JP2015532443A - 流体デバイス - Google Patents

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Abstract

1つ以上の成分の拡散を決定するための方法が提供される。この方法は、(i)1つ以上の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、(ii)ブランク流体フローを提供する工程と、(iii)断面積の大きなチャネルにおいてフロー(i)をフロー(ii)と接触させ、2つの層流を生成する工程と、(iv)(iii)において生成された層流が、断面積の大きなチャネルから断面積の小さなチャネルの中へ流れることを可能にする工程と、(v)断面積の小さなチャネルにおいて、成分フローからブランク流体フローへの1つ以上の成分の側方拡散を測定する工程と、を備える。また、複数の拡散時間において、成分フローからブランク流体フローへの1つ以上の成分の側方拡散を測定する工程を備える拡散方法も提供される。【選択図】図2

Description

本案件においては、2012年10月23日に出願された英国出願第1219014.6号に基づく優先権および利益を主張し、この英国出願の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
本発明は、ポリペプチドの混合物など成分の混合物を分析するためのフロー拡散方法およびフロー装置に関する。
基本的または技術的に重要な多くのシステムが、異種な成分の多分散系の混合物として存在する。そのような混合物における個々の成分の特徴的性質の解明は、分析化学から生物物理に至る分野において決定的に重要な問題である。
粒子の異種な混合物における粒子サイズの測定は、サイズの測定が治療薬の可溶性および純度を診断する薬学から、希望の機能を保証するためには、それらすべての分野においてナノおよびマイクロスケールの成分のサイズが厳密に制御およびモニタされなければならない塗料、インクおよびコーティングにまで至る分野における共通の問題である。
ナノスケールの成分のサイズが特に決定的であり非常に明確な重要性を有する分野は、タンパク質の会合および自己集合の分野である。タンパク質の大多数は、モノマー種としてではなく、より大きな複合体の一部として、その生体機能を充足する。タンパク質のそのような複合体への集合が希望する態様で生じず、異常な種が形成される場合には、この異常な集合体はしばしば機能不全や疾病に至る。ポリペプチドのサイズを測定することに一般的に採用されている現在の生物物理的な技術は、精製された成分の均質な製剤に対する場合に最良のパフォーマンスを生じるが、他方で、多くの生体系に特徴的である異質な混合物に関する定量的な研究は、依然として困難である。
現在のマイクロ流体拡散ベースのサイズ決定技術[1]は、基本的に、均質な溶液における単一の種のサイズを見いだすこと[5]か、または、典型的には蛍光ラベリングがなされた種を用いて[8、7、3、11、12、19]、2つの離散的な種の間での相互作用を測定することに向けられてきた。サンプルの蛍光ラベリングを必要としない技術もまた、[4]に報告されている。
例えば、Yager他による[11]には、マイクロチャネルにおける横分子拡散の光学的測定に用いられるTセンサに関する記載がある。Tセンサは、被検体を含む流体とバッファ流体とがそれらを通過して提供される2つの入力ポートを有する。流体の2つのストリームがT接合部において接触させられ、検出チャネルに沿って並んで流れることを可能にされる。被検体は、これらのフローがチャネルに沿って進むにつれて、被検体流体からバッファ流体へ拡散する。著者たちは、いくつかの蛍光ラベリングがなされたタンパク質をテスト被検体として用い、これらのタンパク質の拡散が、接合部の下流にある測定位置において、蛍光顕微鏡検査によって検出される。記載されている方法は、単分散的な被検体溶液の分析に焦点を合わせている。
Yager他には、記録された実験上の拡散データから計算された拡散係数値が、検出チャネルの全体において流体が完全に展開された速度プロファイルを有するという計算における仮定に関係する誤差を含む、ということが注記されている。この仮定は、著者たちが説明するように、正しくない。事実として、流体の速度は、複数の流体が最初に接触する滞留点(接合部におけるゼロフロー領域)から、更に下流の地点における完全に展開された速度まで、チャネルに沿って加速することが観察される。流体フローの速度がより低いこの領域を補償するために、著者たちは、フローの展開を説明し定量化するための計算上の方法を説明している。著者たち自身が認めるように、これらの計算の解は粗いものであり、算出が遅く(計算時間は約1日)、いわゆるフロー展開領域における拡散効果の大きさに関する知識を与えてくれるに過ぎない。これから、記録されたデータから計算された拡散係数はT接合部における流体の滞留を適切に補償することはない、ということが導かれる。
米国特許出願公開第2006/263903号には、サンプルである溶質の分子量と拡散性とを決定するために、プラス(+)の形状を有するマイクロチャネルネットワークを用いることが記載されている。この場合、単一の被検体流体フローが、交差点において、単一のブランク流体フローと接触させられる。これらのフローは後で分離され、それぞれのフローが、別個の出口チャネルによって接触領域から離れる。接触領域においてブランク流体フローの中に拡散した被検体の量は、被検体とブランクとの流体の異なる流量の範囲に応じて決定される。被検体の拡散性と分子量とは、記録された拡散プロファイルと、標準的な分子の拡散から生成される拡散性プロファイルのデータセットとを比較することによって、決定される。記載されている方法は、単分散的な被検体溶液の分析に焦点を合わせている。
この技術分野においては、流体チャネルにおける種のテイラー分散に基づいて拡散特性を決定する、別の流体方法も知られている。例えば、米国特許出願公開第2011/264380号には、多分散的な種の流体力学的半径を決定するための方法が、記載されている。分析対象の種は、単分散的な標準と混合される。結果として得られる混合物は、毛細管に沿って流れる搬送流体に加えられ、それが毛細管を出る際に、混合物のテイラープロファイルが記録される。
米国特許出願公開第2011/264380号には、テイラー分散法は、多分散的な混合物には適さないと注記されている。その理由は、得られる結果が、混合物におけるそれぞれの成分の個別的な寄与ではなく、混合物の巨視的性質を反映する平均的な信号に過ぎないから、とされる。米国特許出願公開第2011/264380号は、多分散的サンプルの内部的なものであって平均的な信号に既知の寄与を提供する内部的な標準を用いることにより、この点に部分的対処を行う。例えば、多分散ポリマー製品が分析される場合には、モノマー前駆体である内部的標準が存在し得る。すると、全体的な信号への多分散種の寄与が推論され得るのであって、多分散種の平均流体力学的半径が決定され得る。しかし、この方法は、多分散混合物に対する平均流体力学的半径を提供することができるだけである。更に、テイラー分散を基調とする方法は、拡散の時間分解された測定を必要とするのであるが、これは、Yager他による[11]に記載された定常状態法と比較すると、感度がより低いのが典型的である。
本発明の発明者たちは、フローチャネルにおける成分拡散を分析する問題を考慮する分析方法を発展させたのである。
本発明は、概して、複数成分の多分散性混合物を含む成分の拡散係数を決定するための方法を提供する。特に、本方法は、混合物の中のある成分の、好ましくは2つまたはそれより多くの成分の、流体力学的半径を決定するのに用いられ得る。本発明は、特に、タンパク質混合物などのポリマー混合物を分析するのに適している。また、分析方法において用いるための流体デバイスも提供される。
本発明の方法およびデバイスは、既存の方法よりも改善された精度で、成分の拡散係数と流体力学的半径とを決定するのに用いられ得る。いくつかの態様では、本発明の方法およびデバイスは、マイクロチャネルにおける流体の滞留という問題に対処し、滞留点から延びるフロー展開領域を最小化することにより、安定的なフローが短縮された時間で形成されることを可能にする。
本発明の方法によると、1つまたは複数の成分の拡散を、時間の経過と共に測定することが可能になる。このようにして、本方法は、流体の組成における変化を研究するのに用いられ得るし、より詳しくは、ある成分ともう1つの同一の成分または異なる成分との間の相互作用を研究するのに用いられ得る。例えば、本発明は、ポリペプチドの凝集など、流体における成分の凝集をモニタするのに用いられ得る。時間経過による混合物の拡散プロファイルの変化は、成分の凝集体の生成および分離を追跡するのに用いられ得る。
拡散法を用いることの更なる一般的な利点は、その本来の状態で、タンパク質などの生体分子を研究する機会が得られることである。
本発明の第1の態様では、1つまたは複数の成分の拡散係数を決定するための方法が提供され、この方法は、
(i)1つまたは複数の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
(ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
(iii)断面積の大きなチャネルにおいてフロー(i)をフロー(ii)と接触させ、2つの層流を生成する工程と、
(iv)(iii)において生成された層流が、断面積の大きなチャネルから断面積の小さなチャネルの中へ流れることを可能にする工程と、
(v)断面積の小さなチャネルにおいて、成分フローからブランク流体フローへの1つまたは複数の成分の側方拡散を測定する工程と、
を備える。
一実施形態では、この方法の工程(i)は、2つまたはそれよりも多くの成分を含む成分流体フローを提供する。一実施形態では、成分流体フローとブランク流体フローとは、水性フローである。
一実施形態では、2つのブランクフローが工程(ii)において提供され、これら2つのブランクフローは、断面積の大きなチャネルにおいて成分フローの両側に提供され、それによって、工程(iii)では、断面積の大きなチャネルにおいて3つの層流を生成する。
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様の方法において用いられるための流体デバイスが提供され、このデバイスは、上流にある2つの供給チャネルと流体的に連通している断面積の大きなチャネルと、断面積の大きなチャネルと流体的に連通している下流にある断面積の小さなチャネルと、を備えている。
供給チャネルは、本発明の第1の態様の方法において、成分流体フローとブランク流体フローとのために提供され得る。流体デバイスは、流体フローにおける1つまたは複数の成分を検出するための分析デバイスと共に用いられるように構成されている。分析デバイスは、断面積の小さなチャネルにおける1つまたは複数の成分の拡散を測定する際に、用いられるためのものである。
複数の成分が流体に存在する場合に、本明細書で説明される方法によると、複数の成分の混合物に対する平均拡散係数ではなく、それぞれの成分の拡散係数を決定することが可能になる。記録されている拡散プロファイルの逆たたみ込み演算が、異なる拡散時間における複数の拡散プロファイルを記録することによって達成され得る。これは、記録されたデータにおけるノイズレベルを低減するという利点を有する。
本発明の第3の態様においては、1つまたは複数の成分の拡散係数を決定するための方法が提供される。この方法は、
(i)1つまたは複数の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
(ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
(iii)チャネルにおいてフロー(i)をフロー(ii)と接触させ、2つの層流を生成する工程と、
(iv)例えば3つまたはそれよりも多くの拡散時間などの、複数の拡散時間における成分フローからブランク流体フローへの1つまたは複数の成分の側方拡散を測定する工程と、
を備える。
複数の拡散時間の参照とは、フローチャネルに沿った異なる位置で記録された側方拡散測定の参照である。よって、第2の測定点は、チャネルにおいて、第1の測定点より下流に配置され得る。更なる測定点は、チャネルにおいて更に下流の位置に配置され得る。
一実施形態では、この方法の工程(i)は、2つまたはそれよりも多くの成分を含む成分流体フローを提供する。よって、ステップ(iv)は、複数の拡散時間において成分フローからブランク流体フローへの2つまたはそれよりも多くの成分の側方拡散を測定する工程を備える。
一実施形態では、成分流体フローとブランク流体フローとは、水性フローである。一実施形態では、工程(ii)において、2つのブランクフローが提供され、工程(iii)において、これら2つのブランク流体フローが断面積の大きなチャネルで成分フローの両側に提供されることにより、3つの層流を断面積の大きなチャネルで生成する。
一実施形態では、この方法は、成分に対する拡散係数値が工程(iv)の側方拡散測定から決定され、オプションとして、流体力学的半径が拡散係数値から決定される工程(v)を更に備える。
一実施形態では、工程(v)は、工程(iv)からの1つまたは複数の成分の測定された側方拡散プロファイルと、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布と、を比較し、それによって、1つまたは複数の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える。
一実施形態では、工程(v)は、工程(iv)からの1つまたは複数の成分の測定された側方拡散プロファイルに、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布に関する最大エントロピー正則化アプローチを用いて逆たたみ込み演算を行い、それによって、1つまたは複数の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える。この実施形態では、最小自乗法が用いられ得る。既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布は、一連の予測された分布であり得る。
本発明の更なる態様では、複数の成分を含む流体の組成を決定する方法が提供される。この方法は、
(i)複数の成分を含む流体に対する1つまたは複数の測定された拡散プロファイルを提供する工程と、
(ii)既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の予測される分布を提供する工程と、
(iii)1つまたは複数の成分の測定された側方拡散プロファイルに、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布に関する最大エントロピー正則化アプローチを用いて逆たたみ込み演算を行い、それによって、1つまたは複数の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程と、
を備える。
一実施形態では、流体の組成を決定するこの方法は、流体におけるそれぞれの成分の流体力学的半径に基づいて、組成プロファイルを提供する。
工程(i)における測定された拡散プロファイルは、本発明の第1または第3の態様による方法によって取得されるか、取得可能とすることができる。
本発明の更なる態様では、1つまたは複数の成分を含む流体の組成における変化を分析するための方法が提供される。この方法は、第1の時間において流体から第1のサンプルを採取し、本発明の第1または第3の態様による分析を実行し、それによって、第1の時間における流体の組成を決定する工程と、第1の時間よりも後の第2の時間において流体から第2のサンプルを採取し、本発明の第1または第3の態様による分析を実行し、それによって、第2の時間における流体の組成を決定する工程と、を備える。
この方法は、後の時刻において第3および第4などの更なるサンプルを採取する工程と、第1または第3の態様による分析を実行する工程と、を備え得る。この方法によると、成分の凝集体の生成を検出することが可能であり、また、成分の分離を検出することが可能である。反応速度は、その結果から決定され得る。
本発明の他の態様と本発明の様々な実施形態とが、本明細書において説明される。
使用されている本発明の一実施形態による流体デバイスの一部の図解であり、ノズルにおける成分流体フロー(この場合は、水中のウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin)とβラクトグロブリン(Beta Lactoglobulin)との混合物)の分布と、測定チャネル(断面積の小さなチャネル)に沿った1mm、3mmおよび9mmにおける3つの測定領域と、を示す画像が伴っている。ブランクフロー(黒色)が、成分フロー(白色)の両側に提供される。 図1bの図解の平面図である。 図1の流体デバイスの、25nmおよび100nmの半径を有しており蛍光によりラベリングされた成分(コロイド)の50:50の混合物(体積では0.1%)を用いた較正に関するグラフを含む。A:サイズスペクトルが、記録された分布データの最小自乗法によって、最大エントロピー正則化を用いて、生成され(ボトムスペクトル)、これらのコロイドのそれぞれの均一な溶液のサイズスペクトル(トップおよびトップスペクトルから2番目のスペクトル)と比較される。また、ここには、3つの測定点(ボトムスペクトル)と単一の測定点(ボトムスペクトルから2番目のスペクトル)とにおいて記録されたデータから生成されたサイズスペクトルの間での比較が示されている。複数の測定点を用いることにより、より高い精度とより高い分解能とを有する分解スペクトルが提供される。B:チャネルに沿った1mm、3mmおよび9mmにおける3つの異なる測定点での成分混合物の分布と、最小自乗アルゴリズムによって生成されたこれらの分布への適合とが示されている。 120分の間にモノマーから成長するAβ(1−42)凝集体のサイズ分布を示している。A:時間経過に伴うThT蛍光の強度であり、サンプルの一部は、いかなる凝集の前である0分の時点と、成長フェーズの前および間である30分および50分の時点と、モノマーが使い尽くされた後である120分の時点と、において採取された。B:最大エントロピー正則化と共に最小自乗適合化を用いて見いだされるサイズ分布である。溶液は、当初はモノマー的であり、オリゴマーを形成する前はフィブリルであり、最終的には、肉眼的なフィブリル「クランプ」である。 左から300μm、1,000μmおよび3,000μmの幅を有する3つの異なるノズルまたは断面積の大きなチャネルにおいて1つの成分流体フロー(白)と2つのブランク流体フロー(黒)とが接する接合部を示す。ここで、幅とはノズルにおける最大の断面積を指しており、接合部における成分流体フローの幅(すなわち、30μm、100μmおよび300μmの幅を有する)の10倍である。断面積の大きなチャネルのために、接合部における停滞時間(滞留時間)が短縮された清浄で画定された成分フローが確立されることが可能になる。流量は4μLh−1であり、成分は半径が25nmのコロイドである。 マイクロ流体の拡散分光測定の分解能の数値的評価を示す。ここで、(A)は、ランダムノイズのレベルが変動する単一種を分解するときの単一ピークの位置の部分誤差であり、(B)は、ランダムノイズの変動するレベルで分解される前の2つの種の間の最小部分差である。 流体力学的半径として表現されたサイズ分布を示している。ここで、Aはグルカゴン(Glucagon)、Bはβラクトグロブリン、CはBSAであり、これらは、個別的な均一の溶液の中にあり、Dは、すべての3つの種の1:1:1の混合物である。サンプルは、倒立顕微鏡上のLED光源を用いて365nmにおいて照射され、量子収率の高いCCDカメラを用いて検出された。サンプルの定常状態分布の測定は、継続時間が10秒であった。出口における全流量は、40μLh−1であった。 本発明の方法から決定された、pH7のバッファおよび80%のDMSOの溶液におけるBSAの流体力学的半径を示す。 (a)は、精製されたαBクリスタリンのSDS−PAGE分析を示す。変性条件の下で生じる約20kDaに対応する帯域は、純粋にモノマー的なαBクリスタリンに対する20,159Daという予測される分子量と一致する。(b)は、未処理およびOPAラベリングされたαBクリスタリンのMALDI−MS分析である。OPAラベリングの際に生じるm/zシフトは、2,200Daにほぼ対応する。ラベル修正当たり176Daという質量の増加が与えられると、その結果として、αBクリスタリンの分子当たり11アミン(10の第1級アミンと、1つのN末端アミン)の完全なラベリングが確認される。 (a)は、本発明の流体装置における30μMのαBクリスタリンの拡散プロファイルを示す。チャネル位置を横軸として、蛍光強度の実験データ(実線)と関連する適合(破線)とが、1、3および9cmという3つの測定点における拡散データに対して示されている。これら3つの測定点では、90μmのチャネル位置におけるトップからボトムへのプロファイルが、1、3および9cmのプロファイル測定に対応する。(b)は、30μMのαBクリスタリンのサイズ分布である。これら2つの母集団は、モノメリックな、およびオリゴメリックなαBクリスタリンを表す。 DLS(暗い線)と本発明のマイクロ流体デバイス(明るい線)とを用いて測定された30μMのαBクリスタリンのサイズ分布を示している。拡散分光測定法により、オリゴマー種(6nm前後)だけでなく、小さなサイズの種(2nm前後)の検出も可能になった。DLSは、もっぱら、αBクリスタリンのオリゴマー形式を反映する幅の広いサイズ分布のピーク(8nm前後を中心とする)を明らかにする。 (a)は、αBクリスタリンを用いたタンパク質移行実験の電流トレースを示す。この実験は、50kHzのベッセルフィルタを用い、−500mVという負電圧で行われた。(b)は、移行実験における平均イベント電流とイベント継続時間との間の関係を示す2次元散乱プロットである。イベントの周波数は、側方にある目盛りに示された陰影によって示されている。 本発明による拡散分光測定法によって測定された、(a)15μM、(b)30μM、(c)50μMおよび(d)125μMのモノメリックなタンパク質濃度における、αBクリスタリンのサイズ分布を示す。 本発明による拡散分光測定法によって測定された、(a)15nmおよび(c)50nmの押出半径と、(e)これら2つの1:1の混合物と、を有するリポソームのサイズ分布を示す。それぞれのプロファイルは、拡散チャネルに沿った異なる測定点における拡散を表す(90μmのチャネル位置におけるトップからボトムへのプロファイルが1、3および9cmのプロファイル測定に対応する1、3および9cmにおいて)。すべての3つの測定点に対して、マイクロチャネルに亘る蛍光強度プロファイルが、対応する最小自乗適合(実線)と共に示されている(破線)。DLS(暗い線)とマイクロ流体拡散(明るい線)と共に測定されたものとして、(b)15nmおよび(d)50nmの押出半径と、(f)これら2つの1:1の混合物と、を有するリポソームのサイズ分布を示す。約4nmにおけるピークが、フリーなラベリングされた脂質に対応する。拡散分光測定法による測定だけが、この種を同定する。
本発明は、ある流体フローから別の流体フローへの成分の拡散を分析するための方法を提供する。本発明の発明者たちは、標準的なT接合型フローデバイスに変更を加えると、より高い精度で成分の拡散を測定することが可能になることを見出した。特に、本発明の発明者たちは、複数の流体を接合部で接触させるときに、それらの流体の滞留を最小化または除去する方法を見出した。
本明細書で説明されるように、本発明の発明者たちは、成分フローとブランクフローとが接触する接合部において断面積の大きなチャネルを用いることが、拡散分析に対する流体の滞留の悪影響を最小化することを見出した。以下で説明されるように、断面積の大きなチャネルは、例えば、拡散の測定が行われる下流のチャネル幅よりも10倍大きな幅を有する領域にあり得る。本発明の発明者たちは、断面積の大きなチャネルが清浄で画定された成分フローを接合部において提供する、ということを確認した。従って、本発明の発明者たちは、成分の拡散を測定するために、断面積の大きなチャネルを流体デバイスに導入した。断面積の大きなチャネルの下流には断面積の小さなチャネルがあり、この断面積の小さなチャネルは、検出チャネルである。
断面積の大きなフローチャネルを用いることで、複数の長所が提供されると考えられる。第1に、与えられた流量に対するフローの速度が相対的により低いため、フローが確立される領域が短縮される。第2に、フローの小さなチャネルへの接合部の相対的なサイズが減少するため、より少ない割合の成分が、フローがゼロの領域に入る。第3に、チャネル幅をwとすると、速度が1/w1/2に比例して変化することにより拡散距離がw1/2に比例して変化するため、拡散の正味の効果は低下する。
これら3つの効果の結果は、成分フローとブランクフローとが断面積の小さなチャネルに入ると、成分フローにおける成分に対して明確な初期設定が提供される、ということである。従って、フローの大きなチャネルを用いることは、例えば拡散測定が行われる幅の狭いチャネルなど、下流にあるチャネルにおいて一定の速度プロファイルが確立される前に、粒子の拡散を最小化する効果的な方法である。
本発明の方法は、成分フローから隣接するブランクフローへの成分の側方拡散を測定する工程を備える。これらの測定から、最終的には、サンプルにおける成分の拡散係数を決定することが可能である。ある成分または複数成分の混合物の拡散係数を単一の測定から決定することは可能であるが、本発明の発明者たちは、断面積の小さなチャネルに沿った複数回の拡散の測定が正確な拡散係数の値を提供する、ということを見出した。
成分フローが2つまたはそれよりも多くの成分を含む場合には、拡散係数の組合せに関する逆変換における近接縮退性を考慮すると、単一の拡散プロファイルの逆たたみ込みは特に困難である。個々の成分の分解を達成するために、ブランクフローの中への成分の拡散的な拡がりが、例えば3つまたはそれよりも多くの位置など、複数の位置において測定される。従って、それぞれの測定が、異なる拡散時間に対応する。複数の拡散プロファイルを用いることにより、基礎関数の間の縮退が減少する。本発明の発明者たちは、複数の測定点を用いることが、より高い精度を有し(すなわち、成分の予測されるサイズと流体における成分の実際のサイズとが、より近く一致する)、より高い分解能を有する(例えば、より近い半径を有する成分が区別可能となる)、分解されたサイズのスペクトルを提供する、ということを確認した。
本発明のフロー方法により、成分の空間的分布を、異なる拡散時間において同時に測定することが可能になる。このようにして、複雑な混合物において個別の成分の拡散係数の分布のスペクトルを完全に分解することが可能である。これにより、本発明は、多分散系の成分の混合物に対する平均の拡散係数の値を提供するだけの上述の方法を超えることになる。
小さな流体チャネル、特に、マイクロ流体チャネルを用いることにより、非常に小さなサンプルの体積が、分析され得る。よって、1マイクロリットル未満の体積の流体に提供された成分が、本明細書において説明される方法によって分析され得る。更に、流体フロー技術は、また、測定回数を適切に増加させることにより、非常に希薄なサンプルを分析するのにも用いることが可能である。
更に、拡散分光測定法のアプローチは、フローにおいて用いられている溶媒状態の性質に対して極めて感度が低い。従って、その本来の状況の下でタンパク質などの生体分子を研究することが可能である。このようにして、拡散測定は、生体成分に対する絶対的なサイズ値を提供することが可能であり、分析が、異なる条件下で取得されたサイズ測定を本来の条件下で予測されるサイズに変換する較正工程を含むことが不要である。
異なるサイズのチャネルを有するマイクロデバイスが知られているが、そのようなデバイスは、チャネルの全体に亘って1つまたは複数の成分の拡散を測定するのに用いるのに適さない。本発明の発明者たちは、断面積の大きなチャネルにおいて層流を展開させ、それに続いて層流を断面積の小さなチャネルの中へ送ることにより、層流の全体に亘る成分の移動を研究するための改善された方法が提供される、ということを見出した。
欧州特許第1,481,723号には、流体を混合して反応させる際に用いるためのマイクロデバイスが記載されている。このマイクロデバイスは、同心円状の複数の円筒構成に配置されている一連の流体供給通路を備えている。流体はデバイスの同心円状のチャネルの内部を流れ、これらのフローは反応フロー経路において相互に結合することが可能にされて、薄い層状の層流を形成する。下流では、反応フロー経路の幅は、フローを収縮させるために縮小される。
欧州特許第1,481,723号には、複数の層流の間での成分の移動を測定するための方法は記載されておらず、これらの成分の拡散係数を決定するための方法も記載されていない。欧州特許第1,481,723号のデバイスにおけるチャネルの配置は、すべての成分の一方のフローから他方への急速な拡散を可能にするようになっており、これは、短時間ですべての成分の均一な分布を達成する目的を有する。これは、均一でない反応経路を回避するために重要であるといわれている。拡散係数を測定するためのデバイスの内部では、すべての種の急速な拡散は望ましくない。その理由は、そのような拡散があると、異なるサイズ(すなわち、異なる拡散係数)を有する複数の成分の間で区別することが不可能になるからである。更に、急速な拡散によると、成分がチャネルのエッジまで拡散する前に拡散の測定を行うことができないことがある。従って、欧州特許第1,481,723号が教示する内容は、改善された拡散測定システムの開発には関連しない。
<拡散>
ブラウン運動を経験する粒子によって示される平均自乗変位は、その拡散係数Dに正比例し、その流体力学的半径rに逆比例する。このアインシュタインの関係式によると、分子サイズの単純な概算を平均自乗変位から取得することが可能になる。溶液の中に異なる拡散係数をそれぞれが有する複数の種の混合物が存在するときには、状況はより複雑である。
結果として得られる拡散プロファイルの形状は、溶液中に存在するすべての種の流体力学的半径の完全なスペクトルに関する情報を線形重ね合わせとして含むものと見なすことができる。しかし、そのようなプロファイルの、離散的な種に対応するガウス・ワイエルシュトラス・カーネル(Gauss-Weierstrass kernels)の和への逆変換は、実験上のノイズに大きく左右される。結果的に、このアプローチは、異種の混合物における測定の基礎としては、汎用的実用性を有しない。
この困難を克服するために、本発明の発明者たちは、当初は(成分流体フローの内部に)空間的に局所化されていた被検体成分が断面積の小さなチャネルを横切ってブランク流体フローへ拡散する際に、被検体成分のブラウン運動の結果である拡散プロファイルが、複数の拡散時間に対して同時に測定されることを可能にするアプローチを開発した。
本発明の一態様は、断面積の大きなチャネルを用いることに関係するのであるが、これが、成分フローとブランクフローとが最初に接触する接合部におけるゼロフロー問題に対処するのである。断面積の大きなチャネルの利点は、それによって、明確な初期設定に成分が強制されるということである。成分をこのように正確に位置決めすることで、記録された拡散データが予測される拡散プロファイルをより良く表現することが保証される。
本発明の更なる態様は、第1の態様と効果的に組み合わせることも可能であるが、拡散チャネルに沿って複数の分析測定点を用いるということである。異なる複数の拡散時間で拡散を測定することにより、基礎となる機能の間の縮退が減少して、より高精度かつより確実に拡散係数を決定することが可能になる。
本発明の方法の全体的な態様として、成分が、断面積の小さなチャネルにおいて、成分フローからバッファフローに移動することが可能にされる。これは、チャネルを横切っての成分の側方移動と称することができる。
一実施形態では、成分濃度が高い領域である成分フローから、成分濃度が低い領域であるバッファフローへ、成分が拡散することが可能にされる。この場合、成分の移動とは、単に、拡散的な輸送である。
別の実施形態では、成分フローからバッファフローへの成分の移動は、印加された電場への応答である。よって、この拡散は、成分の電気泳動的拡散と称され得る。チャネル内部での成分フローは、印加された電場への応答として偏向される。偏向の程度は、印加された電場と、成分の正味の電荷と、に関係する。異なる電荷を有する成分は、印加された電場に応答して異なる偏向により、チャネルを横切って分離され得るということが理解されるであろう。この実施形態では、フローの展開領域を最小化することも効果的である。その理由は、これによって流体の滞留が最小化されるからである。(電気泳動的な拡散プロファイルから)印加される電場と偏向の程度とを知ることで、当業者であれば、流体における電気泳動的な移動度と成分の電荷とを決定することが可能である。
マイクロ流体デバイスにおける電気泳動的拡散技術の汎用的使用は、Herling他による[37]に記載がある。
本発明の方法は、チャネルに亘る成分の側方移動を可能にする他の技術と共に用いるのに適している。これは、広い意味での拡散と称され得る。一実施形態では、拡散とは、上述した拡散的な輸送を指す。
<一般的方法>
本発明の第1の態様の方法は、概して、溶液において、ポリマーなどの1つまたは複数の成分の拡散係数を決定することを対象とする。1つまたは複数の成分を含む流体フローを、断面積の大きなチャネルにおいて、ブランク流体フローと接触させる。断面積の大きなチャネルから断面積の小さなチャネルへ、層流が流れることを許可する。ブランク流体フローの中への1つまたは複数の成分の側方拡散が、断面積の小さなチャネルに沿った1つまたは複数の位置で測定される。1つまたは複数の拡散プロファイルから、1つまたは複数の成分の拡散係数ならびにサイズおよび/または分子量を決定することができる。
断面積の大きなチャネルと断面積の小さなチャネルとは、流体デバイスの一部である。流体デバイスは、成分に対する検出器と共に用いられるように構成されている。
それぞれのフローの流量(flow rate)は、分析工程の間、実質的に一定のレベルに維持される。分析は、断面積の小さなチャネルにおいて安定的なフローが確立されるときにのみ行われ得る。
本発明の第3の態様の方法は、概して、溶液において、ポリマーなどの1つまたは複数の成分の拡散係数を決定することを対象とする。1つまたは複数の成分を含む流体フローを、チャネルにおいて、ブランクフローと接触させる。1つまたは複数の成分の拡散が、チャネルに沿った複数の位置で測定される。複数の拡散プロファイルから、1つまたは複数の成分の拡散係数ならびにサイズおよび/または分子量を決定することができる。
チャネルは、流体デバイスの一部である。流体デバイスは、チャネルにおける複数の位置で成分に対する検出器と共に用いられるように構成されている。チャネルは、ブランクフローおよび成分フローへの供給チャネルと流体的に連通している。
それぞれのフローの流量は、分析工程の間、実質的に一定のレベルに維持される。分析は、チャネルにおいて安定的なフローが確立されるときにのみ行われ得る。
本発明の他の態様では、成分流体における成分の全濃度を決定するために、流体デバイスが用いられ得る。この場合、記録された拡散信号(本明細書で説明されている方法によって取得される)の強度が、成分の全濃度を直接に取得するのに用いられ得る。いくつかの実施形態では、正確な濃度表示が得られることを可能にするために、追加的な試薬を提供することが必要な場合があり得る。例えば、成分流体がポリペプチドを含む場合には、分析のための測定に先立ってプリペプチドを変性させることが有益であり得る。DMSOなどの変性剤が、この目的のために、バッファフローに提供され得る。
他の態様は、当該成分を含む流体の複数のサンプルを採取し、それぞれのサンプルに対する拡散プロファイルを取得することにより、時間経過に伴う凝集および分離などの成分の変化(または変化のない状態)をモニタすることを対象とする。時間経過に伴う拡散プロファイルの変化は、凝集または分離イベントを示し得る。
流体デバイス
<流体デバイス>
本発明の第1の態様の方法は、断面積の小さなチャネルと流体的に連通する断面積の大きなチャネルを備えた流体デバイスを利用する。大きなチャネルと小さなチャネルとのそれぞれの断面積は、マイクロメートルの範囲にあるのが典型的であり、従って、本発明の第1の態様の方法で用いるための流体デバイスは、マイクロ流体デバイスと称され得る。
本発明は、また、本明細書において説明されるマイクロ流体デバイスを提供する。
成分フローとブランクフローとを保持するためにマイクロ流体チャネルを用いることにより、これらのフローが低いレイノルズ数で生じ、結果的に、対流と拡散とがシステム内部での質量輸送の唯一の適切な機構であることが保証される。従って、これにより、与えられたサイズのそれぞれの成分に対して正確な数値計算が実行されることが可能になる。
デバイスにおけるチャネルの全体的な寸法は、合理的な移動速度と分析時間とを提供するように選択される。また、デバイスの寸法は、十分な分析の実行に要求される流体の量を減少させるように、選択することもできる。
断面積の大きなチャネルと断面積の小さなチャネルとは、その内部を2つ(または3つ)のストリームで構成される層流の生成および維持を可能にするのに適切な寸法を有するチャネルである。2つのストリームで構成される層流とは、フローが並んでいて安定的であることを意味する。よって、典型的には、流体が再循環するような領域は存在せず、乱流は最小限である。典型的には、そのような条件は、マイクロチャネルなどの小さなチャネルによって提供される。
分散的な測定で用いられるデバイスは、この技術分野で広く知られており、例えば、Yager他による[11]に記載されている。本発明の発明者たちは、そのようなデバイスの接合部に断面積の大きなチャネルを導入したのである。
断面積の大きなチャネルとは、成分溶液のフローがブランク溶液のフローと接触させられる領域である。そして、これらのフローは、断面積の大きなチャネルによって、断面積の小さなチャネルに方向付けられる。ブランクフローへの1つまたは複数の成分の拡散がモニタされるのは、断面積の小さなチャネルにおいてである。断面積の大きなチャネルは、断面積の小さなチャネルと流体的に連通している。
断面積の大きなチャネルは、ブランク流体の供給のために、1つまたは複数の貯留槽と流体的に連通している。断面積の大きなチャネルは、成分流体の供給のために、貯留槽と流体的に連通している。流体は、供給チャネルによって、貯留槽から断面積の大きなチャネルに提供され得る。よって、このデバイスは、成分流体フロー供給チャネルとブランク流体フロー供給チャネルとを備え得る。
本明細書においてチャネルに言及する場合には、実質的に矩形の断面を有するチャネルを言及している。よって、チャネルは、実質的に平坦な基部と、そこから実質的に垂直方向に延在する壁部と、オプションとしての頂部カバーと、から形成され得る。典型的には、基部と壁部とは、シリコーン基板として形成される。カバーは、例えば標準的なガラススライドまたはホウケイ酸塩のウエハなどの、ガラスカバーであってもよい。
断面積の大きなチャネルは、収束ノズルと称され得る。断面積の大きなチャネルは、実質的に一定の最大幅を有する領域と、それよりも下流にあって断面積の小さなチャネルの幅に一致するまでチャネルの幅が狭くなる収束領域と、を有し得る。
あるいは、断面積の大きなチャネルは、断面積の小さなチャネルの幅に一致するまでチャネルの幅が最大幅から狭くなる収束領域だけを備えていてもよい。
収束領域が狭くなる比率は、一定であり得る。収束領域が狭くなる(ノズルの角度を狭くする)正確な比率は、特に限定されることはない。その理由は、狭くするのは、通常、成分フローから遠く離れているからである。しかし、本発明の発明者たちは、概して、40°から70°の範囲(50°から70°、55°から65°など)にある角度を有するノズルを見いだした。ここで、角度とは、広い断面積を有するチャネルにおける成分フローの流れる方向に対する角度である。
幅に言及する場合には、チャネルにおける拡散の寸法(これは、いくつかの従来技術に関する参考文献では、dと称されている)に言及している。
断面積の大きなチャネルの最大幅wは、断面積の小さなチャネルの幅よりも大きい。一実施形態では、断面積の大きなチャネルには、断面積の小さなチャネルの幅よりも小さな幅を有する断面は存在しない。一実施形態では、断面積の大きなチャネルの最小幅が、断面積の小さなチャネルの幅と同じである。断面積の大きなチャネルの最大幅wは、最大で500μm、最大で700μm、最大で1,000μm、最大で2,000μm、最大で5,000μm、または、最大で10,000μmであってもよい。
一般的に、10,000μmよりも大きなチャネル幅は実際的ではない。その理由は、典型的にはPDMSであるデバイスを作製する材料が沈下する蓋然性が高いからである。断面積の大きなチャネルの最大幅wは、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、または、少なくとも500μmであり得る。一実施形態では、断面積の大きなチャネルの最大幅は、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、この幅は、200から5,000μm(の範囲200から1,000μm、1,000から5,000μmなど)にあり得る。
断面積の大きなチャネルの長さは、最大で500μm、最大で700μm、または、最大で1,000μmである。断面積の大きなチャネルの長さは、少なくとも10μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、または、少なくとも200μmである。一実施形態では、断面積の大きなチャネルの長さは、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、この長さは、50から500μmの範囲(100から500μmなど)にあり得る。
断面積の大きなチャネルが、実質的に一定の最大幅の領域と、その幅が断面積の小さなチャネルの幅に収束する下流の領域と、を備えている場合には、実質的に一定の最大幅の領域は、断面積の大きなチャネルの全体の長さの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または、少なくとも90%であり得る。
断面積の小さなチャネルは、その長さ全体を通じて実質的に一定の幅を有する。
断面積の小さなチャネルの幅は、最大で500μm、最大で700μm、最大で1,000μm、または、最大で2,000μmであり得る。断面積の小さなチャネルの幅は、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、または、少なくとも200μmであり得る。一実施形態では、小さな断面積の幅は、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、この幅は、10から500μmの範囲にあり得る。
一実施形態では、断面積の大きなチャネルの最大幅は、断面積の小さなチャネルの幅の少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、または、少なくとも10倍である。一実施形態では、断面積の大きなチャネルの最大幅は、断面積の小さなチャネルの幅の最大で20倍、最大で50倍、最大で100倍である。一実施形態では、断面積の小さなチャネルに対する断面積の大きなチャネルの最大幅は、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、断面積の大きなチャネルの最大幅は、断面積の小さなチャネルの幅の5から20倍の範囲にあり得る。
断面積の小さなチャネルの長さは、ブランクフローに対する境界を形成するチャネルエッジへの成分フローにおける最大成分の拡散が可能になるのに適した長さであり得る。よって、これらの流体フローが断面積の小さなチャネルの端部に到達する時間までには、成分フローに存在するすべての成分は、最大のエントロピー構成に到達している。
別の実施形態では、断面積の小さなチャネルは、ブランクフローにおける最大成分の検出が可能になるのに十分な長さを有する。この場合には、最大成分が、その最大エントロピー構成に到達することは必要ない。
断面積の大きなチャネルの長さは、ブランク流体フローと成分流体フローとが接触する点から断面積の大きなチャネルのチャネル幅が断面積の小さなチャネルのチャネル幅と一致する点までの距離である。
断面積の小さなチャネルは、ブランク流体フローと成分流体フローとを断面積の大きなチャネルから受け取る。断面積の小さなチャネルから出る流体を、更なる分析のために収集することがあり得る。よって、断面積の小さなチャネルは、サンプル収集貯留槽と流体的に連通している。
断面積の小さなチャネルの長さは、最大の分子がそのフローからブランクフローに拡散することを可能にするのに十分である。本明細書で説明している分子量を有するポリマーについては、断面積の小さなチャネルの長さが1mmまたはそれよりも長ければ、一般的に十分である。一実施形態では、断面積の小さなチャネルは、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、または、少なくとも5mmの長さを有する。一実施形態では、断面積の小さなチャネルは、最大で10mm、最大で20mm、または、最大で50mmの長さを有する。一実施形態では、断面積の小さなチャネルの長さは、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、断面積の小さなチャネルの長さは、0.5から50mmの範囲(1から20mmなど)にあり得る。
流体のフローは、断面積の小さなチャネルの長手方向軸に沿った方向である。成分フローからブランクフローへの成分の拡散は、フローの長手方向軸を横断する方向であって、チャネルの幅を横切る方向である。
断面積の小さなチャネルは、実質的に直線的であり、断面積の大きなチャネルと一致している。いくつかの実施形態では、断面積の小さなチャネルの少なくとも一部が、旋回されている。よって、断面積の小さなチャネルは、例えば、回転または一連の回転を含み得る。旋回状の幾何学的形状を用いることにより、デバイスのサイズを最小化することが可能になる。旋回した経路を用いることで、単一の検出領域の内部に複数のフローチャネルを提供することも可能になる。単一の検出領域において、(異なるフロー距離、従って、異なる拡散時間に対応する)複数のチャネルが、検出器を横断して通過することにより、複数回の同時的な測定を行うことが可能になる。
断面積の小さなチャネルは、二次的な流体デバイスの流体チャネルと流体的に連通していてもよい。この二次的な流体デバイスとは、フローにおける成分の物理的または化学的性質を分析するためのデバイスであり得る。
よって、本発明は、他の複数の流体デバイスと共に、流体フローにおける成分に関する特徴的なデータを取得するのに用いられ得る。
マイクロ流体デバイスには、貯留槽と断面積の大きなチャネルとの間に流体的な連通を提供する供給チャネルを備えていてもよい。2つのブランクフローが断面積の大きなチャネルに提供される場合には、これらのブランクフローのそれぞれは、異なる貯留槽から独立して運ばれることがあり得る。しかし、これらの流体ブランクフローのそれぞれは、2つの供給チャネルを経由して断面積の大きなチャネルにリンクされている単一の貯留槽から提供されることがあり得る。
それぞれの貯留槽は、マイクロ流体デバイスの供給線に接続されているシリンジであり得る。このシリンジは、貯留槽から断面積の大きなチャネルへの流体の流量を不的確に制御することができる適切にプログラムされたコンピュータの制御の下にあり得る。そのようなデバイスの制御は、この技術分野で広く知られている。あるいは、それぞれの貯留槽にマイクロ流体デバイスの一部が提供される場合もあり得る。
他の実施形態では、1つまたは複数の貯留槽からの流体のフローは、重力供給方式であり得る。
本発明による流体デバイスであって、本明細書で説明されている方法において用いられる流体デバイスは、この技術分野で知られている標準的な技術を用いて準備され得る。よって、流体チャネルとオプションである流体貯留槽とを、シリコーン基板などの適切な基板に生成するのには、フォトリソグラフィが用いられ得る。Yager他による[11]に記載されている技術を、断面積の大きなチャネルと追加的なブランクフローチャネルとを適切な位置に導入することに適合するように、フォトリソグラフィのマスクに適切な調整を行って、用いることができる。
フォトリソグラフィ技術によって準備された流体チャネルは、例えば関連のチャネルへのアクセスを提供するために基板に穴を開け、流体のアクセスおよび出口ポートを提供することによって、完成させることができる。シリンジなどの外部貯留槽を用いて流体を直接に断面積の大きなチャネルまたは供給チャネルに供給する場合には、適切なマニホルドを用いることができる。
この流体デバイスは、断面積の大きなチャネルの中へのフローを制御し検出デバイスを管理するために適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータと共に用いられ得る。コンピュータは、また、記録されたデータを分析して、リアルタイムの拡散値を提供することができる。
このデバイスは、断面積の小さなチャネルにおける1つまたは複数の成分の側方拡散を測定するための検出器と統合するのに適している。
チャネルの深さは、チャネル幅に亘る被検体の拡散のための時間スケールを縮小する(よって、定常状態の溶液に近づくのに要する時間を短縮する)ように選択され得る。チャネルの深さは、最も深いチャネルと関連するアーチファクトを最小化または除去するように選択され得る(Yager他によるバイオフィジカル誌の論文を参照のこと)。チャネルの深さは、非常に浅いチャネルに関連するローディング問題および高い流体抵抗を最小化または除去するように選択され得る(同上)。
いくつかの従来技術文献では、チャネルの高さまたは深さは、幅wと称されている。
アスペクト比、すなわちチャネルの高さに対するチャネルの幅の比は、100以下、50以下、25以下、または、10以下であり得る。アスペクト比は、1以上、2以上、4以上、または、5以上であり得る。一実施形態では、アスペクト比は、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、アスペクト比は、5から100の範囲にあり得る。
一般的には、より大きな(例えば、4以上の)アスペクト比が好まれる。その理由は、完全に展開された速度プロファイルは、チャネルの高さに亘り放物線状であり、チャネルの幅に亘りほぼ鈍くなるからである(Yager他によるバイオフィジカル誌の論文を参照のこと)。
断面積の大きなチャネルおよび/または断面積の小さなチャネルにおけるチャネルの高さ(またはチャネルの深さ)は、既に論じた考察を除くと、特に制限されない。断面積の大きなチャネルと断面積の小さなチャネルとのチャネルの高さは、同じでもかまわない。チャネルの高さは、断面積の大きなチャネルと断面積の小さなチャネルとの全体を通じて実質的に一定である。一実施形態では、チャネルの高さは、少なくとも5μm、少なくとも10μm、または、少なくとも15μmである。一実施形態では、チャネルの高さは、最大で30μm、最大で50μm、最大で100μm、または、最大で500μmである。一実施形態では、チャネルの高さは、上述した上限値および下限値から選択された範囲にあり得る。例えば、チャネルの高さは、10から50μmの範囲にあり得る。
従来技術から知られているチャネルは、典型的には、10から100μmの範囲の深さを有する(Yager他による[8,11および12]を参照のこと)。既に述べたように、チャネルの深さは、適切なアスペクト比を提供するチャネルの幅との関係で選択され得る。
被検体の分析を実行するためには、層流を相互から分離することは必要ない。被検体の測定は、成分フローとブランクフローとの両方に亘って記録され得る。
本発明の第3の態様の方法は、ブランクフローと成分フローとのための供給チャネルに流体的に連通するチャネルを備えた流体デバイスを利用する。本発明のこの態様におけるチャネルの寸法は、本発明の第1および第2の態様の方法およびデバイスにおける断面積の小さなチャネルの寸法に対応し得る。
本発明のデバイスは、断面積の大きなチャネルに流体的に連通する供給チャネルを備え得る。それぞれの供給チャネルの寸法は、特に制限されておらず、断面積の小さなチャネルと類似または同一であり得る。一実施形態では、それぞれの供給チャネルは、断面積の小さなチャネルの幅よりも大きな幅を有する。一実施形態では、それぞれの供給チャネルは、断面積の小さなチャネルの幅よりも小さな幅を有する。
一実施形態では、この場合の方法は、電気泳動的な拡散を利用して、流体フローに亘る(例えば成分フローからバッファフローなど)成分の移動を可能にする。例えば、流体デバイスに、拡散チャネル(断面積の小さなチャネル)に隣接して配置された電極が設けられてもよく、これらの電極は、電圧および電流を制御するための電源およびコントローラと電気的連絡がなされるように構成され得る。流体チャネルにおいて成分の移動の方向を決めるのに適切な装置は、Herling他による[37]に記載がある。
<検出>
本発明のある方法は、流体チャネルに亘る1つまたは複数の成分の分布を決定する工程を備える。ポリマーのブランクフローの中への拡散が測定される態様については、特別な制限は存在せず、用いられる検出方法は、検出される成分の性質に基づき得る。
検出器は、流体フローチャネル、特にマイクロ流体チャネルと共に用いるのに適したものである。拡散検出方法は、この技術分野で広く知られており、例えば、Yager他による[11]に記載されている。例には、UV−vis、蛍光または発光分光法などが含まれる。
1つまたは複数の成分の分布は、断面積の小さなチャネルにおける1つの位置で決定され得る。しかし、特に2つまたはそれよりも多くの成分が存在する場合には、成分の分布は、断面積のより小さなチャネルに沿った2つまたはそれよりも多い、例えば3つ、4つまたは5つなどの位置で、決定され得る。既に述べたように、この方法は、幅の狭いチャネルの複数の位置で成分の拡散プロファイルを決定する工程を備え得る。
少なくとも1つの拡散測定が、ブランク流体フローへのそのデバイスの境界であるチャネルエッジまで成分フローの中の成分が拡散する前に、記録されるべきである。チャネルエッジまで最速で拡散する成分が、成分フローにおける最小の成分である。
未知の成分のサンプルについては、どの地点で最初の成分が境界エッジに到達するかを判断するために、トライアルフローを確立させることができる。最初の拡散測定は、従って、この地点よりも上流で行われ得る。
あるいは、最初の拡散測定は、断面積の小さなチャネルにおいて、非常に早い時点で実行することが可能である。
断面積の小さなチャネルに沿って複数回の拡散測定が行われる場合、そのチャネルに沿った2回目およびそれ以降の測定のそれぞれの位置は、特に限定されない。典型的には、以後の測定は、先行する測定に対して有益な差異を有する拡散プロファイルを与えるように、断面積の小さなチャネルに沿った十分に大きな距離において行われる。
本発明の方法では、成分フローとブランクフローとの層流が確立され、断面積の小さなチャネルにおいて提供される。層流が確立されると、断面積の小さなチャネルに沿って、ある勾配を有する拡散が提供される。従って、異なる拡散時間に対するデータが、断面積の小さなチャネルに沿った2つまたはそれよりも多くの位置における拡散プロファイルを分析することにより、同時に取得され得る。
本発明の方法は、ブランクフローを成分フローから分離することを必要としない。よって、1つまたは複数の成分の拡散プロファイルが、成分フローとブランクフローとが接触している間に測定され得る。
Yager他による[11]には、(単一の成分を有する)成分フローとブランクフローとを有するチャネルにおける単一の測定位置での拡散プロファイルの測定に関する記載がある。
米国特許出願公開第2006/263903号の流体システムでは、あるチャネル断面領域における接触期間の後で、ブランクフローが成分フローから迂回させられる。接触点にでは、成分フローの中の成分が、ブランクフローの中に拡散できる。別個のブランクフローが分析され、成分の量が定量化される。成分に対する拡散係数値を取得するために、ブランクフロー、成分フロー、またはその両者について、時間経過に伴って、様々な異なる流量で、複数回の測定を行うことが必要である。
分析に先だって、本発明の方法におけるそれらの検出を可能にするために、関心対象の成分にラベリングを行うことができる。このラベルは、例えば、標準的なUV−vis、蛍光または発光による分光法によって検出可能な化学物質のグループという形式を取り得る。
<成分および成分フロー>
本発明は、成分の拡散係数を決定し、従って、流体力学的半径を決定するのに用いることができる。本発明の好ましい実施形態では、成分はポリマーであるか、または、ポリマーを含む。
本発明は、例えば溶液の中の単一の成分の拡散係数を決定するのに用いられ得る。しかし、本発明は、流体の中の2つまたはそれよりも多くの成分の拡散係数を決定する場合にも効果的に用いられ得る。
それぞれの成分は、流体の中で溶解していることがあり得る。しかし、本発明は、流体の中に分散されている成分を研究するのにも用いることができる。よって、この方法で用いられる流体は、コロイド状の場合があるし、ゾルまたはエマルジョンの場合もあり得る。これらの場合、成分は分散相である。
本発明の方法では、水性の流体が用いられるのが典型的である。本発明の方法を実行するという目的で、1つまたは複数の成分を、溶液の中に投入することができる。成分が既に溶液の中に存在する場合もあり、この溶液を、流体として直接に用いることも可能である。あるいは、そのような溶液が、最適な分析に適するように、濃縮または希釈されることがあり得る。溶液は、また、溶液中の成分を安定化させる目的で、追加的な試薬を含む場合もあり得る。これは、例えば、成分の構造的一貫性を維持するため、または、溶液中に成分を保持するためである。例えば、成分は、緩衝溶液の中に提供されている場合もあり得る。
水性流体フローは、フローの内部での成分の一貫性を維持するのに適したpHであり得る。このpHは、pH4から10の範囲(5から9、6から8など)にあり得る。pHは、生理学的なpHであり得る。あるいは、水性混合物のpHは、混合物の組成に変化を生じさせるように選択することができる。この変化とは、本発明の方法を用いてモニタが可能である凝集および分離イベントなどである。
水性流体フローは、追加的に、混和性の有機溶剤を含むことがあり得る。これは、成分を溶液または懸濁液の中に保持するために提供され得る。例えば、DMSOを、水と共に用いることができる。この有機溶剤は、25%まで、20%まで、10%まで、5%まで、または1%v/vまで存在し得る。
本発明の方法による分析を実行するのに必要とされる成分の量は多くはなく、非常に少量の物質が、マイクロ流体デバイスを通過可能である。また、断面積の小さなチャネルから出る流体を収集することが可能であって、これを、例えば、収集された流体フローを適切に濃縮した後で、再分析することも可能である。
成分の混合物に言及する場合には、異なる分子量および/または異なる拡散率を有する2つまたはそれよりも多くの成分の溶液を指す。成分の混合物は、それぞれが異なる分子量および/または異なる拡散率を有する3つ、4つ、5つまたはそれよりも多くの成分を有し得る。
成分に言及する場合には、ポリマーに言及する場合があり得る。ポリマーは、ポリペプチドであり得るし、または、ポリペプチドを含み得る。ポリペプチドに言及する場合は、タンパク質、抗体への言及を含む。ポリマーは、多糖類であり得るし、多糖類を含み得る。ポリマーは、ポリヌクレオチドであり得るし、ポリヌクレオチドを含み得る。一実施形態では、成分は、別の化合物に結合したポリマーを含み得る。他の成分は、本明細書で説明されている成分であり得る。一実施形態では、成分は、凝集に保持されている2つまたはそれよりも多くのポリマーを含み得る。例えば、成分は、2つまたはそれよりも多くのポリペプチドを含み得る。本明細書で説明されるように、本発明による方法は、ポリペプチド凝集体など、凝集体の形成を検出するのに用いられ得る。
ある成分が2つまたはそれよりも多くのポリマーを含む場合には、それらのポリマーは、共有結合もしくは非共有結合、または、それらの組合せによって、相互に保持され得る。複数のポリマーの間の共有結合の例は、エステル、アミドおよびジスルフィド結合を含み得る。非共有結合の例は、水素結合、イオン結合、およびπ−π相互作用などを含む。
一実施形態では、成分はナノ粒子である。これは、例えば、最大の寸法が、1から500nmの範囲(5から100nmなど)にある粒子である。粒子は、金属ナノ粒子であり得る。金属は、金または銀であり得るし、または、金または銀を含み得る。
本発明は、300Da以上、500Da以上、1,000Da(1kDa)以上、または、2kDa以上の分子量を有するポリマー分子の拡散率を決定するのに適している。本発明は、5kDa以下、10kDa以下、50kDa以下、または、100kDa以下の分子量を有するポリマー分子の拡散率を決定するのに適している。
本発明は、少なくとも0.05nm、少なくとも0.1nm、少なくとも0.5nm、少なくとも1nm、または、少なくとも5nmの半径を有するポリマー分子の拡散係数を決定するのに適している。本発明は、最大で10nm、最大で15nm、最大で25nm、最大で50nm、最大で100nm、または、最大で200nm、または、最大で500nmの半径を有するポリマー分子の拡散係数を決定するのに適している。
特に、本発明は、0.5から500nmの範囲(0.5から200nm、0.5から15nmなど)の半径を有するポリペプチドなどの生体ポリマーの拡散係数を決定するのに特に適している。
本発明の方法は、ブランクフローへの成分の拡散を測定する工程を備える。成分は、蛍光分光法、発光分光法、UV−vis分光法などの標準的な分析技術を用いて検出することができる。例えば、成分がポリペプチドである場合、ポリペプチドは、蛍光分光法によって検出され得る。
いくつかの実施形態では、断面積の小さなチャネルにおいて検出することを可能にするために、成分にラベリングを行うことが必要な場合があり得る。ラベルは、分析により検出可能な原子または原子群である。一実施形態では、ラベルは、共有結合によって成分に付着されるUV−vis、蛍光または発光ラベルであり得る。そのようなラベルは、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび多糖類などの生体分子と共に広く用いられる。本発明において用いられるラベルの一例として、フルオレセインがある。本発明において用いられるラベルは、典型的には、それが付着される成分と比べると、比較的小さい。よって、ラベルは、成分の拡散特性を実質的に変更しない。
適切であるならば、検出を補助するために、成分が複数のラベルを有することがあり得る。
成分に言及する場合には、分析のためのラベルを有する成分に言及するものと見なされ得る。
本発明の長所は、成分流体におけるそれぞれの成分を、同様にラベリング可能であることである。本発明の方法は、成分の拡散プロファイルに基づいて、成分を区別し、同定することが可能である。別個の異なるラベルを用いて関心対象の成分をラベリングすることは必要ない。
成分フローの流量は、ブランクフローの流量とは独立に変更することが可能である。
成分フローは、1つまたは複数の成分を含む被検体サンプルから生成され得る。被検体サンプルは、本明細書で説明されているデバイスを通過して流れるのに適しており、検出に適する成分流体を提供するために、適切に希釈または濃縮され得る。
流体における成分の濃度は、成分自体が流体の粘性に影響しないことが保証されるように選択され得る。流体における成分の濃度は、成分が流体フローにおいて容易に検出可能であることが保証されるように選択され得る。
原理的には、この方法で用いられる最大濃度は、流体が成分によって飽和状態である濃度であり得る。本発明の発明者たちは、0.1μMの程度の低さ(例えば、1μM程度の低さを含む0.5μM程度の低さ)の成分濃度を有する流体を、本発明の方法において用い得ることを見出した。このような濃度では、有意的な分布プロファイルを取得することが可能である。それよりも低い濃度では、断面積の小さなチャネルにおいて成分を検出することが困難となる場合があり、S/N比が十分でないことになり得る。
もちろん、被検体サンプルの正確な組成が分かっていない場合があり、流体の生成が、使用条件を確立するための初期の一連の試行に基づくこともあり得る。流体の準備が、少なくとも濃度の概算値を提供するためのサンプルの予備的分析に基づくこともあり得る。
<ブランク流体およびブランク流体フロー>
本発明の方法は、成分フローからブランクフローへの1つまたは複数の成分の拡散をモニタする工程を備える。一実施形態では、ブランク流体は、成分のない成分フローと同じであり得る。一実施形態では、ブランク流体は、バッファである。典型的には、ブランク流体フローと成分フローとは、水性フローである。
一実施形態では、ブランク流体は、追加的な試薬を含み得る。ここで、そのような試薬は、成分流体における1つまたは複数の成分との相互作用のためのものである。本発明のいくつかの実施形態では、被検体の濃度を決定するための結合アッセイが提供される。この場合、例えば、ブランクフローにおける既知の濃度の試薬と、成分フローからの相手方と、の相互作用により、試薬に結合した成分の割合から、成分の濃度を決定することが可能になる。このような方法は、試薬が抗体であり、成分が抗原である場合の使用に特に適している。
ブランクフローの流量は、成分フローの流量とは独立に変更することができる。
いくつかの実施形態では、2つのブランクフローが、成分フローの両側に提供される。本発明の方法は、従って、成分フローにおける成分のブランクフローのいずれか一方または両方への拡散を観察することができる。2つのブランクフローを用いることは、これらのブランクフローが成分フローに亘って安定的な均衡のための圧力を提供するのに用いられ得るので、効果的である。
典型的には、2つのブランクフローの組成は同一である。典型的には、2つのブランクフローの流量は同一である。
拡散係数の分析および決定
本発明は、流体における1つまたは複数の成分の拡散係数を決定するための方法を提供する。
成分流体が単分散成分を含む場合には、標準的な技術を用いて、その成分の疎水性半径を決定することが可能である。これは、例えば、Yager他による[8,11および12]に記載されている。本発明の第1の態様の方法で記録される拡散プロファイルは、断面積の大きなチャネルがデバイスの接合部における滞留の効果を限定的なものにするという事実を考慮すると、成分の拡散を、よりよく表現するものと見なすことができる。従って、計算された拡散係数値と疎水性半径とは、より高い精度を有すると考えることができる。
成分流体が成分の多分散混合物を含む場合には、本発明は、混合物における2つもしくはそれよりも多くの成分の、または、それぞれの成分の拡散係数を決定するための方法を提供する。これは、混合物全体に対する平均の拡散値だけを提供するのが典型的であるこの技術分野で知られている方法とは対照的である。本発明の第3の態様の方法では、複数の拡散測定が、異なる拡散時間に亘って記録される。
本明細書において述べられるように、本発明の方法は、2つの層流を提供する。この方法は低いレイノルズ数で行われるが、その場合、対流と拡散とが質量輸送の唯一の関連性のある機構である。これにより、チャネル内部における成分移動のシミュレーションが単純化される。
一般に、記録された拡散スペクトルは、調査対象である成分に対する半径の蓋然性の高い範囲に亘る流体力学的半径(従って、拡散係数)を有する成分の範囲に対して決定される一連の理論上の拡散プロファイルに関して、逆たたみ込み演算が行われる。この逆たたみ込み演算の工程は、記録されたデータを、個別的な理論上の拡散プロファイルの最も蓋然性の高い集まりから作られる大域的なプロファイルに適合させる。この適合は、実験誤差と矛盾のない最も単純な解に対してなされる。本文中で、最も単純な解に言及する場合には、最大エントロピー正規化を指す。
記録された拡散プロファイルの逆たたみ込みは、生成された基礎関数との関連でなされる。基礎関数とは、それぞれの理論上のプロファイルが特定の流体力学的半径を有する成分に対するような、理論上の拡散プロファイルの集まりである。この集まりは、ある範囲の流体力学的半径に対するプロファイルから構成される。例えば、ポリペプチドを含むサンプルの場合、プロファイルは、0.5から200nm、0.5から15nmなど、ポリペプチド成分に対して蓋然性のある半径の範囲に及ぶ。
記録されたデータの回帰分析は、最小自乗適合を用いて、最大エントロピー正規化と共に行われる。シミュレートされた基礎関数と組み合わされて記録された空間的なプロファイルは、逆たたみ込みがなされて、個別的な拡散プロファイルのスペクトルになり得る。
上述した逆たたみ込み法は、最小限の情報を含む最適状態の誤差の範囲内で解を提供するために、効果的である。また、これによって、いわゆるデータの過剰適合が防止される。
更なる詳細においては、本発明によると、与えられたサイズの種に対するカーネルを正確な数値計算によって決定することが可能になる。フローの実験で得られた拡散プロファイルは、次に、予測されるカーネルの線形重ね合わせに大域的に適合されるが、この場合、それぞれのカーネルの振幅は、部分濃度としてのその物理的解釈を保証するために係数が0から1までの区間に限定される、制約付きの最小自乗適合を通じて決定される。適合における剰余は、測定における誤差の評価を提供する。次に、第2の一連の最小自乗適合が実行されるが、今回は、最大エントロピー正則化を伴う。エントロピー項は、正則化された適合に対するχ値が正則化されていない適合の場合とランダム誤差レベルの分だけ異なるまで、徐々に大きさが増加される。すると、この最終的な適合に対する係数が、実験誤差と矛盾しない最も単純な(エントロピーが最大である)解である。
最小自乗適合は実験データにおけるノイズレベルの概算を提供するが、この技術の全体的な精度の概算を有しておくのが便利である。この場合、これは、変動レベルのランダムノイズが追加された人工データの最大データセットを生成することによって得られる。図5は、異なるレベルのランダムノイズに対して、2つの最も適切な精度の尺度を記載している。すなわち、単一の種の拡散係数を決定する場合の精度と、2つの離散的な種の間の拡散係数の最小の分解可能な差と、である。この方法は、例えば、デバイスの製造時や、サンプルの不均一な照射によって導かれるすべてのシステム誤差を無視する。
成分の流体力学的半径は、この技術分野において知られているように、拡散係数から決定され得る。
拡散プロファイルは、また、この技術分野において知られているように、成分流体における成分の濃度を決定するのに用いられ得る。
<本発明の方法>
一態様では、本発明は、ある成分の、または、複数成分の混合物におけるそれぞれの成分の拡散係数を決定するための方法を提供する。この方法は、
(i)1つまたは複数の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
(ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
(iii)断面積の大きなチャネルにおいてフロー(i)をフロー(ii)と接触させ、それによって、2つの層流を生成する工程と、
(iv)(iii)において生成された層流が、断面積の大きなチャネルから断面積の小さなチャネルの中へ流れることを可能にする工程と、
(v)断面積の小さなチャネルにおいて、成分フローからブランク流体フローへの1つまたは複数の成分の側方拡散を測定する工程と、
を備える。
本発明の方法は、典型的には、低いレイノルズ数を有するフローにおいて実行される。例えば、フローのレイノルズ数は、1以下、0.5以下、0.1以下、または0.05以下であり得る。
一実施形態では、流体の流量は、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも50、または、少なくとも100μLh−1である。一実施形態では、流体の流量は、最大で200、最大で400、最大で500、最大で1,000、最大で2,000、または、最大で5,000μLh−1である。一実施形態では、流量は、上述した値から選択された上限値および下限値を有する範囲から選択された値である。例えば、流量は、5から400μLh−1の範囲にあり得る。流体の流量は、定常状態における流量である。
上述した範囲の流量と共にマイクロ流体デバイスを用いることは、分析の実行においては、比較的少量の成分流体が用いられ得ることを意味する。例えば、少なくとも1つの拡散プロファイルの表示を取得することを目的として、断面積の小さなチャネルで定常状態のフローを確立するには、その範囲の体積で十分である。
一実施形態では、成分流体フローで用いられる流体の総体積は、最大で50、最大で100、最大で200、最大で500、または、最大で1,000μLである。一実施形態では、成分流体フローで用いられる流体の総体積は、少なくとも0.1、少なくとも0.5、少なくとも1、少なくとも5、または、少なくとも10μLである。一実施形態では、成分流体フローで用いられる流体の総体積は、上述した値から選択された上限値および下限値を有する範囲から選択された値である。例えば、総体積は、1から50μLの範囲にあり得る。
本発明の方法は、例えば摂氏15、20または25度などの室温またはほぼ室温で実行され得る。あるいは、本発明の方法は、摂氏5もしくは10度などのより低い温度で、または、摂氏35、40もしくは50度などのより高い温度で実行され得る。
一実施形態では、成分フローからブランク流体フローへの1つまたは複数の成分の側方拡散は、複数の拡散期間で測定される。測定点の間の分離は特に制限されないが、記録された拡散プロファイルが測定点の間で顕著に変化するのに十分な距離とすることができる。
一実施形態では、この方法は、ある時間期間の後で、工程(i)から(v)を反復することにより、時間経過を追って成分流体の組成を分析する工程を備え得る。この実施形態では、この方法は、成分の凝集や、凝集であり得る成分のより小さな部分への分離など、成分流体における変化をモニタするのに用いられ得る。本明細書では、アミロイドタンパク質の凝集を分析するための方法が説明される。
一実施形態では、この方法は、成分に対する拡散係数値が工程(v)の側方拡散測定から決定され、オプションとして、流体力学的半径が拡散係数値から決定される工程(vi)を更に備える。
一実施形態では、工程(vi)は、工程(v)からの1つまたは複数の成分の測定された側方拡散プロファイルと、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布と、を比較することにより、1つまたは複数の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える。
一実施形態では、工程(vi)は、工程(v)からの1つまたは複数の成分の測定された側方拡散プロファイルに、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布に関する最大エントロピー正則化アプローチを用いて逆たたみ込み演算を行うことにより、1つまたは複数の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える。この実施形態では、最小自乗法が用いられ得る。既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布は、一連の予測された分布であり得る。
本発明の別の方法では、1つまたは複数の成分の拡散係数を決定するための方法が提供される。この方法は、
(i)1つまたは複数の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
(ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
(iii)チャネルにおいてフロー(i)をフロー(ii)と接触させ、それによって、2つの層流を生成する工程と、
(iv)複数の拡散時間における成分フローからブランク流体フローへの1つまたは複数の成分の側方拡散を測定する工程と、
を備える。
測定点の間の分離は、特に制限されないが、記録された拡散プロファイルが測定点同士の間で顕著に変化するのに十分な距離とすることができる。
上述した流量、体積および温度は、この方法にも適用可能である。
一実施形態では、本発明の第1および第3の態様の特徴を効果的に組み合わせることにより、成分流体をより高精度で分析するための方法が提供され得る。従って、この方法は、
(i)1つまたは複数の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
(ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
(iii)断面積の大きなチャネルにおいてフロー(i)をフロー(ii)と接触させ、それによって、2つの層流を生成する工程と、
(iv)(iii)において生成された層流が、断面積の大きなチャネルから断面積の小さなチャネルの中へ流れることを可能にする工程と、
(v)複数の拡散時間において、成分フローからブランク流体フローへの1つまたは複数の成分の側方拡散を測定する工程と、
を備え得る。
従って、断面積の大きなチャネルを用いる効果と、複数の拡散プロファイルを記録する効果とを、一緒に得ることが可能である。
<他の好適な形態>
上述した実施形態のそれぞれのおよびすべての矛盾ない組合せが、それぞれの、および、すべての組合せが個別的かつ明示的に記載されているかのように、本明細書において明示的に開示されている。
本発明の様々な更なる態様と実施形態とが、本開示を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。
本明細書で用いられる「および/または」とは、2つの特定された特徴または成分のそれぞれが、他方を伴うその一方の特定の開示、または、他方を伴わないその一方の特定の開示として解釈されるべきである。例えば、「Aおよび/またはB」とは、あたかもそれぞれが本明細書において個別的に提示されているかのように、(i)A、(ii)Bならびに、(iii)AおよびBのそれぞれの特定の開示として解釈されるべきである。
文脈からそうではないことが導かれない限り、以上で述べられた特徴に関する記載および定義は、本発明のいずれの特定の態様または実施形態にも限定されることはなく、記載されているすべての態様と実施形態とに等しく適用される。
以下では、本発明のいくつかの態様および実施形態について、例示により、上述した図面を参照して例証される。
<実験的事項>
マイクロ流体チャネルは、シリコンマスタ上のSU−8フォトレジストと共に、ポリジメチルシロキサン(PDMS、ダウ・コーニング社)への標準的なソフトリソグラフィ技術[20,14]を用いて作製された。チャネルは、密閉されたデバイスを作るために、ガラススライドにプラズマボンディングを行った。チャネルの高さは、25μmであった。チャネルの幅は、デバイスの異なる領域に亘って変動した。断面積の小さなチャネルでは幅が300μmであり、ノズル(断面積の大きなチャネル)の位置における3,000μmから収縮している。バッファ(ブランク)流体と被検体流体とをノズルに導くチャネルは、100μmの幅であった。本明細書に記載されている実験で用いられたデバイスは、図1aおよび図1bに示されている。更なる準備の詳細も後述される。
流体フローを制御するのには、シリンジポンプ(ハーバード装置)が用いられた。
本件で用いられた25nmおよび100nmのコロイドは、フルオレセインを用いて予めラベリングがなされた状態でシグマ・アルドリッチ社から供給されるポリスチレンコロイドであった。コロイドは、脱イオン水の中に提供された。用いられた流量は、典型的には、4μL/hであった。
本件で用いられたタンパク質は、グルカゴン、βラクトグロブリンおよびウシ血清アルブミンであり、すべて、シグマ・アルドリッチ社から入手可能である。タンパク質は、蛍光ラベリングがなされていた。タンパク質は、pH8の20%のDMSOと共に、50mMのリン酸塩バッファの中に提供された。タンパク質の実験で用いられた流量は、典型的には、40μL/hであった。
チャネルにおける成分の拡散は、標準的な技術(Yager他による[11]なども参照のこと)を用いて、チャネルに亘る蛍光検出によって測定された。露光時間は、典型的には10秒であった。
Aβ(1−42)が「PetSacKan」プラスミドの中にクローニングされ、大腸菌BL21細胞で組み換え的に発現され、陰イオン交換クロマトグラフィを用いてバッチモードで精製された。この手順により、大量の高精度のペプチドの製造が可能になる[18]。結果として得られるペプチドを、1mLの分量に分割し、凍結乾燥して、更に用いるまで、摂氏−20度で保管した。
本明細書に記載されているような複雑なタンパク質会合プロセスの研究に拡散分光法を適用することは、最近詳細に報告された非摂動的で共有結合性のラベリング技術を我々が用いることに依存する。拡散分光法の主な利点が異質な混合物における粒子のサイズのスペクトルを取得できる点にあるならば、観察対象の拡散フローの可視化を可能にするラベリング技術に関して決定する場合に、蛍光共有結合性ラベリングが最適な方法である。蛍光ラベリングによると、通常の光学顕微鏡法の設定を用いても、高S/N比の画像を便利に収集することが容易になる。共有結合性ラベリングは、異質な混合物の内部のすべての種に対してラベリングを行い、それによって検出可能にすることを保証してくれる。歴史的には、タンパク質複合体の共有結合性蛍光ラベリングは、これまで、困難であった。前もって形成されたタンパク質複合体を蛍光染料でラベリングする場合、分析の前に、未結合の染料を反応混合物から除去しなければならず、必要となる精製工程が、過渡的に形成される関連の種の構造を崩壊させてしまう。
あるいは、個々のタンパク質に対してラベリングを行い、それらの会合の前に未結合の染料から精製することが可能である。しかし、蛍光レポータを場所特定的に設定するとしても、複合体の会合を多かれ少なかれ崩壊させる。本発明では、我々は、前もって形成されたタンパク質複合体を、潜在的なフルオロフォアを用いてラベリングする。ラベリングされたタンパク質およびタンパク質複合体だけが蛍光性であるために、精製工程は必要なく、蛍光的にラベリングされた種の異質な混合物は、拡散分光法を用いて、直接的に分析される。
アルカリ性のpHでは、そして、チオール(ここでは、β−メルカプトエタノール、BME)が存在する場合には、タンパク質およびタンパク質複合体の表面で露出されている一級アミンが、オルトフタルアルデヒド(OPA)と反応して、二環式のイソインドール型フルオロフォーレを原位置に形成する[15,16]。当初は、このプロセスの高速キネティクスが観測されたが[2]、そのタンパク質混合物の分析への適用は、全体として、ポストまたはプレカラムのペプチド誘導体化を目的とする試み[13,17]か、または、生体組織内部の少量のアミノ酸の定量的検出[21,6]に限定されてきた。
本発明の例示的デバイス
図1aおよび図1bは、本発明の一実施形態によるマイクロ流体デバイスの図解である。図1aは、成分流体フローとブランク流体フローとを有する使用中のデバイスの3次元表現であって、以下で説明されるように、ノズルにおける被検体の分布の差し込み画像と、断面積の小さなチャネルの始点から1mm、3mmおよび9mmにおける3つの測定点と、が示されている。図1bは、デバイスの平面図である。
図1aは、断面積の小さなチャネルにおけるウシ血清アルブミンとβラクトグロブリンとの混合物の拡散を示す。
本発明で用いられるデバイス1は、成分流体フロー供給チャネル2を備え得る。この成分流体フロー供給チャネル2は、断面積の大きなチャネル4であるノズルの内部の接合部において、ブランク流体フロー供給チャネル3aと接触する。好適な実施形態では、2つのブランク流体フロー供給チャネル3a,3bが、図1bに示されているように設けられる。成分流体フロー供給チャネル2は、上流の成分流体貯留槽5と流体的に連通し得る。なお、成分流体貯留槽5は、制御可能なシリンジ(図示せず)を備え得るか、または、その一部であり得る。それぞれのブランク流体フロー供給チャネル3a,3bは、上流のブランク流体貯留槽6と流体的に連通し得る。なお、ブランク流体貯留槽6は、制御可能なシリンジ(図示せず)を備え得るか、または、その一部であり得る。1つの貯留槽6が、2つのブランク流体フローチャネル3a,3bを提供することもあり得る。
断面積の大きなチャネルの下流にあり、その断面積の大きなチャネルと流体的に連通しているのは、断面積の小さなチャネル7である。断面積の小さなチャネル7は、図1bに示されているように、蛇行する(入り組んだ)経路を有し得る。断面積の小さなチャネル7は、この断面積の小さなチャネル7に沿った1つまたは複数の位置においてチャネルに存在する流体の中の成分を分析するように配置され得る分析のための検出器(図示せず)と共に用いられるように構成されている。分析のための検出器は、検出領域8によって図解的に示されている断面積の小さなチャネルの2つまたはそれより多くの箇所に亘って流体の中の成分を同時に検出するように配置され得る。断面積の小さなチャネルは、下流にある収集貯留槽9と流体的に連通し得る。
断面積の大きなチャネル4は、典型的には、断面積の小さなチャネル7の断面積の10倍の断面積を有する。よって、図1aでは、差し込み画像が、断面積の小さなチャネル7の幅が300μmであるものとして示している(これは、流体がチャネルの壁部に接するブランク流体フローのエッジまで成分が拡散している9mmの画像において明らかである)。断面積の大きなチャネル4は、3,000μmの最大幅を有する。
断面積の大きなチャネル4は、接合部から伸長する一定幅の領域を有する。このチャネルは、次に、チャネルが断面積の小さなチャネル7の幅になるまで、(流体フローの方向に対して約60°の角度で)テーパ状に細くなる。(成分流体供給チャネルとブランク流体供給チャネルとが合流する)接合部から断面積の小さなチャネル7の始点までの断面積の大きなチャネル7の長さは、約100μmであり得る。
断面積の小さなチャネル7の幅は、その経路の全体を通じて、実質的に一定のままである。断面積の大きなチャネル4が貯留槽9に至る地点から始まる断面積の小さなチャネル7の長さは、10mmの範囲にあり得る。
本発明のデバイスは、ポリペプチドなどの成分の半径を分析するのに、そして好ましくは、流体における複数の成分の個々の半径を分析するのに、用いられる。成分流体は、流体デバイスへのフローとして提供され、流体フローにおけるそれぞれの成分の隣接するブランク流体フローへの拡散が測定される。ブランク流体とは、成分が欠けている流体である。
流体デバイス1は、例えばポリジメチルシロキサンをベース物質として用いる標準的なソフトリソグラフィ技術を用いて準備することができる。適切なフォトレジストは、流体フローチャネルと貯留槽との希望する形状および寸法に従って用意され得る。
使用の際には、成分流体が、貯留槽5の中に供給されて、断面積の大きなチャネル4まで、成分流体供給チャネル2を通過して流れることが可能にされ、断面積の大きなチャネル4において、ブランク流体フローに接触する。ブランク流体は、貯留槽6の中に提供されて、断面積の大きなチャネル4まで、成分流体供給チャネル3aおよび3bを通過して流れることが可能にされる。流量は、供給チャネル2、3aおよび3bを供給するシリンジポンプによって制御され得る。あるいは、フローは、貯留槽5および6から流体の重力供給方式で、供給される。
成分流体フローとブランク流体フローとは、断面積の大きなチャネル4において接触して、ブランク流体フロー同士の間に成分流体フローが挟まれる状態の層流を形成する。これらのフローは、下流方向に、断面積の大きなチャネル4から断面積の小さなチャネル7へ流れることを可能にされる。成分流体フローの中の成分は、成分流体フローからブランク流体フローの中へ拡散することが可能にされる。成分の拡散は、例えば検出領域8など、断面積の小さなチャネル7に沿った1つまたは複数の位置において測定され得る。典型的には、第1の測定は、流体がチャネルの壁部に接触するブランク流体フローのエッジに(最小の成分などの)成分が到達する前になされる。適切な回数の拡散測定がなされると、これらの流体フローは貯留槽9に収集されるか、または、流体デバイス1と流体的に連通する第2の分析のためのデバイスの中に流れることが可能にされ得る。断面積の小さなチャネル7の長さに亘る拡散プロファイルが図1aに示されているが、この図1aでは、白い成分がより暗い色であるブランク流体フローの中へ拡散する様子が見られる。
本発明の発明者たちは、成分の拡散を検出するための流体デバイスにおいて断面積の大きなチャネルを用いることにより、流体における成分の半径をより正確に決定することが可能になる、という特定の長所が提供されることを確認した。このデバイスを用いることの結果として、成分フローとブランクフローとが断面積の小さなチャネル7に入る地点から、成分フローにおける成分に対して明確な初期設定が得られる。大きなフローチャネル4を用いると、例えば拡散の測定が行われる断面積の小さなチャネル7におけるような、下流のチャネルに亘って一定の速度プロファイルが確立される前の成分の拡散が最小化される。
図4は、断面積の小さなチャネルの10倍の幅を有する断面積の大きなチャネルを用いることの結果として、混じりがなく明確な成分フローが生じることを示している。図4では、成分流体フロー(白色)が成分流体供給チャネルから断面積の大きなチャネルに入る様子に関する3つの画像が示されている。断面積の大きなチャネルにおける成分流体フローは、成分流体がブランク流体フロー(灰色)と最初に接触する地点から比較的混じりがなく明確であるように見える。
図1aおよび図1bのマイクロ流体デバイスの準備について説明する確認済の例が、αBクリスタリンに関する実験の箇所で以下に説明される。
<複数成分の混合物の分析>
25nmおよび100nmのコロイドを等しい量(体積の0.02%)含む水性混合物が、上述したマイクロ流体デバイスを用いて分析された。また、それぞれのコロイドの個別的な溶液も準備された。複数の溶液が、デバイスを通過して40μLh−1で流され、LED光源を用いて480nmの地点で照射された。高量子収率のCCDカメラを用いて、3つの測定点のそれぞれにおいて1回ずつ、10秒間の露光が3回なされた。
拡散プロファイルが、3つの異なる拡散時間において、断面積の小さなチャネルの始点から1mm、3mmおよび9mmの地点(図2の下側のグラフを参照のこと)で測定された。異なる流体力学的半径を有する2つの成分の存在を示すために(図2の下側のスペクトル)、拡散プロファイルの組合せに対して、本明細書で説明されている最大エントロピー正則化アプローチを用いて、逆たたみ込み演算が実行された。なお、ここで、異なる流体力学的半径は、個々のコロイドに対して決定された実験的に導かれた値(1番上および上から2番目のスペクトル)と、非常に密接に一致した。比較のために、1つの拡散プロファイルの逆たたみ込みが実行された(1番下から2番目のスペクトル)。理解されるように、この逆たたみ込みは、混合物の中に3つの異なる成分が存在すると誤って示唆した。しかし、混合物においてより小さな半径を有する成分が、2つの別個の信号として分解されたのであった。更に、より大きな半径を有する成分は、より大きな半径を有する信号として解明された。従って、複数の測定点を用いることにより、拡散プロファイルの逆たたみ込みにおいて、より高い精度とより大きな分解能とが提供される。
マイクロ流体拡散技術は、また、タンパク質の複数成分の混合物を解釈するのにも用いられ得る。グルカゴン、β−ラクトグロブリンおよびウシ血清アルブミン(BSA)というタンパク質の混合物に対して、第2の較正が実行された。それぞれのタンパク質は、20%のDMSOと、これら3つのタンパク質の(質量による)1:1:1の混合物と、を含むリン酸塩バッファにおける均一な溶液として準備された。DMSOは、すべてのタンパク質が実験の最中にモノマー状態に留まり、いかなる未知の複合体も形成されないことを保証するために用いられた。
3つのタンパク質は、蛍光によるラベリングがなされた。ここでは、前もって形成されたタンパク質複合体が、潜在的なフルオロフォーレを用いてラベリングされた。すなわち、結合されているときだけ蛍光性であって、溶液において自由である場合には検出されない。ラベリングされたタンパク質およびタンパク質複合体だけが蛍光性であるから、精製工程は必要ではなく、蛍光的にラベリングされた種の異質な混合物を、拡散分光法を用いて直接的に分析することができる。アルカリ性のpHでは、そして、チオール(ここでは、β−メルカプトエタノール、BME)が存在する場合には、タンパク質およびタンパク質複合体の表面で露出されている一級アミンが、オルトフタルアルデヒド(OPA)と反応して、二環式のイソインドール型フルオロフォーレを原位置に形成する。
拡散実験は、上述したのと同じ態様で実行された。実験で用いられた照射波長は、365nmであった。図6は、個別的なおよび混ぜ合わされたテスト溶液に対する拡散測定の結果を示している。βラクトグロブリンとウシ血清アルブミンとに対応するピークは相互に近づく方向に僅かにシフトされているが、3つの種が、均一な溶液におけるサイズに類似するサイズで、混合物において分解される。これは、実験におけるランダム誤差およびシステム誤差の効果である蓋然性が高く、これらの2つのピークは、このレベルの信号対雑音におけるマイクロ流体拡散実験の分解能に近づいている。
<BSAの分析>
単一タンパク質などの単分散溶液を特徴付けるときには、マイクロ流体拡散技術が、極めて正確であるための潜在性を有する。証明として、マイクロ流体拡散が、pH7のバッファに溶解されているとともに80%のDMSOを用いて同じバッファに溶解されているタンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA)の流体力学的半径の変化を調べるために用いられた。BSAは、β−メルカプトエタノール(BME)が存在するときにOPAを用いてラベリングを行う前に、5mg/mLで、pH7のリン酸塩バッファ(例えば、5mMのHEPESバッファ)に溶解された。標準的なラベリングのための混合物は、pHが9.5から10.5の範囲における、12mMのOPA、18mMのBME、4%のSDS、および200mMの炭酸塩の溶液であった。この溶液は、先に準備されており、1:1の体積比で、タンパク質溶液と混合された。
ラベリングされたBSAのこのストック溶液は、次に、同じバッファおよびDMSOにおいて、1mg/mLまで希釈された(最終的なDMSOの濃度は体積で80%)。それぞれの溶液(バッファおよび80%のDMSO)におけるBSAの流体力学的半径が、上で詳述された複数成分の混合物に対するものと同じ実験技術を用いて測定された。
図7は、BSA溶液のそれぞれに対して計算された拡散係数を示す。水性バッファの中のBSAの拡散係数は、3.5nmの流体力学的半径に対応するが、これは、文献上の値に匹敵する。80%のDMSOでは、タンパク質は劇的にアンフォールディングされており、流体力学的半径は6±0.5nmである。
<インスリン凝集イベントの分析>
本発明の方法は、モノマー、二量体および六量体の形態で共存するインスリンを研究するのに用いられ得る。(商業的に入手可能である)インスリンは、生理学的pHで、共有結合的にラベリングされ得る。インスリンのサンプルの組成における変化は、時間経過と共に測定され得る。よって、一定の分量をサンプルから取り除き、本発明の拡散法を用いてテストすることができる。拡散プロファイルの変化は、例えば凝集の増加など、サンプルの組成の変化にリンクさせることが可能である。凝集の変化は、また、インスリンサンプルのpHの変化を用いてモニタされ得る。例えば、凝集は、pH2およびpH4において判断され得る。サンプルにおける様々な種の集団を比較することが可能である。
<Aβ(1−42)の凝集イベントの分析>
拡散分光法は、タンパク質複合体の高度に異質な混合物を分析するのに用いられ得る。研究に関して特に困難なタイプの生体分子の会合プロセスは、アミロイドフィブリルとして通常知られている、異常なβシートが豊富な凝集体を形成するものである。アミロイド−βは、特にオリゴマー的な形態では、アルツハイマ病における主要な病原性因子の1つとして意味付けられてきた。タンパク質溶液に対するサイズ分布を、それが凝集を経験する際に取得することは、その疾病の病理と凝集の基礎にあるメカニズムとの両方を理解する際に重要である。
アミロイドの凝集体に対するサイズ分布は、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いると、一般的に得られる。しかし、AFM技術は、サンプルの濃度が低下されることを必要とするのであって、これは、測定が実行され得るよりも前に、動的な複合体が解離し得ることを意味する。また、AFMは、ある表面を覆っている被検体の分布が一様であることは稀であるという点で、正しいサイズ分布を見つける際に問題がある。拡散分光法はバルク技術であり、拡散時間は、サンプル溶液の組成が、拡散チャネルに沿って通過する間ずっと不変のまま存続するのに十分なほど短い。実際、それぞれの分子は、デバイスの内部で、僅かに10または20秒のオーダーの時間を費やすだけである。更に、分析のための種は、最大で10倍に希釈されるだけであって、これは解離を最小化する。
図3は、モノマー的なタンパク質から開始する凝集反応において、Aβ(1−42)のサイズ分布が4つの異なる時点で凝集することを示している。10秒ではなく100秒という露光時間がそれぞれの測定点で用いられたのであるが、拡散測定の詳細は、既に詳述された他のタンパク質溶液に対する詳細と同じである。
反応の開始時点では、予想通り、ペプチドはモノマーであった。興味深いことであるが、より大きな種のピークは、ThT蛍光強度が明らかに増加する前に、僅かに30分という時間経過の後で生じ始める。これらのより大きな種は、オリゴマーから小型のフィブリルに至る範囲のサイズを有しており、関連のThT信号が存在しないことからすると、ピークの多くは、疾病と関連付けられるべきであると考えられる小さくThTネガティブなオリゴマーを含む蓋然性が高いと思われる。50分経過後、反応の増殖相が開始する時点では、先に観察されたオリゴマーとフィブリルとの混合物に加え、モノマーの著しい部分が依然として存在している。この時点で、相当な量のフィブリルが、約20nmまでの流体力学的半径というより大きなサイズで存在しており、凝集体フィブリルの発現(約400nmでのピーク)が最初に生じるのはこの時点においてである。120分の時点で全部のモノマーが消費されてしまうまでに、すべての凝集体が、フィブリルのこれらの大きなクランプに含まれる。
<実験的事項>
Aβ(1−42)は、「PetSacKan」プラスミドにクローニングされ、大腸菌BL21の細胞において組み換え的に表現され、陰イオン交換クロマトグラフィを用いてバッチモードで精製された。この手順により、大量のペプチドを比較的高純度で製造することが可能になった。結果的に得られたペプチドは、1mLの部分に分割され、凍結乾燥され、更なる使用までに、摂氏−20度で貯蔵された。Aβ(1−42)ペプチドの凝集に対する再生可能な動力学データを得るのは歴史的に困難であったが[10]、凝集反応の直前にオリゴマー的な中間物から純粋なタンパク質モノマーを分離するサイズ排除クロマトグラフィ工程を実行することにより、取得される動力学的データの品質が著しく向上することが最近示された[9]。従って、単一の部分が、6Mの塩化グアニジニウムの中で可溶化され、ゲル濾過カラムであるSuperdex75 10/300を通過させた。タンパク質モノマーのピークの直前に溶離したオリゴマーの「ショルダ」は排除され、約13mLから15mLまでの間の溶離した純粋なモノマーが収集された。20mMのリン酸ナトリウムのバッファ、pH8.0である200μMのEDTA、および、0.02%のアジ化ナトリウムにおける約1.3μMのタンパク質モノマーが溶離され氷の上に保持された。
フィブリル化のプロセスをモニタするために、チオアビンT(ThT)動力学アッセイが用いられ、その際に、1.2μMのAβ(1−42)の4つの複製物と、20μMのThTと、が上述したバッファにおいて用いられた。フィブリル化はリアルタイムでモニタされ、凝集反応の開始、遅延時間の最後、成長層の早期部分、および、平衡相の確立に対応する時点で、一部の試料が4つの追加的ウェルから取り出され、やはり上述の動力学バッファにおいて、10μLのOPA−BMEラベリングストックと結合される。これらの一部の試料は、約1.0μMのAβ(1−42)、600μMのOPA、および900μMのBMEを含むのであるが、氷の上に保持され、拡散デバイスにおいて迅速に分析された。
<αBクリスタリンの分析>
αBクリスタリンのオリゴマー化は、拡散分光法によって研究される。
依然として論戦が行われている[22]が、その天然状態にあるαBクリスタリンが10から40サブユニットの範囲にあるサイズを有するオリゴマーとして結集し[23]、オリゴマー化平衡の動力学がタンパク質機能にとって決定的に重要であり得るということについて、広いコンセンサスが生じている。タンパク質の研究を複雑にしてきたのは、この異質性である。トランケートされたバリアントからの結晶領域に関して、オリゴマーは、二量体で7ストランドのβシート基本単位から構成されていると主張する構造上の情報が存在しており[24]、αBクリスタリンオリゴマーの多分散性は質量分析によって成功裏のうちに達成される、ということを説明しようとしている[23]、[25]、[26]。しかし、多分散的な混合物において、有意的な量のモノマー的な種をトレースすることは、これまでのところ可能ではない。
αBクリスタリンは、後述するように、表現され精製された。最終的な精製工程の後で、αBクリスタリンの同一性がSDS−PAGEによって確認された(図8の(a)を参照のこと)。20kDaにおける単一のバンドにより、変性条件にあるモノマー的で純粋のαBクリスタリンの存在が確認された。αBクリスタリンの純粋性に関する更なる証明は、質量分析によって得られた(図8の(b)の上側パネル)。20,160Daという実験上の質量が、20,159Daという予測された理論上の質量と非常に厳密に一致するということが見いだされた。
拡散分光法の実験のために、αBクリスタリンは、上述したように、オルトフタルアルデヒド(OPA)を用いてラベリングがなされた。完全なラベリングは、質量分析を用いて証明された(図8の(b)の下側パネルを参照のこと)。約2,200Daのm/zにおけるシフトは、12.5のアミンのOPA−ラベリングに対応し、一連のαBクリスタリンにおける10の1級アミンとN−ターミナルアミンとの完全なラベリングにほぼ一致する。DLSおよびガラスナノポア分析(後で更に説明される)が、ラベリングのなされていないαBクリスタリンを用いて実行された。
異なるオリゴマータンパク質の母集団に加えてモノマー的なものも同定するために、拡散分光法を用いて、αBクリスタリンのサイズが決定された。用いられた拡散デバイスについては、詳細に後述される。異なる測定点における拡散データが、マイクロチャネルに沿った蛍光強度としてプロットされることにより、拡散プロファイルが得られた(図9の(a))。更に、実験データは、本明細書で説明されているように理論上のモデルと適合され、その結果として、αBクリスタリンに対するサイズ分布が得られた(図9の(b))。実際に、2つの母集団は、拡散分光法によって解釈された。すなわち、小さな種の母集団は約2nmの平均流体力学的半径を有し、より大きな種の母集団は約7nmの平均流体力学的半径を有する。
小さな母集団は、混合物の20%未満を構成しているのであるが、モノマー的なαBクリスタリンを表しており、サンプルの80%を超える部分を構成する非常に豊富な母集団は、オリゴマー的な形態のタンパク質を含んでいた。オリゴマー的な分布に関するいかなる結論も得られなかった。しかし、小さなサイズの種は、顕著な量の孤立した種として初めて同定された。そして、2つの種の相対的な母集団の定量化により、αBクリスタリンのオリゴマー化平衡に関する研究が可能となった。
比較のために、ラベルを有していない30μMのαBクリスタリンが、DLSを用いて分析された。拡散分光法によって測定されたサイズ分布と重なり合う幅の広いサイズ分布が、オリゴマー的なαBクリスタリンを表現することが見いだされた(図10)。両方の方法がよく一致していることにより、オリゴマー化に対する共有結合的なラベルによる直接的な影響は存在しないことが示唆された。しかし、DLSを用いても、2nmでは、小さなサイズの種に対する信号は検出されなかった。より大きな粒子は顕著により多くの光を散乱させるので、DLSによって測定された強度は、オリゴマー的なタンパク質の方向へのバイアスを有しており、よって、大きなオリゴマーは、小さく散乱が弱いモノマー的なαBクリスタリンを潜在的にマスクしてしまう可能性があり得る。従って、DLSは、αBクリスタリンのオリゴマー化平衡を調べるための適切な技術ではない。
ラベルを有していないαBクリスタリンのモノマーとオリゴマーとの間の平衡を定量化する更なる試みが、ガラスナノポアを通過する単一分子の検出を用いて、行われた(ケンブリッジ大学、キャベンディッシュ研究所のニコラス・ベル氏およびウルリッヒ・カイザー博士との共同で)。この技術は、単一のタンパク質分子検出へのその応用と共に、[27]および[28]に記載されている。サンプル中にモノマー的およびオリゴマー的αBクリスタリンが共存していることに起因して、ガラスナノポアを通過する多分散サンプルの移行特性として、イベントの2モード分布が予想された。粘度とガラスナノポアの側面への接着とを防止し、ナノポアを通過するタンパク質の弾道的移動を保証するために、測定の前に、サンプルのpHが10.5に調整された。ポアの両端に−500mVの電圧を印加すると電気浸透性のフローが生じ、輸送イベントが記録された。
イオン電流トレースにおけるスパイク(図11の(a))が、イオン電流変化イベントを図解しており、よって、単一被検体分子のナノポアの通過を反映した。イベント継続時間に対する平均イベント電流に関する散乱された熱マップ(図11の(b))は、そこでは色によって移行の数を表すのであるが、フィルタ遮断時間(50kHzのフィルタの場合で約10マイクロ秒)におけるイベントのクラスタ形成を示していた。なお、イベント継続時間の限度は、フィルタの周波数によって定められる。移行のほとんどは、検出可能なしきい値に近接していたが、主なクラスタ形成は、単一の単分散タンパク質のサンプルについて報告されていた[28]ように、弾道的に移動するタンパク質に対応する蓋然性が高かった。タンパク質の存在は疑いなく検出されたのであるが、現在の分解能では、移行イベントのモノマー的およびオリゴマー的な母集団への割り当ては、移行統計の重なり合いに起因して、不可能なままであった。
αBクリスタリンのオリゴマー化平衡へのモノマー的タンパク質濃度の影響が、拡散分光法によっても研究された。モノマー的およびオリゴマー的なαBクリスタリンの相対的な母集団は、モノマーの濃度を15μMから125μMの範囲として、MFDを用いて調べられた。タンパク質モノマーの濃度とは独立に、2つの種がすべてのアッセイで同定された。平均流体力学的半径が2nm前後である小さい方の種が混合物の10から20%を構成し、半径が7nmである種が、80から90%という相対的な存在量を示した。
オリゴマーに対するモノマーの相対的な母集団が当初のモノマーの濃度には依存することは観察されなかった。方法の誤差を考慮すると、存在量の相対的変化が小さいことは、調べられたモノマーの濃度の順序に関して、オリゴマー化平衡に対するモノマー濃度の著しい影響は存在しない、ということを意味する。
αBクリスタリンのサイズを決定することで、流体力学的半径が異なる2つの別個の種がサンプルの異質性を表している、ということが明らかになる。モノマー的およびオリゴマー的タンパク質に対するそれぞれ約2nmおよび7nmという平均流体力学的半径は、既に公表されていたデータとよく一致していた。7nmという平均的オリゴマーの半径の非常に敏感な値は、質量分析[26]、電子顕微鏡法[22]、小角度X線散乱およびソリッドステートNMR[29]からのデータとよく一致した。
マイクロ流体拡散分光法は、1回の測定で、モノマー的αBクリスタリンを、オリゴマー形式のタンパク質と共存し小さな流体力学的半径を有する孤立した種として同定するのに用いられ得る。種のこのような分解は、拡散分光法に一意的であることが発見されたが、その理由は、DLSもナノポア実験も、モノマー的な種の存在を明らかにしないからである。DLSでは、より大きくより高度な散乱を生じる粒子に対するバイアスにより、サイズがより小さな粒子の存在は曖昧にされ、現時点のナノポア技術は、モノマー母集団とオリゴマー母集団との混合物に対して予測されるイベントの2モード分布を検出するのに十分な感度を有していない。更に、質量分析を用いてシャペロンのサイズ分布を説明しようとする従来の試みは、結果的に、モノマーを追跡することなく、オリゴマーの個々の母集団に関する詳細な説明を生じさせていた([25]および[26])。
<実験的事項>
ヒトαBクリスタリンに対して遺伝子をエンコードするプラスミドは、アンドリュー・ボールドウィン氏(英国オクスフォード大学)のご好意によって、供給された。
<<タンパク質の表現および精製>>
ヒトαBクリスタリンに対して遺伝子をエンコードするプラスミドは、コンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に形質転換された(インビトロゲン社)。1%(v/v)のグリセロールと100μg/mLのカナマイシンとが供給されたオーバナイト・エクスプレス・インスタントTB自己誘導媒体(500mL、ノバゲン社)が、形質転換された細胞の12mLの一晩培養に植え付けられた。タンパク質の過剰発現が、一晩で誘導され、摂氏30度で活発に揺れていた。細胞は、遠心分離(6000g、15分、摂氏4度)によって回収され、500mLの培養媒体あたり、1mg/mLのリゾチーム、(シグマ・アルドリッチ社)、完全にEDTAフリーなプロテアーゼ阻害因子カクテルタブレット(ロシュ社)、および、へら先DNasel(ロシュ社)を含む、pH8.3であり20mMのTris−HClにおいて再懸濁される(20mL/500mLでの培養)。細胞は、ウルトラソニック・プロセッサXLという超音波処理装置(マイソニックス社)において6の出力を用いて、20x15sを超音波処理することによって、溶解させる。溶解させたものを、細胞破壊片を取り除くために遠心分離器にかけ(18,000g、30分、摂氏4度)、0.45μmのシリンジを通過させてフィルタリングを行う。フィルタ(ミリポア社)。フィルタリングされた溶解物は、20mMのTris−HCl(pH8.3)で予め平衡させ、直線勾配溶出によって4つのカラム体積について0から200mMのNaClを溶出させたQセファロースカラム(GEヘルスケア社)にロードした。複数の部分を含むタンパク質は、20mMのNaPi(pH8.5)における最終的な精製のために、HiLoad26/600Superdex75pgゲル濾過カラム(GEヘルスケア社)に適用され、1mL/分の流量で溶出された。複数の部分を含むタンパク質の同一性は、SDS−PAGEおよびMALDI−MSを用いてチェックされた。
<<マイクロ流体デバイスの製造>>
SU−8 3025フォトレジスト(マイクロケム社)が、500rpmで7秒間、更には、3000rpmで30秒間、シリコンウエハの上にスピンコーティングされた。スピンコーティングされたウエハは、摂氏95度で12分間、ホットプレート上でソフトベークされ、次に、マスクで覆われて、15秒間、紫外光に露光された。露光に続いて、ウエハは、更に5分間ベークされた後で、PGMEを用いて型が展開された。PDMSスタンプは、カーボンナノパウダ(シグマ・アルドリッチ社)を用いて黒色化された液体プレポリマー(10:1(v/v)のシリコーンエラストマ:クロスリンカ)を型の上に注ぎ、それを2時間の間、摂氏60度で硬化させることによって製造された。PDMSスタンプはメスで切り出され、入口および出口孔を生検針で形成した後で、10秒間、空気プラズマに露出され(Oの部分圧力4.0、パワー4.0)、ガラスカバースリップ(グラウンド−エッジ間が90°、サーモ・サイエンティフィック社)にボンディングされる。デバイスは、25μmの高さと1,000(例えば、断面積の大きなチャネルにおいて)から10μmの範囲の幅とを有するチャネルを備えているように形成された。
<<マイクロ流体拡散分光法>>
ヒトαBクリスタリンが、オルトフタルアルデヒド(OPA)の染料溶液(200mMのNaHCO(pH10.5)、60mMのオルトフタルアルデヒド、90mMのβ−メルカプトエタノール)を、1級アミンに対してOPAが10から20倍過剰になるように用いることにより、ラベリングされた。バッファ溶液と蛍光ラベリングされたタンパク質とが、ゲルローディング用のピペットチップを用いて、それぞれの入口に追加され、250μLのガラスシリンジ(ハミルトン社)に接続された管がフロー出口に適合された。neMESYSシリンジポンプ(セトニ社)が、引き出す側の全流量を80L/hに設定するために用いられた。OPAラベリングされたαBクリスタリンが、紫外光を用いて励起され、Evolve512EMCCDカメラ(フォトメトリクス社)を用いてAxio Observer.D1顕微鏡(ツァイス社)上に取り付けられた49000−ET−DAP1フィルタキューブ(クロマ・テクノロジ・コーポレーション)で、10倍拡大するように画像化された。この画像データは、1組の基礎関数の線形重ね合わせに適合される。なお、ここで、1組の基礎関数とは、3つの蛍光測定点(1、3および9cmにおける)に対応する距離において、直径が0nmから800nmの範囲にある均一な粒子の溶液の分布を記述するものである。
<<動的光散乱(DLS)>>
動的光散乱実験が、173°という散乱角度での後方散乱検出で、ゼータサイザナノZSP(マルバーン・インスツルメンツ社)を用いて行われた。水の粘度と屈折率とがバッファ溶液に対するパラメータとして用いられ、被検体の材料特性はタンパク質に設定された。すべてのサンプルは、分析の前に、0.22μmのマイレックス・シリンジ・フィルタ(ミリポア社)を通過させてフィルタリングを行った。補正関数に逆たたみ込み演算を行い、サイズ分布を得るために、マルバーン・インスツルメンツ社のソフトウェアの「マルチプルナロー」モードを用いてデータを分析した。
<<ナノポア検出測定>>
既に[28]に記載されているように、実験は、ケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所のニコラス・ベル氏およびウルリッヒ・カイザー氏と協力して実行された。αBクリスタリンを用い、濃度が1μM、pHが10.5で測定がなされた。
<<MALDI質量分析>>
ラベリングのなされていない、および、OPAラベリングのなされたαBクリスタリンの質量が、MALDI質量分析によって測定された(ケンブリッジ大学、生化学部門、PNAC施設のレン・パックマン博士)。ラベリングのなされていない、および、ラベリングのなされたαBクリスタリンについて、実験上の質量と比較するために、20,159Daの理論上の分子量が用いられた。
<<タンパク質濃度>>
モノマー的なタンパク質の濃度が、13,980M−1cm−1というモル吸光係数を用い、モノマー的材料の280nmにおける吸収を測定することによって計算された。
<リポソームの分析>
異なるサイズのリポソーム構造が、拡散分光法によって研究された。
リポソームのサイズが、人口的な生体膜システムの特性と薬剤送達における適切な薬動力学とにとって決定的である、ということは示されてきた[30]。近年では、ベシクルのサイズを決定する異なる複数の方法が文献において論じられてきた。すなわち、電子顕微鏡法[31]、超遠心分析法[32]、分析的サイズ排除クロマトグラフィ[33]、フローフィールドフローフラクショネーション[34]、酵素脂質軽量アッセイ[35]、および動的光散乱(DLS)[36]がある。なお、DLSは、使用の容易性の強度に基づいて選択される技術である。しかし、特に複合的な異質リポソーム混合物における脂質ベシクルの正確で信頼性が高く再生可能なサイズ決定は、高度な計測または技術的な制限の要件に起因して困難なままである。マイクロ流体拡散分光法が、蛍光ラベリングされたリポソームのサイズを決定し、異なるサイズを有するリポソームの混合物におけるベシクルのサイズを解明するために用いられた。
押出ポアの直径が30nmおよび100nmである蛍光リポソームの均一の溶液が、これら2つの1:1の混合物に加えて、サイズ決定のために準備された。マイクロ流体拡散分光法は、リポソームを分析してそれらのサイズを計算するのに用いられた。すべてのサンプルについて、マイクロチャネルに沿って、異なる拡散時間にそれぞれが対応する3つの測定点での蛍光強度が測定されて、拡散プロファイルが生じる(図13の(a)、(c)および(e))。上述したマイクロ流体デバイスが用いられた。
15nmのポア半径を有する膜を通過して押し出された小さなベシクルは、(ストークス・アインシュタインの関係式から予測されるように)50nmの半径に押し出されたより大きなベシクルよりも高速で拡散した。すべての測定点において、より小さなベシクルは、チャネルを通過してより広範に拡がり、チャネルの中間にある当初の入口位置における蛍光強度は、より小さなリポソームの場合に、より速く低下した。最良の適合サイズの分布(図13の(b)、(d)および(f))は、明確なサイズを有する粒子の拡散行動を記述する基礎関数の線型重ね合わせとの拡散プロファイルの最小自乗適合によって得られた。
良い適合は、30nm、100nmおよびこれら2つの混合物まで押し出されたベシクルに対する0.05、0.14および0.06という低いカイ自乗値によって、それぞれ確認された。半径が15nmのポアを有するフィルタを通過して押し出されたリポソームの平均流体力学的半径は22nmであると決定され、50nmの押出半径を有するリポソームは、45nmの平均流体力学的半径を有することが見いだされた。混合物の分析から、これら2つの明らかな分離により、両方の種の個数が異なることが明らかになった。
明らかになった同じサンプルのDLS測定の結果として、リポソームの平均流体力学的半径のオーダーは同じであることが得られる。すなわち、15nmの半径に押し出されたベシクルに対しては27nmであり、50nmの半径に押し出されたベシクルに対しては53nmである。しかし、DLSによって見いだされたサイズ分布は広い分布であり、これにより、混合物において2つの別個のピークを高い信頼性をもって検出することは困難になった。マイクロ流体拡散は、いかなるアプリオリな情報も用いることなく、混合物の中の2つのリポソーム種の間で明示的に区別したのであるが、DLSは、異質なサンプルに向かって分析にバイアスをかけるときに限り、2つの部分的に重なり合うピークを同定した。サンプルの多分散性に関していかなるアプリオリな情報がなくても、より大きなベシクルの平均半径からより小さなベシクルの平均半径の方向に僅かにシフトした平均サイズを有する単一の顕著に幅広いピークが見いだされた(データは示されていない)。その場合、区別の精度は非常に低く、検出の限界に至ってしまっていた。DLSとは異なり、拡散分光法は、より大きくより高度に散乱する粒子の方向にバイアスされていない。リポソームの記録されている流体力学的半径の精度は、本明細書で説明されている拡散測定技術を更に調整することで改善が可能である、と考えられている。
αBクリスタリンとの関係で上述した実験の場合のように、マイクロ流体拡散測定技術によると、複合的な多分散混合物における粒子のサイズ決定が可能になる。拡散測定は、サンプル消費が著しく低いこと、感度および再生可能性が強化されていること、および、異質な混合物における粒子のサイズ決定が、大きな流体力学的半径を有する種の方に有意にバイアスされることなく生じること、という点を特徴とする。
<実験的事項>
蛍光リポソームの準備。クロロホルムにおける1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノール−アミン−N−カルボキシフルオレセイン(PECF)蛍光脂質(アバンティ・ポーラ・リピッズ社)が、サイズ決定実験で用いられたリポソームに対する蛍光ラベルとして用いられた。クロロホルムを、乾燥窒素を用いて蒸発させて、脂質膜を生じさせた。この膜は、後で、再蒸留水の中で再懸濁され、液体窒素の中で冷凍され、一晩高減圧の中で凍らせ乾燥させた。乾燥蛍光脂質は、20mMのNaPi、0.01%のNaNの中で、1mMのジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)脂質(アバンティ・ポーラ・リピッズ社)における10%の蛍光脂質の最終的なコンテンツに再懸濁され、その懸濁液は、室温で、1時間の間、十分にかき混ぜられた。結果的に得られた大きな多層ベシクルは、5つの凍結融解サイクルによって崩壊させられ、異なるサイズの単層ベシクルが、アバンティ・ミニ・エクストルーダ(アバンティ・ポーラ・リピッズ社)を用いて、異なるサイズのポアを有するポリカーボネート膜フィルタ(アバンティ・ポーラ・リピッズ社)を通過して押し出されることによって準備された。500μMのリポソームストック溶液は、ポアの直径が30nmおよび100nm直径の押出フィルタを用いて準備された。実際の測定濃度は、25μM蛍光脂質の場合に、250μMであった。
<マイクロ流体拡散分光法>
拡散デバイスは、バッファ溶液(20mMのNaPi、0.01%のNaN)で満たされ、蛍光ラベリングされたベシクルが対応する入口に追加された。neMESYSシリンジポンプ(セトニ社)が、上述した場合のように、引き出す全流量を80μL/hに設定するために、用いられる。リポソームの中に組み入れられたフルオロフォアが、Evolve512EMCCDカメラ(フォトメトリクス社)を用いてAxio Observer.D1顕微鏡(ツァイス社)上に取り付けられたET−GFPフィルタキューブ(モデル49002、クロマ・テクノロジ社)で観察された。画像データは、上述した1組の基礎関数の線型重ね合わせに適合された。
<<動的光散乱(DLS)>>
動的光散乱実験が、上述したように実行された。
参考文献
本明細書において言及されたすべての文書は、その全体が、参照によって本明細書に組み入れられる。
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Claims (38)

  1. 1つ以上の成分の拡散を決定するための方法であって、
    (i)1つ以上の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
    (ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
    (iii)断面積の大きなチャネルにおいて前記フロー(i)を前記フロー(ii)と接触させ、それによって、2つの層流を生成する工程と、
    (iv)(iii)において生成された前記層流が、前記断面積の大きなチャネルから断面積の小さなチャネルの中へ流れることを可能にする工程と、
    (v)前記断面積の小さなチャネルにおいて、前記成分流体フローから前記ブランク流体フローへの前記1つ以上の成分の側方拡散を測定する工程と
    を備える方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記成分流体フローは、2つ以上の成分を含む
    方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法であって、
    前記断面積の大きなチャネルの最大幅は、前記断面積の小さなチャネルの幅の少なくとも2倍である
    方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、
    前記断面積の大きなチャネルの前記幅は、前記断面積の小さなチャネルの前記幅の少なくとも10倍である
    方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記断面積の小さなチャネルの前記幅は、10μm以上、500μm以下の範囲にある
    方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記断面積の大きなチャネルの長さは、50μm以上、500μm以下の範囲にある
    方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記断面積の小さなチャネルの長さは、0.5mm以上、50mm以下の範囲にある
    方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記断面積の大きなチャネルは、実質的に一定な最大幅の領域を有しており、
    前記領域は、前記断面積の小さなチャネルの幅に収束する幅を有する前記断面積の大きなチャネルの領域よりも上流にある
    方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記成分流体フローから前記ブランク流体フローへの前記1つ以上の成分の前記側方拡散は、複数の拡散時間で測定される
    方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記1つ以上の成分は、ポリマーである
    方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、
    前記ポリマーは、バイオポリマーであるか、または、バイオポリマーを含む
    方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、
    前記バイオポリマーは、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび多糖類からなる群から選択される
    方法。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の方法であって、
    0.5nm以上、500nm以下の範囲にある流体力学的半径をそれぞれが有する1つ以上の成分の拡散係数を決定するための
    方法。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記工程(ii)は、2つのブランク流体フローを提供し、
    前記2つのブランク流体フローは、前記成分流体フローの両側に接触されるとともに提供され、それによって、3つの流体フローが生成される
    方法。
  15. 請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記工程(v)における前記1つ以上の成分の前記拡散が蛍光測定によって決定される
    方法。
  16. 請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記方法は、更に、成分に対する拡散係数値が、前記工程(v)の前記側方拡散測定から決定される工程(vi)を備え、
    前記工程(vi)において、オプションとして、流体力学的半径が拡散係数値から決定される
    方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、
    前記工程(vi)は、前記工程(v)からの前記1つ以上の成分の測定された前記側方拡散プロファイルと、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布と、を比較し、それによって、前記1つ以上の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える
    方法。
  18. 請求項16または請求項17に記載の方法であって、
    前記工程(vi)は、前記工程(v)からの前記1つ以上の成分の測定された前記側方拡散プロファイルに対して、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布に関する最大エントロピー正則化アプローチを用いて逆たたみ込み演算を行い、それによって、前記1つ以上の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える
    方法。
  19. 1つ以上の成分の拡散を決定するための方法において使用するための流体デバイスであって、
    上流にある2つの供給チャネルに流体的に連通する、断面積の大きなチャネルと、
    前記断面積の大きなチャネルに流体的に連通する、下流にある断面積の小さなチャネルと
    を備える流体デバイス。
  20. 請求項19に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の大きなチャネルの最大幅は、前記断面積の小さなチャネルの幅の少なくとも2倍である
    流体デバイス。
  21. 請求項20に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の大きなチャネルの幅は、前記断面積の小さなチャネルの幅の少なくとも10倍である
    流体デバイス。
  22. 請求項19ないし請求項21のいずれか一項に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の小さなチャネルの幅は、10μm以上、500μm以下の範囲にある
    流体デバイス。
  23. 請求項19ないし請求項22のいずれか一項に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の大きなチャネルの長さは、50μm以上、500μm以下の範囲にある
    流体デバイス。
  24. 請求項19ないし請求項23のいずれか一項に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の小さなチャネルの長さは、0.5mm以上、50mm以下の範囲にある
    流体デバイス。
  25. 請求項19ないし請求項24のいずれか一項に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の大きなチャネルは、実質的に一定な最大幅の領域を有しており、
    前記領域は、前記断面積の小さなチャネルの幅に収束する幅を有する領域よりも上流にある
    流体デバイス。
  26. 請求項19ないし請求項25のいずれか一項に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の小さなチャネルにおいて拡散を測定するための分析デバイスと相互作用するように構成された
    流体デバイス。
  27. 請求項19ないし請求項26のいずれか一項に記載の流体デバイスであって、
    前記断面積の大きなチャネルは、上流にある3つの供給チャネルと流体的に連通する
    流体デバイス。
  28. 1つ以上の成分の拡散係数を決定するための方法であって、
    (i)1つ以上の成分を含む成分流体フローを提供する工程と、
    (ii)ブランク流体フローを提供する工程と、
    (iii)チャネルにおいて前記フロー(i)を前記フロー(ii)と接触させ、それによって、2つの層流を生成する工程と、
    (iv)複数の拡散時間において、前記成分流体フローから前記ブランク流体フローへの前記1つ以上の成分の側方拡散を測定する工程と
    を備える方法。
  29. 請求項28に記載の方法であって、
    前記成分流体フローは、2つ以上の成分を含み、
    前記ステップ(iv)は、前記成分流体フローから前記ブランク流体フローへの2つ以上の成分の側方拡散を複数の拡散時間で測定する工程を備える
    方法。
  30. 請求項28または請求項29に記載の方法であって、
    前記側方拡散は、3つ以上の拡散時間で測定される
    方法。
  31. 請求項28ないし請求項30のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記方法は、更に、成分に対する拡散係数値が前記工程(iv)の前記側方拡散測定から決定される工程(v)を備え、
    前記工程(v)において、オプションとして、流体力学的半径が拡散係数値から決定される
    方法。
  32. 請求項31に記載の方法であって、
    前記工程(v)は、前記工程(iv)からの前記1つ以上の成分の測定された前記側方拡散プロファイルと、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布と、を比較し、それによって、前記1つ以上の成分のそれぞれに対する流体力学的半径を決定する工程を備える
    方法。
  33. 請求項31または請求項32に記載の方法であって、
    前記工程(v)は、前記工程(iv)からの前記1つ以上の成分の測定された前記側方拡散プロファイルに対して、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布に関する最大エントロピー正則化アプローチを用いて逆たたみ込み演算を行い、それによって、前記1つ以上の成分のそれぞれに対する前記流体力学的半径を決定する工程を備える
    方法。
  34. 請求項28ないし請求項33のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記工程(ii)は、2つのブランク流体フローを提供し、
    前記2つのブランク流体フローは、前記成分流体フローの両側に接触されるとともに提供され、それによって、3つの流体フローが生成される
    方法。
  35. 複数の成分を含む流体の組成を決定する方法であって、
    (i)前記複数の成分を含む前記流体に対する1つ以上の測定された拡散プロファイルを提供する工程と、
    (ii)既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の予測される分布を提供する工程と、
    (iii)前記1つ以上の成分の測定された前記側方拡散プロファイルに対して、既知の流体力学的半径を有する成分に対する一連の分布に関する最大エントロピー正則化アプローチを用いて逆たたみ込み演算を行う工程と
    を備える方法。
  36. 請求項35に記載の方法であって、
    前記1つ以上の測定された拡散プロファイルは、請求項1ないし請求項15、請求項28ないし請求項30、および、請求項34のいずれか一項に記載の方法によって取得されるか、または、取得可能である
    方法。
  37. 1つ以上の成分を含む流体の組成における変化を分析するための方法であって、
    第1の時刻において前記流体から第1のサンプルを採取し、請求項1ないし請求項18および請求項28ないし請求項34のいずれか一項に記載の方法を実行し、それによって、前記第1の時刻における前記流体の組成を決定する工程と、
    前記第1の時刻よりも後の第2の時刻において前記流体から第2のサンプルを採取し、本発明の第1または第3の態様による分析を実行し、それによって、前記第2の時刻における前記流体の組成を決定する工程と
    を備える方法。
  38. 組成物における成分の濃度を決定するための方法であって、
    請求項1ないし請求項18および請求項28ないし請求項34のいずれか一項に記載の方法を実行する工程と、
    前記組成物の分解された拡散プロファイルから前記成分の濃度を決定する工程と
    を備える方法。
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