本発明は、タイヤトレッドに関し、特に溝を有するトレッドに関し、かかる溝は、運転中、これら溝内で共鳴する空気によって生じる騒音(ノイズ)を減少させる閉鎖装置を有する。
走行中のタイヤが接触パッチ内で路面に接触すると、空気が各溝、特に全体として円周方向の向きの溝内で循環するようになることが知られている。各溝は、路面と一緒になって、2つの開口した端を有する管を形成する。
この管内における空気は、共鳴振動数が管の2つの端相互間の長さ及びかくして路面と接触状態にある溝の長さで決まる振動空気柱を形成する。
溝内における空気のこの共鳴は、これらタイヤを履いた車両に関して車両内外で騒音を発生させるという結果をもたらす。これら車内外の騒音は、通常、1kHz又はその近傍の振動数に相当しており、この振動数は、人の耳にとって特に敏感な又は耳障りな振動数である。
かかる共鳴騒音を減少させるため、各円周方向に向けられた又は全体として円周方向に向けられた溝内に、ゴム配合物で作られた複数個の比較的薄い可撓性ブレード又はメンブレンを配置することが慣例であり、各可撓性ブレード又はメンブレンは、閉鎖装置を形成するために溝の断面全体又はこの断面の少なくとも大きな割合を占める。
各可撓性ブレードは、溝の底部から延びるのが良く又は溝を画定する壁のうちの少なくとも一方に固定されるのが良い。比較的薄いという表現は、本明細書においては、各可撓性ブレードが特に雨天における運転の際、液体の流れの作用を受けて溝の断面を開くために撓むことができるということを意味している。
これら可撓性ブレードにより、各円周方向溝内の空気の柱(気柱)の長さは、接触パッチ内における溝の全長と比較して減少し、これにより、共鳴振動数の変化が生じる。振動数は、人の耳がそれほど敏感ではない共鳴振動数の値に向かってシフトされる。
当然のことながら、水で覆われた路面上を走行しているときにおける排水機能を維持するため、このメンブレンは、水の圧力の作用を受けて適切に撓むことができ、かくして液体の十分な流れを可能にするのに適した仕方で溝の断面を開くことができるということが必要である。
定義:
ブロックは、トレッド上に形成された隆起要素であり、この要素は、ボイド(空所)又は溝によって画定され、この要素は、側壁及び走行中、路面に接触するようになった接触フェースを有する。接触フェースは、共通重心又はこの接触フェースの重心として定められた幾何学的中心を有する。
リブは、トレッド上に形成された隆起要素であり、この要素は、円周方向に延びると共にタイヤの周囲全体を構成している。リブは、2つの側壁及び接触フェースを有し、接触フェースは、運転中、路面に接触するようになっている。
本明細書で言及する半径方向は、タイヤの回転軸線に垂直な方向を意味している(この方向は、トレッドの厚さの方向に一致している)。
横方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行な方向を意味している。
円周方向は、中心が回転軸線上に位置する任意の円の接線の方向を意味している。この方向は、軸方向と半径方向の両方向に垂直である。
軸方向外方という表現は、タイヤの内部キャビティの外側の方に差し向けられた方向を意味している。
赤道面は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つタイヤの軸方向最も外側の箇所を通る平面であり、この赤道面は、タイヤを2つの互いに実質的に等しい部分に事実上分割する。
タイヤの通常の走行条件又は使用条件は、ETRTO規格によって定められた条件であり、これら使用条件は、その荷重定格及び速度定格によって指示されたタイヤの積載能力に対応した基準インフレーション圧力を指定している。これら使用条件は、「公称条件」又は「通常条件」とも呼ばれる場合がある。
切れ目は、総称として、溝かサイプかいずれかを意味し、切れ目は、互いに向かい合っており且つゼロではない距離(「切れ目の幅」とも呼ばれる)だけ互いに距離を置いて位置する材料の壁によって画定された空間に対応している。サイプを溝から区別するものは、正確に言えば、この距離であり、サイプの場合、この距離は、このサイプを画定する対向した壁が、少なくともタイヤが路面に接触状態にある接触パッチにサイプが入ったときに少なくとも部分的に互いに接触することができるようにするのに適している。溝の場合、この溝の壁は、通常の走行条件下では互いに接触することはない。
トレッドのトレッド表面(「踏み面」と呼ばれる場合がある)は、かかるトレッドを備えたタイヤの走行中、路面に接触するトレッドの表面を意味している。
仏国特許第2715891号明細書に記載されているように溝を画定する壁のうちの1つに固定された可撓性ブレードの場合、これらブレードを備えたタイヤの成形及び脱型の際に遭遇する1つの問題がある。
本願の出願人は、本願の出願日の時点ではまだ公開されていない出願において、溝を画定する壁のうちの1つに固定されたブレードで作られた公知の装置と比較して成形及び脱型が容易な溝閉鎖装置を記載した。この先行技術によれば、そして本願に添付の図1で理解できるように、タイヤ用のトレッドが提供され、このトレッドは、路面に接触するようになったトレッド表面を有し、トレッド表面は、互いに向かい合った2つの壁20,30によって画定された幅W及び深さPの少なくとも1本の溝1を有し、これら壁は、溝底部10によって互いに接合され、少なくとも1本の溝は、複数個の閉鎖装置を有し、閉鎖装置は、例えば、タイヤが路面と接触状態にある接触パッチを溝が通過しているときに溝を少なくとも部分的に閉鎖する2つの可撓性ブレード4,4′で形成され、各可撓性ブレードは、この可撓性ブレードが液体の循環作用下において撓むことができるようにするのに適した厚さEを有する。この可撓性ブレードは、溝を画定する壁のうちの一方に固定される。
厚さEの各可撓性ブレードは、溝の底部10に向いた底壁40、溝の他方の壁に向いた端壁41、路面に接触するようになった接触壁42及びブレードの厚さEに等しい距離だけ互いに隔てられた側壁によって境界付けられている。先行技術の教示によるトレッドは、ブレードの底壁が連結部分と呼ばれる第1の部分401及びブレードの端壁までの第1の部分の延長部としての第2の部分402を有するようなものであり、連結部分は、ブレードの底壁の第2の部分に対してトレッドの外側に向かって(即ち、トレッド表面に向かって)ずらされている。このようにして切欠きがブレードの底壁に形成され、この切欠きは、ブレードが取り付けられる壁の近くに形成され、この切欠きは、溝を境界付ける側壁に結合される。この切欠きの存在は、脱型を容易にすることに加えて、走行時、小さなヒンジを生じさせることによってブレードの可撓性を増大させる。可撓性のこの増大は、切欠きの高さの関数と切欠きの幅の関数の組み合わせである。切欠きの高さは、溝の深さの方向に測定される。切欠きの幅は、溝の幅Wの方向に測定される。
この先行技術との関連において、「ブレードを支持した壁」という表現は、溝を画定する側壁のうちの一方を意味していると解することが可能である。
この先行技術は、脱型労力を軽減することができるが、溝の断面は、各ブレードに設けられた切欠きの存在によりこの閉鎖装置ではもはや完全には閉鎖されないように思われる。その結果、ノイズ減少性能は、それにより、低下する。というのは、共鳴管がもはや完全には閉じられないからである。
本発明は、この先行技術の教示の改良であり、溝を閉鎖する閉鎖装置を形成する可撓性ブレードの成形及び脱型を容易にすることと閉鎖装置が形成されている各溝の断面の考えられる限り最も完全な閉鎖との両方を得ようとするものである。
この目的のため、本発明の要旨は、タイヤ用のトレッドであって、トレッドは、路面に接触するようになったトレッド表面を有し、トレッド表面は、互いに向かい合った2つの壁によって画定された幅W及び深さPの少なくとも1本の溝を有し、壁は、溝底部によって互いに接合され、少なくとも1本の溝は、複数個の閉鎖装置を有し、各閉鎖装置は、タイヤが路面と接触状態にある接触パッチを溝が通過しているときに溝を少なくとも部分的に閉鎖する少なくとも1つの可撓性ブレードを有し、各可撓性ブレードは、この可撓性ブレードが溝内における液体の循環作用下において撓むことができるようにするのに適した厚さEを有し、少なくとも1つの可撓性ブレードは、溝を画定する壁に固定されているトレッドにある。厚さEの各可撓性ブレードは、溝の底部に向いた底壁、溝の他方の壁に向いた端壁、路面に接触するようになった接触壁及びブレードの厚さEに等しい距離だけ互いに隔てられた側壁によって境界付けられ、各可撓性ブレードの底壁は、可撓性ブレードがそれぞれ取り付けられた壁の付近に位置する切欠きを有する。
このトレッドは、各可撓性ブレードがブレードを支持した壁上に形成されている収容部内に溝を画定する壁のうちの1つに連結され、各収容部がブレードの少なくとも高さ全体にわたって延びると共に閉鎖装置の各ブレードの底壁に形成された切欠きをこの収容部全体中に含むのに適していて溝を画定する壁に対して直角に測定した深さを有することを特徴としている。
本発明との関連において、「ブレードを支持した壁」という表現は、本明細書においては、閉鎖装置の可撓性ブレードがトレッドの成形時点で連結される、溝を画定する側壁のうちの一方を意味していると解されるべきである。可撓性ブレードの高さは、トレッド表面にもっとも近いところに位置するブレード上の箇所と溝の底部の最も近くに位置するブレード上の箇所との間で測定されたこのブレードの長さを意味している。
切欠きが収容部内に完全に含まれるということにより、運転中における空気共鳴騒音の減少を行おうとする溝の断面の完全な覆いが保証される。
切欠きの高さは、溝の深さ方向に測定される。切欠きの幅は、溝の幅方向に測定される。
この閉鎖装置は、有利には、溝が円周方向に向けられているにせよ横方向に向けられているにせよ斜めに向けられているにせよいずれにせよ、任意形式の溝上に具体化できる。
有利には、各可撓性ブレードの底壁が切欠きの連続部をなす第2の部分を有する場合、ブレードの底壁の第2の部分の輪郭は、溝の底部の輪郭に平行であり、この第2の部分は、この底部のできるだけ近くに位置している。
本発明の一変形形態では、各可撓性ブレードの収容部は、初期状態におけるトレッド表面と溝の底部との間に延びるよう設計されている。高い有効性を得るためには、各可撓性ブレードを新品のままの状態のトレッド表面まで延ばし又はそれどころか各可撓性ブレードがトレッド表面を僅かに越えて延びるようにすることが懸命である。
有利には、溝の底部は、ブレードの底壁を挿入することができる収容部を更に有する。当然のことながら、各ブレードがほんの僅かな高さにわたって溝底部内に成形されたこの収容部内に入るような構成にしなければならず、その理由は、水が溝に沿って流れることができるようにするために濡れた路面上を運転しているときに容易な離脱を可能にすることにある。これら条件下において、ゴム状材料の弾性の結果として、ブレードの底壁と溝の底部との間に働く僅かな大きさの摩擦力が与えられている場合、初期位置への戻りも又可能である。この変形形態では、溝を完全に閉じることができる。
溝の壁のうちの少なくとも1つがトレッド表面に垂直な方向に対してゼロ度とは異なる角度をなす場合、閉鎖装置の可撓性ブレードが収納固定された各収容部が閉鎖装置が形成されている壁に関して測定して、溝の深さの方向に変化するのがよい深さを有することが有利である。この深さは、初期状態におけるトレッド表面に向かう方向に減少することが有利である。このように、収容部の底部は、トレッド表面に実質的に垂直な線を辿る。かくして、アンダーカットを備えた壁により画定される溝の場合(この場合、溝の幅は、深さにつれて増大する)、収容部の深さは、トレッド表面から溝の底部に向かって減少することになる。
溝の断面を閉鎖するちょうど1つのブレードを有する閉鎖装置の場合、可撓性ブレードの端壁を収容することができるよう可撓性ブレードを支持した壁と反対側の壁に収容部を設けることも又懸命である。溝の底部に設けられた収容部に関して説明した特徴は、この場合に利用される。このように、特に各可撓性ブレードがトレッド表面まで延び又はそれどころかこれを僅かに越えて延びる場合、溝の断面を完全に閉鎖することができる。
本発明の特徴及び他の利点は、非限定的な例により本発明の内容の実施形態の取り得る形態を示す添付の図面を参照して以下に与えられる説明から明らかになろう。
溝閉鎖装置を形成する2つの可撓性ブレードを有する先行技術の装置の形態を示す図である。
図1に示された閉鎖装置に類似した本発明の閉鎖装置の一形態を示す図である。
本発明のトレッドの第2の形態を示す図であり、この形態は、壁がトレッド表面と90°とは著しく異なる角度をなす溝の場合に適していることを示す図である。
図3の第2の形態に一致したトレッド表面の図である。
第3の形態を示す図であり、可撓性ブレードの端壁及び底壁が適当な収容部内に収容されている状態を示す図である。
本明細書に添付された図中、同一の参照符号は、同じ種類が構造的であれ又は機能的であれいずれにせよ同一種類の要素をこれら参照符号が示す場合、本発明の変形形態を説明するために用いられる場合がある。
図1は、サイズ225/55R17のタイヤに設けられた本発明のトレッドの部分図を断面で示している。この図は、トレッドの2つの隆起要素2,3によって境界付けられた溝1を示し、この溝1は、実質的に、トレッドが取り付けられたタイヤの円周方向に延びている。幅W(新品状態においてトレッド表面上で測定される)が13mmに等しく、深さPが7.5mmに等しいこの溝1は、互いに向かい合った第1の壁20と第2の壁30及びこれら壁を互いに接合している溝底部10によって境界付けられている。トレッドは、走行中、路面と接触関係をなすようになったトレッド表面100を有する。以下の説明において、溝の底壁は、トレッドが国の規則によって定められた法上の限度まで摩耗した後に残っている溝の部分に対応している。
この溝1は、溝内に成形により設けられていてこの溝の断面を閉鎖するようになっている複数個の可撓性ブレードによって形成された騒音抑制(anti-noise:アンチノイズ)装置を有する。各騒音抑制装置は、各々が溝1の断面の実質的に半分を占めるブレード4,4′から成り、これらブレード4,4′は、互いの延長方向に位置している。各ブレード4,4′は、それぞれの壁20,30から突き出ている。
僅かな厚さ(即ち、この場合、0.6mmに等しい厚さ)の第1のブレード4が第1の壁20中に成形により設けられ、その結果、第1のブレードは、水が濡れた路面上における走行時に溝1に沿って流れることができるようにすると同時に乾いた路面上における走行時に空気の循環に対する障害物を形成することを目的として、この第1のブレード4とこの第1のブレードが連結された壁20との間の連結部にほぼ沿って軸線回りに容易に撓むことができるようになっている。
この第1のブレード4は、溝の底部10に向いた底壁40、溝1の第2の壁30に向いた端壁41、路面に接触するようになった接触壁42及びブレードの厚さに等しい距離だけ隔てられた側壁43,44によって境界付けられている。
第1のブレード4の底壁40は、このブレードを支持した壁20につながっている連結部分401と呼ばれる第1の部分を有し、この連結部分401は、半円形の輪郭を有し、その曲率半径は、溝の底部10の側部と同一の側に位置すると共にその曲率の直径Dは、この場合、2mmに等しく、即ち溝の幅Wの34%に等しい。
「溝の底部10と同一の側に位置する」という表現は、連結部分401がブレードに一種の切欠きを形成していることを意味するものと理解されるべきであり、この切欠きの凹みは、溝1の底部10の方へ向いている。さらに、連結部分401の延長部として、ブレード4の端部分41まで実質的に直線状の追加の部分402が設けられている。
連結部分401と追加の部分402との間の接合部は、図1で見て、変曲点Iのところに生じる。この連結部分401は、その他端が、新品状態におけるトレッド表面から距離Dkのところに位置した箇所Kのところの側壁20で終端し、この距離Dkは、タイヤを車両上で交換しなければならなくなる前までの走行後において摩耗可能な材料の全厚よりも大きい(この場合、Dkは、7.3mmに等しい)。
注目されるように、全体として、切欠きを形成する連結部分401の箇所の全て―特に、この連結部分401とブレード4を支持した壁20との連結箇所K及びブレードの底壁の追加の部分402と共通の箇所Iを除く―新品状態のトレッド表面100に対する追加の部分の箇所よりも新品状態におけるトレッド表面100の近くに位置する。
この第1のブレード4と組み合わせて、同一の幾何学的形状の第2のブレード4′が形成され、この第2のブレード4′は、溝の断面のほぼ全てを塞ぐよう第1の壁4に向いて位置した第2の壁30に連結されている。図示のやり方では、第1のブレード4と第2のブレード4′は、トレッドを成形した後、互いに向かい合い且つ互いに接触関係にあるこれらのそれぞれの端部分を有するように形成される。
切欠きが各ブレードに設けられていることにより、溝内の共鳴空気騒音を減衰させる閉鎖装置を形成する複数個のブレードを成形することが容易である。
さらに、当業者には想像できるように、トレッドがトレッド表面の最も近くに位置する連結部分の箇所に達するほど摩耗した場合、ブレードは、トレッドから分離し、かくして、溝の残りの断面全体を開き、このことは、液体が残りの溝に沿って流れることができるという観点から見て有利である。
図2に示された形態では、騒音抑制(アンチノイズ)装置は、図1の裏付けにより説明した装置に類似した仕方で、複数の対をなす可撓性ブレード4,4′で構成されており、第1のブレード4は、溝1を画定する壁20に固定され、第2のブレード4′は、反対側の壁30に固定されている。この図2の参照符号は、図1の場合と同一の部分を示している。ブレード4,4′の幾何学的特徴は、これらブレード4,4′の各々がそれぞれの壁20,30に形成された収容部21,31内に溝1を画定する壁のうちの1つに連結されていることを除き、図1に示された形態のブレードの幾何学的特徴と実質的に同一である。
溝を画定する壁に実質的に直角に測定した各収容部の深さは、各切欠き401,401′が収容部内に完全に位置するのに十分である。したがって、第1の壁20の収容部の深さは、切欠き401の直径Dに少なくとも等しい。各収容部の幅は、厚さEのブレードをこの収容部内に固定することができるようにするのに十分である。有利には、各収容部の形状は、この収容部内に固定されたブレードの容易な撓みを可能にするのに適しているのがよい。
さらに、各ブレード4,4′の底壁40,40′は、これらブレード4,4′が溝1の断面(この場合、0.5mmのオーダのものである)をできるだけ多く閉鎖するよう溝1の底壁10のできるだけ近くに位置するよう設計されている。この形態では、各収容部は、トレッド表面100上に開口し、溝1の深さPに等しい深さまで延びている。
断面図である図3及び平面図である図4に示された本発明の変形形態では、この場合も又、2つの可撓性ブレードを備えた図2の閉鎖装置を見ることができ、この装置は、2つの有利な特別な特徴を有している。具体的に言えば、溝1の底部10には、浅い深さ(この場合、多くとも1mmに等しい深さ)の溝の形態をした収容部11が形成されている。この収容部11は、溝1を画定している側壁20,30に形成されている収容部21,31の連続部として位置するよう設計されている。かくして、閉鎖装置の可撓性ブレード4,4′は、それぞれの収容部21,31内で側壁20,30に固定され、これら同一の可撓性ブレードは、溝の底部10に形成された収容部11に入るよう設計されたこれらの底壁40,40′を有している。
図3に示されている構成では、溝1を画定している側壁20,30は、トレッド表面100の垂線に対して角度Aだけ傾けられていること及びブレードが収容固定されている収容部も又、同じ垂線に対して角度Aよりも小さい角度Bだけ傾けられていることが理解できる。かくして、閉鎖装置の可撓性ブレードが収容固定されている各収容部21,31の深さは、溝の底部10からトレッド表面100に向かって減少している。
さらに、図3に示されている装置を上から見た図である図4に示されているように、溝を画定している側壁に設けられている収容部21,31を画定する側壁は、閉鎖装置の可撓性ブレードが開くのを容易にするよう互いに広がっている。濡れてはいない路面上における運転の際、ブレードは、図4に示されている位置のままである。濡れた路面上を運転する場合、液体の流れにより、ブレードは、溝の底部に形成された収容部11から出て、撓んで図4に点線で示されている幾何学的形状になる。
図5に示された変形形態では、溝1を閉鎖する各装置は、溝1を画定している側壁20に設けられた収容部21内に形成されているその側壁のうちの1つによりトレッドに連結された単一の可撓性ブレード7で構成されており、この収容部21は、可撓性ブレード7に形成された切欠き701がこの収容部21内に完全に含まれるのに適した寸法のものである。さらに、ブレード7の他方の端壁71及び底壁70は、新品状態における溝1の完全な閉鎖を達成するようそれぞれの収容部31,11内に位置している(このブレード7は、トレッド表面100のところに位置したその接触壁72を有している)。切欠き701の延長部として、ブレード7の底壁を形成する部分702が設けられている。
本発明を一般的に且つ多くの形態を用いて説明したが、理解されなければならないこととして、本発明は、説明すると共に図示したに過ぎないこれらの形態に限定されることはない。当業者であれば、本明細書で説明した種々の形態を達成しようとする目的に合うよう互いに組み合わせることができる。
本発明の全体的範囲から逸脱することなく、これら形態の種々の改造例を相当できることは明らかである。特に、本発明の少なくとも2つのブレードから成る閉鎖装置を形成することが可能であり、これらブレードは、閉鎖装置が形成される溝の主要方向に互いにずらされる(溝の主要方向は、液体の流れ方向に一致している)。