JP2016004614A - ビーム照射装置及びビーム照射方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビーム照射処理の品質を高める技術を提供する。
【解決手段】ビーム照射装置10は、荷電粒子ビームBを所定の走査方向に往復走査させるビーム走査器26と、計測対象とする領域に入射する荷電粒子の角度成分が計測可能な測定器42と、測定器42の計測結果を用いて、荷電粒子ビームBの実効照射エミッタンスを算出するデータ処理部と、を備える。測定器42は、走査方向に往復走査される荷電粒子ビームBが計測対象とする領域を通過して測定器42に入射する時間にわたって、荷電粒子ビームBについての角度分布の時間変化値を計測し、データ処理部は、測定器が計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を位置情報に変換して実効照射エミッタンスを算出する。実効照射エミッタンスは、走査方向に走査されて計測対象とする領域に入射する荷電粒子ビームの一部を足し合わせることで形成されうる仮想的なビーム束についてのエミッタンスを表す。
【選択図】図6

Description

本発明は、ビーム照射装置及びビーム照射方法に関する。
半導体デバイスの製造工程では、半導体の導電性を変化させる目的や半導体の結晶構造を変化させる目的などのため、半導体ウエハにイオンを注入するイオン注入工程が標準的に実施されている。イオン注入工程で使用される装置は、イオン注入装置と呼ばれ、イオン源によってイオンを生成し、生成したイオンを加速してイオンビームを形成する機能と、そのイオンビームを注入処理室まで輸送し、処理室内のウエハにイオンビームを照射する機能を有する。このようなイオン注入装置は、イオンや電子などの荷電粒子で構成される荷電粒子ビームを対象物に照射するためのビーム照射装置の一例である。
荷電粒子ビームの進行方向に対する収束または発散の状態を表す指標として「エミッタンス」と呼ばれるものがある。エミッタンスは、例えば、ビーム軌道に直交する平面内における位置xと、その位置における荷電粒子の進行方向とビーム軌道のなす角度θとを、x−θ平面にプロットしたx−θ分布により規定される。例えば、小孔によってイオンビームを切り出すとともに、小孔を通過したビームが蛍光板に入射することによる発光を撮像素子で計測することにより、イオンビームの入射角度ないしエミッタンスが計測される(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−63874号公報
ウェハに入射するイオンビームの角度が変わると、イオンビームとウェハとの相互作用の態様が変化し、イオン注入の処理結果に影響を与えることが知られている。したがって、イオン注入工程を適切に制御するために、イオンビームの角度情報を把握することが求められる。特に、ウェハ全体に対するイオン注入処理の品質を評価するためには、ウェハの各地点にどのような入射角度を有するイオンがどの程度照射されたかを知ることが重要となる。いいかえれば、ウェハに照射されるイオンビームが有する角度情報を計測するという視点ではなく、ウェハのある地点からみたときに、その地点に入射することとなるイオンの角度情報を計測するという視点が求められる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビーム照射処理の品質を高める技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のビーム照射装置は、荷電粒子ビームを対象物に照射するためのビーム照射装置であって、荷電粒子ビームを所定の走査方向に往復走査させるビーム走査器と、計測対象とする領域に入射する荷電粒子の角度成分が計測可能な測定器と、測定器の計測結果を用いて、荷電粒子ビームの実効照射エミッタンスを算出するデータ処理部と、を備える。測定器は、走査方向に往復走査される荷電粒子ビームが計測対象とする領域を通過して測定器に入射する時間にわたって、荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を計測し、データ処理部は、測定器が計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を位置情報に変換して実効照射エミッタンスを算出し、実効照射エミッタンスは、走査方向に走査されて計測対象とする領域に入射する荷電粒子ビームの一部を足し合わせることで形成されうる仮想的なビーム束についての走査方向のエミッタンスを表す。
本発明の別の態様は、ビーム照射方法である。この方法は、荷電粒子ビームを対象物に照射するビーム照射方法であって、荷電粒子ビームを所定の走査方向に往復走査させることと、計測対象とする領域に入射する荷電粒子の角度成分が計測可能な測定器を用いて、走査方向に往復走査される荷電粒子ビームが計測対象とする領域を通過して測定器に入射する時間にわたって、荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を計測することと、計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を位置情報に変換して、荷電粒子ビームの実効照射エミッタンスを算出することと、を備える。実効照射エミッタンスは、走査方向に走査されて計測対象とする領域に入射する荷電粒子ビームの一部を足し合わせることで形成されうる仮想的なビーム束についての走査方向のエミッタンスを表す。
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ビーム照射処理の品質を高めることができる。
走査される荷電粒子ビームが対象物の照射面に入射する様子を模式的に示す図である。 荷電粒子ビームを構成する荷電粒子の角度成分を模式的に示す図である。 荷電粒子ビームの角度分布の一例を示すグラフである。 走査される荷電粒子ビームが微小領域に入射する様子を示す図である。 微小領域に入射する仮想的なビーム束を模式的に示す図である。 図6(a)は、実施の形態に係るビーム照射装置の概略構成を示す上面図、図6(b)は、実施の形態に係るビーム照射装置の概略構成を示す側面図である。 往復運動されるウェハと往復走査されるビームとの関係を示す正面図である。 角度検出部の概略構成を示す斜視図である。 角度検出部の概略構成を示す断面図である。 走査される荷電粒子ビームと角度検出部が相互作用する様子を模式的に示す図である。 角度検出部が計測する角度分布の時間変化値の一例を示すグラフである。 実効照射エミッタンスの一例を示すグラフである。 固定される荷電粒子ビームと移動する角度検出部とが相互作用する様子を模式的に示す図である。 図14(a)は、荷電粒子ビームの角度分布の時間変化値の一例を示すグラフであり、図14(b)は、荷電粒子ビームの角度強度分布の一例を示すグラフである。 エミッタンス内のビーム強度分布値の一例を示すグラフである。 制御装置の機能構成を示すブロック図である。 ビーム照射装置の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施の形態を説明する前に、本発明の概要を述べる。本実施の形態に係るビーム照射装置は、荷電粒子ビームを往復走査させるビーム走査器と、計測対象とする領域に入射する荷電粒子の角度成分が計測可能な測定器と、測定器の計測結果を用いて荷電粒子ビームの実効照射エミッタンスを算出するデータ処理部と、を備える。測定器は、走査方向に往復走査される荷電粒子ビームが計測対象とする領域を通過して測定器に入射する時間にわたって、荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を計測する。データ処理部は、測定器が計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を位置情報に変換して実効照射エミッタンスを算出する。
本実施の形態では、対象物のある特定領域に入射する荷電粒子ビームの角度情報を評価する指標として「実効照射エミッタンス」を算出する。ここで、実効照射エミッタンスとは、走査方向に走査されてある特定領域に入射する荷電粒子ビームの一部を足し合わせることで形成されうる仮想的なビーム束についてのエミッタンスを表す。例えば、スポット状の荷電粒子ビームを往復走査させながら照射する場合、対象物の特定領域には、走査される荷電粒子ビームの一部が入射し、走査に伴うビーム位置の変化とともにその領域に入射するビームの一部が有する角度成分が変化していく。この変化していくビームの一部を連続的につなぎ合わせることにより、その地点に入射する仮想的なビーム束を想定し、そのビーム束のエミッタンスを「実効照射エミッタンス」として求める。
一般に、対象物に入射する荷電粒子ビームの角度が変わると、ビームとの相互作用の態様が変化し、照射処理の結果に影響を与えうる。したがって、ビーム照射工程を適切に制御するためには、荷電粒子ビームの角度情報を把握することが求められる。本実施の形態では、この「実効照射エミッタンス」を得ることにより、ビーム照射処理に用いる荷電粒子ビームをより適切に評価し、ビーム照射処理の品質を高める。
はじめに、実効照射エミッタンスの考え方について、図1〜図5を参照しながら述べる
図1は、走査される荷電粒子ビームBが対象物の照射面Aに入射する様子を模式的に示す図である。スポット状のビーム断面形状を有する荷電粒子ビームBは、矢印Xで示される方向に走査され、走査範囲Cにおいて対象物の照射面Aに入射している。本書では説明の便宜上、設計上の荷電粒子ビームBの進行方向をz方向とし、z方向に垂直な面をxy面と定義する。また、荷電粒子ビームBを走査する場合において、ビームの走査方向をx方向とし、z方向及びx方向に垂直な方向をy方向とする。
また、ビーム走査方向について照射面Aにおける位置を基準とするx座標系とともに、荷電粒子ビームBのビーム中心Oの位置を基準とするrx座標系を用いる。x座標系は、主に走査される荷電粒子ビームBのビーム位置を表すために使用し、rx座標系は、荷電粒子ビームの角度情報を表すために使用する。図1では、荷電粒子ビームBのビーム中心Oがx座標系における位置xに位置している様子を示しており、このときのrx座標系の原点は位置xである。
図2は、荷電粒子ビームBを構成する荷電粒子の角度成分を模式的に示す図である。矢印Zの方向に進む荷電粒子ビームBは、概ねz方向に進行する荷電粒子群により形成され、全体としてz方向に進行する。ただし、荷電粒子ビームBを構成する荷電粒子のそれぞれは、全てz方向に進行しているわけではなく、それぞれが固有の進行方向を有する。図2に示すようにビームの進行に伴って広がりを有するような荷電粒子ビームBの場合、ビーム中心に相当するrx座標系の原点付近では、z軸に沿って進行する荷電粒子の割合が多いかもしれない。一方、ビーム中心から離れた位置rxにおいては、z軸からx方向にθだけ傾いた方向に進行する荷電粒子の割合が多く、位置rxにおいては、z軸からx方向にθだけ傾いた方向に進行する荷電粒子の割合が多いかもしれない。このように、荷電粒子ビームBを構成する荷電粒子のそれぞれは、位置rxに応じた角度成分を有しうる。
図3は、荷電粒子ビームの角度分布の一例を示すグラフであり、上述した位置rxと角度θxの関係をグラフ化したものである。それぞれの位置rxにおける荷電粒子の角度θxには一定の幅があり、それぞれの荷電粒子が有する位置rxと角度θxの関係をプロットすることで、プロットが占める範囲Eの外郭が得られる。この範囲Eのrx方向の幅Wxは、x方向のビーム径に対応し、θx方向の幅φは、ビームの広がり角に対応する。また範囲Eの面積値は、「エミッタンス」と呼ばれる。一般に「エミッタンス」は、範囲Eの面積値を示すものとして用いられるが、本明細書では、「エミッタンス」の語を広く解釈し、範囲Eの形状や範囲Eによって表される位置rxと角度θxの関係性を表す用語としても用いる。
この「エミッタンス」を計測することにより、荷電粒子ビームの角度特性を知るとともに、荷電粒子ビームが照射される地点に入射する荷電粒子の角度成分を評価することができる。例えば、ビーム中心の位置が固定された走査されない荷電粒子ビームを、対象物に照射する場合、図3に示すエミッタンスから、特定地点に入射する荷電粒子群の角度分布がわかる。一方、荷電粒子ビームが走査される場合、特定地点とビーム中心との相対的な位置関係が時間経過とともに変化するため、特定地点に入射する荷電粒子群の角度分布を正確に把握するには、その位置関係を考慮する必要が生じる。
図4は、走査される荷電粒子ビームB1〜B5が微小領域Dに入射する様子を示す図である。本図では、時間の経過とともに+x方向に走査される荷電粒子ビームについて、各時間t〜tにおける荷電粒子ビームB1〜B5の照射位置を表している。荷電粒子ビームB1〜B5のビーム中心Oの位置は+x方向に進行し、微小領域Dが設定される位置xに入射するビームの一部の径方向位置rxは変化していく。その結果、時間tにおいて、径方向位置rxの近傍にあるビームB1の一部F1を構成する荷電粒子が微小領域Dに入射する。同様に、時間tにおいて径方向位置rxの近傍にあるビームB2の一部F2が、時間tにおいて径方向位置の原点近傍にあるビームB3の一部F3が、微小領域Dに入射する。さらに、時間tにおいて径方向位置−rxの近傍にあるビームB4の一部F4が、時間tにおいて径方向位置−rxの近傍にあるビームB5の一部F5が、微小領域Dに入射する。
仮に、ビーム位置xの異なる荷電粒子ビームB1〜B5のエミッタンスが全く変わらないとすると、微小領域Dに入射する荷電粒子群の角度特性は、これら荷電粒子ビームのエミッタンスにより表すことができるかもしれない。しかしながら、走査によってビーム位置xが変わると、ビーム走査器が印加する電界または磁界の影響やビーム走査器から照射面Aまでのビームの行路差等により、荷電粒子ビームのエミッタンスが変化しうる。ビーム位置xに応じて荷電粒子ビームB1〜B5のエミッタンスが変化すると、微小領域Dに入射する荷電粒子の角度特性は、走査される荷電粒子ビームB1〜B5のいずれかのエミッタンスでは表すことができない。そこで、本実施の形態では、微小領域Dに入射する荷電粒子群の角度特性をより正確に表すために、「仮想的なビーム束」という概念を導入する。
図5は、微小領域Dに入射する仮想的なビーム束Bvを模式的に示す図であり、図4に示す荷電粒子ビームB1〜B5の一部F1〜F5を足し合わせたものに相当する。図4および図5では、離散的な経過時間t〜tを用いて例示的に5分割した場合を示しているが、実際には、微小時間dtの経過ごとに切り出される荷電粒子の一部を重ね合わせることにより「仮想的なビーム束Bv」が形成される。
この仮想的なビーム束Bvを走査させながら照射した結果は、位置xに応じてエミッタンスの異なる荷電粒子ビームB1〜B5を照射した結果と微小領域Dにおいて一致する。したがって、この仮想的なビーム束Bvについてのエミッタンスが算出できれば、微小領域Dに入射する荷電粒子群の角度特性をより正確に表すことができる。本実施の形態では、この仮想的なビーム束Bvについてのエミッタンスを、被照射物の視点で表したエミッタンスとして「実効照射エミッタンス」と呼ぶ。この「実効照射エミッタンス」を得ることにより、微小領域Dに入射する荷電粒子群の角度特性をより適切に評価し、ビーム照射処理の品質を高めることができる。
つづいて、本実施の形態に係るビーム照射装置10について説明する。図6は、実施の形態に係るビーム照射装置10を概略的に示す図である。図6(a)は、ビーム照射装置10の概略構成を示す上面図であり、図6(b)は、ビーム照射装置10の概略構成を示す側面図である。
ビーム照射装置10は、対象物Wの表面に荷電粒子ビームを照射するように構成されている。本実施の形態に係るビーム照射装置10は、対象物Wにイオン注入処理をするように構成されるビーム照射装置である。対象物Wは、例えば基板であり、例えば半導体ウェハである。よって以下では説明の便宜のため対象物WをウェハWと呼ぶことがあるが、これは注入処理の対象を特定の物体に限定することを意図していない。また、本実施の形態ではビーム照射装置10をイオン注入装置として説明するが、他の実施例においては、電子などのイオン以外の荷電粒子を照射するためのビーム照射装置として構成されていてもよい。
ビーム照射装置10は、ビームの往復走査およびウェハWの往復運動によりウェハWの全体にわたって荷電粒子ビームBを照射するよう構成されている。荷電粒子ビームBを対象物Wに対し走査する場合において、ビームの往復走査は矢印Xの方向に行われ、ウェハWの往復運動は矢印Yの方向に行われる。
ビーム照射装置10は、イオン源12と、ビームライン装置14と、注入処理室16と、を備える。イオン源12は、荷電粒子ビームBをビームライン装置14に与えるよう構成されている。ビームライン装置14は、イオン源12から注入処理室16へとイオンを輸送するよう構成されている。また、ビーム照射装置10は、イオン源12、ビームライン装置14、及び注入処理室16に所望の真空環境を提供するための真空排気系(図示せず)を備える。
ビームライン装置14は、例えば、上流から順に、質量分析部18、可変アパチャ20、ビーム収束部22、ビーム計測部24、ビーム走査器26、平行化レンズ30又はビーム平行化装置、及び、角度エネルギーフィルター(AEF;Angular Energy Filter)34を備える。なお、ビームライン装置14の上流とは、イオン源12に近い側を指し、下流とは注入処理室16(またはビームストッパ38)に近い側を指す。
質量分析部18は、イオン源12の下流に設けられており、イオン源12から引き出された荷電粒子ビームBから必要なイオン種を質量分析により選択するよう構成されている。可変アパチャ20は、開口幅が調整可能なアパチャであり、開口幅を変えることでアパチャを通過する荷電粒子ビームBのビーム強度を調整する。ビーム収束部22は、四重極収束装置(Qレンズ)などの収束レンズを備えており、可変アパチャ20を通過した荷電粒子ビームBを収束することにより所望の断面形状に整形するよう構成されている。
ビーム計測部24は、ビームライン上に出し入れ可能に配置され、荷電粒子ビームの強度ないし電流を計測するインジェクタフラグファラデーカップである。ビーム計測部24は、ビーム電流を計測するファラデーカップ24bと、ファラデーカップ24bを上下に移動させる駆動部24aを有する。図6(b)の破線で示すように、ビームライン上にファラデーカップ24bを配置した場合、荷電粒子ビームBはファラデーカップ24bにより遮断される。一方、図6(b)の実線で示すように、ファラデーカップ24bをビームライン上から外した場合、荷電粒子ビームBの遮断が解除される。
ビーム走査器26は、ビームの往復走査を提供するよう構成されており、整形された荷電粒子ビームBをx方向に走査する偏向手段である。ビーム走査器26は、x方向に対向して設けられる走査電極対28を有する。走査電極対28は可変電圧電源(図示せず)に接続されており、走査電極対28に印加される電圧を周期的に変化させることにより、電極間に生じる電界を変化させて荷電粒子ビームBを偏向させる。こうして、荷電粒子ビームBは、x方向の走査範囲にわたって走査される。なお、図6(a)において矢印Xによりビームの走査方向及び走査範囲を例示し、走査範囲での荷電粒子ビームBの複数の軌跡を一点鎖線で示している。なお、ビーム走査器26は、磁界を印加することにより荷電粒子ビームを走査する磁界式の偏向手段であってもよい。
平行化レンズ30は、走査された荷電粒子ビームBの進行方向を平行にするよう構成されている。平行化レンズ30は、中央部に荷電粒子ビームの通過スリットが設けられた円弧形状の複数のPレンズ電極32を有する。Pレンズ電極32は、高圧電源(図示せず)に接続されており、電圧印加により生じる電界を荷電粒子ビームBに作用させて、荷電粒子ビームBの進行方向を平行に整える。
角度エネルギーフィルタ(AEF)34は、荷電粒子ビームBのエネルギーを分析し必要なエネルギーのイオンを下方に偏向して注入処理室16に導くよう構成されている。角度エネルギーフィルタ34は、電界偏向用のAEF電極対36を有する。AEF電極対36は、高圧電源(図示せず)に接続される。図6(b)において、上側のAEF電極に正電圧、下側のAEF電極に負電圧を印加させることにより、荷電粒子ビームBを下方に偏向させる。なお、角度エネルギーフィルタ34は、磁界偏向用の磁石装置で構成されてもよく、電界偏向用のAEF電極対と磁石装置の組み合わせで構成されてもよい。
このようにして、ビームライン装置14は、ウェハWに照射されるべき荷電粒子ビームBを注入処理室16に供給する。
注入処理室16は、1枚又は複数枚のウェハWを保持し、荷電粒子ビームBに対する相対移動(例えば、y方向)を必要に応じてウェハWに提供するよう構成される往復運動装置40(図7参照)を備える。図6において、矢印YによりウェハWの往復運動を例示する。また、注入処理室16は、ビームストッパ38を備える。ビーム軌道上にウェハWが存在しない場合には、荷電粒子ビームBはビームストッパ38に入射する。
注入処理室16には、荷電粒子ビームBのウェハWの表面におけるビームの強度や角度分布を計測するための測定器42が設けられる。測定器42は、可動式となっており、駆動装置44によりX方向に移動可能に構成される。測定器42は、例えば、イオン注入時にはウェハと干渉しないように待避され、ウェハWが照射位置にないときには荷電粒子ビームBの照射範囲に挿入される。測定器42は、X方向に移動させながらビームの強度および角度分布を計測して、ビーム走査方向のビームの強度分布および角度分布の時間変化値を計測する。測定器42の計測値は、制御装置60に送られる。
制御装置60は、ビーム照射装置10を構成する各機器の動作を制御する。制御装置60は、荷電粒子ビームを往復走査させるための制御波形を生成してビーム走査器26に出力し、荷電粒子ビームの走査速度分布や走査周期を調整する。また、制御装置60は、測定器42が計測したビームの強度や角度分布の時間変化値を取得し、実効照射エミッタンスなどのビーム品質を評価するための各種指標を算出して出力する。
図7は、往復運動されるウェハWと往復走査される荷電粒子ビームBとの関係を示す正面図である。図7において、荷電粒子ビームBは横方向(X方向)に往復走査され、ウエハWは往復運動装置40に保持されて縦方向(Y方向)に往復運動される。図7では、最上位置のウェハW1と最下位置のウェハW2を図示することで、往復運動装置40の動作範囲を示している。
また、ビーム走査器によって走査される荷電粒子ビームBについて、走査端位置の荷電粒子ビームB、Bの位置を図示することで荷電粒子ビームの走査範囲Cを示している。荷電粒子ビームBは、往復運動装置40に保持されるウェハWが配置される照射範囲C1を越えて、ウェハWにビームが照射されない非照射範囲C2までオーバースキャンが可能となるように構成される。なお、図7では、横長の荷電粒子ビームBが走査される様子を示しているが、荷電粒子ビームBの形状は、縦長であってもよく、円形に近い形状であってもよい。
また、図7は、X方向に移動可能に構成される測定器42の測定範囲を示している。測定器42は、少なくとも照射範囲C1にわたって測定可能となるように構成される。測定器42は、図示されるように、強度検出部48と角度検出部50を含んでもよい。強度検出部48は、主に荷電粒子ビームBの強度を計測するための検出部であり、例えば、ファラデーカップにより構成される。角度検出部50は、主に荷電粒子ビームBの角度分布を計測するための検出部である。強度検出部48および角度検出部50は、いずれもz方向の計測位置が対象物の照射面Aに位置するように配置される。
本実施の形態では、強度検出部48と角度検出部50を並べて配置するとともに、駆動装置44によりx方向に移動させることによって、荷電粒子ビームBの強度と角度分布を照射範囲C1にわたって同時に計測できるようにしている。駆動装置44は、照射範囲C1の一端から他端まで数秒程度、好ましくは、1〜2秒程度をかけて測定器42を移動させる。これにより、照射範囲C1の全体にわたるビームの強度およびエミッタンスを数秒以内で計測可能とする。なお、変形例においては、強度検出部48が設けられておらず、強度検出部48がビーム強度の計測を兼ねることとしてもよい。
駆動装置44は、測定器42のx方向の位置を検出するための位置検出部46を含んでもよい。位置検出部46は、駆動装置44により移動する測定器42のx方向の位置を検出し、検出した位置情報を制御装置60に送信する。位置検出部46を設けることにより、測定器42により計測されるビームの強度および角度分布の情報を、検出位置と対応付けて取得できる。
図8は、角度検出部50の概略構成を示す斜視図であり、図9は、角度検出部50の概略構成を示す断面図である。角度検出部50は、スリット52と、複数のコレクタ電極54a〜54g(以下、総称してコレクタ電極54ともいう)とを有する。角度検出部50は、スリット52に入射する荷電粒子について、ビーム進行方向(z方向)に対する走査方向(x方向)の角度成分θxを検出するように構成されている。
スリット52は、角度検出部50の上面50aに設けられており、y方向に細長い形状を有する。スリット52は、x方向の幅Sが荷電粒子ビームのx方向のビーム径よりも小さくなるように形成されており、計測対象とする領域を区画し、所定の大きさを有するビームの中から計測すべき一部成分を切り出す。スリット52は、スリット52からコレクタ電極54に向けて斜めに入射する荷電粒子を遮らないように、+z方向にx方向の幅が広がるテーパー形状を有することが望ましい。一方、スリット52のy方向の幅は、荷電粒子ビームのy方向のビーム径よりも大きくなるように形成されている。これにより、y方向については、荷電粒子ビームの全体が計測対象となる。
コレクタ電極54は、y方向に細長い形状を有する棒状の電極体であり、スリット52が設けられる上面50aからz方向に離れて設けられる。複数のコレクタ電極54a〜54gのそれぞれは、互いにx方向に離間して等間隔に設けられる。本実施の形態では、コレクタ電極54は7本設けられており、スリット52に対向する位置に設けられるコレクタ電極54dを中心として、左右に3本ずつ配置される。コレクタ電極54は、スリット52に入射する荷電粒子群の全体を検出できるように、スリット52よりもy方向に長く設けられることが望ましい。なお、コレクタ電極54の数や配置は例示にすぎず、角度検出部50は、異なる本数のコレクタ電極54を有してもよい。
それぞれのコレクタ電極54は、所定の角度範囲に該当する角度成分を有する荷電粒子を検知する。例えば、中心のコレクタ電極54dの右側2番目の位置に設けられるコレクタ電極54bにより検知される荷電粒子の角度成分の中心値は、スリット52とコレクタ電極54のz方向の距離をL、コレクタ電極54の間隔をPとすると、θ=arctan(2P/L)となる。一般化すると、中心のコレクタ電極54dからn番目の位置に設けられるコレクタ電極により検知される荷電粒子の角度成分の中心値θは、θ=arctan(nP/L)となる。このようにして、それぞれのコレクタ電極54a〜54gは、スリット52との幾何学的な配置関係により、異なる角度範囲に該当する角度成分の荷電粒子を検知する。
角度検出部50は、複数のコレクタ電極54a〜54gのそれぞれに接続される測定回路56を有する。測定回路56は、コレクタ電極54に荷電粒子が入射することにより生じる電流を検知し、複数のコレクタ電極54a〜54gのそれぞれからの電流値により、スリット52に入射する荷電粒子ビームBの角度分布を検出する。また、測定回路56は、所定の計測時間にわたってコレクタ電極54からの電流の時間変化値を検出する機能を有する。これにより、スリット52に入射する荷電粒子ビームBに関する角度分布の時間変化値を計測可能とする。さらに、測定回路56は、コレクタ電極54からの電流を計測時間にわたって積算することにより、ビームの角度分布の積算強度を検知する機能を有してもよい。
図10は、走査される荷電粒子ビームと角度検出部50が相互作用する様子を模式的に示す図である。角度検出部50は、スリット52の前面のz方向の位置がウェハの照射面Aと同じ位置になるように配置されている。角度検出部50は、スリット52が位置xとなるように配置されており、スリット52にはX方向に走査される荷電粒子ビームB1、B5が入射している。スリット52のx方向の幅はビーム径よりも小さいため、角度検出部50に向かう荷電粒子ビームのうち、スリット52のx方向の幅の内側に飛来する一部範囲の荷電粒子のみが角度検出部50の内部に入ることとなる。例えば、ビーム中心が位置xよりも左側にある荷電粒子ビームB1の場合、ビーム中心よりも右側に位置する一部の荷電粒子のみがスリット52に入射することとなる。また、ビーム中心が位置x1よりも右側にある荷電粒子ビームB5の場合、ビーム中心よりも左側に位置する一部の荷電粒子のみがスリット52に入射することとなる。角度検出部50は、X方向に走査される荷電粒子ビームの少なくとも一部がスリット52に入射するような期間、いいかえれば、荷電粒子ビームと角度検出部50とが相互作用する期間にわたって、荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を計測する。
図11は、角度検出部50が計測する角度分布の時間変化値の一例を示すグラフである。グラフに示す波形a〜gは、複数のコレクタ電極54a〜54gのそれぞれに接続される測定回路56において検知される電流の時間変化値に対応する。波形a〜gで示される電流値のそれぞれは、スリット52にそれぞれ異なる角度θxで入射する荷電粒子の量に対応する。そのため、角度検出部50による計測結果は、横軸を時間t、縦軸を角度θxとするグラフ上に表すことができる。
ここで、スリット52を図4に示す微小領域Dに対応させると、角度検出部50は、微小領域Dに入射する荷電粒子の角度成分θxを経過時間t1〜t5にわたって計測しているということもできる。図4において、経過時間tとビーム中心の位置xの関係は、ビームの走査速度v(t)を用いると、x=∫v(t)dtと表すことができる。また図4において、ビーム中心の位置xと、微小領域Dの位置xに対応するビームの径方向位置rxは、rx=x−xと表すことができるため、経過時間tから対応する径方向位置rxに変換できる。これにより、図11に示されるt−θx分布を、「実効照射エミッタンス」を表すrx−θx分布に変換することができる。
図12は、時間t−位置rxの変換処理により得られる実効照射エミッタンスEの一例を示すグラフである。角度検出部50が計測したビームの角度分布の時間変化値に含まれる時間tの情報を、径方向の位置rxの情報に変換することにより実効照射エミッタンスEを得ることができる。上述の式rx=x−xで表されるように、ビーム中心の位置xとビームの径方向位置rxとは正負が逆の関係にあるため、図12に示すグラフは、図11に示すグラフに対して左右が反転した形状となっている。この実効照射エミッタンスEは、位置xにおけるビームの角度特性を表すものであるから、この実効照射エミッタンスにより被照射物の視点でみた角度情報を評価できる。
なお、角度検出部50は、通常のエミッタンスを計測することとしてもよい。図13は、固定される荷電粒子ビームBと移動する角度検出部50とが相互作用する様子を模式的に示す図である。本図では、図10に示す様子とは対照的に、荷電粒子ビームBは走査されずに特定のビーム位置xに固定され、角度検出部50がX方向に移動している。角度検出部50をX方向に移動させることにより、ビームの径方向位置rxのそれぞれにおける角度分布を計測することができる。これにより、荷電粒子ビームBの「エミッタンス」が得られる。
つづいて、上述した実効照射エミッタンスを算出する制御装置60の構成について説明する。図16は、制御装置60の機能構成を示すブロック図である。制御装置60は、走査制御部62と、計測制御部64とを備える。
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者に理解されるところである。
走査制御部62は、所定の制御波形をビーム走査器26に出力し、出力した制御波形に基づいて荷電粒子ビームを往復走査させる。走査制御部62は、制御波形の走査周期、波形形状などを制御することにより、荷電粒子ビームの走査態様を変化させる。走査制御部62は、例えば、数Hz〜数kHz程度の走査周期を有する制御波形を生成し、ビーム走査器26に出力する。
走査制御部62は、時間tに対して走査速度v(t)が一定値となるような制御波形を出力してもよいし、時間tに対して走査速度v(t)が変化するような制御波形を出力してもよい。例えば、等速で荷電粒子ビームを往復させると、ビーム位置xによってビーム強度が異なることとなる場合に、走査速度を非等速にすることでビーム強度を均一化することができる。より具体的には、ビーム強度が相対的に大きい位置において走査速度を速くし、ビーム強度が相対的に小さい位置において走査速度を遅くすることでビーム強度を均一化できる。走査制御部62は、強度検出部48により計測したビーム強度分布を利用することで、ビーム強度を均一化させる非等速な走査速度を実現する制御波形を生成し、ビーム走査器26に出力する。
計測制御部64は、測定器42および駆動装置44の動作を制御して測定器42からビーム強度や角度分布を取得し、実効照射エミッタンスなどのビーム品質を評価するための各種指標を算出して出力する。計測制御部64は、モード切替部65と、データ処理部66と、データ出力部67とを含む。
モード切替部65は、ビーム走査器26、測定器42および駆動装置44の動作を制御して、荷電粒子ビームの角度分布に関する計測モードを切り替える。モード切替部65は、実効照射エミッタンスを計測するための第1の計測モードと、エミッタンスを計測するための第2の計測モードとを提供する。
第1の計測モードは、図10に示すように荷電粒子ビームを往復走査させて、計測対象とする位置xにおける実効照射エミッタンスを計測するモードである。第1の計測モードでは、ビーム走査器26により荷電粒子ビームBが往復走査されるため、比較的短時間で図11に示す角度分布の時間変化値が取得される。例えば、1kHzの周波数でビームを往復走査させる場合、荷電粒子ビームBが走査範囲Cを往復するのにかかる時間は1ミリ秒であるため、計測に必要な時間は0.5ミリ秒以内である。この計測時間は、往復走査される荷電粒子ビームがスリット52を通過するのにかかる時間ともいえる。本明細書において、第1の計測モードおける1回の計測時間を「第1の時間」ともいう。
なお、第1の計測モードにおいて、駆動装置44を駆動させることにより、角度検出部50を照射範囲C1の一端から他端に向けて移動させてもよい。角度検出部50を移動させながら複数の位置xにおいて角度分布の時間変化値を計測することにより、複数の位置xにおけるビームの角度分布データが連続的に取得される。例えば、照射範囲C1の一端から他端まで角度検出部50を2秒間で移動させて、照射範囲C1の2000点の位置xでデータを取得する場合、隣接する測定点に移動するのにかかる時間は1ミリ秒である。したがって、1kHzの周波数で荷電粒子ビームを往復走査させれば、それぞれの測定点において往路と復路のビーム双方が計測可能である。このように、駆動装置44で角度検出部50を移動させながらデータを取得し、位置検出部46により検知するデータ取得位置を対応付けることにより、照射範囲C1の全体にわたるビームの角度分布データを短時間で取得できる。
また、第1の計測モードにおいて、荷電粒子ビームBの走査速度や角度検出部50の移動速度を調整することにより、それぞれの測定点の計測回数を増やしてもよい。例えば、角度検出部50の移動速度を半分にしたり、ビーム走査器26による走査速度を2倍にしたりすることで計測可能となる回数を2倍に増やしてもよい。さらに、同じ測定点における計測データを足し合わせることにより、計測データの信号対雑音比を高めてもよい。
また、第1の計測モードにおいて、角度検出部50を用いた角度分布の計測と同時に、強度検出部48を用いたビーム強度の計測を行ってもよい。第1の計測モードでは、照射範囲C1の全体にわたって測定器42を移動させるため、同時測定により、照射範囲C1の全体にわたるビーム強度の均一性も同時に計測することができる。同時計測をすることにより、ビームの角度分布と強度を別個に計測する場合と比べて、双方の計測にかかる時間を短縮できる。
一方、第2の計測モードは、図13に示すように荷電粒子ビームの往復走査を停止させ、角度検出部50をx方向に移動させることにより、ビーム中心が位置xにあるビームのエミッタンスを計測するモードである。第2の計測モードでは、ビーム径に対応するrx方向の範囲にわたって角度検出部50を移動させながらビームの角度分布の時間変化値を取得する。そのため、第2の計測モードでは、1回の計測にかかる時間が第1の計測モードよりも相対的に長くなる。例えば、rx方向のビーム径が照射範囲C1の幅の1/10〜1/100程度であれば、1回の計測時間は、20〜200ミリ秒程度である。また、rx方向のビーム径が照射範囲C1の幅にほぼ等しいリボンビームの場合、1回の計測時間は2秒程度となる。この計測時間は、往復走査されない荷電粒子ビームが分布する走査方向の範囲を測定器が通過するのにかかる時間ともいえる。本明細書において、第2の計測モードおける1回の計測時間を「第2の時間」ともいう。
モード切替部65は、第1の計測モードと第2の計測モードとの間で計測モードを切り替える際に、ビーム走査器26および駆動装置44の動作を変更するとともに、測定器42による1回の計測時間を「第1の時間」と「第2の時間」との間で切り替える。つまり、モード切替部65は、測定回路56による1回の計測時間を切り替えることにより、計測モードの切り替えを実現する。
データ処理部66は、角度検出部50が計測したビームの角度分布の時間変化値に含まれる時間tの情報を位置rxの情報に変換して、実効照射エミッタンスまたはエミッタンスを算出する。データ処理部66は、第1の計測モードでビームの角度データが取得された場合、データが取得された測定点の位置xにおけるビームの走査速度v(x)を用いて、「第1の時間」にわたる時間tを位置rxに変換する。例えば、ビームの走査速度v(x)が非等速である場合、スリット52の位置xに応じて異なる非等速のビーム走査速度を用いて変換処理をする。一方、第2の計測モードでビームの角度データが取得された場合、データ処理部66は、角度検出部50の移動速度を用いて、「第2の時間」にわたる時間tを位置rxに変換する。
データ処理部66は、角度検出部50が計測した角度分布の時間変化値を時間について積分することにより、ビームの角度強度分布を算出してもよい。図14(a)は、荷電粒子ビームの角度分布の時間変化値の一例を示すグラフであり、図14(b)は、荷電粒子ビームの角度強度分布の一例を示すグラフである。図14(b)に示すビームの角度強度分布は、図14(a)のグラフにおける斜線で示される時間変化の積分値をビームの積算強度Iとすることで得られる。なお、測定回路56がコレクタ電極54からの電流値を時間積算する機能を有する場合には、角度検出部50から取得される積算された電流値をビームの角度強度分布としてもよい。
また、データ処理部66は、実効照射エミッタンスまたはエミッタンスを算出するだけでなく、エミッタンス内の強度分布値を算出してもよい。図15は、エミッタンス内の強度分布値の一例を示すグラフである。この強度分布値は、位置rxの軸および角度θxの軸に、ビーム強度Iの軸を加えた3次元のグラフとして可視化され、図15では、ビーム強度Iの高さを破線で示す等高線で示している。エミッタンス内の強度分布値を算出することにより、特定の位置xに入射する荷電粒子に関する角度情報をより詳細に得ることができる。
また、データ処理部66は、算出した実効照射エミッタンスやエミッタンスが所定条件を満たすか否か判定してもよい。データ処理部66は、例えば、算出した実効照射エミッタンスを解析して、照射範囲C1の全体にわたってビームの角度分布にばらつきが生じていないかを判定してもよい。データ処理部66は、ビームの角度分布のばらつきが一定値以内に収まっており、算出した実効照射エミッタンスが所定条件を満たすと判定する場合に、ビーム照射処理が可能であると判断し対象物へのビーム照射を開始させてもよい。
データ出力部67は、データ処理部66が算出した実効照射エミッタンスまたはエミッタンスに関するデータを出力する。データ出力部67は、制御装置60が有する表示装置に、実効照射エミッタンスまたはエミッタンスをグラフ化して表示する。例えば、図13に示されるように、rx軸とθx軸を有する座標系に実効照射エミッタンスを描画して表示する。データ出力部67は、上述したビームの角度強度分布、エミッタンス内の強度分布値のグラフなどを表示してもよい。また、データ出力部67は、表示装置に表示するだけでなく、データそのものを制御装置60の外部に出力してもよい。
以上の構成を有するビーム照射装置10の動作を説明する。図17は、ビーム照射装置10の動作の流れを示すフローチャートである。計測モードが第1の計測モードであれば(S12のY)、往復走査される荷電粒子ビームに対して角度分布の時間変化値を計測し(S14)、計測した角度分布の時間情報を位置情報に変換することにより、走査ビームの実効照射エミッタンスを算出する(S16)。計測モードが第1の計測モードではなく(S12のN)、第2の計測モードであれば(S18のY)、走査されない固定ビームに対して角度分布の時間変化値を計測し(S20)、計測した角度分布の時間情報を位置情報に変換することにより、固定ビームのエミッタンスを算出する(S22)。算出した実効照射エミッタンスまたはエミッタンスを出力し(S24)、実効照射エミッタンスまたはエミッタンスがビーム照射処理の開始条件を満たしていれば(S26のY)、ビーム照射処理を開始する(S28)。ビーム照射処理の開始条件を満たしていなければ(S26のN)、S28をスキップして本フローを終了する。また、S18において第2の計測モードでなければ(S18のN)、S20〜S28をスキップして本フローを終了する。
本実施の形態によれば、角度検出部50をビーム走査方向に移動させながらビームの角度分布を計測するため、ビームの照射範囲C1の全体にわたるビームの角度情報を短時間で計測できる。照射範囲C1にわたってビームが走査されている場合には、角度検出部50のスリット52の位置における仮想的なビーム束に対して角度分布の時間変化値を計測できるため、照射対象物からみた実効照射エミッタンスを算出できる。これにより、対象物に対してビーム照射処理する前に照射範囲C1の全体にわたる実効照射エミッタンスを得ることができる。これにより、照射範囲全体にわたって適切なビームが対象物に照射されるか否かを事前確認できる。したがって、本実施の形態によれば、ビームの角度情報をスポット的に計測する場合と比べてビーム照射処理の品質を高めることができる。
荷電粒子ビームをビーム走査器26により往復走査させる場合、走査ビームを平行化する平行化レンズ30の電圧値などによって、対象物に入射するビームの角度分布がビーム位置によって異なってしまう場合がある。平行化レンズ30は、走査ビームの進行方向を走査方向(x方向)に変化させてビームの平行化を実現しているため、特に、x方向の角度分布がビーム位置によって変わりやすい。例えば、半導体ウェハにイオンを注入する工程であれば、角度分布のばらつきによりウェハ上のx方向の位置によってイオン注入の態様が異なることとなり、ウェハ全体に均一なイオン注入ができなくなるおそれがある。そうすると、歩留まりが低下してしまうかもしれない。
本実施の形態では、走査ビームを用いる場合においてビーム位置による角度が変わりやすい走査方向(x方向)の角度分布を計測しているため、対象物の照射前にビーム角度分布の走査方向の均一性を確認できる。仮に、ビーム角度分布の均一性が十分でない場合には、事前にビームライン装置14の設定を変更するなどしてビーム角度分布の均一性を高めることができる。これにより、ビーム照射処理の品質を高めることができる。
また、本実施の形態では、ビーム角度分布の均一性を計測するのと同時に、ビーム強度の均一性を計測できる。照射物の全体にわたって均一なビーム照射処理を施すには、ビームの角度分布のみならずビーム強度が均一であることも重要である。本実施の形態では、ビームの強度と角度分布を同時に計測できるため、それぞれを個別に計測する場合と比べて計測時間を短縮化できる。これにより、ビーム照射前の計測時間を短縮し、ビーム照射装置10の生産性を高めることができる。
また、本実施の形態では、ビームの角度分布の計測モードとして第1の計測モードおよび第2の計測モードを用意しているため、走査ビームだけでなく固定ビームの角度分布も計測可能である。これにより、対象物からみた角度情報のみならず、ビーム自体の角度情報を得ることができる。なお、他の実施例においては、第1の計測モードと第2の計測モードのいずれかのみを用意してもよい。
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得る。
上述の実施の形態においては、角度検出部50がx方向の角度分布を計測可能となるように構成される場合を示した。他の実施例においては、角度検出部50がy方向の角度分布を計測可能となるように構成されてもよい。角度検出部50は、例えば、x方向に細長いスリットと、y方向に互いに離間して並べられる複数のコレクタ電極を有してもよい。また、角度検出部50がx方向およびy方向の双方の角度分布が計測可能に構成されてもよい。角度検出部50は、例えば、x方向の角度分布が計測可能なx方向検出部と、y方向の角度分布が計測可能なy方向検出部とを有してもよい。
A…照射面、B…荷電粒子ビーム、C1…照射範囲、10…ビーム照射装置、26…ビーム走査器、42…測定器、44…駆動装置、52…スリット、54…コレクタ電極、56…測定回路、65…モード切替部、66…データ処理部、67…データ出力部。

Claims (22)

  1. 荷電粒子ビームを対象物に照射するためのビーム照射装置であって、
    前記荷電粒子ビームを所定の走査方向に往復走査させるビーム走査器と、
    計測対象とする領域に入射する荷電粒子の角度成分が計測可能な測定器と、
    前記測定器の計測結果を用いて、荷電粒子ビームの実効照射エミッタンスを算出するデータ処理部と、
    を備え、
    前記測定器は、前記走査方向に往復走査される荷電粒子ビームが前記計測対象とする領域を通過して前記測定器に入射する時間にわたって、前記荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を計測し、
    前記データ処理部は、前記測定器が計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を位置情報に変換して前記実効照射エミッタンスを算出し、
    前記実効照射エミッタンスは、前記走査方向に走査されて前記計測対象とする領域に入射する荷電粒子ビームの一部を足し合わせることで形成されうる仮想的なビーム束についての前記走査方向のエミッタンスを表すことを特徴とするビーム照射装置。
  2. 前記測定器を前記走査方向に移動させて前記計測対象とする領域を前記走査方向に移動可能とする駆動装置をさらに備え、
    前記測定器は、前記走査方向に移動しながら前記往復走査される荷電粒子ビームの角度分布の時間変化値を計測し、
    前記データ処理部は、前記測定器が計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を前記走査方向の位置情報に変換して前記実効照射エミッタンスを算出することを特徴とする請求項1に記載のビーム照射装置。
  3. 前記駆動装置は、前記荷電粒子ビームの前記走査方向の照射範囲にわたって前記測定器を移動可能とし、前記測定器の前記走査方向の位置が検知可能な位置検知部を有しており、
    前記データ処理部は、前記位置検知部が検知する前記測定器の位置に対応づけて前記実効照射エミッタンスを算出することを特徴とする請求項2に記載のビーム照射装置。
  4. 前記測定器は、前記荷電粒子ビームの前記照射範囲にわたって前記走査方向の複数位置における前記角度分布の時間変化値を計測し、
    前記データ処理部は、前記荷電粒子ビームの前記照射範囲にわたって前記走査方向の複数位置における前記実効照射エミッタンスを算出することを特徴とする請求項3に記載のビーム照射装置。
  5. 前記ビーム走査器および前記駆動装置の動作を制御して、前記荷電粒子ビームの角度分布に関する計測モードを切り替えるモード切替部をさらに備え、
    前記モード切替部は、
    前記ビーム走査器により前記荷電粒子ビームを往復走査させ、前記走査方向に往復走査される荷電粒子ビームについて角度分布の時間変化値を前記測定器に計測させる第1の計測モードと、
    前記ビーム走査器による前記荷電粒子ビームの往復走査を停止させるとともに、前記測定器を前記走査方向に移動させることにより、往復走査されない荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を前記測定器に計測させる第2の計測モードとを、有し、
    前記データ処理部は、前記第1の計測モードにおいて前記実効照射エミッタンスを算出し、前記第2の計測モードにおいて前記往復走査されない荷電粒子ビームのエミッタンスを算出することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  6. 前記第1の計測モードは、往復走査される荷電粒子ビームが前記計測対象とする領域を通過するのにかかる第1の時間にわたって前記測定器による計測をするものであり、
    前記第2の計測モードは、往復走査されない荷電粒子ビームが位置する前記走査方向の範囲を前記測定器が通過するのにかかる第2の時間にわたって前記測定器による計測をするものであり、
    前記モード切替部は、前記測定器による測定時間を、前記第1の時間よりも相対的に長い前記第2の時間に変更することにより、前記第1の計測モードから前記第2の計測モードに切り替えることを特徴とする請求項5に記載のビーム照射装置。
  7. 前記データ処理部は、前記荷電粒子ビームが前記計測対象とする領域を通過するときの前記走査方向の走査速度を用いて、前記時間情報を前記位置情報に変換することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  8. 前記ビーム走査器は、前記走査方向の位置に応じて前記走査速度が変化しうるように、前記荷電粒子ビームを非等速な走査速度で往復走査させ、
    前記データ処理部は、前記非等速な走査速度を用いて、前記時間情報を前記位置情報に変換することを特徴とする請求項7に記載のビーム照射装置。
  9. 前記ビーム走査器は、前記荷電粒子ビームを所定の走査周期で往復走査させ、
    前記測定器は、前記走査周期と同期して前記角度分布の時間変化値を複数回計測することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  10. 前記データ処理部は、前記走査周期と同期して複数回計測した前記角度分布の時間変化値を足し合わせて前記実効照射エミッタンスを算出することを特徴とする請求項9に記載のビーム照射装置。
  11. 前記測定器は、前記荷電粒子ビームの照射範囲にわたって前記角度分布の時間変化値を計測するとともに、前記荷電粒子ビームの照射範囲にわたって前記荷電粒子ビームのビーム強度を測定し、前記走査方向のビーム強度の均一性を計測することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  12. 前記データ処理部の算出結果を出力するデータ出力部をさらに備え、
    前記出力部は、前記算出した実効照射エミッタンスを、前記走査方向の軸および前記角度成分の軸を有する座標系に可視化することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  13. 前記測定器は、
    前記走査方向の交差方向に細長い形状を有して前記計測対象とする領域を区画するスリットと、
    前記交差方向に細長い形状を有し、前記スリットからビーム進行方向に離れて、前記走査方向に並んで配置される複数のコレクタ電極と、を有し、
    前記スリットを通過する荷電粒子を前記複数のコレクタ電極により検出して、前記角度分布の時間変化値を計測することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  14. 前記複数のコレクタ電極は、前記スリットよりも前記交差方向の長さが長いことを特徴とする請求項13に記載のビーム照射装置。
  15. 前記測定器は、前記スリットの前面が前記対象物のビーム照射面とビーム進行方向に一致する位置に配置可能となるように構成されており、前記ビーム照射面を通過する荷電粒子ビームについて前記角度分布の時間変化値を計測することを特徴とする請求項13または14に記載のビーム照射装置。
  16. 前記測定器は、前記角度分布の時間変化値を計測するためのコレクタ電極とは別に、前記荷電粒子のビーム強度を計測するためのファラデーカップを有し、
    前記ファラデーカップは、前記対象物のビーム照射面とビーム進行方向に一致する位置に配置可能となるように構成されていることを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  17. 前記測定器は、前記複数のコレクタ電極に接続され、前記複数のコレクタ電極のそれぞれにおいて検出される電流の時間変化値を個別に測定可能となるように構成される測定回路をさらに有し、
    前記データ処理部は、前記複数のコレクタ電極のそれぞれにおいて検出される電流の時間変化値を用いて、前記実効照射エミッタンスを算出することを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  18. 前記測定回路は、前記複数のコレクタ電極のそれぞれにおいて検出される電流の時間変化値を一定時間にわたって積算することで得られる積算電流量が測定可能となるように構成されており、
    前記データ処理部は、前記積算電流量を用いて、前記荷電粒子ビームに関する前記走査方向の角度分布を算出することを特徴とする請求項17に記載のビーム照射装置。
  19. 前記データ処理部は、前記測定器が計測した角度分布の時間変化値を時間について積分することにより、前記荷電粒子ビームに関する前記走査方向の角度分布を算出することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  20. 前記データ処理部の算出結果を出力するデータ出力部をさらに備え、
    前記出力部は、前記算出した角度分布を、前記荷電粒子ビームのビーム強度を示す軸および前記角度成分の軸を有する座標系に可視化することを特徴とする請求項18または19に記載のビーム照射装置。
  21. 前記データ処理部は、前記算出した実効照射エミッタンスが所定条件を満たすか否かを判定し、前記所定条件を満たすと判定する場合に前記対象物への荷電粒子ビームの照射を開始させることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載のビーム照射装置。
  22. 荷電粒子ビームを対象物に照射するビーム照射方法であって、
    荷電粒子ビームを所定の走査方向に往復走査させることと、
    計測対象とする領域に入射する荷電粒子の角度成分が計測可能な測定器を用いて、前記走査方向に往復走査される荷電粒子ビームが前記計測対象とする領域を通過して前記測定器に入射する時間にわたって、前記荷電粒子ビームについての角度分布の時間変化値を計測することと、
    計測した角度分布の時間変化値に含まれる時間情報を位置情報に変換して、荷電粒子ビームの実効照射エミッタンスを算出することと、
    を備え、
    前記実効照射エミッタンスは、前記走査方向に走査されて前記計測対象とする領域に入射する荷電粒子ビームの一部を足し合わせることで形成されうる仮想的なビーム束についての前記走査方向のエミッタンスを表すことを特徴とするビーム照射方法。
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