JP2015515279A - 治療に反応する患者を同定するバイオマーカーおよびそのような患者の治療 - Google Patents

治療に反応する患者を同定するバイオマーカーおよびそのような患者の治療 Download PDF

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Abstract

本発明は、治療に反応するまたは治療に反応する見込みがある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法に関する。具体的には、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独でまたは別の癌治療と組み合わせて使用する治療に反応するまたは治療に反応する見込みがある癌患者を同定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上を使用することに関する。この方法は場合により、HDAC阻害剤を単独でまたは別の癌治療と組み合わせて用い、そのような患者を治療することを含んでいてもよい。

Description

関連出願への相互参照
本出願は、2013年3月12日に出願の米国仮特許出願第61/778,260号、2012年6月26日に出願の米国仮特許出願第61/664,471号および2012年4月19日に出願の米国仮特許出願第61/635,336号の優先権を主張する。これら出願はそれぞれ、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書では、治療に反応するまたは治療に反応する見込みがある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。この方法は具体的には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独でまたは別の癌治療と組み合わせて使用する治療に反応するまたはそのような治療に反応する見込みがある癌患者を同定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上を使用することに関する。この方法は必要に応じて、そのような患者をHDAC阻害剤単独でまたは別の癌治療との併用にて治療することをさらに含む場合がある。これらのバイオマーカーおよび相関研究に関するその他の方法および使用もまた開示する。
癌は、米国および世界における主要な死亡原因の1つである。2012年には、米国内でおよそ160万の新規癌症例が発症したと予測されている。同時に、2012年の米国での癌に起因する死亡はおよそ575,000例だったと推測される。
癌は体内の正常な細胞から生じる。正常細胞は身体が細胞を必要とするときには増殖し、必要がなくなると死ぬ。癌は、体内の細胞が制御を外れて成長・増幅するときに発生する。癌には多数の型があり、その多くが体内の全ての器官または組織で発展することができる。
癌の原因としては、発癌性物質への曝露、喫煙、過剰のアルコールを摂取すること、環境毒物への曝露、日光への過剰な曝露、遺伝的な問題、肥満、放射線、およびウイルスなど多くのものがある。加えて、多数の癌の原因はまだ分かっていない。
癌の症状はその癌の型と局在による。
癌はほとんどの場合、生検によって診断される。腫瘍の局在場所に応じて、生検は簡単であることも、または難しい手術になることも有り得る。
治療は癌の型、進行の度合、およびその癌が身体の別の部位に広がっているか否かによって変わる。治療の選択肢としては、癌の除去手術、放射線治療(癌細胞を殺すための強力なX線、粒子、または放射性シードの使用)、化学療法(癌細胞を殺すための薬剤の使用)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
癌の治療には多くの副作用が伴う。例えば、放射線治療は迅速に成長している細胞、例えば癌細胞にとって最も有害で、具体的には癌細胞のDNA損傷を与える。しかしながら、放射線治療は正常細胞にも影響を及ぼす。放射線治療を受けたヒトは、脱毛;皮膚の痛み;皮膚の赤み・ただれ;皮膚外層の脱落;皮膚の色素沈着;皮膚組織の菲薄化;かゆみ;疲労感および不定愁訴;血球数の低下;嚥下困難もしくは嚥下時の痛み;浮腫;味覚の変化;食欲不振;吐き気;嘔吐;および感染への感受性の亢進を経験することが多い。放射線治療と同様に、化学療法も分裂頻度が高い細胞、例えば癌細胞に作用する。しかしながら化学療法もまた、正常細胞、例えば血液、毛髪、及び胃腸管の内層で見られる細胞にも影響を及ぼす。化学療法を受けている患者は、感染症になりやすく;疲れやすく;出血過多で;神経への損傷に由来する痛みを感じ;口内の渇き、口内炎、または口腔の腫れを生じ;食欲不振と体重の減少;および胃の不調、嘔吐、および下痢になりやすい。
従って、治療を受けている患者にとって最も良い結果を達成する一連の癌治療を、迅速にかつ正確に選択し、副作用を最小限に抑えるため、患者が投与される化学療法薬の量を可能な限り少量に抑える必要がある。
このような必要性や他のニーズに応えるために、本明細書では、治療に反応するまたは治療に反応する見込みがある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。この方法は具体的には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独でまたは別の癌治療、治療法またや薬剤と組み合わせて使用する治療に反応するまたはそのような治療に反応する見込みがある癌患者を同定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上を使用することに関する。
本発明の態様には、腫瘍型ごとの治療効果を関連づける、癌型の相関研究が含まれる。
本発明の別の態様には、遺伝子変異解析と、治療型および腫瘍型を関連づける、遺伝的変異の相関研究が含まれる。
本発明のさらなる態様には、遺伝子の発現解析と腫瘍型とを関連付ける、遺伝子発現レベルの相関研究が含まれる。
本発明の態様は、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するまたは治療に反応する見込みのある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様は、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するまたは反応する見込みがあるか否かを予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に対する癌患者の反応を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に応答した癌細胞阻害を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に応答した腫瘍細胞の死滅を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌細胞成長の、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に対する感受性を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、腫瘍細胞成長の、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に対する感受性を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療の恩恵を受ける見込みのある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上記3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータによればヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するまたは反応する見込みのある患者に、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と組み合わせて投与することを含む癌の治療方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に癌患者が反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌を治療する方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌の再処置法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌治療を修正するための方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの上述した3つの相関研究の1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌の治療を最適化する方法を提供する。
本発明の具体的な態様において本発明は、乳癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するか否かを予測する方法を提供し、この方法は、a)乳癌患者由来の生体試料でヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質が、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、過剰発現しているか否かを決定する工程;およびb)そのような過剰発現の存在をこの患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、またはそのような過剰発現の欠如をこの患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程を含む。
本発明の別の具体的な態様において本発明は、結腸直腸癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応するか否かを予測する方法を提供し、この方法は、a)結腸直腸癌患者由来の生体試料において、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在するか否かを決定する工程;およびb)遺伝的変異の存在をこの患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、または遺伝的変異の欠如をこの患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程を含む。
本発明の一層さらに別の具体的な態様において本発明は、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応するか否かを予測する方法を提供し、この方法は、a)癌患者由来の生体試料において、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に遺伝的変異が存在するか否かを決定する工程;およびb)そのような突然変異が1つ以上存在することを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、またはそのような突然変異の欠如をこの患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程を含む。
本発明の別の具体的な態様において本発明は、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するか否かを予測する方法を提供し、この方法は、a)癌患者由来の生体試料における、プテリン−4α−カルビノールアミン脱水酵素/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程;およびb)PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;またはRAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、を含む。
本発明の一層さらに別の具体的な態様において本発明は、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法方法に反応するか否かを予測することを提供し、この方法は、a)癌患者由来の生体試料における、UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程;およびb)UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、;またはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、を含む。
本発明のさらに具体的な態様において本発明は、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、またはプロテアソーム阻害剤との併用で用いた治療に反応するか否かを予測する方法を提供し、この方法は、a)1つ以上の相関研究から得られたデータを評価する工程であって、1)脳/神経腫瘍、乳癌、リンパ癌、腎臓癌、結腸/大腸癌、および皮膚癌がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に感受性があると決定される、腫瘍型ごとの治療効果を関連づける相関研究、2)遺伝子変異解析と、治療型および腫瘍型を関連づける相関研究であって、ここでi)乳癌患者由来の生体試料における、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較したヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現がこの患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応することの指標である、ii)結腸直腸癌患者由来の生体試料でSMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在することが、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標である、もしくはiii)癌患者由来の生体試料においてホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に1つ以上の遺伝子突然変異が存在することが、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標である相関研究、または3)遺伝子の発現解析と治療型とを関連づける相関研究であって、i)癌患者由来の生体試料におけるプテリン−4α−カルビノールアミン脱水酵素/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain含有14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定すること;およびa)PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応するとして関連付けること;またはRAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応するとして関連付けること、またはii)癌患者由来の生体試料におけるUDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定すること;およびa)UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標として関連付けること;またはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標として関連付けることを含む、遺伝子の発現解析と治療型とを関連付ける相関研究から構成される相関研究の1つ以上から得られたデータを評価する工程、ならびにb)この患者がそのような治療に反応するか否かを決定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルに関連するデータを評価する工程、を含む。
本発明の好ましい具体的な態様では、癌は、脳腫瘍/神経腫瘍、乳癌、中枢神経系の癌、造血組織およびリンパ組織の癌、腎臓癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、膵癌、前立腺癌、皮膚癌、軟部組織癌、および胃癌からなる群より選択される。
本発明の好ましい具体的な態様では、HDAC阻害剤はHDAC6阻害剤である。本発明のより好ましい具体的な態様では、このHDAC6阻害剤は式Iの化合物
、または薬学上許容可能な塩、エステルもしくはそのプロドラッグである。
最も好ましい本発明の具体的な態様では、この式Iの化合物は、
であり、本明細書では化合物Aと呼ぶ。
本発明の好ましい具体的な態様では、プロテアソーム阻害剤はボルテゾミブである。
本発明の好ましい具体的な態様では、生体試料は生検試料である。
本発明の好ましい具体的な態様では、この方法は、患者に治療上有効な量のHDAC阻害剤を投与する工程をさらに含む。本発明の別の好ましい具体的な態様では、この方法は、患者に治療上有効な量のHDAC阻害剤とプロテアソーム阻害剤を投与する工程をさらに含む。
好ましい本発明の態様では、ストリンジェント条件で、赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2);SMADファミリーメンバー4(SMAD4);ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN);上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR);ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2);SETドメイン含有2(SETD2);フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL);プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);ABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A);UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子のうちのいずれか1つとハイブリダイズする核酸と、遺伝子の存在または遺伝子の発現レベルを検出するための核酸の使用説明書を含むキットを提供する。
本発明の別の好ましい態様では、赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2);SMADファミリーメンバー4(SMAD4);ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN);上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR);ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2);SETドメイン含有2(SETD2);フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL);プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);ABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A);UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子のうちのいずれか1つによって生産されたタンパク質に結合する抗体と、および遺伝子の存在または遺伝子の発現レベルを検出するための核酸の使用説明書を含むキットを提供する。
本発明の別の好ましい態様では、乳癌患者がヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するか否かを予測する方法を提供し、この方法は、
a)乳癌患者由来の生体試料における、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFB3);CD44分子(インディアン血液型)(CD44);シトクロムp450、ファミリー4、サブファミリーZ、ポリペプチド2偽遺伝子(CYP4Z2P);インターフェロン誘導性タンパク質44(IFI44);溶質輸送体ファミリー9、サブファミリーA(NHE6、cation proton antiporter 6)、メンバー6(SLC9A6);v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2、神経/膠芽腫由来腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類)(ERBB2);v−yes−1 Yamaguchi肉腫ウイルス関連腫瘍遺伝子ホモログ(LYN);プレクストリンホモロジー様ドメイン、ファミリーA、メンバー1(PHLDA1);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARG);ジカルボニル/L−キシルロース還元酵素(DCXR);ウリジンホスホリラーゼ1(UPP1);ATP−結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー11(ABCC11);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC2(ジヒドロジオール脱水素酵素2;胆汁酸結合タンパク質;3−アルファ水酸化ステロイド脱水素酵素、III型)(AKR1C2);BCL2関連アタノジーン(athanogene)2(BAG2);ロイシンリッチリピートを含むTLR4相互作用物質(TRIL);性質不明のLOC440335(LOC440335);インヒビンβB(INHBB);dickkopf1ホモログ(アフリカツメガエル)(DKK1);インスリン受容体基質2(IRS2);17番染色体オープンリーディングフレーム28(C17orf28);LIMドメインキナーゼ2(LIMK2);様グリコシルトランスフェラーゼ(LARGE);コイルドコイルドメイン含有82(CCDC82);溶質輸送体ファミリー40(鉄制御輸送体)、メンバー1(SLC40A1);テトラトリコペプチドリピート1を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1);ホルミン様2(FMNL2);白血病抑制因子(LIF);トランスフォーミング増殖因子、β受容体2(70/80kDa)(TGFBR2);Gプロテイン結合受容体160(GPR160);サイトカイン誘導性SH2−含有タンパク質(CISH);ホスホリパーゼC、β4(PLCB4);B細胞リンカー(BLNK);ホスホリパーゼC、γ2(ホスファチジルイノシトール特異的)(PLCG2);カベオリン2(CAV2);プロリン脱水素酵素(酸化酵素(オキシダーゼ))1(PRODH);rasホモログファミリーメンバーB(RHOB);テトラトリコペプチドリピート3を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT3);カルビンディン2(CALB2);TSPY様5(TSPYL5);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXorf61);HHEX(hematopoietically expressed homeobox、造血細胞で発現するホメオボックス);cAMP応答配列結合タンパク質3様4(CREB3L4);Xボックス結合タンパク質1(XBP1);SPDEF(SAM pointed domain containing ets trsanscription factor、SAMポインテッドドメイン含有ets転写因子);核内受容体コアクチベーター7(NCOA7);ガラニンプレプロペプチド(GAL);HECT・RLDドメイン含有E3ユビキチンタンパク質リガーゼ5(HERC5);主要組織適合遺伝子複合体、クラスI、A(HLA−A);セントロメアタンパク質V(CENPV);FRAT2(frequently rearranged in advanced T−cell lymphomas 2、悪性T細胞リンパ腫で頻繁に再構成される);ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1);アデノシンA2b受容体(ADORA2B);Gプロテイン結合受容体、ファミリーC、グループ5、メンバーA(GPRC5A);エノイルCoAヒドラターゼドメイン含有1(ECHDC1);グアニル酸結合タンパク質1、インターフェロン誘導性(GBP1);スルファターゼ2(SULF2)、性質不明のLOC100507463(LOC100507463)、およびKIAA1324(KIAA1324)遺伝子のそれぞれの発現レベルを測定する工程;ならびに
b)正規化した遺伝子発現レベルと比較して、TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324遺伝子の高い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;および正規化した遺伝子発現レベルと比較して、CD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463遺伝子の低い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程を含む。本発明のさらなる好ましい態様では、この方法は、患者に治療上有効な量のHDAC阻害剤を投与する工程をさらに含む。
図1は、59種類のCCLE乳癌細胞株における、58遺伝子のサインのヒートマップを示す図である。 図2は、59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカー(A)と352の乳房腫瘍(B)との相関を示すヒートマップである。 図3(AおよびB)は、59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカー(A)と293の結腸腫瘍(B)との相関を示すヒートマップである。 図4(A、B、C、D、E、F、G、H、およびI)は、化合物A乳癌感受性バイオマーカーに対する臨床マーカーのグラフを示している。ERはエストロゲン受容体;PRはプロゲステロン受容体;HER2はヒト上皮成長因子受容体2(Neu、ErbB−2、CD340、またはp185としても知られている)を意味している。
定義
別段の定義のない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
本明細書で使用する冠詞「1つ」および「1種の」は、その冠詞の文法的な対象が1または1を上回る(つまり、少なくとも1つ)であることを指す。例えば、「1つのバイオマーカー」とは、1つのバイオマーカーまたは1を上回るバイオマーカーを意味する。
「投与する」または「投与」という用語は、患者の対外にある物質(例えば、本発明の製剤)を注入またはそれ以外の物理的な手段で、例えば粘膜、皮内、静脈内、筋内送達および/または本明細書に記載のまたは当該分野で知られている他の任意の物理的な送達法によって、患者の体内に送達する操作を指。疾患またはその症状を治療する場合、物質の投与は一般的に、疾患またはその症状が発症した後に行われる。疾患またはその症状を予防する場合には、物質の投与は一般的に、疾患またはその症状が発症する前に行われる。
そうでないことが具体的に示されていない限り、本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、2つの免疫グロブリン重鎖と2つの免疫グロブリン軽鎖(つまり、「完全な抗体分子」)ならびにその抗原結合断片を含む抗体分子を包含するものと理解される。本明細書で使用する場合、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原−結合断片」などいう用語は、光源に結合して複合体を形成する、天然に存在する、酵素によって得ることができる、合成の、または遺伝子改変したポリペプチドまたは糖タンパク質のいずれをも含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質分解または、抗体の可変ドメインおよび(場合により)定常ドメインをコードしているDNAの操作および発現を伴う組換え遺伝子工学技術などの、任意の好適な標準的な技術によって完全な抗体分子から得ることができる。そのようなDNAは、公知でありおよび/または、例えば、業者から、DNAライブラリー(例えば、ファージ・抗体ライブラリーなど)から容易に入手可能であり、もしくは合成することができる。例えば、1つ以上の可変ドメインおよび/または定常ドメインを好適な配置に構成するために、またはコドンの導入、システイン残基の作成、アミノ酸を修飾、付加もしくは欠損させるために、DNAの配列を解析し、および化学的または分子生物学的な技術によって操作してもよい。
目的の抗原に「結合する」抗体は、十分な親和性でもって抗原に結合することが可能な抗体であり、抗原の有無を検出するのに有用である。
「生体試料」という用語は通常、個体、体液、細胞株、組織培養、または他の供給源から得られた任意の生体試料を意味する。体液とは例えば、血液、リンパ液、血清、血漿、尿、精液、滑液、および脊髄液である。哺乳動物から組織生検や体液を得る方法は当該分野でよく知られている。「試料」という用語が単独で使用されている場合、それでもなお、「試料」は「生体試料」を意味する。つまり、「試料」と「生体試料」は同じ意味で用いられる。
「組成物」および「製剤」という用語は、特定の成分、場合により特定の量の特定の成分の組み合わせから、直接的または間接的な結果を生じる、特定の成分(例えば、HDAC阻害剤)、場合により特定の量の特定の成分を含有する製品ならびに任意の製品を包含することを意図している。
「賦形剤」という用語は、薬剤の希釈剤、媒体、保存料、結合剤、安定化剤などとして一般的に使用される不活性な物質を指し、タンパク質(例えば、血清アルブミンなど)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、グリシン、ヒスチジンなど)、脂肪酸およびリン脂質(例えば、スルホン酸アルキル、カプリル酸など)、界面活性剤(例えば、SDS、ポリソルベート、非イオン性界面活性剤など)、糖類(例えば、ショ糖、麦芽糖、トレハロースなど)および多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトールなど)を含むがこれらには限定されない。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、レミントンの薬学(1990)Mack Publishing Co.、イーストン、ペンシルバニア、もまた参照のこと。
「HDAC阻害剤を用いた治療に反応する」または「HDAC6阻害剤を用いた治療に反応する」という句または同様の句は、HDAC阻害剤(例えば、HDAC6阻害剤)から、またはその結果、疾患または状態、例えば癌を患っている患者にもたらされる、臨床上の利益を指す。臨床上の利益には、HDAC阻害剤を用いた治療、またはそのような治療の結果もたらされる、患者の完全寛解、部分寛解、疾患の安定(進行しない)、無増悪生存、無病生存、増殖停止時間(疾患の)の改善、死亡までの時間の延長、または全生存期間の延長が含まれる。治療に対する反応を決定するための基準が存在し、そのような基準によって、その他の治療の効果との比較が可能である(Slapak and Kufe, Harrisons’s Principles of Internal Medicine,第13版の中の、Principles of Cancer Therapy。Isselbacher et al.編, McGraw−Hill, Inc., 1994)。例えば、癌の完全な反応または完全寛解は、検出可能な悪性疾患が全て消失することである。癌の部分的な反応または部分寛解は、例えば、1つ以上の病変部の垂直方向の最大径の積がおよそ50%減少することまたはどの病変大きさも増えないこと、または新しい病変が出現しないことであってよい。
「癌の進行」という用語には、転移、癌の再発、または1つの病変部の垂直方向の最大径の積が少なくともおよそ25%増加すること、または新しい病変が出現することが含まれ、また、これらを指す場合がある。癌の進行は、その癌の再発または転移が、減少する、遅くなる、遅れる、もしくは阻止される場合に「阻害」される。
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含む「ヌクレオシド」の場合、リン酸塩基は糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分のいずれかに結合することができる。「ヌクレオチド」は、「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」の「単量体の単位」である。ヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)の単位である。本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、「核酸」と同義である。
「プローブ」という用語は、予め決められた特定のストリンジェンシーで、特に(つまり、優先的に)「核酸」にハイブリダイズすることが可能な特異的なヌクレオチド配列を、設計または選抜によって、含む、合成のまたは生物学的に生産された核酸(DNAまたはRNA)を指す。「プローブ」は「補足プローブ」として同定することができ、これは、このプローブが核酸を「補足」し、検出を妨げ得る望ましくない材料からの分離を可能にすることを意味している。一旦分離されれば、補足された「標的核酸」を好適な手法によっての検出することができる。「補足プローブ」は予め固相に結合されていることが多い。
「ストリンジェント条件」におけるハイブリダイゼーションという用語は、Sambrook et al.(Molecular Cloning,A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、段落1.101−1.104)で見られるのと同じ意味であると見なされる。例えば、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」とは、1時間、1×SSCと0.1%のSDS中、50℃、好ましくは55℃、より好ましくは62℃、最も好ましくは68℃で、およびより好ましくは、1時間、0.2×SSCと0.1%のSDS中、50℃、好ましくは55℃、より好ましくは62℃、最も好ましくは68℃で洗浄した後でも、ハイブリダイゼーションシグナルが検出可能な場合である。SSC緩衝液の組成は、Sambrook et al.(Molecular Cloning,A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))に記載されている。
「転写されたポリヌクレオチド」とは、遺伝子(例えばマーカー遺伝子)の転写、および、もしあれば、転写産物の正常な転写後修飾(例えば、スプライシング)によって生成される成熟RNAの全体または一部分に相補的なまたは相同なポリヌクレオチド(例えば、RNA、cDNA、またはRNAまたはcDNAの1つの類似体)である。「cDNA」という用語は、mRNAの一本鎖または二本鎖DNAのコピーである相補DNAの略称である。「mRNA」という用語は、タンパク質合成の鋳型となるRNAである、メッセンジャーRNAの略称である。
用語「マーカー遺伝子」または「バイオマーカー遺伝子」には、HDAC阻害剤を単独でまたは別の癌治療と併用して用いる治療に反応するまたは反応する見込みのある癌患者を同定するのに有用な遺伝子が含まれる。
用語「マーカーポリヌクレオチド」または「バイオマーカーポリヌクレオチド」には、バイオマーカー遺伝子にコードされているヌクレオチドの転写産物(hnRNAまたはmRNA)、またはそのヌクレオチド転写産物に由来するcDNA、または前記転写産物もしくはcDNAのセグメントが含まれる。
「マーカータンパク質」、「マーカーポリペプチド」、「バイオマーカータンパク質」、または「バイオマーカーポリペプチド」という用語は、バイオマーカー遺伝子またはその断片によってコードされているタンパク質またはポリペプチドを含む。
「マーカー」および「バイオマーカー」という用語は同じ意味で用いられ、かつ、上述したバイオマーカー遺伝子、バイオマーカーポリヌクレオチド、またはバイオマーカータンパク質を指す。
「遺伝子産物」という用語は、バイオマーカー遺伝子によってコードされているバイオマーカーポリヌクレオチドまたはバイオマーカータンパク質を指す。
バイオマーカー遺伝子の発現は、患者由来の試料におけるバイオマーカー遺伝子の発現レベルが参照となる対象におけるレベルまたは正規化した遺伝子発現レベルと、量で比較して、発現の評価に用いたアッセイの標準誤差よりも大きく異なる場合に、好ましくはその量の少なくとも10%、より好ましくは25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、300%、400%、500%または1、000%異なる場合に、参照試料中のバイオマーカー遺伝子の発現レベルまたは正規化した遺伝子発現レベルとは異なる。例えば、患者由来の試料における発現レベルが、対照となる対象由来の試料におけるレベルまたは正規化した遺伝子発現レベルよりも、量で比較して、発現の評価に用いたアッセイの標準誤差よりも低い場合に、好ましくはその量の少なくとも10%、およびより好ましくは25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、300%、400%、500%または1、000%低い場合に、患者におけるバイオマーカー遺伝子の発現が、対照の対象における発現レベルまたは正規化した遺伝子発現レベル「より低い」と見なすことができる。あるいは、患者由来の試料における発現レベルが対照となる対象由来の試料におけるレベルまたは正規化した遺伝子発現レベルよりも、量で比較して、発現の評価に用いたアッセイの標準誤差よりも高い場合に、好ましくはその量の少なくとも10%、およびより好ましくは25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、300%、400%、500%または1、000%高い場合に、患者におけるバイオマーカー遺伝子の発現が対照となる対象における発現レベルまたは正規化した遺伝子発現レベル「より高い」と見なすことができる。
「発現のレベル」または「発現レベル」という用語は同じ意味で用いられ、基本的に、生体試料中のポリヌクレオチドまたはアミノ酸産物もしくはタンパク質の量を指す。「発現」は通常、遺伝子によってコードされている情報を、細胞内に存在し、細胞中で動作する構造に変換する過程を指す。従って、遺伝子の「発現」とは、ポリヌクレオチドへの転写、タンパク質への翻訳、さらにタンパク質の翻訳後修飾を指す場合もある。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたタンパク質または翻訳後修飾されたタンパク質の断片も、それらが選択的スプライシング、分解された転写産物、またはタンパク質の翻訳後工程から、例えばタンパク質分化によって、生成された転写産物に由来するものであれば、発現されると見なされる。「発現した遺伝子」には、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、その後タンパク質に翻訳された遺伝子が含まれ;また、発現した遺伝子には、RNAには転写されたがタンパク質には翻訳されていない遺伝子(例えば、トランスファーRNAおよびリボソームRNA)も含まれる。
「変異」という用語は、遺伝子またはタンパク質中の変化または変更、遺伝子またはタンパク質中のそれぞれ1つ以上の核酸またはアミノ酸の、例えば挿入、欠損、置換、または修飾を指す。例えば、変異は、単一の点突然変異であっても、複数の点突然変異であっても、フレームシフトを生じる変異、欠損、挿入、反転であっても、DNAの発現変異であってもよい。
「過剰発現」、「発現の上昇」または「高い発現」という用語は、対照として用いた試料における発現レベルまたは正規化した遺伝子の発現レベルもしくは正規化したタンパク質の発現レベルの基準と比較して、発現のレベルが上方向に変動したことを指す。
「過小発現」、「発現の低下」または「低い発現」という用語は、対照として用いた試料における発現レベルまたは正規化した遺伝子の発現レベルもしくは正規化したタンパク質の発現レベルの基準と比較して、発現のレベルが下方向に変動したことを指す。
「正規化した遺伝子の発現レベル」という句は、個々の細胞株間の遺伝子の発現レベルの平均を指す。
「正規化したタンパク質発現レベル」という句は、個々の細胞株間のタンパク質の発現レベルの平均を指す。
「キット」は、少なくとも1つの試薬、例えば、具体的にはバイオマーカー遺伝子またはタンパク質を検出するためのプローブを含む、任意の製造物(例えば、包装または容器)である。製造物は好ましくは、本発明の方法を実施するための単位で宣伝され、頒布され、または販売される。
「治療」という用語は、疾患の予防、管理、治療、および/または回復寛解において使用することが可能な任意のプロトコール、方法、および/または薬剤を指す。
本明細書で使用する場合「アルキル」という用語は、一定の態様では、それぞれ1〜6個、または1〜8個の炭素原子を含有する、飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素部分指す。C−Cアルキル部分の例としては、これらには限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル部分が;およびC−Cアルキル部分の例としては、これらには限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、およびオクチル部分が挙げられる。
本明細書で使用する場合「アルケニル」という用語は、一定の態様では、少なくとも1つの炭素間二重結合を有し、2〜6個の、または2〜8個の炭素原子を含有する炭化水素部分に由来する、一価の基を意味する。二重結合は、別の基に結合する点にあっても、そこになくてもよい。アルケニル基としては、これらには限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、へプテニル、オクテニルなどが挙げられる。
本明細書で使用する場合「アルキニル」という用語は、一定の態様では、少なくとも1つの炭素間三重結合を有し、2〜6個のまたは2〜8個の炭素原子を含有する炭化水素部分由来の一価の基を意味する。アルキニル基は、別の基に結合する点にあっても、そこになくてもよい。代表的なアルキニル基としては、これらには限定されないが、例えば、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、へプチニル、オクチニルなどが挙げられる。
「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル部分を指す。
本明細書で使用する場合「アリール」という用語は、縮合したまたは縮合していない1つ以上の芳香族環を有する単環のまたは多環の炭素環系を指し、これらには限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、イデニルなどが含まれる。
本明細書で使用する場合「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、アリール環に結合したアルキル残基を指す。例としては、ベンジル、フェネチルなどが挙げられるがこれらには限定されない。
本明細書で使用する場合「炭素環」という用語は、単環もしくは多環の、飽和した、部分的に非飽和の、または完全に非飽和の炭素環化合物に由来する一価の基を意味する。炭素環基の例としては、シクロアルキルの定義とアリールの定義に見られる基が挙げられる。
本明細書で使用する場合「シクロアルキル」という用語は、単環もしくは多環の、飽和または部分的に非飽和の炭素環化合物に由来する一価の基を意味する。C−C−シクロアルキルの例としては、これらには限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロオクチルが;およびC−C12−シクロアルキルの例としては、これらには限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。水素原子を1つ除去したことで少なくとも1つの炭素間二重結合を有する、単環または多環の炭素環化合物に由来する一価の基も想定される。そのような基の例としてはシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロへプテニル、シクロオクテニルなどが挙げられるがこれらには限定されない。
本明細書で使用する場合「ヘテロアリール」という用語は、縮合したまたは縮合していない単環または多環(例えば、二環、三環またはそれ以上)で、5〜10の環原子を有し、その内1つの環原子がS、OおよびNから選択され;0、1または2つの環原子がS、OおよびNから独立して選択されるその他のヘテロ原子であり;残りの環原子が炭素の、少なくとも1つの芳香族環を有する部分または環系を指す。ヘテロアリールとしては、これらには限定されないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルなどが挙げられる。
本明細書で使用する場合「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリール環に結合したアルキル残基を指す。例としては、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが挙げられるがこれらには限定されない。
本明細書で使用する場合「ヘテロシクロアルキル」という用語は、非芳香族の3−、4−、5−、6−もしくは7員環または二環もしくは三環の基が融合した、または融合していない環系であって、(i)それぞれの環が酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1〜3つのヘテロ原子を含み、(ii)5員環はそれぞれ、0〜1つの二重結合を有し、かつ、6員環はそれぞれ、0〜2つの二重結合を有し、(iii)窒素および硫黄のヘテロ原子は酸化されていてもよく、(iv)窒素のヘテロ原子は四級化されていてもよく、および(iv)上で述べた環のいずれかはベンゼン環に融合されていてもよい環系を指す。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、これらには限定されないが、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびテトラヒドロフリルが挙げられる。
「アルキルアミノ」という用語は、−−NH(C−C12アルキル)の構造を有する基を指し、ここでC−C12アルキルは予め定義されている。
「アシル」という用語は、カルボン酸、カルバミン酸、炭酸、スルホン酸、および亜リン酸を含むがこれらには限定されない酸に由来する残基を含む。例としては、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族ホスフェートおよび脂肪族ホスフェートが挙げられる。脂肪族カルボニルの例としては、アセチル、プロピオニル、2−フルオロアセチル、ブチリル、2−ヒドロキシアセチルなど含むがこれらには限定されない。
本発明では、本明細書に記載のアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールはいずれも任意の芳香族基であってよい。芳香族基は置換されていても非置換であってもよい。
本明細書で使用する場合「hal」、「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
本明細書で使用する場合「オキソ」という用語は、炭素に、好ましくは二重結合で結合している酸素(例えば、カルボニル)を指す。
本明細書に記載したように、本発明の方法で使用される化合物は、1つ以上の置換基、例えば一般に式Iで示される置換基、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種で例示されている置換基で置換されていてもよい。当然のことながら「置換されていてもよい」という句は、「置換または非置換」という句と同じ意味で用いられる。通常「置換されている」という用語は、「されていてもよい」を伴っていてもいなくても、所定の構造中の水素ラジカルが特定の置換基のラジカルで置き換わることを指す。別段の指定のない限り、置換されていてもよい基は、基の中のいずれの置換可能な位置に置換基を有していてもよく、任意の所定の構造に含まれる1を上回る位置が、特定の基から選択される1を上回る置換基によって置換されていてもよい場合、置換基は位置毎に同じであってもまたは異なっていてもよい。本明細書で使用する場合「置換されていてもよい」、「置換されていてもよいアルキル」、「置換されていてもよい「置換されていてもよいアルケニル」、「置換されていてもよいアルキニル」、「置換されていてもよいシクロアルキル」、「置換されていてもよいシクロアルケニル」、「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいヘテロアリール」、「置換されていてもよいアラルキル」、「置換されていてもよいヘテロアラルキル」、「置換されていてもよいヘテロシクロアルキル」およびその他の置換されていてもよい基という用語はいずれも、基に含まれる1、2、または3つ以上の水素原子が、置換基でそれぞれ独立して置換されているあるいは置換されていないことを指し、置換基の例としては、これらには限定されないが、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、
−F、−Cl、−Br、−I、
−OH、保護されたヒドロキシ、酸素、オキソ、
−NO、−CN、
−NH、保護されたアミノ、−NH−C−C12−アルキル、−NH−アリール、−ジアルキルアミノ、−
−O−C−C12−アルキル、−O−アリール、
−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−NHC(O)O−、
−C(O)−C−C12−アルキル、−C(O)−C−C12−シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘテロシクロアルキル、
−C(O)O−C−C12−アルキル、−C(O)O−C−C12−シクロアルキル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−ヘテロシクロアルキル、
−CONH、−CONH−C−C12−アルキル、−−CONH−アリール、
−OCO−C−C12−アルキル、−OCO−アリール、−OCONH、−OCONH−C−C12−アルキル、−OCONH−アリール、
−NHC(O)−C−C12−アルキル、−NHC(O)−アリール、−NHCO−C−C12−アルキル、−NHCO−アリール、
−S(O)−C−C12−アルキル、−S(O)−アリール、−SONH−C−C12−アルキル、−SONH−アリール、
−NHSO−C−C12−アルキル、−NHSO−アリール、
−SH、−S−C−C12−アルキル、または−S−アリール
が挙げられる。
一定の態様では、置換されていてもよい基には、C−C12−アルキル、C−C12−アルケニル、C−C12−アルキニル、C−C12−シクロアルキル、C−C12−アリール、C−C12−ヘテロシクロアルキル、C−C12−ヘテロアリール、C−C12−アリールアルキル、またはC−C12−ヘテロアリールアルキルが含まれる。
当然のことながら、アリール、ヘテロアリール、アルキルなどはさらに置換することができる。
本明細書で使用する場合「金属キレート剤」という用語は、金属イオンと複合体を形成する(つまり、「キレートする」)ことが可能な任意の分子または部分を指す。特定の例示的な態様では、金属キレート剤とは、溶液中で金属イオンと「結合」し、金属イオンを化学反応/酵素反応で使用できないようにする全ての分子または部分を指す。一定の態様では、溶液は、生理学的条件で水性環境を構成するものである。金属イオンの例としては、Ca2+、Fe3+、Zn2+、Naなどが挙げられるがこれらには限定されない。一定の態様では、金属キレート剤はZn2+に結合する。一定の態様では、金属イオンを沈降させる部分の分子は金属キレート剤とは見なされない。
本明細書で使用する場合、「低分子」という用語は、実験的に合成したまたは天然に見られる、非ペプチド性の、オリゴマーでない有機化合物を指す。本明細書で使用する場合、低分子は、「天然の産物に似た」化合物を指すことがあるが、「低分子」という用語は、「天然の産物に似た」化合物には限定されない。むしろ低分子は通常、複数の炭素間結合を含むこと、および1500未満の分子量を有することを特徴とするが、この特徴付けは、本発明の目的を限定するものではない。天然に生じる「低分子」の例としては、タキソール、ダイネミシン、およびラパマイシンが挙げられるがこれらには限定されない。特定の他の好ましい態様では、天然の産物に似た低分子が用いられる。
本明細書で使用する場合「対象」または「患者」という用語は哺乳動物を指す。従って対象とは、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモットなどを指す。好ましくは、対象はヒトである。
「治療する」、「治療している」および「治療」とは、疾患および/またはそれに伴う症状を緩和するまたは軽減することを指す。
本明細書で使用する場合、「薬学上許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、本明細書で開示の手順によって形成される化合物の塩であって、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒトやより下等な動物の組織に接触させる使用に好適で、かつ、効果対リスク比が釣り合っている塩を指す。薬学上許容可能な塩は当該分野でよく知られている。例えば、S.M.Berge、et al.がJ. Pharmaceutical Sciences, 66: 1−19 (1977)にて、薬学上許容可能な塩を詳細に説明している。
本明細書で使用する場合、「薬学上許容可能なエステル」という用語は、本明細書で開示の手順によって形成さる化合物のエステルであって、インビボで加水分解し、また、ヒトの体内で容易に分解されて親化合物もしくはその塩を残すエステルを指す。好適なエステル基としては、例えば、薬学上許容可能な脂肪族カルボン酸、特に、アルキル部分またはアルケニル部分がそれぞれ有利なことに6つ以下の炭素原子を有するアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸(alkanedioic acid)に由来するエステル基が挙げられる。特定のエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびコハク酸エチルエステルが挙げられるがこれらには限定されない。
本明細書で使用する場合「薬学上許容可能なプロドラッグ」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、本明細書で開示の手順によって形成される化合物のプロドラッグであって、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒトやより下等な動物の組織に接触させる使用に好適で、かつ、効果対リスク比が釣り合っており、使用目的にとって有効で、ならびに、可能であれば、本発明の化合物の両性イオン形態である、プロドラッグを指す。本明細書で使用する場合「プロドラッグ」は、代謝の手段(例えば加水分解)によってインビボで変換可能で、本明細書で開示の式で描写される任意の化合物を生じる化合物を意味する。様々な形態のプロドラッグが当該分野で知られており、例えば、Bundgaard(編),Design of Prodrugs, Elsevier(1985);Widder, et al.(編),Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsen, et al.,(編).『Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development』第5章, 113−191 (1991);Bundgaard, et al., Journal of Drug Deliver Reviews, 8:1−38(1992);Bundgaard, J. of Pharmaceutical Sciences, 77:285 et seq.(1988); Higuchi and Stella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society(1975);およびBernard Testa & Joachim Mayer, 『Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry, Biochemistry And Enzymology』John Wiley and Sons, Ltd.(2002)で議論されている。
本発明によって想定される置換基の組み合わせおよびその変化型は安定な化合物の形成をもたらす組み合わせおよびその変化系のみである。本明細書で使用する場合「安定な」という用語は、製造を可能にするのに十分な安定性を有し、本明細書において詳述する目的(例えば、対象への治療的または予防的投与)に有用な十分な期間、その化合物の完全性を維持する化合物を指す。
「単離した」、「精製した」または「生物学的に純粋」という用語は、その天然の状態では通常付随する化合物を実質的にまたは本質的に含まない材料を指す。純度と均一性は通常、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学の技術によって決定される。特に、態様では、化合物は少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋である。
方法
本発明は、治療に反応するまたは反応する見込みのある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。具体的には、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するまたは反応する見込みのある癌患者を同定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上を使用することに関する。この方法は、必要に応じて、そのような患者をHDAC阻害剤を単独でまたは別の癌治療と併用して治療することをさらに含み得る。
本発明の態様には、腫瘍型ごとの治療効果を関連づける癌型の相関研究が含まれる。
本発明の別の態様には、遺伝子変異解析と、治療型および腫瘍型を関連づける遺伝的変異の相関研究が含まれる。
本発明のさらなる態様には、遺伝子の発現解析と腫瘍型とを関連付ける、遺伝子発現レベルの相関研究が含まれる。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するまたは反応する見込みのある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するまたは反応する見込みがあるか否かを予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に対する癌患者の反応を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に応答した癌細胞阻害を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に応答した腫瘍細胞の死滅を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に対する癌細胞成長の感受性を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に対する腫瘍細胞成長の感受性を予測するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療の恩恵を受ける見込みのある癌患者を同定するバイオマーカーの使用方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究に由来するデータによれば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を使った治療に反応するまたは反応する見込みのある患者に、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と組み合わせて投与すること含む、癌の治療方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者の癌を治療する方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌の再処置法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌治療を修正するための方法を提供する。
本発明の態様では、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルの3つの相関研究のうちの1つ以上に由来するデータを解釈することで、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して用いる治療に反応するか否かを予測する工程、および、その患者がそのような治療に反応するまたは反応する見込みがあると決定された場合に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独で、または別の癌治療と併用して投与する工程を含む、患者における癌の治療を最適化する方法を提供する。
本発明の態様では、それを必要とする患者における乳癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)乳癌患者由来の生体試料で、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質が、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して過剰発現しているか否かを決定する工程;
b)そのような過剰発現の存在を、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、またはそのような過剰発現の欠如を、この患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程;および
c)治療に反応する患者に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)癌患者由来の生体試料における、プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程;
b)PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;またはRAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;および
c)治療に反応する患者に治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における結腸直腸癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)結腸直腸癌患者由来の生体試料において、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在するか否かを決定する工程;
b)遺伝的変異の存在を、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、または遺伝的変異の欠如を、この患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程;および
c)治療に反応する患者に治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)癌患者由来の生体試料において、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に遺伝的変異が存在するか否かを決定する工程;
b)そのような突然変異が1つ以上存在することを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、またはそのような突然変異の欠如を、この患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程;および
c)治療に反応する患者に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)癌患者由来の生体試料における、UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程;
b)UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;またはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;および
c)治療に反応する患者に治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、そのような治療を必要とする患者における、癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)1つ以上の相関研究から得られたデータを評価する工程であって、
1)腫瘍型ごとの治療効果を関連づける相関研究であって、ここで脳/神経腫瘍、乳癌、リンパ癌、腎臓癌、結腸/大腸癌、および皮膚癌がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に感受性があると決定される相関研究、
2)遺伝子変異解析と、治療型および腫瘍型を関連づける相関研究であって、ここで
i)乳癌患者由来の生体試料における、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較したヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現がこの患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応することの指標である、
ii)結腸直腸癌患者由来の生体試料でSMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在することが、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標である、もしくは
iii)癌患者由来の生体試料において、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に1つ以上の遺伝的変異が存在することが、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標である相関研究、または
3)遺伝子の発現解析と治療型とを関連づける相関研究であって、
i)癌患者由来の生体試料における、プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定すること;および
a)PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応するとして関連付けること;もしくは、RAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応するとして関連付けること、または
ii)癌患者由来の生体試料における、UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定すること;および
a)UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標として関連付けること;もしくはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標として関連付けることを含む、遺伝子の発現解析と治療型とを関連づける相関研究、から構成される相関研究のうちの1つ以上から得られたデータを評価する工程、
b)この患者がそのような治療に反応するか否かを決定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルに関連するデータを評価する工程;および
c)治療に反応する患者に、治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における乳癌の治療方法を提供し、この方法は、
a)乳癌患者由来の生体試料における、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFB3);CD44分子(Indian血液group)(CD44);シトクロムp450、ファミリー4、サブファミリーZ、ポリペプチド2偽遺伝子(CYP4Z2P);インターフェロン誘導性タンパク質44(IFI44);溶質輸送体ファミリー9、サブファミリーA(NHE6、cation proton antiporter 6)、メンバー6(SLC9A6);v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2、神経/膠芽腫由来腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類)(ERBB2);v−yes−1 Yamaguchi肉腫ウイルス関連腫瘍遺伝子ホモログ(LYN);プレクストリンホモロジー様ドメイン、ファミリーA、メンバー1(PHLDA1);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARG);ジカルボニル/L−キシルロース還元酵素(DCXR);ウリジンホスホリラーゼ1(UPP1);ATP−結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー11(ABCC11);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC2(ジヒドロジオール脱水素酵素2;胆汁酸結合タンパク質;3−アルファ水酸化ステロイド脱水素酵素、III型)(AKR1C2);BCL2関連アタノジーン(athanogene)2(BAG2);ロイシンリッチリピートを含むTLR4相互作用物質(TRIL);性質不明のLOC440335(LOC440335);インヒビンβB(INHBB);dickkopf 1ホモログ(アフリカツメガエル)(DKK1);インスリン受容体基質2(IRS2);17番染色体オープンリーディングフレーム28(C17orf28);LIMドメインキナーゼ2(LIMK2);様グリコシルトランスフェラーゼ(LARGE);コイルドコイルドメイン含有82(CCDC82);溶質輸送体ファミリー40(鉄制御輸送体)、メンバー1(SLC40A1);テトラトリコペプチドリピート1を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1);formin様2(FMNL2);白血病抑制因子(LIF);トランスフォーミング増殖因子、β受容体2(70/80kDa)(TGFBR2);Gプロテイン結合受容体160(GPR160);サイトカイン誘導性SH2−含有タンパク質(CISH);ホスホリパーゼC、β4(PLCB4);B細胞リンカー(BLNK);ホスホリパーゼC、γ2(ホスファチジルイノシトール特異的)(PLCG2);カベオリン2(CAV2);プロリン脱水素酵素(酸化酵素(オキシダーゼ))1(PRODH);rasホモログファミリーメンバーB(RHOB);テトラトリコペプチドリピート3を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT3);カルビンディン2(CALB2);TSPY様5(TSPYL5);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXorf61);HHEX(hematopoietically expressed homeobox、造血細胞で発現するホメオボックス);cAMP応答配列結合タンパク質3様4(CREB3L4);Xボックス結合タンパク質1(XBP1);SPDEF(SAM pointed domain containing ets trsanscription factor、SAMポインテッドドメイン含有ets転写因子);核内受容体コアクチベーター7(NCOA7);ガラニンプレプロペプチド(GAL);HECT・RLDドメイン含有E3ユビキチンタンパク質リガーゼ5(HERC5);主要組織適合遺伝子複合体、クラスI、A(HLA−A);セントロメアタンパク質V(CENPV);FRAT2(frequently rearranged in advanced T−cell lymphomas 2、悪性T細胞リンパ腫で頻繁に再構成される);ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1);アデノシンA2b受容体(ADORA2B);Gプロテイン結合受容体、ファミリーC、グループ5、メンバーA(GPRC5A);エノイルCoAヒドラターゼドメイン含有1(ECHDC1);グアニル酸結合タンパク質1、インターフェロン誘導性(GBP1);スルファターゼ2(SULF2)、性質不明のLOC100507463(LOC100507463)、およびKIAA1324(KIAA1324)遺伝子のそれぞれの発現レベルを測定する工程;
b)TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324遺伝子の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;およびCD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463遺伝子の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;および
c)治療に反応する患者に治療上有効な量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与する工程、
を含む。
本発明の態様では、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質が、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して過剰発現している患者における乳癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を提供する。
本発明の態様では、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異をもつ患者における結腸直腸癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供する。
本発明の態様では、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に遺伝的変異をもつ患者における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供する。
本発明の態様では、PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して低い発現レベルを有する患者、または、RAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを有する患者の癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤提供する。
本発明の態様では、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを有する患者、または、SRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のいずれか1つ以上の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを有する患者における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供する。
本発明の態様では、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質が過剰発現している患者(この患者については既に試験が行われており、Her2タンパク質が認められている)における乳癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を提供する。
本発明の態様では、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異をもつ患者(この患者については既に試験が行われており、SMAD4遺伝子に変異があることが分かっている)における結腸直腸癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供する。
本発明の態様では、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に変異をもつ患者(この患者については既に試験が行われており、PTEN、EGFR、EZH2、SETD2、およびVHL遺伝子のうちのいずれか1つに変異があることが分かっている)における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供する。
本発明の態様では、PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して低い発現レベルを有する患者、またはRAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを有する患者における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を提供し、ここでこの患者については既に試験が行われており、PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のいずれか1つ以上の発現レベルが低いこと、または、遺伝子RAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14Aのうちのいずれか1つ以上の発現レベルが高いことが分かっている。
本発明の態様では、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを有する患者、またはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のいずれか1つ以上の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを有する患者における癌の治療に使用するための、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供し、ここでこの患者については既に試験が行われており、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のいずれか1つ以上の発現レベルが低いこと、またはUGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の発現レベルが高いことが分かっている。
本発明の態様では、患者における乳癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を提供し、ここでこの治療は、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、この患者のヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現を試験すること、および、この患者でHer2タンパク質が過剰発現していれば、HDAC阻害剤を投与すること、を含む。
本発明の態様では、患者における結腸直腸癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供し、ここでこの治療は、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子の遺伝的変異について患者を試験すること、および、SMAD4遺伝子に変異が認められれば、この組み合わせを投与すること、を含む。
本発明の態様では、患者における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供し、ここでこの治療は、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子の遺伝的変異について患者を試験すること、および、PTEN、EGFR、EZH2、SETD2、およびVHL遺伝子のうちのいずれか1つに変異が認められれば、この組み合わせを投与すること、を含む。
本発明の態様では、患者における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を提供し、ここでこの治療は、PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して低い発現レベルに関して、または、RAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルに関して患者を試験すること、およびPCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のいずれか1つ以上の低い発現レベル、または、RAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の高い発現レベルが認められた場合に、この組み合わせを投与すること、を含む。
本発明の態様では、患者における癌の治療に使用するためのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を提供し、ここでこの治療は、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルに関して、または、SRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のいずれか1つ以上の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルに関して患者を試験すること、および、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のいずれか1つ以上の低い発現レベル、または、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の高い発現レベルが認められた場合に、この組み合わせを投与すること、を含む。
本発明の態様では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に対する患者の応答性を試験するための方法を提供し、この方法は、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現を試験することを含む。具体的な態様では、この試験はインビトロで行われる。
本発明の態様では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に対する患者の応答性を評価するために、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現の使用を提供する。
本発明の態様では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に対する患者の応答性を評価するための、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質のプローブの使用を提供する。
本発明の態様では、それを必要とする患者における乳癌の治療に使用するための、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現を提供し、ここでこの治療は、患者におけるHer2タンパク質の過剰発現を同定すること、および、患者にHer2タンパク質の過剰発現が認められれば、その後、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与すること、を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における結腸直腸癌の治療に使用するためのSMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子における遺伝的変異を提供し、ここでこの治療は、患者のSMAD4遺伝子における変異を同定すること、および、その患者のSMAD4遺伝子に変異が認められれば、その後、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用を投与すること、を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における癌の治療において使用するための、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子の遺伝的変異を提供し、ここでこの治療は、患者におけるPTEN、EGFR、EZH2、SETD2、およびVHL遺伝子のいずれか1つにおける変異を同定すること、ここでこの治療は、PTEN、EGFR、EZH2、SETD2、およびVHL遺伝子のいずれか1つにおける変異の存在を同定すること、および患者のPTEN、EGFR、EZH2、SETD2、およびVHL遺伝子のいずれか1つに変異が認められれば、その後、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤を投与すること、を含む。
本発明の態様では、それを必要とする患者における乳癌の治療において使用するための、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質のプローブを提供し、ここでこの治療は、患者におけるタンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、Her2タンパク質の過剰発現を同定するためのこのプローブを使用すること、および、患者でHer2タンパク質の過剰発現が認められれば、その後、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与すること、を含む。
上述した方法および使用の一定の態様では、HDAC6阻害剤は、式Iの化合物、またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグである。
上述した方法および使用の一定の態様では、HDAC6阻害剤は化合物Aである。
癌型の相関研究
本発明の態様には、腫瘍型ごとの治療効果を関連づける、癌型の相関研究が含まれる。
相関研究では、多数の癌細胞株を使用することが好ましい。例えばそれらの細胞株は、乳癌、血液癌、結腸直腸癌、肺癌、皮膚癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、卵巣癌、および胃癌に特異的な可能性がある。しかしながら、他の形態の癌に特異的な細胞株を使用することもできる。加えて、1つの形態の癌、例えば乳癌に特異的な複数の細胞株を使用してもよい。
この癌型の相関研究では、それぞれの細胞株を培養し、別の癌治療と共に、または別の癌治療なしでHDAC阻害剤で処理する。その後、処理の終了時に、細胞株の生存率を測定する。生存率は当該分野で知られているいかなる手段によって測定してもよい。好ましくは、細胞株の感受性は、細胞の生存を50%阻害するHDAC阻害剤の濃度(IC50)で表される。
例えば、実施例により詳細に記載されている本研究の具体的な態様では、脳腫瘍/神経腫瘍、乳癌、リンパ癌、腎臓癌、結腸癌、大腸癌、および皮膚癌がそれぞれ、HDAC阻害剤と別の癌治療の併用療法に感受性があることを決定した。さらに、本研究の具体的な態様では、HDAC阻害剤単独、またはHDAC阻害剤と別の癌治療との併用療法のいずれに対しても、悪性の血液癌の感受性が最も高かったことを決定した。
遺伝的変異の相関研究
本発明の別の態様には、遺伝子変異解析と、治療型および腫瘍型を関連づける、遺伝的変異の相関研究が含まれる。
相関研究では、多数の癌細胞株を使用することが好ましい。例えばそれらの細胞株は、乳癌、血液癌、結腸直腸癌、肺癌、皮膚癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、卵巣癌、および胃癌に特異的な可能性がある。しかしながら、他の形態の癌に特異的な細胞株を使用することもできる。加えて、1つの形態の癌、例えば乳癌に特異的な複数の細胞株を使用してもよい。
この遺伝的変異の相関研究では、それぞれの細胞株を培養し、別の癌治療と共に、または別の癌治療なしでHDAC阻害剤で処理する。その後、処理の終了時に、細胞株の生存率を測定する。生存率は当該分野で知られているいかなる手段によって測定してもよい。好ましくは、細胞株の感受性は、細胞の生存を50%阻害するHDAC阻害剤の濃度(IC50)で表される。
多数の腫瘍遺伝子/腫瘍抑制因子遺伝子を解析して本研究の結果を生成することが好ましい。例えば、本方法では、多数の一般的な腫瘍遺伝子/腫瘍抑制因子の遺伝子を解析することができる。
遺伝子を解析し、遺伝子型と治療に対する細胞の感受性との間の相関を決定する。
細胞株の変異に関するプロファイルは、当該分野で知られているいかなる手段によって解析してもよい。細胞株の変異に関するプロファイルは、インターネット上のSanger COSMIC DB、www dot sanger dot ac dot uk/cosmicからダウンロードすることが好ましい。
遺伝子型と治療に対する細胞の感受性との間の相関の統計学的有意性は、当該分野で知られているいかなる手段によって解析してもよい。それぞれの遺伝子座、好ましくは「フィッシャーの直接確率検定」を用いて、遺伝子型と治療に対する細胞の感受性との間の相関の統計学的有意性(p<0.05)を算出する。
例えば、実施例でより詳細に記載している本研究の具体的な態様では、乳癌患者由来の生体試料の赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2)遺伝子の増幅または関連する他の任意の原因に起因する、上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して、過剰発現を、この患者がHDAC阻害剤を用いた治療に反応することの指標として関連付けた。本研究の具体的な態様はまた、結腸直腸癌患者由来の生体試料で、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在することを、この患者がHDAC阻害剤と別の癌治療との併用療法に反応することの指標として関連付けた。本研究の具体的な態様はさらに、癌患者由来の生体試料で、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に遺伝的変異が存在することを、この患者がHDAC阻害剤と別の癌治療との併用療法に反応することの指標として関連付けた。
しかしながら、本研究の具体的な態様は、乳癌患者由来の生体試料で、通常型または三種陰性突然変異(エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2/neu陰性)が存在することを、この患者がHDAC阻害剤を用いた治療に反応しないことの指標として関連付けた。
遺伝子発現の相関研究
本発明のさらなる態様には、遺伝子発現レベルと腫瘍型とを関連付ける、遺伝子発現レベルの相関研究が含まれる。
相関研究では、多数の癌細胞株を使用することが好ましい。例えばそれらの細胞株は、乳癌、血液癌、結腸直腸癌、肺癌、皮膚癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、卵巣癌、および胃癌に特異的な可能性がある。しかしながら、他の形態の癌に特異的な細胞株を使用することもできる。加えて、1つの形態の癌、例えば乳癌に特異的な複数の細胞株を使用してもよい。
この遺伝子発現の相関研究では、それぞれの細胞株を培養し、別の癌治療と共に、または別の癌治療なしで、HDAC阻害剤で処理する。その後、処理の終了時に、細胞株の生存率を測定する。生存率は当該分野で知られているいかなる手段によって測定してもよい。好ましくは、細胞株の感受性は、細胞の生存を50%阻害するHDAC阻害剤の濃度(IC50)で表される。
本研究で用いる細胞株の遺伝子発現プロファイルを得る必要がある。これらは、当該分野で知られているいかなる手段によって得てもよい。遺伝子発現プロファイルを、インターネット上にあり、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)が管理している、Array Express(AE)データベース、www dot ebi dot ac dot uk/arrayexpress/から得ることが好ましい。あるいは、遺伝子発現プロファイルは、NIHのサイトにあるcaArrayデータベース、https://cabig.nci.nih.gov/caArray_GSKdata/から得られる。より好ましくは、細胞株の遺伝子発現プロファイルは、上記2つのデータベースを組み合わせることで得られる。
次に、個々の遺伝子の発現強度を得て、個々の細胞株間で正規化する必要がある。この作業は、当該分野で知られているいかなる手段によって行ってもよい。Affymetrixの公開されているデータベースから、個々の遺伝子の発現強度を含むAffymetrix CELファイルをダウンロードし、次いで、個々の細胞株間での遺伝子発現値を正規化するために、インターネット上のR/BioConductorパッケージ、http://bioconductor.orgを使用するのが好ましい。相関係数とその有意差(p<0.001)は、それぞれのプローブセットのIC50値と正規化した遺伝子発現レベルとの間で、RパッケージのCORTEST関数を使って算出することができる。確認のために、有意な相関を示している遺伝子と全プローブセットのみを報告する必要があり、そのプローブセットのいずれかが有意でなかった遺伝子は除く必要がある。
あるいは、試料中のバイオマーカー遺伝子の発現のレベルを、そのバイオマーカー遺伝子によってコードされているバイオマーカータンパク質の発現のレベルを検出することで評価してもよい。バイオマーカータンパク質の発現のレベルは、試薬、具体的にはマーカータンパク質に結合する試薬を用いて検出することができる。好ましくは、試薬は、抗体、抗体断片、および抗体誘導体からなる群より選択される。
本発明の方法で使用することができる免疫測定法には様々なものがあり、その例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、蛍光免疫吸着法(FIA)、化学結合免疫吸着法(CLIA)、放射免疫測定法(RIA)、および免疫ブロット法が挙げられる。使用することができる別の免疫測定法については、LottspeichおよびZorbas(eds.)、Bioanalytik、第1版、1998、Spektrum Akademischer Verlag、ハイデルベルグ、ベルリン、ドイツを参照のこと。従って、発現のレベルは、プロテオミクス解析、フローサイトメトリー、免疫細胞化学、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着法、マルチチャネル酵素結合免疫吸着法、およびこれらの方法の変化型からなる群より選択される方法により、決定することができる。
あるいは、生体試料中のバイオマーカー遺伝子の発現レベルは、バイオマーカー遺伝子によってコードされている、転写されたバイオマーカーポリヌクレオチドの発現レベルを検出することで評価してもよい。例えば、転写されたバイオマーカーポリヌクレオチドとは、cDNA、mRNAまたはhnRNAである。
検出工程は、転写されたポリヌクレオチドを増幅することをさらに含む場合がある。増幅は、具体的には核酸を検出可能な量まで増幅するポリメラーゼ連鎖反応によって行うことができる。他の使用可能な増幅反応には、リガーゼ連鎖反応(LCR; Wu D. Y. and Wallace R. B., Genomics 4 (1989) 560−569;およびBarany F., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88 (1991)189−193);ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応(Barany F., PCR Methods and Applic. 1 (1991) 5−16); Gap−LCR (国際公開第90/01069号);鎖修復反応(欧州特許出願0439182A2)、3SR(Kwoh, D. Y. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 1173−1177; Guatelli, J. C. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990) 1874−1878; WO 92/08808)、およびNASBA(米国特許第5,130,238号)がある。さらに、鎖置換増幅(strand displacement amplification、SDA)、転写介在性増幅(TMA)、およびQβ−増幅(総説としては、例えばWhelen, A. C. and Persing, D. H., Annu. Rev. Microbiol. 50 (1996) 349−373; Abramson, R. D. and Myers T. W., Curr. Opin. Biotechnol. 4 (1993) 41−47を参照のこと)もある。検出工程では例えば、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法を用いることもできる。
他の好適なポリヌクレオチド検出法は、当該分野で知られており、また、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;およびAusubel, F. et al., Current Protocols in Molecular Biology, 1987, J. Wiley and Sons, NYなどの標準的な教科書に記載されている。また、ポリヌクレオチドの検出工程を行う前に、例えば沈降させる工程のような、精製工程を含めてもよい。検出方法としては、二本鎖ポリヌクレオチドの間に介入し、それらの蛍光を変化させる臭化エチジウムなどの特定の色素の結合または挿入が挙げられ得るがこれらには限定されない。必要に応じて、精製したポリヌクレオチドを制限消化のアロに電気泳動法で分離して、可視化してもよい。また、オリゴヌクレオチドの特定の配列へのハイブリダイゼーション、およびその後、ハイブリッドを検出することを含む、プローブを用いた検出法もある。さらに、当該分野でしられているさらなる工程の後に、DNAの配列を解析することも可能である。好ましい温度依存性DNAポリメラーゼはTaqポリメラーゼである。
あるいは、バイオマーカー遺伝子の発現レベルは、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件で転写されたマーカーポリヌクレオチドにアニールするプローブを用いて、試料中の転写されたマーカーポリヌクレオチドの存在を検出することによっても評価される。この方法は、均一なアッセイ系で行うことができる。「均一な」アッセイ系の例としてはTaqMan(登録商標)の系があり、これは、米国特許第5,210,015号、米国特許第5,804,375号および米国特許第5,487,972号に記載されている。簡単に説明すると、この方法は、二重標識したプローブと、Taq DNAポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を使用するものである。プローブは、PCR過程で増幅する標的配列に相補的で、かつ、各重合サイクルの工程の間中、2本のPCRプライマーの間に位置している。プローブは、それに結合している2種類の蛍光標識を含んでいる。1つはレポーター色素、例えば6−カルボキシフルオレセイン(FAM)などで、これは、2つ目の蛍光色素、6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン(TAMRA)の空間的な接近に起因するエネルギー移動によって収束する発光スペクトルを有している。各増幅サイクルが行われている間には、プライマーが結合したDNA鎖を伸長する過程にあるTaq DNAポリメラーゼが、アニーリングしているプローブと置き換わり、分解する。分解は、ポリメラーゼに固有の5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によるものである。このメカニズムによってレポーター色素が、TAMRAの停止活性から放たれる。その結果、プローブの開裂に伴って蛍光活性が上昇し、蛍光活性は、生成されたPCR産物の量と比例する。従って、増幅された標的配列は、放出された蛍光標識の強度を検出することで測定される。「均一な」アッセイ系の別の例としては、LightCycler(登録商標)装置で用いられているフォーマットを挙げられる(例えば米国特許第6,174,670号を参照のこと)。これらのうちのいくつかは、「キッシング(kissing)プローブ」フォーマットと呼ばれることもある。ここでもまた、2種類の相互作用する色素の使用を原理としているが、これらは、ドナー色素の発光波長が、蛍光共鳴エネルギー移動によって、アクセプター色素を励起することを特徴としている。COBAS(登録商標)AmpliPrep装置(Roche Diagnostics GmbH、D−68305マンハイム、ドイツ)が導入され、ビオチン化配列に特異的な補足プローブとストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズとの両方を使用し、標的配列を単離することによって、自動化が拡大された(Jungkind, D., J. Clin. Virol. 20 (2001) 1−6; Stelzl, E. et al., J. Clin. Microbiol. 40 (2002) 1447−1450)。これはその後、追加の多目的ツールであるTotal Nucleic Acid Isolation(TNAI)Kit(Roche Diagnostics)と一体化された。この実験用の試薬により、本質的にはBoom, R. et al., J. Clin. Microbiol. 28 (1990) 495−503が開発した方法を用いているCOBAS(登録商標)AmpliPrep装置で、血漿および血清から、全核酸を包括的に、配列特異的でなく単離することが可能になった。
例えば、実施例でより詳細に記載している本研究の具体的な態様は、癌患者由来の生体試料における、プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);およびDCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母)からなる群より選択される遺伝子のうちのいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して低い発現レベルを、この患者がHDAC阻害剤を用いた治療に反応することの指標として関連付けた。本研究の具体的な態様はまた、癌患者由来の生体試料における、ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子のうちのいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がHDAC阻害剤を用いた治療に反応することの指標として関連付けた。加えて、本研究の具体的な態様は、癌患者由来の生体試料における、UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);およびKIAA1598(KIAA1598)癌患者由来の生体試料においてこの患者がHDAC阻害剤と別の癌治療の併用療法に反応することの指標として関連付けた。さらに、本研究の具体的な態様は、セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子のうちのいずれか1つ以上の、遺伝子の正規化した発現レベルと比較して高い発現レベルを、この患者がHDAC阻害剤と別の癌治療との併用療法に反応することの指標として関連付けた。
乳癌に関する58遺伝子サインの予測モデル
本発明の態様には、HDAC阻害剤を用いた治療に反応する乳癌患者の同定に用いることができる58遺伝子サインの予測モデルが含まれる。
乳癌細胞株のIC50値とCCLEデータベース(www dot broad institute dot org/ccle/home)で公開されている遺伝子の発現との相関解析を用い、乳癌細胞株について研究を行い、58遺伝子サインの予測モデルを作成した。
「サイン」に含まれる58の遺伝子のうち、35遺伝子の低い発現と23遺伝子の高い発現が、「感受性のある」サインと関連し、35遺伝子の高い発現と23遺伝子の低い発現が「耐性のある」サインと関連した(図1を参照のこと)。58遺伝子の名前は:トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFB3);CD44分子(Indian血液group)(CD44);シトクロムp450、ファミリー4、サブファミリーZ、ポリペプチド2偽遺伝子(CYP4Z2P);インターフェロン誘導性タンパク質44(IFI44);溶質輸送体ファミリー9、サブファミリーA(NHE6、cation proton antiporter 6)、メンバー6(SLC9A6);v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2、神経/膠芽腫由来腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類)(ERBB2);v−yes−1 Yamaguchi肉腫ウイルス関連腫瘍遺伝子ホモログ(LYN);プレクストリンホモロジー様ドメイン、ファミリーA、メンバー1(PHLDA1);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARG);ジカルボニル/L−キシルロース還元酵素(DCXR);ウリジンホスホリラーゼ1(UPP1);ATP−結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー11(ABCC11);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC2(ジヒドロジオール脱水素酵素2;胆汁酸結合タンパク質;3−アルファ水酸化ステロイド脱水素酵素、III型)(AKR1C2);BCL2関連アタノジーン(athanogene)2(BAG2);ロイシンリッチリピートを含むTLR4相互作用物質(TRIL);性質不明のLOC440335(LOC440335);インヒビンβB(INHBB);dickkopf 1ホモログ(アフリカツメガエル)(DKK1);インスリン受容体基質2(IRS2);17番染色体オープンリーディングフレーム28(C17orf28);LIMドメインキナーゼ2(LIMK2);様グリコシルトランスフェラーゼ(LARGE);コイルドコイルドメイン含有82(CCDC82);溶質輸送体ファミリー40(鉄制御輸送体)、メンバー1(SLC40A1);テトラトリコペプチドリピート1を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1);formin様2(FMNL2);白血病抑制因子(LIF);トランスフォーミング増殖因子、β受容体2(70/80kDa)(TGFBR2);Gプロテイン結合受容体160(GPR160);サイトカイン誘導性SH2−含有タンパク質(CISH);ホスホリパーゼC、β4(PLCB4);B細胞リンカー(BLNK);ホスホリパーゼC、γ2(ホスファチジルイノシトール特異的)(PLCG2);カベオリン2(CAV2);プロリン脱水素酵素(酸化酵素(オキシダーゼ))1(PRODH);rasホモログファミリーメンバーB(RHOB);テトラトリコペプチドリピート3を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT3);カルビンディン2(CALB2);TSPY様5(TSPYL5);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXorf61);HHEX(hematopoietically expressed homeobox、造血細胞で発現するホメオボックス);cAMP応答配列結合タンパク質3様4(CREB3L4);Xボックス結合タンパク質1(XBP1);SPDEF(SAM pointed domain containing ets trsanscription factor、SAMポインテッドドメイン含有ets転写因子);核内受容体コアクチベーター7(NCOA7);ガラニンプレプロペプチド(GAL);HECT・RLDドメイン含有E3ユビキチンタンパク質リガーゼ5(HERC5);主要組織適合遺伝子複合体、クラスI、A(HLA−A);セントロメアタンパク質V(CENPV);FRAT2(frequently rearranged in advanced T−cell lymphomas 2、悪性T細胞リンパ腫で頻繁に再構成される);ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1);アデノシンA2b受容体(ADORA2B);Gプロテイン結合受容体、ファミリーC、グループ5、メンバーA(GPRC5A);エノイルCoAヒドラターゼドメイン含有1(ECHDC1);グアニル酸結合タンパク質1、インターフェロン誘導性(GBP1);スルファターゼ2(SULF2)、性質不明のLOC100507463(LOC100507463)、およびKIAA1324(KIAA1324)である。
上述した58の遺伝子のうち、高い発現が「感受性のある」サインと関連していたのは以下の遺伝子である:TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324。また、低い発現が「感受性のある」サインと関連していたのは以下の遺伝子である:CD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463。
上述した58の遺伝子の内、低い発現が「耐性のある」サインと関連していたのは以下の遺伝子である:TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324。また、高い発現が「耐性のある」サインに関連していたのは以下の遺伝子である:CD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463。
結果、HDAC阻害剤を用いた治療に対する腫瘍の感受性または耐性を決定するためにこの58遺伝子サインの予測モデルを使用して、患者由来の乳房腫瘍組織試料の感受性を予測することができる。
乳房腫瘍組織の感受性のある群は、3つの臨床的乳癌診断マーカー、ER陽性、PR陽性、および低悪性度の乳房腫瘍、にまとめた。乳房腫瘍組織の耐性のある群は、三種陰性(ER−PR−Her2/neu−)マーカーと関連があった。同様に、HDAC阻害剤を用いた治療に対する腫瘍の感受性または耐性を決定するために、これら3つの臨床的乳癌診断マーカーを使用して、患者由来の乳房腫瘍組織試料の感受性を予測することができる。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤
本発明の方法で使用されるHDAC阻害剤は、低分子有機化合物、抗体、siRNA、アプタマー、核酸、タンパク質、またはペプチドなど、いずれのHDAC阻害剤であってもよい。HDAC阻害剤は低分子有機化合物であることが好ましい。
好ましくは、HDAC阻害剤はHDAC6阻害剤である。このことは、HDAC阻害剤が、他の型のHDACよりもHDAC6を選択的に阻害することを意味している。
一側面では、HDAC6阻害剤は式Iの化合物、またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
Zは、NまたはCRであり、ここでRは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
環Aは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、(i)このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、炭素環、C(O)−R、C(O)O−R、もしくはS(O)であるか;または(ii)ZがCRの場合、Rは置換されていてもよい分岐アルキル、OR、またはN(R)(R)、−CHCHOH、OCHCHOH、SH、もしくはチオアルコキシであってよく;
または環BおよびRは、それらが結合している原子と一緒になって置換されていてもよい複素環、または置換されていてもよいヘテロアリールを形成してもよく;
またはRおよびRは、そのそれぞれが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい炭素環、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリール環を形成してもよく;
Rは、Hまたは置換されていてもよいアルキルであり;またはRおよび環Aは、一緒になって、置換されていてもよい縮合している二環を形成してもよく;
はそれぞれ独立して、それぞれが置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
はそれぞれ独立して、それぞれが置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは4、5、6、7または8であり;ならびに
pは0、1、または2である。
一態様では、環Aは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5、6、7、8−テトラヒドロイソキノリンである。
別の態様では、環Bは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、または5、6、7、8−テトラヒドロイソキノリンである。
一定の態様では、Rは、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールであるか、またはRは、OHまたはアルコキシである。
さらなる態様では、Rは、このそれぞれが置換されていてもよい、H、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、ナフチル、ピリジニル、OH、OCH、OCHCH、O−Pr、O−iPr、O−Bu、O−sBu、またはO−tBuである。
種々の態様においてRは、OH、アルコキシ、NH、NH(アルキル)、N(アルキル)(アルキル)、NH−アリール、NH−へトロアリール、N(アリール)(アリール)、N(アリール)(ヘテロアリール)、またはN(ヘテロアリール)(ヘテロアリール)である。
他の態様では、環Aに結合しているカルボニルおよびZ基は、互いにパラに配置されている。
他の態様では、環Aに結合しているカルボニルおよびZ基は、互いにメタに配置されている。
別の態様では、環Aに結合しているカルボニルおよびZ基は、互いにオルトに配置されている。
一態様では、HDAC6阻害剤は、式IIの化合物、またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
、X、X、もしくはXはそれぞれ独立して、N、CR’、O、S、NCR’、CR’CR’、OCR’、SCR’であるか欠損しており、またはXもしくはXは、Rと一緒になって二環を形成してもよく;ここでX、X、X、またはXのうちの3つまではNであってよく;
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、炭素環、C(O)−R、またはC(O)O−Rであり;
Rは、Hまたは置換されていてもよいアルキルであるか、または、RおよびXもしくはXは一緒になって、置換されていてもよい縮合している二環を形成してもよく;
R’はそれぞれ独立して、H、置換されていてもよいアルキル、ハロ、OH、NH、NHR’’、ハロアルキル、CN、N、NOであり;
R’’は、Hまたはアルキルであり;および
は、それぞれが置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
一定の態様では、X、X、X、およびXは全て、CR’である。
他の態様では、XおよびXはNであり、XおよびXはCR’である。
別の態様では、XおよびXはCR’であり、XおよびXはNである。
その上さらに他の態様では、XはNであり;XはS、NまたはOであり;XはCR’であり、およびXは欠損している。
一態様では、環Bは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、またはピラジニルである。
さらなる態様では、環Bは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ハロアルキル、hal、OH、NH、NHR’’、CN、N、またはNOによって置換されている。
一定の態様では、Rは、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールである。
別の態様では、HDAC6阻害剤は式IIIの化合物またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、炭素環、C(O)−R、またはC(O)O−Rであり;
は、置換されていてもよいヘテロアリールであり、および
Rは、Hまたは置換されていてもよいアルキルであるか、またはRおよびフェニル環は一緒になって、置換されていてもよい、縮合している[6、5]二環を形成してもよい。
一態様では、環Bは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、またはピラジニルである。
さらなる態様では、環Bは、アルキル、アリール、アラルキル、ハロアルキル、hal、OH、NH、CN、またはNOによって置換されている。
他の態様では、Rは、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、C(O)−R、またはC(O)O−Rである。
種々の態様においてRは、置換されていてもよいピリジニルである。
別の態様では、HDAC6阻害剤は式IVの化合物またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、または炭素環であり;
または環BおよびRはそれらが結合している原子と一緒になって置換されていてもよい複素環、または置換されていてもよいヘテロアリールを形成してもよく、および
Rは、Hまたは置換されていてもよいアルキルであるかまたは、Rおよび1、3−ピリミジニル環は一緒になって、置換されていてもよい縮合二環を形成してもよい。
一定の態様では、環Bは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、またはピラジニルである。
さらなる態様では、環Bは、アルキル、アリール、アラルキル、ハロアルキル、ハロ、OH、NH、CN、またはNOによって置換されている。
他の態様では、Rは、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールである。
別の態様では、RはOHまたはハロで置換されている。
一定の態様では、環BとRで形成されている環は、それぞれが置換されていてもよい、ピペリジン、ピロリジン、テトラヒドロキノリン、モルホリン、ピペラジン、テトラヒドロ−トリアゾロピラジン、またはジアゼパンである。
別の態様では、HDAC6阻害剤は、式Vの化合物またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
、X、またはXは、それぞれ独立してNまたはCR’であり;
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、または炭素環であり;
およびRはそれぞれ独立して、このそれぞれがさらに置換されていてもよい、H、NH(R)、N(R)(R)、N(R)CO(R)、COH、C(O)R、C(O)OR、C(O)NH、C(O)NH(R)、C(O)N(R)(R)、SO、SOR、SR、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、複素環、および炭素環であるか、または、RおよびRはそれらが結合している炭素と一緒になってカルボニルを形成し;
はそれぞれ独立して、このそれぞれがさらに置換されていてもよい、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環であり;
R’は、H、置換されていてもよいアルキル、ハロ、OH、NH、NHR’’、ハロアルキル、CN、N、NOであり;
R’’は、Hまたはアルキルであり;および
mは、1または2である。
関連する態様では、HDAC6阻害剤は、式Vaの化合物またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
、X、またはXはそれぞれ独立して、NまたはCR’であり;
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、または炭素環であり;
およびRはそれぞれ独立して、このそれぞれがさらに置換されていてもよい、H、NH(R)、N(R)(R)、N(R)CO(R)、COH、C(O)R、C(O)OR、C(O)NH、C(O)NH(R)、C(O)N(R)(R)、SO、SOR、SR、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、複素環、および炭素環であるか、または、RおよびRはそれらが結合している炭素と一緒になってカルボニルを形成し;
はそれぞれ独立して、このそれぞれがさらに置換されていてもよい、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環であり;
R’はH、置換されていてもよいアルキル、ハロ、OH、NH、NHR’’、ハロアルキル、CN、N、NOであり;
R’’は、Hまたはアルキルであり;および
mは、1または2である。
一態様では、X、X、およびX、は全て独立してCR’である。
別の態様では、環Bは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、またはピラジニルである。
さらなる態様では、環Bは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ハロアルキル、ハロ、OH、NH、NHR’’、CN、N、またはNOで置換されている。
一定の態様では、Rは、このそれぞれが置換されていてもよい、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールである。
別の態様では、HDAC6阻害剤は、式VIの化合物またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグであり、
式中、
環Bは、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、炭素環、OH、アルコキシ、NH、NH(アルキル)、またはN(アルキル)(アルキル)であり;
またはRおよびRは、そのそれぞれが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい炭素環、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリール環を形成してもよく;および
Rは、Hまたは置換されていてもよいアルキルである。
一態様では、環Bは、このそれぞれが置換されていてもよい、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、またはチアゾールである。
別の態様では、Rは、このそれぞれが置換されていてもよい、メチル、トリフルオロメチル、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、またはチアゾールである。
一定の態様では、Rは、OH、メトキシ、またはエトキシである。
種々の態様において環BおよびRはそれぞれ独立して、アルキル、ハロゲン、またはC(O)NRのうちの1つ以上で置換されており、ここでRは、Hまたはアルキルであり、Rは、Hまたはアルキルである。
他の態様では、環BおよびRはそれぞれ独立して、メチル、F、またはC(O)N(Me)のうちの1つ以上で置換されている。
本発明の代表的な化合物としては、下記表1の化合物が挙げられるがこれらには限定されない。
(表1のつづき)
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最も好ましい本発明の態様では、HDAC6阻害剤は以下の化学構造を有し、本明細書では化合物Aと呼ぶ。
好ましい態様では、本発明の方法に有用な化合物は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:化合物は、少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼを阻害することが可能である;化合物は、HDAC6を阻害することが可能である;化合物は、選択的HDAC6阻害剤である;化合物は、HDAC6のポリ−ユビキチン結合ドメインに結合する;化合物は、癌細胞(特に多発性骨髄腫細胞、非ホジキンリンパ腫(NML)細胞、乳癌細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞)でアポトーシスを誘導する事が可能である;および/または化合物は、アグリソームの形成を阻害することが可能である。
特定の好ましい態様では、本発明の方法に有用な化合物は、金属結合部分、好ましくは、ヒドロキサム酸などの亜鉛結合部分を含む。上述した通り、特定のヒドロキサム酸類はHDAC6活性の強力な阻害剤であり、理論により束縛されることは望まないが、これらのヒドロキサム酸類の効力は、少なくとも部分的には、その化合物の亜鉛との結合能によると考えられている。好ましい態様では、本発明の方法に有用な化合物は、アグリソーム経路に関与している生物学的標的、例えばチューブリンデアセチラーゼ(TDAC)またはHDAC活性を有する、HDAC6などの生物学的標的への選択性を付与することが可能な部分または領域を少なくとも1つ含んでいる。従って、特定の好ましい態様では、本発明の方法に有用な化合物は、亜鉛結合部分を含んでおり、これらの亜鉛結合部分は、その生物学的標的との結合に関与する分子の他の部分によって隔てられている。
本発明はまた、式Iの化合物、またはその薬学上許容可能なエステル、塩、もしくはプロドラッグを、薬学上許容可能な担体と共に含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の目的は、本明細書に記載の障害または疾患の治療に使用するための薬物の製造において、化合物(例えば、本明細書に記載の任意の式の)を、本明細書に記載したように使用することである。本発明の別の目的は、本明細書に記載の障害または疾患の治療に、化合物(例えば、本明細書に記載の任意の式の)を、本明細書に記載したように使用することである。
本発明の方法に有用な化合物は、遊離塩基形態の化合物を薬学上許容可能な無機酸または有機酸と反応させることによって、薬学上許容可能な酸付加塩として調製することができる。あるいは、薬学上許容可能な本発明の化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態の化合物と薬学上許容可能な無機塩または有機塩と反応させることで調製することができる。
あるいは、本発明の方法に有用な塩形態の化合物を、出発材料または中間産物の塩を使用することで調製することができる。
本発明の方法に有用な遊離酸または遊離塩基形態の化合物は、対応する塩基付加塩または酸付加塩形態からそれぞれ調製することができる。例えば、酸付加塩形態の本発明の方法に有用な化合物は、好適な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形態の本発明の方法に有用な化合物は、好適な酸(例えば、塩酸など)で処理することで、対応する遊離酸へと変換することができる。
本発明の方法に有用な化合物は、本明細書に記載の過程の中で溶媒和物(例えば、水和物)として、簡便に調製または形成することができる。本発明の方法に有用な化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールなどの有機溶媒を使って再結晶化させることで、水溶液/有機溶媒混合物から簡便に調製することができる。
加えて、本発明の方法に有用な化合物のいくつかは、1つ以上の二重結合、または1つ以上の不斉中心を有する。このような化合物は、ラセミ体、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、およびシス−もしくはトランス−またはE−もしくはZ−の二つの異性体形態、および、絶対立体化学の観点から、(R)−または(S)−、またはアミノ酸については(D)−または(L)−として定義され得る他の立体異性体形態として存在し得る。これら化合物のそのような全ての異性体形態は、本発明に明示的に含まれる。光学異性体は、それぞれの光学的に活性な前駆体から、上述した手順によって、またはラセミ混合物を分割することによって調製することができる。この分割は、分割剤の存在下で、クロマトグラフィーによってまたは再結晶化を繰り返すことによって、または当業者にしられているこれら技術のいくつかを組み合わせることによって行うことができる。分割の詳細については、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons, 1981)に見ることができる。本発明の方法に有用な化合物はまた、複数の互変異性形態で存在する場合もある。そのような場合本発明は明示的に、本明細書に記載の化合物の全ての互変異性形態を含む。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合または他の幾何的不斉中心を含む場合、かつ、別段の規定のない限り、この化合物がEとZの両方の幾何異性体を含むことが想定される。同様に、全ての互変異性形態が含まれると想定される。本明細書に見られる任意の炭素間二重結合の配向は、便宜上選択されるだけのものであり、文章中に異彩のない限り、特定の配向を指示するものではない。従って、本明細書では任意にトランスとして示される炭素間二重結合はシスであっても、トランスであっても、またはこの2つを任意の割合で含む混合物であってもよい。これら化合物のそのような全ての異性体形態は、本発明の方法に明示的に含まれる。本明細書に記載の化合物の全ての結晶形態も本発明の方法に明示的に含まれる。
本明細書では、本発明の方法に有用な化合物はその化学構造および/または化学名によって定義される。化合物が化学構造と化学名の両方で表されているが、化学構造と化学名が一致していない場合、その化合物は化学構造によって規定される。
本明細書における変異型のいかなる定義においても、化学基一覧の引用には、その変異型の単一の基としての定義、または一覧に挙げられている基との組み合わせとしての定義のいずれもが含まれる。本明細書における変異型に関する態様の引用には、任意の単一の態様としての、または他の態様またはその一部との任意の組み合わせとしてのその態様が含まれる。
他の癌治療
化学療法薬または他の抗癌薬などの任意の癌治療を、本発明の方法におけるHDAC阻害剤と組み合わせて使用してもよい。化学療法薬または他の抗癌薬は、例えば、低分子有機化合物、抗体、siRNA、アプタマー、核酸、タンパク質、またはペプチドで有り得る。抗癌薬がプロテアソーム阻害剤であることが好ましく、プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブであることがより好ましい。
医薬組成物
別の側面では、HDAC阻害剤は、式Iの化合物、またはその薬学上許容可能なエステル、塩、もしくはプロドラッグと、薬学上許容可能な担体とを一緒に含む医薬組成物に入った状態で提供される。さらなる側面では、その他の癌治療を含む医薬組成物が提供される。
本発明の方法に有用な化合物を医薬組成物として、任意の標準的な経路、具体的には経腸的に、例えば、経口的に、例えば、錠剤もしくはカプセルの剤形で、または非経口的に、例えば、注射用の溶液もしくは懸濁液として、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏もしくはクリームの剤形で、または経鼻用もしくは座剤の形態で投与することができる。本発明の方法に有用な化合物を、遊離形態で、または薬学上許容可能な塩の形態で、少なくとも1つの薬学上許容可能な担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、混合、造粒または被覆法などの標準的な様式によって製造することができる。例えば、経口用組成物は、活性成分と、a)希釈剤、例えば、乳糖、デキストロース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはさらに、c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望ならばd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム塩、または発泡性の混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香料および甘味料とを含む錠剤またはゼラチンカプセルであってよい。注射用組成物は、水性の等張溶液または懸濁液であっておく、また、脂肪エマルションまたは懸濁液から座剤を調製することができる。組成物は滅菌してもよく、および/または保存料、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶液化促進剤、浸透圧を調整するための塩および/または緩衝剤などの助剤を含んでいてもよい。さらに、これらは他の治療上有効な物質を含む場合もある。経皮使用に好適な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体とを含む。担体は、宿主の皮膚に浸透するのを助ける、吸収性の薬学的に許容可能な溶媒を含んでいてもよい。例えば、経皮的装置は、裏打ち、化合物と、必要に応じて担体とを含むリザーバー、場合によって、化合物の一定の、予め決められた速度で長時間宿主の皮膚に送達するための速度制御バリア、および装置を皮膚にしっかりと付着させる手段とを含む、包帯の形態である。マトリックス型の経皮製剤を使用することもできる。局所使用に好適な製剤、例えば、皮膚や眼用の製剤は、当該分野において周知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルであることが好ましい。それらは、可溶化剤、安定剤、浸透促進剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
本発明の方法に有用な化合物は、1つ以上治療薬と組み合わせて、治療上有効な量で投与することができる(医薬品の組み合わせ)。例えば、他の抗増殖剤、抗癌剤、免疫調節剤または抗炎症性物質との相乗効果が起こる可能性がある。本発明の化合物を他の治療法と共に投与する場合、同時に投与する化合物の用量は、使用する併用剤の種類、用いられる特定の薬剤、治療される状態などに応じて変わり得る。
併用療法には、対象化合物を、他の生物学的に活性な成分(第2のかつ別の抗腫瘍薬などであるがこれらには限定されない)および非薬物治療(手術または放射線療法などであるがこれらには限定されない)とさらに組み合わせて投与することが含まれる。例えば、本発明の化合物を、他の薬学的に活性な化合物、好ましくは本発明の化合物の効果を増強することが可能な化合物と組み合わせて用いることができる。本発明の化合物は、その他の薬物治療と同時に(単一のまたは別個の調製物として)またはその他の薬物治療と順次、投与することができる。併用療法とは一般的に、単一のサイクルまたは単一の治療の経過中に、2種類以上を投与することを想定している。
一定の態様では、これらの組成物は必要に応じて、1つ以上のさらなる治療薬をさらに含む。あるいは、本発明の方法に有用な化合物を、それを必要とする患者に、1つ以上他の治療薬の投与と組み合わせて投与してもよい。例えば、同時に投与するためのさらなる治療薬または、本発明の方法に有用な化合物と共に医薬組成物に含めるためのさらなる治療薬は認可された化学療法薬か、または、米国食品医薬品局で認可を受けていて、最終的に細胞の過剰増殖に関連する任意の障害の治療にかんして認可を得る、複数の薬剤のうちのいずれか1種であってよいであってよい。特定の他の態様では、さらなる治療薬は、本明細書でより詳細に議論するように、抗癌剤である。癌またはタンパク質分解障害の治療においては、化合物を、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、Rl1 5777 FTI、MG132、NPI−0052など)と組み合わせてもよい。癌またはタンパク質分解障害の治療においては、化合物を、タンパク質分解阻害剤(例えば別の発明化合物、ツバシン(tubacin)様化合物、ボルテゾミブ、Rl1 5777 FTI、MGl32、NPI−0052、SAHA、166Ho−DOTMP、三酸化ヒ素arsenic、17−AAG、MG 132など)と組み合わせてもよい。
本発明の方法に有用な化合物および医薬組成物を、併用療法に用いてもよいと理解される。つまり、化合物および医薬組成物を、1つ以上の他の望ましい治療法または医学的手技と同時に、それらの前に、またはそれらに続いて投与することができる。併用計画に用いる治療(薬物療法または手技)の特定の組み合わせでは、望まれる薬物療法および/または手技の適合性、および達成が望まれる治療効果を考慮する。さらに当然のことであるが、用いられる治療は、同じ障害に対して望まれる効果を達成するものであっても(例えば、本発明の化合物を別の抗癌剤と同時に投与してもよく)、または異なる効果(例えば、任意の有害事象の制御)を達成するものであってもよい。
また、本発明の方法に有用な化合物および医薬組成物を処方し、併用療法に使用してもよいと理解される。つまり、化合物および医薬組成物を、1つ以上の他の望ましい治療法または医学的手技と共に処方して、それらと同時に、それらの前に、またはそれらに続いて投与することができる。併用計画に用いる治療(薬物療法または手技)の特定の組み合わせでは、望まれる薬物療法および/または手技の適合性、および達成が望まれる治療効果を考慮する。さらに当然のことであるが、用いられる治療は、同じ障害に対して望まれる効果を達成するものであっても(例えば、本発明の化合物を別の免疫調節剤、抗癌剤または乾癬の治療に有用な薬剤と同時に投与してもよく)、または異なる効果(例えば、任意の有害事象の制御)を達成するものであってもよい。
例えば、本発明の方法に有用な化合物との併用において使用してもよい他の治療法または抗癌剤としては、これらには限定されないが、手術、放射線治療(例をいくつか挙げると、ガンマ線照射、中性子線照射治療、電位線照射治療、プロトン治療、小線源療法、および放射性同位体の全身性曝露など)、内分泌療法、生体反応変更因子(いくつか例を挙げると、インターフェロン、インターロイキン、抗体、アプタマー、siRNA、オリゴヌクレオチド、酵素、イオンチャネルおよび受容体阻害剤もしくは活性化剤など)、温熱療法および寒冷療法、任意の有害事象を和らげる薬剤(例えば、制吐剤)、および他の認可されている化学療法薬には、例えば、これらには限定されないが、いくつか例を挙げると、アルキル化剤(例えば、メクトレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(例えば、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラバイル(Cytarabile)、ゲムシタビン)、紡錘体毒(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(例えば、アスパラギナーゼ)、およびホルモン(例えば、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)などがある。最新の癌治療に関するより包括的な議論については、その全体がここで参照することによって組み込まれる、メルクマニュアル第17版(1999)を参照のこと。また、国立癌研究所(CNI)のウェブサイト(www dot nci dot nih dot gov)および、認可を受けた抗癌剤に関しては、米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイト(www dot fda dot gov/cder/cancer/dmglistfrarne)を参照のこと。
一定の態様では、本発明の方法に有用な医薬組成物は、1つ以上のさらなる治療上活性成分(例えば、化学療法および/または対症療法)をさらに含む。本発明の目的では、「対症療法」という用語は、疾患の症状および/または治療計画の副作用の緩和に焦点を当てており、根治療法ではない治療を指す。例えば、対症療法には、鎮痛剤、吐き気止め、解熱剤、および酔い止めが包含される。加えて、化学療法、放射線治療および手術も全て対症療法的に(すなわち、根治しないが症状を緩和させるために;例えば、腫瘍を退縮させる、血圧、出血、疼痛および癌の他の症状を低減させるために)用いることができる。
化合物および組成物は、ホルモン性の薬剤およびステロイド系抗炎症剤(これらには限定されないが、エストラジオール、結合型エストロゲン(例えば、PREMARIN、PREMPRO、およびPREMPHASE)、17β−エストラジオール、サケカルシトニン、レボチロキシン、デキサメタゾン、メドロキシプロゲステロン、プレドニゾン、コルチゾン、フルニソリド、およびヒドロコルチゾン);非ステロイド系抗炎症剤(例えば、これらには限定されないが、トラマドール、フェンタニル、メタミゾール、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナブメトン、ケトララク(ketoralac)、トロメタミン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、およびアセトアミノフェン;抗TNF−α抗体、例えばインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))およびエタネルセプト(ENBREL(登録商標))と共に投与することができる。
本発明の方法に有用な医薬組成物は、1つ以上の薬学上許容可能な担体とともに成形された治療上有効な量の本発明の化合物を含む。本明細書で使用する場合、「薬学上許容可能な担体」という用語は、有毒でない、不活性な固体、半固体または液体の賦形剤、希釈剤、カプセル化材料またはいかなる種の製剤補助剤を意味している。本発明の方法に有用な医薬組成物は、経口的に、直腸内に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹膜内に、局所的に(粉末、軟膏、または薬滴として)、口腔内に、または経口用もしくは経鼻用スプレーとして、ヒトや他の動物に投与することができる。
本発明の治療法によれば、対象に治療上有効な量の本発明の化合物を、そのような量でかつ、所望される結果を達成するのに必要とされる期間投与することで、ヒトまたは他の動物である対象における障害が治療または予防される。本発明の方法に有用な化合物の「治療上有効な量」という用語は、本明細書で使用する場合、対象における障害の症状を低減させるのに十分な量のそのような化合物を意味する。医学分野では周知の通り、治療上有効な量の本発明の化合物は、リスク対効果比が任意の医学的治療に対して妥当なものである。
本発明の方法に有用な化合物は通常、単独であるいは1つ以上の治療薬との併用のいずれかで、当該分野で知られている一般的で許容可能な方法によって、治療上有効な量で投与される。治療上有効な量は、疾患重篤度、対象の年齢や関連する健康状態、使用される化合物の効力および他の要因により、大きく変わり得る。通常、1日の投与量が全身的に、体重1キログラムあたり約0.03〜2.5mg(0.05〜4.5mg/m)で十分な結果が得られると示されている。より大きな哺乳動物、例えばヒトについて示される1日の投与量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、例えば、分割投与で1日4回まで、または遅延薬の形態により、簡便に投与される。経口投与に好適な単位容量形態は、およそ1〜50mgの活性成分を含む。
一定の態様では、本発明の方法に有用な化合物の治療上の量または投与量は、約0.1mg/kg〜約500mg/kg(約0.18mg/m〜約900mg/m)、あるいは約1〜約50mg/kg(約1.8〜約90mg/m)の範囲であってよい。本発明の治療計画は通常、本発明の方法に有用な化合物を単回投与または複数回投与で、1日あたり約10mg〜約1000mg、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む。治療上の量または投与量もまた、投与経路、ならびに他の治療薬と併用する可能性によって、変わり得る。
対象の状態が改善された場合、必要に応じて、維持用量の本発明の方法に有用な化合物、組成物または組み合わせを投与してもよい。その後、症状の働きに従って、改善された状態が維持されるレベルまで投与量もしくは投与頻度、またはその両方を減らしてもよく、症状が望ましいレベルまで軽減されれば、治療を終える。しかしながら対象は、病徴の再発に際しては、長期間の断続的な治療を求めてもよい。
しかしながら、当然であるが、本発明の方法に有用な化合物および組成物の1日用量の合計は、担当医師によって、健全な医学的判断の範囲内で決定される。任意の特定の患者にたいする特定の阻害的な投与量は、治療する障害やその障害の重篤度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別および食事;投与時間、投与経路、および使用する特定の化合物の排出速度;治療期間;使用する特定の化合物と併用するまたは同時投与する薬剤;ならびに医学の分野でよくしられている同様の要因などの様々な要因に依存する。
本明細書で使用される「同時投与」または「併用」などの用語は、選択した治療薬を単一の患者に投与することを包含することを意図しており、また、複数の薬剤が同じ投与経路で、または同時に投与する必要のない治療計画を含むことを想定している。
本明細書で使用する場合「医薬品の組み合わせ」という用語は、1種類を上回る活性成分を混合または組み合わせることで得られる産物を意味し、かつ、活性成分の組み合わせが一定のものと一定でないものを含む。「一定の組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の方法に有用な化合物と併用薬の両方が、単一の実体または用量の形態で、患者に当時に投与されることを意味する。「一定でない組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の方法に有用な化合物と併用博の両方が、患者体内での2種類の化合物がそのような投与によって治療上有効なレベルになる場合、別個の実体として、同時に、並行して、または順次、特定の時間的な制限なしに、投与されることを意味する。後者はカクテル療法、例えば3種類以上の活性成分の投与にも当てはまる。
癌の種類
本発明の方法を用いて、HDAC阻害剤を単独で、または別の癌治療と組み合わせて用いた治療に反応するまたは治療に反応する見込みがある癌患者を同定してもよい。本発明の方法は、いかなる種類の癌に患っている患者の同定にも用いることができる。好ましくは、癌は、脳腫瘍/神経腫瘍、乳癌、中枢神経系の癌、造血組織およびリンパ組織の癌、腎臓癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、膵癌、前立腺癌、皮膚癌、軟部組織癌、および胃癌からなる群より選択される。
生体試料
本発明の方法は、試料の遺伝的変異の状態または試料の遺伝子発現レベルの状態を決定するために、患者から生体試料を採取することを伴うことがある。生体試料は例えば、腫瘍試料に由来するものであっても、腫瘍生検、全血、血液血清、血漿、精液、尿、粘液、または他の体組織であってもよい。本発明の好ましい態様では、生体試料は、血液血清、血漿、腫瘍組織、または腫瘍生検試料である。腫瘍組織は、ホルマリンで固定し、パラフィン包埋した腫瘍組織であっても、または凍結した腫瘍組織であってもよい。
バイオマーカー
本発明の方法を用いて、HDAC阻害剤を単独でまたは別の癌治療と組み合わせて使用する治療に反応するまたは治療に反応する見込みがある癌患者の同定に使う事が出来るバイオマーカーを同定してもよい。例えば、1つ以上の抗癌剤に対する細胞の感受性との相関がある遺伝的変異をバイオマーカーとして使用してもよい。加えて、1つ以上の抗癌剤に対する細胞の感受性との相関がある遺伝子の遺伝子発現レベルをバイオマーカーとして使用してもよい。
好ましくは、バイオマーカーは、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2);赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2);SMADファミリーメンバー4(SMAD4);ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN);上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR);ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2);SETドメイン含有2(SETD2);フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL);プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);ABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A);UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される。これら遺伝子または遺伝的変異はそれぞれ、当該分野でよく知られている。
本発明にはまた、上述したバイオマーカータンパク質または遺伝子の突然変異、変異体または変種も含まれる。そのような突然変異、変異体または変種では、バイオマーカータンパク質または遺伝子の天然の配列が、そのタンパク質または遺伝子の1つ以上のアミノ酸または核酸における1つ以上置換、修飾、欠損、または挿入によって変化している。さらに、そのような突然変異、変異体または変種には、遺伝子増幅、染色体転座、タンパク質の過剰発現、タンパク質の過小発現、遺伝子の過剰発現、および遺伝子の過小発現も包含され得る。「天然の配列」という用語は、野生型または天然の型のバイオマーカータンパク質または遺伝子と同一のアミノ酸配列または核酸配列を指す。
キット
本発明の特定の態様は、本発明の方法で使用してもよいキットを含む。
本発明の特定の態様では例えば、本発明は、赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2);SMADファミリーメンバー4(SMAD4);ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN);上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR);ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2);SETドメイン含有2(SETD2);フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL);プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);ABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A);UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子のいずれか1つまたはその断片に相補的な核酸またはプローブ、およびその遺伝子の存在または遺伝子の発現レベルを検出するための核酸の使用説明書を含むキットを提供する。
本発明の別の態様は、赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2);SMADファミリーメンバー4(SMAD4);ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN);上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR);ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2);SETドメイン含有2(SETD2);フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL);プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);ABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A);UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子のいずれか1つ、またはその断片から生産されるタンパク質に結合する抗体、および遺伝子の存在または遺伝子の発現レベルを検出するための核酸の使用説明書を含むキットを提供する。
医薬品の組み合わせ
本発明の化合物は、治療上有効な量で、1つ以上治療薬と組み合わせて投与することができる(医薬品の組み合わせ)。併用療法は一般滴に、2種類以上の薬剤を単一のサイクルまたは治療の経過中に投与することを想定している。特定の態様では、本発明の化合物を、以下の構造をもつレナリドミド(レブラミド(Revlimid))と組み合わせて投与する。
レブラミドは例えば、米国特許第5,635,517号に記載されており、その全文は参照することにより本明細書に組み入れられる。
また当然のことながら、本発明の化合物および医薬組成物を併用療法に用いてもよい。つまり、化合物および医薬組成物を、1つ以上の他の望ましい治療または医学的手技と同時に、それらに先だって、またはそれらの後に投与することができる。併用計画で用いるための特定の治療の組み合わせ(治療または手技)については、所望の治療および/または手技の適合性ならびに達成されることが望まれる治療効果を考慮する。さらに、用いられる複数の治療は、同じ障害に所望される効果をもたらすものであっても(例えば、本発明の化合物を別の抗癌剤と並行して投与してもよい)、またはそれらは異なる効果(例えば副作用の制御)をもたらすものであってもよいと理解される。
特定の態様では、2−(ジフェニルアミノ)−N−(7−(ヒドロキシアミノ)−7−オクソヘプチル)ピリミジン−5−カルボキサド、レブラミド、および薬学上許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。別の態様では、対象に、2−(ジフェニルアミノ)−N−(7−(ヒドロキシアミノ)−7−オクソヘプチル)ピリミジン−5−カルボキサド、およびレブラミドを投与することを含む、それを必要とする対象の多発性骨髄腫を治療する方法を提供する。薬剤は、単一の単位用量として一緒に、別個の単位であるがおよそ同時に、または違う時間に投与することができる。
本明細書の上記および下記の両方で言及している全ての特許、特許出願、および出版物は、ここで参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は本発明の理解を助けるために提供するものである。本発明の精神おとび範囲から逸脱することなく、以下に示す手法を変更することが可能であると理解される。
当該分野の技術に含まれる標準的な分子生物学および核酸化学の技法は文献で説明されており、本発明の実践に用いられる。例えば、Sambrook, J. et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Gait, M. J.(編)Oligonucleotide synthesis−−a practical approach,IRL Press Limited,1984;Hames, B. D. and Higgins, S. J.(編)Nucleic acid hybridisation−−a practical approach,IRL Press Limited,1985; および一連のMethods in Enzymology,Academic Press,Inc.を参照のこと。これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1 癌型の相関研究
この実施例では、化合物Aを単独でまたはボルテゾミブとの併用で用いた治療に、どの種の癌が感受性を有するかを決定するのに行われた相関研究について説明する。
解析用に、65種類の癌細胞株(内訳は、乳癌12種、血液癌11種、結腸直腸癌9種、肺癌6種、皮膚癌6種、脳腫瘍4種、腎臓癌3種、肝臓癌3種、前立腺癌3種、膵癌3種、卵巣癌3種、および胃癌2種)を選択した。各細胞株を培養し、HDAC6阻害剤、化合物A、プロテアソーム阻害剤を含むかまたは含まない、ボルテゾミブで処理し、その後、処理の終了時に細胞の生存率を測定した。細胞株の感受性は、細胞の生存率を50%阻害する化合物Aの濃度(IC50)を使って表した。全ての解析において、生のIC50値よりも正規分布している薬剤感受性の対数値(つまり、Log[IC50])を使用した。これは、標準的な統計的検定は(例えば、t検定や相関分析)、データ点が正規分布していると仮定しているためである。
この相関研究の結果は以下の通りである。大部分の細胞株が化合物A単独またはボルテゾミブ単独のいずれかに耐性をもっていた。また、卵巣癌の細胞株は化合物Aとボルテゾミブの併用処理に耐性であった。加えて、脳/神経腫瘍、乳癌、リンパ癌、腎臓癌、結腸/大腸癌、および皮膚癌の細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に感受性があった。さらに、悪性血液癌の細胞株が、化合物A単独、または化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対して最も感受性が高かった。
実施例2 遺伝的変異の相関研究
この実施例では、どの遺伝的変異、従って癌の種類が、化合物Aの単独処理またはボルテゾミブとの併用処理に感受性をもっているかを決定するために行った相関研究について説明する。
解析用に、65種類の癌細胞株(内訳は、乳癌12種、血液癌11種、結腸直腸癌9種、肺癌6種、皮膚癌6種、脳腫瘍4種、腎臓癌3種、肝臓癌3種、前立腺癌3種、膵癌3種、卵巣癌3種、および胃癌2種)を選択した。各細胞株を培養し、HDAC6阻害剤、化合物A、プロテアソーム阻害剤を含むかまたは含まない、ボルテゾミブで処理し、その後、処理の終了時に細胞の生存率を測定した。細胞株の感受性は、細胞の生存率を50%阻害する化合物Aの濃度(IC50)を使って表した。全ての解析において、生のIC50値よりも正規分布している薬剤感受性の対数値(つまり、Log[IC50])を使用した。これは、標準的な統計的検定は(例えば、t検定や相関分析)、データ点が正規分布していると仮定しているためである。
次に、試験した細胞株の薬剤応答に関連がある遺伝的な特徴(この実施例では突然変異)について調べた。
遺伝的変異の相関試験用に、一般的な50種の腫瘍遺伝子/腫瘍抑制因子遺伝子を選択して、結果を解析した。それぞれの細胞株の変異プロファイルは、インターネット上のSanger COSMIC DB(www dot sanger dot ac dot uk/cosmic)からダウンロードした。各遺伝子座について「フィッシャーの直接確率検定」を用い、遺伝子型と治療に対する細胞の感受性との間の相関の統計学的有意性(p<0.05)を算出した。これらの試験において、8つの遺伝的変異の遺伝子型を同定した。
赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2)遺伝子の増幅または他の任意の手段によってヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質を、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して過剰発現させると、その乳癌細胞株は化合物Aによる処理に対して感受性であった。
基礎型または三種陰性突然変異(エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2/neu陰性)の乳癌細胞株は、化合物Aによる処理にたいして耐性をもっていた。
SMAD4遺伝子に遺伝的変異をもつ結腸直腸癌細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対して感受性であった。
ホスファターゼ・テンシン・ホモログ遺伝子、PTENに遺伝的変異をもつ試験した全ての癌細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に感受性があった。
ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子、EZH2に遺伝的変異をもつ試験した全ての癌細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対して感受性があった。
上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子、EGFRに遺伝的変異をもつ試験した全ての癌細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対して感受性があった。
SETドメイン含有2遺伝子、SETD2に遺伝的変異をもつ試験した全ての癌細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対して感受性があった。
フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子遺伝子、VHLに遺伝的変異をもつ試験した全ての癌細胞株は、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対して感受性があった。
実施例3 遺伝子発現レベルの相関研究
この実施例では、どの遺伝子発現プロファイル、従って癌の種類が、化合物Aを単独で、またはボルテゾミブとの併用で用いた治療に対して感受性をもっているかを決定するために行った相関研究について説明する。
解析用に、65種類の癌細胞株(内訳は、乳癌12種、血液癌11種、結腸直腸癌9種、肺癌6種、皮膚癌6種、脳腫瘍4種、腎臓癌3種、肝臓癌3種、前立腺癌3種、膵癌3種、卵巣癌3種、および胃癌2種)を選択した。各細胞株を培養し、HDAC6阻害剤、化合物A、プロテアソーム阻害剤を含むかまたは含まない、ボルテゾミブで処理し、その後、処理の終了時に細胞の生存率を測定した。細胞株の感受性は、細胞の生存率を50%阻害する化合物Aの濃度(IC50)を使って表した。全ての解析において、生のIC50値よりも正規分布している薬剤感受性の対数値(つまり、Log[IC50])を使用した。これは、標準的な統計的検定は(例えば、t検定や相関分析)、データ点が正規分布していると仮定しているためである。
次に、試験した細胞株の薬剤応答に関連がある遺伝的な特徴(この実施例では遺伝子の発現レベル)について調べた。
遺伝子発現レベルの相関試験用に、細胞株の遺伝子発現プロファイルを2つの独立した供給源、欧州バイオインフォマティクス研究所が管理しているインターネット上のArrayExpress(AE)データベース(URL:http://www.ebi.ac.uk/arrayexpress/)、およびNIHのcaArrayデータベース(URL:https://cabig.nci.nih.gov/caArray_GSKdata/)から得た。さらに、これらの公開データベースに由来する個々の遺伝子の発現強度を含んだAffymetrixCELファイルをダウンロードし、そして、個々の細胞株間の遺伝子−発現値を正規化するために、インターネット上のR/BioConductorパッケージ(URL:http://bioconductor.org)を使用した。RパッケージのCORTEST機能を利用して、それぞれのプローブセットのIC50値と正規化した遺伝子発現レベルとの間の相関係数およびその有意差(p<0.001)を算出した。確認のために、全てのプローブセットで有意な相関を示している遺伝子のみを報告し;いずれかのプローブセットで有意差を示さなかった遺伝子を排除した。
全体として、48遺伝子の発現レベルが、治療に対する細胞の感受性との有意な関連を示した。
これら48の遺伝子のうちの35が、化合物A単独での処理に対する感受性と関連があった。11の遺伝子、PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4の発現レベルが、IC50値と正の相関があった(つまり、遺伝子の発現レベルが高いほど、細胞の処理に対する耐性が高くなるか、または遺伝子の発現レベルが低いほど、処理に対して細胞がより感受性になる)。24の遺伝子、RAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14Aの発現レベルは、IC50値と負に相関があった(つまり、遺伝子の発現レベルが高いほど、細胞が処理に対して感受的になり、遺伝子の発現レベルが低いほど、細胞の処理に対する耐性が高くなった)。
これら48の遺伝子のうちの13が、化合物Aとボルテゾミブとの併用処理に対する感受性と関係していた。5つの遺伝子、UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598の発現レベルはIC50値と正の相関があった(つまり、遺伝子の発現レベルが高いほど、細胞の処理に対する耐性が高まり;遺伝子の発現レベルが低いほど、細胞は処理に対してより感受的になった)。8つの遺伝子、SRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3の発現レベルは、IC50値と負の相関があった(つまり、遺伝子の発現レベルが高いほど、細胞は処理に対してより感受的になり;遺伝子の発現レベルが低いほど、細胞の処理に対する耐性が高まった)。
実施例4:化合物Aに対する感受性に関連する遺伝子サイン
異なる遺伝子発現プロファイルのデータベースCCLE(Cancer Cell Line Encyclopedia、癌細胞株エンサイクロペディア)を用いて化合物Aの細胞毒性のデータを解析した後、これらの新しい遺伝子の群を、化合物Aに対する細胞毒性の感受性に関連があると同定した。2つの独立した解析方法、つまり、t検定と重回帰分析法を用いて、化合物Aに対する感受性と関連のある遺伝子サインを同定した。
t検定では、特に感受性(第1群)または耐性(第2群)の表現型に関連する遺伝子サインを同定するために、遺伝子発現のデータをデータベース中で感受性か耐性かのいずれかに分類し、それぞれを、一般的なデータの蓄積と比較した。重回帰分析法では、実験によって得られたIC50のデータ全体を使ってIC50の予測曲線を生成した。IC50の予測曲線は、重回帰分析アルゴリズムを用いた31の遺伝子(第3群)の発現データを含むものとなった。この予測曲線は、任意の所定の細胞の感受性(IC50)を、その遺伝子発現のデータに基づいて予測するのに使用する。いずれの検定も、遺伝子発現のサインを生成するのに一般的に使用されている方法であり、今後、実験的に確認するために必要な両試験の結果も本明細書に含めた。
これまでの遺伝子リストと比較すると、NEDD4とPAPSS2の2つの遺伝子が重複していた(下記(3))。
(1)t検定により、これら28の遺伝子から構成される遺伝子発現サインが化合物Aに対して感受性をもつ細胞で見出された:
TFP1、DDX60、MYL9、EREG、IL18、LOC253039、PLAU、CXCL2、FOXQ1、PYCARD、TSTD1、AHNAK2、LHFP、LEPREL1、UCP2、IL1RAP、SNAI2、RHOF、FZD5、PRTFDC1、MXRA7、STEAP2、C15orf48、SMARCA1、PTGES、EGFR、SATB2、LOC100288092、
(2)t検定により、これら25の遺伝子から構成される遺伝子発現サインが、化合物Aに対して耐性をもつ細胞で見出された:
EREG、GDPD5、IFITM1、LOC100129502、INHBB、S100A10、S100A6、SCML1、ABCC4、THRB、GNG12、SDCBP、PTGR1、GSTA4、MGST1、CELSR2、SEPT10、ARNTL2、SMARCA1、MSN、FAM43A、PROCR、ELOVL7、CAPG、ANXA1、
(3)重回帰分析法を用いた化合物Aの感受性予測曲線は、これら31の遺伝子発現データから構成した:
SMARCA1、CNKSR3、TFPI、FBXO17、NEDD4、ITGAV、COL18A1、WWTR1、LOC100130776、HECTD2、SLC26A2、ADM、GJC1、RBPMS、PAPSS2、LAMB1、TXNIP、FSCN1、ARHGDIB、TRAPPC2、DRAM1、CRIM1、NME4.UGDH、FAM57A、AGPAT9、FMNL2、FAM114A1、GPR125、GALNT2、SLC7A11。
実施例5:選択的HDAC−6阻害剤である化合物Aを使った癌細胞株の大規模スクリーニングにより標的となる可能性がある癌および予測バイオマーカーの候補を同定する。
化合物AはHDAC6(ヒストンデアセチラーゼ6)の選択的阻害剤であり、現在は、再発性および難治性の多発性骨髄腫の第I相臨床試験において単独で、およびボルテゾミブ(ベルケイド)またはレナリドミド(レブラミド)との併用で用いられている。HDACの阻害剤は、ヒストンタンパク質と非ヒストンタンパク質の両方のアセチル化レベルを高め、その結果、成長の停止、細胞の分化およびアポトーシスを生じることによって、強力な抗癌活性を示すことが分かっている。本実施例では、今後の臨床開発に関するさらなる腫瘍学的な指標を定義し、腫瘍感受性および薬剤耐性のバイオマーカーとしての潜在性を同定するために、主要な癌型に由来する65のヒト腫瘍細胞株のパネルを用い、化合物Aのより広義の抗腫瘍活性について解析した。
試験した腫瘍型のなかでも、いくつかのリンパ腫および白血病細胞株が化合物Aの処理に対して実質的に感受的であることが分かった。細胞株パネルに由来する、細胞の生存率、基礎となる遺伝学、およびベースラインの遺伝子発現データと癌細胞株Encyclopedia(CCLE)で報告されているIC50値と遺伝子発現レベルの関係を組み合わせることで、感受性細胞または耐性細胞のそれぞれに関して2つの遺伝子サインを同定した。これらの遺伝子サインには、ErbBシグナル伝達経路、クロマチンリモデリングおよびタンパク質のユビキチン化に関与する遺伝子が含まれている。遺伝子サインを用いた生体経路解析では、アポトーシスにおけるカスパーゼカスケード、PDGFR−アルファ、S1P3、およびErbB4のシグナル伝達経路などの特定のシグナル伝達経路の過剰出現が示された。これらの結果のうちのいくつかは、提唱されている、誤って折り畳まれたタンパク質の排出阻害を介した選択的HDAC6阻害の細胞毒性を支持するものであるが、一方、他の知見は、HDAC6の選択的阻害剤である化合物の影響を受けるさらなる新規経路を示唆している。
遺伝子サインを使って予測した感受性および耐性細胞株を確認にすることより、化合物Aと認可されている標準的な治療用医薬品との組み合わせを使って今後行う、インビトロおよびインビボでの確認のための、予測バイオマーカーが開発され、かつ、腫瘍型が選択されるだろう。
実施例6 乳癌に関する58遺伝子サインの予測モデルの開発
HDAC阻害剤である化合物Aを使って65の癌細胞株について解析を行った。リンパ腫細胞を、化合物Aに対して最も感受性の高い群であると同定した。遺伝子発現プロファイルのサインおよび複数の遺伝的変異が、化合物Aへの感受性に密に関係しており、HDAC阻害剤である化合物Aに対する癌の感受性を予測するバイオマーカーとして使用できることを示した。
試験した癌細胞群のなかでも、IC50値とCCLEデータベース(www dot broad institute dot org/ccle/home)で公開されている遺伝子発現のデータとの相関解析から、確実な58遺伝子サインの予測モデルを確立できたのは、16の乳癌細胞株から構成されている乳癌細胞の群だけであった。その他の3群、肺癌、AML、およびリンパ腫の群は全て、1)データセットのサイズ、または2)IC50値の幅が狭かったことが理由で、確実なモデルを確立することができなかった。
「サイン」に含まれる58の遺伝子に関し、発現の低い35遺伝子と発現の高い23遺伝子は、「感受性」のサインに関連のある遺伝子であり、一方、発現の高い35遺伝子と発現の低い23遺伝子は、「耐性のある」サインと関連していた(図1を参照のこと)。これら58遺伝子の名称は:トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFB3);CD44分子(Indian血液group)(CD44);シトクロムp450、ファミリー4、サブファミリーZ、ポリペプチド2偽遺伝子(CYP4Z2P);インターフェロン誘導性タンパク質44(IFI44);溶質輸送体ファミリー9、サブファミリーA(NHE6、cation proton antiporter 6)、メンバー6(SLC9A6);v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2、神経/膠芽腫由来腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類)(ERBB2);v−yes−1 Yamaguchi肉腫ウイルス関連腫瘍遺伝子ホモログ(LYN);プレクストリンホモロジー様ドメイン、ファミリーA、メンバー1(PHLDA1);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARG);ジカルボニル/L−キシルロース還元酵素(DCXR);ウリジンホスホリラーゼ1(UPP1);ATP−結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー11(ABCC11);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC2(ジヒドロジオール脱水素酵素2;胆汁酸結合タンパク質;3−アルファ水酸化ステロイド脱水素酵素、III型)(AKR1C2);BCL2関連アタノジーン(athanogene)2(BAG2);ロイシンリッチリピートを含むTLR4相互作用物質(TRIL);性質不明のLOC440335(LOC440335);インヒビンβB(INHBB);dickkopf 1ホモログ(アフリカツメガエル)(DKK1);インスリン受容体基質2(IRS2);17番染色体オープンリーディングフレーム28(C17orf28);LIMドメインキナーゼ2(LIMK2);様グリコシルトランスフェラーゼ(LARGE);コイルドコイルドメイン含有82(CCDC82);溶質輸送体ファミリー40(鉄制御輸送体)、メンバー1(SLC40A1);テトラトリコペプチドリピート1を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1);formin様2(FMNL2);白血病抑制因子(LIF);トランスフォーミング増殖因子、β受容体2(70/80kDa)(TGFBR2);Gプロテイン結合受容体160(GPR160);サイトカイン誘導性SH2−含有タンパク質(CISH);ホスホリパーゼC、β4(PLCB4);B細胞リンカー(BLNK);ホスホリパーゼC、γ2(ホスファチジルイノシトール特異的)(PLCG2);カベオリン2(CAV2);プロリン脱水素酵素(酸化酵素(オキシダーゼ))1(PRODH);rasホモログファミリーメンバーB(RHOB);テトラトリコペプチドリピート3を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT3);カルビンディン2(CALB2);TSPY様5(TSPYL5);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXorf61);HHEX(hematopoietically expressed homeobox、造血細胞で発現するホメオボックス);cAMP応答配列結合タンパク質3様4(CREB3L4);Xボックス結合タンパク質1(XBP1);SPDEF(SAM pointed domain containing ets trsanscription factor、SAMポインテッドドメイン含有ets転写因子);核内受容体コアクチベーター7(NCOA7);ガラニンプレプロペプチド(GAL);HECT・RLDドメイン含有E3ユビキチンタンパク質リガーゼ5(HERC5);主要組織適合遺伝子複合体、クラスI、A(HLA−A);セントロメアタンパク質V(CENPV);FRAT2(frequently rearranged in advanced T−cell lymphomas 2、悪性T細胞リンパ腫で頻繁に再構成される);ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1);アデノシンA2b受容体(ADORA2B);Gプロテイン結合受容体、ファミリーC、グループ5、メンバーA(GPRC5A);エノイルCoAヒドラターゼドメイン含有1(ECHDC1);グアニル酸結合タンパク質1、インターフェロン誘導性(GBP1);スルファターゼ2(SULF2)、性質不明のLOC100507463(LOC100507463)、およびKIAA1324(KIAA1324)である。
上述した58の遺伝子のうち、発現の高い遺伝子としては以下のものが、「感受性」のサインと関連している:TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324。また、発現の低い遺伝子としては、以下のものが「感受性」のサインと関連している:CD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463。
上述した58の遺伝子のうち、発現の低い遺伝子で「耐性のある」サインに関連しているのは以下のものである:TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324。また、発現の高い遺伝子で、「耐性のある」サインに関連があるのは以下のものである:CD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463。
CCLEのサイトで公開されている遺伝子発現のプロファイルに基づき、58遺伝子サインを使って、化合物Aに感受性のある59の乳房細胞株を予測した(図2を参照のこと)。統計的にもよく支持された2群を同定した。第1の群(32細胞株)は、IC50<5μMとして定義された、感受性のある細胞に関連があった。第2の群(27細胞株)は、IC50>5μMと定義された、耐性をもつ細胞に関連があった。モデルの化合物Aに対する感受性の予測能力を確認するために、試験した4新しい乳癌細胞株について試験をおこなったところ、これらのIC50値は確立したモデルに当てはまった。
上述した手順を、expOデータベース(www dot intgen dot org/expo/)に含まれている352の原発性乳房腫瘍組織にも適用した。これら原発性細胞の化合物Aに対する感受性(感受性および耐性)を、その遺伝子発現と2つのCCLE群の遺伝子発現との相関を試験することで予測した(図2を参照のこと)。試験した乳房腫瘍の中から、安定で共通性のある2群を同定した(感受性をもつ組織として予測されたのは260、耐性をもつ組織として予測されたものが90、分類できなかったものが2つ)。安定で共通性のある群のうちの1つ(感受性をもつ組織として予測された260)が、感受性のあるCCLE乳癌細胞群と似ていることが分かり、また、もう一方の安定で共通性のある群(耐性をもつ組織として予測された90)が、耐性のあるCCLE乳癌細胞群と似ていることが分かった。肺腫瘍組織または結腸腫瘍組織においてはいずれも、有意に別個の群は同定されなかった(図3を参照のこと)。
乳房腫瘍組織の感受性のある群は、3つの臨床的乳癌診断マーカー:ER陽性、PR陽性、および低悪性度乳房腫瘍にまとめられた。乳房腫瘍組織の体制をもつ分は、三種陰性(ER−PR−Her2/neu−)マーカーと関連があった。図4を参照のこと。
まとめると、乳癌における化合物Aへの感受性を予測することが可能な安定な遺伝子発現サインを同定した。
実施例7:16乳癌細胞株に関するIC50のデータの概要
表1に、予測遺伝子発現バイオマーカーの構築に使った16種の乳癌細胞株のIC50のデータの概要を示す(注:これら16細胞株のうちの14種だけがCCLEデータに含まれており、これら14種をモデルの構築に使用した)。
これらの細胞のたくさんの遺伝マーカーのなかでも、ERBB2(Her2の遺伝子)増幅遺伝子型が、化合物Aに対する感受性の表現型と緊密な関係があった(表1)。実際のところ、ERBB2は、モデルそのものに含まれている58遺伝子のうちの1つである。細胞株のデータ解析においては、ESR1(ERの遺伝子)とPSR(PRの遺伝子)を上位58の遺伝子リストに取り上げなかったが、expOデータベースの352の臨床乳房腫瘍データの解析にこの58遺伝子サインを用いた場合には、ER+とPR+の両方が、「感受性と予測される」群と有意に関連していた。
実施例8:2−(ジフェニルアミノ)−N−(7−(ヒドロキシアミノ)−7−オクソヘプチル)ピリミジン−5−カルボキサド(化合物A)の合成
反応式
中間体2の合成
DMF(100ml)に溶解した、アニリン(3.7g、40mmol)、エチル2−クロロピリミジン−5−カルボキシラート1(7.5g、40mmol)、KCO(11g、80mmol)の混合物を脱気し、120℃、N下で、一晩撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc(200ml)で希釈後、飽和塩水で洗浄した(200ml×3)。有機相を分離し、NaSOを使って乾燥させた後、蒸発させて乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した(石油エーテル/EtOAc=10/1)。所望の生成物を白色の固体として得た(6.2g、64%)。
中間体3の合成
TEOS(200ml)に溶解した、化合物2(6.2g、25mmol)、ヨードベンゼン(6.12g、30mmol)、CuI(955mg、5.0mmol)、CsCO(16.3g、50mmol)の混合物を脱気し、窒素でパージした。得られた混合物を140℃で14時間撹拌した。室温まで冷却した後、残渣をEtOAc(200ml)と95%EtOH(200ml)で希釈し、シリカゲルに付着させたNHF−HO[50g、NHF(100g)の水溶液(1500ml)をシリカゲル(500g、100−200メッシュ)に加えることで準備しておく]を加え、得られた混合物を室温で2時間維持し、固化した物質を濾過してEtOAcで洗浄した。ろ液を蒸発して乾燥させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=10/1)で精製し、黄色の固体を得た(3g、38%)。
中間体4の合成
化合物3(3.0g、9.4mmol)のEtOH(200ml)溶液に2NのNaOH(200ml)を加えた。この混合物を60℃で30分間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、この溶液を2NのHClで中和し、白色の沈殿物を得た。懸濁液をEtOAcで抽出し(2×200ml)、有機相を分離し、水(2×100ml)、塩水(2×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去して茶色の固体を得た(2.5g、92%)。
中間体6の合成
化合物4(2.5g、8.58mmol)、アミノヘプタン酸5(2.52g、12.87mmol)、HATU(3.91g、10.30mmol)、DIPEA(4.43g、34.32mmol)の化合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過した後、ろ液を蒸発して乾燥させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=2/1)で精製し、茶色の固体を得た(2g、54%)。
2−(ジフェニルアミノ)−N−(7−(ヒドロキシアミノ)−7−オクソヘプチル)ピリミジン−5−カルボキサドの合成
MeOH(50ml)とDCM(25ml)に溶解した、化合物6(2.0g、4.6mmol)と水酸化ナトリウム(2N、20mL)の混合物を、0℃で10分間撹拌した。ヒドロキシルアミン(50%)(10ml)を0℃まで冷やし、この混合物に加えた。得られた混合物を室温で20分間撹拌した。溶媒を除去した後、混合物を1MのHClで中和し、白色の沈殿物を得た。粗生成物を濾過し、pre−HPLCで精製して白色の固体を得た(950mg、48%)。
59種類のCCLE乳癌細胞株における、58遺伝子のサインのヒートマップを示す図である。 59種類のCCLE乳癌細胞株における、58遺伝子のサインのヒートマップを示す図である。 59種類のCCLE乳癌細胞株における、58遺伝子のサインのヒートマップを示す図である。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと352の乳房腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと352の乳房腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと352の乳房腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと352の乳房腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと293の結腸腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと293の結腸腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと293の結腸腫瘍との相関を示すヒートマップである。 59細胞株由来の化合物A乳癌感受性バイオマーカーと293の結腸腫瘍との相関を示すヒートマップである。 化合物A乳癌感受性バイオマーカーに対する臨床マーカーのグラフを示している。ERはエストロゲン受容体;PRはプロゲステロン受容体;HER2はヒト上皮成長因子受容体2(Neu、ErbB−2、CD340、またはp185としても知られている)を意味している。

Claims (17)

  1. 乳癌患者がヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)前記乳癌患者由来の生体試料において、ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質が、前記タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較して過剰発現しているか否かを決定する工程;および
    b)そのような過剰発現の存在を、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、またはそのような過剰発現の欠如を、前記患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程、
    を含む方法。
  2. 結腸直腸癌患者がヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)前記結腸直腸癌患者由来の生体試料においてSMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在するか否かを決定する工程;および
    b)遺伝的変異の存在を、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、または遺伝的変異の欠如を、前記患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程、
    を含む方法。
  3. 癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)前記癌患者由来の生体試料において、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子に遺伝的変異が存在するか否かを決定する工程;および
    b)そのような突然変異が1つ以上存在することを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、またはそのような突然変異の欠如を、前記患者がそのような治療に反応しない指標として関連付ける工程、
    を含む方法。
  4. 癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)前記癌患者由来の生体試料において、プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程;および
    b)PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;またはRAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、
    を含む方法。
  5. 癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)前記癌患者由来の生体試料において、UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程;および
    b)UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;またはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、
    を含む方法。
  6. 癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独でまたはプロテアソーム阻害剤と組み合わせて用いた治療に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)1つ以上の相関研究から得られたデータを評価する工程であって、
    1)脳/神経腫瘍、乳癌、リンパ癌、腎臓癌、結腸/大腸癌、および皮膚癌がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に感受性があると決定される、腫瘍型ごとの治療効果を関連づける相関研究、
    2)遺伝子変異解析と、治療型および腫瘍型を関連づける相関研究であって、ここで
    i)乳癌患者由来の生体試料における、タンパク質の正規化したタンパク質発現レベルと比較したヒト上皮成長因子受容体2(Her2)タンパク質の過剰発現は、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応することの指標である、
    ii)結腸直腸癌患者由来の生体試料でSMADファミリーメンバー4(SMAD4)遺伝子に遺伝的変異が存在することが、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標である、もしくは
    iii)癌患者由来の生体試料において、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR)、ヒストン−リシンN−メチルトランスフェラーゼ(EZH2)、SETドメイン含有2(SETD2)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL)からなる群より選択される遺伝子のうちの1つ以上に遺伝的変異が存在することが、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標である相関研究、または
    3)遺伝子の発現解析と治療型とを関連づける相関研究であって、
    i)前記癌患者由来の生体試料における、プテリン−4α−カルビノールアミンdehydratase/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);およびABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定すること;および
    a)PCBD1、PPP2R2C、NEDD4、P4HA2、SLC2A4RG、SULF2、LAPTM4A、PAPSS2、AKR1C1、PTPN12、およびDCUN1D4遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応する指標として関連付けること;またはRAC2、ACADM、ARHGAP4、ATP13A1、CCR7、CORO7、CXXC4、DEF6、KRI1、LMBR1L、LTB4R、RAD54L2、CXorf21、SCAP、SELL、SF3A2、LYRM7、OGT、TUBA3C、TUBA3D、KHSRP、DHX30、APEX2、およびABHD14A遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いた治療に反応する指標として関連付けること、または
    ii)前記癌患者由来の生体試料における、UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定すること;および
    a)UGDH、H2AFY2、MYO5C、NPNT、およびKIAA1598遺伝子のうちのいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して低い発現レベルを、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標として関連付けること;またはSRGN、COL6A3、GPSM3、HSD11B1、PEX6、RAC2、SSX5、およびACBD3遺伝子のいずれか1つ以上の遺伝子の、正規化した遺伝子の発現レベルと比較して高い発現レベルを、前記患者がヒストンデアセチラーゼ阻害剤とプロテアソーム阻害剤との併用療法に反応することの指標として関連付けることを含む、遺伝子の発現解析と治療型とを関連付ける相関研究、
    から構成される相関研究のうちの1つ以上から得られたデータを評価する工程:ならびに
    b)前記患者がそのような治療に反応するか否かを決定するために、癌型、遺伝的変異、または遺伝子発現レベルに関連する前記データを評価する工程、
    を含む、癌患者が、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を単独でまたはプロテアソーム阻害剤と組み合わせて用いた治療に反応するか否かを予測する方法。
  7. 前記癌が、脳腫瘍/神経腫瘍、乳癌、中枢神経系の癌、造血組織およびリンパ組織の癌、腎臓癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、膵癌、前立腺癌、皮膚癌、軟部組織癌、および胃癌からなる群より選択される、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記HDAC阻害剤がHDAC6阻害剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記HDAC6阻害剤が、式Iの化合物
    またはその薬学上許容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記式Iの化合物が、
    である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、請求項2、3、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記生体試料が生検試料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記患者に治療上有効な量のHDAC阻害剤を投与する工程をさらに含む、請求項1または4に記載の方法。
  14. 前記患者に治療上有効な量のHDAC阻害剤およびプロテアソーム阻害剤を投与する工程をさらに含む、請求項2、3、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  15. 赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2(ERBB2);SMADファミリーメンバー4(SMAD4);ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN);上皮成長因子受容体腫瘍遺伝子(EGFR);zesteホモログ2のエンハンサー(EZH2、enhancer of zeste homolog 2);SETドメイン含有2(SETD2);フォン・ヒッペル・リンドウ腫瘍抑制因子(VHL);プテリン−4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファ(PCBD1)の二量体化コファクター;タンパク質ホスファターゼ2、制御サブユニットB、γイソ型(PPP2R2C);NEDD4(neural precursor cell expressed,developmentally downregulated 4、神経分化に伴って発現レベルが低下する遺伝子);プロリル4−水酸化酵素、アルファポリペプチドII(P4HA2);SLC2A4制御因子(SLC2A4RG);スルファターゼ2(SULF2);リソソーム膜タンパク質4α(LAPTM4A);3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸合成酵素2(PAPSS2);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC1(ジヒドロジオール脱水素酵素1;20−アルファ(3−アルファ)−水酸化ステロイド脱水素酵素)(AKR1C1);タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体12型(PTPN12);DCN1、DCUN1D4(defective in cullin neddylation 1,domain containing 4、カリンのNEDD化欠損ドメイン含有4)(出芽酵母);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);アシル補酵素A脱水素酵素、C−4〜C−112直鎖(ACADM);Rho GTPアーゼ活性化タンパク質4(ARHGAP4);ATPアーゼ13A1型(ATP13A1);ケモカイン受容体7(CCR7);コロニン7(CORO7);CXXCフィンガー4(CXXC4);DEF6(differentially expressed in FDCP 6 homolog、差次的発現するFDCP6ホモログ);KRI1ホモログ(KRI1);LMBR1L(limb region 1 homolog、四肢領域1ホモログ);ロイコトリエンB4受容体(LTB4R);RAD54様2(RAD54L2);X染色体オープンリーディングフレーム21(CXorf21);SREBFシャペロン(SCAP);セレクチンL(SELL);スプライシング因子3a、サブユニット2(SF3A2);Lyrm7ホモログ(LYRM7);O結合型N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(OGT);チューブリン、アルファ3c(TUBA3C);チューブリン、アルファ3d(TUBA3D);KH型スプライシング制御タンパク質(KHSRP);DEAH(Asp−Glu−Ala−His)ボックスポリペプチド30(DHX30);APEXヌクレアーゼ(脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ)2(APEX2);ABHD14A(abhydrolase domain containing 14A、アブヒドロラーゼドメイン含有14A);UDP−グルコース脱水素酵素(UGDH);H2Aヒストンファミリー、メンバーY2(H2AFY2);ミオシンVC(MYO5C);ネフロネクチン(NPNT);KIAA1598(KIAA1598);セルグリシン(SRGN);VI型コラーゲン、アルファ3(COL6A3);Gプロテインシグナル伝達調節因子3(GPSM3);水酸化ステロイド脱水素酵素1(HSD11B1);ペルオキシソーム生合成因子6(PEX6);ras関連C3ボツリヌス毒素基質2(RAC2);SSX5(synovial sarcoma,X breakpoint 5、滑膜肉腫Xブレークポイント5);およびアシル補酵素A結合ドメイン含有3(ACBD3)からなる群より選択される遺伝子のうちのいずれか1つに相補的な核酸;および前記遺伝子の存在または前記遺伝子の発現レベルを検出するための前記核酸の使用説明書を含むキット。
  16. 乳癌患者がヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を用いた治療に反応するか否かを予測する方法であって、
    a)前記乳癌患者由来の生体試料における、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFB3);CD44分子(Indian血液group)(CD44);シトクロムp450、ファミリー4、サブファミリーZ、ポリペプチド2偽遺伝子(CYP4Z2P);インターフェロン誘導性タンパク質44(IFI44);溶質輸送体ファミリー9、サブファミリーA(NHE6、cation proton antiporter 6)、メンバー6(SLC9A6);v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルス腫瘍遺伝子ホモログ2、神経/膠芽腫由来腫瘍遺伝子ホモログ(鳥類)(ERBB2);v−yes−1 Yamaguchi肉腫ウイルス関連腫瘍遺伝子ホモログ(LYN);プレクストリンホモロジー様ドメイン、ファミリーA、メンバー1(PHLDA1);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARG);ジカルボニル/L−キシルロース還元酵素(DCXR);ウリジンホスホリラーゼ1(UPP1);ATP−結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー11(ABCC11);アルド・ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC2(ジヒドロジオール脱水素酵素2;胆汁酸結合タンパク質;3−アルファ水酸化ステロイド脱水素酵素、III型)(AKR1C2);BCL2関連アタノジーン(athanogene)2(BAG2);ロイシンリッチリピートを含むTLR4相互作用物質(TRIL);性質不明のLOC440335(LOC440335);インヒビンβB(INHBB);dickkopf 1ホモログ(アフリカツメガエル)(DKK1);インスリン受容体基質2(IRS2);17番染色体オープンリーディングフレーム28(C17orf28);LIMドメインキナーゼ2(LIMK2);様グリコシルトランスフェラーゼ(LARGE);コイルドコイルドメイン含有82(CCDC82);溶質輸送体ファミリー40(鉄制御輸送体)、メンバー1(SLC40A1);テトラトリコペプチドリピート1を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT1);formin様2(FMNL2);白血病抑制因子(LIF);トランスフォーミング増殖因子、β受容体2(70/80kDa)(TGFBR2);Gプロテイン結合受容体160(GPR160);サイトカイン誘導性SH2−含有タンパク質(CISH);ホスホリパーゼC、β4(PLCB4);B細胞リンカー(BLNK);ホスホリパーゼC、γ2(ホスファチジルイノシトール特異的)(PLCG2);カベオリン2(CAV2);プロリン脱水素酵素(酸化酵素(オキシダーゼ))1(PRODH);rasホモログファミリーメンバーB(RHOB);テトラトリコペプチドリピート3を含むインターフェロン誘導性タンパク質(IFIT3);カルビンディン2(CALB2);TSPY様5(TSPYL5);X染色体オープンリーディングフレーム61(CXorf61);HHEX(hematopoietically expressed homeobox、造血細胞で発現するホメオボックス);cAMP応答配列結合タンパク質3様4(CREB3L4);Xボックス結合タンパク質1(XBP1);SPDEF(SAM pointed domain containing ets trsanscription factor、SAMポインテッドドメイン含有ets転写因子);核内受容体コアクチベーター7(NCOA7);ガラニンプレプロペプチド(GAL);HECT・RLDドメイン含有E3ユビキチンタンパク質リガーゼ5(HERC5);主要組織適合遺伝子複合体、クラスI、A(HLA−A);セントロメアタンパク質V(CENPV);FRAT2(frequently rearranged in advanced T−cell lymphomas 2、悪性T細胞リンパ腫で頻繁に再構成される);ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1);アデノシンA2b受容体(ADORA2B);Gプロテイン結合受容体、ファミリーC、グループ5、メンバーA(GPRC5A);エノイルCoAヒドラターゼドメイン含有1(ECHDC1);グアニル酸結合タンパク質1、インターフェロン誘導性(GBP1);スルファターゼ2(SULF2)、性質不明のLOC100507463(LOC100507463)、およびKIAA1324(KIAA1324)遺伝子のそれぞれの発現レベルを測定する工程;および
    b)TGFB3、CYP4Z2P、ERBB2、DCXR、ABCC11、TRIL、LOC440335、INHBB、C17orf28、LIMK2、LARGE、SLC40A1、GPR160、CISH、PLCB4、BLNK、PRODH、RHOB、CREB3L4、XBP1、SPDEF、FRAT2、およびKIAA1324遺伝子の遺伝子の正規化した発現レベルと比較して高い発現レベルを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程;およびCD44、IFI44、SLC9A6、LYN、PHLDA1、PPARG、UPP1、AKR1C2、BAG2、DKK1、IRS2、IFIT1、FMNL2、LIF、TGFBR2、PLCG2、CAV2、IFIT3、CALB2、TSPYL5、CXorf61、HHEX、NCOA7、GAL、HERC5、HLA−A、CENPV、PLBD1、ADORA2B、GPRC5A、ECHDC1、GBP1、SULF2、およびLOC100507463遺伝子の遺伝子の正規化した発現レベルと比較して低い発現レベルを、前記患者がそのような治療に反応することの指標として関連付ける工程、
    を含む方法。
  17. 前記方法が、前記患者に治療上有効な量のHDAC阻害剤を投与する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
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