本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
従来、光源装置と、この光源装置から射出された光束を変調して画像情報に応じた画像光を形成する光変調装置と、この画像光をスクリーン等に拡大投写する投写レンズとを備えたプロジェクターが知られている。このうち、光源装置には、超高圧水銀ランプ等の放電型の発光管が採用される場合が多く、発光管は発光時に高温状態となる。
なお、発光管は上部が高温となり易く、高温状態が続くと白化が生じ、また、発光部の下部が低温になり過ぎた場合には、黒化が生じる。いずれの場合にも、失透の原因となるため、発光管の上部を冷却すると共に下部も低温になり過ぎないように冷却することが必要となる。
特許文献1では、発光管と主反射鏡を内部に収納するハウジングを備え、ハウジングは主反射鏡の光射出前方側に設けられて発光管を囲む筒体と、筒体外面に設けられ、筒体の周方向に空気を流通させるダクト部材を備え、筒体の上面部には、ダクト部材を介した空気を筒体に導入するための上側導入口が形成され、上側導入口は、筒体を上方向から見た場合に上側導入口の中心位置が発光管の中心軸に対してダクト部材における空気の上流側にずれた位置に形成されることが開示されている。この構成により、ダクト部材の流路を短くすることができることにより、空気がダクト部材を流通する際の抵抗を小さくでき、上側導入口を介して発光部に送風する際の空気の流速や流量を十分に確保できるとしている。
特許文献1によると、1つの上側導入口を用いて発光管の冷却を行っていた。なお、発光管(発光部)の発光効率が近年高くなってきたため、発光管を更に効率的に冷却できる光源装置の構成が課題となっていた。従って、発光管の冷却効率を向上できる光源装置及びプロジェクターが要望されていた。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る光源装置は、光束を射出する発光部を有する発光管と、発光管を固定して光束を被照明領域側に向けて反射させるリフレクターと、リフレクターを収容することにより、発光管を冷却する冷却風を流動させる空間領域を形成するハウジングと、を備え、ハウジングには、空間領域内に冷却風が吐出される3つの吐出口が並設され、鉛直方向から見た場合、3つの吐出口のうち第1の吐出口の中心は、発光管の光軸と略一致するように設置され、鉛直方向から見た場合、第2、第3の吐出口は第1の吐出口の光軸に対する両側にそれぞれ並設されていることを特徴とする。
このような光源装置によれば、発光管の光軸と略一致するように設置された第1の吐出口の両側に並設された第2、第3の吐出口から吐出された冷却風が、第1の吐出口から吐出された冷却風を、両側から挟むように流動することにより、冷却風の吐出方向(流動方向)を一定とさせることができる。これにより、第1の吐出口を発光管の光軸と略一致するように設置すれば冷却風を発光管の上部に流すことができ、発光管を効率的に冷却することができる。
[適用例2]上記適用例に係る光源装置において、3つの吐出口を鉛直方向から見た場合、第2、第3の吐出口に冷却空気を分岐して流動させる流路は、第1の吐出口に向けて傾斜して形成されていることが好ましい。
このような光源装置によれば、第2、第3の吐出口に冷却空気を分岐して流動させる流路が、第1の吐出口の方向に傾斜して形成されていることにより、第2、第3の吐出口から吐出された冷却風を、第1の吐出口から吐出された冷却風に衝突させて混合させることができる。これにより、冷却に有効な乱流を含む冷却風とすることができる。従って、更に、発光管の冷却効率を向上させることができる。
[適用例3]上記適用例に係る光源装置において、3つの吐出口を鉛直方向から見た場合、第2、第3の吐出口は、第1の吐出口に向けて傾斜して形成されていることが好ましい。
このような光源装置によれば、第2、第3の吐出口を、第1の吐出口の方向に傾斜して形成された場合においても、冷却風を冷却に有効な乱流を含むようにすることができる。従って、更に、発光管の冷却効率を向上させることができる。
[適用例4]上記適用例に係る光源装置において、3つの吐出口を鉛直方向から見た場合、第2、第3の吐出口は、第1の吐出口に対して略対称に形成されていることが好ましい。
このような光源装置によれば、第2、第3の吐出口は、第1の吐出口に対して略対称に形成されていることにより、第2、第3の吐出口から吐出された冷却風を、第1の吐出口から吐出された冷却風に略同じ位置で衝突して混合させることができる。これにより、冷却風の流動方向が制御し易くなり、より流動方向が安定し、冷却風を直進させることができる。従って、更に発光管を効率的に冷却することができる。
[適用例5]上記適用例に係る光源装置において、3つの吐出口は、第1の吐出口から吐出される冷却風が、第1の吐出口と発光部との間の空間領域で、第2、第3の吐出口から吐出される冷却風と衝突するように形成されることが好ましい。
このような光源装置によれば、第1の吐出口から吐出された冷却風は、第2、第3の吐出口から吐出された冷却風により、第1の吐出口と発光部との間の空間領域で衝突して混合されることにより、冷却風の流動方向を安定させることができ、冷却に有効な乱流を含む冷却風とすることができる。そして、このような冷却風が発光部に直接当たることにより、更に発光部を効率的に冷却することができる。
[適用例6]上記適用例に係る光源装置において、3つの吐出口は、冷却風が衝突する位置が、第1の吐出口と発光部とを結ぶ中間位置より第1の吐出口側の位置であることが好ましい。
このような光源装置によれば、衝突する位置が、第1の吐出口と発光部とを結ぶ中間位置より第1の吐出口側の位置であることにより、第1の吐出口から吐出された冷却風が、第2、第3の吐出口から吐出された冷却風と空間領域のより上流側で衝突することで、空間領域内での冷却風の流動方向を更に安定させることができる。従って、更に発光部を効率的に冷却することができる。
[適用例7]上記適用例に係る光源装置において、ハウジングは、3つの吐出口に対して光軸を通る水平面に対して略対称となるように設置される別の3つの吐出口を有していることが好ましい。
このような光源装置によれば、机等の設置面に載置される正置き姿勢と、正置き姿勢とは上下が逆になるように天井等に固定される天吊り姿勢とのいずれの姿勢であっても、3つの吐出口を使用して発光管を冷却することができる。従って、光源装置の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)によらずに、発光管を効率的に冷却することができる。これらにより、光源装置の長寿命化を図ることができる。
[適用例8]本適用例に係るプロジェクターは、上述したいずれかの光源装置と、光源装置から射出される光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、を備えることを特徴とする。
このようなプロジェクターによれば、発光管の冷却効率を向上できる光源装置を備えることにより、所定の輝度の画像光を長期間投写することができる。また、この効果は、プロジェクターの姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)に関係なく奏することができる。
本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を模式的に示す図。
光源装置本体を模式的に示す縦断面図。
光源装置の外観構成を示す斜視図。
光源装置を上方から見た平面図。
第1固定枠体を示す斜視図。
第1固定枠体を示す斜視図。
光源装置を上方から見た場合の冷却風の流動を模式的に示す図。
光源装置を側方から見た場合の冷却風の流動を模式的に示す図。
〔実施形態〕
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクター1は、画像情報に応じた画像光を形成してスクリーン(図示省略)上に投写する。プロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2、外装筐体2内部に配設される光学ユニット3、及び冷却ファン4等で大略構成されている。
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、制御装置(図示省略)による制御に基づき、画像情報(画像信号)に応じて画像光を形成して投写する。光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置5と、レンズアレイ311,312、偏光変換素子313、重畳レンズ314、及び平行化レンズ315を有する照明光学装置31とを備える。また、光学ユニット3は、ダイクロイックミラー321,322、及び反射ミラー323を有する色分離光学装置32と、入射側レンズ331、リレーレンズ333、及び反射ミラー332,334を有するリレー光学装置33を備える。
また、光学ユニット3は、光変調装置としての3つの液晶パネル341、3つの入射側偏光板342、3つの射出側偏光板343、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム344を有する光学装置34と、光学装置34で形成された画像光を投写する投写光学装置としての投写レンズ35とを備える。そして、光学ユニット3は、内部に設定された照明光軸A上の所定位置に各光学部品31〜34を収容する光学部品用筐体36を備える。
光学ユニット3は、上述した構成により、光源装置5から射出され照明光学装置31を介した光束は、色分離光学装置32でR光、G光、B光の3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各液晶パネル341で画像情報に応じてそれぞれ変調される。変調された各色光は、クロスダイクロイックプリズム344で画像光として合成され、投写レンズ35を介してスクリーンに投写される。
なお、光学部品31〜35については、種々の一般的なプロジェクターの光学系として利用されているため、具体的な説明を省略し、以下では、光源装置5の構成のみを説明する。
〔光源装置の構成〕
図2は、光源装置本体5Aを模式的に示す縦断面図である。
なお、本実施形態を説明する以降の図面は、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いて示す。詳細には、プロジェクター1を正置き姿勢とした場合に、光源装置5から射出される光束に沿う方向、すなわち光源装置5の光軸Aに沿う方向をY方向とし、光束の進行方向を+Y方向とする。また、プロジェクター1から射出される光束に沿う方向をX方向とし、プロジェクター1からの光束の射出方向を+X方向とする。更に、Y方向及びX方向に直交する鉛直方向ををZ方向とし、上方向(重力方向に対して逆方向)を+Z方向とする。なお、+Y方向を前方向(−Y方向を後方向)、+X方向を左方向(−X方向を右方向)、+Z方向を上方向(−Z方向を下方向)として、適宜使用する。
光源装置5は、図1に示すように、発光管51とリフレクター52とを有する光源装置本体5Aと、平行化レンズ54とを備えるほか、これらを内部に収容するハウジング57とを備える。発光管51は、図2に示すように、略球状に膨出する発光部511と、発光部511を挟み、発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513とを有する。なお、以下では、説明の便宜上、一対の封止部512,513のうち、前方側の封止部512を前側封止部512と記載し、後方側の封止部513を後側封止部513と記載する。
発光部511の内部には、一対の電極E1,E2が配置され、一対の電極E1,E2間には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間が形成されている。各封止部512,513内部には、電極E1,E2とそれぞれ電気的に接続されたモリブデン製の金属箔5121,5131が挿入され、各封止部512,513における発光部511側とは反対側の端部は、ガラス材料等で封止されている。
これら各金属箔5121,5131には、発光管51の外部まで延出する電極引出線514,515がそれぞれ接続され、これら電極引出線514,515に対して、電圧が印加されると、発光部511内部が発光する。なお、前側封止部512に設けられた電極引出線514には、光源装置5外部に配設されるコネクター(図示省略)に接続するリード線516の一端が接続されている。
リフレクター52は、入射した光束を反射して、所定の焦点位置に収束させる。そして、発光管51は、発光部511の発光中心がリフレクター52の焦点位置に位置するように、後側封止部513が接着剤(図示省略)によりリフレクター52の円筒状の開口部521に部分的に固定される。
図3は、光源装置5の外観構成を示す斜視図であり、図3(a)は、光源装置5を前方の上方から見た斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す光源装置5からダクト8を取り外した状態の斜視図である。なお、光源装置5は、プロジェクター1が正置き姿勢で設置された場合での光源装置5の姿勢状態を示している。
光源装置5は、上述したように、光源装置本体5Aと平行化レンズ54とハウジング57とを備える。ハウジング57は、光源装置本体5Aを内部に収容して固定するほか、平行化レンズ54を支持する。ハウジング57は、図3に示すように、大略、固定枠体7とダクト8とを備える。
固定枠体7は、第1固定枠体7Aと第2固定枠体7Bとを備える。第1固定枠体7Aは、ダクト8を固定することで冷却風の流路を構成する。また、第1固定枠体7Aは、平行化レンズ54を支持固定する。第2固定枠体7Bは、リフレクター52の背面側(後側)を覆うことで、後側封止部513から延出する電極引出線515を使用者が直接触れないように保護する。なお、第2固定枠体7Bは、第1固定枠体7Aにネジ固定されて固定枠体7として一体となる。
また、第2固定枠体7Bには、リフレクター52の外面側に空気を流して冷却するための開口7B1が設置されている。そして、第2固定枠体7Bには、光源装置5を脱着する際に把持する把持部7B2が設置される。
〔ダクトの構成〕
ダクト8は、図3に示すように、固定枠体7(詳しくは、後述する第1固定枠体7Aの上面部71、底面部72、及び右側面部73)に取り付けられる。ダクト8は、冷却ファン4(図1参照)から吐出された冷却風を、第1固定枠体7Aの内部に流動させるものである。
ダクト8は、照明光軸Aを通るXY平面に対して略対称に、概U字状に構成されている。ダクト8は、図3(b)に示すように、内部が開放された中空の状態に構成され、第1固定枠体7Aに固定されることにより、流路を構成する。
なお、ダクト8において、上側で、左側(+X方向)に延びる部分を第2ダクト部82と称し、下側で、左側(+X方向)に延びる部分を第3ダクト部83と称し、開口部811が形成され、第2ダクト部82と第3ダクト部83とを接続させて上下方向(Z方向)に延びる部分を第1ダクト部81と称して、以降、適宜使用する。
ダクト8内部には、回動自在に支持される板状の流動切替部85が開口部811に臨んで設置されている。流動切替部85は、一対の支軸(図示省略)を中心に回動自在であり、自身の自重により重力方向に回動して傾斜(本実施形態ではY方向に対して約45度傾斜)した状態となる。流動切替部85が回動することにより、下方向の流路を塞ぐ状態となる。従って、プロジェクター1が正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれの姿勢であっても、開口部811から流入した冷却風は、流動切替部85に衝突し、重力方向に対して逆となる方向(上方向)に流動する。
ダクト8は、図3(b)に示すように、第1固定枠体7Aの右側面部73の方向(−X方向)から左側面部74の方向(+X方向)にスライドさせ、ネジ固定することで、固定枠体7(第1固定枠体7A)と一体となる。詳細には、後述する第1固定枠体7Aの上面部71の開口部71Aに、ダクト8の第2ダクト部82を沿わせ、第1固定枠体7Aの底面部72の開口部(図示省略)に、ダクト8の第3ダクト部83を沿わせ、右方向(−X方向)から左方向(+X方向)にスライドさせる。その後、ネジ固定する。
この組み立てにより、図3(a)に示すように、第1固定枠体7Aの上面部71と底面部72と右側面部73とがダクト8により覆われる。詳細には、第1固定枠体7Aの右側面部73が第1ダクト部81により覆われ、第1固定枠体7Aの上面部71が第2ダクト部82により覆われ、第1固定枠体7Aの底面部72が第3ダクト部83により覆われる。その結果、右側面部73と第1ダクト部81により流路が構成され、上面部71と第2ダクト部82により流路が構成され、底面部72と第3ダクト部83により流路が構成される。これにより、開口部811から流入する冷却風は流路内を流動可能となる。
〔第1固定枠体の構成〕
図4は、光源装置5を上方から見た平面図である。なお、第2固定枠体7Bとダクト8は外してある。図5、図6は、第1固定枠体7Aを示す斜視図である。なお、図5は、第1固定枠体7Aを前方(+Y方向)の上方(+Z方向)から見た斜視図であり、図6は、第1固定枠体7Aを後方(−Y方向)の下方(−Z方向)から見た斜視図である。
第1固定枠体7Aは、光源装置本体5A及び平行化レンズ54を保持固定する。第1固定枠体7Aは、図5に示すように、概4角柱状の箱型形状を有して構成される。詳細には、第1固定枠体7Aは、上下方向に位置する上面部71及び底面部72と、左右方向に位置する右側面部73及び左側面部74とを有する。そして、前後方向に位置する前面部75及び後面部76を有する。また、第1固定枠体7Aは、後面部76にリフレクター52を固定し、前面部75に平行化レンズ54を保持することにより、発光管51を冷却する冷却風を流動させる空間領域S(図7参照)を形成する。
第1固定枠体7Aの上面部71には、右方向及び上方向に開放される開口部71Aが形成される。開口部71Aは、前述のダクト8(第2ダクト部82)により閉塞される。従って、ダクト8(第1ダクト部81と第2ダクト部82)内を流動した冷却風が、第1固定枠体7A内に導入される。
前面部75は、図5に示すように、第1固定枠体7A内に収容された光源装置本体5Aから射出された光束を前方向に透過させる概8角形状の開口部751が形成される。開口部751の前方外面には概8角形状の内面形状を有する案内部752が形成される。この案内部752に平行化レンズ54が前方(+Y方向)から挿入される。
案内部752に平行化レンズ54を挿入した後、図3に示すように、概矩形状の板状で弾性を有して形成され、中心部に開口部5411を有する平行化レンズ固定枠541を、平行化レンズ54の前方から押し当て、第1固定枠体7Aの前面部75の上下方向(上面部71、底面部72)に形成される突起に引っ掛ける。これにより、平行化レンズ54は第1固定枠体7Aの前面部75に支持固定される。
第1固定枠体7A(上面部71)の開口部71A内には、図4、図5に示すように、上方(鉛直方向)から見て照明光軸Aに中心が略一致するように設置される第1吐出口711および第1吐出口711の照明光軸Aに対する両側に並設される第2吐出口712、第3吐出口713の3つの吐出口が形成される。詳細には、照明光軸Aを通る垂直面上に中心が略一致するように第1吐出口711が設置され、第2吐出口712、第3吐出口713は、第1吐出口711に対して略対称に形成される。なお、3つの吐出口は、右側(−X方向)から、第2吐出口712、第1吐出口711、第3吐出口713の順に設置されている。
また、開口部71A内には、図4、図5に示すように、ダクト8(第2ダクト部82)内を流動した冷却風を3つの吐出口に分岐してそれぞれ流動させる3つの流路を備えている。詳細には、3つの流路として、第1吐出口711に流動させる第1流路711A、第2吐出口712に流動させる第2流路712A、第3吐出口713に流動させる第3流路713Aを備える。
第2流路712Aは、壁部7121と溝部7122とを有している。壁部7121は、第2ダクト部82内を流動してきた冷却風を遮ることで、所定の流量の冷却風を溝部7122に流動させて、第2吐出口712に導く。
第1流路711Aは、壁部7111と溝部7112とを有し、また、第2流路712Aを構成する壁部7121も有して構成される。壁部7111は、第2ダクト部82内を流動し、壁部7121を乗り越えてきた冷却風を遮ることで、所定の流量の冷却風を溝部7112に流動させて、第1吐出口711に導く。
第3流路713Aは、壁部7131と溝部7132とを有し、また、第1流路711Aを構成する壁部7111も有して構成される。壁部7131は、第2ダクト部82内を流動し、2つの壁部7121,7111を乗り越えてきた冷却風を遮ることで、所定の流量の冷却風を溝部7132に流動させて、第3吐出口713に導く。また、壁部7131は、ダクト8(第2ダクト部82)の先端部を封止する壁として機能する。
第2流路712Aの壁部7121と溝部7122、及び、第3流路713Aの壁部7111と溝部7132とは、図4に示すように、上方向から見た場合、照明光軸Aに対称に形成され、第1吐出口711の方向に傾斜して形成されている。この構成により、両側の2つの吐出口(第2吐出口712、第3吐出口713)もまた、第1吐出口711に向けて傾斜して形成されている。詳細には、第2吐出口712及び第3吐出口713は、上面部71を垂直方向(Z方向)から見た場合、照明光軸Aを中心としてそれぞれ角度αを有して傾斜して形成されている。
上記構成によって、第1流路711Aは、図4に示すように、壁部7111と壁部7121とは、第1吐出口711の方向に行くに従い狭まる状態となる。これにより、第1吐出口711から吐出される冷却風は、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出される冷却風に比べて圧力が高く噴流となって吐出される。
第1固定枠体7Aの底面部72にも、開口部71Aと略同様に、右方向及び下方向に開放される開口部(図示省略)が形成される。開口部は、ダクト8(第3ダクト部83)により閉塞される。従って、プロジェクター1が天吊り状態において、ダクト8の開口部811を介して、ダクト8(第1ダクト部81と第3ダクト部83)内を流動した冷却風が、第1固定枠体7A内に導入される。
また、底面部72の開口部には、照明光軸Aを通る水平面(XY平面)に対称に、上面部71の開口部71Aに形成された流路および吐出口と同様の構成が形成されている。従って、3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)に対応して、対称に別の3つの吐出口(第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口(いずれも図示省略))が形成される。また、それに併せて、それぞれ流路(図示省略)も形成される。
図6に示すように、第1固定枠体7Aの後面部76には、後方(−Y方向)に開放される概矩形状の開口部76Aが形成される。矩形状の開口部76A内部には、一段窪んで内面側に形成される保持部767を有している。この保持部767にリフレクター52の先端コーナー部を含めた先端部を当接させて光源装置本体5Aを保持する。
図6に示すように、開口部76Aの上方向(発光管51の上側)で、保持部767の下側に並設される3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)が露出している。
図6に示すように、3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)は、光束が透過する開口部751の外側に形成されている。換言すると、3つの吐出口は、リフレクター52で反射された光束が透過する領域の外側に形成されている。また、第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口も同様に形成される。
図5、図6に示すように、開口部751から右側面部73側に向けて延出する壁の鉛直方向における略中央には、矩形状の開口部731が形成される。開口部731は、ダクト8(第1ダクト部81)を流動する冷却風の一部を第1固定枠体7A内部(空間領域S)に吐出し、吐出した冷却風を、図2に示すように、発光管51(前側封止部512)の電極引出線514と金属箔5121との接続部に主に吹き付けて冷却するための開口である。
図6に示すように、第1固定枠体7Aの左側面部74の壁の鉛直方向略中央には、矩形状の排気口741が形成される。排気口741は、空間領域Sを流動し、温まった冷却風を第1固定枠体7A(ハウジング57)から外部に排気するための開口である。
〔冷却風の流動〕
図7は、光源装置5を上方から見た場合の冷却風Arの流動を模式的に示す図である。図8は、光源装置5を側方(+X方向)から見た場合の冷却風Arの流動を模式的に示す図である。なお、図7では、第1固定枠体7Aと光源装置本体5Aを上方から見た図で示し、3つの吐出口周辺の第1固定枠体7Aと光源装置本体5Aは概断面図で示している。また、図8では、光源装置5を、照明光軸Aを通るYZ平面で切断した断面図で示している。なお、図7、図8では、冷却風Arの流動を矢印で模式的に示している。
以降では、プロジェクター1が正置き姿勢で設置されている状態での光源装置5を冷却する冷却風Arの流動について説明する。
冷却ファン4(図1参照)から吐出された冷却風(冷却風Arとする)は、ダクト8の開口部811を介してダクト8内に流入する。そして、冷却風Arは、自重によって回動する流動切替部85(図3参照)によって上方(+Z方向)に向かって第1ダクト部81内を流動し、接続する第2ダクト部82内に流入する。
なお、開口部811から流入した冷却風Arの一部は、開口部731(図5参照)を介して空間領域S内に吐出される。この冷却風は、上述したように、図2に示す発光管51(前側封止部512)の電極引出線514と金属箔5121との接続部に主に吹き付けることにより、接続部を冷却し、冷却して温まった冷却風は、排気口741からハウジング57外部に排気される。
第2ダクト部82内に流入した冷却風Arは、図7に示すように、第1流路711A、第2流路712A、第3流路713Aにより分岐されて流動し、第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713から空間領域S内に吐出される。ここで、第1吐出口711から吐出された冷却風を冷却風Ar1とする。また、第2吐出口712から吐出された冷却風を冷却風Ar2とする。また、第3吐出口713から吐出された冷却風を冷却風Ar3とする。
なお、第2吐出口712、第3吐出口713および第2流路712A、第3流路713Aは、上述したように、第1吐出口711の方向に傾斜(照明光軸Aを中心として角度α傾斜)して形成されているため、図7に示すように、冷却風Ar2,Ar3は、上面部71を垂直方向(Z方向)から見た場合、角度α(水平面(XY平面)における角度α)傾斜して吐出される。なお、冷却風Ar1は、上面部71を垂直方向から見た場合、照明光軸Aに沿う方向に吐出される。
また、図8に示すように、冷却風Ar1,Ar2,Ar3は、側方(X方向)から見た場合、上下方向における3つの吐出口が設置される位置が略同一であるため、鉛直平面(YZ平面)での吐出される冷却風Ar1,Ar2,Ar3の側方から見た場合の照明光軸Aに対する角度は略同一となって、発光部511に向けた方向に吐出される。
第2吐出口712、第3吐出口713から、空間領域S内に吐出された冷却風Ar2,Ar3は、冷却風Ar1に対して角度α傾斜しているため、図7に示すように、第1吐出口711と発光部511との間で、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に衝突する。衝突する位置は、本実施形態では符号Bで示す領域となる。詳細には、図8に示すように、領域Bは、第1吐出口711と発光部511との中間位置を示す線Cより第1吐出口711側の位置に設定している。
冷却風Ar2,Ar3が冷却風Ar1に対して両側から衝突することにより、3つの冷却風(冷却風Ar1,Ar2,Ar3)は混合された状態となる。そして、混合された冷却風(この冷却風をAr4とする)は、図7、図8に示すように、発光部511に向けて流動し、発光部511の上部に吹き付けられる。この冷却風Ar4は、3つの冷却風(冷却風Ar1,Ar2,Ar3)が混合されたことにより、冷却に有効となる乱流成分が発生し、発光部511の上部に冷却風Ar4が衝突した時の熱交換が促進される。また、冷却風が直線状に流れるようになるため流動方向が安定し、発光部511の上部に冷却風が向かうようになる。
なお、領域Bを第1吐出口711と発光部511との中間位置を示す線Cより第1吐出口711側の位置で衝突させることにより、冷却風Ar1(冷却風Ar4)の流動方向を空間領域Sのより上流側で安定させるように制御している。
冷却風Ar4が、発光部511の上部に吹き付けることにより、発光部511の上部が冷却される。また、冷却風Ar4は、一部が、発光部511の下部側にも流動して発光部511の下部も冷却する。なお、冷却風Ar4により、空間領域S内部全体も冷却される。そして、各部を冷却して温まった冷却風Ar4は、排気口741(図6参照)及びリフレクター52の開口部521(図2参照)からハウジング57の外部に排気される。
なお、上記では、プロジェクター1が正置き姿勢で設置されている場合での光源装置5を冷却する冷却風Arの流動について説明したが、プロジェクター1が天吊り姿勢で、天井等に設置されている場合での光源装置5を冷却する冷却風Arの流動についても、同様の流動となる。異なるのは、光源装置5が上下逆転することにより、冷却風Arが、流動切替部85により、第1ダクト部81と第3ダクト部83内を流動して、第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口にそれぞれ分岐されて吐出されることである。
なお、第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口は、上述した通り、照明光軸Aを通る水平面(XY平面)に対して、第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713と略対称に形成されているため、空間領域S内部での冷却風Arの流動も同様となり、冷却動作も略同様となる。従って、説明は省略する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の光源装置5において、ハウジング57(第1固定枠体7A)は、空間領域S内に冷却風を吐出する3つの吐出口を有し、3つの吐出口は、発光管51の上側で、照明光軸Aと第1吐出口711の中心が略一致し、第2吐出口712、第3吐出口713はそれぞれ第1吐出口711の両側に並設されるように形成されている。また、第2吐出口712、第3吐出口713および第2流路712A、第3流路713Aは、第1吐出口711に対して対称で、角度α傾斜して形成される。これにより、第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3を、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に略同じ位置で衝突させて混合させることができる。これにより、冷却に有効な乱流を含む冷却風Ar4とすることができると共に、冷却風Ar4(冷却風Ar1)の流動方向が制御し易くなり、流動方向が安定し、冷却風を直進させることができる。従って、発光管51(発光部511)を効率的に冷却することができる。
本実施形態の光源装置5において、ハウジング57(第1固定枠体7A)の第1吐出口711は、冷却風Ar1を発光部511に向けて吐出しているため、直接、発光部511を冷却することができる。また、両側の第2吐出口712、第3吐出口713からの冷却風Ar2,Ar3が衝突して混合され、その混合された冷却風Ar4が発光部511に流動されることにより、効率的に発光部511を冷却することができる。
本実施形態の光源装置5において、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1は、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3により、第1吐出口711と発光部511との間の空間領域Sで衝突して混合される。そして、混合される位置は、第1吐出口711と発光部511とを結ぶ中間位置より第1吐出口711側の位置(領域B)である。これにより、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1が、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3により、直ちに衝突して混合されることで、空間領域Sのより上流側で冷却風Ar4(冷却風Ar1)の流動方向を安定させることができる。よって冷却風Ar4の位置の調整がさらに容易になる。従って、更に発光部511を効率的に冷却することができる。
本実施形態の光源装置5において、ハウジング57(第1固定枠体7A)は、3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)に対して、照明光軸Aを通る水平面(XY平面)に略対称となるように設置される別の3つの吐出口(第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口)を有している。これにより、机等の設置面に載置される正置き姿勢と、正置き姿勢とは上下が逆になるように天井等に固定される天吊り姿勢とのいずれの姿勢であっても、発光管51の上側となる3つの吐出口を使用して発光管51を冷却することができる。従って、光源装置5の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)によらずに、発光管51を効率的に冷却することができる。これらにより、光源装置5の長寿命化を図ることができる。
本実施形態のプロジェクター1は、上述したように、発光管51の冷却効率を向上できる光源装置5を備えていることにより、所定の輝度の画像光を長期間投写することができる。また、この効果は、プロジェクター1の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)に関係なく奏することができる。
本実施形態のプロジェクター1は、発光管51の冷却効率を向上できる光源装置5を備えていることにより、光源装置本体5Aの輝度が向上した場合に、例えば、冷却ファン4の大型化や、冷却ファン4の駆動電圧を上げること等を極力抑えることができるため、プロジェクター1の大型化を抑制でき、騒音も抑制できる。また、発光管51の発光効率が従来と同様の場合には、プロジェクター1の小型化が図れ、低騒音化も図ることができる。また、この効果は、プロジェクター1の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)に関係なく奏することができる。
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
前記実施形態の光源装置5において、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3をぶつけて混合させている。しかし、これに限られず、隣り合って設置された3つの吐出口(例えば、第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)は、それぞれ発光部511に向けて冷却風を吐出し、途中で衝突しない構成としてもよい。このような構成によっても、両側の吐出口から吐出される冷却風が、中央の吐出口から吐出される冷却風を、両側から挟む形態で流動することにより、冷却風の吐出方向(流動方向)を一定とさせることができる。これにより、冷却風の流動方向を制御でき、冷却風を発光管51の上部に流して発光管51(発光部511)を効率的に冷却することができる。
前記実施形態の光源装置5において、第1吐出口711から吐出される冷却風Ar1は、第1吐出口711と発光部511とを結ぶ中間位置より第1吐出口711側の位置で、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出される冷却風Ar2,Ar3と混合される。しかし、これに限られず、冷却風Ar1は、第1吐出口711と発光部511との間の空間領域Sで、冷却風Ar2,Ar3と混合されることでもよい。
前記実施形態の第1固定枠体7Aにおいて、第2吐出口712と第3吐出口713とは、第1吐出口711に対して、角度αで傾斜して形成されている。それにより、第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3は、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に対して略同じ位置(領域B)で衝突して混合される。しかし、第2吐出口712と第3吐出口713、第2流路712Aと第3流路713Aとの、第1吐出口711に対する形成角度は、同じでなくてもよい。言い換えると、第2吐出口712と第3吐出口713、第2流路712Aと第3流路713Aとは、第1吐出口711の方向に傾斜して形成されていることでよい。例えば、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に対して、両側の第2吐出口712と第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3が冷却風Ar1にそれぞれ異なる位置でぶつかり、混合させることでもよく、結果的に、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1(混合された冷却風Ar4)が冷却対象物に向かって流動できればよい。
前記実施形態の第1固定枠体7Aにおいて、第2吐出口712と第3吐出口713、および第2流路712Aと第3流路713Aの両方が、第1吐出口711に対して、角度αで傾斜して形成されている。しかし、これに限られず、第2吐出口712と第3吐出口713のみを第1吐出口711に対して、角度αで傾斜して形成しても良いし、第2流路712Aと第3流路713Aのみを角度αで傾斜して形成しても良い。冷却風Ar2,Ar3が冷却風Ar1と衝突するように設定すれば同様の効果を得ることができる。
前記実施形態の光源装置5では、第2吐出口712、第3吐出口713から空間領域Sに吐出される冷却風Ar2,Ar3の風量、風圧が略同様となるように、第2吐出口712、第3吐出口713が形成されている。しかし、これに限られず、冷却風Ar2,Ar3の風量、風圧は異なっていてもよい。
前記実施形態の光源装置本体5Aは、発光管51とリフレクター52とを有して構成されている。しかし、これに限られず、発光部511の前側封止部512側の略半分を覆うように発光管51に固定され、発光部511から前側封止部512側に射出された光束をリフレクター52側に反射させるいわゆる副反射鏡を有していてもよく、同様の効果を奏することができる。
前記実施形態の光源装置5は、平行化レンズ54を備えているが、備えていなくてもよい。
前記実施形態の発光管51としては、高輝度発光する種々の放電型のランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、及び超高圧水銀ランプ等を採用することができる。
前記実施形態の光学ユニット3は、R光、G光、B光に対応する3つの光変調装置(液晶パネル341)を用いる、いわゆる3板方式を採用している。しかし、これに限られず、単板方式の光変調装置を採用してもよい。また、コントラストを向上させるための光変調装置を追加して採用してもよい。
前記実施形態の光学ユニット3は、透過型の光変調装置(透過型の液晶パネル)を採用している。しかし、これに限られず、反射型の光変調装置を採用してもよい。
前記実施形態の光学ユニット3は、光変調装置として液晶パネル341を採用している。しかし、これに限られず、一般に、入射光束を画像情報に応じて変調するものであればよく、例えば、マイクロミラー型の光変調装置等、他の方式の光変調装置を採用することができる。なお、マイクロミラー型の光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。
前記実施形態の光学ユニット3は、光源装置5から射出された光束の照度を均一化する照明光学装置31として、レンズアレイ311,312からなるレンズインテグレーター光学系を採用している。しかし、これに限定されるものではなく、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系も採用することができる。
1…プロジェクター、5…光源装置、5A…光源装置本体、7…固定枠体、7A…第1固定枠体、8…ダクト、51…発光管、52…リフレクター、57…ハウジング、341…液晶パネル、511…発光部、711…第1吐出口、712…第2吐出口、713…第3吐出口、A…照明光軸、Ar,Ar1,Ar2,Ar3,Ar4…冷却風、S…空間領域。
本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。
従来、光源装置と、この光源装置から射出された光束を変調して画像情報に応じた画像光を形成する光変調装置と、この画像光をスクリーン等に拡大投写する投写レンズとを備えたプロジェクターが知られている。このうち、光源装置には、超高圧水銀ランプ等の放電型の発光管が採用される場合が多く、発光管は発光時に高温状態となる。
なお、発光管は上部が高温となり易く、高温状態が続くと白化が生じ、また、発光部の下部が低温になり過ぎた場合には、黒化が生じる。いずれの場合にも、失透の原因となるため、発光管の上部を冷却すると共に下部も低温になり過ぎないように冷却することが必要となる。
特許文献1では、発光管と主反射鏡を内部に収納するハウジングを備え、ハウジングは主反射鏡の光射出前方側に設けられて発光管を囲む筒体と、筒体外面に設けられ、筒体の周方向に空気を流通させるダクト部材を備え、筒体の上面部には、ダクト部材を介した空気を筒体に導入するための上側導入口が形成され、上側導入口は、筒体を上方向から見た場合に上側導入口の中心位置が発光管の中心軸に対してダクト部材における空気の上流側にずれた位置に形成されることが開示されている。この構成により、ダクト部材の流路を短くすることができることにより、空気がダクト部材を流通する際の抵抗を小さくでき、上側導入口を介して発光部に送風する際の空気の流速や流量を十分に確保できるとしている。
特許文献1によると、1つの上側導入口を用いて発光管の冷却を行っていた。なお、発光管(発光部)の発光効率が近年高くなってきたため、発光管を更に効率的に冷却できる光源装置の構成が課題となっていた。従って、発光管の冷却効率を向上できる光源装置及びプロジェクターが要望されていた。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る光源装置は、光束を射出する発光部を有する発光管と、発光管を固定し、発光管からの光束を反射させるリフレクターと、リフレクターを収容し、発光管を冷却する冷却風を流動させる空間領域を有するハウジングと、を備え、ハウジングは、固定枠体と、固定枠体に固定されて冷却風の流路を構成するダクトと、を備え、固定枠体には、空間領域内に冷却風を分岐して吐出する第1の吐出口、第2の吐出口、第3の吐出口を含む3つの吐出口が形成され、鉛直方向から見た場合、第1の吐出口の中心は、発光管の光軸と略一致する位置に設置され、第2吐出口および第3の吐出口は、第1の吐出口に対して略対称の位置に配置され、固定枠体は、3つの吐出口に対して光軸を通る水平面に対して略対称となる位置に配置される別の3つの吐出口をさらに有していることを特徴とする。
このような光源装置によれば、発光管の光軸と略一致するように設置された第1の吐出口に対して略対称の位置に配置された第2、第3の吐出口から吐出された冷却風が、第1の吐出口から吐出された冷却風を、両側から挟むように流動することにより、冷却風の吐出方向(流動方向)を一定とさせることができる。これにより、第1の吐出口を発光管の光軸と略一致するように設置すれば冷却風を発光管の上部に流すことができ、発光管を効率的に冷却することができる。また、3つの吐出口に対して光軸を通る水平面に対して略対称となる位置に配置される別の3つの吐出口をさらに有することにより、当該光源装置が上下逆の設置姿勢になっても、発光管を効率的に冷却することができる。
[適用例2]上記適用例に係る光源装置において、鉛直方向から見た場合、前記第2、第3の吐出口は、前記冷却風の流動方向に対し前記第1の吐出口側に傾斜していることが好ましい。
このような光源装置によれば、第2、第3の吐出口が、第1の吐出口の方向に傾斜して形成されていることにより、第2、第3の吐出口から吐出された冷却風を、第1の吐出口から吐出された冷却風に衝突させて混合させることができる。これにより、冷却に有効な乱流を含む冷却風とすることができる。従って、更に、発光管の冷却効率を向上させることができる。
[適用例3]上記適用例に係る光源装置において、第2、第3の吐出口は、光軸を中心としてそれぞれ同一の角度を有して傾斜していることが好ましい。
このような光源装置によれば、第2の吐出口、第3の吐出口から吐出された冷却風を、第1の吐出口から吐出された冷却風に略同じ位置で衝突させて混合させることができる。従って、更に、発光管の冷却効率を向上させることができる。
[適用例4]上記適用例に係る光源装置において、ダクトは、鉛直方向に延出する第1ダクト部と、第1ダクト部と接続し、3つの吐出口へ冷却風を導く第2ダクト部と、第1ダクト部と接続し、別の3つの吐出口へ冷却風を導く第3ダクト部と、を有し、水平面に対して略対称に、概U字状に構成され、第1ダクトには、自重により重力方向に回動する流動切替部が設置されることが好ましい。
このような光源装置によれば、3つの吐出口へ冷却風を導く第2ダクト部と、別の3つの吐出口へ冷却風を導く第3ダクト部とが光軸を通る水平面に対して略対称に構成され、さらに第1ダクト部に自重により回動する流動切替部が設置されることにより、当該光源装置が上下逆の設置姿勢になっても、発光管を効率的に冷却することができる。
[適用例5]本適用例に係るプロジェクターは、上述したいずれかの光源装置と、光源装置から射出される光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、を備えることを特徴とする。
このようなプロジェクターによれば、発光管の冷却効率を向上できる光源装置を備えることにより、所定の輝度の画像光を長期間投写することができる。また、この効果は、プロジェクターの姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)に関係なく奏することができる。
本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を模式的に示す図。
光源装置本体を模式的に示す縦断面図。
光源装置の外観構成を示す斜視図。
光源装置を上方から見た平面図。
第1固定枠体を示す斜視図。
第1固定枠体を示す斜視図。
光源装置を上方から見た場合の冷却風の流動を模式的に示す図。
光源装置を側方から見た場合の冷却風の流動を模式的に示す図。
〔実施形態〕
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を模式的に示す図である。プロジェクター1は、画像情報に応じた画像光を形成してスクリーン(図示省略)上に投写する。プロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2、外装筐体2内部に配設される光学ユニット3、及び冷却ファン4等で大略構成されている。
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット3は、制御装置(図示省略)による制御に基づき、画像情報(画像信号)に応じて画像光を形成して投写する。光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置5と、レンズアレイ311,312、偏光変換素子313、重畳レンズ314、及び平行化レンズ315を有する照明光学装置31とを備える。また、光学ユニット3は、ダイクロイックミラー321,322、及び反射ミラー323を有する色分離光学装置32と、入射側レンズ331、リレーレンズ333、及び反射ミラー332,334を有するリレー光学装置33を備える。
また、光学ユニット3は、光変調装置としての3つの液晶パネル341、3つの入射側偏光板342、3つの射出側偏光板343、及び色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム344を有する光学装置34と、光学装置34で形成された画像光を投写する投写光学装置としての投写レンズ35とを備える。そして、光学ユニット3は、内部に設定された照明光軸A上の所定位置に各光学部品31〜34を収容する光学部品用筐体36を備える。
光学ユニット3は、上述した構成により、光源装置5から射出され照明光学装置31を介した光束は、色分離光学装置32でR光、G光、B光の3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各液晶パネル341で画像情報に応じてそれぞれ変調される。変調された各色光は、クロスダイクロイックプリズム344で画像光として合成され、投写レンズ35を介してスクリーンに投写される。なお、光学部品31〜35については、種々の一般的なプロジェクターの光学系として利用されているため、具体的な説明を省略し、以下では、光源装置5の構成のみを説明する。
〔光源装置の構成〕
図2は、光源装置本体5Aを模式的に示す縦断面図である。なお、本実施形態を説明する以降の図面は、説明の便宜上、XYZ直交座標系を用いて示す。詳細には、プロジェクター1を正置き姿勢とした場合に、光源装置5から射出される光束に沿う方向、すなわち光源装置5の光軸Aに沿う方向をY方向とし、光束の進行方向を+Y方向とする。また、プロジェクター1から射出される光束に沿う方向をX方向とし、プロジェクター1からの光束の射出方向を+X方向とする。更に、Y方向及びX方向に直交する鉛直方向をZ方向とし、上方向(重力方向に対して逆方向)を+Z方向とする。なお、+Y方向を前方向(−Y方向を後方向)、+X方向を左方向(−X方向を右方向)、+Z方向を上方向(−Z方向を下方向)として、適宜使用する。
光源装置5は、図1に示すように、発光管51とリフレクター52とを有する光源装置本体5Aと、平行化レンズ54とを備えるほか、これらを内部に収容するハウジング57とを備える。発光管51は、図2に示すように、略球状に膨出する発光部511と、発光部511を挟み、発光部511の両端から互いに離間する方向に延出する一対の封止部512,513とを有する。なお、以下では、説明の便宜上、一対の封止部512,513のうち、前方側の封止部512を前側封止部512と記載し、後方側の封止部513を後側封止部513と記載する。
発光部511の内部には、一対の電極E1,E2が配置され、一対の電極E1,E2間には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンを含む発光物質が封入された放電空間が形成されている。各封止部512,513内部には、電極E1,E2とそれぞれ電気的に接続されたモリブデン製の金属箔5121,5131が挿入され、各封止部512,513における発光部511側とは反対側の端部は、ガラス材料等で封止されている。
これら各金属箔5121,5131には、発光管51の外部まで延出する電極引出線514,515がそれぞれ接続され、これら電極引出線514,515に対して、電圧が印加されると、発光部511内部が発光する。なお、前側封止部512に設けられた電極引出線514には、光源装置5外部に配設されるコネクター(図示省略)に接続するリード線516の一端が接続されている。
リフレクター52は、入射した光束を反射して、所定の焦点位置に収束させる。そして、発光管51は、発光部511の発光中心がリフレクター52の焦点位置に位置するように、後側封止部513が接着剤(図示省略)によりリフレクター52の円筒状の開口部521に部分的に固定される。
図3は、光源装置5の外観構成を示す斜視図であり、図3(a)は、光源装置5を前方の上方から見た斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す光源装置5からダクト8を取り外した状態の斜視図である。なお、光源装置5は、プロジェクター1が正置き姿勢で設置された場合での光源装置5の姿勢状態を示している。
光源装置5は、上述したように、光源装置本体5Aと平行化レンズ54とハウジング57とを備える。ハウジング57は、光源装置本体5Aを内部に収容して固定するほか、平行化レンズ54を支持する。ハウジング57は、図3に示すように、大略、固定枠体7とダクト8とを備える。
固定枠体7は、第1固定枠体7Aと第2固定枠体7Bとを備える。第1固定枠体7Aは、ダクト8を固定することで冷却風の流路を構成する。また、第1固定枠体7Aは、平行化レンズ54を支持固定する。第2固定枠体7Bは、リフレクター52の背面側(後側)を覆うことで、後側封止部513から延出する電極引出線515を使用者が直接触れないように保護する。なお、第2固定枠体7Bは、第1固定枠体7Aにネジ固定されて固定枠体7として一体となる。
また、第2固定枠体7Bには、リフレクター52の外面側に空気を流して冷却するための開口7B1が設置されている。そして、第2固定枠体7Bには、光源装置5を脱着する際に把持する把持部7B2が設置される。
〔ダクトの構成〕
ダクト8は、図3に示すように、固定枠体7(詳しくは、後述する第1固定枠体7Aの上面部71、底面部72、及び右側面部73)に取り付けられる。ダクト8は、冷却ファン4(図1参照)から吐出された冷却風を、第1固定枠体7Aの内部に流動させるものである。
ダクト8は、照明光軸Aを通るXY平面に対して略対称に、概U字状に構成されている。ダクト8は、図3(b)に示すように、内部が開放された中空の状態に構成され、第1固定枠体7Aに固定されることにより、流路を構成する。
なお、ダクト8において、上側で、左側(+X方向)に延びる部分を第2ダクト部82と称し、下側で、左側(+X方向)に延びる部分を第3ダクト部83と称し、開口部811が形成され、第2ダクト部82と第3ダクト部83とを接続させて上下方向(Z方向)に延びる部分を第1ダクト部81と称して、以降、適宜使用する。
ダクト8内部には、回動自在に支持される板状の流動切替部85が開口部811に臨んで設置されている。流動切替部85は、一対の支軸(図示省略)を中心に回動自在であり、自身の自重により重力方向に回動して傾斜(本実施形態ではY方向に対して約45度傾斜)した状態となる。流動切替部85が回動することにより、下方向の流路を塞ぐ状態となる。従って、プロジェクター1が正置き姿勢及び天吊り姿勢のいずれの姿勢であっても、開口部811から流入した冷却風は、流動切替部85に衝突し、重力方向に対して逆となる方向(上方向)に流動する。
ダクト8は、図3(b)に示すように、第1固定枠体7Aの右側面部73の方向(−X方向)から左側面部74の方向(+X方向)にスライドさせ、ネジ固定することで、固定枠体7(第1固定枠体7A)と一体となる。詳細には、後述する第1固定枠体7Aの上面部71の開口部71Aに、ダクト8の第2ダクト部82を沿わせ、第1固定枠体7Aの底面部72の開口部(図示省略)に、ダクト8の第3ダクト部83を沿わせ、右方向(−X方向)から左方向(+X方向)にスライドさせる。その後、ネジ固定する。
この組み立てにより、図3(a)に示すように、第1固定枠体7Aの上面部71と底面部72と右側面部73とがダクト8により覆われる。詳細には、第1固定枠体7Aの右側面部73が第1ダクト部81により覆われ、第1固定枠体7Aの上面部71が第2ダクト部82により覆われ、第1固定枠体7Aの底面部72が第3ダクト部83により覆われる。その結果、右側面部73と第1ダクト部81により流路が構成され、上面部71と第2ダクト部82により流路が構成され、底面部72と第3ダクト部83により流路が構成される。これにより、開口部811から流入する冷却風は流路内を流動可能となる。
〔第1固定枠体の構成〕
図4は、光源装置5を上方から見た平面図である。なお、第2固定枠体7Bとダクト8は外してある。図5、図6は、第1固定枠体7Aを示す斜視図である。なお、図5は、第1固定枠体7Aを前方(+Y方向)の上方(+Z方向)から見た斜視図であり、図6は、第1固定枠体7Aを後方(−Y方向)の下方(−Z方向)から見た斜視図である。
第1固定枠体7Aは、光源装置本体5A及び平行化レンズ54を保持固定する。第1固定枠体7Aは、図5に示すように、概4角柱状の箱型形状を有して構成される。詳細には、第1固定枠体7Aは、上下方向に位置する上面部71及び底面部72と、左右方向に位置する右側面部73及び左側面部74とを有する。そして、前後方向に位置する前面部75及び後面部76を有する。また、第1固定枠体7Aは、後面部76にリフレクター52を固定し、前面部75に平行化レンズ54を保持することにより、発光管51を冷却する冷却風を流動させる空間領域S(図7参照)を形成する。
第1固定枠体7Aの上面部71には、右方向及び上方向に開放される開口部71Aが形成される。開口部71Aは、前述のダクト8(第2ダクト部82)により閉塞される。従って、ダクト8(第1ダクト部81と第2ダクト部82)内を流動した冷却風が、第1固定枠体7A内に導入される。
前面部75は、図5に示すように、第1固定枠体7A内に収容された光源装置本体5Aから射出された光束を前方向に透過させる概8角形状の開口部751が形成される。開口部751の前方外面には概8角形状の内面形状を有する案内部752が形成される。この案内部752に平行化レンズ54が前方(+Y方向)から挿入される。
案内部752に平行化レンズ54を挿入した後、図3に示すように、概矩形状の板状で弾性を有して形成され、中心部に開口部5411を有する平行化レンズ固定枠541を、平行化レンズ54の前方から押し当て、第1固定枠体7Aの前面部75の上下方向(上面部71、底面部72)に形成される突起に引っ掛ける。これにより、平行化レンズ54は第1固定枠体7Aの前面部75に支持固定される。
第1固定枠体7A(上面部71)の開口部71A内には、図4、図5に示すように、上方(鉛直方向)から見て照明光軸Aに中心が略一致するように設置される第1吐出口711および第1吐出口711の照明光軸Aに対する両側に並設される第2吐出口712、第3吐出口713の3つの吐出口が形成される。詳細には、照明光軸Aを通る垂直面上に中心が略一致するように第1吐出口711が設置され、第2吐出口712、第3吐出口713は、第1吐出口711に対して略対称に形成される。なお、3つの吐出口は、右側(−X方向)から、第2吐出口712、第1吐出口711、第3吐出口713の順に設置されている。
また、開口部71A内には、図4、図5に示すように、ダクト8(第2ダクト部82)内を流動した冷却風を3つの吐出口に分岐してそれぞれ流動させる3つの流路を備えている。詳細には、3つの流路として、第1吐出口711に流動させる第1流路711A、第2吐出口712に流動させる第2流路712A、第3吐出口713に流動させる第3流路713Aを備える。
第2流路712Aは、壁部7121と溝部7122とを有している。壁部7121は、第2ダクト部82内を流動してきた冷却風を遮ることで、所定の流量の冷却風を溝部7122に流動させて、第2吐出口712に導く。
第1流路711Aは、壁部7111と溝部7112とを有し、また、第2流路712Aを構成する壁部7121も有して構成される。壁部7111は、第2ダクト部82内を流動し、壁部7121を乗り越えてきた冷却風を遮ることで、所定の流量の冷却風を溝部7112に流動させて、第1吐出口711に導く。
第3流路713Aは、壁部7131と溝部7132とを有し、また、第1流路711Aを構成する壁部7111も有して構成される。壁部7131は、第2ダクト部82内を流動し、2つの壁部7121,7111を乗り越えてきた冷却風を遮ることで、所定の流量の冷却風を溝部7132に流動させて、第3吐出口713に導く。また、壁部7131は、ダクト8(第2ダクト部82)の先端部を封止する壁として機能する。
第2流路712Aの壁部7121と溝部7122、及び、第3流路713Aの壁部7111と溝部7132とは、図4に示すように、上方向から見た場合、照明光軸Aに対称に形成され、第1吐出口711の方向に傾斜して形成されている。この構成により、両側の2つの吐出口(第2吐出口712、第3吐出口713)もまた、第1吐出口711に向けて傾斜して形成されている。詳細には、第2吐出口712及び第3吐出口713は、上面部71を垂直方向(Z方向)から見た場合、照明光軸Aを中心としてそれぞれ角度αを有して傾斜して形成されている。
上記構成によって、第1流路711Aは、図4に示すように、壁部7111と壁部7121とは、第1吐出口711の方向に行くに従い狭まる状態となる。これにより、第1吐出口711から吐出される冷却風は、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出される冷却風に比べて圧力が高く噴流となって吐出される。
第1固定枠体7Aの底面部72にも、開口部71Aと略同様に、右方向及び下方向に開放される開口部(図示省略)が形成される。開口部は、ダクト8(第3ダクト部83)により閉塞される。従って、プロジェクター1が天吊り状態において、ダクト8の開口部811を介して、ダクト8(第1ダクト部81と第3ダクト部83)内を流動した冷却風が、第1固定枠体7A内に導入される。
また、底面部72の開口部には、照明光軸Aを通る水平面(XY平面)に対称に、上面部71の開口部71Aに形成された流路および吐出口と同様の構成が形成されている。従って、3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)に対応して、対称に別の3つの吐出口(第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口(いずれも図示省略))が形成される。また、それに併せて、それぞれ流路(図示省略)も形成される。
図6に示すように、第1固定枠体7Aの後面部76には、後方(−Y方向)に開放される概矩形状の開口部76Aが形成される。矩形状の開口部76A内部には、一段窪んで内面側に形成される保持部767を有している。この保持部767にリフレクター52の先端コーナー部を含めた先端部を当接させて光源装置本体5Aを保持する。
図6に示すように、開口部76Aの上方向(発光管51の上側)で、保持部767の下側に並設される3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)が露出している。
図6に示すように、3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)は、光束が透過する開口部751の外側に形成されている。換言すると、3つの吐出口は、リフレクター52で反射された光束が透過する領域の外側に形成されている。また、第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口も同様に形成される。
図5、図6に示すように、開口部751から右側面部73側に向けて延出する壁の鉛直方向における略中央には、矩形状の開口部731が形成される。開口部731は、ダクト8(第1ダクト部81)を流動する冷却風の一部を第1固定枠体7A内部(空間領域S)に吐出し、吐出した冷却風を、図2に示すように、発光管51(前側封止部512)の電極引出線514と金属箔5121との接続部に主に吹き付けて冷却するための開口である。
図6に示すように、第1固定枠体7Aの左側面部74の壁の鉛直方向略中央には、矩形状の排気口741が形成される。排気口741は、空間領域Sを流動し、温まった冷却風を第1固定枠体7A(ハウジング57)から外部に排気するための開口である。
〔冷却風の流動〕
図7は、光源装置5を上方から見た場合の冷却風Arの流動を模式的に示す図である。図8は、光源装置5を側方(+X方向)から見た場合の冷却風Arの流動を模式的に示す図である。なお、図7では、第1固定枠体7Aと光源装置本体5Aを上方から見た図で示し、3つの吐出口周辺の第1固定枠体7Aと光源装置本体5Aは概断面図で示している。また、図8では、光源装置5を、照明光軸Aを通るYZ平面で切断した断面図で示している。なお、図7、図8では、冷却風Arの流動を矢印で模式的に示している。以降では、プロジェクター1が正置き姿勢で設置されている状態での光源装置5を冷却する冷却風Arの流動について説明する。
冷却ファン4(図1参照)から吐出された冷却風(冷却風Arとする)は、ダクト8の開口部811を介してダクト8内に流入する。そして、冷却風Arは、自重によって回動する流動切替部85(図3参照)によって上方(+Z方向)に向かって第1ダクト部81内を流動し、接続する第2ダクト部82内に流入する。
なお、開口部811から流入した冷却風Arの一部は、開口部731(図5参照)を介して空間領域S内に吐出される。この冷却風は、上述したように、図2に示す発光管51(前側封止部512)の電極引出線514と金属箔5121との接続部に主に吹き付けることにより、接続部を冷却し、冷却して温まった冷却風は、排気口741からハウジング57外部に排気される。
第2ダクト部82内に流入した冷却風Arは、図7に示すように、第1流路711A、第2流路712A、第3流路713Aにより分岐されて流動し、第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713から空間領域S内に吐出される。ここで、第1吐出口711から吐出された冷却風を冷却風Ar1とする。また、第2吐出口712から吐出された冷却風を冷却風Ar2とする。また、第3吐出口713から吐出された冷却風を冷却風Ar3とする。
なお、第2吐出口712、第3吐出口713および第2流路712A、第3流路713Aは、上述したように、第1吐出口711の方向に傾斜(照明光軸Aを中心として角度α傾斜)して形成されているため、図7に示すように、冷却風Ar2,Ar3は、上面部71を垂直方向(Z方向)から見た場合、角度α(水平面(XY平面)における角度α)傾斜して吐出される。なお、冷却風Ar1は、上面部71を垂直方向から見た場合、照明光軸Aに沿う方向に吐出される。
また、図8に示すように、冷却風Ar1,Ar2,Ar3は、側方(X方向)から見た場合、上下方向における3つの吐出口が設置される位置が略同一であるため、鉛直平面(YZ平面)での吐出される冷却風Ar1,Ar2,Ar3の側方から見た場合の照明光軸Aに対する角度は略同一となって、発光部511に向けた方向に吐出される。
第2吐出口712、第3吐出口713から、空間領域S内に吐出された冷却風Ar2,Ar3は、冷却風Ar1に対して角度α傾斜しているため、図7に示すように、第1吐出口711と発光部511との間で、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に衝突する。衝突する位置は、本実施形態では符号Bで示す領域となる。詳細には、図8に示すように、領域Bは、第1吐出口711と発光部511との中間位置を示す線Cより第1吐出口711側の位置に設定している。
冷却風Ar2,Ar3が冷却風Ar1に対して両側から衝突することにより、3つの冷却風(冷却風Ar1,Ar2,Ar3)は混合された状態となる。そして、混合された冷却風(この冷却風をAr4とする)は、図7、図8に示すように、発光部511に向けて流動し、発光部511の上部に吹き付けられる。この冷却風Ar4は、3つの冷却風(冷却風Ar1,Ar2,Ar3)が混合されたことにより、冷却に有効となる乱流成分が発生し、発光部511の上部に冷却風Ar4が衝突した時の熱交換が促進される。また、冷却風が直線状に流れるようになるため流動方向が安定し、発光部511の上部に冷却風が向かうようになる。
なお、領域Bを第1吐出口711と発光部511との中間位置を示す線Cより第1吐出口711側の位置で衝突させることにより、冷却風Ar1(冷却風Ar4)の流動方向を空間領域Sのより上流側で安定させるように制御している。
冷却風Ar4が、発光部511の上部に吹き付けることにより、発光部511の上部が冷却される。また、冷却風Ar4は、一部が、発光部511の下部側にも流動して発光部511の下部も冷却する。なお、冷却風Ar4により、空間領域S内部全体も冷却される。そして、各部を冷却して温まった冷却風Ar4は、排気口741(図6参照)及びリフレクター52の開口部521(図2参照)からハウジング57の外部に排気される。
なお、上記では、プロジェクター1が正置き姿勢で設置されている場合での光源装置5を冷却する冷却風Arの流動について説明したが、プロジェクター1が天吊り姿勢で、天井等に設置されている場合での光源装置5を冷却する冷却風Arの流動についても、同様の流動となる。異なるのは、光源装置5が上下逆転することにより、冷却風Arが、流動切替部85により、第1ダクト部81と第3ダクト部83内を流動して、第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口にそれぞれ分岐されて吐出されることである。
なお、第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口は、上述した通り、照明光軸Aを通る水平面(XY平面)に対して、第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713と略対称に形成されているため、空間領域S内部での冷却風Arの流動も同様となり、冷却動作も略同様となる。従って、説明は省略する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の光源装置5において、ハウジング57(第1固定枠体7A)は、空間領域S内に冷却風を吐出する3つの吐出口を有し、3つの吐出口は、発光管51の上側で、照明光軸Aと第1吐出口711の中心が略一致し、第2吐出口712、第3吐出口713はそれぞれ第1吐出口711の両側に並設されるように形成されている。また、第2吐出口712、第3吐出口713および第2流路712A、第3流路713Aは、第1吐出口711に対して対称で、角度α傾斜して形成される。これにより、第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3を、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に略同じ位置で衝突させて混合させることができる。これにより、冷却に有効な乱流を含む冷却風Ar4とすることができると共に、冷却風Ar4(冷却風Ar1)の流動方向が制御し易くなり、流動方向が安定し、冷却風を直進させることができる。従って、発光管51(発光部511)を効率的に冷却することができる。
本実施形態の光源装置5において、ハウジング57(第1固定枠体7A)の第1吐出口711は、冷却風Ar1を発光部511に向けて吐出しているため、直接、発光部511を冷却することができる。また、両側の第2吐出口712、第3吐出口713からの冷却風Ar2,Ar3が衝突して混合され、その混合された冷却風Ar4が発光部511に流動されることにより、効率的に発光部511を冷却することができる。
本実施形態の光源装置5において、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1は、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3により、第1吐出口711と発光部511との間の空間領域Sで衝突して混合される。そして、混合される位置は、第1吐出口711と発光部511とを結ぶ中間位置より第1吐出口711側の位置(領域B)である。これにより、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1が、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3により、直ちに衝突して混合されることで、空間領域Sのより上流側で冷却風Ar4(冷却風Ar1)の流動方向を安定させることができる。よって冷却風Ar4の位置の調整がさらに容易になる。従って、更に発光部511を効率的に冷却することができる。
本実施形態の光源装置5において、ハウジング57(第1固定枠体7A)は、3つの吐出口(第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)に対して、照明光軸Aを通る水平面(XY平面)に略対称となるように設置される別の3つの吐出口(第4吐出口、第5吐出口、第6吐出口)を有している。これにより、机等の設置面に載置される正置き姿勢と、正置き姿勢とは上下が逆になるように天井等に固定される天吊り姿勢とのいずれの姿勢であっても、発光管51の上側となる3つの吐出口を使用して発光管51を冷却することができる。従って、光源装置5の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)によらずに、発光管51を効率的に冷却することができる。これらにより、光源装置5の長寿命化を図ることができる。
本実施形態のプロジェクター1は、上述したように、発光管51の冷却効率を向上できる光源装置5を備えていることにより、所定の輝度の画像光を長期間投写することができる。また、この効果は、プロジェクター1の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)に関係なく奏することができる。
本実施形態のプロジェクター1は、発光管51の冷却効率を向上できる光源装置5を備えていることにより、光源装置本体5Aの輝度が向上した場合に、例えば、冷却ファン4の大型化や、冷却ファン4の駆動電圧を上げること等を極力抑えることができるため、プロジェクター1の大型化を抑制でき、騒音も抑制できる。また、発光管51の発光効率が従来と同様の場合には、プロジェクター1の小型化が図れ、低騒音化も図ることができる。また、この効果は、プロジェクター1の姿勢差(正置き姿勢及び天吊り姿勢)に関係なく奏することができる。
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
前記実施形態の光源装置5において、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3をぶつけて混合させている。しかし、これに限られず、隣り合って設置された3つの吐出口(例えば、第1吐出口711、第2吐出口712、第3吐出口713)は、それぞれ発光部511に向けて冷却風を吐出し、途中で衝突しない構成としてもよい。このような構成によっても、両側の吐出口から吐出される冷却風が、中央の吐出口から吐出される冷却風を、両側から挟む形態で流動することにより、冷却風の吐出方向(流動方向)を一定とさせることができる。これにより、冷却風の流動方向を制御でき、冷却風を発光管51の上部に流して発光管51(発光部511)を効率的に冷却することができる。
前記実施形態の光源装置5において、第1吐出口711から吐出される冷却風Ar1は、第1吐出口711と発光部511とを結ぶ中間位置より第1吐出口711側の位置で、両側の第2吐出口712、第3吐出口713から吐出される冷却風Ar2,Ar3と混合される。しかし、これに限られず、冷却風Ar1は、第1吐出口711と発光部511との間の空間領域Sで、冷却風Ar2,Ar3と混合されることでもよい。
前記実施形態の第1固定枠体7Aにおいて、第2吐出口712と第3吐出口713とは、第1吐出口711に対して、角度αで傾斜して形成されている。それにより、第2吐出口712、第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3は、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に対して略同じ位置(領域B)で衝突して混合される。しかし、第2吐出口712と第3吐出口713、第2流路712Aと第3流路713Aとの、第1吐出口711に対する形成角度は、同じでなくてもよい。言い換えると、第2吐出口712と第3吐出口713、第2流路712Aと第3流路713Aとは、第1吐出口711の方向に傾斜して形成されていることでよい。例えば、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1に対して、両側の第2吐出口712と第3吐出口713から吐出された冷却風Ar2,Ar3が冷却風Ar1にそれぞれ異なる位置でぶつかり、混合させることでもよく、結果的に、第1吐出口711から吐出された冷却風Ar1(混合された冷却風Ar4)が冷却対象物に向かって流動できればよい。
前記実施形態の第1固定枠体7Aにおいて、第2吐出口712と第3吐出口713、および第2流路712Aと第3流路713Aの両方が、第1吐出口711に対して、角度αで傾斜して形成されている。しかし、これに限られず、第2吐出口712と第3吐出口713のみを第1吐出口711に対して、角度αで傾斜して形成しても良いし、第2流路712Aと第3流路713Aのみを角度αで傾斜して形成しても良い。冷却風Ar2,Ar3が冷却風Ar1と衝突するように設定すれば同様の効果を得ることができる。
前記実施形態の光源装置5では、第2吐出口712、第3吐出口713から空間領域Sに吐出される冷却風Ar2,Ar3の風量、風圧が略同様となるように、第2吐出口712、第3吐出口713が形成されている。しかし、これに限られず、冷却風Ar2,Ar3の風量、風圧は異なっていてもよい。
前記実施形態の光源装置本体5Aは、発光管51とリフレクター52とを有して構成されている。しかし、これに限られず、発光部511の前側封止部512側の略半分を覆うように発光管51に固定され、発光部511から前側封止部512側に射出された光束をリフレクター52側に反射させるいわゆる副反射鏡を有していてもよく、同様の効果を奏することができる。
前記実施形態の光源装置5は、平行化レンズ54を備えているが、備えていなくてもよい。
前記実施形態の発光管51としては、高輝度発光する種々の放電型のランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、及び超高圧水銀ランプ等を採用することができる。
前記実施形態の光学ユニット3は、R光、G光、B光に対応する3つの光変調装置(液晶パネル341)を用いる、いわゆる3板方式を採用している。しかし、これに限られず、単板方式の光変調装置を採用してもよい。また、コントラストを向上させるための光変調装置を追加して採用してもよい。
前記実施形態の光学ユニット3は、透過型の光変調装置(透過型の液晶パネル)を採用している。しかし、これに限られず、反射型の光変調装置を採用してもよい。
前記実施形態の光学ユニット3は、光変調装置として液晶パネル341を採用している。しかし、これに限られず、一般に、入射光束を画像情報に応じて変調するものであればよく、例えば、マイクロミラー型の光変調装置等、他の方式の光変調装置を採用することができる。なお、マイクロミラー型の光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。
前記実施形態の光学ユニット3は、光源装置5から射出された光束の照度を均一化する照明光学装置31として、レンズアレイ311,312からなるレンズインテグレーター光学系を採用している。しかし、これに限定されるものではなく、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系も採用することができる。
1…プロジェクター、5…光源装置、5A…光源装置本体、7…固定枠体、7A…第1固定枠体、8…ダクト、51…発光管、52…リフレクター、57…ハウジング、341…液晶パネル、511…発光部、711…第1吐出口、712…第2吐出口、713…第3吐出口、A…照明光軸、Ar,Ar1,Ar2,Ar3,Ar4…冷却風、S…空間領域。