JP2016014263A - ボルト除去工具およびボルト除去方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ボルトを周りごと刳り貫く手法は、コア抜き等の特殊な技術と機械が必要であるという問題がある。
また、枕木本体を交換する手法は、コストや手間がかかるという問題がある。さらに、枕木の交換は、夏季の場合に道床を緩める作業となるので、張り出し事故のリスクがあるという問題もある。
レールを固定するボルトが折損した場合に当該ボルトの除去に用いるボルト除去工具であって、
前記ボルトとは逆方向のネジ部を有するエキストラクタを取り付けるための取付穴を前記ボルトに形成するドリルビットをガイドするガイド治具と、
前記レールに固定可能であり、前記ガイド治具を位置調整可能に支持する支持金具と、
を備え、
前記ガイド治具は、前記ボルトの中心軸に沿って前記取付穴が形成されるように前記ドリルビットをガイドする。
前記ガイド治具には、前記予備穴形成用ドリルビットをガイドする第一ガイド孔と、前記取付穴形成用ドリルビットをガイドする第二ガイド孔と、が設けられており、
前記第一ガイド孔の中心軸と前記ガイド治具の回転軸との間隔と、前記第二ガイド孔の中心軸と前記ガイド治具の回転軸との間隔と、は同一であるように構成する。
前記ボルト除去工具を用いて、レールを固定するボルトが折損した場合に当該ボルトを除去するボルト除去方法であって、
前記ボルト除去工具を前記レールに固定する固定ステップと、
次いで、前記ガイド治具にガイドされた前記予備穴形成用ドリルビットを用いて前記ボルトに前記予備穴を形成する予備穴形成ステップと、
次いで、前記ガイド治具にガイドされた前記取付穴形成用ドリルビットを用いて前記予備穴を拡径することによって、前記ボルトに前記取付穴を形成する取付穴形成ステップと、
次いで、前記取付穴に前記エキストラクタを取り付ける取付ステップと、
次いで、前記エキストラクタにハンドルを取り付けて、当該エキストラクタを締める方向に回転させる回転ステップと、
を有する。
以下の説明では、レールRの延在方向を前後方向、レールRの高さ方向を上下方向とし、前後方向と上下方向との双方に直交する方向を左右方向とする。
まず、本実施形態にかかるボルト除去工具について説明する。
図1は、本実施形態にかかるボルト除去工具1の平面図(上面図)であり、図2は、本実施形態にかかるボルト除去工具1の正面図(前面図)である。また、図3は、図1のIII−III線における断面図である。
ボルト除去工具1は、図1〜図3に示すように、ボルトBとは逆方向のネジ部を有するエキストラクタ6を取り付けるための取付穴BcをボルトBに形成するドリルビット4,5をガイドするガイド治具50と、レールRに固定可能であり、ガイド治具50を位置調整可能に支持する支持金具100と、を備えて構成される。このボルト除去工具1を用いれば、鉄道線路を構成するレールRを固定するボルトBが折損して、当該ボルトBの軸部のみが、PC枕木等の枕木M内に残留した場合でも、当該残留部分を簡便に除去することができる。
互いに対向する左側面部112と右側面部113との間隔は、レールRの頭部の幅とほぼ同一となるように設定されている。そして、位置決め部材110は、上面部111がレールR上に載置された状態で、前側の左側面部112と右側面部113とでレールRの頭部を挟むとともに、後側の左側面部112と右側面部113とでレールRの頭部を挟むことによって、支持金具100をレールRに対して上下方向および左右方向に位置決めすることができる。
具体的には、固定部材120は、左右対称に開閉する一対のアーム部121,121と、アーム部121,121を開閉させるネジ部122と、を主に備えて構成される。ネジ部122を、一方向に回転させるとアーム部121,121が開いてゆき、他方向に回転させるとアーム部121,121が閉まってゆく。そして、ネジ部122を他方向に回転できなくなるまで回転させることによって、アーム部121,121でレールRの頭部を挟んだ状態を維持して、レールRに支持金具100を固定するように構成されている。
また、操作レバー114を、スクリュー軸111aを中心に他方向に回動させることで、上面部111とスライド部材押え部114aとの間隔が狭まってゆき、操作レバー114を他方向に回動できなくなるまで回動させることによって、上面部111とスライド部材押え部114aとで載置部131を挟んだ状態を維持して、スライド部材130をスライド不能にするように構成されている。
治具受部材140は、図3に示すように、レールRの下側フランジ部の側面にほぼ沿うように、スライド部材130の延出部132の先端部上に載置されたビス止め部141の左右方向一端部(図では左端部)から、連結部142が下側に向けて垂直に延出し、当該連結部142の下端部から、係合部143がビス止め部141とは反対側(図では左側)に向けて垂直に延出している。
また、係合部143には、先端が開口143aの周面から突出するボールプランジャー144が内蔵されている。
予備穴形成用ドリルビット4および取付穴形成用ドリルビット5は、らせん状の溝が形成されたドリル刃部を有する金属用のドリルビットであり、ドリルドライバやインパクトドライバなどの電動回転工具に取り付けて使用する。
ガイド治具50は、フランジ部52を上側に向け円盤部51の中心軸が上下方向に沿った状態で、治具受部材140の開口143aの上方から当該開口143aに挿入されることによって、円盤部51の中心軸を中心に回転自在に治具受部材140に支持される。したがって、円盤部51の中心軸が、ガイド治具50の回転軸となる。
第一ガイド孔50aの中心軸とガイド治具50の回転軸との間隔と、第二ガイド孔50bの中心軸とガイド治具50の回転軸との間隔と、は同一に設定されている。具体的には、本実施形態の場合、第一ガイド孔50aの中心軸と第二ガイド孔50bの中心軸とは、ガイド治具50の回転軸に対して線対称に配置されている。
また、図5に示すように、第一ガイド孔50aの中心軸と第二ガイド孔50bの中心軸とがガイド治具50の回転軸に対して左右対象となり、かつ、第二ガイド孔50bが第一ガイド孔50aよりも外側(図では左側)にある状態のことを、「第二ガイド孔50bが最も外側に位置した状態」という。
また、図5に示すように、第二ガイド孔50bが最も外側に位置した状態である場合に、円盤部51の側面のうち、治具受部材140に内蔵されているボールプランジャー144の先端と対向する部分には、第二凹部51bが形成されている。
したがって、第一ガイド孔50aが最も外側に位置した状態である場合には、ボールプランジャー144の先端が第一凹部51aに嵌まるため、フランジ部52に触ってガイド治具50を回転させる操作を行うユーザにクリック感を与えることができるとともに、第一ガイド孔50aの位置決めをすることができる。
また、第二ガイド孔50bが最も外側に位置した状態である場合には、ボールプランジャー144の先端が第二凹部51bに嵌まるため、フランジ部52に触ってガイド治具50を回転させる操作を行うユーザにクリック感を与えることができるとともに、第二ガイド孔50bの位置決めをすることができる。
次に、本実施形態にかかるボルト除去方法について説明する。
本実施形態にかかるボルト除去方法は、(1)平坦化ステップ、(2)印付けステップ、(3)固定ステップ、(4)予備穴形成ステップ、(5)取付穴形成ステップ、(6)取付ステップ、および(7)回転ステップを有する。このボルト除去方法を用いれば、鉄道線路を構成するレールRを固定するボルトBが折損して、当該ボルトBの軸部のみが、PC枕木等の枕木M内に残留した場合でも、当該残留部分を簡便に除去することができる。
レールRを固定するボルトBは、通常、枕木Mに埋め込まれた埋込栓Nにねじ込まれている。
平坦化ステップでは、ボルトBの折損面を平坦にする。
具体的には、例えば、図6に示すように、当て金2をボルトBの折損面に当てて、当該当て金2の頭部をハンマー(図示省略)で叩くことによって、ボルトBの折損面を平坦にする。このようにしてボルトBの折損面を平坦にすることによって、予備穴Bbや取付穴Bcが形成しやすくなるだけでなく、ボルトBを叩くことで、当該ボルトBの埋込栓Nに対する固着力を緩める効果が期待できる。
印付けステップでは、ボルトBの折損面の中心に印Baを付ける。
具体的には、例えば、図7に示すように、ポンチ3をボルトBの折損面の中心に当てて、当該ポンチ3の頭部をハンマー(図示省略)で叩くことによって、ボルトBの折損面の中心に印Baを付ける。
固定ステップでは、ボルト除去工具1をレールRに固定する。
具体的には、ボルト除去工具1をレールRに設置して、固定部材120でレールRに固定する。その際、レールRの右側に除去したいボルトBがある場合には、ガイド治具50がレールRの右側に配置されるように、レールRの左側に除去したいボルトBがある場合には、図1に示すようにガイド治具50がレールRの左側に配置されるように、ボルト除去工具1をレールRに設置する。
予備穴形成ステップでは、ガイド治具50にガイドされた予備穴形成用ドリルビット4を用いてボルトBに予備穴Bbを形成する。
具体的には、まず、第一ガイド孔50aが最も外側に位置した状態でない場合には、ボルト除去工具1のガイド治具50を回転させて第一ガイド孔50aが最も外側に位置した状態にする。そして、例えば第一ガイド孔50aを上から覗き込みながら、ボルトBの折損面に付けた印Baを目安として、第一ガイド孔50aの中心軸がボルトBの中心軸にほぼ一致するように、スライド部材130をスライドさせてガイド治具50の位置を調整する。そして、ガイド治具50の位置調整が済んだら、操作レバー114を締めてスライド部材130をスライドできない状態に固定する。
取付穴形成ステップでは、ガイド治具50にガイドされた取付穴形成用ドリルビット5を用いて予備穴Bbを拡径することによって、ボルトBに取付穴Bcを形成する。
具体的には、まず、ボルト除去工具1のガイド治具50を回転させて第二ガイド孔50bが最も外側に位置した状態にする。本実施形態の場合、第一ガイド孔50aの中心軸とガイド治具50の回転軸との間隔と、第二ガイド孔50bの中心軸とガイド治具50の回転軸との間隔と、が同一であるので、第一ガイド孔50aの中心軸がボルトBの中心軸にほぼ一致している場合にガイド治具50を回転させて第二ガイド孔50bが最も外側に位置した状態にするだけで、第二ガイド孔50bの中心軸をボルトBの中心軸にほぼ一致させることができる。
次いで、図9に示すように、電動回転工具(図示省略)に取り付けるドリルビットを予備穴形成用ドリルビット4から取付穴形成用ドリルビット5に交換して、その取付穴形成用ドリルビット5を第二ガイド孔50bに挿通する。そして、取付穴形成用ドリルビット5を回転させてボルトBに形成されている予備穴Bbを拡径することによって、ボルトBに取付穴Bcを形成する。
取付ステップでは、取付穴Bcにエキストラクタ6を取り付ける。
具体的には、例えば、ハンマーを用いてエキストラクタ6をボルトBに形成された取付穴Bcに打ち込むことによって、図10に示すように、取付穴Bcにエキストラクタ6を取り付ける。
回転ステップでは、図11に示すように、エキストラクタ6にハンドル7を取り付けて、当該エキストラクタ6を締める方向(すなわち、ボルトBを緩める方向)に回転させる。これにより、図12に示すように、枕木MからボルトBを除去することができる。
なお、このようにして折損したボルトを枕木から除去することによって、ボルト1本あたり5分程度で、ボルトを除去できることが確認できた。目標時間としてボルト1本あたり20分を設定していたが、この目標時間よりも短い時間で、折損したボルトを枕木から除去することができた。
また、このようにして折損したボルトを枕木から除去した後、折損したボルトがねじ込まれていた部分に新しいボルトをねじ込むことによって、当該新しいボルトでレールを固定できることが確認できた。これにより、枕木や埋込栓が損傷することなく、折損したボルトを除去できることが分かった。
なお、支持金具100は、ガイド治具50を、レールRの延在方向に対して垂直方向(左右方向)に位置調整可能に支持するものに限ることはなく、レールRの延在方向(前後方向)に位置調整可能に支持するものであってもよいし、レールRの高さ方向(上下方向)に位置調整可能に支持するものであってもよいし、複数方向に位置調整可能に支持するものであってもよい。
なお、ガイド治具50は、2つのガイド孔が形成されたものに限ることはなく、1つのガイド孔が形成されたものであってもよいし、3つ以上のガイド孔が形成されたものであってもよい。ガイド治具50が、3つ以上のガイド孔が形成されたものであり、かつ、支持金具100によって回転自在に支持されている場合には、各ガイド孔の中心軸とガイド治具50の回転軸との間隔が、それぞれ同一であるように構成することで、一のガイド孔の中心軸がボルトBの中心軸に一致した状態でガイド治具50を回転させるだけで、他のガイド孔の中心軸をボルトBの中心軸に一致させることができる。
4 予備穴形成用ドリルビット
5 取付穴形成用ドリルビット
6 エキストラクタ
7 ハンドル
50 ガイド治具
50a 第一ガイド孔
50b 第二ガイド孔
100 支持金具
B ボルト
Bb 予備穴
Bc 取付穴
R レール
Claims (5)
- レールを固定するボルトが折損した場合に当該ボルトの除去に用いるボルト除去工具であって、
前記ボルトとは逆方向のネジ部を有するエキストラクタを取り付けるための取付穴を前記ボルトに形成するドリルビットをガイドするガイド治具と、
前記レールに固定可能であり、前記ガイド治具を位置調整可能に支持する支持金具と、
を備え、
前記ガイド治具は、前記ボルトの中心軸に沿って前記取付穴が形成されるように前記ドリルビットをガイドすることを特徴とするボルト除去工具。 - 前記ガイド治具は、前記取付穴を形成するための取付穴形成用ドリルビットと、前記取付穴形成用ドリルビットよりも径が小さく、当該取付穴形成用ドリルビットを用いた前記取付穴の形成を容易にする予備穴を形成するための予備穴形成用ドリルビットと、の双方をガイド可能であることを特徴とする請求項1に記載のボルト除去工具。
- 前記支持金具は、前記ガイド治具を回転自在に支持し、
前記ガイド治具には、前記予備穴形成用ドリルビットをガイドする第一ガイド孔と、前記取付穴形成用ドリルビットをガイドする第二ガイド孔と、が設けられており、
前記第一ガイド孔の中心軸と前記ガイド治具の回転軸との間隔と、前記第二ガイド孔の中心軸と前記ガイド治具の回転軸との間隔と、は同一であることを特徴とする請求項2に記載のボルト除去工具。 - 請求項2に記載のボルト除去工具を用いて、レールを固定するボルトが折損した場合に当該ボルトを除去するボルト除去方法であって、
前記ボルト除去工具を前記レールに固定する固定ステップと、
次いで、前記ガイド治具にガイドされた前記予備穴形成用ドリルビットを用いて前記ボルトに前記予備穴を形成する予備穴形成ステップと、
次いで、前記ガイド治具にガイドされた前記取付穴形成用ドリルビットを用いて前記予備穴を拡径することによって、前記ボルトに前記取付穴を形成する取付穴形成ステップと、
次いで、前記取付穴に前記エキストラクタを取り付ける取付ステップと、
次いで、前記エキストラクタにハンドルを取り付けて、当該エキストラクタを締める方向に回転させる回転ステップと、
を有することを特徴とするボルト除去方法。 - 前記固定ステップの前に、前記ボルトの折損面を平坦にする平坦化ステップを行うことを特徴とする請求項4に記載のボルト除去方法。
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