[0010] LPP源の性質は、発生するデブリ(debris)の量を制御するために、プラズマ発生中にLPP源内に存在し循環している燃料の量を減らすことが一般に望ましいというものである。デブリは、プラズマ発生中に発生し、イオン及び高速で移動する粒子状物質を含み得る。例えばLPP源で用いられるタイプの垂直入射コレクタは、デブリによって生じる損傷を特に受けやすいが、LPP源内で用いられる他のコンポーネントも、デブリによる損傷を受けやすい。
[0011] 更に、励起ビームの発生に用いるパワーを増大させることなく、燃料プラズマ形成位置に送出する励起ビームの強度を高めることも望まれている。このため、励起ビームは時間及び空間の双方において合焦される。すなわち、励起ビームは、比較的小さい領域上に合焦され、連続波でなくパルス状に発せられる。例えば典型的な励起ビームは、パルス長が約100nsである40〜80kHzのパルスを提供することができる。
[0012] 合焦されたパルス状の励起ビームを用いることで、所与のパワーについて照射が増大することに加えて、液滴燃料ターゲットの使用が可能となる。燃料液滴を使用すると、放射源内で用いる燃料の量を厳密に制御することができる。使用する燃料の量を減らすことによって、プラズマ生成中に発生するデブリの量を制御及び/又は低減することができる。従って、パルス状放射及び液滴燃料ターゲットの同期した組み合わせにより、LPP源内の多数の問題が相乗的に解決される。このため、LPP放射源においてパルス状励起ビーム及び液滴燃料ターゲットを利用することは一般に受け入れられている。
[0013] 既知のLPP放射源において、燃料液滴の流れは、励起ビームパルスの焦点を通るか又は焦点の近傍を通る軌道(trajectory)を移動するように構成されている。液滴が励起ビームパルスの焦点近傍の経路を横断すると、燃料液滴は、合焦された励起ビームパルスによって極めて高温に加熱され、燃料材料の高エネルギイオン及び電子からプラズマが形成される。プラズマ内では、燃料材料の原子からそれらの外側の電子が失われる。電子がイオンに戻る際に、EUV放射のフォトンが放出される。励起ビームパルスが燃料に入射する箇所を、プラズマ形成位置と呼ぶことができる。
[0014] 典型的な構成において、燃料液滴は(例えばスズの)ほぼ球形の溶融液滴で、直径は約30μmとすることができ、合焦させた励起源(通常は赤外線レーザビーム)のウエスト(waist)は、その焦点において直径を60〜450μmとすることができる。液滴は通常、40〜80kHzの周波数で発生させ、典型的に40〜120m/sの速度でパルス状励起ビームの合焦領域へと送出される。
[0015] 放射源の出力パワーを増大させるため、多数の手法が研究されている。
[0016] レーザプレパルスを用いて燃料液滴をパンケーキ状に整形することで、変換効率を上げることができる。しかしながら、燃料粒子の存在が励起ビームのパルスをトリガする構成では、溶融燃料液滴の光沢のある(shiny)表面を使用可能であることが望ましい。この構成は、NoMo構成(No Master Oscillator)と称されることがある。このようなNoMo構成では、球形の液滴に比べ、パンケーキ状の液滴はトリガとしての使用に適していない。また、液滴流の軌道が放射コレクタの第1焦点を通るか又はその近傍を通ることを維持するため、更に燃料液滴の位置を測定するため、プレパルスレーザ及びメイン励起ビームの双方をトリガするために、パンケーキ構成では追加のメトロロジが必要となる。
[0017] 燃料液滴サイズを大きくすることで放射出力を増大させることも可能である。しかしながら、燃料液滴を大きくすると、完全な気化及びプラズマ発生を達成するために適当な電離温度まで必ずしも全体が加熱又は励起されないことがあり、また、これによって更にデブリ液滴が形成されて、放射源の内部及び放射コレクタ光学部品を汚染させる可能性がある。
[0018] また、励起放射のパルス当たりのエネルギを増大させることによって放射出力を大きくすることも可能である。しかしながら、エネルギを増大させると燃料液滴の照射が増大し、従ってプラズマが過熱する。これは変換効率の低下を招く。過熱を回避するため、燃料液滴のサイズを大きくすることができるが、燃料液滴を大きくしすぎると、結果として上述のような不完全な気化という問題が生じ得る。更に、燃料液滴のサイズを大きくすると、プラズマサイズが大きくなり、対応してエタンデュ(etendue)が増大して、放射コレクタの中間焦点における像サイズの望ましくない拡大が起こる。像サイズが大きすぎると、像はリソグラフィ装置の残りの段階で用いるのに適切でなくなる可能性がある。
[0019] また、励起ビーム焦点における液滴間の分離距離を充分に大きく維持して、発生されたプラズマが後続の燃料液滴をそれらの経路から逸脱させるのを回避しながら、全体的な燃料消費率を高めるために燃料流における燃料粒子速度及び燃料粒子周波数の双方を上げることで、放射出力を増大させることが可能となり得る。しかしながら、ノズルを通る流れを維持するために必要な圧力はノズルを通過する速度の2乗に比例するので、燃料流速度を2倍に上げるには圧力を4倍にする必要がある。このような高圧は、燃料流発生装置の寿命を縮めたり、不具合を起こしたりする恐れがある。
[0020] また、噴射速度を上げると合体が発生する領域が長くなり、この結果として、流れの中の合体しない衛星液滴(satellite droplets)の数が増えて、発生させた放射ビームが不均質となり得る。
[0021] 空間内で本質的に自由である燃料液滴は、先行する燃料液滴から生成されたプラズマ及びデブリとの相互作用に特に影響されやすい。このような相互作用によって燃料液滴のタイミングにばらつきが生じることがある。更に、各レーザパルス及び各燃料液滴によって発生したプラズマは予測することができない形で変動する可能性があり、これが燃料液滴タイミングの予測することができないばらつきを引き起こし得る。燃料液滴タイミングのばらつきは、各レーザパルスの高精度のタイミング調節を難しくする可能性がある。各励起ビームパルスが各液滴に衝突する精度を向上させるために、複雑な液滴及びパルスタイミング機構が提案されている。
[0022] 上述の手法によってLPP放射源が出力するパワーの増大は実現しているものの、EUV放射等の放射を発生させるための方法及び装置であって、例えば発生させる放射パワーを増大させる従来技術の手段に比べ、更に高パワーであるが、そのような高パワー発生に伴う前述の問題が軽減されたものを提供することが望まれている。
[0023] 本明細書全体を通して、「備えている(comprising)」又は「備える(comprise)」という用語は、指定されたコンポーネント(複数のコンポーネント)を含むが、他のものの存在を排除するわけではないことを意味する。「本質的に〜から成っている(consisting essentially of)」又は「本質的に〜から成る(consists essentially of)」という用語は、指定されたコンポーネントを含むことを意味し、他のコンポーネントは除外するが、ただし、不純物として存在する材料、コンポーネントを提供するために用いられるプロセスの結果として存在する不可避的な材料、及び本発明の技術的効果を達成すること以外の目的で追加されるコンポーネントは例外である。適切な場合はいつでも、「備える」又は「備えている」という用語の使用は、「本質的に〜から成る」又は「本質的に〜から成っている」という意味を含むものとして解釈され得るものであり、また、「〜から成る」又は「〜から成っている」という意味を含むものとして解釈され得る。
[0024] 本明細書で述べるような任意選択の特徴及び/又は好適な特徴は、適宜、個別に又は相互に組み合わせて、特に添付の特許請求の範囲において述べるような組み合わせで、使用可能である。本発明の各態様についての任意の特徴及び/又は好適な特徴は、適宜、本発明の他のいずれの態様にも適用可能である。
[0025] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置のための放射を発生させる方法が提供される。この方法は、連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供することと、連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出することと、を備える。
[0026] 連続波励起ビーム及び連続的に補給される燃料ターゲットの双方を組み合わせて提供することによって、従来技術に見られる問題の多くが克服され得ることが認められている。例えば、液滴燃料ターゲット及びパルス状励起ビーム放射発生器において発生させる放射の強度を増大させようとする際に直面する問題を克服することができる。更に、連続波励起ビーム及び連続的に補給される燃料ターゲットの双方を組み合わせて提供すると、液滴燃料ターゲット及びパルス状励起ビームを必要とすると長く考えられていた問題が防止及び/又は軽減されることが予想外に見出されている。
[0027] 連続的に補給される燃料ターゲットを提供することは、第1位置から第2位置に噴射を送出することを含み得る。この噴射は第1位置と第2位置との間で連続的であり、噴射は放射を発生させるプラズマを発生するのに用いられる燃料を含み、噴射はプラズマ形成位置と少なくとも部分的に交差する。
[0028] 連続的に補給される燃料ターゲットは、燃料容器からプラズマ形成位置に燃料を移送するように配置された回転体によって提供され得る。
[0029] 回転体は回転ディスクとすることができる。
[0030] 燃料容器は液体燃料槽であり得る。回転体は、液体燃料のコーティングを施されてこの液体燃料のコーティングをプラズマ形成位置に移送するように液体燃料槽及びプラズマ形成位置を通って回転し得る。
[0031] 連続励起ビームは、連続波レーザによって提供される連続波レーザビームであり得る。
[0032] 連続波レーザは、第1反射器及び第2反射器を備える光共振器内で連続波レーザビームを発生させるように配置され得る。
[0033] 第2反射器は、プラズマ形成位置において連続的に補給される燃料ターゲットの表面によって与えることができる。連続的に補給される燃料ターゲットの表面は、実質的に平坦な表面及び/又は実質的に反射性の表面であり得る。
[0034] 連続波レーザは、少なくとも1つの増幅チャンバを備えるガスレーザであり得る。ガスレーザが複数の増幅チャンバを備える場合、増幅チャンバの各々を実質的に同一の圧力に維持することができる。これは、複数の増幅チャンバを備える従来技術のパルス状レーザにおいて各増幅チャンバを異なる圧力に維持する必要があることに比べ、特に有利である。
[0035] 放射を発生させるプラズマから発生した放射は、かすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタの形態の放射コレクタによって収集することができる。
[0036] 放射を発生させるプラズマから発生したデブリは、回転ホイルトラップによって低減され得る。より一般的には、放射源は、放射源内及び/又はリソグラフィ装置の他の部分内でのデブリ伝搬を低減させるために、1以上の汚染トラップの形態でデブリ低減デバイスを備えることができる。そのような汚染トラップは、回転ホイルトラップ、静的ホイルトラップ、又はガスバリアの1以上を含み得る。
[0037] 本発明の第2の態様によれば、リソグラフィ方法が提供される。この方法は、前出の請求項のいずれかに記載の方法に従って放射を発生させることと、発生させた放射を用いて基板にパターンを適用することと、を備える。
[0038] 本発明の第3の態様によれば、放射源が提供される。この放射源は、連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器と、使用時に連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出するように配置された励起ビーム源と、を備える。
[0039] 燃料ターゲット発生器は、第1位置から第2位置に噴射を送出するためのノズルを備え得る。この噴射は、第1位置と第2位置との間で連続的であり、放射を発生させるプラズマを発生するのに用いられる燃料を含む。連続的に補給される燃料ターゲットは、プラズマ形成位置における前記噴射の一部とすることができる。
[0040] 燃料ターゲット発生器は、燃料を燃料容器からプラズマ形成位置に移送するために回転するように配置された本体を備えることができる。
[0041] 本体はディスクとすることができる。
[0042] 燃料容器は液体燃料槽を含み得る。本体は、液体燃料のコーティングを施されてこの液体燃料のコーティングをプラズマ形成位置に移送するように液体燃料槽及びプラズマ形成位置を通って回転するように配置することができる。
[0043] 励起ビーム源は、連続波レーザビームの形態で連続励起ビームを提供するように配置された連続波レーザを備え得る。
[0044] 連続波レーザは、第1反射器及び第2反射器を備える光共振器内で連続波レーザビームを発生させるように配置することができる。
[0045] 連続波レーザは、第1反射器を備え、プラズマ形成位置における連続的に補給される燃料ターゲットの表面を第2反射器として用いるように配置することができる。例えば、連続波レーザが放射源の分離したコンポーネントと見なされる場合、連続波レーザは光共振器を生成するのに用いられる単一の反射器を含み得る。燃料は溶融スズ等の溶融金属とすればよい。溶融スズは、EUV放射を発生させるために極めて効率が高く、連続的に補給される燃料ターゲットが第2反射器として機能することを可能とする反射性表面を提供する。
[0046] 放射源は、放射発生させるプラズマにより発生した放射を収集するための放射コレクタを更に備え得る。放射コレクタは、例えばかすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタとすればよい。放射コレクタは他のいずれかの適切な形態をとることも可能である。
[0047] 放射源は、デブリ低減手段を更に備えることができる。例えば、デブリ低減手段は回転ホイルトラップを備え得る。デブリ低減手段は、これに加えて又はこの代わりに、静的ホイルトラップ、又はガスバリア等の他のコンポーネントを備えている。
[0048] 本発明の第4の態様によれば、第3の態様の放射源を備えるか又はこの放射源に接続されたリソグラフィ装置が提供される。
[0049] リソグラフィ装置は、放射を発生させるプラズマにより発生した放射を調節して調節済み放射ビームを形成するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体であって、パターニングデバイスが、放射ビームの断面にパターンを与えてパターニングされた放射ビームを形成することができる、支持体と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、を更に備え得る。
[0050] 本発明の第5の態様によれば、第1態様の方法を用いて放射を発生させることと、第4の態様のリソグラフィ装置を用いて基板をパターニングすることと、を備えるデバイス製造方法が提供される。放射はEUV放射であると好ましい。
[0051] 連続的に補給される燃料ターゲットによって、燃料は個々の塊でプラズマ形成位置に提供されるのではないことが理解されよう。例えば燃料は、液滴又は個々の粒子で提供されない。例えば、連続的に補給される燃料ターゲットとは、連続励起ビームの動作期間中に燃料が中断なしでプラズマ形成位置に補給されるようなものである。連続励起ビームが動作していない間(例えば放射源の洗浄中又は保守中)は、連続的に補給される燃料ターゲットも停止され得ることは認められよう。本発明のいくつかの実施形態では、例えば燃料が溶融スズ等の溶融金属である場合、燃料の固化を防ぐため、連続励起ビームが停止した際に連続的に補給される燃料ターゲットを提供し続けることがある。
[0052] 本発明の第6の態様によれば、装置が提供される。この装置は、複数の励起ビームをターゲット位置に送出してターゲット位置で第1合成励起ビームを形成するように配置された励起ビーム源を備え、前記励起ビーム源が、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節するための少なくとも1つの位相調節器を備える。
[0053] これは、位相調節器の制御によって第1合成励起ビームの品質を制御し得るという利点を有する。
[0054] この装置は放射源とすることができる。
[0055] 複数の励起ビームは、同一の波長を有する複数のレーザビームを含み得る。
[0056] 励起ビーム源は、第1特性を測定するように構成された第1センサ配置を更に備え得る。前記第1特性は放射の第1部分の特性であり、前記第1特性は第2特性を示し、前記第2特性は前記第1合成励起ビームの特性である。第1特性は、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対する位相によって少なくとも部分的に決定され得る。このように、少なくとも1つの励起ビームの位相は、第1センサ配置により与えられるフィードバックに基づいていっそう高精度に調節することができる。
[0057] 第1センサ配置は、前記複数の励起ビームの少なくとも2つの各部分を送出して第2合成励起ビームを形成するように配置された第1光学要素を備えることができる。放射の第1部分は前記第2合成励起ビームであり得る。第1特性は、前記第1合成励起ビームの強度、前記第1合成励起ビームの位置、前記合成励起ビームの焦点、及び前記合成励起ビームの干渉パターンの少なくとも1つを示し得る。これは、第1部分が第1合成励起ビームの特性の代替物(proxy)を与えるという利点を有する。
[0058] この装置は、コントローラを更に備えることができる。第1センサ配置は第1センサ信号をコントローラに提供し、コントローラは、少なくとも部分的に前記第1センサ信号に基づいて前記少なくとも1つの位相調節器を制御するように構成されている。
[0059] この装置は、第2特性を測定するように構成された第2センサ配置を更に備えることができる。前記第2特性は放射の少なくとも1つの第2部分の特性であり、前記第2特性は第3特性を示し、前記第3特性は前記複数の励起ビームの少なくとも1つの特性である。第2センサを提供することで、位相調節器のいっそう精度の高い制御が可能となる。
[0060] 第2センサ配置は、複数の励起ビームの各々について第2特性を測定するように構成され得る。このようにして、第2センサ、従って励起ビームの位相の制御を、いっそう正確に行うことができる。
[0061] 第3特性は、前記複数の励起ビームの前記少なくとも1つの位相であり得る。
[0062] この装置は、第2コントローラを更に備えることができる。第2センサ配置は第2センサ信号を第2コントローラに提供し、第2コントローラは、少なくとも部分的に前記第2センサ信号に基づいて前記少なくとも1つの位相調節器を制御するように構成されている。第2コントローラは、第1コントローラによって提供することができる。
[0063] 第1センサ配置及び/又は第2センサ配置は、フォトダイオード、分割フォトダイオード、電荷結合素子アレイ、及びアクティブピクセルセンサの少なくとも1つを備え得る。
[0064] 少なくとも1つの位相調節器は、前記複数の励起ビームの各々についてそれぞれ位相調節器を含み得る。
[0065] 励起ビーム源は、前記複数の励起ビームを前記プラズマ形成位置に送出するように構成された少なくとも1つの合焦要素を備え得る。少なくとも1つの位相調節器は、前記複数の励起ビームの少なくとも1つのビーム源と前記少なくとも1つの合焦要素との間の経路長を変化させるための手段を備えることができる。
[0066] この装置は、使用時に燃料ターゲット内の燃料を第1合成励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように、燃料ターゲットを前記ターゲット位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器を更に備え得る。このように、上述の態様の有利な装置を用いて、リソグラフィ装置内で使用可能な放射源(EUV放射源等)を提供することができる。
[0067] 本発明の第7の態様によれば、上述の態様の1つ以上を備えるか又はそれに接続されたリソグラフィ装置が提供される。
[0068] リソグラフィ装置は、放射を発生させるプラズマにより発生した放射を調節して調節済み放射ビームを形成するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体であって、パターニングデバイスが、放射ビームの断面にパターンを与えてパターニングされた放射ビームを形成することができる、支持体と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、を備え得る。
[0069] 本発明の第8の態様によれば、リソグラフィ装置用の放射を発生させる方法が提供される。この方法は、燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供することと、燃料ターゲット内の燃料を第1合成励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように複数の励起ビームをプラズマ形成位置に送出してプラズマ形成位置で第1合成励起ビームを形成することと、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節することと、を備える。
[0070] 前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を調節することは、前記複数の励起ビームの各々が前記第1合成励起ビームにコヒーレントに合成されるように前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を調節することを含み得る。
[0071] この方法は、第1センサ配置において第1特性を測定することを更に備え得る。前記第1特性は放射の第1部分の特性であり、前記第1特性は第2特性を示し、前記第2特性は前記第1合成励起ビームの特性であり、前記第1特性は、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対する位相によって少なくとも部分的に決定される。
[0072] この方法は、前記複数の励起ビームの少なくとも2つの各部分を送出して第2合成励起ビームを形成することを更に備え得る。放射の前記第1部分は前記第2合成励起ビームである。
[0073] 第1特性は、前記第1合成励起ビームの強度、前記第1合成励起ビームの位置、前記第1合成励起ビームの焦点、及び前記合成励起ビームの干渉パターンの少なくとも1つを示し得る。
[0074] この方法は、前記第1センサ配置から第1センサ信号を受信することと、前記第1センサ信号に基づいて前記少なくとも1つの位相調節器を調節することと、を更に備えることができる。
[0075] この方法は、第2センサ配置において第3特性を測定することを更に備え得る。前記第3特性は放射の少なくとも1つの第2部分の特性であり、前記第3特性は第4特性を示し、前記第4特性は前記複数の励起ビームの少なくとも1つの特性である。
[0076] 第2センサ配置において測定することは、前記複数の励起ビームの各々について放射の各第2部分の第3特性を測定することを含み得る。
[0077] 前記第3特性は前記複数の励起ビームの前記少なくとも1つの位相を示し得る。
[0078] 前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起の少なくとも1つの他のビームに対して調節することは、前記複数の励起ビームの各々について各位相調節器の位相を調節することを含み得る。
[0079] 前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節することは、前記複数の励起ビームの少なくとも1つのビーム源と前記複数の励起ビームを前記プラズマ形成位置に送出するように配置された少なくとも1つの合焦要素との間の経路長を変化させることを含み得る。
[0080] 本発明の第9の態様によれば、リソグラフィ方法が提供される。この方法は、前述の方法の態様のいずれかに従って放射を発生させることと、発生させた放射を用いて基板にパターンを適用することと、を備える。
[0081] 本発明の1つ以上の態様は、当業者にとって適切な場合、本明細書に記載する他のいずれかの1つ以上の態様と、及び/又は本明細書に記載するいずれかの1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
[0095] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ複数の実施形態を開示する。開示される複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
[0096] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
[0097] 図1は、本発明の一実施形態による放射源SOを含むリソグラフィ装置LAPを概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築されると共にパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構築されると共に基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイから成る)上に投影するように構成された投影システム(例えば反射型投影システム)PSと、を備えている。
[0098] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0099] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
[00100] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[00101] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[00102] 照明システムのような投影システムは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。ガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を設けてもよい。
[00103] 本明細書で示すように、本装置は反射タイプである(例えば反射マスクを使用する)。
[00104] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[00105] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから極端紫外線放射ビームを受光する。EUV光を生成するための方法は、必ずしも限定ではないが、例えばキセノン、リチウム、又はスズ等の、EUV範囲に1つ以上の輝線を有する少なくとも1つの元素を有する材料をプラズマ状態に変換することを含む。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と称されることが多いそのような1つの方法においては、必要な輝線を発する元素を有する材料の液滴、流れ、クラスタ、又は噴射等の燃料にレーザビームを照射することで、必要なプラズマを生成することができる。
[00106] 放射源SOは、燃料の流れを発生させるための燃料流発生器及び/又は燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(どちらも図1には示さず)を含むEUV放射システムの一部とすることができる。その結果生じるプラズマは、例えばEUV放射のような出力放射を放出し、これは放射源内に配置された放射コレクタを用いて収集される。例えばCO2レーザを用いて燃料励起のためのレーザビームを供給する場合、レーザ及び/又は燃料流発生器及びコレクタモジュール(放射源と呼ばれることが多い)は別個の構成要素であり得る。
[00107] そのような場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えたビームデリバリシステムを利用することで、レーザから放射源へと渡される。他の場合、例えば放射源が、DPP放射源と呼ばれることが多い放電生成プラズマEUV発生器である場合、これは放射源の一体的な部分とすることができる。
[00108] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えていてもよい。通常、少なくとも、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、ファセットフィールドミラーデバイス及びファセット瞳ミラーデバイスのような他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[00109] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAに反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2ポジショナPWと位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1ポジショナPMと別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせしてもよい。
[00110] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[00111] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
[00112] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
[00113] 3.別のモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
[00114] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、若しくは、全く異なる使用モードも利用することができる。
[00115] 図2は、放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む本発明の一態様によるリソグラフィ装置LAPを更に詳細に示す。放射源SOは、この放射源の閉鎖構造2内に真空環境を維持することができるように構築及び配置されている。
[00116] レーザ4は、燃料噴射発生器8の形態の燃料流発生器から供給されるスズ(Sn)又はリチウム(Li)等の燃料に、レーザビーム6によってレーザエネルギを堆積させるように配置されている。液体(すなわち溶融)スズ、又は液体の別の金属は、現在、EUV放射源の燃料として最も有望な、従って可能性の高い選択肢と考えられている。燃料噴射トラップ9は、プラズマ生成中に消費されない燃料を受容するように配置されている。燃料にレーザエネルギを堆積することで、数十電子ボルト(eV)の電子温度を有する高度に電離されたプラズマ10をプラズマ形成位置12に生成する。これらのイオンの下方遷移及び再結合の間に発生した高エネルギ放射が、プラズマ10から放出され、近垂直入射放射コレクタ14(より一般的には垂直入射放射コレクタと呼ばれることが多い)によって収集されて合焦される。コレクタ14は多層構造を有することができ、例えば特定の波長の放射(例えば特定のEUV波長の放射)の反射、更に容易な反射、又は優先的な反射を行うように調整されたものである。コレクタ14は、2つの自然楕円焦点を有する楕円形の構成とすることができる。一方の焦点はプラズマ形成位置10にあり、他方の焦点は以下で述べる中間焦点にある。
[00117] レーザ4及び/又は放射源及び/又はコレクタ14が共に、放射源、具体的にはEUV放射源を構成すると考えることができる。EUV放射源をレーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼ぶ場合がある。閉鎖構造2内のコレクタ14は、(この例では)放射源の一部を形成することができる。
[00118] 図示しないが、燃料噴射発生器8は、プラズマ形成位置12へと向かう軌道に沿って燃料を送出するように構成されたノズルを備えているか、又はそのようなノズルに接続される。
[00119] 放射コレクタ14により反射された放射Bは、放射コレクタの第2焦点16で像を形成するように合焦される。第2焦点16は一般に中間焦点と呼ばれ、放射源SOは、中間焦点16が閉鎖構造2の開口部18に又は開口部18の近傍に位置するように構成されている。中間焦点16に、放射を発するプラズマ10の像が形成される。
[00120] この後、放射Bは照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビームBの所望の角度分布を与えると共にパターニングデバイスMAにおいて放射強度の所望の均一性を与えるように配置されたファセットフィールドミラーデバイス20及びファセット瞳ミラーデバイス22を含むことができる。支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで放射ビームが反射すると、パターニングビーム24が形成され、このパターニングビーム24は、投影システムPSによって、反射要素26、28を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
[00121] 一般に、照明システムIL及び投影システムPSには、図示するよりも多くの要素が存在し得る。更に、図に示すよりも多くのミラーが存在する場合があり、例えば投影システムPSには、図2に示すものに対して1〜6の追加の反射要素が存在することがある。
[00122] 上述のように、パルス状レーザ及び液滴燃料ターゲットの組み合わせについて多数の改良が行われており、研究は継続中であるが、本発明の実施形態は、連続波レーザとプラズマ形成位置において連続的に補給される燃料ターゲットとを用いることを対象とする。このため本発明の実施形態では、図2のレーザ4は、レーザビーム6が連続ビームであるように構成された連続波レーザである。すなわち、レーザ4はパルス状レーザビームを提供するようには構成されていない。これは、EUVリソグラフィ機械向けの放射源においてパルス状レーザの使用が受け入れられていることからの意外な逸脱であるが、本発明者等は、連続波レーザの使用が多数の利点をもたらすことを認識している。一般に、リソグラフィ装置と共に用いられるEUV放射源向けの従来技術のパルス状レーザでは、直列に接続された複数の増幅チャンバの第1ものに、「シード(seed)」レーザビームを放出する。増幅チャンバの各々は光学利得媒体を包含し、これをシードレーザビームが通過することで、レーザビームのパルスの出力パワーを所望の量だけ順次増大させる。レーザビームのパワーが各段で増大するので、各増幅チャンバは異なる入力及び出力の要求を有し、従って、異なる圧力に維持された異なるガス混合物を含む光学利得媒体を包含する。
[00123] 図3は、パルス状レーザビームを供給するように構成された従来技術のCO2レーザ30を概略的に示す。レーザ30は、3つの増幅チャンバPA1、PA2、及びPA3を備えている。上述のように、増幅チャンバPA1、PA2、PA3の各々は異なる光学利得媒体を含み、それぞれの圧力に維持する必要がある。各増幅チャンバPA1、PA2、PA3をそれぞれの圧力に維持するため、各増幅チャンバは相互に及び周囲から分離されている。具体的には、増幅チャンバPA1及びPA2はウィンドウ31によって分離され、増幅チャンバPA2及びPA3はウィンドウ32によって分離されている。増幅チャンバPA3は、ウィンドウ33によって周囲(例えば放射源SO)から分離されている。
[00124] 動作において、増幅チャンバPA1にシードレーザビームパルス34が与えられ、ここでレーザビームパルス34が増幅チャンバPA1内の光学利得媒体と相互作用することで、誘導放出によってパワーが増大する。チャンバPA1、PA2、PA3の各々内の光学利得媒体及びレーザビームパルス34の経路を制御することにより、レーザビームパルス34は増幅チャンバPA1、PA2、及びPA3を進んでいき、ウィンドウ33から所望のパワーで出射する。レーザビームパルス34は、合焦光学部品35によって燃料ターゲット36上に送出される。最大パワーが40kWのレーザの場合、各レーザビームパルスは約300μmの領域上に合焦されて、約2x1010W/cm2の所望の放射照度を達成する。図3の矢印37は、個別の各レーザビームパルスがレーザ30から燃料ターゲット36まで通る経路を示す。
[00125] レーザ30内での放射量が大きいために、ウィンドウ31、32、33の変形及び劣化が生じる可能性がある。このためレーザ30の寿命が短くなることがあり、一方でコストは増大する(修理を行う必要があるため、及びそのような修理を実行している間のリソグラフィ機械の「ダウンタイム」のため)。更に、パルス状レーザ30は励起パルスを単一方向に送出するように構成されている(すなわちパルスは増幅チャンバ内で単一方向に伝搬する)ので、後方反射(例えば増幅チャンバとウィンドウ31、32、33との界面において、又は燃料ターゲット36の反射面から発生し得る)により、「利得ストリップ(gain stripping)」と称されることがあるプロセスで、光学利得媒体を伴う更に別の望ましくない挙動が起こる。この結果、以降のパルスに利用することができる光学利得媒体の量が減ってしまう。
[00126] 図4は、本発明の一実施形態による図2のレーザ4の例示的な構成を概略的に示す。図4の構成において、レーザ4はCO2レーザから成り、共に光共振器を形成するミラー41と部分反射出力カプラ42との間に、3つの増幅チャンバPA4、PA5、PA6を備えている(しかしながら、いかなる数の増幅チャンバを追加又は減少させて設けてもよいことは認められよう)。チャンバPA4、PA5、PA6の各々は、同じガス混合物から成る光学利得媒体を含むことができ、従って同じ圧力に維持することができる。単一のウィンドウ42が、レーザ4を放射源SOの他の部分から分離している。使用の際、レーザ4内で放出されたフォトンは、ミラー41、42間で増幅チャンバPA4、PA5、PA6を通って移動し、所望の閾値パワーに達するまでパワーを増大させる(光学利得媒体との相互作用によって)。この閾値パワーにおいて、レーザ光の一部はウィンドウ41からレーザ40を出射する。矢印42は、ミラー41と出力カプラ41との間のレーザビーム40内のフォトンの伝搬を示す。矢印43は、合焦項部品35及び燃料ターゲット36へ向かうレーザ40の出力ビームの伝搬を示す。
[00127] 図5は、図1及び図2の放射源SOと共に用いられるレーザ4の代替的な例を概略的に示す。図5の構成において、レーザ4は図4のレーザ4と同様に構成され、同様のコンポーネントには同じ参照番号を付している。しかしながら、図5のレーザ4では、部分反射出力カプラ41の代わりに、燃料ターゲット36の反射面が第2ミラーとして作用する。すなわち、燃料ターゲット36及びミラー41は共に光共振器を提供する。このようにして、ウィンドウ42のように比較的高い放射レベルにさらされるために経時的な劣化の恐れがある出力カプラを別個に設ける必要性を回避する。矢印46は、ミラー41から燃料ターゲット36への、及びその逆へのレーザの伝搬を示す。
[00128] 図4及び図5の双方の構成において、チャンバPA4、PA5、PA6は同じ圧力に維持することができるので、それらを相互に分離する必要はない。チャンバPA4、PA5、PA6は、劣化及び変形の可能性があるウィンドウによって分離する必要がないので、レーザ30に比べてレーザ4の寿命を改善することができる。更に、レーザ30に比べ、増幅チャンバを分離するウィンドウが存在しないので、レーザ4の修理は単純になる。また、レーザ40はレーザ30に比べ、後方反射による混乱、特に利得ストリップの影響を受けにくい。
[00129] 図4及び図5を参照して記載したレーザは連続波レーザであるので、プラズマ形成位置において必要な照射を達成するために、連続レーザビームは図3のレーザが生成するレーザパルスよりも狭く合焦される。例えば100kWのパワーを有する連続波レーザ4の場合、レーザビーム6は、直径が約100μmの領域に合焦させて、約2x1010W/cm2の放射照度を達成することができる。パルス状レーザビームの場合に一般的であるよりも狭く連続波レーザビーム6を合焦する必要があるが、このためにプラズマ直径10が小さくなり、従って中間焦点16におけるエタンデュが小さくなるという利点がある。
[00130] 図6は、本発明の一実施形態による図2の放射源SOを更に詳しく概略的に示す。図6の実施形態において、燃料流発生器8は、燃料を液滴の形態で与えるのではなく、ノズル51から噴射50を与えるように構成されている。噴射50は、ノズル51と燃料噴射トラップ9との間で連続的である(すなわち複数の液滴から形成されるのではない)。ノズル51は、例えばタングステン、モリブデン、又はその合金から構成すればよい。ノズルは、スズデブリによって生じる損傷に耐えることができ、高い動作温度(例えば最高で1000℃)を可能とする。プラズマ形成位置の近傍における高温のため起こり得るノズル51の劣化を防ぐために、高い動作温度の公差が必要とされることがある。これに加えて、又はこの代わりに、ノズル51は、スズコーティング等の使い捨てコーティングで被覆してもよい。更に、プラズマ形成位置はノズル51から最小距離にあるように選択することができる。例えば、プラズマ形成位置で発生したプラズマ及びスズデブリのエネルギからの熱がある程度ノズル51の位置に放散するように、プラズマ形成位置はノズル51から最小距離で10mmとすることができる。
[00131] 燃料噴射トラップ9は、未消費の燃料(すなわちレーザビーム6によってプラズマ状態に変換されなかった燃料)を受容するように配置されている。燃料噴射トラップ9に達した未消費の燃料は、燃料ポンプ53を介して燃料噴射発生器8へと再循環させることができる。代替的な実施形態では、燃料噴射トラップ9によって捕獲された燃料は、放射源SOの外部で処理した後、放射源SO内に再循環させることができる。コレクタ14は垂直入射コレクタとして示すが、他の実施形態では、かすめ入射コレクタ又は他のいずれかの適切な形態のコレクタである場合がある。
[00132] 噴射50は、プラズマ形成位置に常に新しい燃料を供給するために充分な速度でノズル51から放出される。一般に、噴射速度は典型的に25m/sから100m/sの範囲内とすればよいが、正確な噴射速度は、プラズマ形成位置における燃料噴射の所望のサイズに依存する。噴射40の連続的な性質を維持するため、噴射は、発生させたプラズマによってこの噴射40が溶かされないことを保証するような寸法で形成すればよい。
[1000] 更に、燃料噴射50等の連続的に補給される燃料ターゲットを用いると、連続波レーザビーム6により連続的に発生する熱は、未消費の燃料が燃料噴射トラップ9に運ばれることで効率的に除去される。従って、連続波レーザビーム6と連続的に補給される燃料ターゲットとの組み合わせは、リソグラフィ機械向けに発生させたEUV放射のパワー増大に伴う多数の問題を相乗的に解決し、更に、この解決は、パルス状レーザや液滴流発生器の品質の改善、及び/又はパルス状レーザを液滴燃料ターゲットへ送出する精度の向上のための過去に認められた手法から逸脱することによって行われる。
[0100] 図7は、図2に示したものの代替的な実施形態によるリソグラフィ装置LAPを更に詳しく概略的に示す。放射源SOを除いて、図7のリソグラフィ装置LAPは図2に示したものに相当し、同様のコンポーネントには同様の参照番号を付している。図2の実施形態とは異なり、連続的に補給される燃料ターゲットは燃料噴射ターゲットから供給されない。図7の実施形態では、放射源SOは、液体燃料(例えば液体スズ)を収容した燃料槽60を備えている。ディスク61が軸62を中心として回転するように配置され、ディスク61の縁の一部は燃料槽60に浸っている。ディスク61が回転すると、ディスク61の縁に薄い液体燃料層が堆積し、これによって、連続的に補給される燃料ターゲットがディスク61の縁においてプラズマ形成位置12に生成される。
[0101] レーザ4は、レーザビーム6を介して、プラズマ形成位置12における連続的に補給される燃料ターゲット上にレーザエネルギを堆積するように配置されている。ディスク61の縁の液体燃料層にレーザエネルギを堆積することで、数十電子ボルト(eV)の電子温度を有する高度に電離したプラズマ10をプラズマ形成位置12に生成する。これらのイオンの下方遷移及び再結合の間に発生した高エネルギ放射が、プラズマ10から放出され、プラズマ形成位置12の前方に位置決めされたかすめ入射コレクタ63によって収集されて合焦される。かすめ入射コレクタ63は入れ子式のコレクタであり、複数のかすめ入射反射器が光軸Oを中心として軸方向に対称的に配置されている。
[0102] プラズマ形成位置とかすめ入射コレクタ63との間に、デブリ低減デバイス64が設けられている。例示した実施形態では、デブリ低減デバイスは回転ホイルトラップの形態をとっている。回転ホイルトラップは、プラズマ10においてプラズマが発生させたEUV放射の光軸36と実質的に平行な中心軸を中心として配置された複数の羽根を備えている。これらの羽根は、プラズマ10の生成により発生した粒子デブリを捕獲するのに充分な速度で軸を中心としてモータ(図示せず)によって回転可能である。これによって、捕獲されたデブリが、かすめ入射コレクタ63及び放射源SOの他のコンポーネント、及びリソグラフィ装置LAPの更に下流のコンポーネントに衝突することを防ぐ。回転の結果、捕獲されたデブリは、デブリ捕獲器(図示せず)へと噴射することができる。
[0103] 放射コレクタ14によって反射された放射Bは、反射器64によって反射され、中間焦点16に合焦される。
[0104] 図2を参照して上述したように、放射Bは照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビームBの所望の角度分布を与えると共にパターニングデバイスMAにおいて放射強度の所望の均一性を与えるように配置されたファセットフィールドミラーデバイス20及びファセット瞳ミラーデバイス22を含むことができる。支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAで放射ビームが反射すると、パターニングビーム24が形成され、このパターニングビーム24は、投影システムPSによって、反射要素26、28を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
[0105] 図7の実施形態において、レーザ4はプラズマ形成位置12の直上にあるものとして図示しているが、レーザ4はいずれかの都合のよい位置に配置すればよい。例えば図8が示す代替的な実施形態では、レーザ4は、かすめ入射コレクタとミラー64との間に位置決めされたミラーに連続波レーザビーム6を送出するように配置され、このミラー65は、レーザをディスク61の方へ送出して合焦させるように適合されている。このように、レーザビーム6の伝搬方向は、ディスク61の回転軸62に対して垂直ではなく、ディスク61の回転軸に対して平行であり、レーザビーム6は回転軸に対して垂直な平面内でディスク61に入射するようになっている。この構成では、発生させたプラズマは、レーザビーム6が入射するディスク61の面によって、EUV放射の所望の伝搬方向の反対方向において少なくとも部分的に制約される。
[0106] 回転ホイルストラップ等のデブリ低減デバイスは、プラズマ10により発生するEUV放射の一部を吸収する可能性があるが、より大量のデブリを許容する能力があれば、更に大量の燃料及び更に高パワーのレーザを用いることができる。例えば、40kWのパルス状レーザビームを供給するように構成し得るレーザを、大幅な変更を行うことなく、80kWの連続波レーザビームを供給するように構成することができる。連続的に補給される燃料ターゲット(噴射又は回転ディスク等)の使用によって、レーザをいっそう効果的に連続波モードで用いることができ、同等のパルス状ビームレーザに比べ、レーザが出力するパワーの増大が可能となる。回転ホイルトラップ等のデブリ低減デバイスは、連続波レーザ及び連続的に補給される燃料ターゲットの組み合わせにより達成されるEUV放射の増大分の全てを吸収するわけではないことがわかっている。このため、デブリ低減デバイスを利用する実施形態であっても、連続的に補給される燃料ターゲットに入射する連続波レーザを用いて、EUV放射の正味の(net)増大を得ることができる。
[0107] 上述の1つの実施形態を参照して説明されるコンポーネントは、別の実施形態を参照して説明されるコンポーネントと組み合わせてもよい。例えば、上述の図2の実施形態を参照してデブリ低減デバイスの説明は行わなかったが、図2に示すコンポーネントと組み合わせていずれかの適切なデブリ低減デバイスを設けてもよいことは認められよう。例えば、回転ホイルトラップ、静的ホイルトラップ、又はガスバリアを設けることができる。同様に、図2の実施形態では垂直入射コレクタ14を利用しているが、図2の実施形態によって、かすめ入射コレクタを含むいかなる適切なコレクタも使用可能であることは理解されよう。
[0108] すなわち、連続的に補給される燃料ターゲットをどんなふうに設けるにしても(連続噴射、回転ディスク、又は他の方法でも)、放射コレクタ、デブリ低減デバイス、及び光学コンポーネントのいかなる組み合わせでも使用可能である。
[0109] 更に、上述の実施形態においてレーザ4はCO2レーザであるが、いずれかの適切なレーザを使用可能であることは認められよう。例えば本発明のいくつかの実施形態では他のガスレーザを用いることができ、本発明の他の実施形態では例えばYAGレーザ等の固体レーザを使用可能である。
[0110] 液滴ターゲットを提供するように配置された燃料流発生器を含む放射源に比べ、噴射ターゲットを使用する場合は、著しく大量の液体燃料を所与の期間にわたってポンプで汲み出す必要がある。このため、燃料噴射発生器8、燃料噴射トラップ9、及び燃料ポンプ43等のコンポーネントの動作温度を低下させることができれば、これらのコンポーネントの動作及び長寿命にとって有益であり得る。従って、噴射の形成に用いる燃料の組成を選択する際には、動作温度の低下を目的とすることがある。例えば燃料は共晶合金とすることができる。例えば、スズ及びガリウムの合金、又はスズ及びインジウムの合金を含む燃料では、室温動作が可能となる。
[0111] 本発明のいくつかの実施形態では、燃料ターゲットに入射する放射のパワーを増大させるために、複数のレーザビームを燃料ターゲットに送出することができる。燃料ターゲットに入射する放射のパワーを増大させることで、パワーが増大したEUV放射を得ることができる。一例として、燃料ターゲットに300kWのレーザパワーを与えるために、各々が10kWのパワーを有する30のレーザを組み合わせることができる。しかしながら、各レーザが同じ波長を有する場合、結果として生じるビームのウエストが干渉を起こしやすい。具体的には、各レーザ間の相互作用は、各レーザにより生成されるビームを単に重ね合わせた結果、燃料に入射する領域が過度に大きくなるので、燃料ターゲットに入射する放射を所望のパワー密度で得ることができない。
[0112] 図9を参照すると、燃料ターゲットに複数のレーザビームを送出するのに適した代替的なレーザ配置70が概略的に示されている。シードレーザ71(これは例えばCO2レーザとすればよい)は、シードレーザビーム72をビームスプリッタ73に提供し、ビームスプリッタ73はシードレーザビーム72を複数のレーザビーム74に分離させる。各レーザビーム74は同一の周波数を有する。図9はシードレーザビーム72を4つのレーザビームに分割することを示すが、特定用途の要件によって決まるようないかなる数のレーザビームも使用可能であることは理解されよう。シードレーザ71は、連続波レーザとすることができるか、又は一般的に「準連続波」モードと称されるモードで動作することができる。このモードでは、レーザは特定の時間期間のみ動作するが、この時間期間は、レーザが動作時間期間中に実質的に連続波モードとなるのに充分な長さである。
[0113] レーザビーム74は各々、複数の位相調節器75の1つに提供される。各位相調節器75は、各レーザビーム74を変調して、各変調済みレーザビーム76を与えるように構成されている。特に、各位相調節器75は、コントローラ78が与える命令に従って各レーザビーム74の位相を変調するように構成されている。コントローラ78の動作については以下で詳述する。しかしながら、一般的に言えば、コントローラ78は、燃料ターゲットに入射するレーザ放射の所望の特性を得るために位相調節器75を制御するように動作可能である。
[0114] 各変調済みレーザビーム76は、複数の増幅器77の各々に提供される。図9に示す実施形態では、各変調済みレーザビーム76は単一の増幅器77に提供されるが、各変調済みレーザビーム76と関連付けていかなる数の増幅器も使用可能であることは理解されよう。本発明のいくつかの実施形態では、増幅器はファイバ増幅器とすればよい。
[0115] 増幅器77から、各変調済みレーザビーム76は、複数のレーザ調節コンポーネント79の各々に送出される。各レーザ調節コンポーネント79は、変調済みレーザビーム76を更に調節するために必要ないずれかの適切なコンポーネントを備えることができる。例えばレーザ調節コンポーネント79は、各変調済みレーザビーム76を合焦要素80に送出するように構成されたデリバリ光学部品を備えることができる。この代わりに、又はこれに加えて、レーザ調節コンポーネント79は、増幅器、光アイソレータ、及び/又は位相回転器等のコンポーネントを備えることも可能である。
[0116] 合焦要素80は、個々の変調済みレーザビーム76を組み合わせて、それらをターゲットポイント81(これはEUV放射発生のために燃料が供給される場所とすることができ、本明細書ではプラズマ形成位置と称することがある)に送出する。多くの場合、ターゲットポイント81は合焦要素80の焦点にあるか又は焦点の近傍にある。合焦要素80はいずれかの適切な形態ととることができ、例えば複数の合焦要素とすることも可能である。例えば合焦要素80は、変調済みレーザビーム76の各々について1つの合焦要素を含むことができる。他の実施形態では、合焦要素の各サブセットが、レーザビームの各サブセットをターゲットポイント81に合焦させるように機能することも可能である。
[0117] 図9のレーザ配置は更に、第1センサ配置を備えている。第1センサ配置は複数のビームスプリッタ82を備え、各ビームスプリッタ82は、レーザ調節コンポーネント79と合焦要素80との間で変調済みレーザビーム76の各々の経路に位置決めされている。第1センサ配置は更に、第2合焦要素84及び第1センサ85を備えている。
[0118] ビームスプリッタ82の各々は、変調済みレーザビーム76の各々の第1部分83を第2合焦要素84へと送出するように構成されている。第2合焦要素84は、個々の第1部分を組み合わせて、それらを第1センサ85上のポイントに送出するように構成されている。第1センサ85は、この第1センサ85に入射する組み合わせレーザ放射の1つ以上の特性を明らかにするように構成されている。入射した組み合わせレーザ放射に関する第1センサ85が明らかにした情報は、ターゲットポイント81に入射する組み合わせ変調済みレーザビーム76に類似したものである。例えばセンサ85は、入射した組み合わせレーザ放射の強度を求めて、ターゲットポイント81に入射する組み合わせレーザ放射の代替物を与えるように構成することができる。第1センサ85は、いずれかの適切な方法で実施可能であり、いくつかの例示的な実施形態では、単一のフォトダイオード、分割フォトダイオード、アクティブピクセルセンサ(APS)、及び/又は電荷結合素子(CCD)イメージセンサ等の光検出器を含むことができる。第1センサ85は、入射した放射の周波数以下である周波数により放射を測定することができる。いくつかの実施形態では、第1センサ85は、レーザビーム76の相対的な位相を検出することができる。
[0119] 第1センサ85は、信号86をコントローラ78に提供するように構成されている。信号86は、コントローラ78によって位相調節器75を制御するために使用可能な情報を含む。例えば第1センサ85は、強度情報をコントローラ78に提供するように構成することができる。経時的に強度を分析することで、コントローラ78は、放射の第1部分83のそれぞれの間の位相差を求め、ひいては、変調済みレーザビーム76の対応するものの間の位相差を求めることができる。次いでコントローラ78は、変調済みレーザビーム76のそれぞれの間の位相差に関する情報を用いて位相調節器75を制御することで、ターゲットポイント81に入射する組み合わせレーザ放射の1つ以上の所望の特性を達成することができる。
[0120] 変調済みレーザビーム76のそれぞれの間の位相差を調節することで、ターゲットポイント81で受信される組み合わせレーザ放射の波面の調節が可能となる。変調済みレーザビーム76のそれぞれの位相を制御した結果は、ターゲットポイント81における合成(merged)レーザビームの干渉のパターンを制御することであると考えられる。言い換えれば、レーザビーム76の相対的な位相を調節することで、建設的干渉及び相殺的干渉のパターンを制御して所望の放射分布を得ることができる。このように、レーザ配置70は、燃料ターゲットの表面上での放射分布を制御して所望の効果を達成することができる。
[0121] 図9の配置の1つの有利な使用においては、位相調節器75を制御することにより、変調済みレーザビーム76の各々をコヒーレントに結合することができる。これによって、変調済みレーザビーム76がインコヒーレントに空間的に合成された場合に可能であるよりもターゲットポイント81におけるパワー密度が高く安定した合成ビームを変調済みレーザビーム76により提供することができる。具体的には、実質的に同じ位相の(すなわち所定の許容可能な公差内で位相差がゼロの)各変調済みレーザビーム76を提供するように位相調節器75を制御することにより、ターゲットポイント81において最大のパワー密度を得ることができる。ターゲットポイント81における燃料ターゲット上のパワー密度を高くすることで、発生させるEUV放射のパワーを増大させることが可能となる。実質的に位相差がゼロの変調済みレーザビーム76の供給は、「フラットな」干渉パターンを与えることと見なすことができる。本発明の実施形態を用いて、他の干渉パターンを発生させることも可能である。更に別の例として、隣接する変調済みビーム76間の位相差が等しくなるように位相調節器75を制御することで、ターゲットポイント81において「傾斜」干渉パターンを与えることができる。
[0122] 燃料ターゲットに入射する放射分布のプロファイルを調節することで、デブリ伝搬方向の制御が可能となり、更に、燃料ターゲットから反射されるレーザ放射の角度分布に対する制御が可能となる。例えば、変調済みビーム76間の位相差は、ターゲットポイント81において双極又は4部構成(quadruple)のパターンを与えるように構成することができる。このようなパターンを用いて、ターゲットポイント81から基板方向のレーザ放射の反射を低減することができる。
[0123] 別の例として、「フラットな」パターンを用いて最大パワーを有するEUV放射を提供可能であることは上述したが、位相調節器75の制御によって燃料ターゲット81におけるレーザ放射のパワー密度を変化させることで、EUVパワーの量を制御して、最大でない所望のパワーを有する所望のEUV放射を得ることも可能である。例えば、発生させるEUV放射量を低減させることが望ましい場合、燃料ターゲットの焦点面における変調済みレーザビーム76のコヒーレンスを低減させるように位相調節器75を制御すればよい。本発明のいくつかの実施形態では、発生させたEUV放射のパワー密度を適切なセンサにより測定し、その情報をコントローラ78に提供することができる。次いでコントローラ78は、所望のパワー密度を有するEUV放射を発生させるために、ターゲットポイントの合成レーザビームにおいて適切なレベルのコヒーレンスを得るように、位相調節器75を制御することができる。従って、EUV放射強度の低下は、合焦要素81(又は配置70の他のいずれかの段)を介して送出されるレーザ放射のパワーを変化させることなく達成可能であり、このため、放射強度の変化から生じ得る熱膨張/歪みによって最終焦点が変化することもない。
[0124] レーザ配置70の更に別の有利な使用は、例えば合焦要素80における熱的な変化によって生じる焦点のシフトを補正することである。変調済みレーザビーム76の1つ以上の位相の調節を用いると、合焦要素80の機械的な再位置決めを必要とすることなく、しかもそれよりも迅速に、そのような焦点シフトを補償することができる。
[0125] 本発明のいくつかの実施形態では、第1センサ85は、この第1センサ85に入射する組み合わせた第1部分83の焦点位置、従って、ターゲットポイント81に入射する組み合わせ変調済みレーザビーム76の焦点に関する情報を与えるように構成することができる。図10A及び図10Bを参照すると、いくつかの実施形態では、センサ85は、4つの四分円91、92、93、94を有する分割フォトダイオードから成る。図10Aにおいて、レーザスポット95(すなわち合成された第1部分83により照明される分割フォトダイオードの表面の部分)は、分割フォトダイオードの中心にある。すなわち図10Aの配置では、各四分円91、92、93、94は、組み合わせた第1部分83から実質的に同一の量の放射を受光する。光学要素80が熱膨張/収縮を生じていない場合、変調済みレーザビーム76の位相を整合させることによって、図10Aの配置を達成することができる。
[0126] 図10Bに示すように、中心位置に対するレーザスポット95の位置(従って、ターゲットポイント81に対する合成された変調済みレーザビーム76の位置)は、変調済みレーザビーム76の各位相の調節によって調節することができる。同様に、レーザスポット95が中心スポットから遠ざかったことが検出された場合(例えば光学要素80、84において熱により誘発された変化の結果として)、適切な信号をコントローラ78に与えて、変調済みレーザビーム76の1つ以上の位相を調節すればよい。
[0127] 図11に、本発明の代替的な実施形態を概略的に示す。図11は、図9に示したレーザ配置70と同様に構成されたレーザ配置70’を示す。レーザ配置70のものと同一であるレーザ配置70’のコンポーネントには、同様の参照番号を付している。レーザ配置70’がレーザ配置70と異なる点は、各ビームスプリッタ82と合焦要素84との間で第1部分83の各々の経路に各ビームスプリッタ400が設けられていることである。ビームスプリッタ400の各々は、放射の第2部分401の各々を第2センサ402に送出するように配置されている。
[0128] 第1センサ85が、この第1センサ85に入射する合成ビームの強度を求めるように構成されているのに対して、第2センサ402は、第2部分401の各々の特性を求めるように構成されている。第2センサは、いずれかの適切な方法で実施可能であり、例えばCCDアレイとすればよい。いくつかの実施形態では、第2センサ402は、ビーム401のいずれか2つの間、又はビーム401の中の特定の基準ビームと他のいずれかとの間で、位相差を求めるように動作する。センサ85と同様に、センサ402は信号403をコントローラ78に提供するように構成されている。
[0129] 図11において、第2センサ402はビームスプリッタ82及びビームスプリッタ400を介して放射を受信するように示しているが、他の構成も使用可能である。例えばいくつかの実施形態では、第2センサ402をレーザ調節コンポーネント79と合焦要素80との間に位置決めすることができる。そのような実施形態では、第2センサ402は少なくとも部分的に透過性であり、レーザビーム76の少なくとも一部が第2センサ402を通過して合焦要素80に到達するようになっている。
[0130] ここで、変調済みレーザビーム76が矩形又は方形のアレイに配置されて、変調済みレーザビーム76のMxNの2次元アレイが図11の線S−Sによって画定される平面上に入射する一例について説明する。平面S−Sに入射する変調済みレーザビーム76は、相互に対して実質的に平行な方向に伝搬することができ、変調済みレーザビーム76の中心は、相互から実質的に等距離とすることができる。平面S−Sは、レーザビーム76の伝搬方向に対して実質的に垂直とすることができる。しかしながら、この配置は単なる例示であり、変調済みレーザビーム76の他の構成も使用可能であることは理解されよう。
[0131] 平面S−Sに入射するレーザビーム76の位相差を、第2センサ402によって測定することができる。第2センサ402によって与えられるレーザビーム76間の位相差の測定値は、次元MxNを有し式(2)で与えられる2次元位相行列Pを形成すると見なすことができる。
[0132] 位相行列Pの各要素は、平面S−Sに入射するレーザビーム76の1つに相当する。位相行列Pの各要素の指数(i,j)は、平面S−Sに入射する各レーザビーム76の相対的な位置を表す。各要素Pi,jの値は、位置(i,j)におけるレーザビームと位置(1,1)におけるレーザビームの位相との位相差に等しい。従って、要素P1,1の値は「0」である。
[0133] 位相行列Pは、第2センサ402によって測定され、信号403を介してコントローラ78に提供することができる。次いでコントローラ78は、所望の位相行列Pを与えるために変調済みレーザビーム76の1つ以上の位相を調節することができる。ターゲットポイント81に又はその近傍に入射する合成放射の1つ以上の所望の特性を制御するために、位相行列Pを制御することができる。上述のように、変調済みレーザビーム76は、ターゲットポイント81で合成されるように合焦要素80によって合焦される。合成されたビームは、x−y平面においてz=0で、ターゲットポイント81において強度分布を与える。図10を参照して上述したように、レーザビーム76はターゲットポイント81においてコヒーレントに組み合わせることができる。レーザビーム76のコヒーレントな組み合わせを達成するには、レーザビーム76の全ての位相が相互に実質的に等しくなるように、従って位相行列Pの全ての要素がP1,1に実質的に等しくなるようにレーザビーム76の位相を制御すればよい。これは、ターゲットポイント81に中心があるx−y平面において最もタイトな強度分布を与える。
[0134] 位相行列Pは、合焦要素80の焦点に対する強度分布の中心点を制御するために制御することができる。強度分布の中心点は、式(3)に従って位相行列Pを制御することで、x方向及びy方向において制御することができる。
[0135]
[0136] 組み合わせレーザビーム76は、合焦要素80から角度βでx軸に伝搬し、角度αでy軸に伝搬する単一のガウスのビーム(Gaussian beam)としてモデル化することができる。式(3)に従って制御された位相行列の強度分布の中心は、x−y平面内の位置にあり、β=aλN/(2πY)及びα=bλM/(2πX)である。ここで、Xは最も外側のレーザビーム76間のx方向の距離であり、Yは最も外側のレーザビーム76のy方向の距離であり、λはレーザビーム76の波長である。従って、角度α及びβを制御するために式(3)における係数a及びbを制御することで、式(3)に従って位相行列Pを制御することにより、強度分布の中心点の位置を制御することができる。
[0137] レーザビーム76は、合焦要素80を通過した後で相互に干渉する場合がある。従って、合成ビームが実質的にz方向に伝搬するにつれて、ガウス強度分布の幅が小さくなり、その後で大きくなることがある。合成ビームの電力束(power flux)が最大となり、これに対応して強度分布が最小となり、従って単一のビームが最も合焦されるz軸上の位置は、位相行列Pを制御することで制御可能である。具体的には、位相行列Pの中央の要素が位相行列Pの最大値又は最小値となるように位相行列Pを制御することができる。位相行列Pは更に、式(4)により与えられる放物線関数に従って制御することができる。
[0138]
[0139] ここで、c、d、e、及びfは、ラジアンの単位の固定角度であり、正の値又は負の値をとり得る。角度e、fは、合焦要素81における合成レーザビーム76の最大電力密度のx−y平面内の位置を決定する。角度c、dは、組み合わせたレーザビーム76の集束/発散の量を決定する。M=Nかつc=dである場合、球形の波面の近似を達成することができる。
[0140] 合焦要素80の熱膨張又は熱収縮を補償するために、位相行列Pを制御することができる。合焦要素80の合焦特性の変化を補償するため、式(5)により規定されるパターンを位相行列Pに適用することができる。
[0141]
[0142] 合焦要素80の焦点又はその近傍における放射の強度分布の形状を制御するために、位相行列Pを制御することができる。例えば、i<K<N/2かつj<L<M/2である位相行列内の位置について、式(6)に従ってPi,jにおける要素の位相を制御することで、中心の暗いスポットの周りに放射のリングを含む、焦点又はその近傍における放射の強度分布を与えることができる。
[0143]
[0144] N/2>i>KかつM/2>j>Lである位相行列P内の位置については、式(7)に従って位相行列Pを制御することができる。
[0145]
[0146] ここで、K及びLは、放射のリングの直径及び暗いスポットのサイズを制御する値である。中心の暗いスポットの周りに放射のリングを含む、合焦要素80の焦点又はその近傍における放射の強度分布を用いて、プラズマにより放出されるデブリの方向及び組成(イオン、蒸気、又は液滴)を制御することができる。
[0147] 上述の位相行列Pを制御する例のいかなるものも、本発明の単一の実施形態において組み合わせることができる。本発明の他の実施形態では、レーザビーム76及び位相行列Pの代替的な配置も使用可能である。一般に、レーザビーム76における任意の位相遅延の導入は、自由形式のレンズを使用することと同様であると見なされ得る。ターゲットポイント81におけるパワー分布及び焦点位置の更に別の構成も利用可能であることは認められよう。
[0148] 本発明のいくつかの実施形態では、レーザ調節コンポーネント79は、第2センサ402からの信号403に応じて調節可能な位相回転器等のコンポーネントを備えることができる。このように、変調済みレーザビーム76のそれぞれの間の位相差に対して追加の制御を行うことも可能である。
[0149] 本発明のいくつかの実施形態では第1センサ85及び第2センサ402の一方のみを設けるが、本発明の他の実施形態では、センサ85及びセンサ402の双方を設ける。更に、本発明の他の実施形態では、センサ85もセンサ402も設けない。例えば本発明のいくつかの実施形態では、合成ビームが燃料ターゲットに入射した場合に発生するEUV放射の量を測定するセンサを設けることができ、このセンサはコントローラ78にフィードバックを与えることができる。
[0150] 図12は代替的なレーザ配置500を示す。ここでは、複数のレーザの相対的な位相を調節して、図9及び図11を参照して述べた利点を達成することができる。図12の配置は、シードレーザ511、ビームスプリッタ512、及び複数の増幅チャンバ513を備えている。シードレーザ511により生成されたシードレーザビームは、ビームスプリッタ512によって3つのレーザビーム514に分割され(いかなる数のレーザビームも提供可能であることは認められよう)、レーザビーム514の各々は増幅チャンバ513のそれぞれに提供される。
[0151] レーザ配置500は更に、各レーザビーム514を光学要素517に送出するように構成された3つの光学要素515を備えている。光学要素517は、各ビームを合焦要素518に送出するように構成されている。合焦要素518は、レーザビーム514をターゲットポイント81に送出して合成するように配置されている。ターゲットポイント81は、例えば燃料ターゲットとすればよい。
[0152] 光学要素515の各々はプラットフォーム516上に設けられ、レーザビーム514の相対的な位相を変化させるためにプラットフォーム516に対して可動となっている。例えば、レーザビーム514の1つのレーザ源と光学要素518との間の経路を短縮又は延長することで、そのレーザビーム514の他のレーザビーム514に対する位相を動的に調節することができる。各光学要素515を動かすことで、レーザビーム514の全てを他のレーザビーム514に対して同様に変化させることができる。
[0153] また、光学要素515の各々を個別に傾斜させて、各レーザビーム514を異なる経路に沿って送出することにより、生成される合成レーザビームが送出されるポイント81の位置を調節することも可能である。
[0154] 光学要素515と光学要素517との間の、レーザビーム514の各々の経路に、光学要素519が設けられている。光学要素519は、各レーザビーム514の部分520をチルトセンサ、更に別の光学要素525へ送出するように配置されている。光学要素519は、いずれかの適切な方法で実施可能であり、例えば入射する放射の一部を反射するが残りの放射を通過させることができるように配置されたミラー要素(mirrored element)を含むことができる。光学要素525は、部分520の第1部分をチルトセンサ521に、部分520の第2部分をコリメーションセンサ526に送出するように配置されている。光学要素525は、例えば、部分520の第1部分を反射し部分520の第2部分を透過させるミラーとすればよい。チルトセンサ521は、例えば電荷結合素子(CCD)とすればよいが、これも当業者に明らかであるようないずれかの適切な方法で実施可能である。チルトセンサ521は、各レーザビーム514が傾斜している量を求め、フィードバック情報をコントローラ(図示せず)に提供するように構成されている。コントローラは、光学要素515の作動を制御し、続いてレーザビーム514の傾斜を調節するように構成されている。
[0155] 光学要素515と光学要素517との間の、レーザビーム514の各々の経路に、更に別の光学要素522が設けられている。光学要素522は、各レーザビーム514の部分を相対波面センサ523に送出するように配置されている。波面センサ523は、いずれかの適切な方法で実施可能である。本発明のいくつかの実施形態では、波面センサ523は基準レーザ524から基準信号を受信し、これをレーザビーム514の波面と比較することができる。
[0156] 図10から図12を参照して上述した実施形態では、シードレーザにより与えられるレーザビームを分割して複数のレーザビームを与え、これらを後に合成する。本発明の他の実施形態では、複数のレーザがそれぞれレーザビームを与え、これらを後に合成してもよい。例えば複数のファイバレーザがそれぞれレーザビームを与え、これらを後に合成することができる。実際、後に合成される複数のレーザビームを、いずれかの適切なレーザ又は複数のレーザによって提供可能であることは認められよう。
[0157] 図13は、多層ミラー201の実施形態を示す。多層ミラー201は、2〜20nmの範囲の波長を有する放射を反射するように構築及び配置されている。多層ミラーは、基板208によって支持された交互の層204、206を有する第1部分202を備えている。多層ミラー1は更に、交互の層205、207を備えた第2部分203を含む。第2部分203は、第1部分202の上にキャッピング層を形成する。
[0158] 交互の層204、206は、典型的にはシリコン層204及びモリブデン層206である。第2部分203の交互の層205、207は、それぞれダイヤモンド状炭素層205及びシリコン層207、炭化ホウ素層205及び窒化シリコン層207、ダイヤモンド状炭素層205及び窒化シリコン層207、及び/又は炭化ホウ素層205及び窒化シリコン層207とすることができる。炭化ホウ素の一例はB4Cである。別の例はB9Cである。窒化シリコンの一例はSi3Ni4である。
[0159] 従来、図13に開示する第2部分203の代わりにSi3Ni4層を用いることが提案されている。図14は、反射率Rを層の厚さの関数として示すグラフである。Si3Ni4層の厚さが40nmの厚さに達する前であっても反射率が40%未満に低下することがわかる。
[0160] 図15は、前述の第1部分202及び第2部分203を有する多層ミラー201の一実施形態の反射率を示すグラフである。更に具体的には、第2部分203はダイヤモンド状炭素層205及びシリコン層207を含む。図14及び図15を比較するとわかるように、反射率は、ダイヤモンド状炭素層/シリコンの多層では、Si3Ni4層よりも悪化していない。
[0161] 図16に、多層ミラー1の実施形態を示す。この実施形態は反射性レチクルである。図3の多層ミラーの特徴に加えて、図15の実施形態には、その表面のパターンを画定するように配置された吸収性材料を有する構造10を設けることができる。吸収性材料として用いるのに適切な材料は、クロム、チタン、シリコン、ルテニウム、モリブデン、タンタル、アルミニウム、又はそれらのいずれかの組み合わせであり得る。
[0162] 典型的に、ミラー1の第1部分2は、30から200周期の交互の層、すなわち合計数が60から400の層によって形成される。第2部分203は、例えば約10周期、すなわち合計数が約20の層で形成することができる。この点で、これらの図は単に例示として機能する概略図であり、一定の縮尺通りの図ではないことに留意すべきである。
[0163] 図17に別の実施形態を示す。図17の実施形態は図16の実施形態と同様である。しかしながら図17の実施形態では、ミラー201にキャッピング層212が設けられている。キャッピング層212は、ルテニウム、タンタル、チタン、ロジウム、又はそれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。このようなキャッピング層は、多層ミラー201の層状構造を化学攻撃から保護するように適切に配置することができる。キャッピング層に適切な厚さは、0.5nmから10nmの範囲内のいずれかであり得る。
[0164] 本発明がこれまで開示してきた実施形態に限定されないことは、当業者には明らかであろう。例えば、多層ミラーは垂直入射コレクタミラーとすることができる。典型的に、そのようなミラーは楕円表面を有し、第1焦点及び第2焦点を有する。第1焦点から発してミラーにより反射された放射は、次いで第2焦点へと送出される。第1焦点から発した放射が表面に垂直に入射するミラー上の位置において2つの後続の放射に面した表面間の距離がdである場合、第1焦点から発した放射が表面の垂線に対して角度αで入射するミラー上の位置において2つの後続の放射に面した表面間の距離は、約d/コサインαに等しい。例えば、第1焦点から発した放射が表面の垂線に対してゼロ度の角度で入射するミラー上の位置において2つの後続の放射に面した表面間の距離dは、6.9nmであり得る。そして、第1焦点から発した放射が表面の垂線に対して30度の角度で入射するミラー上の位置において、この距離は6.9nm/コサイン(30度)≒8nmである。
[0165] また、例えば第1部分と第2部分との間、又は第1部分の連続したモリブデン層とシリコン層との間に、拡散防止層を設けることも可能である。このような層は、炭化ホウ素を含むか又は炭化ホウ素から成ることができる。
[0166] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。
[0167] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0168] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
[0169] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、下記に示す条項から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
1.2〜20nmの範囲内の波長を有する放射を反射するように構築及び配置された多層ミラーであって、第1部分及び第2部分を有し、これらの部分の各々が交互の層を有し、第1部分の交互の層が第1層及び第2層から成り、第1層がモリブデン層であって第2層がシリコン層であり、第2部分の交互の層が、1つ以上の誘電材料で形成された層及びシリコン及び/又は窒化シリコンの層から成る、多層ミラー。
2.誘電材料の少なくとも1つが、ダイヤモンド状炭素及び炭化ホウ素から成る群から選択される、条項1に記載の多層ミラー。
3.第2部分が第1部分の上に位置し、1つ以上の誘電材料で形成された層の1つが第1部分のシリコン層に当接するか、又は窒化シリコンの層の1つがモリブデン層の1つに当接する、条項1又は2に記載の多層ミラー。
4.第1部分において、隣接するシリコン層とモリブデン層との間に拡散防止層が設けられている、条項1、2、又は3に記載の多層ミラー。
5.ミラーにおいて、第1部分と第2部分との間に拡散防止層が設けられている、条項1から4のいずれか1項に記載の多層ミラー。
6.誘電材料で形成された層の各々が、放射に面する表面及び内側に面する表面を有すると共に、2つの後続の放射に面する表面間の距離の約0.4倍から0.6倍の厚さを有する、条項1から5のいずれか1項に記載の多層ミラー。
7.誘電材料で形成された層の各々が放射に面する表面及び内側に面する表面を有し、2つの後続の放射に面する表面間の距離が約6.9nm以上である、条項1から5のいずれか1項に記載の多層ミラー。
8.ミラーが第1焦点及び第2焦点を有し、ミラーが第1焦点から発した放射を第2焦点上へ反射するように構築及び配置され、誘電材料で形成された層の各々が放射に面する表面及び内側に面する表面を有する、条項1から5のいずれか1項に記載の多層ミラー。
9.第1焦点から発した放射が表面の垂線に対してゼロ度の角度で入射するミラー上の位置において、2つの後続の放射に面する表面間の距離dは約6.9nmから約7.0nmである、条項8に記載の多層ミラー。
10.第1焦点から発した放射が表面の垂線に対してαの角度で入射するミラー上の位置において、2つの後続の放射に面する表面間の距離がd/コサインαに等しい場合、dは、第1焦点から発した放射が表面の垂線に対してゼロ度の角度で入射するミラー上の位置における2つの後続の放射に面する表面間の距離である、条項8又は9に記載の多層ミラー。
11.2〜20nmの範囲内の波長を有する放射を発生させるように構築及び配置された放射源であって、条項1から10のいずれか1項に記載の多層ミラーを備えた放射源。
12.パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムであって、請求項1から10のいずれか1項に記載の多層ミラーを備えた投影システム。
13.放射ビームを調節するように構成された照明システムであって、条項1から10のいずれか1項に記載の多層ミラーを備えた照明システム。
14.パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように配置されたリソグラフィ投影装置であって、条項1から10のいずれか1項に記載の多層ミラーを備えたリソグラフィ装置。
15.放射ビームを調節するように構成された照明システムと、
パターニングデバイスを保持するように構築された支持構造であって、パターニングデバイスが、放射ビームの断面にパターンを与えてパターニングされた放射ビームを形成することができる、支持構造と、
基板を保持するように構築された基板テーブルと、
パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、
を更に備える、条項14に記載のリソグラフィ装置。
16.例えばリソグラフィ装置用の、放射を発生させる方法であって、連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供することと、連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出することと、を備える、方法。
17.連続的に補給される燃料ターゲットを提供することが、第1位置から第2位置に噴射を送出することを含み、噴射が第1位置と第2位置との間で連続的であり、噴射が放射を発生させるプラズマを発生するのに用いられる燃料を含み、噴射がプラズマ形成位置と少なくとも部分的に交差する、条項16に記載の方法。
18.連続的に補給される燃料ターゲットが、燃料容器からプラズマ形成位置に燃料を移送するように配置された回転体によって提供される、条項1に記載の方法。
19.回転体が回転ディスクである、条項18に記載の方法。
20.燃料容器が液体燃料槽であり、回転体が、液体燃料のコーティングを施されてこの液体燃料のコーティングをプラズマ形成位置に移送するように液体燃料槽及びプラズマ形成位置を通って回転する、請求項18又は19に記載の方法。
21.連続励起ビームが連続波レーザによって提供される連続波レーザビームである、条項16から20のいずれか1項に記載の方法。
22.レーザが、第1反射器及び第2反射器を備える光共振器内で連続波レーザビームを発生させるように配置されている、条項21に記載の方法。
23.第2反射器が、プラズマ形成位置において連続的に補給される燃料ターゲットの表面によって与えられる、条項22に記載の方法。
24.レーザが少なくとも1つの増幅チャンバを備えるガスレーザであり、ガスレーザが複数の増幅チャンバを備える場合、増幅チャンバの各々が実質的に同一の圧力に維持される、条項21から23のいずれか1項に記載の方法。
25.放射を発生させるプラズマから発生した放射が、かすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタの形態の放射コレクタによって収集される、条項16から24のいずれか1項に記載の方法。
26.放射を発生させるプラズマから発生したデブリが回転ホイルトラップによって低減される、条項16から25のいずれか1項に記載の方法。
27.条項16から25のいずれか1項に記載の方法に従って放射を発生させることと、発生させた放射を用いて基板にパターンを適用することと、を備える、リソグラフィ方法。
28.連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器と、連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器と、使用時に連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出するように配置された励起ビーム源と、を備える、放射源。
29.前記燃料ターゲット発生器が、第1位置から第2位置に噴射を送出するためのノズルを備え、噴射が、第1位置と第2位置との間で連続的であり、放射を発生させるプラズマを発生するのに用いられる燃料を含み、連続的に補給される燃料ターゲットがプラズマ形成位置における噴射の一部である、条項28に記載の放射源。
30.前記燃料ターゲット発生器が、燃料を燃料容器からプラズマ形成位置に移送するために回転するように配置された本体を備える、条項28に記載の放射源。
31.前記本体がディスクである、条項30に記載の放射源。
32.燃料容器が液体燃料槽であり、前記本体が、液体燃料のコーティングを施されてこの液体燃料のコーティングをプラズマ形成位置に移送するように前記液体燃料槽及びプラズマ形成位置を通って回転するように配置されている、条項30又は31に記載の放射源。
33.励起ビーム源が、連続波レーザビームの形態で連続励起ビームを提供するように配置された連続波レーザを備える、条項28から32のいずれか1項に記載の放射源。
34.連続波レーザが、第1反射器及び第2反射器を備える光共振器内で前記連続波レーザビームを発生させるように配置されている、条項33に記載の放射源。
35.連続波レーザが、第1反射器を備え、プラズマ形成位置における前記連続的に補給される燃料ターゲットの表面を前記第2反射器として用いるように配置されている、条項34に記載の放射源。
36.前記放射を発生させるプラズマにより発生した放射を収集するための放射コレクタを更に備え、放射コレクタがかすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタである、条項28から35のいずれか1項に記載の放射源。
37.デブリ低減手段を更に備え、デブリ低減手段が回転ホイルトラップを備える、条項28から36のいずれか1項に記載の放射源。
38.条項28から37のいずれかに記載の放射源を備えるか又はこの放射源に接続された、リソグラフィ装置。
39.放射を発生させるプラズマにより発生した放射を調節して調節済み放射ビームを形成するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体であって、パターニングデバイスが、放射ビームの断面にパターンを与えてパターニングされた放射ビームを形成することができる、支持体と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、を更に備える、条項38に記載のリソグラフィ装置。
40.条項16から27のいずれかに記載の方法を用いて放射を発生させることと、条項38又は39に記載のリソグラフィ装置を用いて基板をパターニングすることと、を備える、デバイス製造方法。
41.リソグラフィ装置用の放射を発生させる方法であって、連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供することと、連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出することと、を備える、方法。
42.連続的に補給される燃料ターゲットを提供することが、第1位置から第2位置に噴射を送出することを含み、噴射が第1位置と第2位置との間で連続的であり、噴射が放射を発生させるプラズマを発生するのに用いられる燃料を含み、噴射がプラズマ形成位置と少なくとも部分的に交差する、条項41に記載の方法。
43.連続的に補給される燃料ターゲットが、燃料容器からプラズマ形成位置に燃料を移送するように配置された回転体によって提供される、条項41に記載の方法。
44.回転体が回転ディスクである、条項43に記載の方法。
45.燃料容器が液体燃料槽であり、回転体が、液体燃料のコーティングを施されてこの液体燃料のコーティングをプラズマ形成位置に移送するように液体燃料槽及びプラズマ形成位置を通って回転する、条項43に記載の方法。
46.連続励起ビームが連続波レーザによって提供される連続波レーザビームである、条項41に記載の方法。
47.レーザが、第1反射器及び第2反射器を備える光共振器内で連続波レーザビームを発生させるように配置されている、条項46に記載の方法。
48.第2反射器が、プラズマ形成位置において連続的に補給される燃料ターゲットの表面によって与えられる、条項47に記載の方法。
49.レーザが少なくとも1つの増幅チャンバを備えるガスレーザであり、ガスレーザが複数の増幅チャンバを備える場合、増幅チャンバの各々が実質的に同一の圧力に維持される、条項48に記載の方法。
50.放射を発生させるプラズマから発生した放射が、かすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタの形態の放射コレクタによって収集される、条項41に記載の方法。
51.放射を発生させるプラズマから発生したデブリが回転ホイルトラップによって低減される、条項50に記載の方法。
52.連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供することと、連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出することと、発生させた放射プラズマを用いて基板にパターンを適用することと、を備える、リソグラフィ方法。
53.連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器と、連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出するように配置された励起ビーム源と、を備える、放射源。
54.前記燃料ターゲット発生器が、第1位置から第2位置に噴射を送出するためのノズルを備え、噴射が、第1位置と第2位置との間で連続的であり、放射を発生させるプラズマを発生するのに用いられる燃料を含み、連続的に補給される燃料ターゲットがプラズマ形成位置における噴射の一部である、条項38に記載の放射源。
55.前記燃料ターゲット発生器が、燃料を燃料容器からプラズマ形成位置に移送するために回転するように配置された本体を備える、条項53に記載の放射源。
56.前記本体がディスクである、条項55に記載の放射源。
57.燃料容器が液体燃料槽であり、前記本体が、液体燃料のコーティングを施されてこの液体燃料のコーティングをプラズマ形成位置に移送するように前記液体燃料槽及びプラズマ形成位置を通って回転するように配置されている、条項55に記載の放射源。
58.励起ビーム源が、連続波レーザビームの形態で連続励起ビームを提供するように配置された連続波レーザを備える、条項53に記載の放射源。
59.連続波レーザが、第1反射器及び第2反射器を備える光共振器内で前記連続波レーザビームを発生させるように配置されている、条項58に記載の放射源。
60.連続波レーザが、第1反射器を備え、プラズマ形成位置における前記連続的に補給される燃料ターゲットの表面を前記第2反射器として用いるように配置されている、条項59に記載の放射源。
61.前記放射を発生させるプラズマにより発生した放射を収集するための放射コレクタを更に備え、放射コレクタがかすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタである、条項53に記載の放射源。
62.デブリ低減手段を更に備え、デブリ低減手段が回転ホイルトラップを備える、条項53に記載の放射源。
63.放射源であって、連続的に補給される燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器と、連続的に補給される燃料ターゲット内の燃料を連続波励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように連続波励起ビームをプラズマ形成位置に送出するように配置された励起ビーム源と、を備える放射源と、放射を発生させるプラズマにより発生した放射を調節して調節済み放射ビームを形成するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体であって、パターニングデバイスが、放射ビームの断面にパターンを与えてパターニングされた放射ビームを形成することができる、支持体と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、を備える、リソグラフィ装置。
64.条項48に記載のリソグラフィ装置を用いて放射を発生させて基板をパターニングすることを備える、デバイス製造方法。
65.燃料ターゲットを前記ターゲット位置に提供するように配置された燃料ターゲット発生器と、使用時に燃料ターゲット内の燃料を第1合成励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように複数の励起ビームをターゲット位置に送出してターゲット位置で第1合成励起ビームを形成するように配置された励起ビーム源と、を備え、前記励起ビーム源が、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節するための少なくとも1つの位相調節器を備える、放射源。
66.前記励起ビーム源が、第1特性を測定するように構成された第1センサ配置を更に備え、前記第1特性が励起放射の第1部分の特性であり、前記第1特性が第2特性を示し、前記第2特性が前記第1合成励起ビームの特性であり、前記第1特性が、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対する位相によって少なくとも部分的に決定される、条項65に記載の放射源。
67.前記第1センサ配置が、前記複数の励起ビームの少なくとも2つの各部分を送出して第2合成励起ビームを形成するように配置された第1光学要素を備え、励起放射の前記第1部分が前記第2合成励起ビームである、条項66に記載の放射源。
68.前記第1特性が、前記第1合成励起ビームの強度、前記第1合成励起ビームの位置、前記合成励起ビームの焦点、及び前記合成励起ビームの干渉パターンの少なくとも1つを示す、条項66又は67に記載の放射源。
69.コントローラを更に備え、前記第1センサ配置が第1センサ信号を前記コントローラに提供し、前記コントローラが少なくとも部分的に前記第1センサ信号に基づいて前記少なくとも1つの位相調節器を制御するように構成されている、条項65から68のいずれか1項に記載の放射源。
70.第2特性を測定するように構成された第2センサ配置を更に備え、前記第2特性が励起放射の少なくとも1つの第2部分の特性であり、前記第2特性が第3の特性を示し、前記第3の特性が前記複数の励起ビームの少なくとも1つの特性である、条項65から69のいずれか1項に記載の放射源。
71.前記第2センサ配置が、前記複数の励起ビームの各々について第2特性を測定するように構成されている、条項65から70のいずれか1項に記載の放射源。
72.前記第3の特性が前記複数の励起ビームの前記少なくとも1つの位相である、条項65から71のいずれか1項に記載の放射源。
73.第2コントローラを更に備え、前記第2センサ配置が第2センサ信号を前記第2コントローラに提供し、前記第2コントローラが少なくとも部分的に前記第2センサ信号に基づいて前記少なくとも1つの位相調節器を制御するように構成されている、条項50から57のいずれか1項に記載の放射源。
74.前記第1センサ配置及び/又は第2センサ配置が、フォトダイオード、分割フォトダイオード、電荷結合素子アレイ、及びアクティブピクセルセンサの少なくとも1つを備える、条項65から73のいずれか1項に記載の放射源。
75.前記少なくとも1つの位相調節器が、前記複数の励起ビームの各々についてそれぞれ位相調節器を含む、条項65から74のいずれか1項に記載の放射源。
76.前記励起ビーム源が、前記複数の励起ビームを前記プラズマ形成位置に送出するように構成された少なくとも1つの合焦要素を備え、前記少なくとも1つの位相調節器が、前記複数の励起ビームの少なくとも1つのビーム源と前記少なくとも1つの合焦要素との間の経路長を変化させるための手段を備える、条項65から75のいずれか1項に記載の放射源。
77.条項65から76のいずれかに記載の放射源を備えるか又はこの放射源に接続された、リソグラフィ装置。
78.放射を発生させるプラズマにより発生した放射を調節して調節済み放射ビームを形成するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体であって、パターニングデバイスが、放射ビームの断面にパターンを与えてパターニングされた放射ビームを形成することができる、支持体と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、を更に備える、条項77に記載のリソグラフィ装置。
79.リソグラフィ装置用の放射を発生させる方法であって、燃料ターゲットをプラズマ形成位置に提供することと、燃料ターゲット内の燃料を第1合成励起ビームによって励起して放射を発生させるプラズマを発生するように複数の励起ビームをプラズマ形成位置に送出してプラズマ形成位置で第1合成励起ビームを形成することと、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節することと、を備える、方法。
80.前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を調節することが、前記複数の励起ビームの各々が前記第1合成励起ビームにコヒーレントに合成されるように前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を調節することを含む、条項79に記載の方法。
81.第1センサ配置において第1特性を測定することを更に備え、前記第1特性が励起放射の第1部分の特性であり、前記第1特性が第2特性を示し、前記第2特性が前記第1合成励起ビームの特性であり、前記第1特性が、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの、前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対する位相によって少なくとも部分的に決定される、条項79又は80に記載の方法。
82.前記複数の励起ビームの少なくとも2つの各部分を送出して第2合成励起ビームを形成することを更に備え、励起放射の前記第1部分が前記第2合成励起ビームである、条項81に記載の方法。
83.前記第1特性が、前記第1合成励起ビームの強度、前記第1合成励起ビームの位置、前記第1合成励起ビームの焦点、及び前記合成励起ビームの干渉パターンの少なくとも1つを示す、条項82に記載の方法。
84.前記第1センサ配置から第1センサ信号を受信することと、前記第1センサ信号に基づいて前記少なくとも1つの位相調節器を調節することと、を更に備える、条項81から83のいずれか1項に記載の方法。
85.第2センサ配置において第3の特性を測定することを更に備え、前記第3の特性が励起放射の少なくとも1つの第2部分の特性であり、前記第3の特性が第4の特性を示し、前記第4の特性が前記複数の励起ビームの少なくとも1つの特性である、条項64から69のいずれか1項に記載の方法。
86.第2センサ配置において測定することが、前記複数の励起ビームの各々について励起放射の各第2部分の第3の特性を測定することを含む、条項79から85のいずれか1項に記載の方法。
87.前記第3の特性が前記複数の励起ビームの前記少なくとも1つの位相を示す、条項79から86のいずれか1項に記載の方法。
88.前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節することが、前記複数の励起ビームの各々について各位相調節器の位相を調節することを含む、条項64から72のいずれか1項に記載の方法。
89.前記複数の励起ビームの少なくとも1つの位相を前記複数の励起ビームの少なくとも1つの他のビームに対して調節することが、前記複数の励起ビームの少なくとも1つのビーム源と前記複数の励起ビームを前記プラズマ形成位置に送出するように配置された少なくとも1つの合焦要素との間の経路長を変化させることを含む、条項64から73のいずれか1項に記載の方法。
90.条項79から89のいずれかに記載の方法に従って放射を発生させることと、発生させた放射を用いて基板にパターンを適用することと、を備える、リソグラフィ方法。
[0170] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、太陽電池などの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0171] リソグラフィ装置について記載する場合、「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネントを含む種々のタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ又は組み合わせを指すことがある。
[0172] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。上記の説明は限定でなく例示であることが意図される。それ故、下記に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。