示のメッキポットから搬送された鋼帯Kはその両面に溶融亜鉛や溶融アルミ等の溶融金属Mが付着しており、上方に搬送される(X1方向)過程で鋼帯Kの両サイドに配設されたガスワイピング装置GWからガスが吹き付けられ(X4方向)、溶融金属の付着量が所望に調整された鋼帯Kが搬送されていく。
この際、図12aのb矢視図である図12bと図12bのc−c矢視図である図12cで示すように、鋼帯Kに付着した溶融金属Mは、鋼帯Kの中央部から両端部に押し寄せられ(Q方向)、このことによって鋼帯Kの両端部にオーバーコートが生じ得るというものである。
特開2012−251237号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、鋼帯の表面にガスを吹き付けて該表面に付着したメッキ用の溶融金属の付着量を調整するガスワイピングノズルを備えたガスワイピング装置に関し、鋼帯の幅方向端部におけるオーバーコートの抑止効果に優れたガスワイピング装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるガスワイピング装置は、鋼帯の表面にガスを吹き付けて、該表面のメッキ用の溶融金属の付着量を調整する中空のガスワイピングノズルを備えたガスワイピング装置であって、前記ガスワイピングノズルは、ガスを前記中空に導入するガス導入口を備えた隔壁と、鋼帯の幅方向に延設して前記中空からガスを吹出すスリットと、を備えており、前記スリットには、鋼帯の幅に応じて左右の領域を閉塞するとともに該スリットに沿ってスライド自在な左右の閉塞部材が配設され、かつ、離間した該左右の閉塞部材の間にガス吹出口が形成されており、前記中空において、前記左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部から前記隔壁へ延設する左右の外側整流片が配設され、該左右の外側整流片の内側に左右の内側整流片が配設され、左右の内側整流片の内側に中央ガス流路が形成され、左右の外側整流片と内側整流片の間にそれぞれ左右の端部ガス流路が形成されており、中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速を相対的に速い状態に制御しながらガスワイピングを実行するものである。
本発明のガスワイピング装置は、ガス流路を中央ガス流路と左右の端部ガス流路の3つの流路に分割し、中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速を相対的に速い状態に制御しながらガスワイピングを実行する。このような制御により、鋼帯の中央部に付着している溶融金属に比して鋼帯の左右端に付着している溶融金属を多目に吹き飛ばし、溶融金属の付着量(付着厚)を相対的に低減することができる。この状態で鋼帯の中央部から両端部方向に押し寄せられてきた溶融金属が左右端に堆積すると、結果として鋼帯の全領域で溶融金属の付着厚を均等に調整することが可能となり、鋼帯の幅方向端部におけるオーバーコートを効果的に抑止することができるものである。
3つの流路は、中央ガス流路を形成する左右の内側整流片と、内側整流片とともに左右の端部ガス流路を形成する左右の外側整流片から構成され、鋼帯の幅に応じてスライド自在な左右の閉塞部材は左右の外側整流片と連続一体に構成されている。
ガス導入口から導入されたガスは、中央ガス流路と左右の端部ガス流路を流れ、これら3つのガス流路の幅の和と同じ幅を有するガス吹出口を介して鋼帯に吹き出される。この際、各流路はともに整流片で形成されていることから、ガス導入口から導入されたガスのうち、特に中央ガス流路と左右の端部ガス流路を構成する整流片に沿うガスの流れは極めてスムーズであるとともに、左右の外側整流片と連続一体となっている閉塞部材のガス吹出口側端部を介してガスのスムーズな吐出が図られる。
なお、本明細書において「左右」とは、メッキポットから上方に搬送される鋼帯の幅方向を左右方向と規定し、この鋼帯の幅方向を基準として、鋼帯の左右、スリットの左右の領域、ガス導入口の左右端などと称呼するものである。
そして、ガスワイピングノズルの中空内における左右の外側整流片および内側整流片によって画成される中央ガス流路と端部ガス流路の幅の和とガス吹出口の幅が常に同じに保たれるものであり(厳密には、ガス吹出口の幅から左右の内側整流片の厚みを差し引いた幅が中央ガス流路と左右の端部ガス流路の幅の和となる)、左右の閉塞部材のスライドによってガス吹出口の幅が変化した際には、これに追随して左右の外側整流片や内側整流片も同様にスライドし、中央ガス流路の幅や端部ガス流路の幅も変化し得る。ただし、中央ガス流路の幅と左右の端部ガス流路の幅の制御に関しては、中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速が相対的に速い状態となるように制御される。
ここで、「中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速を相対的に速い状態に制御する」形態としては、以下で示す種々の形態を挙げることができる。
その一つは、ガス導入口が左右の内側整流片で仕切られて、左右の端部ガス流路に対応するガス導入口の左右端領域(それぞれの幅をW1,W2)と、ガス導入口の中央領域(幅がW3)を形成し、左右の端部ガス流路の幅をそれぞれt1,t2とし、中央ガス流路の幅をt3とした際に、W1/t1>W3/t3、W2/t2>W3/t3の両関係式を満たす制御形態である。
この制御形態は、提供されるガスの元圧が同じ場合に、左右の端部ガス流路の幅とこれに対応するガス導入口の左右端領域の幅の比、および、中央ガス流路の幅とこれに対応するガス導入口の中央領域の幅の比を調整することで、中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速を相対的に速い状態に制御することを可能としたものである。
また、他の一つは、前記隔壁には複数のガス導入口が設けてあり、隔壁の中央領域から左右の端部領域にいくにつれてガス導入口の寸法が大きくなっている形態である。
これは、隔壁の中央領域と左右の端部領域においてそれぞれ存在しているガス導入口の寸法を調整することのみによって、中央ガス流路と端部ガス流路の流速を変化させるものである。
なお、上記2つの制御形態を組み合わせた形態であってもよいことは勿論のことである。
また、鋼帯の左右端から左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間の長さsが、0≦s≦10mmの範囲であるのが好ましい。
本発明者等の検証結果に基づくものであり、鋼帯の左右端から左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間sが0≦s≦10mmの範囲となっている場合に、スプラッシュの発生が無い、もしくは極めて少なく、ノズル詰まりが生じないことが実証されている。
また、左右の端部ガス流路にリリーフバルブが流体連通しており、左右の端部ガス流路からのガス吹き出し量をリリーフバルブの開閉によって制御する形態であってもよい。
本実施の形態によれば、端部ガス流路の流速が速すぎてメッキ液の目付量が少なくなり過ぎるのを解消するべく、端部ガス流路における流速が速すぎる場合はリリーフバルブにてガスを逃がすものである。
また、隔壁にあるガス導入口にはガス導入配管が導入ガス調整バルブを介して接続されており、中央ガス流路に圧力センサが備えてあり、該圧力センサによる中央ガス流路内のセンシングデータに基づいて導入ガス調整バルブの開度の調整をおこなう形態であってもよい。
提供されるガスの元圧が同じ状態で、板幅が大きなものから小さなものに変化した場合、変化した板幅に応じて中央ガス流路、端部ガス流路の幅を変化させると、鋼帯に提供されるガスの流量が変化し、板幅の変化前後でメッキ液の目付量が変化してしまう。そこで鋼帯の幅の変化に応じてガス流路の幅を変化させた際に、中央ガス流路の圧力を測定し、幅変化前の圧力となるように導入ガス調整バルブの開度を調整することにより、板幅の変化前後でのメッキ液の目付量の変化を抑制することが可能になる。
さらに、本発明によるガスワイピング装置の好ましい実施の形態は、前記ガスワイピングノズルの前記中空において、その上面には下面まで届かない垂れ片が固定され、この垂れ片から離れた位置の下面には上面まで届かない立上り片が固定されており、ガス導入口から中央ガス流路および端部ガス流路に導入されたガスは、垂れ片と立上り片を流通する過程で整流されるようになっているものである。
ガス流路内において、間隔をおいて垂れ片と立上り片が設けられていることで、これら垂れ片と立上り片をガスがうねるようにして流通する過程でガスが整流され、ガスの圧力や流速がガス流路の幅方向で可及的に均一化される。
また、本発明によるガスワイピング装置の他の実施の形態は、左側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である左スライド機構によってスライド自在となり、右側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である右スライド機構によってスライド自在となり、左スライド機構と右スライド機構が共通のベース上に搭載され、該ベースはベーススライド機構に繋がれてスライド自在となっており、前記ガス吹出口の近傍には鋼帯の位置を検出する位置センサが設けてあり、前記左スライド機構と右スライド機構によって左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片がスライドしてガス吹出口の幅が調整され、前記位置センサにて検出された鋼帯の位置データに基づいてベーススライド機構がベースをスライドさせ、ベースのスライドによる右スライド機構と左スライド機構のスライドによって左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片がスライドするようになっている形態を挙げることができる。
本実施の形態では、左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片のスライド制御が、それぞれに固有のスライド機構である左スライド機構と右スライド機構によっておこなわれるようになっている。ここで、「スライド機構」とは、閉塞部材や外側・内側整流片をスライドさせるシリンダ装置や、スライド基板上をスライドする電動スライダ装置などからなる。シリンダ装置を用いる場合には、装置を構成して摺動するピストンの先端に閉塞部材や外側・内側整流片を取り付けておき、ピストンの摺動に応じて閉塞部材や外側・内側整流片を左右にスライド自在に構成することができる。また、電動スライダ装置を用いる場合には、電動スライダと閉塞部材や外側・内側整流片をワイヤ等で繋いでおき、電動スライダがスライド基板上を左右にスライドするのに応じて閉塞部材や外側・内側整流片を左右にスライド自在に構成することができる。
たとえばプロセスコンピュータに入力された鋼帯の幅に関するデータが左右のスライド機構に送信され、この送信データに基づいて左右のスライド機構がスライドしてガス吹出口の幅が所望の幅に調整されるようになっている。
ところで、還元焼鈍炉から搬送されてきた鋼帯は、メッキポット中の溶融金属内に浸漬され、メッキポット内にあるシンクロールを介して鉛直上方に搬送された後、この鉛直上方の鋼帯の搬送路の両側に配設された上記ガスワイピング装置から吹出されたガスによって、鋼帯の両側面に付着した溶融金属の一部が払拭されて所望の付着量に調整されるようになっている。鋼帯の幅に関するデータに基づいてガス吹出口の幅が所望の幅に調整されているものの、鋼帯はこの搬送過程で蛇行し、その中心ラインと既に幅が調整済みのガス吹出口の中心ラインがずれることが往々にしてある。
そこで、本実施の形態では、左スライド機構と右スライド機構を共通のベース上に搭載しておき、このベースをベーススライド機構に繋いでスライド自在としておく。さらにガス吹出口の近傍に鋼帯の位置を検出する位置センサを設けておき、この位置センサからの鋼帯の位置データ(鋼帯の中心ライン位置データ、もしくは鋼帯の左右端の位置データ)に基づいてベーススライド機構がベースを所望にスライドさせることにより、ガス吹出口の幅を規定する左右のスライド機構の相対位置を変化させないようにしてそれらを鋼帯の位置に対応するようにスライドさせるものである。
なお、このベーススライド機構も左右のスライド機構と同様に、シリンダ装置や電動スライダ装置などから形成することができる。また、「ガス吹出口の近傍には鋼帯の位置を検出する位置センサが設けてあり」に関し、位置センサはガス吹出口の近傍のうちでも可及的にガス吹出口に近い場所に設けてあるのが鋼帯に対するガスの吹出しをより精緻に実行できる観点から望ましいものの、ここでの「近傍」には、たとえばポット内にある浴面からガスワイピング装置の配設位置の上方までの間の比較的広い範囲を包含するものである。
また、本発明によるガスワイピング装置のさらに他の実施の形態は、左側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である左スライド機構によってスライド自在となり、右側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である右スライド機構によってスライド自在となり、前記ガス吹出口の近傍には鋼帯の位置を検出する位置センサが設けてあり、前記左スライド機構と右スライド機構によって左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片がスライドしてガス吹出口の幅が調整され、前記位置センサにて検出された鋼帯の位置データに基づいて、左スライド機構と右スライド機構が左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片をスライドさせるようになっているものである。
本実施の形態において、左スライド機構と右スライド機構によってガス吹出口の幅が調整されるのは既述の実施の形態と同じであるが、これら左右のスライド機構は共通のベース上に搭載されておらず、位置センサから受信した鋼帯の位置情報データに基づいて左右のスライド機構が同期して同じ方向に同じ量だけスライドし、もって左右の閉塞部材や外側・内側整流片を既に調整されているガス吹出口の幅を維持したまま鋼帯の位置に対応するようにスライド制御するものである。
以上の説明から理解できるように、本発明のガスワイピング装置によれば、ガス流路を中央ガス流路と左右の端部ガス流路の3つの流路に分割し、中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速を相対的に速い状態に制御しながらガスワイピングを実行することにより、鋼帯の全領域で溶融金属の付着厚を均等に調整することが可能となり、鋼帯の幅方向端部におけるオーバーコートを効果的に抑止することができる。
溶融金属メッキ装置の構成を示す模式図である。 ガスワイピング装置の一実施の形態の斜視図である。 図2のIII−III矢視図である。 鋼帯に吐出されるガスの流速分布を示した模式図である。 図3のV−V矢視図である。 ガス導入口の寸法が変化する隔壁の実施の形態を示した模式図である。 ガスワイピング装置の他の実施の形態の横断面図であって図3に対応した図である。 図7のVIII−VIII矢視図である。 左右の閉塞部材、左右の外側整流片、左右の内側整流片のスライド機構の一実施の形態の模式図である。 左右の閉塞部材、左右の外側整流片、左右の内側整流片のスライド機構の他の実施の形態の模式図である。 中央ガス流路の幅と圧力比の関係に関する実験結果を示した図である。 従来のガスワイピング装置を使用して鋼帯の表面にガスを吹き付けた際の溶融金属の流れを説明した図であって、(a)は2つのガスワイピング装置の間を鋼帯が通過している状況を説明した図であり、(b)は(a)のb矢視図であり、(c)は(b)のc−c矢視図である。
以下、図面を参照して本発明のガスワイピング装置の実施の形態を説明する。なお、図示例では二種類のガスワイピング装置10,10Aを示しているが、双方の構成を全て備えたガスワイピング装置を適用してもよいことは勿論のことである。
(メッキ装置)
図1に溶融金属メッキ装置を模式図で示している。同図で示すメッキ装置は、溶融亜鉛や溶融アルミ等の溶融金属Mからなるメッキ浴が収容され、その内側に不図示の耐火煉瓦等がライニングされてなるメッキポットY内にシンクロールRが回転自在に配設され、不図示のスナウト等を介して還元焼鈍炉から送られてきた鋼帯Kが溶融金属M内に浸漬され、シンクロールRを介して鉛直上方に搬送されるようになっている(X1方向)。
鉛直上方に搬送された鋼帯Kは、その両側面に溶融金属が付着されているが、メッキポットYの上方には、鉛直上方に搬送される鋼帯Kの搬送路の両側にガスワイピング装置10,10が配設されており、これらのガスワイピング装置10,10から吹出されたガス(空気、窒素、不活性ガスなど)により、鋼帯Kの両側面に付着した溶融金属の一部が払拭されて所望の付着量に調整されるようになっている。
(ガスワイピング装置の実施の形態1)
図2は、図1のメッキ装置を構成するガスワイピング装置の一実施の形態を斜視図で示すものであり、図3は、図2のIII−III矢視図、図5は、図3のV−V矢視図である。また、図4は鋼帯に吐出されるガスの流速分布を示した模式図である。
図2〜図5で示すガスワイピング装置10は、中空のガスワイピングノズル1と、この後方に設けられてガスが該ガスワイピングノズル1の中空内に提供されるガス導入配管1aにガスを供給する不図示のガス供給装置(ガス供給源)とから大略構成されている。なお、ガス導入配管1aの途中位置には、導入ガス量を調整可能な導入ガス調整バルブ1a’が介在している。
ガスワイピングノズル1の内部後方にはガス導入配管1aが連通しており、その前方には、図3で示すように複数のガス導入口1cを備えた隔壁1bが設けてある。不図示のガス供給装置から提供されたガスは、ガス導入配管1aを介して(X2方向)ガスワイピングノズル1内に導入され、ガス導入口1cを介して中空内に導入される(X3方向、X4方向)。
ガスワイピングノズル1はさらに、鋼帯Kの幅方向に延設してその中空からガスを吹出すスリット1dを有し、スリット1d内において、その左右の領域を閉塞するとともに該スリット1dに沿ってスライド自在な(Y1方向)左右の閉塞部材2a,2bが配設されており、左右の閉塞部材2a,2bの間にガス吹出口2cが形成されている。
また、中空内において、左右の閉塞部材2a,2bのそれぞれのガス吹出口側端部から隔壁1bへ延設する左右の外側整流片3a,3bが連続一体に配設されており、左右の外側整流片3a,3bの内側には間隔を置いて左右の内側整流片4a,4bが配設されている。
左右の閉塞部材2a,2bおよび左右の外側整流片3a,3bと左右の内側整流片4a,4bはいずれも、中空内にあるガイド1eに沿って、後述するスライド機構の作動に応じて左右にスライド自在となっている(閉塞部材2a,2bおよび外側整流片3a,3bのスライドはY1方向、内側整流片4a,4bのスライドはY2方向)。
そして、左右の内側整流片4a、4bの内側には中央ガス流路5aが形成され、左右の外側整流片3a,3bと内側整流片4a,4bの間にそれぞれ左右の端部ガス流路5b,5cが形成される。したがって、中央ガス流路5aと左右の端部ガス流路5b,5cのそれぞれがガス吐出口2c(したがって、図示例では3つのガス吐出口2c)を具備することになる。
また、ガスワイピングノズル1の左右壁面には、左右の端部ガス流路5b,5cに流体連通するリリーフバルブ付き配管1fが設けてある。
隔壁1bに設けられたガス導入口1cを介して端部ガス流路5b、5cにはガスがX3方向で流入し、中央ガス流路5aにはガスがX4方向で流入するとともに、端部ガス流路5b、5cの各ガス吐出口2cからはガスがX5方向で鋼帯Kに吐出され、中央ガス流路5aのガス吐出口2cからはガスがX6方向で鋼帯Kに吐出される。
ここで、図示するガスワイピング装置10では、中央ガス流路5aを流れるガス流速に比して端部ガス流路5b、5cを流れるガス流速を相対的に速い状態に制御しながらガスワイピングを実行するものである。すなわち、図4で示すような流速分布で鋼帯Kの表面にガスを吐出するように制御する。このような制御を実行するために、ガスワイピング装置10では種々の方策が講じられている。その一つは、図3で示すように、左右の端部ガス流路5b、5cに対応するガス導入口1cの左右端領域(左側領域Aの幅はW1、右側領域Aの幅はW2)と、ガス導入口1cの中央領域(中央領域Aの幅はW3)に対し、左右の端部ガス流路5b、5cの幅をそれぞれt1,t2とし、中央ガス流路5aの幅をt3とした際に、W1/t1>W3/t3、W2/t2>W3/t3の両関係式を満たすように各整流片の位置を設定することである。
このように各整流片を設定することで、ガスワイピング装置10に導入されるガスの元圧が一定の場合に、中央ガス流路5aに比して端部ガス流路5b、5cに導入されるガス量を相対的に多くすることができ、端部ガス流路5b、5cから吐出されるガス流速を相対的に速くすることができる。そして、このことにより、鋼帯Kの中央部に付着している溶融金属Mに比して鋼帯Kの左右端に付着している溶融金属Mを多目に吹き飛ばし、鋼帯Kの左右端に付着している溶融金属Mの付着量(付着厚)を相対的に低減することができる。この状態で鋼帯Kの中央部から両端部方向に押し寄せられてきた溶融金属Mは左右端に堆積すると、結果として鋼帯Kの全領域で溶融金属Mの付着厚を均等に調整することが可能となり、鋼帯Kの幅方向端部におけるオーバーコートを効果的に抑止することができる。
また、左右の内側整流片4a、4bの厚みt4は、0.2mm以上で1mm以下の範囲に設定されているのが好ましく、左右の内側整流片4a、4bの先端と閉塞部材2aの端面の離間t5は3mm以上で9mm以下の範囲に設定されているのが好ましい。左右の内側整流片4a、4bの先端が閉塞部材2aの端面まで延びていると、内側整流片4a、4bの先端面で部分的にガスの流速が落ちてしまうことから、この離間範囲で内側整流片4a、4bの先端面を内側に位置させておくのがよい。
なお、鋼帯Kの左右端から左右の閉塞部材2a,2bのそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間の長さsが0≦s≦10mmの範囲となるように、搬送途中で変化し得る鋼帯Kの幅に応じて閉塞部材2a,2bの位置を移動制御するのが好ましい。
鋼帯Kの左右端から左右の閉塞部材2a,2bのそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間sが0≦s≦10mmの範囲となっている場合に、スプラッシュの発生が無い、もしくは極めて少なく、ノズル詰まりが生じないという本発明者等による検証結果によるものである。ここで、sが0未満になると、鋼帯両端部にガスが衝突しない負域が存在するため、溶融金属が払拭されずにスプラッシュやエッジにおけるオーバーコートが生じ易くなる。
また、端部ガス流路5b、5cの流速が速すぎてメッキ液の目付量が少なくなり過ぎることが危惧される場合には、左右の端部ガス流路5b、5cに流体連通しているリリーフバルブ付き管路1fのリリーフバルブを開き、一定量のガスを逃がすようにすることもできる。
さらに、中央ガス流路5aを流れるガス流速に比して端部ガス流路5b、5cを流れるガス流速を相対的に速い状態に制御する他の実施の形態として、図6で示すように、隔壁1bの中央領域から左右の端部領域にいくにつれてガス導入口1c’の寸法が大きくなっている装置を適用する方策もある。
このような隔壁1bを具備するガスワイピング装置10を適用することによっても、ガスワイピング装置10に導入されるガスの元圧が一定の場合に、中央ガス流路5aに比して端部ガス流路5b、5cに導入されるガス量を相対的に多くすることができ、端部ガス流路5b、5cから吐出されるガス流速を相対的に速くすることができる。
すなわち、上記各種の制御形態はいずれも、ガスの導入量を中央ガス流路5aと端部ガス流路5b、5cの間で精緻に変化させるような手間のかかる制御ではなくて、外側整流片3a,3bや内側整流片4a,4bの位置を調整したり、ガス導入口1c’の寸法を変化させるといった装置構成の調整のみによって領域別のガス流速制御を簡易に実行できるものである。
(ガスワイピング装置の実施の形態2)
図7は、ガスワイピング装置の他の実施の形態の横断面図であって図3に対応した図であり、図8は図7のVIII−VIII矢視図である。
図示するガスワイピング装置10Aは、ガスワイピングノズル1の中空内において、中空の上面には下面まで届かない垂れ片6aが固定され、この垂れ片6aから離れた位置の中空の下面には上面まで届かない立上り片6bが固定されており、ガス導入口1cから導入されたガスがこれら垂れ片6aと立上り片6bを流通する過程(ガス流れX4’)で整流されるようになっている。
外側整流片3a,3bは、立上り片6bや垂れ片6aよりも前方位置にあり、内側整流片4a,4bは立上り片6bや垂れ片6aおよび隔壁1bに接しており、ガス吹出口2cの幅の変動に応じてこれらの手前でスライドする。なお、図8では、ガスの下流側に垂れ片6aが位置し、上流側に立上り片6bが位置しているが、これらの配置位置が逆の構成であってもよいことは勿論のことである。
この整流により、複数のガス導入口1cから導入されたガスの圧力が中空の幅方向で可及的に均一化された後、圧力の等しいガスが中央ガス流路5aや端部ガス流路5b、5cに導入され、それらの幅に応じて流速が変化されて鋼帯Kに提供されることになる。
また、図8で示すように、中央ガス流路5aの中空天端面には圧力センサ7が備えてあり、圧力センサ7による中央ガス流路5a内のセンシングデータに基づいて導入ガス調整バルブ1a’の開度の調整が実行されるようになっている。
目標とするメッキ付着量が同じ状態で鋼帯Kの板幅が大きなものから小さなものに変化した場合に、吹き出すガスの元圧が同じ状態で、変化した板幅に応じて中央ガス流路5a、端部ガス流路5b,5cの幅を狭くすると、鋼帯Kに吹き出すガスの流速が増加し、板幅の変化前後でメッキ付着量が変化してしまう。そこで鋼帯Kの幅の変化に応じて中央ガス流路5aと端部ガス流路5b,5cの幅をそれぞれ変化させた際に、中央ガス流路5aの圧力を測定し、幅変化前の圧力となるように導入ガス調整バルブ1a’の開度を調整することにより、板幅の変化前後でのメッキ付着量の変化を抑制することが可能になる。
(左右の閉塞部材のスライド機構の実施の形態1)
次に、図9を参照し、ガスワイピング装置10を取り上げて左右の閉塞部材のスライド機構の実施の形態1を説明する。
図示するスライド機構において、左側の閉塞部材2aおよび外側整流片3aと内側整流片4a,右側の閉塞部材2bおよび外側整流片3bと内側整流片4bはそれぞれ、固有の左スライド機構8Cと右スライド機構8Dによって左右にスライド自在となっており(それぞれZ1’方向、Z2’方向)、さらに、左スライド機構8Cと右スライド機構8Dが共通のベース8B上に搭載され、この共通のベース8Bはベーススライド機構8Aに繋がれてスライド自在となっている。
左側の閉塞部材2aおよび外側整流片3aと内側整流片4aと、左スライド機構8Cと、から構成される電動スライダは、2本のワイヤW1,W1によってプーリー8aを介して略環状に繋がれており、このことによって、左スライド機構8Cが左右にスライドした際に(Z1方向)、左側の閉塞部材2aおよび外側整流片3aと内側整流片4aも同期して左右にスライド自在となっている(Z1’方向)。同様に、右側の閉塞部材2bおよび外側整流片3bと内側整流片4bと、右スライド機構8Dと、から構成される電動スライダも、2本のワイヤW2,W2によってプーリー8bを介して略環状に繋がれており、右スライド機構8Dが左右にスライドした際に(Z2方向)、右側の閉塞部材2bおよび外側整流片3bと内側整流片4bも同期して左右にスライド自在となっている(Z2’方向)。
なお、この制御形態においては、左右の端部ガス流路5b、5cの流路幅は経験則やテスト操業等に基づいて予め所定の同じ幅に設定しておき、スライド機構の動作によって中央ガス流路5aの幅を可変とすることで鋼帯Kの幅の変化に追随させる。
さらに、左スライド機構8Cと右スライド機構8Dを搭載する共通のベース8Bは、ベーススライド機構8Aを構成する電動シリンダにてスライド自在となっており、鋼帯Kの幅に応じてガス吹出口2cの全体幅を規定するように位置決めされた左右の閉塞部材2a、2bのスライドを可能とする左右スライド機構8C,8Dの位置を固定した状態で、ベーススライド機構8Aにてベース8Bがスライドすることにより、搬送途中で蛇行する鋼帯KのセンターラインCL2と中央ガス流路5aのセンターラインCL1を一致させるような制御が実行される。
具体的には、プロセスコンピュータPCから搬送される鋼帯Kの幅に関するデータが左右のスライド機構8C,8Dに送信され、この送信信号に基づいて左右のスライド機構8C,8Dがスライドして左右の閉塞部材2a、2bをスライドさせてガス吹出口2cの全体幅を所望に制御する。
一方、搬送路を通る鋼帯Kの左右端近傍を、ガス吹出口2cの近傍に配された2組の位置センサ9Aがセンシングしており、このセンシングデータがベーススライド機構8Aに送信されるようになっている。左右の位置センサ9Aからのセンシングデータによってガス吹出口2cの近傍位置にある鋼帯KのセンターラインCL2が割り出され、ガス吹出口2cのセンターラインCL1と一致していない場合にはその差分量だけベーススライド機構8Aとベース8Bがスライドし(Z3方向)、このベース8Bのスライドによってそこに搭載されている左右のスライド機構8C,8Dが同期スライドするのに応じて左右の閉塞部材2a、2bがスライドし、ガス吹出口2cと鋼帯K双方のセンターラインCL1,CL2が一致するように制御される。
(左右の閉塞部材のスライド機構の実施の形態2)
次に、図10を参照し、ガスワイピング装置10を取り上げて左右の閉塞部材のスライド機構の実施の形態2を説明する。
図示するスライド機構と図9で示すスライド機構の相違点は、図示するスライド機構においては左右のスライド機構8C,8Dが共通ベース上に搭載されていない点、図示する左右のスライド機構8C,8Dはガス吹出口2cの全体の幅を所望幅に形成した後、鋼帯Kの蛇行に応じて双方が同期して同じ量だけスライドすることによって鋼帯Kの蛇行に追随する点である。さらに、鋼帯Kの右端edのみを1つの位置センサ9Bでセンシングするものであるが、この位置センサ9Bは位置センサスライド機構9Cによってスライド自在となっている点である。
鋼帯Kの蛇行に追随するように位置センサスライド機構9Cにて位置センサ9Bがスライドしながら鋼帯Kの右端edをセンシングし、このセンシングデータが左右のスライド機構8C,8Dに送信され、双方が同じ方向に同じ量だけスライドすることにより、左右の閉塞部材2a、2bが同じ方向に同じ量だけスライドし、3つのガス吹出口2cに対して鋼帯Kの右端edが所望位置に位置決めされるように制御される。
(オーバーコート、スプラッシュの有無を検証した実験とその結果)
本発明者等は、図2等で示すように中央ガス流路、左右の端部ガス流路の3つのガス流路を備えたガスワイピング装置(実施例であり、中央室に比して左右室のガス流速が高い)と、1つのガス流路を備えたガスワイピング装置(比較例)を製作し、以下の表1で示すように、目付量やガスの元圧、通板速度、鋼帯−ガス吐出口間距離を変化させた際の鋼帯エッジにおけるオーバーコートの有無やスプラッシュの発生の有無を検証する実験をおこなった。なお、鋼帯の左右端から左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間sは5mmとした。以下の表1に実験結果を示す。
Figure 2016017184
表1において、「○」はスプラッシュが発生しない、「△」はスプラッシュが少し発生し、ガス吐出口の一部に付着するものの、定期的に清掃をおこなうことで操業継続が可能、「×」はスプラッシュが頻繁に発生し、ガス吐出口の全体に付着し、連続操業中にガス吐出口を閉塞して操業不可、「△*」は鋼帯エッジにおいてオーバーコートが発生し、メッキ塗装後の鋼帯をコイル状に巻装した際にコイル形状が崩れる、をそれぞれ示している。
表1より、No.1〜3のような薄いメッキ付着量の場合は、ガスの元圧が高く、ワイピング流速が全体的に速いことから、鋼帯のエッジに亜鉛が寄って留まることがなく、したがって比較例、実施例ともに問題ない。
一方、No.4〜7では、比較例においてスプラッシュの発生が認められ、中でもNo.7においては、ワイピング流速が低下し、ワイピングする前に亜鉛が鋼帯のエッジに寄ってくることから、比較例では鋼帯エッジにおけるオーバーコートが認められる。
No.1〜7のいずれにおいても、実施例はスプラッシュ、オーバーコートともに認められず、3室のガス流路のうち、中央室に比して左右室から相対的に流速の速いガスを吐出させる制御によって奏される効果が確認できた。
(鋼帯の左右端から左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間の最適範囲を検証した実験とその結果)
本発明者等はさらに、鋼帯の左右端からガス吹出口端部までの隙間sを種々変化させて、スプラッシュの発生の大小と、オーバーコートの有無に関する実験をおこない、隙間sの最適範囲を特定する検証をおこなった。以下の表2に各種条件と実験結果を示す。なお、No.4〜7は表1と同じ条件であり、評価結果の「○」、「△*」も既述の通りである。
Figure 2016017184
表2より、オーバーコート、スプラッシュともに生じない隙間Sの最適範囲として、0≦s≦10mmの範囲を規定することとした。
(中央ガス流路の幅と圧力の関係を検証した実験とその結果)
本発明者等はさらに、中央ガス流路の幅と圧力の関係を検証する実験をおこなった。具体的には、元圧を一定とした条件下で、中央ガス流路の幅を600mm、800mm、1000mm、1200mmに変化させた際の各中央ガス流路における圧力を測定したものである。実験結果を図11に示す。
同図において、幅1200mmの際の圧力を100とし、他のケースの圧力値はこれとの比率で示した。
図11より、中央ガス流路の幅が狭くなるにつれてガス吐出口の断面積も減少することから、中央ガス流路内の圧力は上昇し、流速の増加に繋がることが分かる。ここで、メッキ付着量を一定のままで、鋼帯の幅のみを変更する操業をおこなう場合、ガスの元圧の変化がなければメッキ付着量も変化してしまう。そこで、図示するガスワイピング装置10Aのように中央ガス流路内に圧力センサを設置して内圧を常時管理し、鋼帯の幅の変化に応じて導入ガス調整バルブを制御することで、中央ガス流路内の圧力を常時一定に保ち、メッキ付着量の変化を抑制することが可能になる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…ガスワイピングノズル、1a…ガス導入配管、1a’…導入ガス調整バルブ、1b…隔壁、1c、1c’…ガス導入口、1d…スリット、1e…ガイド、1f…リリーフバルブ付き配管、2a…閉塞部材(左側の閉塞部材)、2b…閉塞部材(右側の閉塞部材)、2c…ガス吹出口、3a…外側整流片(左側の外側整流片)、3b…外側整流片(右側の外側整流片)、4a…内側整流片(左側の内側整流片)、4b…内側整流片(右側の内側整流片)、5a…中央ガス流路、5b…端部ガス流路(左側の端部ガス流路)、5c…端部ガス流路(右側の端部ガス流路)、6a…垂れ片、6b…立上り片、7…圧力センサ、8A…ベーススライド機構、8B…ベース(共通のベース)、8C…左スライド機構、8D…右スライド機構、9A,9B…位置センサ、9C…位置センサスライド機構、10,10A…ガスワイピング装置、M…溶融金属(メッキ浴)、K…鋼帯、Y…メッキポット、R…シンクロール、W1、W2…ワイヤ、PC…プロセスコンピュータ、CL1…中央ガス流路のセンターライン、CL2…鋼帯のセンターライン、ed…鋼帯の右端エッジ

Claims (9)

  1. 鋼帯の表面にガスを吹き付けて、該表面のメッキ用の溶融金属の付着量を調整する中空のガスワイピングノズルを備えたガスワイピング装置であって、
    前記ガスワイピングノズルは、ガスを前記中空に導入するガス導入口を備えた隔壁と、鋼帯の幅方向に延設して前記中空からガスを吹出すスリットと、を備えており、
    前記スリットには、鋼帯の幅に応じて左右の領域を閉塞するとともに該スリットに沿ってスライド自在な左右の閉塞部材が配設され、かつ、離間した該左右の閉塞部材の間にガス吹出口が形成されており、
    前記中空において、前記左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部から前記隔壁へ延設する左右の外側整流片が配設され、該左右の外側整流片の内側に左右の内側整流片が配設され、
    左右の内側整流片の内側に中央ガス流路が形成され、左右の外側整流片と内側整流片の間にそれぞれ左右の端部ガス流路が形成されており、
    中央ガス流路を流れるガス流速に比して端部ガス流路を流れるガス流速を相対的に速い状態に制御しながらガスワイピングを実行するガスワイピング装置。
  2. ガス導入口が左右の内側整流片で仕切られて、左右の端部ガス流路に対応するガス導入口の左右端領域(それぞれの幅をW1,W2)と、ガス導入口の中央領域(幅がW3)を形成し、
    左右の端部ガス流路の幅をそれぞれt1,t2とし、中央ガス流路の幅をt3とした際に、
    W1/t1>W3/t3、W2/t2>W3/t3の両関係式を満たす請求項1に記載のガスワイピング装置。
  3. 前記隔壁には複数のガス導入口が設けてあり、
    隔壁の中央領域から左右の端部領域にいくにつれてガス導入口の寸法が大きくなっている請求項1または2に記載のガスワイピング装置。
  4. 鋼帯の左右端から左右の閉塞部材のそれぞれのガス吹出口側端部までの隙間の長さsが、0≦s≦10mmの範囲に調整される請求項1〜3のいずれかに記載のガスワイピング装置。
  5. 左右の端部ガス流路にリリーフバルブが流体連通しており、左右の端部ガス流路からのガス吹き出し量をリリーフバルブの開閉によって制御する請求項1〜4のいずれかに記載のガスワイピング装置。
  6. 隔壁にあるガス導入口にはガス導入配管が導入ガス調整バルブを介して接続されており、
    中央ガス流路に圧力センサが備えてあり、該圧力センサによる中央ガス流路内のセンシングデータに基づいて導入ガス調整バルブの開度の調整をおこなう前記請求項1〜5のいずれかに記載のガスワイピング装置。
  7. 前記ガスワイピングノズルの前記中空において、その上面には下面まで届かない垂れ片が固定され、この垂れ片から離れた位置の下面には上面まで届かない立上り片が固定されており、
    ガス導入口から中央ガス流路および端部ガス流路に導入されたガスは、垂れ片と立上り片を流通する過程で整流されるようになっている請求項1〜6のいずれかに記載のガスワイピング装置。
  8. 左側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である左スライド機構によってスライド自在となり、右側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である右スライド機構によってスライド自在となり、
    左スライド機構と右スライド機構が共通のベース上に搭載され、該ベースはベーススライド機構に繋がれてスライド自在となっており、
    前記ガス吹出口の近傍には鋼帯の位置を検出する位置センサが設けてあり、
    前記左スライド機構と右スライド機構によって左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片がスライドしてガス吹出口の幅が調整され、
    前記位置センサにて検出された鋼帯の位置データに基づいてベーススライド機構がベースをスライドさせ、ベースのスライドによる右スライド機構と左スライド機構のスライドによって左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片がスライドするようになっている請求項1〜7のいずれかに記載のガスワイピング装置。
  9. 左側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である左スライド機構によってスライド自在となり、右側の閉塞部材および外側整流片と内側整流片が固有のスライド機構である右スライド機構によってスライド自在となり、
    前記ガス吹出口の近傍には鋼帯の位置を検出する位置センサが設けてあり、
    前記左スライド機構と右スライド機構によって左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片がスライドしてガス吹出口の幅が調整され、
    前記位置センサにて検出された鋼帯の位置データに基づいて、左スライド機構と右スライド機構が左右の閉塞部材および外側整流片と内側整流片をスライドさせるようになっている請求項1〜7のいずれかに記載のガスワイピング装置。
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