JP2015535503A - 繊維集合体によって結着されたインナーライナを有する空気タイヤ及びその製造方法 - Google Patents

繊維集合体によって結着されたインナーライナを有する空気タイヤ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

空気タイヤが、外側のゴム製トレッド部と、カーカス補強体と、このカーカス補強体に対して内部的に位置する気密層と、この気密層に隣接してカーカス補強体と気密層との間に位置する接着層とを備え、この接着層は、変形可能な繊維集合体で構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、空気タイヤの分野に関し、具体的には、これらの空気タイヤが気密性であることを確実にする気密層に関する。
従来の「チューブレス」タイプ(すなわちチューブを含まないタイプ)の空気タイヤでは、半径方向内面に、空気タイヤを膨張させて圧力下に保つことを可能にする気密層(又は、より一般的には、あらゆる膨張ガスに対して気密性の層)が備わる。この気密性は、比較的低いレベルの圧力損失を保証し、タイヤが、通常の動作状態において、通常は数週間又は数ヶ月間の十分な期間にわたって膨張した状態を保つことを可能にする。この層の別の役割は、空気タイヤの内部構造の材料を、タイヤの内部空間から生じる空気の拡散から保護することである。
今日まで、この内部気密層又は「インナーライナ」の役割は、非常に長期にわたって気密性が優れていると認識されてきたブチルゴム(イソブチレンとイソプレンの共重合体)に基づく組成物によって果たされている。
しかしながら、ブチルゴム又はエラストマに基づく組成物の周知の不利点は、高いヒステリシス損失を、しかも広範な温度スペクトルにわたって示す点であり、この不利点は、空気タイヤの回転抵抗に支障をきたす。
これらの内部気密層のヒステリシス、従って最終的には自動車の燃料消費量を低減することは、現在の気密シール技術が取り組む一般的目的である。
本出願企業による国際公開第2008/145277号には、膨張ガスに対して気密性のある層を有する空気圧物品において、この気密層が、ポリスチレンブロック及びポリイソブチレンブロックとポリブテン油とを有する少なくとも熱可塑性エラストマを含むエラストマ組成物を含むことが開示されている。
ブチルゴムに比べると、熱可塑性エラストマは、溶融(液体)状態にある時に加工することができ、従って単純化された加工の可能性を提供し、さらには空気タイヤの回転抵抗を低減するという、その熱可塑性の性質に起因する主な利点を有する。一方で、これらの気密層の使用は、空気タイヤの加硫中に形成される、隣接するゴム化合物との結着部が存在しないことによって制限される。
この問題を解決するために、国際公開第2010/063427号には、外側のゴム製トレッド部とクラウン補強体とを含むクラウンと、カーカス補強体と、カーカス補強体に対して内部的に位置する気密層と、気密層に隣接してカーカス補強体と気密層の間に位置する接着層とを備えた空気タイヤにおいて、気密層を、ポリスチレンブロック及びポリイソブチレンブロックを有する熱可塑性エラストマに基づく組成物とし、接着層を、ポリスチレンブロック及びポリジエンブロックを有する不飽和熱可塑性エラストマに基づく組成物とすることが開示されている。
この接着層は、熱可塑性エラストマ層と、空気タイヤにおいて通常使用される天然ゴムに基づくカーカスプライのカレンダ加工物などのジエンエラストマ層との間の接着を補強するように意図される。
国際公開第2008/145277号 国際公開第2010/063427号 国際出願第2006/047509号 国際出願第2008/145314号 欧州特許第731112号明細書 米国特許第4946899号明細書 米国特許第5260383号明細書 欧州特許第1431343号明細書 欧州特許第1561783号明細書 欧州特許第1566405号明細書 国際公開第2005/103146号 米国特許出願公開第2004/0194863号明細書 国際公開第2009/007064号 国際公開第2011/012529号
Z.Fodor及びJ.P.Kennedy著、Polymer Bulletin、1992年、29(6)巻、697〜705ページ J.E.Puskas、G.Kaszas、J.P.Kennedy及びW.G.Hager著、Journal of Polymer Science、Part A:Polymer Chemistry(1992年)、30巻、41ページ J.P.Kennedy、N.Meguriya及びB.Keszler著、Macromolecules(1991年)、24(25)巻、6572〜6577ページ G.Kaszas、J.E.Puskas及びP.Kennedy著、Applied Polymer Science(1990年)、39(1)巻、119〜144ページ J.E.Puskas、G.Kaszas及びJ.P.Kennedy著、Macromolecular Science, Chemistry A28(1991年)、65〜80ページ J.E.Puskas、G.Kaszas、J.P.Kennedy及びW.G.Hager著、Journal of Polymer Science、Part A: Polymer Chemistry、1992年、30巻、41ページ J.P.Kennedy、S.Midha及びY.Tsungae著、Macromolecules(1993年)、26巻、429ページ
本発明の主題は、接着層を変形可能な繊維集合体で構成した同様の空気タイヤである。
本出願人らは、非常に驚くべきことに、この変形可能な繊維集合体が、気密層と、例えばカーカス補強体のカレンダ加工物との間に未硬化状態で配置された時に、高温及び加圧下における硬化後に、空気タイヤのカレンダ加工物に対する気密層の良好な接着を確実にすることを認めた。
この変形可能な繊維集合体は、空気タイヤの気密性を実質的に改善するという利点をさらに有する。
一方では、空気タイヤの加圧硬化中に気密層のエラストマ材料が含浸したこのような変形可能な繊維集合体が存在し、他方では、隣接するゴムライナが存在することにより、隣接するゴムライナとの間における気密層の十分な凝集性を得ることが可能になる。
この気密層は、ポリイソブチレンブロックと熱可塑性ブロック(TPEIエラストマ)とを含む熱可塑性エラストマに基づくことが有利である。
この気密層は、ポリイソブチレンブロックとポリスチレンブロックとを含む熱可塑性エラストマに基づくことが非常に有利である。
従って、変形可能な繊維集合体の存在に起因する凝集性により、気密層の主成分としてポリイソブチレンブロックを有するこのような熱可塑性エラストマをより簡単に使用できるようになる。
別の実施形態によれば、気密層がブチルゴムに基づくことができる。
本発明の別の主題は、気密層を有する空気タイヤの製造方法において、空気タイヤの製造中に空気タイヤに接着層を組み込み、変形可能な繊維集合体から成る接着層が上記気密層の半径方向外面に位置することを特徴とする製造方法である。
第1の実施形態によれば、上記気密層をタイヤ成型ドラム上に平らに堆積させた後に、このドラム上に上記接着層が配置される。
代替の実施形態によれば、上記気密層をタイヤ成型ドラム上に平らに堆積させる前に、積層体を形成するために上記気密層上に変形可能な繊維集合体が堆積される。
本発明は、特に乗用タイプ、SUV(「スポーツユーティリティ車両」)タイプの自動車、2輪車両(具体的にはオートバイ)、航空機、並びに、バン、大型車両(すなわち地下鉄、バス、大型道路輸送車両(ローリー、トラクター、トレーラ)、農業又は土木車両などのオフロード車両)及びその他の輸送又は運送車両から選択された産業車両に取り付けられるように意図された空気タイヤに関する。
本説明では、別途明確に示していない限り、表示するパーセント(%)は全て重量%である。
さらに、「aとbの間」という表現によって示すいずれかの値の間隔は、aよりも多くからb未満までに及ぶ(すなわち境界であるa及びbは含まない)値の範囲を表し、一方で「aからbまで」という表現によって示すいずれかの値の間隔は、aから最大bまでに及ぶ(すなわち厳密な境界であるa及びbを含む)値の範囲を表す。
一般的なことであるが、文章内では「エラストマ」という用語と「ゴム」という用語を両方使用しており、これらは同義である。
I−1.気密層
I−1−A.ブチルゴムに基づく気密層
ブチルゴムは、イソブチレンの単独重合体又はイソブチレンのイソプレンとの共重合体(このブチルゴムはジエンエラストマに属する)、並びにこれらのイソブチレンの単独重合体及びイソブチレンとイソプレンの共重合体のハロゲン化した、特に一般的には臭素化又は塩素化した誘導体を意味するものとして一般に理解されている。
インナーライナの成分として一般的に使用されているブチルゴムの例としては、イソブチレンとイソプレンの共重合体(IIR)、ブロモ−イソブチレン−イソプレン共重合体(BIIR)などのブロモブチルゴム、及びクロロ−イソブチレン−イソプレン共重合体(CIIR)などのクロロブチルゴムが挙げられる。
上述の定義の拡張によれば、具体的にはExxon社によって販売されているEXXPROという名称のエラストマが属する臭素化イソブチレンとメチルスチレンの共重合体(BIMS)などのイソブチレン誘導体とスチレン誘導体の共重合体も、「ブチルゴム」という名称の下に含まれる。
国際出願第2006/047509号及び国際出願第2008/145314号には、空気タイヤのインナーライナを作成するためのこのようなブチルゴムの使用例、及びこのようなインナーライナの配合例が示されている。
本発明の1つの主題による接着層は、ブチルゴムが気密層の唯一のエラストマであるか、それとも支配的なエラストマであるかに関わらず、このゴムに基づく全ての気密層の、空気タイヤの残りの構造への接着力を補強するために使用することができる。
I−1−B.ポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマに基づく気密層
I.1.B.1 ポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマ
ポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマ(以下、「TPEI」と略す)は、熱可塑性ポリマーとエラストマの中間の構造を有する。これらは、可撓性のポリイソブチレンエラストマシーケンスを介して接続された剛性の熱可塑性シーケンスで構成される。これらのTPEIは、例えば、熱可塑性ブロックと、ここではポリイソブチレンブロックであるエラストマブロックとを含むジブロック共重合体とすることができる。これらは、2つの剛性セグメントが可撓性セグメントを介して接続されたトリブロックエラストマであることが多い。これらの剛性セグメントと可撓性セグメントは、星形又は分岐形で線形的に配列することができる。通常、これらのセグメント又はブロックの各々は、少なくとも5よりも多くの、一般的には10よりも多くの基本単位を含む。
ポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマの(Mnで示す)数平均分子量は、30000g/molと500000g/molの間であることが好ましく、40000g/molと400000g/molの間であることがさらに好ましい。これらの最小値よりも低いと、特に(エキステンダー油の存在時に)希釈が起り得ることに起因してTPEIのチェーン間の凝集性に影響が及ぶリスクがあり、さらには動作温度の上昇リスクが機械的特性、特に切断特性に影響を与え、「高温条件下」における性能の低下を招く。さらに、Mn重量が過度に高いと、気密層の柔軟性に関して支障をきたすことがある。従って、特に空気タイヤの組成物においてポリイソブチレンブロック又はTPEIを含む熱可塑性エラストマを使用することには、50000g/molから300000g/molの範囲内の値が特に適していることが分かった。
TPEIの数平均分子量(Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって既知の方法で求められる。約1g/lの濃度のテトラヒドロフランに試料を予め溶解させておき、その後、この溶液を、注入前に有孔率が0.45μmのフィルタを通じてフィルタ処理する。使用する装置は、「Waters alliance」クロマトグラフィチェーンである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は0.7ml/分であり、システムの温度は35℃であり、分析時間は90分である。「Styragel」という商標名の4つの直列のWatersコラムの組(「HMW7」、「HMW6E」及び2つの「HT6E」)を使用する。ポリマー試料の溶液の注入量は100μlである。検出器は「Waters2410」示差屈折計であり、そのクロマトグラフィデータを処理するための関連するソフトウェアは「Waters Millenium」システムである。計算した平均分子量を、ポリスチレン標準を用いて形成した較正曲線と比較する。
TPEIの多分散指数Ip(Ip=Mw/Mnであり、Mwは重量平均分子量であると認識されたい)は、3未満であることが好ましく、2未満であることがより好ましく、1.5未満であることがさらに好ましい。
エラストマブロックは、主に重合イソブチレンモノマーで構成される。ブロック共重合体のポリイソブチレンブロックは、空気タイヤのインナーライナ用途に十分でありかつ適合する良好なエラストマ特性及び機械的強度を熱可塑性エラストマに与えるように、25000g/molから350000g/molの範囲の、好ましくは35000g/molから250000g/molの範囲の数平均分子量(「Mn」)を有することが好ましい。
ブロック共重合体のポリイソブチレンブロックは、−20℃以下の、さらに好ましくは−40℃未満のガラス転移温度(「Tg」)をさらに有することが好ましい。Tgの値がこれらの最小値よりも大きいと、極低温における使用中に気密層の性能が低下する恐れがあり、このような用途では、ブロック共重合体のポリイソブチレンブロックのTgは、−50℃未満であることがさらに好ましい。
TPEIのポリイソブチレンブロックは、ポリマチェーンに1又はそれ以上の共役ジエンを導入することにより、ポリイソブチレンブロックの重量に対して好ましくは最大16重量%までの範囲に及ぶ単位量も有利に含むことができる。16%を上回ると、タイヤで使用されるポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマを有する気密層では、熱酸化及びオゾンによる酸化に対する抵抗力の低下が観察されることがある。
ポリイソブチレンブロックを形成するためにイソブチレンで共重合することができる共役ジエンは、共役C4〜C14ジエンである。これらの共役ジエンは、イソプレン、ブタジエン、1−メチルブタジエン、2−メチルブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘクサジエン、2−メチル−1,3−ヘクサジエン、3−メチル−1,3−ヘクサジエン、4−メチル−1,3−ヘクサジエン、5−メチル−1,3−ヘクサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ヘクサジエン、2,4−ジメチル−1,3−ヘクサジエン、2,5−ジメチル−1,3−ヘクサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、1,3−チクロペンタジエン、1,3−チクロヘクサジエン、1−ビニル−1,3−チクロヘクサジエン又はこれらの混合物から選択されることが好ましい。共役ジエンは、イソプレン又はイソプレンを含む混合物であることがさらに好ましい。
本発明の主題の有利な態様によるポリイソブチレンブロックは、ハロゲン化できるとともに、そのチェーンにハロゲン原子を含むことができる。このハロゲン化により、空気タイヤの他の隣接する構成成分に対する気密層の適合性を向上させることが可能になる。このハロゲン化は、ポリイソブチレンブロックのポリマチェーンの共役ジエンに由来するユニットに対し、臭素又は塩素、好ましくは臭素によって行われる。これらのユニットのほんの一部がハロゲンと反応する。
熱可塑性ブロックの定義のために、剛性熱可塑性ブロックのガラス転移温度(Tg)の特徴を使用する。この特徴は、当業者に周知である。これにより、特に工業的加工(変態)温度を選択することが可能になる。非晶質ポリマー(又はポリマーブロック)の場合、加工温度は、熱可塑性ブロックのTgを実質的に上回るように選択される。半結晶性ポリマー(又はポリマーブロック)の特定の事例では、この時ガラス転移温度よりも高い融点を観察することができる。この場合、検討中のポリマー(又はポリマーブロック)の加工温度の選択は、代わりに融点(MP)によって行うことができる。従って、その後「Tg(又は適切であればMP)」を参照する際には、その温度が加工温度の選択に使用される温度であることを考慮すべきである。
本発明の1つの主題によるポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマは、ポリイソブチレンブロックの両端部の少なくとも一方に、ガラス転移温度(又は適切であれ融点)が100℃以上の熱可塑性ブロックを有することが好ましい。
第1の実施形態によれば、TPEIが、ポリイソブチレンブロックを含むスチレン熱可塑性エラストマ(「TPSI」)から選択される。
従って、スチレン熱可塑性ブロックは、非置換又は置換スチレンに基づく少なくとも1つの重合性モノマーで構成され、置換スチレンの中でも、例えば、メチルスチレン(例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α,2−ジメチルスチレン、α,4−ジメチルスチレン又はジフェニルエチレン)、パラ−(tert−ブチル)スチレン、クロロスチレン(例えば、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン又は2,4,6−トリクロロスチレン)、ブロモスチレン(例えば、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、2,6−ジブロモスチレン又は2,4,6−トリブロモスチレン)、フルオロスチレン(例えば、o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2,6−ジフルオロスチレン又は2,4,6−トリフルオロスチレン)又はパラヒドロキシスチレンを挙げることができる。
TPSI熱可塑性エラストマは、ポリスチレンブロック及びポリイソブチレンブロックを含むことが好ましい。
このようなTPSIは、スチレン/イソブチレンジブロックエラストマ(「SIB」と略す)であることが好ましい。
このようなTPSIは、スチレン/イソブチレン/スチレントリブロックエラストマ(「SIBS」と略す)であることがさらに好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、スチレンエラストマにおける(非置換又は置換)スチレンの重量含有量は、5%と50%の間である。この最小値を下回ると、エラストマの熱可塑性の性質のリスクが実質的に低減するのに対し、推奨最大値を上回ると、気密層の弾性に影響が及ぶことがある。これらの理由で、スチレン含有量は、10%と40%の間、特に15%と35%の間であることがさらに好ましい。
TPSIエラストマは、例えばビード又は顆粒の形で利用可能な原材料から開始して押し出し又は成形によって従来通りに加工することができる。
TPSIエラストマは、SIB及びSIBSに関しては、kaneda社によって「Sibstar」(例えば、SIBSに関しては「Sibstar103T」、「Sibstar102T」、「Sibstar073T」又は「Sibstar072T」、或いはSIBに関しては「Sibstar042D」)という名称で商業的に入手可能であり、例えば販売されている。これらについては、例えば、欧州特許第731112号、米国特許第4946899号及び米国特許第5260383号に、その合成と共に記載されている。これらは、まず第1に生物医学用途のために開発されたものであり、その後、医療機器、自動車又は家庭用電気器具の部品、電線の被覆材料、或いは気密性又は弾性部品として変化する、TPSIエラストマに固有の様々な用途が記載されている(例えば、欧州特許第1431343号、欧州特許第1561783号、欧州特許第1566405号及び国際公開第2005/103146号を参照)。
第2の実施形態によれば、TPEIエラストマは、100℃以上のTg(又は適切であればMP)を有する、スチレンモノマー(「TPNSI」と略す)以外の重合性モノマーから形成された熱可塑性ブロックを含むこともできる。このようなモノマーは、以下の化合物及びその混合物から選択することができる。
・ アセナフチレン:当業者であれば、例えば、Z.Fodor及びJ.P.Kennedyによる論文、Polymer Bulletin、1992年、29(6)巻、697〜705ページを参照することができる。
・ 例えば、2−メチルインデン、3−メチルインデン、4−メチルインデン、ジメチルインデンs、2−フェニルインデン、3−フェニルインデン及び4−フェニルインデンなどのインデン及びその誘導体:当業者であれば、例えば、発明者であるKennedy、Puskas、Kaszas及びHagerによる米国特許第4946899号、及び文献:J.E.Puskas、G.Kaszas、J.P.Kennedy及びW.G.Hager著、Journal of Polymer Science、Part A:Polymer Chemistry(1992年)、30巻、41ページ、及びJ.P.Kennedy、N.Meguriya及びB.Keszler著、Macromolecules(1991年)、24(25)巻、6572〜6577ページを参照することができる。
・ その後に複数のトランス−1,4−ポリイソプレンユニット及び分子内過程に従って環化されるユニットの形成をもたらすイソプレン:当業者であれば、例えば、G.Kaszas、J.E.Puskas及びP.Kennedyによる文献、Applied Polymer Science(1990年)、39(1)巻、119〜144ページ、並びにJ.E.Puskas、G.Kaszas及びJ.P.Kennedy著、Macromolecular Science, Chemistry A28(1991年)、65〜80ページを参照することができる。
・ アクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸及びメタクリル酸のエステル、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、アクリロニトリル誘導体、メタクリロニトリル誘導体及びこれらの混合物。さらに具体的には、アクリル酸アダマンチル、クロトン酸アダマンチル、アダマンチルソルベート、4−アクリル酸ビフェニリル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸シアノメチル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸2−シアノブチル、アクリル酸2−シアノヘクシル、アクリル酸2−シアノヘプチル、3,5−ジメチルアクリル酸アダマンチル、3,5−ジメチルクロトン酸アダマンチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ペンタクロロベンジル、アクリル酸ペンタフルオロベンジル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸ペンタフルオロフェニル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸4−(tert−ブチル)チクロヘクシル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸4−(tert−ブチル)フェニル、メタクリル酸4−シアノフェニル、メタクリル酸4−シアノメチフェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3,5−ジメチルアダマンチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸3,3−ジメチルブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸2,3−キシレニル、メタクリル酸2,6−キシレニル、アクリルアミド、N−(sec−ブチル)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N−(1−メチルブチル)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、モルホリルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、N−(tert−ブチル)メタクリルアミド、4−ブトキシカルボニルフェニルメタクリルアミド、4−カルボキシフェニルメタクリルアミド、4−メトキシカルボニルフェニルメタクリルアミド、4−エトキシカルボニルフェニルメタクリルアミド、ブチルシアノクリレート、メチルクロロアクリレート、エチルクロロアクリレート、イソプロピルクロロアクリレート、イソブチルクロロアクリレート、シクロヘキシルクロロアクリレート、メチルフルオロメタクリレート、メチルフェニルアクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びこれらの混合物を挙げることができる。
1つの変形例によれば、100℃以上のTg又は(MP)を有する熱可塑性ブロックを形成するように、スチレンモノマー以外の重合性モノマーを少なくとも1つの他のモノマーと共重合することができる。この態様によれば、熱可塑性ブロックの総ユニット数に対するスチレンモノマー以外の重合性モノマーのモル分率は、100℃以上の、好ましくは130℃以上の、より好ましくは150℃以上の、さらには200℃以上のTg(又はMP)を達成するのに十分でなければならない。この他のコモノマーのモル分率は、0から90%の、より好ましくは0から75%の、さらに好ましくは0から50%の範囲に及ぶこと有利である。
一例として、このスチレンモノマー以外の重合性モノマーと共重合することができる他のモノマーは、4〜14個の炭素原子を有するジエンモノマー、具体的には共役ジエンモノマー、及び8〜20個の炭素原子を有するビニル芳香族タイプのモノマーから選択することができる。
このコモノマーは、4〜14個の炭素原子を有する共役ジエンである場合、熱可塑性ブロックの総ユニット数に対して0から25%の範囲のモル分率を示すことが有利である。本発明の1つの主題による熱可塑性ブロックにおいて使用できる共役ジエンとしては、上述したもの、すなわちイソプレン、ブタジエン、1−メチルブタジエン、2−メチルブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘクサジエン、2−メチル−1,3−ヘクサジエン、3−メチル−1,3−ヘクサジエン、4−メチル−1,3−ヘクサジエン、5−メチル−1,3−ヘクサジエン、2,5−ジメチル−1,3−ヘクサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、1,3−チクロペンタジエン、1,3−チクロヘクサジエン、1−ビニル−1,3−チクロヘクサジエン又はこれらの混合物が適している。
このコモノマーは、ビニル芳香族タイプのものである場合、熱可塑性ブロックの総ユニット数に関して0から90%の、好ましくは0から75%の、さらに好ましくは0から50%の単位分数を示すことが有利である。ビニル芳香族化合物としては、上述したスチレンモノマー、すなわちメチルスチレン、パラ−(tert−ブチル)スチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン又はその他のパラ−ヒドロキシスチレンが特に適している。ビニル芳香族タイプのコモノマーはスチレンであることが好ましい。
インデン及びスチレン誘導体で構成された100℃以上のTgを有する熱可塑性ブロックの調製に使用できるコモノマーの混合物の、実例ではあるが非限定的な例としては、特にパラ−メチルスチレン又はパラ−(tert−ブチル)スチレンを挙げることができる。当業者であれば、文献:J.E.Puskas、G.Kaszas、J.P.Kennedy及びW.G.Hager著、Journal of Polymer Science、Part A: Polymer Chemistry、1992年、30巻、41ページ、又はJ.P.Kennedy、S.Midha及びY.Tsungae著、Macromolecules(1993年)、26巻、429ページを参照することができる。
TPNSI熱可塑性エラストマは、ジブロック共重合体、すなわち熱可塑性ブロック/イソブチレンブロックであることが好ましい。このようなTPNSI熱可塑性エラストマは、トリブロック共重合体、すなわち熱可塑性ブロック/イソブチレンブロック/熱可塑性ブロックであることがさらに好ましい。
I.1.B.2 ポリイソブチレンブロックを含む熱可塑性エラストマに基づく気密性組成物
気密層、又はより一般的にはあらゆる膨張ガスに対して気密性である層としては、上述したようなポリイソブチレンブロックを含む1又はそれ以上の熱可塑性エラストマを有するエラストマ組成物を使用することが好ましい。この組成物の主成分は、この又はこれらのTPEIであり、すなわちこの組成物は、この又はこれらのTPEIを50phr(エラストマ100重量部当たりの重量部)よりも多く含むことが好ましい。
上述した気密層は、任意に(単複の)TPEI以外のエラストマを好ましくは少量(50phr未満)含むこともできる。このような追加のエラストマは、例えば、天然ゴム又は合成ポリイソプレンなどのジエンエラストマ、ブチルゴム、さらには他の飽和スチレン熱可塑性エラストマを、これらの微細構造の適合性の範囲内で含むこともできる。このような場合、気密性組成物におけるTPEIエラストマの含有量は、70phrを上回り、特に80から100phrの範囲内であることが好ましい。
しかしながら、1つの特に好ましい実施形態によれば、(単複の)TPEI、特にSIB又はSIBSは、唯一の熱可塑性エラストマであり、より一般的には、気密層内に存在する唯一のエラストマであり、従ってこのような場合、これらの含有量は100phrに等しい。
上述したTPEI、特にSIB又はSIBSは、空気タイヤに関する気密性というこれらが果たすべき機能にとっては、エラストマ層内で単独で十分なものである。
しかしながら、加工、特に弾性の低下を通じた空気式物品への組み入れ、及び気密層の粘着力の増加を容易にするという役割を有するエキステンダー油(又は可塑化用オイル)を可塑剤としてこのTPEIと組み合わせることも可能である。
エキステンダー油は、エラストマ、特に熱可塑性エラストマを延伸又は可塑化することができる、好ましくは弱極性を有するものを使用することができる。
これらの多少粘性のあるオイルは、特に性質上固体である樹脂とは対照的に、周囲温度(23℃)において液体(すなわち確認までに、最終的に容器の形状をとることができる物質)である。
エキステンダー油は、ポリオレフィン油(すなわち、オレフィン、モノオレフィン又はジオレフィンの重合によって得られるもの)、パラフィン油、ナフテン油(低又は高粘度)、芳香油、鉱油及びこれらの油の混合物から成る群から選択されることが好ましい。
試験した他の油、特にパラフィン系の油に比べて最良の特性妥協点を示したポリブテン油、特にポリイソブチレン(「PIB」と略す)油を使用することが好ましい。
一例として、ポリイソブチレン油は、具体的にはUNIVAR社によって「Dynapak Poly」(例えば「Dynapak Poly190」)という名称で、BASF社によって「Glissopal」(例えば「Glissopal1000」)又は「Oppanol」(例えば「Oppanol B12」)という名称で、及びINEOS Oligomer社によって「Indopol H1200」という名称で販売されている。パラフィン油は、例えば、Exxon社によって「Telura618」という名称で、又はRepsol社によって「Extensol51」という名称で販売されている。
エキステンダー油の(Mnで表す)数平均分子量は、200g/molと25000g/molの間であることが好ましく、300g/molと10000g/molの間であることがさらに好ましい。Mn重量が過度に低いと、オイルが組成物の外部に移動するリスクがあり、一方で重量が過度に高いと、この組成物が硬くなり過ぎる恐れがある。Mn重量は、350g/molと4000g/molの間、特に400g/molと3000g/molの間にあれば、意図する用途、特に空気タイヤでの使用にとって優れた妥協点を生じることが判明する。
エキステンダー油の(Mnで表す)数平均分子量は、約1g/lの濃度のテトラヒドロフランに試料を予め溶解させておき、その後、この溶液を、注入前に有孔率が0.45μmのフィルタを通じてフィルタ処理するSECによって求められる。装置は、「Waters alliance」クロマトグラフィチェーンである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は1ml/分であり、システムの温度は35℃であり、分析時間は30分である。「Styragel HT6E」という名称の2つのWatersコラムの組を使用する。ポリマー試料の溶液の注入量は100μlである。検出器は「Waters2410」示差屈折計であり、そのクロマトグラフィデータを処理するための関連するソフトウェアは「Waters Millenium」システムである。計算した平均分子量を、ポリスチレン標準を用いて形成した較正曲線と比較する。
当業者であれば、以下の説明及び例示的な実施形態に照らして、エキステンダー油の量を気密性エラストマ層の特定の使用条件の関数として、特にこの気密性エラストマ層を使用するように意図された空気タイヤの関数として調整する方法が分かるであろう。
エキステンダー油を使用する場合には、そのエキステンダー含有量が5phrを上回り、特に5phrと100phrの間であることが好ましい。この最小値を下回ると、用途によっては気密層の剛性が高くなり過ぎるリスクがあり、一方で推奨する最大値を越えると、気密層の凝集性が不十分になって気密性が失われ、検討する用途によっては有害となるリスクがある。
これらの理由から、特に空気タイヤにおける気密層の使用では、エキステンダー油の含有量が10phrを上回り、具体的には10phrと90phrの間であり、さらに好ましくは20phrを上回り、具体的には20phrと80phrの間であることが好ましい。
気密層は、板状フィラーを含むこともできる。
板状フィラーを使用すると、エラストマ組成物の弾性を過度に高めることなくその浸透係数を有利に下げる(従って気密性を高める)ことができ、これによって気密層を空気式物品に組み込む容易さを保つことができる。
「板状」フィラーは当業者に周知である。これらは、ブチルゴムに基づく従来の気密層の浸透性を下げるために特に空気タイヤにおいて使用されてきた。これらは、一般にブチルベースの層において、通常は10phr〜15phrを超えない比較的低い含有量で使用されている(例えば、米国特許出願公開第2004/0194863号及び国際公開第2006/047509号を参照)。これらは、TPEIベースの気密層においても使用されており、国際公開第2009/007064号及び国際公開第2011/012529号を参照されたい。
板状フィラーは、一般にいくぶん際だった異方性を有する積層プレート、プレートレット、シート又は薄層の形で設けられる。これらのアスペクト比(A=L/T)は、一般に3よりも大きく、多くの場合に5又は10よりも大きく、Lは、長さ(又は最大寸法)を表し、Tは、これらの板状フィラーの平均厚さを表し、これらの平均は数平均として計算される。アスペクト比は数十に達し、実際には数百に達することが一般的である。これらの平均長さは、1μmを上回る(すなわち、この場合「マイクロメーターサイズの」板状フィラーが使用される)ことが好ましく、通常は数μm(例えば5μm)と数百μm(例えば500μm、実際には800μm)の間である。
本発明に従って使用される板状フィラーは、グラファイト、フィロケイ酸塩及びこのようなフィラーの混合物から成る群から選択されることが好ましい。具体的には、フィロケイ酸塩の中でも、粘土、タルク、マイカ又はカオリンを挙げることができ、これらのフィロケイ酸塩は、例えば表面処理によって改質しないことも、又は改質することも可能であり、このような改質フィロケイ酸塩の例としては、特に酸化チタンで覆われたマイカ又は界面活性剤によって改質された粘土(「オルガノ粘土」)を挙げることができる。
板状フィラーは、表面エネルギーの低い、すなわちグラファイト、タルク、マイカ及びこのようなフィラーの混合物から成る群から選択されたものなどの比較的無極性のものを使用することが好ましく、後者については改質することも、又は改質しないことも可能であり、グラファイト、タルク及びこのようなフィラーの混合物から成る群から選択されることがさらに好ましい。具体的には、グラファイトの中でも、天然グラファイト、膨張グラファイト又は合成グラファイトを挙げることができる。
マイカの例としては、CMMP社によって販売されていマイカ(例えば、Mica−MU(登録商標)、Mica−Soft(登録商標)及びBriomica(登録商標))、Yamaguchi社によって販売されているマイカ(A51S、A41S、SYA−21R、SYA−21RS、A21S及びSYA−41R)、バーミキュライト(特に、CMMP社によって販売されているShawatec(登録商標)バーミキュライト、又はW.R.Grace社によって販売されているMicrolite(登録商標)バーミキュライト)、改質又は処理マイカ(例えば、Merck社によって販売されているIriodin(登録商標)シリーズ)を挙げることができる。グラファイトの例としては、Timcal社によって販売されているグラファイト(Timrex(登録商標)シリーズ)を挙げることができる。タルクの例としては、Luzenac社によって販売されているタルクを挙げることができる。
上述の板状フィラーは、具体的には、エラストマ組成物の2体積%と30体積%の間、好ましくは3体積%と20体積%の間の可変含有量で使用することができる。
これらの板状フィラーは、様々な既知の処理に従って、例えば溶解混合、内部ミキサにおけるバルク混合、又は押し出し混合によってTPEIに導入することができる。
気密層は、例えば、カーボンブラック又はシリカなどの補強フィラー、非補強又は不活性フィラー、上述した以外の可塑剤、酸化防止剤又はオゾン劣化防止剤などの保護剤、UV安定剤、組成物の着色に有利に使用できる着色剤、様々な加工助剤、又はその他の安定剤などの、通常、気密層及び/又は接着層内に存在するような、当業者に周知の様々な添加剤を含むこともできる。
説明した気密層は、その特定の配合によって非常に高い柔軟性及び非常に高い変形性を特徴とする、(23℃において)固体で弾性を有する化合物である。具体的には、1つの好ましい実施形態によれば、この気密層は、10%の伸び率において、2MPa未満の、より好ましくは1.5MPa未満の(特に1MPa未満の)伸張割線係数を有する。この量は、23℃の温度、500mm/分のプルレート(ASTM D412標準)で最初の伸張時に(すなわち、調節サイクルを用いずに)測定し、試験片の初期断面に正規化したものである。
上述した気密層は、0.05mmよりも大きな、より好ましくは0.1mmと10mmの間(例えば、0.2mm〜2mm)の厚みを有することが好ましい。
本発明の実施形態は、特定の適用分野、関連する寸法及び圧力に応じて変化し、この第1の気密層は、実際にはいくつかの好ましい厚み範囲を有すると容易に理解できるであろう。従って、例えば乗用車タイプの空気タイヤでは、これらの気密層は、少なくとも0.3mmの、好ましくは0.5mmと2mmの間の厚みを有することができる。別の例によれば、大型車両又は農業用車両用の空気タイヤでは、この好ましい厚みを1mmと3mmの間とすることができる。別の例によれば、土木分野の車両又は航空機用の空気タイヤでは、この好ましい厚みを2mmと10mmの間とすることができる。
I−2.変形可能な繊維集合体
本発明の1つの態様による接着層の必須要素は、変形可能な繊維集合体で形成すべきである。
この「繊維集合体」という表現は、これらが指向的に分布しているか、それともランダムに分布しているか、その繊維が不織布として2次元的又は3次元的にもつれているか、又は織り合わせられているか、それとも織布として折られているかに関わらず、繊維のウェブ、ラップ又はマットから成るあらゆる工業製品を意味すると理解される。拡大解釈すれば、例えば短繊維を吹き付けることによって生成された繊維のラップ又はマットも含まれる。
「変形可能な繊維集合体」という表現は、繊維を互いに対して容易に摺動できる、従って裂けることなく有意な変形に耐え、少なくとも1方向のみにおいて弱い抵抗を示すあらゆる繊維集合体を意味すると理解される。
これらの繊維は、フィラメント、モノフィラメント又はマルチフィラメント集合体とすることができる。
このような織った又は織っていない繊維集合体の製造方法は、具体的にはニードルパンチング又はフェルトなどの集合体の縮充によって周知である。
この織った又は織っていない変形可能な繊維集合体が存在することにより、硬化中に高圧及び高温下でこれらの2つの組成物を変形可能な繊維集合体に含浸させることにより、空気タイヤの硬化中に気密層と隣接するゴム化合物との間に有意な接着力を生じることが可能になる。
言うまでもなく、この繊維集合体は、集合体の円周方向の変形性が成形を可能にするとともに空気タイヤの走行状態でも変形するように、空気タイヤの製造中に適所に配置しなければならない。
第1の実施形態によれば、この変形可能な繊維集合体が不織布である。
このような不織集合体の繊維は、空気タイヤの製造中に繊維集合体に空気タイヤの成形に従う能力を与えるために、互いに強固に接着してはならない。従って、この本発明の1つの主題による不織布は、通常であれば不織ウェブ又はマットを強固にするように意図される接着製品又はバインダを含まない。
このような不織集合体の1例は、PGI社によってNLC10−501という参照符号で販売されている。これらの繊維は、ポリエステルで作成され、この不織布は、0.3mmの厚み及び50g/m2の坪量を有する。
第2の実施形態によれば、変形可能な繊維集合体が織布であり、その少なくとも1方向における伸張性が60%よりも大きく、好ましくは100%よりも大きい。
このような織布の伸張性は、集合体が空気タイヤの製造中に空気タイヤの成形に従うことを可能にする。この伸張性は、例えば編むことによって繊維を結集させる技術、又は繊維自体を弾性になるように生産する方法に関連することができる。
弾性織布の例には、Milliken社によって2700という参照番号で販売されている、82%のポリアミド6繊維と18%の44dTexポリウレタンとで構成されたニットファブリックがある。
第3の実施形態によれば、この変形可能な繊維集合体が、例えば短繊維、すなわち長さが数ミリメートルから数センチメートルの間の繊維を吹き付けることによって得られる短繊維の2次元マットである。これらの繊維は互いに接着されず、このような集合体は、変形時に事実上全く復元力を発揮しない。
変形可能な集合体の繊維の長さと直径の比率は、20よりも大きいことが好ましく、50よりも大きく、又は100よりも大きいことが非常に好ましい。
変形可能な繊維集合体の繊維は、天然起源の織物繊維、例えば、シルク、コットン、竹、セルロース及びウール繊維、並びにこれらの混合物の群から選択することができる。
ウール繊維集合体の例には、Laoureux社から市販されている「PLB」フェルト及び「MLB」フェルトがある。
変形可能な繊維集合体の繊維は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、炭素、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール繊維、及びこれらの混合物などの合成織物繊維の群から選択することもできる。
これらの繊維集合体は、上述したような全く同じ群又は異なる群からの複数種の繊維でも同様に十分に構成することができる。
エラストマ材料を含浸させる前の変形可能な繊維集合体の単位面積当たり重量又は坪量は、1g/m2よりも大きいことが好ましく、10g/m2よりも大きいことがより好ましく、20g/m2と120g/m2の間であることがさらに好ましい。
変形可能な繊維集合体のこのような低坪量は、圧力下及び高温において、隣接するエラストマ材料による優れた含浸が得られることを可能にする。
含浸前の変形可能な繊維集合体の厚みは、1ミリメートル未満であることが好ましく、500マイクロメートル未満であることが好ましく、200マイクロメートル未満であることが非常に好ましい。これにより、隣接するエラストマによる繊維の良好な含浸が容易になる。この含浸は、空気タイヤの加硫中に、150℃を上回る温度及び10barを上回る圧力で行われる。これにより、隣接するエラストマ材料の空隙を残さない優れた含浸が確実になる。
II.本発明の例示的な実施形態
本発明の1つの主題による接着層を含む気密層は、全てのタイプの車両用の空気タイヤ、具体的には非常に高速で走行することができる乗用車用のタイヤ、又は大型車両などの産業車両用のタイヤで有利に使用することができる。
一例として、単一の添付図に、本発明による乗用車を対象とした空気タイヤの半径方向断面を(特定の寸法通りではなく)非常に概略的に示している。
この図1は直交マーカーを含み、Yは、空気タイヤの回転軸YY’を基準とした軸方向に対応し、Zは、回転軸から空気タイヤのクラウンに向かう半径方向に対応し、Xは、長手方向又は円周方向に対応する。Xは、あらゆる地点においてY及びZの方向に対して垂直である。
この空気タイヤ1は、クラウン補強体又はベルト6によって補強されたクラウン2と、2つのサイドウォール部3と、2つのビード部4とを備え、これらのビード部4の各々は、ビードワイヤ5で補強されている。クラウン2の上側には、この概略図には示していないトレッド部が存在する。各ビード部4内の2つのビードワイヤ5の周囲にはカーカス補強体7が巻かれ、この補強体7の折り返し部8がタイヤ1の外側に向かって位置し、ここではリム9に取り付けられた形で示している。カーカス補強体7は、例えば織物コード又は金属コードなどの「半径方向」コードによって補強された少なくとも1つのプライによってそれ自体周知の方法で構成され、すなわちこれらのコードは事実上互いに平行に位置し、中央円周面(2つのビード部4から中間距離に位置してクラウン補強体6の中央を通る、タイヤの回転軸に垂直な面)との間に80°から90°の間の角度を形成するように一方のビード部から他方のビード部に延びる。
空気タイヤ1は、その内壁が、少なくとも2つの層(10a、10b)を含む多層積層体(10)を有し、この多層積層体(10)は、内部空洞11の側に位置するその第1の層(10a)によって気密性であるとともに、その半径方向最も外側の接着層(10b)によってタイヤの残りの構造(例えば、そのカーカス補強体)に対して接着性を有するようになっている。この接着層は、空気タイヤの成形、並びに走行状態における変形に耐えることができるように、変形可能な繊維集合体から成る。これらの繊維集合体は、好ましい変形方向を有している場合、この好ましい方向が円周方向を向くように空気タイヤ内に位置しなければならない。本発明の1つの好ましい実施形態によれば、2つの層(10a、10b)が、空気タイヤの内壁の実質的に全体を覆い、空気タイヤが装着位置にある時には、一方のサイドウォール部から他方のサイドウォール部に、少なくともリムガターの高さまで延びる。
この例では、(約0.75mmの厚みを有する)層10aが、SIBSエラストマ(スチレン含有量が15%、Tgが約−65℃、及び平均分子量Mnが約90000g/molの「Sibstar 102T」)、28phr(すなわち第1の層の5体積%)の板状フィラー(「Mika−Soft15」)、及び含有重量が約65phrのポリイソブチレンエキステンダー油(「Indopol H1200」)を含む。
層10aは、以下のように調製した。3つの構成要素(SIBS、板状フィラー及び油)を、2軸押出機(L/D=40)を用いて、典型的には組成物の融点(約190℃)よりも高い温度で従来の方法で混合した。使用した押出機は、SIBSのための第1の供給部(ホッパ)と、板状フィラーのための第2の供給部(ホッパ)と、最後にポリイソブチレンエキステンダー油のための加圧液体注入ポンプとを有して、製品を所望の寸法に押し出すことができるダイを備えるものであった。気密層は、220℃の温度で押し出した。
接着層10bは、それ自体、厚みが0.3mm、坪量が50g/m2の、PGI社によって販売されている参照番号NLC10−501の不織ポリエステルファブリックから成る変形可能な繊維集合体であった。
このような上述した2層積層体は、変形可能な繊維集合体上に気密層を直接押し出すことによって容易に生産することができる。従って、これにより、変形可能な繊維集合体が気密層によって部分的に含浸されるようになる。その後、この積層体は、タイヤの製造中に半完成品として使用される。
上述したような2層積層体の別の実施形態は、変形可能な繊維マット又は集合体を形成するために、気密層の輪郭形成要素上に短繊維を吹き付けるものである。
上述したような多層積層体(10)を有するタイヤは、加硫(又は硬化)前に組み立てられる。
第1の実施形態では、この2層積層体を従来の方法で所望の場所において単純に一気に適用し、その後、乗用車用の空気タイヤの場合には、約180℃の設定温度及び15barの圧力で従来通りに加硫を実施する。異なる寸法の空気タイヤを生産する場合には、この温度及び圧力を上げたり又は下げたりすることができる。
当業者にとって考えられる空気タイヤ製造の1つの変形例は、当業者に周知の製造技術によれば、例えば第1のステップ中に気密層(10a)をタイヤ成型ドラム上に直接平らに布設した後に接着層(10b)を好適な厚みの2つの層の形で布設し、その後、このようにして形成された積層体を未硬化状態の空気タイヤの残りの構造で覆うものであろう。
気密層の頂部のタイヤ成型ドラム上の適所に上述したように配置した、選択した参照番号NLC10−501の変形可能な繊維集合体は、その後、空気タイヤの成形及びその後の加硫に関連する応力を難なく受けたことが認められた。
II−1.試験
本発明による積層体の接着性及び気密性は、以下のように特徴付けられる。
積層体の気密性を特徴付けるために、剛性壁浸透計を用いてこれを(本事例では60℃の温度の)オーブン内に配置し、(0から6barの範囲内に較正した)圧力センサを備え付け、空気注入弁を備えた管に接続した。この浸透計は、最大3mm(本事例では0.5mm)に及ぶことができる均一な厚みを有する(例えば、本事例では直径が65mmの)ディスク形の標準的な試験片を受け入れることができる。圧力センサを、National Instruments社のデータ取得カード(0〜10Vのアナログ4チャネル取得)に接続し、これを0.5Hzの周波数(2秒毎に1地点)で連続取得を行うコンピュータに接続する。システムの安定化後の、すなわち圧力が時間の関数として線形的に減少する安定状態達成後の時間の関数として試験した試験片を通じた圧力損失の勾配αを示す線形回帰線(1000地点の平均)から浸透係数(K)を測定する。
硬化後にジエンエラストマ層に、具体的には(素練り)天然ゴム及びカーボンブラックN330(100部の天然ゴム当たり65重量部)に基づくとともに標準的な添加剤(硫黄、促進剤、ZnO、ステアリン酸、酸化防止剤)も含む、空気タイヤのカーカス補強体のための標準的なゴム組成物に付着する気密層の能力を試験するために、接着力試験(剥離試験)も行った。
SIBSエラストマを含む第1のファブリック(1.5mm)と、検討中のジエンブレンドを含む他のファブリック(1.2mm)という2つのカレンダ加工したファブリック間に変形可能な繊維集合体を含む気密性組成物の薄層を積み重ねることと、この変形可能な繊維集合体を含まない気密性組成物の薄層を積み重ねることとによって(180°剥離タイプの)剥離試験片を作成した。薄層の終端部の2つのカレンダ加工したファブリック間に初期クラックを挿入する。
組み立て後に、15barの圧力下で10分間にわたって180℃で試験片を加硫処理した。これらの条件は、空気タイヤの硬化を表すものである。切断機を用いて、30mm幅のストリップを切り取った。その後、Instron(登録商標)引張試験機の顎部に、初期クラックの2つの側を配置した。この試験は、周囲温度において100mm/分の速度で行われる。引張応力を記録し、試験片の幅に対して標準化する。引張試験機の可動クロスヘッド部の変位(0〜200mm)の関数としての幅単位当たりの力の曲線(M/mm)を取得する。選択された接着値は、試験片内の破損の開始に、従ってこの曲線の最大値に対応する。
II−2.実験的試験
(上述した組成を有する)SIBSエラストマを含む気密性組成物を上述したように準備した。剥離試験用及び気密性試験用の2つのタイプの試験片を作成し、第1のE−1は、2つのカレンダー加工したファブリック間に気密層を1つのみ有し、第2のE−2は、気密層とカレンダー加工したファブリックの天然ゴムベースのカレンダ加工物との間に配置された変形可能な繊維集合体(PGI社から市販されている参照番号NLC10−501のポリエステル不織)をさらに有する。
表1に、E−1試験片の値を100とした結果を示す。
Figure 2015535503
変形可能な繊維集合体に基づく接着層を使用することにより、気密層と天然ゴム組成物の間の接着力を5倍よりも大きく、又は多くの事例でそれよりも大きく改善できることが分かった。
従って、変形可能な繊維集合体が存在することにより、積層体の気密性も大幅に改善できることが分かった。
1 空気タイヤ
2 クラウン
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードワイヤ
6 クラウン補強体
7 カーカス補強体
8 折り返し部
9 リム
10 多層積層体
10a 層
10b 層
11 内部空洞

Claims (15)

  1. 外側のゴム製トレッド部及びクラウン補強体を含むクラウンと、カーカス補強体と、該カーカス補強体に対して内側に位置する気密層と、該気密層に隣接して前記カーカス補強体と前記気密層との間に位置する接着層とを備えた空気タイヤであって、前記接着層は、変形可能な繊維集合体で構成される、
    ことを特徴とする空気タイヤ。
  2. 前記変形可能な繊維集合体は不織布である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  3. 前記変形可能な繊維集合体は、短繊維の2次元スタックで構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  4. 前記変形可能な繊維集合体は織布であり、前記空気タイヤの少なくとも円周方向における前記織布の伸張率は60%よりも大きい、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  5. 前記変形可能な繊維集合体の繊維は、天然織物繊維、合成織物繊維及びこれらの混合物から成る群から選択される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  6. 前記繊維は、シルク、コットン及びウール繊維から成る群から選択された繊維を含む、
    ことを特徴とする請求項5に記載の空気タイヤ。
  7. 前記繊維は、セルロース、ポリアミド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエステル及びポリ塩化ビニルの繊維から成る群から選択された繊維を含む、
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の空気タイヤ。
  8. 前記変形可能な繊維集合体の坪量は、20g/m2と120g/m2の間である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  9. 前記変形可能な繊維集合体は、200マイクロメートル未満の厚みを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  10. 前記気密層は、ポリイソブチレンブロック及び熱可塑性ブロックを含む熱可塑性エラストマ(TPEIエラストマ)に基づく、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  11. 前記TPEIエラストマは、スチレン/イソブチレン共重合体、スチレン/イソブチレン/スチレン(「SIBS」と略す)共重合体、及びこれらの共重合体の混合物から成る群から選択される、
    ことを特徴とする請求項10に記載の空気タイヤ。
  12. 前記気密層は、ブチルゴムに基づく、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気タイヤ。
  13. 外側のゴム製トレッド部及びクラウン補強体を含むクラウンと、カーカス補強体と、該カーカス補強体に対して半径方向内側の気密層とを備えた空気タイヤの製造方法であって、
    − 前記空気タイヤの製造中に、前記気密層に隣接して前記カーカス補強体と前記気密層の間に位置する、変形可能な繊維集合体で構成された接着層を前記空気タイヤに組み込むステップと、その後、
    − 前記空気タイヤを圧力下において高温で加硫処理するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  14. 前記気密層をタイヤ成型ドラム上に平らに堆積させた後に、前記ドラム上に前記変形可能な繊維集合体を配置する、
    ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記気密層をタイヤ成型ドラム上に平らに堆積させる前に、積層体を形成するために前記気密層上に変形可能な繊維集合体を堆積させる、
    ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
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