JP2015524521A - エネルギー減衰体 - Google Patents

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Abstract

複数の周期的な双曲線型の曲面を有し、連続的な曲面構造を形成し、内部を通る切れ目のないトンネルを内包するエネルギー減衰体。【選択図】図5

Description

本発明は、透過型海綿状構造体に関する。
防波堤は、打ち寄せる波のエネルギーに(吸収又は反射或いはその両方で)交互に抵抗するように設計されており、そのため保護された静穏な活動水域が、又は(一部の用途では)海洋の侵食力から保護された沿岸陸地が、可能な限り低コストかつ環境への損害が少ない状態で作り出される。
従来の防波堤
1.中詰材を基礎とする防波堤は、典型的には、
−砂及び岩石の捨石(岩石の大きさは設置場所の流体力学条件に依存する)と、
−コンクリートブロック層を有する傾斜した擁壁及び土・割栗石の裏込め(重量のあるコンクリート消波ブロック又は類似の構造物で支持されている)と、
から施工されている。
2.嵩を与え転覆を防ぐための中詰材を有するケーソン式(垂直壁)防波堤。
3.機能上決定された各種の組み合わせで用いられる相補的なケーソン捨石擁壁防波堤。
深度条件、影響する波エネルギー、及び中詰材の利用可能性は、防波堤の建設とそのコストを決定する要因である。中詰材を施した防波堤は、底が広い幾何学形状であるため、水深約20〜25メートルでその技術的、経済的限度に達し、これを上回る水深では、1メートル深くなるごとに材料の量が重大な経済上の制約になる。
ケーソン(前部又は後部設置)技術は、浅底の海では比較的コストがかかるが、水深が深くなると、捨石マウンド又は擁壁のコストの方がこれをはるかに上回る可能性がある。
自然を浚渫又は採掘或いは掘削し、輸送し、現場に堆積させるという防波堤の施工に中詰材を用いるアプローチは、コスト面だけでなく、環境面でも問題があり、悪影響があり、破壊的であることに留意する必要がある。したがって、多くの海岸条件において、中詰材のアプローチは(大きな規模について考慮すると)実行可能な選択肢ではない。
防波堤、防音壁及び熱交換器などの使用に適合された、改善された波エネルギー減衰構造体を提供することが目的である。
一側面によれば、複数の二重に湾曲した双曲放物面又は極小で無限の多面体が相互に接続された曲面のシェル、又は連続的な曲面構造の形状に類似の他の任意の形状からなり、内部を通る切れ目のないトンネルを内包する透過型海綿状防波堤が提供される。
複数の双曲放物面状シェルを含む実施形態は、先に明記したように、鉄筋コンクリート、鋼板、プラスチック樹脂、複合材料等、任意の種類の材料から施工される。
シェルは、コンクリート、吹付けコンクリート、フェロセメント、繊維補強コンクリート等を含み得る。
コンクリートは、吹付けコンクリート、ワイヤ(金属、プラスチック、複合…)、フェロセメント、f.r.p(繊維補強プラスチック)、例えば(耐食性)金属メッシュ等のメッシュなど、少なくとも1つの補強材を含み得る。
一部の実施形態では、全体形状は、幾何学的に反復する単位からなるモジュール型であるため、効率的な大量生産を容易に行うことができる。
シェルは、立方体格子、ダイアモンド格子、立方体心格子、辺心(edge centered)格子、8面体格子の形状などに現れる、様々な空間対称区分に合わせた方法で形成され得る。
双対の絡み合った一対の立方体ネットワークに応じて、トンネルが配置され得る。
一部の実施形態では、周期的なシェル曲面の構造単位は、2〜13の間の種数を有する。
一部の実施形態では、シェルは、図1aに示される形状、図1bに示される形状及びそれらの組み合わせから選択される形状を有する。
シェル構造の厚さは、一般に、シェルが作られる材料の種類に対応し、(現在の性能の)鉄筋コンクリートの場合は7〜20cmであり、鋼鉄又は他の金属或いは複合材料製シェルの場合、数ミリメートルで十分であり得る。
立方体単位又は周期的なシェル単位に外接する各ボックスの稜は、1.0〜12.0メートルの間である。関係する曲面の種数が高いほど、多面体の稜の長さは短くなる。
一部の防波堤の実施形態では、シェルの一部は密閉され、いくつかには浮揚性を持たせるため空気を充填可能である。
曲面の艶出し、プラスチック材の塗布、金属製補強材にカソード防食を施すこと等、複数の方法を採用することで腐食抵抗性が得られ得る。
一部のシェル及びシェルに包まれた海水はバラスト材を含んでもよく、これによって構造体の全体的な安定性が増す。
海綿状防波堤は、任意の種類の固定装置を更に備え得る。
他の側面によれば、コンクリート製のポリハイパリックシェルを製造可能に構成された型枠が提供される。型枠は、例えば、鋼鉄製又はコンクリート製或いはプレテンションされた布膜製であり得る。
一部の実施形態では、立方体のトンネルシステムは、波の正面方向に対して約45度に配向されている。
海綿状防波堤は、梁、プレート、リング、ケーブル、開口部ケージ補剛材及びそれらの組み合わせなど、補強材及び補剛装置を更に備え得る。
海綿状防波堤は、トンネル前部の開口部の中に、波エネルギーを動力化して利用するための波車を更に備え得る。
他の側面によれば、海における沿岸のコンクリート製造工場での海綿状防波堤の巨大ブロックの製造方法が提供され、この方法は、「造船所」設備と、(鋳造によって)コンクリート製のポリハイパリック(又は極小)曲面のシェルを生産し、それらの養生を可能にするよう各々構成された型枠とを備える製造工場の一部としての保護された静穏な水域と、湾曲したシェルの「煉瓦モジュール」又は切り離し可能な支持プラットフォームを組み立て、浮揚性を与えた後に巨大ブロックの組み立てを完了し、その後に浮揚する巨大ブロックを牽引し連続的な防波堤を建設することと、基礎を設けて固定することでこれを完全に固着させることと、を含む。
防波堤は、(深度条件及び水深に応じて)
バラスト又は基礎、或いはその両方で固定して地面に着床する(海底に設置する)か、
水深がより深い場合は杭で支持するか、
所望であれば、又は杭による支持が実施できない場合は浮揚させて固定するか、
のいずれかの方法により配置され、完成され得る。
造船所の保護水域の生成には、砂(岩)柵又はケーソン壁又は海綿状防波堤或いはそれらを組み合わせたものが含まれ得る。
製造工場における海綿状防波堤の巨大ブロックの組み立て及び接合は、シェル材料技術に依存し得る。
ポリハイパリックなコンクリート製「煉瓦」シェルの接合は、コンクリートのプレハブ技術において知られているような複数の詳細な解決策によって、又は鋳造又はリベット締め又はブレーシング又はポストテンション、或いは製造されたシェル材料に求められるような粘着又ははんだ付け又は溶接技術によって成し遂げられ得る。
海綿状の巨大ブロックを堅固な連続体へと接合することは、上記で明記したいずれの解決策にも基づくことができ、又は特別なブレーシング又はポストテンション装置を用いて、或いは隣接する各々の巨大ブロックの円形端部を接合させるよう設計された複数の材料から予め製造された相互接続スリーブで行うことが可能である。
海綿状巨大ブロックの接合は、複数の詳細な解決策に適応するため、巨大ブロック間に一定の柔軟性を残すことを考慮して行ってもよい。内部応力を低減するために、又は防波堤セグメントを近い将来に移転することを予め考慮する場合、かかる柔軟性が望ましい場合がある。
本発明の本来の動機は、水の波エネルギーを的確に減衰しようとしたことから生じたものであるが、防音壁や熱交換器など本質的に類似する構造体を、波により誘発される他の種類のエネルギーを減衰するために利用可能であろうことが強調される。これらの他の使用もここで特許請求の範囲に含められているが、例示されているように、詳細な説明の大部分は防波堤に関するものとなる。
したがって、他の側面によれば、ポリハイパリックシェルを含む構造体であって、屋内及び屋外での使用に好適な吸音材及び防音壁からなる群より選択される構造体が提供される。
更に他の側面によれば、双対の絡み合ったポリハイパリックシェルを含む熱吸収材が提供される。液体又は気体の形状での異なる物質は、混合することなく互いに伝熱し、又は互いから熱を吸収し得る。
他のかかるシェルと接合されると、(同一の)双対の絡み合った2つの立方体ネットワーク(立方対称の状態)の間の空間を細分化する連続的なポリハイパリック曲面を形成するシェル曲面を図示する。 連続的なポリハイパリック曲面を形成し、2つの同一の(双対の)「ダイアモンド」ネットワークの間の空間を細分化するシェルを図示する。 反復するダイアモンドネットワークの対称性質を有するシェルの構造体の実施形態を示す。 立方体心及び面心のネットワークの実施形態を示す。 辺心及び面心のネットワークの他の実施形態を示す。 立方体ネットワークの対称要素の実施形態を示す。 トンネルの実施形態の立方体格子を示す。 防波堤の実施形態のため、立方体ネットワークに基づき、直交して建設された巨大ブロックを示す。 波塊の最初の衝撃を受容するよう設計され建設された前部と、沿岸に対して数十メートルの距離にある後部とを備える、分割された防波堤の実施形態を示す。 図4の対称要素に類似の立方体ネットワークシェルのモジュール単位を示し、シェル構造の周期的なポリハイパリック形状を図示する。 引船での牽引による、浮揚する巨大ブロックの輸送を表す。 着床又は杭による支持或いは固定によって安定された状態での、最終地における巨大ブロックの接合、及び海綿状防波堤を示す。
一般的説明
一部の実施形態では、波エネルギーに抵抗し、様々な活動のための静穏な保護水域を作り出すよう設計された防波堤構造体が取り扱われる。
従来の一般的な防波堤の解決策は、自然界から浚渫、掘削、採石された多量の材料塊又はそれらと等価の合成物を結集し、利用して、打ち寄せる波の動きに対して主に反射により、必要な抵抗力を生成することを基礎としている。
透過型海綿状防波堤は、代替的なアプローチの代表例である。従来のアプローチからの基本的な相違点は、海綿状防波堤が、多量の中詰材を用いた解決策をとるよりもむしろ、その空間特性、すなわちその構造材が空間に分散して配置されているが故に、エネルギー減衰能力を有するという事実にある。
透過型の海綿状防波堤の幾何学形状は、一般に、2つの双対の(相補的)空間ネットワーク(又は格子)の間の空間を細分化する、連続的で周期的な海綿状の曲面が代表的である。かかる周期的な曲面は、数学的に極小の曲面として、また(一般的な対称制約のため)限られたケースでは、連続的で平滑なポリハイパリック曲面、すなわち全く同一の双曲放物面状の曲面単位でタイル張りして作られた曲面として与えられ得る。極小曲面とポリハイパリック曲面とでは、その構造上の性能は実際には同じであるが、型枠製造の段階になったとき、ポリハイパリックな幾何学形状の方が製造は容易である。
周期的で双曲線型の複雑に入り組んだ(又は無限の多面体の)様々な曲面は、(完全ではないにせよ)幾何学形状の海綿状の形状として与えられる包絡面であるが、好ましい形状がいくつかある。それらの主な特徴は、海綿状の多孔性、すなわち様々な特定の幾何学的な解決策として現れ得る透過性である。
エネルギーの減衰は、反射よりはむしろ主に吸収によって為されるが、これは海綿状防波堤トンネルシステムの内部に乱入する波によって水流の乱れ/摩擦が生み出されるためである。屋内試験では、波エネルギーの約80%が吸収され、約10%は反射し返され、約10%が浸透することが示されている。
海綿状防波堤は、防波堤の断面内の空間配列にしたがって、すなわち防波堤の前部に近づくほどより厚く強度を増すように、様々な厚さの鉄鋼製又はプラスチック製のシェル、或いは鉄筋コンクリート製のシェルに至るまで様々な材料で作られた堅固な薄いシェル構造体として製造され得る。すべて計算すると、シェル材におけるコンクリートの総量は、従来の中詰材を基礎とする方法に用いるコンクリートのわずか約10%、固体材料(岩石、土等を含む)の総量のわずか約3%となる。透過型海綿状防波堤は、幾何学的周期性が高いため、大いに事業化され得、その場合、全体の組み立てには1種類(のシェル)で十分である。
透過型海綿状防波堤は段階的に完成していくような構造であってもよく、始めにシェル単位を(鋳造により)製造した後、堅固な巨大ブロックへと組み立ててもよく、最も好ましくは、この巨大ブロックは、浮揚し、目的地へと(海上)輸送され、接合して補強され、(水深に応じて)着床させるか又は杭で支持するか又は係留して固定するよう構成され、完成した防波堤として機能する。
このようにして提供される、自然界から採掘した中詰材を基礎としない透過型海綿状防波堤は、環境に配慮したものである。透過型海綿状防波堤は、連続的な双曲線型の曲面形状に基づくモジュール(例えば鉄筋コンクリート)シェルの反復により製造される。シェルモジュールは、それらを整列させた複数の一体型巨大ブロックへと組み立て接合してもよく、それらの巨大ブロックは内部を満たす海水(及び設けられる基礎固定物)とともに、防波堤の前面長さに沿って1メートルあたり3000トン以上の前面抵抗を発生し得る。実験テストでは、複雑に入り組んだ透過型の海綿状シェルに波エネルギーのほとんどが吸収され、このシェルは、押し寄せる波塊の乱流作用と共振作用の繰り返しを通じて波の勢いを長時間にわたって弱めることによって波エネルギー減衰体として機能するであろうことが示された。
この種の防波堤の経済的工学的利点は、特に従来型の防波堤と比較すると、水深が深くなるにつれて大きくなり得る。
一側面によれば、鉄筋コンクリート又は他の任意の好適な材料を含む多項双曲放物線型(ポリハイパリック)シェルが提供される。
他の側面によれば、複数の海綿状透過型シェル構造要素を有する強固なシェル構造体が提供される。
更に他の側面によれば、コンクリート製のポリハイパリックシェルを鋳造し生産可能に構成された型枠が提供される。
形態
様々な連続的で周期的な双曲線型の曲面から多数の可能な形状が検討されてきた。最終比較テストでは、更なる調査のため、
A.2つの同一で双対の絡み合った立方体ネットワーク(立方対称の状態)間の空間を細分化する連続的なポリハイパリック曲面を形成する複数のシェル(図1bの140)と、
B.2つの同一で(双対の)「ダイアモンド」ネットワークの間の空間を細分化する連続的なポリハイパリック曲面を形成する複数のシェル(図1bの142)、
の2つの選択肢が選ばれた。
それらの曲面はいずれも、そのすべての点において二重に湾曲しており(鞍型)、(数学的に決定される)極小曲面とはわずかに異なっているが、わずかであるが故に同様の構造上の性能を有する。
したがって、一部の実施形態、防波堤又は他の構造体においては、シェルは、図2で示すシェル1200(1つのシェル1200を単独で示す)の構造体1000のように反復単位で周期的・対称的に配置される。複数の単位のそれぞれの並びは相補的な双トンネルシステム1220を提供し、隣接するシェルと共にトンネルの「ダイアモンド」ネットワーク(本実施形態)又は「立方体」ネットワークを形成する。
本構造体では、トンネルのネットワークで表される基本的な特徴が異なる、すなわち、立方体ネットワークはまっすぐで連続的なトンネル軸に基づく一方、ダイアモンドネットワークはジグザグの並びに配列されたトンネルにより特徴づけられる。
2つの双曲線型の選択肢が他の特定の曲面よりも優先して選ばれたことは、例えば、
1.その2つの曲面の形状、その対称性及びそれらに由来する基本単位の多様性に関する知見から、その曲面が好適な候補であろうことが推測されたことと、
2.これらの双曲線型の曲面を、ポリハイパリック曲面、すなわちハイパリック曲面の単位からなり、継ぎ目線に沿って連続性と平滑性を維持する曲面に変形できること。ポリハイパリック曲面は、形状定義を簡素化し、実際の大きさでも、また模型製造と造波水路でのテスト用に縮小した大きさでも、シェルを生産する問題を簡素化するため、製造が比較的容易であること、
といった、選択されたその2つの曲面の多数の特性と特質に影響を受けてのことであった。
いずれの曲面も、その対称要素を操作することによって、多数の様式のモジュール単位に分割することができる。例えば図3a及び3bは、(空間を2つの非同一ネットワークに分割し、双曲線型の区分はいかなる二回転対称軸をも含まないため、ポリハイパリック曲面は不可能である)2つの異なる非双曲線型の要素単位144、146を示し、図4の直交配置は、2つの双対の立方体ネットワークの間の空間を細分化する双曲線型の曲面である、立方体ネットワークのための要素140を示している。
この直交性は、数十〜数百の型枠と、シェル用の複合的な保管所と、多くの行き交う交通と輸送用トラックを伴う輸送配列とを収容することになる生産場所という組織上の必要性との関連において、好都合(かつ重要)である。型枠を簡単な設計にするためには、双曲線形状が重要である。
一連の一次テストを行うため、双曲線型の三次曲面を選択してトンネルの立方体格子、例えば図5の構造体2000を製造したが、その際主に考慮したのは、曲面の重要区域における曲率値、直交型の大型建設ブロックに組み込まれるべきモジュール単位の特性、補強が容易で猛烈な波に対して更に剛性を提供することができる湾曲した稜部の性質など、模型及び型枠を無理なく生産できることであった。
「三次曲面」により、
A.波の前面(及び多かれ少なかれ海岸線とも同じ)方向に平行度を維持する直交の配向と、
B.トンネルネットワーク軸が、波の前面方向に向かって45度に位置決めされること、
という2つの異なる配向によるモジュール単位の設定が可能となる。
波が砕かれて渦を巻くことになるトンネルの長さが(平方根で)直交の配向の場合よりも長いため、45度で回転させた配向の方が好ましい場合がある。
この選択が防波堤の流体力学的な作用にとって意味を有することは明らかであり、反射されるエネルギー量がより多く、防波堤のもう一方の(後部の)側では通過エネルギー量はより少ないであろうことは尤もである。
D−6 [意味:純粋な六角形で作られたダイアモンドトンネルネットワーク(連結度−種数=2)、すなわち各頂点の周りに4つの六角形]型及びC−4 [意味:純粋な正方形で作られた立方体トンネルネットワーク(連結度−種数=3)、すなわち各頂点の周りに6つの正方形]型という無限の多面体配列を適用する可能性が、ダイアモンド及び立方体のトンネルシステムとその対称性を参照しながら検討された。類似の寸法のモジュール単位の大きさと比較して、二重に湾曲した双曲線型単位の曲面、並びに極端な負荷(配列にかかる力と圧力)の大きさはより小さくなることになり、したがって波エネルギーの減衰の観点でそれらはより効率的であると思われた。
更に、これらの多面体形状を用いることで、シェルモジュールを製造するための型枠の製造を著しく簡単にすることができる。
一部の実施形態では、多面体のコンクリート単位は、例えば六角形のプレートで施工されることがあり、このようにして鋳造と完成したモジュールの積重が著しく簡単になる。
この場合、形状を修正した結果として、モジュール単位もまたより密接に積重するが、このことは、生産場所の規模とその空間の利用に確実に(肯定的な)意味を持つ。
施工基準
波の進行方向に平行な防波堤の断面形状には様々な可能性がある。図6a及び6bを参照して、2つの基本的な選択肢が試された。
A.直交の建設ブロック3000
B.波塊の質量の最初の衝撃を受容するよう設計され建設された前部(3032)と、海岸に向かって数十メートルの距離にあり、残りのエネルギーの少なくとも一部を消散させ、有用な海岸機能(3036)を実行するという追加的な働きを遂行する後部(3034)とを有する、分割された防波堤(3030)。
また、図6aは、波エネルギーの減衰において効率性に劣り、したがってある程度の高さまでの波を処理するためにより高い位置になければならない旧来の防波堤30をも示す。先行技術の防壁に激突すると波頂が形成されるため、防波堤30には、波の運動エネルギーを枯渇させるため、水面部分に一定の調節性の高さが必要になる。高さを加えることによって、先行技術の防波堤の嵩は著しく増大する。新規の建設ブロック3000には、かかる余分な高さは不要であり、したがって更に多くの材料さえも節約される。
水平方向の力に対する抵抗性の観点から、選択肢「a」が好ましいことに疑いはない。防波堤を分割すれば、この力に対する防波堤前部の抵抗性は低減し、本質的に防波堤を固着させるため、恐らくは補完的な固定基礎(3037)に頼る必要があろう。
他方で、防波堤の後部には波の強い影響はなく、したがってこの部分を(計画上所望であれば)各種サービスのための施工物積載プラットフォーム(3036)として使用することが可能であろう。
いずれの構造体にもそれぞれの利点があり、したがって計画上最も必要なものが優先されることになる。
モジュール単位の大きさ
モジュール単位の大きさは、波への抵抗及び(型枠及び生産率を考慮した)生産効率面のために必要な強度において最適なシェルに達する傾向があるだろう。以下のパラメータが重要であると思われる。
A.コンクリート製のシェルの例を検討すれば、構造上の有効性を確立する際の主なパラメータはシェルの曲率半径111であり、これは、ポリハイパリック単位を取り囲むモジュール式立方体を考慮すれば、シェル単位の円形断面の半径とモジュール単位の辺a(図7の120)の長さとの関数として表すことができる。単位の円形断面での双曲線型シェルの1〜2mの半径r(図5の110)が最も妥当であると思われる。
B.他の重要なパラメータは、シェルの厚さt(図7の130)とモジュール単位の辺a(120)の長さとの間の比率nであり、n=t/aである。
三次曲面のモジュール単位(基本的な配置単位)の双曲線型(又はポリハイパリック)単位の面積は、s=2,36617・a(例えばa=5mの場合、s=59,15425m)である。
コンクリート製シェルの厚さがt=n・aのとき、その体積は以下のように計算され得る。
V=2,36617a・t=2,36617・n・a
材料の相対的な体積は、百分率において、全構造体の立方体単位の体積を体積=2,26617・n・a.100/a≒2,36617・nで構成するものであることが求められる。
nの異なる値に関し、百分率での体積を表1に表す。
Figure 2015524521
したがって、その辺がa=6.0m(n=0.02)のモジュール式立方体における厚さ12cmのコンクリート製シェルの体積は、百分率でv=236,617・0.02=4,732%となり、その体積は次の通りであろう。
V=2,36617・0.02・6≒10.222m
よって、シェルの厚さが変化しない状態でシェルを取り囲む立方体単位の辺が大きくなるほど、シェルの相対的な体積は小さくなる(コンクリートの節約になる)と言えよう。他方で、シェルの曲率が減少するにつれ、結果的に必要となる補強材が増える。
コンクリートの組成に、従来の鋼鉄中心の補強メッシュの代わりに、主に補強メッシュ/繊維(非腐食性が好ましい)を含む場合、シェルの厚さを更に低減してもよい。
大きさに関する検討は、以下の部分で更に議論される。
透過型海綿状防波堤の生産過程と輸送及び組み立てロジスティクスに関する検討
反復する「ブロック」からなる防波堤の製造及び組み立て、「使用場所」への輸送、及び現場での組み合わせ、すなわち完成した防波堤の組み立てには、複数の選択肢がある。
生産と組み立てに関する決定の多くは、防波堤の予定の規模とその施工速度という制約から為される。例えば、地中海のイスラエル沿岸での実際の典型的な状況を、次のように検討する。
A.西端の水深が20〜22メートルである2kmまでの人工島を保護する単一の計画に必要な資源および手段。
B.平均水深が17mで、大きさが5・5・5mのシェルのモジュール単位を想定すると、約60,000(以上)のモジュール単位が必要である。
C.10・10mの型枠では、1回の鋳造セッションの間に4つのモジュール半単位を生産可能である。好ましい実施形態によると、シェルの厚さは10±3cmである。型枠から抽出した後のシェルの重量は約23トンである。一部の実施形態では、海岸に隣接する選ばれた場所に透過型海綿状防波堤の製造工場が設けられている。
D.好適な防波堤の建設には、以下の主な工程が含まれ得る。
1.造船所様の生産工場は、保護水域と、型枠、クレーン、コンクリート混合及び鋳造設備、養生ヤード及びスタッキングヤード等を備えるプレキャストコンクリート工場とを有する必要がある。
2.図7に示すように、保護水域を有する造船所様の組み立て工場4000により、複数の「構成煉瓦」で製造された巨大ブロックの簡便な組み立てが容易になり、それらを互いに接着、接合して牽引可能な最大の「巨大ブロック」を形成する。
3.造船所様の組み立て工場には、巨大ブロックの吃水が浮揚し、牽引可能となるため、十分な水深がなければならない。
4.図8に示すように、浮揚する巨大ブロック5000を引船40でその最終地(図示せず)へと牽引により輸送する。
5.現場で接合、固定し、一体型の強固で安定した集合体である防波堤を形成することで「巨大ブロック」の組み立て工程の段階を完了する。
E.防波堤により保護される人工島の開発は、複合的な生産設備全体を包含し、防波堤はそのうちの一部にすぎないが、非常に重要な一部である。ここで挙げる一部の数の例は、進行中の開発過程として必然的に数十年にまたがるこのような事業の本当の規模を可視化することを意図するものである。
機能水準
1.様々な透過型海綿状防波堤の実施形態の機能上の性能範囲は、水深わずか数メートルから数百メートルに至るまで、いかなる深度条件においても、深度特性の変化に応じて多方面にわたる。波エネルギーの大部分は、(イスラエル沿岸の広大な海の例でのように)海層の上部20〜25mに集中しているため、海綿状防波堤は海面からわずか(平均で)5mしか突出していないが、その深度をカバーする(保護する)ことになり、これによって10〜14mの高さに達する波のエネルギーは確実に減衰される。
2.こうした不測の場合に備え、防波堤は、水深条件が7〜25mであれば(地面に接着させるか、又は基礎を設けて)海底上に、又は水深条件が20〜35mであれば支持杭上に載置されることができ、或いは水深が30〜40mを超えるところでは浮揚係留型防波堤として機能させることができる。
3.海綿状防波堤の浮揚性は、下方シェルモジュールの一部を密閉する(かつその内部に空気を注入する)ことか、又はその内部に空気により膨張可能なバルーンを設置する等によって作り出し得る。(その場所や配置の変更を考慮に入れた)設計性能仕様において必要な場合、かかる膨張技術を用いることで海綿状防波堤を再浮揚させることができると主張され得る。
4.透過型海綿状防波堤には、波エネルギーの比較的小さな部分(わずか〜10%)を戻す作用があり、これによって構造体にかかる力と負荷を著しく減少させる。波エネルギーのほとんど(約80%)は、(トンネル内部での乱流作用のため)構造体内部に吸収される。波エネルギーのごく小さな部分が通過し、構造体後部から流出する(約10%)。反射され、吸収され、浸透するそれぞれのエネルギー部分の間の関係は、構造体の大きさとその断面形状、すなわち双曲線型曲面の特性、モジュール単位の大きさとその結果生じる曲率、波前面に対する構造体のトンネルの向き等、及び、当然ながら、波の状態の流体力学(高さ、周期等)に関連して変化する。
5.その断面積から計算した海綿状防波堤の相対的な体積は、従来の防波堤の相対的な体積よりも大幅に小さく、現場での水深が深くなるにつれて、従来の(中詰材を基礎とする)防波堤が完全に非実用的になる水深(水深20〜25m程度以上)に達するまで、その相対的優位性は高くなる。
6.防波堤の内部容積に空気を部分的に充填し、こうしてバラスト水を排水することによって、重心の位置が変化することがあり、このようにして、牽引航行中又は浮揚型防波堤として機能する間に安定性を与え、所望であれば、各種サービスのためのプラットフォームの運搬を支援するよう制御され得る。
7.(特に移転の際)高まる需要に向けての変更及び調整のため、厚さ、重量、強度を加えることにより、又はモジュール、シェル煉瓦を追加することにより、海綿状防波堤は漸次変更されてもよい。
8.防波堤としての機能を停止する海綿状防波堤部分は、最小限の資金で、施工及び支持プラットフォームなど、又は貯蔵タンクとして、或いはその両方として、他の機能に適合させることができる。
9.(かなり減少しているとはいえ)一部の波エネルギーを、防波堤を通って浸透させることによって、リフレッシュ作用が実現し、(保護区域における)水の滞留は回避され、このようにして環境の質と保全性に寄与する。
10.一部の状況では、海綿状防波堤が地面に着床している場合、ブロックの一部を中詰材のタンクに置き換えることができ、これによって嵩を大きくして防波堤の安定性を向上させ、固定し基礎を設ける必要性を、完全に不要となるまで減じることができる。海綿状防波堤の流体力学的な作用及び機能を損なわないように、防波堤の容量の一部だけを充填して安定させてもよい。
11.モジュール式の双曲線型海綿状シェル構造体は、防波堤として機能していない場合、地面に着床させるか、又は杭で支持するか、或いは浮揚し固定されながら、各種の物品又は材料の保管用に用いてもよく、垂直の防潮壁、水平の埠頭及びその埠頭の上の建設物を備えたプラットフォームとして、様々に機能させるために使用されてもよい。
12.透過型海綿状防波堤は、海中の礁や多種の魚(及び他の海の動植物)の集団の生息場所として、又は水産養殖に関する海洋牧場として機能させることができる。
13.透過型海綿状防波堤は、波エネルギーの衝撃の大部分を吸収する前側と、様々な都市機能のための「支持プラットフォーム」として機能する後側とを有する「分割」構造体として建設することができる。この配置により、打ち寄せる波の飛沫を後側に開発された都市型配列から遠ざけ、衝撃と振動が後部の構造体に到達することを防止する。
14.透過型防波堤の高さ及び海面上でのその最高高度は、従来の防波堤30(図6)のものよりもかなり低く、これによって水平な景観を損なうものが少なくなる。
構造品質
1.空間構造の設計分野における最も基本的な見識及び前提は、その構造上の性能の有効性が投入された材料の総量又はその種類に因るものではなく、むしろ空間内での材料の配分方法に因るということである。防波堤の形状の実施形態の主な構造上の特徴は、連続的なシェル区域のすべての点で極小又はポリハイパリック曲面が二重に湾曲していることである。上記で明記したように、構造体全体は周期的な(モジュール式の)双曲線型曲面から成り、その曲率値は、基本となるモジュール単位の大きさのみを設定することで操作及び制御可能である。
2.流体力学上の負荷と力の性質は、それらが(各点毎に不動かつ集中する負荷及び力とは対照的に)防波堤構造体の包絡線全体に同時に作用し、シェル内部の至る所で応力の変動パターンを生成するよう、常に変化するということである。シェル曲面の曲率、連続性及び平滑度は、その構造上の作用と、材料及び補強材の投入という点での効率性、ひいてはその費用対効果を左右する。防波堤の全体的な構造配列は補強材で強化され得るが、ほとんどは前部セクターにおいて、最大の波の衝撃を仮定して、又は、その上の建設物の高負荷を仮定して、計画上の配置の必要性に応じ、極度に強力な海波に耐えられるように、梁、プレート及びシェル壁補剛材を追加することで行われる。防波堤は、シェル材料の中に埋め込まれるか、又はトンネル軸に沿って外側にあるプレテンションケーブルにより、或いはその他の方法により強化することもでき、埋め込まれている場合、まっすぐなプレテンションケーブルは、二回転対称軸を有する曲面形状の中の直線に沿って延び得る(そして空間を2つの同一の絡み合うトンネルシステムに細分化する)。全体的な構成に沿った長さの規模、方向のねじれ、断面積(高さ、幅)及びシェル単位の強度(シェルの厚さ、補強材)は、設計プログラム及び現地の特性という要件を満たすよう完全に制御することができる。
生産、組み立て及び設置ロジスティクス
海綿状防波堤が対称的な特性を有すること、及びその結果シェル形状がモジュール性を有することから海綿状防波堤の周期性が高いため、シェル構成要素とその組み立ての極めて集中的な工業化プロセス及び製造が可能となる。
双曲線型のシェル曲面の基本的な反復単位、又はその様々な近似物及び派生物(「無限の多面体」プレート構造物、シリンダ部分、複合構造体等)は、湾曲した又は平坦な部分からなる周縁を有することができ、シェル曲面全体は、特有のポリハイパリック曲面も含む様々な数学的定義をとり得、曲面の特性が規則的であるために製造が比較的容易である。
大きさ、(それ自体は吊上げ設備及び輸送形態によって決定される)、型枠の製造材料、製造した生成物の材料及びその応用方法、保管を目的としたシェルの解体及び積重又は(コンクリート派生物からの)養生といった側面における多くの制約を満たすため、型枠の面形状を修正することができる。
鋳造、粘着、はんだ付けなどのウェットジョイント工法、並びにブレース、クランプ、ねじリベット締め(thread riveting)及び、多様な曲面又はそのトンネルシステムの対称線の直線軸に沿ったケーブルによるプレテンションを含めた、あらゆる種類のソケット差込法を用いたドライジョイント工法に応じた各種の方法に基づいて、製造したシェル単位を互いに組み立てて接合することができ、これらすべては、シェルの材料及び製造技術の選択に依拠している。
双曲線型の曲面が張力のみを受ける膜として与えられ得る場合、プレテンションされた空間布膜(spatial fabric membrane)から型枠を設計することが可能である。それらの利点は、製造が簡単なこと、軽量であること、及び輸送と保管のために折り畳み可能であることにある。これらは、シェルに衝撃を与えることなく、鋳型シェルから素早く簡単な操作で「剥離」することができる。シェルを初期に暴露することで、シェルのコンクリート養生プロセスが改善し、加速化し得る。
双曲線型のシェル構造体に浮揚性を与えることが可能であるため、(水深条件が構造体の吃水に適していれば)ほとんどの組み立て作業を水面上で行うことができる。
様々な鋳造又はスプレー塗装の方法で、また各種の厚さで、シェルを設計することができる。これは、型枠においても、また補強用型枠においても、吹付けコンクリート、金属又はプラスチックファイバで補強されたコンクリート(繊維補強コンクリート)及びフェロセメント又はフェロセメント状のシェルを製造するための工業用メッシュなど、多様な材料を用いて完成され得る。コンクリート製のシェルは、曲面を被覆するとともにコンクリートの亀裂に入り込み得るエポキシ又は類似の材料で覆われてもよい。エポキシによって、防波堤の耐久年数は延び得る。
海綿状防波堤の実行段階
海綿状防波堤の基本的な実行段階は、以下の通りである。
1.シェル単位煉瓦を製造する
2.浮揚する巨大ブロックへと煉瓦を組み立て、接合する
3.海綿状防波堤の予定作業地へと巨大ブロックを牽引、輸送する
4.最終場所で巨大ブロックを接合し、海綿状防波堤を施工する一方、図9の概略図で示すように、着床させる、又は杭で支持する、或いは固定することによって、防波堤を安定させる(現地の海底との関連で場所により異なる)。
より詳細に見た場合、各実行段階には断続的な段階がほとんど無いことがある。例えば、
1.「シェル単位煉瓦」の製造に先立ち、製造工場及び保護された作業水域を有する造船所設備の施工及び施設化(facilitating)がなされ得る。
製造工場及び必要な設備の性質は、煉瓦シェルの種類、その材料、全体の重量及び大きさ、養生硬化の要件などに依存し得る。
完成した煉瓦の養生及び保管には、空間要件と特別な設備が求められることがある。
2.浮揚する巨大ブロックへと煉瓦を組み立て、接合する作業は、
−(巨大ブロックの接地領域とともに)浮揚する支持生産プラットフォーム上にある間に、巨大ブロックの最初の2〜3層を組み立て、接合することと、
−組み立てた配列に浮揚性を持たせ、支持プラットフォームから離して浮揚する組み立て地として機能させることと、
−組み立てプロセスを完成まで続けることと、
−巨大ブロックが「造船」工場区域にある間、その組み立てが、隣接設備及び補完的な機能物の施工と同時に行われ得ること、
の3つの連続する段階を含み得る。
3.巨大ブロックを組み立て、これらを1つの防波堤に接合する作業は、設計どおり、
−現地ですべての必要な準備作業を行うこと、すなわち海底面に手を加えることより、杭による支持固定策に必要なすべての基礎を提供し、組み立て接合作業の段階中に巨大ブロックに安定性を持たせることと、
−組み立て済みのものを複合的に配置することとの関連で、ブロックを慎重に取り扱い、固定することと、
−(本明細書で説明する1つ又は複数の解決策及び技術を用いて)巨大ブロックを接合することと、
−巨大ブロック構造体上の又はその内部の全ての付属部品を接合し、1つの連続体にすることと、
−所望であれば、バラスト材を加え、フェンダー、防波堤に接触する可能性のある移動船舶に対する緩衝装置、縁壁などを設置して、海綿状防波堤の動きを最終的に安定させる(基礎の設置又は杭による支持或いは固定係留)作業を終了することと、
を含み得る。
幾何学的、数学的・位相幾何学的な周期的配列、モジュール式シェル配列の反復単位を定義するための操作及び実施
一側面によれば、透過型海綿状防波堤の曲面は、周期的な双曲線型の曲面として定義され得る。一部の実施形態は、「無限の多面体」から派生した物である。
曲面は、その周りを覆う空間を2つ(又はそれ以上)の連続的な部分空間へと、結合されたトンネルネットワークの形態で細分化しつつ、規則正しい方法で連続的に延びていてもよい。これらのネットワークは、2つの部分空間に分割される場合、双補完的であり、互いから相互的に演繹的に導くことができる。
双曲線型の曲面は、その対称的な状態もまた、形状の周期性、すなわち反復性と曲面形状のモジュールの性質を決定する重要なものであるが、位相幾何学的な現象として、その対称性の定義よりもむしろ、その種類、価及び曲率特性によってより特徴づけられ得る。
適用対象の曲面の種数の実際の範囲は、結果的に生じるトンネルネットワークを見ると、2≦G≦13であり、このとき価の値は(立方対称の状態に付随するように)val.=6である。
その周縁部を除いて対称要素を含まない周期的な曲面の反復部分には、異なる幾何学的・数学的定義を用いることができ、この定義とはすなわち、極小曲面、ポリハイパリック曲面、つまりハイパリックな部分が平滑に構成された連続体、多面体の曲面、つまり(2つが境界をなす稜でのみ接する)平面を有する周期的な多面体、或いは、円柱形、凸形及び/又は双曲線型の部分の組み合わせからなる非連続的な曲面ですらある。
多面体の包絡線の対象は、Σαavによって決定される領域に制限され、包絡線の頂点での角度の合計平均は2π≦Σαav≦4πであり、val.av、すなわち一頂点における稜価の平均は、3≦val.av≦12である。
1つ又は複数のトンネルネットワークシステムは、セル状の形状に変形されてもよく、このようにして全てのセルの塊成化を著しく強化し、その結果として単一の迷路状トンネルを作り出し、反射されるエネルギー量を増加させる。
閉鎖空間に浮揚性とバラストをもたらす、又は海綿状防波堤内部で様々な部品の保管場所を設けるように考案された様々な設計に対応するため、各々の部分空間トンネルの容量を(多角形の平面又は湾曲面部分を統合して)セル状区画の配列が得られるまで部分的に分割可能であることは明らかである。
基本的なモジュール単位の大きさ(モジュールの稜の長さに等しい)は、実際には、1.0m<a<12.0mに制限されている。
海綿状防波堤構造体の利用
1.透過型海綿状防波堤の主な利用は、防波堤として機能させ、様々な目的のために保護された静穏な水域を作り出すことである。海綿状防波堤は、上記で説明したように、波エネルギーの約80%を吸収し、約10%を反射し、残りの10%のみを浸透させて、波エネルギーを減衰する。
2.「グリーンエネルギー」生成ファーム、すなわち波車、風車及び太陽エネルギー利用設備、並びに海洋農業、例えば養魚場又は一般向けの娯楽活動のための海洋施設のための(支持)プラットフォームを維持する。
3.地面に着床するか、杭で支持するか、或いは浮揚型の構造体として機能する間、液体、気体又は大容量の部品/材料のための保管タンク支持構造体に利用する。
4.埠頭、船の係留地、及び居住用の建築物とその関連設備を支持可能なプラットフォームを支持するための垂直な海壁の施工に利用する。海綿状構造体の内部は、土砂のバラスト材で充填されている及び/又は地下基盤設備のために用いられてもよい。
5.組み立てた単位を(下方・内側のモジュールの一部を密閉し、その部分に空気を充填して)浮揚させ、これらの単位を沿岸の工場から現地に海上輸送することもでき、このようにして陸上輸送システムを著しく軽減し、輸送コストを大幅に削減する。
6.防波堤は、現地の深度条件に合わせて、海底上に(地面に着床させて)設置するか、又は杭で支持するか、或いは浮揚させ固定して、現地で組み立てられてもよい。
7.図9を再度参照すると、頂部構造体5000´は、構造体5000´に点在する杭5040で固定されている。杭5040は、典型的には、構造体5000´の上から、好ましくは構造体5000´内の通路(図示せず)を通って挿入されている。杭5040が構造体5000´を通って構造体5000´の下の基盤に貫通しすぎないよう、各々の杭5040はその頂部に冠状物(図示せず)を有してもよい。杭は、冠状物によって移動が止まるまでその頂部の振動によって下方へと移動してもよい。
構造体5000´の基盤は整地によって準備してもよい。整地には、砂又は他の好適なフィルを構造体5000´の下の区域に運び込むことを含み得る。砂又は他の緩い材料及び密な材料は、下部の通路を充填することによって構造体5000´を固着させるために更に用いられてもよい。
独特の性能特性
1.広く行き渡った範例とは対照的に、海綿状防波堤は、波に抵抗して反射し、跳ね返すのではなく、その力を内部で消散させるのみである。
2.材料消費を、従来の(中詰材の)防波堤の材料消費のわずか約3〜6%に著しく節約する。
3.設置工法:海綿状防波堤は、材料を輸送し、吊上げ設備を設け、(全施工期間中にわたって)表立った主な仕事量を担わせるのではなく、ほとんどの場合、沿岸の造船所様の工場において広く応用可能な工業方法で施工、組み立てが行われ、天気と海洋条件の観点から好都合な時に巨大ブロック部分として海に運ばれる。これは効率的かつコスト効果が高く、内陸の輸送インフラを負担から解放する。
4.エネルギー生成:渦を巻いて打ち寄せる波をそのトンネル内部に取り込んで利用する(防波堤前面に沿った)波エネルギーファーム、海綿状防波堤を地盤として用いた風車ファーム、及びソーラーパネルファームを搭載するプラットフォームとして、これらすべてを共働させ、同じサービスとインフラ設備を共有させて海綿状防波堤を利用することによって、持続可能なクリーン・グリーンエネルギーが生成され得る。
5.液体、気体又は大容量の材料の安全な保管。連続的な(双曲線型の)海綿状構造という特別な形状性質によって、相互分割が可能となり、危険かつ環境に有害な物質(燃料、ガス等)を含む各種物質を保管するためのセル状区画又は連続的な区画、漏れを防ぐ自然な形状の区画化が提供される。
6.海洋農業:「自然に似せた」礁又は海洋動物園といった極めて利用しやすい海洋農業開発のため、防波堤の区画とトンネル空間を利用する。
7.レジャー活動及び水中スポーツ(ダイビング)活動並びに一般大衆に開放されたレクリエーション区域のための設備。
8.海綿状防波堤は、杭で支持されるか浮揚すると、海中の海流状態の継続が可能になるため、環境へのマイナス効果を最小限にする。
9.ポリハイパリックシェルで施工され得る他のエネルギー減衰構造体:例えば、防音室用の、又はノイズレベルを下げるための吸音材。
10.双対の絡み合ったポリハイパリックシェルで施工され得る様々な形状規模の熱交換構造体:例えば、空調設備で用いるような、様々な工業工程又は化学工程における冷却剤。

Claims (30)

  1. 複数の周期的な双曲線型の曲面を有し、連続的な曲面構造を形成し、内部を通る切れ目のないトンネルを内包するエネルギー減衰体。
  2. 前記双曲線型の曲面が、放物面状の多面体を相互に接続したシェルである、請求項1に記載のエネルギー減衰体。
  3. コンクリート、金属板、プラスチック樹脂、複合材料、及びそれらを組み合わせたものから選択される1つ又は複数の材料から施工される、請求項1又は2に記載の減衰体。
  4. 前記コンクリートが、鉄筋コンクリート、吹付けコンクリート、フェロセメント、繊維補強コンクリート、及びそれらを組み合わせたものから選択される材料を含む、請求項3に記載の減衰体。
  5. 前記コンクリートが、波形の金属板、プラスチック、複合材料、フェロセメント、f.r.p(繊維補強プラスチック)、金属製、プラスチック製、又は複合材料製のメッシュ、及びそれらを組み合わせたものから選択される少なくとも1つの補強材を含む、請求項3に記載の減衰体。
  6. 各々のシェルがモジュール型であり、前記減衰体が幾何学的に反復するシェルを備え、これによって前記減衰体の効率的な大量生産が容易である、請求項2に記載の減衰体。
  7. 前記複数のシェルが、立方体格子、ダイアモンド格子、立方体心格子、辺心格子、及び8面体格子の形状、及びそれらを組み合わせた形状の、1つ又は複数の構造体の中に現れる、請求項6に記載の減衰体。
  8. 前記トンネルが双対の絡み合った一対の立方体ネットワークに応じて配置されている、請求項6に記載の減衰体。
  9. 前記シェルがそれぞれ独立して、2〜13の間の種数を有する、請求項1又は2に記載の減衰体。
  10. 前記シェルがそれぞれ独立して、図1aに示される形状、図1bに示される形状及びそれらの組み合わせから選択される形状を有する、請求項1又は2に記載の減衰体。
  11. 前記シェルが鉄筋コンクリート製である場合は前記シェルの厚さが7〜20cmであり、前記シェルが金属又は複合材料製である場合は前記シェルの厚さが1〜10mmである、請求項1又は2に記載の減衰体。
  12. 前側及び後側を有し、前記前側に隣接するシェルの厚さが前記後側に隣接するシェルの厚さよりも大きい、請求項1又は2に記載の減衰体。
  13. 各々の多面体の単位に外接するボックスの稜の寸法が1.0〜12.0メートルの間である、請求項1又は2に記載の減衰体。
  14. 前記減衰体に浮揚性を持たせるため、前記シェルの一部がその内部に空気を充填可能に構成されている、請求項1又は2に記載の減衰体。
  15. 曲面の艶出し、曲面へのプラスチック材の塗布、カソード防食を施した金属製補強材、及びそれらを組み合わせたものからなる群から選択される腐食抵抗を更に備える、請求項1又は2に記載の減衰体。
  16. 前記シェルの一部が、海中における前記減衰体の安定性を全般的に高めるバラスト材を含む、請求項1又は2に記載の減衰体。
  17. 固定装置を更に備える、請求項1又は2に記載の減衰体。
  18. コンクリート製のポリハイパリックシェルを生産可能に構成された型枠。
  19. 複数の双曲放物面状の多面体を相互に接続したシェルを備え、連続的な曲面構造を形成し、内部を通る切れ目のない立方体のトンネルを内包するエネルギー減衰体を提供することと、
    前記減衰体を海中に配置することと、
    前記トンネルを海中で波の正面方向に対して約45度又は平行に配向すること、
    を含む、海中で前記減衰体を用いる方法。
  20. 梁、プレート、リング、ケーブル、開口部ケージ補剛材、及びそれらを組み合わせたものから選択される補強材及び補剛装置を更に備える、請求項1又は2に記載の減衰体。
  21. 前記トンネルの開口部の少なくとも一部の中に、前記トンネル内を通過する波のエネルギーを回収可能に構成された波車を更に備える、請求項1又は2に記載の減衰体。
  22. 保護された静穏な水域を提供することと、
    そこに隣接する造船所様の設備を提供することと、
    前記造船所で、各々が鋳造によりコンクリート製のポリハイパリック曲面のシェルを生産可能に構成された型枠を提供することと、
    コンクリートを提供することと、
    前記型枠でコンクリート製のシェルを鋳造することと、
    シェルを浮揚する巨大ブロックへと組み立て、前記浮揚する巨大ブロックを防波堤用の所定の場所へと牽引することと、
    巨大ブロックを連続的な防波堤へと組み立てることと、
    基礎を設けて固定し、前記防波堤を完全に固着させることと、
    を含む、海洋コンクリート製造工場での海綿状防波堤の巨大ブロックの製造方法。
  23. バラスト、減衰体基礎、杭による支持、及び固定具のうち1つ又は複数によって固着された、請求項1又は2に記載の減衰体。
  24. 前記保護された水域が砂(岩)柵、ケーソン壁及び海綿状防波堤のうち1つ又は複数を含む、請求項22に記載の方法。
  25. 前記シェル及び/又は巨大ブロックの前記組み立てが、鋳造、リベット締め、ブレーシング、ポストテンション、粘着(clueing)、はんだ付け、溶接及びそれらを組み合わせたものから選択される、請求項22に記載の方法。
  26. 相互に接続するスリーブをブレーシング、ポストテンション、又はプレキャストして隣接する巨大ブロックの円形端部を接合可能にすることを更に含む、請求項22に記載の方法。
  27. 接合された巨大ブロック間で残った柔軟性が維持される、請求項25又は26に記載の方法。
  28. 前記構造体が屋内及び屋外での使用に好適な吸音材及び防音壁からなる群から選択される、ポリハイパリックシェルを含む構造体。
  29. 双対の絡み合ったポリハイパリックシェルを含む熱吸収材。
  30. エポキシ材で覆われた、請求項1又は2に記載の構造体。
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