JP2015503746A - 滞留時間の決定または確認のための窓処理質量分析データの使用 - Google Patents

滞留時間の決定または確認のための窓処理質量分析データの使用 Download PDF

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Abstract

試料を分離する走査が、複数の間隔の各間隔において、質量分析計によって受信される。分光計は、各間隔において、1回以上の質量分析走査を行う。走査は、各間隔において、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を有し、複数の間隔の間の質量範囲全体に対するスペクトル集合を生成する。スペクトル集合内の1つ以上の異なる間隔における1つ以上のピークが、断片イオンに対して同定される。質量範囲全体の質量スペクトルは、各ピークの各間隔に対して読み出される。各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性に対する値は、断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較される。各ピークは、比較に基づいてスコア化される。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2011年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/581,423号の利益を主張する。上記文献の内容は、本明細書においてその全体として参照することによって援用される。
(導入)
質量分析計は、多くの場合、溶出着目化合物を試料から同定および特性評価するために、クロマトグラフィまたは他の分離システムと連結される。そのような連結されたシステムでは、溶出溶媒は、イオン化され、一連の質量スペクトルは、規定された時間間隔において、溶出溶媒から取得される。これらの時間間隔は、例えば、1秒から100分以上に及ぶ。一連の質量スペクトルは、クロマトグラムを形成する。
クロマトグラム内で見出されるピークは、試料中の着目化合物を同定または特性評価するために使用される。しかしながら、複合混合物中では、同一の質量電荷比(M/Z)を有する他のピークによる干渉が、着目化合物を表すピークの判定を困難にし得る。ある場合には、着目化合物の予期される滞留時間に関する情報は、利用不可能である。他の場合には、着目化合物の概算滞留時間は、既知であり得る。しかしながら、このような後者の場合でも、着目化合物の正確なピークは、試料が複合物である場合、または試料間にわずかな滞留時間変動しか存在しない場合、曖昧となり得る。その結果、多くの場合、これらの場合において、着目化合物を同定または特性評価することは困難である。
種々の実施形態では、分離連結質量分析システムは、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を使用して、各時間間隔において質量分析走査を行うように使用される。言い換えると、質量範囲全体に対するスペクトル情報が、分離における各時間間隔において取得され得る。最近開発された高分解能かつ高処理量器具は、隣接または重複質量窓幅を用いて、複数の走査を使用して、時間間隔内に、質量範囲が、正確に走査されることを可能にする。複数の走査からの結果は、ともに区分化され、各時間間隔における質量範囲全体に対するスペクトルを生成することができる。分離の各時間間隔における各スペクトル集合は、質量範囲全体に対するスペクトル集合である。窓処理質量分析走査を使用して、質量範囲全体を走査するための例示的方法の1つは、ライブラリを通した順次窓処理取得(SWATH)と呼ばれる。
種々の実施形態では、窓処理取得方法を使用して収集された質量範囲全体に対するスペクトル情報は、複合混合物中の滞留時間の曖昧性を解決するために使用される。言い換えると、断片イオンが、分離における2つ以上の異なる時間間隔において、スペクトル集合内に2つ以上のピークを有することが見出されると、異なる時間間隔のそれぞれにおける質量範囲全体の質量スペクトルは、実際の滞留時間を判定するために分析されることができる。種々の基準が、質量範囲全体の質量スペクトルを分析するために使用されることができる。これらの基準に基づいて、各ピークおよび/または時間間隔が、スコア化される。既知の化合物に対する滞留時間は、最高スコアまたは組み合わせられたスコアを伴う、ピークまたは複数のピークから同定される。
当業者は、以下に説明される図面が、例証目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲をいかようにも制限するように意図されない。
図1は、種々の実施形態による、コンピュータシステムを図示する、ブロック図である。 図2は、種々の実施形態による、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するためのシステムを示す、概略図である。 図3は、種々の実施形態による、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法を示す、例示的流れ図である。 図4は、種々の実施形態による、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法を行う、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システムの概略図である。
本教示の1つ以上の実施形態が、詳細に説明される前に、当業者は、本教示が、その用途において、以下の発明を実施するための形態に記載される、または図面に図示される、構造、構成要素の配列、およびステップの配列の詳細に限定されないことを理解するであろう。また、本明細書で使用される語句および専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定としてみなされるべきではないことを理解されたい。
コンピュータ実装システム
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム100を図示する、ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102または他の通信機構と、情報を処理するためのバス102と連結される、プロセッサ104とを含む。コンピュータシステム100はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令を記憶するために、バス102に連結される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであり得る、メモリ106を含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令の実行の間、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピュータシステム100はさらに、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するために、バス102に連結される、読取専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス110は、情報および命令を記憶するために提供され、バス102に連結される。
コンピュータシステム100は、バス102を介して、コンピュータユーザに情報を表示するために、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ112に連結されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス114は、情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するために、バス102に連結される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信し、ディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御116である。本入力デバイスは、典型的には、デバイスが、平面において、位置を規定することを可能にする、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)の2つの軸における2自由度を有する。
コンピュータシステム100は、本教示を行うことができる。本教示のある実装によると、結果は、プロセッサ104が、メモリ106内に含有される1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス110等、別のコンピュータ可読媒体から、メモリ106に読み込まれてもよい。メモリ106内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、本明細書に説明されるプロセスを行わせる。代替として、有線回路が、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて使用されてもよい。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに限定されない。
用語「コンピュータ可読媒体」は、本明細書で使用されるように、実行のために、命令をプロセッサ104に提供することに関与する、任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、それらに限定されない、多くの形態をとってもよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス110等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ106等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を備える、配線を含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。
コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD−ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、ブルーレイディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュ−EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取ることができる、任意の他の有形媒体を含む。
種々の形態のコンピュータ可読媒体が、実行のために、プロセッサ104への1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実施することに関与し得る。例えば、命令は、最初に、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で実施されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリ内にロードし、モデムを使用して、電話回線を経由して、命令を送信することができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムは、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用して、データを赤外線信号に変換することができる。バス102に連結された赤外線検出器は、赤外線信号中で搬送されるデータを受信し、データをバス102上に置くことができる。バス102は、データをメモリ106に搬送し、そこから、プロセッサ104は、命令を読み出し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、随意に、プロセッサ104による実行前または後のいずれかに、記憶デバイス110上に記憶されてもよい。
種々の実施形態によると、プロセッサによって実行され、ある方法を行うように構成される命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶する、デバイスであることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、当技術分野において既知のように、ソフトウェアを記憶するためのコンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
本教示の種々の実装の以下の説明は、例証および説明の目的のために提示される。包括的でもなく、本教示を開示される精密な形態に限定するものでもない。修正および変形例が、前述の教示に照らして可能である、または本教示の実践から得られてもよい。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独において実装されてもよい。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向両方のプログラミングシステムで実装されてもよい。
スペクトル集合のピークのスコア化
前述のように、分離システムと連結された質量分析計は、試料から分離する着目化合物を同定および特性評価するために使用される。分離試料は、イオン化され、試料に対する一連の質量スペクトルが、規定された間隔において取得される。クロマトグラフシステムでは、経時的に収集される一連のスペクトルは、例えば、クロマトグラムと呼ばれる。任意の分離デバイスまたはシステムに対して、分離システムのいくつかの間隔にわたって収集される一連のスペクトルは、本明細書では、スペクトル集合と称される。
スペクトル集合内で見出されるピークは、試料中の着目化合物を同定または特性評価するために使用される。しかしながら、複合試料では、干渉ピークおよび着目化合物の滞留時間に関する概算または無情報が、着目化合物を同定または特性評価することを困難にし得る。
従来の分離連結質量分析システムでは、既知の着目化合物の断片イオンが、分析のために選択される。質量分析走査は、次いで、分離の各間隔において、断片イオンを含む質量範囲に対して行われる。各分光分析走査において見出される断片イオンの強度は、経時的に収集され、例えば、スペクトル集合、すなわち、イオンクロマトグラム(XIC)として分析される。
単純試料混合物に対して、例えば、断片イオンを表す単一ピークは、典型的には、既知の化合物の予期される滞留時間において、XIC内で見出される。しかしながら、より複雑な混合物に対しては、断片イオンを表す2つ以上のピークが、着目化合物の予期される滞留時間に加え、スペクトル集合内の1つ以上の付加的時間間隔内で特定される。言い換えると、断片イオンに対するXICは、2つ以上のピークを有し得る。
より複雑な混合物中の着目化合物を同定する従来の方法の1つは、既知の化合物の断片イオンの2つ以上がピークを有する、時間間隔を特定するものであった。本方法は、例えば、既知の配列のペプチドが定量化されるとき、プロテオミクスにおいて使用される。
典型的複数の反応監視(MRM)方法では、2つ以上のMRM遷移が、監視され、それぞれ、ペプチドの異なる断片に対応する。以前の発見データが利用可能である場合、これらの遷移は、データ内で観察される最大断片に基づく。そうでなければ、これらの遷移は、例えば、予測されるy−イオンに基づく。XICは、これらの2つ以上のMRM遷移に対して分析される。全遷移に対するピークが存在する時間が、着目化合物を特性評価するために使用される。
複合試料に対して、特に、予期される滞留時間が、正確に既知ではない場合、スペクトル集合内に曖昧性が存在し得る。例えば、2つ以上の滞留時間または2つ以上のMRM遷移のそれぞれに対してピークが存在する時間間隔が、存在し得る。
複合試料によって導入される曖昧性に対処するための付加的情報は、ほとんど利用不可能である。従来の分離連結質量分析システムでは、各時間間隔における各断片イオンに対する各質量分析走査は、典型的には、狭質量窓幅を使用して行われる。その結果、データ取得後に利用可能な各断片イオンに対する特定の時間間隔における質量スペクトルは、ほとんど付加的洞察をもたらす可能性がない。
プロテオミクス実施例に戻ると、複合試料は、2つ以上の抽出された親/娘イオンの組み合わせのそれぞれに対してピークが存在する、2つ以上の時間間隔を有し得る。言い換えると、ペプチドを表すピーク群は、2つ以上の時間間隔において見出され得る。種々の実施形態では、2つ以上の時間間隔のそれぞれに対して収集された各質量範囲全体に対する質量スペクトルが、検査される。
例えば、予期される質量のうちの1つ以上に対する質量精度が、不良である場合、これは、スペクトル集合内のピークが、予期される着目断片に対応せず、本候補が、排除され得る、または、実際は、そのスコアを減少させ得ることの指標である。本スコア化は、2つ以上の初期の予期される質量だけではなく、ペプチドに対する他の予期される配列イオンにも基づくことができる。多くの場合、スペクトル集合内のピークは、他の化合物の同位体ピーク、または正しくない電荷状態(したがって、また、着目化合物に関係ない)を伴うピークに対応する。従来のMRM方法に対して、本状況を検出方法は存在しないが、窓処理データ取得方法が使用されるとき、本状況は、検出されることができ、対応する候補は、その結果、最も下位にランク付けされ得る。
本技法は、可能性の高い配列イオンが、予測され得るが、また、初期断片スペクトルが利用可能であることを前提として、小分子にも非常に適用可能であるため、ペプチドに対して有力である。この場合、可能性として、スペクトルの最大観察断片集合が同定されが、任意の他の有意な観察断片を使用して、スコア化も行われるであろう。そのようなピーク群スコア化の付加的使用の1つは、スペクトル集合内で同定された初期質量に対してだけではなく、また、付加的予期または予測断片も考慮して、最も特異的断片質量または複数の質量を判定することであり得る。これは、「発見」データが、利用不可能であって、したがって、理論的ペプチドY−イオンが使用されるとき、または任意のそのような発見データが取得されるとき、最も有用である。これが、着目ペプチドを含有することが既知である(または、そのように疑われる)試料に対して行われる場合、結果として生じる最適化された断片質量は、他の試料に対する後続処理(すなわち、XIC計算)のために使用されることができる。
データ処理のシステムおよび方法
分離連結質量分析システム
図2は、種々の実施形態による、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するためのシステム200を示す、概略図である。システム200は、分離デバイス210、質量分析計220、およびプロセッサ230を含む。分離デバイス210は、1つ以上の化合物を試料混合物から分離する。分離デバイス210として、限定ではないが、電気泳動デバイス、クロマトグラフデバイス、または移動支援デバイスが挙げられ得る。
質量分析計220は、例えば、タンデム質量分析計である。質量分析計220は、2つ以上の質量分析を行う、1つ以上の物理的質量分析器を含むことができる。タンデム質量分析計の質量分析器は、限定ではないが、飛行時間(TOF)、四重極、イオントラップ、線形イオントラップ、軌道トラップ、磁場4セクタ型質量分析器、ハイブリッド四重極飛行時間(Q−TOF)質量分析器、またはフーリエ変換質量分析器が挙げられ得る。質量分析計220は、それぞれ、空間または時間において、別個の質量分析段階またはステップを含むことができる。
質量分析計220は、複数の間隔の各間隔において、分離試料混合物に1回以上の質量分析走査を行う。間隔は、限定ではないが、時間間隔またはイオン移動度の間隔を含むことができる。1回以上の質量分析走査は、その間隔において、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を有する。その結果、質量分析計220は、複数の間隔の間の質量範囲全体に対するスペクトル集合を生成する。本スペクトル集合は、例えば、メモリ内に記憶される。
プロセッサ230は、タンデム質量分析計220と通信する。プロセッサ230はまた、分離デバイス210と通信することができる。プロセッサ230は、限定ではないが、コンピュータ、マイクロプロセッサ、または制御信号およびデータをタンデム質量分析計220および処理データに送信し、そこから受信することが可能な任意のデバイスであることができる。
プロセッサ230は、例えば、スペクトル集合を質量分析計220から受信する。種々の実施形態では、プロセッサ230は、スペクトル集合をメモリ内に記憶されたファイルから受信することができる。プロセッサ230は、以下のステップを行う。ステップ1では、プロセッサは、既知の化合物の断片イオンを選択する。ステップ2では、プロセッサ230は、断片イオンに対して、スペクトル集合内の1つ以上の異なる間隔における1つ以上のピークを同定する。
ステップ3では、プロセッサ230は、1つ以上のピークの各ピークをスコア化する。プロセッサ230は、スペクトル集合から、各ピークの各間隔の間の質量範囲全体の質量スペクトルを読み出す。プロセッサ230は、各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性の値を、断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較する。最後に、プロセッサ230は、比較の結果を各ピークのスコアの基礎とする。
種々の実施形態では、1つ以上のイオン特性として、限定ではないが、電荷状態、等方性状態、質量精度、または既知の化合物の既知の断片化プロファイルと関連付けられ1つ以上の質量差が挙げられる。
種々の実施形態では、プロセッサ230はさらに、1つ以上のピークのスコアに基づいて、既知の化合物の分離間隔を同定する。プロセッサ230は、例えば、最高スコアを伴う1つ以上のピークのピークの間隔として、既知の化合物の分離間隔を同定する。分離間隔として、限定ではないが、クロマトグラフシステム内の滞留時間または着目化合物がイオン移動度システムを通して通過するイオン移動度が挙げられ得る。
種々の実施形態では、プロセッサ230はさらに、既知の化合物の1つ以上の付加的断片イオンに対して、ステップ1−3を行う。その結果、プロセッサ230は、既知の化合物の2つ以上の断片イオンの各ピークに対して、スコアを生成する。プロセッサ230は、2つ以上の断片イオンの各断片イオンが、スペクトル集合内にピークを有する、2つ以上の異なる間隔を同定する。プロセッサ230は、2つ以上の異なる間隔のそれぞれにおける2つ以上の断片イオンからのピークのスコアを組み合わせ、2つ以上の間隔のそれぞれの間の組み合わせられたスコアを生成する。最後に、プロセッサ230は、既知の化合物に対する分離間隔として、最高スコアを伴う2つ以上の異なる間隔の間隔を同定する。
種々の実施形態では、分離間隔におけるスペクトル集合からの質量範囲全体の質量スペクトルは、既知の化合物の定量化のために使用される。代替として、分離間隔におけるスペクトル集合からの質量範囲全体の質量スペクトルは、例えば、既知の化合物の修飾形態を特定するために使用される。
質量分析方法
図3は、種々の実施形態による、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法300を示す、例示的流れ図である。
方法300のステップ310では、スペクトル集合が、質量範囲全体に対して取得される。1つ以上の化合物が、分離デバイスを使用して、試料混合物から分離される。1回以上の質量分析走査が、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を使用して、複数の間隔の各間隔において、分離試料混合物に行われる。複数の間隔の間の質量範囲全体に対するスペクトル集合は、質量分析計を使用して生成される。スペクトル集合は、直接、質量分析計から、または間接的に、質量分析計によって生成された結果を記憶するファイルから、取得される。
ステップ320では、既知の化合物の断片イオンが、選択される。
ステップ330では、断片イオンに対して、複数の間隔の1つ以上の異なる間隔における1つ以上のピークが、スペクトル集合内で同定される。
ステップ340では、1つ以上のピークの各ピークが、スペクトル集合から、各ピークの各間隔に対する質量範囲全体の質量スペクトルを取得し、各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性の値を、断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較し比較の結果を各ピークのスコアの基礎とすることによって、スコア化される。
質量分析コンピュータプログラム製品
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、そのコンテンツが、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含む、非一過性および有形コンピュータ可読記憶媒体を含む。本方法は、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含むシステムによって行われる。
図4は、種々の実施形態による、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法を行う、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システム400の概略図である。システム400は、測定モジュール410および分析モジュール420を含む。
測定モジュール410は、質量範囲全体に対するスペクトル集合を取得する。1つ以上の化合物は、分離デバイスを使用して、試料混合物から分離される。1回以上の質量分析走査が、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を使用して、複数の間隔の各間隔において、分離試料混合物に行われる。質量範囲全体に対するスペクトル集合は、質量分析計を使用して、複数の間隔の間に生成される。
分析モジュール420は、既知の化合物の断片イオンを選択する。分析モジュール420は、スペクトル集合内の複数の間隔の1つ以上の異なる間隔において、断片イオンに対して、1つ以上のピークを同定する。最後に、分析モジュール420は、1つ以上のピークの各ピークをスコア化する。各ピークの各間隔の間の質量範囲全体の質量スペクトルは、スペクトル集合から取得される。各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性の値は、断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較される。各ピークのスコアは、比較の結果に基づく。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示が、そのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
さらに、種々の実施形態を説明する際、本明細書は、ステップの特定のシーケンスとして、方法および/またはプロセスを提示し得る。しかしながら、方法またはプロセスが、本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しない範囲において、方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスが可能であってもよい。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に関する限定として解釈されるべきではない。加えて、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、書かれた順序におけるそのステップの実施に限定されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変更されてもよく、依然として、種々の実施形態の精神および範囲にあることを容易に理解することができる。

Claims (16)

  1. スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するためのシステムであって、
    1つ以上の化合物を試料混合物から分離する分離デバイスと、
    質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を使用して、複数の間隔の各間隔において、分離試料混合物に1回以上の質量分析走査を行い、前記複数の間隔の間の質量範囲全体に対するスペクトル集合を生成する質量分析計と、
    プロセッサと
    を備え、
    前記プロセッサは、
    (a)既知の化合物の断片イオンを選択することと、
    (b)前記スペクトル集合内の複数の間隔の1つ以上の異なる間隔において、前記断片イオンに対して、1つ以上のピークを同定することと、
    (c)前記スペクトル集合から、各ピークの各間隔に対する前記質量範囲全体の質量スペクトルを取得し、前記各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性の値を、前記断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較し、前記比較の結果を前記各ピークのスコアの基礎とすることによって、前記1つ以上のピークの各ピークをスコア化することと
    を行う、システム。
  2. 前記複数の間隔は、複数の間隔を含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記複数の間隔は、複数のイオン移動度を含む、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記1つ以上のイオン特性は、電荷状態を含む、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記1つ以上のイオン特性は、等方性状態を含む、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記1つ以上のイオン特性は、質量精度を含む、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記1つ以上のイオン特性は、前記既知の化合物の既知の断片化プロファイルと関連付けられる1つ以上の質量差を含む、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記プロセッサはさらに、前記1つ以上のピークのスコアに基づいて、前記既知の化合物の分離間隔を同定する、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記分離間隔は、滞留時間を含む、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記分離間隔は、イオン移動度を含む、請求項8に記載のシステム。
  11. 前記プロセッサは、最高スコアを伴う前記1つ以上のピークのピークの間隔として、前記既知の化合物の分離間隔を同定する、請求項8に記載のシステム。
  12. 前記プロセッサはさらに、
    前記既知の化合物の1つ以上の付加的断片イオンに対して、ステップ(a)〜(c)を行い、前記既知の化合物の2つ以上の断片イオンのピークに対するスコアを生成することと、
    前記複数の間隔の2つ以上の異なる間隔を同定することであって、前記2つ以上の断片イオンの各断片イオンは、前記スペクトル集合内にピークを有する、ことと、
    前記2つ以上の異なる間隔のそれぞれにおける前記2つ以上の断片イオンからのピークのスコアを組み合わせ、前記2つ以上の間隔のそれぞれの間の組み合わせられたスコアを生成ことと、
    前記既知の化合物に対する分離間隔として、最高スコアを伴う前記2つ以上の異なる間隔の間隔を同定することと
    を行う、請求項1に記載のシステム。
  13. 前記分離間隔における前記スペクトル集合からの質量範囲全体の質量スペクトルは、前記既知の化合物の定量化のために使用される、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記分離間隔における前記スペクトル集合からの質量範囲全体の質量スペクトルは、前記既知の化合物の修飾形態を特定するために使用される、請求項12に記載のシステム。
  15. スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法であって、
    質量範囲全体に対するスペクトル集合を取得することであって、1つ以上の化合物は、分離デバイスを使用して、試料混合物から分離され、1回以上の質量分析走査が、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を使用して、複数の間隔の各間隔において、分離試料混合物に行われ、質量分析計を使用して、前記複数の間隔の間、前記質量範囲全体に対するスペクトル集合を生成する、ことと、
    既知の化合物の断片イオンを選択することと、
    前記スペクトル集合内の複数の間隔の1つ以上の異なる間隔において、前記断片イオンに対して、1つ以上のピークを同定することと、
    前記スペクトル集合から、各ピークの各間隔に対する質量範囲全体の質量スペクトルを取得し、前記各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性の値を、前記断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較し、前記比較の結果を前記各ピークのスコアの基礎とすることによって、前記1つ以上のピークの各ピークをスコア化することと
    を含む、方法。
  16. 非一過性および有形コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記非一過性および有形コンピュータ可読記憶媒体のコンテンツが、スペクトル集合から、既知の着目化合物のピークをスコア化するための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含み、前記方法は、
    システムを提供することであって、前記システムは、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを備え、前記個別のソフトウェアモジュールは、測定モジュールおよび分析モジュールを備える、ことと、
    前記測定モジュールを使用して、質量範囲全体に対するスペクトル集合を取得することであって、1つ以上の化合物は、分離デバイスを使用して、試料混合物から分離され、1回以上の質量分析走査が、質量範囲全体に及ぶために、1つ以上の順次質量窓幅を使用して、複数の間隔の各間隔において、前記分離試料混合物になわれ、質量分析計を使用して、前記複数の間隔の間、前記質量範囲全体に対するスペクトル集合を生成する、ことと、
    前記分析モジュールを使用して、既知の化合物の断片イオンを選択することと、
    前記分析モジュールを使用して、前記スペクトル集合内の複数の間隔の1つ以上の異なる間隔において、前記断片イオンに対して、1つ以上のピークを同定することと、
    前記スペクトル集合から、各ピークの各間隔に対する質量範囲全体の質量スペクトルを取得し、前記各ピークに対応する質量スペクトル内の質量電荷比ピークの1つ以上のイオン特性の値を、前記断片イオンに対する1つ以上の既知の値と比較し、前記比較の結果を前記各ピークのスコアの基礎とすることによって、前記分析モジュールを使用して、前記1つ以上のピークの各ピークをスコア化することと
    を含む、コンピュータプログラム製品。
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