JP2016009835A - 荷電粒子ビーム描画装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リミットエラーを回避するとともにスループットの低下を抑制することができる荷電粒子ビーム描画装置及び方法を提供する。
【解決手段】荷電粒子ビーム描画装置は、荷電粒子ビーム103を偏向させ、対象物150にパターンを描画する描画部100と、描画部100の制御を行う制御計算機210を有する制御部200とを備える。制御計算機210は、助走開始座標、描画開始座標、及び所定の第1加速度に基づいて前記対象物の描画領域の第1領域における第1描画速度を算出し、前記助走開始座標、前記第1加速度、及び第2描画速度に基づいて前記第1領域の範囲を算出する速度計算部216と、前記第1領域を前記第1描画速度で描画し、前記第1領域に続く第2領域を前記第2描画速度で描画するように描画部100を制御する描画制御部218と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、荷電粒子ビーム描画装置及び方法に関する。
LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、高精度の原画パターン(レチクル或いはマスクともいう。)が必要となる。高精度の原画パターンの生産には、電子ビーム描画装置による電子ビームリソグラフィ技術が用いられている。
電子ビーム描画装置では、描画領域を短冊状のストライプに分割し、そのストライプを描画単位とし、マスク等の対象物が載置されるステージを移動させながら電子ビームを照射して、対象物にパターンを描画している。ここで、描画手法として、パターン密度に応じてステージ速度を変化させる可変速描画と、ステージを等速で移動させる等速描画とが知られている。
等速描画では、ステージを所定の加速度で加速し、ステージ速度が目標速度に到達してから描画を開始する。描画パターンが対象物の端部に位置している場合、このパターンを目標速度で描画するための助走開始座標がリミット座標を越えることがある。すなわち、助走距離が確保出来ないことがある。この場合、目標速度を下げて助走に必要な距離を短くし、リミットエラーを回避していた。
同様に、1ストライプ内のパターンの描画完了後、ステージを所定の加速度で減速した場合に、ステージ停止位置がリミット座標を越えることがある。すなわち、停止距離が確保出来ないことがある。この場合も、目標速度を下げて停止距離を短くし、リミットエラーを回避していた。
しかし、リミットエラーを回避するために目標速度を下げて等速描画を行う場合、ストライプ全域について速度を落として描画することになり、スループットが低下するという問題があった。
特開2000−21747号公報 特開2009−38055号公報 特開平10−284387号公報 特許第3466985号公報
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、リミットエラーを回避するとともにスループットの低下を抑制することができる荷電粒子ビーム描画装置及び方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置は、荷電粒子ビームを、移動可能なステージ上に載置される対象物の所定位置に照射してパターンを描画する描画部と、前記描画部の制御を行う制御計算機を有する制御部と、を備え、前記制御計算機は、助走開始座標、描画開始座標、及び所定の第1加速度に基づいて前記対象物の描画領域の第1領域における第1描画速度を算出し、前記助走開始座標、前記第1加速度、及び前記第1描画速度より高速な第2描画速度に基づいて前記第1領域の範囲を算出する速度計算部と、前記第1領域を前記第1描画速度で描画し、前記第1領域に続く第2領域を前記第2描画速度で描画するように前記描画部を制御する描画制御部と、を有することを特徴とする。
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置においては、前記速度計算部は、前記第1加速度及び前記第2描画速度から助走距離を算出し、始点側リミット座標及び前記描画開始座標から前記助走距離が確保できるか否か判定し、前記助走距離が確保できない場合に、前記第1描画速度及び前記第1領域の範囲を算出することが好ましい。
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置においては、前記速度計算部は、停止座標、描画終了座標、及び所定の第2加速度に基づいて、前記第2領域に続く第3領域における第3描画速度を算出し、前記停止座標、前記第2加速度、及び前記第2描画速度に基づいて前記第3領域の範囲を算出し、前記描画制御部は、前記第3領域を前記第3描画速度で描画するように前記描画部を制御することが好ましい。
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置においては、前記速度計算部は、前記第2加速度及び前記第2描画速度から停止距離を算出し、終点側リミット座標及び前記描画終了座標から前記停止距離が確保できるか否か判定し、前記停止距離が確保できない場合に、前記第3描画速度及び前記第3領域の範囲を算出することが好ましい。
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法は、助走開始座標、描画開始座標、及び所定の第1加速度に基づいて、ステージ上に載置される対象物の描画領域の第1領域における第1描画速度を算出する工程と、前記助走開始座標、前記第1加速度、及び前記第1描画速度より高速な第2描画速度に基づいて前記第1領域の範囲を算出する工程と、前記助走開始座標から前記第1加速度でステージを加速し、前記第1領域を前記第1描画速度で描画する工程と、前記第1領域の描画後、前記ステージを停止し、前記助走開始座標に戻り、該助走開始座標から前記第1加速度でステージを加速し、前記第1領域に続く第2領域を前記第2描画速度で描画する工程と、を備えるものである。
本発明によれば、リミットエラーを回避するとともにスループットの低下を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。 ステージ移動の例を示す図である。 等速描画における描画速度の変化の一例を示すグラフである。 描画速度と助走距離の関係を示すグラフである。 (a)は助走距離が足りない例を示し、(b)及び(c)は同実施形態に係る描画速度制御を示すグラフである。 (a)は停止距離が足りない例を示し、(b)及び(c)は同実施形態に係る描画速度制御を示すグラフである。 (a)はブロック分割されたストライプの一例を示す図であり、(b)は各ブロックの描画時間の一例を示すグラフである。 速度計算部の処理を説明するフローチャートである。 通常描画での描画方法を説明するフローチャートである。 始点側低速描画での描画方法を説明するフローチャートである。 終点側低速描画での描画方法を説明するフローチャートである。 始点側・終点側低速描画での描画方法を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る荷電粒子ビーム描画装置の概略図である。本実施形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の他の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
図1に示す描画装置は、マスクやウェーハ等の対象物に電子ビームを照射して所望のパターンを描画する描画部100と、描画部100による描画動作を制御する制御部200とを備える。描画部100は、電子ビーム鏡筒102及び描画室104を有している。
電子ビーム鏡筒102内には、電子銃101、照明レンズ112、投影レンズ114、対物レンズ116、ブランキングアパーチャ120、第1アパーチャ122、第2アパーチャ124、偏向器130、132及び134が配置されている。また、描画室104内には、移動可能に配置されたXYステージ140が配置されている。XYステージ140上には、対象物となるマスク150が載置されている。なお、対象物として、例えば、ウェーハや、ウェーハにパターンを転写する露光用のマスクが含まれる。また、このマスクは、例えば、まだ何もパターンが形成されていないマスクブランクスが含まれる。
電子銃101から出た電子ビーム103は、照明レンズ112により矩形の穴を持つ第1アパーチャ122全体を照明する。ここで、電子ビーム103は矩形に成形される。そして、第1アパーチャ122を通過した第1アパーチャ像の電子ビーム103は、投影レンズ114により第2アパーチャ124上に投影される。第2アパーチャ124上での第1アパーチャ像の位置は、偏向器132によって偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させることができる。第2アパーチャ124を通過した第2アパーチャ像の電子ビーム103は、対物レンズ116により焦点を合わせ、偏向器134により偏向されて、連続移動するXYステージ140上のマスク150の所望の位置に照射される。
電子銃101から放出された電子ビーム103は、偏向器130によって、ビームオンの状態では、ブランキングアパーチャ120を通過するように制御され、ビームオフの状態では、ビーム全体がブランキングアパーチャ120で遮蔽されるように偏向される。ビームオフの状態からビームオンとなり、その後ビームオフになるまでにブランキングアパーチャ120を通過した電子ビームが1回の電子ビームのショットとなる。各ショットの照射時間により、マスク150に照射される電子ビームのショットあたりの照射量が調整されることになる。
図2は、パターン描画時のステージ移動の一例を示す図である。マスク150に描画する場合には、XYステージ140を例えばx方向に連続移動させながら、描画領域10を電子ビーム103が偏向可能な幅の短冊状の複数のストライプ(フレーム)20に仮想分割し、マスク150の1つのストライプ20上に電子ビーム103を照射する。XYステージ140のx方向の移動は連続移動とし、同時に偏向器134で電子ビーム103のショット位置もステージ移動に追従させる。連続移動させることで描画時間を短縮させることができる。そして、1つのストライプ20を描画し終わったら、XYステージ140をy方向にステップ送りし、x方向(逆向き)に次のストライプ20の描画動作を行う。
本実施形態による描画装置は、描画中は一定の速度でステージを移動させる等速描画を行うものである。図3は、等速描画を行う際の描画速度(ステージ速度)の変化の一例を示す。図3において、横軸はx方向の位置(座標)を示し、縦軸は描画速度を示す。等速描画では、助走開始座標x1にて所定の加速度a1で加速を開始し、描画開始座標x2にて所定速度(目標速度)v2に到達したらパターンの描画を開始する。所定速度v2の求め方は後述する。その後、一定の速度v2で描画を行い、描画終了座標x7にてこのストライプの最後のパターンの描画を終えると、所定の加速度a2で減速し、停止座標x8にてステージ移動を停止する。加速度a1、a2は予め決められた値であり、加速度a1の絶対値と加速度a2の絶対値とは同じでもよく、異なってもよい。
加速(助走)を開始してから所定速度v2に到達するまでに要する助走距離L1は、加速度a1及び速度v2から定まる。また、減速を開始してから停止するまでに要する停止距離L2は加速度a2及び速度v2から定まる。図4は、加速度a1を0.01G(G=9800000[μm/sec])、0.05Gとした場合の速度v2と、必要な助走距離L1との関係を示すグラフである。
ここで、描画パターンがマスク150の始点側(助走開始側)の端部に位置している場合、図5(a)に示すように、助走開始座標x1´が始点側のリミット座標x0(XYステージ140の構成等から予め定められた限界点)を超えることがある。すなわち、描画開始座標x2がリミット座標x0に接近している場合、所定速度v2に到達するために必要な助走距離L1が確保できないことがある。
このような場合、本実施形態では、図5(b)に示すように、まず、リミット座標x0を越えない助走開始座標x1から所定の加速度a1で加速を開始し、描画開始座標x2にて所定速度v2より遅い速度v1でパターンの描画を開始する。その後、一定の速度v1で描画を行い、座標x3にてパターンの描画を一旦終え、所定の加速度a2で減速し、座標x4にてステージ移動を停止する。ここで座標x1と座標x3との間隔は助走距離L1と同程度とする。
そして、座標x4から助走開始座標x1へ戻り、図5(c)に示すように、助走開始座標x1から所定の加速度a1で加速を開始する。座標x3にて所定速度v2に到達したらパターンの描画を再開し、その後、一定の速度v2で描画を行う。
このように、本実施形態では、描画パターンがマスク150の始点側(助走開始側)の端部に位置し、助走距離L1が確保できない場合、描画領域における始点側の小領域(座標x2〜x3の間)を速度v2より低速な速度v1で描画する。座標x3は、助走開始座標x1及び助走距離L1から定まり、速度v1での低速描画後、再度、助走開始座標x1から加速度a1で加速を開始することで、座標x3では所定速度v2に到達し、座標x3以降は速度v2で描画を行うことが可能となる。これにより、リミットエラーを回避することができる。また、ストライプ全体を速度v1で描画する場合と比較して、スループットの低下を抑制することができる。
描画パターンがマスク150の終点側(減速開始側)の端部に位置している場合、図6(a)に示すように、停止座標x8´が終点側のリミット座標x9(XYステージ140の構成等から予め定められた限界点)を超えることがある。すなわち、描画終了座標x7がリミット座標x9に接近している場合、停止するために必要な停止距離L2が確保できないことがある。
このような場合、本実施形態では、図6(b)に示すように、まず、描画終了座標x7より始点側の座標x6でパターンの描画を一旦終え、所定の加速度a2で減速し、リミット座標x9を越えない停止座標x8にてステージ移動を停止する。そして、停止座標x8から座標x5へ戻り、図6(c)に示すように、座標x5から所定の加速度a1で加速を開始する。座標x6にて所定速度v2より遅い速度v3でパターンの描画を再開する。その後、一定の速度v3で描画を行い、描画終了座標x7にてこのストライプの最後のパターンの描画を終えると、所定の加速度a2で減速し、停止座標x8にてステージ移動を停止する。
座標x6と停止座標x8との間隔は停止距離L2と同程度とする。速度v3は、描画終了座標x7、停止座標x8、及び加速度a2から定まる。すなわち、速度v3は、描画終了座標x7にてこのストライプの最後のパターンの描画を終えた後、所定の加速度a2で減速し、停止座標x8にてステージ移動を停止することができる程度の速度である。座標x5は、座標x6、速度v3、及び加速度a1から定まる。すなわち、座標x5は、加速度a1で加速を開始し、座標x6にて速度v3に達することができる位置である。
このように、本実施形態では、描画パターンがマスク150の終点側(減速開始側)の端部に位置し、停止距離L2が確保できない場合、描画領域における終点側の小領域(座標x6〜x7の間)を速度v2より低速な速度v3で描画する。停止座標x8で停止できるように、所定速度v2での描画は座標x6までとし、座標x6〜x7の領域は速度v3で低速描画を行う。これにより、リミットエラーを回避することができる。また、ストライプ全体を速度v3で描画する場合と比較して、スループットの低下を抑制することができる。
次に、描画部100による描画動作全体を制御して上述のような描画処理を実行する制御部200について説明する。制御部200は、記憶装置202、制御計算機210、偏向制御部220、及びステージ制御部230を備えている。
記憶装置202は、例えば磁気ディスク装置であり、描画データが格納されている。この描画データには、図形パターンの形状及び位置が定義されている。制御計算機210は、ショットデータ生成部212、描画時間計算部214、速度計算部216、及び描画制御部218を備え、それぞれの処理が実行される。制御計算機210内での入出力或いは演算されたデータは、メモリ219に記憶される。
制御計算機210は、記憶装置202から1ストライプ分の描画データを読み出す。ショットデータ生成部212は、描画データに定義された図形パターンをショット単位に分割したショットデータを生成する。ショットデータは偏向制御部220に与えられる。
描画時間計算部214は、ショットデータの照射時間、アンプの静定時間、偏向制御部220の実際のショットサイクル等を考慮して、描画方向に沿ってストライプを複数のブロックに分割したときの各ブロックの描画に要する描画時間を計算する。速度計算部216は、描画時間の最も長いブロックの描画時間及びブロック長さから所定速度v2を計算する。
例えば、描画時間計算部214が、図7(a)に示すように、ストライプを描画方向に沿って長さLでブロックB1〜B8に分割し、各ブロックの描画時間を計算する。図7(b)は、速度計算部216により算出される各ブロックの描画時間である。ブロックB4が最も描画時間(T4)が長く、速度v2は、v2=L/T4で求まる。
また、速度計算部216は、助走距離L1が確保できるか否か、及び停止距離L2が確保できるか否かを判定する。判定結果により描画モードが決定する。描画モード及び対応する判定結果は以下のようになっている。
Figure 2016009835
通常描画は、図3に示すように、ストライプの全領域を速度v2で描画するモードである。始点側低速描画は、図5(b)(c)に示すように、始点側の小領域を速度v1で低速描画し、その後の領域は速度v2で描画するモードである。終点側低速描画は、図6(b)(c)に示すように、終点側の小領域を速度v3で低速描画し、それ以前の領域は速度v2で描画するモードである。始点側・終点側低速描画は、始点側及び終点側の小領域をそれぞれ速度v1、v3で低速描画し、その間の領域は速度v2で描画するモードである。
速度計算部216は、低速描画(始点側低速描画、終点側低速描画、始点側・終点側低速描画)を行う場合、描画速度の切り替え位置、すなわち低速v1での描画を停止し、速度v2での描画を再開する位置(座標x3、図5参照)や、速度v2での描画を停止し、低速v3での描画を再開する位置(座標x6、図6参照)などを求める。
図8に示すフローチャートを用いて、速度計算部216の処理を説明する。
(ステップS101)ストライプを分割した各ブロックの描画時間を計算し、最も長い描画時間と、そのブロック長さから速度v2を計算する。
(ステップS102)以下の式1を用いて、助走距離L1を求める。
L1=(1/2)×(v2)×a1+Lwin+Spost+Aprch …(式1)
ここで、Lwinは主偏向窓幅であり、描画速度に到達する前にビームの偏向範囲に入ってショットが始まることを防止するためのオフセットである。Spostは、ステージ位置決め誤差を考慮したオフセットである。Aprchは、移動速度がオーバーシュートするようなステージ系で、速度が静定するまでに必要なオフセットである。
このようにして求めた助走距離L1が確保できるか否か判定する。すなわち、描画データから描画開始座標x2を求め、描画開始座標x2及び助走距離L1から求まる助走開始座標がリミット座標x0を越えないか否か判定する。助走距離L1が確保できる(助走開始座標がリミット座標x0を越えない)場合はステップS103へ進み、確保できない場合はステップS107へ進む。
(ステップS103)以下の式2を用いて、停止距離L2を求める。
L2=(1/2)×(v2)×a2+Lwin+Spost …(式2)
Lwin、Spostは上述の式1で説明したオフセットと同様のものである。
このようにして求めた停止距離L2が確保できるか否か判定する。すなわち、描画データから描画終了座標x7を求め、描画終了座標x7及び停止距離L2から求まる停止座標がリミット座標x9を越えないか否か判定する。停止距離L2が確保できる(停止座標がリミット座標x9を越えない)場合はステップS104へ進み、確保できない場合はステップS105へ進む。
(ステップS104)助走距離L1及び停止距離L2が共に確保できるため、描画モードは通常描画となる。通常描画では、ストライプの全領域を速度v2で等速描画する。
(ステップS105)速度v2での描画を停止する座標x6を求める。座標x6は、リミット座標x9を越えない所望の停止座標x8から、式2で算出した停止距離L2戻った位置に相当する。
さらに、座標x6〜x7の領域の描画速度v3を求める。速度v3は、座標x7とx8との間隔をL3とした場合、v3=(2×L3×a2)1/2で求まる。速度v3での描画を座標x7で終え、加速度a2で減速した場合、座標x8で停止することができる。
さらに、加速度a1、座標x6、速度v3を用いて、座標x5を求める。具体的には、座標x5から加速度a1で加速を開始し、座標x6で速度v3に到達するように、座標x5を求める。
(ステップS106)助走距離L1は確保でき、停止距離L2は確保できないため、描画モードは終点側低速描画となる。
(ステップS107)速度v2での描画を開始する座標x3を求める。座標x3は、リミット座標x0を越えない所望の助走開始座標x1から、式1で算出した助走距離L1進んだ位置に相当する。
さらに、座標x2〜x3の領域の描画速度v1を求める。速度v1は、座標x1とx2との間隔をL4とした場合、v1=(2×L4×a1)1/2で求まる。
(ステップS108)ステップS103と同様に、停止距離L2が確保できるか否か判定する。停止距離L2が確保できる場合はステップS109へ進み、確保できない場合はステップS110へ進む。
(ステップS109)助走距離L1は確保できず、停止距離L2は確保できるため、描画モードは始点側低速描画となる。
(ステップS110)ステップS105と同様に、座標x5、x6、速度v3を求める。
(ステップS111)助走距離L1及び停止距離L2が確保できないため、描画モードは始点側・終点側低速描画となる。
このように、速度計算部216は、助走距離L1及び停止距離L2が確保できるか否か判定し、判定結果に応じて、始点側及び/又は終点側で低速描画を行うか否か決定する。低速描画を行う場合、速度計算部216は、低速描画を行う低速描画領域の位置(範囲)及び描画速度v1、v3を算出する。
描画制御部218は、速度計算部216により算出された座標や速度に基づいて、偏向制御部220に対し、ショットの開始指示を与えたり、ショットの停止座標を指示したりする。また、描画制御部218は、ステージ制御部230に対してステージ移動指示を与える。
偏向制御部220は、ショットデータ及び描画制御部218からの指示に基づいて、偏向器130、132及び134を制御する偏向信号を生成する。偏向信号は、図示しないDACアンプによりD/A変換された後に増幅され、偏向器130、132及び134の電極に印加される。これにより、所望の形状の電子ビームを、マスク150の所望の位置に、所望の照射時間(照射量)で、照射することができる。また、低速描画を行う場合は、設定された座標で描画を終了することができる。偏向制御部220は、描画を終了した場合、ステージ制御部230に対し、ステージ停止指示を出力するとともに、描画が終了したことを描画制御部218に通知する。
ステージ制御部230は、描画制御部218からの指示に基づいてステージ140の移動速度を制御する。また、ステージ制御部230は、描画制御部218から指示された座標にステージ140を移動させる。また、ステージ制御部230は、偏向制御部220からの指示に基づいて、ステージの移動を停止するとともに、ステージ移動が終了したことを描画制御部218に通知する。
次に、各描画モードにおける制御部200の描画制御を説明する。まず、図9に示すフローチャートを用いて通常描画について説明する。
(ステップS201)描画制御部218が偏向制御部220へショット指示を出力しステージ待ちの状態にしてから、ステージ制御部230へステージ移動開始指示を出力する。ステージ制御部230が、助走開始座標x1から加速度a1でステージ140を加速させる。
(ステップS202)ステージ制御部230は、ステージ速度がv2に達したら、この速度v2を維持する。
(ステップS203)偏向制御部220が、偏向器130、132及び134を制御し、マスク150の描画開始座標x2から描画終了座標x7までの領域にパターンを描画する。
(ステップS204)偏向制御部220は、座標x7までのパターン描画を終了すると、描画制御部218へ描画が終了したことを通知し、ステージ制御部230に対しステージ停止指示を出力する。ステージ制御部230は、ステージ停止指示に基づいて加速度a2での減速を開始する。
(ステップS205)リミット座標x9を越えない停止座標x8でステージ140が停止する。ステージ制御部230はステージが停止したことを描画制御部218へ通知する。1つのストライプの描画が終了し、次のストライプの描画に進む。
このように、通常描画では、ストライプの全領域(描画開始座標x2から描画終了座標x7までの領域)を速度v2で等速描画する。
次に、図10に示すフローチャートを用いて始点側低速描画について説明する。
(ステップS301)描画制御部218が偏向制御部220へショット指示を出力しステージ待ちの状態にしてから、ステージ制御部230へステージ移動開始指示を出力する。ステージ制御部230が、助走開始座標x1から加速度a1でステージ140を加速する。
(ステップS302)ステージ制御部230は、ステージ速度がv1に達したら、この速度v1を維持する。偏向制御部220が、偏向器130、132及び134を制御し、速度v1で、マスク150の描画開始座標x2から座標x3までの領域にパターンを描画する。速度v1及び座標x3は図7のステップS107で計算されたものである。
(ステップS303)偏向制御部220は、座標x3までのパターン描画を終了すると、描画を一旦終了し、ステージ制御部230に対しステージ停止指示を出力し、描画制御部218へ描画が終了したことを通知する。ステージ制御部230は、ステージ停止指示に基づいて加速度a2での減速を開始する。
(ステップS304)座標x4でステージ140が停止すると、描画制御部218はステージ制御部230へ助走開始座標x1への移動指示を出力する。ステージ制御部230は、ステージ140を助走開始座標x1に戻し、ステージ移動が完了したことを描画制御部218へ通知する。
(ステップS305)描画制御部218が偏向制御部220へショット指示を出力しステージ待ちの状態にしてから、ステージ制御部230へステージ移動開始指示を出力する。ステージ制御部230が、助走開始座標x1から加速度a1でステージ140を加速する。
(ステップS306)ステージ制御部230は、ステージ速度がv2に達したら、この速度v2を維持する。偏向制御部220が、偏向器130、132及び134を制御し、速度v2で、マスク150の座標x3から描画終了座標x7までの領域にパターンを描画する。
(ステップS307)偏向制御部220は、座標x7までのパターン描画を終了すると、描画制御部218へ描画が終了したことを通知し、ステージ制御部230に対しステージ停止指示を出力する。ステージ制御部230は、ステージ停止指示に基づいて加速度a2での減速を開始する。
(ステップS308)リミット座標x9を越えない停止座標x8でステージ140が停止する。ステージ制御部230はステージが停止したことを描画制御部218へ通知する。1つのストライプの描画が終了し、次のストライプの描画に進む。
次に、図11に示すフローチャートを用いて終点側低速描画について説明する。
(ステップS401)描画制御部218が偏向制御部220へショット指示を出力し、ステージ待ちの状態にしてから、ステージ制御部230へステージ移動開始指示を出力する。ステージ制御部230が、助走開始座標x1から加速度a1でステージ140を加速する。
(ステップS402)ステージ制御部230は、ステージ速度がv2に達したら、この速度v2を維持する。
(ステップS403)偏向制御部220が、偏向器130、132及び134を制御し、マスク150の描画開始座標x2から座標x6までの領域にパターンを描画する。座標x6は図7のステップS105で計算されたものである。
(ステップS404)偏向制御部220は、座標x6までのパターン描画を終了すると、描画を一旦終了し、ステージ制御部230に対しステージ停止指示を出力し、描画制御部218へ描画が終了したことを通知する。ステージ制御部230は、ステージ停止指示に基づいて加速度a2での減速を開始する。
(ステップS405)リミット座標x9を越えない停止座標x8でステージ140が停止すると、描画制御部218はステージ制御部230へ助走開始座標x5への移動指示を出力する。ステージ制御部230は、ステージ140を座標x5に戻す。座標x5は図7のステップS105で計算されたものである。
(ステップS406)描画制御部218が偏向制御部220へショット指示を出力しステージ待ちの状態にしてから、ステージ制御部230へステージ移動開始指示を出力する。ステージ制御部230が、座標x5から加速度a1でステージ140を加速する。
(ステップS407)ステージ制御部230は、ステージ速度がv3に達したら、この速度v3を維持する。偏向制御部220が、偏向器130、132及び134を制御し、速度v3で、マスク150の座標x6から描画終了座標x7までの領域にパターンを描画する。速度v3は図7のステップS105で計算されたものである。
(ステップS408)偏向制御部220は、座標x7までのパターン描画を終了すると、ステージ制御部230に対しステージ停止指示を出力する。ステージ制御部230は、ステージ停止指示に基づいて加速度a2での減速を開始する。
(ステップS409)リミット座標x9を越えない停止座標x8でステージ140が停止する。ステージ制御部230はステージが停止したことを描画制御部218へ通知する。1つのストライプの描画が終了し、次のストライプの描画に進む。
次に、図12に示すフローチャートを用いて始点側・終点側低速描画について説明する。ステップS501〜S505は図10のステップS301〜S305と同様である。
(ステップS506)ステージ制御部230は、ステージ速度がv2に達したら、この速度v2を維持する。偏向制御部220が、速度v2で、マスク150の座標x3から座標x6までの領域にパターンを描画する。
その後のステップS507〜S512は図11のステップS404〜S409と同様である。
このように、本実施形態では、速度v2で描画を開始するための助走距離L1が確保できない場合、描画領域における始点側の第1領域(座標x2〜x3の間)を速度v2より低速な速度v1で描画する。第1領域の描画後、助走開始座標x1に戻って加速を開始し、座標x3以降の第2領域を速度v2で描画する。これにより、リミットエラーを回避することができる。また、ストライプ全体を速度v1で描画する場合と比較して、スループットの低下を抑制することができる。
また、停止距離L2が確保できない場合、描画領域における終点側の第3領域(座標x6〜x7の間)を速度v2より低速な速度v3で描画する。座標x6までの第2領域を速度v2で描画した後、描画を一旦終了し、リミット座標を越えない位置でステージ140を停止させる。そして、ステージ140を座標x5まで戻して加速を開始し、第3領域を速度v3で低速描画して、リミット座標を越えない位置でステージ140を停止できるようにする。これにより、停止側でのリミットエラーを回避することができる。また、ストライプ全体を速度v3で描画する場合と比較して、スループットの低下を抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、リミットエラーを回避するとともに、ステージ速度を低下させる(低速描画を行う)範囲を限定することで、スループットの低下を抑えることができる。
上記実施形態において、助走距離L1、停止距離L2、低速描画領域の範囲(座標x2〜x3の第1領域、座標x6〜x7の第3領域)などを計算する際は、描画装置の様々な機構の誤差(オフセット)を考慮することが好ましい。
上記実施形態において、停止距離L2が確保できるか否か、言い換えれば、描画領域における終点側の第3領域(座標x6〜x7の間)を速度v2より低速な速度v3で低速描画するか否かは、ストライプの描画処理開始前に決定してもよいし、描画処理中に決定してもよい。
XYステージ140は、摩擦駆動によるものでもよく、加圧空気をガイドに対して噴出させ、発生した静圧によってテーブルを浮上させるエアベアリング(静圧空気軸受)を用いたエアステージでもよい。エアステージは、速度を変えた際にオーバーシュートしやすいため、描画中の速度変化のない等速描画を行うことが好ましい。
上記実施形態では、ストライプを複数ブロックに分割し、各ブロックの描画時間から速度v2を決定していたが、ユーザが予め速度v2の値を設定してもよい。
上記実施形態では、1本の電子ビームで描画するシングルビーム方式の描画装置について説明したが、マルチビーム方式の描画装置としてもよい。マルチビーム方式の描画装置においては、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の開口部を有するブランキングアパーチャアレイを通過させるとともにそれぞれブランキング制御し、遮蔽されなかった各ビームがマスク上の所望の位置へと照射される。
上述した実施形態で説明した制御計算機210の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、制御計算機210の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
100 描画部
101 電子銃
102 電子ビーム鏡筒
103 電子ビーム
104 描画室
112 照明レンズ
114 投影レンズ
116 対物レンズ
120 ブランキングアパーチャ
122 第1アパーチャ
124 第2アパーチャ
130、132、134 偏向器
140 XYステージ
200 制御部
202 記憶装置
210 制御計算機
212 ショットデータ生成部
214 描画時間計算部
216 速度計算部
218 描画制御部
220 偏向制御部
230 ステージ制御部

Claims (5)

  1. 荷電粒子ビームを、移動可能なステージ上に載置される対象物の所定位置に照射してパターンを描画する描画部と、
    前記描画部の制御を行う制御計算機を有する制御部と、
    を備え、
    前記制御計算機は、
    助走開始座標、描画開始座標、及び所定の第1加速度に基づいて前記対象物の描画領域の第1領域における第1描画速度を算出し、前記助走開始座標、前記第1加速度、及び前記第1描画速度より高速な第2描画速度に基づいて前記第1領域の範囲を算出する速度計算部と、
    前記第1領域を前記第1描画速度で描画し、前記第1領域に続く第2領域を前記第2描画速度で描画するように前記描画部を制御する描画制御部と、
    を有することを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
  2. 前記速度計算部は、前記第1加速度及び前記第2描画速度から助走距離を算出し、始点側リミット座標及び前記描画開始座標から前記助走距離が確保できるか否か判定し、前記助走距離が確保できない場合に、前記第1描画速度及び前記第1領域の範囲を算出することを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
  3. 前記速度計算部は、停止座標、描画終了座標、及び所定の第2加速度に基づいて、前記第2領域に続く第3領域における第3描画速度を算出し、前記停止座標、前記第2加速度、及び前記第2描画速度に基づいて前記第3領域の範囲を算出し、
    前記描画制御部は、前記第3領域を前記第3描画速度で描画するように前記描画部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
  4. 前記速度計算部は、前記第2加速度及び前記第2描画速度から停止距離を算出し、終点側リミット座標及び前記描画終了座標から前記停止距離が確保できるか否か判定し、前記停止距離が確保できない場合に、前記第3描画速度及び前記第3領域の範囲を算出することを特徴とする請求項3に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
  5. 助走開始座標、描画開始座標、及び所定の第1加速度に基づいて、ステージ上に載置される対象物の描画領域の第1領域における第1描画速度を算出する工程と、
    前記助走開始座標、前記第1加速度、及び前記第1描画速度より高速な第2描画速度に基づいて前記第1領域の範囲を算出する工程と、
    前記助走開始座標から前記第1加速度でステージを加速し、前記第1領域を前記第1描画速度で描画する工程と、
    前記第1領域の描画後、前記ステージを停止し、前記助走開始座標に戻り、該助走開始座標から前記第1加速度でステージを加速し、前記第1領域に続く第2領域を前記第2描画速度で描画する工程と、
    を備える荷電粒子ビーム描画方法。
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