JP2016000960A - 輸送機械用の電動圧縮機 - Google Patents

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剛士 池▲高▼
Takeshi Iketaka
剛士 池▲高▼
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Takayuki Suzuki
孝幸 鈴木
中野 浩児
Koji Nakano
浩児 中野
磯部 真一
Shinichi Isobe
真一 磯部
石川 雅之
Masayuki Ishikawa
石川  雅之
孝志 中神
Takashi Nakagami
孝志 中神
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Kenichi Aiba
謙一 相場
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Mikito Sasaki
幹人 佐々木
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将弘 太田
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源太 慶川
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Abstract

【課題】より一層の小型軽量化を実現できる輸送機械用の電動圧縮機を提供すること。【解決手段】自動車等の輸送機械に設けられる冷媒回路に接続される電動圧縮機は、モータ10と、モータ10を駆動させるモータ駆動回路部20と、モータ10の回転出力により回転される羽根車30を有するとともに、羽根車30の回転に伴って冷媒回路から吸入される冷媒を圧縮し、冷媒回路に向けて吐出する遠心式の圧縮機構3と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両等の輸送機械の空調、および冷凍、冷蔵に用いられる電動圧縮機に関する。
自動車に搭載される空気調和機は、モータと、モータの出力により駆動される容積式圧縮機構とを有する電動圧縮機を備えている。その容積式圧縮機構としては、典型的にはスクロール型圧縮機構が用いられている(例えば、特許文献1)。スクロール圧縮機構は、渦巻状のラップ同士が噛み合わせられる一対のスクロール部材を有している。固定される一方のスクロール部材に対して、モータのシャフトに偏心して設けられる他方のスクロール部材が公転旋回運動するのに伴って、スクロール部材間の圧縮空間の容積が漸次減少する。スクロール部材の外周部から圧縮空間内に吸入される冷媒ガスは、スクロール部材の回転に伴って次第に圧縮され、スクロール部材の中心部から冷媒回路に向けて吐出される。
特開2012−132314号公報
自動車、船舶、および航空機等、それ自体が移動する輸送機械用の電動圧縮機は、搭載スペース、走行距離の向上などの観点から、小型軽量化の要求が大きい。ここで、電動圧縮機では、モータの重量が全重量の半分程度をも占める。
モータを小型軽量化するために、低トルクで高速回転可能な圧縮機構が必要になる。
しかし、スクロール型圧縮機構は、スクロール部材を偏心回転させることから、高速回転に耐える強度を得るのが難しく、許容される回転数が1万回/分程度である。そのため、現行のスクロール型圧縮機と同等の冷媒の流量を確保するのにあたり、スクロール部材を小さくすることが困難である。
本発明は、より一層の小型軽量化を実現できる輸送機械用の電動圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機は、輸送機械に設けられる冷媒回路に接続される電動圧縮機であって、モータと、モータを駆動させるモータ駆動回路部と、モータの回転出力により回転される羽根車を有するとともに、羽根車の回転に伴って冷媒回路から吸入される冷媒を圧縮し、冷媒回路に向けて吐出する遠心式の圧縮機構と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、遠心式の圧縮機構の羽根車は偏心しないので、当該圧縮機構を高速で回転させることができる。これにより、圧縮機構の容積を低減しつつ、冷媒回路に送り出される冷媒の流量を確保できる。したがって、モータを低トルク化することで、電動圧縮機の全体重量に占める割合が大きいモータを小型軽量化できる。その結果、電動圧縮機を大幅に小型軽量化できる。その上、圧縮機構やモータの小型軽量化により、部材コストも抑えられる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、圧縮機構は、羽根車の回転軸を中心とする渦巻状に形成されるとともに、羽根車の外周部に連通する上流側から下流側に向けて流路断面積が次第に拡大するスクロールを備える。
このスクロール内を冷媒が減速されることにより、羽根車により圧縮された冷媒をさらに昇圧することができる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、モータの回転軸と、圧縮機構の回転軸とが同一軸線上に設けられ、モータ側から圧縮機構側まで冷媒回路の冷媒が吸入される吸入流路が設けられ、モータ駆動回路部は、吸入流路の上流側に配置されていることが好ましい。
本発明では、吸入流路を流れる冷媒によってモータおよびモータ駆動回路部を冷却している。モータ駆動回路部は、吸入流路の上流側に位置するので、モータの通過に伴って温められる冷媒の温度よりも低温の冷媒によって効率良く冷却される。
また、吸入流路を流れる冷媒により、モータのシャフトおよび軸受をも冷却することができるので、摺動面の摩擦熱による熱膨張によって摺動抵抗が増加するのを避けることができる。
ここで、本発明における吸入流路は、その少なくとも一部がモータの軸線に沿って形成されていることが好ましい。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、モータの回転軸と、圧縮機構の回転軸とが変速機を介して接続され、モータ側から圧縮機構側まで冷媒回路の冷媒が吸入される吸入流路が設けられ、モータ駆動回路部は、吸入流路の上流側に配置されていることも好ましい。
これにより、モータの回転数を低く抑えることができるので、ロータに発生する応力を緩和でき、モータの信頼性向上が図れる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、モータは、ロータと、ロータの外周を囲むステータと、ロータおよびステータを収容するモータケースと、を備え、モータケースは、ステータの外周を囲むとともに、一端側が圧縮機構に対向する胴部と、胴部の他端側を覆う蓋部と、を有し、モータ駆動回路部は、蓋部に対向する回路基板を有することが好ましい。
この構成によれば、圧縮機構に対向するために冷媒圧縮に伴う高熱に臨むとともに、圧縮機構からモータ側に冷媒が漏れることにより温度が上昇する羽根車背面近傍に対して、回路基板が離隔している。これにより、圧縮機構から回路基板に伝達される熱の影響を抑えられるので、モータ駆動回路部が吸入流路の上流側に配置されることとの相乗により、回路基板上の回路部品をより効率良く冷却できる。
上記構成の電動圧縮機は、輸送機械に設けられる支持体によって支持され、圧縮機構は、輸送機械の外殻前面と、モータ駆動回路部との間に配置されていることが好ましい。
こうすると、輸送機械の衝突時に外殻が破壊されたとしても、圧縮機構が衝撃荷重を受けるので、モータ駆動回路部が損傷するのを未然に防止できる。これにより、衝突時にモータ駆動回路部から輸送機械のボディ等に大電流が流れるのを阻止できる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、モータは、ロータと、ロータの外周を囲むステータと、ロータおよびステータを収容するモータケースと、を備え、モータケースは、ステータの外周を囲むとともに、一端側が圧縮機構に対向する胴部と、胴部の他端側を覆う蓋部と、を有し、モータ駆動回路部は、胴部に対向する回路基板を有することが好ましい。
遠心式の圧縮機構は、圧縮機構からモータ側に漏れる冷媒の状態を検出し、その検出結果に基づいて制御することで運転が安定する。上記構成によれば、回路基板を吸入流路の上流側に配置するとともに、回路基板を圧縮機構の近くまで延出させることができるので、回路基板上の回路部品を冷却する効果を得ながら、圧縮機構周辺の冷媒圧力や冷媒温度等を検出するセンサを回路基板に設け易い。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、モータ側と、圧縮機構側とを区分する区分部材を備え、羽根車の背面がモータに対向し、吸入流路は、羽根車の外周部よりも外側で圧縮機構とモータ部との区分部材を貫通し、圧縮機構は、吸入流路の終端および羽根車の入口の間に介在する吸入チャンバを有することが好ましい。
この構成では、吸入流路が羽根車のハブ側に回り込み、吸入チャンバにより整流された冷媒が羽根車に吸入される。これにより、羽根車内に冷媒がスムーズに吸入されるので、圧縮効率が向上するとともに、冷媒の吸入に伴う騒音を低減できる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、圧縮機構は、羽根車およびスクロールを収容するハウジングを備え、ハウジング内は、吸入チャンバと、羽根車の出口および冷媒回路の間に介在する吐出チャンバと、に仕切られていることが好ましい。
これによれば、圧縮機構のハウジング内を仕切ることにより、吸入チャンバと吐出チャンバとを容易に形成できる。そして、吐出チャンバによるマフラー効果により脈動を抑制できる。さらに、スクロールの出口に対して、吐出チャンバのポートに接続されるホースの径が縮小するところ、ホースと羽根車との間に介在する吐出チャンバにより、脈動を低減できる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、モータは、内側に向けて突出する複数のステータ突極を有する環状のステータと、ステータ突極に設けられるコイルと、ステータの内側にステータと同軸に配置され、ステータ突極と磁路を形成可能な複数のロータ突極を有するロータと、備えるスイッチトリラクタンスモータ(switched reluctance motor;SRM)とすることができる。
コイルに印加される直流電流が2相とされるスイッチトリラクタンスモータでは、ロータは、その電気角に応じたインダクタンス特性に基づいて一定の回転方向に回転され、ステータ突極は、その基端の中心で引いた法線に対して傾斜し、基端の中心よりも先端の中心が回転方向の後方に位置し、ロータ突極は、上記法線に対して回転方向の前方側の磁束鎖交数が回転方向の後方側の磁束鎖交数よりも多いことが好ましい。
上記のように構成すると、ステータ突極が、基端よりも先端が回転後方に位置するように傾斜し、その先端の回転後方側が隣接するステータ突極に向けて張り出している。このため、励磁されたステータ突極にロータ突極が早期に到達し、同相のステータ突極とロータ突極との間に磁路が早期に形成される。その結果、励磁された第1の相のインダクタンスの極大点に対応する電気角に対して、第2の相のインダクタンスの極小点に対応する電気角が回転方向の後方にシフトされる。すると、後述する実施形態に示すように、第1の相、第2の相のいずれか一方の相の極小点周辺のインダクタンス特性は、他方の相の極大点の電気角に対して非対称となり、回転後方側の変化分(変化率)よりも回転前方側の変化分が大きくなる。
したがって、一方の相のインダクタンスが変化していない電気角にロータが静止しているときでも、他方の相を励磁すれば、他方の相のインダクタンスの変化分が大きい回転前方側に、ロータを回転させる起動トルクが得られる。
その上、磁束鎖交数が法線に対して回転前方側で多くなるように、ロータ突極が非対称に形成されることによっても、励磁された一方の相のインダクタンスの極大点に対応する電気角に対して、他方の相のインダクタンスの極小点に対応する電気角が回転後方にシフトされる。これにより、インダクタンスの非対称特性が高まるので、起動トルクをより確実に得られる。
さらに、上記のようにステータ突極が非対称の形状とされるのに加えて、ロータも非対称の形状とされているので、後述する実施形態で説明するように、回転方向を一定方向に決めるのに足りるインダクタンス非対称性を確保できる。これにより、回転方向を一定とすることが必要な用途にも2相スイッチトリラクタンスモータを採用することが可能となる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、スイッチトリラクタンスモータの制御に関し、モータ駆動回路部が、コイルを流れる電流およびロータの角速度の少なくとも一方からなる制御パラメータを用いて、起動後のスイッチトリラクタンスモータを定常速度および定常トルクの少なくとも一方である定常状態に維持する定常制御系と、ステータを点弧角から消弧角までの励磁区間で励磁する励磁制御部と、定常状態において点弧角および消弧角の少なくとも一方である励磁タイミングを探索する励磁タイミング探索部と、を備えていることが好ましい。励磁タイミング探索部は、励磁タイミングを変更し、制御パラメータを観測しながら、制御パラメータの値がより小さい適正励磁タイミングを探索し、適正励磁タイミングを励磁区間に反映させる。
この発明によれば、励磁タイミング探索部により、制御パラメータに基づいて効率が良いことが検証された励磁タイミングで励磁するため、製造誤差や使用環境に起因するモータ特性の変化や、位置センサの取付誤差には関係なく、モータの駆動効率を確実に向上させることができる。
本発明では、探索を通じて励磁タイミングを適正化することにより、ロータ位置を特定することなく効率向上の目的を遂げるので、ロータの位置検出あるいは位置推定の絶対位置がずれていてもよくなる。
本発明における励磁タイミングの探索は、定常制御系による制御の下、制御パラメータがほぼ一定とされることに依拠している。したがって、トルク変動が少なく、回転数が一定に保たれ易いために制御パラメータがほぼ一定となる遠心式の圧縮機構を回転させるスイッチトリラクタンスモータには、本発明を特に好ましく適用できる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、スクロールの周方向の一部には、他の部分とは流路断面形状が相違する旋回流変調部が形成され、旋回流変調部には、冷媒から分離されて旋回流変調部に溜まる潤滑油を、モータを収容するケース内へと戻す油戻し経路が形成されていることが好ましい。
スクロールに沿って旋回流をなす冷媒に働く遠心力により、冷媒よりも比重が大きい潤滑油が冷媒から分離され、流路を形成する壁面の外周側に付着する。潤滑油は、冷媒の流れにより、壁面に沿って下流側へと搬送される。
ここで、旋回流変調部では流れ場が急激に変化するので、旋回流は、比重が大きいために流れの急激な変化には追従できない潤滑油を残して旋回流変調部を抜けていく。旋回流変調部では、潤滑油が集まって油溜まりを形成し、その潤滑油は油戻し経路からモータのケース内へと戻される。
したがって本発明によれば、遠心分離された潤滑油が旋回流変調部における流れ場の変化によって回収されるので、別途油分離器を設置する必要がない。これにより、電動圧縮機の小型・軽量化を図ることができるとともに、コストも抑えられる。
本発明の輸送機械用の電動圧縮機では、スクロールの終端部またはその近傍には、スクロール内の旋回流の前方に位置する正面壁と、旋回流に対して交差する向きに開口する出口と、冷媒から分離されて終端部またはその近傍に溜まる潤滑油を、モータを収容するケース内へと戻す油戻し経路と、が形成されていることが好ましい。
スクロール内の旋回流は、遠心分離されて流路壁面の外周側に付着する潤滑油を壁面伝いに搬送しながら、スクロールの終端部またはその近傍まで到達すると、正面壁への衝突により出口に向けて向きを変える。このように旋回流を転向させると、冷媒よりも比重が大きい潤滑油は旋回流に追従できず、壁面外周側に残される。そのため、終端部またはその近傍には油溜まりが形成され、その潤滑油は、油戻し経路からモータのケース内へと戻される。
したがって本発明によれば、別途油分離器を設置することなく、冷媒から分離された潤滑油をスクロールの終端部またはその近傍で回収できるので、電動圧縮機の小型・軽量化を図ることができるとともに、コストも抑えられる。
本発明によれば、より一層の小型軽量化を実現できる輸送機械用の電動圧縮機を提供できる。
第1実施形態に係る電動圧縮機の縦断面図である。 (a)は、図1のIIa−IIa線断面図である。(b)は、図1のIIb−IIb線断面図である。 羽根車の斜視図である。 ラビリンスシール部を示す断面図である。 自動車のフロント部に電動圧縮機が取り付けられた状態を車体パネルの一部を破断して示す図である。 冷媒の流れを示す電動圧縮機構の縦断面図である。 第1実施形態の変形例を示す電動圧縮機の横断面図である。 第2実施形態に係る電動圧縮機構の縦断面図である。 第2実施形態の変形例に係る電動圧縮機構の縦断面図である。 第3実施形態に係る電動圧縮機構の縦断面図である。 第3実施形態の変形例を示す縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係る電動圧縮機の縦断面図である。 第4実施形態の変形例に係る電動圧縮機の縦断面図である。 (a)および(b)共に、第6実施形態に係る電動圧縮機構に搭載される2相スイッチトリラクタンスモータのステータおよびロータの横断面を示す模式図である。 第6実施形態の2相スイッチトリラクタンスモータのインダクタンスを示す図である。 (a)は、3相スイッチトリラクタンスモータのインダクタンスを示す模式図である。(b)は、典型的な形状とされたステータ突極およびロータ突極を有する2相スイッチトリラクタンスモータの横断面を示す模式図である。(c)は、(b)に示される2相スイッチトリラクタンスモータのインダクタンスを示す模式図である。 (a)は、第6実施形態との比較例を示す図である。(b)は、ステータ形状の変形例を示す図である。 ロータ形状の変形例を示す図である。 スイッチトリラクタンスモータの駆動波形を示す模式図である。ここでは1相の駆動波形のみを示している。 第7実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの制御のための制御ブロック図である。 (a)は点弧角の探索例を示す図であり、(b)は消弧角の探索例を示す図である。 第7実施形態の変形例に係るスイッチトリラクタンスモータの制御のための制御ブロック図である。 第8実施形態に係る電動圧縮機のスクロールシュラウドの平面図である。 (a)は、図23のXXIVa−XXIVa線断面図であり、(b)は、図23のXXIVb−XXIVb線断面図である。 第9施形態に係る電動圧縮機のスクロールシュラウドの出口付近を示し、図23のXXV−XXV線に相当する位置で破断した断面図である。 第9施形態の変形例に係るスクロールシュラウドの平面図である。
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示す電動圧縮機1は、自動車に搭載される空気調和機を構成している。空気調和機は、冷媒(R134A,R1234yf,CO等)を循環させる冷媒回路により相互に接続される電動圧縮機1、室外熱交換器、室内熱交換器、膨張弁等を備えている。なお、室外および室内の熱交換器、膨張弁等の図示は省略する。
電動圧縮機1は、モータ10と、モータ10に電流を供給するモータ駆動回路部20と、モータ10の出力により回転される遠心式の圧縮機構3と、内部が密閉されるハウジング4とを備えている。モータ10と圧縮機構3とは、各々の回転軸が同一軸線上に設定されており、共通のシャフト5により結合されている。シャフト5の後端5A側から前端5B側に向けて、モータ駆動回路部20、モータ10、および圧縮機構3の順に配置されている。
ハウジング4は、モータハウジング41および圧縮機構ハウジング42を有している。モータハウジング41および圧縮機構ハウジング42については後述する。
(モータの説明)
モータ10は、ステータコイル12が設けられる環状のステータ13と、ステータ13の内側に配置されるロータ14と、ステータ13、ロータ14、および後述するモータ駆動回路部20の回路基板21並びに回路部品を収容するモータハウジング41と、を備えている。モータ10は、スイッチトリラクタンスモータのほか、DCブラシレスモータなども利用できる。
ステータ13は、モータハウジング41の内面に固定されている。ステータ13の外周部には、軸線方向に沿って切欠130が形成されている。切欠130は、ステータ13の周方向の複数箇所に形成されている。
ロータ14は、シャフト5の外周に焼嵌め、圧入等により固定されている。ステータコイル12に通電されると、ロータ14は、その外周を囲むステータ13に対して相対回転される。ロータ14の回転は、シャフト5を介して圧縮機構3に伝達される。
(モータハウジングの説明)
モータハウジング41は、モータ駆動回路部20を収容する回路ケース415と、ステータ13の外周を囲むモータケース410とからなる。そして、隔壁部412は、回路ケース415とモータケース410とを区切る円板状の金属部材である。円筒状の胴部411の隔壁部412よりも後端側において、回路ケース415の回路基板21および回路部品を収容するスペースが設けられている。
また、回路基板21および回路部品を収容するスペースは、回路ケースカバー413で封止される。
(モータハウジング内の吸入流路の説明)
圧縮機構3に向けて開口するモータケース410の前端部には、モータ10側の冷媒圧力と圧縮機構3側の冷媒圧力とを区分するシールプレート17がシャフト5と垂直に設けられている。シールプレート17の外周は、胴部411の内面に図示しないピンやボルトで固定されている。シールプレート17には、後述する羽根車30の一部が配置される開口170が形成されている。
胴部411には、冷媒回路の配管を構成するホース15が接続される吸入ポートP1が形成されている。吸入ポートP1は、隔壁部412とステータ13との間に位置している。モータ10が出力する回転駆動力により羽根車30が回転されると、冷媒回路内の冷媒が、ホース15および吸入ポートP1を介してモータケース410内に吸入される。この冷媒(冷媒ガス)の吸入流路18は、吸入ポートP1を始端として、ステータ13の切欠130を通じてシャフト5の軸線方向に沿って延び、さらにシールプレート17を羽根車30の外周部30Cよりも外側で貫通する通気開口171を介して圧縮機構3側まで延びている(図2の矢印参照)。
吸入ポートP1から吸入されるときの流路断面積の拡大に伴う冷媒の乱れは、シャフト5にほぼ沿って吸入流路18を流れる過程で整流される。通気開口171は、図2(a)に示すように、シールプレート17の外周に形成された渦巻状の切欠171Aと、胴部411内壁との間に形成されている。
また、回路ケース415には、電動圧縮機1を支持体に固定するための脚部411A(図1)が設けられている。モータケース410は圧力容器になっているため、車両取り付け時の脚部411Aへの応力によるモータケース410の変形は好ましくない。そのため、回路ケース415に脚部411Aを設置するのが好ましい。
(シャフトおよび軸受の説明)
シャフト5は、後端5Aが軸受6Aにより回転可能に支持されるとともに、前端5Bが軸受6Bにより回転可能に支持されている。これらの軸受6A,6Bとシャフト5との摺動面には、冷媒に含まれる潤滑油が供給される。また、圧縮機構3のスクロールシュラウド50を貫通するシャフト5の前端5Bで、部材付加や切削などによりシャフト5の調心が行われる。
シャフト5が軸受6Aにより支持される軸受支持部の径をD1、ロータ14に固定されるロータ固定部の径をD2、羽根車30に固定される羽根車固定部の径をD3、軸受6Bにより支持される軸受支持部の径をD4とする。
ここで、シャフト径dと回転数Nとの積(dN値)により示される使用条件の指標に基づけば、dN値が小さいと軸受を低コスト化できるので、軸受支持部の径D1および径D4は極力小さく設定する。
羽根車30とシャフト5との結合方法は、任意であり、ナット固定も選択できるが、本実施形態では圧入を採用している。そのため、羽根車30の圧入突き当て面になるよう、軸受支持部の径D4は羽根車30の圧入部分よりも太くなるように設定している。
また、ロータ固定部の径D2は、シャフト系でロータ重量が支配的であり、剛性を高くする必要があるため太く設定する。
なお、羽根車固定部の径D3は、羽根車30のハブ31の内径に基づいて設定される。
本実施形態では、モータ10の回転軸と圧縮機構3の回転軸とが同軸のシャフト5とされているので、これらの回転軸が偏心している場合よりもシャフト5の振動を抑えられる。振動を減衰させるダンピング装置61が設けられている。
(ダンピング装置の説明)
軸受6Aを支持する軸受ケース60に設けられるダンピング装置61は、軸受ケース60に対向する枠体62と、枠体62と軸受ケース60との径方向の隙間に介在する振動吸収材63と、枠体62と軸受ケース60との軸線方向の隙間に介在する振動吸収材64とを有している。枠体62は、隔壁部412に固定されている。振動吸収材63,64は軸受ケース60の外側の面に保持されている。シャフト5の振動は軸受ケース60に伝達され、径方向の振動に対しては振動吸収材63が弾性変形し、軸線方向の振動に対しては振動吸収材64が弾性変形する。これによってシャフト5の振動が減衰される。
また、軸受6Bを支持する軸受ケース60にも、上記と同様のダンピング装置61が設けられている。その枠体62は、スクロールシュラウド50に固定されている。振動吸収材64は、スクロールシュラウド50と軸受ケース60との軸線方向の隙間に介在している。振動吸収材の設置個数は、振動量によって調整される。
このようなダンピング装置61は、シャフト近傍に偏心ピンや自転阻止機構を有するスクロール型の圧縮機構に設けるのは難しいが、それよりも構造が簡略な遠心式の圧縮機構3には容易に設けることができる。ダンピング装置61により、シャフト5の振動が抑制されるので、自動車走行に伴う外乱振動がシャフト5に入力されたとしても、電動圧縮機1を安定して駆動できる。さらに、シャフト5に生じる振動が外部に伝達されるのもダンピング装置61により抑制されるので、自動車の振動、騒音を低減できる。
(モータ駆動回路部の説明)
モータ駆動回路部20は、各種の回路部品が設けられる回路基板21と、回路基板21を収容する回路ケース415とを備えている。回路ケース415は、上述したようにモータケース410と一体に形成されている。
回路基板21は、モータハウジング41の隔壁部412に対向し、シャフト5に対して垂直に配置される姿勢で、回路基板21を厚み方向に貫通するボルト等で回路ケース415の内部に固定されている。これにより、羽根車30の回転によるシャフト5の径方向への振動がそのボルト等に伝達され難いので、ボルトの緩み等が発生し難い。
回路基板21の隔壁部412側の面には、パワーユニット23、チョークコイル(ノーマルモード)24、キャパシタ25、モータ10に接続される接続端子26が設けられている。回路基板21上の回路部品は、モータケース410内の冷媒により、隔壁部412を介して冷却される。冷媒による冷却については後述する。
なお、図示を省略するが、回路基板21は、バッテリに接続される図示しないコネクタを有している。
(パワーユニットの説明)
パワーユニット23は、詳細な図示を省略するが、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;IGBT)等の半導体素子を含む制御IC231と、半導体素子の発熱を放出させる放熱板232とを有している。パワーユニット23、チョークコイル24、およびキャパシタ25は、モータ10に供給される駆動波形を出力する回路を構成している。制御IC231は、モータ10の種類や、熱負荷に応じた適切な駆動波形を生成する。また、制御IC231は、半導体素子に流れる電流を監視し、過電流となれば半導体素子の動作を停止している。
制御IC231を含む回路基板21は、検出される羽根車30背面30B側の冷媒の圧力や温度、室内温度、外気温度等に基づいて制御指令を出す空調コントローラ(図示せず)に接続されている。
遠心式の圧縮機構3は、回転数を一定としたときの流量および圧力比により作動特性が表され、吸入流量が減少することにより、系の圧力や流量が変動し、周期的な振動に発達するサージによる失速を生じさせない安定作動域を有している。冷媒の圧力や温度に基づくフィードバック制御により、安定作動域、または効率の良い運転域で電動圧縮機1を運転させる。
接続端子26は、モータケース410内部の圧力をシールしながら、ステータコイル12に導通をとるもので、ステータコイル12に接続される複数のリードピンを有している。
以上の構成により、チョークコイル24およびキャパシタ25によってノイズが除去された直流電流が、回路基板21に供給され、パワーユニット23により生成される駆動波形が、接続端子26を介してステータコイル12に供給される。
(圧縮機構の説明)
圧縮機構3は、図1および図2(b)に示すように、シャフト5の前端5B側に結合される羽根車30と、シュラウド51およびスクロール52が一体化されたスクロールシュラウド50と、羽根車30およびスクロールシュラウド50を収容する圧縮機構ハウジング42とを有している。圧縮機構3は、羽根車30とシュラウド51との間に吸入される冷媒を、羽根車30の回転により生じる遠心力で加速するとともに圧縮し、さらにスクロール52で昇圧してから冷媒回路へと吐出する。羽根車30の入口301A(図3)から、スクロールシュラウド50の出口52Bまで、冷媒を圧縮するための圧縮流路38が形成されている。
(圧縮機構ハウジングの説明)
圧縮機構ハウジング42は、シャフト5の軸線方向に沿った円筒状の側面部421と、側面部421の前端側を覆う前面部422とを有している。側面部421の後端側は、モータケース410の胴部411に突き当てられ、それらの間はガスケット43等のシール部材によって封止されている。前面部422には、電動圧縮機1を支持体に固定するための脚部422Aが設けられている。側面部421には、位置決めピン、またはボルトにて、スクロールシュラウド50がシールプレート17とともに固定されている。
また、スクロールシュラウド50には、後述するディフューザー部521の位置から前端側にせり出す突出部523が形成され、この突出部523は、圧縮機構ハウジング42の前面部422から後端側にせり出す突出部433と、Oリング435等のシール部材を介して突き当てられている。これら突出部523,433により、圧縮機構ハウジング42の内部を吸入流路18に連通する吸入チャンバ42Aと、圧縮流路38に連通する吐出チャンバ42Bとに容易に仕切ることができる。
吸入チャンバ42Aは、吸入流路18の終端と、羽根車30の入口301Aとの間に介在している。吸入流路18から吸入チャンバ42Aに放出された冷媒は、スクロールシュラウド50の開口511を介して羽根車30の入口301Aに吸入される。
吐出チャンバ42Bは、圧縮流路38の出口52Bと、冷媒回路との間に介在している。吐出チャンバ42Bを構成する前面部422には、冷媒回路の配管を構成するホース19が接続される吐出ポートP2が形成されている。
(羽根車の説明)
羽根車30は、一面側がハブ面30A、他面側が背面30Bとされていて、図3に示すように、ハブ面30Aに立設される複数のフルブレード33と複数のスプリッタブレード34とを有している。ハブ面30Aは、羽根車30の外周部30Cから先端部30Dに向けて滑らかに連続し、軸線方向に突出するハブ31を構成している。また、図1に示すように、羽根車30は、背面30Bをモータ10に向けて配置されている。ハブ31の内側には、シャフト5の前端5B側が挿入(圧入)されている。
羽根車30のハブ面30A、背面30Bの両面は、羽根車30圧力分布より軸方向力が発生する。さらに、羽根車30は高速回転をするため大きな遠心力が働く。この軸スラスト力および遠心力に耐えうる構造としつつ、高速回転時の抵抗を低減させるために、背面30B側の中心部をシャフト5の後端5A側に向けて突出させるとともに、背面30Bの外周部とでシールプレート17とシールするようにしている。羽根車30の背面30B側は、中心部を頂点とする円錐状の凸部35が形成されることで厚肉とされており、これによって羽根車30の背面30B側の強度を増している。凸部35は、シールプレート17の開口170内に配置されている。
(非接触構造のシール部、ラビリンスシールの説明)
背面30Bの外周部には、開口170周囲のシールプレート17の面172との間を非接触構造により漏れを低減するシール部が設けられている。たとえば、図4に示すように、ラビリンスシールが用いられ、ラビリンスシール部32は、交互に配置される凹部32Aおよび凸部32Bを有している。凹部32Aおよび凸部32Bは、羽根車30の軸心を中心とする同心円状に形成されている。シールプレート17の面172には、凹部32Aおよび凸部32Bと隙間G、Hを介して噛み合う凹部17Aおよび凸部17Bが形成されている。
羽根車30の出口301B(図3)から吹き出される高圧冷媒は、羽根車30の外周端縁から背面30B側に回り込み、ラビリンスシール部32の隙間G、Hを通過する。冷媒が凹凸を径方向内側に向けて順次通過することで冷媒が抵抗となり、漏れを低減する。
その結果、ハブ面30A側と背面30B側の圧力分布により、ハブ面30A側と背面30B側の軸方向力が相殺され、シャフト5を支持する軸受6Bに加わる荷重を低減できる。
(ブレードの説明)
フルブレード33、およびスプリッタブレード34は、図3に示すように、ハブ31の上面において周方向に等ピッチで交互に立設されている。これらのフルブレード33、およびスプリッタブレード34は、周方向および軸線方向のいずれにも湾曲しており、ハブ面30Aとシュラウド51の内面との間を複数に区画している。フルブレード33、およびスプリッタブレード34の回転の向き(矢印Rの向き)の前方側は正圧面33A、34Aとされ、反対側は負圧面33B、34Bとされている。隣合うフルブレード33,33、ハブ面30A、およびシュラウド51により囲まれる空間は、冷媒の流路301とされている。スプリッタブレード34は、フルブレード33よりも冷媒の流れ方向における長さが短く、フルブレード33の間に形成される流路301の途中から出口301Bにかけて設けられている。スプリッタブレード34の傾斜はフルブレード33の傾斜と同一になる。
(羽根車内を流れる冷媒の説明)
羽根車30が回転されると、ハブ31の先端部周辺の冷媒がフルブレード33上流側の返し部331により案内されながら流路301内に吸入される。その冷媒はフルブレード33の正圧面33Aで負圧面33Bに向けて押されながら、流路断面積の広い出口301B側から遠心力により、スクロールシュラウド50内へと吹き出される。
また、冷媒に含まれる潤滑油は、スクロール52内で遠心分離されるとともに、スクロール52内に形成された図示しない油戻し経路を介してモータ10側に戻される。
スクロール52内で冷媒から遠心分離された潤滑油は、スクロール52の壁面の外周側に付着し、スクロール52に沿って流れる冷媒の旋回流によって下流側へと搬送される。
ここで、スクロール52の出口52Bは、スクロール52に沿って流れる冷媒の旋回流に対して略直交する向きに開口しているので、旋回流がスクロール52の終端部Se(図2(b))で出口52Bに向けて転向される。その旋回流の転向に、冷媒よりも比重が大きい潤滑油は追従できずに終端部Seに留まる。したがって、終端部Seで油溜まりを形成する潤滑油を図示しない油戻し経路からモータ10側に戻すことができる。
(シュラウドの説明)
スクロールシュラウド50のシュラウド51は、羽根車30の入口301Aから出口301Bまで、フルブレード33の先端との間に僅かなクリアランスを介して対向している。そのクリアランスは、羽根車30とシュラウド51との間の対向面全体に亘り、均一に形成されている。シュラウド51の前端には、軸受6Bおよびダンピング装置61を支持する支持部510が設けられている。支持部510には、スクロールシュラウド50の内側に冷媒を吸入するための開口511が形成されている。
(ディフューザー部の説明)
スクロール52は、冷媒をさらに減速させることで昇圧させる。スクロール52は、スクロール本体520と、スクロール本体520の上流側に連続するディフューザー部521とが一体に形成されている。
ディフューザー部521は、羽根車30の周囲に円環状に設けられている。ディフューザー部521とシールプレート17との間に形成される流路522は、各流路301の出口301Bと連通している。
(スクロール本体の説明)
スクロール本体520は、図2(b)に示すように、ディフューザー部521の周囲に、羽根車30の軸心を中心として略360°の渦巻状に設けられている。このスクロール本体520の中心から側面部421までの距離に対応する開口幅Wを有する空隙Sが、スクロール本体520の周囲に形成されている。空隙Sの開口幅Wは、スクロール本体520の始端部Ss(巻き始め)で最も大きく、終端部Se(巻き終わり)に向けて次第に小さくなっている。上述のシールプレート17の通気開口171は、この空隙Sと全体的に重なっている。空隙Sは、吸入流路18の終端をなす。
スクロール本体520の流路断面積は、巻き始めの上流から巻き終わりの下流に向けて次第に拡大されている。羽根車30の各流路301から吹き出される冷媒は、ディフューザー部521に流入し、ディフューザー部521における拡散により減速された後、さらにスクロール本体520における流路断面積の拡大により減速される。スクロール本体520の出口52B(図1)は、吐出チャンバ42Bに連通している。
上記のように、巻き始めから巻き終わりに向けて次第に流路断面積が拡大されるスクロール本体520の周囲に空隙S(吸入流路18の終端)が配置されていると、圧縮され温度上昇した冷媒が通過するスクロール52の外周を吸入冷媒が通過することとなる。このため、圧縮冷媒と吸入冷媒との温度が作用し合うことで、圧縮冷媒の温度は下げられるとともに、吸入冷媒の温度は上昇される。圧縮冷媒の温度が下げられると、熱変形に起因したスクロール52の損傷を防ぐことができる。また、冷媒が湿り蒸気状態で羽根車30に吸入されると、系が不安定になりサージ領域に入るおそれがあるが、吸入冷媒の温度が上昇されると、過熱蒸気状態で冷媒が羽根車30に吸入されるため、安定した圧縮が行える。
以上のように構成される電動圧縮機1は、図5に示すように、自動車のフロント部90に設けられた支持体91にボルトで固定されている。支持体91は、典型的には、自動車の駆動源であり、電気自動車の場合にはモータユニット、エンジンを搭載する自動車の場合にはエンジンユニットである。
フロント部90において、圧縮機構3は、自動車の車体パネル9Pとモータ駆動回路部20との間に配置されている。したがって、自動車の衝突により車体パネル9Pが破壊されたとしても、この圧縮機構3により、自動車の衝突時の衝撃荷重を受けるので、モータ駆動回路部20が損傷するのを未然に防止できる。これにより、自動車の衝突時にモータ駆動回路部20から車体に大電流が流れるのを阻止できる。
本実施形態の電動圧縮機1は、シャフト5と同軸で回転させることができる遠心式の圧縮機構3を用いることにより、当該圧縮機構3を高速で回転させることができる。本実施形態の定格回転数は、数万〜十数万回/分とされている。
本実施形態の電動圧縮機1は、高速回転により、圧縮機構3が冷媒回路に送り出す流量を確保できるので、容積式の圧縮機構よりも小型軽量化することができる。同じ流量で比べると、スクロール型の圧縮機構の容積に対して圧縮機構3の容積を例えば半分程度にまで低減できる。これに伴ってモータ10を低トルク化することで、電動圧縮機1の全体重量に占める割合が大きいモータ10を小型軽量化できるので、電動圧縮機1を大幅に軽量化できる。さらに、羽根車30およびスクロールシュラウド50の小型軽量化により、部材コストも抑えられる。
上記のような高速化により、銅損、鉄損、機械損に伴うモータ10の発熱が増加する上、小型化により放熱面積が小さいため、モータ10の温度が上昇する。また、モータ10の小型化に伴って部品が高密度に設けられるモータ駆動回路部20では、高速スイッチングのために半導体素子の発熱が大となる。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、吸入ポートP1からモータケース410内に吸入される冷媒によってモータ10およびモータ駆動回路部20を冷却している。吸入ポートP1から吸入された冷媒は、吸入流路18の上流側である吸入ポートP1の近傍に位置するモータ駆動回路部20を冷却しながら、モータ10の軸線方向に沿ってシャフト5の前端5Bに向けて流れ、モータ10をも冷却する。吸入流路18の上流側に位置するモータ駆動回路部20は、モータ10の通過に伴って温められる冷媒の温度よりも低温の冷媒によって効率良く冷却される。
ここで、本実施形態では、冷媒圧縮に伴う高熱に臨むとともに、ラビリンスシール部32を介してモータ10側に冷媒が漏れることにより温度が上昇する羽根車30の背面近傍に対して、回路基板21が離隔している。このため、圧縮機構3から回路基板21に伝達される熱の影響を抑えられるので、回路基板21上の半導体素子をより効率良く冷却できる。
以上の本実施形態によれば、モータ10およびモータ駆動回路部20の過熱、焼損を避けられるととともに、半導体素子の過電流による動作停止を回避しながら電動圧縮機1を安定して運転できる。
また、モータケース410内に吸入される冷媒により、モータケース410内のシャフト5および軸受6Aも冷却されるので、これらの摩擦熱によって、熱膨張が生じて摺動抵抗が増加するのを避けることができる。
モータ10およびモータ駆動回路部20を冷却した冷媒は、吸入流路18により通気開口171および空隙Sを介して吸入チャンバ42Aに取り込まれる。この吸入チャンバ42A内を冷媒はシュラウド51の支持部510に向けて流れ、開口511から圧縮流路38に流入する。このとき、吸入チャンバ42Aが助走区間となって冷媒が整流されるので、羽根車30内に冷媒がスムーズに吸入される。これにより、圧縮効率が向上するとともに、冷媒の吸入に伴う騒音を低減できる。
そして、圧縮流路38内で加速および減速のプロセスを経ると、スクロール52の出口52Bから吐出チャンバ42Bへと冷媒が吐出される。この吐出チャンバ42Bによるマフラー効果により脈動が抑制された上で、吐出ポートP2から冷媒回路へと冷媒が吐出される。また、吐出ポートP2に接続されるホース19の径がスクロール52の出口52Bに対して縮小するところ、ホース19とスクロール52との間に吐出チャンバ42Bが介在することで流路断面積の急な縮小を避けられるので、脈動を低減できる。
〔第1実施形態の変形例〕
上述したように(図2参照)、シールプレート17の周囲の通気開口171、およびスクロール52の周囲の空隙Sは、始端から終端に向けて次第に開口幅Wが小さくなる。図7に示す第1実施形態の変形例では、電動圧縮機が脚部411Aおよび脚部422Aにより支持体91に固定されたときに(図5参照)、開口幅Wの小さい側が下方、開口幅Wの大きい側が上方に向くように、シールプレート17およびスクロール52を設置する向きが決められている。
こうすれば、冷凍サイクルにおいて吸入冷媒が十分にガス化されず液状態で吸入されたとしても、その自重により液冷媒Qが溜まるモータケース410の下部に開口幅Wが小さい側が位置するので、液冷媒Qが通気開口171および空隙S(図2(b))を通過し、ガス冷媒の流れ(図6の矢印)に乗って羽根車30内に導入されるのを抑制できる。これによって液圧縮を抑制できるので、系が不安定となってサージ領域に入り動作しなかったり、羽根車30等が損傷するのを回避できる。また、冷媒の流れの途上に位置する軸受6Bの潤滑油が液冷媒で洗い流されて損傷が生じることも回避できる。
ここで、モータケース410の下部に貯留する液冷媒Qによって通気開口171および空隙Sの下側が塞がれても、開口幅Wが大きい上側により、吸入流路18を十分な開口断面積で確保できる。
上記のような液冷媒Qの存在を考慮すると、ホース15およびホース15が設けられる吸入ポートP1は、モータケース410の下部と離間する側、例えばモータケース410の上部に設けられることが好ましい。液冷媒Qと離間した位置から冷媒を吸入すれば、吸入冷媒の流れが液冷媒Qを巻き上げ難いので、液冷媒Qが羽根車30内に導入されるのを抑制できる。
なお、本変形例は、以下に示す各実施形態にも適用できる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態(図8)について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付している。本実施形態では、構成部品の細部の図示は省略している。以降の実施形態でも同様である。
本実施形態では、直方体状に形成されるとともにモータケース410とは別体の直方体状の回路ケース415が胴部411に設けられている。胴部411に回路ケース415を介して対向する回路基板21は、シャフト5と平行に配置されている。回路基板21の胴部411側の面には、パワーユニット23、ノーマルモードのチョークコイル24、キャパシタ25、モータ10に接続される接続端子26が設けられている。
さらに、本実施形態では、胴部411の後端側を覆う蓋部416の外周寄りの位置に吸入ポートP1が形成されている。
本実施形態では、胴部411に対向する回路基板21を吸入ポートP1の近くに配置しつつ、胴部411に沿って羽根車30の近くまで延出させることができる。これにより、回路基板21上の半導体素子を冷却する効果を得ながら、羽根車30周辺の冷媒圧力や冷媒温度等を検出するセンサを回路基板21に容易に設けられる。
本実施形態においても、羽根車30の回転に伴い吸入ポートP1からモータケース410内に吸入される冷媒により、モータ10およびモータ駆動回路部20を冷却することができる。冷媒は、モータケース410内から、羽根車30の外周部30Cよりも外側でシールプレート17を貫通する通気開口171を介して吸入チャンバ42A内に取り込まれる。
羽根車その冷媒は、第1実施形態と同様に、羽根車30およびスクロール52による加速および減速により圧縮され、吐出チャンバ42Bを経て吐出ポートP2から吐出される。
図9は、図8の構成から吐出チャンバ42Bを省略した例を示す。スクロール52の出口52Bから吐出される冷媒は、上述の吐出チャンバ42Bを経ることなく冷媒回路へと吐出される。
なお、第1実施形態においても、スクロール52から吐出される冷媒の脈動や、吐出冷媒の圧力損失に鑑みて、吐出チャンバ42Bを省略することができる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。
本実施形態では、羽根車30のハブ31がモータ10に対向している。羽根車30を貫通するシャフト5は、羽根車30よりも前端側で軸受6Bにより支持されている。軸受6Bに設けられるダンピング装置61は、シールプレート17よりも前端側に設けられるプレート44に固定されている。
羽根車30の向きが第1実施形態とは逆向きとされる本実施形態では、モータケース410内に吸入された冷媒は、シュラウド51の中央部に形成される開口512から羽根車30内に吸入される。これにより、第1実施形態のように羽根車30の外周側から羽根車30のハブ31に向けて流路を取り回す必要がないので、羽根車30の周囲の構造を簡略にできる。
図11は、第3実施形態の変形例を示す。モータケース410内で、シャフト5は、ロータ14の軸線方向両端側に設置された軸受6A,6Bにより支持されている。前端5B側の軸受6Bは、羽根車30のハブ31に対向している。このため、軸受6Bは、羽根車30内で圧縮された高温冷媒による温度影響を受け難い。これにより、軸受6A,6Bのいずれにおいても、熱膨張による摺動抵抗の増加を避けることができる。
〔第4実施形態〕
次に、図12に示す第4実施形態の電動圧縮機は、モータ10と、モータ10の回転軸に同軸に設けられる圧縮機構3と、モータケース410の胴部411に沿って設けられるモータ駆動回路部20とを備えている。羽根車30は、背面側をモータ10に向けて配置されている。本実施形態では、羽根車30内に冷媒を吸入させるのに、ハブ31の近傍に吸入ポートP1を設けるだけで足りるので、構造を簡略にできる。
さらに、本実施形態では、シャフト5の周囲に設けられるシール部材53により圧縮機構3内の圧力を封止している。シールプレート17の中央部の開口170の周縁には、後端5A側に突出する筒状部173が形成されている。シール部材53は、筒状部173の内壁とシャフト5の外周との間に設けられている。
本実施形態では、シール部材53を設けることにより、モータケース410内を大気圧雰囲気にするとともに、シャフト5を支持する軸受6A,6Bをモータケース410内に配置している。したがって、軸受6A,6Bが冷媒流に曝されず、軸受6A,6Bにグリース等の潤滑剤を設けても除去されないので、潤滑剤を軸受6A,6Bに直接設ける潤滑方式を採用している。これにより、潤滑性を向上させることができる。また、冷媒に潤滑油が混入するのを避けられるので、圧縮効率を向上させることができる。
なお、図13に示すように、モータ駆動回路部20を羽根車30のハブ31側に配置することもできる。モータ駆動回路部20は、羽根車30の軸線の周りにドーナツ状に形成されている。このように、吸入ポートP1の近傍にモータ駆動回路部20が配置されていると、吸入ポートP1から吸入される冷媒によってモータ駆動回路部20を効率良く冷却することができる。
〔第5実施形態〕
上記各実施形態において、モータ10と圧縮機構3とは、各々の回転軸が同一軸線上に設定されており、共通のシャフト5により結合されているが、たとえば、モータ10と圧縮機構3との間に変速機を設けてもよい。これによって、モータ10の回転数を低く抑えることができるので、ロータ14に発生する応力を緩和でき、モータ10の信頼性向上が図れる。
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態では、圧縮機構3を駆動するモータ10として、印加される直流電流が2相である2相スイッチトリラクタンスモータを用いる。以下では、2相の一方をA相、他方をB相として説明する。
図14(a)に示すように、ステータ13には4つのステータ突極71〜74が形成されている。ステータ13の内側にステータ13と同軸に配置されるロータ14には、2つのロータ突極81,82が形成されている。
ステータ13は、図1に示すように、複数の磁性鋼板が軸線方向に重ねられた積層体とされている。ロータ14も、複数の磁性鋼板が軸線方向に重ねられた積層体とされている。図14は、これら積層体の断面形状を示している。図17および図18も同様である。
ステータ13の内周面13Sから等間隔に突出するステータ突極71〜74は、A相の直流電流により励磁されるA群と、B相の直流電流により励磁されるB群とに、周方向において交互に振り分けられている。A群のステータ突極71,73に直列に巻かれるステータコイル12Aには、A相の直流電流が印加される。B群のステータ突極72,74に直列に巻かれるステータコイル12Bには、B相の直流電流が印加される。なお、ステータコイル12Aおよびステータコイル12Bは、各ステータ突極71〜74に所定の巻数で設けられている。また、ステータコイル12A,12Bは、ステータコイル12と総称する。
A相およびB相の直流電流が交互に印加されると、ロータ14は、反時計回りの矢印で示すように、一定の回転方向R+に回転される。
ステータ突極71〜74はいずれも、その基端7Bの中心XBからロータ14の回転中心Xに向けて引いた法線L1に対して傾斜している。法線L1は、ステータ13の内周面13Sに沿った円周上の点(中心XB)における法線である。
ステータ突極71〜74の先端7Aは、基端7Bに対して回転方向R+の後方(以下、回転後方)RBにずれた位置にある。各ステータ突極71〜74は、回転中心Xに対して回転対称に形成されている。
先端7Aは、回転中心Xを中心とする凹円弧状に形成されている。ステータ突極71〜74が傾斜していることにより、先端7Aの回転後方RB側は、隣接するステータ突極に向けて略三角状に張り出している。
ロータ突極81,82は、回転中心Xに対して互いに180度点対称に突出している。対向するステータ突極71〜74の先端7Aとの間に形成される磁路の断面積を増やすために、ロータ突極81,82は、先端8Aに向けて幅が少し拡がる形状をしている。
先端8Aは、回転中心Xを中心とする凸円弧状の等ギャップ部G1と、等ギャップ部G1の回転後方RB側に連なる不等ギャップ部G2とからなる。
等ギャップ部G1は、ステータ突極71〜74の先端7Aとの間に均一のギャップを形成している。
不等ギャップ部G2は、等ギャップ部G1の端部から回転後方RBに向けて直線状に形成されている。不等ギャップ部G2と先端7Aとの間には、回転後方RBに向けて次第に大きくなる不等ギャップが形成されている。
本実施形態では、等ギャップ部G1と不等ギャップ部G2がロータ突極81,82の先端8Aを周方向にほぼ二等分しているが、それらの比率は任意である。等ギャップ部G1を形成せずに、不等ギャップ部G2のみを形成することもできる。
ロータ14が回転されると、ロータ突極81,82と、ステータ突極71,73またはステータ突極72,74との各々の先端7A,8A間の距離が変化する。その距離に応じて両者間の磁気抵抗(リラクタンス)が周期的に変化する。
スイッチトリラクタンスモータは、隣り合うステータ突極の間の位置、つまり磁気抵抗が大きい位置から、磁気抵抗が小さくなるようにロータ突極がステータ突極に吸引されることを利用してトルクを得ている。トルクは、ロータの位置(電気角)θに依存する。コイルに直流電流iを印加したときのトルクTは、インダクタンスLを用いて下記の式(1)により与えられる。
Figure 2016000960
例えば、ステータの周方向にA相、B相、C相、A相、B相、C相・・・の順序でステータ突極が配列される3相のスイッチトリラクタンスモータの場合、ロータの位置θに対するインダクタンスLは図16(a)のように表される。A相、B相、およびC相のいずれのインダクタンスLも、ステータ突極の配置に応じた位相差で周期的に変化する。
したがって、その位相差に基づいてA相、B相、C相・・・の順序で繰り返し励磁すると、ロータが連続的に回転される。
なお、各相のインダクタンスLのカーブは、極大点Lmax、極小点Lminをなすロータ位置の前後でほぼ対称となる。
3相(あるいはそれ以上の相数)のスイッチトリラクタンスモータでは、図16(a)に一点鎖線θで示すように、いずれかの相(例えば実線で示すA相)のインダクタンスLの変化分(dL/dθ)が0でも、インダクタンスLが変化する他の相(B相あるいはC相)を励磁すれば、正回転、逆回転のいずれかの方向にはトルクを発生させることができるので、静止しているロータを回転させることができる。
これに対して2相のスイッチトリラクタンスモータには、ロータの静止位置によっては起動トルクが得られないという命題が存在する。
図16(b)に示すように、ロータ突極93がA相のステータ突極94Aに完全に対向し(アライメント状態)、B相のステータ突極94Bに対しては直交するとき、図16(c)に一点鎖線θで示すように、ロータは、A相のインダクタンスLが極大点LmaxAとなり、B相のインダクタンスLが極小点LminBとなる位置にある。そのロータ位置は、A相およびB相のインダクタンスLが交わる電気角θを基準とすると180°ずれている。
このとき、A相のインダクタンスLの変化分、B相のインダクタンスLの変化分のいずれも0(殆ど0の場合を含む)であるため、A相、B相のいずれを励磁しても、静止しているロータを回転させるトルクを発生させることができない。
ロータ突極93がB相のステータ突極94Bに完全に対向し、A相のステータ突極94Aに対しては直交するときも、上記の場合と同じく、A相のインダクタンスLの変化分が0となる電気角と、B相のインダクタンスLの変化分が0となる電気角とが一致するので、A相、B相のいずれを励磁してもトルクを発生させることができない。
以上のように、いずれの相のインダクタンスLも変化しない位置にロータが静止したときは、ロータは静止したままとなり、モータを起動できない。
さて、本実施形態の2相のスイッチトリラクタンスモータ10では、図14(a)に示すように、ステータ突極71〜74が回転中心Xを通る法線L1に対して非対称に形成されている。また、ロータ突極81,82も、法線L1に対して非対称に形成されている。図16(b)に示す典型的なステータ突極92A,92Bおよびロータ突極93は、互いに対向する先端円弧面の法線に対称に形成されている。これに対して本実施形態では非対称とするのは、起動トルクに係る上記命題の解決と、ロータ14の回転方向を一定方向に決めることを目的とする。
まず、起動トルクの確保について説明する。
上述のようにステータ突極71〜74(図14(a))が、基端7Bよりも先端7Aが回転後方に位置するように傾斜し、先端7Aの回転後方RB側が、隣接するステータ突極に向けて張り出していることにより、励磁されたステータ突極にロータ突極81,82が典型例(図16(b))よりも早期に到達する。これにより、ステータ突極71,73(または72,74)とロータ突極81,82との間に磁路が早期に形成される。
その影響により、ロータ14が静止した状態でA相を励磁してアライメントしたときのロータ位置は、図16(c)に示す電気角θに対して電気角180°から少しずれる。
そして、図15に示すように、A相の極大点LmaxAに対応する電気角θmaxAに対して、B相の極小点LminBに対応する電気角θmaxBが例えば1〜10°回転後方RB側にシフトする。それにより、B相の極小点LminB周辺のインダクタンス特性は、回転後方RB側の変化分よりも回転前方RF側の変化分が大きくなるので、A相の極大点LmaxAの電気角(θmaxA)に対して非対称となる。
同様に、B相の極大点LmaxBに対応する電気角θmaxBに対して、A相の極小点LminAに対応する電気角θminAが例えば1〜10°回転後方RB側にシフトされるので、A相の極小点LminA周辺のインダクタンス特性は、回転後方RB側の変化分よりも回転前方RF側の変化分が大きくなり、B相の極大点LmaxBの電気角(θmaxB)に対して非対称となる。
以上により、A相のインダクタンスLが変化しない極大点LmaxAの電気角にロータ14が静止しているときでも、B相を励磁すれば、B相のインダクタンスLの変化分が大きい回転前方RF側に、ロータ14を回転させる起動トルクが得られる。また、B相のインダクタンスLが変化しない極大点LmaxBの電気角にロータ14が静止しているときでも、A相を励磁すれば、A相のインダクタンスLの変化分が大きい回転前方RF側に、ロータ14を回転させる起動トルクが得られる。
しかも、ロータ突極81,82に形成される不等ギャップ部G2が、起動トルクの確保に大きく貢献する。ロータ突極81,82の先端8Aとステータ突極71〜74の先端7Aとの間のギャップは、等ギャップ部G1が位置する回転前方RF側では均一とされ、等ギャップ部G1の端部から回転後方RBに向けて次第に拡大されている。このようにロータ突極81,82が非対称に形成されると、回転前方RF側では磁束鎖交数が多く、回転後方RB側では磁束鎖交数が少なくなる。これにより、回転前方RF側ではインダクタンスが大きく、回転後方RB側にいくほどインダクタンスが小さくなる。
図15に示すインダクタンスの非対称特性は、上記のようなロータ突極81,82の非対称性にも基づいている。ロータ突極81,82の非対称性によっても、ステータ突極71〜74の非対称性による作用と同様に、励磁された一方の相のインダクタンスの極大点LmaxA(またはLmaxB)に対応する電気角に対して、他方の相のインダクタンスの極小点LminB(またはLminA)に対応する電気角が回転後方RBにシフトされる。
ここで、磁束鎖交数は、ロータ突極81,82とステータ突極71〜74との間のギャップ長に反比例する。したがって、不等ギャップ部G2を形成することにより、インダクタンス非対称特性を効率的に高められる。
次に、回転方向を一定方向に決めることについて説明する。
3相以上のスイッチトリラクタンスモータの場合、励磁された順序でステータ突極にロータ突極が吸引されるため、A相、B相、C相の順序で励磁すればロータが所定の向き(例えば時計回り)に回転し、A相、C相、B相の順序で励磁すればロータが反対の向き(例えば反時計回り)に回転し、というように、励磁する相の順序に応じて所望の回転方向とすることができる。
これに対して2相のスイッチトリラクタンスモータでは、時計回り、反時計回りのいずれでも、A相、B相が交互に励磁されるため、どちらの方向にも回転しうる。回転方向は、ロータの初期位置(静止位置)、および起動時に最初に励磁する相に依存する。
ここで、起動時に最初にA相に励磁するとする。このとき、図14(b)に一点鎖線で示すようにロータ突極81,82がステータ突極71,74の間に静止しているときは、ロータ突極81,82よりも回転前方RFに位置するステータ突極71,73が励磁されるのでロータ14は回転前方RFに回転される。以降も、B相、A相、B相・・・と交互に励磁することで、回転前方RFに連続して回転される。
一方、図14(b)に実線で示すようにロータ突極81,82がステータ突極71,72の間に静止しているときは、最初に励磁されるA相のステータ突極71,73がロータ突極81,82よりも回転後方RBに位置するので、ロータ14は回転後方RBに回転され、そのまま回転後方RBへの回転を継続する。
電動圧縮機1は、モータ10のシャフト5に連結される圧縮機構3の羽根車30を一定の方向に回転させることで冷媒を圧縮するので、モータを確実に一定方向に回転させる必要がある。そのために、位置センサを用いてロータ14の位置を検出し、ロータの検出位置に応じた相を励磁するように制御してもよいが、冷媒下で使用される位置センサの信頼性を確保するのが難しく、冷媒に対して耐久性のある位置センサを採用するとコストが増大する。
位置センサを用いないで回転方向を一定の向きに定めるには、電流や電圧をフィードバックすることにより適切な波形の直流電流を印加する高度な電流制御を行うか、モータの断面形状を設計する必要がある。モータの断面形状の設計にあたっては、下記の式(2)を満足する起動時インダクタンス特性の非対称性が必要となる。Tは起動時のトルク、Iは起動時の電流である。
Figure 2016000960
本実施形態では、上述のようにステータ突極71〜74を傾斜させて非対称の形状とするのに加えて、ロータ14をも非対称の形状とすることにより、起動時のインダクタンス特性の傾きを式(2)の2T/I よりも十分に大きく確保している。これにより、回転前方RFへの大きな起動トルクが得られるので、位置センサを用いたり、高度な電流制御を行うことなく、ロータ14の回転方向を確実に一定の向きに定めることができる。
以上で説明したように、起動トルクの確保および回転方向を一定とすることが実現されることによって、電動圧縮機1への2相スイッチトリラクタンスモータ10の実用化が可能となる。
ところで、本実施形態のようにステータ突極71〜74を傾斜させるのとは異なる手段によって、ステータ突極71〜74を非対称の形状とすることもできる。例えば、図17(a)に示すように、先端7Aに回転後方RBに向けて突出する突出部79を形成することによってステータ突極71〜74を非対称とすれば、本実施形態と同様、A相およびB相のインダクタンスLの極小点を回転後方FBにシフトさせることができる。
但し、図17(a)に示す構成では、突出部79の基端79Aで磁束が急激に変化するために、トルクの脈動が大きい。また、突出部79は一定の細い幅とされているため磁束が通り難く、インダクタンスの変化が小さい状態が続くために磁束が飽和し易い。そのため、突出部79の形成により、ロータ突極81,82との間の磁路の断面積が周方向に拡げられているにしても、さほどのトルクアップは見込めない。
本実施形態によれば、ステータ突極71〜74の全体が法線L1に対して傾斜するように形成されているために、ステータ突極71〜74における磁路断面積を確保しながらロータ突極81,82との間の磁路断面積をも拡大できるので、磁束の急激な変化を抑制できる。このため、トルク脈動を抑制できるとともに、トルクを確実に増大させることができる。
なお、ステータ突極71〜74は、基端7Bから先端7Aまで同じ幅で形成されていなくてもよい。図17(b)に示す例では、ステータ突極71´〜74´が回転前方RF側に肉付けされており、それによってステータ突極71´〜74´の幅が先端7A側で広くなっている。なお、ステータ突極71´〜74´も、上述のステータ突極71〜74と同様、基端7Bの中心点で引いた法線L1に対して傾斜している。
本発明では、ステータ突極の幅は、磁路断面積や、ステータコイルの巻回作業の作業性などを考慮して適宜に設定できる。
図18に、ロータ突極の変形例を示す。ロータ突極83には、回転後方RB側に切欠831が形成されている。また、ロータ突極84にも、同じく回転後方RB側に切欠841が形成されている。これらのロータ突極83,84は、ロータ14の回転中心Xに対して180度点対称に形成されている。
切欠831,841は、ロータ突極83,84の側面部に形成されているので、ロータ突極83,84の先端8Aは凸円弧状に形成されている。ロータ突極81,82の先端8Aとステータ突極71〜74の先端7Aとの間のギャップは均一とされている。
ロータ突極83は、その先端8Aの中心で引いた法線L1の回転前方RF側と、回転後方RB側とを比べると、切欠831が形成された回転前方RF側で磁束鎖交数が少ない。ロータ突極84も同様に、切欠841が形成された回転前方RF側で磁束鎖交数が少ない。ロータ突極83,84は、磁束鎖交数が回転前方RFで多く、回転後方RB側で少ない点では上述のロータ突極81,82と同様である。
本例は、ステータ突極71〜74と対向するロータ突極83,84の先端8Aの外形形状を変えることなく、インダクタンス非対称特性が得られることに特徴を有する。つまり、ロータ突極83,84の先端8Aは凸円弧状のままなので、モータ10の構造系において騒音を考慮して設計された特性を維持したまま、インダクタンス非対称特性に基づいて、起動トルクを確保できるとともに、回転方向を一定の向きに定めることができる。
以上で説明した2相スイッチトリラクタンスモータ10の構成は、ステータ突極の数およびロータ突極の数を問わずに適用できる。
但し、本実施形態のようにロータを2極とすることにより、駆動周波数を低く抑えられる。例えばロータが4極、ステータが6極の3相スイッチトリラクタンスモータと比べると、ロータが2極、ステータが4極の本実施形態では、駆動周波数を1/2に抑えられる。これにより、処理速度の遅い回路素子でも用をなすので、コストを抑えられる。また、駆動周波数が低ければ制御の余裕を確保できるので、精度の高い制御を行える。本実施形態の電動圧縮機1は、数万〜十数万回/分もの超高速で運転されるため、駆動周波数の低減による効果は大きい。
さらに、相の数が最小である2相のスイッチトリラクタンスモータによれば、駆動波形の生成に必要な半導体素子の数が少ない分、低コスト化できるとともにモータ駆動回路部20を小型化できる。
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態の電動圧縮機は、スイッチトリラクタンスモータとされるモータ10の駆動制御を行う制御装置を備えている。その制御装置は、2相に限らず、任意の相数のスイッチトリラクタンスモータを制御対象としており、モータ駆動回路部20が有する制御IC231に実装されている。
上記の第6実施形態でも示したように、スイッチトリラクタンスモータは、ロータの電気角に応じてインダクタンスが変化するときに得られるトルクにより駆動するので、ステータ13を励磁するのは、インダクタンスが変化する間だけで足りる。したがって、一般に、図19に示すように、インダクタンスの立ち上がりよりも少し前のロータ位置(電気角)θONでステータコイル12への電流印加を開始し、インダクタンスが減少する手前のロータ位置θOFFで電流印加を終了する。ロータ位置θONは点弧角と呼ばれ、ロータ位置θOFFは消弧角と呼ばれる。
ここで、インダクタンスはロータの位置に依存しているので、正確なロータ位置に基づいて、どのタイミングで励磁するか、すなわち点弧角および消弧角をどのタイミングに設定するかがモータの駆動効率に直結する。したがって、位置センサを用いて現在のロータの位置を検出することが多い。しかし、位置センサを設置するのはコスト増となる上、冷媒下におかれるモータには位置センサの設置が難しいこともある。
このため、特開平5−199794号公報に開示されているように、位置センサレス制御が試みられている。当該公報に記載されたロータ位置推定方法では、特定の位置θrのときの電流i−磁束Φ特性を示す磁束−電流マップを用いている。まず、駆動回路部の電圧Viからステータコイルの抵抗rと電流の積を引き、それを積分することで磁束Φを求める。そして、磁束Φと、磁束−電流マップから求めた磁束Φrとを比較して一致したときに、特定の位置θrをロータが現在通過した位置として推定する。
上記公報による方法では、計算により求められる磁束Φが誤差を含む上、磁束−電流マップがモータの実際の特性と一致しているとは限らないので、推定結果に誤差を生じる。個々のモータ特性は、設計上の特性に対して誤差を持ち、使用時の温度変化によっても特性が変わるのを考慮すると、上記公報のように、予め作成される特性データを参照する方法は推定の精度に欠ける。
一方、位置センサでロータ位置を検出するにしても、位置センサの取付位置に誤差があると、検出位置がずれてしまう。
推定または検出によって得られるロータ位置が正確でないと、点弧角および消弧角も適切なタイミングに設定されないので、駆動効率が十分でない。
以上で述べた課題に基づいて、本実施形態は、励磁のタイミングを適正化することにより、スイッチトリラクタンスモータの駆動効率を確実に向上させることができる制御方法および制御装置を提供する。
本実施形態の制御方法は、一例として図20に示す制御装置により行われる。
なお、以下では、励磁電流がA相、B相、C相の3相の場合を例にとり説明する。
図20に示される制御装置は、速度制御部151と、励磁制御部152と、電流制御部153と、励磁タイミング探索部154と、角速度センサ155および位置センサ156と、偏差取得部157および偏差取得部158と、を備えている。
速度制御部151、励磁制御部152、電流制御部153、角速度センサ155、および偏差取得部157は、ロータ14の角速度のフィードバックによってモータの速度(回転数)を一定に維持する速度制御系Yωを形成している。速度制御系Yωにおける制御パラメータは電流である。
本実施形態は、モータ10が起動された後、一定速度で定常状態となったときの駆動効率向上を志向しており、速度が切替可能に構成されている場合は、各々の速度で定常状態となるときに有用となる。
偏差取得部157は、角速度センサ155により検出されるロータ14の角速度ωについての角速度指令値ωに対する偏差を取得し、速度制御部151に出力する。その偏差に基づいて速度制御部151は、例えばPI制御(Proportional・Integral(比例積分)制御)等の公知の手法により、ステータコイル12に流す電流の指令値iを求め、出力する。その電流指令値iは、励磁制御部152を介して、電流制御部153、電流制御部153に接続される電流計159、および偏差取得部158により形成される電流制御系Yiに出力される。
励磁制御部152は、各相の点弧角θONおよび消弧角θOFFを設定するとともに、所定の順序で各相を励磁する。3相のうちA相を基準にとると、B相の点弧角θONおよび消弧角θOFFをA相に対して90°ずらして設定し、C相の点弧角および消弧角をA相に対して180°ずらして設定する。速度制御部151により求められる電流指令値iは各相に共通であるが、相で区別すると、A相の電流指令値i と、B相の電流指令値i と、C相の電流指令値i とがある。図19ではこれらをixと総称する。
位置センサ156は、励磁制御部152に対して基準位置θを出力する。この位置センサ156は、発光素子および受光素子や、ホール素子を用いる公知の回転角検出器であり、ロータ14が所定の回転角に到達するとパルスを出力する。励磁制御部152は、そのパルスを基準位置θとして受け取り、基準位置θから、例えばA相の点弧角θONおよび消弧角θOFFを設定し、そのA相を基準に、B相、C相の点弧角θONおよび消弧角θOFFも設定する。
電流制御系Yiでは、各相のステータコイル12に流れる電流をフィードバックし、いずれの相の電流も電流指令値ixに合わせる制御を行う。各相のステータコイル12を流れる電流i、i、およびiは、相毎に設けられる電流計159により検出される。偏差取得部158は、検出された電流についての電流指令値ixに対する偏差を相毎に求める。その偏差に基づいて電流制御部153は、PI制御やヒステリシス制御などにより、各相のステータコイル12に流す電流値を決定する。以上のような電流制御により、点弧角θONから消弧角θOFFまでの励磁区間における電流の変動を抑えられる。
ステータコイル12には、電流制御部153により定められた電流値で、かつ励磁制御部152により設定された点弧角θONおよび消弧角θOFFにて、電流が印加される。
本実施形態は、以上で説明した構成による制御に、励磁タイミング探索が付加されている点に最も大きな特徴を有している。以下では、点弧角θONまたは消弧角θOFFのことを励磁タイミングと称することがある。
各相の点弧角θONおよび消弧角θOFFは、設計上の特性に基づいて良好な効率が得られるように、励磁制御部152により設定される。しかし、実際のモータの特性は、ステータ13およびロータ14の寸法誤差や組付誤差、あるいは温度変化により設計値に対して誤差があるので、その点弧角θONおよび消弧角θOFFは必ずしも適切でない。点弧角θONおよび消弧角θOFFを調整することで、より少ない電流によって同じ速度を出すことができれば効率が向上する。
そこで本実施形態では、点弧角θONおよび消弧角θOFFを変化させながら、ステータコイル12に流れる電流を観測し、効率を向上させることのできる点弧角θONおよび消弧角θOFFを探索する。
図21(a)は点弧角θONの探索例を示し、図21(b)は消弧角θOFFの探索例を示す。点弧角θONの探索例では、点弧角をθON1、θON2、θON3と順次変えている。電流指令値iが同じでも、このように点弧角を変更すると、それに応答してステータコイル12を流れる電流が変わる。その電流を電流計159により観測すると、あくまで一例であるが、図21(a)に示すような曲線が描かれる。その電流特性を踏まえて、より電流が小さくなる点弧角を探索する。図21(a)の例では、まず、θON1からθON2に点弧角を進めたことで電流が減少する。電流が減少したので、同じ向きに点弧角を進めてθON3とすると、電流が増加する。そのため、θON3からθON2側に、電流がより小さい位置が存在すると判断して探索を終え、点弧角の探索結果としてθON2を得る。
図21(b)に励磁する消弧角θOFFの探索も、上記同様に行うことができる。まず、θOFF1からθOFF2に消弧角を進めたことで電流が増加する。電流が増加したので、反対の向きに消弧角を戻し、元の位置θOFF2を過ぎてθOFF3とすると、θOFF2よりも電流が増加する。そのため、θOFF3からθOFF2側に、電流がより小さい位置が存在すると判断して探索を終え、消弧角の探索結果としてθOFF2を得る。
以上により得られる探索結果は、励磁制御部152に出力される。励磁制御部152は、それを受けて点弧角θONおよび消弧角θOFFを探索結果に更新する。これにより、ステータコイル12には探索結果が反映された点弧角および消弧角で電流が印加される。
以上で説明した点弧角および消弧角の探索は、A相、B相、およびC相の各々の点弧角および消弧角について同様に行う。
励磁タイミング探索部154による処理は、モータ10が起動された後、定常状態となってから常時行うこともできるし、適当な処理間隔をおいて行うこともできる。速度が切り替えられたときに処理を行うようにしてもよい。
本実施形態によれば、励磁タイミング探索部154により、電流に基づいて効率が良いことが検証された点弧角θONおよび消弧角θOFFを励磁区間として励磁するため、製造誤差や使用環境に起因するモータ特性の変化や、位置センサの取付誤差には関係なく、モータの駆動効率を確実に向上させることができる。
本実施形態の制御方法は、探索を通じて励磁タイミングを適正化することにより、ロータ位置を特定する必要なく効率向上の目的を遂げるので、ロータの位置検出あるいは位置推定の絶対位置がずれていてもよくなる。位置検出あるいは位置推定を含む制御系と、励磁タイミング探索部154とは本実施形態で説明した制御装置のように共存できる。すなわち、位置検出や位置推定を行う既存の制御装置に励磁タイミング探索部154を付加することで、たとえ位置センサの取付誤差やモータ特性の変化が生じていたとしても最良の効率を得ることができる。
励磁タイミング探索部154による処理は、速度制御系Yωによる制御の下、電流がほぼ一定とされることに依拠し、励磁タイミングの変更に遅れて生じる電流変化を観測している。
その依拠条件からすると、スクロール圧縮機構やロータリ圧縮機構と比べてトルク変動が少なく、回転数が一定に保たれ易い遠心式の圧縮機構3を回転させるモータ10には、本実施形態の制御が特に好適となる。
さらに、その探索処理は、ロータの回転毎にロータ位置を得て、それに基づく一連の処理を行うのとは異なり、ロータの回転周期内に収める必要がない。したがって、高速回転されるモータ10に有利となる。
本実施形態では、上述のように点弧角θONおよび消弧角θOFFの両方を探索したが、本発明は、いずれか一方のみ探索することも許容する。
また、励磁タイミングの探索は、本実施形態のように相毎に行えば、ステータ突極の寸法誤差による特性変化にも対応できるので好ましい。
一方、励磁タイミングの探索結果を3相共通とし、それを3相のいずれの点弧角および消弧角にも適用することもできる。温度変化による特性変化が各相に共通に表れるとすると、相毎に探索しなくても足りる場合がある。
上述した探索手順は一例に過ぎない。本発明を充足する要件は、探索時に励磁タイミングを少なくとも1回変更し、そのときの電流の減少あるいは増加に基づいて得られる適正な励磁タイミングを励磁区間に反映させることである。そうすると、図21(a)において、θON1からθON2へと励磁タイミングを変更したときに電流が減少するので、この時点で探索を終了することも本発明は許容する。また、図21(b)において、θOFF1からθOFF2に励磁タイミングを変更したときに電流が増加するのに基づいて探索を終了することも本発明は許容する。この場合は、θOFF1から、θOFF2とは反対側にある位置での効率が高いと判断し、θOFF1からθOFF2とは反対側にシフトした位置を探索結果とすればよい。
さらに、詳細な探索手順は適宜に決められる。探索時に励磁タイミングを変更する幅も任意である。
より電流が小さい励磁タイミングを効率良く見つけるために、電流の変化率が小さくなったときに励磁タイミングをより狭い幅で変更することもできる。その上で、図21に示したように下り勾配から上り勾配に切り替わる電流特性カーブを想定して、電流勾配の符号が切り替わったときに電流が最小となる位置の近傍であると判断し、その時の励磁タイミングを探索結果としてもよい。あるいは、電流の変化率が閾値以下となれば電流の最小点とみなし、その時の励磁タイミングを探索結果としてもよい。
本実施形態では、電流を用いて、角速度ωのフィードバックによりモータ10を定常速度に維持する速度制御を行っている。
これに代替して、図22に示すように、角速度を用いて、トルクのフィードバックによりモータ10を定常トルクに維持するトルク制御を行うこともできる。その場合の制御装置は、速度制御部151に代えてトルク制御部161を備え、電流制御部153に代えて速度制御部163を備え、角速度センサ155に代えてトルクセンサ165を備えており、これらはトルク制御系Ytを形成している。この構成では、励磁タイミング探索部154は、点弧角θONおよび消弧角θOFFを変更したときの角速度を観測し、同じトルクを得るのに角速度がより小さい点弧角θONおよび消弧角θOFFを探索する。このように構成しても、上記と同様の効果が得られる。
第6実施形態の2相スイッチトリラクタンスモータ、および第7実施形態のスイッチトリラクタンスモータの制御方法および制御装置は、電動圧縮機以外の装置にも広く適用することができる。
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
冷媒回路を循環する冷媒中の潤滑油が熱交換器に付着すると、熱交換の効率が低下する。それを防ぐため、典型的な圧縮機は、圧縮機構ハウジング42(図1)の内側に円筒状の油分離器(オイルセパレータ)を備えており、その油分離器に圧縮冷媒を通し、潤滑油を分離した上で冷媒回路へと吐出している。しかし、第8実施形態の電動圧縮機は、その遠心分離器を備えていない。
以下、圧縮冷媒から潤滑油を分離、回収し、モータケース410内へと戻すことについて説明する。
図23は、第8実施形態に係る電動圧縮機のスクロールシュラウド50の平面図である。スクロールシュラウド50のスクロール本体520の流路断面は、図24(a)に示すように、本実施形態では円弧状に形成されている。
但し、スクロール本体520の流路断面は、周方向の一部の区間である旋回流変調部650(図23)では上記の円弧状とは相違している。上記とは形状が相違していれば旋回流変調部650における流路断面の形状は任意であるが、例えば、図24(b)に示すように、角部651を有する流路断面形状とされている。角部651は、円弧状のスクロール本体520に外接する矩形の一角に対応している。図24(b)には、図24(a)の円弧状断面も一点鎖線で示している。
角部651を有する流路断面形状は、旋回流変調部650の全体に亘り一様に連続している。したがって、旋回流変調部650の一端および他端では、スクロール本体520内の流路断面が急激に変化しており、円弧状の部分と旋回流変調部650との接続部652が段差状に形成される。
旋回流変調部650には、潤滑油をモータ10側に戻すための円形の油戻し孔174が形成されている。
油戻し孔174は、シールプレート17を厚み方向に貫通し、モータケース410内に連通している。なお、油戻し孔174は、スクロール本体520を貫通して形成されていてもよい。
図23に示すように、開口511からスクロールシュラウド50内に吸入される冷媒は、羽根車30の図中、反時計回りへの回転によって矢印で示すように旋回流F1をなす。そして、ディフューザー部521を介してスクロール本体520へと入り、スクロール本体520における流路拡大に伴い圧力を高め、図1に示す出口52Bから吐出チャンバ42B内へと吐出される。
上記のように旋回流F1をなす冷媒に働く遠心力により、冷媒よりも比重が大きい潤滑油が冷媒から分離され、スクロール本体520の壁面の外周側に付着する。潤滑油は、冷媒の流れにより、壁面に沿って下流側へと搬送される。
ここで、旋回流F1は、スクロール本体520の流路に沿って一定の流れ場を形成しているが、旋回流変調部650ではその流れ場が急激に変化する。そのような流れ場の急激な変化と、接続部652への旋回流F1の衝突により、冷媒から潤滑油が分離され、壁面の外周側に付着する。そして、旋回流F1は、比重が大きいために流れの急激な変化には追従できない潤滑油を残して旋回流変調部650を抜ける。旋回流変調部650では、流れ場の急激な変化によって壁面上の潤滑油分布が偏るので、潤滑油が集まって油溜まりを形成する。その潤滑油は油戻し孔174からモータケース410内へと戻される。
本実施形態によれば、旋回流F1をなす冷媒に働く遠心力によって冷媒から潤滑油が分離され、スクロール本体520に設定された旋回流変調部650における流れ場の変化によってその潤滑油が回収されるので、油分離器を設置する必要がない。これにより、電動圧縮機1の小型・軽量化を図ることができるとともに、コストも抑えられる。
旋回流変調部650およびそれ以外の部分の各々におけるスクロール本体520の流路断面形状は、互いに相違していればよいので、上記とは逆に、旋回流変調部650の流路断面を図24(a)に示す円弧状とし、それ以外の部分の流路断面を図24(b)に示す角部651を有する形状とすることもできる。
また、スクロール本体520の周方向の複数箇所に旋回流変調部650を設けることもできる。
さらに、スクロール本体520の外部にも旋回流F1の流路が連続する場合、旋回流変調部650は、その外部流路上にも設けることができる。
油戻し孔174に代えて、螺旋ピン、キャピラリチューブなどの公知の油戻し機構を設けることもできる。
〔第9施形態〕
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
第9実施形態では、冷媒の旋回流が到達するスクロールの終端部近傍の構成について説明する。
図25に、スクロール本体520の終端部Se(図23)近傍におけるスクロール本体520の流路断面を示す。なお、スクロール本体520の流路断面形状は任意である。
スクロール本体520の終端部Seには、スクロール本体520に沿って流れる旋回流F1の進行方向の前方に位置する正面壁654が形成されている。
終端部Seには、モータ10側に潤滑油を戻すための円形の油戻し孔175が形成されている。油戻し孔175は、シールプレート17を厚み方向に貫通し、モータケース410内に連通している。
油戻し孔175は、スクロール本体520を貫通して形成されていてもよく、単純な貫通孔、螺旋ピン、キャピラリチューブなどの公知の構成を採用できる。
終端部Seには、吐出チャンバ42Bに連通する出口52Bが形成されている。この出口52Bは、スクロール本体520を流れる旋回流F1に対して略直交する向きに開口しており、シールプレート17に対向している。
また、出口52Bは、スクロール本体520内の流路の中心線CLの位置から、スクロール本体520の内周側520INにかけて、中心線CLに対して偏心して形成されている。上記の油戻し孔175は、出口52Bとは逆に、外周側520OUT寄りの位置に形成されることが好ましい。
本実施形態では、第8実施形態で述べたのと同様に、羽根車30の回転により冷媒が旋回流F1をなし、スクロール本体520内に入る。旋回流F1は、遠心分離されて流路壁面の外周側520OUTに付着する潤滑油を壁面伝いに搬送しながら、終端部Seまで到達すると、正面壁654への衝突により出口52Bに向けて略直角に向きを変え、出口52Bから吐出チャンバ42B内へと吐出される。
このように旋回流F1を急激に転向させると、冷媒よりも比重が大きい潤滑油は旋回流F1に追従できず、壁面外周側520OUTに留まる。そのため、終端部Seには油溜まりが形成され、その潤滑油は、油戻し孔175からモータケース410内へと戻される。ここで、旋回流F1は、出口52Bが偏心しているために内周側520INを通るので、外周側520OUTに位置する潤滑油が旋回流F1によって巻き上げられ難い。
上記のように終端部Seまで搬送されて油溜まりを形成する潤滑油に加え、正面壁654に衝突することで冷媒から分離された潤滑油も、油戻し孔175からモータケース410内へと戻される。
本実施形態によれば、別途油分離器を設置することなく、上述のように、遠心分離された潤滑油をスクロール本体520の終端部Seで回収できるので、電動圧縮機1の小型・軽量化を図ることができるとともに、コストも抑えられる。
なお、終端部Seよりも旋回流F1の進行方向のさらに前方に、絞りを介して冷媒のチャンバを設けることもできる。その場合、スクロール本体520の終端部Seには正面壁654、出口52B、および油戻し孔175を設けずに、その先に設けられたチャンバを区画する部材に、旋回流F1の前方に位置する正面壁654、旋回流F1に対して交差する向きに開口する出口52E、および油戻し孔175を形成すればよい。
図26は、第9実施形態の変形例に係る電動圧縮機のスクロールシュラウド50の平面図である。電動圧縮機が支持体に固定されたときに、スクロール52は、スクロール本体520の終端部Seが鉛直方向下側に位置し、かつその終端部Seで旋回流F1が下向きとなるように渦巻きの向き(羽根車30の回転の向きに基づく)が設定されている。
そのため、上記の油戻し孔175(図24)は、スクロール本体520の終端部Seの外周側520OUTでかつ、鉛直方向下側に配置されている。
上記構成によれば、スクロール本体520の流路後半の潤滑油が、その自重によって終端部Seまで搬送される。そうして終端部Seに潤滑油を確実に集めることができるので、潤滑油の回収量を増加させることができる。
第8実施形態で示した構成と、第9実施形態で示した構成を組み合わせることもできる。そのように、スクロール本体520の流路の途上で旋回流変調部650によって潤滑油を回収するとともに、最終的には終端部Seで潤滑油を回収してもよい。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、シャフト5を支持する軸受の数は任意であり、シャフト5の中央部を支持する軸受を設置することもできる。
また、シュラウド51は、スクロール52とは別体に形成することもできる。
さらに、回路基板21は、複数枚で構成することもできる。
本発明の電動圧縮機は、自動車以外にも、船舶、航空機、鉄道等の各種の輸送機械に適用することができる。
1 電動圧縮機
3 圧縮機構
4 ハウジング
5 シャフト
5A 後端
5B 前端
6A,6B 軸受
10 モータ
12,12A,12B ステータコイル
13 ステータ
14 ロータ
15,19 ホース
17 シールプレート(区分部材)
17A 凹部
17B 凸部
18 吸入流路
20 モータ駆動回路部
21 回路基板
23 パワーユニット
24 チョークコイル
25 キャパシタ
26 接続端子
30 羽根車
30A ハブ面
30B 背面
30C 外周部
30D 先端
31 ハブ
32 ラビリンスシール部
32A 凹部
32B 凸部
33 フルブレード
34 スプリッタブレード
33A 正圧面
33B 負圧面
35 凸部
38 圧縮流路
41 モータハウジング
42 圧縮機構ハウジング
42A 吸入チャンバ
42B 吐出チャンバ
43 ガスケット
50 スクロールシュラウド
51 シュラウド
52 スクロール
52B 出口
60 軸受ケース
61 ダンピング装置
62 枠体
63,64 振動吸収材
71〜74 ステータ突極
81,82 ロータ突極
83,84 ロータ突極
90 フロント部
91 支持体
9P 車体パネル(外殻)
130 切欠
151 速度制御部
152 励磁制御部
153 電流制御部
154 励磁タイミング探索部
155 速度センサ
156 位置センサ
157 偏差取得部
158 偏差取得部
159 電流計
161 トルク制御部
163 速度制御部
165 トルクセンサ
170 開口
171 通気開口
171A 切欠
172 面
174,175 油戻し孔
231 制御IC
232 放熱板
301 流路
301A 入口
301B 出口
410 モータケース
411 胴部
411A 脚部
412 隔壁(蓋部)
413 回路ケースカバー
415 回路ケース
416 蓋部
421 側面部
422 前面部
422A 脚部
435 Oリング
510 支持部
511 開口
520 スクロール本体
520IN 内周側
520OUT 外周側
521 ディフューザー部
522 流路
523 突出部
650 旋回流変調部
651 角部
652 接続部
654 正面壁
831,841 切欠
F1 旋回流
G1 等ギャップ部
G2 不等ギャップ部
P1 吸入ポート
P2 吐出ポート
S 空隙
Q 液冷媒
L1 法線
max,LmaxA,LmaxB 極大点
min,LminA,LminB 極小点
R+ 回転方向
RB 回転後方
RF 回転前方
X 回転中心
XB 中心
Yi 電流制御系
Yω 速度制御系(定常制御系)
Yt トルク制御系(定常制御系)

Claims (15)

  1. 輸送機械に設けられる冷媒回路に接続される電動圧縮機であって、
    モータと、
    前記モータを駆動させるモータ駆動回路部と、
    前記モータの回転出力により回転される羽根車を有するとともに、前記羽根車の回転に伴って前記冷媒回路から吸入される冷媒を圧縮し、前記冷媒回路に向けて吐出する遠心式の圧縮機構と、を備える、
    ことを特徴とする輸送機械用の電動圧縮機。
  2. 前記圧縮機構は、
    前記羽根車の回転軸を中心とする渦巻状に形成されるとともに、前記羽根車の外周部に連通する上流側から下流側に向けて流路断面積が次第に拡大するスクロールを備える、
    請求項1に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  3. 前記モータの回転軸と、前記圧縮機構の回転軸とが同一軸線上に設けられ、
    前記モータ側から前記圧縮機構側まで前記冷媒回路の冷媒が吸入される吸入流路が設けられ、
    前記モータ駆動回路部は、前記吸入流路の上流側に配置されている、
    請求項1または2に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  4. 前記モータの回転軸と、前記圧縮機構の回転軸とが変速機を介して接続され、
    前記モータ側から前記圧縮機構側まで前記冷媒回路の冷媒が吸入される吸入流路が設けられ、
    前記モータ駆動回路部は、前記吸入流路の上流側に配置されている、
    請求項1または2に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  5. 前記吸入流路は、その少なくとも一部が前記モータの軸線に沿って形成されている、
    請求項3または4に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  6. 前記モータは、ロータと、前記ロータの外周を囲むステータと、前記ロータおよび前記ステータを収容するモータケースと、を備え、
    前記モータケースは、前記ステータの外周を囲むとともに、一端側が前記圧縮機構に対向する胴部と、前記胴部の他端側を覆う蓋部と、を有し、
    前記モータ駆動回路部は、前記蓋部に対向する回路基板を有する、
    請求項3から5のいずれか一項に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  7. 前記電動圧縮機は、前記輸送機械に設けられる支持体によって支持され、
    前記圧縮機構は、前記輸送機械の外殻前面と、前記モータ駆動回路部との間に配置されている、
    請求項6に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  8. 前記モータは、ロータと、前記ロータの外周を囲むステータと、前記ロータおよび前記ステータを収容するモータケースと、を備え、
    前記モータケースは、前記ステータの外周を囲むとともに、一端側が前記圧縮機構に対向する胴部と、前記胴部の他端側を覆う蓋部と、を有し、
    前記モータ駆動回路部は、前記胴部に対向する回路基板を有する、
    請求項3から5のいずれか一項に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  9. 前記モータ側と、前記圧縮機構側とを区分する区分部材を備え、
    前記羽根車は、その背面側が前記モータに対向し、
    前記吸入流路は、前記羽根車の外周部よりも外側で前記区分部材を貫通し、
    前記圧縮機構は、前記吸入流路の終端および前記羽根車の入口の間に介在する吸入チャンバを有する、
    請求項3から8のいずれか一項に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  10. 前記圧縮機構は、
    前記羽根車および前記スクロールを収容するハウジングを備え、
    前記ハウジング内は、
    前記吸入チャンバと、
    前記羽根車の出口および前記冷媒回路の間に介在する吐出チャンバと、に仕切られている、
    請求項9に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  11. 前記モータは、
    内側に向けて突出する複数のステータ突極を有する環状のステータと、
    前記ステータ突極に設けられるコイルと、
    前記ステータの内側に前記ステータと同軸に配置され、前記ステータ突極と磁路を形成可能な複数のロータ突極を有するロータと、
    を備えるスイッチトリラクタンスモータとされる、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  12. 前記コイルに印加される直流電流は2相とされ、
    前記ロータは、その電気角に応じたインダクタンス特性に基づいて一定の回転方向に回転され、
    前記ステータ突極は、その基端の中心で引いた法線に対して傾斜し、前記基端の中心よりも先端の中心が前記回転方向の後方に位置し、
    前記ロータ突極は、前記法線に対して前記回転方向の前方側の磁束鎖交数が前記回転方向の後方側の磁束鎖交数よりも多い、
    請求項11に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  13. 前記モータ駆動回路部は、
    前記コイルを流れる電流および前記ロータの角速度の少なくとも一方からなる制御パラメータを用いて、起動後の前記スイッチトリラクタンスモータを定常速度および定常トルクの少なくとも一方である定常状態に維持する定常制御系と、
    前記ステータを点弧角から消弧角までの励磁区間で励磁する励磁制御部と、
    前記定常状態において前記点弧角および前記消弧角の少なくとも一方である励磁タイミングを探索する励磁タイミング探索部と、を備え、
    前記励磁タイミング探索部は、
    前記励磁タイミングを変更し、前記制御パラメータを観測しながら、
    前記制御パラメータの値がより小さい適正励磁タイミングを探索し、
    前記適正励磁タイミングを前記励磁区間に反映させる、
    請求項11に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  14. 前記スクロールの周方向の一部には、他の部分とは流路断面形状が相違する旋回流変調部が形成され、
    前記旋回流変調部には、冷媒から分離されて前記旋回流変調部に溜まる潤滑油を、前記モータを収容するケース内へと戻す油戻し経路が形成されている、
    請求項2から13のいずれか一項に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
  15. 前記スクロールの終端部またはその近傍には、
    前記スクロール内の旋回流の前方に位置する正面壁と、
    前記旋回流に対して交差する向きに開口する出口と、
    冷媒から分離されて前記終端部またはその近傍に溜まる潤滑油を、前記モータを収容するケース内へと戻す油戻し経路と、が形成されている、
    請求項2から14のいずれか一項に記載の輸送機械用の電動圧縮機。
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