JP2004092969A - 噴霧乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少量の溶液を噴霧乾燥するのに適した小型の噴霧乾燥装置を提供する。
【解決手段】2流体ノズル(3)の内側噴出孔に液流量制御用ニードル(6)を有し、かつ、外側噴出孔の空気供給管に空気量調整弁が設けられ、乾燥用噴霧液の噴霧角度θを15度以下とした2流体ノズル式噴霧乾燥装置。
【選択図】 図1
【解決手段】2流体ノズル(3)の内側噴出孔に液流量制御用ニードル(6)を有し、かつ、外側噴出孔の空気供給管に空気量調整弁が設けられ、乾燥用噴霧液の噴霧角度θを15度以下とした2流体ノズル式噴霧乾燥装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラリーなどを含まない溶液状の材料を微粒液滴として噴霧し加熱気体と接触させてほぼ瞬間的に乾燥する噴霧乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
噴霧乾燥方法、とりわけ噴霧と加熱気体を並流で流す方法は、噴霧中に水が液として存在する時は高温で接触するが、乾燥が進行するに従い加熱空気も蒸発潜熱に奪われて温度が下がるうえ瞬時に乾燥が終了するため、熱に弱い化学薬品さらには薬草から抽出された生薬等の乾燥に用いられる。
【0003】
小型で医薬等の実験研究に用いられる噴霧乾燥機としては、例えば、東京理化器械(株)製SD−1000型(商品名)、日本ビュッヒ(株)製ミニスプレイドライヤーB−191型(商品名)等がある。
これらの噴霧乾燥機は、2流体ノズルで噴霧することにより溶液の微小液滴を作製し、乾燥風を噴霧と平行に流し、乾燥された粉末をサイクロンやフィルター等で収集する。
【0004】
また、近年、写真感光材料の処理においては、迅速化と平行して処理剤や補充水の削減が図られ、さらには処理オペレーターの作業性向上のため、処理剤だけでなく廃液の処理についてもドライ化がなされようとしており、上記の噴霧乾燥方法を廃液処理に適用することが試みられている(特公平6−73662号等)。
【0005】
しかしながら、市販の噴霧乾燥機は小型と言えど1500mL/hr程度の水分蒸発量を能力として有しており、希少な生薬抽出サンプルの乾燥や、極限まで補充水の削減を図った写真感光材料処理システムにおける廃液の固化(1500〜2000mL/日)には大型過ぎ、少量の溶液を噴霧乾燥する場合には効率的ではなく、安定した噴霧乾燥を行うことができなかった。
【0006】
そこで、従来の噴霧乾燥機をスケールダウンして前記の生薬サンプルの乾燥や写真感光材料処理システム廃液の固化に用いることができる廃液処理装置を製作しようとしたところ、以下のような問題があった。
すなわち、噴霧乾燥装置を更に小型化するためには、噴霧を吹き込むスプレイ塔を小型化することが必要である。スプレイ塔の太さを細くするためには、2流体ノズルを小型化するか、または噴霧角度を狭くすることが考えられる。従来の市販の噴霧乾燥装置の噴霧角度は、約20度であった。
【0007】
しかし、従来の市販小型噴霧乾燥装置に使用されている2流体ノズルの小型化には限界があった。2流体ノズルの能力が決まると、噴霧量が決まり、これを乾燥するための加熱空気の温度と流量が決まり、噴霧乾燥機の本体であるスプレイ塔の大きさ、サイクロンの大きさがリンクして決定される。したがって、ノズルの小型化により装置を小型化することは困難であった。
【0008】
また、従来の小型の噴霧乾燥機に使われるスプレイング・システムズ・ジャパン(株)、(株)いけうち等から発売されている2流体ノズルは、噴霧流量を液を供給するポンプによってコントロールしているため流量を絞ると精密に流量を調節することができなくなる。流量を絞って噴霧を狭い角度で噴出させようとすると、噴霧が不安定になり大きな液滴が生じるなどの不具合が生じることがわかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量の溶液を噴霧乾燥するのに適した小型の噴霧乾燥装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
ところで、プラスチックモデルや車両の塗装、絵画などに用いられるエアーブラシといわれる2流体ノズル式スプレーガンでは、狭い角度で流量を絞っても安定して噴霧できることが知られている(特開2000−5647号等)。このスプレーガンには液流量制御用ニードルが設けられており、このニードルにより噴霧する液量を精密に調節することができる。
【0011】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、噴霧角度が15度以下になるような小型の2流体ノズルを選択し、液流量制御用ニードルおよび空気量調整弁を設け噴霧角度を15度以下として小流量の噴霧をおこなったところ、スプレイ塔の内壁に噴霧液滴がぶつかることなく安定した噴霧乾燥を行うことができることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、2流体ノズルの内側噴出孔に液流量制御用ニードルを有し、かつ、外側噴出孔の空気供給管に空気量調整弁が設けられ、乾燥用噴霧液の噴霧角度を15度以下としたことを特徴とする2流体ノズル式噴霧乾燥装置を提供するものである。
ここで、2流体ノズルとは、圧搾空気の高速の流れを利用して液体を微粒化するノズルをいい、優れた微粒化性能および大きなターンダウン比(流量調整比)を有する。
また、スプレーノズルの噴霧角度とは、ノズル近傍における噴霧の接線の角度をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、溶液側が微小流量でも安定に噴霧角度の狭い噴霧を作製できるようノズルの内側噴出孔に流量制御用ニードルを設け、さらに空気量を調整できるよう空気量調整弁をノズルの外側噴出孔の空気供給管に設けて、噴霧角度を15度以下に調整したことを特徴とする。これにより、スプレイ塔を小型化してもスプレイ塔の内壁に噴霧液滴がぶつかることなく安定した噴霧乾燥を行うことができ、装置の小型化が可能となる。
【0014】
本発明の噴霧乾燥装置について図1及び2を参照しながら説明する。図1は、本発明の噴霧乾燥装置を用いた好ましい一実施態様の説明図である。
スプレイ塔5の上部に2流体スプレーノズル3が取り付けられており、該2流体スプレーノズル3には液体と空気との2つの流体が導入される。液体は液体タンク1からポンプ2によりスプレーノズル3に導入され、空気はコンプレッサー4から圧縮され導入される。スプレーノズル3の拡大断面図を図2に示す。スプレーノズル21内は液体側管22および空気側管23にわかれており、空気側管23の内側に液体側管22が設けられた入れ子構造になっている。液体側管22には液体導入口24から噴霧する液体が導入され、空気側管23には圧縮空気導入口25から圧縮空気が導入される。液体側管22内には液流量調節ニードル26が設けられており、このニードルを上昇又は下降させてノズル先端28の内側噴出孔の口径を変化させることにより液流量が調節される。空気量の調節は外側噴出孔の空気供給管に設けられた空気量調整弁27により行われる。
【0015】
図1のスプレイ塔5には噴霧液滴を乾燥させるための乾燥空気を送り込む乾燥空気導入口7が設けられている。空気はヒーター8で加熱乾燥され乾燥空気導入口7からスプレイ塔5に送り込まれる。噴霧液滴はスプレイ塔5に隣接したサイクロン9に送り込まれ、サイクロン9により固化物と気体とに分離される。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られる。凝縮器12により気体と水とに分離した後、凝縮した水は排水され、水蒸気が除去された空気はエアーフィルター13を通して排気される。
【0016】
次に、図1を参照しながら本発明の噴霧乾燥装置を用いた噴霧乾燥方法の好ましい一実施態様を説明する。
まず、スプレーノズル3に、液体タンク1からポンプ2により液体を導入し、同時にコンプレッサー4により圧縮空気を導入する。液流量制御用ニードル6及び空気量調整弁(図2参照)を用いて、噴霧角度θを15度以下となるように調節し、ノズル先端より垂直に300mm離れたところの高さにおける噴霧域の直径が80〜120mmになるよう調整する。噴霧角度θは10度以下が好ましく、ノズル先端より垂直に300mm離れたところの高さにおける噴霧域の直径は40〜60mmが好ましい。
【0017】
スプレーノズル3から2流体を下方に噴射し、スプレイ塔5内に液体を上記の噴霧角度で噴霧する。スプレイ塔5内に噴霧された液体は、ヒーター8で加熱され乾燥空気導入口7から導入された乾燥空気により乾燥固化される。流体はサイクロン9に移動し、乾燥固化物と気体とに分離される。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られる。
【0018】
水蒸気の凝縮については、公知のいかなる方法であっても良いが、空冷コンデンサーによる方法、ヒートポンプによりエネルギーコストを削減しながら凝縮回収する方法、ペルチェ素子により液加熱と蒸気凝縮を同時にする方法などでもよく、適宜これらの組み合わせであっても良い。
凝縮器12により気体と水とに分離した後、凝縮した水は排水され、水蒸気が除去された空気はエアーフィルター13を通して排気される。
【0019】
本発明の噴霧乾燥装置は、写真処理廃液を固化する目的で使用することができる。固化した廃液は固体処理剤として再利用することができる。また、凝縮した水は溶解しているアンモニアを除去した後、漂白定着処理液(P2)又はリンス液(PS)に利用することができる。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施例1
2流体ノズルに扶桑精機(株)製ジェミニ312B(商品名、ノズル口径0.2mm)を用い、ペイントカップを取り外してポンプで送液できるように液配管を接続し、噴霧角度が10度となるように空気流量と液流量制御ニードルを調整して固定することにより、ノズル先端より300mm離れたところで噴霧径が直径40mmになるよう調整した。スプレイ塔には、内径が直径60mm、長さが300mmのパイレックスガラス製(特注品)のものを用いた。サイクロンは、東京理化器械(株)製SD−1000型(商品名)を流用した。
【0022】
作製した噴霧乾燥装置を以下の条件で運転させた。
加熱空気:入口温度 200℃
流量 700mL/分
送液量 :200mL/hr
出口温度:80℃
サンプル液体:チオ硫酸アンモニウム20000ppm、EDTA−Fe 10000ppm、Ag+ 3000ppm、ハロゲンイオン(Cl、Br)1000ppmの混合物
【0023】
上記仕様で運転したところ、スプレイ塔の内側に液や粉体が付着することなく安定に微小顆粒状の固体が得られた。
一方、上記装置で噴霧角度を20度にして上記と同様の条件で運転させたところ、スプレイ塔の内側に液や粉体が付着してしまい、固化物の収率が悪かった。また、日本ビュッヒ(株)製ミニスプレイドライヤーB−191型(商品名)噴霧乾燥装置を用いて噴霧角度が15度となるように流量を絞って上記と同様の条件で運転させたところ、噴霧流量を液供給ポンプによってコントロールしているため精密に流量を調節することができず、噴霧が不安定になり大きな液滴が生じてしまい、乾燥不十分な液滴がスプレイ塔や配管に付着する為、固化物の収率が悪かった。
なお、従来のスプレイ塔が、東京理化器械(株)製SD1000型(商品名)の場合では、内径が直径130mm、高さが700mmであったのに対し、本実施例の噴霧乾燥装置では、スプレイ塔の内径が直径60mm、高さが300mmであり、従来の装置より小型化した装置でも安定した噴霧乾燥を行うことができたことがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の噴霧乾燥装置は、従来の装置よりも一層小型化が可能となり、貴重な少量サンプルでも安定した噴霧乾燥をすることができる。
すなわち、ノズルの液体出口をニードルにて開口面積を調節して噴霧角度15度以下とすることにより、従来の装置ではなしえなかった1500mL/日(約200mL/hr)という小流量の噴霧が安定して作製できる。また、噴霧角度を15度以下としたことにより、スプレイ塔の内径を現状の直径100〜130mmから60mm以下にまで絞ることができ、スプレイ塔の小型化ひいては噴霧乾燥装置の小型化を可能とすることができる。
【0025】
また、本発明の噴霧乾燥装置は、写真処理廃液を固化する目的で使用することができ、補充量が低減された最新の自動現像機から出る廃液を効率よく処理できるうえ、小型化により狭い写真現像店に設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の噴霧乾燥装置の全体図である。
【図2】図2は、2流体ノズルの拡大断面図である。
【符号の説明】
1 液体タンク
3 2流体スプレーノズル
4 コンプレッサー
5 スプレイ塔
6 液流量調節ニードル
9 サイクロン
10 回収固形物カートリッジ
21 2流体スプレーノズル
26 液流量調節ニードル
27 空気量調整弁
28 ノズル先端
θ 噴霧角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラリーなどを含まない溶液状の材料を微粒液滴として噴霧し加熱気体と接触させてほぼ瞬間的に乾燥する噴霧乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
噴霧乾燥方法、とりわけ噴霧と加熱気体を並流で流す方法は、噴霧中に水が液として存在する時は高温で接触するが、乾燥が進行するに従い加熱空気も蒸発潜熱に奪われて温度が下がるうえ瞬時に乾燥が終了するため、熱に弱い化学薬品さらには薬草から抽出された生薬等の乾燥に用いられる。
【0003】
小型で医薬等の実験研究に用いられる噴霧乾燥機としては、例えば、東京理化器械(株)製SD−1000型(商品名)、日本ビュッヒ(株)製ミニスプレイドライヤーB−191型(商品名)等がある。
これらの噴霧乾燥機は、2流体ノズルで噴霧することにより溶液の微小液滴を作製し、乾燥風を噴霧と平行に流し、乾燥された粉末をサイクロンやフィルター等で収集する。
【0004】
また、近年、写真感光材料の処理においては、迅速化と平行して処理剤や補充水の削減が図られ、さらには処理オペレーターの作業性向上のため、処理剤だけでなく廃液の処理についてもドライ化がなされようとしており、上記の噴霧乾燥方法を廃液処理に適用することが試みられている(特公平6−73662号等)。
【0005】
しかしながら、市販の噴霧乾燥機は小型と言えど1500mL/hr程度の水分蒸発量を能力として有しており、希少な生薬抽出サンプルの乾燥や、極限まで補充水の削減を図った写真感光材料処理システムにおける廃液の固化(1500〜2000mL/日)には大型過ぎ、少量の溶液を噴霧乾燥する場合には効率的ではなく、安定した噴霧乾燥を行うことができなかった。
【0006】
そこで、従来の噴霧乾燥機をスケールダウンして前記の生薬サンプルの乾燥や写真感光材料処理システム廃液の固化に用いることができる廃液処理装置を製作しようとしたところ、以下のような問題があった。
すなわち、噴霧乾燥装置を更に小型化するためには、噴霧を吹き込むスプレイ塔を小型化することが必要である。スプレイ塔の太さを細くするためには、2流体ノズルを小型化するか、または噴霧角度を狭くすることが考えられる。従来の市販の噴霧乾燥装置の噴霧角度は、約20度であった。
【0007】
しかし、従来の市販小型噴霧乾燥装置に使用されている2流体ノズルの小型化には限界があった。2流体ノズルの能力が決まると、噴霧量が決まり、これを乾燥するための加熱空気の温度と流量が決まり、噴霧乾燥機の本体であるスプレイ塔の大きさ、サイクロンの大きさがリンクして決定される。したがって、ノズルの小型化により装置を小型化することは困難であった。
【0008】
また、従来の小型の噴霧乾燥機に使われるスプレイング・システムズ・ジャパン(株)、(株)いけうち等から発売されている2流体ノズルは、噴霧流量を液を供給するポンプによってコントロールしているため流量を絞ると精密に流量を調節することができなくなる。流量を絞って噴霧を狭い角度で噴出させようとすると、噴霧が不安定になり大きな液滴が生じるなどの不具合が生じることがわかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量の溶液を噴霧乾燥するのに適した小型の噴霧乾燥装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
ところで、プラスチックモデルや車両の塗装、絵画などに用いられるエアーブラシといわれる2流体ノズル式スプレーガンでは、狭い角度で流量を絞っても安定して噴霧できることが知られている(特開2000−5647号等)。このスプレーガンには液流量制御用ニードルが設けられており、このニードルにより噴霧する液量を精密に調節することができる。
【0011】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、噴霧角度が15度以下になるような小型の2流体ノズルを選択し、液流量制御用ニードルおよび空気量調整弁を設け噴霧角度を15度以下として小流量の噴霧をおこなったところ、スプレイ塔の内壁に噴霧液滴がぶつかることなく安定した噴霧乾燥を行うことができることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、2流体ノズルの内側噴出孔に液流量制御用ニードルを有し、かつ、外側噴出孔の空気供給管に空気量調整弁が設けられ、乾燥用噴霧液の噴霧角度を15度以下としたことを特徴とする2流体ノズル式噴霧乾燥装置を提供するものである。
ここで、2流体ノズルとは、圧搾空気の高速の流れを利用して液体を微粒化するノズルをいい、優れた微粒化性能および大きなターンダウン比(流量調整比)を有する。
また、スプレーノズルの噴霧角度とは、ノズル近傍における噴霧の接線の角度をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、溶液側が微小流量でも安定に噴霧角度の狭い噴霧を作製できるようノズルの内側噴出孔に流量制御用ニードルを設け、さらに空気量を調整できるよう空気量調整弁をノズルの外側噴出孔の空気供給管に設けて、噴霧角度を15度以下に調整したことを特徴とする。これにより、スプレイ塔を小型化してもスプレイ塔の内壁に噴霧液滴がぶつかることなく安定した噴霧乾燥を行うことができ、装置の小型化が可能となる。
【0014】
本発明の噴霧乾燥装置について図1及び2を参照しながら説明する。図1は、本発明の噴霧乾燥装置を用いた好ましい一実施態様の説明図である。
スプレイ塔5の上部に2流体スプレーノズル3が取り付けられており、該2流体スプレーノズル3には液体と空気との2つの流体が導入される。液体は液体タンク1からポンプ2によりスプレーノズル3に導入され、空気はコンプレッサー4から圧縮され導入される。スプレーノズル3の拡大断面図を図2に示す。スプレーノズル21内は液体側管22および空気側管23にわかれており、空気側管23の内側に液体側管22が設けられた入れ子構造になっている。液体側管22には液体導入口24から噴霧する液体が導入され、空気側管23には圧縮空気導入口25から圧縮空気が導入される。液体側管22内には液流量調節ニードル26が設けられており、このニードルを上昇又は下降させてノズル先端28の内側噴出孔の口径を変化させることにより液流量が調節される。空気量の調節は外側噴出孔の空気供給管に設けられた空気量調整弁27により行われる。
【0015】
図1のスプレイ塔5には噴霧液滴を乾燥させるための乾燥空気を送り込む乾燥空気導入口7が設けられている。空気はヒーター8で加熱乾燥され乾燥空気導入口7からスプレイ塔5に送り込まれる。噴霧液滴はスプレイ塔5に隣接したサイクロン9に送り込まれ、サイクロン9により固化物と気体とに分離される。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られる。凝縮器12により気体と水とに分離した後、凝縮した水は排水され、水蒸気が除去された空気はエアーフィルター13を通して排気される。
【0016】
次に、図1を参照しながら本発明の噴霧乾燥装置を用いた噴霧乾燥方法の好ましい一実施態様を説明する。
まず、スプレーノズル3に、液体タンク1からポンプ2により液体を導入し、同時にコンプレッサー4により圧縮空気を導入する。液流量制御用ニードル6及び空気量調整弁(図2参照)を用いて、噴霧角度θを15度以下となるように調節し、ノズル先端より垂直に300mm離れたところの高さにおける噴霧域の直径が80〜120mmになるよう調整する。噴霧角度θは10度以下が好ましく、ノズル先端より垂直に300mm離れたところの高さにおける噴霧域の直径は40〜60mmが好ましい。
【0017】
スプレーノズル3から2流体を下方に噴射し、スプレイ塔5内に液体を上記の噴霧角度で噴霧する。スプレイ塔5内に噴霧された液体は、ヒーター8で加熱され乾燥空気導入口7から導入された乾燥空気により乾燥固化される。流体はサイクロン9に移動し、乾燥固化物と気体とに分離される。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られる。
【0018】
水蒸気の凝縮については、公知のいかなる方法であっても良いが、空冷コンデンサーによる方法、ヒートポンプによりエネルギーコストを削減しながら凝縮回収する方法、ペルチェ素子により液加熱と蒸気凝縮を同時にする方法などでもよく、適宜これらの組み合わせであっても良い。
凝縮器12により気体と水とに分離した後、凝縮した水は排水され、水蒸気が除去された空気はエアーフィルター13を通して排気される。
【0019】
本発明の噴霧乾燥装置は、写真処理廃液を固化する目的で使用することができる。固化した廃液は固体処理剤として再利用することができる。また、凝縮した水は溶解しているアンモニアを除去した後、漂白定着処理液(P2)又はリンス液(PS)に利用することができる。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施例1
2流体ノズルに扶桑精機(株)製ジェミニ312B(商品名、ノズル口径0.2mm)を用い、ペイントカップを取り外してポンプで送液できるように液配管を接続し、噴霧角度が10度となるように空気流量と液流量制御ニードルを調整して固定することにより、ノズル先端より300mm離れたところで噴霧径が直径40mmになるよう調整した。スプレイ塔には、内径が直径60mm、長さが300mmのパイレックスガラス製(特注品)のものを用いた。サイクロンは、東京理化器械(株)製SD−1000型(商品名)を流用した。
【0022】
作製した噴霧乾燥装置を以下の条件で運転させた。
加熱空気:入口温度 200℃
流量 700mL/分
送液量 :200mL/hr
出口温度:80℃
サンプル液体:チオ硫酸アンモニウム20000ppm、EDTA−Fe 10000ppm、Ag+ 3000ppm、ハロゲンイオン(Cl、Br)1000ppmの混合物
【0023】
上記仕様で運転したところ、スプレイ塔の内側に液や粉体が付着することなく安定に微小顆粒状の固体が得られた。
一方、上記装置で噴霧角度を20度にして上記と同様の条件で運転させたところ、スプレイ塔の内側に液や粉体が付着してしまい、固化物の収率が悪かった。また、日本ビュッヒ(株)製ミニスプレイドライヤーB−191型(商品名)噴霧乾燥装置を用いて噴霧角度が15度となるように流量を絞って上記と同様の条件で運転させたところ、噴霧流量を液供給ポンプによってコントロールしているため精密に流量を調節することができず、噴霧が不安定になり大きな液滴が生じてしまい、乾燥不十分な液滴がスプレイ塔や配管に付着する為、固化物の収率が悪かった。
なお、従来のスプレイ塔が、東京理化器械(株)製SD1000型(商品名)の場合では、内径が直径130mm、高さが700mmであったのに対し、本実施例の噴霧乾燥装置では、スプレイ塔の内径が直径60mm、高さが300mmであり、従来の装置より小型化した装置でも安定した噴霧乾燥を行うことができたことがわかる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の噴霧乾燥装置は、従来の装置よりも一層小型化が可能となり、貴重な少量サンプルでも安定した噴霧乾燥をすることができる。
すなわち、ノズルの液体出口をニードルにて開口面積を調節して噴霧角度15度以下とすることにより、従来の装置ではなしえなかった1500mL/日(約200mL/hr)という小流量の噴霧が安定して作製できる。また、噴霧角度を15度以下としたことにより、スプレイ塔の内径を現状の直径100〜130mmから60mm以下にまで絞ることができ、スプレイ塔の小型化ひいては噴霧乾燥装置の小型化を可能とすることができる。
【0025】
また、本発明の噴霧乾燥装置は、写真処理廃液を固化する目的で使用することができ、補充量が低減された最新の自動現像機から出る廃液を効率よく処理できるうえ、小型化により狭い写真現像店に設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の噴霧乾燥装置の全体図である。
【図2】図2は、2流体ノズルの拡大断面図である。
【符号の説明】
1 液体タンク
3 2流体スプレーノズル
4 コンプレッサー
5 スプレイ塔
6 液流量調節ニードル
9 サイクロン
10 回収固形物カートリッジ
21 2流体スプレーノズル
26 液流量調節ニードル
27 空気量調整弁
28 ノズル先端
θ 噴霧角度
Claims (1)
- 2流体ノズルの内側噴出孔に液流量制御用ニードルを有し、かつ、外側噴出孔の空気供給管に空気量調整弁が設けられ、乾燥用噴霧液の噴霧角度を15度以下としたことを特徴とする2流体ノズル式噴霧乾燥装置。
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JP2002252801A JP2004092969A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 噴霧乾燥装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002252801A JP2004092969A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 噴霧乾燥装置 |
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JP2004092969A true JP2004092969A (ja) | 2004-03-25 |
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ID=32058985
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