JP5986105B2 - 依存的質量分析走査をトリガするための方法 - Google Patents

依存的質量分析走査をトリガするための方法 Download PDF

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Description

(関連出願への相互参照)
本願は、2010年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/427,860号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
(緒言)
質量分析計は、多くの場合、試験試料から溶出種を同定し、特性評価するために、クロマトグラフィシステムと連結される。そのような連結されたシステムでは、溶出溶媒は、イオン化され、溶出溶媒の一連の質量スペクトル画像が、規定された時間間隔において、取得され、質量スペクトログラムを生成する。これらの時間間隔は、例えば、1秒から100分以上に及ぶ。試験試料は、多くの種または化合物を含有してもよいため、多くの場合、それらが溶出するにつれて、自動的に、着目種または化合物を判定あるいは同定し、かつタンデム型質量分析、すなわち、それらを特性評価するための分析である、MS/MS法を行うことが可能であることが望ましい。しかしながら、複合混合物中の着目種をリアルタイムで同定することは、困難なタスクであり得る。
リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするためのシステムであって、
ある時間周期にわたって、1つ以上の化合物を試料混合物から分離する、分離デバイスと、
前記時間周期の複数の時間間隔において、分離試料混合物に関して、質量分析走査を行う、質量分析計と、
プロセッサであって、
前記複数の時間間隔の各時間間隔において、前記質量分析計から、各質量分析走査を受信することと、
前記複数の時間間隔のある時間間隔において、前記時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査とが、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことを判定することと、
前記2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
を行うプロセッサと
を含む、システムが提供される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするためのシステムであって、
ある時間周期にわたって、1つ以上の化合物を試料混合物から分離する、分離デバイスと、
前記時間周期の複数の時間間隔において、分離試料混合物に関して、質量分析走査を行う、質量分析計と、
プロセッサであって、
前記複数の時間間隔の各時間間隔において、前記質量分析計から、各質量分析走査を受信することと、
前記複数の時間間隔のある時間間隔において、前記時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査とが、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことを判定することと、
前記2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
を行うプロセッサと
を含む、システム。
(項目2)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれの前記強度の和が、前記時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記選択基準は、前記時間間隔において、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを含む、項目1に記載のシステム。
(項目6)
リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法であって、
ある時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計から、分離試料混合物の質量分析走査を受信することであって、前記質量分析計は、前記分離試料混合物を分離デバイスから受け取る、ことと、
前記複数の時間間隔のある時間間隔において、前記時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査とが、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことを判定することと、
前記2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
を含む、方法。
(項目7)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれの前記強度の和が、前記時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記選択基準は、前記時間間隔において、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを含む、項目6に記載の方法。
(項目11)
非一過性かつ有形のコンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品であって、前記媒体は、そのコンテンツが、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含み、前記方法は、
システムを提供することであって、前記システムは、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含み、前記個別のソフトウェアモジュールは、測定モジュール、分析モジュール、および依存的走査制御モジュールを含む、ことと、
前記測定モジュールを使用して、ある時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計から、分離試料混合物の質量分析走査を受信することであって、前記質量分析計は、前記分離試料混合物を分離デバイスから受け取る、ことと、
前記分析モジュールを使用して、前記複数の時間間隔のある時間間隔において、前記時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査とが、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことを判定することと、
前記依存的走査制御モジュールを使用して、前記2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
を含む、コンピュータプログラム製品。
(項目12)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む、項目11に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目13)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む、項目11に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目14)
前記選択基準は、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれの前記強度の和が、前記時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む、項目11に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目15)
前記選択基準は、前記時間間隔において、前記2つ以上の時変イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを含む、項目11に記載のコンピュータプログラム製品。
当業者は、以下に示される図面が、例証目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲をいかようにも制限するように意図されない。
図1は、種々の実施形態による、コンピュータシステムを図示する、ブロック図である。 図2は、従来の情報依存的取得(IDA)システムを使用する、選択反応モニタリング(SRM)または複数の反応モニタリング(MRM)方法を示す、例示的流れ図である。 図3は、種々の実施形態による、質量スペクトログラム内で検出された3つの断片イオンのイオン信号の例示的プロットであって、時間単位において、依存的質量分析走査がトリガされることを示す。 図4は、種々の実施形態による、IDAシステムを使用する、SRMまたはMRM方法を示す、例示的流れ図である。 図5は、種々の実施形態による、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための分離用連結質量分析システムを示す、概略図である。 図6は、種々の実施形態による、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法を示す、例示的流れ図である。 図7は、種々の実施形態による、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法を行う、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システムの概略図である。
本教示の1つ以上の実施形態が、詳細に説明される前に、当業者は、本教示が、その用途において、以下の発明を実施するための形態に記載される、または図面に図示される、構造、構成要素の配列、およびステップの配列の詳細に限定されないことを理解するであろう。また、本明細書で使用される語句および専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定としてみなされるべきではないことを理解されたい。
(種々の実施形態の説明)
(コンピュータ実装システム)
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム100を図示する、ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102または他の通信機構と、情報を処理するためのバス102と連結される、プロセッサ104とを含む。コンピュータシステム100はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令を記憶するために、バス102に連結される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであり得る、メモリ106を含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令の実行の間、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピュータシステム100はさらに、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するために、バス102に連結される、読取専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス110は、情報および命令を記憶するために提供され、バス102に連結される。
コンピュータシステム100は、バス102を介して、コンピュータユーザに情報を表示するために、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ112に連結されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス114は、情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するために、バス102に連結される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信し、ディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御116である。本入力デバイスは、典型的には、デバイスが、平面において、位置を規定することを可能にする、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)の2つの軸における2自由度を有する。
コンピュータシステム100は、本教示を行うことができる。本教示のある実装に準拠すると、結果は、プロセッサ104が、メモリ106内に含有される1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス110等、別のコンピュータ可読媒体から、メモリ106に読み込まれてもよい。メモリ106内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、本明細書に説明されるプロセスを行わせる。代替として、有線回路が、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて使用されてもよい。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに限定されない。
用語「コンピュータ可読媒体」は、本明細書で使用されるように、実行のために、命令をプロセッサ104に提供することに関与する、任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、それらに限定されない、多くの形態をとってもよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス110等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ106等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を備える、配線を含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。
コンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、ブルーレイディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュ‐EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取ることができる、任意の他の有形媒体を含む。
種々の形態のコンピュータ可読媒体が、実行のために、プロセッサ104への1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実施することに関与し得る。例えば、命令は、最初に、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で実施されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリ内にロードし、モデムを使用して、電話回線を経由して、命令を送信することができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムは、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用して、データを赤外線信号に変換することができる。バス102に連結された赤外線検出器は、赤外線信号中で搬送されるデータを受信し、データをバス102上に置くことができる。バス102は、データをメモリ106に搬送し、そこから、プロセッサ104は、命令を読み出し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、随意に、プロセッサ104による実行前または後のいずれかに、記憶デバイス110上に記憶されてもよい。
種々の実施形態によると、プロセッサによって実行され、ある方法を行うように構成される命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶する、デバイスであることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、当技術分野において公知のように、ソフトウェアを記憶するためのコンパクトディスク読取専用メモリ(CD‐ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
本教示の種々の実装の以下の説明は、例証および説明の目的のために提示される。包括的でもなく、本教示を開示される精密な形態に限定するものでもない。修正および変形例が、前述の教示に照らして可能である、または本教示の実践から得られてもよい。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独において実装されてもよい。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向両方のプログラミングシステムで実装されてもよい。
(分離された化合物の同定)
種々の実施形態は、分離デバイス/質量分析システム内で分離された化合物を同定するためのシステムおよび方法を含む。1つ以上の依存的質量分析走査が、分離デバイスからの時変画像中に見出される、2つ以上の質量分析/質量分析(MS/MS)遷移標的群の特性に基づいて、トリガされる。種々の実施形態では、質量分析計および分離デバイスと関連付けられたデータ取得ならびに分析ソフトウェアが、本目標を達成するために使用される。
例示的かつ公知のデータ取得および分析ソフトウェアは、AB Sciexによって市販されている情報依存的取得(IDA)システムを含む。データ取得プロセスの間、本ソフトウェアは、前駆体イオンを選択するように、質量スペクトログラム中の質量ピークを同定する。ソフトウェアは、次いで、MS/MS、質量分析/質量分析/質量分析(MS/MS/MS)、または任意の高次段階質量分析(MS、ここでは、nは、整数である)等の質量分析の1つ以上の後続段階に指示を行い、そこで、選定された前駆体イオンが断片化される。結果として生じるMS/MS(または、高次)スペクトルは、エネルギー的にもたらされる、全断片化プロセスの合成となる。これらのプロセスは、前駆体イオン/断片イオン反応および断片イオン/他の断片イオン反応を含む。
IDA等のソフトウェアは、特に、選択反応モニタリング(SRM)または複数の反応モニタリング(MRM)実験のために有用である。そのような実験は、化合物の特性評価において使用される構造情報を提供し、あるいはスペクトルデータベースまたはMS/MSライブラリを通して検索時、化合物を同定するために使用される、スペクトル濃度および/または解離経路を解明することができる。
図2は、従来のIDAシステムを使用する、SRMまたはMRM方法200を示す、例示的流れ図である。
方法200のステップ210では、分析周期が、分離デバイスに対して開始される。
ステップ220では、イオン源が、イオンビームを放出するように起動される。
ステップ230では、信号が、質量スペクトログラムにおいて、化合物に対して検出される。
ステップ240では、質量スペクトログラムにおける、化合物に対して検出された信号が、閾値を上回るかどうか判定される。
ステップ250では、化合物に対して検出された信号が、閾値を上回る場合、依存的走査が、質量分析計を使用して、化合物を断片化するために行われる。
ステップ260では、依存的走査からの断片データが、メモリに内に記憶される。
IDA等のリアルタイムデータ取得ソフトウェアの使用は、前述のように、インビトロ試料分析または単一タンパク質消化分析等の用途において、良好な結果を提供し、着目質量ピークを非常に容易に検出可能である。しかしながら、生物学的流体(例えば、尿素またはプラズマ抽出物)または消化されたタンパク質の混合物(例えば、トリプシン消化細胞溶解物)等のより多くの複合試料集合を取り扱う時、従来のデータ取得および分析ソフトウェアは、不十分である。例えば、同時に溶出する、多くの他の主要成分または種が存在し得る。これらの他の主要成分または種は、多くの場合、着目検体または種の信号に対応する同一前駆体イオンのうちの1つ以上を有し、したがって、実際に着目する(イオン化された)種を効果的に選択することは困難である。
MS/MSのためのシステムによって「選定される」質量ピークの選択は、選択された前駆体イオンに対応する断片イオンのm/zの強度等、個々のMRMイオン信号特性に基づいて、前駆体イオン選択のための候補のリストから、依存的走査をトリガすることによって改善されることができる。しかしながら、MRM実験は、多くの場合、化合物あたり複数のMRMで作動される(ペプチド定量化、殺虫剤試験におけるイオン比、およびその他)。その結果、各MRM遷移は、個々に評価されるため、同一化合物に対して、依存的走査を数回トリガする、または分離行程において一度にトリガすることが可能性として考えられ、その場合、同一化合物からのMRMのイオン比が正しくない時等、誤った化合物が溶出している。要するに、これは、関係がなく、かつ冗長であるデータにつながり、結果の解釈をより複雑にし得る。
種々の実施形態では、2つ以上のMRM遷移の関連群のイオン信号特性をともに組み合わせることによって、候補リストは、MRMイオン信号特性群を表し得る、単一選択基準によって取り込まれることができる。選択基準は、依存的走査がトリガされると、MRM遷移群を表すイオン信号特性のそれぞれが、同時に一致されるように、MRM遷移の全部から計算される特性に基づくことができる。選択基準を満たさない重複イオン信号特性を伴って溶出するいずれの種も、依存的走査をトリガせず、誤検出トリガの可能性を効果的に低減させ得る。
種々の実施形態では、2つ以上のMRM遷移群は、2つ以上の断片イオン、または生成イオンを含み、遷移および選択基準は、2つ以上の断片イオン遷移の1つ以上の信号特性に基づく。前駆体イオンは、複数の断片遷移標的を有することができる。個々の断片遷移のそれぞれの組み合わせは、MRM遷移群を表すための選択基準を割り当てるために使用されることができる。
一例示的実施形態では、2つ以上の断片イオン遷移の1つ以上の信号特性は、最小強度レベルを含む。選択基準は、2つ以上の断片イオン遷移の各断片イオンが、依存的走査がトリガされるために超えなければならない、最小強度レベルであることができる。強度レベルは、例えば、1秒あたりの断片イオンのカウントである。
例えば、所定のMRM遷移475→250amu、475→175amu、および475→100amuを有する、着目化合物「化合物Z」を検討する。同様に、各遷移または断片イオンに対して、独立して設定され得る、例えば、1秒あたり1000カウント(cps)の最小強度レベルは、250、175、および100amuにおける断片イオンのm/zのそれぞれに対応する閾値として識別されることができる。化合物Zおよび他の化合物を含有する混合物を伴う試料は、分離デバイスから同時に溶出し、概して、当該技術分野で公知の手段によって、イオン信号が、発生される。250、175、および100amuにおける標的断片イオン質量電荷比(m/z)のそれぞれに対応する候補イオン信号が、同一溶出時間において溶出すると、依存的走査が、トリガされるが、検出されたイオン信号のそれぞれが、閾値を超える強度レベルを有することを条件とする。強度に加え、イオン信号はまた、面積、信号の形状、または信号の一次導関数の計算等、任意の他の数理処理を含むが、それらに限定されない、他の信号特性またはパラメータに基づいて、分析されることができる。
図3は、種々の実施形態による、質量スペクトログラムにおいて検出される3つの断片イオンのイオン信号の例示的プロット300であって、時間単位において、依存的質量分析走査がトリガされることを示す。プロット300は、第1の断片イオンのイオン信号310、第2の断片イオンのイオン信号320、および第3の断片イオンのイオン信号330を示す。プロット300はまた、強度閾値340を示す。前述のように、一例示的実施形態では、依存的質量分析走査は、2つ以上の断片イオン遷移の各断片イオンが、最小強度閾値を超える場合、トリガされる。プロット300に示されるように、閾値340は、最小強度閾値である。時間350では、第1の断片イオンのイオン信号310は、閾値340を超える。しかしながら、第2の断片イオンのイオン信号320および第3の断片イオンのイオン信号330は、閾値340を超えず、したがって、依存的質量分析走査は、時間350においてトリガされない。対照的に、時間360では、全3つのイオン信号が、閾値340を超える。その結果、依存的質量分析走査は、本実施形態に従って、時間360においてトリガされる。
別の例示的実施形態では、2つ以上の断片イオン遷移の1つ以上の信号特性は、イオン強度が増加する速度を含む。イオン強度が、群内のMRM遷移標的のそれぞれに対して増加する速度は、各溶出する対応するイオン信号に対して、単一選択基準として使用するために事前に決定されることができる。具体的には、2つ以上のイオン信号候補が、遷移標的として分離から検出されると、依存的走査は、2つ以上のイオン信号候補のそれぞれに対する信号増加の速度が、同一遷移時間における所定の速度と合致する場合、トリガされる。したがって、各イオン信号候補は、同一速度増加基準に従うため、依存的走査の誤ったトリガは、最小限にされる。
別の例示的実施形態では、2つ以上の断片イオン遷移の1つ以上の信号特性は、2つ以上の断片イオン遷移からのイオン信号の強度の和を含む。選択基準は、例えば、所定の値以上である、分離イオン信号の分離イオン強度の和である。標的イオン信号群が検出されるにつれて、各MRM遷移の強度が追加され、予期される、または所定の合計値と比較される。依存的走査は、総和比較が、所定の合計値以上である場合、トリガされる。
別の例示的実施形態では、2つ以上の断片イオン遷移の1つ以上の信号特性は、2つ以上の断片イオン遷移からのイオン信号の非ゼロ強度カウントを含む。例えば、MRM遷移に基づく増倍率を使用して、非ゼロ標的候補イオン強度を同定することができる。試料が分離するにつれて、イオン信号を前述の閾値基準に従わせるかどうかにかかわらず、各候補の強度は、ともに倍増される。任意のMRM候補イオンが、ゼロカウント値を有する場合、分離化合物は、依存的走査をトリガしない。いったんMRM標的群全体が、非ゼロ信号を有すると、依存的走査が、トリガされる。
実施形態は、これらの反応の標的遷移に基づいて、複数の反応および選択基準群をモニタリングする、走査を参照して説明された。しかしながら、種々の実施形態が、例えば、候補強度の平均をとること、または関連MRM遷移群に割り当てられる候補強度の他の統計関数(例えば、一次導関数)を含む、標的化合物の誤検出トリガを低減させるステップに付加的次元を追加し得る、種々のさらなる選択基準に適用されることができることを理解されたい。また、種々の実施形態は、キャピラリー電気泳動質量分析システム(CE−MS)、ガスおよび液体クロマトグラフィ(GC−MSおよびLC−MS)を含む、クロマトグラフィ質量分析システム、移動度質量分析システム、および本明細書に記載されない他のイオン源または分離質量分析の組み合わせに適用されることができることを理解されたい。当業者は、種々の修正が、本発明の精神から逸脱することなく、好ましい実施形態に行われることができることを理解するであろう。
図4は、種々の実施形態による、IDAシステムを使用する、SRMまたはMRM方法400を示す、例示的流れ図である。
方法400のステップ410では、分析周期が、分離デバイスに対して開始される。
ステップ420では、イオン源が、イオンビームを放出するように起動される。
ステップ430では、2つ以上の信号が、質量スペクトログラム中の化合物に対して検出される。
ステップ440では、2つ以上の信号が、選択基準に基づいて評価される。
ステップ450では、2つ以上の信号が、選択基準を満たすかどうか判定される。
ステップ460では、2つ以上の信号が、選択基準を満たす場合、依存的走査が、質量分析計を使用して、化合物を断片化するように行われる。
ステップ470では、依存的走査からの断片データが、メモリ内に記憶される。
(データ処理のシステムおよび方法)
(分離用連結質量分析システム)
図5は、種々の実施形態による、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための分離用連結質量分析システム500を示す、概略図である。システム500は、分離デバイス510、質量分析計520、およびプロセッサ530を含む。分離デバイス510は、ある時間周期にわたって、1つ以上の化合物を試料混合物から分離する。分離デバイス510は、電気泳動デバイス、クロマトグラフデバイス、または移動度分析デバイスを含むことができるが、それらに限定されない。
質量分析計520は、時間周期の複数の時間間隔において、分離試料混合物を分離デバイス510上で質量分析走査を行う。質量分析計520は、2つ以上の質量分析を行う、1つ以上の物理的質量分析器を含むことができる。質量分析計520は、例えば、タンデム型質量分析計である。質量分析計520の質量分析器は、飛行時間(TOF)、四重極、イオントラップ、線形イオントラップ、軌道トラップ、磁場4セクタ型質量分析器、ハイブリッド四重極飛行時間(Q-TOF)質量分析器、またはフーリエ変換質量分析器を含むことができるが、それらに限定されない。質量分析計520は、それぞれ、空間または時間において、別個の質量分析段階またはステップを含むことができる。
プロセッサ530は、質量分析計520と通信する。プロセッサ530はまた、分離デバイス510と通信することができる。プロセッサ530は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、または制御信号およびデータを質量分析計520および処理データに送信し、そこからそれらを受信可能な任意のデバイスであることができるが、それらに限定されない。
プロセッサ530は、複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計520から、各質量分析走査を受信する。その結果、質量スペクトログラムは、試料混合物が分離するにつれて、リアルタイムで、区分的に作成されることができる。
プロセッサ530は、複数の時間間隔のある時間間隔において、その時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査が、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことを判定する。言い換えると、時変信号は、各時間間隔において、現在の走査および1つ以上の以前の走査から判定されることができる。これらの信号は、信号のm/z値が、例えば、2つ以上の断片イオン遷移のm/z値に一致する場合、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す。
2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、プロセッサ530は、質量分析計520に、その時間間隔において、既知の化合物の前駆体イオンのための分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令する。言い換えると、一致信号の同定は、結合レベルに一致しなければならない、または依存的走査をトリガするために、その信号に対して、個々に、所定の値に到達しなければならない。
一例示的実施形態では、選択基準は、2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、その時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む。
別の例示的実施形態では、選択基準は、2つ以上の時変イオン信号のそれぞれが、その時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む。
別の例示的実施形態では、選択基準は、2つ以上の時変イオン信号のそれぞれの強度の和が、その時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む。
別の例示的実施形態では、選択基準は、その時間間隔において、2つ以上の時変イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを備える。
(質量分析方法)
図6は、種々の実施形態による、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法600を示す、例示的流れ図である。
方法600のステップ610では、分離試料混合物の質量分析走査は、ある時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計から受信される。質量分析計は、分離試料混合物を分離デバイスから受け取る。
ステップ620では、ある時間間隔において、その時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査は、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことが判定される。
ステップ630では、2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、質量分析計は、その時間間隔において、既知の化合物の前駆体イオンのための分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令される。
(質量分析コンピュータプログラム製品)
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、そのコンテンツが、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含む、非一過性、かつ有形のコンピュータ可読記憶媒体を含む。本方法は、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システムによって行われる。
図7は、種々の実施形態による、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法を行う、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システム700の概略図である。システム700は、測定モジュール710、分析モジュール720および依存的走査制御モジュール730を含む。
測定モジュール710は、ある時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計から、分離試料混合物の質量分析走査を受信する。質量分析計は、分離試料混合物を分離デバイスから受け取る。
分析モジュール720は、ある時間間隔において、その時間間隔において受信した質量分析走査と、1つ以上の先行して受信した質量分析走査が、既知の化合物の2つ以上の断片イオン遷移を表す、2つ以上の時変イオン信号を含むことを判定する。
依存的走査制御モジュール730は、2つ以上の時変イオン信号の特性が、選択基準に一致する場合、質量分析計に、その時間間隔において、既知の化合物の前駆体イオンのための分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令する。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示が、そのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
さらに、種々の実施形態を説明する際、本明細書は、ステップの特定のシーケンスとして、方法および/またはプロセスを提示し得る。しかしながら、方法またはプロセスが、本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しない範囲において、方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスが可能であってもよい。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に関する限定として解釈されるべきではない。加えて、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、書かれた順序におけるそのステップの実施に限定されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変更されてもよく、依然として、種々の実施形態の精神および範囲にあることを容易に理解することができる。

Claims (15)

  1. リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするためのシステムであって、
    ある時間周期にわたって、1つ以上の化合物を試料混合物から分離する、分離デバイスと、
    前記時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、分離試料混合物に関して、既知の化合物の既知の前駆体イオンの2つ以上の複数の反応モニタリング(MRM)遷移の群の質量分析走査を行う質量分析計であって、前記2つ以上のMRM遷移の群の各MRM遷移は、前記既知の前駆体イオンの異なる断片イオンへの遷移である、質量分析計と、
    プロセッサであって、
    前記複数の時間間隔の各時間間隔において、前記質量分析計から、前記2つ以上のMRM遷移の群の各遷移に対する断片イオン強度を受信することと、
    前記複数の時間間隔の時間間隔において、前記既知の化合物に対する前記各時間間隔および全ての先行する時間間隔における前記2つ以上のMRM遷移の群の断片イオン強度を表す2つ以上の時変断片イオン信号を判定することと、
    前記2つ以上のMRM遷移の群の各断片イオン強度を組み合わせることによって前記2つ以上のMRM遷移の群を表す単一選択基準を割り当てることと、
    前記2つ以上のMRM遷移の群の各断片イオン強度が前記単一選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前記既知の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
    を行うプロセッサと
    を含む、システム。
  2. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれの強度の和が、前記時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記単一選択基準は、前記時間間隔において、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを含む、請求項1に記載のシステム。
  6. リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法であって、
    ある時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計から、分離試料混合物の質量分析走査から測定された既知の化合物の既知の前駆体イオンの2つ以上のMRM遷移の群の各遷移に対する断片イオン強度を受信することであって、前記質量分析計は、前記分離試料混合物を分離デバイスから受け取り、前記2つ以上のMRM遷移の群の各MRM遷移は、前記既知の前駆体イオンの異なる断片イオンへの遷移である、ことと、
    前記複数の時間間隔の各時間間隔において、前記既知の化合物に対する前記各時間間隔および全ての先行する時間間隔における前記2つ以上のMRM遷移の群の断片イオン強度を表す2つ以上の時変断片イオン信号を判定することと、
    前記2つ以上のMRM遷移の群の各断片イオン強度を組み合わせることによって前記2つ以上のMRM遷移の群を表す単一選択基準を割り当てることと、
    前記2つ以上のMRM遷移の群の各断片イオン強度が前記単一選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前記既知の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
    を含む、方法。
  7. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれの強度の和が、前記時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む、請求項6に記載の方法。
  10. 前記単一選択基準は、前記時間間隔において、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを含む、請求項6に記載の方法。
  11. 非一過性かつ有形のコンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品であって、前記媒体は、そのコンテンツが、リアルタイムで情報依存的質量分析走査をトリガするための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含み、前記方法は、
    システムを提供することであって、前記システムは、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含み、前記個別のソフトウェアモジュールは、測定モジュール、分析モジュール、および依存的走査制御モジュールを含む、ことと、
    前記測定モジュールを使用して、ある時間周期の複数の時間間隔の各時間間隔において、質量分析計から、分離試料混合物の質量分析走査から測定された既知の化合物の既知の前駆体イオンの2つ以上のMRM遷移の群の各遷移に対する断片イオン強度を受信することであって、前記質量分析計は、前記分離試料混合物を分離デバイスから受け取り、前記2つ以上のMRM遷移の群の各MRM遷移は、前記既知の前駆体イオンの異なる断片イオンへの遷移である、ことと、
    前記分析モジュールを使用して、前記複数の時間間隔の各時間間隔において、前記既知の化合物に対する前記各時間間隔および全ての先行する時間間隔において前記2つ以上のMRM遷移の群の断片イオン強度を表す2つ以上の時変断片イオン信号を判定することと、
    前記2つ以上のMRM遷移の群の各断片イオン強度を組み合わせることによって前記2つ以上のMRM遷移の群を表す単一選択基準を割り当てることと、
    前記2つ以上のMRM遷移の群の各断片イオン強度が前記単一選択基準に一致する場合、前記質量分析計に、前記依存的走査制御モジュールを使用して、前記時間間隔において、前記既知の化合物の前記既知の前駆体イオンのための前記分離試料混合物の依存的質量分析走査を行うように命令することと
    を含む、コンピュータプログラム製品。
  12. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、最小信号強度を含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
  13. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれが、前記時間間隔において、超えなければならない、信号強度の最小増加率を含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
  14. 前記単一選択基準は、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれの強度の和が、前記時間間隔において、超えなければならない、最小結合信号強度を含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
  15. 前記単一選択基準は、前記時間間隔において、前記2つ以上の時変断片イオン信号のそれぞれに対して、非ゼロ強度カウントを含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
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