JP2016002510A - フォトマスク用ガラス基板のリンス方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨後のフォトマスク用ガラス基板の主面を湿式洗浄した後、該フォトマスク用ガラス基板の主面をリンスする目的で実施されるフォトマスク用ガラス基板のリンス方法であって、フォトマスク用ガラス基板の主面に残留する異物を低減できるフォトマスク用ガラス基板のリンス方法の提供。
【解決手段】リンス液として超純水を使用してフォトマスク用ガラス基板の主面をリンスするリンス工程、および、リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させる乾燥工程を有し、前記リンス工程、および、前記乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下、かつ、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施することを特徴とするフォトマスク用ガラス基板のリンス方法。
【選択図】なし
【解決手段】リンス液として超純水を使用してフォトマスク用ガラス基板の主面をリンスするリンス工程、および、リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させる乾燥工程を有し、前記リンス工程、および、前記乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下、かつ、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施することを特徴とするフォトマスク用ガラス基板のリンス方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、フォトマスク用ガラス基板のリンス方法に関する。より具体的には、研磨後のフォトマスク用ガラス基板の主面を、物理洗浄、化学洗浄、あるいは、両者の併用により湿式洗浄した後、洗浄液の除去等の目的で、該フォトマスク用ガラス基板をリンスする、フォトマスク用ガラス基板のリンス方法に関する。
従来から、半導体製造工程においては、ウェハ上に微細な回路パターンを転写して集積回路を製造するための露光装置が広く使用されている。近年、半導体集積回路の高集積化、高機能化に伴い、集積回路の微細化が進み、回路パターンをウェハ面上に正確に結像させるために、露光装置のフォトマスクに使用されるガラス基板(フォトマスク用ガラス基板)には高度の平坦性と平滑性が求められている。
このため、フォトマスク用ガラス基板の主面は、その表面が所望の平坦度および表面粗さとなるように、コロイダルシリカや酸化セリウム、ジルコニア、アルミナといった微粒子状の研磨剤を用いて化学機械研磨される。
このため、フォトマスク用ガラス基板の主面は、その表面が所望の平坦度および表面粗さとなるように、コロイダルシリカや酸化セリウム、ジルコニア、アルミナといった微粒子状の研磨剤を用いて化学機械研磨される。
研磨剤を用いて、フォトマスク用ガラス基板の主面等の研磨対象物を研磨した場合、微粒子状の研磨剤が研磨後の研磨対象物の表面に付着して研磨対象物上に残留することがある。そのため、研磨対象物上に残留する研磨剤を除去する目的で、研磨後の研磨対象物の湿式洗浄が一般に行われている。この目的で実施される湿式洗浄には、スクラブ洗浄、超音波洗浄、ジェット洗浄(高圧水による洗浄)等の物理洗浄、酸性またはアルカリ性の洗浄液を使用した化学洗浄、あるいは、両者の併用が使用される。
その後、洗浄液の除去等の目的で、フォトマスク用ガラス基板をリンスする。リンス液には、超純水が通常使用される。リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させて、フォトマスク用ガラス基板の主面からリンス液を除去する。この乾燥にはスピン乾燥またはVAPOR乾燥が通常使用される。
その後、洗浄液の除去等の目的で、フォトマスク用ガラス基板をリンスする。リンス液には、超純水が通常使用される。リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させて、フォトマスク用ガラス基板の主面からリンス液を除去する。この乾燥にはスピン乾燥またはVAPOR乾燥が通常使用される。
一方、微細な回路パターンの作成に用いられる、ArFリソグラフィ用途や、EUVリソグラフィ用途などのフォトマスク用ガラス基板の主面に60nm以上の大きさの異物が存在すると、フォトマスク用ガラス基板の欠陥となるため、低減することが求められる。
上記の手順でフォトマスク用ガラス基板を処理した際、乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面に60nm以上の大きさの異物の存在が認められる場合があった。この異物の組成を確認したところ、フォトマスク用ガラス基板の研磨剤として使用されるコロイダルシリカ、酸化セリウム、ジルコニア、アルミナ等とは異なる組成であり、Fe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属の酸化物や、超純水中に溶存しているシリカや残留有機物、湿式洗浄に使用する洗浄装置を構成する樹脂材料などが主であることが確認された。これらの異物は、リンス時、あるいは、乾燥時にフォトマスク用ガラス基板の主面に付着したものと推測する。乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面に存在するこれらの異物の中には、該主面に強固に結合しており、該主面を再度洗浄しても位置が変わらないもの(特開2005−255423号公報に記載の不動欠点に相当。以下、本明細書では、「不動欠陥」とする。)も存在する。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、研磨後のフォトマスク用ガラス基板の主面を、物理洗浄、化学洗浄、あるいは、両者の併用により、湿式洗浄した後、洗浄液の除去等のために、該フォトマスク用ガラス基板の主面をリンスする、フォトマスク用ガラス基板のリンス方法であって、フォトマスク用ガラス基板の主面に残留する異物を低減できるフォトマスク用ガラス基板のリンス方法の提供を目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明は、リンス液として超純水を使用してフォトマスク用ガラス基板の主面をリンスするリンス工程、および、リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させる乾燥工程を有し、
前記リンス工程、および、前記乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下、かつ、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施することを特徴とするフォトマスク用ガラス基板のリンス方法を提供する。
前記リンス工程、および、前記乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下、かつ、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施することを特徴とするフォトマスク用ガラス基板のリンス方法を提供する。
本発明のフォトマスク用ガラス基板のリンス方法において、前記雰囲気中の二酸化炭素濃度は、吸収法、吸着法、深冷分離法、および、膜分離法からなる群から選択される少なくとも1つの二酸化炭素分離方法の使用により達成されることが好ましい。
本発明のフォトマスク用ガラス基板のリンス方法において、前記乾燥工程において、前記フォトマスク用ガラス基板をスピン乾燥することが好ましい。
本発明のフォトマスク用ガラス基板のリンス方法において、前記フォトマスク用ガラス基板が、SiO2を主成分とする石英ガラス基板であることが好ましい。
本発明によれば、リンス、および、その後の乾燥を経た後のフォトマスク用ガラス基板の主面に残留する異物を低減できる。
本発明のリンス方法は、下記(1)、(2)の手順を経たフォトマスク用ガラス基板の主面を、洗浄液の除去等の目的でリンスする方法である。
(1)フォトマスク用ガラス基板の主面を所望の平坦度および表面粗さとするため、該フォトマスク用ガラス基板の主面を、コロイダルシリカ、酸化セリウム、ジルコニア、アルミナ等の研磨剤を用いて化学機械研磨する。
(2)化学機械研磨後のフォトマスク用ガラス基板の主面に残留する研磨剤を除去するため、該フォトマスク用ガラス基板の主面を、スクラブ洗浄、超音波洗浄、2流体洗浄、ジェット洗浄(高圧水による洗浄)等の物理洗浄、酸性またはアルカリ性の洗浄液を使用した化学洗浄、あるいは、両者の併用により湿式洗浄する。
また、フォトマスク用ガラス基板の主面とは使用時に基板として機能する面を指し、具体的には端面を除く表裏面である。
(1)フォトマスク用ガラス基板の主面を所望の平坦度および表面粗さとするため、該フォトマスク用ガラス基板の主面を、コロイダルシリカ、酸化セリウム、ジルコニア、アルミナ等の研磨剤を用いて化学機械研磨する。
(2)化学機械研磨後のフォトマスク用ガラス基板の主面に残留する研磨剤を除去するため、該フォトマスク用ガラス基板の主面を、スクラブ洗浄、超音波洗浄、2流体洗浄、ジェット洗浄(高圧水による洗浄)等の物理洗浄、酸性またはアルカリ性の洗浄液を使用した化学洗浄、あるいは、両者の併用により湿式洗浄する。
また、フォトマスク用ガラス基板の主面とは使用時に基板として機能する面を指し、具体的には端面を除く表裏面である。
フォトマスク用ガラス基板には、熱膨張係数が小さくかつそのばらつきの小さいガラスが好ましく用いられる。半導体製造工程における温度変化に充分に対応して高精細の回路パターンを良好に転写できるからである。そのため、フォトマスク用ガラス基板には、SiO2を主成分とする石英ガラスが好ましく使用される。具体的には、SiO2のみで構成される合成石英ガラスや、SiO2を主成分としTiO2を含有する合成石英ガラスが挙げられる。
本発明のリンス方法は、以下に示す工程を有する。
[リンス工程]
本工程では、上記(1)、(2)の手順を経たフォトマスク用ガラス基板を、上記(2)手順で使用した洗浄液の除去等の目的でリンスする。
フォトマスク用ガラス基板のリンス液には、不純物を除去しやすく、他のリンス液に比べて清浄度を高められることから、超純水が使用される。
従来の手順において、フォトマスク用ガラス基板のリンス液として、超純水を使用する場合、リンス液のpHを調整する目的で超純水に酸またはアルカリを添加する場合がある。本発明では、以下の理由から、リンス液として使用する超純水に酸やアルカリを添加しない。
添加した酸やアルカリは、イオン化した状態で超純水中に存在する。乾燥工程実施時のフォトマスク用ガラス基板の主面上に、これらイオン化した酸やアルカリが残留する場合がある。これら残留イオンが雰囲気中に存在する対抗イオン(イオン化した酸やアルカリに対して異符号のイオン)と反応すると、フォトマスク用ガラス基板の主面上に残渣欠陥を生じさせるおそれがある。
本工程では、上記(1)、(2)の手順を経たフォトマスク用ガラス基板を、上記(2)手順で使用した洗浄液の除去等の目的でリンスする。
フォトマスク用ガラス基板のリンス液には、不純物を除去しやすく、他のリンス液に比べて清浄度を高められることから、超純水が使用される。
従来の手順において、フォトマスク用ガラス基板のリンス液として、超純水を使用する場合、リンス液のpHを調整する目的で超純水に酸またはアルカリを添加する場合がある。本発明では、以下の理由から、リンス液として使用する超純水に酸やアルカリを添加しない。
添加した酸やアルカリは、イオン化した状態で超純水中に存在する。乾燥工程実施時のフォトマスク用ガラス基板の主面上に、これらイオン化した酸やアルカリが残留する場合がある。これら残留イオンが雰囲気中に存在する対抗イオン(イオン化した酸やアルカリに対して異符号のイオン)と反応すると、フォトマスク用ガラス基板の主面上に残渣欠陥を生じさせるおそれがある。
フォトマスク用ガラス基板の主面のリンス工程は、該主面上にリンス液である超純水を供給することにより行う。リンス工程の完了は、供給後の超純水のpHの測定により確認する。具体的には、供給後の超純水のpHが変化しなくなった時点でリンス工程の完了とする。
[乾燥工程]
本工程では、リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させて、該フォトマスク用ガラス基板からリンス液を除去する。本工程にはスピン乾燥の使用が、ガラス基板の乾燥に薬液や気体を使用しないため、該ガラス基板の主面が不純物により汚染されないため好ましい。
本工程では、リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させて、該フォトマスク用ガラス基板からリンス液を除去する。本工程にはスピン乾燥の使用が、ガラス基板の乾燥に薬液や気体を使用しないため、該ガラス基板の主面が不純物により汚染されないため好ましい。
本発明のリンス方法では、上述したリンス工程、および、乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下、かつ、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施する。
本願発明者らは、鋭意検討した結果、リンス液として使用する超純水のpHが、雰囲気中の二酸化炭素(CO2)濃度に影響されることを見出した。図1は、雰囲気中のCO2濃度(ppm)と、超純水のpHとの関係を示したグラフである。超純水のpHは本来7であるが、図1に示すように、雰囲気中のCO2濃度が増加すると、超純水のpHが低くなる。これは、雰囲気中のCO2が超純水に溶解して、超純水に酸を添加したのと同じ作用を生じるからである。
本願発明者らは、鋭意検討した結果、リンス液として使用する超純水のpHが、雰囲気中の二酸化炭素(CO2)濃度に影響されることを見出した。図1は、雰囲気中のCO2濃度(ppm)と、超純水のpHとの関係を示したグラフである。超純水のpHは本来7であるが、図1に示すように、雰囲気中のCO2濃度が増加すると、超純水のpHが低くなる。これは、雰囲気中のCO2が超純水に溶解して、超純水に酸を添加したのと同じ作用を生じるからである。
リンス工程実施時において、フォトマスク用ガラス基板の主面のゼータ電位は、該主面が接触するリンス液のpHの影響を受ける。SiO2を主成分とする石英ガラスを構成材料とするフォトマスク用ガラス基板の主面は、負のゼータ電位を有しているが、リンス液のpHが7付近から低くなるにつれて、該主面の負のゼータ電位の絶対値が小さくなる。
一方、リンス工程を実施する雰囲気中には、Fe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属の酸化物や、超純水中に溶存しているシリカや残留有機物、湿式洗浄に使用する洗浄装置を構成する樹脂材料などがパーティクルとして存在している。これらのパーティクルは負のゼータ電位を有するものが多い。
リンス液のpHが7付近の場合、該主面のゼータ電位(負)と、これらパーティクルのゼータ電位(負)との反発力により、該主面にはパーティクルが付着しにくい。しかしながら、雰囲気中の二酸化炭素濃度の影響により、リンス液のpHが7よりも低くなると、前述した反発力が小さくなるため、該主面にパーティクルが付着しやすくなる。
従来の手順において、リンス、および、乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面に60nm以上の大きさの異物が存在するのは、雰囲気中のCO2濃度の影響により、リンス液のpHが7よりも低くなり、前述した反発力が小さくなったことで、該主面にパーティクルが付着しやすくなったのが理由と考えられる。
一方、リンス工程を実施する雰囲気中には、Fe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属の酸化物や、超純水中に溶存しているシリカや残留有機物、湿式洗浄に使用する洗浄装置を構成する樹脂材料などがパーティクルとして存在している。これらのパーティクルは負のゼータ電位を有するものが多い。
リンス液のpHが7付近の場合、該主面のゼータ電位(負)と、これらパーティクルのゼータ電位(負)との反発力により、該主面にはパーティクルが付着しにくい。しかしながら、雰囲気中の二酸化炭素濃度の影響により、リンス液のpHが7よりも低くなると、前述した反発力が小さくなるため、該主面にパーティクルが付着しやすくなる。
従来の手順において、リンス、および、乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面に60nm以上の大きさの異物が存在するのは、雰囲気中のCO2濃度の影響により、リンス液のpHが7よりも低くなり、前述した反発力が小さくなったことで、該主面にパーティクルが付着しやすくなったのが理由と考えられる。
これに対し、本発明では、リンス工程、および、乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下の雰囲気中で実施することにより、リンス液としての超純水のpHが7付近に保たれる。その結果、該主面のゼータ電位(負)と、これらパーティクルのゼータ電位(負)との反発力により、該主面にパーティクルが付着しにくい状態が保たれ、乾燥工程実施後のフォトマスク用ガラス基板の主面に存在する60nm以上の異物が低減される。
本発明において、リンス工程、および、乾燥工程を、二酸化炭素濃度2ppm以下の雰囲気中で実施することがより好ましく、0.5ppm以下の雰囲気中で実施することがさらに好ましい。
一方、本発明において、リンス工程、および、乾燥工程を、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施する理由は以下の通り。
フォトマスク用ガラス基板を構成するSiO2を主成分とする石英ガラスは、その主骨格が−Si−O−Si−結合である。化学機械研磨後に実施する湿式洗浄や、湿式洗浄後に実施されるリンス工程では、その主面付近の−Si−O−Si−結合の一部が加水分解により切断されて、その末端構造がSi−OHとなる。
乾燥工程実施時において、雰囲気中にパーティクルとして存在するFe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属のイオンや有機物が、末端構造のSi−OHと反応して、これらパーティクルがマスクブランク用ガラス基板の主面に強固に結合する。その結果、乾燥工程実施後のフォトマスク用ガラス基板の主面には、該主面と強固に結合しており、該主面を再度洗浄しても位置が変わらないもの(不動欠陥)が存在することになる。
リンス工程、および、乾燥工程を実施する雰囲気中の酸素濃度が10体積%以上であると、雰囲気中にパーティクルとして存在するFe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属のイオンや有機物が、雰囲気中の酸素と反応して酸化物となり、安定化される。この結果、上記した末端構造のSi−OHと反応しにくくなり、これらパーティクルがマスクブランク用ガラス基板の主面に強固に結合しにくくなり、不動欠陥となる異物が減少する。
フォトマスク用ガラス基板を構成するSiO2を主成分とする石英ガラスは、その主骨格が−Si−O−Si−結合である。化学機械研磨後に実施する湿式洗浄や、湿式洗浄後に実施されるリンス工程では、その主面付近の−Si−O−Si−結合の一部が加水分解により切断されて、その末端構造がSi−OHとなる。
乾燥工程実施時において、雰囲気中にパーティクルとして存在するFe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属のイオンや有機物が、末端構造のSi−OHと反応して、これらパーティクルがマスクブランク用ガラス基板の主面に強固に結合する。その結果、乾燥工程実施後のフォトマスク用ガラス基板の主面には、該主面と強固に結合しており、該主面を再度洗浄しても位置が変わらないもの(不動欠陥)が存在することになる。
リンス工程、および、乾燥工程を実施する雰囲気中の酸素濃度が10体積%以上であると、雰囲気中にパーティクルとして存在するFe、Al、Ca、Zn、Mg、K、Na等の金属のイオンや有機物が、雰囲気中の酸素と反応して酸化物となり、安定化される。この結果、上記した末端構造のSi−OHと反応しにくくなり、これらパーティクルがマスクブランク用ガラス基板の主面に強固に結合しにくくなり、不動欠陥となる異物が減少する。
本発明において、リンス工程、および、乾燥工程を、酸素濃度15体積%以上の雰囲気中で実施することがより好ましく、20体積%以上の雰囲気中で実施することがさらに好ましい。
本発明において、上述したリンス工程、および、乾燥工程を実施する雰囲気中の二酸化炭素濃度(6ppm以下)、および、酸素濃度(10体積%以上)は、吸収法、吸着法、深冷分離法、および、膜分離法からなる群から選択される少なくとも1つの二酸化炭素分離方法の使用により達成される。これらの二酸化炭素分離方法によれば、雰囲気中の二酸化炭素のみを選択的分離することができるため、雰囲気中の酸素濃度を10体積%以上に保ちつつ、該雰囲気中の二酸化炭素濃度を6ppm以下にすることができる。
吸収法は、化学吸収法と、物理吸収法と、にさらに分けられる。
化学吸収法は、二酸化炭素を選択的に溶解できるアルカリ性溶液を吸収液として利用し、二酸化炭素を化学反応によって吸収させて、選択的に分離する方法である。吸収液となるアルカリ性溶液としては、アミン、炭酸カリウム水溶液などが使用できる。
物理吸収法は、メタノールやポリエチレングリコール等の吸収液を使用して、高圧・低温下で物理的に二酸化炭素を吸収させて、選択的に分離する方法である。
吸着法は、ゼオライトや活性炭などの多孔質の吸着剤を用い、高い圧力下で吸着剤に二酸化炭素を吸収させて、選択的に分離する方法である。
深冷分離法は、混合ガスを低温に冷却して液化させ、それぞれのガスが凝縮する際の温度の違いを利用して蒸留あるいは部分凝縮によって、二酸化炭素を選択的に分離する方法である。
膜分離法は、膜による、各気体の透過速度の違いを利用して、混合ガスから二酸化炭素を選択的に分離する方法である。分離膜としては、高分子膜、セラミック膜などが利用され、いずれの膜でも、膜を介する分圧差によって二酸化炭素の透過を促し、二酸化炭素のみを透過させる。
本発明において、上記した二酸化炭素分離法のうち、いずれの方法を用いるかは、利用可能な設備に応じて適宜選択する。
吸収法は、化学吸収法と、物理吸収法と、にさらに分けられる。
化学吸収法は、二酸化炭素を選択的に溶解できるアルカリ性溶液を吸収液として利用し、二酸化炭素を化学反応によって吸収させて、選択的に分離する方法である。吸収液となるアルカリ性溶液としては、アミン、炭酸カリウム水溶液などが使用できる。
物理吸収法は、メタノールやポリエチレングリコール等の吸収液を使用して、高圧・低温下で物理的に二酸化炭素を吸収させて、選択的に分離する方法である。
吸着法は、ゼオライトや活性炭などの多孔質の吸着剤を用い、高い圧力下で吸着剤に二酸化炭素を吸収させて、選択的に分離する方法である。
深冷分離法は、混合ガスを低温に冷却して液化させ、それぞれのガスが凝縮する際の温度の違いを利用して蒸留あるいは部分凝縮によって、二酸化炭素を選択的に分離する方法である。
膜分離法は、膜による、各気体の透過速度の違いを利用して、混合ガスから二酸化炭素を選択的に分離する方法である。分離膜としては、高分子膜、セラミック膜などが利用され、いずれの膜でも、膜を介する分圧差によって二酸化炭素の透過を促し、二酸化炭素のみを透過させる。
本発明において、上記した二酸化炭素分離法のうち、いずれの方法を用いるかは、利用可能な設備に応じて適宜選択する。
本実施例では、以下の条件にて、フォトマスク用ガラス基板(合成石英ガラス基板)の主面を研磨し、研磨後のフォトマスク用ガラス基板の主面を物理洗浄した。以下において例1〜4は比較例、例5〜7は実施例である。
・研磨条件
研磨剤としてコロイダルシリカを使用して、フォトマスク用ガラス基板の主面を化学機械研磨した。コロイダルシリカの平均粒子径は、約30nmであり、研磨液として、硝酸を使用してpHを2に調整して供給した。
・物理洗浄条件
フォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)を、超純水に周波数1MHzの超音波を印加して超音波洗浄した。
物理洗浄のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)を、洗浄液の除去等の目的でリンス液として超純水を使用してリンスし、その後、スピン乾燥させた。
洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中の酸素(O2)濃度(ppm)と二酸化炭素(CO2)濃度(体積%)を変化させ、スピン乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)上に残留する大きさ60nm以上の欠陥数を、マスクガラス欠陥検査機(レーザーテック社製MAGICS)を用いて測定した。
また、洗浄液の除去等の目的で実施するリンスの際、供給する超純水のpHは7である。洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、スピン乾燥を実施する雰囲気中に2分間放置した超純水のpHをポータブル型pHメータ(HORIBA社製LAQUAact D−70)を用いて測定した。
結果を下記表1にまとめる。
次に、表1に示す例1〜7のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)を以下の手順にて洗浄した。
(1)UV光(波長172nm)照射による洗浄
(2)超純水に周波数1MHzの超音波を印加した超音波洗浄(物理洗浄)
(3)洗浄液の除去等の目的で、リンス液として超純水を使用してリンスし、その後スピン乾燥
なお、上記(3)の手順において、洗浄液の除去等を目的とするリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中のO2濃度(体積%)およびCO2濃度(ppm)は、表1における例1と同一条件とした。
(3)の手順まで経た後、フォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)上に残留する大きさ60nm以上の欠陥数を、マスクガラス欠陥検査機(レーザーテック社製MAGICS)を用いて再度測定し、再洗浄によっても位置が変化しない、フォトマスク用ガラス基板の主面に強固に結合している「不動欠陥」数を測定した。
細書では、「不動欠陥」とする。)も存在する。
結果を下記表2にまとめる。なお、表2中の雰囲気中のガス濃度(O2濃度(体積%)、CO2濃度(ppm))は、表1における雰囲気中のガス濃度(O2濃度(体積%)、CO2濃度(ppm))をそのまま示したものである。
表1より、スピン乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)上の残留欠陥数は、洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中のO2濃度およびCO2濃度に依存しており、雰囲気中のCO2濃度が低く、O2濃度が高いほど残留欠陥数が少なくなっている。雰囲気中のCO2濃度が6ppm以下、O2濃度が10体積%以上の例5〜7は、いずれも残留欠陥数が20未満であった。
一方、表2より、フォトマスク用ガラス基板の主面に強固に結合している「不動欠陥」数は、洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中のO2濃度が低いほど高くなることがわかる。雰囲気中のCO2濃度が0ppm、O2濃度が0体積%の例4は、表1に示す残留欠陥数は15と少ないが、表2に示す5〜7は、「不動欠陥」数は10超と高かった。
・研磨条件
研磨剤としてコロイダルシリカを使用して、フォトマスク用ガラス基板の主面を化学機械研磨した。コロイダルシリカの平均粒子径は、約30nmであり、研磨液として、硝酸を使用してpHを2に調整して供給した。
・物理洗浄条件
フォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)を、超純水に周波数1MHzの超音波を印加して超音波洗浄した。
物理洗浄のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)を、洗浄液の除去等の目的でリンス液として超純水を使用してリンスし、その後、スピン乾燥させた。
洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中の酸素(O2)濃度(ppm)と二酸化炭素(CO2)濃度(体積%)を変化させ、スピン乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)上に残留する大きさ60nm以上の欠陥数を、マスクガラス欠陥検査機(レーザーテック社製MAGICS)を用いて測定した。
また、洗浄液の除去等の目的で実施するリンスの際、供給する超純水のpHは7である。洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、スピン乾燥を実施する雰囲気中に2分間放置した超純水のpHをポータブル型pHメータ(HORIBA社製LAQUAact D−70)を用いて測定した。
結果を下記表1にまとめる。
次に、表1に示す例1〜7のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)を以下の手順にて洗浄した。
(1)UV光(波長172nm)照射による洗浄
(2)超純水に周波数1MHzの超音波を印加した超音波洗浄(物理洗浄)
(3)洗浄液の除去等の目的で、リンス液として超純水を使用してリンスし、その後スピン乾燥
なお、上記(3)の手順において、洗浄液の除去等を目的とするリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中のO2濃度(体積%)およびCO2濃度(ppm)は、表1における例1と同一条件とした。
(3)の手順まで経た後、フォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)上に残留する大きさ60nm以上の欠陥数を、マスクガラス欠陥検査機(レーザーテック社製MAGICS)を用いて再度測定し、再洗浄によっても位置が変化しない、フォトマスク用ガラス基板の主面に強固に結合している「不動欠陥」数を測定した。
細書では、「不動欠陥」とする。)も存在する。
結果を下記表2にまとめる。なお、表2中の雰囲気中のガス濃度(O2濃度(体積%)、CO2濃度(ppm))は、表1における雰囲気中のガス濃度(O2濃度(体積%)、CO2濃度(ppm))をそのまま示したものである。
表1より、スピン乾燥後のフォトマスク用ガラス基板の主面(被研磨面)上の残留欠陥数は、洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中のO2濃度およびCO2濃度に依存しており、雰囲気中のCO2濃度が低く、O2濃度が高いほど残留欠陥数が少なくなっている。雰囲気中のCO2濃度が6ppm以下、O2濃度が10体積%以上の例5〜7は、いずれも残留欠陥数が20未満であった。
一方、表2より、フォトマスク用ガラス基板の主面に強固に結合している「不動欠陥」数は、洗浄液の除去等の目的で実施するリンス、および、その後のスピン乾燥を実施する雰囲気中のO2濃度が低いほど高くなることがわかる。雰囲気中のCO2濃度が0ppm、O2濃度が0体積%の例4は、表1に示す残留欠陥数は15と少ないが、表2に示す5〜7は、「不動欠陥」数は10超と高かった。
Claims (4)
- リンス液として超純水を使用してフォトマスク用ガラス基板の主面をリンスするリンス工程、および、リンス後のフォトマスク用ガラス基板を乾燥させる乾燥工程を有し、
前記リンス工程、および、前記乾燥工程を、二酸化炭素濃度6ppm以下、かつ、酸素濃度10体積%以上の雰囲気中で実施することを特徴とするフォトマスク用ガラス基板のリンス方法。 - 前記雰囲気中の二酸化炭素濃度は、吸収法、吸着法、深冷分離法、および、膜分離法からなる群から選択される少なくとも1つの二酸化炭素分離方法の使用により達成される、請求項1に記載のフォトマスク用ガラス基板のリンス方法。
- 前記乾燥工程において、前記フォトマスク用ガラス基板をスピン乾燥する、請求項1または2に記載のフォトマスク用ガラス基板のリンス方法。
- 前記フォトマスク用ガラス基板が、SiO2を主成分とする石英ガラス基板である、請求項1〜3のいずれかに記載のフォトマスク用ガラス基板のリンス方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023166961A1 (ja) * | 2022-03-03 | 2023-09-07 | Agc株式会社 | 超音波洗浄ヘッド、基板洗浄方法、基板洗浄装置、基板の製造方法、およびeuvl用マスクブランクの製造方法 |
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2014
- 2014-06-16 JP JP2014123412A patent/JP2016002510A/ja active Pending
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