JP2016016799A - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1つの操作ペダルで車両の加減速を制御すると共に複数種類のブレーキを作動可能な構成において、操作ペダルの減速操作に対応するブレーキの作動を好適に行うことが可能な車両用走行制御装置を提供する。
【解決手段】走行制御装置は、1つの操作ペダルの操作量の減少に伴ってエンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際、前記操作量の減少に対するエンジン制動力の応答遅れを、摩擦ブレーキによる摩擦制動力により補償する。
【選択図】図7

Description

本発明は、1つの操作ペダルの操作量に応じて車両の加速及び減速を制御する車両用走行制御装置に関する。
特許文献1では、単一のペダルの操作ストローク内に減速領域と加速領域とを形成し、該ペダルの操作量に応じて制動力発生装置、駆動力発生装置及び無段階変速機を制御して車両の加減速度を制御する加減速度制御装置10が開示されている(要約)。
加減速度制御装置10では、アクセルペダルの操作量に基づいて、車両に発生させるべき目標加減速度を決定する([0016])。目標加減速度は、出力軸トルクに変換され、走行抵抗トルクと足し合わされた上で、最終的な目標出力軸トルクとされて制駆動分配部26に入力される([0022])。制駆動分配部26は、目標出力軸トルクを駆動出力軸トルクと制動出力軸トルクに分配し、当該目標出力軸トルクを実現する目標駆動出力軸トルクと目標制動出力軸トルクを決定する([0024])。
制駆動分配部26では、例えばエンジンブレーキ領域よりも大きい減速が必要とされる場合にのみ、その必要分だけ目標制動出力軸トルクに分配されてよい(すなわち、エンジンブレーキ領域で発生可能な減速度より大きな減速が要求された場合にのみ、ブレーキマネージャ50により制動力発生装置が動作されるようにしてもよい)とされている。或いは、燃料カット領域のエンジン回転数が保持されるような態様で、目標出力軸トルクが目標制動出力軸トルクに分配されてもよいとされている([0024])。
特開2006−177442号公報
上記のように、特許文献1では、目標減速度を満たすためには、基本的にはエンジンブレーキを用いることが開示されている([0024])。エンジンブレーキは、例えば、エンジンの回転抵抗により実現されるものである。このため、例えば、摩擦ブレーキと比較して、エンジンブレーキにより目標減速度を実現するまでの時間が長くなる傾向にある。換言すると、エンジンブレーキは、アクセルペダル(操作ペダル)の操作に対する応答性が遅い傾向にある。そのため、エンジンブレーキで発生可能な目標減速度であったとしても、実際の減速度が、目標減速度に到達するまでに時間差が生じるおそれがある。
また、エンジンブレーキ及び/又は摩擦ブレーキと、それ以外のブレーキ(例えば、回生ブレーキ)との関係について、各ブレーキの特性を考慮した制御についても、特許文献1では改善の余地がある。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、1つの操作ペダルで車両の加減速を制御すると共に複数種類のブレーキを作動可能な構成において、操作ペダルの減速操作に対応するブレーキの作動を好適に行うことが可能な車両用走行制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両用走行制御装置は、車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定されるものであって、前記走行制御装置は、前記操作量の減少に伴って前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際、前記操作量の減少に対する前記エンジン制動力の応答遅れを、前記摩擦ブレーキによる摩擦制動力により補償することを特徴とする。
本発明によれば、操作ペダルの操作量の減少に伴ってエンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際、操作量の減少に対するエンジン制動力の応答遅れを、摩擦ブレーキによる摩擦制動力により補償する。これにより、運転者による操作ペダルの減速操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を摩擦ブレーキによる摩擦制動力で補償することが可能となる。このため、運転者の意図した制動力をエンジン制動力と摩擦制動力の合計値として応答性よく生成することが可能となる。
前記操作量が前記加速領域から前記減速領域に入った際又は前記減速領域において前記操作量が減少した際、前記走行制御装置は、前記操作量の時間微分値である操作速度の絶対値が大きいほど、前記エンジン制動力の応答遅れを補償するための前記摩擦制動力の最大値を大きくし、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力の立ち上がりに伴って、前記摩擦ブレーキによる前記摩擦制動力を小さくしてもよい。
これにより、加速領域から減速領域への操作ペダルの減速操作が速い場合又は減速領域における操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を摩擦ブレーキによる摩擦制動力で補償することが可能となる。このため、加速から減速への切替え又は減速度の変更を円滑に行うことが可能となる。
前記走行制御装置は、前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、前記目標減速度を示す目標減速度信号のうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタとを備え、さらに、前記走行制御装置は、前記目標減速度信号のうち前記ハイパスフィルタを通過した高周波成分に応じて前記摩擦ブレーキに前記摩擦制動力を発生させてもよい。
これにより、比較的簡易な構成で、エンジン制動力を補償するための摩擦制動力を設定することが可能となる。
或いは、前記走行制御装置は、前記目標減速度設定手段と、前記操作速度を算出する操作速度算出手段とを備え、さらに、前記走行制御装置は、前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力による前記車両の減速度が前記目標減速度に到達するように前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力を制御し、前記操作速度算出手段が算出した前記操作速度の絶対値が大きくなるほど、前記摩擦制動力を増加させてもよい。
これにより、目標減速度と、摩擦制動力及びエンジン制動力による車両の減速度との誤差を少なくすることが可能となる。
前記走行制御装置は、前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生を検出するスリップ状態検出手段を備え、前記スリップ状態検出手段により前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生が検出された場合、前記摩擦制動力による前記エンジン制動力の応答遅れの補償を抑制してもよい。
これにより、車輪がスリップし易い状態又は実際にスリップが発生した状態では、操作ペダルで減速操作が行われても摩擦制動力を抑制する。従って、摩擦制動力を抑制しつつ、エンジン制動力を作用させることで、より好適に車両を減速させることが可能となる。
前記摩擦ブレーキによる制動の連続時間又は累積時間である制動時間が、フェード現象又はベーパーロック現象の発生の可能性を判定するための時間閾値を超えた場合、前記走行制御装置は、前記摩擦制動力による前記エンジン制動力の応答遅れの補償を抑制してもよい。
これにより、摩擦ブレーキのブレーキパッドがフェードする可能性がある場合、摩擦ブレーキをかけるのを抑制し、エンジンブレーキにて車両を制動する。従って、摩擦ブレーキのフェード現象を回避することで、より好適に車両を減速させることが可能となる。
本発明に係る車両用走行制御装置は、駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定されるものであって、前記走行制御装置は、前記操作量の減少に伴って前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際、前記操作量の減少に対する前記エンジン制動力の応答遅れを、前記回生ブレーキによる回生制動力により補償することを特徴とする。
本発明によれば、操作ペダルの操作量の減少に伴ってエンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際又は減速領域における操作が速い場合、操作量の減少に対するエンジン制動力の応答遅れを、回生ブレーキによる回生制動力により補償する。これにより、運転者による操作ペダルの減速操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を回生ブレーキによる回生制動力で補償することが可能となる。このため、運転者の意図した制動力をエンジン制動力と回生制動力の合計値として応答性よく生成することが可能となる。
前記操作量が前記加速領域から前記減速領域に入った際又は前記減速領域において前記操作量が減少した際、前記走行制御装置は、前記操作量の時間微分値である操作速度の絶対値が大きいほど、前記エンジン制動力の応答遅れを補償するための前記回生制動力の最大値を大きくし、前記エンジンブレーキによるエンジン制動力の立ち上がりに伴って、前記回生ブレーキによる前記回生制動力を小さくしてもよい。
これにより、加速領域から減速領域への操作ペダルの減速操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を回生ブレーキによる回生制動力で補償することが可能となる。このため、加速から減速への切替え又は更なる減速を円滑に行うことが可能となる。
前記車両は、前記電動機の回生により得られた電力を蓄積する蓄電装置を備え、前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超える場合、前記走行制御装置は、前記回生制動力による前記エンジン制動力の応答遅れの補償を抑制してもよい。
これにより、蓄電装置が満充電状態である場合又は蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超える場合、操作ペダルで減速操作が行われても回生制動力を抑制する。従って、回生制動力を抑制しつつ、エンジン制動力を作用させることで、蓄電装置の保護を図りつつ、より好適に車両を減速させることが可能となる。
本発明に係る車両用走行制御装置は、駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定されるものであって、前記車両は、前記電動機の回生により得られた電力を蓄積する蓄電装置を備え、前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超えない場合、前記走行制御装置は、前記回生ブレーキを作動させる一方、前記摩擦ブレーキの作動を抑制し、前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を超える場合、前記走行制御装置は、前記摩擦ブレーキを作動させる一方、前記回生ブレーキの作動を抑制することを特徴とする。
本発明によれば、蓄電装置が満充電状態でない場合又は蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超えない場合、操作ペダルで減速操作が行われると、回生ブレーキを作動させ、摩擦ブレーキを抑制する。これにより、積極的に回生電力を回収しつつ、より好適に車両を減速させることが可能となる。
また、蓄電装置が満充電状態である場合又は蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超える場合、操作ペダルで減速操作が行われると、摩擦ブレーキを作動させ、回生ブレーキを抑制する。これにより、蓄電装置の保護を図りつつ、より好適に車両を減速させることが可能となる。
本発明によれば、1つの操作ペダルで車両の加減速を制御と共に複数種類のブレーキを作動可能な構成において、操作ペダルの減速操作に対応するブレーキの作動を好適に行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置を搭載した車両のブロック図である。 第1実施形態のワンペダルモードで用いる基本的な加減速特性の一例を示す図である。 第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための説明図である。 第1実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるエンジン制動力及び摩擦制動力の設定方法を説明するブロック図である。 第1実施形態において摩擦制動力を制御するフローチャート(図4のS4の一部の詳細)である。 第1実施形態における目標減速度、エンジンブレーキ減速度、摩擦ブレーキ減速度及び合計減速度の関係の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置を搭載した車両のブロック図である。 第2実施形態におけるエンジンブレーキと回生ブレーキの関係を説明するための説明図である。 第2実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるエンジン制動力及び回生制動力の設定方法を説明するブロック図である。 第2実施形態において回生制動力を制御するフローチャート(図10のS23の一部の詳細)である。 第1変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。 第2変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。
A.第1実施形態
[A1.車両10の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置34(以下「ECU34」という。)を搭載した車両10のブロック図である。第1実施形態の車両10は、エンジン車両である。
車両10は、ECU34に加え、エンジン機構12と、ブレーキ機構14と、アクセルペダル16と、ブレーキペダル18と、アクセルペダルセンサ20(以下「APセンサ20」ともいう。)と、ブレーキペダルセンサ22(以下「BPセンサ22」ともいう。)と、車速センサ24と、前後Gセンサ26(以下「Gセンサ26」ともいう。)と、摩擦係数推定部28(以下「μ推定部28」ともいう。)と、スリップ検出部30と、モード切替スイッチ32とを備える。
これらに加え、図示しない反力生成用アクチュエータ(モータ等)を設け、例えば、特開2006−117020号公報(以下「JP 2006−117020 A」という。)と同様に、アクセルペダル16に反力を付与し、後述する減速領域及び加速領域の境界を運転者に通知してもよい(JP 2006−117020 Aの図3〜図7参照)。
エンジン機構12は、エンジン40と、変速機42を含む。エンジン40は、車両10の駆動源であり、ECU34により制御される。本実施形態の変速機42は、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であるが、その他の変速機であってもよい。以下では、変速機42をCVT42ともいう。エンジン40及びCVT42の少なくとも一方によりエンジンブレーキを作動可能である。
ブレーキ機構14は、図示しない油圧装置、ブレーキパッド44等の構成要素を備え、車輪46と接触して摩擦制動力Ffrbを付与する。ブレーキ機構14により摩擦ブレーキを作動可能である。
APセンサ20は、アクセルペダル16の原位置からの踏込み量(以下「操作量θap」又は「AP操作量θap」という。)[deg]を検出し、ECU34に出力する。BPセンサ22は、ブレーキペダル18の原位置からの踏込み量(以下「操作量θbp」又は「BP操作量θbp」という。)[deg]を検出し、ECU34に出力する。車速センサ24は、車両10の車速V[km/h]を検出してECU34に出力する。
前後Gセンサ26は、車両10の前後方向の加速度(以下「前後加速度G」又は「加減速度G」ともいう。)[m/s/s]を検出してECU34に出力する。μ推定部28は、路面摩擦係数μを推定してECU34に出力する。路面摩擦係数μの推定は、例えば、車両10の走行中にブレーキ機構14から車輪46に摩擦制動力Ffrbを瞬間的に加えたときの車両10の移動量に基づいて行う。
スリップ検出部30は、車輪46におけるスリップの発生を検出してECU34に通知する。スリップの検出は、例えば、車両10の走行中にブレーキペダル18の操作又は自動ブレーキに応じてブレーキ機構14から車輪46に摩擦制動力Ffrbを加えたときの車両10の移動量に基づいて行う。或いは、各車輪46の車輪速を比較して他の車輪46よりも車輪速が所定の車輪速閾値以上高い車輪46にスリップが発生していると判定してもよい。
モード切替スイッチ32は、アクセルペダル16による操作モード(以下「AP操作モード」ともいう。)を切り替えるためのスイッチであり、例えば、図示しないステアリング又はその周辺に配置される。AP操作モードには、通常モードと、ワンペダルモードとが含まれる。
ワンペダルモードは、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)に応じて車両10の加速及び減速を制御するモードである。AP操作量θapが取り得る範囲のうち、例えば、20〜40%が減速に用いられる。加速のためのAP操作量θapの領域(以下「加速領域」という。)及び減速のためのAP操作量θapの領域(以下「減速領域」という。)は、車速Vに応じて切り替えることができる。
通常モードは、AP操作量θapに応じて車両10の加速を制御するモードであり、アクセルペダル16の原位置及びその周辺部分を除く略全ての領域が、基本的に車両10の加速に用いられる。但し、通常モードにおいて、エンジンブレーキは機能する。
ECU34は、操作量θap、θbp等の入力情報に基づいてエンジン機構12及びブレーキ機構14を制御するものであり、入出力部50、演算部52及び記憶部54を有する。
演算部52は、目標加減速度設定部60(以下「Gtar設定部60」ともいう。)と、加速制御部62と、減速制御部64とを有する。Gtar設定部60は、操作量θap、θbp等の入力情報に基づいて車両10の加減速度Gの目標値(以下「目標加減速度Gtar」という。)を設定する。
第1実施形態では、目標加減速度Gtarが正の値であるとき、車両10の加速を示し、目標加減速度Gtarが負の値であるとき、車両10の減速を示す。理解の容易化のため、負の値であるときの加減速度G及び目標加減速度Gtarをそれぞれ減速度D及び目標減速度Dtarともいう。
加速制御部62は、Gtar設定部60が設定した目標加減速度Gtarに基づいて車両10の加速を制御する。減速制御部64は、Gtar設定部60が設定した目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)に基づいて車両10の減速を制御する。減速制御部64は、エンジン制御モジュール70と、ブレーキ制御モジュール72とを備える。
エンジン制御モジュール70は、目標減速度Dtarに基づいてエンジン機構12(エンジン40及びCVT42)を制御する。ブレーキ制御モジュール72は、BP操作量θbp又は目標減速度Dtarに基づいてブレーキ機構14を制御する。
記憶部54は、図示しない不揮発性メモリ及び揮発性メモリを有する。不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)であり、演算部52における処理を実行するためのプログラム等が記憶されている。揮発性メモリは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、演算部52が処理を実行する際に用いられる。
[A2.ワンペダルモードにおける目標加減速度Gtarの設定]
(A2−1.ワンペダルモードでの基本的な加減速特性)
図2は、第1実施形態のワンペダルモードで用いる基本的な加減速特性(基準特性Cref)の一例を示す図である。図2において、横軸はAP操作量θapであり、縦軸は目標加減速度Gtarである。基準特性Crefは、車速V毎に変化させる。
上記のように、ワンペダルモードは、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)に応じて車両10の加速及び減速を制御するモードである。図2に示すように、AP操作量θapについて、減速領域及び加速領域が設けられる。減速領域は、相対的に小さいAP操作量θap(0≦θap<θref)に対応し、加速領域は、相対的に大きいAP操作量(θref<θap≦θmax)に対応する。以下では、減速領域と加速領域の閾値を境界閾値θref又は閾値θrefともいう。また、AP操作量θapが取り得る最大値を最大操作量θmaxという。
減速領域のうち閾値θ1よりも大きく閾値θref未満の範囲においては、ECU34は、AP操作量θapが減少するほど車両10の減速度D(加減速度G)の絶対値が大きくなるようにエンジン40、CVT42及びブレーキ機構14の少なくとも1つを制御する。減速領域のうち0以上θ1以下の範囲においては、ECU34は、車両10の目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)が最小目標加減速度Gtar_min(=最大減速度)で一定となるようにエンジン40を制御する。
加速領域のうち境界閾値θrefよりも大きく閾値θ2未満の範囲においては、ECU34は、AP操作量θapが増加するほど車両10の加速度(加減速度G)が大きくなるようにエンジン機構12を制御する。加速領域のうち閾値θ2以上且つ最大操作量θmax以下の範囲においては、ECU34は、車両10の目標加減速度Gtarが最大目標加減速度Gtar_maxで一定となるようにエンジン機構12を制御する。
(A2−2.AP操作量θapが加速領域から減速領域に移行した際の処理)
(A2−2−1.基本的な考え方)
図3は、第1実施形態におけるエンジンブレーキと摩擦ブレーキの関係を説明するための説明図である。図3において、領域80は、エンジンブレーキによる制動力Fengb(以下「エンジン制動力Fengb」という。)に相当する領域(以下「エンジンブレーキ領域80」ともいう。)である。領域82は、摩擦ブレーキによる制動力Ffrb(摩擦制動力Ffrb)に相当する領域(以下「摩擦ブレーキ領域82」ともいう。)である。また、図3では、目標減速度Dtarが一定である場合を示しており、図3の例で用いる目標減速度Dtarを「Dtar(今回)」と記している。
第1実施形態では、AP操作量θapが加速領域から減速領域に移行した際、エンジンブレーキを積極的に活用する。すなわち、基本的には、目標減速度Dtarを実現するために、エンジンブレーキのみを用いる。但し、エンジン制動力Fengbには、1次遅れが発生する。このため、図3に示すように、エンジン制動力Fengbの立ち上がり(応答性)は、摩擦ブレーキよりも遅い。
そこで、第1実施形態では、エンジンブレーキの作動時には、摩擦ブレーキを併せて作動させる(時点t1)。そして、エンジン制動力FengbがAP操作量θapに対応する値(目標減速度Dtar)となる時点t2までは、摩擦制動力Ffrbを併せて発生させて、目標減速度Dtarを迅速に実現させる。
(A2−2−2.具体的処理)
(A2−2−2−1.全体的な流れ)
図4は、第1実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図4では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないことに留意されたい。図4のステップS1は、Gtar設定部60が実行し、ステップS2〜S5は、減速制御部64が実行し、ステップS6は、加速制御部62が実行する。
ステップS1において、ECU34は、車両10が減速中であるか否かを判定する。具体的には、ECU34は、目標加減速度Gtarが負の値であるか否かを判定する。車両10が減速中である場合(S1:YES)、ステップS2に進む。
ステップS2において、ECU34は、車両10の車輪46が実際にスリップしているか否か及び車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを判定する。具体的には、ECU34は、車輪46が実際にスリップしているか否かを、スリップ検出部30からの出力に基づいて判定する。また、ECU34は、車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを、μ推定部28からの路面摩擦係数μに基づいて判定する。すなわち、係数μが所定の摩擦係数閾値THμ(以下「閾値THμ」ともいう。)よりも小さい場合、車輪46にスリップが発生する可能性が高いと判定する。係数μが閾値THμよりも小さくない場合、車輪46にスリップが発生する可能性が高くないと判定する。
車輪46が実際にスリップしておらず且つ車輪46にスリップが発生する可能性が高くない場合(S2:NO)、ステップS3に進む。
ステップS3において、ECU34は、摩擦ブレーキのブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低いか否かを判定する。具体的には、ECU34は、摩擦ブレーキの作動時間Tfrbが所定の時間閾値THtfrb(以下「閾値THtfrb」ともいう。)以下であるか否かを判定する。作動時間Tfrbは、摩擦ブレーキの作動が継続している時間を示す。作動時間Tfrbは、所定期間内の累積値としてもよい。
ブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低い場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU34は、エンジンブレーキを作動させると共に、摩擦ブレーキを補助的に作動させる(図3参照)。ステップS4の詳細は、図5〜図7を参照して後述する。
ステップS2において、車両10の車輪46が実際にスリップしている場合若しくは車輪46にスリップが発生する可能性が高い場合(S2:YES)、又はステップS3においてブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低くない場合(S3:NO)、ステップS5に進む。ステップS5において、ECU34は、摩擦ブレーキを作動させずに、エンジンブレーキを作動させる。なお、ブレーキパッド44のフェード現象を回避する観点からすれば、ステップS5では、摩擦制動力Ffrbをゼロとはせずにゼロ近傍値とすることも可能である。
ステップS1に戻り、車両10が減速中でない場合(S1:NO)、ステップS6において、ECU34は、車両10を加速させる加速制御を実行する。
(A2−2−2−2.エンジン制動力Fengb及び摩擦制動力Ffrbの制御)
図5は、第1実施形態におけるエンジン制動力Fengb及び摩擦制動力Ffrbの設定方法を説明するブロック図である。図6は、第1実施形態において摩擦制動力Ffrbを制御するフローチャート(図4のS4の一部の詳細)である。図4と同様、図5及び図6では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。
図5の目標加減速度算出器90(以下「Gtar算出器90」ともいう。)において、ECU34は、AP操作量θap及び車速Vに基づいて目標加減速度Gtar(目標減速度Dtar)を算出する。なお、ここでは、Gtar算出器90は、AP操作量θap及び車速Vに基づいて目標加減速度Gtarを算出するように示しているが、その他の入力値(走行抵抗等)にも基づいて目標加減速度Gtarを算出してもよい。
目標減速度分配器92(以下「Dtar分配器92」ともいう。)において、ECU34は、エンジン制御モジュール70及びブレーキ制御モジュール72の両方に目標減速度Dtarを示す信号Sdtar(以下「目標減速度信号Sdtar」ともいう。)を出力する。
Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信したエンジン制御モジュール70は、目標減速度Dtarを実現するように、エンジン40及びCVT42を制御する。
図5に示すように、エンジン制御モジュール70は、目標エンジン回転数算出器100(以下「Netar算出器100」ともいう。)と、目標減速比算出器102(以下「Rtar算出器102」ともいう。)を備える。
Netar算出器100は、単位時間当たりのエンジン40の回転数Ne[rpm]の目標値(以下「目標エンジン回転数Netar」という。)を目標減速度Dtarに基づいて算出する。そして、目標エンジン回転数Netarに基づいてエンジン40を制御する。Rtar算出器102は、CVT42の減速比Rの目標値(以下「目標減速比Rtar」という。)を算出する。そして、目標減速比Rtarに基づいてCVT42を制御する。
なお、図3を用いて説明したように、エンジン制動力Fengbには、AP操作量θapの変化に対する応答遅れが存在し得る。
Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信したブレーキ制御モジュール72は、エンジン制動力Fengbの応答遅れを補償するように、摩擦制動力Ffrbを生成させる。
図5に示すように、ブレーキ制御モジュール72は、ハイパスフィルタ110と、目標液圧算出器112(以下「Pbtar算出器112」ともいう。)とを備える。
ハイパスフィルタ110は、Dtar分配器92から目標減速度Dtarを取得する(図6のS11)。換言すると、ハイパスフィルタ110は、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信する。そして、ハイパスフィルタ110は、目標減速度信号Sdtarから所定の高周波成分のみを抽出するハイパスフィルタ処理を実行する(図6のS12)。ハイパスフィルタ110では、通過可能な周波数(周波数閾値)を設定しておき、当該周波数閾値を超えるもののみを通過させる。ここでの周波数閾値は、例えば、エンジンブレーキの1次遅れに基づいて特定され得るものであり、例えば、実験値又はシミュレーション値により特定することが可能である。
ハイパスフィルタ110は、ハイパスフィルタ処理により抽出した高周波成分をPbtar算出器112に通知する。換言すると、ハイパスフィルタ110は、抽出した高周波成分に応じたハイパス信号ShpをPbtar算出器112に出力する。
Pbtar算出器112は、ハイパス信号Shpに含まれる高周波成分に応じて目標液圧Pbtarを算出する(図6のS13)。そして、Pbtar算出器112は、算出した目標液圧Pbtarに応じてブレーキ機構14を制御する(S14)。
(A2−2−2−3.具体的なタイムチャート)
図7は、第1実施形態における目標減速度Dtar、エンジンブレーキ減速度Dengb、摩擦ブレーキ減速度Dfrb及び合計減速度Dtotalの関係の一例を示す図である。エンジンブレーキ減速度Dengbは、エンジン制動力Fengbにより実現される車両10の減速度Dを意味する。摩擦ブレーキ減速度Dfrbは、摩擦制動力Ffrbにより実現される車両10の減速度Dを意味する。合計減速度Dtotalは、エンジンブレーキ減速度Dengb及び摩擦ブレーキ減速度Dfrbの合計値である。また、図7では、目標減速度Dtarが一定である場合を示しており、図7の例で用いる目標減速度Dtarを「Dtar(今回)」と記している。
図7の時点t11では、運転者が、AP操作量θapを加速領域から減速領域に移行させる(図4のS1:YES)。これに伴い、Gtar設定部60は、AP操作量θapに対応する目標減速度Dtarを設定する(図5のGtar算出器90参照)。また、目標減速度Dtarを実現するために、エンジン制御モジュール70は、目標減速度Dtarに対応するエンジン制動力Fengbを発生させる(図5のNetar算出器100及びRtar算出器102参照)。
さらに、ブレーキ制御モジュール72は、目標減速度Dtarを示す信号(目標減速度信号Sdtar)の高周波成分を抽出する(図5のハイパスフィルタ110及び図6のS12)。そして、ブレーキ制御モジュール72は、高周波成分が発生している時点t11〜t13の間、摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbを発生させる(図5のPbtar算出器112及び図6のS13、S14)。その結果、合成減速度Dtotalは、時点t12で目標減速度Dtarと略等しくなる。時点t13以降は、摩擦制動力Ffrbをゼロとし、エンジン制動力Fengbのみを発生させる。
[A3.第1実施形態の効果]
以上のように、第1実施形態によれば、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)の減少に伴ってエンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbを増加させる際、操作量θapの減少に対するエンジン制動力Fengbの応答遅れを、摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbにより補償する(図3、図4のS4)。これにより、運転者によるアクセルペダル16(操作ペダル)の減速操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbで補償することが可能となる。このため、運転者の意図した制動力をエンジン制動力Fengbと摩擦制動力Ffrbの合計値(Ftotal)として応答性よく生成することが可能となる。
第1実施形態によれば、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)が加速領域から減速領域に入った際又は減速領域においてAP操作量θapが変化した際(図4のS1:YES)、ECU34(走行制御装置)は、目標減速度信号Sdtar中の高周波成分に応じて(換言すると、AP操作量θapの時間微分値(操作速度)の絶対値が大きいほど)、エンジン制動力Fengbの応答遅れを補償するための摩擦制動力Ffrbの最大値を大きくする(図7参照)。加えて、エンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbの立ち上がりに伴って、摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbを小さくする(図7、図3参照)。
これにより、加速領域から減速領域へのアクセルペダル16(操作ペダル)の減速操作が速い場合又は減速領域における操作が速い場合等において、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を摩擦ブレーキによる摩擦制動力Ffrbで補償することが可能となる。このため、加速から減速への切替え又は減速度の変更を円滑に行うことが可能となる。
第1実施形態において、ECU34(走行制御装置)は、減速領域におけるAP操作量θapに基づいて車両10の目標減速度Dtarを設定するGtar設定部60(目標減速度設定手段)と、目標減速度Dtarを示す目標減速度信号Sdtarのうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタ110とを備える(図1、図5)。さらに、ECU34は、目標減速度信号Sdtarのうちハイパスフィルタ110を通過した高周波成分に応じて摩擦ブレーキに摩擦制動力Ffrbを発生させる(図3、図6のS13、S14)。これにより、比較的簡易な構成で、エンジン制動力Fengbを補償するための摩擦制動力Ffrbを設定することが可能となる。
特に、第1実施形態では、ハイパスフィルタ110を用いる(図5)。AP操作量θapが比較的緩やかに変化する場合、高周波成分が減少するため、摩擦ブレーキを用いずにエンジンブレーキのみで目標減速度Dtarに対応する減速度Dを発生させることが可能となる。
第1実施形態において、ECU34(走行制御装置)は、車輪46がスリップする可能性が高いこと(換言すると、車輪46がスリップし易い状態であること)を検出するμ推定部28と、車輪46のスリップの発生を検出するスリップ検出部30とをスリップ状態検出手段として備える(図1)。μ推定部28により車輪46がスリップし易い状態(低μ)であることが検出された場合、又はスリップ検出部30により車輪46のスリップの発生が検出された場合(図4のS2:YES)、ECU34は、摩擦制動力Ffrbによるエンジン制動力Fengbの応答遅れの補償を抑制する(S5)。
これにより、車輪46がスリップし易い状態又は実際にスリップが発生した状態では、アクセルペダル16で減速操作が行われても摩擦制動力Ffrbを抑制する。従って、摩擦制動力Ffrbを抑制しつつ、エンジン制動力Fengbを作用させることで、より好適に車両10を減速させることが可能となる。
第1実施形態において、摩擦ブレーキの作動時間Tfrb(制動時間)が、フェード現象の発生の可能性を判定するための時間閾値THtfrbを超えた場合(図4のS3:NO)、ECU34は、摩擦制動力Ffrbによるエンジン制動力Fengbの応答遅れの補償を抑制する(S5)。
これにより、摩擦ブレーキのブレーキパッド44がフェードする可能性がある場合、摩擦ブレーキをかけるのを抑制し、エンジンブレーキにて車両10を制動する。従って、摩擦ブレーキのフェード現象を回避することで、より好適に車両10を減速させることが可能となる。
B.第2実施形態
[B1.車両10Aの構成(第1実施形態との相違)]
図8は、本発明の第2実施形態に係る車両用走行制御装置としての電子制御装置34a(以下「ECU34a」という。)を搭載した車両10Aのブロック図である。第1実施形態と同様の構成要素については、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2実施形態の車両10Aは、いわゆるハイブリッド車両であり、駆動源として、エンジン40及び走行モータ150(以下「モータ150」ともいう。)を有する。また、車両10Aは、モータ150の出力を制御するインバータ152と、モータ150に電力を供給するバッテリ154と、バッテリ154の残容量(SOC)を検出するSOCセンサ156とを有する。
ECU34aの演算部52aは、Gtar設定部60、加速制御部62及び減速制御部64aを備える。減速制御部64aは、エンジン制御モジュール70及びブレーキ制御モジュール72に加え、モータ制御モジュール160を備える。
第1実施形態では、摩擦ブレーキ及びエンジンブレーキを利用可能であった。これに対し、第2実施形態では、摩擦ブレーキ及びエンジンブレーキに加え、モータ150を用いる回生ブレーキを利用可能である。
[B2.ワンペダルモードにおける目標加減速度Gtarの設定]
(B2−1.ワンペダルモードでの基本的な加減速特性)
第2実施形態におけるワンペダルモードでの基本的な加減速特性については、第1実施形態(図2)と同様である。
(B2−2.AP操作量θapが加速領域から減速領域に移行した際の処理)
(B2−2−1.基本的な考え方)
図9は、第2実施形態におけるエンジンブレーキと回生ブレーキの関係を説明するための説明図である。図9において、領域80は、エンジン制動力Fengbに相当する領域(エンジンブレーキ領域80)である。領域170は、回生ブレーキによる制動力Fregb(以下「回生制動力Fregb」という。)に相当する領域(以下「回生ブレーキ領域170」ともいう。)である。
図9は、摩擦ブレーキを回生ブレーキに置き換えた点を除き、第1実施形態(図3)と同様である。すなわち、第2実施形態では、エンジンブレーキによる1次遅れを、摩擦ブレーキではなく、回生ブレーキで補償する。換言すると、第2実施形態では、エンジンブレーキの作動時には、回生ブレーキを併せて作動させる(時点t21)。そして、エンジン制動力FengbがAP操作量θapに対応する値(目標減速度Dtar)となる時点t22までは、回生制動力Fregbを併せて発生させて、目標減速度Dtarを迅速に実現させる。
(B2−2−2.具体的処理)
(B2−2−2−1.全体的な流れ)
図10は、第2実施形態のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図10では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないことに留意されたい。図10のステップS21は、Gtar設定部60が実行し、ステップS22〜S24は、減速制御部64aが実行し、ステップS25は、加速制御部62が実行する。
ステップS21において、ECU34aは、車両10Aが減速中であるか否かを判定する。当該判定は、図4のS1と同様である。車両10Aが減速中である場合(S21:YES)、ステップS22に進む。
ステップS22において、ECU34aは、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する。具体的には、ECU34aは、SOCが所定のSOC閾値THsoc(以下「閾値THsoc」ともいう。)以下であるか否かを判定する。閾値THsocは、SOCの観点から、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する閾値であり、バッテリ154が満充電であるときの値又はその近傍値とすることができる。バッテリ154が充電可能である場合(S22:YES)、ステップS23において、ECU34aは、エンジンブレーキを作動させると共に、回生ブレーキを補助的に作動させる(図9参照)。ステップS23の詳細は、図11及び図12を参照して後述する。
バッテリ154が充電可能でない場合(S22:NO)、ステップS24において、ECU34aは、回生ブレーキを作動させずに、エンジンブレーキを作動させる。なお、SOCとの関係でバッテリ154を保護しつつ回生ブレーキを作動させる観点からすれば、ステップS24では、回生制動力Fregbをゼロとはせずにゼロ近傍値とすることも可能である。
ステップS21に戻り、車両10Aが減速中でない場合(S21:NO)、ステップS25において、ECU34aは、車両10Aを加速させる加速制御を実行する。
(B2−2−2−2.エンジン制動力Fengb及び回生制動力Fregbの制御)
図11は、第2実施形態におけるエンジン制動力Fengb及び回生制動力Fregbの設定方法を説明するブロック図である。図12は、第2実施形態において回生制動力Fregbを制御するフローチャート(図10のS23の一部の詳細)である。図10と同様、図11及び図12では、アクセルペダル16のみが操作され、ブレーキペダル18は操作されていないこと(すなわち、ブレーキペダル18の操作による減速は、別途、制御ロジックを設けること)に留意されたい。
図11において、Gtar設定部60及びエンジン制御モジュール70での処理は、第1実施形態と同様である。
Dtar分配器92から目標減速度Dtarを示す信号(目標減速度信号Sdtar)を受信したモータ制御モジュール160は、エンジン制動力Fengbの応答遅れを補償するように、回生制動力Fregbを生成させる。
図11に示すように、モータ制御モジュール160は、ハイパスフィルタ180と、目標回生トルク算出器182(以下「Tregtar算出器182」ともいう。)とを備える。
ハイパスフィルタ180は、Dtar分配器92から目標減速度Dtarを取得する(図12のS31)。換言すると、ハイパスフィルタ180は、Dtar分配器92から目標減速度信号Sdtarを受信する。そして、ハイパスフィルタ180は、目標減速度信号Sdtarから所定の高周波成分のみを抽出するハイパスフィルタ処理を実行する(図12のS32)。ハイパスフィルタ180では、通過可能な周波数(周波数閾値)を設定しておき、当該周波数閾値を超えるもののみを通過させる。ここでの周波数閾値は、例えば、エンジンブレーキの1次遅れに基づいて特定され得るものであり、例えば、実験値又はシミュレーション値により特定することが可能である。
ハイパスフィルタ180は、ハイパスフィルタ処理により抽出した高周波成分をTregtar算出器182に通知する。換言すると、ハイパスフィルタ180は、抽出した高周波成分に応じたハイパス信号ShpをTregtar算出器182に出力する。
Tregtar算出器182は、ハイパス信号Shpに含まれる高周波成分に応じて目標回生トルクTregtarを算出する(図12のS33)。そして、Tregtar算出器182は、算出した目標回生トルクTregtarに応じてインバータ152を介してモータ150の回生を制御する(S34)。
[B3.第2実施形態の効果]
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
第2実施形態によれば、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)の減少に伴ってエンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbを増加させる際、操作量θapの減少に対するエンジン制動力Fengbの応答遅れを、回生ブレーキによる回生制動力Fregbにより補償する(図9、図10のS23)。これにより、運転者によるアクセルペダル16(操作ペダル)の減速操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を回生ブレーキによる回生制動力Fregbで補償することが可能となる。このため、運転者の意図した制動力をエンジン制動力Fengbと回生制動力Fregbの合計値(Ftotal)として応答性よく生成することが可能となる。
第2実施形態によれば、AP操作量θap(操作ペダルの操作量)が加速領域から減速領域に入った際(図10のS21:YES)、ECU34a(走行制御装置)は、回生ブレーキ及びエンジンブレーキの両方の作動を開始する(図10のS23、図9)。その際、ECU34aは、目標減速度信号Sdtar中の高周波成分に応じて(換言すると、AP操作量θapの時間微分値(操作速度)の絶対値が大きいほど)、作動開始時における回生ブレーキによる回生制動力Fregbの最大値を大きくする。加えて、エンジンブレーキによるエンジン制動力Fengbの立ち上がりに伴って、回生ブレーキによる回生制動力Fregbを小さくする(図9)。
これにより、加速領域から減速領域へのアクセルペダル16(操作ペダル)の減速操作が速い場合又は減速領域における減速操作が速い場合、エンジンブレーキの応答性では遅れる分を回生ブレーキによる回生制動力Fregbで補償することが可能となる。このため、加速から減速への切替え又は更なる減速を円滑に行うことが可能となる。
第2実施形態において、車両10Aは、モータ150(電動機)の回生により得られた電力を蓄積するバッテリ154(蓄電装置)を備える(図8)。バッテリ154のSOCがSOC閾値THsoc(蓄電量閾値)を超える場合(図10のS22:NO)、ECU34a(走行制御装置)は、回生制動力Fregbによるエンジン制動力Fengbの応答遅れの補償を抑制する(S24)。
これにより、バッテリ154のSOCが閾値THsocを超える場合、アクセルペダル16(操作ペダル)で減速操作が行われても回生制動力Fregbを抑制する。従って、回生制動力Fregbを抑制しつつ、エンジン制動力Fengbを作用させることで、バッテリ154の保護を図りつつ、より好適に車両10Aを減速させることが可能となる。
C.変形例
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
[C1.適用対象]
第1実施形態では、車両10をエンジン車両とし(図1)、第2実施形態では、車両10Aをハイブリッド車両とした(図8)。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの応答性に着目すれば、これに限らない。例えば、車両10、10Aは、ハイブリッド車以外の電動車両(燃料電池車を含む。)であってもよい。
[C2.各種ブレーキ]
第2実施形態の車両10Aは、摩擦ブレーキを作動させるブレーキ機構14を有していた(図8)。しかしながら、例えば、エンジンブレーキの応答遅れを回生ブレーキで補償する観点からすれば、車両10Aは、必ずしもブレーキ機構14を備えていなくてもよい。
第2実施形態のモータ150は、車両10Aを駆動する走行モータであった。しかしながら、回生ブレーキを作動させる観点からすれば、これに限らない。例えば、モータ150は、発電用モータ(ジェネレータ)としての用途のみで利用することも可能である。
[C3.AP操作モード]
上記各実施形態では、AP操作モードとして通常モードとワンペダルモードを用いた。しかしながら、例えば、ワンペダルモードに着目すれば、通常モードを省略することも可能である。
上記各実施形態のワンペダルモードでは、減速領域と加速領域を設定した(図2)。しかしながら、減速領域と加速領域に加え、JP 2006−117020 Aのような定常領域(目標加減速度Gtarがゼロになる領域又は目標加減速度Gtarがゼロを含む所定範囲内になる領域)を設けることも可能である。或いは、目標加減速度Gtarを設定せずに車両10、10Aの慣性走行を可能とするニュートラル領域を、減速領域と加速領域の間又は減速領域と定常領域の間に設けてもよい。
上記各実施形態のワンペダルモードでは、AP操作量θapと目標加減速度Gtarとを関連付けて用いた(図2)。しかしながら、例えば、減速領域と加速領域の機能に着目すれば、これに限らない。例えば、AP操作量θapと目標トルクTtarとを関連付けてもよい。
[C4.目標加減速度Gtarの設定]
上記各実施形態では、加減速特性(基準特性Cref、図2)を車速Vに応じて変化させたが、車速Vに応じて変化させないこと(例えば、車速Vにかかわらず固定された加減速特性とすること)も可能である。
上記各実施形態では、AP操作量θapがゼロからゼロよりも大きな値(閾値θ1)までであるとき、目標加減速度Gtarを最低値(目標減速度Dtarの絶対値を最大値)とした(図2)。しかしながら、AP操作量θapがゼロであるときのみに、目標加減速度Gtarを最低値(目標減速度Dtarの絶対値を最大値)とすることも可能である。
上記各実施形態では、目標加減速度Gtarの単位を「m/s/s」とした。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの特性に応じた制御との観点からすれば、これに限らない。例えば、目標加減速度Gtarを、「N・m/s」(車両10、10Aの目標トルクTtarの時間微分値)とすることも可能である。
[C5.各種のブレーキの作動条件]
第1実施形態では、図4に示すフローチャートでエンジンブレーキ及び摩擦ブレーキの作動を制御し、第2実施形態では、図10に示すフローチャートでエンジンブレーキ及び回生ブレーキの作動を制御した。しかしながら、例えば、複数種類のブレーキの特性の相違に着目すれば、これに限らない。
例えば、図4のステップS2では、車両10の車輪46が実際にスリップしているか否か及び車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを判定した。しかしながら、いずれか一方のみを判定することも可能である。或いは、ステップS2を省略することも可能である。
また、図4のステップS3では、ブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低いか否かを判定した。しかしながら、摩擦ブレーキの作動に障害があるか否かを判定する観点からすれば、例えば、フェード現象の代わりにベーパーロック現象が発生する可能性が低いか否かを判定することも可能である。或いは、ステップS3を省略することも可能である。
或いは、以下で説明する第1変形例又は第2変形例のような処理を行うことも可能である。
(C5−1.第1変形例)
(C5−1−1.第1変形例における処理)
図13は、第1変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図13は、図4(エンジンブレーキ及び摩擦ブレーキ)と図10(エンジンブレーキ及び回生ブレーキ)を組み合わせたものである。第1変形例のハードウェアの構成は、図8と同様のものを用いることができる。すなわち、第1変形例の車両10Aは、ハイブリッド車両である。
図13のステップS41において、ECU34aは、車両10Aが減速中であるか否かを判定する。車両10Aが減速中である場合(S41:YES)、ステップS42において、ECU34aは、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する。バッテリ154が充電可能である場合(S42:YES)、ステップS43において、ECU34aは、エンジンブレーキを作動させると共に、回生ブレーキを補助的に作動させる(図9参照)。
バッテリ154が充電可能でない場合(S42:NO)、ECU34aは、車輪46が実際にスリップしているか否か及び車輪46にスリップが発生する可能性が高いか否かを判定する。車輪46が実際にスリップしておらず且つ車輪46にスリップが発生する可能性が高くない場合(S44:NO)、ステップS45に進む。
ステップS45において、ECU34aは、摩擦ブレーキのブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低いか否かを判定する。ブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低い場合(S45:YES)、ステップS46において、ECU34aは、エンジンブレーキを作動させると共に、摩擦ブレーキを補助的に作動させる(図3参照)。
ステップS44において、車輪46が実際にスリップしている場合若しくは車輪46にスリップが発生する可能性が高い場合(S44:YES)、又はステップS45においてブレーキパッド44にフェード現象が発生する可能性が低くない場合(S45:NO)、ステップS47に進む。ステップS47において、ECU34aは、回生ブレーキ及び摩擦ブレーキを作動させずに、エンジンブレーキを作動させる。
ステップS41に戻り、車両10Aが減速中でない場合(S41:NO)、ステップS48において、ECU34aは、車両10Aを加速させる加速制御を実行する。
なお、第1変形例では、摩擦ブレーキよりも回生ブレーキを優先して利用するが、反対に、回生ブレーキよりも摩擦ブレーキを優先して利用することも可能である。
(C5−1−2.第1変形例の効果)
以上のような第1変形例によれば、第1・第2実施形態の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
第1変形例によれば、エンジンブレーキの作動開始時における応答遅れを、まずは回生ブレーキで補償する(図13のS43)。回生ブレーキに伴い回生電力を発生させることで、省エネルギ化を図ることができる。加えて、摩擦ブレーキと比較して、回生ブレーキの方が出力の応答性が高いことが多い。このため、減速開始時の応答性を高めることが可能となる。
また、第1変形例によれば、バッテリ154に回生電力を充電できない場合(図13のS42:NO)、エンジンブレーキの作動開始時における応答遅れを摩擦ブレーキで補償する(S46)。これにより、回生ブレーキが利用できない場合でも、エンジンブレーキの応答遅れを補償することが可能となる。
(C5−2.第2変形例)
(C5−2−1.第2変形例における処理)
図14は、第2変形例のワンペダルモードにおける減速処理を示すフローチャートである。図14は、回生ブレーキと摩擦ブレーキを組み合わせたものである。第2変形例のハードウェアの構成は、例えば、図8の構成からエンジン機構12を除いたものとすることができる。すなわち、第2変形例の車両10Aは、狭義の電気自動車(battery vehicle)である。
図14のステップS51において、ECU34aは、車両10Aが減速中であるか否かを判定する。車両10Aが減速中である場合(S51:YES)、ステップS52において、ECU34aは、バッテリ154が充電可能であるか否かを判定する。バッテリ154が充電可能である場合(S52:YES)、ステップS53において、ECU34aは、回生ブレーキを作動させる。
バッテリ154が充電可能でない場合(S52:NO)、ECU34aは、回生ブレーキを作動させずに、摩擦ブレーキを作動させる。
ステップS51に戻り、車両10Aが減速中でない場合(S51:NO)、ステップS55において、ECU34aは、車両10Aを加速させる加速制御を実行する。
(C5−2−2.第2変形例の効果)
以上のような第2変形例によれば、第1・第2実施形態及び第1変形例の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏することが可能である。
第2実施形態によれば、SOCがSOC閾値THsocを超えない場合(S52:YES)、アクセルペダル16(操作ペダル)で減速操作が行われると(S51:YES)、回生ブレーキを作動させ、摩擦ブレーキを抑制する(S53)。これにより、積極的に回生電力を回収しつつ、より好適に車両10Aを減速させることが可能となる。
また、SOCがSOC閾値THsocを超える場合(S52:NO)、アクセルペダル16で減速操作が行われると、摩擦ブレーキを作動させ、回生ブレーキを抑制する(S54)。これにより、バッテリ154(蓄電装置)の保護を図りつつ、より好適に車両10Aを減速させることが可能となる。
[C6.摩擦ブレーキ減速度Dfrb又は回生ブレーキ減速度Dregb]
上記各実施形態では、ハイパスフィルタ110、180を用いて摩擦制動力Ffrb又は回生制動力Fregbを設定した(図5、図11参照)。しかしながら、例えば、アクセルペダル16の操作速度(AP操作量θapの時間微分値)に応じて摩擦制動力Ffrb又は回生制動力Fregbを発生させる観点からすれば、これに限らない。
例えば、ブレーキ制御モジュール72では、ハイパスフィルタ110の代わりに、操作速度を算出する操作速度算出器(操作速度算出手段)を設けることも可能である。そして、操作速度の絶対値が大きくなるほど、摩擦制動力Ffrbを増加させることも可能である。これにより、目標減速度Dtarと、摩擦制動力Ffrb及びエンジン制動力Fengbによる車両10の減速度Dとの誤差を少なくすることが可能となる。モータ制御モジュール160についても同様の変更を行うことができる。
[C7.合計減速度Dtotal]
上記各実施形態及び上記各変形例では、AP操作量θapが加速領域から減速領域に入った際、合計減速度Dtotalが直ちに目標減速度Dtarと等しくなるように制御した(図3及び図9参照)。しかしながら、例えば、エンジンブレーキの応答遅れを補償する観点からすれば、これに限らない。例えば、合計減速度Dtotalを徐々に目標減速度Dtarに近付けていくように摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償することも可能である。
上記各実施形態及び第1変形例では、摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償した後は、エンジンブレーキ単独で目標減速度Dtarを実現することを想定していた(図3及び図9参照)。しかしながら、例えば、摩擦ブレーキ又は回生ブレーキによりエンジンブレーキの応答遅れを補償する観点からすれば、これに限らない。例えば、エンジンブレーキの応答遅れを補償した後の目標減速度Dtarを実現するために、摩擦ブレーキ又は回生ブレーキの少なくとも一方を、エンジンブレーキと共に作動させることも可能である。
10、10A…車両 14…ブレーキ機構
16…アクセルペダル(操作ペダル)
28…摩擦係数推定部(スリップ状態判定手段)
30…スリップ検出部(スリップ状態判定手段)
34、34a…ECU(走行制御装置) 40…エンジン(内燃機関)
42…変速機 46…車輪
60…目標加減速度設定部(目標減速度設定手段)
72…ブレーキ制御モジュール(操作速度算出手段)
150…走行モータ(電動機) 154…バッテリ(蓄電装置)
D…車両の減速度 Dtar…目標減速度
Fengb…エンジン制動力 Ffrb…摩擦制動力
Sdtar…目標減速度信号(目標減速度を示す信号)
Tfrb…摩擦ブレーキの作動時間(制動時間)
THsoc…SOC閾値(蓄電量閾値) THtfrb…時間閾値
θap…AP操作量

Claims (10)

  1. 車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
    前記走行制御装置は、前記操作量の減少に伴って前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際、前記操作量の減少に対する前記エンジン制動力の応答遅れを、前記摩擦ブレーキによる摩擦制動力により補償する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  2. 請求項1記載の走行制御装置において、
    前記操作量が前記加速領域から前記減速領域に入った際又は前記減速領域において前記操作量が減少した際、前記走行制御装置は、
    前記操作量の時間微分値である操作速度の絶対値が大きいほど、前記エンジン制動力の応答遅れを補償するための前記摩擦制動力の最大値を大きくし、
    前記エンジンブレーキによるエンジン制動力の立ち上がりに伴って、前記摩擦ブレーキによる前記摩擦制動力を小さくする
    ことを特徴とする走行制御装置。
  3. 請求項1又は2記載の走行制御装置において、
    前記走行制御装置は、
    前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
    前記目標減速度を示す目標減速度信号のうち所定の周波数閾値を超えるもののみを通過させるハイパスフィルタと
    を備え、
    さらに、前記走行制御装置は、前記目標減速度信号のうち前記ハイパスフィルタを通過した高周波成分に応じて前記摩擦ブレーキに前記摩擦制動力を発生させる
    ことを特徴とする走行制御装置。
  4. 請求項1又は2記載の走行制御装置において、
    前記走行制御装置は、
    前記減速領域における前記操作量に基づいて前記車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
    前記操作量の時間微分値である操作速度を算出する操作速度算出手段と
    を備え、
    さらに、前記走行制御装置は、
    前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力による前記車両の減速度が前記目標減速度に到達するように前記摩擦制動力及び前記エンジン制動力を制御し、
    前記操作速度算出手段が算出した前記操作速度の絶対値が大きくなるほど、前記摩擦制動力を増加させる
    ことを特徴とする走行制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行制御装置において、
    前記走行制御装置は、
    前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生を検出するスリップ状態検出手段を備え、
    前記スリップ状態検出手段により前記車輪がスリップし易い状態であること又は前記車輪のスリップの発生が検出された場合、前記摩擦制動力による前記エンジン制動力の応答遅れの補償を抑制する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の走行制御装置において、
    前記摩擦ブレーキによる制動の連続時間又は累積時間である制動時間が、フェード現象又はベーパーロック現象の発生の可能性を判定するための時間閾値を超えた場合、前記走行制御装置は、前記摩擦制動力による前記エンジン制動力の応答遅れの補償を抑制する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  7. 駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、内燃機関又は変速機によるエンジンブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
    前記走行制御装置は、前記操作量の減少に伴って前記エンジンブレーキによるエンジン制動力を増加させる際、前記操作量の減少に対する前記エンジン制動力の応答遅れを、前記回生ブレーキによる回生制動力により補償する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  8. 請求項7記載の走行制御装置において、
    前記操作量が前記加速領域から前記減速領域に入った際又は前記減速領域において前記操作量が減少した際、前記走行制御装置は、
    前記操作量の時間微分値である操作速度の絶対値が大きいほど、前記エンジン制動力の応答遅れを補償するための前記回生制動力の最大値を大きくし、
    前記エンジンブレーキによるエンジン制動力の立ち上がりに伴って、前記回生ブレーキによる前記回生制動力を小さくする
    ことを特徴とする走行制御装置。
  9. 請求項7又は8記載の走行制御装置において、
    前記車両は、前記電動機の回生により得られた電力を蓄積する蓄電装置を備え、
    前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超える場合、前記走行制御装置は、前記回生制動力による前記エンジン制動力の応答遅れの補償を抑制する
    ことを特徴とする走行制御装置。
  10. 駆動源又は発電機として用いられる電動機による回生ブレーキと、車輪との接触摩擦による摩擦ブレーキとを作動可能な車両に搭載されると共に、1つの操作ペダルの操作量の範囲に少なくとも減速領域及び加速領域が設定される車両用走行制御装置であって、
    前記車両は、前記電動機の回生により得られた電力を蓄積する蓄電装置を備え、
    前記蓄電装置が満充電状態でない場合又は前記蓄電装置の蓄電量が所定の蓄電量閾値を超えない場合、前記走行制御装置は、前記回生ブレーキを作動させる一方、前記摩擦ブレーキの作動を抑制し、
    前記蓄電装置が満充電状態である場合又は前記蓄電装置の蓄電量が前記蓄電量閾値を超える場合、前記走行制御装置は、前記摩擦ブレーキを作動させる一方、前記回生ブレーキの作動を抑制する
    ことを特徴とする走行制御装置。
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