JP2016010875A - 化粧シート、化粧材、エンボス版及びエンボス版を用いた化粧シートの製造方法 - Google Patents
化粧シート、化粧材、エンボス版及びエンボス版を用いた化粧シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016010875A JP2016010875A JP2014132464A JP2014132464A JP2016010875A JP 2016010875 A JP2016010875 A JP 2016010875A JP 2014132464 A JP2014132464 A JP 2014132464A JP 2014132464 A JP2014132464 A JP 2014132464A JP 2016010875 A JP2016010875 A JP 2016010875A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dimensional shape
- ink
- decorative sheet
- thermoplastic resin
- sheet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】意匠性の向上した化粧シート、該化粧シートを有する化粧材、該化粧シートを容易に形成可能なエンボス版及び該エンボス版を用いた化粧シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】エンボスロール40を熱可塑性樹脂シートに押圧することで、所定の凹凸が賦型される床材1であって、エンボスロール40を熱可塑性樹脂シートの一方側の面に押圧することで、一方側の面に賦型される立体形状部31と、立体形状部31と共に立体形状部31の表面31aに賦型され、ワイピングした際に残留するインク33によって、立体形状部31の階調を表現可能な複数のインク穴32と、を備えた。
【選択図】図2
【解決手段】エンボスロール40を熱可塑性樹脂シートに押圧することで、所定の凹凸が賦型される床材1であって、エンボスロール40を熱可塑性樹脂シートの一方側の面に押圧することで、一方側の面に賦型される立体形状部31と、立体形状部31と共に立体形状部31の表面31aに賦型され、ワイピングした際に残留するインク33によって、立体形状部31の階調を表現可能な複数のインク穴32と、を備えた。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンボス加工が施された化粧シート、該化粧シートを有する化粧材、該化粧シートにエンボス加工を施すエンボス版及び該エンボス版を用いた化粧シートの製造方法に関する。
一般に、合成樹脂を基本材料とする化粧シートには、絵柄の印刷による視覚的な表現と、絵柄にマッチしたエンボス加工による触覚的な表現、を行うことで意匠性を向上させたものが知られている。例えば、導管のある木目柄をリアルに表現したビニル系床材においては、基材層に木目柄を印刷し、この上に、木目柄にマッチングしたボス加工が施された樹脂シートを積層して、意匠性を向上させている。
しかしながら、エンボス加工は、樹脂シートを加熱して軟化させてから木目柄等の凹状部を成形するため、成形後の樹脂シートの寸法安定性が損なわれることが多い。また、基材層への印刷と樹脂シートへのエンボス加工は、それぞれ別工程で行われることが一般的である。そのため、木目柄が印刷された基材層にエンボス加工された樹脂シートを積層すると、木目柄とエンボス模様とがずれる場合が多い。つまり、印刷とエンボス加工とで化粧シートの意匠性を向上させる方法では、視覚的表現と触覚的表現とを一致させることが困難であった。
これに対しては、エンボス加工を施した化粧シートにワイピングを施すことで、容易に意匠性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の化粧シートのワイピングは、エンボス加工により形成された溝にインクを流し込むことで意匠性を向上させるため、インクによる表現が画線的又は2値的であり、意匠性に乏しいものであった。
そこで、本発明は、意匠性の向上した化粧シート、該化粧シートを有する化粧材、該化粧シートを容易に形成可能なエンボス版及び該エンボス版を用いた化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、エンボス版を熱可塑性樹脂シートに押圧することで、所定の凹凸が賦型される化粧シートであって、前記エンボス版を前記熱可塑性樹脂シートの一方側の面に押圧することで、前記一方側の面に賦型される立体形状部と、前記立体形状部と共に前記立体形状部の表面に賦型され、ワイピングした際に残留するインクによって、前記立体形状部の階調を表現可能な複数のインク穴を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、意匠性の向上した化粧シート、該化粧シートを有する化粧材、該化粧シートを容易に製造可能なエンボス版及び該エンボス版を用いた化粧シートの製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る化粧シート及び該化粧シートを有する化粧材について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る化粧シート及び化粧材は、例えば、床材、壁紙、テーブルクロス等に適用可能なシート材である。以下の実施形態においては、化粧シート及び化粧材の一例として、床材を用いて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る床材1について、図1から図4を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係る床材1の概略構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る床材1の斜視図である。図2(a)は、図1に示す床材1の矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すA部の拡大図である。
本発明の第1実施形態に係る床材1について、図1から図4を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係る床材1の概略構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る床材1の斜視図である。図2(a)は、図1に示す床材1の矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すA部の拡大図である。
図1及び図2(a)に示すように、床材(化粧材)1は、最下層に位置する基材層10と、基材層10の上にグラビア印刷される印刷層20と、印刷層20の上に積層される透明樹脂層(化粧シート)30と、を備えて構成されており、所謂、3層構造となっている。
基材層10は、熱可塑性樹脂を主体に構成されており、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等を用いることができる。
また、基材層10には着色剤が含有されており、含有される着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料;染料;アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等を用いることができる。その添加量は、熱可塑性樹脂に対して2〜60質量%の範囲が例示できる。
さらに、基材層10には、床材として必要な機能を補強するために、必要に応じて、各種添加剤、補強材、充填剤等が添加される。例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、潤滑剤、発泡剤、無機充填剤などが添加される。紫外線吸収剤や光安定剤は、基材層10に、より良好な対候性を付与するためのものであり、その添加量は、熱可塑性樹脂に対して0.3〜10.0質量%の範囲が例示できる。発泡剤は、床材1にクッション性を付与するためのものであり、その添加量は、熱可塑性樹脂に対して0.5〜5.0質量%の範囲が例示できる。基材層10の厚さについては特に制限はないが、通常、0.1〜5.0mm程度、好ましくは0.15〜1.0mmの範囲である。
なお、基材層10は、印刷層20との密着性を向上させるために、酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施してもよい。酸化法としては、コロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理などが例示できる。また、凹凸化法としては、サンドブラスト法、溶剤処理法などが例示できる。これら表面処理は、基材となる樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、操作性及び効果的などの点から、コロナ放電処理法が好ましく用いられる。
印刷層20は、透明樹脂層30と共に床材1に意匠性を与えるものであり、透明樹脂層30と組み合わせることで、より意匠性の高い床材を表現することが可能になる。印刷層20は、模様のない全ベタ状のベタインキの上に木目柄等の模様が形成されている。
ベタインキは、基材層10の地色の隠蔽等のために設けられており、基材層10の上に印刷されている。なお、ベタインキの色としては、透明樹脂層30に賦型するエンボスと関連した色(例えば、木目模様の場合は茶色)に印刷することが好ましく、エンボスと関連させることで床材1の意匠性がさらに向上する。
ベタインキの上に印刷される絵柄(模様)としては、例えば、木目模様、大理石模様等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。本実施形態においては、木目模様が印刷されている。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成されるほか、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。なお、印刷される絵柄としては、上記に限定されない。また、印刷についても多色印刷(グラビア印刷)に限定されない。
印刷層20に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、媒体、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。バインダーとしては、特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。印刷層20の厚さについては特に制限はないが、通常、2〜10μm程度である。
なお、本実施形態においては、ベタインキの上に絵柄を印刷する印刷層20を用いて説明したが、印刷層20としては、ベタインキのみで構成されていてもよい。印刷層20をベタインキのみで構成することで、床材のコストを抑えることができる。一方、ベタインキの上に絵柄を印刷した場合には、床材の意匠性をさらに向上させることができる。
透明樹脂層30には、床材1の表面形状を表す立体形状が賦型されており、床材1の表面の手触り感等(触覚的表現)を表現している。具体的には、透明樹脂層30には、印刷層20に形成された模様と関連づけられた凹凸模様(三次元形状)が、印刷層20と反対側の面(一方側の面)にエンボス加工されており、本実施形態においては、導管を有する木目模様の立体形状(立体形状部31)がエンボスされている。
なお、立体形状部31は、深さが2mm以下(0<深度≦2mm)に形成されており、床材としての機能を損なわない程度の凹凸に形成されている。これは、壁紙、テーブルクロスに対しても同様であるが、例えば、家具、家電、日用品、電子機器及びこれらのケース材等に用いられる化粧シートに対してはこの限りでない。また、立体形状部31におけるに木目模様は、印刷層20における木目模様の印刷と必ずしも一致させる必要はなく、印刷層20の木目模様との相乗効果を奏する程度に同調していればよい。そのため、印刷層20における木目模様も立体形状部31の木目模様と相乗効果を奏する程度の印刷でよい。
図2(b)に示すように、立体形状部31の表面31aには、20〜400μmの範囲で深さの異なる複数のインク穴32が形成されている。複数のインク穴32には、後述するワイピング時にドクターブレードにより掻き取られた後に残留するインク33が充填されており、深さの異なる複数のインク穴32のそれぞれに充填されたインク33によって木目模様(例えば、導管)の階調(視覚的表現)が表現される。
具体的には、複数のインク穴32は、立体形状部31が表現する木目模様それぞれの境界部34(図1及び図2(a)参照)の最深部に位置するインク穴32aが最も深くなるように形成されており、最深部から離れるに従って、インク穴32の深さが段階的に浅くなるように形成されている。このように、立体形状部31は、複数のインク穴32の深さで、木目模様それぞれの境界部34における階調を表現している。なお、ここでいう階調の表現とは、インク穴の深さに基づく充填されたインクの濃淡であり、本実施形態においては、インク穴が深いと色が濃くなり、インク穴が浅いと色が薄く見えるように表現される。
透明樹脂層30は、熱可塑性樹脂を主体に構成されており、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリスチレン;ポリカーボネート;ABS樹脂;アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、透明樹脂層30には、床材として必要な機能を補強するために、必要に応じて、各種添加剤、補強材、充填剤等が添加される。例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、潤滑剤、無機充填剤などが添加される。透明樹脂層30の厚さについては特に制限はないが、通常、0.1〜2.0mm程度、好ましくは0.15〜1.0mmの範囲である。
次に、上述した床材1の透明樹脂層30に木目模様のエンボス加工を施すためのエンボス版について、図3及び図4を参照しながら説明する。本実施形態に係るエンボス版は、木目模様の凹凸が周方向に連続形成されたエンボスロール(略円柱状のエンボス版)40から構成されている。なお、本実施形態においては、エンボスロール40を用いて説明するが、エンボス版は、矩形板状に形成されたエンボス板を用いることもできる。
図3は、第1実施形態に係る床材1の透明樹脂層30にエンボス加工を施すエンボスロール40の表面の一部を示す斜視図である。図4(a)は、図3に示すエンボスロール40の表面の断面を示す図であり、(b)は、(a)に示すB部の拡大図である。
図3及び図4(a)に示すように、エンボスロール40は、透明樹脂層30に立体形状部(所定の立体形状)31を賦型する第1凸状部41と、複数のインク穴32を賦型する複数の第2凸状部42・・・と、を備えて構成されている。
第1凸状部41は、透明樹脂層30の一方側の面を押圧した際に、一方側の面に、導管を有する木目模様が賦型される凹凸状に形成されている。第1凸状部41は、高さが2mm以下(0<高さ≦2)に形成されており、複数の第2凸状部42に対して比較的大きな凹凸となるように形成されている。なお、第1凸状部41は、予め設計されたエンボスパターンに基づいて形成されている。
図4(b)に示すように、複数の第2凸状部42は、第1凸状部41の表面41aから突出形成されており、20〜400μmの範囲で、長さが異なるように形成されている。具体的には、複数の第2凸状部42は、導管の境界部34の最深部に該当する第2凸部42aの高さが最も高くなるように形成されており、木目柄と略平行に第2凸部42aから離れるに従って、段階的に高さが低くなるように形成されている。
なお、第1凸状部41における境界線(木目模様の境界を示す線)41a上にある第2凸状部42は、略同じ高さに形成されており、略同じ色調になるようになっている。また、複数の第2凸状部42は、第1凸状部と同様、予め設計されたエンボスパターンに基づいて形成されている。
このエンボスロール40の製造方法としては、まず、透明樹脂層30に賦型する木目画像(エンボスパターン)を作成する。具体的には、立体形状部31を賦型するための第1凸状部41と、複数のインク穴32を賦型するための複数の第2凸状部42と、を有する木目画像を作成する。このとき、木目画像がエンボスロール40のシリンダーの円周に合わせたエンドレスパターンとなるように第1凸状部41を設計し、第1凸状部41の木目模様の階調を表現するように第2凸状部42を設計する。
木目画像が作成されると、レーザーストリーム製版装置を使用して、エンボスロール40のシリンダーに、直接、木目画像のデータを出力させて、シリンダーの表面に網点画像を焼き付ける。このとき、シリンダーに対するレーザーの相対位置及び照射時間で第1凸状部41及び複数の第2凸状部42の形状を調整する。シリンダーの表面に網点画像が焼き付けられると、シリンダー表面の現像を行い、表面にクロムメッキを施すことで、エンボスロール40は完成する。
なお、本実施形態においては、レーザー照射でエンボスロール40のシリンダーに網点画像を形成する方法を用いて説明したが、エンボスロールの製造方法としては、例えば、公知の腐食法を組み合わせて製造する方法であってもよい。
次に、上述のように構成された床材1の製造方法について説明する。なお、基材層10及び印刷層20については、公知技術により製造可能なため、ここでは、透明樹脂層(化粧シート)30の製造方法を中心に説明する。
まず、基材層10を構成する塩化ビニルシートを準備し、発泡させた後、表面にコロナ放電処理を施して、密着性向上のための表面処理を行っておく。次に、着色剤を含有するインクを用いて、コロナ放電処理を施した塩化ビニルシートの表面に木目模様をグラビア印刷し、印刷層20を形成する。これにより、基材層10及び印刷層20が完成する。
次に、透明樹脂層30を形成する。透明樹脂層30の製造方法は、添加剤等が含有された熱可塑性樹脂の表面にエンボス加工を行うエンボス工程と、エンボス加工が施されたエンボス面にワイピングを行うワイピング工程と、を備えて構成されている。
具体的には、透明樹脂層30を構成する熱可塑性樹脂を準備し、熱可塑性樹脂の一方側の面に、前述のように形成されたエンボス版を押圧し、熱可塑性樹脂の一方側の面に立体形状部31及び複数のインク穴32を賦型する(エンボス工程)。立体形状部31及び複数のインク穴32を賦型するエンボス加工としては、加熱加圧によるエンボス加工法やTダイ溶融押出し同時エンボス加工法が挙げられる。
例えば、加熱加圧によるエンボス加工法は、まず、透明樹脂層の表面を加熱軟化させ、エンボスロール40で加圧してエンボス版の凹凸模様を賦型する。そして、これを冷却し、固化させる方法であり、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機を用いることができる。加熱加圧によるエンボス加工法でエンボスを形成する場合には、ラミネート加工等により透明樹脂層30を印刷層20に積層する工程と同時に、透明樹脂層30を構成する熱可塑性樹脂シートにエンボス加工する、いわゆるダブリングエンボス法がある。
Tダイ溶融押出し同時エンボス加工法は、溶融押出しのためのローラと、賦型ローラを兼用させた冷却ローラと、からなるローラ対を使用して、熱可塑性樹脂シートの成膜と同時にエンボス模様を賦型する方法である。
エンボス加工が施されると、次に、立体形状部31及び複数のインク穴32が賦型された熱可塑性樹脂シートのワイピングを行う(ワイピング工程)。具体的には、まず、熱可塑性樹脂シートの一方側の面(立体形状部31及び複数のインク穴32が賦型された面)にインクを塗布し、複数のインク穴32にインクを充填する。
次に、一方側の面に塗布されたインクを、ドクターブレード(掻き取り手段)で掻き取る。このとき、ドクターブレードは、所定の柔軟性を有するように形成されているため、立体形状部31の表面形状に沿うように変形し、立体形状部31の表面31aにあるインクのみを掻き出す。なお、所定の柔軟性とは、熱可塑性樹脂シートの一方側の面を押圧しながら一方側の面と平行にドクターブレードを移動させた際に、ドクターブレードが立体形状部31の表面形状に沿うように変形可能な剛性をいう。
ドクターブレードでワイピングを行うことで、複数のインク穴32に充填されたインク33以外のインクが除去され、複数のインク穴32に充填されたインク33のみが残留する。複数のインク穴32に残留したインク33により、木目模様の階調が表現される。
このようにして、透明樹脂層30が形成され、透明樹脂層30が形成されると、透明樹脂層30を印刷層20に積層することで、床材1が完成する。
以上説明したように、第1実施形態に係る床材1は、床材1の表層を構成する透明樹脂層30が、立体形状を表現する立体形状部31と、立体形状部31の階調を表現する複数のインク穴32と、を備えている。そのため、床材1は、視覚的表現と触覚的表現とを同調させたリアルな木目模様を表現することができる。これにより、床材1の意匠性を向上させることができる。
また、立体形状部31と複数のインク穴32は、エンボスロール40による1回のエンボス加工で同時に形成される。そのため、寸法安定性の低い熱可塑性樹脂を用いた場合においても、立体形状の木目模様と木目模様の階調とがずれることがない。これにより、木目模様と木目模様の階調とのずれの調節を行う必要がない。その結果、容易かつ簡単に意匠性を向上させることができる。
さらに、床材1は、透明樹脂層30の下層に、木目模様が印刷された印刷層20を備えている。そのため、印刷層20と透明樹脂層30との相乗効果により、よりリアルな木目模様を表現することができる。これにより、更に床材1の意匠性を向上させることができる。
また、床材1は、印刷層20の絵柄と透明樹脂層30の立体形状とを一致させる必要がなく、同調させる程度でいいため、例えば、印刷層20と透明樹脂層30とが別工程で行われた場合においても意匠性の向上に影響がない。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る床材1Aについて、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る床材1Aの断面図である。図6(a)は、図5に示す床材1Aの矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すC部の拡大図である。
次に、本発明の第2実施形態に係る床材1Aについて、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る床材1Aの断面図である。図6(a)は、図5に示す床材1Aの矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すC部の拡大図である。
第2実施形態に係る床材1Aは、着色した熱可塑性樹脂シートにより形成される化粧シート30Aのみ(1層のみ)で構成されていることが、第1実施形態と相違する。そのため、ここでは、化粧シート30Aを中心に説明し、化粧シート30Aを製造するエンボス版及びエンボス版を用いた化粧シート30Aの製造方法については、第1実施形態を援用するものとして、その説明を省略する。また、化粧シート30Aの構成についても、第1実施形態と同様のものについては、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
図5及び図6に示すように、床材1Aは、化粧シート30Aにより構成されており、化粧シート30Aは、床材1Aの表面形状を表す立体形状を構成する立体形状部31と、立体形状部31の階調を表現する複数のインク穴32と、を備えて構成されている。
また、化粧シート30Aは、着色剤を含有した熱可塑性樹脂を主体に構成されており、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリスチレン;ポリカーボネート;ABS樹脂;アクリル樹脂等を用いることができる。
熱可塑性樹脂に含有させる着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料;染料;アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等を用いることができる。添加量としては、熱可塑性樹脂に対して5〜60質量%の範囲が例示できる。
また、化粧シート30Aには、床材として必要な機能を補強するために、必要に応じて、各種添加剤、補強材、充填剤等が添加される。例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、潤滑剤、無機充填剤などが添加される。透明樹脂層30の厚さについては特に制限はないが、通常、0.1〜2.0mm程度、好ましくは0.15〜1.0mmの範囲である。
以上説明したように、第2実施形態に係る床材1Aは、化粧シート30Aのみから形成されている。そのため、床材1Aは、意匠性を低下させることなくコストを抑えることができる。
また、床材1Aは、単層で構成されることで、意匠性を低下させることなく、薄型化が可能になる。また、柔軟性が高くなる。そのため、加工容易性が高くなる。これにより、汎用性が高くなる。その結果、例えば、家具、家電、日用品、電子機器及びこれらのケース材等にも好適に用いることができるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
例えば、本実施形態においては、化粧シート及び化粧材として床材1、1Aを用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。化粧シート及び化粧材は、床材1、1A以外にも、前述した壁紙やテーブルクロスの他に、家具、家電、日用品、電子機器及びこれらのケース材等にも好適に用いることができる。
また、本実施形態においては、木目模様のエンボス加工を施した床材1、1Aを用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。エンボス加工は、木目模様以外にも、例えば、大理石模様、石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル張り模様、レンガ積模様等であってもよい。
また、本実施形態においては、複数のインク穴32の深さで木目模様の階調制御を行ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、木目模様の階調制御は、複数のインク穴の大きさ(面積)で印刷後の階調の制御を行うAMスクリーンや、複数のインク穴の粗密で階調の制御を行うFMスクリーンであってもよい。
また、第1実施形態においては、3層構造の床材1を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。床材は、例えば、基材層及び透明樹脂層の2層構造であってもよい。この場合、透明樹脂層に着色剤を含有させることが好ましい。また、床材1は、3層以上の構成であってもよく、積層数は特に限定されない。
1、1A 床材
2 インク
30 透明樹脂層(化粧シート)
30A 化粧シート
31 立体形状部
32 インク穴
40 エンボス版
2 インク
30 透明樹脂層(化粧シート)
30A 化粧シート
31 立体形状部
32 インク穴
40 エンボス版
Claims (10)
- エンボス版を熱可塑性樹脂シートに押圧することで、所定の凹凸が賦型される化粧シートであって、
前記エンボス版を前記熱可塑性樹脂シートの一方側の面に押圧することで、前記一方側の面に賦型される立体形状部と、
前記立体形状部と共に前記立体形状部の表面に賦型され、ワイピングした際に残留するインクによって、前記立体形状部の階調を表現可能な複数のインク穴と、を備えた、
ことを特徴とする化粧シート。 - 前記複数のインク穴それぞれの深さを変えることで、前記立体形状部の階調が制御される、
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。 - 前記立体形状部の深さが0〜2mmであり、前記複数のインク穴の深さが20〜400μmである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。 - 前記熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂に着色剤を含有させて、前記熱可塑性樹脂シートを着色する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 基材層と、
前記基材層に積層される、請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シートと、を備えた、
ことを特徴とする化粧材。 - 前記基材層と前記化粧シートとの間に設けられる印刷層を備えた、
ことを特徴とする請求項5に記載の化粧材。 - 熱可塑性樹脂シートに所定の凹凸を賦型するエンボス版であって、
前記熱可塑性樹脂シートの一方側の面に、所定の立体形状を賦型する第1凸状部と、
前記第1凸状部の表面に設けられ、前記熱可塑性樹脂シートの前記所定の立体形状をワイピングした際に残留するインクによって前記所定の立体形状の階調を表現可能な複数のインク穴を賦型する複数の第2凸状部と、を備えた、
ことを特徴とするエンボス版。 - 前記複数の第2凸状部それぞれの長さを変えることで、前記所定の立体形状の階調が制御される、
ことを特徴とする請求項7に記載のエンボス版。 - 前記第1凸状部の高さが0〜2mmであり、前記複数の第2凸状部の長さが20〜400μmである、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のエンボス版。 - エンボス版を熱可塑性樹脂シートに押圧することで、所定の凹凸が賦型される化粧シートの製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂シートの一方側の面に設けられ、所定の立体形状に形成される立体形状部と、前記立体形状部の表面に設けられ、ワイピングした際に残留するインクによって、前記立体形状部の階調を表現可能な複数のインク穴と、を同時に賦型するエンボス工程と、
前記エンボス工程により賦型された前記立体形状部の表面にインクを塗布し、所定の柔軟性を有する掻き取り手段で前記立体形状部の表面に塗布されたインクを掻き取り、前記複数のインク穴に充填されたインク以外のインクを除去するワイピング工程と、を備える、
ことを特徴とする化粧シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014132464A JP2016010875A (ja) | 2014-06-27 | 2014-06-27 | 化粧シート、化粧材、エンボス版及びエンボス版を用いた化粧シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014132464A JP2016010875A (ja) | 2014-06-27 | 2014-06-27 | 化粧シート、化粧材、エンボス版及びエンボス版を用いた化粧シートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016010875A true JP2016010875A (ja) | 2016-01-21 |
Family
ID=55227922
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014132464A Pending JP2016010875A (ja) | 2014-06-27 | 2014-06-27 | 化粧シート、化粧材、エンボス版及びエンボス版を用いた化粧シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016010875A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020165229A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 大日本印刷株式会社 | 化粧材 |
WO2020203251A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 大日本印刷株式会社 | 化粧材及び化粧材の製造方法 |
-
2014
- 2014-06-27 JP JP2014132464A patent/JP2016010875A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020165229A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 大日本印刷株式会社 | 化粧材 |
WO2020203251A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 大日本印刷株式会社 | 化粧材及び化粧材の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6952947B2 (ja) | 自動車用デコレーションパネル及びその製造方法 | |
JP2007054998A (ja) | 加飾成形品及びその製造方法 | |
JP5178418B2 (ja) | 自動車用加飾部品の製造方法、及び自動車用加飾部品 | |
KR20090065011A (ko) | 표면 장식부재 및 그 제조방법 | |
JP7294408B2 (ja) | 化粧材 | |
JP2016010875A (ja) | 化粧シート、化粧材、エンボス版及びエンボス版を用いた化粧シートの製造方法 | |
TWM525771U (zh) | 瑜珈筒(四) | |
KR20140116580A (ko) | 입체감이 우수한 엠보무늬 벽지의 제조방법 및 그 제조방법에 의해 제조된 벽지 | |
KR101780529B1 (ko) | 자동차 내장재용 표피재 및 그 제조 방법 | |
JP5119638B2 (ja) | 凹凸加飾射出成形品 | |
JP5396966B2 (ja) | 加飾シート及び加飾樹脂成形品 | |
KR101514926B1 (ko) | 3차원 렌티큘러 입체 이미지 효과를 발휘하는 가열용 전사지 및 그 제조방법과 상기 전사지를 사용한 전사방법 | |
JP2018003173A (ja) | 離型シート及び樹脂皮革 | |
KR20130080557A (ko) | 인테리어용 판재 및 그 제조방법 | |
JP6064740B2 (ja) | 加飾シート及び加飾樹脂成形品 | |
KR102518052B1 (ko) | 임프린팅 롤 및 이를 포함하는 임플린팅 장치 | |
KR101289915B1 (ko) | 펄 효과를 연출하는 코팅 필름과, 상기 코팅필름을 사용하는 건축 내장용 몰딩 제조방법 | |
JP2009262336A (ja) | 紙容器とその製造方法 | |
JP2004351840A (ja) | 化粧材 | |
JP5240358B2 (ja) | 凹凸加飾射出成形品 | |
JP3625337B2 (ja) | 化粧シ−ト | |
JP7383222B2 (ja) | 化粧紙、化粧材、及び化粧紙の製造方法 | |
JP2011173294A (ja) | 加飾成形体の製法およびそれによって得られる加飾成形体 | |
JP7484066B2 (ja) | 合成樹脂表皮材、合成樹脂表皮材形成用金型の製造方法及び合成樹脂表皮材の製造方法 | |
JP3184823U (ja) | 化粧シートと、これを用いた床材、化粧材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20161027 |