JP2015232101A - ケミカルヒートポンプ用反応材、ケミカルヒートポンプ - Google Patents

ケミカルヒートポンプ用反応材、ケミカルヒートポンプ Download PDF

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Hiroko Okura
浩子 大倉
升澤 正弘
Masahiro Masuzawa
正弘 升澤
陽平 志連
Yohei Shiren
陽平 志連
阿萬 康知
Yasutomo Aman
康知 阿萬
祥史 大場
Yoshifumi Oba
祥史 大場
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Abstract

【課題】蓄熱・放熱過程を繰り返した場合でも、III型無水石膏からII型無水石膏への結晶構造の変化を抑制可能なケミカルヒートポンプ用反応材の提供。
【解決手段】III型無水石膏、KSO、及びCa1−xSOを含む混合物からなり、蓄熱・放熱過程により、前記混合物と、半水石膏、KSO、及びCa1−xSOの水和物を含む混合物との間で、可逆的に相互変化が可能なケミカルヒートポンプ用反応材。但し、0<x<1である。本反応材は、少なくとも硫酸カルシウムとKSOとを、少なくとも混練及び焼成することにより得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ケミカルヒートポンプ用反応材、及びこれを用いたケミカルヒートポンプに関する。
近年、省エネルギーなどの観点から、余剰排熱等の熱源を有効利用するケミカルヒートポンプ等の熱回収システムが注目されている。
ケミカルヒートポンプは、反応媒体と蓄熱材(以後、反応材と称する)との間の可逆的な化学反応(水和反応及び脱水反応)に伴う発熱・吸熱現象を利用して、熱供給・蓄熱を行うシステムである。ケミカルヒートポンプは、一般的に、反応媒体と可逆的に反応する反応材が充填された熱交換器を備えた反応器と、液体の反応媒体を蒸発させる蒸発器と、気体の反応媒体を凝縮させる凝縮器とが、開閉機構を介して接続されている。
ケミカルヒートポンプ用の反応材としては、酸化カルシウム(CaO)を利用する系、酸化マグネシウム(MgO)を利用する系、硫酸カルシウム(CaSO)を利用する系等が検討されてきた。近年、この中でも、反応材として酸化カルシウムや酸化マグネシウムを利用するケミカルヒートポンプが注目されている(例えば特許文献1〜2)。しかしながら、特許文献1〜2のいずれのヒートポンプも、蓄熱・放熱過程を繰り返すことにより反応材の反応率が低下するという問題を有する。一方、硫酸カルシウムを反応材として利用する場合、蓄放熱特性の観点から、III型無水石膏(III型の硫酸カルシウム)が使用される。この場合、放熱過程においては、III型無水石膏と反応媒体とが反応して発生する反応熱を取り出し、蓄熱過程においては、半水石膏(焼石膏)に余剰排熱等の外部熱を加えて反応媒体を脱離させる。
従来技術では、硫酸カルシウムを反応材として使用する場合においても、反応材の反応率の低下が問題となっている。この反応率の低下は、硫酸カルシウムの結晶構造の相転移に主な原因がある。具体的には、III型無水石膏は、蓄熱・放熱過程を繰り返すことによって、より結晶構造が安定なII型無水石膏(II型の硫酸カルシウム)へと結晶構造が変化し、蓄熱量及び放熱量が減少するという問題を有する。
したがって、本発明は、蓄熱・放熱過程を繰り返した場合でも、III型無水石膏からII型無水石膏への結晶構造の変化を抑制可能なケミカルヒートポンプ用反応材の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明によって解決される。
1) III型無水石膏、KSO、及びCa1−xSOを含む混合物からなり、蓄熱・放熱過程により、前記混合物と、半水石膏、KSO、及びCa1−xSOの水和物を含む混合物との間で、可逆的に相互変化が可能なケミカルヒートポンプ用反応材。但し、0<x<1である。
本発明によれば、蓄熱・放熱過程を繰り返した場合でも、III型無水石膏からII型無水石膏への結晶構造の変化を抑制可能なケミカルヒートポンプ用反応材を提供できる。
本発明のケミカルヒートポンプの一例の概略構成図である。 本発明のケミカルヒートポンプの作動例を説明するための概略図である。図2(a)は蓄熱過程時の作動例、図2(b)は放熱過程時の作動例である。 本発明の反応材の劣化特性を説明するための概略図である。 比較例の反応材の劣化特性を説明するための概略図である。 本発明の反応材のX線回折(XRD)の結果の一例である。 比較例の反応材のX線回折(XRD)の結果の一例である。
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明の実施の形態には、次の2)〜4)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記Ca1−xSOが、III型無水石膏のカルシウムサイトの少なくとも一部がカリウムで置換された結晶構造を有する1)に記載のケミカルヒートポンプ用反応材。
3) 少なくとも硫酸カルシウムとKSOとを、少なくとも混練及び焼成することにより得られる、平均組成がCa1−ySOであるケミカルヒートポンプ用反応材。但し、0.9≦y<1である。
4) 1)〜3)のいずれかに記載の反応材を備えた反応部と、水を蒸発させ水蒸気を凝縮させる蒸発凝縮部と、前記反応部及び蒸発凝縮部を接続する接続部と、前記接続部の開閉を制御する開閉機構とを有するケミカルヒートポンプ。
(反応材及び反応媒体)
本発明の反応材は、主成分であるIII型無水石膏と、KSOとを含み、これらの材料を混練して製造する。したがって、原材料の仕込み量から算出される本発明の反応材の平均組成は、Ca1−ySO(但し、0.9≦y<1)で表される。なお、含まれるIII型無水石膏は、IIIα型無水石膏、IIIβ型無水石膏のいずれでも良い。
詳細については後述するが、本発明の反応材は、製造時に硫酸カルシウムのカルシウムサイトの一部がカリウムで置換されるので、Ca1−xSO(但し、0<x<1)を含む。硫酸カルシウムとKSOの混合割合は、カルシウムのモル量nCaに対して、カリウムのモル量n′Kが10モル%以内となるようにし、好ましくは2モル%以内となるようにする。
しかし、無水石膏は水蒸気と反応しやすく、例えば室温大気中に置くと直ぐに水蒸気と反応して半水石膏に変化してしまうため、製造した本発明の反応材を無水石膏100%の状態で保管することは通常は難しい。そこでケミカルヒートポンプでは、装置の中に反応材を入れてから焼成し無水石膏にする。
本発明の反応材と可逆反応する反応媒体は水蒸気である。
したがって、本発明の反応材は、蓄熱・放熱過程において水蒸気と可逆的に反応し、半水石膏、KSO、及びCa1−xSOの水和物を含む混合物との間で可逆的に相互変化する。即ち、III型無水石膏と半水石膏との間、及びCa1−xSOとその水和物との間で可逆的に相互変化する。
より詳しくは、放熱過程では、III型無水石膏及びCa1−xSOと水蒸気が反応して、半水石膏及びCa1−xSOの水和物に変化し、蓄熱過程では、半水石膏及びCa1−xSOの水和物から水が水蒸気となって脱離して、III型無水石膏及びCa1−xSOに戻る。
(反応材の製造方法)
本発明の反応材の製造方法は、次の各工程を含む。
・KSOと水を混合して、KSO水溶液を作製する混合工程
・得られたKSO水溶液と硫酸カルシウムを混練する混練工程
・混練工程で得られた混練物を成形する成形工程
・成形工程で得られた成形物を乾燥する乾燥工程
・乾燥工程で得られた乾燥物を焼成する焼成工程
[混合工程]
この工程では、KSOを蒸留水と混合してKSO水溶液を作製する。
SO水溶液を作製する場合のKSOと蒸留水の混合割合は、KSOの含有量が水に対する溶解度以下であるKSO水溶液を作製することができれば特に制限はない。後述する成形工程における流し込み時の取り扱い易さ、及び硬化後の密度や強度によって、硫酸カルシウムに混合する水量を決定し、これに狙いの量のKSOを溶かして水溶液とすればよい。
[混練工程]
この工程では、混合工程で得られたKSO水溶液と硫酸カルシウムを混練する。
硫酸カルシウムは無水石膏、半水石膏のいずれでもよい。半水石膏を使用した場合でも後の焼成工程により無水石膏とすることができる。なお、硫酸カルシウムは、例えば粉状、粒状又は塊状のものを使用できる。混練時間は、硫酸カルシウムとKSO水溶液を十分に混連できれば特に制限はない。また、混練温度も特に制限はないが、通常は室温で行う。
[成形工程]
この工程では、混練工程で得られた混練物を成形する。
成形方法は特に制限はないが、混練物を所定の型に流し込み、所定の時間放置して硬化させる方法等が挙げられる。硫酸カルシウムをKSO水溶液と混練することにより、硫酸カルシウム二水和物やCa1−xSO・2HO等が形成され固化する。放置する時間は、混練物が十分硬化しさえすれば特に制限はない。
[乾燥工程]
この工程では、成形工程で得られた硬化した混練物を型から取り出し、室温で結晶間等に付着している液状の水を乾燥させる。
[焼成工程]
この工程では、乾燥工程で得られた乾燥物を焼成して反応材の無水物を得る。
焼成条件は、乾燥物中の水分を除去して無水物を得ることができれば特に制限はなく、例えば、減圧雰囲気下又は大気雰囲気下、100℃〜200℃で約5時間焼成することにより、無水物を得ることができる。
上記製造方法により、III型無水石膏のカルシウムサイトの少なくとも一部がカリウムで置換されるので、本発明の反応材は、Ca1−xSOを含む。Ca1−xSO全体が均一であることが望ましいが、xの値が結晶内で局所的に変動していてもよい。
前記Ca1−xSOは、硫酸カルシウムの結晶格子が歪んでおり、水蒸気との反応による蓄熱・放熱過程を繰り返した場合でも、III型無水石膏よりも熱力学的に安定なII型無水石膏への結晶構造変化(相変化)を抑制する(減少させる)ことができる。
(ケミカルヒートポンプ)
次に、本発明のケミカルヒートポンプについて説明する。
図1は、本発明のケミカルヒートポンプの一例の概略構成図であるが、その構成は一般的なものであって、本発明はこれにより限定されるものではない。
ケミカルヒートポンプ100には、本発明の反応材Rを収納する反応部120と、気体の反応媒体を凝縮させ液体の反応媒体を蒸発させる蒸発凝縮部140が設けられている。また、反応部120と蒸発凝縮部140を接続する接続パイプなどから構成される接続部160が設けられている。
反応部120には、反応器122と、その外側の熱交換器124とが設けられている。熱交換器124により反応器122の外部と熱の授受を行うことができる。通常、反応器122の外部には、図示しない熱媒体流路が形成され、反応器122で発生した反応熱は、熱交換器124及び熱媒体流路を介して熱媒体へと供給される。なお、図1では反応器122が1つの例を示したが、反応器122を複数設けても良い。
蒸発凝縮部140は、気体の反応媒体を凝縮する凝縮器142と、液体の反応媒体を蒸発させる蒸発器144とが、接続パイプ146で接続されている。接続パイプ146には開閉バルブ148が設けられ、凝縮器142と蒸発器144との間の接続、即ち、反応媒体の移動を制御することができる。また、凝縮器142及び蒸発器144には、各々熱交換器150、152が設けられている。熱交換器150、152によって、各々、凝縮器142及び蒸発器144の外部と熱の授受を行うことができる。より具体的には、凝縮器142は、熱交換器150で外部に熱を放出することにより、水蒸気を液体の水へと変換することができる。一方、蒸発器144は、熱交換器152で外部から熱を受け取ることにより、水を水蒸気へと変換することができる。そして、接続パイプ146及び開閉バルブ148を操作することにより、凝縮器142で凝縮された水(及び水蒸気)を、蒸発器144側に供給することができる。
ケミカルヒートポンプ100は、反応部120と蒸発凝縮部140とを接続する接続部160を有する。接続部160には、反応器122と凝縮器142を接続する接続パイプ162、及び、反応器122と蒸発器144を接続する接続パイプ164が設けられている。接続パイプ162及び接続パイプ164には、これらの開閉を制御するため、各々、開閉バルブ166及び開閉バルブ168が設けられている。
接続パイプ162により、反応器122で放出される水蒸気(及び水)を凝縮器142に送ることができる。また、接続パイプ164によって、蒸発器144で発生する水蒸気(及び水)を反応器122に送ることができる。即ち、ケミカルヒートポンプ100は、反応部120で発生した水蒸気を凝縮器142で凝縮し、凝縮された水を蒸発器144に供給し、蒸発器144でこの水を蒸発させ、水蒸気として反応部120に供給することができる。
図2は本発明のケミカルヒートポンプ100の作動例を説明するための概略図であり、図2(a)は蓄熱過程時の作動例、図2(b)は放熱過程時の作動例である。
図2(a)に示す蓄熱過程時には、熱交換器124を介して反応器122に例えば余剰排熱等の熱が供給される。反応器122内では、供給された熱により、反応材と水蒸気との水和物から、水蒸気が脱着する脱着反応が起こる。脱着反応により、反応器122内には水蒸気が発生する。発生した水蒸気は、接続パイプ162を介して凝縮器142に導入される。この状態では、開閉バルブ166は開いた状態となっている。
凝縮器142に導入された水蒸気は、凝縮器142内で熱交換器150を介して蒸発凝縮部140の外側へと排出されるか、又は低温熱源からの低温の熱を利用して凝縮され、水になる。この動作終了後、接続パイプ146の開閉バルブ148を開放し、凝縮器142から蒸発器144に水を移動させる。
一方、図2(b)に示す放熱過程時には、蒸発器144内で熱交換器152を介して水を蒸発させる。その際、外部から気化熱を吸収することになるため、この気化熱を利用して、ケミカルヒートポンプ100は外部を冷却することができる。
そして、接続バルブ168を開いて水蒸気を反応器122に導入する。水蒸気は反応器122に導入され、反応材Rは水蒸気を吸着して水和物となる。この際、反応器122内では熱が放出される。
即ち、上記一連の流れにより、ケミカルヒートポンプ100は、図2(a)において、反応部120が高熱を外部から吸収し、蒸発凝縮部140から熱を排出し、図2(b)において、蒸発凝縮部140が高熱を外部から吸収し、反応部120から熱を排出することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」である。
実施例1〜3
蒸留水7400部に対し、KSOを、60.6部(実施例1)、122.5部(実施例2)、667部(実施例3)加え、硫酸カリウム水溶液を作製した。
次に、各水溶液に対し、β型半水石膏(吉野石膏社製:サクラ石膏A級)10000部を加えて混練し、混練物を縦2.5cm、横2.5cm、高さ0.5cmのシリコン製の型に流し込み硬化させた。
仕込み量から計算される各混練物の平均組成及びKのモル分率(*)は次のとおりである。なお、Kのモル分率とは、n′K/(nCa+n′K)である。
・実施例1:Ca0.990.01SO[*=0.01]
・実施例2:Ca0.980.02SO[*=0.02]
・実施例3:Ca0.90.1SO[*=0.10]

次に、硬化した混練物を型から取り出し、25℃50%RHの恒温湿槽で乾燥させた後、180℃で十分に加熱して脱水させ、実施例1〜3の各反応材(硫酸化合物の無水物)を得た。
比較例1
SOを加えなかった点以外は実施例1と同様にして、比較例1の反応材(硫酸カルシウムの無水物)を得た。
比較例2〜4
蒸留水7400部に対し、NaSOを、49.4部(比較例2)、99.9部(比較例3)、543.7部(比較例4)加え、硫酸ナトリウム水溶液を作製した。
次に、各水溶液に対し、β型半水石膏(吉野石膏社製:サクラ石膏A級)10000部を加えて混練し、混練物を縦2.5cm、横2.5cm、高さ0.5cmのシリコン製の型に流し込み硬化させた。
仕込み量から計算される各混練物の平均組成及びNaのモル分率(*)は次のとおりである。なお、Naのモル分率とは、n′Na/(nCa+n′Na)である。
・比較例2:Ca0.99Na0.01SO[*=0.01]
・比較例3:Ca0.98Na0.02SO[*=0.02]
・比較例4:Ca0.9Na0.1SO[*=0.10]

次に、硬化した混練物を型から取り出し、25℃50%RHの恒温湿槽で乾燥させた後、180℃で十分に加熱して脱水させ、比較例2〜4の各反応材(硫酸化合物の無水物)を得た。
上記実施例1〜3及び比較例1〜4の各反応材に対して、以下の条件で負荷を掛け、II型化処理(III型無水石膏をII型無水石膏に変える処理)を施した。
即ち、各反応材を容器に入れ、容器内を真空ポンプで減圧し、更に180℃で30分保持し、サンプルを無水状態にした。この状態で容器内に100kPaの水蒸気を導入し、150分水和させた。なお、この処理条件は、硫酸カルシウムを用いたケミカルヒートポンプの一般的利用、即ち水蒸気圧1気圧以下での利用において、反応材の劣化進行が最も大きい条件領域にあたり、この条件で長時間処理することにより劣化進行が促進される。
このII型化処理を施した反応材と、II型化処理を施していない反応材の各々に対して25℃50%RHの恒温湿槽に1日静置した後、反応材中のIII型無水石膏とII型無水石膏の比率を測定し、III型無水石膏の比率を未劣化率とした。なお、比率は、反応材のX線回折パターンと、III型無水石膏単体及びII型無水石膏単体のX線回折パターンとを比較することにより求めることができる。
また、上記水蒸気雰囲気下での高温長時間処理を行うと、反応材の劣化進行が促進されるので、該高温長時間処理を、蓄熱・放熱を繰り返した場合の代替試験として行った。
表1及び図3に、実施例1〜3及び比較例1の未劣化率を示すが、カリウムのモル分率が0.01〜0.1の間でII型化の抑制(減少)効果がみられることが分かった。
Figure 2015232101
表2及び図4に、NaSOを添加した比較例2〜4の未劣化率を示すが、比較例1の硫酸カルシウム単体のときよりも未劣化率が悪くなった。
Figure 2015232101
図5に、実施例1及び比較例1の反応材のX線回折パターンを示す。測定は、フィリップス社製のX′Pert Proで行った。なお、図5中の「○」印は、III型半水硫酸カルシウムの理論上のピーク位置、「△」印は、II型無水石膏の理論上のピーク位置である。
図5から、実施例1では、比較例1と比べて、II型無水石膏のピーク強度が減少していることが分かった。
図6に、比較例2の反応材について、図5の場合と同様にして測定したX線回折パターンを、比較例1と共に示すが、NaSOを添加した比較例2は、比較例1と比べて、II型を示すピーク強度が増加した。即ち、NaSOを加えても、本発明のKSOを加えたときのような、III型無水石膏からII型無水石膏への結晶構造の変化を抑制する効果は得られないことが分かる。
実施例1〜3及び比較例1の各反応材について、大気雰囲気下における示差熱−熱重量同時分析(TG−DTA)の結果を表3に示す。測定は、セイコーインスツルメンツ社製EXSTER6000を使用し、昇温速度10℃/min、測定温度20℃〜600℃で行った。
表3から解るように、比較例1では昇温速度10℃/minにおいてIII型無水石膏からII型無水石膏への相転移温度に相当するTG−DTAの発熱ピーク温度が359℃であったのに対し、実施例1〜3ではII型無水石膏への相転移温度が400℃以上と高温側にシフトした。これは、本発明の反応材の方がII型に相転移しにくく、反応材がより安定であることを示す。
Figure 2015232101
以上の結果から、本発明の反応材は、水蒸気雰囲気下で高温長時間処理を行った場合、即ち、蓄熱・放熱過程を繰り返した場合でも、III型無水石膏からII型無水石膏への結晶構造変化が抑制され、蓄放熱特性に優れ、かつ劣化特性が改善されたものであることが分かる。
R 反応材
100 ケミカルヒートポンプ
120 反応部
122 反応器
124 熱交換器
140 蒸発凝縮部
142 凝縮器
144 蒸発器
146 接続パイプ
148 開閉バルブ
150 熱交換器
152 熱交換器
160 接続部
162 接続パイプ
164 接続パイプ
166 開閉バルブ
168 開閉バルブ
特開2010−185035号公報 特開平9−026225号公報

Claims (4)

  1. III型無水石膏、KSO、及びCa1−xSOを含む混合物からなり、蓄熱・放熱過程により、前記混合物と、半水石膏、KSO、及びCa1−xSOの水和物を含む混合物との間で、可逆的に相互変化が可能なケミカルヒートポンプ用反応材。但し、0<x<1である。
  2. 前記Ca1−xSOが、III型無水石膏のカルシウムサイトの少なくとも一部がカリウムで置換された結晶構造を有する請求項1に記載のケミカルヒートポンプ用反応材。
  3. 少なくとも硫酸カルシウムとKSOとを、少なくとも混練及び焼成することにより得られる、平均組成がCa1−ySOであるケミカルヒートポンプ用反応材。但し、0.9≦y<1である。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の反応材を備えた反応部と、水を蒸発させ水蒸気を凝縮させる蒸発凝縮部と、前記反応部及び蒸発凝縮部を接続する接続部と、前記接続部の開閉を制御する開閉機構とを有するケミカルヒートポンプ。
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