JP2016002751A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の小型化を図りつつ、構成部品のより高い位置決め精度を確保することが可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】ノズルを複数列設してなるノズル列64を有する記録ヘッド3と、記録ヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備え、キャリッジは、一対のキャリッジ基準穴を有し、記録ヘッドは、各キャリッジ基準穴に対応して一対のヘッド基準穴90a,90bを有し、キャリッジ基準穴同士およびヘッド基準穴同士は、位置決め状態で取り付けられたノズル列と交差する方向に沿って並設され、各キャリッジ基準穴同士の中心間距離および各ヘッド基準穴同士の中心間距離L2は、ノズル列の全長L1の0.4倍以上、3倍以下に設定した。
【選択図】図7
【解決手段】ノズルを複数列設してなるノズル列64を有する記録ヘッド3と、記録ヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備え、キャリッジは、一対のキャリッジ基準穴を有し、記録ヘッドは、各キャリッジ基準穴に対応して一対のヘッド基準穴90a,90bを有し、キャリッジ基準穴同士およびヘッド基準穴同士は、位置決め状態で取り付けられたノズル列と交差する方向に沿って並設され、各キャリッジ基準穴同士の中心間距離および各ヘッド基準穴同士の中心間距離L2は、ノズル列の全長L1の0.4倍以上、3倍以下に設定した。
【選択図】図7
Description
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に、より小型化を図ることが可能なインクジェットプリンタに関するものである。
液体噴射装置の一種であるインクジェットプリンタはパーマネントヘッドを備え、このパーマネントヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。インクジェットプリンタ(ink jet printer)とは、非衝撃式印字装置であって、文字が用紙上にインクの粒子又は小滴の噴射によって形成されるもの、である(JIS X0012−1990)。複数の点で表現される文字や画像を印字するプリンタ、である(JIS X0012−1990)ドットプリンタの一形態であり、インクの粒子又は小滴の噴射によって形成される複数の点で表現される文字や画像を印字する。また、パーマネントヘッド(permanent head)とは、インクの液滴を連続的又は断続的に生成する、プリンタ本体の機械部又は電気部、である(以下、「インクジェットヘッド」(Inkjet‐head)という)(JIS Z8123−1:2013)。このインクジェットプリンタは、画像記録装置として使用されるほか、ごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を活かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
インクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッド(液体噴射ヘッドの一種である。)には種々の形式があるが、例えば、複数のノズルが開設されたノズル基板、共通液室から圧力室を通ってノズルに至る一連の流路を区画する流路基板、アクチュエーター(例えば、圧電素子)の作動に応じて流路の一部に対応する部分が弾性変形する振動板を積層してなる流路ユニットを備え、これをアクチュエーターと共にヘッドケースに固定したものがある。そして、上記インクジェットプリンタにおいて、液体の着弾対象に対して位置精度よく液体を着弾させるためには、インクジェットヘッドを構成している複数の構成部品を正確に位置決めして組み付けることが重要となる。そのため、この種のインクジェットヘッドでは、流路ユニットの構成部材やヘッドケースに位置決めの基準となる貫通穴(位置決め穴)を流路ユニット構成部材の長尺方向に沿って並べて2箇所設け、この貫通穴に治具等の位置決めピンを通すことで各部材の相対位置を規定した状態で、各構成部材を積層して組み付けている(例えば、特許文献1参照)。また、インクジェットヘッドをインクジェットプリンタに組み込む際にもより高い精度で位置決めすることが求められる。
近年では、より小型で持ち運びが容易なインクジェットプリンタも開発されている。装置全体の小型化を図る上では、位置決めの基準を設ける位置に制約があり、この制約の中でできるだけ高い位置決め精度を確保する要請があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の小型化を図りつつ、構成部品のより高い位置決め精度を確保することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。
本発明のインクジェットプリンタは、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を噴射するノズルを複数列設してなるノズル列を有するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは、一対のキャリッジ基準穴を有し、
前記インクジェットヘッドは、各キャリッジ基準穴に対応して一対のヘッド基準穴を有し、
前記キャリッジ基準穴同士および前記ヘッド基準穴同士は、位置決め状態で取り付けられた前記インクジェットヘッドの前記ノズル列と交差する方向に沿って並設され、
各キャリッジ基準穴同士の中心間距離および各ヘッド基準穴同士の中心間距離は、前記ノズル列の全長の0.4倍以上、3倍以下に設定されたことを特徴とすることを特徴とする。
前記インクジェットヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは、一対のキャリッジ基準穴を有し、
前記インクジェットヘッドは、各キャリッジ基準穴に対応して一対のヘッド基準穴を有し、
前記キャリッジ基準穴同士および前記ヘッド基準穴同士は、位置決め状態で取り付けられた前記インクジェットヘッドの前記ノズル列と交差する方向に沿って並設され、
各キャリッジ基準穴同士の中心間距離および各ヘッド基準穴同士の中心間距離は、前記ノズル列の全長の0.4倍以上、3倍以下に設定されたことを特徴とすることを特徴とする。
本発明によれば、各キャリッジ基準穴同士の中心間距離および各ヘッド基準穴同士の中心間距離が、ノズル列の全長の0.4倍以上、3倍以下に設定されることで、キャリッジおよびインクジェットヘッドの大型化を招くことなく、より高い位置精度でキャリッジおよびインクジェットヘッドの位置決めが可能となる。これにより、インクジェットプリンタ全体の小型化に寄与しつつ、ノズルの位置精度を確保することが可能となる。
上記構成において、インクジェットヘッドは、前記ノズル列が形成されたノズル基板を含む複数の構成部材を積層してなる流路ユニットと、この流路ユニットが固定されるケースと、を有し、
前記ケースは、前記流路ユニットが固定される側の面に、前記各ヘッド位置決め穴を有する構成を採用することが望ましい。
前記ケースは、前記流路ユニットが固定される側の面に、前記各ヘッド位置決め穴を有する構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、インクジェットヘッド側のヘッド基準穴が、ケースにおける流路ユニットが固定される側の面に設けられているので、キャリッジとインクジェットヘッドの位置決めを、ノズルから可及的に近い位置で行うことができるので、すなわち、ノズル基板からヘッド基準穴までの間における構成部材の位置決め誤差の累積を低減することができるので、ノズルの位置精度が向上する。
上記構成において、前記流路ユニットの各構成部材および前記ケースには、位置決め穴が一対ずつ設けられ、
対をなす位置決め穴は、ノズル列方向に沿って並設され、
対をなす位置決め穴同士の中心間距離は、前記ノズル列の全長よりも長い構成を採用することが望ましい。
対をなす位置決め穴は、ノズル列方向に沿って並設され、
対をなす位置決め穴同士の中心間距離は、前記ノズル列の全長よりも長い構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、各流路ユニット構成部材の対をなす位置決め穴同士の中心間距離がノズル列の全長よりも長く設定されることで、流路ユニット構成部材の組み付けの際、および流路ユニットをケースに組み付ける際に、ノズルの位置がずれることを低減することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明のインクジェットプリンタとして、インクジェット式画像記録装置(以下、単にプリンタと略記する。)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンタ1の外観構成を説明する斜視図であり、図2は、プリンタ1の内部構成を示す平面図である。また、図3は、図2におけるA−A線断面図であり、図4は、図2におけるB−B線断面図である。本実施形態におけるプリンタ1は、プリンタ本体の筐体2の内部にインクジェットヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド3)をキャリッジ10に搭載して備え、当該記録ヘッド3のノズル63からインク(液体の一種。)を記録用紙やはがき等(記録媒体あるいは液体着弾対象の一種)に対して噴射することにより、当該記録用紙等に写真画像やテキスト等の印刷を行うように構成されている。筐体2の上面側には本体カバー4が、筐体2の前面側には前面カバー5が、それぞれ設けられている。これらの本体カバー4および前面カバー5は互いに連結されており、前面側の縁部を持ち上げることで筐体2の背面側の縁部を軸として背面側まで回動して、筐体2の上面を開放することができるように構成されている。この本体カバー4および前面カバー5を開いた状態では、これらのカバー4,5は、記録用紙等がセットされる給紙トレイとして機能する。また、カバーを開いた状態ではインクカートリッジ17の交換作業等が行える。
筐体2の内部は、記録用紙等をプラテン9側に給紙する図示しない給紙機構等が設けられた区画である給紙部8aと、プラテン9上に給紙された記録用紙等に対して記録ヘッド3により印刷(記録動作)が行われる区画である印刷部8bとに、金属製の本体フレーム7によって区画されている。本体フレーム7の印刷部8bの背面側と前面側には、それぞれガイドフレーム11a,11bが筐体2の長手方向に沿って互いに平行に設けられている。キャリッジ10は、その前後をガイドフレーム11a,11bによって支持されている。このキャリッジ10は、図示しない駆動モーターによる駆動力によってこれらのガイドフレーム11a,11bに沿って案内されて往復移動可能に構成されている。
キャリッジ10の移動範囲の一端側(図2中右側)には、記録ヘッド3の待機位置であり、走査の基点であるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、一端側(本体フレーム7の一端側側壁7′に近い方)から順にキャッピング機構13(キャッピング手段)および、ワイピング機構14(ワイピング手段)が設けられている。キャッピング機構13は、例えば、エラストマー等の弾性部材からなるキャップ15を有しており、当該キャップ15を、記録ヘッド3のノズル面の周囲を囲むように設けられたヘッドカバー26(図7および図8参照)に対して当接させて封止した状態(キャッピング状態)あるいは当該ヘッドカバー26から離隔した待避状態に変換可能に構成されている。キャッピング機構13は、上記キャッピング状態では、図示しないポンプによりキャップ15の内部を負圧化することができ、これにより、記録ヘッド3のノズル63からインクや気泡を排出するクリーニング動作を行うことができるように構成されている。キャリッジ10の移動範囲のホームポジション側とは反対側となる他端側(図2中左側)には、プラテン9上の記録用紙等の搬送に係る駆動部品12が、プラテン9に隣接させて設けられている。この駆動部品12は、具体的には、記録用紙搬送用のモーターの駆動力を搬送ローラー等に伝達する駆動ギア等からなる。
ワイピング機構14は、ワイパー16によって記録ヘッド3のノズル面を払拭するものであり、ワイパー16をノズル面に対して当接した状態あるいは当該ノズル面から離隔した待避状態に変換可能に構成されている。ワイパー16は、種々の構成のものを採用することができるが、例えば、樹脂等からなるブレード本体の表面に撥水膜を形成したものや、ノズル面との接触部が布からなる布ワイパー等を採用することができる。本実施形態においては、ワイパー16が記録ヘッド3のノズル面に当接した状態で、キャリッジ10が主走査方向に移動することで、ワイパー16がノズル面を摺動して払拭する。なお、記録ヘッド3が移動を停止した状態でワイパー16が自走することでノズル面を払拭する構成を採用することもできる。要するに、記録ヘッド3とワイパー16が相対的に移動してノズル面が払拭される構成であればよい。なお、上記キャッピング機構13およびワイピング機構14を、適宜、メンテナンス機構と総称する。
図5は、上記記録ヘッド3の構成を示す分解斜視図である。また、図6は、記録ヘッド3の構成を示す上面図(平面図)であり、図7は、記録ヘッド3の構成を示す下面図である。さらに、図8は、記録ヘッド3(特にヘッドユニット22)の内部構成を説明する要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド3は、ヘッド構成部品として、ホルダー19、流路プレート20、回路基板21、および、ヘッドユニット22を備えている。また、ヘッドユニット22は、ヘッドユニット構成部品として、振動子ユニット23、ヘッドケース24、流路ユニット25、およびヘッドカバー26を備えている。
本実施形態におけるホルダー19は、合成樹脂により作製された部材であり、ベースプレート30、および、このベースプレート30の左右方向(キャリッジ10の走査方向)における両側および前後方向(記録用紙等の搬送方向)における後方の縁から上方に向けて立設された外壁28を備えている。また、ベースプレート30の上面は、外壁28の内側に設けられた仕切壁29により、ブラックインクカートリッジ17a用の配置領域(図6中、仕切壁29より左側の領域)、およびカラーインクカートリッジ17b用の配置領域(図6、仕切壁29より右側の領域)に区画されている。これらのカートリッジ配置領域にそれぞれインク導入部31が設けられている。このインク導入部31は、インクカートリッジ17のインク導出部32と接続される部分であり、インクの色毎に設けられている。本実施形態においては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインクの合計4色のインクに対応して、インク導入部31が合計4か所設けられている。このインク導入部31は、円筒部分の開口内に図示しないフィルターおよび多孔質部材(吸液材)を備えている。また、インクカートリッジ17のインク導出部32内にも多孔質部材が設けられており、インク導出部32とインク導入部31とが接続されると、これらの多孔質部材同士が接触してインクの授受が行われる。インク導入部31からインクが導入されると、フィルターにより濾過された後、後述する流路プレート20の中間流路39を通じてヘッドユニット22側に供給される。
ホルダー19におけるベースプレート30の前面側の縁部には、平面視略半円状の切欠33が形成されている。この切欠33は、コイルバネからなる付勢部材34が配置される空部である。切欠33の下面は、流路プレート20によって塞がれ、この部分に付勢部材34が取り付けられる。この付勢部材34は、インクカートリッジ17がホルダー19に装着されて、インクカートリッジ17側の係止爪36がキャリッジ10側の被係止開口部37に係止した状態(図4参照)で、当該インクカートリッジ17を上方に付勢して上記係止状態を維持する部材である。インクカートリッジ17をホルダー19から取り外す際に被係止開口部37に対する係止爪36の係止状態を解除すると、付勢部材34による付勢力によりインクカートリッジ17が上方に持ち上げられ、インクカートリッジ17を取り外し易くするように構成されている。本実施形態においては、インクカートリッジ17aおよびインクカートリッジ17bにそれぞれ対応して切欠33がベースプレート30に2箇所設けられている。
ホルダー19の下面に接合される流路プレート20の上面(ホルダー19との接合面)は、図5に示すように、当該面方向に沿って延在する溝状の中間流路39(接合面内流路)がインクの色毎に合計4本形成されている。この中間流路39の周囲に沿って接着剤が塗布され、ホルダー19と接合された際に当該ホルダー19の下面により中間流路39の開口部分が封止されて独立した流路を形成する。各中間流路39の一端はホルダー19のインク導入部31と連通し、同じく他端は流路プレート20の厚さ方向を貫通して当該流路プレート20の下面(ヘッドユニット22側の面)に開口し、ヘッドユニット22におけるヘッドケース24の流路接続部53を介してケース内部に設けられたケース流路51(図8参照)と連通する。
また、流路プレート20の上面において、中間流路39が形成されている領域から外れた部分には、大気開放用溝40が、流路プレート20の上面内で蛇行するように形成されている。この大気開放用溝40は、インク用の流路よりも十分に細い溝状の通路であり、大気と連通される大気開放路の一部を構成する。そして、この大気開放用溝40が形成された部分に薄手のフィルム41が接合されることで、溝の上部開口が封止される。この大気開放用溝40の一端は大気と連通されている。また、大気開放用溝40の他端は、中間流路39が形成された領域(後述する接合空間)と、流路プレート20を貫通する貫通孔(図示せず)および大気開放連通路52(後述)を介してヘッドユニット22のコンプライアンス空間73とに連通される。この大気開放用溝40は、水分(水蒸気)の通過を阻害するように、換言すると、水分の通過に対して抵抗となるように、通路断面積および全長が定められている。これにより、記録ヘッド3の内部の水分が大気開放路を通過することが抑制しつつ大気開放することができる。そして、これらの中間流路39および大気開放用溝40が形成された領域を囲むように接着剤が塗布され、ホルダー19と接合された際に当該ホルダー19の下面により当該領域が封止されて中間流路39および大気開放用溝40を内包する接合空間が形成される。
流路プレート20とヘッドユニット22のヘッドケース24との間には、回路基板21が配設される。この回路基板21は、プリンタ本体側から圧電素子48へ送られる駆動信号やその他の制御信号等を中継する基板である。この回路基板21は、後述するフレキシブルケーブル50の端子部と電気的に接続される端子部(図示せず)が形成されると共に、プリンタ本体側との接続のためのコネクター43やその他の電子部品等を実装している。コネクター43にはFFC(フレキシブルフラットケーブル)44が接続され(図2参照)、回路基板21は、このFFC44を介してプリンタ本体側から駆動信号等を受けるようになっている。回路基板21が記録ヘッド3に組み付けられ、当該記録ヘッド3がキャリッジ10に固定された状態では、コネクター43は、キャリッジ10内において、本体フレーム7の一端側側壁7′とはキャリッジ走査方向における反対側の空間S内に配置される(図3参照)。
また、図5に示すように、回路基板21には、板厚方向を貫通した基板開口45が形成されている。この基板開口45は、一端が圧電素子48と接続されヘッドケース24の収納空部47側から引き出されたフレキシブルケーブル50(図8参照)の他端側が挿通されるとともに、ヘッドケース24のケース流路51の上流端である流路接続部53が挿通される逃げ穴である。回路基板21を間に介在させた状態でヘッドケース24と流路プレート20とを接合する際、ヘッドケース24の流路接続部53が、回路基板21の基板開口45を挿通して流路プレート20の中間流路39と接続される。また、流路プレート20の大気開放用溝40も、基板開口45を介して後述する大気開放連通路52と接続される。
ヘッドケース24は、主としてエポキシ系樹脂等の合成樹脂により作製された部材である。本実施形態におけるヘッドケース24は、流路ユニット25が接合される下側のケース本体部24aと、このケース本体部24aよりも上側のフランジ部24bとを有している。ケース本体部24aにおいて流路ユニット25が接合される部分は、例えばステンレス鋼等の金属により作製されている。また、ノズル列方向に直交する方向(キャリッジ走査方向)におけるフランジ部24bの寸法は、ケース本体部24aの同方向の寸法よりも大きく設定されている。このヘッドケース24の内部には振動子ユニット23を収納するための収納空部47が高さ方向を貫通する状態で形成されている。
また、ヘッドケース24において、収納空部47に対してキャリッジ走査方向の外側に外れた位置には、ケース流路51が、高さ方向を貫通する状態で形成されている。このケース流路51の上流端は、ヘッドケース24の上面(フランジ部24bの上面)に形成された流路接続部53に開口し、流路プレート20の中間流路39と連通する。また、ケース流路51の下流端は、ヘッドケース24の下面(ケース本体部24aの下面)に開口し、流路ユニット25における共通液室59と連通する。さらに、ヘッドケース24において、ケース流路51に対してノズル列方向に外れた位置には、大気開放連通路52が形成されている。この大気開放連通路52は、大気開放路の一部を構成する通路であり、その一端は、ヘッドケース24の上面に開口して、流路プレート20の大気開放用溝40と上記貫通孔を介して連通する。また、大気開放連通路52の下流端は、ヘッドケース24の下面に開口し、コンプライアンス空間73と連通する。
また、図7に示すように、ヘッドケース24におけるフランジ部24bの下面には、キャリッジ10との相対的な位置を規定する一対の位置決め穴90a,90b(本発明におけるヘッド基準穴に相当)が設けられている。この位置決め穴90a,90bについての詳細は後述する。
振動子ユニット23は、アクチュエーターの一種として機能する圧電素子48と、この圧電素子48が接合される固定板49と、圧電素子48に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル50と、を備えている。圧電素子48は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電素子である。
図9は、流路ユニット25の構成を説明する分解斜視図である。流路ユニット25は、流路基板55の一方の面にノズル基板56を、流路基板55の他方の面に振動板57をそれぞれ接合して構成されている。すなわち、流路基板55、ノズル基板56、および、振動板57は、流路ユニット構成部材(構成部品)である。この流路ユニット25には、共通液室59(リザーバー)と、インク供給口60と、圧力室61と、ノズル連通口62と、ノズル63とを設けている。そして、インク供給口60から圧力室61及びノズル連通口62を経てノズル63に至る一連のインク流路が、各ノズル63に対応して形成されている。また、流路ユニット構成部材は、いずれもノズル列方向に長尺な板材から構成されている。
流路ユニット構成部材のうち最下層に配置されるノズル基板56は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル63が穿設された板材である。ノズル基板56の材料としては、ステンレス鋼等の金属板、或は、後述する流路基板55と同様にシリコン単結晶基板等を採用することができる。このノズル基板56には、複数のノズル63を列設してなるノズル列64(ノズル群)が2列設けられており、1つのノズル列64は、例えば180個のノズル63によって構成される。このノズル基板56の下面(ノズル63からインクが噴射される側の面)がノズル面である。なお、ノズル基板56に形成されるノズル列64の本数や、ノズル列64を構成するノズル63の数およびピッチについては、本実施形態で例示したものには限られず、種々の構成のものを採用することができる。
流路ユニット構成部材のうちの最上層である振動板57は、支持板54の表面に弾性膜55を積層した二重構造である。本実施形態では、ステンレス鋼等の金属板を支持板54とし、この支持板54の表面に樹脂フィルムが弾性膜55としてラミネートされた複合板材により振動板57が構成されている。この振動板57には、圧力室61の容積を変化させるダイヤフラム68が設けられている。上記のダイヤフラム68は、エッチング加工等によって支持板54を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム68は、圧電素子48の自由端部の先端面が接合される島部69と、この島部69の周囲に設けられた可撓部70とからなる。島部69には圧電素子48の先端面が接合される。そして、この圧電素子48の自由端部を伸縮させることでダイヤフラム68を変位させて圧力室61の容積を変動させることができる。
また、この振動板57において、流路基板55の共通液室59に対応する部分には、当該共通液室59を封止するコンプライアンス部72が設けられている。このコンプライアンス部72は、共通液室59の開口面に相対する領域の支持板31を、エッチング加工等によって除去して当該部分を弾性膜55のみとすることにより作製される。そして、コンプライアンス部72は、共通液室59に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。このコンプライアンス部72の上部開口(ヘッドケース24側の開口)は、流路ユニット25がヘッドケース24の下面に接合されると当該ヘッドケース24の下面によって封止されてコンプライアンス空間73が画成される。このコンプライアンス空間73には、ヘッドケース24の上記大気開放連通路51の下端が連通される。すなわち、このコンプライアンス空間73は、大気開放連通路51および大気開放用溝40を介して大気と連通されている。なお、この振動板57において支持板54が流路基板55に接合され、弾性膜55がヘッドケース24と接合される。
本実施形態における流路基板55は、インク流路を区画する空部、具体的には、共通液室59となる空部、インク供給口60となる空部、及び、圧力室61となる空部が区画形成された板状の部材である(以下、これらの空部をそれぞれ単に共通液室59、インク供給口60、および圧力室61と称する)。この流路基板55は、例えば、結晶性基材の一種であるシリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって作製されている。流路基板55において、圧力室61等の流路の形成領域(流路部形成領域)よりも圧力室並設方向(すなわち、ノズル列方向)における外側に外れた領域には、振動板57、ノズル基板56、およびヘッドケース24との相対位置を規定するための基準穴75(本発明における位置決め穴に相当)が2箇所開設されている。具体的には、圧力室並設方向(すなわち、ノズル列方向)における両側にそれぞれ基準穴75が1つずつ開設されている。本実施形態における基準穴75は、圧力室61等と同様に異方性エッチング処理により形成されている。この対をなす基準穴75同士の中心間距離は、ノズル基板56に形成されたノズル列64の全長L1(図7参照)よりも長く設定されている。すなわち、位置決めの基準となる基準穴75は、プリンタ1における記録ヘッド3のノズル63の位置精度に係るものであり、基準穴同士の穴間距離が長いほど位置決め精度が向上する。本実施形態における基準穴75は、シリコンウェハーの結晶方位面により平面視で平行四辺形状に構成されている。これらの基準穴75に内接する仮想的な内接円の直径が、流路ユニット25の構成部材同士の位置決めの際に挿通される治具79の位置決めピン78の直径に揃えられている。
同様に、図9に示すように、振動板57及びノズル基板56において流路基板55の各基準穴75に対応する位置には、それぞれ基準穴76,77が2箇所ずつ開設されている。振動板57において対をなす基準穴76の一方は、上記位置決めピン78の直径に揃えられた平面視で真円の貫通孔となっている。これに対し、他方の基準穴76は、ノズル列方向に直交する方向の内法が上記位置決めピン78の直径に揃えられている一方でノズル列方向(基準穴同士の並び方向)の内法が位置決めピン78の直径よりも長く設定された長穴となっている。ノズル基板56において対をなす基準穴77も、基準穴76と同様な構成であり、一方が真円で他方が長穴となっている。さらに、ヘッドケース24の下面(金属部分)においても、流路基板55の各基準穴75に対応する位置には、同様に図示しないケース基準穴が形成されている。
そして、流路ユニット構成部材を接合する際には、治具79(図9参照)上に各構成部材が順次積層される。この治具79には一対の位置決めピン78が立設されている。そして、治具79の位置決めピン78を流路ユニット構成部材の基準穴75乃至76にそれぞれ挿通させてノズル基板56、流路基板55、及び振動板57を順次積層していくことで、これらの構成部材同士の相対位置が規定される。これらの構成部材同士は接着剤等で接合されて流路ユニット25がアセンブリ化される。さらに同様にして、ヘッドケース24と流路ユニット25とが、それぞれの基準穴に位置決めピン78が挿通されることで位置決めされた状態で接合され、ヘッドケース24内の収納空部47に振動子ユニット23が収容・固定されてヘッドユニット22とされる。そして、このヘッドユニット22に、上記の回路基板21、流路プレート20、およびホルダー19が順次積層されて固定されることで、記録ヘッド3とされる。本実施形態においては、各流路ユニット構成部材の対をなす基準穴同士の中心間距離は、ノズル列64の全長L1よりも長く設定されているので、流路ユニット22の組み付けの際、および流路ユニット22をヘッドケース24に組み付ける際に、ノズル63の位置がずれることを低減することが可能となる。
なお、記録ヘッド3の構成部材のノズル列に直交する方向(キャリッジ走査方向)の寸法に関し、図7に示すように、ヘッドユニット22のキャリッジ走査方向の寸法よりも流路プレート20およびホルダー19のキャリッジ走査方向の寸法の方が大きく設定されている。また、流路プレート20およびホルダー19のキャリッジ走査方向の中心線C′に対し、ヘッドユニット22の同方向における中心線Chが、キャリッジ走査方向の一側(キャリッジ10に搭載された状態で、本体フレーム7の一端側側壁7′側)に偏っている。ヘッドユニット22の中心線Chは、ノズル基板56のキャリッジ走査方向の中心を通る仮想線である。ここで、記録ヘッド3におけるキャリッジ走査方向の中心とは、この中心線Chに対応する位置を意味するものとする。
次に、記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ10について説明する。
図10は、キャリッジ10の構成を説明する平面図である。本実施形態におけるキャリッジ10は、前部側壁82a、後部側壁82b、両側壁82c,82d、及び、底板83を備えている。即ち、このキャリッジ10は、底板83の周縁から前部側壁82a、後部側壁82b、両側壁82c及び82dを立設した上面開放の箱状部材である。これらの中で、底板83は、記録ヘッド3および紙幅センサー85等が設置される。紙幅センサー85は、図3に示すように、図示しない発光素子および受光素子からなる素子部85aと、素子部85aの駆動に係る基板部85bとから構成されている。そして、底板83に開設された貫通口に素子部85aが挿通されてキャリッジ10の下面(底板83の下面)に露出された状態で、基板部85bが底板83の上面に配設されている。この紙幅センサー85は、発光素子からプラテン9に向けて光を照射し、プラテン9側からの反射光を受光素子で受光することで、プラテン9上に記録用紙等の幅を検出する。図3に示すように、この紙幅センサー85は、キャリッジ10に配置された記録ヘッド3の側方であって、本体フレーム7の一端側側壁7′とはキャリッジ走査方向における反対側の空間Sの範囲内に配置される。
図10は、キャリッジ10の構成を説明する平面図である。本実施形態におけるキャリッジ10は、前部側壁82a、後部側壁82b、両側壁82c,82d、及び、底板83を備えている。即ち、このキャリッジ10は、底板83の周縁から前部側壁82a、後部側壁82b、両側壁82c及び82dを立設した上面開放の箱状部材である。これらの中で、底板83は、記録ヘッド3および紙幅センサー85等が設置される。紙幅センサー85は、図3に示すように、図示しない発光素子および受光素子からなる素子部85aと、素子部85aの駆動に係る基板部85bとから構成されている。そして、底板83に開設された貫通口に素子部85aが挿通されてキャリッジ10の下面(底板83の下面)に露出された状態で、基板部85bが底板83の上面に配設されている。この紙幅センサー85は、発光素子からプラテン9に向けて光を照射し、プラテン9側からの反射光を受光素子で受光することで、プラテン9上に記録用紙等の幅を検出する。図3に示すように、この紙幅センサー85は、キャリッジ10に配置された記録ヘッド3の側方であって、本体フレーム7の一端側側壁7′とはキャリッジ走査方向における反対側の空間Sの範囲内に配置される。
キャリッジ10の底板83には、例えば略矩形状の挿通口86が形成されている。この挿通口86の開口形状は、ヘッドユニット22の平面視における外形に倣った形状とされている。そして、キャリッジ10に記録ヘッド3を配置する際、ヘッドユニット22が底板83の上方から挿通口86内に挿通され、底板83の下方に露出するように構成されている。即ち、この挿通口86の外形は、ヘッドユニット22の平面視における外形よりも少し大きく、かつ、ヘッドケース24のフランジ部24bの平面視における外形よりも小さく設定される。これにより、キャリッジ10の内側空間に記録ヘッド3を配置した際に、ヘッドユニット22は挿通口86を通ってキャリッジ10の外側(下面側)に露出する一方、ヘッドケース24のフランジ部24bは挿通口86を通過できないためフランジ部24bの上面に着座する。
キャリッジ10の底板83の上面、つまり、記録ヘッド3におけるフランジ部24bが載置される側の面には、一対の位置決め基準穴91a,91b(本発明におけるキャリッジ基準穴に相当)が設けられている。図10に示すように、これらの位置決め基準穴91a,91bは、底板83のキャリッジ背面側の縁に沿って、すなわち、キャリッジ走査方向に沿って互いに間隔を空けて形成されており、これらの基準穴91a,91bの位置は、記録ヘッド3におけるフランジ部24bの下面に設けられた位置決め穴90a,90bに対応している。すなわち、基準穴91a,91bは、キャリッジ10と記録ヘッド3との相対的な位置の基準となる穴である。これらの基準穴91a,91bのうちの一方は、キャリッジ10と記録ヘッド3の位置決めの際に挿通される位置決めピン(図示せず)の直径に揃えられた平面視で真円の貫通孔となっている。これに対し、他方の基準穴91bは、基準穴同士の並設方向に直交する方向の内法が上記位置決めピンの直径に揃えられている一方で、基準穴同士の並設方向の内法が位置決めピンの直径よりも長く設定された長穴となっている。同様に、記録ヘッド3のフランジ部24bの位置決め穴90a,90bも同様に、一方の位置決め穴90aが、位置決めピン(図示せず)の直径に揃えられた平面視で真円であり、他方の位置決め穴90aが、位置決め穴同士の並設方向の内法が位置決めピンの直径よりも長く設定された長穴となっている。
ここで、記録ヘッド3のノズル列64に対する位置決め基準穴91a,91bの位置関係に関し、理想では、位置決め基準穴91a,91bの中心同士を結ぶ仮想線が、ノズル列方向に沿っており、なおかつ、ノズル列64の全長よりも長いことが望ましい。これに対し、本実施形態においては、これらの位置決め基準穴91a,91b(位置決め穴90a,90b)を形成する位置は、プリンタ1の全体的な小型化を図る上での記録ヘッド3およびキャリッジ10の構造上(サイズ上)の制約の中で、キャリッジ10や記録ヘッド3における他の構成要素に干渉しない位置に定められている。具体的には、位置決め基準穴91a,91bの中心同士を結ぶ仮想線が、記録ヘッド3のノズル列64に対して交差(設計上の目標(理想)としては直交であるが、誤差の範囲で直交状態に対して多少の傾きが生じる場合があることを意味する。)しており、しかも、ノズル列方向の一方(本実施形態においては後部側壁82b側)に偏っている。このような構成を採用する場合、基準穴91a,91b同士の中心間距離(すなわち、位置決め穴90a,90b同士の中心間距離)L2を適切に定めることが肝要である。より具体的には、基準穴同士の中心間距離L2は、ノズル列64の全長L1の0.4倍以上、3倍以下に設定されている(この点の詳細については後述する。)。また、キャリッジ走査方向における記録ヘッド3の中心線Chから各基準穴91a,91b(位置決め穴90a,90b)までは等距離となっている。こうすることで、万が一位置決め誤差が生じたとしても、各ノズル列64の間における位置決め誤差を可及的に均等化することができる。
そして、記録ヘッド3がキャリッジ10に取り付けられる際には、キャリッジ10側の位置決め基準穴91a,91bにそれぞれ位置決めピンを挿通するとともに、記録ヘッド3側の位置決め穴90a,90bに当該位置決めピンを挿通することで、キャリッジ10に対する記録ヘッド3の相対位置が高い精度で規定される。
ここで、図11は、上記構成のプリンタ1において、記録用紙等に対してノズル列64を構成する各ノズル63から同時にインクを実際に噴射することで形成された罫線について説明する模式図である。この罫線のずれに基づいて記録ヘッド3のノズル63の位置ずれの検査を行うことができる。同図において、左右方向がキャリッジ走査方向Xであり、上下方向がキャリッジ走査方向に直交する方向(記録用紙の搬送方向)に対応している。また、Er1で示すドットが、ノズル列64における一端(基準穴91a,91bに近い側の端)に位置するノズル63から噴射されたインクが着弾して形成されたドットであり、Er2で示すドットは、ノズル列64における他端(基準穴91a,91bから遠い側の端)に位置するノズル63から噴射されたインクが着弾して形成されたドットである。なお、罫線を構成するドットのうちの両端のドットの間にある各ドットについては破線で示して図示を省略している。そして、目標とする罫線、つまり、キャリッジ走査方向に直交する方向(換言すると記録用紙等の搬送方向)に平行な罫線の他端側のドットEr2′を破線で示している。ここで、罫線のずれは、キャリッジ10と記録ヘッド3の位置決め誤差により、ノズル列64における一端側を中心として他端側がノズル面に平行な面方向において傾くことで現れる。このため、罫線のずれは、罫線の他端における基準ドットEr2′に対する、実際に形成されるドットEr2のキャリッジ走査方向のずれ量Δxであるものとする。
図12は、記録ヘッド3のノズル63の位置ずれの検査の結果を示す表であり、具体的には、ノズル列64の全長L1に対し基準穴同士の中心間距離L2を変えたときの罫線のずれ量Δxと、当該ずれ量Δxが記録画像等の画質に及ぼす影響に基づく合否判定と、プリンタ1の全体を小型化する上での支障があるか無いかを示す表である。また、図13は、L2/L1とΔxとの関係を示すグラフである。図13に示すように、L1に対するL2の比(L2/L1)が大きいほど罫線のずれ量Δxが小さくなり、当該比が小さくなるほど罫線のずれ量Δxが大きくなる傾向にある。特に、L2/L1が0.4以上であれば、罫線のずれ量Δxの変化は比較的穏やかであるのに対し、L2/L1が0.4よりも小さくなると、罫線のずれ量Δxが急激に増加することが判る。具体的には、L2/L1が0.4未満であった場合、罫線のずれ量Δxが40〔μm〕よりも大きくなる。このように、罫線のずれ量Δxが40〔μm〕よりも大きくなると、目視で認識できる程度のずれとなるため、画質低下が顕著となり、不合格とされる。一方で、L2が小さいほど、記録ヘッド3およびキャリッジ10の小型化には有利となる。また、L2/L1が0.4以上であれば、罫線のずれ量Δxが40〔μm〕以内に収まる。すなわち、基準穴同士の中心間距離L2は、ノズル列64の全長L1よりも長いほど、罫線ずれ量Δxがより小さくなり、画質への悪影響が小さくなるため合格とされる。しかしながら、L2/L1が3を超えると、キャリッジ10および記録ヘッド3のサイズが大きくなり、プリンタ1の小型化に支障が生じる。したがって、基準穴同士の中心間距離L2は、ノズル列64の全長L1の0.4倍以上、3倍以下に設定することで、キャリッジ10および記録ヘッド3の大型化を招くことなく、より高い位置精度でキャリッジ10および記録ヘッド3の位置決めが可能となる。これにより、プリンタ1の小型化に寄与しつつ、ノズル63の位置精度を確保することが可能となる。また、ヘッドユニット22の構成部品同士の位置決めや、キャリッジ10および記録ヘッド3間の位置決めは、位置決めピンを基準穴に挿通することで上記の精度が確保されるので、構成部材の位置調整を別途行う必要がなく、組み立てが容易である。さらに、本実施形態においては、記録ヘッド3側の位置決め穴90a,90bが、ヘッドケース24の下面(フランジ部24bの下面)に設けられているので、キャリッジ10と記録ヘッド3の位置決めを、ノズル63から可及的に近い位置で行うことができるので、すなわち、ノズル基板56から基準穴90,91までの間における構成部材の位置決め誤差の累積を低減することができるので、ノズル63の位置精度が向上する。
なお、本実施形態では、本発明におけるアクチュエーターとして、所謂縦振動型の圧電素子を例示したが、これには限られず、静電気力によって圧力室の一部を変位させる所謂静電方式のアクチュエーターや、加熱により液体内に生じる気泡により圧力室内に圧力変動を生じさせる発熱素子等の他のアクチュエーターを採用することが可能である。
そして、以上では、インクジェットプリンタとして、インクジェットヘッドの一種である記録ヘッド3をキャリッジ10に搭載したプリンタ1を例に挙げて説明したが、これには限られず、複数の構成部材を位置決めした状態で組み付けて構成されるインクジェットヘッドをキャリッジに相当する部材に搭載する他のインクジェットプリンタにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するに色材噴射ヘッドを搭載するディスプレイ製造用プリンタ,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極材噴射ヘッドを搭載する電極製造用プリンタ等にも適用することができる。
1…プリンタ,3…記録ヘッド,7…本体フレーム,10…キャリッジ,12…駆動部品,13…キャッピング機構,14…ワイピング機構,15…キャップ,16…ワイパー,17…インクカートリッジ,19…ホルダー,20…流路プレート,21…回路基板,22…ヘッドユニット,23…振動子ユニット,24…ヘッドケース,24a…ケース本体部,24b…フランジ部,25…流路ユニット,43…コネクター,48…圧電素子,54…位置決め穴,55…流路基板,56…ノズル基板,57…振動板,61…圧力室,63…ノズル,64…ノズル列,75…基準穴,76…基準穴,77…基準穴,78…位置決めピン,79…治具,83…底板,85…紙幅センサー,86…挿通口,90…位置決め穴,91…位置決め基準穴
Claims (3)
- 液体を噴射するノズルを複数列設してなるノズル列を有するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備え、
前記キャリッジは、一対のキャリッジ基準穴を有し、
前記インクジェットヘッドは、各キャリッジ基準穴に対応して一対のヘッド基準穴を有し、
前記キャリッジ基準穴同士および前記ヘッド基準穴同士は、位置決め状態で取り付けられた前記インクジェットヘッドの前記ノズル列と交差する方向に沿って並設され、
各キャリッジ基準穴同士の中心間距離および各ヘッド基準穴同士の中心間距離は、前記ノズル列の全長の0.4倍以上、3倍以下に設定されたことを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクジェットヘッドは、前記ノズル列が形成されたノズル基板を含む複数の構成部材を積層してなる流路ユニットと、この流路ユニットが固定されるケースと、を有し、
前記ケースは、前記流路ユニットが固定される側の面に、前記各ヘッド位置決め穴を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記流路ユニットの各構成部材および前記ケースには、位置決め穴が一対ずつ設けられ、
対をなす位置決め穴は、ノズル列方向に沿って並設され、
対をなす位置決め穴同士の中心間距離は、前記ノズル列の全長よりも長いことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
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