JP2016013946A - 長繊維強化炭化ケイ素複合材料およびその製造方法 - Google Patents

長繊維強化炭化ケイ素複合材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導率の異方差の少ない長繊維強化セラミックス複合材料を提供する。
【解決手段】本発明は、セラミックスからなるマトリックス中に無機材料からなる長繊維で構成される平面構造体が複数積層された強化繊維体が含まれている長繊維強化セラミックス複合材料であって、任意の2つの前記平面構造体間に形成された前記マトリックスは、前記平面構造体の平面と略垂直方向に配向する結晶形状を含み、前記略垂直方向に配向した針状および板状の結晶形状が前記マトリックスの単位体積当たり15%以上90%以下存在していることを特徴とするものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、特にブレーキ材に好適である長繊維強化炭化ケイ素複合材料、およびその製造方法に関する。
セラミックス複合材料の一つに、長繊維強化炭化ケイ素複合材料がある。数々の優れた特性を有するが、長繊維の主たる配向方向に対して熱が優先的に拡散するので、局所的に加熱される摺動部材、炉材などに使用された場合、複合材料内で繊維の配向方向と垂直な方向に温度勾配が付きやすく、熱応力により耐荷重の低下や歪の発生が懸念される。
複合化した繊維の配向方向と配向方向と垂直な方向への物性の違いによって生じる課題を解決するために、マトリックスにも配向性を持たせる技術が知られている。
例えば特許文献1には、靱性が高く、耐熱性,耐腐食性及び耐熱強度に優れた繊維層を備えたセラミック構造体として、制御弁3を構成し,SiC,Si34等のセラミックスの針状結晶材から成る弁ステム部4と弁ヘッド部5を構成するセラミック本体6,セラミック本体6の内部に埋設され且つカーボン繊維,SiC繊維等の繊維材を織り上げて円筒部11と拡界部9に成形された高強度部材7,及びセラミック本体6の外面に配置された耐熱性の緻密質セラミックスから成る表面部材8から構成され、高強度部材7の繊維間にはセラミック本体6の針状結晶材が存在しているセラミック構造体が開示されている。
また特許文献2には、互いに所定方向に引き揃えた強化繊維の内部に凝固させた金属に強化繊維の方向と垂直方向に成長させた結晶を備えた繊維強化金属材料、が開示されている。
特開2000−143345号公報 特開昭64−15335号公報
特許文献1に記載の発明では、セラミックス繊維材の周りを、針状結晶層のセラミック本体がランダムに取り囲んでいる。特許文献1に記載のセラミック構造体は、通常の積層タイプの長繊維強化複合材料や短繊維強化複合材料と異なり、マクロな構造として繊維部分とセラミックス部分が複合されており、マクロに熱膨張の違う組織領域が存在する。そのため、繊維部分とセラミックス部分の熱膨張率の差により組織領域の境界面に剥離が生じやすく、密着性と高める目的で、針状結晶の繊維部分へのアンカー効果を利用している。このため靱性には優れるが、ランダムに分散している針状結晶は配向性を有していないので、依然として熱拡散の配向性は繊維材の繊維伸長方向が支配的である。
特許文献2に記載の発明は、金属のマトリックスが繊維と垂直方向に配向性を持つことで、機械的強度に優れるとしている。ところが、マトリックスが炭化ケイ素のような脆性材料では、配向する方向に亀裂が生じやすく、かえって機械強度が損なわれる怖れがある。また、金属のマトリックスの結晶を繊維と垂直方向に配向させるため、金属を再溶融し、温度勾配を持たせて冷却する工程を備える。そのため、内部に残留熱応力が生じる可能性が高い。マトリックスが炭化ケイ素のような脆性材料では、製造上破壊してしまう可能性が高く、特許文献2に記載の製造方法は適さない。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたもので、機械的強度を損なうことなく、マトリックスに熱の配向性を持たせ、熱の拡散性を向上させた長繊維強化炭化ケイ素複合材料およびその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、セラミックスからなるマトリックス中に無機材料からなる長繊維で構成される平面構造体が複数積層された強化繊維体が含まれている長繊維強化セラミックス複合材料であって、任意の2つの前記平面構造体間に形成された前記マトリックスは、前記平面構造体の平面と略垂直方向に配向する針状および板状の結晶形状を含み、前記略垂直方向に配向した結晶形状が前記マトリックスの単位体積当たり15%以上90%以下存在していることを特徴とする。
かかる構成により、機械的強度を損なうことなく、マトリックスに熱の配向性を持たせる長繊維強化セラミックス複合材料とすることができる。
また本発明は、結晶形状が、針状、板状、柱状、円錐状、角錐状の少なくともいずれか1つ、またはこれらの複合体から構成されていると、より好ましい。
かかる構成により、熱の配向性と強度の双方を、より高い次元で両立できる長繊維強化セラミックス複合材料とすることができる。
また本発明に係るセラミックスが炭化ケイ素、無機材料が炭素からなると、強度と靱性に優れ、特にブレーキ材に好適な長繊維強化炭化ケイ素複合材料にできる。
そして、本発明に係る長繊維強化セラミックス複合材料の、好適な製造方法は、粒状、繊維状、塊状、の形状を有する無機材料を核として用いることで、マトリックスの結晶形状を平面構造体の平面と略垂直方向に配向させることを特徴とする。
本発明によれば、機械的強度を損なうことなく、マトリックスに熱の配向性を持たせ、材料全体として熱の拡散性を向上させた長繊維強化炭化ケイ素複合材料を提供できる。また、炭素短繊維を用いた短繊維強化セラミックスにあっても、その短繊維が一軸成形、押し出し成形などの配向を促す製造方法によって配向したために、熱伝導率に異方性が生じるものであれば、本発明を適用し、熱伝導率の異方性を改善することができる。
図1は、本発明の一態様に係る長繊維強化炭化ケイ素複合材料を平面構造体が平行に積層されている方向からみた、任意の断面を示す概念図である。 図2は、本発明に係る平面構造体間に形成された平面構造体の平面と略垂直方向に配向する結晶形状を説明するための模式図である。 図3は、本発明に係る平面構造体間の略垂直方向を説明する模式図である。 図4は、本発明に係る結晶形状の具体例を示す模式図である。
以下、図面も参照して本発明を詳細に説明する。本発明は、セラミックスからなるマトリックス中に無機材料からなる長繊維で構成される平面構造体が複数積層された強化繊維体が含まれている長繊維強化セラミックス複合材料であって、任意の2つの前記平面構造体間に形成された前記マトリックスは、前記平面構造体の平面と略垂直方向に配向する結晶形状を含み、前記略垂直方向に配向した針状および板状の結晶形状が前記マトリックスの単位体積当たり15%以上90%以下存在している。
まず、本発明の一態様に係る長繊維強化炭化ケイ素複合材料は、セラミックスからなるマトリックス中に無機材料からなる長繊維で構成される平面構造体が複数積層された強化繊維体が含まれている長繊維強化セラミックス複合材料である。
図1は、本発明の一態様に係る長繊維強化炭化ケイ素複合材料を平面構造体が平行に積層されている方向からみた任意の断面を示す概念図である。
長繊維強化炭化ケイ素複合材料Zは、マトリックス1と、無機材料からなる長繊維で構成される平面構造体2がマトリックス1を介して複数積層されたものを強化繊維体3として含み、さらに強化繊維体3の外側にもマトリックス1を配置した構造である。
なお、図1はあくまで概念図であり、マトリックス1と強化繊維体3との寸法比、平面構造体2の断面形状等は、実際の物とは異なる。
マトリックス1には、公知のセラミックス、例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、等が適用可能である。しかし、熱拡散性を要求される用途を考慮すれば、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素が好ましく、後述する結晶形状の得やすさから、炭化ケイ素がより好ましい。
本発明における無機材料とは、セラミックス複合材料に用いられる公知の材料を指し、例えば、炭素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等である。また、長繊維とは、セラミックス複合材料の強化材として用いられる、公知の単一または束状の連続繊維である。
平面構造体2は、単一又は束状の長繊維を、網目状、格子状、織物状に2次元方向に交錯して形成されたもので構成される。これについても、強化繊維材として公知の形状を広く適用でき、格別限定されるものではない。
なお、平面構造体2は、例えば長繊維束でシート状に形成された物が、マトリックス1を介さずに複数密着した状態で重ね合わされ、一体物として構成されていてもよい。
平面構造体2が複数積層された強化繊維体3は、平面構造体2をその厚さ方向に対して複数積層させて構成される。また、それぞれの平面構造体2の間にはマトリックス1が介在している。
なお、単位体積当たりのマトリックス1と強化繊維体3の含有率、強化繊維体3の単位厚さ当たりの平面構造体2の層数、それぞれの平面構造体2の間にはマトリックス1の厚さ、等には、格別の制限はなく、必要に応じて任意に設計されてよい。
そして本発明においては、任意の2つの平面構造体2間に形成されたマトリックス1は、平面構造体2の平面と略垂直方向に配向する結晶形状を含み、略垂直方向に配向した結晶形状がマトリックス1の単位体積当たり15%以上90%以下存在している。
図2は、本発明に係る平面構造体2間に形成された平面構造体の平面と略垂直方向に配向する結晶形状を説明するための模式図である。任意の平面構造体2
間に介在するマトリックス1は、略垂直方向に配向する結晶形状で構成される配向領域21と、かかる配向性を持たない非配向領域22と、から成る。
ここで、平面構造体2間に形成された平面構造体の平面と略垂直方向に配向する、とは任意に選択した隣り合う2枚の平面構造体2が有する平面に対して垂直な方向を設定し、それぞれの垂直方向を含む幅の範囲内を、本発明における略垂直とする。
長繊維は高いアスペクト比、組織配向に起因して、繊維の方向へ高い熱伝導を持っている。そのため、結果として材料内部で熱勾配を生じやすいという本質的な問題がある。本発明では、長繊維表面に付着させた核となる粒子を起点に結晶成長を促すことで、簡便かつ自己組織化的に繊維の配向と略垂直に結晶成長させることができるという特徴を持つ。
平面構造体2が有する平面を、一義的かつ厳密に設定することとは困難である。そこで本発明では、製品等の観察画像から仮想して設定している。そのため、図3に示すように、2つの平面構造体2の有する平面は、必ずしも平行にはならない。
平面構造体2自体が理想的な平面でないこと、2つの平面構造体2も厳密な平行状態で配置されていないことから、それに伴い垂直方向も不可避的な誤差範囲を生じる。従って、実用上問題のない範囲で「略垂直」を設定すればよく、その範囲はおおむね、理想の垂直方向からプラスまたはマイナス10°の範囲内である。
なお、任意に選択した隣り合う2枚の平面構造体2が有する平面の厚さは、特に限定されるものではないが、好適には、平面構造体2の厚さの0.1倍以上2倍以下である。この範囲を外れると、組織の剥離や製造時の残存熱応力などが生じ、マトリックスの利点である剛性と欠点である靱性のいずれかがバランスを崩して、長繊維強化炭化ケイ素複合材料Z全体の特性が低下する懸念が生じる。
そして、この略垂直方向に配向した結晶形状がマトリックス1の単位体積当たり15%以上90%以下存在している。すなわち、本発明の有意な特徴は、マトリックス1の配向度合いが、ある特定の範囲に設定されていることにある。
公知の一態様である特許文献2に記載の発明では、材料全体を加圧し、かつ、温度勾配を付ける一面全体を加熱させているので、マトリックス金属は100%もしくは大部分が配向状態にあるものと考えられる。そして、このマトリックスの配向の形態により強度が向上する、としている。
しかし、金属材料においては、配向性が高いほど強度が向上するものと考えられるが、脆性材料、特に炭化ケイ素では、配向方向に多数形成される界面に沿って、空隙、不純物の偏析などの欠陥が集中しやすいので、靱性の面では不利である。マトリックス中に亀裂を多数内在すると、平面構造体2による滑り効果も低減する怖れがある。
そこで本発明においては、マトリックスの一部を配向させずに残すことで、熱伝導性を確保しつつ、応力の伝播にも一定の制限をかけて、長繊維強化炭化ケイ素複合材料Z全体の靱性を必要十分なレベルを確保するものである。
略垂直方向に配向した結晶形状が、マトリックス1の単位体積当たり15%未満では熱伝導性向上効果が、90%超では欠陥増大が生じ、亀裂伝播の抑制効果などが、それぞれ十分に得られないおそれがある。
また本発明では、略垂直方向に配向した結晶形状がマトリックス1の単位体積当たり15%以上90%以下存在することで、略垂直方向に配向した結晶形状を含まない場合と比較して、熱伝導率の方向差が10%から90%ほど低減される。
すなわち、15%未満では、前述の通り垂直方向への熱伝導性向上効果が十分得られず好ましくない。一方、90%超では結晶粒界での剥離が生じやすくなり、強度的に劣化し、また、結晶間で剥離が生じるとマトリックス部分の繊維方向への熱伝導率を著しく低下させるため垂直方向への熱伝導性向上効果が支配的になり、マトリックス1と平面構造体2との温度差が逆に増大する懸念が生じるので、いずれも好ましくない。
なお、略垂直方向に配向した結晶形状を含まない場合との熱伝導率の比較で、本発明の配向性の形態を表現することも可能である。
略垂直方向に配向した結晶形状が、マトリックス1の単位体積当たり15%以上90%以下存在している、とは、幾つかの形態が挙げられる。
一例として、単位面積当たりで柱状体が15%以上90%以下占有して、残りは配向性を有さないバルク状の炭化ケイ素で占有する状態が挙げられる。この場合、厚さ方向に対しては100%柱状形状である。
他の例として、平面方向に対しては柱状体が100%占有しているが、厚さ方向に対して柱状の形態が一部で途切れており、単位体積当たりで柱状体が15%以上90%以下占有して、残りは配向性を有さないバルク状の炭化ケイ素、ケイ素、炭素、空隙で占有する状態が挙げられる。
本発明における結晶形状が、針状、板状、柱状、円錐状、角錐状の少なくともいずれか1つ、またはこれらの複合体から構成されていると、より好ましいものである。図4に、これらの好ましい態様を例示するが、図4に記載された以外の形状でも、特に差し支えない。
本発明における好ましい一態様である図4に例示するような一方向に配向させる構造は、無機材料の結晶成長を利用して形成することができる。好適な例としては、粒、繊維、塊、等の形状を有する材料を核として用い、この核を起点としてマトリックスの一方向への結晶成長を促進する。
核としては、無機物または金属の少なくともいずれかを含む酸化物、炭化物、窒化物が挙げられる。また、無機物は炭素、シリコン、ホウ素、砒素、硫黄、セリウム、等が例示できる。金属は、鉄、アルミニウム、銅が挙げられる。もちろん、これらの化合物を複数含んでもよい。
粒、繊維、塊、の具体的な形状には、格別の制約はないが、サイズについては、単体の形状があまり大きすぎると、配向性を発現できなくなる恐れがある。しかし、サイズが小さすぎても、略垂直方向に揃えて配向させることが困難になる懸念がある。
マトリックスが炭化ケイ素の場合、粒の径は0.5μmから20μmが好ましい。径が小さすぎると、核としての機能が発現されず、大きすぎると、新たな応力発生の起点になる、結晶が粗大になり配向性が低下するなどの懸念があり、好ましいものとは言えない。
繊維状の場合は、繊維断面最大径に対しておおむね5倍以内のアスペクト比となる繊維長であることが好ましい。粒と同様の理由で、アスペクト比が小さすぎる場合、繊維状とは言えず粒となる。しかし、アスペクト比が大きすぎると、この繊維が起点となることで繊維の配向と違った方向への結晶成長が促されて、目的の構造が得られないばかりか、新たな応力発生の起点になる懸念がある。
また、本発明に係る長繊維強化セラミックス複合材料Zは、セラミックスが炭化ケイ素、無機材料が炭素からなると、より好ましいものである。
炭素繊維は、軽量で優れた熱導電性があり、強化繊維として用いられる時に靱性にも優れる。炭化ケイ素は、高強度かつ炭素繊維との親和性もよい。さらに核となる無機物から本発明のような針状および板状の結晶形状の形成が容易である点でも、好適である。
なお、平面構造体2を、ケイ素との反応性が制御された被膜を有し、マトリックス1を溶融シリコンの含浸により形成すると、強度と靱性を高次元で向上させることができ、より好ましいものである。
以上の通り、本発明に係る長繊維強化炭化ケイ素複合材料は、マトリックスに熱の配向性を持たせ、熱の拡散性を向上させることができ、熱応力に対して耐性の高いものであるそして、この効果を、炭化ケイ素のもつ脆性を悪化させることなく実現することを可能とするものである。
以下、本発明の好ましい実施形態を実施例に基づいて説明するが、本発明は、下記実施例により限定されるものではない。
以下に示す手順により、参考例、実施例1〜5、比較例1〜2に示す長繊維強化炭化ケイ素複合材料Zを得る。長繊維は、ピッチ系高弾性率炭素繊維、熱伝導率800W/m・K、100mm四方、厚さ0.1mmの炭素繊維織物を、平面構造体2として用いる。
この炭素繊維織物を10枚積層して、硬化性樹脂粉末をアルコール溶媒に分散させたスラリー溶液に浸漬した後、不活性雰囲気で600℃以上の温度で熱処理して炭化させて、表面に被膜が形成された繊維シートを得る。
[参考例]
繊維シートに、平均粒径約5μmの炭化ケイ素粉末をフェノール樹脂と平均粒径約5μmの黒鉛粉末を混合してスラリーとしたものを塗布して、これを金型に投入して、130℃で一軸の熱加圧成形を行い、100mm四方で厚さ7mmの硬化体を得る。この硬化体を不活性雰囲気下600℃以上の温度で焼成し、次いで、公知のシリコン含浸法にて含浸処理を行い、参考例1を得る。なお参考例は、任意の平面構造体2間のマトリックス1の配向性がないものである。
[実施例1]
平均粒径1μmの六方晶窒化硼素粉末1重量に対して、PVB3wt%、フェノール樹脂10wt%の比率で混合した溶液を作製する。この溶液に繊維シートを10分浸漬し、その後溶液から取り出し室温で半日放置乾燥する。以後は参考例と同様に作製して、実施例1を得る。
[実施例2]
平均粒径2μmの窒化硼素粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして作製し、実施例2を得る。
[実施例3]
平均粒径5μmの窒化硼素粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして作製し、実施例3を得る。
[実施例4]
平均粒径10μmの窒化硼素粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして作製し、実施例4を得る。
[実施例5]
平均粒径50μmの窒化硼素粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして作製し、実施例5を得る。
[比較例1]
平均粒径100μmの窒化硼素粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして作製し、実施例6を得る。
[比較例2]
平均粒径0.1μmの窒化硼素粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして作製し、比較例2を得る。
上記で得られた参考例、実施例1〜5、比較例1〜2に対して、繊維シート平面方向と厚み方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法にて測定し、積層方向−厚み方向の値を異方差とする。そして、参考例の異方差を1としたときの、実施例1〜5、比較例1〜2の異方差との比で、どのくらい異方差が低減されたかを比較する。
さらに、得られた参考例、実施例1〜5、比較例1〜2に対して、100mm四方の板より、90mm×20mm×6mmのリング形状の板を作製し、内周から10mm〜15mm(外周より20mm)の部分を断熱し、内周より10mm以内の部分が200℃を超えないように空冷しながら、外周から20mm以内の部分を700℃に加熱した熱処理炉に投入し、10分加熱して熱応力を発生させた。その後表面をJIS Z 2343に記載の浸透探傷試験にて観察して、亀裂の有無を確認する。
表1に、参考例、実施例1〜5、比較例1〜2の、熱伝導率の値と異方差、そして亀裂の有無を示す。
表1から明らかなように、熱伝導率の異方差は、塗布される窒化硼素粉末の平均粒径を制御することで、任意に設定する事が出来る。そして、本発明の実施範囲にあるものは、熱伝導の異方性が低減されたことにより、亀裂の発生が抑制されているものであることがわかる。
Z 長繊維強化炭化ケイ素複合材料
1 マトリックス
2 平面構造体
3 強化繊維体
A 任意の平面構造体2間に介在するマトリックスの一部
21 配向領域
22 非配向領域

Claims (4)

  1. セラミックスからなるマトリックス中に無機材料からなる長繊維で構成される平面構造体が複数積層された強化繊維体が含まれている長繊維強化セラミックス複合材料であって、任意の2つの前記平面構造体間に形成された前記マトリックスは、前記平面構造体の平面と略垂直方向に配向する結晶形状を含み、前記略垂直方向に配向した針状および板状の結晶形状が前記マトリックスの単位体積当たり15%以上90%以下存在していることを特徴とする長繊維強化セラミックス複合材料。
  2. 結晶形状が、針状、板状、柱状、円錐状、角錐状の少なくともいずれか1つ、またはこれらの複合体から構成されていることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化セラミックス複合材料。
  3. セラミックスが炭化ケイ素、無機材料が炭素からなることを特徴とする請求項1または2記載の長繊維強化セラミックス複合材料。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の長繊維強化セラミックス複合材料の製造方法であって、粒状、繊維状、塊状の形状を有する無機材料を核として用いることで、マトリックスの結晶形状を平面構造体の平面と略垂直方向に配向させることを特徴とする長繊維強化セラミックス複合材料の製造方法。
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