JP2015530856A - スターリング機械に連結されたリニアモータ/オルタネータの電機子への高調波平衡化信号の入力による振動の平衡化 - Google Patents
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Abstract
高調波周波数の振動が、高調波平衡化信号を、スターリング機械に連結されたリニアモータ/オルタネータの電機子に入力することにより、低減される。振動が、機械的振動を示す信号を提供するために検知される。高調波平衡化信号が、各高調波に対して適応フィルタの適応フィルタアルゴリズムで検知された振動信号を処理することにより動作周波数の選択された高調波に対して生成される。各高調波に対する基準信号入力が、選択された高調波の周波数で適応フィルタアルゴリズムに適用される。高調波のすべてに対する高調波平衡化信号は、主制御信号と加算される。高調波平衡化信号は、主電気駆動電圧を修正し、各高調波の振動に対抗する駆動電圧要素でリニアモータ/オルタネータを駆動する。
Description
本発明は、概して、機械的振動、特に電磁リニアモータまたはオルタネータに駆動的に連結されたスターリングサイクルマシンを含む結合対における振動の低減または除去に関し、特に、従来技術の制御および振動バランサと本発明の制御システムの一体化により結合対の往復運動の基本動作周波数の高調波で機械的振動を低減、除去するものに関する。
多くの機械は、機械の一部の質量が一度以上繰り返して加速及び減速する移動の結果として振動する。ある環境下、この振動は、不快で、気を散し、あるいはいらいらさせるもので、ある場合は、他の機器の動作に干渉し、損傷をもたらす可能性がある。振動を低減する1つの方法は、振動する機械を中間振動ダンパー(振動のエネルギーの一部を吸収する装置または材料であってもよい)を介して別の質量のあるものに取り付けることである。しかし、その方法による振動の低減は部分的にのみであることから、除去または少なくとも最小にする効果的な方法は、振動する機械に振動バランサを取り付けることである。振動バランサは、振動に対抗する力、すなわち、振幅が等しいかほぼ等しいが、位相が反対の力を生じさせ、それによって生じた力は、振動による力を打ち消すか、ほぼ打ち消す。
振動バランサには、一般的にパッシブ振動バランサとアクティブ振動バランサの二つのタイプがあり、同調質量ダンパー、アクティブ質量ダンパーまたは振動吸収体として知られているものである。パッシブ振動バランサは、本質的に、振動する機械の動作周波数に同調するが、振動から生ずる力と180°位相が違う位相で、加速または減速する質量による力を振動する機械に適用する共振ばねおよび質量システムである。アクティブ振動バランサは、本質的に質量であり、バネに連結できるが、質量の運動は、振動を感知し、振動に抗して質量を駆動するフィードバック制御システムによって制御される。
パッシブ振動バランサは、安価であるものの、同調する一つの共振周波数での振動に応答するのみであるという欠点をもつ。アクティブ振動バランサは、振動の周波数における小さな変化に応答することができ、振動をより打ち消す振幅で補償力を適用するが、アクティブ振動バランサは、高価で、必要な振幅および位相でアクティブ振動バランサを駆動するための制御器を必要とする。知りうる範囲で、パッシブでもアクティブでもないバランサは、振動する機械の基本動作周波数の高調波で振動の平衡(バランス)をとっている。
そこで、機械の振動を、機械の基本動作周波数の高調波周波数で低減または除去するための方法及び装置を提供することを本発明の目的および特徴とする。
本発明の他の目的および特徴は、機械の基本動作周波数の高調波で振動を平衡化することのみならず、平衡化を行うための機械的な構造物を付加することなく、振動を平衡化することである。
本発明は、原動機または負荷に駆動的に連結されているリニアモータ/オルタネータを含む、結合対の振動を平衡化する方法である。リニアモータ/オルタネータは電機子巻線を有し、動作周波数での往復運動は、コマンド入力からデジタルプロセッサによって制御される。本方法は、動作周波数の高調波で結合対の振動を最小限に抑える。
従来技術のように、主制御信号が、コマンド入力から動作周波数で生成され、その主な制御信号は、電機子巻線に、主要な電気的駆動交流電圧を適用することにより、結合対を制御するパワーステージに適用される。 本発明では、結合対の振動が結合対の検知された機械的振動を表す、検知された振動信号を提供するために、検知される。高調波平衡化信号は、動作周波数の少なくとも一つの選択された高調波に対して生成され、好ましくは、高調波平衡化信号は、選択された高調波のそれぞれについて生成される。高調波平衡信号はそれぞれ、適応フィルタの適応フィルタアルゴリズムでもって、検知された振動信号を処理することによって生成される。選択された高調波のそれぞれに対する適応フィルタアルゴリズムは、選択された高調波の周波数の基準信号入力を有する。選択された高調波のすべてに対する高調波平衡化信号は主制御信号とともに加算される。動作周波数の選択された各高調波における各高調波平衡化信号は、それによって主要な電気的駆動電圧を変更し、選択された高調波のそれぞれの振動に対抗する選択された高調波のそれぞれに対する駆動電圧成分で、結合対のモータ/オルタネータを駆動する。
図面に示された本発明の好適な実施形態の説明において、特定の用語が明瞭化のために、分類し直されている。しかしながら、本発明はそのように選択された特定の用語に限定されることを意図せず、各特定の用語は同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的等価物を含むことを理解されるべきである。
米国特許第7,511,459号が、参照のため本出願に組み込まれている。この従来技術の特許は、スターリング機械に駆動的に連結され、本発明の実施形態例とともに使用することができるリニアモータ/オルタネータを制御するための制御システムの一例を示している。具体的には、この特許は、その動作周波数で動作を制御するために、モータ/オルタネータの電機子の巻線に主要な電気的駆動電圧を適用するための主要な制御システムとして、ここで参照されるものの一例を開示している。
用語と従来の技術の基本原理
スターリング機械は、多くの場合、駆動リニアモータやリニアオルタネータに連結されている。スターリングエンジンは、電力を生成するためにリニアオルタネータに結合された原動機であってよい。ヒートポンプモードで動作するスターリング機械は、リニア電気モータに連結され、そのモータにより駆動され、その熱交換器の1つからその熱交換器の他のものに熱エネルギーを送り込むことができる。熱を送り込むスターリング機械は、その目的が質量を冷却する場合は、クーラーと参照され、その目的が質量を加熱する場合はヒートポンプと参照される。スターリングヒート(熱)ポンプとスターリングクーラーは、異なる用語が適用される基本的に同じ機械である。両者とも1つの質量から他のものに熱エネルギーを伝達するものである。当然ながら、用語クーラー/ヒートポンプは基本的機械に適用されるとき、同等に使用することができる。スターリング機械は、エンジン(原動機)またはクーラー/ヒートポンプのいずれかであり得るので、用語スターリング「機械」は、一般的に、スターリングエンジン、スターリングクーラー/ヒートポンプの両方を含む。これらは、基本的に、機械的および熱的な二種類のパワーの間のいずれかの方向に力を伝達することができる同一のパワー変換器である。
同様に、電動リニアモータと電動リニアオルタネータの両方とも同じ基本的な装置である。これらは、ステータ(通常、電機子巻線を有する)、一つ以上の磁石(通常は、永久磁石)を含む往復動作する部材を有する。リニアモータ/オルタネータは、電力を発生させるためのオルタネータとして動作するように、原動機により機械的に往復駆動させることができ、または機械的な往復出力を与えるモータとして動作するように交番電力源によって駆動させることができる。したがって、用語リニアモータ/オルタネータは、この基本的な電気機械装置を参照すために使用し得るものである。
前述した動作の二重性のため、エンジンとして動作するスターリング機械は、リニアオルタネータを駆動するために使用することができ、リニアモータは、ヒートポンプモードで動作するスターリング機械を駆動するために使用することができる。いずれの場合も、スターリング機械のパワーピストンは、通常、直接リニアモータまたはオルタネータの往復運動部材に連結される。また、リニア電気モータ、スターリングエンジンは、例えば、冷蔵庫においてガス圧縮するため、流体を圧送するための圧縮機のピストンのような他の負荷を駆動するために使用することができる。
本発明の実施形態における従来技術部分
本発明の実施形態のすべては、原動機または負荷、最も好適には、スターリング機械に駆動的に連結されているリニアモータ/オルタネータである結合対を制御する従来技術の制御システムと一体化され、組み合わされる本発明の制御システムの組み合わせである。このような結合対は、従来技術からよく知られている。モータ/オルタネータは、主制御信号が適用される電機子巻線を有する。スターリング機械またはモータ/オルタネータのいずれかが原動機であり、他方は負荷であり、そのような結合ペアを制御する種々の制御システムがある。モータ/オルタネータが発電するためのオルタネータとして使用される場合に、電機子巻線は電力出力を提供する。モータ/オルタネータをモータとして使用される場合、それを駆動する電力は、制御され、主制御信号を含む。どちらの場合も、本発明が実施される先行技術の制御のタイプは、モータ/オルタネータに制御電圧を適用することにより、その制御を実現する制御である。この制御により、往復動する対が動作周波数で往復動し、オーバートークが防止され、負荷の電力需要と原動機の動力出力とが一致し、ヒートポンプの温度が制御され、および/または結合対の効率が最大となる。
図1、図3、図4および図5のすべては、従来技術の主要な制御システムを含む。図1は本発明の基本原理を例示する。最新の従来技術の制御システムは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)のようなデジタルプロセッサを利用する。当業者に知られているように、デジタル制御回路の動作は、一般的に、デジタルプロセッサによって実行される制御アルゴリズムによる信号に対する数学的演算の観点から記述されている。「信号」は、デジタルデータ形式のアナログ信号の表示を含む。操作は、多くの場合、最新の回路のこれらの操作がアルゴリズムを実行するようにプログラムされたデジタルプロセッサによって代わりに実行されるにもかかわらず、このような操作を行うフィルタや信号発生器のような過去の先行アナログデバイスの観点から説明されている。
図1に示されているように、本発明が適用される従来技術の主要な制御システムはデジタルプロセッ10の上部を横切る経路に沿って図示されている。従来技術では、主制御信号が、往復動作の周波数で主要な制御システムによって生成され、モータ/オルタネータの電機子巻線に、交流の主要な電気的駆動電圧を適用することにより、結合対を制御するパワーステージに適用される。ほとんどの制御システムに共通して、制御アルゴリズムに適用されるコマンド入力12がある。コマンド入力12[Acmd]は、基本駆動周波数で結合対を動作させるための振幅入力である。コマンド入力[Acmd]は、ストローク距離またはモータ/オルタネータを駆動する電機子コイル電圧を表す。主制御システムからの出力は、その基本動作周波数での結合対の往復運動を制御する。
図1において、従来技術の制御アルゴリズムが、制御アルゴリズムAと制御アルゴリズムBの間で分かれて図示されている(本発明の目的のために、加算動作、またはそれらの間に図示された加算接合14があるからである)。これは、本発明からの制御信号が、本発明に従って主制御信号を変更するために、主要な制御アルゴリズムに適用されことを図示しているが、しかし、この加算動作の前に実施される従来技術の制御動作があってもよく、さらにその後に実施される従来技術の制御動作があってもよい。制御アルゴリズムの動作の結果は、モータ/オルタネータを駆動するために必要な高い電力に制御信号を変換するパワーステージ18に、デジタル−アナログ変換器16を介して適用される。パワーステージは、さらなる制御回路を含むことができる。
パワーステージ18の出力は、モータ/オルタネータ20の電機子巻線に適用される。モータ/オルタネータ20は、結合対(二つのコンポーネントは、支持体26として、図示されている共通の機械的支持体に取り付けられている)を形成するために機械的リンク24によってスターリング機械22に駆動的に連結されている。実際には、オルタネータのケース、およびスターリング機械のケースは一体的に形成され、または互いに直接連結されている。結合対は、好適には、それらの動作周波数での結合対の振動を低減または除去するのに役立つパッシブ振動バランサに接続されている。
本発明
本発明の方法は、動作周波数の高調波で結合対の振動を最小限にするものである。基本的な概念は、動作基本周波数の高調波の周波数での振動の振幅、周波数および位相を検知すること、さらにその時点検知された振幅、周波数および位相をフィードバックすることである。振動は排除することが求められているエラーであるので、振動の検知は本質的にエラー検出である。正弦波的に変化する信号が、高調波周波数のそれぞれに対して生成され、その振幅と位相は、各高調波に対する平衡化信号を生成するために、周期的に変化され、更新され、適合される。各高調波に対する平衡化信号が、それを、結合対の動作をその動作の基本周波数で制御する主制御信号に入力することにより、連続してフィードフォワードされる。周期的に更新することによる各高調波に対する各平衡化信号の変化はその平衡化信号を、その時点検知された振動に適合させ、その結果、各高調波に対する正弦波平衡化信号は、リニアモータ/オルタネータに連続的に適用され、適切な位相、振幅および周波数で補償力を生成し、各高調波で検知された振動を最小にもっていく。これは、出力を駆動するために、エラーを必要とする標準的な閉ループ、負のフィードバック制御システムとは多少異なっている。ここでエラー(振動)は、ゼロに駆動されるが、一度ゼロに駆動されると、適合アルゴリズムが、振動の増加または減少を検知したとき(この場合、再度振動がゼロになるように、補償力が修正される。)を除き同じ補償力を維持する。
図1に示されているように、振動センサ30が、結合対(20、22)に(たとえばそのケースまたはハウジング支持体26、または結合対が取り付けられるパッシブ振動バランサに取り付けることにより)機械的に連結して取り付けられる。振動センサ30は加速度計で、検知された振動を表す検知された振動信号を与えるために、結合対の振動を検知する。
振動センサ30からの検知された振動信号は、デジタルプロセッ10により処理するために、アナログ−デジタル変換器32を通して適用される。デジタル形式の、検知された振動信号は、符号34、36および38(それぞれは、基本動作周波数の異なる高調波に対して平衡化信号を生成するアルゴリズムである)として図示された複数の適応平衡化信号のそれぞれに適用される。したがって、選択された高調波周波数のそれぞれのための適応平衡化信号発生器がある。各適応平衡化信号発生器は、一つの高調波に割り当てられ、応答する。本発明は、一つの高調波で振動のバランス(平衡化)をとるために実施することができるが、好適には、異なる複数の高調波を平衡化する複数の平衡化信号発生器があることである。三つの平衡化信号発生器が、三つの高調波周波数2ω、3ω及びhω(ここで、ωは基本動作周波数で、hはh番目の高調波周波数であるhを示す。)に対して図示されているが、多数の高調波および設計者により選択された高調波に対する多数の平衡化信号発生器があってもよい。
以下でより詳細に説明するように、選択された各高調波のための高調波平衡化信号は、適応フィルタの適応フィルタアルゴリズムで検知された振動信号を処理することによって生成される。選択された高調波の周波数の基準入力は、適応フィルタアルゴリズムに適用される。したがって、高調波平衡化信号発生器34、36および38の各々は、割り当てられた高調波でバランス(平衡化)させための平衡化信号である出力34B、36Bおよび38Bを有している。
出力34B、36および38Bにおける平衡化信号の全ては、主制御信号と加算される。図1に示されているように、動作周波数の選択された各高調波に対する高調波平衡化信号は、加算接合器40で加算されて、それらの加算は、次に加算接合器14において主制御信号と加算される。したがって、高調波平衡化信号の加算は、電気駆動電圧を修正するフィードフォワード信号で、結合対のモータ/オルタネータは、各選択された高調波の振動に抗して、各選択された高調波に対する駆動電圧成分で駆動される。したがって、各高調波平衡化信号発生器は、実用的な程度に、割り当てられた高調波周波数での振動を打ち消すための周波数、振幅および位相でリニアモータ/オルタネータを駆動する周波数、振幅及び位相をもつ出力信号を加算接合器40に提供する。
適応フィルタ
高調波平衡化信号は、出力34B、36Bおよび38Bにおいて適応フィルタの使用によって部分的に生成される。適応フィルタ技術は、何十年も前から当業者には知られている。本発明で使用に好ましい適応フィルタアルゴリズムは、半世紀前に発明された最小平均二乗(LMS)フィルタアルゴリズムである。この技術で、本発明で使用できる種々の修正されたLMSアルゴリズム並びに他の適応フィルタアルゴリズムが開発された。これらのアルゴリズムは、SLMS(LMSの微修正)、NLMS(正規化された最小二乗平均フィルタ)、RLS(反復最小二乗アルゴリズム)を含む。LMSアルゴリズムは、本発明で使用するための相対的な単純性と適合性のために好ましい。LMSアルゴリズムは、エラー信号の最小二乗平均の生成に関連するフィルタ係数を求めることにより、所望のフィルタを模倣する。エラー信号は、所望の信号と実際の信号との差である。本発明では、所望の信号が振動しないので、エラー信号は検知された振動である。
適応フィルタが、基本的には、検出されたエラーに応答して、その適応アルゴリズムにより変化する可変フィルタである。適応フィルタは、その時点で検知されたエラーに基づいて適合される。エラー信号は、可変フィルタを修正または更新するアルゴリズムによって処理される。本発明では、可変フィルタは、単純な利得、すなわち、乗算器(増幅器)(その値は、検知されたエラーに応答して、アルゴリズムによって制御可能に変更される)である。可変フィルタの値は、検知されたエラーに応答して、設計者によって選択された、アルゴリズムにより制御された量、さらに設計者によって選択され、アルゴリズムにより制御された周期率で、増減されることにより、修正される。このように、アルゴリズムは、実際上エラーをゼロに近づけるように可変フィルタを増減し、エラーを実際上ゼロに維持するために、後続するエラー信号を顧慮して必要となるときに、可変フィルタの増減を続ける。LMSアルゴリズムのような適応フィルタアルゴリズムは、エラーをゼロにするために動作する、文献に記載されている標準的なアルゴリズムである。
本発明の適応平衡化信号発生器
平衡化されることが求められるれる各高調波に対して、特定の高調波に割り当てられている適応平衡化信号発生器がある。各適応平衡化信号発生器の目的は、検知された振動入力から、振動を、その割り当てられた高調波周波数で、対抗し、打ち消すリニアモータ/オルタネータに力を生じさせる信号を発生させ、維持することである。図2は、図1においてブロックとして示されている適応平衡化信号発生器34、36および38を図示する。これら適応平衡化信号発生器は、それぞれが、それに割り当てられた異なる高調波周波数で動作するように適合されていることを除き、同一である。各適応平衡化信号発生器50(図2)は、直交位相をもち、正弦波的に変化する基準信号発生器52および54を含む。基準信号発生器52は、cos(hωt)を発生し、ここでhは平衡化信号発生器に割り当てられるh番目の高調波のhで、ωは結合対の基本動作周波数である。基準信号発生器54は、sin(hωt)を発生する。直交関係にあるcosとsin関数を表すフェーザから可視化することができるように、直交位相をもつ正弦波信号は、加算され合成される成分である。加算結果は、任意の位相および任意の振幅で、これら二つの直交成分の振幅を変化させるだけである。図3に示されているように、基準信号発生器の振幅は、それら振幅がAcmdに比例するように、Acmdの関数として振幅を制御することによって制御することができる。図4および5に示されているように、基準信号発生器は、一定の振幅をもつ。正弦波基準信号発生器52および54の目的は、割り当てられた高調波の周波数で、直交位相をもち正弦波的に変化するcosとsin基準信号を発生することである。
適応平衡化信号発生器50はまた、二つの適応フィルタ56および58を有する。適応フィルタ56は、その適応LMSアルゴリズムLMS0によって制御可能に変化させられる可変フィルタW0を有する。適応フィルタ58は、その適応LMSアルゴリズムLMS1によって可変可能に制御される可変フィルタW1を有する。
検知された振動信号は、一対の可変フィルタのそれぞれを制御する適応フィルタアルゴリズムへ入力として適用される。具体的には、検知された振動信号e(n)は、適応フィルタアルゴリズムLMS0とLMS1に適用される。基準信号発生器52および54の出力はまた、適応フィルタアルゴリズムにより制御される一対の適応フィルタの一対の可変フィルタの各々に適用される。具体的には、基準信号発生器52(cos(hωt)を発生する)からの信号は、可変フィルタW0に適用され、基準発生器54(sin(hωt)を発生する)からの信号は可変フィルタW1に適用される。したがって、可変フィルタW0およびW1からの出力信号は、直交位相をもつ正弦波信号(それぞれは、可変フィルタW0およびW1のそれぞれの利得によって決定される振幅を有する)である。可変フィルタW0およびW1に対するそれぞれの利得は、それぞれの適応アルゴリズムLMS0およびLMS1により決定され、周期的に更新される。可変フィルタW0およびW1からの直交位相をもつ正弦波信号は、平衡化信号発生器に割り当てられた高調波周波数で加算接合器60から加算結果出力を提供する加算接合器60で加算(ベクトル/フェーザ合計)することができるフェーザ成分であり、ここで高調波周波数は、LMS0およびLMS1適応フィルタアルゴリズムによって決定され振幅および位相を有する。これらの適応フィルタアルゴリズムは、割り当てられた高調波に対して平衡化信号を生成する。平衡化信号は、主制御信号と加算され、モータ/オルタネータの電機子巻線にフィードフォワードされるとき、適応平衡化信号発生器50に割り当てられた周波数で、振動に対抗する、本質的に打ち消すモータ/オルタネータの力を発生するように、振幅および位相を有する。
適応フィルタのための設計パラメータは比較的単純である。アルゴリズム自体は、この分野において、容易に入手可能である。各可変フィルタを制御アルゴリズムは、段階的に可変フィルタを更新する。設計者によって選択された2つのパラメータは、(1)更新レート(更新される頻度)と(2)更新の量(更新ごとに、可変フィルタの利得がどの程度変化するか)である。更新レートは、LMSアルゴリズムが処理される頻度である。更新レートは、平衡化信号発生器に割り当てられる高調波の周波数の数倍に選択される。通常、更新は割り当てられる高調波の、5から10回生ずる必要がある。各増分更新に対する可変フィルタの利得の変化量は、反復試行錯誤法によって最も多くなるように実験的に決定される。ある範囲にわたって、いくつかの更新量を個別に試行され、振動がしたときの安定性、有効性および応答速度を観察する。各更新での変更の選択された量は、通常、フィードバックされたエラーの関数(エラーが小さくなると、変化量も小さくなる)であり、典型的には、エラー振幅に比例する。LMSまたは他の制御アルゴリズムは、エラーの符号に基づいて、変化の方向を決定する。
各正弦波的に変化するcosとsinの基準信号発生器52および54からの信号はまた、
と乗算され、その積は、適応フィルタ56および58の適応フィルタアルゴリズムLMS0およびLMS1に入力される。
は、平衡化信号発生器50の出力50Bから、検知された振動入力62への伝達関数である。伝達関数は、平衡信号発生器50の外部にの全システムに対する複雑な数学的表現である。周知のとおり、伝達関数は、入力に対する出力の比で、この場合、平衡化信号発生器50の出力50Bにおける出力で除算した入力62で検知された振動信号の入力である。
伝達関数は、適応フィルタアルゴリズムのLMS0およびLMS1で使用するための推定または予測された応答を提供する。伝達関数は、システムを表す伝達関数を提供するという意味では、モデルを作成する。伝達関数は、外部システムの応答がパッシブ信号バランサ成分を含むという事実を説明する。それは、基本動作周波数での振動に対向する反力も発生しているパッシブ振動バランサを備えたシステムの挙動を推定する。伝達関数は、一定の振動取り消し信号を平衡化信号発生器50によって適用されたときは、生ずるであろう振動を予想する。もちろん、システムが動作中に大きく変化することが予想される。しかし、LMSアルゴリズムは、振動をゼロに低減するために、可変フィルタW0およびW1の利得を変化させるべく、その方向性(増加または減少)を決定するためにその伝達関数信号を用いる。
各高調波に対する各
したがって、
上述したように、平衡化信号発生器に割り当てられている、選択された高調波に対する高調波平衡化信号は、可変フィルタW0およびW1の直交出力を加算(フェーザ/ベクトル和)することによって得られる。その加算動作は、接合器60により加算することによって表されている。図1に示されているように、全ての高調波に対する複合平衡化信号を加算することにより、さらに主制御信号に加算することによって生成される。このことは、出力34B、36Bおよび39Bを加算接合器40に適用し、さらに、その加算を加算接合14に適用することによって図示されている。
図3は本発明の実施形態を示している。適応平衡化信号発生器334および336は、図1および図2に示されたものと同一である。しかし、図3の実施形態では、3コマンド入力Acmdは、cos基準信号発生器352およびsin基準信号発生器354のような全ての基準信号発生器に適用される。このことにより、基準信号の振幅はAcmdに比例して変化することになる。Acmdの関数として基準発生器の振幅を変化させることは、振幅フィードフォワード制御のさらなる利点を提供する。
図3ならびに図4および図5はまた、より詳細に振動センサ330を図示する。振動は、好ましくは、加速度計370(増幅器372に出力を適用する)によって検知される。増幅された出力は、ローパスフィルタ374によってフィルタリングされる。ローパスフィルタ374のカットオフ周波数は、設計者が本発明の技術を使用して振動を最小限にしたいと考えている最も高い選択された高調波の周波数より上である。その目的は、最も高い選択された高調波周波数以上の周波数におけるノイズを除去することである。
デジタル−アナログ変換器332を介して、ローパスフィルタ374からデジタルプロセッサ310に適用される、検知された振動信号e(n)は、基本動作周波数およびフィルタのカットオフ周波数以下の高調波のすべてにおける振動の加算である複合アナログ信号である。その複合信号(デジタル形式)は、適応平衡化信号発生器の各々に適用され、従って、複合振動信号のフーリエ成分の全てを含む。しかしながら、それは、基準信号発生器52および54(図2)の周波数におけるフーリエ成分に唯一応答する適応フィルタアルゴリズムの固有の特性である。平衡化信号発生器の各々は、割り当てられた高調波周波数の基準信号発生器を有するので、各平衡化信号発生器は割り当てられた周波数に応答する。結果として、各高調波に対するフーリエ成分を抽出するために複合振動信号をさらにフィルタリングの必要がない。
図4は本発明の他の実施形態を図示し、その適応平衡化信号発生器434および436はまた図1および図2に図示のものと同じである。図4の実施形態においては、コマンド入力Acmd(412)がcos基準信号発生器452およびsin基準信号発生器454のような基準信号発生器のいずれにも適用されないことを除いて図3の実施形態と同様である。結果として、発生した基準信号の振幅は常に単位値をもつので、Acmdに比例する振幅フィードフォワードはない。
図5は、次の点を除き図4の実施形態と同様の本発明の実施形態を示す。図5は、主制御信号と加算されるフィードフォワード制御信号を提供するフィードバックレッグ580を有する別の従来技術の主制御システムと一体となった発明を示している。本発明の先行技術であり、図5の本発明と一体となった主制御システムは本出願人の米国特許7511459に記載されている。
図面に関連して、この詳細な説明は、本発明の現在好ましい実施形態の説明として主に意図され、本発明が構築または利用できる唯一の形態を表すものではない。ここでの記述は、図示の実施形態に関連して、本発明を実施する設計、機能および方法について行われた。しかし、同じまたは同等の機能、特徴は、本発明の思想および範囲で実施できる異なる実施形態により達成でき、さらに種々の変改が本発明または特許請求の範囲から逸脱することなくなし得ることは分かるであろう。
Claims (7)
- 電機子の巻線を有し、動作周波数で往復動するためのコマンド入力から、デジタルプロセッサにより制御されるリニア−モータ/オルタネータであって、原動機または負荷に駆動的に連結されるリニアモータ/オルタネータを含む連結対の振動を平衡化する方法であって、動作周波数の高調波で結合対の振動を最小化する方法であって、
(a) 前記コマンド入力から動作周波数の主制御信号を生成し、該主制御信号を、交流の主電気駆動電圧を前記電機子に適用することにより前記結合対を制御するパワーステージに適用する工程と、
(b) 前記結合対の振動を検知し、該検知された振動を表す検知振動信号を与える工程と、
(c) 前記検知振動信号を適応フィルタの適応フィルタアルゴリズムで処理することにより前記動作周波数の、少なくとも選択された高調波に対して高調波平衡化信号を生成する工程と、
ここで、前記適応フィルタアルゴリズムは前記選択された高調波の周波数の基準信号をもち、
(d) 前記電機駆動電圧を修正するために、前記動作周波数の選択された各高調波の高調波平衡化信号のそれぞれを前記主制御信号と加算し、選択された各高調波の振動に抗する、各選択された高調波に対する駆動電圧成分で前記結合対の前記リニアモータ/オルタネータを駆動する工程と、
を含む、方法。 - 前記電動力または負荷が、前記リニアモータ/オルタネータと駆動的に連結されるスターリング機械であり、
前記高調波平衡化信号を生成する工程が、各選択された高調波に対して、
(i) 前記選択された高調波の周波数で、一対の直交位相をもち、正弦波的に変化するcosおよびsin基準信号を発生し、これら信号を適応フィルタアルゴリズムにより制御される一対の適応フィルタの一対の可変フィルタのそれぞれに適用する工程と、
(ii) 前記一対の可変フィルタのそれぞれを制御する適応フィルタアルゴリズムに、前記検知された振動信号を入力する工程と、
(iii)前記選択された高調波での振動に対応する前記検知された振動信号で除算された、前記選択された高調波に対する高調波平衡化信号を表す伝達関数を、前記正弦波的に変化するcosおよびsin基準信号のそれぞれに乗算し、さらに、前記乗算された基準信号を前記適応フィルタに対する適応フィルタアルゴリズムに入力する工程と、
(iv) 前記可変フィルタの出力を加算し、前記選択された高調波に対する前記高調波平衡化信号を与える工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。 - 当該方法が複数の選択された高調波に対して実施される、請求項2に記載の方法。
- 一対の直交位相をもち、正弦波的に変化するcosおよびsin基準信号のそれぞれの振幅が、前記コマンド入力に比例して、制御可能に変化する、請求項3に記載の方法。
- 可変フィルタのそれぞれが、その適応フィルタアルゴリズムにより制御される利得をもつ振幅乗算器である、請求項4に記載の方法。
- 前記適応フィルタアルゴリズムが最小二乗アルゴリズムである、請求項5に記載の方法
- 各適応フィルタアルゴリズムが、高調波平衡化信号を発生するための高調波の高調波周波数の五倍から十倍の範囲で、可変フィルタを変化させる周期的な更新率を有する、請求項6に記載の方法。
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