以下の記述では、本発明の徹底的理解を提供するために、多数の具体的詳細が論述される。本発明は、これらの具体的詳細のいくつかまたは全くなくても、実践され得る。他の事例においては、周知のプロセス動作は不必要に本発明を不明瞭にしないために、詳細には記述されていない。本発明は具体的実施形態と併せて記述されるが、本発明をその実施形態に限定することは意図されていないことは理解されるであろう。
用語「レチクル」は概して、ガラス、ホウケイ酸塩ガラスおよびその上に形成された不透明材料の層を有する溶融石英等の透明基材を含む。不透明領域は、透明基材に食刻された領域によって置換され得る。
多くの異なる種類のレチクルが当業界において知られており、本明細書中で使用される用語レチクルは、レチクルのすべての種類を包含することが意図されている。例えば、用語レチクルはさまざまな種類のレチクルを参照し、それらに限定されないが、明視野レチクル、暗視野レチクル、二元レチクル、位相変移マスク(PSM)、交互PSM、減衰またはハーフトーンPSM、および三元減衰PSMを含む。明視野レチクルは透明な視野または背景区域を有し、暗視野レチクルは不透明な視野または背景区域を有する。二元レチクルは、透明または不透明であるパターン化された区域を有するレチクルである。例えば、クローム金属吸収膜によって定義されたパターンを有する、透明溶融シリカ未加工材で作られたフォトマスクが使用されることが可能である。二元レチクルは位相変移マスク(PSM)とは異なり、その1つの種類は光の一部分のみを透過する膜を含み、これらのレチクルはハーフトーンまたは埋込位相変移マスク(EPSM)として共通的に参照され得る。位相変移材料がレチクルの交互の透明空間上に置かれる場合、レチクルは交互PSM、ALT PSM、またはLevenson PSMとして参照される。あらゆるレイアウトパターンに適用される位相変移材料の1つの種類は、減衰またはハーフトーンPSMとして参照され、これは不透明材料を部分的透過可能または「ハーフトーン」膜で置換されて組み立てられ得る。三元減衰PSMは、完全に不透明な特徴も含む減衰PSMである。
概して、欠陥検出プロセス中に生産される検出されたレチクル欠陥は、実欠陥、レンダリングプロセス欠陥、およびレチクル検査プロセス欠陥の3つの種類に分類されることが可能である。実欠陥はレチクルの一部分上の実際の汚染、またはレチクルパターンの一部分の不慮の除去に対応する。本明細書中での使用においては、用語「実」または「実際の」欠陥は、レチクルを使用してウェハー上に印刷された設計パターンにおける欠陥を引き起こし得る、レチクルの設計パターンにおける欠陥を参照し、これらは、過度の角曲がり、不満足な寸法、特徴の欠落、特徴間のブリッジ等である。レチクル検査プロセス欠陥は検査プロセスによって誘発される。例えば、欠陥検出プロセスは、レチクル像のいたるところで見られる「擬似」欠陥に帰結するモデル化プロセスを含み得る。レンダリングプロセス欠陥は、光学的検査工具からの影響によって導入される。さまざまな光学的ひずみが、欠陥として意図されずに検出され得るレチクル像内の違いを導入可能である。
擬似欠陥は、「システム的」欠陥としても参照され得るが、これは、擬似欠陥の両方の種類が、欠陥検出プロセス中にシステム的パターンまたは大きい数において典型的に生じるからである。例えば、モデリング導入擬似欠陥は、何度も何度も同一パターンにおいて発生する傾向があり、これらは、高曲度パターンまたは小特徴等である。対照的に、実欠陥は典型的に無作為事象であり、したがって、実欠陥の場所および出現は無作為であり、反復的ではない。
図1Aは、本発明の一実施形態に従う、検査プロセス100の概観を図解する流れ図である。動作102において、特定のレチクルについて欠陥が検出される。概して、任意の好適な種類および数の欠陥検出技法が、本発明の実施形態により実装され得る。例えば、異なる欠陥検出装置を、異なる種類の実欠陥を検出するために使用可能であり、これらは、針穴欠陥、ピンドット欠陥、異なる種類の線端欠陥、線終欠陥、異なる寸法の欠陥、汚染欠陥ハーフトーン欠陥等である。
さらに、特定の種類の欠陥(またはレチクル上のすべての「実」欠陥)を検出するための感度は、特定の種類の欠陥の実質的にすべてを捕獲するように調整されることが可能である。概して、異なる種類の欠陥を有する試験レチクルは組み立て可能であり、次に、各欠陥検出装置技法に関する感度を判定するために検査可能である。しかしながら、本発明のシステム的欠陥フィルタリングプロセスは、あらゆる好適な検出された欠陥データで使用されることが可能であり、当該データがどのようにして生じたかには依存しない。
特定のレチクルに関する欠陥が検出されると、動作104において、検出された欠陥データのうちの1つ以上のストリームは、検出された欠陥からシステム的欠陥を自動的にフィルタリングするためのプロセスに送られ得る。システム的フィルタリングプロセス104は、1つ以上の欠陥を以前に受け取られた欠陥と比較し、一致する欠陥をまとめてグループ分けすることによって検出された類似欠陥のパターンが存在するかどうかを判定することによって、欠陥データが受け取られるにつれて自動的に分析するように、概して構成されることが可能である。特定のレチクルに関する実質的にすべての検出された欠陥データが見つけられてグループ分け(もしも一致する場合)された後、フィルタリングプロセスは、次に、以下にさらに記述されるように、検出されたデータからシステム的欠陥を自動的にフィルタリングすることが可能である。
システム的欠陥がすべての検出された欠陥からフィルタリングされた後、動作106において、フィルタリングされた欠陥は次に再検討され得る。例えば、フィルタリングされた欠陥は手動で再検討され、残りの欠陥が、調べられたレチクルで組み立てられることになる組み立て済デバイス構造の動作に重大な影響を与える可能性が高いかどうかを判定し得る。
レチクルが動作108において合格するかどうかが次に判定され得る。この判定はあらゆる好適要因に基づいて行われ得、それらは、欠陥の合計数(フィルタリング後)、ある特定の種類の欠陥の合計数等である。レチクルが合格する場合は、そのレチクルは半導体デバイスを有するウェハーを組立てるために次に使用され得る。さもなくば、レチクルは動作110において修理されるかまたは廃棄される。レチクルが修理される場合は、欠陥検出、フィルタリング、および再検討プロセスが修理されるレチクルに関して次に繰り返され得る。レチクルが廃棄される場合には、欠陥結果に基づいて別の改善されたレチクルが製造され、次にこの改善されたレチクルについて、欠陥検出、フィルタリング、および再検討プロセスが実施される。
あらゆる好適技法が、検出された欠陥データから実質的類似欠陥のパターンを自動的にフィルタリングするために使用され得る。1つの実装においては、欠陥データは時間的順番データのストリームの中で分析されて欠陥グループの固有の解決策を取得し、次に各グループ内の欠陥数に基づいてフィルタリングされる。もちろんグループ分けされた欠陥の独特なセットを取得するために他の技法が使用され得る。
図1Bは、本発明の具体的実装に従い、自動システム的欠陥フィルタリングプロセス120を図解する流れ図である。この例では、欠陥データは時間的順序でグループ分けされる。最初は、動作122において、第1の欠陥像が検査システムから受け取られる。この実施形態においては、各欠陥が見つかるにつれ、自動フィルタリングプロセスによって欠陥像(または信号またはデータ)が取得される。以下にさらに記述されるように、レチクルは走査され、欠陥を検出するために像を分析する複数の像プロセッサによって個々に処理される複数の像を取得可能である。各欠陥が見つかるにつれ、フィルタリングプロセスは次に見つかった当該欠陥に対応する欠陥像を受け取ることが可能である。
最初の欠陥像が受け取られた後、動作124において、受け取られた欠陥像があらゆる既存の種欠陥グループと一致するかどうかが次に判定され得る。これは第1の欠陥像であるため、一致は存在しないと判定される。動作126において、新しい種グループが次に現行の欠陥像に基づいて生成される。次に、動作128において、あらゆるより多くの欠陥が存在するかどうかが判定され得る。言い換えれば、欠陥検出システムからすべての欠陥データが受け取られたかどうかが判定される。
より多くの欠陥が存在する場合は、動作122において、次の欠陥像が検査システムから受け取られる。次に、動作124において、欠陥があらゆる既存の種欠陥グループと一致するかどうかが判定され得る。複数の欠陥像が受け取られ、一致について分析された後、複数の異なる種グループが生成された可能性がある。独特な解決策を取得するために、既存の種グループは、時間的順序で分析され得るが、それらは、最後に受け取られた欠陥像との一致可能性についての最後に受け取られた種グループ(または最後に受け取られた欠陥を有する)を分析し、次に最後に受け取られた種グループの1つ前を分析する等であり、一致が見つかるまで行われる。
各グループは当該グループに追加された最初の(または最後の)受け取られた欠陥等の定義済種欠陥を有し得、これに対しては、他の新しく受け取られた欠陥が比較され得る。すなわち、新しく受け取られた欠陥像とグループの種欠陥のみとの間で比較が行われることが可能であり、その場合、当該グループにすでにグループ分けされた各欠陥ではない。もちろん、比較は各グループのすべての欠陥の分析および新しく受け取られた欠陥像を含み得るが、この技法は、少なくとも今日の処理速度においては、かなり効率が低いであろう。
新しく受け取られた欠陥像と種グループとの間の比較は、あらゆる好適な仕方で実施され得る。1つの実装においては、比較は類似形状を有するかどうかを判定するための欠陥のプレスクリーニングを含む。新しく受け取られた欠陥および種欠陥が類似形状を有する場合には、2つの欠陥はさらに分析され、他の様式(例えば、位置、形状、寸法、向き等)2つの欠陥が一致するかどうかを判定する。すなわち、2つの欠陥は画素対画素のベースで、互いに整合および比較がなされ得る。2つの欠陥は、所定のしきい値基準(例えば、2x2残差等)未満である違いを有するときに、一致していると定義され得る。しかしながら、このしきい値は最適しきい値を判定するために試験レチクルを使用して調整され得、それにより、欠陥データが関連する数および種類のビン(例えば、「実」欠陥対「システム的」欠陥)にマッピングされる。グループ分けに関する感度は、欠陥を検出するための検査感度よりもかなり高くあり得る。
一致が存在する場合には、動作127において、現行の欠陥は一致するグループに追加されることが可能である。さもなくば、動作126において、新しい種グループが現行の欠陥のために生成され得る。このように、入ってくる欠陥が既存の種グループの欠陥のいずれかと一致しないときは新しい種グループが形成される。その結果、各種グループは、複数の実質的に一致する欠陥像を含む。
特定のレチクルに関するすべての欠陥が特定の種グループと突き合わされた後、種グループは分析されてフィルタリングされる。一実施形態では、種グループは一度に1つずつ分析され得る。他の実施形態では、種グループは並行して分析されることが可能である。図解された例においては、第1の種グループは動作130において取得され得る。この現行の種グループは、次に動作132において、この現行の種グループ内の欠陥の数が所定のしきい値より大きい場合には、フィルタリングされ得る。
異なるフィルタリングしきい値のあらゆる好適数が使用され得る。1つの実装においては、異なるしきい値が各欠陥グループの異なる背景パターンのために使用される。すなわち、欠陥およびそれがどのように周囲の区域と関連するかが調べられ、複数の異なるしきい値からどのしきい値を選択するかを判定する。例えば、グループの欠陥がほとんど空白区域によって包囲される点または粒子欠陥(例えば、ゼロ次元または0D欠陥)である場合には、この欠陥は「実」粒子欠陥である可能性が高く、欠陥計数がどのくらい高いかに拘わらず、計数しきい値は事実上無限に設定されて、すべてのこのグループの欠陥は維持される。別の例では、欠陥が一次元または1D欠陥(例えば、線等)である場合は、計数しきい値は特定の値、X、に設定され、パターン型式の欠陥と「実」欠陥との間を区別する(例えば、またはグループ内の欠陥が実欠陥である確率が50%に達する)。2D欠陥に関する計数しきい値は、1D欠陥に関する計数しきい値より低く設定されることが可能である。具体的実装においては、選択されたしきい値、N、は1/log(A)に比例し、ここでAは独特な背景パターンの区域である。この実施形態では、無地の背景を有する0D欠陥は、独特な背景区域が存在しないため(すなわち、すべての背景画素が同一)フィルタリングはされない。同様にして、一定の背景、例えば0D欠陥は、区域1を有するとして定義され得、これは無限である計数しきい値に帰結し、0D欠陥グループ内のすべての欠陥は維持される。より大きな独特な背景区域を有する欠陥は、比較的低い計数しきい値に帰結する。
異なるユーザは、異なる欠陥の種類について、容易に異なる計数しきい値を選択し得る。例えば、異なる組み立てプロセスは、システム的対実欠陥のための関連するビン分類を成就するために異なる計数しきい値を必要とし得る。当該計数しきい値の選択は、構成ファイルまたはグラフィカルユーザインターフェースを介して等のあらゆる好適仕方において達成され得る。
特定の種グループが、欠陥データから当該グループの欠陥をフィルタリングするかどうかについて分析された後、動作134において、あらゆる他の種グループが存在するかどうかを判定され得る。それ以上種グループが存在しない場合には、手順120は終わる。さもなくば、次の種グループが動作130において取得され、すべての種グループがフィルタリングされるまたはフィルタリングされないことについて分析されるまで、フィルタリングプロセスは継続する。
ある特定の自動フィルタリング実施形態は、再検討工具の操作者が再検討するための欠陥のクリーナーセットを提供することが可能である。図2は、ウィンドウ202における同一レチクルに関するフィルタリングされた欠陥と比較して、ウィンドウ200におけるフィルタリング前のレチクルに関する検出された欠陥を図解する。示されるように、フィルタリング後の欠陥計数は実質的に低減される。各ウィンドウの柱状図は、各幾何学的パターンに基づく欠陥の種類の欠陥の数を示しており、これらは、Clear/Halftone、EdgeToLE(縁から線端部)、LEOrCorner(線縁または角)、OnHalftone、IsoEdge(隔離された縁)、OnClear等であり、それぞれが欠陥の寸法(小、中、大、または特大)に従っている。システム的フィルタリングがオフのときは、欠陥地図はシステム的欠陥の存在のゆえに、一般的複数ダイレイアウトを示す。システム的フィルタリングがオンに切り替えられると、実欠陥のみが残され、一方それらのシステム的欠陥はフィルタリング処理される。
上に記述された技法のある特定の実施形態は、反復可能性、乱雑性および事前の欠陥テンプレートなしの反復欠陥の自動識別にしたがって擬似欠陥のフィルタリングを含む。これらのフィルタリング技法は、パッチレベルの像処理の限定をも克服可能であり、並列プロセッサを使用して走査済レチクルの個々の「パッチ」部分を処理する。以下にさらに記述されるように、パッチの範囲に限定されるパッチレベル処理は、生得的にプレートレベルにおいて欠陥の大局観を欠く。他方において、フィルタリング技法のある特定の実施形態は、欠陥の大局観に基づいて決定を行うことが可能である。
自動システム的欠陥フィルタリングは、多くのケースにおいて、いくつかの擬似欠陥をかなり低減することが可能であり、さらなる処方最適化およびアルゴリズム改善は取得が困難である。システム的欠陥フィルタリングは、また、より小さい欠陥を捕獲するためのより高い感度の検査を可能にし、一方、具体的幾何学的分類のための感度設定を最適化する必要性を低減する。
さらに、ある特定の実施形態は、欠陥が再検討ステーションに到着する前に自動的に欠陥をフィルタリングするための機構を提供し得る。システム的欠陥として定義された欠陥グループはフィルタリング処理されたので、再検討操作者は再検討する少量の欠陥を提示されるのみである。対照的に、自動欠陥分類技法は、非常に多くの欠陥クラスを提供し、これはまたシステム的欠陥も含む。分類済欠陥は、全体の欠陥クラスは重大欠陥を代表するかどうかを判定するために、各クラスにおいて1つの欠陥のみを操作者が再検討することを許可することが可能であっても、操作者は、また、どの欠陥クラスが単にシステム的欠陥対実際のレチクル欠陥を含んでいたかを判定するために、非常に多くの欠陥クラスを冗長に再検討しなければならないであろう。全体のグループが、操作者が再検討する前に自動的にフィルタリング処理されたときは、操作者はシステム的欠陥を除外するフィルタリングされた欠陥を提示される。
あらゆる好適欠陥検出手順を使用して、欠陥データを、本明細書中に記述される自動システム的欠陥フィルタリング技法に入力可能である。図1Cは、欠陥検出手順150の一例を図解する流れ図である。最初は、検査されることとなるレチクルは動作152において提供される。レチクルは次に走査されてレチクルの複数の試験像を取得し得、そして各試験像は動作154において欠陥プロセッサに送られる。
各試験像は、次に、動作158において対応する参照像と整合される。参照像は、レチクル組み立ておよびレチクルデザインパターンの検査プロセスをシミュレートすることによって、レチクル設計データベース(ダイ対データベース)またはレチクルそれ自体(例えば、ダイ対ダイ)から取得される別のレチクル像から取得され得る。各試験および参照像は、また、動作160において、高感度を使用して分析され得、擬似システム的欠陥と共に実際のレチクル欠陥の実質的にすべてを捕獲する。
各検出された像が見つかった後、動作162において、各検出された欠陥像は次に自動システム的欠陥フィルタリングプロセスに送られることが可能である。動作164において、レチクル走査が完了したかどうかも判定され得る。レチクル走査が完了した場合、手順150は終わる。さもなくば、手順はレチクルの走査を継続し、高感度を使用して欠陥を検出する。
図3は、本発明の一実施形態に従う、検査システム300の図示である。検査システムは、検査工具またはスキャナ(示されない)、データ分配システム(例えば、304aおよび304b)、像処理システム(例えば、306aおよび306b)、1つ以上の自動フィルタリングプロセッサおよびメモリ(例えば、312)、ネットワーク(例えば、交換網308)、任意選択の大容量記憶デバイス316、および1つ以上の検査制御および/または再検討ステーション(例えば、310)から入力302を受け取り得る。各プロセッサは典型的に1つ以上のマイクロプロセッサ集積回路を含み得、またインターフェースおよび/またはメモリ集積回路も含み得、そしてさらに1つ以上の共有および/またはグローバルメモリデバイスに連結され得る。
検査システム300は、スキャナまたはデータ入手システム(示されない)から入力302を受け取るように取りまとめ可能である。スキャナは、試料の像を取得するためのあらゆる好適計器であり得る。例えば、スキャナは、反射され、透過し、さもなくば1つ以上の光センサに向けられた光の一部分に基づき、試料の一部分の光学像を構築し得る。代替的に、スキャナは、試料の像を取得するために、電子線(エレクトロンビーム)または他の方法を利用し得る。
像データは、あらゆる好適な試料の種類から取得され得る。すなわち、試料は像データの比較的大量の像データに帰結するあらゆるものであり得る。本明細書中に記述される図解された例は、多数の細かいパターンをその上に有するレチクルの形態である試料に関するが、本発明の技法はまた、半導体デバイスまたは材料、裏面薄膜、またはコンピュータディスクの形態をとる試料に適用され得る。
像データ302は、試料の像を代表するためにあらゆる好適形態を取り得る。例えば、像データは典型的に複数の像または試料の一部分またはパッチをそれぞれ代表する像部分を含む。試料の一部分は走査されて像データを作成可能である。これらの試料部分および対応像は、特定のシステムおよび適用要件に依存して、あらゆる寸法および形状であり得る。像は、あらゆる好適様式によって試料を走査して取得され得る。例として、像は試料をラスタ走査することによって取得され得る。代替的に、像は、円形または螺旋パターン等のあらゆる好適パターンで試料を走査することによって取得され得る。もちろん、センサは、試料から円形または螺旋形状を走査するために、異なって取りまとめられねばならず(例えば円形パターンで)、および/または試料は走査中異なって移動され得る(例えば、回転される)。
以下に図解された例において、試料がセンサを過ぎて移動するにつれ、試料の長方形領域(本明細書中では「スワス」として参照される)は像セットに変換される。この実施形態では、スキャナのセンサは長方形パターンで取りまとめられる。この例に関しては、センサは試料からの光を受け取るように取りまとめられ、試料のスワスに対応するデータセットをそこから生成し、これは例えば、約100万画素幅で約1000〜2000画素高が可能である。
図4は、本発明の実施形態に従う、レチクル等の試料400の2つの「スワス」402および404に対応する像データの2セットの図示である。像データの各セットは、試料400の「スワス」に対応し得る。図4の例においては、像データの最初のセットは試料400の最初のスワス402に対応し、像データの第2のセットは、試料400の第2のスワス404に対応する。
像データの各セットは、ヘビ状またはラスタパターンで試料から順番にスワスを走査することによって取得される。例えば、試料400の第1のスワス402は、左から右へ像入手システムによって走査されて像データの第1のセットを取得する。第2のスワス404は次に右から左へ走査されて像データの第2のセットを取得する。
好ましい実施形態においては、像データの各セットと試料上の重複に対応する像データの次のセットとの間に重複406が存在する。この重複は試料400上のある特定のパターンを処理する際により柔軟性を可能とする。例えば、この重複は、パターンの高さが重複区域の高さ以下である限り、重複スワスによってカバーされる表面の部分のいずれかにおけるあらゆるパターンが少なくとも1つのスワス内に完全に含まれることを確保する。ほとんどのアルゴリズムは、アルゴリズムが調べている像部分内に全体のパターンが存在しない限り、パターン内の欠陥を正しく検出することはできない。
図3に戻ると、像データ302はネットワーク308を介してデータ分配システムによって受け取られることが可能である。データ分配システムは、RAMバッファ等の1つ以上のメモリデバイスと関連付けられ得、受け取られた像データ302の少なくとも一部分を保持する。好ましくは、合計メモリは像データの全体スワスを保持するために十分大きい。例えば、100万画素×1000画素の見本については、1ギガバイトのメモリが良好に働く。
データ分配システム(例えば、304aおよび304b)は、像プロセッサ(例えば、306aおよび306b)への受け取られた像入力データ302の一部分の分配の制御も行い得る。例えば、データ分配システムは、第1の像を像プロセッサ306aに経路決めし、第2の像を像プロセッサ306bに経路決めし得る。
像プロセッサは、試料の少なくとも一部分またはパッチに対応する像を受け取り得る。像プロセッサは、像データ部分を保持する等のローカルメモリ機能を提供するDRAMデバイス等の1つ以上のメモリデバイス(示されない)ともそれぞれ連結または統合され得る。好ましくは、メモリは試料のパッチに対応する像を保持するために十分に大きい。例えば512×1024画素であるパッチに対応する像に関しては、8メガバイトのメモリが良好に働く。代替的に、像プロセッサはメモリを共有し得る。
像データ302の各セットは、試料のスワスに対応し得る。像データのうちの1つ以上のセットは、データ分配システムのメモリ内に記憶され得る。このメモリは、データ分配システム内の1つ以上のプロセッサによって制御され得、そしてメモリは複数の区画に分割され得る。例えば、データ分配システムはスワスの一部分に対応する像を第1のメモリ区画(示されない)内へ受け取り得、そしてデータ分配システムは、別のスワスに対応する別の像を第2のメモリ区画(示されない)内へ受け取り得る。好ましくは、データ分配システムの各メモリ区画は、当該メモリ区画と関連付けられるプロセッサに対して経路決めされる像データの部分のみを保持する。例えば、データ分配システムの第1のメモリ区画は、第1の像を像プロセッサ306aに対して保持および経路決めを行い得、そして第2のメモリ区画は第2の像を像プロセッサ306bに対して保持および経路決めを行い得る。
データ分配システムはまた受け取られた像データの一部を像プロセッサに対して分解および経路決めし得る。像データは、データ分析を容易にするために、あらゆる好適な様式によってデータ分配システムによって分割され得る。例えば、像データはそれぞれが試料の「パッチ」に対応する像に分割され得る。図5は、パッチに分割されるスワスに対応する像データセット402の図式図解である。
示されるように、像セット402は複数の像502、504、506、および508を含み、各像は試料のパッチに対応する。重複スワスに対応する像データのセットのように、像データの特定のセット内の像も重複し得る。示されるように、像502と504の間に重複区域510cが、像504と506の間に重複区域510bが、そして像506および508の間に重複区域510aが存在する。
重複スワス像に関して上に論議されたように、パッチ像の重複は信頼できる処理をも容易にする。例えば、重複区域は、構造の幅が重複幅未満であるときに、重複区域内に部分的にまたは完全に存在する完全構造を処理することを可能にする。畳み込み演算および局所近傍演算の使用時にパッチの縁において発生するデータの侵食または喪失は、重複が存在するときに取り除くことが可能である。
データ分配システムは、像データのあらゆる好適パラメータに基づき、像データの各像を定義および分配し得る。例えば、像は、試料上のパッチの対応位置に基づき、定義および分配がなされ得る。一実施形態では、各スワスは、スワス内の画素の水平位置に対応するある範囲内のカラム位置と関連付けられる。例えば、スワスのカラム0〜256は、第1のパッチと対応し得、これらのカラム内の画素は第1の像を含み、これは1つ以上のリーフプロセッサへ経路決めされる。同様に、スワスのカラム257〜512は第2のパッチに対応し得、これらのカラム内の画素は第2の像を含み、これは異なるリーフプロセッサ(複数可)へ経路決めされる。
システム例
図6Aは、ある特定の実施形態に従ってマスクパターンをフォトマスクMからウェハーWへ転写するために使用されることが可能な、典型的リソグラフィシステム600の簡素化された略図である。当該システムの例は、スキャナおよびステッパを含み、より具体的には、ASML、フェルドホーフェン、オランダから入手可能なPAS 5500システムである。概して、照明源603は光ビームを照明レンズ605を通してマスク面602に位置決めされたフォトマスクMへ向ける。照明レンズ605はその面602において開口数601を有する。開口数601の値は、フォトマスク上のどの欠陥がリソグラフィ上顕著な欠陥であり、またどれがそうではないかに関して影響力を有する。フォトマスクMを通過するビームの一部分は、撮像光学系653を透過、ウェハーWへ向けられ、パターン転写を開始するパターン化された光学信号を形成する。
図6Bは、ある特定の実施形態に従い、撮像レンズ651aを有する検査システム650の略図を提供し、レチクル面652において比較的大きな開口数651bを有する。描かれた検査システム650は、例えば、強化された検査のために60〜200X以上の倍率を提供するように設計された顕微鏡的拡大光学系653を含む。検査システムのレチクル面652における開口数651bは、しばしばリソグラフィシステム600のレチクル面602における開口数601よりかなり大きく、これは、試験検査像と実際の印刷像との間の違いに帰結する。
本明細書中に記述される検査技法は、さまざまな特別に構成された検査システム上で実装され得、これは図6Bにおいて略図的に図解されるもの等である。システム650は、レチクル面652内のフォトマスクM上へ照明光学系651を通って向けられる光ビームを生成する照明源660を含む。光源の例はレーザーまたはフィルター付きランプを含む。1つの例では、源は193nmレーザーである。上に説明されたように、検査システム650は、レチクル面652において、対応するリソグラフィシステムのレチクル面開口数(例えば、図6Aの要素601)より大きくあり得る開口数651bを有する。検査されるフォトマスクMは、レチクル面652に配置され、源に露出される。
マスクMからのパターン化された像は、拡大光学要素653の集まりを通って向けられ、これはパターン化された像をセンサ654上に投影する。好適なセンサは、電化結合デバイス(CCD)、CCDアレイ、時間遅延積算(TDI)センサ、TDIセンサアレイ、光電子増倍管(PMT)および他のセンサを含む。反射システムにおいては、光学要素は反射像を方向付けおよび捕獲する。
センサ654によって捕獲された信号は、コンピュータシステム673または、より一般的には、信号処理デバイスによって、処理されることが可能であり、これは処理のためにアナログ信号をセンサ654からデジタル信号へ変換するように構成されたアナログ−デジタルコンバータを含み得る。コンピュータシステム673は、強度、位相および/または感知された光ビームの他の特性を分析するように構成され得る。コンピュータシステム673は、結果としての試験像および他の検査特性を表示するためのユーザインターフェース(例えば、コンピュータ画面上)を提供するように構成され得る(例えば、プログラミング命令で)。コンピュータシステム673は、また、変化する検出しきい値等のユーザ入力を提供するための1つ以上の入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック)を含み得る。ある特定の実施形態においては、コンピュータシステム673は以下に詳述される検査技法を実行するように構成される。コンピュータシステム673は、入力/出力ポートに連結された1つ以上のプロセッサ、および適切なバスまたは他の通信機構を介して1つ以上のメモリを典型的に有する。
当該情報およびプログラム命令は特別に構成されたコンピュータシステム上で実装され得るので、当該システムは、コンピュータ可読媒体上に記憶されることが可能な、本明細書中に記述されるさまざまな動作を実施するためのプログラム命令/コンピュータコードを含む。機械可読媒体の例は、それらに限定されないが、ハードディスク、フロッピー(商標登録)ディスク、および磁気テープ等の磁気媒体、CD−ROMディスク等の光学媒体、光ディスク等の磁気光学媒体、および、読み取り専用メモリデバイス(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)等の、プログラム命令を記憶および実施するように特別に構成されたハードウエアデバイス、を含む。プログラム命令の例は、コンパイラ等によって生成される機械コードおよび、解釈プログラムを使用してコンピュータによって実行され得るより高いレベルのコードを含むファイルの両方を含む。
ある特定の実施形態においては、フォトマスクを検査するためのシステムは、少なくとも1つのメモリおよび本明細書中に記述される技法を実施するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む。検査システムの一例は、Milpitas、CaliforniaのKLA−Tencorから入手可能な特別に構成されたTeraScan(商標)DUV検査システムを含む。
先行する発明は理解の明確性の目的のためにいくらかの詳細によって記述されてきたが、ある特定の変更および修正は、付属の請求項の範囲内で実践され得ることは明白である。本発明のプロセス、システム、および装置を実装の多くの代替方法が存在することに注目されるべきである。したがって、本実施形態は説明としてであって制限的ではないと考察されるべきであり、本発明は本明細書中に与えられた詳細には限定されない。