JP2015232405A - スプレードライヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】原料液を乾燥室に供給する噴霧ユニットに加熱用ガスが直接当たることを防止し、良好な作動を維持することができるスプレードライヤを提供する。【解決手段】スプレードライヤ11を、空気を加熱する加熱器12と、噴霧ユニット13を介して噴霧される原料液を、加熱器12から供給される加熱用ガスに接触させて粉体化させる乾燥室14と、乾燥室14で生成した粉体を分離して回収する粉体分離器15と、粉体分離器15を通過した加熱用ガスを冷却して乾燥させる冷却器16と、冷却器16で冷却された加熱用ガスを加熱器12に循環させる循環ポンプ17とを備えている。乾燥室14は、円筒状に形成された本体部14bの上部に噴霧ユニット13を設けるとともに、本体部12bの噴霧ユニット13よりも下方に、加熱用ガスを本体部内に供給する加熱用ガス供給孔14hを周方向に等間隔で複数形成している。【選択図】図1
Description
本発明は、スプレードライヤに関し、詳しくは、薬剤や香料、食品や飼料等が溶解した原料液を噴霧して加熱乾燥させることによって、前記薬剤や香料、食品や飼料等の粉末を得るためのスプレードライヤに関する。
原料液を噴霧して乾燥させることにより粉末を得るスプレードライヤは、加熱用ガスが導入されている乾燥室内に原料液を噴霧することにより、原料液を加熱して液成分を瞬時に蒸発させ、原料液中の固形物を粉体として得るようにしたもので、通常、乾燥室(乾燥チャンバー)の上部に、原料液を噴霧するための噴霧ノズルと、加熱用ガスの供給部とを設けるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、上述の特許文献1のものでは、乾燥室の上部に、噴霧ノズルと、加熱用ガスの供給部とを設けているため、導入された加熱用ガスによって噴霧ノズルが加熱され、噴霧ノズルが損傷したり、噴霧ノズルの部分で原料液の液成分が蒸発してしまい、生成した固形物によって噴霧ノズルが目詰まりしたりするなどの虞があった。
そこで本発明は、原料液を乾燥室内に噴霧する噴霧ノズルに加熱用ガスが直接当たることを防止し、良好な作動を維持することができるスプレードライヤを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明のスプレードライヤは、噴霧された原料液を加熱用ガスで乾燥させて粉体を得るスプレードライヤにおいて、加熱用ガスを加熱する加熱器と、噴霧ユニットを介して噴霧される前記原料液を、前記加熱器から供給される加熱用ガスに接触させて粉体化させる乾燥室と、該乾燥室で生成した前記粉体を前記加熱用ガスから分離して回収する粉体分離器とを備え、前記乾燥室は、円筒状に形成された本体部の上部に前記噴霧ユニットを設けるとともに、前記本体部の下方に、前記加熱用ガスを本体部内に供給する加熱用ガス供給孔を周方向に等間隔で複数形成したことを特徴としている。
また、本発明のスプレードライヤにおいて、前記噴霧ユニットは、前記原料液を吐出する吐出ノズルと、該吐出ノズルから吐出される原料液を霧状に噴霧するスプレー素子と、該スプレー素子を超音波周波数で振動させる振動部とを備えていることが好ましい。さらに、前記乾燥室は、前記本体部の中央部外周を覆う外筒部を備え、該外筒部の下方に前記加熱器で加熱された加熱用ガスの導入部が設けられ、前記外筒部の上方に対応する前記本体部に、前記加熱用ガス供給孔が形成されていることが好ましい。また、前記粉体分離器は、上方と下方の2箇所に、前記粉体を回収するフィルタがそれぞれ設けられていることが好ましい。加えて、前記粉体分離器を通過した加熱用ガスを前記加熱器に循環させる循環ポンプを備えていること、特に、前記粉体分離器と前記循環ポンプとの間に、前記加熱用ガスを冷却する冷却器が設けられていることが好ましい。
本発明のスプレードライヤによれば、乾燥室の本体部の上部に設けられた噴霧ユニットよりも下方に、加熱用ガスを本体部内に供給する加熱用ガス供給孔を形成していることから、噴霧ユニットに加熱用ガスが直接当たることがなく、噴霧ユニットが熱で損傷するおそれがなく、噴霧ユニットの乾燥による目詰まりを防止することができる。さらに、加熱用ガス供給孔を乾燥室の周方向に等間隔で複数形成していることから、噴霧された原料液に加熱用ガスを均等に接触させることができ、乾燥処理を効率よく行うことができる。
また、噴霧ユニットとして、原料液を吐出する吐出ノズルと、吐出ノズルから吐出された原料液を霧状に噴霧するスプレー素子と、スプレー素子を超音波周波数で振動させる振動部とを備えた噴霧ユニットを使用することにより、ばらつきの少ない微細液滴のミストを発生させることができ、6μm以下の微細な粉末を得ることができる。また、このような微細液滴のミストは、瞬時に乾燥させることができることから、加熱用ガスの温度を下げても原料液を良好に乾燥させることができ、熱に敏感な生体試料の原料液であっても、良好な粉末を得ることができ、少量の原料液でも良好に粉末を得ることができる。さらに、微細な粉末は、乾燥室の内壁に付着することがないことから、乾燥室を小型化することができる。
また、乾燥室は、本体部の中央部外周を覆う外筒部を備え、該外筒部の下方に加熱器で加熱された加熱用ガスの導入部が設けられ、外筒部の上方に対応する前記本体部に、加熱用ガス供給孔が形成されることにより、加熱用ガスを乾燥室の本体内に良好に供給することができる。さらに、粉体分離器の上下2箇所に粉体を回収するフィルタを設けることにより、生成した粉体を確実に捕集することができる。また、加熱用ガスを循環させることにより、加熱用ガスの使用量を低減でき、冷却、乾燥させて循環させることにより、加熱用ガスを長時間にわたって使用することができる。
本形態例のスプレードライヤ11は、インシュリンやタンパク質抗体や酵素等の粉体を製造するもので、図1に示されるように、加熱用ガスを加熱する加熱器12と、噴霧ユニット13を介して噴霧される原料液を、加熱器12から供給される加熱用ガスに接触させて、原料液の液成分を蒸発させて原料液中の固形物を粉体化させる乾燥室14と、乾燥室14で生成した粉体を、原料液から蒸発した蒸気を含む加熱用ガスから分離して製品となる粉体を回収する粉体分離器15と、粉体分離器15を通過した加熱用ガスを冷却して水分や原料の溶媒を凝縮分離することによって加熱用ガスを乾燥させる冷却器16と、冷却器16で乾燥状態となった加熱用ガスを加熱器12に循環させる循環ポンプ17とを備えている。また、加熱器12と乾燥室14、粉体分離器15と冷却器16、冷却器16と循環ポンプ17、循環ポンプ17と加熱器12とは、それぞれ配管18によって接続されている。
加熱器12は、円筒状に形成されたケーシング12aの内部にヒーター12bを設けたもので、ケーシング12aの上部には、循環ポンプ17から供給される加熱用ガスを導入する加熱用ガス導入口12cが、下方にはヒーター12bで加熱された加熱用ガスを導出する加熱用ガス導出口12dがそれぞれ設けられている。また、加熱用ガス導出口12dの近傍には、温度センサ12eが配置されている。
乾燥室14は、下方が縮径した円錐部14aと、円錐部14aの上部に連続する円筒状の本体部14bと、本体部14bの中央部外周を覆う外筒部14cとを備えている。外筒部14cの下部には、加熱器12の加熱用ガス導出口12dからの加熱用ガスを導入する加熱用ガス導入部14dが設けられ、上部には、乾燥室14内の圧力が所定圧力以上に上昇した際に、乾燥室14内の空気を逃がすための安全キャップ14eが取り付けられている。本体部14bの上部開口には、前記噴霧ユニット13が取り付けられ、下部には粉体分離器15への連結部14fが設けられている。この連結部14fには、温度センサ14gが配置されている。また、外筒部14cの上部に対応する本体部14bの上下方向中央部には、外筒部14cに導入された加熱用ガスを本体部14b内に供給する複数の加熱用ガス供給孔14hが周方向に等間隔で複数形成されている。円錐部14aの下端部には、粉体回収用の試験管14iが着脱可能に取り付けられている。
噴霧ユニット13は、原料液を貯蔵する原料容器13aと、乾燥室14の上部に設けられる吐出ノズル13bと、原料容器13aから吐出ノズル13bへ原料液を送る送液管13cと、吐出ノズル13bから原料容器13aへ原料液を戻す戻し管13dと、送液管13cと戻し管13dの途中に設けられる送液ポンプ13eと、吐出ノズル13bから吐出された原料液を霧状に噴霧するスプレー素子13fと、スプレー素子13fを超音波周波数で振動させる振動部13gとを備えている。スプレー素子13fは、円板状の板材に微細な貫通孔を多数形成したもので、振動部13gによって振動させることにより、スプレー素子13fを通過する原料液を微細な霧状にする。また、送液ポンプ13eは、液面センサ(図示せず)で測定したスプレー素子13fの上部の液面に応じて制御し、液面を一定に保つことにより、噴霧量を一定にすることができ、液滴の大きさのバラツキも少なくすることができる。前記スプレー素子13fとしては、原料液を微細粒子、例えば6μm以下の微細粒子にできるものを用いることが好ましく、例えば、特許第4906728号公報に記載された超音波霧化装置が好適である。
粉体分離器15は、下方が縮径した円錐部15aと、円錐部15aの上部に連続する円筒部15bと、円筒部15bの上部に着脱可能に連続されるフレキシブル耐熱ホース15cとを備え、円錐部15aの下部には予備フィルタ15dが設けられ、円筒部15bには前記連結部14fに連結される接続管15eが設けられている。フレキシブル耐熱ホース15cの内部には、連結部14fから接続管15eを経て導入される加熱用ガス中の粉体を捕捉分離するフィルタ部材15fが設けられ、上端部には、粉体分離後の加熱用ガスを導出する導出管15gが連結されている。フィルタ部材15fの交換、捕集した粉体の回収は、フレキシブル耐熱ホース15cを取り外すことによって容易に行うことができる。
冷却器16は、周知のもので、前記導出管15gからの加熱用ガスを冷却器本体16aに導入する導入管16bと、冷却器本体16aで冷却された加熱用ガスを冷却器本体16aから導出する導出管16cとを備え、導出管16cから導出された加熱用ガスは、循環ポンプ17によって前記加熱器12の加熱用ガス導入口12cに送り込まれる。
次に、このように形成したスプレードライヤ11を使用して原料液から製品粉体を得る手順を説明する。まず、加熱器12のヒーター12bを作動させるとともに、循環ポンプ17を作動させ、加熱器12の加熱用ガス導入口12cから加熱用ガスを加熱器12内に導入する。加熱器12内に導入された加熱用ガスは、設定された温度、例えば80℃程度までヒーター12bで加熱され、所定温度の加熱用ガスとなって加熱用ガス導出口12dから導出され、乾燥室14の加熱用ガス導入部14dから、乾燥室14の外筒部14cに導入される。
乾燥室14の外筒部14cに導入された加熱用ガスは、外筒部14c内を上昇し、複数の加熱用ガス供給孔14hを介して本体部14bの内部に導入される。乾燥室14が所定の温度に上昇した状態で、噴霧ユニット13の送液ポンプ13eを作動させるとともに、振動部13gを作動させてスプレー素子13fを超音波周波数で振動させ、スプレー素子13fから乾燥室14内に原料液を噴霧する。スプレー素子13fから噴霧される原料液は、超音波振動の作用によって微細な液滴のミストとなり、各加熱用ガス供給孔14hから供給されて乾燥室14の下方に向けて流れる加熱用ガスと接触することにより加熱されて液成分が蒸発し、微細な粉体、例えば直径5μm〜0.1μmの球状の粉体となる。乾燥室14を下降して連結部14fに向かって流れる加熱用ガスは、原料液の液成分の蒸発によって40℃近くまで温度が低下した状態となる。また、万が一、大きな粉体が生成した場合、大きな粉体は、乾燥室14内を落下し、下端部に設けられた試験管14iに回収される。
乾燥室14で生成した粉体は、蒸発した液成分を含む加熱用ガスに同伴されて連結部14f及び接続管15eを介して粉体分離器15へ導入される。粉体分離器15に導入された粉体は、大部分が加熱用ガスと共にフィルタ部材15f内を上昇してフィルタ部材15fに捕捉され、落下した粉体は、下方の予備フィルタ15dによって回収される。フィルタ部材15fを上方に通過した加熱用ガスは、冷却器16に導入されて冷却され、水分や液成分蒸気が凝縮することにより、乾燥状態の加熱用ガスとなって導出管16cに導出され、循環ポンプ17によって加熱用ガス導入口12cを介して加熱器12に循環導入される。
上述のように、本形態例の乾燥室14は、上部に設けられた噴霧ユニット13よりも下方、すなわち、噴霧された原料液の流れ方向下流側に、加熱用ガスを本体部14bの内部に導入する加熱用ガス供給孔14hを形成していることから、噴霧ユニット13のスプレー素子13fに加熱用ガスが直接当たることがなく、スプレー素子13fが乾燥によって目詰まりしたりすることを防止できる。さらに、加熱用ガス供給孔14hは、乾燥室14の本体部14bの周方向に等間隔で複数形成されていることから、噴霧された原料液に加熱用ガスを均等に接触させることができる。
また、噴霧ユニット13のスプレー素子13fより上方の原料液の液面を一定に保った状態で、振動部13gにより超音波周波数でスプレー素子13fを振動させるので、ばらつきの少ない微細液滴のミストを発生させることができる。これにより、直径6μm以下の粒径分布がシャープな粉末を得ることができる。また、このような微細液滴のミストは、瞬時に乾燥させることができることから、加熱用ガスの温度を100℃以下、好ましくは80℃以下に下げても原料液を良好に乾燥させることができ、熱に敏感な生体試料であっても、確実に粉体化することができる。さらに、少量の原料液からでも容易に粉末を得ることができる。また、乾燥後の微細な粉末は、乾燥室14の内壁にほとんど付着しないので、乾燥室14を小型化することができる。また、粉体分離器15は上下の2箇所で粉体を回収することができるので、生成した粉体を確実に捕集して回収することができる。
なお、加熱器や粉体分離器、冷却器の形式は任意であり、原料液の噴霧量や風量などの条件に応じて適宜に選択することができる。また、予備フィルタに代えて試験管を使用することもできる。さらに、少量の資料を粉体化する際には、加熱用ガスを冷却、乾燥させずに循環させることもできる。また、加熱用ガスを循環させることなく、粉体分離器から導出した加熱用ガスを放出し、加熱器に新たな加熱用ガスを供給するようにしてもよい。
11…スプレードライヤ、12…加熱器、12a…ケーシング、12b…ヒーター、12c…加熱用ガス導入口、12d…加熱用ガス導出口、13…噴霧ユニット、13a…原料容器、13b…吐出ノズル、13c…送液管、13d…戻し管、13e…送液ポンプ、13f…スプレー素子、13g…振動部、14…乾燥室、14a…円錐部、14b…本体部、14c…外筒部、14d…加熱用ガス導入部、14e…安全キャップ、14f…連結部、14g…温度センサ、14h…加熱用ガス供給孔、14i…試験管、15…粉体分離器、15a…円錐部、15b…円筒部、15c…フレキシブル耐熱ホース、15d…予備フィルタ、15e…接続管、15f…フィルタ部材、15g…導出管、16…冷却器、16a…冷却器本体、16b…導入管、16c…導出管、17…循環ポンプ、18…配管
Claims (6)
- 噴霧された原料液を加熱用ガスで乾燥させて粉体を得るスプレードライヤにおいて、加熱用ガスを加熱する加熱器と、噴霧ユニットを介して噴霧される前記原料液を、前記加熱器から供給される加熱用ガスに接触させて粉体化させる乾燥室と、該乾燥室で生成した前記粉体を前記加熱用ガスから分離して回収する粉体分離器とを備え、前記乾燥室は、円筒状に形成された本体部の上部に前記噴霧ユニットを設けるとともに、前記本体部の下方に、前記加熱用ガスを本体部内に供給する加熱用ガス供給孔を周方向に等間隔で複数形成したことを特徴とするスプレードライヤ。
- 前記噴霧ユニットは、前記原料液を吐出する吐出ノズルと、該吐出ノズルから吐出される原料液を霧状に噴霧するスプレー素子と、該スプレー素子を超音波周波数で振動させる振動部とを備えていることを特徴とする請求項1記載のスプレードライヤ。
- 前記乾燥室は、前記本体部の中央部外周を覆う外筒部を備え、該外筒部の下方に前記加熱器で加熱された加熱用ガスの導入部が設けられ、前記外筒部の上方に対応する前記本体部に、前記加熱用ガス供給孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスプレードライヤ。
- 前記粉体分離器は、上方と下方の2箇所に、前記粉体を回収するフィルタがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスプレードライヤ。
- 前記粉体分離器を通過した加熱用ガスを前記加熱器に循環させる循環ポンプを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスプレードライヤ。
- 前記粉体分離器と前記循環ポンプとの間に、前記加熱用ガスを冷却する冷却器が設けられていることを特徴とする請求項5記載のスプレードライヤ。
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