JP2016015384A - チップオン基板を用いた電子装置の製造方法 - Google Patents

チップオン基板を用いた電子装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】COF基板に電子デバイスを積層して行う電子装置の製造において、COF基板の基本構成を維持し、その生産性を低化させることなく、COF基板に対する曲げ方向の外力に対して十分な強度を有する電子装置を提供すること。【解決手段】基板フィルム11の表面に金属配線部13が形成されているチップオン基板1に電子デバイス2を実装して電子装置10を製造する電子装置の製造方法であって、基板フィルム11の熱収縮開始温度を向上させるためのアニール処理を行う基板耐熱性向上工程と、金属配線部13と電子デバイス2との電気的接合を、であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる融点200℃以上の高融点ハンダで行う高温ハンダ処理工程とを備える、電子装置の製造方法とする。【選択図】図2

Description

この発明は、チップオン基板を用いた電子装置の製造方法に関する。
LED発光デバイス等の実装技術として、COF(Chip on Film)が知られている(特許文献1参照)。図1に示す通り、この技術に用いられるCOF基板は、ポリイミド(PI)等の耐熱性、耐久性、及び絶縁性に優れる樹脂からなる可撓性を有する基板フィルム11上に、高精度のパターンニング処理によって形成される微細なパターンを有する金属配線部13を形成してなる構成を基本構成とする。
又、一般的にCOF基板に電子デバイス2を搭載することによって行う電子装置10の製造においては、図2に示す通り、金属配線部13と電子デバイス2とは、ハンダ層14を介して接合される。
しかしながら、ハンダ層14を介して電子デバイス2を金属配線部13に接合する電子装置10においては、可撓性を有する基板フィルム11に曲げ方向の外力が加えられた場合に、ハンダ層14と電子デバイス2との接合界面に応力が集中し、ハンダ層14が破損しやすいという問題があった。
このようなハンダ層14の破損を防ぐことを目的として、基板フィルム11の裏面側の電子デバイスの実装部分に対応する部分に、補強層を更に積層したCOF基板も提案されている(特許文献2)。
特開2008−208255号公報 特開2011−9397号公報
特許文献2に記載のCOF基板は、ハンダ層の強化のために、基本構成とは別途に追加の層を積層するものであるため、材料、工程が追加となる分コスト面で不利である。又、上記構成はCOF基板に求められる柔軟な可撓性を一部損なう場合もある。
特許文献2においては、更に、ハンダ層を構成するハンダについて、リフロー時に他の樹脂基材への加熱によるダメージを回避するために、スズ、ビスマスを含有してなる低融点ハンダの使用を推奨する旨記載されている。しかし、そのような低融点ハンダは、本願発明に用いられる融点200℃以上であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる高融点ハンダと比較して、固化後の曲げ方向の外力に対する強度が劣ることが明らかになっている。
しかし、上記の通り、COF基板を用いた電子装置の製造現場においては、COF基板の樹脂基材へのダメージを回避することを優先せざるを得ず、電子デバイスを接合するために用いるハンダ層の強度については、低融点ハンダの低い強度に甘んじるか、或いは、生産性を犠牲にしてCOF基板への補強層の追加によってその強度を補うかといういずれかの選択によるしかなかった。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、COF基板に電子デバイスを積層して行う電子装置の製造において、COF基板の基本構成を維持し、その生産性を低化させることなく、COF基板に対する曲げ方向の外力に対して十分な強度を有する電子装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、COF基板の基板フィルムを形成する熱可塑性樹脂にアニール処理等の耐熱性向上処理を施すことにより、高融点ハンダの選択を可能とした上で、当該高融点ハンダによるハンダ処理を行うことによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に本発明は以下のものを提供する。
(1) 基板フィルムの表面に金属配線部が形成されているチップオン基板に電子デバイスを実装して電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、前記基板フィルムの熱収縮開始温度を向上させるためのアニール処理を行う基板耐熱性向上工程と、前記金属配線部と前記電子デバイスとの電気的接合を、融点200℃以上であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる高融点ハンダで行う高温ハンダ処理工程とを備える、電子装置の製造方法。
(2) 前記基板フィルムを形成する熱可塑性樹脂のアニール処理前の熱収縮開始温度が80℃以下であって、前記アニール処理後の該熱可塑性樹脂の熱収縮開始温度が100℃以上である(1)に記載の電子装置の製造方法。
(3) 前記基板フィルムがポリエチレンナフタレートであって、前記アニール処理によって熱収縮開始温度を100℃以上とする(1)又は(2)に記載の電子装置の製造方法。
(4) 前記チップオン基板は、前記基板フィルム及び前記金属配線部の一部を覆って形成される絶縁性保護膜を更に備え、該絶縁性保護膜は、無機系の難燃剤を含有する難燃性インキで形成されている(1)から(3)のいずれかに記載のチップオン基板。
本発明によれば、COF基板に電子デバイスを積層して行う電子装置の製造において、COF基板の基本構成を維持し、その生産性を低化させることなく、COF基板に対する曲げ方向の外力に対して十分な強度を有する電子装置を提供することができる。
本発明のCOF基板に電子デバイスを搭載した使用状態の一例を模式的示す平面図である。 図1のA−A断面におけるCOF基板の層構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明に係るチップオン基板(COF基板)、及びそれを用いた電子装置の製造方法について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<チップオン基板(COF基板)>
本発明の電子装置の製造方法に用いるCOF基板1について、図1及び図2を参照しながら説明する。COF基板1は、図1及び図2に示す通り、熱可塑性樹脂からなり可撓性を有する基板フィルム11の表面に、金属箔からなる導電性の金属配線部13が、接着剤層12を介して形成されている。
COF基板1は、その耐マイグレーション特性向上のために、更に、基板フィルム11及び金属配線部13の一部を覆って熱硬化型インキからなる絶縁性保護膜15が形成されているものであることがより好ましい。絶縁性保護膜15が形成される場合には、金属配線部13の表面のうち電子デバイス2との接続部分となる部分を除く概ね全面、及び、基板フィルム11の表面のうち金属配線部13の非形成部分の概ね全面とを覆う態様で形成される。
以上の構成からなるCOF基板1は、例えばLED発光デバイス等の電子デバイス2が、ハンダ層14を介して、金属配線部13の上に導電可能な態様で搭載された状態で使用される。
[基板フィルム]
基板フィルム11としては、シート状に成形された可撓性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、シート状とはフィルム状を含む概念であり、いずれも可撓性を有する物である限り本発明において両者に差はない。又、この熱可塑性樹脂は絶縁性が高いものであることも求められる。基板フィルム11の厚さは、特に限定されないが、耐熱性及び絶縁性と、製造コストのバランスとの観点から、概ね50μm以上100μm以下程度であることが好ましい。又、ロール・トゥ・ロール方式による製造を行う場合の生産性を良好に維持する観点からも上記厚さ範囲であることが好ましい。
基板フィルム11の絶縁性については、電子装置としての一体化時に、COF基板1に必要とされる絶縁性を付与し得る体積固有抵抗率を有する樹脂であればよい。一般的には、基板フィルム11の体積固有抵抗率が1014Ω・cm以上であることが好ましく、1018Ω・cm以上であることがより好ましい。
上述した通り、COF基板の基板フィルムとしては、従来、耐熱性と加熱時の寸法安定性、機械的強度、及び耐久性に極めて優れるポリイミド樹脂(PI)が広く用いられてきた。しかしこのPI樹脂は極めて高価であり経済性においては不利であり、又、透明性に劣ることがレーザー処理を含む製造プロセス等において生産性を低化させる要因になる場合があった。これらの問題を解決するために、本発明のCOF基板1においては、基板フィルム11として、アニール処理等の耐熱性向上処理を施すことによって所定値以上にまで耐熱性と寸法安定性を向上させた、より汎用的な各種の熱可塑性樹脂を用いることとした。そのような汎用的な熱可塑性樹脂の具体例として、アニール処理によって必要十分な耐熱性と寸法安定性を付与することが可能であり、透明性や経済性においてはPIよりも明らかに優位であるポリエチレンナフタレート(PEN)を挙げることができる。
基板フィルム11の耐熱性について、より具体的には、アニール処理後の熱収縮開始温度が100℃以上となっていることが好ましい。一般的に通常熱収縮開始温度が80℃程度である熱可塑性樹脂であればアニール処理によって100℃程度まで向上させることは可能である。
ここで、本明細書における「熱収縮開始温度」とは、TMA装置に測定対象の熱可塑性樹脂からなるサンプルシートをセットし、荷重1gをかけて、昇温速度2℃/分で120℃まで昇温し、その時の収縮量(%表示)を測定し、このデータを出力して温度と収縮量を記録したグラフから、収縮によって、0%のベースラインから離れる温度を読みとり、その温度を熱収縮開始温度としたものである。基板フィルム11熱収縮開始温度が100℃以上であることによって、電子デバイス2を金属配線部13に接合するために用いるハンダとして、融点200℃以上であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる高融点ハンダを選択することが可能となる。そしてこれによりCOF基板1を曲げ方向の外力に対して耐久性が高いものとすることができる。
尚、COF基板1が、熱硬化型インキからなる絶縁性保護膜15を更に積層したものである場合には、基板フィルム11を形成する熱可塑性樹脂は上記のアニール処理によって、その熱収縮開始温度が、絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキの熱硬化温度以上となるように耐熱性が向上させたものを用いることが好ましい。例えば、絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキがポリエステル系の熱硬化型インキであって、その熱硬化温度が80℃程度である場合には、通常80℃程度であるPENの熱収縮開始温度を、アニール処理によって100℃程度まで向上させればよい。これにより、基板フィルム11の微細な熱損傷をも回避しながら、同時に十分な耐熱性、強度、絶縁性を有する絶縁性保護膜15を形成することができる。アニール処理の具体的実施方法の詳細については後述する。
尚、本明細書における「熱硬化温度」とは、測定対象の熱硬化型樹脂を加熱した際の熱硬化反応の立ち上がり位置の温度を測定算出し、その温度を熱硬化温度としたものである。
又、本明細書における「耐熱性向上処理」としては、加熱時における寸法安定性を向上する耐熱性向上処理として、最も一般的な処理方法であるアニール処理を採用することができる。しかしながら、本発明を構成する「耐熱性向上処理」は、これに限らず、熱可塑性樹脂の上記の熱収縮開始温度を、当該処理を施す前の状態よりも向上させる加工処理全般を含むものである。但し、以下においては、耐熱性向上処理がアニール処理である場合の実施形態を本発明の代表的な実施形態として説明する。
[接着材層]
COF基板1の表面上への金属配線部13の接合は、接着剤層12を介したドライラミネート法によって行われることが好ましい。この接着剤層12を形成する接着剤は、上述の絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキの熱硬化温度における耐熱性を有するものであれば公知の樹脂系接着剤を適宜用いることができる。それらの樹脂接着剤のうち、ウレタン系、ポリカーボネート系、又はエポキシ系の接着剤等を特に好ましく用いることができる。
[金属配線部]
図1及び図2に示す通り、金属配線部13は、COF基板1の表面上に形成される導電性基材からなる配線パターンである。金属配線部13は、複数の電子デバイス2の間を導通して必要な電流を流して電気を供給する機能を有する。そして、金属配線部13は、複数の微細な櫛形形状の金属配線が、交差或いは接触せずに、近接して配置される複雑な配線パターンとして基板フィルム11の表面に形成される。金属配線部13の厚さは、COF基板1に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一例として厚さ10μm〜50μmが挙げられる。
金属配線部13を形成するための導電性基材の材料としては、金属や金属化合物が挙げられ、これらの材料はいずれもエッチングできることが必須である。エッチングによる金属配線部のパターン形成の方法については後述する。上記の金属或いは金属化合物としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、インジウム、アンチモン、錫、亜鉛等の金属、上記金属の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等の金属化合物が挙げられる。更に金属配線部13を構成する材料として、上記金属や上記金属化合物の複合材料(例えばインジウム錫酸化物(ITO)、アンチモン錫酸化物(ATO)等)が挙げられる。それらのうち、本発明の製造方法においては、導電性、加工性に優れ、且つ、入手容易である銅箔を特に好ましく用いることができる。
又、金属配線部13には高い導電性が必要であり、表面抵抗値が、500Ω/□以下が好ましく、300Ω/□以下がより好ましく、更に100Ω/□以下が好ましく、特に50Ω/□以下が好ましい。下限は0.005Ω/□程度である。
[ハンダ層]
COF基板1においては、金属配線部13と電子デバイス2との接合については、ハンダ層14を介した接合を行う。本発明の製造方法においては、ハンダ層14を形成するハンダとして、融点200℃以上、好ましくは融点210℃〜230℃程度であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる高融点ハンダ(本明細書においては「Sn−Ag−Cu系ハンダ」とも言う)を用いる。このハンダは、従来広く用いられてきた融点150℃程度であって、スズ、ビスマスを含有してなる所謂Sn−Bi系の低融点ハンダよりも、固化後の曲げ方向への外力に対する強度や耐久性に優れることが分っている。本発明の製造方法は、上述の通り、アニール処理によりCOF基板1の基板フィルム11の耐熱性を十分に向上させることにより、ハンダ処理時の加熱可能温度の上限界を広めて、上述の高融点ハンダの選択を可能としたものである。
本発明の製造方法に好ましく用いることができる上述の高融点のSn−Ag−Cu系ハンダの具体例としては、Sn、Ag、Cuの含有量比が、それぞれ、Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5で、融点が216℃である高融点ハンダ(商品名「TLF−204−NH」(株)タムラ製作所製)を挙げることができる。このような市場で入手可能な高融点ハンダを用いて、本発明の製造方法を実施することにより、上述の様々な好ましい効果を享受することが可能である。尚、Sn、Ag、Cu以外の少量の添加物により、融点が若干低化している同種のハンダであっても、融点が200℃以上、好ましくは210℃以上のハンダであれば、融点が150℃程度の所謂低温ハンダでは得ることができない本願特有の効果を十分に享受することが可能である。
[絶縁保護層]
絶縁性保護膜15は、熱硬化型インキによって、上述の通り、金属配線部13と基板フィルム11の表面上の電気的接合が必要となる一部分を除いた他の部分に、主としてCOF基板1の耐マイグレーション特性を向上させるために適宜形成される。絶縁性保護膜15としては、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシ系及びフェノール系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、シリコーン系樹脂等、を其々ベース樹脂とする絶縁性インキを好ましく用いることができるインキの代表例として挙げることができる。
又、絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキは、例えば、二酸化チタン等の無機白色顔料を更に含有する白色のインキであってもよい。絶縁性保護膜15を白色化することで、意匠性の向上を図ることができる。又、電子デバイス2がLED発光デバイス等の照明用デバイスである場合、白色の絶縁性保護膜15による光反射によって、上記のLED発光デバイスをCOF基板1に搭載してなる電子装置の照明性能を向上させることができる。
尚、絶縁性保護膜15の形成は、絶縁性の熱硬化型インキによるスクリーン印刷等公知の方法によって行うことができる。
[電子デバイス]
電子デバイス2は、特に限定されないが、絶縁性保護膜15が白色層である場合に、LED発光素子を搭載した電子装置をCOF基板1の特に好ましい実施形態の具体例として挙げることができる。
<COF基板の製造方法>
COF基板1は、従来公知の電子基板の製造方法の一つであるエッチング工程によることができる。又、エッチング工程に先駆けて、予め基板フィルム11を形成する熱可塑性樹脂の耐熱性を向上させておくアニール処理等の耐熱性向上処理を行っておくことが好ましい。
[エッチング工程]
基板フィルム11の表面に、金属配線部13の材料とする銅箔等の金属箔を積層してCOF基板1の材料とする積層体を得る。積層方法としては、金属箔を接着剤によって基板フィルム11の表面に接着する方法、或いは、基板フィルム11の表面に直接にメッキ方法や気相製膜法(スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等)により金属箔を蒸着させる方法を挙げることができる。上述した通り、コストや生産性の面からは、金属箔をウレタン系の接着剤によって、基板フィルム11の表面に接着する方法が有利である。
次に、上記の積層体の金属箔の表面に、金属配線部13の形状にパターニングされたエッチングマスクを形成する。エッチングマスクは、将来、金属配線部13となる金属箔の配線パターン形成部分がエッチング液による腐食を免れるために設けられる。エッチングマスクを形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジスト又はドライフィルムをフォトマスクを通して感光させた後で現像することにより積層シートの表面にエッチングマスクを形成してもよいし、インクジェットプリンター等の印刷技術により積層シートの表面にエッチングマスクを形成してもよい。
次に、エッチングマスクに覆われていない箇所における金属箔を浸漬液により除去する。これにより、金属箔のうち、金属配線部13となる箇所以外の部分が除去される。
最後に、アルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスクを除去する。これにより、エッチングマスクが金属配線部13の表面から除去される。これにより、COF基板1が完成する。尚、COF基板1を効率よく製造するためには、通常、基板フィルム11を形成するための幅広の樹脂シート上に、所望の配線パターンを含む金属配線部13の形成領域を格子状に複数配設したCOF材料を用いる。そしてそのようなCOF材料を、ロール・トゥ・ロールの製造ライン内で、金属配線部13の形成領域毎に裁断する方法によることが一般的である。この裁断の精度を確保するための方法として、例えば、電気二重層コンデンサ用の長尺のシート状電極の製造において、シートの幅方向位置を、シート端部を認識するエッジポジションコントローラ(EPC)によって制御する方法を好ましく用いることができる。
<COF基板を用いた電子装置の製造方法>
本発明の電子装置の製造方法は、以上説明したCOF基板1の金属配線部13にLED発光デバイス等の電子デバイス2を融点200℃以上の高融点ハンダで導電可能に接合することによって、電子装置10とする方法である。
[基板耐熱性向上工程]
この工程は、アニール処理等によって基板フィルム11の耐熱性を上記の高融点ハンダが使用可能となる範囲にまで向上させる工程である。この基板耐熱性向上工程は、COF基板1の製造プロセスの中で予め行っておく工程である。
(アニール処理)
基板耐熱性向上工程を行うための代表的な具体的手段であるアニール処理は、従来公知の熱処理手段を用いることが可能であり、特定の熱処理方法に限定されない。例えば、剥離性の支持機材を積層して行う方法によることもできる。又、アニール処理温度の一例としては、基板フィルム11を形成する熱可塑性樹脂がPENである場合、ガラス転移温度から融点の範囲、更に具体的には160℃から260℃、より好ましくは180℃から230℃の範囲である。アニール処理時間としては、10秒から5分程度が例示できる。このような熱処理条件によれば、一般的に80℃程度であるPENの熱収縮開始温度を、100℃程度に向上させることができる。又、このアニール処理は、続くエッチング処理と連続してインラインで行ってもよいが、同工程とは別途にオフラインで行うことにより、生産性をより向上することができる。例えば、予め別の工場内の専用の熱処理設備でアニール処理を行ったPEN等を、自ら操業する工場に材料として搬入して、以後の工程を行う場合も本発明の実施の範囲である。
[高温ハンダ処理工程]
この工程は、金属配線部13と電子デバイス2との電気的接合を、上述した通り、固化後の強度や耐久性に優れる融点200℃以上のSn−Ag−Cu系ハンダで行う工程である。このハンダによる接合方法は、大別して、リフロー方式、或いは、レーザー方式の2方式のいずれかによって行うことができる。リフロー方式は、金属配線部13にハンダを介して電子デバイス2を搭載し、その後COF基板1をリフロー炉内に搬送して、リフロー炉内で金属配線部13に所定温度の熱風を吹きつけることで、ハンダペーストを融解させ、電子デバイス2を金属配線部13にハンダ付けする方法である。又、レーザー方式とは、レーザーによってハンダを局所的に加熱して、電子デバイス2を金属配線部13にハンダ付けする手法である。本発明に係るこのような高温ハンダ処理は、高い熱負荷がかかる範囲が局所的であるレーザー方式において、特に好ましい処理方法である。
COF基板1の基板フィルム11に従来広く用いられてきたPIよりも透明度の高いPENを用いた場合には、特に金属配線部13が形成されていない基板フィルム11の裏面側からのレーザー方式によるハンダ接合をより好ましい態様で行うことができる。
以上説明した本発明の電子装置の製造方法、によれば、以下のような効果を奏する。
(1) チップオン基板に電子デバイスを実装して電子装置を製造する製造方法において、基板フィルムの耐熱性を向上させる基板耐熱性向上工程を行うことによって、融点200℃以上のSn−Ag−Cu系ハンダによる高温ハンダ処理工程を可能とした。これにより、ハンダ選択の自由度が拡大し、従来、耐熱性の問題によって使用が難しかった高温ハンダを選択することができるようになった。これにより、十分な強度と耐久性を備える良質な電子装置を製造することができる。又、上記の高温ハンダ(融点200℃以上のSn−Ag−Cu系ハンダ)によれば、従来広く用いられてきた低融点のハンダと比較して、金属配線部との接合強度をより高め、又、耐久性(長期信頼性)も向上させることができる。
(2) 熱収縮開始温度が80℃以下の熱可塑性樹脂を用い、これをアニール処理によって熱収縮開始温度100℃以上とした。これにより、(1)の発明を実施する場合における樹脂選択の自由度が増し、よりコストパフォーマンスの高い電子装置の製造が可能となる。
(3) 基板フィルムの材料樹脂をポリエチレンナフタレートとし、これをアニール処理によって熱収縮開始温度を100℃以上とした。これにより、(1)又は(2)の発明を実施する場合において、耐熱性や機械強度には優れるものの、透明性に劣り極めて高価であるPIに代えて、より汎用的で低コストで入手可能なPENが使用可能となった。アニール処理後のPENは、十分な耐熱性を有し、又、透明性においては、PIよりも優位である。にもかかわらず、経済性の面では、PIよりも遙かに安価である。よって、従来品よりも遙かに低コストでありながら、十分な強度と耐久性を備える良質な電子装置を製造することができる。
(4) 無機系の難燃剤を含有する難燃性インキで形成されている絶縁性保護膜15を更に備えるCOF基板1を用いることとした。これにより、又、絶縁性保護膜15を形成する熱硬化型インキを、その熱硬化温度が100℃以下であるものとした。ハンダ加工等による加熱時における絶縁性保護膜15への引火も抑制することができる。これにより、(1)から(3)のいずれかに記載の発明の効果をより確実に安定的に発現させることができる。
1 COF基板
11 基板フィルム
12 接着材層
13 金属配線部
14 ハンダ層
15 絶縁性保護膜
2 電子デバイス
10 電子装置

Claims (4)

  1. 基板フィルムの表面に金属配線部が形成されているチップオン基板に電子デバイスを実装して電子装置を製造する電子装置の製造方法であって、
    前記基板フィルムの熱収縮開始温度を向上させるためのアニール処理を行う基板耐熱性向上工程と、
    前記金属配線部と前記電子デバイスとの電気的接合を、融点200℃以上であって、スズ、銀、及び銅を含有してなる高融点ハンダで行う高温ハンダ処理工程とを備える、電子装置の製造方法。
  2. 前記基板フィルムを形成する熱可塑性樹脂のアニール処理前の熱収縮開始温度が80℃以下であって、前記アニール処理後の該熱可塑性樹脂の熱収縮開始温度が100℃以上である請求項1に記載の電子装置の製造方法。
  3. 前記基板フィルムがポリエチレンナフタレートであって、前記アニール処理によって熱収縮開始温度を100℃以上とする請求項1又は2に記載の電子装置の製造方法。
  4. 前記チップオン基板は、前記基板フィルム及び前記金属配線部の一部を覆って形成される絶縁性保護膜を更に備え、
    該絶縁性保護膜は、無機系の難燃剤を含有する難燃性インキで形成されている請求項1から3のいずれかに記載のチップオン基板。
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