JP2016004809A - 太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】より小型化が可能な太陽電池を提供する。
【解決手段】太陽電池1では、ホログラム部3Aに入射した光が、ホログラム部3Aの回折格子による回折によって進路を変更され、光電変換膜2に入射する。このような構成とするためには、ホログラム部3Aの基準面の法線方向と、ホログラム部3Aに形成された回折格子の回折格子面とのなす角θとの関係を、ホログラム部3Aの平均屈折率をnとしたときに、所定の数式を満たすものとする。これにより、ホログラム部3Aに入射した光がホログラム部3A内を移動して光電変換膜2に対して到達する構成となることから、太陽電池全体として小型化することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池に関する。
従来から、ホログラム等の回折物によって入射光の進行方向を変更することで回折物上に積層された光導波路内を伝搬させた後、導波光を光電変換膜等の光電池に入射させる光学素子が知られている。
特開2013−80966号公報
しかしながら、特許文献1記載のように光導波路を備える光学素子の場合、光導波路が設けられるために光学素子としての厚みが増大するため、光学素子全体が大型化してしまう可能性がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、より小型化が可能な太陽電池を提供することを目的とする。
発明者は鋭意研究の結果、回折物の配置角度を変更して入射光の進行方向を制御することによって、光導波路により光を伝搬させることなく光電変換膜に光を入射させることができることを見出した。より具体的には、ホログラム部における回折格子の回折格子面をホログラム部の主面に係わる基準面の延在方向とは異なる方向とすることにより、光電変換膜へ向かうように入射光の進行方向を変更できることを見出した。
すなわち、本発明の一形態に係る太陽電池は、一対の主面が延在する面とは異なる方向に沿った回折格子面を有する回折格子が形成され、前記一対の主面のうちの一方側から入射する光の進行方向を変更する薄板状のホログラム部と、前記ホログラム部の周縁の少なくとも一部に沿って前記ホログラム部の前記周縁に対向して設けられ、その主面が前記ホログラム部の前記一対の主面に係る基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、その幅が前記ホログラム部の前記周縁の厚さ以上である光電変換膜と、を備え、前記回折格子の前記回折格子面と前記基準面に対する法線方向とのなす角θは、前記ホログラム部の平均屈折率をnとしたときに、以下の数式(1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2016004809
上記の太陽電池では、回折格子の回折格子面とホログラム部の主面に係わる基準面の法線方向とのなす角θが上記の数式を満たすように制御することで、ホログラム部に入射した光にホログラム部内を導波させて、光電変換膜方向へ出射することができることができる。したがって太陽電池の小型化が可能となる。
なお、ホログラム部の基準面とは、一対の主面の延在方向に基づいて規定される面である。より詳細には、一対の主面が互いに平行である場合には、基準面の延在方向は、当該一対の主面の延在方向と同一であると規定される。また、一対の主面が互いに平行ではない場合には、ホログラム部を、ホログラム部の主面の法線方向に沿っていて且つ光電変換膜の主面に対して直交する断面で見たときに、ホログラム部の両周縁のそれぞれにおいて、一対の主面の端部同士を結んだ線の中点を算出し、両周縁における中点同士を結んだ線を含む面を基準面とする。また、一方あるいは両方の主面に凹凸がある場合には、上記の断面で見たときの当該主面の凹凸を平均化した直線で近似した上で、他方の主面との間での位置関係を求めることが好ましい。
ここで、ホログラム部は、前記基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、前記光電変換膜の前記主面に対して直交する断面で見たときに、前記光電変換膜に向かうにつれて前記一対の主面間の距離が徐々に大きくなる拡張部を有し、前記断面で見たときに、前記拡張部の長さは、前記光電変換膜に向かうにつれて前記一対の主面間の距離が徐々に小さくなる縮小部の長さよりも長い態様とすることができる。
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、例えば、前記基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、前記光電変換膜の前記主面に対して直交する断面で見たときに、前記ホログラム部の前記拡張部と前記縮小部とが交互に設けられる態様が挙げられる。
また、上記作用を効果的に奏する他の構成としては、例えば、前記光電変換膜は、前記ホログラム部の全周を囲うように設けられ、前記ホログラム部は、前記ホログラム部の中央を通り、且つ前記基準面に対する法線方向に沿った断面で見たときに、中央部において前記一対の主面間の距離が最も小さく、前記中央部から周縁に向かって徐々に厚くなる態様が挙げられる。
また、前記ホログラム部の前記一対の主面の少なくとも一方の主面に対して積層される光導波部材をさらに備え、前記ホログラム部は、その幅が前記ホログラム部の前記周縁の厚さ及び前記光導波部材の厚さの和以上である態様とすることができる。
この場合、ホログラム部内を導波するように方向変換された光が、光導波部材を利用した伝搬も可能となることから、ホログラム部内のみを移動する場合と比較して、伝搬中の損失を抑制することができ、太陽電池における光収集効率が向上する。
本発明によれば、より小型化が可能な太陽電池が提供される。
第1実施形態に係る太陽電池の概略構成を説明する図である。 第1実施形態に係る太陽電池の断面図である。 第2実施形態に係る太陽電池の断面図である。 第2実施形態の変形例に係る太陽電池の断面図である。 第3実施形態に係る太陽電池の断面図である。 ホログラム記録のための光学系を説明する図である。 回折格子の評価のための光学系を説明する図である。 光電変換膜の構成を説明する断面図である。 ホログラム記録のための光学系を説明する図である。 回折格子の評価のための光学系を説明する図である。 実施例に係るホログラム部の構成を説明する断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池の概略構成を説明する図である。図1に示すように、太陽電池1は、円環状に配置された光電変換膜2と、光電変換膜2の内側配置されたホログラム部3Aと、を含んで構成される。光電変換膜2は、光Lの入射方向に沿って円環の軸線が延びるように配置される。またホログラム部3Aは、光電変換膜2の内側で、一対の主面の内の一方が光Lの入射方向に対して直交する面を形成する。
図1に示すように、光Lが上方(一方の主面側)から入射する場合には、ホログラム部3Aが水平面に延在するように配置されると共に、光電変換膜2は基準面に対する法線が水平方向に延びるように垂直方向に直立するように配置される。この光電変換膜2の主面は、換言すれば、水平方向に延びるホログラム部3Aにおける基準面に対する法線方向に延び、且つ、この法線方向(垂直方向)に沿って見たときに、ホログラム部3Aの周縁の高さ位置から光Lの出射元へ向かう方向に延びている。
なお、ホログラム部3Aにおける基準面とは、ホログラム部3Aを構成する一対の主面(表面・裏面)によって規定される面である。ホログラム部3Aのように、一対の主面がそれぞれ平坦であり、且つ、互いに平行である場合には、主面と基準面とは一致するものである。一方、一対の主面が互いに平行ではない場合や少なくとも一方に凹凸が形成されている場合には、基準面は、一対の主面の双方に対して傾いている場合もある。この点は後述する。
図1に示す太陽電池1は、例えば、太陽電池内蔵の時計等に適用される。この場合、ホログラム部3A及び光電変換膜2の上方又は下方に透光性の文字盤を配置するような構成とすることができる。ただし、太陽電池1の使用方法は上記用途に限定されない。また、円形のホログラム部3A及びホログラム部3Aの周囲に設けられる円環状の光電変換膜2の形状は適宜変形することができる。
光電変換膜2は、公知の光電変換層を有するシート状の積層体を適用することができる。このような光電変換膜2としては、例えば、アモルファスシリコンにより構成される光電変換層を有する半導体素子として実現することができるが、これには限定されず、他の材料を用いることもできる。
光電変換膜2は、その厚さが300μm〜1000μm程度であり、可撓性を有する態様とすることができる。光電変換膜2が可撓性を有する場合、製造後の光電変換膜2を円筒状等に加工することができる。また、光電変換膜2の幅(上下方向の長さ)は適宜変更することができるが、例えば、1mm〜5mm程度とすることができる。
ホログラム部3Aは、円盤の薄板状をなし、公知のホログラム記録材料によって形成されその主面に沿って延びる体積ホログラム部として実現される。ホログラム部3Aには基準波と信号波との干渉によって生成された干渉縞が回折格子として書き込まれている。すなわち、ホログラム部3Aは回折格子として機能する。そして、ホログラム部3Aにて反射された光が上下方向から横方向へ進路を変更されて、光電変換膜2に入射する。
ホログラム部3Aは膜厚が5μm〜100μm程度であるため、基材33によって支持される。基材33が光Lの進路上にある場合には、基材により光Lの損失が生じることから、ホログラム部3Aを支持する基材33は、ホログラム部3Aよりも下方に設けられている態様とすることができる。この場合、基材33がホログラム部3Aから出射する光に対して干渉することによる損失を防ぐことができる。また、図1では、積層されたホログラム部3A及び基材33の周囲に光電変換膜2が設けられる構成を示しているが、光電変換膜2は少なくともホログラム部3Aの周囲を囲うように設けられていればよい。図1に示すように、基材33の周囲にも光電変換膜2が設けられる構成とした場合には、基材33内を導波する光も光電変換膜2に到達が可能となる。さらに、図1では、ホログラム部3Aを下方から支持し、その径がホログラム部3Aと同一の基材33を例示するが、基材33の形状は特に限定されない。したがって、例えば、基材33が光電変換膜2及びホログラム部3Aを下方から支持する構成とすることもできる。また、基材33が光導波部材として機能する場合には、ホログラム部3Aの一対の主面の双方に対して基材33が積層されている構成であってもよい。この点は後述する。光Lの損失を防ぐため、基材は透光性を有する材料を選択することができ、特にガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等を用いることができる。
太陽電池1において、ホログラム部3Aの周縁と光電変換膜2とは、できるだけ近く配置されることができる。ホログラム部3Aが光電変換膜2から離間して配置されている場合、ホログラム部3Aにて進路を変更された光が光電変換膜2に到達しない可能性が増し、損失が大きくなることが考えられる。
ここで、ホログラム部3Aについて、図2を参照しながらさらに説明する。図2は、太陽電池の一部断面図であり、一方側の光電変換膜2とホログラム部3Aとを示したものである。図2では、ホログラム部3Aに入射した光Lがホログラム部3Aの上面(表面)側で回折されて光電変換膜2に入射する場合の光の進路を示している。なお、この断面は、基準面(ホログラム部3Aの場合には、主面)に対する法線方向に沿って延びると共に、光電変換膜2の主面(受光面)に対して直交する面である。例えば、図1に示すように円環状の光電変換膜2が形成されている場合には、図2に示す断面は、上下方向に延びると共に円環状の光電変換膜2の中央部を通る断面に相当する。
光電変換膜2は、上下方向で見たときに、ホログラム部3Aの周縁部の端面4と対向するように配置され、その幅wは、端面4の上下方向の厚さt以上とされる。なお、図2では、ホログラム部3Aの上面側で光Lが回折した例を示しているが、光Lは、ホログラム部3Aの全体で回折する。
本実施形態に係る太陽電池1では、ホログラム部3Aに入射した光は、ホログラム部3Aの回折格子による回折によって進路を変更され、ホログラム部3A内で全反射を繰り返しながら、光電変換膜2に到達する。このような構成とするためには、ホログラム部3Aの基準面の法線方向と、ホログラム部3Aに形成された回折格子の回折格子面とのなす角θ(図2参照)が以下の数式(2)を満たす。なお、nはホログラム部3Aの平均屈折率を示す。
Figure 2016004809
上記の関係式は、ブラッグの回折条件及びスネルの屈折条件を用いて導かれる。具体的には、ホログラム部3Aに対して法線に沿って入射した光Lがホログラム部3Aの回折格子によって回折されて、ホログラム部3A内に出射し、ホログラム部3A内を伝搬した場合に、ホログラム部3A内で全反射しながら光電変換膜2に到達可能な条件を満たす式である。
具体的には、ホログラム部3Aの基準面(本実施形態のホログラム部の場合には互いに平行な一対の主面)の法線方向と、ホログラム部3Aに形成された回折格子の回折格子面とのなす角θ分だけ回折格子を傾けた場合に、回折格子で回折されたホログラム部3Aがホログラム部3A内を進む条件に基づいて、数式(2)の下限値が定められる。また、ホログラム部3A内を伝搬する光Lがホログラム部3Aから外方に出射することなく全反射を繰り返して光電変換膜2に到達可能な条件に基づいて、数式(2)の上限値が定められる。
このように、ホログラム部3Aの回折格子の傾きを制御して、ホログラム部3Aにて反射した光がホログラム部3A内を導波して光電変換膜2に対して到達する構成とすることで、従来の太陽電池のように、ホログラム部で進路が変更された光を導波させるための光導波路を別途準備する必要がない。従来のように、光を導波させるための光導波路を別途設ける場合、回折物に対して十分厚い光導波路を準備する必要があり、結果として太陽電池が大型化していた。また、これに対応させて、光電変換膜の幅を十分大きくする必要があったため、コスト的にも負担が増大する問題があった。これに対して、上記の数式(2)を満たすホログラム部3Aを用いた太陽電池1では、光導波路を設けなくてもホログラム部3Aを介して光電変換膜2まで光を伝搬させることができるので、太陽電池1全体としての小型化を達成することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る太陽電池について説明する。第2実施形態に係る太陽電池は、第1実施形態に係る太陽電池と比較して以下の点が相違する。すなわち、第1実施形態に係る太陽電池では、ホログラム部3Aの一対の主面が互いに平行であり、厚さが一定である構成であったのに対して、第2実施形態に係る太陽電池では、ホログラム部の厚さが位置に応じて異なる構成としたものである。第2実施形態に係る太陽電池全体の概略構成としては、図1に示す太陽電池1のホログラム部3A部分に、図3に示すホログラム部3Bを配置したものである。ホログラム部3Bを有する太陽電池1Aについて、図3を参照しながらさらに説明する。図3は、太陽電池1Aの断面図であり、一方側の光電変換膜2とホログラム部3Bとを示したものである。なお、図3に示す断面は、図2と同様に、基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、光電変換膜2の主面(受光面)に対して直交する面に相当する断面であり、具体的には、上下方向に延びると共に円環状の光電変換膜2の中央部を通る断面に相当する。
図3に示すように、太陽電池1Aでは、ホログラム部3Bの一対の主面5,6が平行ではない。具体的には、ホログラム部3Bの下側の主面6は、水平方向であるのに対して、上側の主面5は、光電変換膜2側の周縁が他方側に比べて上方となるように傾いている。この結果、光電変換膜2に対して離れている側(図3における右側)におけるホログラム部3Bの厚さ、すなわち、一方側の周縁(端部)における主面5,6間の距離t1に対して、光電変換膜2と対向する他方側の周縁(端部)におけるホログラム部3Bの厚さ、すなわち、主面5,6間の距離t2を比較すると、t2>t1の関係を満たす。さらに、ホログラム部3Bでは、主面6に対して主面5が傾斜していることから、光電変換膜2側に向かうにつれて主面5,6間の距離tが徐々に大きくなっている。このように、ホログラム部3Bは、光電変換膜2側に向かうにつれて主面5,6間の距離tが徐々に大きくなる領域である拡張部A1を備える。ホログラム部3Bの場合には、図3で示す領域の全てにおいて光電変換膜2側に向かうにつれて主面5,6間の距離tが大きくなっているので、ホログラム部3Bのうち図3に示す部分は、全て拡張部A1であるといえる。
なお、ホログラム部3Bの場合、一対の主面5,6が互いに平行ではないため、ホログラム部3Bの回折格子の角度を規定するための基準面が主面5,6とは異なる面になる。具体的には、ホログラム部3Bを図3で示す断面(上下方向に延びると共に円環状の光電変換膜2の中央部を通る断面)で見たときに、両端に形成される上下方向に延びる2つのホログラム部3Bの周縁部の中点同士を結ぶ線によって示される面である。例えば、図3に示すホログラム部3Bでは、基準面S1は、一方側の周縁(端部)における主面5,6間の中点t11と光電変換膜2と対向する他方側の周縁(端部)における主面5,6間の中点t21とを結ぶ線を含む面とされる。したがって、基準面S1に対する法線は、主面5又は主面6に対する法線とは異なる。ただし、ホログラム部3Bは、主面5,6が例えば直径数cmの円形状であるのに対して、その厚み(すなわち主面5,6間の距離)を変動させたとしても膜厚の変動幅(例えば図2のt2−t1)は0.1μm〜10μm程度とされるので、主面5,6と基準面S1とのなす角は上限が1°程度とされる。したがって、基準面S1が主面5,6と異なる傾きを有することによって、回折格子とホログラム部3Bの基準面S1に対する法線方向とのなす角θと、回折格子と主面5(又は主面6)に対する法線方向とのなす角とに微差が生じるが、そのことによって生じる可能性がある光の損失は僅かであり、基準面S1に基づいて回折格子の角θを設定することで、ホログラム部3Bとして要求される能力を十分満たすことができる。
このように、ホログラム部3Bの厚さが異なる図3の太陽電池1Aでは、ホログラム部3Bに入射した光Lがホログラム部3B内を導波して光電変換膜2に対して到達する構成であることに加えて、ホログラム部3Bの厚さ(主面5,6間の距離)が光電変換膜2に向けて大きくなる拡張部A1を光Lが通過する際には、主面の傾斜によって、その反射角が徐々に大きくなる。したがって、ホログラム部3Bと外部との界面から外部に光が出射することをより好適に防ぐことができる。また、ホログラム部3Bにおいて光Lが反射する度に反射角が変わるため、ホログラム部3B内の回折格子によって再度回折されることを防ぐことができる。なお、拡張部A1のように、ホログラム部3Bが傾斜するような構造を製造する方法は特に限定されず、例えば、回折格子を形成する領域は厚さが均一な部材で製造し、その後に、回折格子を形成する領域と同一の材料によって形成された厚みが不均一である(傾斜している)ホログラム記録媒体を貼り付ける等の方法を用いることができる。
上記のような作用を奏するためのホログラム部3Bの回折格子面とホログラム部3Bの基準面S1に対する法線方向とのなす角θは、第1実施形態の太陽電池1におけるホログラム部3Aと同様に、数式(2)を満たすものである。
上記の太陽電池1Aでは、ホログラム部3Bのうち図3に示した領域が拡張部A1に含まれる構成としたが、ホログラム部3B全てが拡張部A1によって構成される必要はなく、図3に示す断面で見たときに、拡張部A1の長さ(長辺に沿った方向の長さ)は、光電変換膜2に向かうにつれて一対の主面間の距離が徐々に小さくなる縮小部の長さよりも長いことが好ましい。図3では、ホログラム部3Bが縮小部を含む構成が示されていないが、拡張部A1とは逆に主面5,6間の距離が徐々に小さくなる領域を縮小部という。縮小部では、拡張部とは逆の事象が生じる。すなわち、ホログラム部3Bの厚さ(主面5,6間の距離)が光電変換膜2に向けて徐々に小さくなる縮小部を光Lが通過する際には、主面の傾斜によって、その反射角が次第に小さくなり、その結果、光Lの一部が外方へ出射することが考えられる。ただし、縮小部の長さ(長辺に沿った方向の長さ)が拡張部よりも短ければ、縮小部を進む光が外方へ出射する割合を小さくすることができるため、光Lの損失を減らすことができる。
上記のような太陽電池の変形例として、図4に3例を示す。図4(a)〜図4(c)はそれぞれ第2実施形態に係る太陽電池の変形例を示す図である。図4(a)に示す太陽電池1Bでは、ホログラム部3Cの中央部31cが凹んでいて、中央部31cから両端部に設けられた光電変換膜2に向けて、それぞれ拡張部A1が形成されているものである。このように、断面で見たときに両端の光電変換膜2に向かってそれぞれ拡張部A1が設けられている構成とすることができる。なお、この太陽電池1Bのホログラム部3Cにおける基準面とは、上方の主面5が凹凸を有しているので、この凹凸を平均化した直線に基づく面5Aと下側の主面6とに基づいて設定される。図4(a)に示す太陽電池1Bは、ホログラム部3Cの両端部に光電変換膜2が設けられているため、両端部に設けられた光電変換膜2から最も離間している中央部31cに凹部を形成し、そこから光電変換膜2に向けて徐々に幅広となる拡張部A1を形成しているものである。したがって、光電変換膜2がホログラム部3Cの端部の一方側に設けられている場合には、一方側に設けられた光電変換膜2に向かって逆側の端部から拡張部A1が形成される構成とすることができる。
また、図4(b)及び図4(c)は、拡張部A1と縮小部A2とが交互に繰り返されている変形例である。図4(b)に示す太陽電池1Cでは、ホログラム部3Dの上方側の主面において、直線状に延びる拡張部A1と縮小部A2とが交互に形成されている。また、図4(c)に示す太陽電池1Dでは、ホログラム部3Eの上方側の主面において、湾曲した拡張部A1と縮小部A2とが交互に形成されている。いずれにしても拡張部A1の長さに対して縮小部A2の長さが短く、縮小部A2によって反射角が小さくされたとしても、拡張部A1によって反射角が再度大きくされることから、光Lが主面5,6のいずれかから外方に出射することを防ぐことができる。なお、ホログラム部3D及びホログラム部3Eの双方において、上方の主面5が凹凸を有しているので、ホログラム部における基準面は、この凹凸を平均化した直線に基づく面5Aと主面6とに基づいて設定される。
このように、回折格子の回折格子面とホログラム部の基準面S1に対する法線方向とのなす角θが上記の数式(2)を満たした上で、ホログラム部の一対の主面間の距離を調整して、拡張部を設ける構成とすることで、反射角をより大きくすることができ、ホログラム部と外部との界面から外部に光が出射することをより好適に防ぐことができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る太陽電池について説明する。第3実施形態に係る太陽電池は、第1実施形態に係る太陽電池と比較して以下の点が相違する。すなわち、第3実施形態に係る太陽電池では、第1実施形態に係る太陽電池のホログラム部3Aにおける一対の主面のそれぞれに対して積層された光導波部材を更に備えている。
図5は、第3実施形態に係る太陽電池1Eの断面図であり、一方側の光電変換膜2とホログラム部3Fとを示したものである。なお、図5に示す断面は、図2と同様に、基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、光電変換膜2の主面(受光面)に対して直交する面に相当する断面であり、具体的には、上下方向に延びると共に円環状の光電変換膜2の中央部を通る断面に相当する。また、ホログラム部3Fは、ホログラム部3Aと同様に、その厚さが均一である。
また、太陽電池1Eでは、ホログラム部3Fの一対の主面5,6のそれぞれに光導波部材51,61が積層されている。光導波部材51,61の構成材料としては、ガラス、PET,PC,PEN等が用いられる。また、光導波部材51,61の厚さは、10μm〜1000μm程度とすることが好ましく、この範囲であると、太陽電池全体が大型化することを防ぐことができる。また、光導波部材51,61は、どちらか一方だけ設けられていてもよい。また、ホログラム部3Fに対して光導波部材51,61を積層した場合、光電変換膜2の幅wは、ホログラム部3Fの端面(光電変換膜2との対向面)における上下方向の厚さ(主面間の距離)tと、光導波部材51,61の厚さとの和以上とされる。なお、図5では、ホログラム部3Aの上面側で光Lが回折した例を示しているが、光Lは、ホログラム部3Fの全体で回折する。
このような太陽電池1Eでは、ホログラム部3Fに入射した光は、回折格子によって回折された後、ホログラム部3Fのみではなく、光導波部材51,61を伝搬することができる。この場合、ホログラム部3Fのみを伝搬する場合と比較して、界面での反射回数を減らすことができるため、反射時に生じる光の損失を抑制することができる。
また、従来においても回折物によって回折された光について、光導波部材を介して伝搬させる構成は知られていた。しかしながら、従来の構成では、回折物自体を含めて伝搬させる構成については開示がなく、本実施形態に係る太陽電池1Eのように、ホログラム部3F及び光導波部材51,61を一体化させて光を伝搬させる構成はこれまで知られていない。また、ホログラム部3F及び光導波部材51,61を一体化させて光を伝搬させる構成とした場合には、従来の光導波部材のみで光を伝搬させる構成と比較して、光導波部材51,61を十分に薄くすることができることから、太陽電池全体としての小型化も実現が可能である。
以上、本発明の実施形態に係る太陽電池について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、ホログラム部の全周を覆うように光電変換膜が設けられている構成について説明したが、光電変換膜はホログラム部の全周を囲っていなくてもよく、回折格子が光を回折する方向のみに光電変換膜が設けられている構成であってもよい。ただし、ホログラム部に入射する光に対する光電変換効率を高めるためには、ホログラム部の周囲を全て囲うように光電変換膜を配置することが好ましい。また、回折格子における格子間隔を調整すること等によって特定波長の光を選択的に回折する構成として、ホログラム部の外観色調を制御する構成をさらに備えていてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明に係る太陽電池をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(ホログラム記録媒体の作製)
以下の手順に従って、記録材料組成物溶液を調製した。まず、マトリクスとして酢酸ビニルポリマー(和光純薬工業(株)製、酢酸ビニルポリマー、数平均分子量Mn=1400〜1600、50重量%メタノール溶液)10gに、光重合性モノマーとして9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村工業(株)製、NKエステル A−BPEF)3g、分散媒としてマロン酸ジヘキシル1.2g、及び可塑剤としてセバシン酸ジエチル0.4gを加え、次いで過酸化物系光重合開始剤(チッソ(株)製、BT−2、3,3’−ジ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)−4,4’−ジ(メトキシカルボニル)ベンゾフェノンを含む位置異性体混合物の40%アニソール溶液)2.4gを加えた。この混合物に、さらに、532nmに感度を有する10mgの増感色素(3−ブチル−2−[3−(3−ブチル−5−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−イリデン)プロパ−1−エン−1−イル]−5−フェニル−1,3−ベンゾオキサゾール−1−イウム=ヘキサフルオロ−λ5−ホスファヌイド)を溶解させた6gのアセトン溶液(アセトン 5.99g)を添加し、撹拌して溶解させた。このようにして記録材料組成物溶液を得た。
得られた記録材料組成物溶液を、バーコーターを用いて50μm厚のPETフィルム上に塗布し、室温で一晩減圧乾燥させた。乾燥後の記録材料層の膜厚は20μmであった。これを22mmφ、1.0mm厚の円板スライドガラスに記録材料層がガラス面に接するように貼り付け、ホログラム記録媒体30とした。
(ホログラム記録)
作製したホログラム記録媒体30を用いて、以下のようにホログラム記録をおこなった。記録に用いられた光学系を図6に示す。
まず、緑色レーザのレーザ光源11としてNd−YAG固体レーザ(コヒーレント社 波長532nm)を用いた。レーザ光源11から出力されるレーザ光は、電磁シャッタ12を経て、レンズ13、ピンホール14及びレンズ15がこの順に通過することで、所定の径とされた。その後、ミラー16を経た後に、S偏光になるように、1/2波長板17によって調整した。
S偏光とされた光をビームスプリッタ18によって信号光26と参照光27とにその強度が1:1となるように分光した後に、さらに、それぞれの光路の後段にあるNDフィルタ19,20によって参照光27と信号光26の強度が等しくなるように調整した。
NDフィルタ19を通過した信号光26は、ミラー21を調整して、後段のアパーチャ23及びプリズム25を通過した光が、ホログラム記録媒体30の面の法線方向から入射するようにした。このとき、アパーチャ23は、ホログラム記録媒体30に入射する光によりホログラム領域が直径20mmの円筒状となるように調整した。
一方、NDフィルタ20を通過した参照光27は、ミラー21を調整して、後段のアパーチャ23及びプリズム25を通過した光が、ホログラム記録媒体30の主面の法線に対して、48度傾いてホログラム記録媒体30に対して入射するようにした。また、信号光26と同様にホログラム記録媒体30内のホログラム領域が、直径20mmの円筒状になるように、アパーチャ24を調整した。そして、信号光26と参照光27とが重なって入射するように調整を行った。
次に、積算露光量が20mJ/cmになるように、電磁シャッタ12のシャッタースピードを調整し、記録露光をおこなった。その後、ホログラム記録媒体30を蛍光灯(27W)下のホログラム記録媒体30までの距離が30cmとなる位置に6時間放置し、未反応成分を反応させるとともに、増感色素由来の着色を完全に消失させた。これをポストキュアという。その結果、ホログラム記録媒体30の中心部分に、直径20mmの円筒状ホログラム(回折格子)が形成されているのを目視で確認した。これにより、回折格子が形成された実施例1に係るホログラム記録媒体(ホログラム部)を得た。
(回折格子の評価)
実施例1に係るホログラム記録媒体30について、以下のように、記録した回折格子の評価を行った。
まず、図7に示す光学系を利用して、光源11からホログラム記録媒体30の法線方向に沿って緑色レーザ光を照射した。ホログラム記録媒体30の裏面には、屈折率調整液を介して、45°直角プリズム29を設け、プリズム29から出射した光を検出器10で検出した。プリズム29は、ホログラム記録媒体30の平均屈折率と等しい材料を用いた。回折光の回折角度(プリズム斜面の法線とのなす角度)γは、5度であった。照射した緑色レーザの媒体透過光の光強度Ptは1mWであり、回折光の光強度Pdは0.9mWであった。
ブラッグの回折条件、スネルの屈折条件より、プリズムの屈折率np、回折光の回折角度γ、回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θとの間には、下記数式(3)の関係が成り立つ。
Figure 2016004809
np=1.62、γ=5度であったことから、ホログラム記録媒体30に形成された回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θは、24度であることが分った。
なお、ホログラム記録媒体30の平均屈折率n=1.62に基づけば、上記の数式(2)の左辺は19度となる。一方、上記の数式(2)の右辺は71度となることから、実施例に2に係る回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θは、数式(2)を満足する。
(光電変換膜の作製)
図8に示す光電変換膜28を以下の方法で作製した。まず、PEN(ポリエチレンナフタレート)基板41上にアルミニウムとステンレスの積層体からなる下部電極42をスパッタリングで形成した。次にPIN接合からなるアモルファスシリコン層(光電変換層)43をプラズマCVDで下部電極42上に形成した。次に、アモルファスシリコン層43上に透明電極44としてITO(酸化インジウム−スズ化合物)をスパッタリングにより成膜した。
次にYAGレーザを用いて、下部電極42、アモルファスシリコン層43、及び、透明電極44をレーザ加工してこれらを貫通する開口h1を形成し、複数のユニットセルuへの分断を行った。さらに、下部電極42との導通を取るための開口h2も形成した。
次に、絶縁インクを用いて、スクリーン印刷により絶縁樹脂層用インクを印刷し、印刷後160℃オーブンで加熱乾燥し、ユニットセルに分断する絶縁樹脂層45を形成した。
次にカーボンブラックを分散した導電インキを用いて、スクリーン印刷により絶縁樹脂層45上に配線層46を形成した。印刷後、160℃オーブンで加熱乾燥した。これにより、光電変換膜28を得た。
なお、光電変換膜28は、ユニットセルuとして、長さ11.34mm、幅2.47mmの大きさに分断した。その後、ホログラム記録媒体30の側面に光電変換膜28を巻きつけることで、実施例1に係る太陽電池構造を得た。この太陽電池構造は、第1実施形態に係る太陽電池に相当する構造を有する。
(光電変換特性の評価)
このようにして製造した実施例1に係る太陽電池構造を、200lx(ルクス)照度の蛍光灯の下に配置して電流電圧特性を測定した。光電変換膜28をホログラム記録媒体30上に配置した場合と、ホログラム記録媒体30上とは異なる位置に配置した場合とで動作電圧2.6Vでの短絡電流(Isc)を比較したところ、ホログラム記録媒体30を配置した場合には、光電変換膜単体に対して、30%の短絡電流増加が認められた。すなわち、ホログラム記録媒体30に形成されたホログラム部によって、入射光の進行方向が曲げられ、光電変換膜28に入射する光が増加したことが確認された。
[実施例2]
実施例1と同様の方法で得られたホログラム記録前のホログラム記録媒体に対して、図9に示す光学系を用いて、ホログラム記録を行った。
具体的には、NDフィルタ19を通過した参照光26は、ミラー21を調整して、後段のアパーチャ23及びプリズム25を通過した光が、ホログラム記録媒体30の主面の法線に対して48度傾いた角度で入射するようにした。このとき、アパーチャ23は、ホログラム記録媒体30に入射する光によりホログラム(回折格子)領域が直径20mmの円筒状となるように調整した。
一方、NDフィルタ20を通過した信号光27は、ホログラム記録媒体30の主面の法線に沿ってホログラム記録媒体30に対して入射し且つ参照光26の照射領域と重なるようにミラー22の角度を調整した。また、参照光26と同様にホログラム記録媒体30内のホログラム領域が、直径20mmの円筒状になるように、アパーチャ24を調整した。
次に、積算露光量が20mJ/cmになるように、電磁シャッタ12のシャッタースピードを調整し、記録露光をおこなった。その後、ホログラム記録媒体30を蛍光灯(27W)下のホログラム記録媒体30までの距離が30cmとなる位置に6時間放置し、未反応成分を反応させるとともに、増感色素由来の着色を完全に消失させた。これをポストキュアという。その結果、ホログラム記録媒体30の中心部分に、直径20mmの円筒状ホログラムが形成されているのを目視で確認した。これにより、ホログラム部が形成された実施例2に係るホログラム記録媒体を得た。
この実施例2に係るホログラム記録媒体について、図10に示す光学系を用いて評価を行った。すなわち、プリズム29を介してホログラム記録媒体30の法線方向に光源11からの緑色レーザ光を照射した。ホログラム記録媒体30の表面には、屈折率調整液を介して、45°直角プリズム29が設けてある。プリズム29は、媒体の平均屈折率と等しい材料を用いた。そして、検出器10によって回折光を検出することで、回折角度を求めた。その結果、回折光の回折角度(プリズム斜面の法線とのなす角度)γは、5度であった。
ブラッグの回折条件、スネルの屈折条件より、プリズムの屈折率np、回折光の回折角度γ、回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θとの間には、下記数式(4)の関係が成り立つ。
Figure 2016004809
np=1.62、γ=5度であったことから、実施例2に係るホログラム記録媒体30に形成された回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θは、66度であることが分った。
なお、ホログラム記録媒体30の平均屈折率n=1.62に基づけば、上記の数式(2)の左辺は19度となる。一方、上記の数式(2)の右辺は71度となることから、実施例に2に係る回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θは、数式(2)を満足する。
(光電変換特性の評価)
このようにして得られた拡張部を有するホログラム記録媒体30と、実施例1と同様の光電変換膜とを用いて、実施例2に係る太陽電池構造を作成して、光電変換特性の評価を行った。この結果、実施例2に係るホログラム記録媒体を用いることで、光電変換膜単体に対して、30%の短絡電流増加が認められた。
[実施例3]
実施例3として、主面が傾斜しているホログラム部を有する太陽電池構造を作成した。まず、実施例1と同様の方法で得られたホログラム記録前のホログラム記録媒体に対して、実施例1と同様の光学系を用いて、ホログラム記録を行い、円筒状ホログラム(回折格子)が形成されているのを目視で確認した。実施例1と同様に、回折格子の評価をおこなったところ、形成された回折格子の回折格子面の法線とのなす角度θは、24度であった。
(傾斜膜の作製)
次に、図11に示すような凹凸を有するガラス製透明金型を作製した。凹凸のピッチaは10μmとし、凹凸の高さhは1μmとした。なお、ピッチaで示す部分は、上記実施形態で説明した拡張部に相当する。この拡張部は、対向する主面に対する傾き(平均)が6°であった。
ホログラムが形成されたホログラム記録媒体30上に、実施例1と同様に作製した記録材料組成物溶液を塗布し、ガラス製透明金型を接着した。その後、蛍光灯(27W)下(ホログラム記録媒体までの距離30cm)に6時間放置し、未反応成分を反応させるとともに、増感色素由来の着色を完全に消失させた後、ガラス製透明金型を剥離した。この結果、光学顕微鏡によって断面形状を観察すると、透明金型と同じピッチ10μm、同じ高さ1μmの凹凸形状が転写されているのを確認した。
(光電変換特性の評価)
このようにして得られた拡張部を有するホログラム記録媒体30と、実施例1と同様の光電変換膜とを用いて、実施例3に係る太陽電池構造を作成して、光電変換特性の評価を行った。この結果、実施例3に係るホログラム記録媒体を用いることで、光電変換膜単体に対して、40%の短絡電流増加が認められた。
[実施例4]
実施例3として、主面が傾斜しているホログラム部を有する太陽電池構造を実施例2の方法を利用して作成した。まず、実施例1と同様の方法で得られたホログラム記録前のホログラム記録媒体に対して、実施例2と同様の光学系を用いて、ホログラム記録を行い、円筒状ホログラム(回折格子)が形成されているのを目視で確認した。実施例1と同様に、回折格子の評価をおこなったところ、形成された回折格子の回折格子面の法線とのなす角度θは、66度であった。
(傾斜膜の作製)
次に、実施例3と同様の方法によって、傾斜膜をホログラム記録済みのホログラム記録媒体30上に形成した。光学顕微鏡によって、断面形状を観察すると、透明金型と同じピッチ10μm、同じ高さ1μmの凹凸形状が転写されているのを確認した。これにより、拡張部に相当する形状が得られた。この拡張部は、対向する主面に対する傾き(平均)が6°であった。
(光電変換特性の評価)
拡張部を有するホログラム記録媒体30と、実施例1と同様の光電変換膜とを用いて、実施例4に係る太陽電池構造を作成して、光電変換特性の評価を行った。この結果、実施例4に係るホログラム記録媒体を用いることで、光電変換膜単体に対して、40%の短絡電流増加が認められた。
[比較例1]
まず、実施例1と同様の方法で得られたホログラム記録前のホログラム記録媒体に対して、ホログラム記録を行った。ただし、ホログラム記録において、参照光27は、プリズム25の内部に入射した光がホログラム記録媒体30の面の法線に対して、30度傾くように、ミラー22の角度を調整した。その結果、ホログラム記録媒体30に円筒状ホログラムが形成されているのを目視で確認した。
その後、実施例1と同様に、回折格子の評価をおこなったところ、形成された回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θは15度であった。これは、数式(2)を満足しない角度である。
このような比較例1に係るホログラム記録媒体に関して、実施例1と同様の光電変換膜を用いて比較例1に係る太陽電池構造を製造し、光電変換特性の評価を行った。この結果、ホログラム記録媒体を用いると、光電変換膜単体に対して、10%の短絡電流増加に留まった。
[比較例2]
まず、実施例1と同様の方法で得られたホログラム記録前のホログラム記録媒体に対して、実施例2と同様の光学系を利用してホログラム記録を行った。ただし、ホログラム記録において、参照光27は、プリズム25の内部に入射した光がホログラム記録媒体30の主面の法線に対して、30度傾くように、ミラー22の角度を調整した。ホログラム記録媒体30に円筒状ホログラムが形成されているのを目視で確認した。
実施例2と同様の方法で、回折格子の評価をおこなったところ、形成された回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θは75度であった。これは、数式(2)を満足しない角度である。
このような比較例2に係るホログラム記録媒体に関して、実施例1と同様の光電変換膜を用いて比較例1に係る太陽電池構造を製造し、光電変換特性の評価を行った。この結果、ホログラム記録媒体を用いると、光電変換膜単体に対して、10%の短絡電流増加に留まった。
上記の実施例1〜4及び比較例1,2に係るホログラム記録媒体のホログラム領域に関して、ホログラム形状、媒体の平均屈折率、数式(3)又は数式(4)を用いて算出した回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θ及び拡張部の傾きを表1に示す。
Figure 2016004809
次に、ホログラム部径、回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θが数式(2)を満たすかの確認結果、及び、太陽電池構造における電流増加率を表2に示す。
Figure 2016004809
上記評価結果に示すように、回折格子の回折格子面と、ホログラム部の基準面に対する法線方向とのなす角度θが、数式(2)を満たす場合には、太陽電池構造における電流増加率が上昇することが確認された。
1,1A〜1E…太陽電池、2…光電変換膜、3A〜3F…ホログラム部。

Claims (5)

  1. 一対の主面が延在する面とは異なる方向に沿った回折格子面を有する回折格子が形成され、前記一対の主面のうちの一方側から入射する光の進行方向を変更する薄板状のホログラム部と、
    前記ホログラム部の周縁の少なくとも一部に沿って前記ホログラム部の前記周縁に対向して設けられ、その主面が前記ホログラム部の前記一対の主面に係る基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、その幅が前記ホログラム部の前記周縁の厚さ以上である光電変換膜と、を備え、
    前記ホログラム部の前記回折格子面と前記基準面に対する法線方向とのなす角θは、前記ホログラム部の平均屈折率をnとしたときに、以下の数式(1)を満たす太陽電池。
    Figure 2016004809
  2. 前記ホログラム部は、前記基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、前記光電変換膜の前記主面に対して直交する断面で見たときに、前記光電変換膜に向かうにつれて前記一対の主面間の距離が徐々に大きくなる拡張部を有し、
    前記断面で見たときに、前記拡張部の長さは、前記光電変換膜に向かうにつれて前記一対の主面間の距離が徐々に小さくなる縮小部の長さよりも長い
    請求項1記載の太陽電池。
  3. 前記基準面に対する法線方向に沿って延びると共に、前記光電変換膜の前記主面に対して直交する断面で見たときに、前記ホログラム部の前記拡張部と前記縮小部とが交互に設けられる請求項2記載の太陽電池。
  4. 前記光電変換膜は、前記ホログラム部の全周を囲うように設けられ、
    前記ホログラム部は、前記ホログラム部の中央を通り、且つ前記基準面に対する法線方向に沿った断面で見たときに、中央部において前記一対の主面間の距離が最も小さく、前記中央部から周縁に向かって徐々に厚くなる請求項2記載の太陽電池。
  5. 前記ホログラム部の前記一対の主面の少なくとも一方の主面に対して積層される光導波部材をさらに備え、
    前記ホログラム部は、その幅が前記ホログラム部の前記周縁の厚さ及び前記光導波部材の厚さの和以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池。

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