JP2015230886A - 電池システム - Google Patents

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達哉 古賀
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靖樹 廣田
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Abstract

【課題】 析出反応によって金属リチウム(活性リチウム)が析出しても、金属リチウムが堆積しなければ、リチウムイオン二次電池を充電することができる。【解決手段】 コントローラ(40)は、活性リチウムを析出させる析出反応と、活性リチウムを溶解させる溶解反応とが行われたときの活性リチウムの量(ΔQ3)を、析出反応および溶解反応における反応電流から算出する。また、コントローラは、活性リチウムの不活性化反応によって生成された不活性リチウムの量(ΔQ4)を、不活性化反応における反応電流から算出する。算出した活性リチウムの量(ΔQ3)が、算出した不活性リチウムの量(ΔQ4)以下であれば、活性リチウムが残らないため、リチウムイオン二次電池の充電を許容する上限電力値(Win)を、リチウムイオン二次電池の温度およびSOCの少なくとも一方から特定される基準電力値(Win_ref)に設定できる。【選択図】 図3

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の充電を制御する電池システムに関する。
特許文献1には、バッテリ(リチウムイオン二次電池)の負極電位が基準電位(0[V])以下になると、負極の表面に金属リチウム(活性リチウムという)が析出することが記載されている。活性リチウムが析出すると、リチウムイオン二次電池の耐熱性が低下することが知られている。そこで、特許文献1では、負極電位が基準電位以下にならないように、バッテリの充電時に許容される電力(入力電力制限値)を設定している。
国際公開第2010/005079号パンフレット
負極電位が基準電位(0[V])以下になると、活性リチウムが析出するが、活性リチウムはリチウムイオンに変化することがある。活性リチウムがリチウムイオンに変化する反応を溶解反応という。一方、活性リチウムの不活性化反応によって不活性リチウム(リチウム化合物)が生成されてしまうことがある。不活性化反応では、活性リチウムが電解液と反応することにより、溶解させることができない不活性リチウムが生成される。
このように、活性リチウムが析出しても、溶解反応や不活性化反応が進行すれば、活性リチウムが堆積しないこともある。言い換えれば、負極電位が基準電位以下になっても、活性リチウムが堆積しないことがある。活性リチウムが堆積していなければ、負極電位が基準電位以下になっても、リチウムイオン二次電池の充電を行うことが可能である。特許文献1のように、負極電位が基準電位以下にならないように入力電力制限値を設定してしまうと、バッテリに充電できる電力を必要以上に制限してしまう。
本発明の電池システムは、充放電を行うリチウムイオン二次電池と、リチウムイオン二次電池の状態を示すパラメータを検出するセンサと、リチウムイオン二次電池の充電を制御するコントローラと、を有する。コントローラは、センサを用いてパラメータを検出するたびに、検出したパラメータに基づいて、活性リチウムを析出させる析出反応および、活性リチウムを溶解させる溶解反応が行われたときの反応電流を算出する。また、コントローラは、センサを用いてパラメータを検出するたびに、活性リチウムの不活性化反応が行われたときの反応電流を算出する。
そして、これらの反応電流に基づいて、コントローラは、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの量が、不活性リチウムの量以下であるか否かを判別する。そして、活性リチウムの量が不活性リチウムの量以下であるとき、リチウムイオン二次電池の充電を許容する上限電力値を、リチウムイオン二次電池の温度およびSOCの少なくとも一方から特定される基準電力値に設定する。
リチウムイオン二次電池では、析出反応によって活性リチウム(金属リチウム)が生成される。活性リチウムが生成されると、この活性リチウムに対して、溶解反応や不活性化反応が行われることがある。溶解反応や不活性化反応が行われると、活性リチウムの量が減少する。ここで、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムとは、析出反応によって生成された活性リチウムであって、溶解反応が行われた後に残存している活性リチウムである。
上述した反応電流を把握すれば、この反応電流が発生している状態(リチウムイオン二次電池の現在の充放電状態)において、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの量が、不活性化反応によって生成された不活性リチウムの量以下であるか否かを把握できる。ここで、活性リチウムの量が不活性リチウムの量以下であるときには、析出反応によって生成された活性リチウムのすべてに対して、溶解反応や不活性化反応が行われていることになる。この場合には、溶解反応や不活性化反応によって活性リチウムが残らなくなる。
本発明によれば、析出反応によって活性リチウムが生成されても、上述したように、活性リチウムの量および不活性リチウムの量に基づいて、活性リチウムが残存しているか否かを把握できる。活性リチウムが残存していなければ、活性リチウムの析出を抑制するために、リチウムイオン二次電池の充電を制限しなくてもよいため、上限電力値を基準電力値に設定することができる。これにより、リチウムイオン二次電池に充電電力を蓄えやすくなる。
析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの量が、不活性リチウムの量よりも多いときには、活性リチウムが残存してしまう。この場合には、上限電力値を基準電力値よりも低下させることにより、活性リチウムの量が増加することを抑制できる。
一方、活性リチウムが残存していると、リチウムイオン二次電池の耐熱性が低下してしまうが、この耐熱性の低下を許容できることがある。すなわち、耐熱性の低下を許容できる範囲内であれば、活性リチウムが残存していてもよい。この場合には、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの量が不活性リチウムの量よりも多くても、上限電力値を基準電力値よりも低下させなくてもよい。
そこで、活性リチウムが残存している場合でも、リチウム析出量又は活性リチウムの総量を考慮して、上限電力値を設定することができる。リチウム析出量とは、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの総量および不活性リチウムの総量を合わせた量である。析出反応および溶解反応が行われたときの反応電流を算出し続ければ、活性リチウムの総量を把握できる。また、不活性化反応が行われたときの反応電流を算出し続ければ、不活性リチウムの総量を把握できる。
リチウム析出量が許容量よりも少ないときには、上限電力値を基準電力値に設定することができる。この許容量とは、耐熱性の低下を許容できる観点に基づいて、予め設定されたリチウム析出量である。リチウム析出量が許容量よりも少ないときに、上限電力値を基準電力値に設定することにより、耐熱性を担保しながら、充電電力をリチウムイオン二次電池に蓄えやすくなる。一方、リチウム析出量が許容量以上であるときには、上限電力値を基準電力値よりも低下させることにより、活性リチウムの量が増加することを抑制できる。
一方、活性リチウムの総量が許容量よりも少ないときには、上限電力値を基準電力値に設定することができる。この許容量とは、耐熱性の低下を許容できる観点に基づいて、予め設定された活性リチウムの総量である。活性リチウムの総量が許容量よりも少ないときに、上限電力値を基準電力値に設定することにより、耐熱性を担保しながら、充電電力をリチウムイオン二次電池に蓄えやすくなる。一方、活性リチウムの総量が許容量以上であるときには、上限電力値を基準電力値よりも低下させることにより、活性リチウムの量が増加することを抑制できる。
電池システムの構成を示す図である。 析出反応、溶解反応および不活性化反応を示す図である。 実施例1において、二次電池の充電を制御する処理を示すフローチャートである。 基準電力値および電池温度の対応関係を示す図である。 基準電力値およびSOCの対応関係を示す図である。 リチウム析出量の許容量および使用時間の対応関係を示す図である。 実施例2において、二次電池の充電を制御する処理を示すフローチャートである。 実施例2の変形例において、二次電池の充電を制御する処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1である電池システムについて、図1を用いて説明する。二次電池10は、正極ラインPLおよび負極ラインNLを介して負荷20に接続されている。二次電池10としては、リチウムイオン二次電池が用いられる。二次電池10は、正極板と、負極板と、正極板および負極板の間に配置されたセパレータとを有する。正極板は、集電板と、集電板の表面に形成された正極活物質層とを有する。正極活物質層は、正極活物質や導電材などを含む。負極板は、集電板と、集電板の表面に形成された負極活物質層とを有する。負極活物質層は、負極活物質や導電材などを含む。正極活物質層、負極活物質層およびセパレータには、電解液が染み込んでいる。
正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられ、負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。
負荷20は、二次電池10の放電電力を受けて動作したり、二次電池10に電力(充電電力)を供給したりする。本実施例の電池システムを車両に搭載したとき、負荷20としては、モータ・ジェネレータを用いることができる。モータ・ジェネレータは、二次電池10の放電電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。また、モータ・ジェネレータは、車両の制動時に発生する運動エネルギを電力に変換し、この電力(回生電力)を二次電池10に出力することができる。なお、二次電池10を車両に搭載するときには、複数の二次電池10を直列に接続することによって構成された組電池を車両に搭載することができる。
電圧センサ31は、二次電池10の電圧値Vbを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。電流センサ32は、二次電池10の電流値Ibを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。本実施例において、二次電池10を放電しているときの電流値Ibを正の値とし、二次電池10を充電しているときの電流値Ibを負の値とする。温度センサ33は、二次電池10の温度(電池温度)Tbを検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。コントローラ40はメモリ41を有しており、メモリ41には所定の情報が記憶されている。電圧値Vb、電流値Ibや電池温度Tbは、二次電池10の状態を示すパラメータである。
二次電池10を充放電したとき、正極板および負極板の間において、リチウムイオンが移動する。具体的には、二次電池10を放電したとき、正極板では、リチウムイオンおよび電子を吸収する反応が行われ、負極板では、リチウムイオンおよび電子を放出する反応が行われる。ここで、負極活物質層からはリチウムイオンが脱離する。一方、二次電池10を充電したとき、正極板では、リチウムイオンおよび電子を放出する反応が行われ、負極板では、リチウムイオンおよび電子を吸収する反応が行われる。ここで、負極活物質層にはリチウムイオンが挿入される。
一方、二次電池10の負極板では、図2に示す副反応が行われる。析出反応(副反応)では、リチウムイオンおよび電子が反応することにより、活性リチウムが生成される。この析出反応は、上述した二次電池10の充放電に応じて、負極活物質層にリチウムイオンが挿入したり、負極活物質層からリチウムイオンが脱離したりする反応とは異なる。溶解反応(副反応)は、活性リチウムがリチウイオンおよび電子に分離する反応であり、溶解反応の発生は、二次電池10の負極電位に依存する。二次電池10を放電したり、二次電池10に逆電圧を印加したりして、二次電池10の負極電位を上昇させると、溶解反応を発生させることができる。
不活性化反応(副反応)は、活性リチウムが電解液と反応して不活性リチウム(リチウム化合物)を生成する反応(不可逆反応)である。不活性リチウムは、二次電池10の負極板において、被膜として形成され、二次電池10の充放電に関与しなくなる。このため、不活性リチウムの量が増えるほど、二次電池10の満充電容量が低下してしまう。
次に、リチウム析出量QLiを算出する方法について説明する。リチウム析出量QLiは、活性リチウムとして存在する量(総量)と、不活性リチウムとして存在する量(総量)とによって規定される。すなわち、リチウム析出量QLiは、活性リチウムの総量と、不活性リチウムの総量とを合わせた量(総量)となる。
図2を用いて説明したように、まず、析出反応によって活性リチウムが生成される。この活性リチウムに対しては、溶解反応や不活性化反応が行われる。この点を考慮すると、活性リチウムとして存在する量は、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの量になる。析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムとは、析出反応によって生成された活性リチウムであって、溶解反応が行われた後に残存している活性リチウムである。
本実施例において、析出反応および溶解反応が行われたときの活性リチウムの量(総量)を、活性リチウムの電荷量Q(単位[Ah])として規定する。また、不活性化反応によって生成された不活性リチウムの量(総量)を、不活性リチウムの電荷量Q(単位[Ah])として規定する。なお、以下の各式(1)〜(31)で説明した記号と重複する記号については、繰り返して説明しない。
リチウム析出量QLiは、下記式(1)に基づいて算出される。また、活性リチウムの量Qは、下記式(2)に基づいて算出され、不活性リチウムの量Qは、下記式(3)に基づいて算出される。
活性リチウムの量Qは、析出反応および溶解反応に依存する。また、活性リチウムの量Qを電荷量として規定することにより、活性リチウムの量Qは、析出反応および溶解反応の両方向を考慮した電流値を、初期状態(0秒)から現在の時間t(単位[秒])までの間で積算した値となる。初期状態とは、二次電池10を初めて使用し始めた状態である。この電流値は、析出反応および溶解反応における反応電流密度I’(単位[A/cm])に対して、電極の反応面積S(単位[cm])を乗算することによって算出される。したがって、活性リチウムの量Qは、上記式(2)によって表すことができる。反応面積Sとは、二次電池10において、正極板(正極活物質層)および負極板(負極活物質層)が対向する領域における電極板(正極板や負極板)上の面積であり、予め求めておくことができる。
不活性リチウムの量Qは、不活性化反応に依存する。また、不活性リチウムの量Qを電荷量として規定することにより、不活性リチウムの量Qは、不活性化反応における電流値を、上述した初期状態(0秒)から現在の時間t(単位[秒])までの間で積算した値となる。この電流値は、不活性化反応における反応電流密度I’ (単位[A/cm])に対して、電極板の反応面積Sを乗算することによって算出される。したがって、不活性リチウムの量Qは、上記式(3)によって表すことができる。
反応電流密度I’,I’は、下記式(4),(5)に示すように規定することができる。反応電流密度I’,I’は、後述するように、所定時間(演算周期)Δtの間で算出される。
上記式(4)において、i’は、析出反応および溶解反応において、二次電池10の負極板の界面における反応電流密度(単位[A/cm])である。Aは、析出反応および溶解反応において、単位電極反応面積当たりの反応表面積を示す面積比(単位[cm/cm])である。すなわち、面積比Aは、反応表面積を反応面積Sで除算した値である。反応表面積とは、負極板の表面のうち、活性リチウムが析出する領域の総面積である。
上記式(5)において、i’は、不活性化反応において、二次電池10の負極板の界面における反応電流密度(単位[A/cm])である。Aは、単位電極反応面積当たりの反応表面積を示す面積比(単位[cm/cm])である。すなわち、面積比Aは、反応表面積を反応面積Sで除算した値である。ここで、面積比Aは、面積比Aに等しいとみなすことができる。
反応電流密度i’および面積比Aを算出すれば、活性リチウムの量Qを算出でき、反応電流密度i’および面積比A(面積比A)を算出すれば、不活性リチウムの量Qを算出できる。そして、算出した量Q,Qに基づいて、リチウム析出量QLiを算出できる。
析出反応および溶解反応における反応電流密度i’を算出する方法について、以下に説明する。
図2に示すように、析出反応および溶解反応は、互いに逆方向の反応となる。析出反応および溶解反応の両者を考慮したときの反応電流密度i’は、バトラー・ボルマー式に基づいて下記式(6)によって表すことができる。下記式(6)に示す右辺第1項は、析出反応における反応電流密度を示し、下記式(6)に示す右辺第2項は、溶解反応における反応電流密度を示す。
上記式(6)において、i03は、単位反応表面積当たりの交換電流密度(単位[A/cm])であり、αa3は酸化反応(すなわち、析出反応)の移動係数であり、αc3は還元反応(すなわち、溶解反応)の移動係数である。移動係数αa3,αc3は、予め求めておくことができる。Fはファラデー定数、Rはガス定数、Tは温度(すなわち、電池温度Tb)、η’は反応過電圧である。
反応過電圧η’は、負極板の界面における負極電位V’と、析出反応および溶解反応における平衡電位(定数)Uとの差になるため、下記式(7)によって表すことができる。下記式(7)では、負極板の表面に形成された被膜の抵抗値(被膜抵抗という)Rf3’に伴う電圧降下量も考慮している。この被膜は、二次電池10を初めて充電したときに負極板(負極活物質層)の表面に形成されるSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜である。
上記式(7)に示す反応過電圧η’を上記式(6)に代入することにより、反応電流密度i’を算出することができる。
上記式(6)に示す交換電流密度i03は、下記式(8)に基づいて算出される。交換電流密度i03は、負極板(負極活物質層)に含まれる電解液中の塩濃度ce2および温度T(すなわち、電池温度Tb)に依存するため、下記式(8)によって表すことができる。後述するように塩濃度ce2を算出し、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、下記式(8)に基づいて、交換電流密度i03を算出できる。
上記式(8)において、交換電流密度i03(Tref)は、参照温度(所定値)Trefにおいて、交流インピーダンス測定から同定される。塩濃度ce,iniは、電解液中の平均塩濃度の初期値である。Ei03は、温度依存性を表す活性化エネルギである。参照温度Trefにおける交換電流密度i03を予め求めておき、温度Tの依存性も考慮して、アレニウス式を適用すると、交換電流密度i03は、上記式(8)によって表すことができる。
上記式(7)に示す被膜抵抗Rf3’は、析出反応における被膜抵抗Rf3depoと、溶解反応における被膜抵抗Rf3dissとに分けられる。析出反応では、反応過電圧η’が0よりも小さくなるため、反応過電圧η’が0よりも小さいときには、被膜抵抗Rf3’として被膜抵抗Rf3depoが用いられる。溶解反応では、反応過電圧η’が0以上となるため、反応過電圧η’が0以上であるときには、被膜抵抗Rf3’として被膜抵抗Rf3dissが用いられる。このため、析出反応においては、下記式(9)に基づいて被膜抵抗Rf3’を算出できる。また、溶解反応においては、下記式(10)に基づいて被膜抵抗Rf3’を算出できる。
析出反応における被膜抵抗Rf3depoは、負極板の被膜におけるイオン伝導の抵抗値(被膜抵抗という)Rfi2に相当する。イオン伝導とは、被膜中におけるリチウムイオンの伝導である。被膜抵抗Rfi2は、負極活物質の単位表面積当たりの被膜抵抗(単位[Ωcm])である。ここで、参照温度Trefにおける被膜抵抗Rfi2を予め求めておき、温度Tの依存性も考慮して、アレニウス式を適用すると、析出反応における被膜抵抗Rf3depoは、上記式(9)によって表すことができる。上記式(9)に示すERfi2は、温度依存性を有する活性化エネルギである。温度T(電池温度Tb)を検出すれば、上記式(9)に基づいて、析出反応における被膜抵抗Rf3depoを算出できる。
一方、溶解反応における被膜抵抗Rf3dissは、単位反応表面積当たりの活性リチウムの量(Q/AS)に比例して増加し、活性リチウムの量Qがゼロであるときには、負極板の被膜における電子伝導の抵抗値(被膜抵抗という)Rfe2に相当する。電子伝導とは、被膜中における電子の伝導である。したがって、参照温度Trefにおける被膜抵抗Rfe2を予め求めておき、温度Tの依存性を考慮してアレニウス式を適用すると、溶解反応における被膜抵抗Rf3’は、上記式(10)によって表すことができる。上記式(10)に示すERfe2は、温度依存性を有する活性化エネルギである。上記式(10)に示すkrqは、被膜抵抗の増加係数(単位[cm/Ah])であり、この増加係数krqは、単位反応表面積当たりの活性リチウムの量に対する値である。増加係数krpは予め求めておくことができる。量Qおよび面積比Aを更新し、温度T(電池温度Tb)を検出すれば、上記式(10)に基づいて、溶解反応における被膜抵抗Rf3dissを算出できる。
面積比Aは、下記式(11)に基づいて算出することができる。
上記式(11)において、A30は面積比Aの初期値、kは活性リチウムによる反応表面積の増加係数、kは不活性リチウムによる反応表面積の増加係数である。初期値A30および増加係数k,kは、予め定めておくことができる。また、量Q,Qの初期値としては、例えば、0に設定することができる。量Q,Qを算出するたびに、面積比Aを更新することができる。
次に、不活性化反応における反応電流密度i’を算出する方法について説明する。
反応電流密度i’は、バトラー・ボルマー式に基づいて、下記式(12)によって表すことができる。図2に示すように、不活性化反応は不可逆的な還元反応であるため、下記式(12)では、還元反応の電流だけを考慮している。
上記式(12)において、i04は、単位反応表面積当たりの交換電流密度(単位[A/cm])である。αc4は還元反応(すなわち、不活性化反応)の移動係数であり、予め求めておくことができる。η’は反応過電圧である。反応過電圧η’は、負極電位V’と、不活性化反応における平衡電位(定数)Uとの差になるため、下記式(13)によって表すことができる。下記式(13)では、被膜抵抗Rf4’に伴う電圧降下量も考慮している。
上記式(13)に示す反応過電圧η’を上記式(12)に代入することにより、反応電流密度i’を算出することができる。
上記式(12)に示す交換電流密度i04は、下記式(14)に基づいて算出される。交換電流密度i04は、温度T(すなわち、電池温度Tb)に依存する。このため、参照温度Trefにおける交換電流密度i04を予め求めておき、温度Tの依存性も考慮して、アレニウス式を適用すると、交換電流密度i04は、下記式(14)によって表すことができる。ここで、交換電流密度i04は、電解液中の塩濃度ce2に依存しないものとしている。
上記式(14)において、交換電流密度i04(Tref)は、参照温度Trefにおいて、交流インピーダンス測定から同定される。Ei04は、温度依存性を表す活性化エネルギである。温度T(電池温度Tb)を検出すれば、上記式(14)に基づいて、交換電流密度i04を算出できる。
上記式(13)に示す被膜抵抗Rf4’は、析出反応時に発生する不活性化反応における被膜抵抗Rf4depoと、溶解反応時に発生する不活性化反応における被膜抵抗Rf4dissとに分けられる。被膜抵抗Rf4depoについては、下記式(15)に示すように、被膜抵抗Rf3depoとみなすことができる。被膜抵抗Rf4dissについては、下記式(16)に示すように、被膜抵抗Rf3dissとみなすことができる。
二次電池10の負極板では、下記式(17)に示す電荷保存則が成り立つ。
上記式(17)において、Iは電流センサ32によって検出される電流値(電流値Ib)であり、Lは正極活物質層の厚さであり、Lは負極活物質層の厚さである。iは、単位正極活物質表面積当たりの電流密度であり、iは、単位活物質表面積当たりの電流密度である。電流密度i,iについては後述する。as1は、単位正極体積当たりの正極活物質の表面積を示す比表面積(単位[cm/cm])である。すなわち、比表面積as1は、正極活物質の表面積を、正極活物質層の体積で除算した値である。as2は、単位負極体積当たりの負極活物質の表面積を示す比表面積(単位[cm/cm])である。すなわち、比表面積as2は、負極活物質の表面積を、負極活物質層の体積で除算した値である。厚さL,Lおよび比表面積as1,as2は、予め求めておくことができる。
上記式(7),(13),(17)を満足するように、上記式(7),(13),(17)を連立して解くことにより、反応過電圧η’,η’を算出できる。反応過電圧η’ ,η’を算出すれば、上記式(6),(12)に基づいて反応電流密度i’,i’を算出できる。上記式(4)に基づいて反応電流密度I’を算出すれば、上記式(2)に基づいて活性リチウムの量Qを算出できる。上記式(5)に基づいて反応電流密度I’を算出すれば、上記式(3)に基づいて不活性リチウムの量Qを算出できる。量Q,Qを算出すれば、上記式(1)に基づいて、リチウム析出量QLiを算出できる。
ここで、反応過電圧η’,η’を算出するためには、上記式(7),(13)に示す負極電位V’を推定する必要がある。負極電位V’は、下記式(18)に基づいて算出(推定)できる。下記式(18)では、負極活物質層の厚さ方向における電流分布が一定の電流値を示すものと仮定している。この電流分布とは、負極活物質層の厚さ方向における位置と、この位置に応じた電流値との関係を示す。
上記式(18)において、Vは負極電位(平均値)である。κ effは負極板における実効イオン伝導率であり、塩濃度ce2および温度Tに依存する。このため、実効イオン伝導率κ eff、塩濃度ce2および温度Tの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、塩濃度ce2を算出し、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、実効イオン伝導率κ effを算出できる。σ effは負極活物質内の実効電子伝導率であり、予め決めておくことができる。
上記式(18)に示す負極電位(平均値)Vは、下記式(19)に示す関係を有する。
上記式(19)において、Vは電圧センサ31によって検出された電圧値(電圧値Vb)、Vは正極電位(平均値)である。Rは二次電池10の直流抵抗、Δφは、正極板および負極板の間における濃度過電圧である。
上記式(19)に示す直流抵抗Rは、下記式(20)に基づいて算出される。
上記式(20)において、Rd,mapは、塩濃度(初期値)ce,iniにおいて温度Tに依存する直流抵抗成分である。直流抵抗成分Rd,mapは、温度T毎に交流インピーダンス測定から同定される。このため、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、直流抵抗成分Rd,mapを算出できる。
上記式(20)の右辺第2項および第3項では、塩濃度の変化に伴う直流抵抗成分の変化を算出している。具体的には、塩濃度ce1,ce2,cesおよび温度Tに依存する直流抵抗成分Rd,esから、塩濃度(初期値)ce,iniおよび温度Tに依存する直流抵抗成分Rd,esを減算している。ここで、塩濃度ce1は、正極板(正極活物質層)に含まれる電解液中の塩濃度であり、塩濃度cesは、セパレータに含まれる電解液中の塩濃度である。
上記式(20)の右辺第2項に示す直流抵抗成分Rd,esは、上記式(21)に基づいて算出できる。正極板の実効イオン伝導率κ effは、塩濃度ce1および温度Tに依存するため、実効イオン伝導率κ eff、塩濃度ce1および温度Tの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、塩濃度ce1を算出し、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、実効イオン伝導率κ effを算出できる。
また、セパレータの実効イオン伝導率κ effは、塩濃度cesおよび温度Tに依存するため、実効イオン伝導率κ eff、塩濃度cesおよび温度Tの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、塩濃度cesを算出し、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、実効イオン伝導率κ effを算出できる。正極の実効電子伝導率σ effおよびセパレータの厚さLは、予め求めておくことができる。
上記式(20)の右辺第3項に示す直流抵抗成分Rd,esおよび温度Tの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、上記式(20)の右辺第3項に示す直流抵抗成分Rd,esを算出できる。
上記式(19)に示す濃度過電圧Δφは、下記式(22)に基づいて算出できる。下記式(22)において、t はカチオンの輸率、「1+dlnf±/dlnc」は、塩濃度cの変化量に対する濃度過電圧の平均の活量係数に関する相関係数である。塩濃度ce1,ce2を算出し、温度T(電池温度Tb)を検出すれば、下記式(22)に基づいて、濃度過電圧Δφを算出できる。
塩濃度cesを塩濃度(初期値)ce,iniとすると、塩濃度ce1,ce2は、下記式(23)に基づいて算出できる。
上記式(23)において、tは時間、Δtは、塩濃度の変化量Δcを算出する周期(所定時間)である。Dは電解液中のリチウムの化学拡散係数である。化学拡散係数Dは、温度Tに依存する。このため、化学拡散係数Dおよび温度Tの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、化学拡散係数Dを算出できる。係数α,βは、予め定めておくことができる。塩濃度の変化量(初期値)Δc(0)としては、0が設定される。そして、所定時間Δtが経過するたびに、今回の電流値I(電流値Ib)と、前回の塩濃度の変化量Δc(t)に基づいて、今回の塩濃度の変化量Δc(t+Δt)を算出できる。また、塩濃度の変化量Δcに基づいて、塩濃度ce1,ce2を算出できる。
一方、電極電位Vは、下記式(24),(25)に基づいて算出される。下記式(24),(25)において、添字jが1であるときには正極に関する値を示し、添字jが2であるときには負極に関する値を示す。例えば、Vは正極電位を示し、Vは負極電位を示す。なお、下記式(26),(27),(29)〜(31)に付された添字jについても同様である。
上記式(24)において、Uは電極(正極又は負極)の開放電位であり、後述する局所的SOCθに依存する。開放電位Uおよび局所的SOCθの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、局所的SOCθを算出することにより、開放電位Uを算出できる。ηは電極の反応過電圧である。ictjは、活物質に対してリチウムイオンが挿入・脱離する反応における反応電流密度であり、上記式(25)に基づいて算出される。Rfijは、電極板の被膜におけるイオン伝導の抵抗値(被膜抵抗という)である。
上記式(25)において、αajは、電極板(正極板又は負極板)の酸化反応における移動係数であり、αcjは、電極の還元反応における移動係数である。ここで、負極の酸化反応は、二次電池10の放電時の反応に相当し、負極の還元反応は、二次電池10の充電時の反応に相当する。正極の酸化反応は、二次電池10の充電時の反応に相当し、正極の還元反応は、二次電池10の放電時の反応に相当する。i0jは、電極の交換電流密度であり、下記式(26)に基づいて算出できる。
交換電流密度i0jは、後述する局所的SOCθ、塩濃度cejおよび温度Tに依存する。したがって、上記式(26)に基づいて、交換電流密度i0jを算出できる。Ei0jは温度依存性を有する活性化エネルギである。局所的SOCθおよび塩濃度cejを算出し、温度T(電池温度Tb)を検出すれば、上記式(26)に基づいて、交換電流密度i0jを算出できる。
上記式(24)に示す被膜抵抗Rfijは、上記式(9)と同様に、下記式(27)に基づいて算出できる。下記式(27)に示すERfijは、温度依存性を有する活性化エネルギである。
二次電池10を充放電するときには、下記式(28)に示す電荷保存則が成り立つ。なお、下記式(28)では、反応電流密度ictjだけを考慮しているが、これに限るものではない。二次電池10の内部では、電気二重層キャパシタンス成分が存在するため、電気二重層キャパシタンス成分に関して、単位活物質表面積当たりの電流密度idljを考慮することもできる。ここで、電荷保存則に関して、電流密度idljは支配的ではないため、下記式(28)では、電流密度idljを省略している。
ここで、上記式(17)に示す電流密度iとしては、反応電流密度ict1とすることもできるし、電流密度ict1,idl1の合計値とすることもできる。また、上記式(17)に示す電流密度iとしては、反応電流密度ict2とすることもできるし、電流密度ict2,idl2の合計値とすることもできる。
電圧値V(電圧値Vb)および電流値I(電流値Ib)を検出すれば、上記式(28)を満足する条件の下で、上記式(19),(24)に基づいて、反応過電圧η,ηを算出できる。これにより、負極電位V,V’を算出できる。
ここで、電極の局所的SOCθ(θ又はθ)は、下記式(29)に基づいて算出できる。局所的SOCθとは、活物質の界面における塩濃度によって特定されるSOCである。
上記式(29)に示すrは、活物質を球体と見なしたときの半径を示し、rsjは、球体の活物質の表面(界面)を示す。局所的SOCθを算出するときには、球体の活物質の表面における塩濃度csjが用いられる。csj,maxは、活物質の内部における限界塩濃度であり、予め求めておくことができる。活物質内の塩濃度分布は、下記式(30)に示す拡散方程式に基づいて算出できる。活物質内の塩濃度分布とは、球体の活物質の半径方向における塩濃度csjの分布である。
上記式(30)に示すDsjは、活物質内におけるリチウムの拡散係数であり、温度Tに依存する。拡散係数Dsjおよび温度Tの対応関係(マップ又は演算式)を予め求めておけば、温度T(電池温度Tb)を検出することにより、拡散係数Dsjを算出できる。上記式(30)を適用するとき、下記式(31)に示す境界条件が設定される。
上記式(30),(31)に基づいて、活物質の界面における塩濃度csjを算出すれば、上記式(29)に基づいて、局所的SOCθを算出できる。
図2から分かるように、析出反応によって活性リチウムが析出した後、この活性リチウムのすべてについて、溶解反応や不活性化反応が行われると、活性リチウムが残らなくなる。ここで、所定時間Δt内において、析出反応によって生成される活性リチウムの量をΔQ3aとし、所定時間Δt内において、溶解反応によって減少する活性リチウムの量をΔQ3bとし、所定時間Δt内において、不活性化反応によって生成される不活性リチウムの量をΔQとすると、下記式(32)に示す関係が成立すれば、所定時間Δt内では、活性リチウムが残らなくなる。
後述するように、所定時間Δtの周期において、電圧値Vb、電流値Ibおよび電池温度Tbが検出されるため、量ΔQ3a,ΔQ3b,ΔQは、所定時間Δtの周期内における量を示す。所定時間Δt内において、析出反応および溶解反応によって残存する活性リチウムの量ΔQは、下記式(33)に示す関係を有するため、上記式(32)は、下記式(34)に変形することができる。
所定時間Δtの間で活性リチウムが残らない状態であれば、この状態における二次電池10の充電を継続することができる。すなわち、上記式(34)に示す関係を満たす限り、二次電池10の充電を継続しても、活性リチウムが残らない。量ΔQ,ΔQを比較することにより、二次電池10の現在の充放電状態において、活性リチウムが残るか否かを判別できる。
上記式(2)から分かるように、量ΔQは、所定時間Δtの間で算出された反応電流密度I’に反応面積Sを乗算した値となる。所定時間Δtを積算し続けることにより、上記式(2)に示す時間tが更新される。このため、上記式(2)に示す量Qは、量ΔQを積算した値となる。一方、上記式(3)から分かるように、量ΔQは、所定時間Δtの間で算出された反応電流密度I’に反応面積Sを乗算した値となる。所定時間Δtを積算し続けることにより、上記式(3)に示す時間tが更新される。このため、上記式(3)に示す量Qは、量ΔQを積算した値となる。
上述したように、量ΔQ,ΔQを算出すれば、量ΔQ,ΔQの大小関係を把握することができる。量ΔQが量ΔQ以下であれば、この状態における二次電池10の充電を継続することができ、量ΔQが量ΔQよりも多ければ、この状態における二次電池10の充電を継続することができない。本実施例では、二次電池10の現在の充放電状態において、活性リチウムが残るか否か、すなわち、充電を継続できるか否かを判別している。ここで、量Q,Qは、上述したように、活性リチウムの総量や不活性リチウムの総量であるため、量Q,Qを比較しても、二次電池10の現在の充放電状態において、活性リチウムが残るか否か、すなわち、充電を継続できるか否かは判別できない。
二次電池10の充電を制御する処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示す処理は、コントローラ40によって実行され、所定時間Δtを演算周期として繰り返し行われる。なお、上述したように、所定時間Δtを演算周期として、塩濃度csj、局所的SOCθや塩濃度の変化量Δcが更新されるとともに、これに依存するパラメータも更新される。
ステップS101において、コントローラ40は、電圧センサ31、電流センサ32および温度センサ33を用いて、電圧値Vb、電流値Ibおよび電池温度Tbを検出する。ステップS102において、コントローラ40は、上記式(8),(14)に基づいて、交換電流密度i03,i04を算出する。ステップS103において、コントローラ40は、上記式(9)又は(10)と、上記式(15)又は(16)とに基づいて、被膜抵抗Rf3’,Rf4’を算出する。ステップS104において、コントローラ40は、上記式(11)に基づいて、面積比Aを算出する。ここで、面積比Aは、面積比Aと等しいとみなしているため、面積比Aを算出することにより、面積比Aも算出できる。
ステップS105において、コントローラ40は、反応過電圧η’,η’を更新する。ステップS106において、コントローラ40は、ステップS105の処理で更新された反応過電圧η’,η’に基づいて、反応電流密度I’,I’を算出する。具体的には、上記式(4),(6)に基づいて、反応電流密度I’が算出されるとともに、上記式(5),(12)に基づいて、反応電流密度I’が算出される。
ステップS107において、コントローラ40は、ステップS106の処理で算出された反応電流密度I’,I’に基づいて、上記式(17)に示す電荷保存則が成立するか否かを判別する。電荷保存則が成立しないとき、コントローラ40は、ステップS105の処理に戻り、反応過電圧η’,η’を更新する。このように、電荷保存則が成立するまで、反応過電圧η’,η’が更新される。
電荷保存則が成立するとき、コントローラ40は、ステップS108において、上述したように、活性リチウムの量ΔQおよび不活性リチウムの量ΔQを算出する。また、コントローラ40は、ステップS108において、上記式(2),(3)に基づいて、活性リチウムの量Qおよび不活性リチウムの量Qを算出する。この量Q,Qは、次回の演算周期において、上記式(10),(11)に示す算出式で用いられる。ここで、量Q,Qを上記式(1)に代入すれば、リチウム析出量QLiを算出できる。
ステップS109において、コントローラ40は、ステップS108の算出結果に基づいて、量ΔQが量ΔQ以下であるか否かを判別する。量ΔQが量ΔQ以下であるとき、コントローラ40は、ステップS110において、許容入力電力値Winを基準電力値Win_refに設定する。一方、量ΔQが量ΔQよりも多いとき、コントローラ40は、ステップS111において、許容入力電力値Winを基準電力値Win_refよりも低くする。
許容入力電力値Winは、二次電池10の充電を許容する上限の電力値である。二次電池10を充電するときには、二次電池10の入力電力値(充電電力値)が許容入力電力値Winを超えないように充電が制御される。上述したように、二次電池10の充電時における電流値Ibは負の値になるため、許容入力電力値Winも負の値になる。
基準電力値Win_refは、電池温度Tbおよび二次電池10のSOCの少なくとも一方に基づいて設定される。すなわち、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方と、基準電力値Win_refとの対応関係(マップ又は演算式)が予め決められており、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方に基づいて、基準電力値Win_refを特定することができる。
図4には、基準電力値Win_refおよび電池温度Tbの対応関係(一例)を示す。図4に示すように、電池温度Tbが第1閾値Tb_th1および第2閾値Tb_th2の間の範囲内であるとき、基準電力値Win_refは変化せず、予め定めた固定値となる。ここで、第2閾値Tb_th2は、第1閾値Tb_th1よりも高い。電池温度Tbが第1閾値Tb_th1よりも低いとき、基準電力値(絶対値)Win_refは固定値(絶対値)よりも低くなる。そして、電池温度Tbが低いほど、基準電力値(絶対値)Win_refが低下する。一方、電池温度Tbが第2閾値Tb_th2よりも高いとき、基準電力値(絶対値)Win_refは固定値(絶対値)よりも低くなる。そして、電池温度Tbが高いほど、基準電力値(絶対値)Win_refが低下する。
図5には、基準電力値Win_refおよびSOCの対応関係(一例)を示す。図5に示すように、二次電池10のSOCが閾値SOC_th以下であるとき、基準電力値Win_refは変化せず、予め定めた固定値となる。二次電池10のSOCが閾値SOC_thよりも高いとき、基準電力値(絶対値)Win_refは固定値(絶対値)よりも低くなる。そして、二次電池10のSOCが高いほど、基準電力値(絶対値)Win_refが低下する。
ステップS111の処理では、許容入力電力値(絶対値)Winを、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方から特定される基準電力値(絶対値)Win_refよりも低下させて、二次電池10の充電を制限している。ここで、許容入力電力値(絶対値)Winを低下させる量(電力値Win,Win_refの差)は、適宜設定することができる。例えば、量ΔQ,ΔQの差が大きいほど、許容入力電力値(絶対値)Winを低下させる量を増加させることができる。
本実施例によれば、量ΔQ,ΔQに基づいて、所定時間Δt内において活性リチウムが析出して残っているか否かを把握することができる。ここで、負極電位が0[V]以下となり、活性リチウムが析出しても、量ΔQが量ΔQ以下であれば、所定時間Δt内では、溶解反応や不活性化反応によって活性リチウムが残らない。この場合には、活性リチウムの析出を抑制するために、二次電池10の充電を制限する必要が無い。すなわち、許容入力電力(絶対値)Winを基準電力値(絶対値)Win_refよりも低下させなくてもよく、二次電池10に充電電力を蓄えやすくなる。
一方、量ΔQが量ΔQよりも多いときには、許容入力電力値(絶対値)Winを基準電力値(絶対値)Win_refよりも低下させることにより、活性リチウムが析出したままとなり、この活性リチウムの量が増加することを抑制できる。
なお、ステップS110の処理において、許容入力電力Winが基準電力値Win_refに既に設定されているときには、許容入力電力Winが基準電力値Win_refのままとなる。また、許容入力電力(絶対値)Winが基準電力値(絶対値)Win_refよりも低くなっているときには、ステップS110の処理において、許容入力電力Winが基準電力値Win_refに設定される。許容入力電力値Winを基準電力値Win_refに戻せば、充電電力を二次電池10に蓄えやすくなる。
本実施例では、量ΔQ,ΔQを算出した上で、量ΔQが量ΔQ以下であるか否かを判別しているが、これに限るものではない。具体的には、反応電流密度I’,I’を比較することにより、量ΔQが量ΔQ以下であるか否かを判別することができる。上述したように、量ΔQ,ΔQのそれぞれは、反応電流密度I’,I’のそれぞれに反応面積(固定値)Sを乗算した値である。このため、反応電流密度I’が反応電流密度I’以下であれば、量ΔQが量ΔQ以下であることを判別できる。また、反応電流密度I’が反応電流密度I’よりも大きければ、量ΔQが量ΔQよりも多いことを判別できる。
本発明の実施例2について説明する。本実施例において、実施例1で説明した構成要素と同じ構成要素については同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、実施例1と異なる点について主に説明する。
実施例1では、活性リチウムの量ΔQが不活性リチウムの量ΔQよりも多いとき、許容入力電力値(絶対値)Winを基準電力値(絶対値)Win_refよりも低くしている。一方、本実施例では、活性リチウムの量ΔQが不活性リチウムの量ΔQよりも多いとき、リチウ析出量QLiに応じて、許容入力電力値Winを基準電力値Win_refに設定したり、許容入力電力値(絶対値)Winを基準電力値(絶対値)Win_refよりも低くしたりしている。
活性リチウムの量ΔQが不活性リチウムの量ΔQよりも多いときには、活性リチウムが析出したままで残る。ただし、二次電池10の耐熱性の低下を許容できれば、この許容できる範囲内において、活性リチウムが析出して残っていてもよい。
この点を考慮して、本実施例では、二次電池10の耐熱性の低下を許容できるか否かを判別するために、リチウム析出量QLiを許容量QLi_thと比較するようにしている。許容量QLi_thは、二次電池10の耐熱性の低下を許容する観点に基づいて、予め設定されたリチウム析出量QLiである。
許容量QLi_thは、固定値とすることもできるし、二次電池10の使用時間に応じて変更することもできる。二次電池10の使用時間としては、例えば、二次電池10を初めて使用してからの経過時間とすることができる。二次電池10の使用時間は、タイマを用いて計測することができる。二次電池10の使用時間に応じて、許容量QLi_thを変更するときには、図6に示すように、使用時間および許容量QLi_thの対応関係(マップ又は演算式)を予め決めておけばよい。
図6に示すように、使用時間が長いほど、許容量QLi_thを多くすることができる。言い換えれば、使用時間が短いほど、許容量QLi_thを少なくすることができる。現在の使用時間を計測すれば、使用時間および許容量QLi_thの対応関係に基づいて、現在の使用時間に対応した許容量QLi_thを特定できる。
リチウム析出量QLiが許容量QLi_thよりも少なければ、活性リチウムの量ΔQが不活性リチウムの量ΔQよりも多くても、二次電池10の耐熱性の低下を許容できるため、許容入力電力値(絶対値)Winを基準電力値(絶対値)Win_refよりも低下させなくてもよい。これにより、二次電池10の耐熱性を担保しながら、充電電力を二次電池10に蓄えやすくなる。
二次電池10の充電を制御する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7に示す処理は、図3に示す処理に対応しており、図3で説明した処理と同じ処理については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。以下、図3に示す処理とは異なる処理について、主に説明する。
ステップS112の処理は、図3に示すステップS108の処理に対応している。ステップS112において、コントローラ40は、量Q,Qを算出するとともに、量Q,Qに基づいてリチウム析出量QLiを算出する。また、コントローラ40は、ステップS112において、量ΔQ,ΔQを算出する。ステップS109において、量ΔQが量ΔQよりも多いとき、ステップS113において、コントローラ40は、ステップS112の処理で算出されたリチウム析出量QLiが許容量QLi_thよりも少ないか否かを判別する。リチウム析出量QLiが許容量QLi_thよりも少ないとき、コントローラ40は、ステップS110の処理を行う。一方、リチウム析出量QLiが許容量QLi_th以上であるとき、コントローラ40は、ステップS111の処理を行う。
なお、本実施例では、リチウム析出量QLiおよび許容量QLi_thを比較しているが、これに限るものではない。上述したように、二次電池10の耐熱性は、活性リチウムの量Qに依存する。このため、量Qに関する許容量Q3_thを予め設定することができる。許容量Q3_thは、許容量QLi_thに相当し、上述したように、固定値とすることもできるし、二次電池10の使用時間に応じて変更することもできる。
この場合には、図8に示す処理を行うことができる。図8に示す処理は、図7に示す処理に対応しており、図7で説明した処理と同じ処理については、同一の符号を用い、詳細な説明は省略する。図8に示すステップS112の処理では、リチウム析出量QLiを算出しているが、リチウム析出量QLiを算出しなくてもよい。
図8に示すフローチャートでは、図7に示すステップS113の処理の代わりに、ステップS114の処理が行われる。ステップS114において、コントローラ40は、ステップS112の処理で算出された量Qが許容量Q3_thよりも少ないか否かを判別する。ここで、量Qが許容量Q3_thよりも少ないとき、コントローラ40は、ステップS110の処理を行う。また、量Qが許容量Q3_th以上であるとき、コントローラ40は、ステップS111の処理を行う。
10:二次電池(リチウムイオン二次電池)、20:負荷、31:電圧センサ、
32:電流センサ、33:温度センサ、40:コントローラ、41:メモリ

Claims (4)

  1. 充放電を行うリチウムイオン二次電池と、
    前記リチウムイオン二次電池の状態を示すパラメータを検出するセンサと、
    前記リチウムイオン二次電池の充電を制御するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    前記センサによって前記パラメータを検出するたびに、検出した前記パラメータに基づいて、活性リチウムを析出させる析出反応および、活性リチウムを溶解させる溶解反応が行われたときの反応電流と、活性リチウムを不活性リチウムに変化させる不活性化反応が行われたときの反応電流とを算出し、
    これらの反応電流に基づいて、前記析出反応および前記溶解反応が行われたときの活性リチウムの量が、前記不活性化反応によって生成された不活性リチウムの量以下であるか否かを判別し、
    前記活性リチウムの前記量が前記不活性リチウムの前記量以下であるとき、前記リチウムイオン二次電池の充電を許容する上限電力値を、前記リチウムイオン二次電池の温度およびSOCの少なくとも一方から特定される基準電力値に設定することを特徴とする電池システム。
  2. 前記コントローラは、前記活性リチウムの前記量が前記不活性リチウムの前記量よりも多いとき、前記上限電力値を前記基準電力値よりも低下させることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  3. 前記コントローラは、
    前記析出反応および前記溶解反応が行われたときの反応電流に基づいて、前記析出反応および前記溶解反応が行われたときの前記活性リチウムの総量を算出し、
    前記不活性化反応が行われたときの反応電流に基づいて、前記不活性リチウムの総量を算出し、
    前記活性リチウムの前記量が前記不活性リチウムの前記量よりも多く、前記活性リチウムの総量および前記不活性リチウムの総量を合わせた量を示すリチウム析出量が、許容量よりも少ないとき、前記上限電力値を前記基準電力値に設定し、
    前記活性リチウムの前記量が前記不活性リチウムの前記量よりも多く、前記リチウム析出量が前記許容量以上であるとき、前記上限電力値を前記基準電力値よりも低下させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
  4. 前記コントローラは、
    前記析出反応および前記溶解反応が行われたときの反応電流に基づいて、前記析出反応および前記溶解反応が行われたときの前記活性リチウムの総量を算出し、
    前記活性リチウムの前記量が前記不活性リチウムの前記量よりも多く、前記活性リチウムの総量が許容量よりも少ないとき、前記上限電力値を前記基準電力値に設定し、
    前記活性リチウムの前記量が前記不活性リチウムの前記量よりも多く、前記活性リチウムの総量が前記許容量以上であるとき、前記上限電力値を前記基準電力値よりも低下させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
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