JP2016007093A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータのスイッチングにより発生するノイズを抑制できる電力変換装置を提供する。【解決手段】電源から出力される電力を変換するインバータと、インバータ及び電源の正極側に接続された第1の給電母線11と、インバータ及び電源200の負極側に接続された第2の給電母線12と、インバータ、第1の給電母線11、及び第2の給電母線12を内部に収容する筐体10と、第1の給電母線11と筐体10との間に接続された第1の受動素子31と、第2の給電母線12と筐体10との間に接続された第2の受動素子32とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、電力変換装置に関するものである。
交流電源に接続されたコンバータと、このコンバータの直流出力側に接続されたインバータと、直流中間回路に接続された直流平滑コンデンサとを有する電力変換装置を対象とし、インバータを構成する半導体スイッチング素子のオン・オフにより電力変換装置を流れるノイズ電流を低減させるための装置であって、前記ノイズ電流を検出するノイズ電流検出手段と、検出されたノイズ電流を低減させるためのノイズ補償電流を生成して電力変換装置に供給するノイズ補償電流供給手段とを備えたノイズ低減装置において、ノイズ補償電流供給手段は、ノイズ電流検出手段の検出信号により出力電流が制御される素子であって直流中間回路の電圧より低い耐圧を有するトランジスタと、ツェナダイオードとの直列回路を備えた電力変換装置のノイズ低減装置が知られている(特許文献1)。
特開2002−252985号公報
しかしながら、高周波のスイッチングノイズに対して、当該トランジスタ及び当該ツェナダイオードが高速動作できずに、ノイズを抑制することができない、という問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、インバータのスイッチングにより発生するノイズを抑制できる電力変換装置を提供することである。
本発明は、インバータ及び電源の正極側に接続された第1の給電母線と、インバータ及び電源の負極側に接続された第2の給電母線と、第1の給電母線とインバータを収容する筐体との間に接続された第1の受動素子と、第2の給電母線と筐体との間に接続された第2の受動素子とを備えることによって上記課題を解決する。
本発明によれば、インバータのスイッチングにより給電母線で発生するノイズが給電母線から筐体に伝搬することを、第1の受動素子及び第2の受動素子で抑制するので、その結果としてノイズを抑制できるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 図1の給電母線及び筐体の断面図である。 図1の給電母線の斜視図である。 図1に示す受動素子の抵抗成分の抵抗値に対するノイズレベルの特性を示すグラフである。 図1の電力変換装置において、スイッチングノイズの周波数に対するノイズレベルの特性を示すグラフである。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 図15のXVI−XVI線に沿う部分断面図である。 図15に示す電力変換装置において、容量(C又はC)に対するノイズレベルの特性を示す。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の変形例に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。 本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。なお、パワーモジュール5等は筐体10に収容されているため、実際には外部から見ることはできないが、図1では説明のために図示されている。他の図でも同様に図示している。本例の電気自動車は、三相交流電力モータなどの電動機300を駆動源として走行する車両であり、電動機300は電気自動車の車軸に結合されている。以下、電気自動車を例に説明するが、本発明は、ハイブリッド自動車(HEV)にも適用することができ、また車両以外の装置に搭載される電力変換装置にも適用可能である。
本例の電力変換装置を含む駆動システムは、電力変換装置100と、直流電源200と、電動機300と、シールド線7、8を備えている。直流電源200は、複数の電池により構成され、シールド線7により電力変換装置100に接続されている。直流電源200は、車両の動力源となり、電力変換装置100に直流電力を供給する。電力変換装置100は、直流電源200と電動機300との間に接続され、直流電源200から供給される直流電力を交流電力に変換し電動機300に供給する。シールド線7、8は、金属線を樹脂により被覆することで形成される電線である。シールド線7は、一対のシールド線で構成され、一方のシールド線7は直流電源200の正極端子と給電母線11とを接続し、他方のシールド線7は直流電源200の負極端子と給電母線12とを接続する。シールド線8は三本のシールド線により構成され、3本のシールド線8は、電動機300のU相、V相、W相と対応して、バスバ6と電動機300とを接続する。
電力変換装置100は、筐体10と、給電母線11、21と、受動素子部30と、平滑コンデンサ4と、パワーモジュール5と、バスバ6とを備えている。筐体10は、給電母線11、21、受動素子部30、平滑コンデンサ4、パワーモジュール5、及びバスバ6を収容するためのケースであって、金属により構成されている。給電母線11は、板状(平板)の導電体により形成され、直流電源200の正極側から出力される電力をパワーモジュール5に給電する電源線であって、電力変換装置100を構成するインバータ回路のうち、P側の電源線に相当する。給電母線12は、板状(平板)の導電体により形成され、直流電源200の負極側から出力される電力をパワーモジュール5に給電する電源線であって、電力変換装置100を構成するインバータ回路のうち、N側の電源線に相当する。給電母線11の両主面のうち、一方の面は筐体10の内側の面と隙間を空けつつ対向している。また給電母線12の両主面のうち、一方の面は筐体10の内側の面と隙間を空けつつ対向している。給電母線11の他方の主面、及び、給電母線12の他方の主面は、隙間を空けつつ互いに対向している。給電母線11、21の一部、又は、給電母線11、21の先端部分が、電力変換装置100の端子(タブ)となって、シールド線7の先端に接続されている。
給電母線11、21はそれぞれ電流の流れを分岐させるよう、平滑コンデンサ4の正極端子と負極端子にそれぞれ接続され、パワーモジュール5の正極端子と負極端子にそれぞれ接続されている。給電母線11、21と平滑コンデンサ4、及び、給電母線11、21とパワーモジュール5は、配線で接続されている。平滑コンデンサ4は、給電母線11及び給電母線12との間に接続されることで、直流電源200とパワーモジュール5との間に接続される。平滑コンデンサ4は、直流電源200に入出力される電力を整流するコンデンサである。
パワーモジュール5は、給電母線11、21を介して、直流電源200とバスバ6との間に接続されている。パワーモジュール5は、IGBT又はMOSFET等のモジュール化された、複数の半導体スイッチング素子を基板上に複数有している。そして、図示しないコントローラからの制御信号に基づき、当該半導体スイッチング素子をオン及びオフさせることで直流電源からの電力を変換して、バスバ6を介して電動機300に電力を出力するインバータである。図示しないコントローラが、車両のアクセル開度と対応するトルク指令値から、当該半導体スイッチング素子のスイッチング信号を生成し、パワーモジュール5に出力することで、当該半導体スイッチング素子のオン及びオフが切り換えられて、電動機300において所望の出力トルクを得るための交流電力がパワーモジュール5から出力される。パワーモジュール5は電動機300の各相に対応させて、U相、V相及びW相の出力線で、三相の電動機300に電気的に接続されている。
バスバ6は、導電材料により板状の、3本の導電板で形成されており、パワーモジュール5とシールド線8と接続する。バスバ6の先端部分が、電力変換装置100の端子(タブ)となって、シールド線8の先端に接続されている。
受動素子部30は、給電母線11、21から筐体10に伝搬するスイッチングノイズを抑制する回路であって、第1の受動素子31及び第2の受動素子32を備えている。第1の受動素子31は給電母線11の先端部と筐体10との間に接続されている。第2の受動素子32は給電母線12の先端部と筐体10との間に接続されている。第1の受動素子31及び第2の受動素子は、スイッチングノイズを吸収する(ノイズエネルギーを消費させる)ために、抵抗成分を含んでいる。抵抗成分は、第1の受動素子31、第2の受動素子32として抵抗を接続すればよい。
第1の受動素子31の抵抗成分の抵抗値は、第1の給電母線11の抵抗値より大きい。また第2の受動素子32の抵抗成分の抵抗値は、第2の給電母線12の抵抗値より大きい。
ここで、受動素子部30で抑制されるスイッチングノイズについて説明する。スイッチングノイズは、パワーモジュール5のスイッチング動作により、給電母線11と給電母線12との間に発生する。そして、このスイッチングノイズが、給電母線11、21から筐体10に伝搬することで、筐体10からノイズが放射される。
給電母線11、21から筐体10に伝搬するノイズの周波数は、給電母線11、21の形状等により決まる。図1に示した板状の給電母線11、21の幅をaとし、長さをb(給電母線11、21の主面の短辺をa、長辺をb)とし、給電母線11、21間の誘電率をεとすると、スイッチングノイズの周波数(fmn)は下記(1)式で表される。ただし、m、nはモード番号であり、整数である。
Figure 2016007093
例えば、式(1)において、a=0.3m、b=0.03m、ε=6.25を代入すると、(m、n)=(1、0)で、周波数(f10)=200MHzとなる。この周波数(f10)はFM周波数帯域に入るため、周波数(f10)をもつスイッチングノイズが筐体10外に放射された場合には、車載ラジオと干渉する可能性がある。また、スイッチングノイズが、車両に搭載された他の電子機器へ悪影響を及ぼす可能性もある。
本発明は、給電母線11及び給電母線12と筐体10との間に、第1の受動素子31及び第2の受動素子32を接続している。これにより、パワーモジュール5のスイッチング動作により、給電母線11、21でスイッチングノイズが発生した場合に、給電母線11、21から筐体10へのスイッチングノイズの伝搬が、受動素子31、32により抑制されている。その結果として、本発明はパワーモジュール5のスイッチングによるノイズを抑制できる。また、第1の受動素子31及び第2の受動素子32を設けるだけでよいため、部品点数が大幅に増加することなく、さらに小さく安価な素子により、高周波ノイズの低減を可能とする。
また本発明は、第1の受動素子31の抵抗成分の抵抗値を、第1の給電母線11の抵抗値より大きくし、第2の受動素子32の抵抗成分の抵抗値を、第2の給電母線12の抵抗値より大きくしている。これにより、より効果的に、パワーモジュール5のスイッチングによるノイズを抑制できる。
次に、第1の受動素子31の抵抗成分の抵抗値と、第2の受動素子32の抵抗成分の抵抗値について、図2、図3を用いて説明する。図2は給電母線11、21及び筐体10の断面図である。図3は、給電母線11、21の斜視図である。
給電母線11と筐体10との間の誘導成分をLpb、容量成分をCpbとした場合に、給電母線11の抵抗成分(R)は下記の式(2)で示されるように、誘導成分(Lpb)の平方根に比例し、容量成分(Cpb)の平方根に反比例する値により近似される。また、給電母線12と筐体10との間の誘導成分をLnb、容量成分をCnbとした場合に、給電母線12の抵抗成分(R)は下記の式(3)で示されるように、誘導成分(Lnb)の平方根に比例し、容量成分(Cnb)の平方根に反比例する値により近似される。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
給電母線11と給電母線12との間の自己インダクタンス(Lo)及び相互インダクタンス(Mo)は、以下の式(4)及び(5)により表される。ただし、図2において、給電母線11、21の長さをl、幅をW、高さHとし、給電母線11と給電母線12との間の距離をdとする。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
式(4)、式(5)により、長さ(l)が、距離(d)に対して十分長い場合には、式(2)、式(3)において、給電母線11と筐体10との間の誘導成分(Lpb=2(L−M))と比較して、給電母線11と筐体10との間の容量成分(Cpb)が支配的になる。同様に、給電母線12と筐体10との間の誘導成分(Lnb=2(L−M))と比較して、給電母線11と筐体10との間の容量成分(Cnb)が支配的になる。
また、容量成分(Cpb)及び容量成分(Cnb)は、以下の(6)、(7)で表される。ただし、図2において、第1の給電母線11と筐体との間の距離をdとし、第2の給電母線12と筐体との間の距離をdとし、第1の給電母線11と対向する筐体10の対向面の面積をSとし、第2の給電母線12と対向する筐体10の対向面の面積をSとする。またεは真空の誘電率を、εは比誘電率を示す。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
そして、式(6)、式(7)を式(1)、式(2)にそれぞれ代入すると、以下の式(8)、式(9)が得られる。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
すなわち、第1の給電母線11の抵抗成分の抵抗値(R)は、第1の給電母線11と筐体10との間の距離(d)の平方根に比例し、第1の給電母線11と対向する筐体10の対向面の面積(S)の平方根に反比例する。また、第2の給電母線12の抵抗成分の抵抗値(R)は、第2の給電母線12と筐体10との間の距離(d)の平方根に比例し、第2の給電母線12と対向する筐体10の対向面の面積(S)の平方根に反比例する。
さらに、受動素子部30において、ノイズの抑制効果をより発揮させるためには、抵抗値(R、R)は以下の式(10)、(11)で示される範囲に設定することが好ましい。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
また、より好ましくは、 抵抗値(R、R)は以下の式(12)、(13)で示される範囲に設定されるとよい。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
第1の受動素子31の抵抗値(R)及び第2の受動素子32の抵抗値(R)と、ノイズレベルとの関係について、図4を用いて説明する。図4は受動素子31、32の抵抗成分の抵抗値に対するノイズレベルの特性を示すグラフである。
図4に示すように、ノイズレベルは、抵抗値(R、R)を式(8)、(9)のイコール(=)で表される式を満たすように設定することで最も小さくなる。また、ノイズレベルの特性は、下に凸の曲線状で表される。そして、受動素子部30を設けていない状態のノイズレベルに対して、所望の周波数(例え、FM周波数帯域中で共振する周波数)におけるノイズレベルを概ね10dB下げる範囲が、式(10)、式(11)で示される範囲となる。また、ノイズレベルを概ね20dB下げる範囲が、式(12)、式(13)で示される範囲となる。すなわち、上記の範囲を満たすように、第1の受動素子31の抵抗値及び第2の受動素子32の抵抗値が設定されることで、ノイズレベルを低減させることができる。
次に、受動素子部30を設けることによるノイズの低減効果について、図5を用いて説明する。図5はスイッチングノイズの周波数に対するノイズレベルの特性を示すグラフである。グラフaは本発明の特性を示し、グラフbは比較例の特性を示す。なお、比較例に係る電力変換装置は、受動素子部30を設けておらず、その他の構成は本発明と同様である。
図5に示すように、全体の周波数にわたってノイズが低減しているが、特に周波数帯域αにおいて、ノイズの低減効果が大きい。筐体10の外部にノイズが漏れることで影響が大きい周波数帯域(FM周波数帯域など)が、帯域αである場合には、本発明のように受動素子部30を設けることで、外部へのノイズの影響を抑制できる。
なお、本発明の変形例として、図6に示すように、シールド線7及び給電母線11、21の代わりに、一対の配線41、42を設け、バスバ6及びシールド線8の代わりに三本の配線43を設けてもよい。図6は、変形例に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。配線41、42は導線であり、一端に電源を、他端に受動素子部30を接続している。配線43は、導線であり、一端をパワーモジュール5に、他端を電動機300に接続している。
上記のパワーモジュール5が本発明の「インバータ」に相当する。
《第2実施形態》
図7は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、第1の受動素子31及び第2の受動素子32の構成が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
図7に示すように、第1の受動素子31は、抵抗成分として抵抗31aを有し、容量成分としてコンデンサ31bを有している。抵抗31aとコンデンサ31bは直列に接続されている。第2の受動素子32は、抵抗成分として抵抗32aを有し、容量成分としてコンデンサ32bを有している。抵抗32aとコンデンサ32bは直列に接続されている。すなわち、給電母線11の長手方向(給電母線11の主面の長辺に沿う方向)に位置する両端部のうち、一方の端部はシールド線7を介して電源200に接続されており、他方の端部は、抵抗31a及びコンデンサ31bを介して筐体10に接続されている。同様に、給電母線12の長手方向(給電母線12の主面の長辺に沿う方向)に位置する両端部のうち、一方の端部はシールド線7を介して電源200に接続されており、他方の端部は、抵抗32a及びコンデンサ32bを介して筐体10に接続されている。
抵抗31a及び抵抗32aは、第1実施形態に係る第1の受動素子31及び第2の受動素子32の抵抗成分と同様に、スイッチングノイズが筐体10に伝搬されることを防ぐための素子である。コンデンサ31b及びコンデンサ32bは、給電母線11、21を筐体10に電気的に接続した際に、給電母線11、12が筐体10を介して直流的に短絡することを防ぐための素子である。
上記のように、本発明において、第1の受動素子31及び第2の受動素子32は容量成分と抵抗成分をそれぞれ有している。これにより、給電母線11、21から筐体10へのスイッチングノイズの伝搬が、給電母線11、21により抑制される。その結果として、本発明はパワーモジュールのスイッチングによるノイズを抑制できる。
なお、本発明の変形例として、図8に示すように、シールド線7及び給電母線11、21の代わりに、一対の配線41、42を設け、バスバ6及びシールド線8の代わりに三本の配線43を設けてもよい。図8は、変形例に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。配線41、42は導線であり、一端に電源を、他端に受動素子部30を接続している。配線43は、導線であり、一端をパワーモジュール5に、他端を電動機300に接続している。
《第3実施形態》
図9は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、受動素子部30をそれぞれ複数設けている点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、第1又は第2実施形態の記載を適宜、援用する。
図9に示すように、受動素子部30は複数設けられている。複数の受動素子部30のうち、一方の受動素子部30は、給電母線11及び給電母線12の端部(シールド線7が接続されていない方の端部)と筐体10との間に接続されている。また他方の受動素子部30は、一方の受動素子部30と所定の間隔を空けつつ、給電母線11、21と筐体10との間に接続されている。
ここで、一方の受動素子部30について、給電母線11と第1の受動素子31との接続点を接続点Pとし、給電母線12と第2の受動素子32との接続点を接続点Pとする。また、他方の受動素子部30について、給電母線11と第1の受動素子31との接続点を接続点Pとし、給電母線12と第2の受動素子32との接続点を接続点Pとする。
接続点Pと接続点Pとの間は、給電母線11の長手方向でλ/2の間隔を空けており、接続点Pと接続点Pとの間の間隔は、給電母線12の長手方向でλ/2の間隔を空けている。λはパワーモジュールのスイッチング動作により発生するノイズの波長である。
スイッチングノイズは様々な周波数をもっているため、給電母線11、21で発生するノイズは定常波となる。そして、受動素子部30が給電母線11、21の端部の位置に接続され、もう一つの受動素子部30が、給電母線11、21上で接続点からλ(定常波の波長)/2の間隔を空けた上で、給電母線11、21に接続されている。これにより、複数の受動素子部30がノイズの定常波の腹の部分に接続されることになり、より効果的にノイズが抑制できる。
上記のように、本発明は、複数の第1の受動素子31と筐体10との接続点(接続点P、Pに相当)の間隔をλ/2とし、複数の第2の受動素子32と筐体10との接続点(接続点P、Pに相当)の間隔をλ/2とする。これにより、本発明はパワーモジュール5のスイッチングによるノイズを抑制できる。
なお、本発明の変形例として、図10に示すように、複数の第1の受動素子31と第1の給電母線11との接続点(接続点P、Pに相当)の間隔をλ/4とし、複数の第2の受動素子32と第2の給電母線12との接続点(接続点P、Pに相当)の間隔をλ/4としてもよい。これにより、接続点P、P又は接続点P、Pの何れか一方の接続点は、定常波の腹の部分に近づくため、パワーモジュール5のスイッチングによるノイズを抑制することができる。
なお、本発明では、受動素子部30を二つ設けたが、三つ以上であってもよい。
《第4実施形態》
図11は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、第1の導電体21及び第2の導電体22を設けている点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、第1〜3実施形態の記載を適宜、援用する。
第1の導電体21及び第2の導電体22は、板状で、導電材料により形成されている。第1の導電体21は、筐体10と第1の給電母線11との間に配置されている。第1の導電体21の両主面は、筐体10の内側の表面及び第1の給電母線11の主面と、それぞれ所定の間隔を空けつつ対向している。また、第2の導電体22は、筐体10と第2の給電母線12との間に配置されている。第2の導電体22の両主面は、筐体10の内側の表面及び第2の給電母線12の主面と、それぞれ所定の間隔を空けつつ対向している。
第1の給電母線11及び第1の導電体21は導電性の材料で形成されつつ、所定の間隔を空けて主面同士で向かい合っている。そのため、第1の給電母線11と第1の導電体21はコンデンサのように作用することで、第1の導電体21は第1の給電母線11に容量結合されている。同様に、第2の給電母線12と第2の導電体22との間もコンデンサのように作用するため、第2の導電体22は第2の給電母線12に容量結合されている。
第1の受動素子31の一端は筐体10に接続され、他端は第1の導電体21に接続されている。上記のとおり、第1の給電母線11と第1の導電体21との間は容量結合されているため、第1の受動素子31の端部は第1の導電体21を介して第1の給電母線11に接続されている。言い替えると、第1の受動素子31の端部は第1の導電体21を介しつつ、第1の給電母線11に電気的に接続されている。
第2の受動素子32の一端は筐体10に接続され、他端は第2の導電体22に接続されている。第2の給電母線12と第2の導電体22との間は容量結合されているため、第2の受動素子32の端部は第2の導電体22を介して第2の給電母線12に接続されている。言い替えると、第2の受動素子32の端部は第2の導電体22を介しつつ、第2の給電母線12に電気的に接続されている。
第1の受動素子31の抵抗成分の抵抗値及び第2の受動素子32の抵抗成分の抵抗値を設定する際に、第1の実施形態で示した式(6)のSは第1の給電母線11と対向する第1の導電体21の対向面の面積となり、dは第1の給電母線11と第1の導電体21との間の距離となる。また、第1の実施形態で示した式(7)のSは第2の給電母線12と対向する第2の導電体22の対向面の面積となり、dは第2の給電母線12と第2の導電体22との間の距離となる。そして、第1の受動素子31の抵抗成分の抵抗値は第1の導電体21の抵抗値より大きく、第2の受動素子32の抵抗成分の抵抗値は第2の導電体22の抵抗値より大きい。
上記のように、本発明は、第1の給電母線11と第1の導電体21を容量結合しつつ、第1の導電体21を介して、第1の受動素子31と第1の給電母線11とを接続している。また、第2の給電母線12と第2の導電体22を容量結合しつつ、第2の導電体22を介して、第2の受動素子32と第2の給電母線12とを接続している。これにより、式(6)(7)で示した容量成分(Cpb、Cnb)を、導電体により分布させることができるため、ノイズを抑制する際の設計の自由度を高めることができる。また、給電母線11、21に生じたノイズが筐体10に伝搬すること効率的に抑制できる。
なお、本発明の変形例として、図12に示すように、第1の受動素子31の抵抗成分として抵抗31aを接続してもよく、第2の受動素子32の抵抗成分として抵抗32aを接続してもよい。図12は、本発明の変形例に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。
《第5実施形態》
図13は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。本例では上述した第4実施形態に対して、第1の給電母線11、第2の給電母線12、第1の導電体21、及び第2の導電体22の構成が異なる。また、シールド線7の代わりに第1の給電母線11及び第2の給電母線12を直接、電源200に接続している。これ以外の構成は、上述した第4実施形態と同じであり、第1〜4実施形態の記載を適宜、援用する。
図13に示すように、第1の給電母線11は給電母線11aと給電母線11bを有している。給電母線11a及び給電母線11bは、板状の導電体によりそれぞれ形成されている。また、給電母線11aの長手方向に位置する端部は、給電母線11bの長手方向に位置する端部に接続されている。また、給電母線11aの主面と給電母線11bの主面が垂直になるように、給電母線11a、11bが接続されている。すなわち、第1の給電母線11は屈曲した導電体で形成されている。
第2の給電母線12は、給電母線12aと給電母線12bを有している。給電母線12a及び給電母線12bの構成は、給電母線11a及び給電母線11bの構成と同様である。給電母線11aの主面と給電母線12aの主面は所定の隙間を空けた状態で対向し、給電母線11bの主面と給電母線12bの主面は所定の隙間を空けた状態で対向している。
第1の導電体21は、板状の導電体21aと板状の導電体21bを有している。導電体21aの長手方向に位置する端部は、導電体21bの長手方向の位置する端部に接続されている。導電体21aの主面と導電体21bの主面が垂直になるように、導電体21a、21bが接続されている。すなわち、導電体21は屈曲した形状になるように構成されている。
第2の導電体22は導電体22aと導電体22bを有している。導電体22a及び導電体22bの構成は、導電体21a及び導電体21bの構成と同様である。
導電体21aの主面と給電母線11aの主面は所定の隙間を空けた状態で対向し、導電体21bの主面と給電母線11bの主面は所定の隙間を空けた状態で対向している。同様に、導電体22aの主面と給電母線12aの主面は所定の隙間を空けた状態で対向し、導電体22bの主面と給電母線12bの主面は所定の隙間を空けた状態で対向している。
受動素子部30は3つ設けられている。3つの受動素子部30のうち、2つの受動素子部30は第1の導電体21a及び第2の導電体22aに接続されている。残りの1つの受動素子部30は第1の導電体21b及び第2の導電体22bに接続されている。
第1の導電体21a及び第2の導電体22bに接続された2つの受動素子部30の抵抗成分について説明する。2つの受動素子部30は抵抗成分として、抵抗31a及び抵抗32aをそれぞれ有している。そして、これら抵抗31aの抵抗値(R1a)及び抵抗32aの抵抗値(R2a)は、以下の式(14)及び式(15)を満たすように設定される。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
式(14)において、d1aは給電母線11aと導電体21aとの間の距離であり、S1aは給電母線11aと対向する導電体21aの対向面の面積である。また、式(15)において、d2aは給電母線12aと導電体22aとの間の距離であり、S2aは給電母線12aと対向する導電体22aの対向面の面積である。
また、第2の導電体22b及び第2の導電体22bに接続された残りの受動素子部30の抵抗成分について説明する。受動素子部30は抵抗成分として、抵抗31a及び抵抗32aをそれぞれ有している。そして、抵抗31aの抵抗値(R1b)及び抵抗32aの抵抗値(R2b)は、以下の式(16)及び式(17)を満たすように設定される。
Figure 2016007093
Figure 2016007093
式(16)において、d2aは給電母線11bと導電体21bとの間の距離であり、S1bは給電母線11bと対向する導電体21bの対向面の面積である。また、式(16)において、d2bは給電母線12bと導電体22bとの間の距離であり、S2bは給電母線12bと対向する導電体22bの対向面の面積である。
上記のように、第1の給電母線11、第2の給電母線12、第1の導電体21、及び第2の導電体22は屈曲している。これにより、筐体10内において、給電母線等のレイアウト際に自由度を高めることができる。また、第1の給電母線11と導電体21との間に形成される容量を、給電母線11aと導電体21aとの間の容量と、給電母線11bと導電体21bとの間の容量に分布させることができる。第2の給電母線12と導電体22との間に形成される容量を、給電母線12aと導電体22aとの間の容量と、給電母線12bと導電体22bとの間の容量に分布させることができる。
なお、3つの受動素子部30と導電体21、22との接続点の間隔は、第3実施形態に示したように、λ/2又はλ/4としてもよい。
なお本発明の変形例に示すように、第1の給電母線11、第2の給電母線12、第1の導電体21、及び第2の導電体22は1箇所に限らず、2箇所で屈曲させた形状としてもよい。図14は、本発明の変形例に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。また、給電母線11、12及び導電体21、22は一枚の板状の部材で構成されてもよい。
図14に示すように、第1の給電母線11及び第2の給電母線12は2箇所で屈曲するように構成されている。第1の導電体21は、第1の給電母線11の形状と対応させて、2箇所で屈曲するように構成されている。また第1の導電体21は、第1の給電母線11と所定の間隔を空けつつ、第1の給電母線11の主面と対向した状態で配置されている。
第2の導電体22は、第1の導電体21と同様に構成され、第2の給電母線12と所定の間隔を空けつつ、第2の給電母線12の主面と対向した状態で配置されている。
受動素子部30は2つ設けられている。2つの受動素子部30のうち、一方の受動素子部30は、第1の導電体21及び第2の導電体22の一方の端部と筐体10との間に接続されている。また、他方の受動素子部30は、第1の導電体21及び第2の導電体22の他方の端部と筐体10との間に接続されている。第1の導電体21及び第2の導電体22の端部は、第1の導電体21及び第2の導電体22のそれぞれ長手方向に位置する。これにより、筐体内に配置する給電母線等のレイアウトの自由度を高めつつ、パワーモジュール5のスイッチングによるノイズを抑制できる。
《第6実施形態》
図15は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、第1の誘電体51及び第2の誘電体52を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、第1〜5実施形態の記載を適宜、援用する。なお、第1の受動素子の抵抗成分として抵抗31aを接続し、第2の受動素子の抵抗成分として抵抗32aを接続している。
第1の誘電体51及び第2の誘電体52は、板状(平板)に形成され、給電母線11、12及び導電体21、22より誘電率の高い材料で、例えば樹脂等により形成されている。第1の誘電体51は第1の給電母線11と第1の導電体21との間に配置され、第2の誘電体52は第2の給電母線12と第2の導電体22との間に配置されている。第1の給電母線11、第1の導電体21、及び第1の誘電体51は、互いの主面が平行になるように配置されており、第2の給電母線12、第2の導電体22、及び第2の誘電体52は、互いの主面が平行になるように配置されている。第1の導電体21及び第2の導電体は、金属テープにより第1の誘電体51及び第2の誘電体52に貼り付けられている。
次に、第1の給電母線11と第1の導電体21との間に形成される容量成分の容量(C)、第2の給電母線12と第2の導電体22との間に形成される容量成分の容量(C)、及び、第1の給電母線11と第2の給電母線12との間に形成される容量成分の容量(C12)について説明する。図16は、図15のXVI−XVI線に沿う部分断面図である。
図16に示すように、容量(C)、容量(C)は給電母線11、12と導電体21、22との間で容量結合されたコンデンサで表され、容量(C12)は、第1の給電母線11と第2の給電母線12との間で容量結合されたコンデンサで表される。
図17に、容量(C又はC)に対するノイズレベルの特性を示す。容量(C)が容量(C12)よりも十分に小さいときの容量(Cx0)おけるノイズレベルをRとする。この状態から、容量(C)を容量(Cx0)より大きくすると、ノイズレベルは一定の傾きで低下する。そして、容量(C)が容量(C12)に近づくと、ノイズレベルの低減の傾きは緩やかになる。さらに、容量(C)が容量(C12)より大きくなると、ノイズレベルの低減の傾きは、ほぼゼロなり、ノイズレベルはRとなる。容量(C)についても、容量(C)と同様の特性をとる。
すなわち、ノイズレベルの低減の効果を最大限得るには、容量(C)及び容量(C)は少なくとも容量(C12)以上に設定されればよい。これにより、本発明は、パワーモジュール5のスイッチングによるノイズを抑制できる。
《第7実施形態》
図18は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、第3の受動素子33を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、第1〜6実施形態の記載を適宜、援用する。
第3の受動素子33は、パワーモジュール5のスイッチングにより給電母線11、12で発生したノイズを吸収するための素子であり、第1の給電母線11と第2の給電母線12との間に接続されている。第3の受動素子33は抵抗成分を有している。
また、第3の受動素子33の抵抗成分の抵抗値をRとした場合に、抵抗値(R)は以下の式(18)を満たすように設定されている。ただし、L12は第1の給電母線11と第2の給電母線12との間のインダクタンスであり、C12は第1の給電母線11と第2の給電母線12との間の容量成分(容量)である。
Figure 2016007093
パワーモジュール5でスイッチングノイズにより、給電母線11、21でノイズが発生した場合に、当該ノイズは第1の受動素子31及び第2の受動素子32に加えて、第3の受動素子33にも流れる。第3の受動素子33には抵抗成分が含まれているため、ノイズによる電流が当該抵抗成分で消費される。これにより、本発明は、ノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へノイズの漏洩を防ぐ。
なお、本発明の変形例として、図19に示すように、第3の受動素子33は、抵抗33a及びコンデンサ33b、33cの直列回路で構成されてもよい。図19は、
図12は、本発明の変形例に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。
図19に示すように、変形例に係る第3の受動素子33は、抵抗33a及びコンデンサ33b、33cを有している。抵抗33aの両端にはコンデンサ33b及びコンデンサ33cがそれぞれ接続されている。そして、抵抗33aと第1の給電母線11との間にコンデンサ33bが接続され、抵抗33aと第2の給電母線12との間にコンデンサ33cが接続されている。抵抗33aは第3の受動素子33の抵抗成分であり、コンデンサ33b、33cは、第3の受動素子33の容量成分である。なお、第1の受動素子31及び第2の受動素子32は、第2の実施形態に係る第1の受動素子31及び第2の受動素子32と同様の構成である。
上記のように本発明において、第3の受動素子33は、抵抗成分として抵抗33aを有し、容量成分としてコンデンサ33b、33cを有する。これにより、本発明はパワーモジュールのスイッチングによるノイズを抑制できる。
また本発明の他の変形例として、図19の変形例で示した第1の受動素子31、第2の受動素子32、及び第3の受動素子33を複数設けてもよい。図20は、本発明の変形例に係る電力変換装置を含む駆動システムの概要図である。複数の第1受動素子31は第1の給電母線11と筐体10との間に接続され、複数の第2の受動素子32は第2の給電母線12と筐体10との間に接続されている。また、複数の第3の受動素子33は第1の給電母線11と第2の給電母線12との間に接続されている。
また、複数の第1の受動素子31と第1の給電母線11との接続点の間隔、複数の第2の受動素子32と第2の給電母線12との接続点の間隔、及び、複数の第3の受動素子33と給電母線11、12との接続点の間隔は、λ/2としている。なお、それぞれの間隔は、λ/4でもよい。
これにより、本発明は、第1の給電母線11と第2の給電母線12との間に、第3の受動素子33を複数接続しているため、第1の給電母線11と第2の給電母線12に生じたノイズを短時間で抑制することができる。
また本発明の他の変形例として、図21に示すように、第1の導電体21及び第2の導電体22を設け、第1の給電母線11と第1の導電体21との間に第1の誘電体51を設けてもよく、第2の給電母線12と第2の導電体22との間に第2の誘電体52を設けてもよい。誘電体51、52の構成は、第6実施形態に係る誘電体51、52と同様である。第1の受動素子31及び第2の受動素子32の一端は第1の導電体21及び第2の導電体22にそれぞれ接続されている。第3の受動素子33は第1の導電体21と第2の導電体22との間に接続されている。また、第3の受動素子33の抵抗33aの抵抗値は、第1の導電体21の抵抗値及び第2の導電体22の抵抗値より大きい。これにより、第1の給電母線11と第2の給電母線12に生じたノイズを効率的に抑制できる。
《第8実施形態》
図22は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。本例では上述した第9実施形態の図21で示した電力変換装置に対して、第1の導電体21にスリット70を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第9実施形態と同じであり、第1〜6実施形態の記載を適宜、援用する。
図22に示すように、第1の導電体21の主面に沿うように、3つのスリット70が設けられている。スリット70は、導電体21の対向する側面(両主面で挟まれた面)のうち、一方の側面から他方の側面に向けて切り込みを入れるように形成されている。第1の導電体の主面に対して垂直方向に沿う面を断面とした場合には、スリット70を有する部分の第1の導電体21の断面積は、スリット70を有さない部分の第1の導電体21の断面積より小さくなっているため、スリット70を有する部分の抵抗値は、スリット70を有さない部分の抵抗値より高くなる。そのため、パワーモジュール5のスイッチング動作によりスイッチングノイズが発生し、ノイズ電流が導電体21を流れると、ノイズ電流は、スリット70を有する部分で熱として消費される。
上記のように、本発明において、第1の導電体21はスリット70を有している。これにより、スリット70の部分での第1の導電体21の抵抗が増大されるため、給電母線11、21で発生したノイズによるノイズ電流を当該部分で消費させることができ、ノイズを抑制することができる。また、導電体21の一部を加工することでスリット70を形成することができるため、導電体21に容易に抵抗成分を加えることができる。
なお、本例は、スリット70を3つスリットで構成するが、1つ、3つ又は4つ以上であってもよい、またスリット70は、第2の導電体22に設けてもよい。
《第9実施形態》
図23は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、抵抗80を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、第1〜6実施形態の記載を適宜、援用する。
複数の抵抗80は、板状でフェライトにより形成されている。複数の抵抗80は、所定の間隔をあけて、第1の導電体の主面に設けられている。抵抗80の抵抗値は、第1の導電体21の抵抗値より高くなっており、給電母線11、12で発生したノイズによりノイズ電流が第1の導電体21に流れると、ノイズ電流は、抵抗値の高い抵抗80で熱として消費される。これにより、本例は、高周波のノイズ電流を吸収する。
上記のように、本発明において、第1の導電体21はフェライトで形成された抵抗80を有している。これにより、給電母線11、21で発生したノイズによるノイズ電流が抵抗80で消費されるため、給電母線11、21で発生するノイズを抑制することができる。また、抵抗80をフェライトで形成することで、抵抗の大きい部材を、小さな抵抗素子で実現できる。
なお、本発明では、抵抗80を形成することで第1の導電体21上に抵抗部材を形成したが、フェライトを吹き付けることで、抵抗部材を形成してもよい。これにより、抵抗の増大部分を容易に加工できる。
なお、本発明において、抵抗80は3つに限らず、1つ、3つ又は4つ以上であってもよい、また抵抗80は、第2の導電体22に設けてもよい。
4…平滑コンデンサ
5…パワーモジュール
6…バスバー
7、8…シールド線
10…筐体
11、12…給電母線
21、22…導体部
30…受動素子部
31…第1の受動素子
31a…抵抗
31b…コンデンサ
32…第2の受動素子
32a…抵抗
32b…コンデンサ
200…電源
300…電動機

Claims (18)

  1. 電源から出力される電力を変換するインバータと、
    前記インバータ及び前記電源の正極側に接続された第1の給電母線と、
    前記インバータ及び前記電源の負極側に接続された第2の給電母線と、
    前記インバータ、前記第1の給電母線、及び前記第2の給電母線を内部に収容する筐体と、
    前記第1の給電母線と前記筐体との間に接続された第1の受動素子と、
    前記第2の給電母線と前記筐体との間に接続された第2の受動素子とを備える
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1記載の電力変換装置において、
    前記第1の受動素子は、第1の容量成分と第1の抵抗成分とを有し、
    前記第2の受動素子は、第2の容量成分と第2の抵抗成分とを有する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項2記載の電力変換装置において、
    前記第1の抵抗成分の抵抗値は前記第1の給電母線の抵抗値より大きく、
    前記第2の抵抗成分の抵抗値は前記第2の給電母線の抵抗値より大きい
    ことを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の受動素子の抵抗成分の抵抗値は、前記第1の給電母線と前記筐体の間の距離の平方根に比例し、かつ、前記第1の給電母線と前記筐体の対向する部分の面積の平方根に反比例し、
    前記第2の受動素子の抵抗成分の抵抗値は、前記第2の給電母線と前記筐体の間の距離の平方根に比例し、かつ、前記第2の給電母線と前記筐体の対向する部分の面積の平方根に反比例する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    複数の前記第1の受動素子と前記第1の給電母線との接続点の間隔がλ/2であり、
    複数の前記第2の受動素子と前記第2の給電母線との接続点の間隔がλ/2であり、
    λは、前記インバータのスイッチング動作により発生するノイズの波長である
    ことを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    複数の前記第1の受動素子と前記第1の給電母線との接続点の間隔がλ/4であり、
    複数の前記第2の受動素子と前記第2の給電母線との接続点の間隔がλ/4であり、
    λは、前記インバータのスイッチング動作により発生するノイズの波長である
    ことを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電力変換装置において
    前記第1の給電母線と容量結合された第1の導電体と、
    前記第2の給電母線と容量結合された第2の導電体とを備え、
    前記第1の受動素子は前記第1の導電体を介して前記第1の給電母線に接続され、
    前記第2の受動素子は前記第2の導電体を介して前記第2の給電母線に接続されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  8. 請求項7記載の電力変換装置において
    前記第1の給電母線と前記第1の導電体との間に設けられた第1の誘電体と、
    前記第2の給電母線と前記第2の導電体との間に設けられた第2の誘電体とを備える
    ことを特徴とする電力変換装置。
  9. 請求項7又は8記載の電力変換装置において、
    前記第1の給電母線と前記第1の導電体との間に形成される容量成分の容量、及び、前記第2の給電母線と前記第2の導電体との間に形成される容量成分の容量は、前記第1の給電母線と前記第2の給電母線との間に形成される容量成分の容量以上である
    ことを特徴とする電力変換装置。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の受動素子に含まれる抵抗成分の抵抗値は前記第1の導電体の抵抗値より大きく、
    前記第2の受動素子に含まれる抵抗成分の抵抗値は前記第2の導電体の抵抗値より大きい
    ことを特徴とする電力変換装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の給電母線と前記第2の給電母線の間に接続された第3の受動素子を備える
    ことを特徴とする電力変換装置。
  12. 請求項11に記載の電力変換装置において、
    前記第3の受動素子は、第3の容量成分と第3の抵抗成分とを有する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  13. 請求項11に記載の電力変換装置において、
    前記第1の給電母線と容量結合された第1の導電体と、
    前記第2の給電母線と容量結合された第2の導電体とを備え、
    前記第3の受動素子は前記第1の導電体及び前記第2の導電体を介して前記第1の給電母線と前記第2の給電母線との間に接続され、
    前記第3の抵抗成分の抵抗値は前記第1の導電体の抵抗値及び前記第2の導電体の抵抗値より大きい
    ことを特徴とする電力変換装置。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第3の受動素子は複数設けられている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の給電母線と容量結合された第1の導電体と、
    前記第2の給電母線と容量結合された第2の導電体とを備え、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体の少なくともいずれか一方の導電体はスリットを有する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  16. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の給電母線と容量結合された第1の導電体と、
    前記第2の給電母線と容量結合された第2の導電体とを備え、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体の少なくともいずれか一方の導電体はフェライトにより形成された抵抗部材を有する
    ことを特徴とする電力変換装置。
  17. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の給電母線と容量結合された第1の導電体と、
    前記第2の給電母線と容量結合された第2の導電体とを備え、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体は金属テープにより形成されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の電力変換装置において、
    前記第1の受動素子に含まれる抵抗成分の抵抗値及び前記第2の受動素子に含まれる抵抗成分の抵抗値は、前記インバータのスイッチング動作により発生するノイズ成分に応じて設定されている
    ことを特徴とする電力変換装置。
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