JP7327357B2 - ホイルトラップカバー装置およびデブリ低減装置 - Google Patents

ホイルトラップカバー装置およびデブリ低減装置 Download PDF

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Description

本発明は、高温プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップを包囲するように配置されるホイルトラップカバー装置、およびそのホイルトラップカバー装置を備えるデブリ低減装置に関する。
近年、半導体集積回路の微細化および高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められている。次世代の半導体露光用光源としては、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、「EUV(Extreme Ultra Violet)光」ともいう。)を放射する極端紫外光光源装置(以下、「EUV光源装置」ともいう。)の開発が進められている。
EUV光源装置において、EUV光(EUV放射)を発生させる方法はいくつか知られている。それらの方法のうちの一つに、極端紫外光放射種(以下、「EUV放射種」ともいう。)を加熱して励起することにより高温プラズマを発生させ、その高温プラズマからEUV光を取り出す方法がある。
このような方法を採用するEUV光源装置は、高温プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)方式と、DPP(Discharge Produced Plasma:放電生成プラズマ)方式とに分けられる。
DPP方式のEUV光源装置は、EUV放射種(気相のプラズマ原料)を含む放電ガスが供給された電極間の間隙に高電圧を印加して、放電により高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用するものである。DPP方式としては、例えば、特許文献1に記載されているように、放電を発生させる電極表面に液体状の高温プラズマ原料(例えば、Sn(スズ))を供給し、当該原料に対してレーザビーム等のエネルギービームを照射して当該原料を気化し、その後、放電によって高温プラズマを生成する方法が提案されている。このような方式は、LDP(Laser Assisted Discharge Plasma)方式と呼ばれることもある。
EUV光源装置は、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置として使用される。あるいは、EUV光源装置は、リソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用される。つまり、EUV光源装置は、EUV光を利用する他の光学系装置(利用装置)の光源装置として使用される。
EUV光は大気中では減衰しやすいので、プラズマから利用装置までは、減圧雰囲気つまり真空環境におかれている。
一方、LDP方式で生成されたプラズマからはデブリが高速で放散される。デブリは、高温プラズマ原料の粒子(プラズマ原料がスズの場合は、スズ粒子)、およびプラズマの発生に伴いスパッタリングされる放電電極の材料粒子を含む。デブリは、利用装置に到達すると、利用装置内の光学素子の反射膜を損傷または汚染させ性能を低下させることがある。そのため、デブリが利用装置に侵入しないように、放散されたデブリを捕捉するデブリ低減装置(DMT(Debris Mitigation Tool)とも言う。)が提案されている(特許文献1)。
デブリ低減装置は、空間を細かく分割するように配置されている複数のホイル(薄膜や薄い平板)を有するホイルトラップ(foil trap)を備える。
複数のホイルにより細かく分割された各空間においては、当該空間でのコンダクタンスを下げて圧力を上げる機能が奏される。デブリがこれらのホイルにより分割された各空間(圧力が上昇した領域)を進行すると、この圧力が上昇した領域におけるデブリと雰囲気ガスとの衝突確率が上がる。その結果、デブリの飛散速度が低下し、またデブリの進行方向が変わるため、デブリはデブリ低減装置に捕捉される。
ホイルトラップとしては、複数のホイルの位置が固定された固定式ホイルトラップと、複数のホイルがデブリと能動的に衝突する作用を加えた回転式ホイルトラップがある。回転式ホイルトラップは、中央に配置された回転軸を中心として、半径方向に放射状に配置された複数のホイルを備え、上記回転軸を中心に複数のホイルを回転させることでプラズマから飛来するデブリと当該ホイルとを衝突させる。なお、一つのデブリ低減装置は、回転式ホイルトラップと固定式ホイルトラップとの双方を備えていてもよいし、いずれか一方のみを備えていてもよい。
ホイルと衝突したデブリの一部はホイル上に堆積する。回転式ホイルトラップのホイルは、プラズマからの放射により加熱されおり、適切に除熱を行なうことでデブリであるスズの融点(約232℃)以上に保持することができる。そのため、ホイル上にデブリが堆積し続けることはない。ホイル上の液状のデブリは、ホイルの回転により発生する遠心力によりホイル上を移動し、やがてホイルの端部から回転式ホイルトラップの外部に離脱する。
回転式ホイルトラップは、EUV放射を遮光しないように開口を有するカバー部材により包囲される。このカバー部材により、回転式ホイルトラップのホイルの端部から遠心力により離脱したデブリは捕集される。
特開2017-219698号公報
カバー部材には、当該カバー部材によって捕集されたデブリ(例えば、スズ)が固化することを防止するために、当該カバー部材を加熱する加熱手段が設けられる。
回転式ホイルトラップのホイルの端部から離脱したデブリは、回転式ホイルトラップの外周部を包囲するカバー部材の内面、主として回転式ホイルトラップに生じる遠心力方向の延長線上にある面に堆積する。液体スズは、固体金属と化学反応して当該固体金属を溶解させる性質がある。その反応速度(溶解速度)は温度の上昇とともに増加するので、仮にカバー部材の上記内面に加熱手段が設けられていると、給電されて高温となっている加熱手段にデブリ(スズ)が接触し、加熱手段自体が溶解(腐食)されてしまう。そのため、加熱手段は、カバー部材の外面に設けられ、液体スズと直接接触しないように配置される。
しかしながら、上記のように加熱手段をカバー部材の外面に配置しても、EUV光源装置をある程度稼働すると、加熱手段の一部には断線等の不具合が発生する場合がある。これは、EUV光源装置の稼働時にプラズマから飛来するスズやチャンバ内に浮遊するスズの一部が加熱手段に到達し、そのスズの量が徐々に増加していくにつれ、給電されて高温となっている加熱手段がスズによって腐食されるためであると考えられる。
本発明は、プラズマから発生するデブリを捕捉する回転式ホイルトラップを包囲するホイルトラップカバー装置であって、デブリによる加熱手段の不具合の発生を抑制可能なホイルトラップカバー装置、およびそれを備えたデブリ低減装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るホイルトラップカバー装置の一態様は、プラズマ発生部が発生させるプラズマの近傍に配置されて回転動作する複数のホイルを有し、前記プラズマから放射される光を通過し、当該プラズマから発生するデブリを捕捉する回転式ホイルトラップの外周部を包囲して、前記回転式ホイルトラップから飛散する前記デブリを捕集するホイルトラップカバー装置であって、前記回転式ホイルトラップの外周部を包囲するカバー本体と、前記カバー本体における前記ホイルと対向する第一の面とは反対側の面であって前記プラズマに面する第二の面の少なくとも一部に設けられ、前記カバー本体を加熱するカバー加熱部と、前記カバー加熱部を覆う加熱部保護部材と、を備える。
このように、カバー本体におけるプラズマに面する第二の面に設けられたカバー加熱部を、加熱部保護部材によって覆うので、プラズマから飛来するデブリやホイルトラップカバー装置が設置されたチャンバ内に浮遊するデブリが、カバー加熱部の表面に到達することを適切に防止することができ、デブリによるカバー加熱部の腐食を抑制し、断線等の不具合の発生を適切に抑制することができる。したがって、カバー加熱部の寿命(デブリによる腐食に起因した不具合が発生するまでの時間)を、カバー加熱部の本来の寿命(デブリによる腐食に起因したものではない不具合が発生するまでの時間)に近づけることができる。また、加熱部保護部材を、厚みを有する板状部材により構成すれば、加熱部保護部材の表面(カバー加熱部と対向する面とは反対側の面)にカバー加熱部の熱が伝わるのを抑制することができる。これにより、加熱部保護部材の表面温度が高温状態となることを抑制し、加熱部保護部材とデブリとの反応速度を抑えることができる。
また、上記のホイルトラップカバー装置において、前記加熱部保護部材は、前記デブリに対して前記カバー加熱部よりも高い耐蝕性を有する耐蝕材であってもよい。
この場合、加熱保護部材のデブリに対する耐蝕性がカバー加熱部より高い分、加熱部保護材の寿命(デブリによる腐食に起因して加熱部保護部材の上記機能が損なわれるまでの時間)を、加熱部保護部材を設けないときのカバー加熱部の寿命より長くすることができる。
さらに、上記のホイルトラップカバー装置において、前記カバー加熱部は、前記カバー本体と前記加熱部保護部材とによって密閉されていてもよい。
この場合、デブリが高温状態のカバー加熱部に付着することを確実に防止することができる。
また、上記のホイルトラップカバー装置において、前記加熱部保護部材は、前記カバー本体の前記第二の面に溶接によって取り付けられていてもよい。
この場合、カバー加熱部を、カバー本体と加熱部保護部材とによって適切に密閉することができる。
さらにまた、上記のホイルトラップカバー装置において、前記加熱部保護部材の露出面の少なくとも一部には、前記デブリに対して耐蝕性を有する耐蝕膜が設けられていてもよい。
この場合、プラズマからの放射によって高温状態となっている加熱部保護部材にデブリが付着した場合であっても、当該加熱部保護部材の腐食が発生することを抑制することができる。
さらに、上記のホイルトラップカバー装置において、前記耐蝕膜は、タングステン、モリブデン、窒化チタンおよび炭化ケイ素の少なくとも1つよりなる膜、または酸化膜とすることができる。
この場合、プラズマからの放射によって高温状態となっている加熱部保護部材にデブリが付着した場合であっても、当該加熱部保護部材の腐食が発生することを適切に抑制することができる。
また、上記のホイルトラップカバー装置において、前記カバー本体と前記加熱部保護部材とは、同一材料により構成されていてもよい。この場合、カバー本体の熱膨張係数と加熱部保護部材の熱膨張係数とを同じにすることができ、熱膨張係数が相違することによる不所望な応力の影響をなくし、隙間の発生や破損等の不具合の発生を抑制することができる。
さらに、上記のホイルトラップカバー装置において、前記カバー本体と前記加熱部保護部材とは、ステンレスにより構成されていてもよい。この場合、耐熱性、加工性および経済性において有利となる。
また、上記のホイルトラップカバー装置において、前記カバー加熱部は、個別に給電量を制御可能な複数のカバー加熱部により構成され、前記複数のカバー加熱部がそれぞれ設けられた領域ごとに前記カバー本体の温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部により検知された温度に基づいて、前記カバー本体の温度が前記プラズマを発生させる原料の融点以上となるように、対応する前記カバー加熱部への給電量を制御する制御部と、を備えていてもよい。
この場合、カバー本体の各領域の温度を上記原料の融点以上に維持することができる。したがって、捕集したデブリを固化させず、適切に液相状態を保持することができる。
さらに、上記のホイルトラップカバー装置において、前記領域は、前記第二の面を前記プラズマからの距離に応じて分割した領域であって、前記複数のカバー加熱部は、前記領域ごとにそれぞれ独立に設けられていてもよい。
この場合、プラズマからの距離に応じて加熱度合いが異なることを考慮した適切な給電制御を行うことができる。
また、本発明に係るデブリ低減装置の一態様は、上記のいずれかのホイルトラップカバー装置と、前記回転式ホイルトラップと、を備える。この場合、デブリによる加熱手段(カバー加熱部)の不具合の発生が抑制されたホイルトラップカバー装置を備えるデブリ低減装置とすることができる。
さらに、本発明に係る極端紫外光光源装置の一態様は、上記のデブリ低減装置と、極端紫外光を放射する前記プラズマを発生させる前記プラズマ発生部と、を備える。この場合、ホイルトラップカバー装置におけるデブリによる加熱手段(カバー加熱部)の不具合の発生が抑制されたデブリ低減装置を備える極端紫外光光源装置とすることができる。
本発明のホイルトラップカバー装置は、プラズマから発生するデブリを捕捉する回転式ホイルトラップを包囲するホイルトラップカバー装置であって、デブリによる加熱手段の不具合の発生を抑制することができる。
本実施形態に係る極端紫外光光源装置を示す概略図である。 極端紫外光光源装置の一部を示す側面断面図である。 回転式ホイルトラップの正面図である。 固定式ホイルトラップのホイルの上面図である。 固定式ホイルトラップの正面図である。 カバー部材の構成を示す概略図である。 カバー加熱部の拡大図である。 カバー加熱部の正面図である。 カバー部材の正面図である。 カバー加熱部の個別制御について説明する図である。 カバー加熱部の制御系統を示す図である。 カバー加熱部の個別制御の概念図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などと異なることがある。
図1は、実施形態に係る極端紫外光光源装置のチャンバ内および接続チャンバ内を水平方向に切断して示す断面図、図2は、実施形態に係るデブリ低減部およびデブリ収容部の概略構成を示す断面図である。なお、本実施形態では、LDP方式の極端紫外光光源装置(EUV光源装置)を例にとる。
図1において、EUV光源装置1は、極端紫外光(EUV光)を放出する。この極端紫外光の波長は、例えば、13.5nmである。
具体的には、EUV光源装置1は、放電を発生させる一対の放電電極EA、EBの表面にそれぞれ供給された液相のプラズマ原料SA、SBにレーザビームLB等のエネルギービームを照射して当該プラズマ原料SA、SBを気化させる。その後、放電電極EA、EB間の放電領域Dの放電によってプラズマPを発生させる。プラズマPからはEUV光が放出される。
EUV光源装置1は、例えば、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置またはリソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用可能である。例えば、EUV光源装置1がマスク検査装置用の光源装置と使用される場合、プラズマPから放出されるEUV光の一部が取り出され、マスク検査装置に導光される。マスク検査装置は、EUV光源装置1から放出されるEUV光を検査光として、マスクのブランクス検査またはパターン検査を行う。ここで、EUV光を用いることにより、5~7nmプロセスに対応することができる。なお、EUV光源装置1から取り出されるEUV光は、図2の遮熱板23に設けられた開口部KAにより規定される。
図1および図2に示すように、EUV光源装置1は、光源部2、デブリ低減部3およびデブリ収容部4を備える。光源部2は、LDP方式に基づいてEUV光を発生させる。デブリ低減部3は、光源部2から放射されるEUV光とともに飛散するデブリを捕捉するデブリ低減装置である。デブリ収容部4は、光源部2で発生したデブリおよびデブリ低減部3で捕捉されたデブリなどを収容する。
また、EUV光源装置1は、内部で発生されるプラズマPを外部と隔離するチャンバ11を備える。チャンバ11は、剛体、例えば、金属から形成される。チャンバ11は、真空筐体であり、その内部は、プラズマ原料SA、SBを加熱励起するための放電を良好に発生させ、EUV光の減衰を抑制するために、減圧雰囲気にされる。
光源部2は、チャンバ11内部に配置される。光源部2は、一対の放電電極EA、EBを備える。放電電極EA、EBは、同形同大の円板状部材であり、例えば、放電電極EAがカソードとして使用され、放電電極EBがアノードとして使用される。放電電極EA、EBは、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)またはタンタル(Ta)などの高融点金属から形成される。放電電極EA、EBは、互いに離隔した位置に配置され、放電電極EA、EBの周縁部が近接している。このとき、プラズマPが生成される放電領域Dは、放電電極EA、EBの周縁部が互いに最も接近した放電電極EA、EB間の間隙に位置する。
パルス電力供給部13より放電電極EA、EBに電力を給電することにより、放電領域Dで放電が発生する。そして、各放電電極EA、EBの回転に基づいて放電領域Dに輸送されたプラズマ原料SA、SBは、放電時に放電電極EA、EB間に流れる電流により加熱励起され、EUV光を放出するプラズマPが発生する。
放電電極EAは、モータMAの回転軸JAに連結され、放電電極EAの軸線周りに回転する。放電電極EBは、モータMBの回転軸JBに連結され、放電電極EBの軸線周りに回転する。モータMA、MBは、チャンバ11の外部に配置され、各モータMA、MBの回転軸JA、JBは、チャンバ11の外部から内部に延びる。回転軸JAとチャンバ11の壁の間の隙間は、シール部材PAで封止され、回転軸JBとチャンバ11の壁の間の隙間は、シール部材PBで封止される。シール部材PA、PBは、例えば、メカニカルシールである。各シール部材PA、PBは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸JA、JBを回転自在に支持する。
このように各放電電極EA、EBは、個別のモータMA、MBによって回転軸JA、JBを介してそれぞれ駆動される。これらのモータMA、MBの回転駆動は、制御部12によって制御される。
チャンバ11の内部には、液相のプラズマ原料SAが貯留されるコンテナCAと、液相のプラズマ原料SBが貯留されるコンテナCBとが配置される。各コンテナCA、CBには、加熱された液相のプラズマ原料SA、SBが供給される。液相のプラズマ原料SA、SBは、例えば、スズである。
コンテナCAは、放電電極EAの下部が液相のプラズマ原料SAに浸されるようにプラズマ原料SAを収容する。コンテナCBは、放電電極EBの下部が液相のプラズマ原料SBに浸されるようにプラズマ原料SBを収容する。従って、放電電極EA、EBの下部には、液相のプラズマ原料SA、SBが付着する。放電電極EA、EBの下部に付着した液相のプラズマ原料SA、SBは、放電電極EA、EBの回転に伴って、プラズマPが発生される放電領域Dに輸送される。
チャンバ11の外部には、レーザ源(エネルギービーム照射装置)14が配置される。レーザ源14は、放電領域Dに輸送された放電電極EAに付着したプラズマ原料SAにエネルギービームを照射して、当該プラズマ原料SAを気化させる。レーザ源14は、例えば、Nd:YVO(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate)レーザ装置である。このとき、レーザ源14は、波長1064nmの赤外領域のレーザビームLBを発する。ただし、エネルギービーム照射装置は、プラズマ原料SAの気化が可能であれば、レーザビームLB以外のエネルギービームを発する装置であってもよい。
レーザ源14によるレーザビームLBの照射タイミングは、制御部12によって制御される。レーザ源14から放出されたレーザビームLBは、例えば、集光レンズ15を含む集光手段を介して可動ミラー16に導かれる。集光手段は、放電電極EAのレーザビーム照射位置におけるレーザビームLBのスポット径を調整する。集光レンズ15および可動ミラー16は、チャンバ11の外部に配置される。
集光レンズ15で集光されたレーザビームLBは、可動ミラー16により反射され、チャンバ11の壁に設けられた透明窓20を通過して、放電領域D付近の放電電極EAの周縁部に照射される。
ここで、可動ミラー16の姿勢を調整することにより、放電電極EAにおける赤外レーザビームLBの照射位置が調整される。可動ミラー16の姿勢の調整は、作業員が手動で実施してもよいし、後述する監視装置43からのEUV光の強度情報に基づき、制御部12が可動ミラー16の姿勢制御を行ってもよい。この場合、可動ミラー16は、図示を省略した可動ミラー駆動部により駆動される。
放電領域D付近の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBを照射するのを容易にするため、放電電極EA、EBの軸線は平行ではない。回転軸JA、JBの間隔は、モータMA、MB側が狭く、放電電極EA、EB側が広くなっている。これにより、放電電極EA、EBの対向面側を接近させつつ、放電電極EA、EBの対向面側と反対側をレーザビームLBの照射経路から退避させることができ、放電領域D付近の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBを照射するのを容易にすることができる。
放電電極EBは、放電電極EAと可動ミラー16との間に配置される。可動ミラー16で反射されたレーザビームLBは、放電電極EBの外周面付近を通過した後、放電電極EAの外周面に到達する。このとき、レーザビームLBが放電電極EBで遮光されないように、放電電極EBは、放電電極EAよりも、モータMB側の方向(図1の左側)に退避される。
放電領域D付近の放電電極EAの外周面に付着された液相のプラズマ原料SAは、レーザビームLBの照射により気化され、気相のプラズマ原料SAとして放電領域Dに供給される。
放電領域DでプラズマPを発生させるため(気相のプラズマ原料SAをプラズマ化するため)、パルス電力供給部13は、放電電極EA、EBに電力を供給する。そして、レーザビームLBの照射により放電領域Dに気相のプラズマ原料SAが供給されると、放電領域Dにおける放電電極EA、EB間で放電が生じる。このとき、パルス電力供給部13は、パルス電力を周期的に放電電極EA、EBに供給する。
パルス電力供給部13は、チャンバ11の外部に配置される。パルス電力供給部13から延びる給電線は、フィードスルーFA、FBを通過して、チャンバ11の内部に延びる。フィードスルーFA、FBは、チャンバ11の壁に埋設されてチャンバ11内の減圧雰囲気を維持するシール部材である。なお、プラズマPを発生させるためのレーザ源14の動作およびパルス電力供給部13の動作は、制御部12により制御される。
パルス電力供給部13から延びる2つの給電線は、フィードスルーFA、FBを介してそれぞれコンテナCA、CBに接続される。コンテナCA、CBは、導電性材料から形成され、各コンテナCA、CBの内部に収容されるプラズマ原料SA、SBもスズなどの導電性材料である。各コンテナCA、CBの内部に収容されているプラズマ原料SA、SBには、放電電極EA、EBの下部がそれぞれ浸されている。従って、パルス電力供給部13からパルス電力がコンテナCA、CBに供給されると、そのパルス電力は、プラズマ原料SA、SBをそれぞれ介して放電電極EA、EBに供給される。放電電極EA、EB間で放電が発生すると、放電領域Dにおける気相のプラズマ材料SAが電流により加熱励起されて、プラズマPが発生する。
プラズマPからはEUV光が放出される。EUV光は、他の光学系装置である利用装置(リソグラフィ装置またはマスク検査装置)で利用される。本実施形態においては、EUV光はマスク検査装置で利用される。
チャンバと利用装置との間には、接続チャンバ21が配置される。接続チャンバ21は、剛体、例えば、金属から形成されている。接続チャンバ21は、真空筐体であり、その内部も、チャンバ11の内部と同様、EUV光の減衰を抑制するため減圧雰囲気にされる。
接続チャンバ21の内部空間は、チャンバ11の壁に形成された貫通孔である窓部17を介してチャンバ11と連通する。また、接続チャンバ21の内部空間は、接続チャンバ21の壁に形成された貫通孔である窓部27を介して利用装置(マスク検査装置)42と連通する。図2では、利用装置42の一部のみを示す。放電領域DのプラズマPから放出されたEUV光は、窓部17、27を通じて利用装置42に導入される。
一方、プラズマPからはEUV光とともにデブリDBが高速で様々な方向に放散される。デブリDBは、プラズマ原料SA、SBであるスズ粒子およびプラズマPの発生に伴いスパッタリングされる放電電極EA、EBの材料粒子を含む。
これらのデブリDBは、プラズマPの収縮および膨張過程を経て、大きな運動エネルギーを得る。すなわち、プラズマPから発生するデブリDBは、高速で移動するイオン、中性原子および電子を含み、このようなデブリDBは、利用装置42に到達すると、利用装置42内の光学素子の反射膜を損傷または汚染させ、性能を低下させることがある。
そのため、デブリDBが利用装置42に侵入しないように、デブリDBを捕捉するデブリ低減部3が接続チャンバ21内に設けられる。デブリ低減部3は、複数のホイルの位置が固定された固定式ホイルトラップ24と、ホイルがデブリと能動的に衝突する作用を加えた回転式ホイルトラップ22とを備える。固定式ホイルトラップ24は、接続チャンバ21から利用装置42へと進行するEUV光の光路上において、回転式ホイルトラップ22と利用装置24と間に設けられる。なお、一つのデブリ低減部3においては、回転式ホイルトラップ22と固定式ホイルトラップ24の双方を設けてもよいし、いずれか一方を設けてもよい。
図3は、図2の回転式ホイルトラップの構成例を示す正面図である。
図3において、回転式ホイルトラップ22は、複数のホイル(ブレード)51と、外側リング52と、中心のハブ(支持部材)53と、を備える。外側リング52はハブ53に同心であり、各ブレード51は、外側リング52とハブ53との間に配置されている。ここで、各ブレード51は、薄膜または薄い平板である。各ブレード51は、ほぼ等しい角間隔をおいて放射状に配置される。各ブレード51は、ハブ53の中心軸線JMを含む平面上にある。回転式ホイルトラップ22の材料は、例えば、タングステンおよび/またはモリブデンなどの高融点金属である。
回転式ホイルトラップ22の複数のブレード51は、プラズマP(発光点)から窓部27に向かって進むEUV光を遮らないように、窓部27に向かって進むEUV光の光線方向に平行に配置される。
すなわち、図2に示すように、各ブレード51がハブ53の中心軸線JMを含む平面上に配置された回転式ホイルトラップ22は、ハブ53の中心軸線JMの延長線上にプラズマP(発光点)が存在するように配置される。これにより、ハブ53および外側リング52を除けば、EUV光は各ブレード51の厚みの分のみ遮光され、回転式ホイルトラップ22を通過するEUV光の割合(透過率ともいう)を最大にすることが可能となる。
ハブ53は、モータ(回転駆動装置)MCの回転軸JCに連結され、ハブ53の中心軸線JMは、回転軸JCの中心軸線に合致する。このとき、モータMCの回転軸JCは、回転式ホイルトラップ22の回転軸とみなすことができる。回転式ホイルトラップ22は、モータMCに駆動されて回転し、回転するブレード51は、プラズマPから到来するデブリDBに衝突してデブリDBを捕捉し、当該デブリDBが利用装置42に侵入するのを阻止する。
回転式ホイルトラップ22は、接続チャンバ21内に配置されるのに対して、モータMCは、接続チャンバ21の外に配置される。接続チャンバ21の壁には、回転軸JCが通過する貫通孔が形成されている。回転軸JCと接続チャンバ21の壁の間の隙間は、例えば、メカニカルシールからなるシール部材PCで封止される。シール部材PCは、接続チャンバ21内の減圧雰囲気を維持しつつ、モータMCの回転軸JCを回転自在に支持する。
回転式ホイルトラップ22は、プラズマPからの放射により高温となる。このため、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するために、回転軸JCを中空にして冷却水を流通させ、回転式ホイルトラップ22を冷却することがある。また、回転時のモータMC自体も発熱するため、モータMCの周囲に水冷配管41を巻き付けて除熱してもよい。水冷配管41には水が流され、熱交換によりモータMCを冷却する。
また、プラズマPから回転式ホイルトラップ22への放射を低減し、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するため、接続チャンバ21内には遮熱板23が配置される。遮熱板23は、プラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出すための任意の形状(例えば、円形)の開口部KAを備える。遮熱板23は、プラズマPの近傍に配置されるため、例えば、モリブデンまたはタングステンなどの高融点材料から構成される。
開口部KAは、回転式ホイルトラップ22の回転軸JMから偏心した位置に設けられる。このとき、プラズマPから放出されるEUV光の一部は、開口部KAを介し、回転式ホイルトラップ22の回転軸方向(図2における左右方向)に対して傾斜角度をもって所定の立体角で遮熱板23から取り出される。
回転式ホイルトラップ22は、遮熱板23の開口部KAを通過したEUV光の光線束(以下、EUV取出光とも言う。)の主光線UL上にブレード51が位置するように配置されている。遮熱板23の開口部KAから取り出されたEUV光は、デブリ低減部3を通過して、窓部27を介して利用装置(マスク検査装置装置)42に導入される。
回転式ホイルトラップ22は、プラズマPから放散されるデブリDBのうち比較的低速のデブリDBを捕捉するが、固定式ホイルトラップ24は、プラズマPから放散されるデブリDBのうち、回転式ホイルトラップ22で捕捉できなかった高速で進行するデブリDBを捕捉する。図2に示すように、固定式ホイルトラップ24は、EUV取出光の主光線UL上に配置される。
また、固定式ホイルトラップ24は、遮熱板23の開口部KAにより進行方向が制限されたEUV光であるEUV取出光が通過する領域に対応させた形状を備える。
図4は、図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す上面図、図5は、図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す断面図である。
図4および図5において、固定式ホイルトラップ24は、複数のホイル61と、ホイル61を支持する固定枠(固定部材)60とを備える。
ホイル61は、図5に示すように、EUV取出光の主光線UL方向に直交する断面において、それぞれ等間隔に配置される。また、固定枠60は、例えば、正面から見て矩形状となっている。なお、固定枠60の外形は、任意の形状であってよい。さらに、複数のホイル61は、図4に示すように、主光線UL方向に直交する方向から見ると、EUV取出光の光線方向に伸びるように放射状に配置される。
固定式ホイルトラップ24の複数のホイル61は、固定式ホイルトラップ24が配置された空間を細かく分割することにより、その部分のコンダクタンスを下げて圧力を局所的に上げる働きをする。また、固定式ホイルトラップ24にガスを適宜供給することにより、固定式ホイルトラップ24における圧力を上げるようにする。言い換えると、接続チャンバ21内において、固定式ホイルトラップ24内にガスを局在化させて圧力が比較的高い部分を設定する。ここで、固定式ホイルトラップ24に供給するガスは、EUV光に対して透過率の高いガスが望ましく、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガスまたは水素(H)などが用いられる。
回転式ホイルトラップ22で捕捉できなかった高速のデブリDBは、固定式ホイルトラップ24における圧力が上がった領域でガスとの衝突確率が上がるために速度が低下する。また、ガスとの衝突によりデブリDBの進行方向も変わる。固定式ホイルトラップ24は、このようにして速度が低下して進行方向が変わったデブリDBを、ホイル61または固定枠60により捕捉する。
また、接続チャンバ21内には、カバー部材25が配置される。カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22を包囲し、回転式ホイルトラップ22により捕捉されたデブリDBが接続チャンバ21の内部に飛散するのを防止するホイルトラップカバー装置を構成する。カバー部材25は、入射側開口部KIおよび出射側開口部KOA、KOBを備える。入射側開口部KIは、回転式ホイルトラップ22に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOAは、入射側開口部KIおよび回転式ホイルトラップ22を通過して固定式ホイルトラップ24に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOBは、入射側開口部KIおよび回転式ホイルトラップ22を通過して監視装置43に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。
回転式ホイルトラップ22により捕捉されたデブリDBの少なくとも一部は、遠心力により回転式ホイルトラップ22のブレード51上を径方向に移動し、ブレード51の端部から離脱して、カバー部材25の内面に付着する。
カバー部材25は、図1および図2では図示を省略した後述する加熱手段(カバー加熱部)またはEUV放射を受ける遮熱板23からの二次輻射によって加熱され、当該加熱によりカバー部材25の内面に付着したデブリDBは固化せず、液相状態を保持する。カバー部材25の内面に付着したデブリDBは、重力によりカバー部材25の下部に集まり、カバー部材25の下部から排出管26を介してカバー部材25の外に排出されて廃原料となり、デブリ収容部4に収容される。これにより、カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22のブレード51の端部から離脱したデブリDBが接続チャンバ21の内部に飛散するのを防止することができる。
デブリ収容部4は、デブリ収容容器31を備える。デブリ収容容器31は、接続チャンバ21の外部に配置され、接続チャンバ21に取り付けられる。デブリ収容容器31は、デブリDBおよび廃原料を含む収容物SUを貯蔵する。
接続チャンバ21の底壁には、デブリ収容容器31の内部空間と接続チャンバ21の内部空間とを連通させる貫通孔37が形成されている。デブリ収容容器31は、上部にフランジ32を備える。フランジ32で囲まれたデブリ収容容器31の開口部は、接続チャンバ21の貫通孔37に重ねられる。そして、フランジ32が接続チャンバ21の底壁に、例えば、ネジで固定されることで、デブリ収容容器31が接続チャンバ21に取り付けられる。フランジ32と接続チャンバ21の底壁の間の間隙は、ガスケット33により封止される。遮熱板23は、直立した状態で貫通孔37の上方に配置される。排出管26の排出口は、貫通孔37の上方に配置される。このとき、遮熱板23および排出管26からのデブリDBの落下位置にデブリ収容容器32が配置される。
排出管26を介してカバー部材25の外に排出された廃原料は、重力方向に落下し、接続チャンバ21の下方(図2の下側)に配置されているデブリ収容容器31に溜められる。一方、プラズマPから様々な方向に放散されるデブリDBの一部は、チャンバ11の窓部17を通じて接続チャンバ21に侵入すると、遮熱板23の窓部17と対面する面に堆積する。遮熱板23に堆積したデブリDBは、プラズマPからの放射により溶融し、ある程度の量に達すると、液滴となって重力により遮熱板23の下方に移動する。そして、遮熱板23の下方に移動したデブリDBが遮熱板23から離脱し、接続チャンバ21の下方へ落下することで、デブリ収容容器31に収容される。
このように遮熱板23は、プラズマPから回転式ホイルトラップ22へのEUV放射を制限して回転式ホイルトラップ22の過熱を防止したり、開口部KAによりプラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出したりするのみならず、回転式ホイルトラップ22に向けて進行するデブリDBをできるだけ少なくし、回転式ホイルトラップ22の負荷を減少させる。
また、LDP方式のEUV光源装置1においては、放電部(放電電極EA、EBなど)に供給されるプラズマ原料(スズ)SA、SBの一部が漏出することがある。例えば、プラズマ原料SA、SBの一部は、コンテナCA、CBから漏出する場合がある。漏出したプラズマ原料SA、SBは、プラズマPの発生に寄与しないため、廃原料となる。上記した放電部から漏出したプラズマ原料SA、SBは、図示を省略した包囲部材により捕集される。
包囲部材により廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBをデブリ収容容器31に導くために、接続チャンバ21内には受け板部材(shovel)18が設置される。受け板部材18は、窓部17から貫通孔37にかけて掛け渡されるように傾斜姿勢で支持される。受け板部材18は、廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBが受け板部材18上で融点以上に維持されるように、図示を省略した加熱手段(ヒータ)で加熱される。そして、包囲部材により廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBおよび接続チャンバ21に侵入したデブリDBの一部は、受け板部材18に導かれてデブリ収容容器31に落下する。
ここで、デブリDBの大部分はスズであり、廃材料もスズであるので、デブリ収容容器31は、スズ回収容器と呼ぶこともできる。デブリ収容容器31の周囲には、デブリ収容容器31を加熱する加熱手段としてのヒータ配線34が巻き付けられている。加熱手段は、デブリ収容容器31本体に埋設されていてもよい。
EUV光源装置1の稼働中では、ヒータ配線34に給電することによって、デブリ収容容器の内部は、スズの融点以上に加熱され、デブリ収容容器31内部に蓄積されたスズは液相にされる。
デブリ収容容器31の内部のスズを液相とする理由は、デブリ収容容器31の内部に蓄積されるデブリDBが固化すると、デブリDBが落下しやすい地点での蓄積物が、あたかも鍾乳洞の石筍のように成長するからである。デブリDBの蓄積物が石筍状に成長すると、例えば、カバー部材25の排出管26がデブリDBにより封鎖されてカバー部材25内にデブリDBが蓄積される。このとき、カバー部材25内に蓄積されたデブリDBの少なくとも一部が回転式ホイルトラップ22に接触し、回転式ホイルトラップ22の回転を妨げたり、回転式ホイルトラップ22を損傷したりすることがある。
あるいは、カバー部材25に設けられている出射側開口部KOA、KOBの一部がカバー部材25内に蓄積されたデブリDBにより封鎖されて、出射側開口部KOA、KOBを通過するEUV光の一部が遮られることもある。
よって、デブリ収容容器31の内部の収容物であるスズを液相にすることで、デブリ収納容器31内でスズを平坦化し、石筍のような成長を回避しながらデブリ収納容器31内にスズを貯蔵することが可能となる。
デブリ収容容器31に蓄積されたスズを回収する場合、ヒータ配線34への給電を止めてデブリ収容容器31内部の加熱を停止する。そして、デブリ収容容器31の温度が常温に到達してデブリ収容容器31に貯蔵されるスズを固化させた上で、接続チャンバ21内部を大気圧に戻す。その後、デブリ収容容器31を接続チャンバ21から取り外し、スズの溜まっていない新しいデブリ収容容器を接続チャンバ21に取り付ける。
接続チャンバ21から取り外されたデブリ収容容器31の内部のスズは固相になっているが、そのデブリ収容容器31を再加熱して内部のスズを再度液相とすることによって、デブリ収容容器31からスズを取り出すことができる。接続チャンバ21から取り外し、内部からスズを除去したデブリ収容容器31は再利用することができる。
さらに、接続チャンバ21の外部には、EUV光を監視する監視装置43が配置される。監視装置43は、EUV光を検出する検出器またはEUV光の強度を測定する測定器である。接続チャンバ21の壁には、EUV光が通過する貫通孔であるEUV光案内孔28が形成され、EUV光案内孔28と監視装置43と間には、EUV光が接続チャンバ21の外に漏れずに通過する案内管29が設けられている。
遮熱板23には、開口部KAとは別の位置に、プラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出すための任意の形状(例えば、円形)の開口部KBが設けられる。
プラズマPと開口部KBの中心部を結ぶ直線の延長線上には、監視装置43、EUV光案内孔28および案内管29が配置されている。従って、プラズマPから放出されるEUV光の一部は、チャンバ11の窓部17、遮熱板23の開口部KB、カバー部材25の入射側開口部KI、回転式ホイルトラップ22の複数のブレード51の隙間、カバー部材25の出射側開口部KOB、接続チャンバ21の壁のEUV光案内孔28および案内管29の内腔を順次通過して、監視装置43に到達する。このようにして、EUV光を監視装置43によって監視することができる。
以下、本実施形態におけるカバー部材25について詳細に説明する。
図6は、カバー部材25の構成を示す概略図である。
この図6に示すように、カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22の外周部を包囲するカバー本体25aと、カバー本体25aの第一の面251とは反対側の第二の面252の少なくとも一部に設けられたカバー加熱部(加熱手段)25bと、を備える。カバー加熱部25bは、例えば不図示の給電部から電力が給電されるシースヒータとすることができる。
第一の面251は、カバー本体25aの内面であって、回転式ホイルトラップ22の遠心力方向においてブレード51に対向する面である。この第一の面251は、回転式ホイルトラップ22によって捕捉され、回転式ホイルトラップ22の回転動作時に生じる遠心力によってブレード51の端部から離脱したデブリDBが付着する面である。
第二の面252は、カバー本体25aの外面であって、プラズマPに面する。
カバー加熱部25bは、カバー本体25aの第一の面251の温度をデブリ(スズ)の融点以上に維持することを目的として設けられる。そのため、カバー加熱部25bは、第一の面251を適切に加熱することができるようにカバー本体25aに配置される。
例えば図7に示すように、カバー加熱部25bは、カバー本体25aの第二の面252に形成された凹溝状のヒータ設置部25cに配置される。これにより、カバー加熱部25bは、カバー本体25aの第一の面251に露出せず、且つ、当該第一の面251に近い位置に配置することができる。 また、例えば図8に示すように、カバー本体25aの第二の面252の表面に、同心円状に複数のカバー加熱部25bを配置することができる。この場合、複数のカバー加熱部25bは、共通の配線系統を使用して給電量が制御されてもよいし、それぞれ個別の配線系統を使用して個別に給電量が制御されてもよい。なお、カバー加熱部25bの配置は、図8に示すような同心円状の配置に限定されるものではなく、例えば、1つのカバー加熱部25bを渦巻状に配置したものであってもよい。
ここで、カバー加熱部25bが、カバー本体25aの内面である第一の面251に露出せず、カバー本体25aの外面である第二の面252に設けられるのは、以下の理由による。
仮にカバー本体25aの内面である第一の面251にカバー加熱部25bが露出している場合、給電されて高温となっているカバー加熱部25aに、回転式ホイルトラップ22から離脱したスズ(デブリ)が堆積することになる。液体スズは、固体金属と化学反応して当該固体金属を溶解させる性質がある。その反応速度(溶解速度)は温度の上昇とともに増加するので、カバー加熱部25bが加熱されて液化したスズによって溶解(腐食)されやすい。よって、カバー加熱部25bは、液体スズと直接接触しないように、カバー本体25aの外面である第二の面252に設けられる。
しかしながら、カバー本体25aの外面にカバー加熱部25bを配置しただけでは、EUV光源装置をある程度稼働すると、当該カバー加熱部25bの一部にもデブリ(スズ)が到達し、腐食による断線等の不具合が発生してしまう。
図2に示すように、回転式ホイルトラップ22や回転式ホイルトラップ22を包囲するカバー部材25とプラズマPとの間には、遮熱板23が配置されている。プラズマPから放出されるEUV光の一部は、チャンバ11の壁に形成された貫通孔である窓部17を通過して遮熱板23に到達する。そして、遮熱板23に到達したEUV光のうち、遮熱板23に形成された開口部KA、KBを通過したEUV光が、回転式ホイルトラップ22に到達する。
よって、プラズマPから放散されるデブリは、遮熱板23の開口部KA、KBを通過するものを除き、大部分は遮熱板23におけるプラズマPとの対向面に衝突して堆積される。
そして、開口部KA、KBを通過したデブリは、その大部分が回転式ホイルトラップ22の各ホイル(ブレード)部分へ到達し、当該ブレード51により捕捉される。しかしながら、開口部KA、KBを通過したデブリの一部は、回転式ホイルトラップ22のブレード51以外の領域、例えば、カバー部材25の外面に到達し得る。
上記のように、液体スズは固体金属と化学反応して当該固体金属を溶融させる性質がある。そのため、カバー本体25aの外面にカバー加熱部25bを配置しただけでは、EUV光源装置の稼働中に、カバー加熱部25bの表面へ到達するデブリ(スズ)の量が徐々に増加し、給電されて高温となっているカバー加熱部25bがスズによって腐食されてしまう。
そこで、本発明者は、カバー加熱部25bの表面に耐蝕膜を形成し、カバー加熱部25bの不具合の発生を調査した。耐蝕膜としては、窒化チタン(TiN)膜を使用した。なお、耐蝕膜の材料としては、TiN以外に、タングステンやモリブデン、炭化ケイ素(SiC)、酸化膜を用いることも可能である。
上記耐蝕膜をカバー加熱部25b表面に施したところ、耐蝕膜を施さない場合と比較して、カバー加熱部25bの不具合の発生をある程度抑制することができた。しかしながら、カバー加熱部25bの寿命(スズによる腐食に起因した不具合が発生するまでの時間)を、カバー加熱部25bの本来の寿命(スズによる腐食に起因したものではない不具合が発生するまでの時間)に近づけることはできず、効果としては限定的であった。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、カバー本体25aの外面である第二の面252に配置されたカバー加熱部25bを、加熱部保護部材であるシールド部材25dによって覆う。
シールド部材25dは、カバー加熱部25bをデブリから遮蔽し、プラズマPから飛来するスズや接続チャンバ21内に浮遊するスズが、カバー加熱部25b表面に到達することを防止する。また、シールド部材25dを、厚みを有する板状部材により構成することで、シールド部材25dが液体スズにより腐食が進行しても、液体スズがシールド部材25dを貫通してカバー加熱部25bまで到達するまで時間がかかるので、カバー加熱部25bおよびカバー部材25の寿命を延ばすことができる。
例えば、図9にカバー部材25をプラズマP側から見た図を示すように、シールド部材25dは、カバー本体25aの第二の面252の全面に設けることができる。
ここで、シールド部材25dは、カバー本体25aに溶接(例えば、レーザ溶接等)により取り付けられており、カバー加熱部25bは、カバー本体25aとシールド部材25dとによって完全に密閉されている。
例えば、ねじ止めによりシールド部材25dをカバー本体25aへ取り付けることも考えられる。この場合、シールド部材25dを取り付けない場合と比較すると、カバー加熱部25bの寿命を向上させることができるものの、最終的にはカバー加熱部25bの不具合が発生する。これは、ねじ止めにて取り付けたシールド部材25dとカバー本体25aとの間の僅かな隙間からスズ(デブリ)が侵入し、そのスズがカバー加熱部25bと接触して腐食が発生するためである。液化したスズは粘性が低いため、僅かな隙間でも侵入し得る。
したがって、上記のようなスズの侵入を防止し、カバー加熱部25bのスズによる腐食を防止するためには、シールド部材25dを溶接によりカバー本体25aに取付けることが好ましい。
溶接加工としては、例えば、局部加熱が可能でありカバー加熱部25bを損傷させることなく接合可能なレーザ溶接や電子ビーム溶接を採用することができる。
また、カバー本体25aとシールド部材25dとは、同一材料により構成されていることが好ましい。両者を同一材料により構成することで、両者の熱膨張係数を同じにすることができ、熱膨張係数が相違することによる不所望な応力の影響をなくし、破損などの不具合の発生を抑制することができる。カバー本体25aおよびシールド部材25dを構成する材料としては、耐熱性、加工性および経済性を考慮して、例えばステンレスを採用することができる。
なお、シールド部材25dの表面は、対向するプラズマPからの放射により加熱される。また、シールド部材25dの裏面はカバー加熱部25bによって加熱されるため、シールド部材25dの厚みや材質によっては、カバー加熱部25bからの熱がシールド部材25dの表面に伝わる場合もある。この場合、EUV光源装置の稼働中は、シールド部材25dの表面は高温になる。
また、シールド部材25dの表面の少なくとも一部には、プラズマPから飛来するデブリや接続チャンバ21内に浮遊するデブリが付着する。
つまり、条件によっては、高温状態のシールド部材25dの表面にデブリ(スズ)が付着することで、シールド部材25dに腐食が発生する場合がある。そこで、シールド部材25dの露出面の少なくとも一部には、デブリに対して耐蝕性を有する耐蝕膜を設けてもよい。ここで、耐蝕膜としては、例えば窒化チタン(TiN)膜を使用することができる。なお、耐蝕膜の材料としては、TiN以外に、タングステンやモリブデン、炭化ケイ素(SiC)、酸化膜を用いることも可能である。耐蝕膜は、スパッタにより成膜してもよいし、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜してもよい。
次に、カバー加熱部25bの給電制御について説明する。
図10は、カバー部材25の断面の一部を示す図である。カバー本体25aは、カバー加熱部25bにより直接加熱されるとともに、プラズマPからの放射によりシールド部材25dを介して加熱される。ここで、プラズマPからの放射による加熱は均一に行われるものではなく、プラズマPからの距離によって加熱度合いが異なる。
この図10に示すように、カバー本体25aの第二の面252を、プラズマPからの距離に応じて3つの領域α、β、γに分割した場合、プラズマPによる加熱度合いは、領域α、領域β、領域γの順にプラズマPからの距離に応じて小さくなる。
そのため、例えばカバー加熱部25bによる加熱を行わない場合、プラズマPからの放射による加熱の結果、カバー本体25aの温度は、プラズマPに近い領域αの温度が一番高くなり、プラズマPに遠い領域γの温度が一番低くなる。カバー本体25aおよびシールド部材25dは、熱伝導率が低いステンレス材により構成されているため、上記のように加熱ムラによる温度ムラが生じやすい。
したがって、仮にカバー加熱部25bによる加熱分布を均一とすると、領域αの温度が高すぎたり、領域γの温度が低すぎたりするといった不具合が生じる。
つまり、領域αにおけるプラズマPからの放射による加熱度合いに合わせて全領域のカバー加熱部25bの給電量を一律に制御すると、領域γに設けられたカバー加熱部25bへの給電量が不足し、領域γの温度がデブリ(スズ)を十分に液化できる温度にならない場合がある。また、領域γにおけるプラズマPからの放射による加熱度合いに合わせて全領域のカバー加熱部25bの給電量を一律に制御すると、領域αに設けられたカバー加熱部25bへの給電量が過多となり、領域αの温度が高温になりすぎてステンレスからなるシールド部材25dとデブリ(スズ)とが反応しやすくなってしまう。
そこで、図8に示すようにカバー本体25aの第二の面252の表面に同心円状に配置された複数のカバー加熱部25bの給電量を、図10に示すようにプラズマPからの距離に応じて分割した領域ごとに個別に制御する。
具体的には、図11に示すように、領域αに配置されたカバー加熱部25b、領域βに配置されたカバー加熱部25b、領域γに配置されたカバー加熱部25bを、互いに独立した系統で構成し、それぞれを個別に制御する。
この図11に示すように、本実施形態におけるホイルトラップカバー装置は、分割された各領域に対応するカバー加熱部25bへそれぞれ電力を供給する複数の給電部25e(給電部A~C)と、領域ごとにカバー本体25aの温度を検知する温度センサ(温度検知部)25fと、温度センサ25fにより検知された温度に基づいて、各給電部25eからのカバー加熱部25bへの給電量を制御する制御部25gと、を備える。
本実施形態では、領域αに配置されたカバー加熱部25bは給電部Aより給電され、領域βに配置されたカバー加熱部25bは給電部Bより給電され、領域γに配置されたカバー加熱部25bは給電部Cより給電される。
温度センサ25fは、カバー部材25に設けられる。なお、図10における温度センサ25fの図示は省略している。
制御部25gは、温度センサ25fにより検知された温度に基づき、各領域α、β、γのカバー本体25aの温度がそれぞれ高温プラズマ原料(スズ)の融点以上となるように、給電部A~Cを個別に制御する。
図12は、カバー加熱部25bの個別制御の概念図である。
この図12において、丸印(〇、●)はカバー本体25aの温度、三角印(△、▲)は加熱手段への入力(カバー加熱部25bへの給電量)である。▲印で示すように、各領域のカバー加熱部25bへの給電量が等しい場合、●印で示すように、各領域の温度は、プラズマPに近い領域αが最も高くなり、プラズマPからの距離が徐々に遠くなるにつれ、領域β、領域γの順に低くなる。
そこで、△印で示すように、逆に領域α、領域β、領域γの順にカバー加熱部25bへの給電量を多くすると、〇印で示すように、各領域の温度はほぼ均一となる。
このように、カバー加熱部25bの配置領域をプラズマPからの距離に応じて分割し、分割した領域ごとにカバー加熱部25bへの給電量を制御することで、各領域の温度を所望の温度に維持することができる。
ここで、上記所望の温度は、少なくとも高温プラズマ原料(スズ)の融点以上となる温度であり、且つ、高温となりすぎない程度の温度とする。例えば、上記所望の温度は、300~500℃とすることができる。各領域の温度は均一である必要はなく、当該所望の温度の範囲内であればよい。
なお、本実施形態では、同心円状に配置されたカバー加熱部25bの配置領域であるカバー本体25aの第二の面252を3つの領域(α、β、γ)に分割した例を示したが、これに限るものではなく、任意の領域に分割して、各領域に配置されるカバー加熱部25bへの給電量をそれぞれ制御するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態におけるホイルトラップカバー装置は、回転式ホイルトラップ22の外周部を包囲して、回転式ホイルトラップ22から飛散するデブリを捕集するカバー部材25を備える。ここで、回転式ホイルトラップ22は、プラズマ発生部である光源部2が発生させるプラズマPの近傍に配置されて回転動作する複数のホイル(ブレード)51を有し、プラズマPから放射される光を通過し、当該プラズマPから発生するデブリを捕捉するものである。
カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22の外周部を包囲するカバー本体25aと、カバー本体25aにおけるブレード51と対向する第一の面251とは反対側の面であってプラズマPに面する第二の面252の少なくとも一部に設けられ、カバー本体25aを加熱するカバー加熱部25bと、カバー加熱部25bを覆い、カバー加熱部25bをデブリから遮蔽するシールド部材25dと、を備える。シールド部材25dは、デブリに対してカバー加熱部25bよりも高い耐蝕性を有する耐蝕材である。
このように、カバー本体252におけるプラズマPに面する第二の面252に設けられたカバー加熱部25bを、デブリに対してカバー加熱部25bよりも高い耐蝕性を有するシールド部材25dによって覆うことで、スズによる腐食に起因したカバー加熱部25bの不具合の発生を適切に抑制することができる。したがって、カバー加熱部25bの寿命(スズによる腐食に起因した不具合が発生するまでの時間)を、カバー加熱部25bの本来の寿命(スズによる腐食に起因したものではない不具合が発生するまでの時間)に近づけることができる。
また、シールド部材25dを、カバー本体25aの第二の面252に溶接によって取り付けるので、カバー加熱部25bやヒータ設置部25cを、カバー本体25aとシールド部材25dとによって密閉することができる。そのため、デブリ(スズ)が高温状態のカバー加熱部25bに付着することを確実に防止することができ、スズによるカバー加熱部25bの腐食を適切に抑制することができる。
ここで、カバー本体25aとシールド部材25dとは、同一材料により構成されていることが好ましい。この場合、カバー本体25aとシールド部材25dとの熱膨張係数の違いによる応力集中を抑制することができる。
例えば、カバー本体25aおよびシールド部材25dは、耐熱性、加工性および経済性を考慮して、ステンレスにより構成することができる。デブリに対する耐蝕性を考慮した場合、カバー本体25aおよびシールド部材25dをモリブデンにより構成することも考えられるが、モリブデンはステンレスよりも材料自体が高価でさらに加工も難しいため、コストが嵩む。
ステンレスは熱伝導率が低い材料であるため、プラズマPからの距離に応じた加熱度合いの違いによって温度ムラが生じやすい。
本実施形態では、カバー加熱部25bを、個別に給電量を制御可能な複数のカバー加熱部25bにより構成し、複数のカバー加熱部25bがそれぞれ設けられた領域ごとにカバー本体25aの温度を検知し、検知された温度に基づいてカバー加熱部25bを個別に制御する。したがって、各領域のカバー本体25aの温度を所望の温度に制御することができる。具体的には、プラズマPから遠くに位置するカバー本体25aの温度を、適切にスズの融点以上とすることができる。また、プラズマPの近くに位置するカバー本体25aの温度を高温になりすぎないように制御することができる。
また、複数のカバー加熱部25bを、プラズマPを通る軸を中心としてカバー本体25aの第二の面252に同心円状に配置することで、第二の面252をプラズマPからの距離に応じて分割した領域に、それぞれカバー加熱部25bを独立して設けることができる。したがって、上記のプラズマPからの距離に応じた加熱度合いの違いによる温度ムラを容易かつ適切に抑制することができる。
以上のように、本実施形態におけるホイルトラップカバー装置は、カバー本体25aを加熱する加熱手段(カバー加熱部25b)とデブリとの接触を抑制し、デブリによる加熱手段の腐食と、それによる断線等の不具合の発生とを適切に抑制することができる。
(変形例)
上記実施形態においては、図9に示すように、シールド部材25dをカバー本体25aの第二の面252の全面に設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、シールド部材25dは、少なくともカバー加熱部25bの露出面を覆っていればよい。
また、上記実施形態においては、カバー加熱部25bは、カバー本体25aに形成された凹溝状のヒータ設置部25cに配置されている場合について説明したが、カバー加熱部25bは、カバー本体25aに圧入されていてもよいし、ヒータ設置部25cを設けずにカバー本体25aの第二の面252上に設置されていてもよい。
さらに、上記実施形態においては、カバー本体25aとシールド部材25dを同一材料により構成する場合、これらは1つの部材により構成されていてもよい。つまり、カバー加熱部25bは、カバー部材25に内蔵された構成であればよい。
上記実施形態においては、高温プラズマ原料に照射するエネルギービームとしてレーザを用いる場合について説明したが、レーザに代えてイオンビームや電子ビーム等を用いることもできる。
また、上記実施形態においては、DPP方式のEUV光源装置に適用する場合について説明したが、LPP方式のEUV光源装置にも適用可能である。なお、LPP方式とは、プラズマ生成用ドライバレーザをターゲット材料に照射し、当該ターゲット材料を励起させてプラズマを生成する方式である。
さらに、上記実施形態においては、回転式ホイルトラップ22を備える光源装置がEUV光源装置である場合について説明したが、当該光源装置は、VUV(真空紫外光)を取り出すVUV光源装置や、X線を取り出すX線発生装置であってもよい。
光源装置をVUV光源装置として機能させる場合、このVUV光源装置は、基板の表面改質用光源、オゾン発生用光源、基板の貼り合わせ用光源として用いることもできる。
一方、光源装置をX線発生装置として機能させる場合、このX線発生装置は、医療用分野においては、胸部X線写真撮影や、歯科X線写真撮影、CT(Computer Tomogram)といった用途に用いることもできる。また、このX線発生装置は、工業用分野においては、構造物や溶接部などの物質内部を観察する非破壊検査、断層非破壊検査といった用途に用いることもできる。さらに、このX線発生装置は、研究用分野においては、物質の結晶構造を解析するためのX線解析、物質の構成元素を分析するためのX線分光(蛍光X線分析)といった用途に用いることもできる。
1…極端紫外光光源装置(EUV光源装置)、2…光源部、3…デブリ低減部、4…デブリ収容部、11…チャンバ、21…接続チャンバ、22…回転式ホイルトラップ、23…遮熱板、24…固定式ホイルトラップ、25…カバー部材、25a…カバー本体、25b…カバー加熱部、25c…ヒータ設置部、25d…シールド部材、31…デブリ収容容器、51…ホイル、52…外側リング、53…ハブ、DB…デブリ

Claims (12)

  1. プラズマ発生部が発生させるプラズマの近傍に配置されて回転動作する複数のホイルを有し、前記プラズマから放射される光を通過し、当該プラズマから発生するデブリを捕捉する回転式ホイルトラップの外周部を包囲して、前記回転式ホイルトラップから飛散する前記デブリを捕集するホイルトラップカバー装置であって、
    前記回転式ホイルトラップの外周部を包囲するカバー本体と、
    前記カバー本体における前記ホイルと対向する第一の面とは反対側の面であって前記プラズマに面する第二の面の少なくとも一部に設けられ、前記カバー本体を加熱するカバー加熱部と、
    前記カバー加熱部を覆う加熱部保護部材と、を備え
    前記カバー加熱部はシースヒータであることを特徴とするホイルトラップカバー装置。
  2. 前記加熱部保護部材は、前記デブリに対して前記カバー加熱部よりも高い耐蝕性を有する耐蝕材であることを特徴とする請求項1に記載のホイルトラップカバー装置。
  3. 前記カバー加熱部は、前記カバー本体と前記加熱部保護部材とによって密閉されていることを特徴とする請求項1または2に記載のホイルトラップカバー装置。
  4. 前記加熱部保護部材は、前記カバー本体の前記第二の面に溶接によって取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のホイルトラップカバー装置。
  5. 前記加熱部保護部材の露出面の少なくとも一部には、前記デブリに対して耐蝕性を有する耐蝕膜が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のホイルトラップカバー装置。
  6. 前記耐蝕膜は、タングステン、モリブデン、窒化チタンおよび炭化ケイ素の少なくとも1つよりなる膜、または酸化膜であることを特徴とする請求項5に記載のホイルトラップカバー装置。
  7. 前記カバー本体と前記加熱部保護部材とは、同一材料により構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のホイルトラップカバー装置。
  8. 前記カバー本体と前記加熱部保護部材とは、ステンレスにより構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のホイルトラップカバー装置。
  9. 前記カバー加熱部は、個別に給電量を制御可能な複数のカバー加熱部により構成され、
    前記複数のカバー加熱部がそれぞれ設けられた領域ごとに前記カバー本体の温度を検知する温度検知部と、
    前記温度検知部により検知された温度に基づいて、前記カバー本体の温度が前記プラズマを発生させる原料の融点以上となるように、対応する前記カバー加熱部への給電量を制御する制御部と、を備えること特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のホイルトラップカバー装置。
  10. 前記領域は、前記第二の面を前記プラズマからの距離に応じて分割した領域であって、
    前記複数のカバー加熱部は、前記領域ごとにそれぞれ独立に設けられていることを特徴とする請求項9に記載のホイルトラップカバー装置。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のホイルトラップカバー装置と、
    前記回転式ホイルトラップと、を備えることを特徴とするデブリ低減装置。
  12. 請求項11に記載のデブリ低減装置と、
    極端紫外光を放射する前記プラズマを発生させる前記プラズマ発生部と、を備えることを特徴とする極端紫外光光源装置。
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