JP2016013736A - 鉄道車両用テーブル - Google Patents
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Abstract
Description
乗客に対するサービスの一環として、乗車中に自由に読むことができる雑誌を提供する場合があり、その雑誌を収納するために座席ごとにマガジンラックが設置されている。例えば、新幹線のグリーン車では、2冊の雑誌が常設されている。
これらのテーブルとマガジンラックは、別々に設置される場合、あるいはテーブルに雑誌を収納するための収納部を設けてマガジンラックと一体とする場合がある。
また、テーブルとマガジンラックを一体とした場合、テーブルに収納部を設けるため、テーブルの厚みが増してしまい、乗客の居住空間が狭くなるという問題があった。
仮に、跳ね上げ式テーブルとマガジンラックを一体とした状態でテーブルを薄くした場合、テーブルの使用時(テーブルが水平位置にあるとき)に、列車の加減速により、雑誌がテーブルから飛び出す恐れがあった。新幹線のグリーン車のように、2冊の雑誌が常設されていると、雑誌同士の摩擦係数μが低いため、2冊のうちテーブル使用時に上に位置する雑誌はさらに滑りやすくなっており、雑誌がテーブルから飛び出しやすかった。雑誌が完全にテーブルから飛び出さなくても、少し飛び出てくることが乗客に不快感を与える恐れがあった。
(1)鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材と、前記固定取付部材に回動可能に支持されるテーブル本体を有し、前記テーブル本体が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブルにおいて、前記テーブル本体は、前記テーブル本体が前記水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面と、前記テーブル表面の裏にあるテーブル裏面を備えていること、前記テーブル裏面には、雑誌を収納するための凹部が形成され、前記凹部には、前記凹部の一部を覆い、前記雑誌を出し入れするための挿入開口部を備えるホルダが取り付けられていること、前記凹部を形成する凹部底面は、前記テーブル表面に対し、所定の傾斜角度を有すること、を特徴とする。ここで、壁面としては、客室妻部の壁面等が想定される。
(3)(1)又は(2)に記載の鉄道車両用テーブルにおいて、前記ホルダは、前記固定取付部材側に開口部が備えられていること、前記開口部を備える辺に折り曲げ部が形成されていること、前記挿入開口部を備える辺に雑誌保持凸部が形成されていること、を特徴とする。
(1)鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材と、固定取付部材に回動可能に支持されるテーブル本体を有し、テーブル本体が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブルにおいて、テーブル本体は、テーブル本体が水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面と、テーブル表面の裏にあるテーブル裏面を備えていること、テーブル裏面には、雑誌を収納するための凹部が形成され、凹部には、凹部の一部を覆い、雑誌を出し入れするための挿入開口部を備えるホルダが取り付けられていること、凹部を形成する凹部底面は、テーブル表面に対し所定の傾斜角度θを有すること、を特徴とするので、凹部に雑誌を収納することにより、テーブルとマガジンラックを別々に設置した場合と比べて設置面積を削減でき、乗客の居住空間を確保することができる。また、凹部底面は、テーブル表面に対し所定の傾斜角度を有することにより、テーブル本体の厚みを抑え、薄くすることができ、乗客の居住空間を確保することができる。さらに、これにより、テーブル使用時であっても、列車の加減速により雑誌が飛び出す恐れがない。
ここで、所定の傾斜角度は、4°程度であることが好ましい。傾斜角度が4°未満だと、慣性力により雑誌が飛び出す恐れがある。また、飛び出すのを防止するために傾斜角度を4°より大きくすると、テーブルの厚みが増してしまい、乗客の居住空間を狭くする恐れがある。
また、テーブルの不使用時(テーブル本体が垂直位置にあるとき)、折り曲げ部により、雑誌が開口部から落ちることを防止する。さらに、挿入開口部から雑誌のタイトルを見ることができるため、乗客は読みたい雑誌を容易に取り出すことができる。また、テーブルの使用時(テーブル本体が水平位置にあるとき)は、雑誌保持凸部により雑誌が保持されるため雑誌が垂れ下がる恐れがない。
<鉄道車両用テーブル1の構成>
図2に、テーブルの使用時、すなわちテーブル本体12が水平位置にある鉄道車両用テーブル1の斜視図を示す。図1は、図2のA−A端面図を示す。なお、図1では雑誌18が収納された状態を示す。図1は端面図であるため、断面図と異なり、端面より奥の外観の図示はない。端面図としたのは、構成を見易くするためである。
図3に、テーブルの不使用時、すなわちテーブル本体12が垂直位置にある鉄道車両用テーブル1の正面図(テーブル裏面14)を示す。図4は、図3のD−D端面図を示す。図5にその背面図(テーブル表面13)、図6に側面図(テーブル側面15)、図7に平面図、図8に底面図を示す。図5から図8は、図3と同様にテーブル本体12が垂直位置にある状態を示す。
固定取付部材11は取付板21を介して壁面19に固定される。取付板21は、図示しない5本のボルトで壁面19に取り付けられている。取付板21に対して、図7に示すように、固定取付け部材11の端部の上部及び下部からそれぞれ2本ずつのボルト20により、固定取付け部材11が取り付けられている。固定取付部材11の下方は、図3に示すように、傾斜角度θ2を有して形成されており、外観をより小さく見せている。
テーブル表面13の裏には、図3に示すように、テーブル裏面14が備えられている。テーブル裏面14は、図中上部141、右中央下部142、左中央下部143、及び下部144を備える。テーブル本体12のうち、下部144が位置する部分は、強度をもたせるため、及び機構部品を納めるため、厚く形成されている。右中央下部142及び左中央下部143が位置する箇所には、図2に示すように、テーブル側面15が形成されている。テーブル側面15は、右中央下部142、及び左中央下部143から上部141に向かって薄くなるように傾斜が形成されている。
テーブル裏面14の中央部には、図3に示すように、雑誌18を収納するための凹部16が形成される。凹部16は、雑誌が2冊収まる程度の深さを有する。テーブル裏面14のうち、上部141付近ではホルダ17から上部端面、左右端面に向かって薄くなるように傾斜して形成されている。右中央下部142、及び左中央下部143付近では、傾斜はより緩やかに形成されている。
ここで、傾斜角度θ1は4°程度に設定することが好ましい。傾斜角度θ1が4°未満だと、テーブル使用時に(水平状態)雑誌18がテーブルから飛び出す恐れがある。また、傾斜角度θ1が4°より大きいとテーブルの厚みが増し、乗客の居住空間を狭くする恐れがある。
テーブル本体12及びホルダ17は樹脂から成る成形品である。テーブル使用時に乗客と平行の位置関係にあるテーブル本体12の辺(図2に示す)の寸法Bは、およそ340mmである。乗客と直交する位置関係にある辺の寸法Cは、およそ530mmである。テーブル本体12には、およそA4サイズのノート型パソコンを置くことができる。
図9は、テーブル本体12の垂直位置から水平位置への回動を説明するための、鉄道車両用テーブル1の斜視図であり、図10は、その側面図である。図9及び図10では、垂直位置から水平位置への回動を矢印Pで示している。図9では、垂直位置にあるテーブル本体12は、矢印P方向に回動し、水平位置に移動する。水平位置にあるテーブル本体12を仮想線として2点鎖線で示している。図10では、垂直位置のテーブル本体12は、矢印P方向に回動し、水平位置に移動する。垂直位置にあるテーブル本体12を仮想線として2点鎖線で示している。
また、挿入開口部173から雑誌18のタイトルを見ることができ、特に新幹線のグリーン車に常設されている雑誌は、雑誌のタイトルが上部に記載されているため、2冊の雑誌のタイトルを同時に見ることができる。挿入開口部173により、乗客は雑誌を取り出しやすいだけでなく、読みたい雑誌を容易に取り出すことができる。また、テーブル本体12が垂直位置にあっても、雑誌18は折り曲げ部175により押さえられ、滑って開口部171から落ちることはない。
鉄道車両の加減速度aにより生じる慣性力Fは、凹部底面に対し水平方向に働く力、すなわち雑誌がホルダから飛び出そうとする力F’(F’=Fcosθ1)に分かれる。反対方向には、雑誌とホルダの接する面にかかる摩擦力μN(摩擦係数μ)に加え、雑誌の重力Gの分力G’(G’=G・sinθ1)が働く。
雑誌がテーブルのホルダ内に収められるとき、テーブルを薄くしようと傾斜角度を4°未満に設定すると、雑誌がホルダから飛び出そうとする力F’は、雑誌とホルダが接する面にかかる摩擦力μNと雑誌を止めようとする力G’を足した力より大きくなる(F’>G’+μN)。そのため、雑誌はホルダから飛び出すことがあり、乗客に不快感を与える恐れがあった。また、傾斜角度を4°より大きく設定すると、テーブルの厚みが増し、乗客の居住空間が狭くなる問題があった。
そこで、本出願人は、その想定に基づき、数々のシミュレーション及び実験を通して、特に新幹線の車両において、テーブル表面13と凹部底面161との傾斜角度θ1は、列車の加減速度aに対してa・cosθ<G(sinθ1+μ・cosθ1)を満たすこと、また、傾斜角度θ1を4°程度に設定することが最も有効であると見出すことができた。
仮に、非常ブレーキ等により、通常よりも大きな減速が行われたときであっても、2冊ある雑誌のうち、テーブル使用時に上に位置する雑誌は滑って飛び出す恐れがあるが、凹部16の壁面に当たり、その反発力によりホルダ17内に収納される。そのため、雑誌18が外に完全に飛び出すことはない。
これにより、テーブル本体12を薄くしつつ、雑誌18がホルダ17から飛び出さないことの両方を実現することができる。
(1)鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材11と、固定取付部材11に回動可能に支持されるテーブル本体12を有し、テーブル本体12が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブル1において、テーブル本体12は、テーブル本体12が水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面13と、テーブル表面13の裏にあるテーブル裏面14を備えていること、テーブル裏面14には、雑誌18を収納するための凹部16が形成され、凹部16には、凹部16の一部を覆い、雑誌18を出し入れするための挿入開口部173を備えるホルダ17が取り付けられていること、凹部16を形成する凹部底面161は、テーブル表面13に対し所定の傾斜角度を有すること、を特徴とするので、凹部16に雑誌18を収納することにより、テーブルとマガジンラックを別々に設置した場合と比べて設置面積を削減でき、乗客の居住空間を確保することができる。また、凹部底面161は、テーブル表面13に対し所定の傾斜角度θ1を有することにより、テーブル本体12の厚みを抑え、薄くすることができ、乗客の居住空間を確保することができる。さらに、これにより、テーブル使用時であっても、列車の加減速により雑誌が飛び出す恐れがない。
ここで、所定の傾斜角度θ1は、4°程度であることが好ましい。傾斜角度θ1が4°未満だと、慣性力により雑誌が飛び出す恐れがある。また、飛び出すのを防止するために傾斜角度θ1を4°より大きくすると、テーブルの厚みが増してしまい、乗客の居住空間を狭くする恐れがある。
また、折り曲げ部175が形成されているため、テーブルの不使用時は、雑誌18が開口部171から落ちる恐れがない。
さらに、挿入開口部173から雑誌18のタイトルを見ることができるため、乗客は読みたい雑誌を容易に取り出すことができる。また、テーブルの使用時は、雑誌保持部174により雑誌18が保持されるため雑誌18が垂れ下がる恐れがない。
11 固定取付部
12 テーブル本体
13 テーブル表面
131 飲み物用凹部
14 テーブル裏面
141 上部
142 右中央下部
143 左中央下部
144 下部
15 テーブル側面
16 凹部
161 凹部底面
17 ホルダ
171 開口部
172 開口部切欠部
173 挿入開口部
174 雑誌保持部
175 折り曲げ部
18 雑誌
19 壁面
20 ボルト
21 取付板
乗客に対するサービスの一環として、乗車中に自由に読むことができる雑誌を提供する場合があり、その雑誌を収納するために座席ごとにマガジンラックが設置されている。例えば、新幹線のグリーン車では、2冊の雑誌が常設されている。
これらのテーブルとマガジンラックは、別々に設置される場合、あるいはテーブルに雑誌を収納するための収納部を設けてマガジンラックと一体とする場合がある。
また、テーブルとマガジンラックを一体とした場合、テーブルに収納部を設けるため、テーブルの厚みが増してしまい、乗客の居住空間が狭くなるという問題があった。
仮に、跳ね上げ式テーブルとマガジンラックを一体とした状態でテーブルを薄くした場合、テーブルの使用時(テーブルが水平位置にあるとき)に、列車の加減速により、雑誌がテーブルから飛び出す恐れがあった。新幹線のグリーン車のように、2冊の雑誌が常設されていると、雑誌同士の摩擦係数μが低いため、2冊のうちテーブル使用時に上に位置する雑誌はさらに滑りやすくなっており、雑誌がテーブルから飛び出しやすかった。雑誌が完全にテーブルから飛び出さなくても、少し飛び出てくることが乗客に不快感を与える恐れがあった。
(1)鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材と、前記固定取付部材に回動可能に支持されるテーブル本体を有し、前記テーブル本体が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブルにおいて、前記テーブル本体は、前記テーブル本体が前記水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面と、前記テーブル表面の裏にあるテーブル裏面を備えていること、前記テーブル裏面には、雑誌を収納するための凹部が形成され、前記凹部には、前記凹部の一部を覆い、前記雑誌を出し入れするための挿入開口部を備えるホルダが取り付けられていること、前記凹部を形成する凹部底面は、前記テーブル表面に対し、所定の傾斜角度θ1を有すること、を特徴とする。ここで、壁面としては、客室妻部の壁面等が想定される。
(3)(1)又は(2)に記載の鉄道車両用テーブルにおいて、前記ホルダは、前記固定取付部材側に開口部が備えられていること、前記開口部を備える辺に折り曲げ部が形成されていること、前記挿入開口部を備える辺に雑誌保持凸部が形成されていること、を特徴とする。
(1)鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材と、固定取付部材に回動可能に支持されるテーブル本体を有し、テーブル本体が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブルにおいて、テーブル本体は、テーブル本体が水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面と、テーブル表面の裏にあるテーブル裏面を備えていること、テーブル裏面には、雑誌を収納するための凹部が形成され、凹部には、凹部の一部を覆い、雑誌を出し入れするための挿入開口部を備えるホルダが取り付けられていること、凹部を形成する凹部底面は、テーブル表面に対し所定の傾斜角度θ1を有すること、を特徴とするので、凹部に雑誌を収納することにより、テーブルとマガジンラックを別々に設置した場合と比べて設置面積を削減でき、乗客の居住空間を確保することができる。また、凹部底面は、テーブル表面に対し所定の傾斜角度を有することにより、テーブル本体の厚みを抑え、薄くすることができ、乗客の居住空間を確保することができる。さらに、これにより、テーブル使用時であっても、列車の加減速により雑誌が飛び出す恐れがない。
ここで、所定の傾斜角度θ1は、4°程度であることが好ましい。傾斜角度θ1が4°未満だと、慣性力により雑誌が飛び出す恐れがある。また、飛び出すのを防止するために傾斜角度θ1を4°より大きくすると、テーブルの厚みが増してしまい、乗客の居住空間を狭くする恐れがある。
また、テーブルの不使用時(テーブル本体が垂直位置にあるとき)、折り曲げ部により、雑誌が開口部から落ちることを防止する。さらに、挿入開口部から雑誌のタイトルを見ることができるため、乗客は読みたい雑誌を容易に取り出すことができる。また、テーブルの使用時(テーブル本体が水平位置にあるとき)は、雑誌保持凸部により雑誌が保持されるため雑誌が垂れ下がる恐れがない。
<鉄道車両用テーブル1の構成>
図2に、テーブルの使用時、すなわちテーブル本体12が水平位置にある鉄道車両用テーブル1の斜視図を示す。図1は、図2のA−A端面図を示す。なお、図1では雑誌18が収納された状態を示す。図1は端面図であるため、断面図と異なり、端面より奥の外観の図示はない。端面図としたのは、構成を見易くするためである。
図3に、テーブルの不使用時、すなわちテーブル本体12が垂直位置にある鉄道車両用テーブル1の正面図(テーブル裏面14)を示す。図4は、図3のD−D端面図を示す。図5にその背面図(テーブル表面13)、図6に側面図(テーブル側面15)、図7に平面図、図8に底面図を示す。図5から図8は、図3と同様にテーブル本体12が垂直位置にある状態を示す。
固定取付部材11は取付板21を介して壁面19に固定される。取付板21は、図示しない5本のボルトで壁面19に取り付けられている。取付板21に対して、図7に示すように、固定取付け部材11の端部の上部及び下部からそれぞれ2本ずつのボルト20により、固定取付け部材11が取り付けられている。固定取付部材11の下方は、図3に示すように、傾斜角度θ2を有して形成されており、外観をより小さく見せている。
テーブル表面13の裏には、図3に示すように、テーブル裏面14が備えられている。テーブル裏面14は、図中上部141、右中央下部142、左中央下部143、及び下部144を備える。テーブル本体12のうち、下部144が位置する部分は、強度をもたせるため、及び機構部品を納めるため、厚く形成されている。右中央下部142及び左中央下部143が位置する箇所には、図2に示すように、テーブル側面15が形成されている。テーブル側面15は、右中央下部142、及び左中央下部143から上部141に向かって薄くなるように傾斜が形成されている。
テーブル裏面14の中央部には、図3に示すように、雑誌18を収納するための凹部16が形成される。凹部16は、雑誌が2冊収まる程度の深さを有する。テーブル裏面14のうち、上部141付近ではホルダ17から上部端面、左右端面に向かって薄くなるように傾斜して形成されている。右中央下部142、及び左中央下部143付近では、傾斜はより緩やかに形成されている。
ここで、傾斜角度θ1は4°程度に設定することが好ましい。傾斜角度θ1が4°未満だと、テーブル使用時に(水平状態)雑誌18がテーブルから飛び出す恐れがある。また、傾斜角度θ1が4°より大きいとテーブルの厚みが増し、乗客の居住空間を狭くする恐れがある。
テーブル本体12及びホルダ17は樹脂から成る成形品である。テーブル使用時に乗客と平行の位置関係にあるテーブル本体12の辺(図2に示す)の寸法Bは、およそ340mmである。乗客と直交する位置関係にある辺の寸法Cは、およそ530mmである。テーブル本体12には、およそA4サイズのノート型パソコンを置くことができる。
図9は、テーブル本体12の垂直位置から水平位置への回動を説明するための、鉄道車両用テーブル1の斜視図であり、図10は、その側面図である。図9及び図10では、垂直位置から水平位置への回動を矢印Pで示している。図9では、垂直位置にあるテーブル本体12は、矢印P方向に回動し、水平位置に移動する。水平位置にあるテーブル本体12を仮想線として2点鎖線で示している。図10では、垂直位置のテーブル本体12は、矢印P方向に回動し、水平位置に移動する。垂直位置にあるテーブル本体12を仮想線として2点鎖線で示している。
また、挿入開口部173から雑誌18のタイトルを見ることができ、特に新幹線のグリーン車に常設されている雑誌は、雑誌のタイトルが上部に記載されているため、2冊の雑誌のタイトルを同時に見ることができる。挿入開口部173により、乗客は雑誌を取り出しやすいだけでなく、読みたい雑誌を容易に取り出すことができる。また、テーブル本体12が垂直位置にあっても、雑誌18は折り曲げ部175により押さえられ、滑って開口部171から落ちることはない。
鉄道車両の加減速度aにより生じる慣性力Fは、凹部底面に対し水平方向に働く力、すなわち雑誌がホルダから飛び出そうとする力F’(F’=Fcosθ1)に分かれる。反対方向には、雑誌とホルダの接する面にかかる摩擦力μN(摩擦係数μ)に加え、雑誌の重力Gの分力G’(G’=G・sinθ1)が働く。
雑誌がテーブルのホルダ内に収められるとき、テーブルを薄くしようと傾斜角度θ1を4°未満に設定すると、雑誌がホルダから飛び出そうとする力F’は、雑誌とホルダが接する面にかかる摩擦力μNと雑誌を止めようとする力G’を足した力より大きくなる(F’>G’+μN)。そのため、雑誌はホルダから飛び出すことがあり、乗客に不快感を与える恐れがあった。また、傾斜角度θ1を4°より大きく設定すると、テーブルの厚みが増し、乗客の居住空間が狭くなる問題があった。
そこで、本出願人は、その想定に基づき、数々のシミュレーション及び実験を通して、特に新幹線の車両において、テーブル表面13と凹部底面161との傾斜角度θ1は、列車の加減速度aに対してa・cosθ1<G(sinθ1+μ・cosθ1)を満たすこと、また、傾斜角度θ1を4°程度に設定することが最も有効であると見出すことができた。
仮に、非常ブレーキ等により、通常よりも大きな減速が行われたときであっても、2冊ある雑誌のうち、テーブル使用時に上に位置する雑誌は滑って飛び出す恐れがあるが、凹部16の壁面に当たり、その反発力によりホルダ17内に収納される。そのため、雑誌18が外に完全に飛び出すことはない。
これにより、テーブル本体12を薄くしつつ、雑誌18がホルダ17から飛び出さないことの両方を実現することができる。
(1)鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材11と、固定取付部材11に回動可能に支持されるテーブル本体12を有し、テーブル本体12が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブル1において、テーブル本体12は、テーブル本体12が水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面13と、テーブル表面13の裏にあるテーブル裏面14を備えていること、テーブル裏面14には、雑誌18を収納するための凹部16が形成され、凹部16には、凹部16の一部を覆い、雑誌18を出し入れするための挿入開口部173を備えるホルダ17が取り付けられていること、凹部16を形成する凹部底面161は、テーブル表面13に対し所定の傾斜角度を有すること、を特徴とするので、凹部16に雑誌18を収納することにより、テーブルとマガジンラックを別々に設置した場合と比べて設置面積を削減でき、乗客の居住空間を確保することができる。また、凹部底面161は、テーブル表面13に対し所定の傾斜角度θ1を有することにより、テーブル本体12の厚みを抑え、薄くすることができ、乗客の居住空間を確保することができる。さらに、これにより、テーブル使用時であっても、列車の加減速により雑誌が飛び出す恐れがない。
ここで、所定の傾斜角度θ1は、4°程度であることが好ましい。傾斜角度θ1が4°未満だと、慣性力により雑誌が飛び出す恐れがある。また、飛び出すのを防止するために傾斜角度θ1を4°より大きくすると、テーブルの厚みが増してしまい、乗客の居住空間を狭くする恐れがある。
また、折り曲げ部175が形成されているため、テーブルの不使用時は、雑誌18が開口部171から落ちる恐れがない。
さらに、挿入開口部173から雑誌18のタイトルを見ることができるため、乗客は読みたい雑誌を容易に取り出すことができる。また、テーブルの使用時は、雑誌保持部174により雑誌18が保持されるため雑誌18が垂れ下がる恐れがない。
11 固定取付部
12 テーブル本体
13 テーブル表面
131 飲み物用凹部
14 テーブル裏面
141 上部
142 右中央下部
143 左中央下部
144 下部
15 テーブル側面
16 凹部
161 凹部底面
17 ホルダ
171 開口部
172 開口部切欠部
173 挿入開口部
174 雑誌保持部
175 折り曲げ部
18 雑誌
19 壁面
20 ボルト
21 取付板
Claims (3)
- 鉄道車両の壁面に固定される固定取付部材と、前記固定取付部材に回動可能に支持されるテーブル本体を有し、前記テーブル本体が使用されるときは水平位置に、使用されないときは垂直位置に保持される鉄道車両用テーブルにおいて、
前記テーブル本体は、前記テーブル本体が前記水平位置に保持されるときにものを載置できるテーブル表面と、前記テーブル表面の裏にあるテーブル裏面を備えていること、
前記テーブル裏面には、雑誌を収納するための凹部が形成され、前記凹部には、前記凹部の一部を覆い、前記雑誌を出し入れするための挿入開口部を備えるホルダが取り付けられていること、
前記凹部を形成する凹部底面は、前記テーブル表面に対し、所定の傾斜角度θを有すること、
を特徴とする鉄道車両用テーブル。 - 請求項1に記載の鉄道車両用テーブルについて、
前記所定の傾斜角度θは、前記鉄道車両の加減速度aに対してa・cosθ<g(sinθ+μ・cosθ)を満たすこと、
を特徴とする鉄道車両用テーブル。 - 請求項1又は2に記載の鉄道車両用テーブルにおいて、
前記ホルダは、前記固定取付部材側に開口部が備えられていること、
前記開口部を備える辺に折り曲げ部が形成されていること、
前記挿入開口部を備える辺に雑誌保持凸部が形成されていること、
を特徴とする鉄道車両用テーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014135700A JP6317195B2 (ja) | 2014-07-01 | 2014-07-01 | 鉄道車両用テーブル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014135700A JP6317195B2 (ja) | 2014-07-01 | 2014-07-01 | 鉄道車両用テーブル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016013736A true JP2016013736A (ja) | 2016-01-28 |
JP6317195B2 JP6317195B2 (ja) | 2018-04-25 |
Family
ID=55230319
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014135700A Active JP6317195B2 (ja) | 2014-07-01 | 2014-07-01 | 鉄道車両用テーブル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6317195B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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