JPH05258713A - 質量分析計 - Google Patents
質量分析計Info
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- JPH05258713A JPH05258713A JP4052222A JP5222292A JPH05258713A JP H05258713 A JPH05258713 A JP H05258713A JP 4052222 A JP4052222 A JP 4052222A JP 5222292 A JP5222292 A JP 5222292A JP H05258713 A JPH05258713 A JP H05258713A
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- JP
- Japan
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- mixture
- mass spectrum
- molecular weight
- mass
- component
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- Pending
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- Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】混合物試料のマススペクトルのイオンピークを
成分毎に色彩を変えて表示し、成分数を明確にするこ
と、および成分のより精密な分子量を算出することを目
的とする。 【構成】試料を分離する手段,イオン源,質量分析部,
検出器,データ処理装置から成り、混合物分析のデータ
と混合物を分離したときの分析データを比較し同一成分
由来のイオンピークを区別する機能を有するデータ処理
装置を有する。
成分毎に色彩を変えて表示し、成分数を明確にするこ
と、および成分のより精密な分子量を算出することを目
的とする。 【構成】試料を分離する手段,イオン源,質量分析部,
検出器,データ処理装置から成り、混合物分析のデータ
と混合物を分離したときの分析データを比較し同一成分
由来のイオンピークを区別する機能を有するデータ処理
装置を有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は質量分析計に関し、特に
液体クロマトグラフ質量分析計(以下LC/MSと略
す)において混合物分析に際し、分離を行わず分析した
マススペクトルにおいて、成分数,各成分の分子量情
報、等の情報を与えるデータ処理,表示に関するもので
ある。
液体クロマトグラフ質量分析計(以下LC/MSと略
す)において混合物分析に際し、分離を行わず分析した
マススペクトルにおいて、成分数,各成分の分子量情
報、等の情報を与えるデータ処理,表示に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】質量分析計は試料分子に関する分子量情
報を与える、同定能力に優れた装置である。しかし測定
試料が混合物である場合、分子量の情報が重なり合い、
マススペクトルの解釈が困難となる。そこで混合物の分
離手段としてガスクロマトグラフ(以下GCと略す)や
液体クロマトグラフ(以下LCと略す)を用い混合物を
分離し、その各成分をMSで同定しようとするGC/M
S法やLC/MS法が開発された。GC/MS法は揮発
性の混合物を同定に有用であるのに対し、難揮発性,極
性化合物の同定に関してはLC/MS法がしばしば用い
られる。このLC/MS法のうち生体成分や蛋白質,ペ
プチドのイオン化,分析を可能とするイオン源が最近開
発され、エレクトロスプレイ(ESI)法とよばれ急速
に普及している。このイオン化法の特徴としては多価イ
オンを容易に生成することが挙げられる。多価イオンが
生成した場合、単一成分であるとそのイオンピークの最
小公倍数を求め、分子量を算出する方法がJohn B.Fenn
らによってアナリティカル・ケミストリー(Anal. Che
m) 1989 61,1702−1708に示されて
いる。成分が単一である場合は分子量の算出は容易であ
るが複数の成分のマススペクトルの場合、どのイオンピ
ークが同一成分由来のものであるかの識別は困難であ
る。そのため出来るだけ成分を細かく分離する条件が必
要であるが、現時点においてLC/MSのLC条件は制
限が多いため、成分の完全な分離が達成出来ないことが
多い。とりわけ成分が多成分になる場合は完全分離は困
難である。測定者は生じたマスクロマトグラムのピーク
のみを積算し、得られたマススペクトルによりピークト
ップの試料成分の分子量は知ることが可能である。しか
しマスクロマトグラムの上でピークのテーリング部に存
在する微小成分等は見落とし易く、混合物成分として同
定し損なう可能性が高い。また時間を区切ってマススペ
クトルを積算し、分子量を算出する方法もあるが、長時
間に及ぶクロマトグラフィーではデータの処理に長時間
を要する上に、一成分の溶出を別々に処理し、二成分と
して処理する可能性が生じる。そのため現時点では分離
し感度の良いマスクロマトグラムのピークを積算しそれ
によるマススペクトルのイオンピークを分子量の算出に
用い、成分の分子量として提示することが通常となって
いる。さらにESI法を用いた場合、混合物をそのまま
分析(フローインジェクション)する場合とカラムを用
いて分離を行った場合とを比較した結果同じ成分を分析
したにもかかわらず、最大電荷数が異なる場合がある。
例えば分子量931のAngiotensinIIIの分析例(図2)で
は、フローインジェクションではm/z932(1価の
イオンピーク)、m/z466(2価のイオンピーク)
が生成するが、カラムで分離したマススペクトルのイオ
ンピークはm/z931,m/z466、およびm/z
311(3価のイオンピーク)となる。以上よりフロー
インジェクションでのマススペクトルとカラムで分離し
たマススペクトルを並列するのみでは、混合物に含まれ
ている成分の数や、両マススペクトルに示されているイ
オンピークの関係を把握することは困難である。生成さ
れたイオンピークから分子量の計算を行い、イオンピー
クの相互関係を知ることは必要である。
報を与える、同定能力に優れた装置である。しかし測定
試料が混合物である場合、分子量の情報が重なり合い、
マススペクトルの解釈が困難となる。そこで混合物の分
離手段としてガスクロマトグラフ(以下GCと略す)や
液体クロマトグラフ(以下LCと略す)を用い混合物を
分離し、その各成分をMSで同定しようとするGC/M
S法やLC/MS法が開発された。GC/MS法は揮発
性の混合物を同定に有用であるのに対し、難揮発性,極
性化合物の同定に関してはLC/MS法がしばしば用い
られる。このLC/MS法のうち生体成分や蛋白質,ペ
プチドのイオン化,分析を可能とするイオン源が最近開
発され、エレクトロスプレイ(ESI)法とよばれ急速
に普及している。このイオン化法の特徴としては多価イ
オンを容易に生成することが挙げられる。多価イオンが
生成した場合、単一成分であるとそのイオンピークの最
小公倍数を求め、分子量を算出する方法がJohn B.Fenn
らによってアナリティカル・ケミストリー(Anal. Che
m) 1989 61,1702−1708に示されて
いる。成分が単一である場合は分子量の算出は容易であ
るが複数の成分のマススペクトルの場合、どのイオンピ
ークが同一成分由来のものであるかの識別は困難であ
る。そのため出来るだけ成分を細かく分離する条件が必
要であるが、現時点においてLC/MSのLC条件は制
限が多いため、成分の完全な分離が達成出来ないことが
多い。とりわけ成分が多成分になる場合は完全分離は困
難である。測定者は生じたマスクロマトグラムのピーク
のみを積算し、得られたマススペクトルによりピークト
ップの試料成分の分子量は知ることが可能である。しか
しマスクロマトグラムの上でピークのテーリング部に存
在する微小成分等は見落とし易く、混合物成分として同
定し損なう可能性が高い。また時間を区切ってマススペ
クトルを積算し、分子量を算出する方法もあるが、長時
間に及ぶクロマトグラフィーではデータの処理に長時間
を要する上に、一成分の溶出を別々に処理し、二成分と
して処理する可能性が生じる。そのため現時点では分離
し感度の良いマスクロマトグラムのピークを積算しそれ
によるマススペクトルのイオンピークを分子量の算出に
用い、成分の分子量として提示することが通常となって
いる。さらにESI法を用いた場合、混合物をそのまま
分析(フローインジェクション)する場合とカラムを用
いて分離を行った場合とを比較した結果同じ成分を分析
したにもかかわらず、最大電荷数が異なる場合がある。
例えば分子量931のAngiotensinIIIの分析例(図2)で
は、フローインジェクションではm/z932(1価の
イオンピーク)、m/z466(2価のイオンピーク)
が生成するが、カラムで分離したマススペクトルのイオ
ンピークはm/z931,m/z466、およびm/z
311(3価のイオンピーク)となる。以上よりフロー
インジェクションでのマススペクトルとカラムで分離し
たマススペクトルを並列するのみでは、混合物に含まれ
ている成分の数や、両マススペクトルに示されているイ
オンピークの関係を把握することは困難である。生成さ
れたイオンピークから分子量の計算を行い、イオンピー
クの相互関係を知ることは必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在LC/MS法では
まだLCの分離条件に制限が多く各成分を完全に分離で
きるとは限らない。そのためマスクロマトグラムのピー
クの数が成分の数と一致するか否かの判断が困難であ
る。現在LC/MSでの解決すべき課題は、含まれる成
分が何種類存在するかを明白にし、かつそれらの成分の
正しい分子量を求めることである。ESI法をイオン源
とした場合、混合物をフローインジェクションで分析し
得たマスクロマトグラムには、混合物試料に含まれ、か
つイオン化するすべての成分のイオンピークが存在す
る。このマススペクトル中のイオンピークとクロマトグ
ラフィーによって分離を行った時点で得られた一部の成
分のマススペクトルのイオンピークは同じ成分由来のも
のであっても一致しないことが多い。この一例としてAn
giotensinIIIをフローインジェクションで分析した場合
とカラムを通してグラジエント溶出したマススペクトル
を図2に示す。これらのマススペクトルよりESI法で
は分離を行った後のマススペクトルはフローインジェク
ションの場合に比べ電荷数が増加することが分かる。そ
のためフローインジェクションのマススペクトルと、カ
ラムに試料を通した後のマススペクトルのイオンピーク
を参照することによりAngiotensinIIIの分子量をより正
確に知ることが可能となる。多成分より成る混合物の場
合はフローインジェクションで得られたマススペクトル
と分離後に得られたマススペクトルの比較は複雑で対応
が困難と予想される。本発明ではクロマトグラフィーで
得られた分離成分のマススペクトルでその成分の分子量
を算出し、その結果を用い、フローインジェクションで
のイオンピークのうち、各分離成分から生成されたと算
出されたイオンピークを識別し、同一成分に関して同色
の色彩で表示する方法を有するソフトウェアを備えるこ
とを特徴とする。この方法により混合物試料の成分数を
知ることができる。また各イオンピークの関係が分かる
ため同一成分をのイオンピークのm/zを使用し分子量
を再計算することも可能である。本発明の目的は、混合
物試料において含まれる成分数,分子量等の正確な情報
を提示する質量分析計を提供することにある。
まだLCの分離条件に制限が多く各成分を完全に分離で
きるとは限らない。そのためマスクロマトグラムのピー
クの数が成分の数と一致するか否かの判断が困難であ
る。現在LC/MSでの解決すべき課題は、含まれる成
分が何種類存在するかを明白にし、かつそれらの成分の
正しい分子量を求めることである。ESI法をイオン源
とした場合、混合物をフローインジェクションで分析し
得たマスクロマトグラムには、混合物試料に含まれ、か
つイオン化するすべての成分のイオンピークが存在す
る。このマススペクトル中のイオンピークとクロマトグ
ラフィーによって分離を行った時点で得られた一部の成
分のマススペクトルのイオンピークは同じ成分由来のも
のであっても一致しないことが多い。この一例としてAn
giotensinIIIをフローインジェクションで分析した場合
とカラムを通してグラジエント溶出したマススペクトル
を図2に示す。これらのマススペクトルよりESI法で
は分離を行った後のマススペクトルはフローインジェク
ションの場合に比べ電荷数が増加することが分かる。そ
のためフローインジェクションのマススペクトルと、カ
ラムに試料を通した後のマススペクトルのイオンピーク
を参照することによりAngiotensinIIIの分子量をより正
確に知ることが可能となる。多成分より成る混合物の場
合はフローインジェクションで得られたマススペクトル
と分離後に得られたマススペクトルの比較は複雑で対応
が困難と予想される。本発明ではクロマトグラフィーで
得られた分離成分のマススペクトルでその成分の分子量
を算出し、その結果を用い、フローインジェクションで
のイオンピークのうち、各分離成分から生成されたと算
出されたイオンピークを識別し、同一成分に関して同色
の色彩で表示する方法を有するソフトウェアを備えるこ
とを特徴とする。この方法により混合物試料の成分数を
知ることができる。また各イオンピークの関係が分かる
ため同一成分をのイオンピークのm/zを使用し分子量
を再計算することも可能である。本発明の目的は、混合
物試料において含まれる成分数,分子量等の正確な情報
を提示する質量分析計を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】問題点を解決するために
は、混合物のすべての情報を得ることができるフローイ
ンジェクションのマススペクトルで示されたイオンピー
クとクロマトグラフィーによって分離し、得られたマス
スペクトルの各成分のイオンピークを比較し、それらの
与える多価イオンの情報から同じ分子量に帰属するイオ
ンピーク同志を識別する方法が必要である。分離された
成分が与えるマススペクトルの情報では含まれる成分の
数が減少するため成分の分子量情報を多価イオンのピー
クから算出することが可能である。ここで得られた分子
量情報を利用しこの分子量から生成されると予想される
多価イオンがフローインジェクションのマススペクトル
中で存在するならば同一成分として色彩を施すことで他
のイオンピークと区別する。マスクロマトグラムの上で
分離されたピーク全てに関し同操作を行い同一成分から
生じたイオンピークに関しては同一色彩により区別す
る。さらにこの分類で同定されなかったイオンピークに
関してはそれらのピークの全ての組合わせで最小公倍数
を求め、同一成分と計算されたイオンピークは同一成分
としての表示を行う。最終的に同一成分から生成したと
判断される全てのイオンピーク、すなわちフローインジ
ェクションによるマススペクトルのイオンピーク,カラ
ム溶出後のイオンピークを分子量計算に使用すれば、よ
り正確な分子量の算出が可能となる。
は、混合物のすべての情報を得ることができるフローイ
ンジェクションのマススペクトルで示されたイオンピー
クとクロマトグラフィーによって分離し、得られたマス
スペクトルの各成分のイオンピークを比較し、それらの
与える多価イオンの情報から同じ分子量に帰属するイオ
ンピーク同志を識別する方法が必要である。分離された
成分が与えるマススペクトルの情報では含まれる成分の
数が減少するため成分の分子量情報を多価イオンのピー
クから算出することが可能である。ここで得られた分子
量情報を利用しこの分子量から生成されると予想される
多価イオンがフローインジェクションのマススペクトル
中で存在するならば同一成分として色彩を施すことで他
のイオンピークと区別する。マスクロマトグラムの上で
分離されたピーク全てに関し同操作を行い同一成分から
生じたイオンピークに関しては同一色彩により区別す
る。さらにこの分類で同定されなかったイオンピークに
関してはそれらのピークの全ての組合わせで最小公倍数
を求め、同一成分と計算されたイオンピークは同一成分
としての表示を行う。最終的に同一成分から生成したと
判断される全てのイオンピーク、すなわちフローインジ
ェクションによるマススペクトルのイオンピーク,カラ
ム溶出後のイオンピークを分子量計算に使用すれば、よ
り正確な分子量の算出が可能となる。
【0005】
【作用】本発明の目的は混合物試料に含まれる成分の数
を求めること、および成分のより正確な分子量を提示す
ることにある。成分の数を正確に求めることは、質量分
析計で混合物を分析する場合以外、例えば各成分を分集
し別の目的に使用する場合にも必須事項である。混合物
試料は分離されずに質量分析計で分析される。この時得
られたマススペクトルをマススペクトルIとする。混合
物は次に、質量分析計で分析可能な条件下で分離され質
量分析計に導入される。この時分離された成分がイオン
化しやすく、多量のイオンを生成するとマスクロマトグ
ラム上でピークを生じる。UV検出器で分離成分が吸収
を持つ場合にクロマトグラム上でピークを与えるのに対
し、MSでは分離成分がイオンを多く生成した場合にク
ロマトグラム上でピークを与える。質量分析計ではピー
クの中に含まれるイオンのm/zを求めることが可能で
ある。一つのピークからマススペクトルを得、含まれて
いるイオンの質量情報からこの情報を与えたと考えられ
る物質の分子量を算出する。これは得られたイオンピー
クの最小公倍数を求めるか、複数のイオンピークを使用
し連立方程式を解くことで可能である。この方法につい
て以下に記す。隣合ったイオンピークにおいて、そのm
/zをm1,m2とし、電荷数をn,n+1価とする。成
分の分子量Mと価数nは方程式m1=(M+n)/n,m2
=(M+n+1)/(n+1)で求めることができる。仮
にマスクロマトグラムのピークトップに複数の成分由来
のイオンが存在してもデータ処理上で生成したイオンピ
ークのあらゆる種類を組み合わせ計算することで各々の
試料の分子量の算出が可能である。さらに算出された分
子量をもとに生成し得る全てのイオンを予測し、フロー
インジェクションで生じたイオンピークで一致するも
の、あるいは帰属する可能性の高いものに関し色彩によ
って区分する。クロマトグラフィーで算出された分子量
に帰属しないがフローインジェクション上ではイオンピ
ークとなっているものに関してデータ処理であらゆる組
合わせで分子量の計算を行う。ここで共通の帰属する試
料があるか、またそのような試料が何成分存在するかが
分かるが色彩を変えて各成分を表示することでイオンピ
ーク間の関係を一目で知ることができる。さらに同種の
試料から生成したとみなされるイオンピークが区別され
全て計算に加えられるため、より正確な分子量の計算が
可能となる。
を求めること、および成分のより正確な分子量を提示す
ることにある。成分の数を正確に求めることは、質量分
析計で混合物を分析する場合以外、例えば各成分を分集
し別の目的に使用する場合にも必須事項である。混合物
試料は分離されずに質量分析計で分析される。この時得
られたマススペクトルをマススペクトルIとする。混合
物は次に、質量分析計で分析可能な条件下で分離され質
量分析計に導入される。この時分離された成分がイオン
化しやすく、多量のイオンを生成するとマスクロマトグ
ラム上でピークを生じる。UV検出器で分離成分が吸収
を持つ場合にクロマトグラム上でピークを与えるのに対
し、MSでは分離成分がイオンを多く生成した場合にク
ロマトグラム上でピークを与える。質量分析計ではピー
クの中に含まれるイオンのm/zを求めることが可能で
ある。一つのピークからマススペクトルを得、含まれて
いるイオンの質量情報からこの情報を与えたと考えられ
る物質の分子量を算出する。これは得られたイオンピー
クの最小公倍数を求めるか、複数のイオンピークを使用
し連立方程式を解くことで可能である。この方法につい
て以下に記す。隣合ったイオンピークにおいて、そのm
/zをm1,m2とし、電荷数をn,n+1価とする。成
分の分子量Mと価数nは方程式m1=(M+n)/n,m2
=(M+n+1)/(n+1)で求めることができる。仮
にマスクロマトグラムのピークトップに複数の成分由来
のイオンが存在してもデータ処理上で生成したイオンピ
ークのあらゆる種類を組み合わせ計算することで各々の
試料の分子量の算出が可能である。さらに算出された分
子量をもとに生成し得る全てのイオンを予測し、フロー
インジェクションで生じたイオンピークで一致するも
の、あるいは帰属する可能性の高いものに関し色彩によ
って区分する。クロマトグラフィーで算出された分子量
に帰属しないがフローインジェクション上ではイオンピ
ークとなっているものに関してデータ処理であらゆる組
合わせで分子量の計算を行う。ここで共通の帰属する試
料があるか、またそのような試料が何成分存在するかが
分かるが色彩を変えて各成分を表示することでイオンピ
ーク間の関係を一目で知ることができる。さらに同種の
試料から生成したとみなされるイオンピークが区別され
全て計算に加えられるため、より正確な分子量の計算が
可能となる。
【0006】
【実施例】図1および図3から図6を用いて本発明の一
実施例を示す。図3は流路の略図である。混合物はイン
ジェクタ2から注入される。移動相溶液はポンプ1から
送られる。まず一部の混合物試料は三方弁31によりで
バイパス流路8を通り、三方弁32からカラムで分離さ
れずに直接MSに導入される。このマススペクトルには
混合物中の全ての成分の分子量情報が含まれる。これは
マススペクトルIとして表示される(図4)。次に残り
の混合物試料はカラム4に導入される。ここで混合物試
料は一部あるいは全成分が分離される。この分離に従っ
ての試料成分が質量分析計7に導入される。イオン源と
してESIを使用し、カラム4として汎用カラムを使用
する場合、分離を行うためのLCポンプの流量と、ES
Iに導入できる許容流量が大きく異なるため、分岐を行
う必要がある。分岐比の調節は廃液側にニードルバルブ
4を設置し、その圧力を調節することで行うことが可能
である。カラムから試料が溶出し、かつその試料成分が
イオン化しやすい場合、その試料のイオンはマスクロマ
トグラム上でピークを与える。試料成分が溶出している
間MSでの測定を行う。このときの生成イオンを示した
ものがマスクロマトグラムである(図5)。このマスク
ロマトグラムの一ピークずつを積算したものがマススペ
クトルII−1〜3である(図6)。図5のうち溶出する
成分の順にマススペクトルII−1,2,3と表示する。
ここで混合物試料の例として以下の試料の分離例を示
す。成分は5種類、Dynorphin A(MW:2147.5)
塩基性アミノ酸の数5残基,β−Endorphin(Human)(M
W:3465.0)塩基性アミノ酸の数5残基,CRF
(Ovine)(MW:4670.3)塩基性アミノ酸の数7残
基,CRF(Rat,Human)(MW:4757.5)塩基性アミ
ノ酸の数7残基,Tyrosyl−CRF(MW:4920.
7)塩基性アミノ酸の数7残基である。ここで塩基性ア
ミノ酸の数を示した理由はペプチドをESI法でイオン
化した場合、その最大価数は塩基性アミノ酸の数に依存
する傾向があることが経験上知られているからである。
カラムはODSを使用し、0.1% 酢酸とアセトニトリ
ルでグラジエントによる分離を行う。図5では10分に
溶出した成分がDynorphin Aである。このピークを積算
したものが図6のマススペクトルII−1である。16分
に溶出した成分はβ−Endorphin(Human)であり、積算し
たものはマススペクトルII−2である。17分に溶出し
た成分はCRF(Ovine)であり、積算したマススペクト
ルはII−3である。他の成分はマスクロマトグラムの上
で、テーリング部に溶出されている。マススペクトルII
−1で生じたイオンピークはm/z717,538,4
31,359である。711をn価、538をn+1価
とし、分子量Mとしたときn=3,M=2147と計算
される。同様に、II−2のイオンピークはm/z86
7,694,579であるため分子量は3465と計算
される。またII−3から分子量は4670と計算され
る。マススペクトルIIから同一成分であると予想された
イオンピークをマススペクトルIで成分毎同じ色彩で区
別する。これは図1のI,II,III の色彩が表示された
状態である。この段階で同定されていないイオンピーク
はm/z985,953,821,794,704であ
る。これらのイオンピークを組合わせて、最小公倍数を
求めていくと、m/z953,794が分子量4758
の成分と予想され、m/z985,821,704が分
子量4921の成分と予想される。分子量4758,4
921の成分から考えられる多価イオンピークがマスク
ロマトグラム中で生成されていると判明した場合同一成
分に同様に色彩を与え区別を行う。これが図1のIV,V
に相当する。さらにこれらの分類されたイオンピークを
使用しマススペクトルIIと参照することで分子量を再計
算すれば、より精密な分子量を求めることが可能とな
る。
実施例を示す。図3は流路の略図である。混合物はイン
ジェクタ2から注入される。移動相溶液はポンプ1から
送られる。まず一部の混合物試料は三方弁31によりで
バイパス流路8を通り、三方弁32からカラムで分離さ
れずに直接MSに導入される。このマススペクトルには
混合物中の全ての成分の分子量情報が含まれる。これは
マススペクトルIとして表示される(図4)。次に残り
の混合物試料はカラム4に導入される。ここで混合物試
料は一部あるいは全成分が分離される。この分離に従っ
ての試料成分が質量分析計7に導入される。イオン源と
してESIを使用し、カラム4として汎用カラムを使用
する場合、分離を行うためのLCポンプの流量と、ES
Iに導入できる許容流量が大きく異なるため、分岐を行
う必要がある。分岐比の調節は廃液側にニードルバルブ
4を設置し、その圧力を調節することで行うことが可能
である。カラムから試料が溶出し、かつその試料成分が
イオン化しやすい場合、その試料のイオンはマスクロマ
トグラム上でピークを与える。試料成分が溶出している
間MSでの測定を行う。このときの生成イオンを示した
ものがマスクロマトグラムである(図5)。このマスク
ロマトグラムの一ピークずつを積算したものがマススペ
クトルII−1〜3である(図6)。図5のうち溶出する
成分の順にマススペクトルII−1,2,3と表示する。
ここで混合物試料の例として以下の試料の分離例を示
す。成分は5種類、Dynorphin A(MW:2147.5)
塩基性アミノ酸の数5残基,β−Endorphin(Human)(M
W:3465.0)塩基性アミノ酸の数5残基,CRF
(Ovine)(MW:4670.3)塩基性アミノ酸の数7残
基,CRF(Rat,Human)(MW:4757.5)塩基性アミ
ノ酸の数7残基,Tyrosyl−CRF(MW:4920.
7)塩基性アミノ酸の数7残基である。ここで塩基性ア
ミノ酸の数を示した理由はペプチドをESI法でイオン
化した場合、その最大価数は塩基性アミノ酸の数に依存
する傾向があることが経験上知られているからである。
カラムはODSを使用し、0.1% 酢酸とアセトニトリ
ルでグラジエントによる分離を行う。図5では10分に
溶出した成分がDynorphin Aである。このピークを積算
したものが図6のマススペクトルII−1である。16分
に溶出した成分はβ−Endorphin(Human)であり、積算し
たものはマススペクトルII−2である。17分に溶出し
た成分はCRF(Ovine)であり、積算したマススペクト
ルはII−3である。他の成分はマスクロマトグラムの上
で、テーリング部に溶出されている。マススペクトルII
−1で生じたイオンピークはm/z717,538,4
31,359である。711をn価、538をn+1価
とし、分子量Mとしたときn=3,M=2147と計算
される。同様に、II−2のイオンピークはm/z86
7,694,579であるため分子量は3465と計算
される。またII−3から分子量は4670と計算され
る。マススペクトルIIから同一成分であると予想された
イオンピークをマススペクトルIで成分毎同じ色彩で区
別する。これは図1のI,II,III の色彩が表示された
状態である。この段階で同定されていないイオンピーク
はm/z985,953,821,794,704であ
る。これらのイオンピークを組合わせて、最小公倍数を
求めていくと、m/z953,794が分子量4758
の成分と予想され、m/z985,821,704が分
子量4921の成分と予想される。分子量4758,4
921の成分から考えられる多価イオンピークがマスク
ロマトグラム中で生成されていると判明した場合同一成
分に同様に色彩を与え区別を行う。これが図1のIV,V
に相当する。さらにこれらの分類されたイオンピークを
使用しマススペクトルIIと参照することで分子量を再計
算すれば、より精密な分子量を求めることが可能とな
る。
【0007】
【発明の効果】本発明により、混合物試料の成分の数を
確実に知ることが可能となった。また本発明により各イ
オンピークが同一成分から生成したものであるか否か、
さらにそのイオンピークがどの成分の何価のイオンピー
クであるかを知ることが可能となった。
確実に知ることが可能となった。また本発明により各イ
オンピークが同一成分から生成したものであるか否か、
さらにそのイオンピークがどの成分の何価のイオンピー
クであるかを知ることが可能となった。
【図1】本発明による表示方法を示す図である。
【図2】AngiotensinIIIの導入方法を変えたときのマス
スペクトルの比較を示す図である。
スペクトルの比較を示す図である。
【図3】実施例の構成図である。
【図4】混合物試料のフローインジェクションによるマ
ススペクトルを示す図である。
ススペクトルを示す図である。
【図5】混合物の分離で得られたマスクロマトグラムを
示す図である。
示す図である。
【図6】マスクロマトグラムのピークトップの成分のマ
ススペクトルを示す図である。
ススペクトルを示す図である。
1…液体クロマトグラフ用ポンプ、2…インジェクタ、
31,32…三方弁、4…カラム、5…三方ジョイン
ト、6…ニードルバルブ、7…質量分析計、8…バイパ
ス流路。
31,32…三方弁、4…カラム、5…三方ジョイン
ト、6…ニードルバルブ、7…質量分析計、8…バイパ
ス流路。
Claims (2)
- 【請求項1】質量分析計のイオン化のうち一種の試料分
子やイオンから、複数の分子量情報を与えることが可能
なイオン源を備える質量分析計のうち、混合物を分離せ
ずに分析したマススペクトルと(マススペクトルIとす
る)同試料混合物を液体クロマトグラフなどで分離し、
分析したマススペクトルを(マススペクトルIIとする)
対照することで、マススペクトルIの各成分由来のイオ
ンピークを成分由来毎に別々に赤色や橙色等の目立つ彩
色をし、それにより混合物のマススペクトルにおいて
も、各イオンピーク同志が同一成分由来のイオンピーク
であるか、あるいは別々の成分由来であるかが一目瞭然
になるような表示方法を持つようなデータ処理装置を有
することを特徴とする質量分析計。 - 【請求項2】請求項1の質量分析計のうち混合物のマス
スペクトルと分離したマススペクトルに表示されたイオ
ンピークのm/zを対照し分子量を算出することで混合
物が何成分から成り立つか、また分離した各成分とさら
に完全に分離しない成分においても分子量情報を提示す
る能力を有するソフトウェアを備えたことを特徴とする
質量分析計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4052222A JPH05258713A (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 質量分析計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4052222A JPH05258713A (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 質量分析計 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05258713A true JPH05258713A (ja) | 1993-10-08 |
Family
ID=12908725
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4052222A Pending JPH05258713A (ja) | 1992-03-11 | 1992-03-11 | 質量分析計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05258713A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2007135708A1 (ja) * | 2006-05-18 | 2009-09-24 | 株式会社島津製作所 | 質量分析装置用データ処理装置 |
WO2013098618A1 (en) * | 2011-12-29 | 2013-07-04 | Dh Technologies Development Pte. Ltd. | Use of windowed mass spectrometry data for retention time determination or confirmation |
-
1992
- 1992-03-11 JP JP4052222A patent/JPH05258713A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2007135708A1 (ja) * | 2006-05-18 | 2009-09-24 | 株式会社島津製作所 | 質量分析装置用データ処理装置 |
WO2013098618A1 (en) * | 2011-12-29 | 2013-07-04 | Dh Technologies Development Pte. Ltd. | Use of windowed mass spectrometry data for retention time determination or confirmation |
US9343276B2 (en) | 2011-12-29 | 2016-05-17 | Dh Technologies Development Pte. Ltd. | Use of windowed mass spectrometry data for retention time determination or confirmation |
US9791424B2 (en) | 2011-12-29 | 2017-10-17 | Dh Technologies Development Pte. Ltd. | Use of windowed mass spectrometry data for retention time determination or confirmation |
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