JP2016008508A - 内燃機関システム - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関システムに関し、外乱となる運転条件パラメータの性能指標値に対する感度が高い場合であっても、制御パラメータの最適点を精度良く探索することを目的とする。【解決手段】燃費を最良とする吸気バルブタイミングをオンボードで探索する。筒内圧センサ38を用いて燃費を取得する。吸気バルブタイミングと吸入空気量とをマップ軸として含み、燃費の学習値を各格子点に記憶する学習マップMを備える。この探索では、吸気バルブタイミングの値を変更し、当該変更の前後の燃費を比較する。この変更の前後で吸入空気量が変化する場合に、上記変更前の燃費の値として学習マップMの燃費の学習値を利用して、同一吸入空気量の下で上記変更の前後の燃費の比較を行う。燃費−KLラインを用いて、学習対象格子点に対応する吸入空気量での値となるように燃費の取得値を補正し、補正した燃費を用いて当該学習対象格子点の学習値を更新する。【選択図】図5

Description

この発明は、内燃機関システムに係り、特に、内燃機関に関する性能評価値を最良とする制御パラメータの最適点をオンボードで探索する処理を行う内燃機関システムに関する。
従来、例えば特許文献1には、自動適合装置が開示されている。この自動適合装置は、内燃機関に関する性能評価値を最良とする制御パラメータ(機関運転制御用のパラメータ)の適合値(最適点)をオンボードで探索するものである。
日本特開2009−013860号公報 日本特開平04−175434号公報 国際公開第2010/087029号 日本特開2002−028858号公報
内燃機関を搭載する車両の走行中には、エンジン運転条件(例えば、吸入空気量)は常に同じではなく変化するものである。内燃機関に関する性能評価値(例えば、燃費)に対する制御パラメータ(例えば、バルブタイミング)の感度よりも性能評価値に対する運転条件パラメータ(例えば、吸入空気量)の感度の方が高いと、制御パラメータの値を変更して行う最適点探索に対して当該運転条件パラメータが外乱となる。その結果、正確な探索が難しくなる。そこで、性能評価値と制御パラメータと運転条件パラメータとの関係を学習マップとして備え、当該学習マップの情報を制御パラメータの最適点探索に利用することが考えられる。これにより、外乱となる運転条件パラメータの影響を考慮しつつ探索を進めることができる。
しかしながら、最適点探索に学習マップを利用する際には、次のような課題がある。すなわち、学習マップの学習データを取得した際の運転条件パラメータに偏りがあると、真値からずれた値が学習値として学習されてしまうため、正しく最適点を探索することが難しくなる。そして、このような課題は、偏りが生じている運転条件パラメータの性能指標値への感度が高い場合に顕著となる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、外乱となる運転条件パラメータの性能指標値に対する感度が高い場合であっても、制御パラメータの最適点を精度良く探索することのできる内燃機関システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、内燃機関システムであって、
内燃機関に関する性能指標値を最良とする制御パラメータの値を前記内燃機関の運転中に探索する処理を行う内燃機関システムであって、
前記内燃機関の運転中に前記性能指標値を取得する性能指標値取得手段と、
前記制御パラメータと前記内燃機関の運転条件パラメータとをマップ軸として含み、複数の格子点を有し、前記性能指標値の学習値が前記複数の格子点にそれぞれ更新可能に対応付けられた学習マップと、
前記制御パラメータの値を変更し、当該変更の前後の前記性能指標値を比較し、当該比較の結果として大きい方の当該性能指標値に対応する前記制御パラメータの値を取得する探索手段と、
を備え、
前記探索手段は、前記変更の前後で前記運転条件パラメータが変化する場合に、前記変更の前の前記性能指標値の値として前記学習マップの前記性能指標値の学習値を利用して、前記運転条件パラメータが同一となる条件下で前記変更の前後の前記性能指標値の比較を行うものであって、
前記性能指標値と前記運転条件パラメータとの関係を規定する関係情報を用いて、学習対象の格子点である学習対象格子点に対応する前記運転条件パラメータでの値となるように前記性能指標値の取得値を補正し、補正した前記性能指標値を用いて当該学習対象格子点の学習値を更新する学習値更新手段をさらに備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記関係情報は、前記学習マップの学習開始前に取得されていることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記学習マップの学習は、学習データが取得されたときに、前記学習マップ上における学習対象格子点と前記性能指標値の学習データとの距離が近いほど、当該学習データの重みを大きく設定し、かつ、学習データが取得される毎に、学習対象格子点において、前記重みが大きいほど学習データが学習値に大きく反映されるように当該学習対象格子点の学習値を更新する重み付け学習であって、
前記学習値更新手段は、前記運転条件パラメータが同一となるすべての格子点の学習値の平均値を、当該平均値の算出対象の個々の格子点に蓄積された重みによる重み付けがなされた学習値の重み付け平均値として算出し、算出された前記重み付け平均値を前記性能指標値として用いて前記関係情報を生成することを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、
前記学習マップの学習は、学習データが取得されたときに、前記学習マップ上における学習対象格子点と前記性能指標値の学習データとの距離が近いほど、当該学習データの重みを大きく設定し、かつ、学習データが取得される毎に、学習対象格子点において、前記重みが大きいほど学習データが学習値に大きく反映されるように当該学習対象格子点の学習値を更新する重み付け学習であって、
前記学習値更新手段は、前記学習マップ上で前記運転条件パラメータをx座標値とし前記性能指標値をy座標値とした場合に、取得した学習データでの値と同じ前記制御パラメータの点を通る前記学習マップのxy平面上で前記運転条件パラメータに対する前記性能指標値の傾きを前記関係情報として生成することを特徴とする。
第1の発明によれば、学習対象格子点に対応する運転条件パラメータでの値となるように性能指標値の取得値が上記関係情報を用いて補正され、補正した性能指標値を用いて当該学習対象格子点の学習値が更新される。これにより、学習マップの学習データを取得した際の運転条件パラメータに偏りがある場合であっても、上記補正後の学習値は、学習対象格子点と学習データとの間での運転条件パラメータのずれの影響分を補正したものとなる。そして、本発明によれば、このように補正された学習値を利用して同一の運転条件パラメータの下で制御パラメータの値の探索が行われる。このため、外乱となる運転条件パラメータの性能指標値に対する感度が高い場合であっても、制御パラメータの最適点を精度良く探索することができる。
第2〜第4の発明によれば、第1の発明における学習値の補正に用いる上記関係情報を適切に取得することができる。
本発明の実施の形態1に係る内燃機関システムの構成を概略的に説明するための図である。 本発明の実施の形態1において用いられる学習マップMの一部を3次元的に表現した図である。 燃費を最良とする吸気バルブタイミングをオンボードで探索する際の課題と対策とを説明するための図である。 学習マップMの学習値を利用して制御パラメータの最適点探索を行う場合の課題を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る特徴的なマップ学習手法を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る学習処理を伴う最適点探索処理の手順を示すフローチャートである。 燃費−KLラインを算出するための代替手法2を説明するための図である。
実施の形態1.
[内燃機関システムのハードウェア構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る内燃機関システム1の構成を概略的に説明するための図である。図1に示す内燃機関システム1は、多気筒型の内燃機関10を備えている。なお、本発明は、単気筒および多気筒を含む任意の気筒数の内燃機関に適用可能なものであり、図1は、内燃機関10に搭載された複数気筒のうちの1気筒を例示したものである。
内燃機関10の各気筒には、ピストン12の頂部側に燃焼室14が形成されており、ピストン12はクランク軸16に連結されている。また、内燃機関10は、各気筒に吸入される空気が流れる吸気通路18を備えており、吸気通路18には、吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ20が設けられている。また、内燃機関10の各気筒には、吸気ポートを開閉する吸気弁22が設けられている。内燃機関10は、吸気弁22の開閉時期を変更可能とする吸気可変動弁装置24を備えている。
内燃機関10は、各気筒内から排出される排気ガスが流れる排気通路26を備えている。各気筒には、排気ポートを開閉する排気弁28が設けられている。内燃機関10は、排気弁28の開閉時期を変更可能とする排気可変動弁装置30を備えている。
次に、内燃機関システム1の制御系統について説明する。本システム1は、内燃機関10の運転に必要な各種のセンサ(以下に一部を例示)が含まれるセンサ系統と、内燃機関10の運転を制御するECU(Engine Control Unit)32とを備えている。まず、センサ系統について述べると、エアフローメータ34は吸入空気量を計測するもので、クランク角センサ36は、クランク軸16の回転に同期した信号を出力する。筒内圧センサ38は、各気筒に対して備えられ、筒内圧を検出する。
ECU32は、ROM、RAM等からなる記憶回路と、入出力ポートとを備えた演算処理装置により構成されている。ECU32の記憶回路には、後述する学習マップが記憶されている。また、ECU32の入力側には、センサ系統の各センサがそれぞれ接続されている。ECU32の出力側には、スロットルバルブ20、可変動弁装置24、30、燃料噴射弁40および点火装置42等の内燃機関10の運転を制御するための各種アクチュエータが接続されている。そして、ECU32は、センサ系統により検出した内燃機関10の運転情報と所定の制御プログラムとに基づいて各アクチュエータを駆動し、内燃機関10の運転制御を行う。
[内燃機関システムの特徴]
本実施形態の内燃機関システム1は、内燃機関10に関する評価対象の「性能指標値」を最良とする(すなわち、最適化する)「制御パラメータ」を内燃機関10の運転中に(すなわち、オンボードで)探索する。
ここでいう最適化対象の性能指標値には、内燃機関10の燃費、エンジントルク、エンジントルク変動値もしくは騒音値などが該当し、さらには、内燃機関10を搭載する車両のアクセルペダルの操作に対するエンジントルクの応答性を示す指標値なども該当する。また、制御パラメータには、内燃機関10の各種アクチュエータの操作量もしくは当該操作に基づく各種エンジン制御量などが該当し、具体的には、吸気バルブタイミング、排気バルブタイミング、スロットル開度、点火時期、空燃比フィードバック制御の噴射補正量、燃料噴射特性またはEGR率などが該当する。なお、「性能指標値」は、値が大きいほど性能が良いことを示すものである。上記の例について具体的に説明すると、性能指標値は、値が大きくなるほど、燃費が良くなり、トルク変動が少なくなり、騒音が小さくなり、さらには、エンジントルクの応答性が良くなることを示す。
以下、本実施形態では、「性能指標値」として燃費を用い、「制御パラメータ」として吸気バルブタイミング(吸気可変動弁装置24により制御される吸気弁22の開閉時期)を用い、吸気バルブタイミングの所定の制御範囲内で燃費を最良とする吸気バルブタイミングの最適点の探索を例に挙げて説明を行う。また、以下に説明する例では、この最適点探索の外乱となるエンジン運転条件を示す「運転条件パラメータ」として、吸入空気量KLが用いられる。なお、ここでいう運転条件パラメータには、吸入空気量以外にも、エンジン回転数、空燃比、吸排気(主に吸気)バルブリフト量もしくは吸気管長さ(ただし、可変吸気長システムを備える場合に限る)などの内燃機関10の制御量が該当し、さらには、外気温度、外気圧力、エンジン冷却水温度もしくはエンジン油温なども含まれる。このように、「運転条件パラメータ」には、上記の「制御パラメータ」にも該当するようなエンジン制御量が該当する場合もある。すなわち、それ自体が最適点探索に用いられる「制御パラメータ」になり得るものであっても、最適点探索に用いられる「制御パラメータ」次第では「運転条件パラメータ」に位置付けられる場合がある。
(学習マップ)
本実施形態の内燃機関システム1は、吸気バルブタイミングの最適点探索のために学習マップMを利用する。この学習マップMは、吸気バルブタイミング(制御パラメータ)と吸入空気量(運転条件パラメータ)とをマップ軸として含み、複数の格子点を有し、燃費(性能指標値)の学習値が各格子点にそれぞれ更新可能に対応付けられたものである。ECU32には、このような燃費の学習値を記憶する学習マップMが記憶されている。図2は、本発明の実施の形態1において用いられる学習マップMの一部を(燃費の軸による高さをマップに持たせて)3次元的に表現した図である。
ここでいう学習マップMの学習では、内燃機関10の運転中に燃費の学習データの取得が行われる。燃費の学習データは、燃費取得時の吸気バルブタイミングと吸入空気量とに関連付けられた状態でECU32に記憶される。そして、取得された学習データから学習対象格子点での学習値が算出されることにより、学習マップMが作成される。学習データの取得、および、取得された学習データによる学習値の算出が順次行われていくことにより、学習が進んでいく。各格子点の学習値が更新されることにより、図2に示すように3次元上で表わされた場合の学習マップMの形状が変化する。
ここで説明する例にて性能指標値として用いる燃費は、一例として、公知の手法を利用して、筒内圧センサ38による筒内圧の検出値に基づいて算出することができる。本発明における「性能指標値」の取得の態様には、上記の例のように、性能指標値の算出に用いる基礎パラメータ(筒内圧)を検出するセンサ(筒内圧センサ38)を利用して取得するものが該当するが、性能指標値次第では、性能指標値がセンサの検出値から直接的に取得されるもの(例えば、トルクセンサによるエンジントルクの取得)も含まれ得る。さらに例を挙げると、「性能指標値」としてアクセルペダルの操作に対するエンジントルクの応答性を示す指標値が用いられている場合には、この指標値は、例えば、アクセルペダルの操作時点からのエンジントルクが立ち上がるまでの遅れ時間として算出することができる。そして、アクセルペダルの操作時点は、アクセルポジションセンサを用いて検出することができ、エンジントルクの立ち上がりは、例えば、車両の加速度を検出する加速度センサもしくはエンジン回転数を検出するクランク角センサを用いて行うことができる。したがって、上記指標値を「性能指標値」として用いる場合には、上述した基礎パラメータを検出するセンサとしてこれらのセンサが該当することになる。なお、筒内圧センサ38を用いて燃費を算出する公知の手法としては、例えば、日本特開2010−151021号公報に記載の手法を挙げることができる。この手法によれば、筒内圧センサを用いて取得されるエンジントルクおよびエンジン回転数と燃料消費量との関係を用いて燃費が算出される。
順次取得される学習データを学習対象格子点の現在の学習値に反映させる手法は、特に限定されるものではないが、例えば、次のような重み付け学習手法を用いることが好適である。この重み付け学習手法は、燃費の学習データを学習対象格子点の学習値に反映させる場合に、学習データに対して学習対象格子点と学習データとの距離に応じた重み付けを行い、そのような重み付けがなされた学習データを用いて学習対象格子点の学習値を更新するというものである。
(重み付け学習手法)
上述したように、学習マップMでは、制御パラメータ(吸気バルブタイミング)および運転条件パラメータ(吸入空気量)をマップ軸として、性能指標値(燃費)の学習値が算出される。添え字のiを運転条件パラメータのマップ軸とし、jを制御パラメータのマップ軸とし、学習マップMの各格子点(i,j)に対応付けられた性能指標値の学習値をZijとする。なお、以下の説明において、添字kが付記される変数値zk、wkij、Wij(k)、Vij(k)、Zij(k)は、k回目の取得タイミング(演算タイミング)に対応するk番目の値であることを示し、添字kが付記されない変数値wij、Wij、Vij、Zijは、取得タイミングにより区別されない値を示す場合に用いるものとする。
重み付け学習手法では、取得された学習データzkと学習対象格子点との距離が近いほど、重みwijがより大きくなるように設定される。そのうえで、学習データzkと重みwijとに基づいて、学習対象格子点の学習値Zijが算出される。より具体的には、重み付け学習手法によれば、基本的に、k回目(k番目)の取得タイミングで取得した性能指標値の取得値(学習データzk)と各格子点(i,j)の重みwkijとに基づいて、学習対象格子点(i,j)の学習値Zij(k)が更新される。学習値Zij(k)の更新処理は、学習対象格子点(i,j)において、下記数1〜数3の式を演算することにより実現される。
[数1]
ij(k)=Wij(k−1)+wkij
[数2]
ij(k)=Vij(k−1)+zk*wkij
[数3]
ij(k)=Vij(k)/Wij(k)
上記式において、Wij(k)は、格子点(i,j)における1回目からk回目までの重みwkijを合計した重み積算値を示し、Vij(k)は、k番目の学習データzkと重みwkijとの乗算値(zk*wkij)を1回目からk回目まで合計したデータ積算値を示している。上記式から判るように、重み付け学習手法によれば、学習データzkが取得される毎に、学習対象のすべての格子点(i,j)において、重みwkijが大きいほど学習データzkが学習値Zij(k)に大きく反映されるように、個々の格子点の学習値Zij(k)が更新される。また、上記距離に応じた重みwijの設定は、例えば、国際特許出願の国際公開第2014/002189号に記載されているように、ガウス関数を用いて行うことが好適であり、ガウス関数に限らず、一次関数または三角関数等を用いることもできる。
また、上記数1および数2の式には、前回(k−1回目)の積算値Wij(k−1)及びVij(k−1)が用いられるが、これらの初期値(k=1のときの値)は、下記数4および数5の式により定義される。従って、数1〜数5の式によれば、k番目の学習データzkと重みwkijとに基づいて、学習対象の格子点(i,j)におけるk番目の学習値Zij(k)を算出し、学習マップMを更新することができる。
[数4]
ij(1)=z1*w1ij
[数5]
ij(1)=w1ij
(最適点探索手法)
図3は、燃費を最良とする吸気バルブタイミングをオンボードで探索する際の課題と対策とを説明するための図である。図2に示す燃費と吸気バルブタイミングと吸入空気量との関係がオンボードで分かるような状態になっていれば、その関係を利用して燃費が最良となる吸気バルブタイミングの値を把握した制御を行えるといえる。しかしながら、上記関係を事前に取得するためには、適合工数を要するし、事前に備えた関係を利用するだけでは、内燃機関システムの個体差や経年変化などを考えると、精度の良い関係の取得は難しいといえる。このことへの対策としては、本システム1のように上記関係を定めた学習マップMを備えるようにすることが考えられる。ただし、そのような学習マップMを備えてはいても、学習初期には学習が十分に進んでない状況が考えられ、また、学習が十分に進んだ後であっても学習結果がリセットされることがあると同様の状況となる。このため、本実施形態のシステム1がそうであるように、燃費が最良となる吸気バルブタイミングの最適値をオンボードで探索することは有用である。
ここで、本段落の以下の説明の前提として、図2に表された関係(すなわち、吸気バルブタイミングVT2での燃費の値が吸入空気量に依らずに最も良くなっている関係)が正しいものであったとする。図3(A)は、最適点探索のための吸気バルブタイミングの変更の前後で吸入空気量が変化しない場合のものである(図2中の点α’から点βへの移動がこれに対応する)。このケースでは、吸気バルブタイミング(制御パラメータ)を操作して燃費(性能指標値)が最良となる吸気バルブタイミングの値を探索しようとした際、変更前の吸気バルブタイミングVT1での燃費よりも変更後の吸気バルブタイミングVT2での燃費の方が良いことを正しく把握することができる。一方、図3(B)は、吸気バルブタイミングの変更の前後で吸入空気量がKL2からKL1に変化する場合のものである(図2中の点αから点βへの移動がこれに対応する)。このケースでは、吸入空気量(すなわち、この探索において外乱となる運転条件パラメータ)の影響で燃費が変わってしまう。その結果、一般的な最適点探索手法では最適点を正しく探索することができなくなり、変更前の吸気バルブタイミングVT1での燃費の方が変更後の吸気バルブタイミングVT2の燃費よりも良いと間違って判断してしまうことになる。
上記の課題が生じる理由は次のようなものである。すなわち、最適点探索では、制御パラメータを変更しながら取得した2点以上の性能指標値を比較することでより良い制御パラメータの値を選ぶことが行われるが、後者のケースでは運転条件パラメータが同じでない状況で比較が行われてしまっている。また、図2に示す関係では吸気バルブタイミングVT2での燃費は吸入空気量の大きさに依らずに高くなっているが、このような関係と異なり、吸入空気量の大きさの違いによって、燃費が最良となる吸気バルブタイミングの値が変化する状況も現実には起こり得る。そのような状況だと、運転条件パラメータによって制御パラメータの最適点が異なるために、運転条件パラメータの変化に伴って探索中に最適点が時々刻々と変わってしまうことになる。そして、上記の課題は、本実施形態で例示する燃費と吸気バルブタイミングと吸入空気量の組み合わせがそうであるように、性能評価値に対する制御パラメータの感度よりも性能指標値に対する運転条件パラメータの感度が高い場合に顕著となる。
上記の課題への対策として、本システム1では、図2に示すような関係を定めた学習マップMの学習を最適点探索と並行して行うこととしている。そして、探索のための吸気バルブタイミング(制御パラメータ)の変更の前後で吸入空気量(運転条件パラメータ)が変化する場合には、学習マップの燃費(性能指標値)の学習値を利用して、運転条件パラメータが同一となる条件下で上記変更の前後の燃費の比較を行うこととしている。図3(C)は、このような処理を例示したものであり、変更後の吸気バルブタイミングVT2での吸入空気量の値であるKL2の下で吸気バルブタイミングが変更前のVT1であるときの燃費の学習値(マップ値)が、吸気バルブタイミングVT1での燃費の値として利用されている。これにより、この探索において外乱となる吸入空気量を仮想的に同一とした条件下にて吸気バルブタイミングの違いによる燃費の差を比較(評価)できるようになる。このため、特別な手法を用いることなく一般的な最適点探索手法を用いることができるようになる。また、吸入空気量が一定となる状況下に限らずに最適点探索を行えるようになるため、探索を行う機会を多く確保できるようになる。さらに、吸入空気量の変化に伴って時々刻々と最適点が変化することにも対応できるようになる。
また、本システム1がそうであるように、利用する学習マップの学習のために重み付け平均値を利用する手法を採用している場合には、以下の点にも配慮することが好ましい。すなわち、マップ学習のために取得した燃費(性能評価値)の学習データのマップ上の位置(吸気バルブタイミングや吸入空気量の座標値)に偏りがあると、マップ学習を正しく行えない可能性がある。そこで、このことへの対策として、最適点探索のために吸気バルブタイミングを変更する際に、偏りが発生しないように吸気バルブタイミングを操作することが好ましい。そして、このような操作の好適な具体例としては、例えば、次の探索手法1〜3を挙げることができる。
すなわち、探索手法1は、ランダムに吸気バルブタイミングを変更する探索手法(例えば、粒子群最適化法)を用いるものであり、これにより、上記偏りをなくすことができるので、マップ学習を効率良く進めることができる。そして、このことは、マップ学習の結果(学習値)を利用する最適点探索の精度向上に繋がることでもある。
探索手法2は、重み付け学習手法を用いている場合に、学習マップMの格子点の中で重みが蓄積されていない格子点付近に探索点が多くなるように吸気バルブタイミングを変更する手法である。既述した重み付け学習手法によれば、数1の式から分かるように、学習が行われる度に重み積算値Wij(k)が積算されていく。そして、重み積算値Wij(k)は、加算される重みwkijが大きいほど(すなわち、格子点への学習データの反映の度合いが大きいほど)大きくなる。したがって、重み積算値Wij(k)の大きさは各格子点(i,j)での重みの蓄積度合い(すなわち、学習の進み度合い)を好適に表しているといえる。このため、探索手法2では、重み積算値Wij(k)が相対的に小さい格子点付近で重点的に探索が行われる。このような手法によっても、上記偏りをなくすことができるので、マップ学習を効率良く進めることができる。
探索手法3は、学習マップMの学習に重み付け学習手法を用いている場合に、学習対象格子点の座標に対する学習データの重心のずれが小さくなるように吸気バルブタイミングを変更することによって探索点を操作するというものである。このような重心のずれは、学習マップM上の学習データの位置(座標)に偏りがある時に生じるものである。m個の学習データがある場合における学習データの重心Gijは、重み付け平均に用いる重みwijと各学習データの座標xijとを用いて、下記数6の式を用いて算出することができる。このような手法によっても、上記偏りをなくすことができるので、マップ学習を効率良く進めることができる。
Figure 2016008508
(学習データ取得時の運転条件パラメータに偏りがあることへの対策)
図4は、学習マップMの学習値を利用して制御パラメータの最適点探索を行う場合の課題を説明するための図である。図3を参照して説明したように制御パラメータの最適点探索に学習マップMを利用する際には、次のような課題がある。すなわち、学習マップMの学習データを取得した際の運転条件パラメータに偏りがあると、真値からずれた値が学習値として学習されてしまうため、正しく最適点を探索することが難しくなる。そして、このような課題は、燃費と吸気バルブタイミングとの組み合わせ例がそうであるように、当該偏りが生じている運転条件パラメータの性能指標値への感度が高いときに顕著となる。
より詳細に説明すると、図4(A)は、取得された学習データ(黒丸印)の分布を示した図である。図4(A)に示すように、取得された学習データは、3つの格子点α〜γのうちの格子点αと格子点γに対して吸入空気量(外乱となる運転条件パラメータ)に偏りがあるものである。より具体的には、図4(A)に示す例では、格子点αの近傍にて取得された学習データは、格子点αよりも吸入空気量が高い側に偏っており、格子点γの近傍にて取得された学習データは、格子点γよりも吸入空気量が低い側に偏っている。このような偏りに起因して、学習対象格子点と学習データとの間での吸入空気量のずれの影響で、図4(B)に示すように、格子点αおよびγの学習値(黒丸印と実線)が各格子点α〜γの真の学習値(白丸印と破線)に対してずれてしまう。このようにマップが正しく学習されないことで、3次元的に表現した学習マップMの形状に歪みが発生してしまい、燃費が最大となる最適点を正しく探索することができなくなる。
図5は、本発明の実施の形態1に係る特徴的なマップ学習手法を説明するための図である。上記の課題を解決するために、本実施形態では、性能指標値と運転条件パラメータとの関係を用いて、学習対象格子点と同じ運転条件パラメータでの値となるように性能指標値の取得値(学習データ)を補正し、補正した性能指標値を用いて学習対象格子点の学習値を更新することとした。
より詳細に説明すると、図5(A)は、同一KLライン上の格子点α〜γが学習対象格子点である時のものである。この例では、取得された学習データδ、εは、学習対象格子点α〜γの吸入空気量から離れている。すなわち、学習データδは、格子点α〜γでの値よりも吸入空気量が高い位置にあり、学習データεは、格子点α〜γよりも吸入空気量が低い位置にある。そこで、本実施形態では、図5(B)に示すような燃費と吸入空気量との関係を規定する曲線(以下、「燃費−KLライン」と称する)を先に学習し、当該学習の終了後に、この曲線を利用して学習データδ、εの修正を行う。具体的には、図5(B)に示すように、燃費−KLラインに沿って、学習対象の格子点α〜γでの吸入空気量KLライン上の値となるように学習データδ、εを移動させ、学習データの補正値δ’、ε’を取得する。そして、補正後の学習データδ’、ε’を利用して、学習マップMの学習を実行する。
燃費−KLライン自体もマップという形態で備えておくことができるものである。この燃費−KLラインの学習手法は、特に限定されないが、学習マップMと同様に、ガウス関数などを重みの設定に用いた重み付け平均を利用した手法を用いることが好適である。ここで、学習マップMとは異なり、最適点探索に利用する学習マップが運転条件パラメータのマップ軸を複数有している場合には、性能評価値との相関が高いものから順に学習を行うようにすればよい。例えば、運転条件パラメータとしての吸入空気量KLおよびエンジン回転数NEのマップ軸を備えている場合には、まず、燃費−KLラインの学習を行った後に、燃費−NEラインの学習を行うようにする。そのうえで、学習後の燃費−KLラインおよび燃費−NEラインを利用して吸入空気量KLおよびエンジン回転数NEに関する学習データの補正を行う。そして、補正後の学習データを利用して、吸入空気量KLおよびエンジン回転数NEをマップ軸として有する学習マップの学習を実行する。なお、性能指標値との相関の高い運転条件パラメータの順序は、事前に把握して決定してもよいし、或いは、オンボードでの性能指標値と個々の運転条件パラメータとの関係の取得結果に基づいて決定してもよい。また、ここでは、先に学習した燃費−KLラインを利用することとしているが、燃費−KLラインは、必ずしも学習を伴って取得されるものに限られず、予めオフラインで取得されたものであってもよい。
また、ガウス関数を用いた重み付け平均手法(ガウスフィルタ)を利用して燃費−KLラインの学習を行っている場合には、当該学習終了判定は、各格子点に対して重みが十分に蓄積されているか否か、あるいは、学習マップMの格子点の座標に対する学習データの重心のずれが所定レベル以下であるか否かに基づいて行うことが好適である。
以上説明したように、本実施形態では、燃費−KLラインを利用して吸入空気量のずれの影響分を補正した後の学習データδ’、ε’が取得される。そして、補正後の学習データδ’、ε’を利用して学習マップMの学習が実行される。このような手法によれば、外乱項となる吸入空気量(運転条件パラメータ)に関する学習データの偏りが燃費(性能評価値)に与える影響を抑制することができる。その結果、燃費と吸気バルブタイミング(制御パラメータ)との関係を学習マップMを用いて正しく取得することができるようになる。これにより、性能指標値に対する感度の高い運転条件パラメータを使用する場合であっても、吸気バルブタイミングの最適点探索を精度良く行えるようになる。
(実施の形態1の具体的処理の一例)
図6は、本発明の実施の形態1に係る学習処理を伴う最適点探索処理の手順を示すフローチャートである。なお、本ルーチンは、内燃機関10の運転中に燃費−KLラインの学習が済んでいる状態で起動される。本ルーチンでは、学習マップMの学習処理と吸気バルブタイミングの最適点探索処理とが並行して実行される。これらの処理は、それぞれの所定の終了条件が成立するまで繰り返し実行される。
図6に示すルーチンでは、ECU32は、まず、現在の吸入空気量と吸気バルブタイミング(指示値)とを取得する(ステップ100)。次いで、ECU32は、筒内圧センサ38を用いて、最適化したい性能指標値である燃費を算出する(ステップ102)。
次に、ECU32は、上記終了条件が成立していない間は、学習マップMの学習処理(ステップ104およびステップ106)と吸気バルブタイミングの最適点探索処理(ステップ108〜112)とを並行して実行する。
ステップ102にて取得された燃費は、当該燃費の取得時の吸気バルブタイミングおよび吸入空気量と関連付けられ、学習マップMの学習データとして使用される。ステップ104では、ECU32は、学習が済んでいる燃費−KLラインを利用して、図5を参照して説明した手法によって、吸入空気量のずれの影響分だけ燃費の学習データを補正する。ステップ106では、ECU32は、補正後の燃費の学習データを利用して学習マップMの学習を行う。
一方、ステップ108では、ECU32は、図3(C)を参照して説明した手法を用いて、直近の変更前の吸気バルブタイミングと現在の吸入空気量とに対応する燃費の学習値を学習マップMから読み出す。ステップ110では、ECU32は、吸気バルブタイミングおよび吸入空気量が同一となる状況下でどちらの燃費の値が優れているかを判別するために、読み出した燃費の学習値と、ステップ102の処理による燃費の取得値とを比較する。ステップ112では、ECU32は、より良い燃費の値を見つけるために、吸気バルブタイミングの値(指示値)を変更する。ステップ112の処理としては、例えば、上述した探索手法1〜3のうちの何れかを用いることができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、吸入空気量のずれの影響分だけ燃費の学習データを補正するために、先に学習が済んでいる燃費−KLラインを利用することとしている。しかしながら、この補正の手法は、先に求めていた燃費−KLラインを利用するものに限られず、好適な代替手法としては、例えば、以下に説明するものを挙げることができる。
代替手法1は、ガウスフィルタなどを利用する重み付け平均化手法を用いて学習マップMの各格子点の学習を行うものにおいて、学習データの上記補正を行うタイミングに存在する学習マップMを利用して、燃費−KLラインを逐次生成するものである。具体的には、学習マップMにおいて吸入空気量が同一となるすべての格子点(図5(A)上に表された範囲内の格子点では、例えば、格子点α〜γ)に対応付けられた燃費の学習値の平均値を算出し、算出した平均値を、燃費−KLライン上において対応する吸入空気量での燃費の値に設定する。このような処理を学習マップM上で他の吸入空気量と対応付けられた格子点群に対しても実行することで、燃費−KLラインを生成することができる。ただし、重み付け平均を利用する学習マップMでは、学習のために取得される学習データの位置のばらつきに起因して格子点によって学習の進み度合いが異なるものとなる。
そこで、代替手法1では、学習値の平均値に対して各格子点の学習の進み度合いを反映させるために、単なる算術平均値を用いるのではなく、次のような重み付け平均値を利用して燃費−KLライン上での燃費の値が算出される。重み付け学習手法によれば、実施の形態1にて説明したように、重み積算値Wij(k)の大きさは各格子点(i,j)での学習の進み度合いを好適に表しているといえる。そこで、上記の数1〜数3の式を用いた学習マップMの現時点での学習結果を利用して、下記数7の式にしたがって、燃費−KLラインに用いる燃費の学習値Z’i(k)が算出される。数7の式中のV’ij(k)は、k番目の学習値Zij(k)と重みwkijとの乗算値(Zij(k)*wkij)を1回目からk回目まで合計した学習値積算値を示している。下記数8の式は、吸入空気量(添え字i)が同じ3つの格子点(1,1)、(1,2)、(1,3)を例に挙げて、学習マップMでの学習がk回行われた時点での数6の式による燃費の学習値Z’i(k)の算出例を表したものである。
[数7]
Z’i(k)=ΣjV’ij(k)/Σjij(k)
[数8]
Z’1(k)=(V’11(k)+V’12(k)+V’13(k))/(W11(k)+W12(k)+W13(k))
以上説明した代替手法1によれば、学習の進み度合いの高い格子点の学習値Zij(k)の反映度合いを高めつつ、燃費−KLラインに用いる学習値Z’i(k)を算出できるようになる。学習データの補正のための燃費−KLラインの利用方法自体は、実施の形態1で上述した手法と同じである。本代替手法1によれば、各格子点の学習の進み度合いを考慮しつつ、学習マップMを利用して燃費−KLラインを精度良く生成することができる。このような手法によっても、吸入空気量のずれの影響分だけ燃費の学習データを補正することが可能となる。
次に、代替手法2について説明する。図7は、燃費−KLラインを算出するための代替手法2を説明するための図である。代替手法2も、ガウスフィルタなどを利用する重み付け平均化手法を用いて学習マップMの各格子点の学習を行うものにおいて、学習データの上記補正を行うタイミングに存在する学習マップMを利用して、燃費−KLラインを逐次生成するという点は、代替手法1と同じである。
代替手法2は、取得された学習データでの値と同じ吸気バルブタイミングの点を通るKL−燃費平面上の学習マップMの傾きを燃費−KLライン(この手法では直線)として利用して、学習データを補正するというものである。具体的には、図7(A)に示すケースでは、取得された学習データζの近隣の格子点の吸入空気量は、KL1もしくはKL2である。代替手法2では、学習マップMのKL1ラインおよびKL2ライン上で学習データζと吸気バルブタイミングが同じとなる点P1、P2が、同一KLライン上の近隣の2つの格子点の学習値を利用した補間によって取得される。この点P1、P2をKL−燃費平面上で表すと、図7(B)のようになる。この点P1と点P2とを通る直線が本手法での燃費−KLラインに相当する。
学習データの補正のための燃費−KLラインの利用方法自体は、実施の形態1で上述した手法と同じである。以上説明した代替手法2によっても、学習マップMを利用して燃費−KLラインを簡便に生成することができる。このような手法によっても、吸入空気量のずれの影響分だけ燃費の学習データを(図7の例では、ζからζ’に)補正することが可能となる。
また、上述した実施の形態1においては、吸気バルブタイミングと吸入空気量とをマップ軸として有し、燃費の学習値を記憶する学習マップMを例に挙げて説明を行った。しかしながら、本発明の対象となる学習マップでは、マップ軸として有する「制御パラメータ」および「運転条件パラメータ」の数は1つに限らず、複数であってもよい。すなわち、例えば、「制御パラメータ」として吸気バルブタイミングおよび排気バルブタイミングを用い、「運転条件パラメータ」として吸入空気量およびエンジン回転数を用いる学習マップであってもよい。このような学習マップの次元数の拡張は、数3などの式に登場する各パラメータの添え字の数を学習マップの次元数だけ存在するように増やした形で表現することによって行うことができる。
また、上述した実施の形態1において図6のフローチャートで表した処理では、最適点探索のための吸気バルブタイミングの変更前の運転状態での燃費を常に学習マップMの学習値を用いて取得するように説明した。しかしながら、本発明における探索のための学習値の利用は、このような態様に限られず、例えば、制御パラメータの値の変更の前後で運転条件パラメータが同一であるか否かを判別するようにしたうえで、運転条件パラメータが異なる場合にのみなされるものであってもよい。
なお、上述した実施の形態1においては、ECU32が上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「性能指標値取得手段」が実現されており、ECU32が上記ステップ108〜112の処理を実行することにより前記第1の発明における「探索手段」が実現されており、ECU32が上記ステップ104および106の処理を実行することにより前記第1の発明における「学習値更新手段」が実現されている。また、燃費−KLラインが前記第1の発明における「関係情報」に相当している。
また、上述した実施の形態1の変形例においては、代替手法2の説明に登場する学習マップMのKL−燃費平面が前記第4の発明における「学習マップのxy平面」に相当している。
1 内燃機関システム
10 内燃機関
12 ピストン
14 燃焼室
16 クランク軸
18 吸気通路
20 スロットルバルブ
22 吸気弁
24 吸気可変動弁装置
26 排気通路
28 排気弁
30 排気可変動弁装置
32 ECU(Electronic Control Unit)
34 エアフローメータ
36 クランク角センサ
38 筒内圧センサ
40 燃料噴射弁
42 点火装置

Claims (4)

  1. 内燃機関に関する性能指標値を最良とする制御パラメータの値を前記内燃機関の運転中に探索する処理を行う内燃機関システムであって、
    前記内燃機関の運転中に前記性能指標値を取得する性能指標値取得手段と、
    前記制御パラメータと前記内燃機関の運転条件パラメータとをマップ軸として含み、複数の格子点を有し、前記性能指標値の学習値が前記複数の格子点にそれぞれ更新可能に対応付けられた学習マップと、
    前記制御パラメータの値を変更し、当該変更の前後の前記性能指標値を比較し、当該比較の結果として大きい方の当該性能指標値に対応する前記制御パラメータの値を取得する探索手段と、
    を備え、
    前記探索手段は、前記変更の前後で前記運転条件パラメータが変化する場合に、前記変更の前の前記性能指標値の値として前記学習マップの前記性能指標値の学習値を利用して、前記運転条件パラメータが同一となる条件下で前記変更の前後の前記性能指標値の比較を行うものであって、
    前記性能指標値と前記運転条件パラメータとの関係を規定する関係情報を用いて、学習対象の格子点である学習対象格子点に対応する前記運転条件パラメータでの値となるように前記性能指標値の取得値を補正し、補正した前記性能指標値を用いて当該学習対象格子点の学習値を更新する学習値更新手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関システム。
  2. 前記関係情報は、前記学習マップの学習開始前に取得されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム。
  3. 前記学習マップの学習は、学習データが取得されたときに、前記学習マップ上における学習対象格子点と前記性能指標値の学習データとの距離が近いほど、当該学習データの重みを大きく設定し、かつ、学習データが取得される毎に、学習対象格子点において、前記重みが大きいほど学習データが学習値に大きく反映されるように当該学習対象格子点の学習値を更新する重み付け学習であって、
    前記学習値更新手段は、前記運転条件パラメータが同一となるすべての格子点の学習値の平均値を、当該平均値の算出対象の個々の格子点に蓄積された重みによる重み付けがなされた学習値の重み付け平均値として算出し、算出された前記重み付け平均値を前記性能指標値として用いて前記関係情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム。
  4. 前記学習マップの学習は、学習データが取得されたときに、前記学習マップ上における学習対象格子点と前記性能指標値の学習データとの距離が近いほど、当該学習データの重みを大きく設定し、かつ、学習データが取得される毎に、学習対象格子点において、前記重みが大きいほど学習データが学習値に大きく反映されるように当該学習対象格子点の学習値を更新する重み付け学習であって、
    前記学習値更新手段は、前記学習マップ上で前記運転条件パラメータをx座標値とし前記性能指標値をy座標値とした場合に、取得した学習データでの値と同じ前記制御パラメータの点を通る前記学習マップのxy平面上で前記運転条件パラメータに対する前記性能指標値の傾きを前記関係情報として生成することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム。
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