JP2016004006A - 燃料デブリ取出し装置と燃料デブリ取出し方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料デブリを効率よく更に安全に取出せる装置を提供する。【解決手段】原子炉圧力容器のフランジ部に設けられるフランジ固定部材31と、前記フランジ固定部材に接続された内部にサポート部材35を介して搬送容器38を案内する案内機構が設けられた少なくとも2つ以上の連続して接続された延長継手34と、前記延長継手の前記フランジが設けられる端部と反対方向の端部に設けられる共用装置32と、前記連続して設けられている延長継手に設けられた複数の案内機構を移動する搬送容器昇降機構36と、前記搬送容器昇降機構に接続される搬送容器38と、前記搬送容器内部に設けられる燃料デブリ25を収納する回収容器を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、原子力プラントに適用するのに好適な燃料デブリ取出し装置と燃料デブリ取出し方法に関する。
原子力プラントではシビアアクシデントと呼ばれる原子炉圧力容器の炉心に装荷した燃料集合体が破損又は溶融する事態が非常に少ない確率ではあることが考えられる。通常ではこのような事態は考えられないが、万が一、このような事態が生じた場合には、原子炉圧力容器の炉心に装荷された燃料集合体はその場で破損又は溶融し、燃料デブリとなって存在することが想定される。ここで燃料デブリとは原子炉圧力容器の炉心を冷やす冷却材の喪失により原子炉の核燃料が溶融し、原子炉構造材や制御棒と共に冷えて固まった物質のことである。このような事態が生じた場合には、定期点検時に燃料集合体を取出し及び装荷する際に用いられる原子炉建屋内の運転床に移動可能に設置された燃料交換機では、燃料集合体を取出せないことが考えられる。
引用文献1(特開2013−19875号公報)には、このような場合における原子力プラントにおける核燃料物質の搬出方法が記載されている。具体的には、切削装置を有するボーリング装置を原子炉圧力容器内で炉心の上方に配置する。この切削装置は、下端部に内刃を取り付けた回転軸を外筒内に回転可能に取り付けて構成され、回転軸の周囲には螺旋状のスクリューが取り付けられ、外筒の下端にも外刃が設けられて構成されている。原子炉の炉心内に存在する溶融した核燃料物質を取り出すときには、切削装置の回転軸及び外筒はそれぞれ回転しながら下降し、旋回する内刃及び外刃によって炉心内の核燃料物質が切削される。この核燃料物質の切削屑は、外筒内に入って回転するスクリューによって外筒内を移送され、核燃料物質の切削屑は、さらに、回収物吐出口及び移送ダクトを通り、燃料キャスクに収納し、この燃料キャスクを搬出容器に収納して外部に搬出することが記載されている。
引用文献2(特開2013−217705号公報)には、原子力プラントにおける破損燃料取出し方法が記載されている。具体的には、原子炉圧力容器の底部に固化デブリが堆積した場合に、固化デブリに強酸を供給して、強酸により固化デブリ内の原子炉燃料を溶解させて液体化し、この液体化した反応生成物を取出し配管を通して原子炉圧力容器の外部に取出すことが記載されている。
特開2013−19875号公報 特開2013−217705号公報
燃料デブリは、高放射化された燃料と炉内構造物等が溶融固化したものであり、切断作業を行い、切断片を容器に搬入し、その容器を効率良く搬出することが現地作業工程短縮上極めて重要である。
引用文献1では、燃料を取出す際に切削装置により核燃料物質を切削する必要がある。切削された核燃料物質は外筒内を移送されるため、核燃料物質は外筒内を通過可能なように、ある程度の小さな破片サイズとする必要がある。ただし、溶融した核燃料物質は、被覆管成分のジルコニウム以外に、原子炉内に設けられた構造材のステンレス鋼、コンクリート、制御棒材料、さらには冷却のために注水された液体等と反応し、その反応の際の雰囲気条件に応じて様々な化学形態を持つと予想され、特に、急冷凝固により固化した核燃料物質はセラミック化しているものと想定される。セラミクス化した燃料デブリは相当程度の硬さを有しており、目標とする破片サイズへと燃料デブリを切削出来ないことも想定される。このような場合には核燃料物質を外部へ搬出することは出来ない。
また、引用文献2における破損燃料取出し方法では、固化した燃料デブリに対して強酸を用いて溶解させて取り出すが、上述のごとく原子炉内部の構造物等が混入している燃料デブリは化学形態が不明であり、このような燃料デブリに対して効果があるか不明な点もあり、確実に破損燃料を外部へ搬出できるとは限らない。
本発明は、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、原子炉圧力容器のフランジ部に設けられるフランジ固定部材と、前記フランジ固定部材に接続された内部にサポート部材を介して搬送容器を案内する案内機構が設けられた少なくとも2つ以上の連続して接続された延長継手と前記延長継手の前記フランジが設けられる端部と反対方向の端部に設けられる共用装置と、前記連続して設けられている延長継手に設けられた複数の案内機構を移動する搬送容器昇降機構と、前記搬送容器昇降機構に接続される搬送容器と、前記搬送容器内部に設けられる燃料デブリを収納する回収容器を有することを特徴とする。
本発明によれば、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことができる。
沸騰水型原子力プラントの概略図 実施例1における燃料デブリ取出し装置の全体概要図 実施例1における燃料デブリを回収容器に収納する際の作業の概要図 実施例1における燃料デブリを回収容器内に収納した概要図 実施例1における洗浄ケース内に水を注入する際の概要図 実施例1における回収容器内部を水で満たした状態の概要図 実施例1における回収容器に蓋をする概要図 実施例1における回収容器を吊上げて搬送容器内部に収納する概要図 実施例1における回収容器が搬送容器内に収納された時の概要図 実施例1における搬送容器をRPV外部へと取出す作業の概要図 実施例1におけるRPVの外部へ搬出した搬送容器を更に建屋の外部へと搬出する概要図 実施例1における炉内用装置昇降機構を用いて炉内用装置を装置搬送容器内に収納する概要図 実施例1における炉内用装置の汚れや放射性ダストを取り払う概要図 実施例1における炉内用装置を装置搬送容器内部に回収する概要図 実施例1における炉内装置用ハッチを閉じた概要図 実施例1における旋回テーブル機構による隔離の概要図 実施例1における装置搬送容器を外部へと搬出する概要図 実施例1における搬送容器の詳細な構造図 実施例1における旋回テーブル機構の図2中でのA−A断面図 実施例1における延長継手を追加する場合の概要図 実施例1における延長継手の図20のXの拡大図 実施例1における延長継手の下降を示す説明図 実施例2における燃料デブリ取出し装置の全体概要図 実施例3における他の燃料デブリ取出し方法の概要図 実施例3における他の燃料デブリ取出し方法の概要図 実施例3における他の燃料デブリ取出し方法の概要図
以下図面を用いて本発明を説明する。
本発明ではガイドレール又はガイドパイプを用いて燃料デブリを取出す。ガイドレール又はガイドパイプに搬送容器昇降機構を設けて、この搬送容器昇降機構と搬送容器を接続することで、ガイドレール又はガイドパイプに沿わせて搬送容器を移動させることができる。なお、この搬送容器内部には燃料デブリ又は解体片を回収するための回収容器を収納している。原子炉ウェルにある揚重機器によりこの搬送容器を昇降させる際に、昇降時のずれの防止や耐震性を持たせ、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことが可能となる。更に、搬送容器昇降機構には非常時の落下対策として搬送容器昇降機構用ブレーキを備えている。
本発明の適用先の一例として実施例1を図1から図22を用いて説明する。本実施例の燃料デブリの取出しが行われる沸騰水型原子力プラントの概略図を、図1に示す。
沸騰水型原子力プラント1は、原子炉2及び原子炉格納容器3を備えている。原子炉格納容器3(PCV)は、原子炉建屋4内に設置されて、上端部に上蓋であるヘッド5が取り付けられて密封されている。原子炉格納容器3は、内部に形成されたドライウェル6、及び冷却水が充填された圧力抑制プール7が内部に形成された圧力抑制室8を有する。ドライウェルに連絡されるベント通路9の一端が、圧力抑制室内8の圧力抑制プール7の冷却水中に浸漬されている。
ヘッド5の真上には複数に分割された放射線遮へい体であるシールドプラグ10が配置され、これらのシールドプラグ10が、原子炉ウェル11内に配置され、原子炉建屋4の運転床12に設置されている。機器仮置きプール13(ドライヤセパレータプール)及び燃料貯蔵プール14が、原子炉ウェルに隣接して配置され、運転床12に取り囲まれている。機器仮置きプール13と原子炉ウェル11の間、及び燃料貯蔵プール14と原子炉ウェル11の間は、それぞれ、取り外し可能なゲート部材(図示せず)により仕切られている。
原子炉は、上蓋15が取り付けられて構成される原子炉圧力容器16(RPV)、核燃料物質を含む複数の燃料集合体が装荷された炉心17、気水分離器18及び蒸気乾燥器19等を備えている。炉心17、気水分離器18及び蒸気乾燥器19は原子炉圧力容器16内に配置される。原子炉圧力容器内16に設置された炉心シュラウド20が、炉心を取り囲んでいる。炉心内に装荷された各燃料集合体21は、下端部が炉心支持板によって支持され、上端部が上部格子板によって保持される。気水分離器18は炉心の上端部に位置する上部格子板よりも上方に配置され、蒸気乾燥器19が気水分離器の上方に配置される。
複数の制御棒案内管22が、原子炉圧力容器内16で炉心支持板の下方に配置される。炉心内の燃料集合体間に出し入れされて原子炉出力を制御する制御棒(図示せず)が、各制御棒案内管内に配置されている。複数の制御棒駆動機構ハウジングが、原子炉圧力容器の下鏡部に取り付けられている。制御棒駆動機構(図示せず)が、それぞれの制御棒駆動機構ハウジング内に設置され、制御棒案内管内の制御棒と連結されている。
原子炉圧力容器16内に設置された炉心シュラウド20、炉心支持板、上部格子板、気水分離器18、蒸気乾燥器19及び制御棒案内管は、炉内構造物である。
原子炉圧力容器16は、原子炉格納容器内の底部に設けられたコンクリートマット23上に設けられた円筒状のペデスタル24上に据え付けられている。筒状のγ線遮蔽体150が、ペデスタルの上端に設置され、原子炉圧力容器16を取り囲んでいる。
このような沸騰水型原子力プラントにおいて、原子炉がスクラムされて原子炉出力が低下した状態において、一時的に、沸騰水型原子力プラントの電流を供給する全部の電源が消失して非常用炉心冷却系が作動しなかった状態が生じたことを想定する。全部の電源が消失して非常用炉心冷却系のポンプ等が作動しなくなり、炉心内の各燃料集合体に含まれる各燃料棒の冷却が損なわれた場合には、これらの燃料棒に含まれる核燃料物質が溶融し、核燃料物質の溶融によって燃料集合体の構造部材、例えば、燃料棒の被覆管、燃料集合体のチャンネルボックス及び上部タイプレート及び下部タイプレートも溶融する。核燃料物質、及び燃料集合体の構造部材等の溶融物である燃料デブリ25は、原子炉圧力容器の底部である下鏡の内面上に落下する可能性がある。燃料デブリには、炉心支持板等の炉内構造物の溶融物が含まれる場合もある。溶融した燃料デブリは、冷却されて固まる。
万が一、このような燃料デブリの原子炉圧力容器の底部への落下が生じた場合には、固まった燃料デブリの原子炉圧力容器外への搬出が実施され、さらに燃料デブリの落下が生じている沸騰水型原子力プラントについては、廃炉処理が実施される。
図2に本実施例における燃料デブリ取出し装置30の全体概要図をしめす。なお、本実施例における核燃デブリ取出しが行われるにあたり、予めシールドプラグ10、PCVのヘッド5、RPVの上蓋15、蒸気乾燥器19、気水分離器18等は取り外されているものとする。
核燃デブリ取出し装置30の詳細構造について説明する。RPVのフランジ部にリング状のフランジ固定部材31が設けられ核燃デブリ取出し装置を支持している。リング状のフランジ固定部材と各種装置が設けられた共用装置32との間には円筒形状をした伸縮シール部材33が設けられておりRPV内部の雰囲気とRPV外部の雰囲気とを遮断している。伸縮シール部材33としては、例えばアラミド繊維をポリウレタンシートで挟んでアラミド繊維及びポリウレタンシートを一体化して構成されたもの、若しくは金属材料を成形加工した金属ベローズがあげられる。リング状のフランジ固定部材31から下方向に複数の延長継手34を介して前述の共用装置32が支持されている。各延長継手34の内部にはサポート部材35を介して搬送容器昇降機構36が移動可能なようにガイドレール37が取り付けられている。このガイドレール37により搬送容器38を昇降させる際のずれの防止や耐震性を持たせ、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことが可能となる。また、サポート部材35とガイドレール37の間にはバネ若しくは液圧シリンダ等を利用したダンパによる制振機能を有する。各延長継手34は複数のボルトによって下部フランジと上部フランジとを接続することで締結される(詳細は図20及び図21にて述べる)。また、リング状のフランジ固定部材31には、複数の延長継手昇降機構96、101が設けられている(詳細は図22にて述べる)。
次に、各種装置が設けられた共用装置32の詳細構造について説明する。共用装置は遮蔽機能を有するように例えば内部に水を溜めることが可能なボックス40を備えている。また、このボックスの底部には円形の貫通穴が設けられており、この円形の貫通穴には旋回テーブル機構41が設けられている。この旋回テーブル機構41は図2の紙面上においてRPVの上部空間と下部空間を遮断するために設けられており、RPVの上部から下部へのアクセスが必要な際には解放できるようにポートが形成されるように構成されている。旋回テーブル機構41は上部テーブル板42及び下部テーブル板43を有しており、各テーブル板には必要な箇所に貫通穴が複数設けられている。下部テーブル板の下方にはさらに遮蔽ケース44が突出して設けられており、その内部には洗浄ケース45が設けられている。洗浄ケース45の内部には搬送容器38が収納され、搬送容器38の内部には更に回収容器46が収納可能な構造となっている。上部テーブル板及び下部テーブル板の中心部には貫通穴が設けられており回収容器を下部テーブル板に設けられている遮蔽ケース44内部にまで挿入可能に構成されている。下部テーブル板は旋回可能なように旋回機構47及び外部との雰囲気を遮断する旋回機構用シール48が設けられている。下部テーブル板には把持装置や切断装置である炉内用装置を通過させるように第1ポート49が設けられている。またこの穴(第1ポート49)と対応する上部テーブル板にも第2ポート50が設けられている。この第1ポート49と第2ポート50の穴の位置が一致する場合には貫通穴が構成され、一致しないようにした場合には、旋回テーブル機構41の上下空間において隔離状態となっている。このように上部テーブル板42及び下部テーブル板43に設けられた第1ポート49及び第2ポート50の位置関係を適宜制御することで、上部空間と下部空間との隔離状態及び貫通状態を選択できるようになっている。なお、下部テーブル板の第1ポートの周辺部にはポート閉止機構用シール51が設けられており、シール性を確保している。また、上部テーブル板42には第2ポートの位置を移動させるためのポート閉止機構52が設けられている。
上部テーブル板42の上部にはさらに、第2ポート内部に筒の一部が挿入されたポート旋回部53が設けられている。ポート旋回部53は第2ポート50に接続された各種装置を旋回させる目的で設けられている。ポート旋回部53はポート旋回機構54及びシール性を担保するためのポート旋回機構用シール55がさらに設けられている。
上部テーブル板42及び下部テーブル板43の中心部に設けられた貫通穴には洗浄ケース45が貫通して設けられており、この洗浄ケースは上部テーブル板に設けられた洗浄ケース旋回機構56によって旋回可能に設けられている。またシール性を確保するため洗浄ケース旋回機構用シール57が設けられている。上部で説明した下部テーブル板、上部テーブル板、ポート旋回部、洗浄ケース旋回機構は図示しない旋回駆動部(モータ制御等)によって旋回動作が可能に構成されている。
第2ポート50には装置搬送容器60が接続されて、第1ポート49及び第2ポート50を通じて各種炉内用装置61を挿入して作業を行う。装置搬送容器60には炉内用装置昇降機構62及び装置搬送容器60の開口部を開閉する炉内装置用ハッチ63が設けられている。また各種炉内用装置を装置搬送容器60内部に再度格納する際に、汚れや放射性ダストを落とすための洗浄機構64が設けられている。
搬送容器38は複数の部材から構成されている。搬送容器は上部の蓋を兼ねた回収容器取扱機構70と搬送容器下蓋71と円筒形状をした胴体部72から構成されている。上蓋の機能を兼ねた回収容器取扱機構70、搬送容器下蓋71、円筒形状をした胴体部72は必要な放射線の遮蔽効果を有するように十分な厚さの板厚を有している。
共用装置32の下部側面及び上部側面には共用装置をRPV内部で固定するための共用装置固定パット73を複数設けている。共用装置固定パット73はピストン及びシリンダから構成されモータ駆動又は油圧駆動(図示せず)にて共用装置固定パットをRPVの内壁面に押し付けることで固定している。
搬送容器38は搬送容器昇降機構36を介してガイドレール37に沿って上下方向の移動可能となっている。搬送容器昇降機構36には複数の車輪も有しておりこの車輪によりガイドレール37を挟み込むことで搬送容器昇降機構36は接続されている。搬送容器38は原子炉ウェルにある揚重機器74により昇降される。この移動の際にはガイドレールがガイドの役割をはたすため、回収容器38を安定して、効率的にRPVの外部にまで搬出可能である。また、搬送容器昇降機構36にはガイドレール37を挟み込めるようにブレーキパットを有する搬送容器昇降機構用ブレーキ75が設けられており、非常時の落下の際にはこのブレーキを用いることで落下を防止し、よりデブリ燃料取出し時の安全性を高めている。また、揚重機器74の吊りロープ若しくはチェーンは多重化するとともに、当該吊りロープ若しくはチェーンの巻取り動作部のブレーキも多重化して万一の破断及び動作異常に対する安全性の向上を図っている。
図18から図22には各機構部の詳細な構造図を示す。
図18には搬送容器38の詳細な構造図を示す。搬送容器の胴体部72は円筒形状の貫通構造を有して、胴体部の上部の開口を塞ぐように上蓋を兼ねて回収容器取扱機構70と胴体部の下部の開口を塞ぐように搬送容器下蓋71が設けられている。また、これら各部材は必要な遮蔽機能を有する板厚を備えている。回収容器取扱機構の上部には原子炉ウェルにある揚重機器と接続されるフック80を備えている。さらに、回収容器取扱機構の下方には回収容器38の上蓋81を把持するための回収容器上蓋把持爪82と回収容器46を遮蔽ケース44の内部に設けられている洗浄ケース45から出し入れするための回収容器把持爪83を備えている。また、燃料デブリを回収した回収容器46を搬送容器38に移動する際に洗浄を行う、洗浄ノズル84を備えている。回収容器上蓋把持爪82と回収容器把持爪83はピストンにより駆動可能に構成されている。駆動原としてはモータや油圧を適宜用いる。
図19には旋回テーブル機構の図2中でのA−A断面図を示す。上部テーブル板42及び下部テーブル板43には複数の開口(第1ポート49及び第2ポート50)が設けられており、上部テーブル板の開口(第2ポート)と下部テーブル板の開口(第1ポート)の位置を一致させる又はずらすことで各ポートの開閉機能を有するようになっている。これにより図2上において旋回テーブル機構41の上部空間と下部空間の隔離状態及び連通状態を選択可能になる。
図20から図22を用いて延長継手34の詳細構造を示す。図20は延長継手34を追加する場合の概要図を示した。図21には延長継手34の図20のXの拡大図を示した。延長継手34は複数の短い円筒形状部材を繋ぎ合せることで、図2のような長い円筒を構成している。延長する場合には第1の延長継手90の上に第2の延長継手91を載せる。そして第1の延長継手90の上部フランジ92の上面が第2の延長継手の下部フランジ93の下面に接触したとき、第2の延長継手91の下部フランジ93に取り付けられている複数のボルト94を用いて、第1の延長継手の上部フランジ92を第2の延長継手の下部フランジ93に取り付ける。この結果、それらの延長継手が連結される(図22の右側の「連結時の状態」を参照)。
次に連結された延長継手を原子炉内部へ送り出す際の概要図を図22に示す。第1の延長継手のリング部材95を保持している第1グループの4個の延長継手昇降機構96のそれぞれのシリンダ97内のピストン98より下方の領域の油圧を減少させながらシリンダ内のピストンより上方の領域に油圧を加える。各延長継手昇降機構のそれぞれのピストンが下降し、ピストンにピストンロッド99で連結された各保持部材100が下降する(図22の左側の「下降結時の状態」を参照)。それらのピストンが最も低い位置まで下降したとき、第1グループの各延長継手昇降機構のシリンダへの油圧の供給を停止する。このとき、第2グループの4個の各延長継手昇降機構の各シリンダ内のピストンよりも下方の領域に油圧を供給してピストンを、第2グループの4個の各延長継手昇降機構101の各保持部材102の上面が第2の延長継手のリンク部材103の下面に接触するまで、上昇させる。各保持部材102がリンク部材103の下面に接触したとき、第2グループの4個の延長継手昇降機構101のシリンダへの油圧の供給を停止する。
その後、第1グループの4個の延長継手昇降機構96に対応して設けられた延長継手昇降機構旋回部のモータを駆動する。モータの回転速度は、減速装置で減速された後、歯車によりシリンダに伝えられ、シリンダが90°だけ回転する。この結果、第1グループの4個の延長継手昇降機構96の、延長継手の中心を向いている各保持部材100が、90°回転し、これらの保持部材が第1の延長継手のリング部材95を保持しなくなる。上方に位置する延長継手のリング部材103が第2グループの4個の延長継手昇降機構101の各保持部材102で保持されることにより、共用装置32及び複数の延長継手は、第2グループの4個の延長継手昇降機構101によって保持される。
共用装置32が原子炉圧力容器内の所定の位置に下降するまで、上記の操作が繰り返され、延長継手が順次連結される。共用装置32が原子炉圧力容器内の所定の位置まで下降したとき、共用装置に設けられた、炉内用装置を用いて、原子炉圧力容器内の上部格子板及び炉心シュラウド等の炉内構造物、及び燃料デブリが切断され、これらの切断片が収納容器内に収納される。
次に図2〜図17を用いて燃料デブリの取出しステップの詳細を説明する。
図2に示すように予めシールドプラグ10、PCVのヘッド5、RPVの上蓋15、蒸気乾燥器19、気水分離器18等は取り外される。その後、燃料デブリ取出し装置30をRPVのフランジ部を利用して設置する。延長継手34を複数順次接続することで、共用装置をRPV内の目的とする位置にまで設置する。目的とする位置まで共用装置が移動できたら、共用装置固定ハッチ73により装置を固定する。次に、回収容器を格納した搬送容器を搬送容器昇降機構を介してガイドレールに沿わせて共用装置内の所定の位置まで設置する。次にボックス40内部を水で満たして遮蔽機能を確保する。
図3に燃料デブリ25を回収容器に収納する際の作業の概要図を示す。装置搬送容器60の下部に設けられている炉内装置用ハッチ63を解放する。そして炉内用装置昇降機構62を稼働させて炉内用装置61を燃料デブリにまでアクセスさせる。炉内用装置昇降機構は図示しないピストン及びシリンダにより水圧駆動またはモータにより制御される。その後、炉内用装置を用いて各種作業を行う。本実施例では燃料デブリを把持するために把持装置を利用した実施例を記載したが、燃料デブリを切断するための切断装置や除染のための除染装置を適宜用いるように作業に合わせて装置を交換する。把持装置110により燃料デブリを把持したら、洗浄ケース旋回機構56を用いての洗浄ケース45の側面に設けられている開口部と遮蔽ケース44の側面に設けられている開口部とが一致するように動作させる。この貫通した開口部を利用して把持装置110を用いて燃料デブリを回収容器内部に格納する。燃料デブリを回収容器内に格納した概要図を図4に示した。
図5に洗浄ケース45内に水を注入する概要図を示す。洗浄ケース45の側面に設けられている開口部を塞ぐために、洗浄ケース旋回機構56を用いて洗浄ケース自体を回転させる。洗浄ケースを旋回させることで遮蔽ケース44と洗浄ケース45の側面に設けられた開口部の位置がずれることで外部空間との隔離が可能となる。この閉じられた空間内に水を注入することで回収容器内部も水を満たした状態に出来る(図6)。ここで回収容器内部を水で満たす理由は、回収容器を外部へ搬出する際に、回収容器内部が空気である場合には、この回収容器の空気で満たされた部分は水遮蔽の効果が得られないため十分な遮蔽効果が得られない場合が考えられるためである。ボックス内部の遮蔽用の水が十分存在する場合には必ずしも回収容器内部を水で満たす必要はない。また、同時に搬送容器には十分な遮蔽効果を有する厚みの部材を用いているが、より遮蔽の効果を確保するために水を注入するとった効果もある。
図7に回収容器に上蓋81を閉止する概要図を示した。回収容器取扱機構70に設けられた回収容器上蓋把持爪82に把持されている回収容器の上蓋81を回収容器に取り付ける。さらに回収容器把持爪83を用いて回収容器を把持する。その後、図8に示すように原子炉ウェルにある揚重機器74により回収容器を吊上げて搬送容器38内部に格納する。図9は回収容器46が搬送容器内に格納された時の概要図を示した。
図10には回収容器を格納した搬送容器をガイドレール37及び原子炉ウェルにある揚重機器74を用いてRPV外部へと取出す作業の概要図を示した。ガイドレールに沿わせて搬送容器を移動させることで昇降時のずれの防止や耐震性を持たせ、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことが可能となる。更に、搬送容器昇降機構36には非常時の落下対策として搬送容器昇降機構用ブレーキ75を備えているので非常時の落下防止対策も兼ねることができる。
図11にはRPVの外部へ搬出した搬送容器を建屋の外部へと搬出する概要図を示した。原子炉建屋の外部へと搬出する場合には、一度使用済み燃料貯蔵プールに搬送容器を移動させて、回収容器をキャスクへと格納して外部へ取出する方法や、原子炉ウェルにて容器を入れ替えて外部へと取出す方法等が考えられる。
図12から図17に装置搬送容器60の取出し作業の詳細を示す。
装置搬送容器60の内容に設けられている炉内用装置昇降機構62を用いて炉内用装置61を装置搬送容器内に収納する。収納する際には図13に示すように洗浄機構64を用いて汚れや放射性ダストを取り払いながら回収する。炉内用装置を容器内部に回収し終えたら(図14)装置搬送容器の下部に設けられている炉内用装置ハッチ63を閉じる。図15に示すように炉内装置用ハッチを閉じる。
図16に示すように旋回テーブル機構41の上部テーブル板42及び下部テーブル板43を旋回動作させて、旋回テーブル機構の上部空間と下部空間を隔離する。図17に示すように、装置搬送容器を外部へと搬出する。そして必要に応じて炉内装置を切断装置や除染装置へと取り換えて図12から図17の逆の手順を行うことで、異なる炉内用装置を共用装置32へ設けることが可能となり、各種作業ステップに応じて装置を入れ替えることで効率的な作業が実現できる。
以上、説明した実施例によれば、搬送容器の昇降時のずれの防止や耐震性を持たせ、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことが可能となる。更に、非常時の落下防止対策も図れる。また燃料デブリからの放射線の影響を水遮蔽により減少させながら作業が可能となる。また各種作業装置を取替えれば異なる種類の作業にも対応できる。また放射性ダストの飛散を防止ししながら燃料デブリの取出しが可能となる。
本発明の適用先の一例として実施例2を図23に示す。なお、実施例1と同一の部分に関しては、同一の符合を用いて説明は省略して異なる部分についてのみ説明する。
本実施例ではガイドレールに代えてガイドパイプ120を用いた点が異なる。ガイドパイプでは両端方向からガイドパイプ120をサポートするためのダンパ等の制振機能を有するサポート部材121が設けられているため、両端から固定により耐震性能を更に向上することが可能である。その他については実施例1と同じ構成であり、同様の効果を奏する。
実施例3における他の燃料デブリ取出し方法の概要図を図24から図26に示す。
実施例1や2の方法で燃料デブリを取出した後に、さらにペデスタル内やペデスタル外に落下した燃料デブリを回収する方法に関するものである。
RPV内の燃料デブリを搬出し終えたら、図24(1)に示すようにRPVの下鏡を撤去する。撤去後にペデスタル内に残っている燃料デブリを搬出し(図24(2))、その後、RPV及びγシールド(γ線遮蔽体150)を撤去する(図24(3))。又は、RPV及びγシールド(γ線遮蔽体150)を撤去(図25(4))して、ペデスタル内に残っている燃料デブリを搬出す(図25(5))。その後、上部からアクセスすることでペデスタル外の燃料デブリを搬出する(図26(6))又は、下部であるPCVの側面に設けられているペネトレーションからアクセスすることでペデスタル外の燃料デブリを搬出(図26(7))する。
以上の方法によりRPV内部のみでなくペデスタル内部や外部に落下した燃料デブリに対しても回収が可能となり、効率よく更に安全に燃料デブリの取出しを行うことが可能となる。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:沸騰水型原子力プラント
2:原子炉
3:原子炉格納容器
25:燃料デブリ
30:燃料デブリ取出し装置
31:フランジ固定部材
32:共用装置
33:伸縮シール部材
34:延長継手
36:搬送容器昇降機構
37:ガイドレール
38:搬送容器
41:旋回テーブル機構
42:上部テーブル板
43:下部テーブル板
44:遮蔽ケース
45:洗浄ケース
49:第1ポート
50:第2ポート
60:装置搬送容器
62:炉内用装置昇降機構
63:炉内装置用ハッチ
64:洗浄機構
70:回収容器取扱機構
71:搬送容器下蓋
72:胴体部
73:共用装置固定パット
75:搬送容器昇降機構用ブレーキ
82:回収容器上蓋把持爪
83:回収容器把持爪
90:第1の延長継手
91:第2の延長継手
92:上部フランジ
93:下部フランジ
94:ボルト
95:第1の延長継手のリング部材
96、101:延長継手昇降機構
100:保持部材
103:第2の延長継手のリンク部材
110:把持装置
120:ガイドパイプ
121:サポート部材
150:γ線遮蔽体

Claims (9)

  1. 原子炉圧力容器のフランジ部に設けられるフランジ固定部材と、
    前記フランジ固定部材に接続された内部にサポート部材を介して搬送容器を案内する案内機構が設けられた少なくとも2つ以上の連続して接続された延長継手と
    前記延長継手の前記フランジが設けられる端部と反対方向の端部に設けられる共用装置と、
    前記連続して設けられている延長継手に設けられた複数の案内機構を移動する搬送容器昇降機構と、
    前記搬送容器昇降機構に接続される搬送容器と、
    前記搬送容器内部に設けられる燃料デブリを収納する回収容器を有することを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  2. 請求項1における燃料デブリ取出し装置において、
    前記搬送容器は、筒状の形状をした胴体部と、
    前記胴体部の上面開口部に設けられる回収容器取扱機構と、
    前記胴体部の下面開口部に設けられる回収容器下蓋を有することを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  3. 請求項2における燃料デブリ取出し装置において、
    前記回収容器取扱機構の下部には、搬送容器に収納される回収容器の蓋を把持する回収容器上蓋把持爪と前記搬送容器に収納される回収容器を把持する回収容器把持爪が設けられ、
    前記回収容器取扱機構の上部には吊上げる際のクレーンを接続するフックを有することを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおける燃料デブリ取出し装置において、
    前記案内機構は前記延長継手にサポート部材を介して設けられたガイドレール又はガイドパイプであることを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかにおける燃料デブリ取出し装置において、
    前記共用装置は、旋回テーブル機構を有し、
    前記旋回テーブル機構は第1のポート設けられている下部テーブル板と第2のポートが設けられている上部テーブル板とを有し、
    前記上部テーブル板と下部テーブル板の中心部に設けられた貫通穴を通じて洗浄ケースが貫通していることを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  6. 請求項5における燃料デブリ取出し装置において、
    前記第2のポートの上部には、炉内用装置、炉内用装置を昇降させる炉内用装置昇降機構及び開口部を閉止する炉内装置用ハッチが設けられている装置搬送容器が接続されることを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかにおける燃料デブリ取出し装置において、
    前記フランジ固定部材には、延長継手を原子炉内部へと送り込むための複数の延長継手昇降機構で構成される第1の延長継手昇降機構グループと複数の延長継手昇降機構で構成される第2の延長継手昇降機構グループとが設けられていることを特徴とする燃料デブリ取出し装置。
  8. 原子炉圧力容器内に搬送容器を案内する案内機構を有した複数の延長継手を設定するステップと、
    前記接続された複数の案内機構を用いて燃料デブリ回収容器を内部に収納した搬送容器を前記複数の延長継手の末端部に設けられた共用装置にまで移動させるステップと、
    前記回収容器内部に燃料デブリを格納するステップと、
    燃料デブリが格納された前記収納容器に蓋を閉める蓋閉めステップと、
    前記蓋が閉められた回収容器を搬送容器に収納するステップと、
    前記搬送容器を前記複数の案内機構を用いて原子炉圧力容器の外部へと搬出することを特徴とする燃料デブリ取出し方法。
  9. 請求項8における燃料デブリ取出し方法において
    前記複数の延長継手を設定するステップは、延長継手を原子炉内部へと送り込むための複数の延長継手昇降機構で構成される第1の延長継手昇降機構グループと複数の延長継手昇降機構で構成される第2の延長継手昇降機構グループとを用いて、前記第1の延長継手昇降機構グループの保持部材が下方へ移動した際には第2の延長継手昇降機構グループの把持部材は上方へと移動して、前記動作を繰り返すことで延長継手を原子炉内部へと送り込むことを特徴とする燃料デブリ取出し方法。
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