以下、本発明に係る好適な実施の形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明の唯一の実施の形態を示すためのものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、このような具体的な細部事項なしにも本発明を実施可能であるということが当業者には理解される。
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、特別な言及がない限り、選択的なものと考慮することができる。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合していない形態で実施されてもよく、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
以下の説明で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更してもよい。
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置を省略したり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示することもできる。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
本発明の実施例は、無線アクセスシステムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTE及びLTE−A(LTE−Advanced)システム、並びに3GPP2システムの少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省いた段階又は部分は、上記の文書によって裏付けることができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
以下の技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)などのような様々な無線アクセスシステムに用いることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM(登録商標) Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。明確性のために、以下では3GPP LTE及び3GPP LTE−Aシステムを中心に説明するが、本発明の技術的思想がこれに制限されるものではない。
WLANシステムの構造
図1は、本発明を適用し得るIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。
IEEE 802.11構造は複数個の構成要素を含むことができ、それら構成要素の相互作用によって上位層に対してトランスペアレントなSTA移動性を支援するWLANを提供することができる。基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)はIEEE 802.11 LANにおける基本的な構成ブロックに該当し得る。図1では、2個のBSS(BSS1及びBSS2)が存在し、それぞれのBSSのメンバーとして2個のSTAが含まれること(STA1及びSTA2はBSS1に含まれ、STA3及びSTA4はBSS2に含まれる)を例示的に示している。図1で、BSSを示す楕円は、当該BSSに含まれたSTAが通信を維持するカバレッジ領域を示すものと理解してもよい。この領域をBSA(Basic Service Area)と称することができる。STAがBSAの外へ移動すると、当該BSA内の他のSTAと直接通信できなくなる。
IEEE 802.11 LANにおいて最も基本的なタイプのBSSは、独立したBSS(Independent BSS;IBSS)である。例えば、IBSSは、2個のSTAのみで構成された最小の形態を有することができる。また、最も単純な形態であるとともに他の構成要素が省略されている図1のBSS(BSS1又はBSS2)がIBSSの代表的な例示に該当する。このような構成は、STA同士が直接通信できる場合に可能である。また、このような形態のLANは、あらかじめ計画して構成されるものではなく、LANが必要とされる場合に構成され、これをアド−ホック(ad−hoc)ネットワークと呼ぶこともできる。
STAの電源オン/オフ、STAのBSS領域への入/出などによって、BSSにおいてSTAのメンバーシップが動的に変更されてもよい。BSSのメンバーになるためには、STAは同期化過程を用いてBSSにジョインすればよい。BSSベース構造の全てのサービスにアクセスするためには、STAはBSSに連携しなければならない。このような連携(association)は動的に設定され、分配システムサービス(Distribution System Service;DSS)の利用を含んでもよい。
図2は、本発明を適用し得るIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。図2は、図1の構造において、分配システム(Distribution System;DS)、分配システム媒体(Distribution System Medium;DSM)、アクセスポイント(Access Point;AP)などの構成要素が追加された形態である。
LANにおいて直接的なステーション−対−ステーションの距離はPHY性能によって制限されることがある。このような距離の限界が充分な場合もあれば、より遠い距離のステーション間の通信が必要な場合もある。拡張されたカバレッジを支援するために分配システム(DS)を構成することができる。
DSは、BSS同士が相互接続される構造を意味する。具体的に、図1のようにBSSが独立して存在する代わりに、複数個のBSSで構成されたネットワークの拡張された形態の構成要素としてBSSが存在してもよい。
DSは論理的な概念であり、分配システム媒体(DSM)の特性によって特定することができる。これと関連して、IEEE 802.11標準では無線媒体(Wireless Medium;WM)と分配システム媒体(DSM)とを論理的に区別している。それぞれの論理的媒体は、互いに異なる目的のために使用され、互いに異なる構成要素によって使用される。IEEE 802.11標準の定義では、このような媒体を互いに同一なものとも、互いに異なるものとも制限しない。このように複数個の媒体が論理的に互いに異なるという点で、IEEE 802.11 LAN構造(DS構造又は他のネットワーク構造)の柔軟性を説明することができる。すなわち、IEEE 802.11 LAN構造は様々に具現することができ、それぞれの具現例の物理的な特性によって独立的に当該LAN構造を特定することができる。
DSは複数個のBSSのシームレス(seamless)な統合を提供し、あて先へのアドレスを扱うために必要な論理的サービスを提供することによって移動機器を支援することができる。
APとは、連携されているSTAに対してWMを通してDSへのアクセスを可能にし、且つSTA機能性を有するエンティティを意味する。APを介してBSS及びDS間のデータ移動を行うことができる。例えば、図2に示すSTA2及びSTA3は、STAの機能性を有するとともに、連携されているSTA(STA1及びSTA4)をDSにアクセスさせる機能を持つ。また、いかなるAPも基本的にSTAに該当するため、APはいずれもアドレス可能なエンティティである。WM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスとDSM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスは必ずしも同一である必要はない。
APに連携されているSTAのいずれか一つから当該APのSTAアドレスに送信されるデータは、常に非制御ポート(uncontrolled port)で受信され、IEEE 802.1Xポートアクセス個体によって処理されてもよい。また、制御ポート(controlled port)が認証されると、送信データ(又は、フレーム)はDSに伝達されてもよい。
図3は、本発明を適用し得るIEEE 802.11システムのさらに他の例示的な構造を示す図である。図3では、図2の構造にさらに広いカバレッジを提供するための拡張されたサービスセット(Extended Service Set;ESS)を概念的に示す。
任意の(arbitrary)大きさ及び複雑度を有する無線ネットワークがDS及びBSSで構成されてもよい。IEEE 802.11システムではこのような方式のネットワークをESSネットワークと称する。ESSは、一つのDSに接続されたBSSの集合に該当し得る。しかし、ESSはDSを含まない。ESSネットワークはLLC(Logical Link Control)層でIBSSネットワークとして見える点に特徴がある。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、移動STAはLLCにトランスペアレントに一つのBSSから他のBSSに(同一ESS内で)移動することができる。
IEEE 802.11では、図3におけるBSSの相対的な物理的位置について何ら仮定しておらず、次のようないずれの形態も可能である。BSSは部分的に重なってもよく、これは、連続したカバレッジを提供するために一般に用いられている形態である。また、BSSは物理的に接続していなくてもよく、論理的にはBSS同士間の距離に制限はない。また、BSS同士は物理的に同一位置に位置してもよく、これはリダンダンシーを提供するために用いることができる。また、一つ(又は、一つ以上の)IBSS又はESSネットワークが一つ(又は、一つ以上の)ESSネットワークとして同一空間に物理的に存在してもよい。これは、ESSネットワークが存在する位置にアド−ホックネットワークが動作する場合、互いに異なる機関(organizations)によって物理的に重なるIEEE 802.11ネットワークが構成される場合、又は、同一位置で2つ以上の互いに異なるアクセス及び保安政策が必要な場合などにおける、ESSネットワーク形態に該当し得る。
図4は、無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。図4では、DSを含む基盤構造BSSの一例が示されている。
図4の例示で、BSS1及びBSS2がESSを構成する。無線LANシステムにおいてSTAはIEEE 802.11のMAC/PHY規定に従って動作する機器である。STAはAP STA及び非−AP(non−AP)STAを含む。Non−AP STAは、ラップトップコンピュータ、移動電話機のように、一般に、ユーザが直接扱う機器に該当する。図4の例示で、STA1、STA3、STA4はnon−AP STAに該当し、STA2及びSTA5はAP STAに該当する。
以下の説明で、non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動端末(Mobile Terminal)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などと呼ぶこともできる。また、APは、他の無線通信分野における基地局(Base Station;BS)、ノード−B(Node−B)、発展したノード−B(evolved Node−B;eNB)、基底送受信システム(Base Transceiver System;BTS)、フェムト基地局(Femto BS)などに対応する概念である。
リンクセットアップ過程
図5は、一般のリンクセットアップ(link setup)過程を説明するための図である。
STAがネットワークに対してリンクをセットアップし、データを送受信するためには、まず、ネットワークを発見(discovery)し、認証(authentication)を行い、連携(association)を確立(establish)し、保安(security)のための認証手順などを行わなければならない。リンクセットアップ過程をセッション開始過程、セッションセットアップ過程と呼ぶこともできる。また、リンクセットアップ過程における発見、認証、連携、保安設定の過程を総称して連携過程と呼ぶこともできる。
図5を参照して例示的なリンクセットアップ過程について説明する。
段階S510で、STAはネットワーク発見動作を行うことができる。ネットワーク発見動作はSTAのスキャニング(scanning)動作を含むことができる。すなわち、STAがネットワークにアクセスするためには、参加可能なネットワークを探さなければならない。STAは無線ネットワークに参加する前に、互換可能なネットワークを識別しなければならないが、特定領域に存在するネットワーク識別過程をスキャニングという。
スキャニング方式には、能動的スキャニング(active scanning)と受動的スキャニング(passive scanning)がある。
図5では例示として能動的スキャニング過程を含むネットワーク発見動作を示す。能動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながら周辺にどのAPが存在するかを探索するためにプローブ要請フレーム(probe request frame)を送信し、それに対する応答を待つ。応答者(responder)は、プローブ要請フレームを送信したSTAに、プローブ要請フレームに対する応答としてプローブ応答フレーム(probe response frame)を送信する。ここで、応答者は、スキャニングされているチャネルのBSSで最後にビーコンフレーム(beacon frame)を送信したSTAであってもよい。BSSでは、APがビーコンフレームを送信するため、APが応答者となり、IBSSでは、IBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信するため、応答者が一定でない。例えば、1番チャネルでプローブ要請フレームを送信し、1番チャネルでプローブ応答フレームを受信したSTAは、受信したプローブ応答フレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネル(例えば、2番チャネル)に移動して同一の方法でスキャニング(すなわち、2番チャネル上でプローブ要請/応答の送受信)を行うことができる。
図5には示していないが、スキャニング動作は受動的スキャニング方式で行われてもよい。受動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながらビーコンフレームを待つ。ビーコンフレームは、IEEE 802.11において管理フレーム(management frame)の一つであり、無線ネットワークの存在を知らせ、スキャニングを行うSTAが無線ネットワークを探して無線ネットワークに参加できるように、周期的に送信される。BSSでAPがビーコンフレームを周期的に送信する役割を担い、IBSSではIBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信する。スキャニングを行うSTAはビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに含まれたBSSに関する情報を保存し、他のチャネルに移動しながら各チャネルでビーコンフレーム情報を記録する。ビーコンフレームを受信したSTAは、受信したビーコンフレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネルに移動して同一の方法で次のチャネルでスキャニングを行うことができる。
能動的スキャニングと受動的スキャニングとを比較すれば、能動的スキャニングが受動的スキャニングに比べてディレイ(delay)及び電力消耗が小さいという利点がある。
STAがネットワークを発見した後に、段階S520で認証過程を行うことができる。このような認証過程は、後述する段階S540の保安セットアップ動作と明確に区別するために、第1の認証(first authentication)過程と呼ぶことができる。
認証過程は、STAが認証要請フレーム(authentication request frame)をAPに送信し、これに応答してAPが認証応答フレーム(authentication response frame)をSTAに送信する過程を含む。認証要請/応答に用いられる認証フレーム(authentication frame)は管理フレームに該当する。
認証フレームは、認証アルゴリズム番号(authentication algorithm number)、認証トランザクションシーケンス番号(authentication transaction sequence number)、状態コード(status code)、検問テキスト(challenge text)、RSN(Robust Security Network)、有限循環グループ(Finite Cyclic Group)などに関する情報を含むことができる。これは、認証要請/応答フレームに含み得る情報の一例示に過ぎず、他の情報に置き換わったり、追加の情報がさらに含まれたりしてもよい。
STAは認証要請フレームをAPに送信することができる。APは、受信した認証要請フレームに含まれた情報に基づいて、当該STAに対する認証を許容するか否かを決定することができる。APは認証処理の結果を認証応答フレームを介してSTAに提供することができる。
STAが成功的に認証された後に、段階S530で連携過程を行うことができる。連携過程は、STAが連携要請フレーム(association request frame)をAPに送信し、それに応答してAPが連携応答フレーム(association response frame)をSTAに送信する過程を含む。
例えば、連携要請フレームは、様々な能力(capability)に関する情報、ビーコン聴取間隔(listen interval)、SSID(service set identifier)、支援レート(supported rates)、支援チャネル(supported channels)、RSN、移動性ドメイン、支援オペレーティングクラス(supported operating classes)、TIM放送要請(Traffic Indication Map Broadcast request)、相互動作(interworking)サービス能力などに関する情報を含むことができる。
例えば、連携応答フレームは、様々な能力に関する情報、状態コード、AID(Association ID)、支援レート、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセット、RCPI(Received Channel Power Indicator)、RSNI(Received Signal to Noise Indicator)、移動性ドメイン、タイムアウト間隔(連携カムバック時間(association comeback time))、重畳(overlapping)BSSスキャンパラメータ、TIM放送応答、QoSマップなどの情報を含むことができる。
これは連携要請/応答フレームに含み得る情報の一例に過ぎず、他の情報に置き換わったり、追加の情報がさらに含まれたりしてもよい。
STAがネットワークに成功的に連携された後に、段階S540で保安セットアップ過程を行うことができる。段階S540の保安セットアップ過程は、RSNA(Robust Security Network Association)要請/応答を用いた認証過程ということもでき、上記の段階S520の認証過程を第1の認証(first authentication)過程とし、段階S540の保安セットアップ過程を単純に認証過程と呼ぶこともできる。
段階S540の保安セットアップ過程は、例えば、EAPOL(Extensible Authentication Protocol over LAN)フレームを介した4−ウェイ(way)ハンドシェーキングを通じて、プライベートキーセットアップ(private key setup)をする過程を含むことができる。また、保安セットアップ過程は、IEEE 802.11標準で定義しない保安方式によって行われてもよい。
WLANの進化
無線LANで通信速度の限界を克服するために比較的最近に制定された技術標準としてIEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nは、ネットワークの速度と信頼性を増大させ、且つ無線ネットワークの運営距離を拡張することに目的がある。より具体的に、IEEE 802.11nは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援し、送信エラーを最小化し、且つデータ速度を最適化するために、送信端、受信端の両方とも多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基づいている。
無線LANの普及が活性化され、さらにそれを用いたアプリケーションが多様化するに伴って、最近ではIEEE 802.11nが支援するデータ処理速度よりも高い処理率を支援するための新しい無線LANシステムの必要性が台頭している。超高処理率(Very High Throughput;VHT)を支援する次世代無線LANシステムは、IEEE 802.11n無線LANシステムの次のバージョン(例えば、IEEE 802.11ac)であり、MACサービスアクセスポイント(Service Access Point;SAP)で1Gbps以上のデータ処理速度を支援するために最近に新しく提案されているIEEE 802.11無線LANシステムの一つである。
次世代無線LANシステムは、無線チャネルを效率的に用いるために複数のSTAが同時にチャネルにアクセスするMU−MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)方式の送信を支援する。MU−MIMO送信方式によれば、APが、MIMOペアリング(pairing)された一つ以上のSTAに同時にパケットを送信することができる。
また、ホワイトスペース(white space)で無線LANシステム動作を支援することが議論されている。例えば、アナログTVのデジタル化による遊休状態の周波数帯域(例えば、54〜698MHz帯域)のようなTVホワイトスペース(TVWS)での無線LANシステムの導入は、IEEE 802.11af標準として議論されている。しかし、これは例示に過ぎず、ホワイトスペースは、許可されたユーザ(licensed user)が優先して使用できる許可された帯域といえる。許可されたユーザは、許可された帯域の使用が許可されたユーザのことを意味し、許可された装置(licensed device)、プライマリユーザ(primary user)、優先的ユーザ(incumbent user)などと呼ぶこともできる。
例えば、WSで動作するAP及び/又はSTAは、許可されたユーザに対する保護(protection)機能を提供しなければならない。例えば、WS帯域で特定帯域幅を有するように規約(regulation)上分割されている周波数帯域である特定WSチャネルを、マイクロホン(microphone)のような許可されたユーザが既に使用している場合、許可されたユーザを保護するために、AP及び/又はSTAは当該WSチャネルに該当する周波数帯域は使用することができない。また、AP及び/又はSTAは、現在フレーム送信及び/又は受信のために使用している周波数帯域を許可されたユーザが使用するようになると、当該周波数帯域の使用を中止しなければならない。
このため、AP及び/又はSTAは、WS帯域における特定周波数帯域の使用が可能か否か、すなわち、当該周波数帯域に許可されたユーザが存在するか否かを把握する手順を先行しなければならない。許可されたユーザが特定周波数帯域に存在するか否かを把握することをスペクトルセンシング(spectrum sensing)という。スペクトルセンシングメカニズムとして、エネルギー探知(energy detection)方式、信号探知(signature detection)方式などが活用される。受信信号の強度が一定値以上であれば、許可されたユーザが使用中であると判断したり、DTVプリアンブル(preamble)が検出されると、許可されたユーザが使用中であると判断したりすることができる。
また、次世代通信技術としてM2M(Machine−to−Machine)通信技術が議論されている。IEEE 802.11無線LANシステムでもM2M通信を支援するための技術標準がIEEE 802.11ahとして開発されている。M2M通信は、一つ以上のマシン(Machine)が含まれる通信方式を意味し、MTC(Machine Type Communication)又は事物通信と呼ぶこともできる。ここで、マシンとは、人間の直接的な操作や介入を必要としないエンティティ(entity)を意味する。例えば、無線通信モジュールが搭載された検針機(meter)や自動販売機のような装置を含めて、ユーザの操作/介入無しで自動でネットワークに接続して通信を行うことができるスマートフォンのようなユーザ機器もマシンの例示に該当し得る。M2M通信は、デバイス間の通信(例えば、D2D(Device−to−Device)通信)、デバイスとサーバー(application server)間の通信などを含むことができる。デバイスとサーバー間の通信の例示としては、自動販売機とサーバー、POS(Point of Sale)装置とサーバー、電気、ガス又は水道検針機とサーバー間の通信が挙げられる。その他にも、M2M通信ベースのアプリケーション(application)には、保安(security)、運送(transportation)、ヘルスケア(health care)などが含まれてもよい。このような適用例の特性を考慮すると、一般に、M2M通信は、数多くの機器が存在する環境でたまに少量のデータを低速で送受信することを支援できるものでなければならない。
具体的に、M2M通信は多数のSTAを支援できるものでなければならない。現在定義されている無線LANシステムでは、一つのAPに最大2007個のSTAが連携される場合を仮定するが、M2M通信ではそれよりも多い個数(約6000個)のSTAが一つのAPに連携される場合を支援する方案が議論されている。また、M2M通信では低い送信速度を支援/要求するアプリケーションが多いと予想される。これを円滑に支援するために、例えば、無線LANシステムでは、TIM(Traffic Indication Map)要素に基づいてSTAが自身に送信されるデータの有無を認知できるが、TIMのビットマップサイズを減らす方案が議論されている。また、M2M通信では送信/受信間隔が非常に長いトラフィックが多いと予想される。例えば、電気/ガス/水道の使用量のように長い周期(例えば、1ケ月)ごとに大変少ない量のデータをやり取りすることが要求される。そのため、無線LANシステムでは、一つのAPに連携され得るSTAの個数が非常に多くなっても、一つのビーコン周期の間にAPから受信するデータフレームが存在するSTAの個数が大変少ない場合を效率的に支援する方案が議論されている。
このように無線LAN技術は急速に進化しつつあり、前述の例示に加えて、直接リンクセットアップ、メディアストリーミング性能の改善、高速及び/又は大規模の初期セッションセットアップの支援、拡張された帯域幅及び動作周波数の支援などのための技術が開発されている。
媒体アクセスメカニズム
IEEE 802.11に基づく無線LANシステムにおいて、MAC(Medium Access Control)の基本アクセスメカニズムは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)メカニズムである。CSMA/CAメカニズムは、IEEE 802.11 MACの分配調整機能(Distributed Coordination Function、DCF)とも呼ばれるが、基本的に「listen before talk」アクセスメカニズムを採用している。このような類型のアクセスメカニズムによれば、AP及び/又はSTAは送信を開始するに先立ち、所定の時間区間(例えば、DIFS(DCF Inter−Frame Space)の間に無線チャネル又は媒体(medium)をセンシング(sensing)するCCA(Clear Channel Assessment)を行うことができる。センシングの結果、媒体が遊休状態(idle status)と判断されると、当該媒体を通してフレーム送信を始める。一方、媒体が占有状態(occupied status)と感知されると、当該AP及び/又はSTAは自身の送信を開始せず、媒体アクセスのための遅延期間(例えば、任意バックオフ周期(random backoff period))を設定して待った後、フレーム送信を試みることができる。任意バックオフ周期の適用から、複数のSTAはそれぞれ異なった時間待った後にフレーム送信を試みると期待されるため、衝突(collision)を最小化することができる。
また、IEEE 802.11 MACプロトコルはHCF(Hybrid Coordination Function)を提供する。HCFはDCFとPCF(Point Coordination Function)に基づく。PCFは、ポーリング(polling)ベースの同期式アクセス方式で、全ての受信AP及び/又はSTAがデータフレームを受信できるように周期的にポーリングする方式のことをいう。また、HCFは、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)とHCCA(HCF Controlled Channel Access)を有する。EDCAは、提供者が複数のユーザにデータフレームを提供するためのアクセス方式を競合ベースとするものであり、HCCAは、ポーリングメカニズムを用いた非競合ベースのチャネルアクセス方式を用いるものである。また、HCFは、WLANのQoS(Quality of Service)を向上させるための媒体アクセスメカニズムを含み、競合周期(Contention Period;CP)、非競合周期(Contention Free Period;CFP)のいずれにおいてもQoSデータを送信することができる。
図6は、バックオフ過程を説明するための図である。
図6を参照して任意バックオフ周期に基づく動作について説明する。占有(occupy又はbusy)状態だった媒体が遊休(idle)状態に変更されると、複数のSTAはデータ(又はフレーム)送信を試みることができる。このとき、衝突を最小化するための方案として、STAはそれぞれ任意バックオフカウントを選択し、それに該当するスロット時間だけ待機した後、送信を試みることができる。任意バックオフカウントは、擬似−任意整数(pseudo−random integer)値を有し、0乃至CW範囲の値のいずれか一つに決定され得る。ここで、CWは、競合ウィンドウ(Contention Window)パラメータ値である。CWパラメータは初期値としてCWminが与えられるが、送信失敗の場合(例えば、送信されたフレームに対するACKを受信できなかった場合)に2倍の値を取ることができる。CWパラメータ値がCWmaxになると、データ送信に成功するまでCWmax値を維持しながらデータ送信を試みることができ、データ送信に成功する場合にはCWmin値にリセットされる。CW、CWmin及びCWmax値は2n−1(n=0,1,2,…)に設定されることが好ましい。
任意バックオフ過程が始まると、STAは、決定されたバックオフカウント値によってバックオフスロットをカウントダウンする間に続けて媒体をモニタする。媒体が占有状態とモニタされるとカウントダウンを止めて待機し、媒体が遊休状態になると残りのカウントダウンを再開する。
図6の例示で、STA3のMACに送信するパケットが到達した場合に、STA3はDIFSだけ媒体が遊休状態であることを確認し、直ちにフレームを送信することができる。一方、残りのSTAは、媒体が占有(busy)状態であることをモニタして待機する。その間にSTA1、STA2及びSTA5のそれぞれでも送信するデータが発生することがあり、それぞれのSTAは、媒体が遊休状態とモニタされると、DIFSだけ待機した後に、それぞれ選択した任意バックオフカウント値によってバックオフスロットのカウントダウンを行うことができる。図6の例示では、STA2が最も小さいバックオフカウント値を選択し、STA1が最も大きいバックオフカウント値を選択した場合を示す。すなわち、STA2がバックオフカウントを終えてフレーム送信を始める時点でSTA5の残余バックオフ時間はSTA1の残余バックオフ時間よりも短い場合を例示する。STA1及びSTA5は、STA2が媒体を占有する間に暫くカウントダウンを止めて待機する。STA2の占有が終了して媒体が再び遊休状態になると、STA1及びSTA5はDIFSだけ待機した後に、止めていたバックオフカウントを再開する。すなわち、残余バックオフ時間だけの余りのバックオフスロットをカウントダウンした後にフレーム送信を始めることができる。STA5の残余バックオフ時間がSTA1よりも短かったため、STA5がフレーム送信を始めるようになる。一方、STA2が媒体を占有する間にSTA4でも送信するデータが発生しうる。このとき、STA4の立場では、媒体が遊休状態になるとDIFSだけ待機した後、自身が選択した任意バックオフカウント値によるカウントダウンを行ってフレーム送信を始めることができる。図6の例示では、STA5の残余バックオフ時間がSTA4の任意バックオフカウント値と偶然に一致する場合を示し、この場合、STA4とSTA5間に衝突が発生しうる。衝突が発生する場合はSTA4、STA5両方ともACKを受けることができず、データ送信に失敗することになる。この場合、STA4とSTA5はCW値を2倍に増やした後に任意バックオフカウント値を選択してカウントダウンを行うことができる。一方、STA1は、STA4とSTA5の送信によって媒体が占有状態である間に待機しているが、媒体が遊休状態になると、DIFSだけ待機した後、残余バックオフ時間が経過するとフレーム送信を開始することができる。
STAのセンシング動作
前述したように、CSMA/CAメカニズムは、AP及び/又はSTAが媒体を直接センシングする物理的キャリアセンシング(physical carrier sensing)の他、仮想キャリアセンシング(virtual carrier sensing)も含む。仮想キャリアセンシングは、隠れたノード問題(hidden node problem)などのように媒体アクセスで発生しうる問題を補完するために用いられる。仮想キャリアセンシングのために、無線LANシステムのMACはネットワーク割当てベクトル(Network Allocation Vector;NAV)を用いることができる。NAVは、現在媒体を利用していたり又は利用する権限のあるAP及び/又はSTAが、媒体を使用可能な状態になるまで残っている時間を、他のAP及び/又はSTAに示す(indicate)値である。したがって、NAVに設定された値は、当該フレームを送信するAP及び/又はSTAによって媒体の利用が予定されている期間に該当し、NAV値を受信するSTAは、当該期間において媒体アクセスが禁止される。NAVは、例えば、フレームのMACヘッダ(header)の「duration」フィールドの値によって設定されてもよい。
また、衝突可能性を低減するために堅牢な衝突検出(robust collision detect)メカニズムが導入された。これについて図7及び図8を参照して説明する。実際にキャリアセンシング範囲と送信範囲は同一でなくてもよいが、説明の便宜のために両者は同一であると仮定する。
図7は、隠れたノード及び露出されたノードを説明するための図である。
図7(a)は、隠れたノードに対する例示であり、STA AとSTA Bとが通信中にあり、STA Cが送信する情報を持っている場合である。具体的に、STA AがSTA Bに情報を送信している状況であるにもかかわらず、STA CがSTA Bにデータを送る前にキャリアセンシングを行う際、媒体が遊休状態にあると判断することがある。これは、STA Aの送信(すなわち、媒体占有)をSTA Cの位置ではセンシングできないこともあるためである。このような場合、STA BはSTA AとSTA Cの情報を同時に受け、衝突が発生することになる。このとき、STA AをSTA Cの隠れたノードということができる。
図7(b)は、露出されたノード(exposed node)の例示であり、STA BがSTA Aにデータを送信している状況で、STA CがSTA Dに送信する情報を持っている場合である。この場合、STA Cがキャリアセンシングを行うと、STA Bの送信によって媒体が占有された状態であると判断することができる。そのため、STA CがSTA Dに送信する情報を持っていても、媒体占有状態とセンシングされたため、媒体が遊休状態になるまで待たなければならない。しかし、実際にはSTA AはSTA Cの送信範囲外にあるため、STA Cからの送信とSTA Bからの送信とがSTA Aの立場では衝突しないこともあり、こり場合、STA Cは、STA Bが送信を止めるまで余計に待機することになる。このとき、STA CをSTA Bの露出されたノードということができる。
図8は、RTSとCTSを説明するための図である。
図7のような例示的な状況で衝突回避(collision avoidance)メカニズムを效率的に用いるために、RTS(request to send)とCTS(clear to send)などの短いシグナリングパケット(short signaling packet)を用いることができる。両STA間のRTS/CTSは周囲のSTAがオーバーヒヤリング(overhearing)できるようにし、この周囲のSTAが上記両STA間の情報送信の有無を考慮するようにすることができる。例えば、データを送信しようとするSTAがデータを受けるSTAにRTSフレームを送信すると、データを受けるSTAは、CTSフレームを周囲の端末に送信することによって、自身がデータを受けることを知らせることができる。
図8(a)は、隠れたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA CがいずれもSTA Bにデータを送信しようとする場合を仮定する。STA AがRTSをSTA Bに送ると、STA BはCTSを自身の周囲にあるSTA A及びSTA Cの両方に送信する。その結果、STA CはSTA AとSTA Bのデータ送信が終わるまで待機し、衝突を避けることができる。
図8(b)は、露出されたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA B間のRTS/CTS送信をSTA Cがオーバーヒヤリングすることによって、STA Cは、自身が他のSTA(例えば、STA D)にデータを送信しても衝突が発生しないと判断することができる。すなわち、STA Bは周囲の全てのSTAにRTSを送信し、実際に送るデータを持っているSTA AのみがCTSを送信するようになる。STA Cは、RTSのみを受信し、STA AのCTSは受信できなかったため、STA AがSTA Cのキャリアセンシング外にあるということがわかる。
電力管理
前述したように、無線LANシステムではSTAが送受信を行う前にチャネルセンシングを行わなければならないが、チャネルを常にセンシングすることはSTAの持続的な電力消耗を引き起こす。受信状態での電力消耗は送信状態での電力消耗と大差がないため、受信状態を持続することも、電力の制限された(すなわち、バッテリーによって動作する)STAには大きな負担となる。したがって、STAが持続的にチャネルをセンシングするために受信待機状態を維持すると、無線LAN処理率の側面で特別な利点もなく電力を非効率的に消耗することになる。このような問題点を解決するために、無線LANシステムではSTAの電力管理(power management;PM)モードを支援する。
STAの電力管理モードは、アクティブ(active)モード及び節電(power save;PS)モードに区別される。STAは基本的にアクティブモードで動作する。アクティブモードで動作するSTAは、アウェイク状態(awake state)を維持する。アウェイク状態は、フレーム送受信やチャネルスキャニングなどの正常動作が可能な状態である。一方、PSモードで動作するSTAは、スリープ状態(sleep state)(又はドーズ(doze)状態)とアウェイク状態(awake state)に切り替わりながら動作する。スリープ状態で動作するSTAは、最小限の電力で動作し、フレーム送受信もチャネルスキャニングも行わない。
STAがスリープ状態で長く動作するほど電力消耗が低減し、STAの動作期間は増加する。しかし、スリープ状態ではフレーム送受信が不可能なため、無条件に長く動作するわけにはいかない。スリープ状態で動作するSTAは、APに送信するフレームを有すると、アウェイク状態に切り替わってフレームを送信することができる。一方、APがSTAに送信するフレームがある場合、スリープ状態のSTAは、それを受信できないことはもとより、受信するフレームが存在するということも把握できない。したがって、STAは、自身に送信されるフレームが存在するか否かを確認するために(また、存在するならそれを受信するために)、特定周期に従ってアウェイク状態に切り替わる動作を必要とすることができる。
図9は、電力管理動作を説明するための図である。
図9を参照すると、AP 210は、一定の周期でビーコンフレーム(beacon frame)をBSS内のSTAに送信する(S211、S212、S213、S214、S215、S216)。ビーコンフレームには、TIM(Traffic Indication Map)情報要素(Information Element)が含まれる。TIM情報要素は、AP 210が自身と連携されているSTAに対するバッファされたトラフィックが存在し、フレームを送信する旨を知らせる情報を含む。TIM要素には、ユニキャスト(unicast)フレームを知らせるために用いられるTIMと、マルチキャスト(multicast)又はブロードキャスト(broadcast)フレームを知らせるために用いられるDTIM(delivery traffic indication map)がある。
AP 210は、3回のビーコンフレームを送信する度に1回ずつDTIMを送信することができる。STA1 220及びSTA2 230はPSモードで動作するSTAである。STA1 220及びSTA2 230は、所定の周期のウェイクアップインターバル(wakeup interval)ごとにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わって、AP 210によって送信されたTIM要素を受信できるように設定されてもよい。それぞれのSTAは、自身のローカルクロック(local clock)に基づいてアウェイク状態に切り替わる時点を計算することができ、図9の例示ではSTAのクロックがAPのクロックと一致すると仮定する。
例えば、所定のウェイクアップインターバルは、STA1 220がビーコンインターバルごとにアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信できるように設定されてもよい。そのため、STA1 220は、AP 210が最初にビーコンフレームを送信する時(S211)にアウェイク状態に切り替わり得る(S221)。STA1 220は、ビーコンフレームを受信してTIM要素を取得することができる。取得されたTIM要素が、STA1 220に送信されるフレームがあることを示すと、STA1 220は、AP 210にフレーム送信を要請するPS−Poll(Power Save−Poll)フレームをAP 210に送信することができる(S221a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してフレームをSTA1 220に送信することができる(S231)。フレーム受信を完了したSTA1 220は再びスリープ状態に切り替わって動作する。
AP 210が二番目にビーコンフレームを送信するにあたり、他の装置が媒体にアクセスするなどして媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210は正確なビーコンインターバルに合わせてビーコンフレームを送信できず、遅延された時点に送信することがある(S212)。この場合、STA1 220はビーコンインターバルに合わせて動作モードをアウェイク状態に切り替えるが、遅延送信されるビーコンフレームを受信できず、再びスリープ状態に切り替わる(S222)。
AP 210が三番目にビーコンフレームを送信する時、当該ビーコンフレームはDTIMと設定されたTIM要素を含むことができる。ただし、媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210はビーコンフレームを遅延して送信する(S213)。STA1 220は、ビーコンインターバルに合わせてアウェイク状態に切り替わって動作し、AP 210によって送信されるビーコンフレームからDTIMを取得することができる。STA1 220が取得したDTIMは、STA1 220に送信されるフレームはなく、他のSTAのためのフレームが存在することを示す場合を仮定する。この場合、STA1 220は、自身が受信するフレームがないことを確認し、再びスリープ状態に切り替わって動作することができる。AP 210はビーコンフレーム送信後にフレームを該当のSTAに送信する(S232)。
AP 210は、四番目にビーコンフレームを送信する(S214)。ただし、STA1 220は、それ以前の2回にわたるTIM要素受信から、自身に対するバッファされたトラフィックが存在するという情報が取得できなかったため、TIM要素受信のためのウェイクアップインターバルを調整してもよい。又は、AP 210によって送信されるビーコンフレームにSTA1 220のウェイクアップインターバル値を調整するためのシグナリング情報が含まれた場合、STA1 220のウェイクアップインターバル値が調整されてもよい。本例示で、STA1 220はビーコンインターバルごとにTIM要素受信のために運営状態を切り替えたが、3回のビーコンインターバルごとに1回起床するように運営状態を切り替えるように設定してもよい。したがって、STA1 220は、AP 210が四番目のビーコンフレームを送信し(S214)、五番目のビーコンフレームを送信する時点に(S215)スリープ状態を維持するため、TIM要素を取得することができない。
AP 210が六番目にビーコンフレームを送信する時(S216)、STA1 220はアウェイク状態に切り替わって動作し、ビーコンフレームに含まれたTIM要素を取得することができる(S224)。TIM要素は、ブロードキャストフレームが存在する旨を示すDTIMであるから、STA1 220はPS−PollフレームをAP 210に送信することなく、AP 210によって送信されるブロードキャストフレームを受信することができる(S234)。一方、STA2 230に設定されたウェイクアップインターバルはSTA1 220に比べて長い周期に設定されてもよい。そのため、STA2 230は、AP 210が五番目にビーコンフレームを送信する時点(S215)にアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信することができる(S241)。STA2 230は、TIM要素から、自身に送信されるフレームが存在することがわかり、フレーム送信を要請するためにAP 210にPS−Pollフレームを送信することができる(S241a)。AP 210はPS−Pollフレームに対応してSTA2 230にフレームを送信することができる(S233)。
図9のような節電モードの運営のためにTIM要素には、STAに送信されるフレームが存在するか否かを示すTIM、又はブロードキャスト/マルチキャストフレームが存在するか否かを示すDTIMが含まれる。DTIMはTIM要素のフィールド設定によって具現することができる。
図10乃至図12は、TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。
図10を参照すると、STAは、APからTIMを含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、受信したTIM要素を解釈して、自身に送信されるバッファされたトラフィックがあることを確認できる。STAは、PS−Pollフレームの送信のための媒体アクセスのために他のSTAと競合(contending)を行った後に、APにデータフレーム送信を要請するためにPS−Pollフレームを送信することができる。STAによって送信されたPS−Pollフレームを受信したAPは、STAにフレームを送信することができる。STAはデータフレームを受信し、それに対する確認応答(ACK)フレームをAPに送信することができる。その後、STAは再びスリープ状態に切り替わり得る。
図10のように、APは、STAからPS−Pollフレームを受信した後、所定の時間(例えば、SIFS(Short Inter−Frame Space))後にデータフレームを送信する即時応答(immediate response)方式によって動作することができる。一方、APがPS−Pollフレームを受信した後に、STAに送信するデータフレームをSIFS時間の間に用意できなかった場合は、遅延された応答(deferred response)方式によって動作してもよく、それについて図11を参照して説明する。
図11の例示で、STAがスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってAPからTIMを受信し、競合を経てPS−PollフレームをAPに送信する動作は、図10の例示と同一である。APがPS−Pollフレームを受信したが、SIFSの間にデータフレームを用意できなかった場合、データフレームを送信する代わりにACKフレームをSTAに送信してもよい。APは、ACKフレーム送信後にデータフレームが用意されると、競合を行った後、データフレームをSTAに送信することができる。STAはデータフレームを成功的に受信したことを示すACKフレームをAPに送信し、スリープ状態に切り替わり得る。
図12は、APがDTIMを送信する例示に関するものである。STAはAPからDTIM要素を含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってもよい。これらのSTAは、受信したDTIMから、マルチキャスト/ブロードキャストフレームが送信されることがわかる。APは、DTIMを含むビーコンフレームを送信後に、PS−Pollフレームの送受信動作無しで直ちにデータ(すなわち、マルチキャスト/ブロードキャストフレーム)を送信することができる。これらのSTAは、DTIMを含むビーコンフレームを受信してから引き続きアウェイク状態を維持しながらデータを受信し、データ受信が完了した後に再びスリープ状態に切り替わり得る。
TIM構造
図9乃至図12を参照して上述したTIM(又は、DTIM)プロトコルに基づく節電モード運営方法において、STAは、TIM要素に含まれたSTA識別情報から、自身のために送信されるデータフレームが存在するか否かを確認することができる。STA識別情報は、STAとAPとの連携(association)時にSTAに割り当てられた識別子であるAID(Association Identifier)に関する情報であってもよい。
AIDは一つのBSS内ではそれぞれのSTAに対する固有の(unique)識別子として使われる。一例として、現在無線LANシステムにおいてAIDとしては1から2007までのいずれか一つの値を割り当てることができる。現在定義されている無線LANシステムでは、AP及び/又はSTAが送信するフレームにはAIDのために14ビットを割り当てることができ、AID値は16383まで割り当てることができるが、2008〜16383は予備(reserved)値として設定されている。
既存の定義によるTIM要素は、一つのAPに多数(例えば、2007個を超える)のSTAが連携され得るM2Mアプリケーションの適用には適していない。既存のTIM構造をそのまま拡張するとTIMビットマップのサイズが過大になるため、既存のフレームフォーマットでは支援することができず、また、低い伝送レートのアプリケーションを考慮するM2M通信に適していない。また、M2M通信では、一つのビーコン周期の間に受信データフレームが存在するSTAの個数は大変少ないと予想される。したがって、このようなM2M通信の適用例を考慮すれば、TIMビットマップのサイズは大きくなるが、大部分のビットが0値を有する場合が多く発生すると予想されるため、ビットマップを效率的に圧縮する技術が要求される。
既存のビットマップ圧縮技術として、ビットマップの先頭部分に連続する0を省略し、オフセット(offset)(又は、開始点)値で定義する方案がある。しかし、バッファされたフレームが存在するSTAの個数は少ないが、それぞれのSTAのAID値の差が大きい場合には圧縮効率が高くない。例えば、AIDが10と2000の値であるただ2つのSTAに送信するフレームのみがバッファされている場合、圧縮されたビットマップの長さは1990であるが、両端を除いてはいずれも0の値を有することになる。一つのAPに連携され得るSTAの個数が少ない場合にはビットマップ圧縮の非効率性があまり問題にならないが、STAの個数が増加する場合は、このような非効率性が全体システム性能を阻害する要因になりうる。
これを解決するための方案として、AIDを複数のグループに分けてより効果的なデータ送信を行うようにすることができる。各グループには、指定されたグループID(GID)が割り当てられる。このようなグループベースで割り当てられるAIDについて図13を参照して説明する。
図13(a)は、グループベースで割り当てられたAIDの一例を示す図である。図13(a)の例示では、AIDビットマップの先頭部におけるいくつかのビットを、GIDを示すために用いることができる。例えば、AIDビットマップにおける先頭の2ビットを用いて4個のGIDを示すことができる。AIDビットマップの全体長がNビットである場合、先頭の2ビット(B1及びB2)の値は当該AIDのGIDを示す。
図13(b)は、グループベースで割り当てられたAIDの他の例を示す図である。図13(b)の例示では、AIDの位置によってGIDを割り当てることができる。このとき、同一のGIDを使用するAIDはオフセット(offset)及び長さ(length)の値で表現することができる。例えば、GID 1がオフセットA及び長さBで表現されると、ビットマップ上でA乃至A+B−1のAIDがGID 1を有するということを意味する。例えば、図13(b)の例示で、全体1乃至N4のAIDが4個のグループに分割されると仮定する。この場合、GID 1に属するAIDは1乃至N1であり、このグループに属するAIDはオフセット1及び長さN1で表現することができる。次に、GID 2に属するAIDをオフセットN1+1及び長さN2−N1+1で表現することができ、GID 3に属するAIDをオフセットN2+1及び長さN3−N2+1で表現することができ、GID 4に属するAIDをオフセットN3+1及び長さN4−N3+1で表現することができる。
このようなグループベースで割り当てられるAIDが導入されると、GIDによって異なる時間区間にチャネルアクセスを許容できるようにすることによって、多数のSTAに対するTIM要素不足の問題を解決すると同時に、効率的なデータの送受信を行うことができる。例えば、特定時間区間では特定グループに該当するSTAにのみチャネルアクセスが許容され、残り他のSTAにはチャネルアクセスが制限(restrict)されてもよい。このように特定STAにのみアクセスが許容される所定の時間区間を、制限されたアクセスウィンドウ(Restricted Access Window;RAW)と呼ぶこともできる。
GIDによるチャネルアクセスについて図13(c)を参照して説明する。図13(c)では、AIDが3個のグループに分けられている場合、ビーコンインターバルによるチャネルアクセスメカニズムを例示的に示す。一番目のビーコンインターバル(又は、一番目のRAW)は、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスが許容される区間であり、他のGIDに属するSTAのチャネルアクセスは許容されない。これを具現するために、一番目のビーコンにはGID 1に該当するAIDのみのためのTIM要素が含まれる。二番目のビーコンフレームにはGID 2を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって二番目のビーコンインターバル(又は、二番目のRAW)の間には、GID 2に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。三番目のビーコンフレームには、GID 3を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって三番目のビーコンインターバル(又は、三番目のRAW)の間には、GID 3に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。四番目のビーコンフレームには再びGID 1を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって四番目のビーコンインターバル(又は、四番目のRAW)の間には、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。続いて、五番目以降のビーコンインターバル(又は、五番目以降のRAW)のそれぞれにおいても、当該ビーコンフレームに含まれたTIMで示される特定グループに属したSTAのチャネルアクセスのみが許容されてもよい。
図13(c)では、ビーコンインターバルによって許容されるGIDの順序が循環的又は周期的である例示を示しているが、これに制限されることはない。すなわち、TIM要素に特定GIDに属するAIDのみを含めることによって、特定時間区間(例えば、特定RAW)の間に、上記特定AIDに該当するSTAのみのチャネルアクセスを許容し、残りのSTAのチャネルアクセスは許容しない方式で動作してもよい。
前述したようなグループベースのAID割当て方式は、TIMの階層的(hierarchical)構造と呼ぶこともできる。すなわち、全体AID空間を複数個のブロックに分割し、0以外の値を持つ特定ブロックに該当するSTA(すなわち、特定グループのSTA)のチャネルアクセスのみが許容されるようにすることができる。これによって、大きいサイズのTIMを小さいブロック/グループに分割して、STAがTIM情報を維持しやすくし、STAのクラス、サービス品質(QoS)、又は用途によってブロック/グループが管理しやすくなる。図13の例示では2−レベルの階層を示しているが、2つ以上のレベルの形態で階層的構造のTIMが構成されてもよい。例えば、全体AID空間を複数個のページ(page)グループに分割し、それぞれのページグループを複数個のブロックに区別し、それぞれのブロックを複数個のサブ−ブロックに分割することもできる。このような場合、図13(a)の例示の拡張として、AIDビットマップにおいて先頭のN1個のビットはページID(すなわち、PID)を示し、その次のN2個のビットはブロックIDを示し、その次のN3個のビットはサブ−ブロックIDを示し、残りのビットがサブ−ブロック内のSTAビット位置を示す方式で構成されてもよい。
以下に説明する本発明の例示において、STA(又は、それぞれのSTAに割り当てられたAID)を所定の階層的なグループ単位に分割して管理する様々な方式を適用することができ、グループベースのAID割当て方式は上記の例示に制限されない。
フレーム構造
図14は、IEEE 802.11システムで用いられるフレーム構造の一例を説明するための図である。
PPDU(Physical Layer Convergence Protocol(PLCP)Packet Data Unit)フレームフォーマットは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(SIGNAL)フィールド、及びデータ(Data)フィールドで構成することができる。最も基本的な(例えば、non−HT(High Throughput))PPDUフレームフォーマットは、L−STF(Legacy−STF)、L−LTF(Legacy−LTF)、SIGフィールド及びデータフィールドのみで構成することができる。また、PPDUフレームフォーマットの種類(例えば、HT−mixedフォーマットPPDU、HT−greenfieldフォーマットPPDU、VHT(Very High Throughput)PPDUなど)によって、SIGフィールドとデータフィールドとの間に更なる(又は、他の種類の)STF、LTF、SIGフィールドを含めることもできる。
STFは、信号検出、AGC(Automatic Gain Control)、ダイバーシティ選択、精密な時間同期などのための信号であり、LTFは、チャネル推定、周波数誤差推定などのための信号である。STFとLTFを合わせてPCLPプリアンブル(preamble)と称することができ、PLCPプリアンブルは、OFDM物理層の同期化及びチャネル推定のための信号といえる。
SIGフィールドは、RATEフィールド及びLENGTHフィールドなどを含むことができる。RATEフィールドは、データの変調及びコーディングレートに関する情報を含むことができる。LENGTHフィールドは、データの長さに関する情報を含むことができる。さらに、SIGフィールドは、パリティ(parity)ビット、SIG TAILビットなどを含むことができる。
データフィールドは、SERVICEフィールド、PSDU(PLCP Service Data Unit)、PPDU TAILビットを含むことができ、必要時には、パディングビットも含むことができる。SERVICEフィールドの一部ビットは、受信端でのデスクランブラの同期化のために用いることができる。PSDUは、MAC層で定義されるMAC PDU(Protocol Data Unit)に対応し、上位層で生成/利用されるデータを含むことができる。PPDU TAILビットは、エンコーダを0状態にリターンするために用いることができる。パディングビットは、データフィールドの長さを所定の単位に合わせるために用いることができる。
MAC PDUは、様々なMACフレームフォーマットによって定義し、基本的なMACフレームは、MACヘッダー、フレームボディー、及びFCS(Frame Check Sequence)で構成する。MACフレームは、MAC PDUで構成し、PPDUフレームフォーマットのデータ部分のPSDUを介して送信/受信することができる。
MACヘッダーは、フレーム制御(Frame Control)フィールド、期間(Duration)/IDフィールド、アドレス(Address)フィールドなどを含む。フレーム制御フィールドは、フレーム送信/受信に必要な制御情報を含むことができる。期間/IDフィールドは、該当フレームなどを送信するための時間と設定することができる。4個のアドレスフィールド(Address 1、Address 2、Address 3,Address 4)は、BSSID(Basic Service Set Identifier)、SA(Source Address)、DA(Destination Address)、TA(Transmitter Address)、RA(Receiver Address)などを示すために用いることができ、フレームタイプによって4個のアドレスフィールドの一部のみを含んでもよい。
例えば、Address 1フィールドは、該当MACフレームを受信すべき受信者のアドレス(すなわち、RA)に該当する値に設定することができ、Address 2フィールドは、該当MACフレームを送信する送信者のアドレス(すなわち、TA)に該当する値に設定することができる。
3個のアドレスフィールドを用いる場合に、Address 1フィールドはRAに設定し、Address 2フィールドはTAに設定することができる。Address 3フィールドは、BSSIDに設定されたり、又は、下りリンク(From DS)の場合には該当MACフレームのソースアドレス(Source Address;SA)に設定したり、又は上りリンク(To DS)の場合には該当MACフレームのあて先アドレス(Destination Address; DA)に設定することができる。
4個のアドレスフィールドを全て用いる場合に、Address 1フィールドはRAに設定し、Address 2フィールドはTAに設定し、Address 3フィールドはDAに設定することができ、Address 4フィールドはSAに設定することができる。
これらのアドレスフィールド(Address 1、Address 2、Address 3、又はAddress 4)の値は、48ビットサイズのイーサネット(登録商標)(ethernet)MACアドレス(address)の形態と設定することができる。
一方、ヌル−データパケット(NDP)フレームフォーマットは、データパケットを含まない形態のフレームフォーマットを意味する。すなわち、NDPフレームは、一般的なPPDUフォーマットにおいてPLCPヘッダー部分(すなわち、STF、LTF及びSIGフィールド)のみを含み、残りの部分(すなわち、データフィールド)は含まないフレームフォーマットを意味する。NDPフレームは、短い(short)フレームフォーマットと呼ぶこともできる。
中継機(Relay)プロトコル
M2M、スマートグリッド(smart grid)などの環境でネットワークカバレッジの拡張のために中継機(Relay)を導入することができる。M2M、スマートグリッドなどの環境では低費用、低複雑度、低電力機器が使われるため、複雑な中継機プロトコルは適合しない。したがって、本発明で提案する単純化した中継機プロトコルでは、ツウ−ホップ(two−hop)中継動作に限定する。ツウ−ホップ中継動作に限定すると、中継機のフレーム伝達(forwarding)過程を単純化することができる。
リレーは、他のSTAに対してAPの役割を持つ。すなわち、STAは、リレーをAPと見なしてリンクセットアップを行うことができる。このような側面からリレーをリレーAP(Relay AP)と呼ぶことができる。しかし、リレーは分配システム(DS)に直接接続してはいない。そのため、リレーがDSに接続するためにはSTAとして動作しなければならない。すなわち、DSに直接接続しているAPからすると、リレーは、複数のSTAの一つに該当する。このような側面からリレーをリレーSTAと呼ぶことができる。要するに、リレーは、論理的にリレーAPとリレーSTAとして構成されたエンティティ(entity)と理解することができる。
以下の説明では、Relayの動作観点によってリレーAP及びリレーSTAという用語を使うが、リレーAPとリレーSTAが同一の1つのRelayエンティティを構成することが理解できる。
また、リレーAPとの明確な区分のために、以下では、DSに直接接続しているAPを、ポータルAP(Portal AP)又はルートAP(root AP)と称する。
リンクセットアップ観点でSTA、リレー、ルートAPの動作を簡略に整理すると、次の通りである。
STAは、能動的/受動的スキャニングを用いてリレーAPを発見することができる。例えば、STAがプローブ要請フレームをリレーAPに送信すると、リレーAPは、一般的なAPと同様に、プローブ応答フレームを上記STAに送信することができる。また、リレーAPは、APと同様に、ビーコンフレームを送信し、このため、STAは受動的スキャニングを用いてリレーAPを発見することもできる。
STAが複数のリレーAPを発見した場合、リンク品質の最も良いリレーAPを選択し、該リレーAPと連携を取ることができる。仮に、STAがルートAPにも接続可能であると、該ルートAPと直接連携することもできる。
一方、リレーは他のSTAに対してはAPの役割を持つが、DSにはルートAPを介して接続しなければならない。すなわち、リレーSTAはルートAPを発見して連携するなどのリンクセットアップ動作を行うことができる。
リレーAPとルートAPの区分方案
前述したように、リレーは、2つの機能を持つが、その一つは、自身に接続されたSTAのためのAPとしての役割(すなわち、リレーAP)であり、もう一つは、ルートAPに接続されたSTAとしての役割(すなわち、リレーSTA)である。
STAにとっては、リレーAPもルートAPもAPとして見える。しかし、中継機の動作を明確に定義するためには、いずれのAPがルートAPか又はリレーAPかを区別しなければならない。
本発明では、APが送信するビーコンフレーム、プローブ応答フレーム、連携応答フレームなどに、自身(すなわち、上記AP)がルートAPか又はリレーAPかを示す情報を含めることを提案する。例えば、この情報は、機器カテゴリー(Device Category)情報と呼ぶことももでき、又は中継機要素(Relay element)と呼ぶこともできる。
また、リレーAPが送信するビーコンフレーム及び/又はプローブ応答フレームには、該リレーAPがリレーSTAとして接続されるたルートAPを識別する情報(例えば、MACアドレス又はBSSID)を含めることができる。すなわち、リレーがDSに接続するためにリレーSTAとしてルートAPに連携されている場合に、該リレー(すなわち、リレーSTAと同一のエンティティであるリレーAP)が送信するビーコンフレーム及び/又はプローブ応答フレームには、上記ルートAP(すなわち、リレーSTAが連携されているルートAP)のMACアドレス又はBSSIDを含めることができる。
また、上記リレーが送信するビーコンフレーム及び/又はプローブ応答フレームにはSSID情報を含めることができるが、このSSID情報の値は、リレーSTAが連携されているルートAPのSSID情報と同一の値に設定することができる。
中継フレームフォーマット
リレーAPは、自身に接続されたSTAのためのAP役割を果たすために、一般APと同一に動作することができる。例えば、リレーAPは、ビーコンフレーム、プローブ応答フレームを用いて他のSTAのスキャニング過程などを支援し、様々なチャネルアクセスメカニズム(channel access mechanism)、管理フレーム交換(management frame exchange)などの動作を支援する。
STAがリレーAPと連携された場合、STAが送信するフレームは、リレーAPを介してルートAPに伝達することができる。ここで、STAがリレーAPに送信するフレームフォーマットは、STAが一般APに送信する上りリンクフレームフォーマットと同一に構成することができる。一方、リレーSTAがSTAから受信したフレームをルートAPに中継する時に用いられるフレームフォーマットは、集成−MAC SDU(aggregate MAC Service Data Unit、A−MSDU)の形態で構成することができる。A−MSDUは、複数個のMAC SDUを含む構造であり、一つのMAC PDUに含めて送信することができる。
図15は、リレーSTAとルートAP間に用いられるフレームフォーマットの一例を説明するための図である。図15(a)は、A−MSDUフォーマットの一例を示し、図15(b)は、図15(a)で一つのA−MSDU subframeフィールドのフォーマットの一例を示す図である。すなわち、図15(a)では、一つ以上のA−MSDU subframeフィールドを含むことができる。
リレーSTAとルートAP間に中継されるフレームは、図15(a)に示すようなA−MSDUフォーマットを用いることができる。
例えば、リレーSTAがSTAから受信したフレームをルートAPに向かって中継する場合、図15(a)のAddress 1、Address 2、Address 3フィールドを次のように設定することができる。
Address 1フィールドは、ルートAP(すなわち、MAC PDUの受信者(receiver))のMACアドレスに設定される。
Address 2フィールドは、リレーSTA(すなわち、MAC PDUの送信者(transmitter))のMACアドレスに設定される。
Address 3フィールドは、BSSID(すなわち、ルートAPのMACアドレス)に設定される。
さらに、Address 1、Address 2、Address 3フィールドは、リレーSTAからルートAPへのMAC PDUの送信のためのアドレスに過ぎないため、これを受信したルートAPは、リレーSTAによって中継されたフレームがどこからきたものであるか、又はどこに送信されるべきかを知らないと、当該フレームを正しく処理することができない。また、リレーSTAがルートAPに送信するA−MSDUは複数個のMSDUを含み、各MSDUはそれぞれ異なったSTAからリレーAPに送信されたものであってもよい。このため、ルートAPがA−MSDUに含まれた複数個のMSDUを正しく処理するには、それぞれのMSDUがどのSTAから送信されたものであり、且つそのあて先がどこであるかが明確に特定されなければならない。
したがって、中継されるフレームのソースアドレス(Source Address;SA)及びあて先アドレス(Destination Address;DA)に関する情報が、リレーAPとルートAP間に中継されるフレームに含まれなければならない。
そのために、図15(b)に示すように、A−MSDU subframeフィールドのサブフィールドであるDAフィールド及びSAフィールドを用いることができる。
例えば、A−MSDU subframeフィールドのDAフィールドは、当該MSDUのあて先アドレス値に設定し、A−MSDU subframeフィールドのSAフィールドは、該当MSDUのソースアドレス値に設定することができる。例えば、STAからDSに送信されるMSDUに該当するA−MSDU subframeフィールドのDAフィールドは、DSのMACアドレスに設定し、SAフィールドは、STAのMACアドレスに設定することができる。又は、DSからSTAに送信されるMSDUに該当するA−MSDU subframeフィールドのDAフィールドは、STAのMACアドレスに設定し、SAフィールドは、DSのMACアドレスに設定することができる。
図16は、上りリンク送信におけるA−MSDUフレーム構造を用いたPPDU中継動作の一例を示す図である。
図16の例示で、STA1、STA2、リレー、ルートAPのMACアドレスはそれぞれ、S1、S2,R1,P1であると仮定する。DSのMACアドレス、又はSTAがDSを介して通信する相手エンティティのMACアドレスはD1であると仮定する。
STA1(S1)は、MSDU1をリレー(R1)に送信し、STA2(S2)はMSDU2をリレー(R1)に送信することができる。MSDU1とMSDU2のあて先はDS(D1)である。
STA1(S1)がリレー(R1)に送信するMACヘッダーのAddress 1(A1)フィールド(すなわち、受信者アドレス)はR1に設定し、Address 2(A2)フィールド(すなわち、送信者アドレス)はS1に設定し、Address 3(A3)フィールド(すなわち、あて先アドレス)はD1に設定することができる。
STA2(S2)がリレー(R1)に送信するMACヘッダーのAddress 1(A1)フィールド(すなわち、受信者アドレス)は、R1に設定され、Address 2(A2)フィールド(すなわち、送信者アドレス)はS2に設定し、Address 3(A3)フィールド(すなわち、あて先アドレス)はD1に設定することができる。
STA1及びSTA2からMSDU1及びMSDU2を受信したリレーは、受信したフレームをA−MSDUサブフレーム形態で集成(aggregate)してルートAPに中継することができる。
MSDU1及びMSDU2をDSに伝達するためには、リレーが、STA1及びSTA2から受信したフレームをルートAPに中継しなければならない。ここで、リレーSTAでMSDU1及びMSDU2がA−MSDU subframe形態で集成(aggregate)される。
図16を参照すると、リレーSTAがルートAPに送信するPPDUのMAC PDUは、A−MSDU形態で構成される。図15(a)を参照して説明した通り、A−MSDUのヘッダーのA1フィールド(すなわち、受信者アドレス)はP1に設定され、A2フィールド(すなわち、送信者アドレス)はR1に設定され、A3フィールドは、BSSIDであるP1に設定される。次に、A−MSDU subframe1のヘッダーのDAフィールド及びSAフィールドは、MSDU1のあて先アドレス(D1)及びソースアドレス(S1)にそれぞれ設定される。A−MSDU subframe2のヘッダーのDAフィールド及びSAフィールドは、MSDU2のあて先アドレス(D1)及びソースアドレス(S2)にそれぞれ設定される。
このようにリレー動作においてA−MSDUフォーマットを用いる場合、同一の送信者アドレス(TA)及び同一の受信者アドレス(RA)に設定されるが、互いに異なるソースアドレス(SA)及び互いに異なるあて先アドレス(DA)に設定されるフレームを集成することによって、性能の向上を図ることができる。A−MSDUフォーマットを用いない場合には、リレーがMSDU1を中継するためのMACフレームのMACヘッダーにRA、TA、SA及びDAを示すフィールドを全て含めなければならず、且つ、別のMACフレームのMACヘッダーにRA、TA、SA及びDAを示すフィールドを全て含めなければならない。このような形態のMACヘッダーを新しく定義することなくA−MSDUフォーマットを用いると、リレーSTAからルートAPへのMSDU1の中継及びMSDU2の中継において同一の値に設定されるRA及びTAが重複送信されず、様々なSA及びDAを有するフレームを集成して伝達することができ、結果としてリソースを效率的に用いることができる。
図17は、下りリンク送信におけるA−MSDUフレーム構造を用いたPPDU中継動作の一例を示す図である。
図17の例示で、STA1、STA2、リレー、ルートAPのMACアドレスはそれぞれ、S1、S2、R1、P1であると仮定する。DSのMACアドレス、又はSTAがDSを介して通信する相手エンティティのMACアドレスはD1であると仮定する。
DS(D1)からSTA1(S1)及びSTA2(S2)にそれぞれ送信されるフレームは、ルートAPでA−MSDUフォーマットを用いてリレーSTAに伝達することができる。図15(a)を参照して説明した通り、ルートAP(P1)がリレーSTA(R1)に送信するA−MSDUフォーマットのMACヘッダーにおいて、A1フィールド(すなわち、RA)はR1に設定され、A2フィールド(すなわち、TA)はP1に設定されて、A3フィールドは、BSSIDであるP1に設定される。次に、A−MSDU subframe1のヘッダーのDAフィールド及びSAフィールドは、MSDU1のあて先アドレス(S1)及びソースアドレス(D1)にそれぞれ設定される。A−MSDU subframe2のヘッダーのDAフィールド及びSAフィールドは、MSDU2のあて先アドレス(S2)及びソースアドレス(D1)にそれぞれ設定される。
リレーSTA(R1)は、ルートAP(P1)から受信したA−MSDUフォーマットのMAC PDUからMSDU1及びMSDU2を抽出し、それぞれをSTA1及びSTA2に中継することができる。ここで、MSDU1とMSDU2の受信者アドレス(RA)が互いに異なることから、一つのMAC PDUとして送信することができず、別個のMAC PDUとして送信する。すなわち、リレーAP(R1)がSTA1(S1)及びSTA2(S2)に送信するフレームは、A−MSDU subframe形態ではなく、一般の下りリンクフレームフォーマットを用いる。具体的に、リレーAP(R1)は、STA1(S1)に送信するMSDU1を含むMAC PDUのヘッダーのA1フィールド(すなわち、RA)をS1に設定し、A2フィールド(すなわち、TA)をR1に設定し、A3フィールド(すなわち、SA)をD1に設定することができる。また、リレーAP(R1)は、STA2(S2)に送信するMSDU2を含むMAC PDUのヘッダーのA1フィールド(すなわち、RA)をS2に設定し、A2フィールド(すなわち、TA)をR1に設定し、A3フィールド(すなわち、SA)をD1に設定することができる。
一方、DSからルートAPが受信したフレームが、該ルートAPに直接接続していない(すなわち、リレーSTAを経由して接続している)STAへのフレームである場合に、ルートAPは上記フレームを該当のSTAに伝達するためにどのリレーSTAを経由するかを決定しなければならない。そのために、ルートAPは、リレーSTAから受信された情報に基づく、いずれのSTAが当該リレーSTAを介して到達可能かを記すリスト(例えば、到達可能なアドレスリスト(a list of Reachable Address))を保有することができる。上記到達可能なアドレスリストは、ルートAPがリレーSTAから受信した上りリンクフレームに含まれた情報に基づくものであってもよい。例えば、図16のようにR1のMACアドレスを有するリレーSTAから受信された上りリンクフレームに含まれた情報(例えば、A−MSDUサブフレームのSAフィールド)から、S1及びS2のMACアドレスを有するSTA1及びSTA2から受信したフレームを、上記R1のMACアドレスを有するリレーSTAが中継したことがわかる。又は、リレーSTAが自身が連携されているルートAPに、上記到達可能なアドレスリストを送信することもできる。このような到達可能なアドレスリストを持っているルートAPは、DSから受信したフレームのDAがS1及び/又はS2である場合に、当該フレームをR1のMACアドレスを有するリレーSTAに伝達することができる。
リレーを考慮したAID割当て
リレーSTAがルートAPに連携する場合に、ルートAP観点でリレーSTAは一つのSTAと見なされる。このため、ルートAPは、他のSTAと同様にリレーSTAに連携識別子(AID)を割り当て、割り当てられたAIDは、当該リレーSTAに送信されるフレームの部分AID(Partial AID;PAID)の計算にも用いられる。
PAIDは、特定フレームを受信するSTAを識別するためのIDとして用いることができる。例えば、上りリンクフレームでPAIDの値はBSSID(Basic Service Set ID)の一部分で構成し、下りリンクフレームでPAID値は、STA(一般STA又はリレーSTA)のAIDをハッシュ(hashing)した値で構成することができる。例えば、BSSIDは48ビット長、AIDは16ビット長、PAIDは9ビット長とすることができる。PAIDは、BSSID又はAIDの一部分のみに基づいて構成されるため、固有でない(non−unique)識別子である。
単一BSSにおけるAID割当て及びPAID使用に関する規則についてまず説明する。
APがSTAに下りリンクフレームを送信する場合と、STAが直接経路(direct path)でDLS(Direct Link Setup)/TDLS(Tunneled Direct Link Setup)リンクを用いてフレームを送信する場合におけるPAIDは、次式1のように計算される。
上記の式1で、XORはexclusive OR演算を表す。例えば、1 XOR 1=0、0 XOR 1=1、1 XOR 0=1、0 XOR 0=0と計算することができる。dec(A)は、Aを10進数に変換した値であり、A[b:c」は、2進数Aの最初のビット位置がbit 0のとき、上記Aのbit bからbit cまでを表し、modはモジューロ(modulo)演算を表す。
DLフレーム又はDLS/TDLSフレームの場合に、上記の式1で表すように、BSSIDとAIDの部分情報をハッシュして得た結果値をPAIDとして使用する。具体的に、AIDのbit 0からbit 8までの9ビットを10進数に変換する(すなわち、dec(AID[0:8]))。また、BSSIDのbit 44からbit 47までの4ビット(すなわち、BSSID[44:47])とBSSIDのbit 41からbit 44までの4ビット(すなわち、BSSID[40:43])とをXOR演算した結果(すなわち、BSSID[44:47] XOR BSSID[40:43])を、10進数に変換する(すなわち、dec(BSSID[44:47] XOR BSSID[40:43]))。この計算結果において、BSSIDに基づくXORの結果は4ビットを10進数に変換したものであり、AIDに基づく計算結果は9ビットを10進数に変換したものであるため、桁数を合わせるために、BSSIDから取得した10進数結果値に25を掛ける(25を掛けることは、2進数において5ビット長を追加することと同じ意味を有する)。これによって、BSSIDに基づいて取得した結果と上記AIDから取得した結果とを合算する。この合算された結果にmod 29を行い、0乃至511範囲中の一つの値をPAIDと決定することができる。
ここで、APがAIDをSTAに割り当てるとき、割り当てたAIDによって計算される上記の式1の結果値が0になるAIDをSTAに割り当てないことが望ましい。これは、APによって全てのSTAに送信されるブロードキャスト/マルチキャストフレーム又は連携されていない(non−associated)STAが送信するフレームである場合、PAID値としては0が用いられるためである。具体的に、仮に上記の式1による計算値が0になるAIDをSTAに割り当てると、該STAに送信されるフレームのPAID値が0になるため、当該フレームの受信側でないにもかかわらず、他の全てSTAが当該フレームをマルチキャスト/ブロードキャストフレームと見なし、余計に当該フレームのPSDUデコーディングを試みることになる。このため、他のタイプのフレームとの区分のために、上記の式1の結果値が0になるAIDはSTAに割り当てられないようにすることができる。
一方、STAがAPに上りリンクフレームを送信する場合、PAIDの値は、次式2のように計算される。
ここで、APがAIDをSTAに割り当てるとき、該APのBSSIDに基づく上記の式2の計算結果(すなわち、dec(BSSID[39:47])mod(29−1))+1)と、上記STAに割り当てられたAID及び上記APのBSSIDに基づく上記式1の計算結果(すなわち、(dec(AID[0:8]+dec(BSSID[44:47] XOR BSSID[40:43])×25)mod29)とが同一になるAIDをSTAに割り当てないことが好ましい。仮に、ULフレームのためのPAID値(すなわち、上記の式2の計算結果)と、DLフレームのためのPAID値(すなわち、上記の式1の計算結果)とが同一の値になるように特定STAのAIDを割り当てると、上記特定STAは、他のSTAがAPに向かって送信するULフレームを全て自身のためのDLフレームであると見なし、余計にそれらのフレームのPSDUデコーディングを試みることになる。したがって、このような動作の不明瞭性を防止するために、上記の式1の計算結果と上記の式2の計算結果とが同一になるAIDは、APがSTAに割り当てなくてもよい。
また、OBSS(Overlapping BSS)が存在するとき、AP(すなわち、STAが連携されているAP)は、OBSSを構成するOBSS(すなわち、STAが連携されているAPのBSSと同じチャネル上で動作するBSSであり、BSAが一部又は全て重なるBSS)のAPのOBSS BSSIDを考慮しSTAのAIDを割り当てることができる。すなわち、APがAIDをSTAに割り当てるとき、該STAに割り当てられたAID及び上記APのBSSIDに基づく上記の式1の計算結果(すなわち、(dec(AID[0:8]+dec(BSSID[44:47] XOR BSSID[40:43])×25)mod 29)が、OBSSのBSSIDに基づく上記の式2の計算結果(すなわち、dec(OBSS BSSID[39:47])mod(29−1))+1)と同一になるAIDを、STAに割り当てないことが好ましい。そうでなければ、上記STAは、OBSSに属したSTAがOBSS APに送信するOBSS ULフレームの全てを自身に向かうDLフレームであると見なすことになり、余計にそれらのフレームのPSDUデコーディングを試みる。したがって、このような動作の不明瞭性を防止するために、上記の式1の計算結果と上記OBSS BSSIDを考慮した式2の計算結果とが同一になるAIDは、APがSTAに割り当てなくてもよい。
言い換えると、APがSTAにAIDを割り当てるとき、割り当てようとするAIDに対して上記の式1(すなわち、(dec(AID[0:8]+dec(BSSID[44:47] XOR BSSID[40:43])×25)mod 29)を適用して得るPAID値が、(dec(BSSID[39:47])mod(29−1))+1と同一ではならず、(dec(OBSS BSSID[39:47])mod(29−1))+1とも同一ではならない。すなわち、APは、割り当てようとするAID値に(dec(AID[0:8]+dec(BSSID[44:47] XOR BSSID[40:43])×25)mod 29を適用して得るPAID値が、(dec(BSSID[39:47])mod(29−1))+1と同一になるAIDを除き、且つ、(dec(OBSS BSSID[39:47])mod(29−1))+1と同一になるAIDを除く、残りのAIDのいずれかをSTAに割り当てなければならない。
一方、リレーAPは他のSTAのためにAPの役割を担い、ビーコンフレームを送信することができる。この場合、ルートAPはリレーSTAが送信するビーコンフレームを聴取し、OBSSが存在すると(すなわち、リレーAPがOBSSであると)見なす。このため、リレーSTAに向かう上りリンクフレームのPAIDと重なるAIDは、ルートAPのBSSにおけるSTAに割り当てられてはならない。すなわち、(dec(AID[0:8]+dec(Root BSSID[44:47]XOR Root BSSID[40:43])×25)mod 29)に対する計算値が(dec(Relay BSSID[39:47])mod(29−1))+1の計算値と同一になるAIDは、ルートAPに接続したSTAに割り当てられない。
しかし、リレーSTAにとっては、このような制約条件に従うことがむしろハードウェア複雑性の増加につながることがある。
したがって、本発明では(dec(AID[0:8]+dec(Root BSSID[44:47]XOR Root BSSID[40:43])×25)mod 29)に対する計算値が(dec(Relay BSSID[39:47])mod(29−1))+1の計算値と同一になるAIDを、ルートAPがリレーSTAに割り当てることを提案する。
例えば、リレーAPと連携されているSTAがリレーAPに送信する上りリンクフレームのPAIDは、(dec(Relay BSSID[39:47])mod(29−1))+1値を有する。一方、リレーSTAがルートAPから受信する下りリンクフレームのPAIDは、(dec(AID[0:8]+dec(Root BSSID[44:47] XOR Root BSSID[40:43])×25)mod 29)になる。ルートAPが、(dec(AID[0:8]+dec(Root BSSID[44:47]XOR Root BSSID[40:43])×25)mod 29)に対する計算値が(dec(Relay BSSID[39:47])mod29−1))+1の計算値と同一になるようにリレーSTAのAIDを割り当てると、これは、リレーSTAがルートAPから受信する下りリンクフレームのPAID値とSTAがリレーAPに送信する上りリンクフレームのPAID値とが同一になるということを意味する。
このように、リレーSTAに送信されるフレーム(例えば、ルートAPからの下りリンクフレーム)のPAID値と、リレーAPに送信されるフレーム(例えば、他のSTAからの上りリンクフレーム)のPAID値とが同一に設定されると、リレーは、リレーSTAとして受信すべきフレームとリレーAPとして受信すべきフレームの場合を問わず、上記一つのPAID値であるか否かをチェックすることで足りる。このため、リレーの動作を簡素化することができる。
中継フロー制御(Flow Control)
リレーの機器能力(device capability)によって、リレーAPは、自身と連携されているSTAからフレームを一時的に受信できないことがある。例えば、リレーSTAとルートAP間のリンク処理率(link throughput)が、リレーAPと連携されているSTA間のリンク処理率よりも低い場合、リレーでバッファーオーバーフロー(buffer overflow)が発生しうる。
このような問題を解決するために、リレーAPは、自身と連携されているSTAに、一定時間自身にフレームを送信することを禁止する信号を送ることができる。これを発明ではポーズ信号(Pause Signal)と称する。
ポーズ信号は、リレーAPが自身と連携されているSTAに送るフロー制御信号(flow control signal)に該当する。ポーズ信号の値が1である場合、当該ポーズ信号を受信したSTAは、一定時間、リレーAPへのフレーム送信ができない(しかし、リレーAP以外のSTA又はAPへのフレーム送信が禁止されるものではない)。ポーズ信号の値が0である場合、当該ポーズ信号を受信したSTAは、リレーAPへのフレーム送信を再開することができる。
ポーズ信号は、MACヘッダーのフレーム制御フィールド(Frame Control field)において留保された(reserved)ビットを用いて具現することができる。又は、MACヘッダーのフレーム制御フィールドにおいて、電力管理ビット(Power Management bit)のように、STAのみが使用し、APは使用しないビットをオーバーライド(overriding)してポーズ信号として使用することもできる。又は、ポーズ信号のための新しい管理フレームを定義して使用することもできる。
本発明で提案する単純化された中継機プロトコルは、ルートAP、リレー、STA間のツウ−ホップ中継構造を仮定する。このようなツウ−ホップ中継動作において、ポーズ信号は、リレーとルートAP間のリンク処理率に問題が発生した場合に、STAがルートAPを目的STAとするフレームをリレーに送信(すなわち、リレーを介してルートAPに送信)することを禁止するためのフロー制御方案として用いることができる。
1値に設定されたポーズ信号をSTAが受信した場合にも、リレーAPから下りリンクバッファーされたフレーム(downlink buffered frame)が伝達されることは相変らず許容されてもよい。すなわち、PSモードで動作するSTAは、リレーAPからビーコンフレームのTIM要素を通じて自身が受信すべきバッファーされたフレームがリレーAPに存在するということがわかる。これによって、STAは、PS−PollフレームをリレーAPに送信し、バッファーされたフレームを受信することができる。すなわち、1値に設定されたポーズ信号をSTAが受信した場合であっても、STAからリレーAPへの全てのフレーム送信が禁止されるわけではない。また、1値に設定されたポーズ信号を受信した場合であっても、STAはU−APSD(Unscheduled−Automatic Power Save Delivery)メカニズムによって動作することができる。すなわち、リレーAPからのビーコンフレームのTIM要素から、自身に送ろうとするデータがあるということを認知したSTAは、所望の時点でトリガーフレーム(Trigger frame)をリレーAPに送信することによって、SP(Service Period)が始まったことをリレーAPに知らせると同時にデータを送信することを要請することができる。
このように、STAがリレーAPからデータを受信するための要請フレーム(例えば、PS−Pollフレーム、トリガーフレームなど)、上りリンクデータ送信と関係ないフレーム、リレーとルートAP間のリンク処理率に負担を与えない(すなわち、リレーとSTA間のリンクのみを使用する)フレームなどを上記STAがリレーAPに送信することは、STAが1値に設定されたポーズ信号を受信した場合にも、許容することができる。
要するに、1に設定されたポーズ信号をSTAが受信した場合、STAのチャネルアクセス過程に制約が与えられることはない。すなわち、STAは、バックオフ過程を用いてチャネルアクセスを試みることができ、フレームの受信STAとしてリレーAPを除く他のSTAを目的とするフレームは、STAがパケットスケジューリング過程を用いて送信することができ、リレーAPへのフレーム送信だけが一定時において間禁止/遅延される。さらに、1に設定されたポーズ信号をSTAがリレーAPから受信した場合にも、管理フレームをリレーAPに送信することは可能であり、これは、管理フレームは直接接続したピア(peer)STAを目的STAとして送信されるためである。また、前述したように、PS−Pollフレーム、トリガーフレームなどの制御フレームも同様、1に設定されたポーズ信号をSTAがリレーAPから受信した場合にも、当該STAが送信することが許容される。
図18は、本発明の一例による中継動作を説明するための図である。
図18では、リレーエンティティ、該リレーエンティティが連携されているAP(すなわち、ルートAP)、リレーエンティティと連携されているSTA1及びSTA2を例示的に示している。しかし、これに制限されず、1つのAP(すなわち、ルートAP)に複数個のリレーエンティティが連携されていてもよく、より多いSTAがリレーエンティティと連携されていてもよく、リレーを介さずにAPと直接連携されているSTAが存在してもよい。
リレーエンティティは、ルートAPに対してはリレーSTAとして動作し、STA1及びSTA2に対してはリレーAPとして動作する。すなわち、リレーエンティティは、論理的に、リレーSTA及びリレーAPで構成される。
リレーを配置し得る無線LANシステムにおいて、APは、自身がリレーAPか又はルートAPかを示す情報(例えば、Device Category情報又はRelay element情報)を含むフレーム(例えば、ビーコンフレーム又はプローブ応答フレーム)を、一つ以上のSTAに送信することができる(図示せず)。すなわち、リレーエンティティは、STA1及び/又はSTA2に、自身がリレーAPであることを示す情報を含むビーコンフレーム又はプローブ応答フレームを送信することができる。この場合、リレーAPは、自身が連携されているAPのMACアドレス(すなわち、BSSID)を、上記ビーコンフレーム又はプローブ応答フレームにさらに含めることができる。また、リレーAPが送信するビーコンフレーム又はプローブ応答フレームに含まれるSSIDフィールドは、リレーエンティティが連携されているAPのSSIDと同一に設定することができる。
段階S1810及びS1820で、リレーエンティティは、STA1及びSTA2からそれぞれ第1MSDU及び第2MSDUを受信することができる。段階S1830で、リレーエンティティは、A−MSDUフォーマットフレームのMAC PDUを介して第1MSDU及び第2MSDUをAPに伝達することができる。ここで、A−MSDUフォーマットフレームのA1、A2、A3アドレスフィールドの値、及びそれぞれのA−MSDUサブフレームのDA及びSAフィールドの値は、図16を参照して上述した本発明の例示に従って設定することができる。
また、APは、リレーエンティティが送信する情報に基づく、リレーエンティティを介して到達可能なSTAのアドレスのリストを保有することができる。このため、DS(図示せず)から目的STAに伝達されなければならないデータをAPが受信した場合、いずれのリレーエンティティを介して伝達すべきかを決定することができる。
段階S1840で、APは、STA1及びSTA2を目的STAとする第1MSDU及び第2MSDUを、A−MSDUフォーマットフレームのMAC PDUを介してリレーエンティティに送信することができる。ここで、A−MSDUフォーマットフレームのA1、A2、A3アドレスフィールドの値、及びそれぞれのA−MSDUサブフレームのDA及びSAフィールドの値は、図17を参照して上述した本発明の例示に従って設定することができる。段階S1840及びS1850で、リレーエンティティは、STA1に第1MSDUを伝達し、STA2に第2MSDUを伝達することができる。
図18で例示する本発明の中継動作において、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項は独立して適用されたり、又は2以上の実施例が同時に適用されるように具現することができる。
図19は、本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
STA 10は、プロセッサ11、メモリ12、送受信器13を備えることができる。送受信器13は、無線信号を送信/受信することができ、例えば、IEEE 802システムに基づく物理層を具現することができる。プロセッサ11は、送受信器13と接続し、IEEE 802システムに基づく物理層及び/又はMAC層を具現することができる。プロセッサ11は、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を実行するように構成することができる。また、前述した本発明の様々な実施例に係るリレーエンティティの動作を具現するモジュールがメモリ12に格納され、該モジュールは、プロセッサ11によって実行することができる。メモリ12は、プロセッサ11の内部に設けたり、又はプロセッサ11の外部に設けて、プロセッサ11と公知の手段によって接続することができる。
図19のSTA 10は、リレーエンティティとして設定することができる。この場合、プロセッサ11は、リレーエンティティ 10がリレーAPであるか又はルートAPであるかを示す情報を含むフレームを、送受信器13を用いて一つ以上の他のSTAに送信するように設定することができる。STA 10がリレーAPである場合、上記フレームは、リレーAPが連携されているAP(すなわち、ルートAP)のMACアドレス(すなわち、BSSID)をさらに含むことができる。また、リレーエンティティ 10は、他のSTAからのMSDUをA−MSDUフォーマットを用いてAPに伝達することができ、APからのMSDUを受信してそれぞれの目的STAに伝達することもできる。
上記のようなリレーエンティティの具体的な構成は、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよく、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
上述した本発明の実施例は様々な手段を用いて具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶されてプロセッサによって駆動されてよい。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
以上開示された本発明の好ましい実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者にとっては、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更できるということは明らかである。したがって、本発明は、ここに開示されている実施形態に制限されるものではなく、ここに開示されている原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。