JP2015520191A - Ncamペプチド模倣体を用いた精神障害またはその症状を治療するための方法 - Google Patents

Ncamペプチド模倣体を用いた精神障害またはその症状を治療するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、該対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を治療または緩和するための方法を提供する。うつ病および/または不安症の症状は典型的には、神経学的状態においてまたは該神経学的状態に関連して確認される。本発明は、有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、該対象における精神障害などの神経学的状態を治療するための方法も提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年6月5に提出された米国特許仮出願第61/655,970号および2013年3月14日に提出された米国特許仮出願第61/785,374号に対する優先権を主張するものであり、それらの開示内容はあらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書によって組み入れられる。
発明の背景
精神障害には、人間が行動すること、他人と交流すること、および/または日常生活において役割を果たすことを妨げる任意の心的障害または心的病気が含まれる。アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)によって刊行されたThe Diagnostic and Statistical Manual (DSM) of Mental Disorders(非特許文献1)は、精神障害を分類している。最新版のDSM-5(第5編)は、以下のカテゴリーの心的障害を一覧にしている:適応障害;不安障害;せん妄、認知症、健忘、および他の認知障害;学習障害またはコミュニケーション障害など、通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害;解離性障害;摂食障害;虚偽性障害;衝動制御障害;一般身体疾患(general medical condition)による心的障害;気分障害;臨床上重要な他の状態;人格障害;統合失調症および他の精神病性障害;性障害および性同一性障害(sexual and gender identity disorders);睡眠障害;身体表現性障害;ならびに物質関連障害。http://www.dsm5.orgも参照されたい。
大部分の精神障害の正確な原因は分かっていない。メンタルヘルスの専門家は、精神障害が典型的には、遺伝的なまたは遺伝性の気質と引き金となる出来事との組み合わせから生じると考えている。引き金となる出来事には、環境要因、様々な種類のストレス、および身体的健康問題さえ含まれ得る。精神障害は、米国で非常によく見られる。実際、アメリカ精神医学会によれば、どの年の間でもアメリカの人口の5分の1がある種の心的障害に罹患している。
多様な精神障害を治療するために、医薬が広く用いられている。例えば、抗うつ薬は、臨床的うつ病ならびに不安症および他の障害の治療のために用いられている。抗不安薬は、不安障害、および不眠症などの関連問題のために用いられている。気分安定薬は、主に双極性障害に用いられており、うつ病よりもむしろ躁病を主として標的とする。抗精神病薬は、統合失調症などの精神病性障害に用いられている。興奮剤は、とりわけ注意欠陥多動性障害(ADHD)によく用いられている。しかしながら、様々な種類の医薬の取り揃えの存在にもかかわらず、精神障害、とくに気分障害(例えば、うつ病)、不安症、およびそれらの症状を治療する薬物の改善(例えば、作用の発現の改善、有効性の増大、より少ない有害事象、より良好なアドヒアランス)の必要性が当技術分野において存在する。本発明はこの必要性を満たし、しかも関連した利点を提供する。
The Diagnostic and Statistical Manual (DSM) of Mental Disorders
発明の簡単な概要
ある特定の局面において、本発明は、治療有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を治療または緩和するための方法を提供する。いくつかの他の局面において、本発明は、治療有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、対象における精神障害(例えば、うつ病および双極性障害を含めた気分障害、または不安症)などの神経学的状態を治療するための方法を提供する。
特定の態様において、NCAMペプチド模倣体は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、
(Zn−Lm)q (I)
式中、Zは、アミノ酸配列
Figure 2015520191
、またはそれらの変種を含む個別に選択されたペプチドであり;Lは、置換されていてもよい親油性置換基、置換されていてもよいリンカー、および置換されていてもよいスペーサーからなる群より個別に選択され;nは、約1〜6の個別に選択された整数であり;mは、約0〜6の個別に選択された整数であり;かつqは、約1〜4の個別に選択された整数である。
特定の一態様において、NCAMペプチド模倣体は以下の構造:
Figure 2015520191
を有する。
一態様において、NCAMペプチド模倣体は単量体であり、かつZはアミノ酸配列
Figure 2015520191
からなる。
特定の一態様において、NCAMペプチド模倣体は以下の構造:
Figure 2015520191
を有する。
別の特定の態様において、NCAMペプチド模倣体は、3個のリジンを含有する骨格に結合したアミノ酸配列DVRRGIKKTD(「プラネキシン(plannexin)」)の4コピーを有するデンドリマーである。
いくつかの態様において、本発明のNCAMペプチド模倣体を、薬学的に許容される担体とともに投与する。本発明の薬学的製剤のいずれかを、単回用量または分割用量(例えば、1日あたり複数回の亜用量)で投与してよい。いくつかの他の態様において、NCAMペプチド模倣体を、経口的経路、経鼻的経路、吸入による経路、局所的経路、皮下経路、静脈内経路、腹腔内経路、髄腔内経路、および脳室内経路からなる群より選択される経路を介して投与する。
本発明の他の目的、特長、および利点は、以下の詳細な説明および図面から当業者に明らかであると考えられる。
強制水泳試験(FST)によって測定される、うつ病様行動に対するFGLm投与の効果を示している。 高架式十字迷路(EPM)によって測定される、不安症様行動に対するFGLL投与の効果を示している。 FSTによって測定される、うつ病様行動に対するFGLL投与の効果を示している。 FSTによって測定される、うつ病様行動に対するFGLs投与の効果を示している。 FSTによって測定される、うつ病様行動に対するFGLs投与の効果の別の例を示している。 EPMによって測定される、不安症様行動に対するプラネキシンの急性投与の効果を示している。 EPMによって測定される、不安症様行動に対するプラネキシンの慢性投与の効果を示している。
発明の詳細な説明
I. 序論
本発明は、NCAMペプチド模倣体が、神経学的状態を有する対象など、それを必要としている対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を治療または緩和するのに有用であるという驚くべき発見に部分的に基づく。他の局面において、本明細書において記載されるNCAMペプチド模倣体は、それを必要としている対象における精神障害(例えば気分障害、例えばうつ病もしくは双極性障害、または例えば不安症などの他の精神障害)などの神経学的状態を治療することにおける利用性も見出している。特定の局面において、例えばFGLm、FGLL、FGLs、およびプラネキシンなどのNCAMペプチド模倣体は、うつ病を調節し得る能力(例えば、抗うつ効果をもたらす)および/または不安症を調節し得る能力(例えば、抗不安効果をもたらす)を有利に有し、したがって神経学的状態、ならびに/またはうつ病および/もしくは不安症などのその症状の1つもしくは複数を防止、治療、および/または緩和するのに有用である。
II. 定義
「精神障害」または「心的障害」または「心の病気」には、例えばthe Diagnostic and Statistical Manual (DSM) of Mental Disorders、第5編(DSM-5)に記載されている、気分障害(例えば、すべての形態および/またはタイプのうつ病、双極性障害等)、不安症、不安障害、精神病性障害(例えば、統合失調症、人格障害)、ならびに物質関連障害、小児期障害、認知症、自閉症性障害、適応障害、せん妄、多発梗塞性認知症、およびトゥレット障害などの他の心的障害が含まれる。典型的には、そのような障害は、複雑な遺伝的要素および/または生化学的要素を有する。
本明細書において用いられる「気分障害」には、多大な期間に個人によって経験される感情、口調、または情緒状態の崩壊が含まれる。気分障害には、うつ病(すなわち、うつ病性障害)、双極性障害、物質誘導性気分障害、アルコール誘導性気分障害、ベンゾジアゼピン誘導性気分障害、一般身体疾患による気分障害、ならびにその他の多くのものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、DSM-5を参照されたい。神経学的障害(例えば、認知症)、代謝障害(例えば、電解質の乱れ)、胃腸疾患(例えば、肝硬変)、内分泌疾患(例えば、甲状腺異常)、心血管疾患(例えば、心臓発作)、肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患)、癌、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ)等を含むがそれらに限定されない、気分エピソードを誘発し得る多くの一般身体疾患が存在する。
「うつ病」または「うつ病性障害」という用語には、以下の症状のいずれかを伴う気分障害が含まれる:持続的な悲しい気分、不安な気分、および/または「空っぽな」気分;絶望的および/または悲観的な感情;罪悪感、無価値感、および/または無力感;セックスを含めた、かつては楽しんだ趣味および活動への関心または喜びの喪失;エネルギーの減少、疲労、および/または「鈍化」していること;集中すること、思い出すこと、および/または決断することの困難;不眠症、早朝覚醒、および/または寝坊;食欲の喪失および/または体重喪失、過食および/または体重増加;死および/または自殺の思考;自殺企図;不穏状態および/または過敏症;頭痛、消化系障害、および/または慢性疼痛など、治療に応答しない持続的な身体症状;ならびにそれらの組み合わせ。例えば、DSM-5を参照されたい。うつ病性障害の非限定的な例には、大うつ病性障害(MDD)、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、精神病性大うつ病または精神病性うつ病、緊張病性うつ病、産後うつ病、季節性情動障害(SAD)、慢性うつ病(気分変調症)、二重うつ病、他に特定されないうつ病性障害、抑うつ性人格障害(DPD)、再発性軽度うつ病(RBD)、小うつ病性障害(小うつ病)、月経前症候群、月経前不快気分障害、慢性身体疾患(例えば、癌、慢性疼痛、化学療法、慢性ストレス)によって引き起こされるうつ病、およびそれらの組み合わせが含まれる。うつ病の様々な亜型は、例えばDSM-5に記載されている。特定の態様において、うつ病は大うつ病性障害(MDD)である。ある特定の場合において、本発明の方法は、うつ病の症状の1つまたは複数を治療または緩和する。ある特定の他の場合において、本発明の方法は、うつ病を治療する。
「双極性障害」には、交互に起こる極端な気分の期間を特徴とする気分障害が含まれる。双極性障害を有する人は、過度に元気であるかまたは怒りっぽい(躁病)から悲しくかつ絶望的である(うつ病)までを通常揺れ動き、次いで、合間に正常な気分の期間を有して再度元に戻るという気分のサイクルを経験する。双極性障害の診断は、例えばDSM-5に記載されている。双極性障害には、双極性障害I型(大うつ病の有無にかかわらない躁病)、双極性障害II型(大うつ病を有する軽躁病)、および循環気質が含まれる。例えば、DSM-5を参照されたい。双極性障害は、躁うつ病としても知られている。
「不安症」には、典型的には、差し迫った出来事または不確定の結末を有する何かについての心配な感情、神経質な感情、不快感、および/または緊張感を特徴する状態が含まれる。不安症の症状には、恐怖、パニック、心臓の動悸、息切れ、疲労、吐き気、頭痛(例えば、緊張性頭痛)、頻脈、筋力低下および/または筋緊張、胸痛、胃痛、蒼白、発汗、震え、瞳孔散大、パニック発作、ならびにそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、DSM-5を参照されたい。ある特定の場合において、本発明の方法は、不安症の症状の1つまたは複数を治療または緩和する。他の場合において、本発明の方法は、不安症または不安障害を治療する。
「精神病性障害」には、精神に影響を及ぼし、現実との接触の少なくともいくらかの喪失をもたらす状態が含まれる。精神病性障害の症状には、例えば幻覚、現実に基づかない行動の変化、妄想等が含まれる。例えば、DSM-5を参照されたい。統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想性障害、軽度精神病性障害、物質誘導性精神病性障害、および共有精神病性障害は、精神病性障害の非限定的な例である。
「統合失調症」には、個人による現実からの離脱を伴う精神病性障害が含まれる。症状は、少なくとも1ヶ月のうちの一部の間、以下の症状のうちの2つまたはそれ以上を含む:妄想(太陽からの宇宙船に誘拐されるなど、妄想が異様な場合には、1つのみの症状を要する);幻覚(幻覚が、互いに話しかける少なくとも2つの声の場合または患者の思考もしくは動作についての実況解説を続ける1つの声の場合には、1つのみの症状を要する);解体した会話(例えば、頻繁な脱線または支離滅裂);著しく解体したもしくは緊張病性の行動;または陰性症状、すなわち情動平板化、失語症、もしくは意欲消失。統合失調症は、例えば統合失調感情障害などの障害を包含する。統合失調症の診断は、例えばDSM-5に記載されている。統合失調症のタイプには、例えば偏執型、解体型、緊張型、鑑別不能型、および残遺型が含まれる。例えば、DSM-5を参照されたい。
「ペプチド模倣体」または「模倣ペプチド」または「ペプチド模倣物」には、受容体、ホルモン、サイトカイン、酵素基質、ウイルス、および他の生体分子などであるがそれらに限定されないタンパク質上の活性決定因子を生物学的に模倣し、かつ天然リガンドの生理学的活性に拮抗し得る、刺激し得る、かつ/または別様に調節し得るペプチド、またはその断片もしくは変種が含まれる。例えば、Fauchere, Adv. Drug Res. 15:29 (1986);Veber and Freidinger, TINS p. 392 (1985);およびEvans et al., J. Med. Chem. 30:1229 (1987)を参照されたい。ある特定の場合において、治療上有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣体を用いて、同等のまたは増強した治療効果または予防効果をもたらし得る。ペプチド模倣体は、天然アミノ酸、アミノ酸の非天然類似体、またはそれらの組み合わせから構成され得る。ペプチド模倣体は、任意の量の天然アミノ酸保存的置換を、そのような置換がその構造および/または活性も実質的に変更しない限り、組み入れることもできる。
本明細書において使用する場合、「NCAMペプチド模倣体」または「NCAM模倣ペプチド」または「NCAMペプチド模倣物」には、神経細胞接着分子(NCAM)の同種親和性結合(例えば、それ自体に結合するNCAM)および/または異種親和性結合(例えば、FGFR、他の接着分子、および様々な細胞外マトリックス成分に結合するNCAM)を模倣するペプチド、またはその断片もしくは変種が含まれる。いくつかの場合において、NCAMペプチド模倣体は、同種親和性結合および/または異種親和性結合を妨害するか、阻害するか、または崩壊させるアンタゴニストである。ある特定の他の場合において、NCAMペプチド模倣体は、NCAM、またはFGFRなどのNCAM結合パートナー(例えば、カウンター受容体)を結合させかつ活性化または刺激するアゴニストである。例えば、Berezin et al., J. Mol. Neuroscience., 22:33-39 (2004)を参照されたい。
「FGLペプチド」および「FGループペプチド」という用語には、NCAMの第二のフィブロネクチンIII型(F3)モジュールにおけるアミノ酸配列の一部を含有するペプチド、またはその断片もしくは変種が含まれる(例示的なヒトNCAMアミノ酸配列に関して、GenPeptアクセッション番号 P13591を参照されたい)。特定の態様において、FGLペプチドのアミノ酸配列は、FGFR-1などの線維芽細胞成長因子受容体に対するNCAMの結合部位の一部に対応する。FGLペプチドの非限定的な例には、FGLm、FGLL、FGLs、およびそれらの組み合わせが含まれる。
「アゴニスト」には、ポリペプチドに結合し、かつ、該ポリペプチドの活性化を刺激する、増大させる、活性化する、促進する、増強するか、活性または発現を増感させるまたは上方制御する作用物質が含まれる。
「アンタゴニスト」には、ポリペプチドに結合し、かつ該ポリペプチドの刺激を阻害する、部分的にまたは完全に遮断するか、活性化を減少させる、防止する、遅らせるか、活性を不活性化する、鈍感にする、または下方制御する作用物質が含まれる。
本明細書において用いられる、結合または活性の「阻害因子」、「活性化因子」、および「調節因子」には、結合または活性に対するインビトロおよびインビボのアッセイ法を用いてそれぞれ同定された阻害分子、活性化分子、または調節分子、例えばリガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、相同体、およびそれらの模倣体が含まれる。「調節因子」という用語には、阻害因子および活性化因子が含まれる。阻害因子は、例えば、ポリペプチドに結合し、かつ該ポリペプチドの刺激または酵素活性を阻害する、部分的にまたは完全に遮断するか、活性化を減少させる、防止する、遅らせるか、活性を不活性化する、鈍感にする、または下方制御する作用物質、例えばアンタゴニストである。活性化因子は、ポリペプチドに結合するか、ポリペプチドの活性化または酵素活性を刺激する、増大させる、広げる、活性化する、促進する、増強するか、活性を増感させるまたは上方制御する作用物質、例えばアゴニストである。調節因子には、天然に存在するリガンドおよび合成リガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、化学的小分子等が含まれる。
「単離した」という用語は、核酸またはタンパク質に適用される場合、核酸またはタンパク質が、それが天然状態で関連している他の細胞成分を本質的に含んでいないことを表す。それは乾燥物または水溶液のいずれかの状態であってよいが、それは好ましくは均質状態である。純度および均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学の技術を用いて判定される。調製物中に存在している優勢種であるタンパク質が実質的に精製される。とくに、単離される遺伝子は、該遺伝子に隣接しかつ関心対象の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離される。「精製した」という用語は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲルにおいて本質的に1本のバンドを生じさせることを表す。とくに、それは、核酸またはタンパク質が、少なくとも85%純粋、少なくとも95%純粋、または少なくとも99%純粋であることを意味する。
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語には、一本鎖または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、およびそれらのポリマーが含まれる。具体的に限定されていない限り、該用語は、参照核酸と同様の結合特性を有しかつ天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含有する核酸を包含する。別様に示されていない限り、特定の核酸配列は、保存的に改変されたその変種(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、および相補的配列、ならびに明確に示された配列も黙示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1個または複数個の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を産生することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);およびCassol et al. (1992);Rossolini et al., Mol. Cell Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと互換可能に用いられる。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換可能に用いられて、アミノ酸残基のポリマーを含む。該用語は、1個または複数個のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書において使用する場合、該用語は、アミノ酸残基が共有結合性ペプチド結合によって連結している、全長タンパク質を含めた任意の長さのアミノ酸鎖(すなわち、抗原)を包含する。
「アミノ酸」という用語には、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体が含まれる。天然に存在するアミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるもの、ならびに後に改変されたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体には、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムが含まれる。そのような類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。「アミノ酸模倣体」には、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化学的化合物が含まれる。
アミノ酸は、本明細書において、一般に知られている3文字記号、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により推奨される1文字記号のいずれかによって言及されてよい。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられているそれらの1文字暗号によって言及されてよい。
「保存的に改変された変種」は、アミノ酸および核酸の配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に改変された変種」には、同一もしくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一の配列の核酸が含まれる。遺伝暗号の縮重のために、多数の機能的に同一の核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸のアラニンをコードする。ゆえに、コドンによってアラニンが指定されるあらゆる位置で、コードされるポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンのいずれかにコドンを変更することができる。そのような核酸変動は、保存的に改変された変動の1つの種である「サイレント変動」である。ポリペプチドをコードする本明細書におけるあらゆる核酸配列は、該核酸のあらゆる考えられるサイレント変動も記載する。当業者であれば、核酸における各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除いて)を改変して、機能的に同一の分子を産出することができることを認識すると考えられる。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変動は、記載される各配列における黙示的なものである。
アミノ酸配列に関して、当業者であれば、コードされた配列における単一アミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変更する、付加する、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の配列に対する個別の置換、欠失、および/または付加は、変更によって化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換が生じる「保存的に改変された変種」であることを認識すると考えられる。機能的に類似したアミノ酸を提示している保存的置換表は、当技術分野において周知である。そのような保存的に改変された変種は、多型変種、種間相同体、および/または対立遺伝子に追加されるものであり、それらを排除しない。
以下の8つのグループは、それぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、スレオニン(T);および
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
「組換え」という用語は、例えば細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して用いられる場合、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、異種の核酸もしくはタンパク質の導入または天然型の核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されていること、あるいは細胞が、そのようにして改変された細胞に由来することを示す。例えば、組換え細胞は、天然型(非組換え)形態の細胞内で見出されない遺伝子を発現する、または別様に異常発現される、低発現される、もしくは全く発現されない天然型遺伝子を発現する。
「異種の」という用語は、核酸の一部に関して用いられる場合、核酸が、天然では互いに対して同じ関係性で見出されない2種またはそれ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、新たな機能的核酸を作製するように配置された、非関連遺伝子由来の2種またはそれ以上の配列、例えば一つの供給源由来のプロモーターおよび別の供給源由来のコード領域を有する核酸は、典型的には組換えによって生成される。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が、天然では互いに対して同じ関係性で見出されない2種またはそれ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
「発現ベクター」は、宿主細胞における特定の核酸の転写を可能にする一連の指定の核酸エレメントを有する、組換えによってまたは合成によって産生された核酸構築物を含む。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス、または核酸断片の一部であってよい。典型的には、発現ベクターは、プロモーターに機能的に連結される、転写される対象となる核酸を含む。
本明細書において用いられる「精神障害または心的障害になりやすい」人とは、一般集団における平均的な人と比較した場合、精神障害または心的障害を発症する傾向またはより高い可能性を有する人を意味する。
「治療有効量」には、所望の治療結果または予防結果を達成するための、必要な投薬量でのかつ必要な期間の有効な量または分量が含まれる。
III. 態様の詳細な説明
ある特定の局面において、本発明は、治療有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、(それを必要としている)対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を治療または緩和するための方法を提供する。
本発明に従って治療され得るうつ病の症状の非限定的な例には、持続的な悲しい気分、不安な気分、および/または「空っぽな」気分;絶望的および/または悲観的な感情;罪悪感、無価値感、および/または無力感;セックスを含めた、かつては楽しんだ趣味および活動への関心または喜びの喪失;エネルギーの減少、疲労、および/または「鈍化」していること;集中する、思い出す、および/または決断することの困難;不眠症、早朝覚醒、および/または寝坊;食欲の喪失および/または体重喪失、過食および/または体重増加;死および/または自殺の思考;自殺企図;不穏状態および/または過敏症;頭痛、消化系障害、および/または慢性疼痛など、治療に応答しない持続的な身体症状;ならびにそれらの組み合わせが含まれる。特定の態様において、これらの症状の存在、重症度、頻度、および/または持続期間は、場合毎に変動する。いくつかの態様において、対象は、これらの症状の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つを有してよい。
本発明に従って治療され得る不安症の症状の非限定的な例には、恐怖、パニック、心臓の動悸、息切れ、疲労、吐き気、頭痛(例えば、緊張性頭痛)、頻脈、筋力低下および/または筋緊張、胸痛、胃痛、蒼白、発汗、震え、瞳孔散大、パニック発作、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。特定の態様において、これらの症状の存在、重症度、頻度、および/または持続期間は、場合毎に変動する。いくつかの態様において、対象は、これらの症状の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つを有してよい。
ある特定の態様において、うつ病および/または不安症の症状は、精神障害(例えば、うつ病などの気分障害、または不安症)などの神経学的状態に関連している。いくつかの態様において、対象は、うつ病、不安症、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、またはそれ以上の症状を有してよい。
特定の態様において、うつ病および/または不安症の症状は、例えば精神障害、学習障害、自閉症性障害、注意欠陥多動性障害、トゥレット症候群、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、認知症、エイズ認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙縮、ミオクローヌス、筋痙攣、物質乱用障害、尿失禁、慢性疼痛などの疼痛、およびそれらの組み合わせなどの神経学的状態においてまたは該神経学的状態に関連して確認される。
ある特定の態様において、うつ病および/または不安症の症状は、気分障害(例えば、うつ病、双極性障害)、不安症、不安障害、精神病性障害、他の関連状態、およびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない精神障害においてまたは該精神障害に関連して確認される。
本明細書において記載される方法に従ってうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数が治療され得る気分障害の非限定的な例には、うつ病(すなわち、うつ病性障害)、双極性障害、物質誘導性気分障害、アルコール誘導性気分障害、ベンゾジアゼピン誘導性気分障害、一般身体疾患による気分障害、およびそれらの組み合わせが含まれる。様々な形態のうつ病の例には、大うつ病性障害(MDD)、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、精神病性うつ病、緊張病性うつ病、産後うつ病、季節性情動障害(SAD)、慢性うつ病(気分変調症)、二重うつ病、他に特定されないうつ病性障害、抑うつ性人格障害(DPD)、再発性軽度うつ病(RBD)、小うつ病性障害(小うつ病)、月経前症候群、月経前不快気分障害、慢性身体疾患(例えば、癌、慢性疼痛、化学療法、慢性ストレス等)によって引き起こされるうつ病、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本発明に従ってうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数が治療され得る不安障害の非限定的な例には、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害、およびそれらの組み合わせが含まれる。
本発明の方法に従ってうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数が治療され得る精神病性障害の非限定的な例には、統合失調症およびそのすべての形態(例えば、緊張型、亜慢性、慢性、急性憎悪を有する、寛解期にある、不特定型、解体型、偏執型、残遺型、および/または鑑別不能型)、統合失調感情障害、統合失調症様障害、人格障害(例えば、偏執型、統合失調質、統合失調症型、反社会性、境界性等)、精神病(例えば、偏執性精神病、緊張病性精神病、妄想性精神病等)、物質誘導性精神病性障害、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
ある特定の場合において、対象は、うつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を有すると診断されている。好ましい態様において、対象はヒトである。
他の局面において、本発明は、治療有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、(それを必要としている)対象における精神障害(例えば、うつ病などの気分障害、または不安症)などの神経学的状態を治療するための方法を提供する。
本発明の方法に従って治療され得る神経学的状態の非限定的な例には、精神障害、学習障害、自閉症性障害、注意欠陥多動性障害、トゥレット症候群、恐怖症、心的外傷後ストレス障害、認知症、エイズ認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、痙縮、ミオクローヌス、筋痙攣、物質乱用障害、尿失禁、慢性疼痛などの疼痛、およびそれらの組み合わせが含まれる。
特定の態様において、精神障害には、気分障害(例えば、うつ病、双極性障害)、不安症、不安障害、精神病性障害、他の関連状態、およびそれらの組み合わせが含まれる。
本発明に従って治療され得る気分障害の非限定的な例には、うつ病(すなわち、うつ病性障害)、双極性障害、物質誘導性気分障害、アルコール誘導性気分障害、ベンゾジアゼピン誘導性気分障害、一般身体疾患による気分障害、およびそれらの組み合わせが含まれる。様々な形態のうつ病の例には、大うつ病性障害(MDD)、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、精神病性うつ病、緊張病性うつ病、産後うつ病、季節性情動障害(SAD)、慢性うつ病(気分変調症)、二重うつ病、他に特定されないうつ病性障害、抑うつ性人格障害(DPD)、再発性軽度うつ病(RBD)、小うつ病性障害(小うつ病)、月経前症候群、月経前不快気分障害、慢性身体疾患(例えば、癌、慢性疼痛、化学療法、慢性ストレス等)によって引き起こされるうつ病、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本発明に従って治療され得る不安障害の非限定的な例には、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害、およびそれらの組み合わせが含まれる。
本発明に従って治療され得る精神病性障害の非限定的な例には、統合失調症およびそのすべての形態(例えば、緊張型、亜慢性、慢性、急性憎悪を有する、寛解期にある、不特定型、解体型、偏執型、残遺型、および/または鑑別不能型)、統合失調感情障害、統合失調症様障害、人格障害(例えば、偏執型、統合失調質、統合失調症型、反社会性、境界性等)、精神病(例えば、偏執性精神病、緊張病性精神病、妄想性精神病等)、物質誘導性精神病性障害、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
ある特定の場合において、対象は、精神障害(例えば、うつ病などの気分障害、または不安症)などの神経学的状態を有すると診断されている。好ましい態様において、対象はヒトである。
特定の態様において、NCAMペプチド模倣体は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、
(Zn−Lm)q (I)
式中、Zは、アミノ酸配列
Figure 2015520191
、またはそれらの変種を含む個別に選択されたペプチドであり;Lは、置換されていてもよい親油性置換基、置換されていてもよいリンカー、および置換されていてもよいスペーサーからなる群より個別に選択され;nは、約1〜6の個別に選択された整数であり;mは、約0〜6の個別に選択された整数であり;かつqは、約1〜4の個別に選択された整数である。
いくつかの場合において、Zは独立して、少なくとも約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む。ある特定の場合において、化合物は単量体である。ある特定の他の場合において、化合物は多量体である。本発明の多量体化合物の例には、二量体、四量体、およびデンドリマーが含まれるが、それらに限定されるわけではない。本発明の多量体化合物において、Zは同じペプチドであってよいか、またはZは異なるペプチドを含んでよい。
ある特定の態様において、Zは独立して、
Figure 2015520191
、およびそれらの変種からなる群より選択される。
いくつかの態様において、化合物は単量体または二量体であり、かつZは独立して、アミノ酸配列QQGKSKA、および任意でそのN末端にアミノ酸配列VYVVAENの1、2、3、4、5、6、または7個の隣接しかつ連続するアミノ酸
Figure 2015520191
、および任意でそのC末端にNCAMポリペプチドまたはその変種(例えば、それと少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれを上回る割合の同一性を有するアミノ酸配列)由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の隣接しかつ連続するアミノ酸を含むかまたはそれらからなる。いくつかの場合において、化合物は二量体であり、かつ各Zはアミノ酸配列VAENQQGKSKAからなる。
特定の一態様において、化合物は以下の構造:
Figure 2015520191
を有する。
ある特定の態様において、化合物は単量体であり、かつZはアミノ酸配列
Figure 2015520191
を含むかまたはそれからなる。他の態様において、化合物は二量体であり、かつ各Zは独立して、
Figure 2015520191
を含むかまたはそれからなる。
一態様において、化合物は単量体であり、かつZはアミノ酸配列
Figure 2015520191
からなる。別の態様において、化合物は二量体であり、かつ各Zはアミノ酸配列
Figure 2015520191
からなる。
特定の一態様において、化合物は以下の構造:
Figure 2015520191
を有する。
別の特定の態様において、化合物は、3個のリジンを含有する骨格に結合したアミノ酸配列DVRRGIKKTD(「プラネキシン」)の4コピーを有するデンドリマーである。
いくつかの態様において、本発明のNCAMペプチド模倣体を、薬学的に許容される担体とともに投与する。ある特定の態様において、NCAMペプチド模倣体を、経口的経路、経鼻的経路、吸入による経路、局所的経路、皮下経路、静脈内経路、腹腔内経路、髄腔内経路、および脳室内経路より選択される経路を介して投与する。
ある特定の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、例えば1日あたり、約0.5、1、2、5、10、20、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、400、500、600、700、750、800、もしくは900mg、または約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、もしくは10グラム(g)のペプチドという用量が含まれる。ある特定の他の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、例えば1日あたり、約0.001mg/kg〜約1,000mg/kg、約0.01mg/kg〜約1,000mg/kg、約0.1mg/kg〜約1,000mg/kg、約0.1mg/kg〜約100mg/kg、約1〜約10mg/kg、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約50mg/kg、約100mg/kg、約200mg/kg、約300mg/kg、約400mg/kg、約500mg/kg、約600mg/kg、約700mg/kg、約800mg/kg、約900mg/kg、または約1,000mg/kgのペプチドという用量が含まれる。所望の用量を、単回用量で、または適切な間隔で投与される複数回用量として、例えば1日あたり2回、3回、4回、もしくはそれ以上の亜用量として、好都合に投与してよい。
特定の態様において、治療有効量のNCAMペプチド模倣体を、例えば単回用量としてまたは短期間にわたる(例えば、約24時間未満の長さにわたる)複数回用量として、対象に急性投与する。ある特定の場合において、薬学的組成物を、静脈内に、鼻腔内に、経口的に、吸入によって、または皮下に、単回用量としてまたは短期間にわたる複数回用量として、対象に急性投与する。治療有効量の本発明のペプチドを提供するための用量の非限定的な例は、上記に記載されている。
特定の態様において、治療有効量のNCAMペプチド模倣体を、例えば数時間(例えば、24、48、または72時間おきに)、数日間、数週間、数ヶ月間、または数年間にわたる繰り返し用量として、対象に慢性投与する。非限定的な例として、本明細書において記載されるペプチドを含む薬学的組成物を、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の週数または月数の期間、1週間に少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日、1日少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれ以上の回数投与することができる。ある特定の場合において、数日間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の日数)から数週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の週数)に及ぶ休息期間を導入して、治療の忍容性および/または有効性を改善することができる。例示的な一態様において、薬学的組成物を、2週間の間、1週間に3回(例えば、月曜日、水曜日、および金曜日)、1日1回投与する。ある特定の場合において、薬学的組成物を、静脈内に、鼻腔内に、経口的に、吸入によって、または皮下に、繰り返し用量として慢性投与する。治療有効量の本発明のペプチドを提供するための用量の非限定的な例は、上記に記載されている。
ある特定の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、精神障害(例えば、うつ病などの気分障害、または不安症)などの神経学的状態を治療するための、ならびに/またはうつ病および/もしくは不安症の症状の1つもしくは複数を治療するための、対象における不安症様行動を減少させる(抗不安効果)のに十分である量が含まれる。ある特定の他の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、精神障害(例えば、うつ病などの気分障害、または不安症)などの神経学的状態を治療するための、ならびに/またはうつ病および/もしくは不安症の症状の1つもしくは複数を治療するための、対象におけるうつ病を減少させる(抗うつ効果)のに十分である量が含まれる。ある特定の態様において、不安症またはうつ病の重症度は、NCAMペプチド模倣体の投与前の対象における不安症またはうつ病の重症度と比べて(または比較して)、NCAMペプチド模倣体の投与後の対象において減少する(例えば、1つまたは複数の症状の数および/または重症度の低下)。
ある特定の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、(例えば、反社会性人格障害などの人格障害を治療するための、または危険を冒す行動を低下させるための、)対象における不安症様行動を増大させる(不安惹起効果)のに十分である量が含まれる。他の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、(例えば、反社会性人格障害などの人格障害を治療するための、または危険を冒す行動を低下させるための、)対象におけるうつ病様行動を増大させるのに十分である量が含まれる。特定の態様において、不安症またはうつ病の重症度は、NCAMペプチド模倣体の投与前の対象における不安症またはうつ病の重症度と比べて(または比較して)、NCAMペプチド模倣体の投与後の対象において増大する(例えば、1つまたは複数の症状の数および/または重症度の上昇)。
いくつかの場合において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、投与から約2週間もしくはそれ未満、約1週間もしくはそれ未満、約1日もしくはそれ未満、約1時間もしくはそれ未満、約30分間もしくはそれ未満、または約15分間もしくはそれ未満にわたり、対象をうつ病または不安症の症状の少なくとも1つから解放するかまたは実質的に解放するのに十分である量が含まれる。他の場合において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、投与から約15分間もしくはそれ以上、約30分間もしくはそれ以上、約1時間もしくはそれ以上、約1日もしくはそれ以上、約1週間もしくはそれ以上、または約2週間もしくはそれ以上にわたり、対象をうつ病または不安症の症状の少なくとも1つから解放するかまたは実質的に解放するのに十分である量が含まれる。
いくつかの場合において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、例えば異なる抗うつ化合物または抗不安化合物を投与された同じ対象と比較して、NCAMペプチド模倣体の(最初の)投与後実質的により早期に、対象をうつ病または不安症の症状の少なくとも1つから解放するかまたは実質的に解放するのに十分である量が含まれる。ある特定の態様において、対象は、NCAMペプチド模倣体の投与から約1日〜約21日間以内、約1日〜約14日間以内、約1日〜約7日間以内、約12時間〜約1日以内、または約1時間〜約12時間以内に、うつ病または不安症の症状の1つまたは複数から実質的に解放される。
ある特定の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、本質的にいかなる解離性副作用もなく抗うつ効果をもたらすのに十分である量が含まれる。他の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、本質的に鎮静作用を有しないで抗うつ効果をもたらすのに十分である量が含まれる。他の態様において、NCAMペプチド模倣体の治療有効量には、乱用の可能性を有しない(例えば、習慣性になり得ない)量が含まれる。
ある特定の場合において、本発明のNCAMペプチド模倣体は、血液脳関門(BBB)透過性の改善を提供し、かつBBBを容易に横断し得る。他の場合において、本発明のNCAMペプチド模倣体は、インビボ効力の改善、および/または例えば血漿中レベルと比べて脳内レベル濃度の改善を提供する。ある特定の他の場合において、本発明のNCAMペプチド模倣体は、広範な治療指数を有し、高い治療指数またはそれらの組み合わせを提供する。
IV. 本発明のペプチド
いくつかの態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、
(Zn−Lm)q (I)
式中、Zは、アミノ酸配列
Figure 2015520191
、またはそれらの変種(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列)を含む個別に選択されたペプチドであり;Lは、置換されていてもよい親油性置換基、置換されていてもよいリンカー、および置換されていてもよいスペーサーからなる群より個別に選択され;nは、約1〜6の個別に選択された整数(例えば、1、2、3、4、5、または6)であり;mは、約0〜6の個別に選択された整数(例えば、0、1、2、3、4、5、または6)であり;かつqは、約1〜4の個別に選択された整数(例えば、1、2、3、または4)である。
式Iの化合物における各ペプチド(Z)は独立して、約7〜160、7〜150、7〜140、7〜130、7〜120、7〜110、7〜100、7〜90、7〜80、7〜70、7〜60、7〜50、7〜40、7〜30、7〜20、7〜15、または7〜10個のアミノ酸残基を含んでよい。いくつかの態様において、各ペプチド(Z)は独立して、約10〜100、10〜90、10〜80、10〜70、10〜60、10〜50、10〜40、10〜30、10〜25、10〜20、または10〜15個のアミノ酸残基を含む。他の態様において、各ペプチド(Z)は独立して、少なくとも約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む。ある特定の態様において、Zは、アミノ酸配列
Figure 2015520191
、またはそれらの変種、ならびにNCAMポリペプチド由来の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれ以上の隣接しかつ連続するアミノ酸を含む(例示的なヒトNCAMアミノ酸配列に関して、GenPeptアクセッション(Acc.)番号 P13591を参照されたい)。
特定の態様において、各ペプチド(Z)は独立して、アミノ酸配列
Figure 2015520191
、またはそれらの変種(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有するアミノ酸配列)を含む。ある特定の態様において、各ペプチド(Z)は独立して、アミノ酸配列
Figure 2015520191
、またはそれらの変種、ならびにNCAMポリペプチド由来の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個、またはそれ以上の隣接しかつ連続するアミノ酸を含む(例示的なヒトNCAMアミノ酸配列に関して、GenPeptアクセッション番号 P13591を参照されたい)。いくつかの場合において、ペプチド(Z)のすべては、同一のアミノ酸配列を含む。
各ペプチド(Z)は、融合タンパク質の状態で化学結合によって別のペプチド配列に接続していてよく、またはアミノ酸配列は、リンカー基を介して互いに接続していてよい。いくつかの態様において、ペプチド配列は、単量体のオリゴマー(多量体)として構築(formulate)されてよく、各単量体は、上記に規定されるペプチド配列を含む。特定の態様において、デンドリマーなどの多量体ペプチドは、複数の柔軟なペプチド単量体の存在により、立体構造的な決定因子またはクラスターを形成し得る。一態様において、化合物は二量体である。別の態様において、化合物は三量体または四量体である。一態様において、化合物は、リジン骨格に連結している、またはポリマー担体、例えばBSAなどのタンパク質担体に結合している4個のペプチドなどのデンドリマーである。反復配列などの重合または様々な担体への付着は、当技術分野において周知であり、例えば4個のペプチド、8個のペプチド、16個のペプチド、または32個のペプチドを保持するリジンデンドリマーなどのリジン骨格。他の担体は、親油性デンドリマー、または親油性誘導体によって形成されるミセル様担体、または星形(星様)炭素鎖ポリマー抱合体であってよい。
ある特定の場合において、多量体化合物は、2つまたはそれ以上の同一または異なるペプチド配列を含むポリマーであってよい。いくつかの態様において、化合物は2つの同一のアミノ酸配列を含んでよく、または化合物は4つの同一コピーのアミノ酸配列を含んでよい。他の態様において、化合物は、2つまたはそれ以上の異なるアミノ酸配列を含んでよい。
本発明における使用に適したさらなるペプチド配列(Z)の非限定的な例には、PCT特許公報番号WO 2009/068042、WO 2008/022645、WO 2007/045243、WO 2005/014623、WO 2005/030804、WO 2005/123759、WO 2004/056865、WO 03/016351、WO 03/020749、およびWO 02/47719に記載されているアミノ酸配列が含まれ、それらの開示内容はあらゆる目的のために参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
ある特定の態様において、本発明の多量体化合物におけるペプチド配列は、式IIのリンカー基を介して互いに接続しており、
X[(A)nCOOH][(B)mCOOH] (II)
式中、nおよびmは独立して、約1〜20の整数であり;Xは、HN、H2N(CR2)pCR、RHN(CR2)pCR、HO(CR2)pCR、HS(CR2)pCR、ハロゲン-(CR2)pCR、HOOC(CR2)pCR、ROOC(CR2)pCR、HCO(CR2)pCR、RCO(CR2)pCR、[HOOC(A)n] [HOOC(B)m]CR(CR2)pCR、H2N(CR2)p、RHN(CR2)p、HO(CR2)p、HS(CR2)p、ハロゲン-(CR2)p、HOOC(CR2)p、ROOC(CR2)p、HCO(CR2)p、RCO(CR2)p、および[HOOC(A)n][HOOC(B)m](CR2)pからなる群より選択され;pは、0または約1〜20の整数であり;かつAおよびBは独立して、置換されたもしくは置換されていないC1〜10アルキル、置換されたもしくは置換されていないC2〜10アルケニル、置換されたもしくは置換されていない環状部分、置換されたもしくは置換されていない複素環部分、置換されたもしくは置換されていない芳香族部分であり、あるいはAおよびBは、置換されたもしくは置換されていない環状部分、置換されたもしくは置換されていない複素環部分、または置換されたもしくは置換されていない芳香族部分を一緒に形成する。
特定の一態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)は、以下の構造:
Figure 2015520191
を有する二量体化合物である。
別の特定の態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)は、アミノ酸配列
Figure 2015520191
を含むかまたは該アミノ酸配列からなる単量体化合物である。
別の特定の態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)は、以下の構造:
Figure 2015520191
を有する二量体化合物である。
別の特定の態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)は、3個のリジンを含有する骨格に結合したアミノ酸配列DVRRGIKKTD(「プラネキシン」)の4コピーを有する四量体デンドリマー化合物である。例えば、Kraev et al., 2011, PLoS ONE, 6(8):e23433;およびKohler et al., 2010, J Neurosci Res, Aug 1;88(10):2165-76を参照されたい。
V. 本発明のペプチドの調製
いくつかの態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)を、組換えDNA技術を用いて生成する。
ある特定の場合において、本発明は、組換え遺伝学の分野におけるルーチン技術に依存する。本発明における使用についての一般的方法を開示している基本書には、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001);Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds, 1994)が含まれる。
ペプチド、または該ペプチドが由来する対応する全長タンパク質をコードするDNA配列を、確立された標準的方法、例えばBeaucage and Caruthers, 1981, Tetrahedron Lett. 22:1859-1869に記載されているホスホアミジン(phosphoamidine)法、またはMatthes et al., 1984, EMBO J. 3:801-805に記載されている方法によって、合成によって調製してよい。ホスホアミジン法に従って、オリゴヌクレオチドを、例えば自動DNA合成装置で合成し、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、かつ適切なベクター内にクローニングする。
ペプチドをコードするDNA配列を、標準的プロトコール(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed, 2001))に従ってDNAアーゼIを用いた、ペプチド起源の対応する全長タンパク質をコードするDNA配列の断片化によって調製してもよい。あるいは、本発明の全長タンパク質をコードするDNAを、特異的制限エンドヌクレアーゼを用いて断片化してよい。次いで、DNAの断片を、例えばSambrook et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual (3rd ed. 2001)に記載されている標準的手順を用いてさらに精製することができる。
全長タンパク質をコードするDNA配列は、例えば、ゲノムまたはcDNAライブラリーを調製し、かつ標準的技術(例えば、上記のSambrook et al.)に従って合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションによって、全長タンパク質のすべてまたは一部をコードするDNA配列についてスクリーニングすることによって得られる、ゲノムまたはcDNA起源であってもよい。DNA配列を、例えば米国特許第4,683,202号およびSaiki et al., 1988, Science 239:487-491に記載されているように、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって調製してもよい。
ある特定の態様において、次いで、DNA配列を、任意のベクターであってよく、組換えDNA手順に好都合に供され得る、組換え発現ベクター内に挿入する。ベクターの選定は、それを導入する対象となる宿主細胞に依存してよい。ゆえに、ベクターは、自律的に複製するベクター、例えばその複製が染色体複製から独立している、染色体外の実体として存在するベクター、例えばプラスミドであってよい。あるいは、ベクターは、宿主細胞内に導入された場合に、宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、かつそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるものであってよい。
ベクターにおいて、ペプチドまたは全長タンパク質をコードするDNA配列は、適切なプロモーター配列に機能的に接続されなければならない。プロモーターは、選定される宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列であってよく、かつ宿主細胞と同種または異種のタンパク質をコードする遺伝子に由来してよい。哺乳類細胞においてコードDNA配列の転写を指揮するための適切なプロモーターの非限定的な例には、SV 40プロモーター(Subramani et al., 1981, Mol. Cell Biol. 1:854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter et al., 1983, Science 222:809-814)、およびアデノウイルス2 主要後期プロモーターが含まれる。昆虫細胞における使用のための適切なプロモーターは、ポリヘドリンプロモーターである(Vasuvedan et al., 1992, FEBS Lett. 311:7-11)。酵母宿主細胞における使用のための適切なプロモーターには、酵母の解糖系遺伝子(Hitzeman et al., 1980, J. Biol. Chem. 255:12073-12080;Alber and Kawasaki, 1982, J. Mol. Appl. Gen. 1:419-434)およびアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals, Hollaender et al, eds., Plenum Press, New YorkにおけるYoung et al., 1982)由来のプロモーター、ならびにTPI1(米国特許第4,599,311号)またはADH2〜4c(Russell et al., 1983, Nature 304:652-654)プロモーターが含まれる。糸状菌宿主細胞における使用のための適切なプロモーターには、ADH3プロモーター(McKnight et al., 1985, EMBO J. 4:2093-2099)およびtpiAプロモーターが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
コードDNA配列を、ヒト成長ホルモンターミネーター(上記のPalmiter et al.)、または(真菌宿主に関しては)TPI1(上記のAlber and Kawasaki)もしくはADH3(上記のMcKnight et al.)プロモーターなど、適切なターミネーターに機能的に接続されていてもよい。ベクターは、ポリアデニル化シグナル(例えば、SV 40またはアデノウイルス5 E1b領域由来)、転写エンハンサー配列(例えば、SV 40エンハンサー)、および翻訳エンハンサー配列(例えば、アデノウイルスVA RNAをコードするもの)などのエレメントをさらに含んでよい。
組換え発現ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞において複製するのを可能にするDNA配列をさらに含んでよい。そのような配列の例には(宿主細胞が哺乳類細胞である場合)、SV 40複製起点が含まれる。ベクターは選択可能なマーカー、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードする遺伝子、または薬物に対する耐性を与えるもの、例えばネオマイシン、ハイグロマイシン、もしくはメトトレキサートなど、その産物が宿主細胞における欠陥を補う遺伝子も含んでよい。
ペプチドまたは全長タンパク質をコードするDNA配列、プロモーター、およびターミネーターをそれぞれライゲーションするために用いられる手順、ならびに複製に必要な情報を含有している適切なベクター内にそれらを挿入するために用いられる手順は、当業者に周知である(例えば、上記のSambrook et al.を参照されたい)。
本発明の組換えペプチドを得るために、コードDNA配列を、第二のペプチドコード配列およびプロテアーゼ切断部位コード配列と融合させ、融合タンパク質をコードするDNA構築物を提供してよく、該プロテアーゼ切断部位コード配列は、HBP断片と第二のペプチドコードDNAとの間に配置され、組換え発現ベクター内に挿入され、かつ組換え宿主細胞内で発現される。一態様において、第二のペプチドは、グルタチオン-S-レダクターゼ、仔ウシサイモシン、細菌性チオレドキシン、またはヒトユビキチンの天然もしくは合成の変種、あるいはそれらのペプチドを含む。別の態様において、プロテアーゼ切断部位を含むペプチド配列は、アミノ酸配列IEGR切断部位を有するファクターXa、アミノ酸配列DDDDK切断部位を有するエンテロキナーゼ、アミノ酸配列LVPR/GS切断部位を有するトロンビン、またはアミノ酸配列XKX切断部位を有するアクロモバクター・リティカス(Acharombacter lyticus)であってよい。
発現ベクターを導入する宿主細胞は、ペプチドまたは全長タンパク質の発現が可能であり、かつ好ましくは無脊椎動物(昆虫)細胞または脊椎動物細胞、例えばアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞または哺乳類細胞、とくに昆虫細胞および哺乳類細胞などの真核細胞である、任意の細胞であってよい。適切な哺乳類細胞株の例には、HEK293(ATCC CRL-1573)、COS(ATCC CRL-1650)、BHK(ATCC CRL-1632、ATCC CCL-10)、および/またはCHO(ATCC CCL-61)細胞株が含まれるが、それらに限定されるわけではない。哺乳類細胞をトランスフェクトする方法、および細胞内に導入されたDNA配列を発現させる方法は、例えばKaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159, 1982, pp. 601-621;Southern and Berg, 1982, J. Mol. Appl. Genet. 1:327-341;Loyter et al., 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:422-426;Wigler et al., 1978, Cell 14:725;Corsaro and Pearson, 1981, Somatic Cell Genetics 7, p. 603;Graham and van der Eb, 1973, Virol. 52:456;およびNeumann et al., 1982, EMBO J. 1:841-845に記載されている。
代替的な態様において、真菌細胞(酵母細胞を含めた)を宿主細胞として用いてよい。適切な酵母細胞の非限定的な例には、サッカロミセス(Saccharomyces)属またはシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、とくにサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の系統の細胞が含まれる。他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属またはニューロスポラ(Neurospora)属、とくにコウジカビ(Aspergillus oryzae)またはクロコウジカビ(Aspergillus niger)の系統の細胞である。タンパク質の発現のためのアスペルギルス属の使用は、例えばEP 238 023に記載されている。
細胞を培養するために用いられる培地は、適切な補給物を含有している血清含有培地もしくは無血清培地など、哺乳類細胞を成長させるのに適した任意の従来的培地、または昆虫、酵母、もしくは真菌細胞を成長させるための適切な培地であってよい。適切な培地は、商業的供給業者から入手可能である、または(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログにおいて)公開されたレシピに従って調製されてよい。
細胞によって組換えにより生成されたペプチドまたは全長タンパク質を、次いで、遠心分離もしくは濾過によって培地から宿主細胞を分離する工程、塩、例えば硫酸アンモニウムを用いて上清または濾液のタンパク性成分を沈殿させる工程、および/または多様なクロマトグラフィー手順、例えばHPLC、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等のいずれかによる精製を含めた従来的手順によって、培養培地から回収してよい。
他の態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)を、合成による生成を用いて生成する。
ペプチドの合成による生成のための方法は、当技術分野において周知である。合成ペプチドを生成するための詳細な説明ならびに実践的なアドバイスは、例えばSynthetic Peptides: A User's Guide (Advances in Molecular Biology), Grant G. A. ed., Oxford University Press, 2002、およびPharmaceutical Formulation: Development of Peptides and Proteins, Frokjaer and Hovgaard eds., Taylor and Francis, 1999に見出され得る。
いくつかの態様において、Fmoc化学を用いることによってかつAcm保護システインを用いてペプチドを合成してよい。逆相HPLCによる精製後、ペプチドをさらに処理して、例えば環状またはC末端もしくはN末端修飾されたアイソフォームを得てもよい。環化および末端修飾のための方法は、当技術分野において周知であり、かつ上記で引用したマニュアルに詳細に記載されている。
他の態様において、合成によって、とくに配列補助的ペプチド合成(Sequence Assisted Peptide Synthesis)(SAPS)法によってペプチドを生成してよい。
ある特定の態様において、N-a-アミノ保護基として9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)またはtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、および側鎖官能基に対する適切な一般的保護基を用いた完全自動化ペプチド合成装置で、濾過のためのポリプロピレンフィルターを装着したポリエチレン管においてバッチ式で、またはポリアミド固相法の連続フロー型(Dryland, A. and Sheppard. R. C., (1986) J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 125-137)のいずれかでペプチドを合成してよい。
VI. 本発明のペプチドの精製
本発明のペプチドを、硫酸アンモニウムなどの物質を用いた選択的沈殿;カラムクロマトグラフィー、免疫精製法、およびその他を含めた標準的技術(例えば、Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982);米国特許第4,673,641号;上記のAusubel et al.;および上記のSambrook et al.を参照されたい)によって、かなりの純度まで精製してよい。
組換えペプチドを精製する場合、多数の手順を採用することができる。例えば、確立された分子接着特性を有するタンパク質を組換えペプチドに可逆的に融合させることができる。適切なリガンドを用いて、ペプチドを精製カラムに選択的に吸着させ、次いで比較的純粋な形態でカラムから解放させることができる。次いで、融合させたタンパク質を酵素活性によって取り除く。最後に、免疫アフィニティーカラムを用いてペプチドを精製することができる。
組換え細菌からのタンパク質の精製、ならびにタンパク質を精製するための標準的タンパク質分離技術(例えば、溶解度分画、サイズ示差的濾過、カラムクロマトグラフィー等)は、当技術分野において周知であり、かつ例えば米国特許出願公開第2009/0019557号に記載されており、その開示内容はあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
VII. 投与および薬学的組成物
ある特定の局面において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)を哺乳類対象(例えば、ヒト)に直接投与する。投与は、治療される対象となる組織と化合物を接触させて導入するために通常用いられる経路のいずれかによるものであり、かつ当業者に周知である。複数の経路を用いて特定の組成物を投与することができるが、特定の経路が、しばしば、別の経路よりもより即時のかつより有効な反応を提供し得る。
いくつかの態様において、本発明のペプチド(例えば、NCAMペプチド模倣体)を、神経学的状態またはその症状を治療するのに有用な他の薬物と組み合わせることができる。いくつかの態様において、本発明の薬学的組成物は、例えば米国特許第6,297,262号;同第6,284,760号;同第6,284,771号;同第6,232,326号;同第6, 187,752号;同第6,117,890号;同第6,239,162号、または同第6,166,008号に記載されているものなど、神経学的状態またはその症状に有用な少なくとも1種のさらなる化合物と組み合わせたNCAMペプチド模倣体を含んでよい。
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含んでよい。ある特定の局面において、薬学的に許容される担体は、投与されている特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために用いられる特定の方法によって、部分的に決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の多種多様の適切な製剤が存在する(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18TH ED., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)を参照されたい)。
本発明の薬学的組成物を、投薬製剤に適合する様式で、かつ治療上有効であると考えられるそのような量で投与する。投与される対象となる分量は、例えば対象の年齢、体重、身体活動、および食事、治療される対象となる心的障害、ならびに心的障害のステージまたは重症度を含めた多様な要因に依存する。ある特定の態様において、用量のサイズは、特定の対象における特定の化合物の投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定され得る。概して、本発明の化合物の用量当量は、典型的な対象に対して約1ng/kg〜約10mg/kgである。
ある特定の態様において、用量は、好ましくは正確な投薬量の簡易投与に適した単位剤形で、例えば錠剤、丸薬、小球、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、乳濁液、坐薬、停留浣腸、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、エアロゾル、泡など、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体の剤形の形態をとってよい。
本発明の実践において、組成物を、例えば経口的に、経鼻的に、吸入によって、局所的に、静脈内に、皮下に、腹腔内に、髄腔内に、および/または脳室内に投与することができる。
本明細書において使用する場合、「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳類に対して、単位として用いられる投薬量として適した物理的に別々の単位を指し、各単位は、適切な薬学的賦形剤と関連して所望の発現、忍容性、および/または治療効果をもたらすように算出された所定の分量を含有する(例えば、アンプル)。加えて、より希薄な単位剤形を次いでもたらし得る、より濃縮された剤形を調製してよい。ゆえに、より濃縮された剤形は、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍、またはそれ以上の倍率を実質的に超える量のペプチドを含有する。
そのような剤形を調製するための方法は、当業者に公知である(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18TH ED., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)を参照されたい)。剤形は、典型的には、従来の薬学的担体または賦形剤を含み、かつ薬効のある他の作用物質、担体、アジュバント、希釈剤、組織浸透増強剤、可溶化剤等をさらに含んでよい。当技術分野において周知の方法によって、適切な賦形剤を、特定の剤形および投与の経路に合わせることができる(例えば、上記のREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCESを参照されたい)。
適切な賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、生理食塩水、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカーボポール、例えばカーボポール941、カーボポール980、カーボポール981などのポリアクリル酸が含まれるが、それらに限定されるわけではない。剤形は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの平滑剤;湿潤剤;乳化剤;懸濁化剤;メチル-、エチル-、およびプロピル-ヒドロキシ-ベンゾエート(すなわち、パラベン)などの保存剤;無機および有機の酸および塩基などのpH調整剤;甘味剤;ならびに香味剤をさらに含むことができる。剤形は、生分解性ポリマービーズ、デキストラン、およびシクロデキストリン包接錯体も含んでよい。
経口投与に関して、治療有効用量は、錠剤、カプセル、乳濁液、懸濁液、溶液、シロップ、スプレー、ロゼンジ、粉末、および持続放出性製剤の形態であってよい。経口投与のための適切な賦形剤には、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれる。
いくつかの態様において、治療有効用量は、丸薬、錠剤、またはカプセルの形態をとり、ゆえに剤形は、本明細書において記載されるペプチドとともに、以下のうちのいずれかを含有することができる:ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウム等の希釈剤;デンプンまたはその誘導体などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ならびにデンプン、アカシアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース、およびそれらの誘導体などの結合剤。ペプチドを、例えばポリエチレングリコール(PEG)担体中に配置された坐薬内に製剤化することもできる。
ペプチドおよび任意で1種または複数種の薬学的に許容されるアジュバントを、例えば水性生理食塩水(例えば、0.9% w/vの塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの担体中に溶解するかまたは分散させることによって、液体剤形を調製して、例えば経口投与、局所投与、または静脈内投与のための溶液または懸濁液を形成することができる。ペプチドを停留浣腸内に製剤化することもできる。
局所投与に関して、治療有効用量は、乳濁液、ローション、ゲル、泡、クリーム、ゼリー、溶液、懸濁液、軟膏、および経皮パッチの形態であってよい。吸入による投与に関して、ペプチドを、乾燥粉末としてまたは液体形態で、噴霧器を介して送達することができる。エアロゾル製剤を、ジクロロジフルオロメタンなどの許容される加圧推進剤内に入れることができる。非経口投与に関して、治療有効用量は、無菌の注射液および無菌のパッケージされた粉末の形態であってよい。好ましくは、注射液は、約4.5〜約7.5のpHで製剤化される。
治療有効用量を凍結乾燥形態で提供することもできる。そのような剤形は、投与前の再構成のための緩衝剤、例えば重炭酸塩を含んでよく、または緩衝剤は、例えば水による再構成のために、凍結乾燥剤形中に含まれてよい。凍結乾燥剤形は、適切な血管収縮剤、例えばエピネフリンをさらに含んでよい。凍結乾燥剤形を、再構成のための緩衝剤と組み合わせて任意でパッケージされたシリンジで提供することができ、それによって、再構成された剤形を対象に即時に投与することができる。
VIII. 実施例
本明細書において記載される実施例および態様は、単に例証目的のためのものであること、ならびに、それらを踏まえた様々な改変または変化が当業者に示唆されると考えられ、かつ本出願の精神および権限内にならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。
実施例1. NCAMペプチド模倣体を用いた薬理学的調査
本実施例は、動物モデルシステムにおける不安症およびうつ病に対する、FGLm、FGLL、FGLs、およびプラネキシンなどのNCAMペプチド模倣体の投与の効果を実証する。
FGL m
NCAMペプチド模倣体FGLm(5μg)またはビヒクルを、成体ラットに脳室内(i.c.v.)投与した。図1は、強制水泳試験(FST)によって測定される場合、FGLmの投与がうつ病を減少させたこと、例えば抗うつ様効果をもたらしたことを示している。とくに、FGLmを受けている動物は、ビヒクル対照と比較して、有意により長い水泳およびより短い不動を呈した。
FGL L
NCAMペプチド模倣体FGLL(1mg/kg、5mg/kg、または10mg/kg)または対照を、成体ラットに皮下(s.c.)投与した。不安症様行動を測定する高架式十字迷路(EPM)のために、試験の30分前に動物に注射した。うつ病様行動を測定するFSTのために、1日目の1時間および5時間後、ならびに2日目の30分前に動物に注射した。図2は、FGLLについての用量反応曲線を示しており、より高用量のペプチド模倣体は、動物がEPMの「閉鎖した」部分で過ごす時間を有意に増大させた。そのように、動物モデルシステムにおけるEPMによって測定されるように、FGLLの投与は不安症を増大させ、例えば不安惹起効果をもたらした。
また、FGLL(10mg/kg、s.c.)または対照を、16日間24時間おきに、成体ラットに注射によって投与した。動物を、13日目に移動について試験し、14日目にEPMで不安症様行動について試験し、15日目および16日目にFSTでうつ病様行動について試験し、かつ17日目に屠殺した。図3は、FSTによって測定されるように、FGLL投与がうつ病を減少させたこと、例えば抗うつ様効果をもたらしたことを例証している。とくに、FGLLを受けている動物は、対照と比較した場合、有意により長いよじ登りおよびより短い不動を呈した。
FGL s
NCAMペプチド模倣体FGLsまたはビヒクル(「VEH」)を、成体ラットに皮下(s.c.)投与し、かつうつ病様行動に対する効果を強制水泳試験(FST)によって測定した。動物は、1日目の水泳の1時間後に開始し、1時間離された10mg/kg FGLsまたはビヒクルの5回の注射を受けた。次いで、動物は、2日目の試験の30分前に10mg/kg FGLsまたはビヒクルの1回の注射を与えられた。図4は、FSTによって測定されるように、FGLsの投与がうつ病を減少させたこと、例えば抗うつ様効果をもたらしたことを示している。とくに、FGLsを受けている動物は、ビヒクル対照と比較して、有意により長い水泳(p<0.05)およびより短い不動(p<0.005)を呈した。これらの結果は、FGLs投与が、うつ病様行動に対して統計的に有意な効果を有したことを例証している。
また、FGLsまたはビヒクルを、浸透圧ミニポンプによって成体ラットに皮下投与し、かつうつ病に対する効果を強制水泳試験(FST)によって測定した。動物は、合計12mg/日のFGLsを受けた。動物を、16日目にFSTにおいてうつ病様行動について試験した。図5に示されるように、FSTによって測定されるように、FGLsの投与はうつ病を減少させ、例えば抗うつ様効果をもたらした。とくに、FGLsを受けている動物は、ビヒクル対照と比較して、有意により短い不動(p<0.05)を呈した。これらの結果は、FGLs投与が、うつ病に対して統計的に有意な効果を有したことを示している。
プラネキシン
NCAMペプチド模倣体プラネキシン(10mg/kg)またはビヒクル対照を、成体ラットに腹腔内に(i.p.)急性投与した。図6は、プラネキシンの急性投与により、動物がEPMの「閉鎖した」部分で過ごす時間が有意に増大したことを示している。そのように、動物モデルシステムにおけるEPMによって測定されるように、プラネキシンの急性投与は不安症を増大させ、例えば不安惹起効果をもたらした。
またプラネキシン(10mg/kg、i.p.)または対照を、奇数日に48時間おきに、成体ラットに注射によって慢性投与した。動物を、13日目に移動について試験し、14日目にEPMで不安症様行動について試験し、15日目および16日目にFSTでうつ病様行動について試験し、かつ17日目に屠殺した。図7は、プラネキシンの慢性投与により、動物がEPMの「閉鎖した」部分で過ごす時間が有意に減少し、かつ動物がEPMの「中心」で過ごす時間が有意に増大したことを例証している。そのように、動物モデルシステムにおけるEPMによって測定されるように、プラネキシンの慢性投与は不安症を減少させ、例えば抗不安効果をもたらした。
本明細書において引用されるすべての刊行物および特許出願は、あたかもそれぞれ個別の刊行物または特許出願が、参照により組み入れられることを具体的かつ個別に表記されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。理解の明瞭性のために、先行発明が例証および例としていくらか詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、ある特定の変化および改変がそこになされ得ることは、本発明の教示に照らして当業者に容易に明らかであると考えられる。

Claims (41)

  1. 治療有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、該対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を治療および/または緩和するための方法。
  2. 前記対象が神経学的状態に罹患している、請求項1に記載の方法。
  3. 前記神経学的状態が精神障害を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記精神障害が気分障害または不安症を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記気分障害がうつ病または双極性障害を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記NCAMペプチド模倣体が、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法:
    (Zn−Lm)q (I)
    式中、Zは、アミノ酸配列
    Figure 2015520191
    、またはそれらの変種を含む個別に選択されたペプチドであり;Lは、置換されていてもよい親油性置換基、置換されていてもよいリンカー、および置換されていてもよいスペーサーからなる群より個別に選択され;nは、約1〜6の個別に選択された整数であり;mは、約0〜6の個別に選択された整数であり;かつqは、約1〜4の個別に選択された整数である。
  7. Zが独立して、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記化合物が単量体または多量体である、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記多量体が二量体、四量体、またはデンドリマーであり、かつZが、同じペプチドまたは異なるペプチドである、請求項8に記載の方法。
  10. Zが独立して、
    Figure 2015520191
    、およびそれらの変種からなる群より選択される、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記化合物が、以下の構造:
    Figure 2015520191
    を有する、請求項6に記載の方法。
  12. 前記化合物が単量体であり、かつZがアミノ酸配列
    Figure 2015520191
    からなる、請求項6に記載の方法。
  13. 前記化合物が、以下の構造:
    Figure 2015520191
    を有する、請求項6に記載の方法。
  14. 前記化合物が、3個のリジンを含有する骨格に結合したアミノ酸配列DVRRGIKKTD(「プラネキシン(plannexin)」)の4コピーを有するデンドリマーである、請求項6に記載の方法。
  15. 前記NCAMペプチド模倣体を薬学的に許容される担体とともに投与する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記NCAMペプチド模倣体を、経口的経路、経鼻的経路、局所的経路、皮下経路、静脈内経路、腹腔内経路、髄腔内経路、脳室内経路、および吸入による経路より選択される経路を介して投与する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記NCAMペプチド模倣体の治療有効量が、1日あたり約0.001mg/kg〜約1,000mg/kgの用量を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記NCAMペプチド模倣体が、投与から約1週間またはそれ以上にわたり、前記対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を実質的に緩和する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記NCAMペプチド模倣体が、投与から約1日〜約14日間以内に、前記対象におけるうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を実質的に緩和する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記NCAMペプチド模倣体の治療有効量が、前記対象における不安症を減少させる(抗不安効果)のに十分である量である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記NCAMペプチド模倣体の治療有効量が、前記対象におけるうつ病を減少させる(抗うつ効果)のに十分である量である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 治療有効量のNCAMペプチド模倣体を対象に投与する工程を含む、該対象における神経学的状態を治療するための方法。
  23. 前記神経学的状態が精神障害を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記精神障害が気分障害または不安症を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記気分障害がうつ病または双極性障害を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記NCAMペプチド模倣体が、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法:
    (Zn−Lm)q (I)
    式中、Zは、アミノ酸配列
    Figure 2015520191
    、またはそれらの変種を含む個別に選択されたペプチドであり;Lは、置換されていてもよい親油性置換基、置換されていてもよいリンカー、および置換されていてもよいスペーサーからなる群より個別に選択され;nは、約1〜6の個別に選択された整数であり;mは、約0〜6の個別に選択された整数であり;かつqは、約1〜4の個別に選択された整数である。
  27. Zが独立して、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記化合物が単量体または多量体である、請求項26または27に記載の方法。
  29. 前記多量体が二量体、四量体、またはデンドリマーであり、かつZが、同じペプチドまたは異なるペプチドである、請求項28に記載の方法。
  30. Zが独立して、
    Figure 2015520191
    、およびそれらの変種からなる群より選択される、請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記化合物が、以下の構造:
    Figure 2015520191
    を有する、請求項26に記載の方法。
  32. 前記化合物が単量体であり、かつZがアミノ酸配列
    Figure 2015520191
    からなる、請求項26に記載の方法。
  33. 前記化合物が、以下の構造:
    Figure 2015520191
    を有する、請求項26に記載の方法。
  34. 前記化合物が、3個のリジンを含有する骨格に結合したアミノ酸配列DVRRGIKKTD(「プラネキシン」)の4コピーを有するデンドリマーである、請求項26に記載の方法。
  35. 前記NCAMペプチド模倣体を薬学的に許容される担体とともに投与する、請求項22〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記NCAMペプチド模倣体を、経口的経路、経鼻的経路、局所的経路、皮下経路、静脈内経路、腹腔内経路、髄腔内経路、脳室内経路、および吸入による経路より選択される経路を介して投与する、請求項22〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記NCAMペプチド模倣体の治療有効量が、1日あたり約0.001mg/kg〜約1,000mg/kgの用量を含む、請求項22〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記NCAMペプチド模倣体が、投与から約1週間またはそれ以上にわたり、前記神経学的状態に関連したうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を実質的に緩和する、請求項22〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記NCAMペプチド模倣体が、投与から約1日〜約14日間以内に、前記神経学的状態に関連したうつ病および/または不安症の症状の1つまたは複数を実質的に緩和する、請求項22〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記NCAMペプチド模倣体の治療有効量が、前記対象における不安症を減少させる(抗不安効果)のに十分である量である、請求項22〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記NCAMペプチド模倣体の治療有効量が、前記対象におけるうつ病を減少させる(抗うつ効果)のに十分である量である、請求項22〜40のいずれか一項に記載の方法。
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