JP2015230279A - 半導体素子の検査方法および検査装置 - Google Patents

半導体素子の検査方法および検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体素子を破壊することなく短絡耐量を精密に測定することを可能にする。【解決手段】半導体素子の検査方法は、半導体素子への電圧印加を実行するステップS100と、第1の所定期間、電圧印加によって半導体素子に短絡電流が流れるように半導体素子を導通させるステップS101と、第1の所定期間が終了したときから第2の所定期間、半導体素子への電圧印加を継続し半導体素子を流れる漏電流を測定するステップS102と、漏電流に基づいて半導体素子の短絡耐量を求めるステップS105とを含む。第1の所定期間は、短絡電流によって半導体素子が破壊されない期間に設定され、第2の所定期間は、漏電流によって半導体素子が破壊されない期間に設定される。【選択図】図2

Description

この発明は、半導体素子の検査に関し、より特定的には、パワーデバイスとして用いられる半導体素子の短絡耐量の検査方法および検査装置に関する。
パワーデバイスとして用いられるトランジスタなどの半導体素子(以下、それらを代表して単に「トランジスタ」という場合もある)の限界性能を示す指標の一つに、「短絡耐量」がある。短絡耐量は、トランジスタが短絡状態となった場合にそのトランジスタが破壊することなく自身で遮断状態に復帰できる最大の短絡時間で定められる。
短絡耐量の検査は、実際に、トランジスタに所定時間の短絡電流を流し、トランジスタを遮断状態とした後に破壊しないことを確認し、徐々にその所定時間を長くして試験を繰り返し、短絡中または遮断後にトランジスタが破壊するまでの試験を行うことで、破壊しない最大の短絡時間を測定すること(破壊試験)によって行なうことができる。しかし、その場合、たとえば種々の条件における短絡耐量を測定するには、条件の数と少なくとも同じ数のトランジスタについて破壊試験を行なわなければならず、手間およびコストの増加を招く。ばらつきを考慮した短絡耐量を測定する場合などには、さらに多くの破壊試験が必要となり、手間およびコストがさらに増加してしまう。
特開2009−69058号公報は、トランジスタを破壊することなく、短絡耐量を検査する方法を開示する。この方法は、発熱前のゲートしきい値電圧と、発熱後のゲートしきい値電圧との電圧差に基づいて、短絡耐量検査の合否判定を行なう。
特開2009−69058号公報
特開2009−69058号公報に開示された上記方法は、短絡耐量とゲートしきい値電圧の変動との間に相関が存在するという仮説に基づくが、たとえそのような仮説が正しいとしても、上記方法では、合否判定を誤る(誤判断の)可能性がある。たとえばトランジスタのばらつきが大きいと、誤判断の可能性が高まる。これは、上記方法が、短絡耐量の大きさを直接測定するのではなく、短絡耐量とは別のものから短絡耐量検査の合否を判定するにとどまっているためである。それゆえ、上記方法では短絡耐量の精密な測定はできない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものである。この発明の目的は、半導体素子を破壊することなく短絡耐量を精密に測定することである。
この発明に係る半導体素子の検査方法は、半導体素子への電圧印加を実行するステップと、第1の所定期間、電圧印加によって半導体素子に短絡電流が流れるように半導体素子を導通させるステップと、第1の所定期間が終了したときから第2の所定期間、半導体素子への電圧印加を継続し、半導体素子を流れる漏電流を測定するステップと、漏電流に基づいて半導体素子の短絡耐量を求めるステップとを含む。第1の所定期間は、短絡電流によって半導体素子が破壊されない期間に設定される。また、第2の所定期間は、漏電流によって半導体素子が破壊されない期間に設定される。
上記の半導体素子の検査方法では、第1の所定期間、半導体素子が導通されて短絡電流が流れる。ここで、第1の所定期間は、短絡電流が流れてもその期間中は半導体素子が破壊しない期間に定められる。したがって、半導体素子は、短絡電流によっては破壊されない。
第1の所定期間が終了して短絡電流が流れなくなった後は、半導体素子に漏電流が流れ得る。上記検査方法によれば、第2の所定期間において半導体素子を流れる漏電流が測定されることで、漏電流に基づいて、半導体素子の短絡耐量が求められる。ここで、第2の所定期間は、漏電流によって半導体素子が破壊されない期間に設定され、その後、半導体素子への電圧印加は遮断される。したがって、半導体素子は、漏電流によっても破壊されない。漏電流に基づいて短絡耐量を求める手法については、実施の形態において詳細に説明される。
この発明に係る半導体素子の検査装置は、上記の検査方法を制御部に実行させて半導体素子を検査する、半導体素子の検査装置である。
この発明によれば、半導体素子を破壊することなく短絡耐量を測定することが可能になる。
実施の形態に係る、半導体素子の検査方法および検査装置を説明するための図である。 半導体素子の検査において実行される処理を説明するためのフローチャートである。 図2のフローチャートにおいて半導体素子を流れる電流の一例を説明するための図である。 最大短絡時間を求めるための検査装置の一例を説明するための図である。 図4の検査装置において実行される処理を説明するためのフローチャートである。 図5のフローチャートによって測定される電流の一例を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、特に記載がある場合を除き、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、実施の形態に係る、半導体素子の検査方法および検査装置を説明するための図である。図1を参照して、実施の形態において、半導体素子1が、検査装置20によって検査される。
半導体素子1は、パワーデバイスとして用いられる。図1に示す例では、半導体素子1はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)として表されるが、半導体素子の種類は特に限定されない。半導体素子1として、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が用いられてもよい。
検査装置20は、スイッチ2と、電圧源3と、電流プローブ4と、制御部5とを含む。
スイッチ2は、半導体素子1と、電圧源3との間に設けられる。スイッチ2は、半導体素子1に印加される電圧および半導体素子1に供給される電流を遮断する。たとえば、スイッチ2が導通状態(ON)とされると、電圧源3からの電圧が、半導体素子1(のエミッタ・コレクタ間)に印加される。スイッチ2が非導通状態(OFF)とされると、電圧源3から半導体素子1への電圧印加が遮断される。なお、図1に示す例では、スイッチ2は、IGBTとして表されるが、スイッチ2の種類は特に限定されない。スイッチ2として、たとえばMOSFETが用いられてもよい。
電圧源3は、たとえばDC1200V程度の高電圧を出力する。電圧源3の正極側は、スイッチ2を介して半導体素子1のコレクタに接続される。電圧源3の負極側は、半導体素子1のエミッタに接続される。なお、図1に示す例では、電圧源3の負極側および半導体素子1のエミッタは、いずれもグランドに接続される。
電流プローブ4は、半導体素子1を流れる電流を測定できるように配置される。電流プローブ4の位置は特に限定されない。図1に示す例では、電流プローブ4は、半導体素子1のエミッタと、電圧源3の負極側との間の経路に設けられる。
制御部5は、検査装置20に含まれる各要素を制御する。制御は、制御部5から各要素に向かって一方向に送信される制御信号を用いて行なわれてもよいし、制御部5と各要素との間で双方向に送信される通信信号を用いて行なわれてもよい。
さらに、制御部5は、半導体素子1が導通状態(ON)および非導通状態(OFF)となるように半導体素子1を制御する。図1に示す例では、半導体素子1の制御端子(ゲート)が、制御部5に接続される。たとえば、制御部5がハイ電圧の制御信号を半導体素子1の制御端子に送信すると、半導体素子1はONになる。制御部5がロー電圧の制御信号を半導体素子1の制御端子に送信すると、半導体素子1はOFFになる。なお、制御部5の詳細については、後に図4を参照してさらに詳細に説明する。
図2は、半導体素子1(図1)の検査において実行される処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、図1の制御部5によって実行される。
図1および図2を参照して、ステップS101(以降、「ステップS」を単に「S」という)において、制御部5は、半導体素子1への電圧印加を実行する。具体的には、制御部5によってスイッチ2がONとされ、電圧源3からの電圧(高電圧)が半導体素子1に印加される。
S102において、制御部5は、第1の所定期間、半導体素子1をON(導通状態)にして、半導体素子1に短絡電流が流れるようにする。具体的には、制御部5によって半導体素子1がONとされ、電圧源3からの電圧印加によって、電流(ここでは短絡電流)が半導体素子1に流れる。この第1の所定期間は、短絡電流によって半導体素子1が破壊されない期間に設定される。そのような期間は、たとえば半導体素子1の設計データや実験データなどに基づいて定めることができる。具体的には、後に図5などを参照して説明するように、第1の所定期間は、当初、十分短い時間に設定され、その後、長い期間に徐々に更新される。なお、短絡電流は、電流プローブ4を用いて測定することができる。
第1の所定期間が終了すると、制御部5は、半導体素子1をOFF(非導通状態)にして、半導体素子1に短絡電流が流れなくなるようにする。一方で、半導体素子1には継続して電圧源3からの電圧が印加されている。このため、半導体素子1に漏電流が流れ得る。
S103において、制御部5は、第2の所定期間、漏電流を測定する。具体的には、電流プローブ4によって測定される電流が、漏電流として測定される。この測定は、漏電流の時間変化(波形)の測定を含む。
S104において、制御部5は、半導体素子1への電圧印加を停止する。具体的には、制御部5によってスイッチ2がOFFとされ、電圧源3から半導体素子1への電圧印加が遮断される。これによって、漏電流が流れなくなる。ここで、第2の所定期間は、漏電流によって半導体素子が破壊されない期間に設定されるので、漏電流が発散して半導体素子1が破壊されることはない。
S105において、制御部5は、漏電流のピーク点および変曲点を求める。具体的には、測定された漏電流の波形(漏電流波形)が制御部5によって解析されて、漏電流のピーク点および変曲点が求められる。ここで、ピーク点は、漏電流波形を時間で一階微分した値がゼロになる点である。変曲点は、漏電流波形を時間で二階微分した値がゼロになる点である。漏電流波形が離散データとして取得される場合には、たとえば、漏電流波形の単位時間当たりの変化量が最小となる点をピーク点とし、漏電流波形の単位時間当たりの変化量のさらに単位時間当たりの変化量が最小となる点を変曲点として求めることができる。
S106において、制御部5は、ピーク点および変曲点に基づいて、短絡耐量を求める。短絡耐量は、制御部5によって求められる。短絡耐量の求め方については、後に詳述する。
図2のフローチャートによれば、半導体素子1には、第1の所定期間のみ短絡電流が流れる(S102)。ここで、第1の所定期間内であれば、短絡電流が流れても半導体素子1が破壊されない。また、第2の所定期間のみ漏電流が流れる(S104)。ここで、第2の所定期間内であれば、漏電流が流れても半導体素子1が破壊されない。第2の所定期間において、漏電流が測定される(S103)。そして、この漏電流に基づいて半導体素子1の短絡耐量が求められる(S105およびS106)。
ここで、漏電流と短絡耐量との関係について、説明する。
図3は、図2のフローチャートにおいて半導体素子1を流れる電流の一例を説明するための図である。図3の横軸は時間を示し、縦軸は電流(の大きさ)を示す。図3には、異なる半導体素子1のON時間に対応した電流変化を表す4通りの曲線が示され、各曲線には「I1」,「I2」,「I3」および「I4」の符号がそれぞれ付される。なお、図3においては、説明を容易にするために、各場合について半導体素子1がOFFとされるタイミングがt50となるように記載されている。
図1および図3を参照して、曲線I4,I3,I2およびI1では、時刻t10,t20,t30およびt40において、それぞれ短絡電流が流れ始める。そして、時刻t50において、いずれも短絡電流が流れなくなる。すなわち、曲線I4において短絡電流が流れている時間(以下、「短絡時間」という)は、時刻t10から時刻t50までの時間(たとえば25μsec)である。曲線I3における短絡時間は、時刻t20から時刻t50までの時間(たとえば24μsec)である。曲線I2における短絡時間は、時刻t30から時刻t50までの時間(たとえば23μsec)である。曲線I1における短絡時間は、時刻t40から時刻t50までの時間(たとえば20μsec)である。すなわち、曲線I4における短絡時間が最も長く、曲線I1における短絡時間が最も短い。
なお、図3の時刻t10,t20,t30およびt40は第1の所定期間の開始時刻に相当し、時刻t50は第1の所定期間の終了時刻に相当する。
時刻t50において短絡電流が流れなくなった後、半導体素子1には漏電流が流れ始める。なお、実際は、漏電流は短絡電流よりも十分に小さいが、図3においては、説明を容易にするために、短絡電流と漏電流との関係は、異なるスケーリングで記載されていることに注意すべきである。なお、時間軸についても部分的に異なるスケーリングが用いられている。
漏電流は、収束する場合と、発散する場合とがある。図3に示す例では、曲線I3およびI4では漏電流が発散し、I1およびI2では漏電流が収束している。
具体的には、曲線I3およびI4では、時刻t50以降、漏電流は増加し続ける(単調増加する)。そして、曲線I4では、時刻t60において、漏電流が急激に増加する(発散する)。曲線I3では、時刻t70において、漏電流が発散する。実施の形態において、曲線I3およびI4のように漏電流が発散する態様を、「非正常遮断モード(破壊モード)」と称する。非正常遮断モード(破壊モード)では、漏電流の発散によって半導体素子1に非常に大きな電流が流れるため、漏電流によって半導体素子1が破壊され得る。
一方、曲線I1およびI2では、時刻t50以降、漏電流は増加した後、減少してゼロに近づく(収束する)。実施の形態において、曲線I1およびI2のように漏電流が収束する態様を、「正常遮断モード」と称する。正常遮断モードでは、漏電流が収束するため、漏電流によって半導体素子1は破壊されない。
両者のモードの違いは、漏電流の生じる原因に由来する。短絡電流遮断後の漏電流は、短絡電流によって生じた発熱により熱励起された電荷が原因となって発生する。遮断状態の半導体素子は高抵抗であるが、高電圧が印加されているためにこの熱励起された電荷による漏電流が流れる。高電圧により高抵抗の半導体素子に漏電流が流れるので、この漏電流もまた大きな発熱要因となり、再び熱励起電荷を生じる再帰的な効果を生じる。
短絡時間が十分に短い場合、短絡電流による熱励起電荷は十分に少なく、漏電流も小さく、漏電流による発熱も小さいので、再帰的に生じる熱励起電荷も少なくなり、漏電流は最終的にゼロに収束する。この場合、漏電流の波形は短絡直後に増大するもののやがてピークを付けたのち減少に転じ、変曲点を経て山形のカーブが谷型のカーブに変わり、最後には電流ゼロの軸に張り付く。これが正常遮断モードである。
一方、短絡時間がある限度以上に長い場合は、短絡電流による熱励起電荷が多いために漏電流も大きくなり、漏電流による発熱によって更に多くの熱励起電荷が発生する。この場合の再帰的効果は発散的であり、漏電流と発熱は増大を続け減少することがない。この場合、漏電流の波形は短絡直後こそ増大率の鈍る山形のカーブであるが、ピークをつけることなく変曲点を生じて谷型のカーブに変わり、増大率も増加し始めて急激に漏電流が大きくなっていく。これをこのまま電源を遮断せずに放置すると、ある限度以上に漏電流と発熱が大きくなったとき、半導体素子の半導体の耐電圧性の性質が失われ、半導体素子は低抵抗となって無制限の電流が流れ、半導体素子は一瞬にして破壊する。これが非正常遮断モードである。
ここで、図3に示される曲線においては、黒色の三角印によりピーク点が示され、黒色の丸印により変曲点が示されている。
正常遮断モード(I1およびI2)では、ピーク点(三角印)および変曲点(丸印)がいずれも現れる。変曲点は、ピーク点よりも遅れて現れる。すなわち、ピーク点が最初に現れる。
ここで、短絡時間が長いほど、ピーク点が現れてから変曲点が現れるまでの時間(遅延時間)は短くなる。換言すれば、短絡時間が長いほど、ピーク点および変曲点が時間軸上で互いに近づく。また、短絡時間が長いほど、ピーク点が現れる時刻は遅くなる。
具体的に、曲線I1およびI2を比較すると、曲線I2での短絡時間(時刻t30〜t50)は曲線I1での短絡時間(時刻t40〜t50)よりも長い。曲線I2での遅延時間(時刻t56〜t58)は曲線I1での遅延時間(時刻t55〜t67)よりも短い。曲線I2でのピーク点は、曲線I1でのピーク点よりも遅く現れる。
このように、ピーク点および変曲点の時間軸上における互いの位置関係は、短絡時間(第1の所定期間)に応じて変化する。また、短絡時間が長いほど、漏電流は大きくなる。具体的に、曲線I1およびI2を比較すると、曲線I2での漏電流は、曲線I1での漏電流よりも大きい。
なお、図3における時間の数値について具体例を挙げると、曲線I4での短絡時間(時刻t10〜t50)は、たとえば25μsecである。曲線I3での短絡時間(時刻t20〜t50)は、たとえば24μsecである。曲線I2での短絡時間(時刻t30〜t50)は、たとえば23μsecである。曲線I1での短絡時間(時刻t40〜時刻t50)は、たとえば20μsecである。曲線I4において漏電流が発散する時刻t60は、短絡電流が流れなくなる時刻t50から(すなわち第1の所定期間が終了したときから)たとえば100μsec経過した時刻である。曲線I3において漏電流が発散する時刻t70は、時刻t50からたとえば300μsec経過した時刻である。曲線I1においてピーク点が現れる時刻t55は、時刻t50からたとえば20μsec経過した時刻である。曲線I1において変曲点が現れる時刻t67は、時刻t50からたとえば200μsec経過した時刻である。
曲線I1およびI2で示されるような正常遮断モードではピーク点が最初に現れる。これが正常遮断モードの特徴である。変曲点はピーク点の後に現れるが、その時間軸上の距離を確認しなくても、ピーク点が現れたことのみで正常遮断モードであると判定できる。これに対し、曲線I3およびI4で示されるような非正常遮断モード(破壊モード)では、ピーク点は現れず、変曲点のみが現れる。すなわち変曲点が最初に現れる。これが非正常遮断モードの特徴である。変曲点の後にピーク点が現れることはあり得ないので、変曲点が最初に現れたらただちに非正常遮断モードであると判定できる。
ここで、正常遮断モードにおいては、短絡時間が長くなるほどピーク点が変曲点に近づくので、たとえば曲線I2での短絡時間よりもさらに短絡時間を長くして行くと、ピーク点と変曲点とが近接し、最終的に両者の位置が一致した所でピーク点が消滅し、変曲点のみが現れる状態となる。すなわち、変曲点が最初に現れる。これは、正常遮断モードから非正常遮断モードへの移行を意味する。したがって、ピーク点と変曲点とが一致してピーク点が消滅し変曲点が最初に出現する直前の短絡時間が、正常遮断モードにおいて許容される最大限の短絡時間(最大短絡時間)となる。
ここで、半導体素子1(図1)の短絡耐量は、半導体素子1が破壊に至らない最大の短絡時間で定められる。すなわち、短絡耐量は、上述の最大短絡時間に相当する。したがって、ピーク点および変曲点のどちらが先に出現するかに基づいて最大短絡時間を推定することによって、短絡耐量を定量的に測定することができる。
図4は、最大短絡時間を求めるための検査装置の一例を説明するための図である。図4を参照して、検査装置20Aは、スイッチ2Aと、電圧源3と、電流プローブ4Aと、制御系5Aとを含む。電圧源3については、先に図1を参照して説明したので、ここでは説明を繰り返さない。
ここで、スイッチ2Aの定格電流値、すなわちスイッチ2Aが短絡ではなく正常な状態で流せる電流値は、半導体素子1の短絡電流の最大値よりも大きいものを選定する。これにより、半導体素子1の短絡通電時、すなわちスイッチ2Aと半導体素子1の両方がONしている間、電圧源3からの高電圧はほぼ全て半導体素子1に加わり、スイッチ2Aにはほとんど加わらない。なぜなら、スイッチ2Aの定格電流値は半導体素子1の短絡電流の最大値よりも大きいので、スイッチ2Aは正常な導通状態であり、短絡状態ではない。したがってこの通電中にもスイッチ2Aはたかだか数ミリΩの抵抗値しか生じないのに対し、半導体素子1は短絡状態であって流れる電流を制限する側となり数Ωの抵抗を示すからである。このため、スイッチ2Aが介在することにより生じる測定誤差は千分の一以下となり無視できる。なお、これを概念的に示すために、図4では、スイッチ2Aが、半導体素子1よりも大きく表示されている。
電流プローブ4Aの種類は、特に限定されない。図4では、経路に常時装着されるタイプの電流プローブが例示されている。電流プローブ4Aとして、たとえばクランプ型の電流センサのように、開閉機構を有し、経路に適時装着されるタイプの電流プローブが用いられてもよい。
制御系5Aは、演算部6と、駆動回路7および8と、信号発生器9と、オシロスコープ10とを含む。制御系5Aは、検査装置20Aの制御部として機能する。
演算部6は、たとえば、いずれも図示しないCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサおよびメモリなどの記憶素子を含む。メモリには、演算部6の動作のためのプログラム等が格納され得る。演算部6として、たとえば、汎用のコンピュータ(PC)を用いることができる。なお、演算部6は、専用のハードウェアを用いて実現されてもよい。
演算部6は、制御系5Aに含まれる各要素を制御する。制御は、制御信号を用いて行なわれてもよいし、通信信号を用いて行なわれてもよい。
駆動回路7は、半導体素子1を制御するための信号を信号発生器9から受けて、半導体素子1を駆動する。これにより、半導体素子1のON/OFFが制御される。駆動回路7は、たとえばパルス電圧を半導体素子1の制御端子に印加することによって、パルス幅の長さだけ半導体素子1をONにする。駆動回路7を用いることによって、半導体素子1を高速制御することができる。
駆動回路8は、スイッチ2Aを制御するための信号を信号発生器9から受けて、スイッチ2Aを駆動する。これにより、スイッチ2AのON/OFFが制御される。駆動回路8を用いることによって、スイッチ2Aを高速制御することができる。
信号発生器9は、半導体素子1およびスイッチ2Aを制御するための信号を発生し、駆動回路7および8に送信する。信号発生器9は、駆動回路7に送信する信号と、駆動回路8に送信する信号とを独立に発生することができる。これにより、半導体素子1の制御と、スイッチ2Aの制御とを独立して行なうことができる。
オシロスコープ10は、電流プローブ4Aの測定値を取込む。たとえば、半導体素子1の短絡電流が流れなくなったタイミング(第1の所定時間の終了時)をトリガとして、電流プローブ4Aの測定値の時間変化を、たとえば電流波形データとして保持する。オシロスコープ10は、電流波形データを、演算部6に送信する。オシロスコープ10は、電流波形を表示することもできる。
演算部6は、電流波形データを解析し、変曲点とピーク点とを算出する。演算部6は、電流波形データの解析によって求まった変曲点/ピーク点に基づいて、半導体素子1の短絡耐量を算出する。
以上の構成により、検査装置20Aは、半導体素子1の短絡耐量を測定し、半導体素子1の検査を行なうことができる。検査には、たとえば、以下の(a)〜(f)の動作が含まれる。
(a)高電圧印加動作
この動作は、スイッチ2Aをオンにして、電圧源3からの高電圧を半導体素子1に印加するための動作である。
(b)短絡スイッチング動作
この動作は、短絡時間Tsだけ半導体素子1をONにして短絡電流が流れるようにするための動作である。短絡時間Tsは、第1の所定期間の長さに相当する。たとえば、パルス幅が短絡時間Tsであるパルス電圧が、制御信号として半導体素子1の制御端子に印加される。
なお、第1の所定期間が終了したときには、半導体素子1がOFFにされる。これにより短絡電流は流れなくなる一方で、漏電流が半導体素子1を流れ始める。漏電流は、電流プローブ4Aを用いて測定される。
(c)高電圧遮断動作
この動作は、電圧源3から半導体素子1への高電圧の印加を遮断(停止)する動作である。具体的には、半導体素子1がOFFとされたとき(第1の所定期間が終了したとき)から、さらに遮断時間Txが経過したときに、スイッチ2AがOFFとされる。遮断時間Txは、第2の所定期間の長さに相当する。
この高電圧遮断動作によって、漏電流がただちに(たとえば0.1μsec以内に)遮断される。これにより、非正常遮断モード(図3の曲線I1およびI2)であったとしても、漏電流は発散する前に遮断される。したがって、漏電流の発散による半導体素子1の破壊を防止することができる。
(d)漏電流波形取得動作
この動作は、第2の所定期間において測定された電流波形(漏電流波形)を取得するための動作である。具体的には、電流プローブ4Aを用いて測定された漏電流の測定値がオシロスコープ10によって漏電流波形データとして取得される。また、漏電流波形データが演算部6に送信される。
(e)電流波形解析動作
この動作は、漏電流波形のピーク点と、変曲点とを求める動作である。ピーク点および変曲点は、漏電流波形データに基づいて、たとえば演算部6が求める。
(f)短絡耐量測定動作
この動作は、短絡耐量を定量的に求める動作である。短絡耐量は、ピーク点と変曲点との位置関係に基づいて、たとえば演算部6が求める。
図5は、図4の検査装置20Aにおいて実行される処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば図4の制御系5Aによって実行される。
図4および図5を参照して、はじめに、S201において、制御系5Aは、半導体素子1の検査条件、すなわち半導体素子1の短絡耐量を測定するための条件を初期化(初期設定)する。
初期設定には、たとえば、試験電圧Vcc、測定間隔Tw、遮断時間Tx、遮断時間増加幅Txe、遮断時間上限値Txm、短絡時間Ts、短絡時間増加幅Tse、および短絡時間上限値Tsmの設定が含まれる。
試験電圧Vccは、電圧源3の出力電圧である。試験電圧Vccは、たとえば1200Vに設定される。
測定間隔Twは、測定処理をループさせる場合の待機時間(wait時間)として設定される。測定間隔Twは、たとえば10secに設定される。
遮断時間Txは、たとえば60μsecに設定される。
遮断時間増加幅Txeは、遮断時間Txを増加させるための最小単位である。遮断時間増加幅Txeは、たとえば20μsecに設定される。
遮断時間上限値Txmは、遮断時間Txの上限である。Txmは、たとえば160μsecに設定される。
短絡時間Tsは、たとえば5μsecに設定される。
短絡時間増加幅Tseは、短絡時間Tsを増加させるための最小単位である。短絡時間増加幅Tseは、たとえば1μsecに設定される。短絡時間増加幅Tseによって、短絡耐量の測定における分解能(測定精度)が決まる。たとえば短絡時間増加幅Tseが1μsecであれば、1μsecの精度で短絡耐量を測定することができる。
短絡時間上限値Tsmは、短絡時間Tsの上限である。短絡時間上限値Tsmは、たとえば40μsecに設定される。
S202において、制御系5Aは、高電圧電源をオンにする。具体的には、電圧源3が試験電圧Vccを出力する。
S203において、制御系5Aは、パルス幅設定回数nを1回に設定する。パルス幅設定回数nは、短絡時間Tsが初期設定(S201)も含めて設定(更新)された回数を示す。
S204において、制御系5Aは、先に説明した(a)電圧印加動作を実行する。
S205において、制御系5Aは、先に説明した(b)短絡スイッチング動作を実行する。
S206において、制御系5Aは、先に説明した(c)高電圧遮断動作を実行する。
S207において、制御系5Aは、先に説明した(d)漏電流波形取得動作を実行する。
S208において、制御系5Aは、先に説明した(e)電流波形解析動作を実行する。
S209において、制御系5Aは、先に説明した(f)短絡量測定動作を開始する。具体的には、制御系5Aは、ステップS210に処理を進める。
ステップS210において、制御系5Aは、漏電流波形にピーク点の現れる時刻(ピーク位置)Tpnが存在するか否かを判断する。ピーク位置Tpnが存在する場合(S210でYES)、制御系5Aは、S211に処理を進める。そうでない場合(S210でNO)、制御系5Aは、S220に処理を進める。
S211において、制御系5Aは、パルス幅設定回数nが1であるか否かを判断する。パルス幅設定回数nが1の場合(S211でYES)、制御系5Aは、S212に処理を進める。そうでない場合(S211でNO)、制御系5Aは、S215に処理を進める。
S212において、制御系5Aは、遮断時間Txを、Tpnよりも大きい値、たとえばTpnの2倍に設定する。ここでのTpnは、短絡スイッチング動作(S205)が終了した時刻からピーク位置Tpnまでの時間である。たとえば、Tpnが20μsecであれば、遮断時間Txは40μsecに設定される。
S212において遮断時間Txが更新されることにより、第2の所定期間が適切に設定される。具体的には、初めに(n=1で)測定されたピーク位置Tpnよりも大きな値に遮断時間Txが設定される。これにより、その後の処理によって短絡時間Tsが更新されて(長くされて)ピーク位置Tpnが遅れて現れる場合でも(図3の曲線I1およびI2を参照)、そのピーク位置Tpnが第2の所定期間に含まれるため、ピーク位置Tpnを測定することができる。また、第2の所定期間が不要に長くならず、非正常遮断モード(破壊モード)によって漏電流が発散する可能性がある場合でも、漏電流が発散する前に、漏電流を遮断することができる。すなわち、S212においては、半導体素子1が漏電流によって破壊されない期間に、第2の所定期間が設定される。
S213において、制御系5Aは、遮断時間上限値Txmよりも遮断時間Txが大きいか否かを判断する。TxがTxmよりも大きい場合(S213でYES)、制御系5Aは、S214に処理を進める。そうでない場合(S213でNO)、制御系5Aは、S215に処理を進める。
S214において、制御系5Aは、遮断時間Txを遮断時間上限値Txmに設定する。これにより、S212において更新された遮断時間Txが大きくなりすぎることを防ぐことができる。その後、制御系5Aは、S215に処理を進める。
S215において、制御系5Aは、短絡時間増加幅Tseだけ、短絡時間Tsを増加させる。
S216において、制御系5Aは、短絡時間上限値Tsmよりも短絡時間Tsが大きいか否かを判断する。TsがTsmよりも大きい場合(S216でYES)、制御系5Aは、S217に処理を進める。そうでない場合(S216でNO)、制御系5Aは、S218に処理を進める。
S217において、制御系5Aは、短絡耐量が大きすぎて(短絡耐量過大であり)測定不能として、短絡耐量測定は失敗と判断する。これは、短絡時間Tsが上限を超えているにもかかわらずピーク位置が現れる正常遮断モードとなっているためである。その後、制御系5Aは、S228に処理を進める。
S218において、制御系5Aは、測定間隔Twの間、待機処理を実行する。この待機処理によって、半導体素子1が自然冷却される。これにより、半導体素子1の温度状態をリセットすることができる。その後、制御系5Aは、S219に処理を進める。
S219において、制御系5Aは、パルス幅設定回数nを1だけ増加させる。これは、先に説明したようにパルス幅設定回数nが短絡時間Tsの更新回数を示すものであり、先のS215において短絡時間Tsが更新されたためである。その後、制御系5Aは、S204に再び処理を戻す。
S220において、制御系5Aは、変曲点が存在するか否かを判断する。変曲点が存在する場合(S220でYES)、制御系5Aは、S221に処理を進める。そうでない場合(S220でNO)、制御系5Aは、S224に処理を進める。
S221において、制御系5Aは、パルス幅設定回数nが1であるか否かを判断する。nが1であれば、検査条件は初期設定の状態であり、短絡時間Tsは最も短い時間である初期値(たとえば5μsec)設定されている。一方、nが1でなければ、短絡時間Tsは、S215の処理によって更新されているため、初期値よりも長くなっている。nが1の場合(S221でYES)、制御系5Aは、S222に処理を進める。そうでない場合(S221でNO)、制御系5Aは、S223に処理を進める。
S222において、制御系5Aは、短絡耐量が小さすぎて(短絡耐量過小であり)測定不能であるとして、短絡耐量測定は失敗と判断する。これは、パルス幅設定回数nが1、すなわち短絡時間Tsが最も短い初期値であるにもかかわらず変曲点のみが現れる非正常遮断モード(破壊モード)となっているためである。その後、制御系5Aは、S228に処理を進める。
S223において、制御系5Aは、現在の短絡時間Tsから短絡時間増加幅Tseだけ減少させた時間(更新前の短絡時間(Ts−Tse))を短絡耐量として算出する。これは、現在の短絡時間Tsでは非正常遮断モード(破壊モード)となっているのに対し、更新前の短絡時間(Ts−Tse)では正常遮断モードとなっていたため、更新前の短絡時間が、ピーク点と変曲点とが一致してピーク点が消滅する(ピーク点と変曲点とが重なる)直前の短絡時間に相当するからである。このようにして短絡耐量が求められると、制御系5Aは、短絡耐量測定は成功と判断する。その後、制御系5Aは、S228に処理を進める。
S224において、制御系5Aは、増加幅Txe分だけ、遮断時間Txを増加させる。これは、ピーク点が存在せず変曲点も存在しないことから、遮断時間Tx(すなわち第2の所定期間)が短すぎると考えられるからである。短絡時間Tsはそのままで遮断時間Txを伸ばして測定をやり直せば、遮断時間Tx内にピーク点または変曲点が出現し、この短絡時間Tsが正常遮断モードであるか非正常遮断モードであるかの判定が可能になる可能性があるからである。
言い換えれば、ピーク点または変曲点のどちらかが出現しないと、この短絡時間Tsが正常遮断モードであるか非正常遮断モードであるかの判定はできない。ピーク点が最初に現れれば正常遮断モードであると判定でき、変曲点が最初に現れれば非正常遮断モードであると判定できる。
また、Txeはあまりに大きく設定してはいけない。もしもこの短絡時間Tsが非正常遮断モードであった場合、更新後の遮断時間Tx(すなわち第2の所定期間)がいきなり漏電流が発散する(素子が破壊する)時間を超えてしまう危険がある。かと言ってTxeが小さすぎれば測定回数がむやみに多くなるので素子に合った適切な値を選ぶべきである。
S225において、制御系5Aは、遮断時間上限値Txmよりも遮断時間Txが大きいか否かを判断する。TxがTxmよりも大きい場合(S225でYES)、制御系5Aは、S226に処理を進める。そうでない場合(S225でNO)、制御系5Aは、S227に処理を進める。
S226において、制御系5Aは、遮断時間上限値Txm内では漏電流のピーク点も変曲点も確認できないため(漏電流非収束)、短絡耐量は測定不能であるとして、短絡耐量計測は失敗と判断する。これは、ピーク点も変曲点も遮断時間上限値Txm内に現れない場合、この短絡時間Tsが正常遮断モードであるか非正常遮断モードであるかの判定ができず、(装置の測定時間は有限であるから)無限に遮断時間Txを伸ばすことはできないためである。その後、制御系5Aは、S228に処理を進める。
S227において、制御系5Aは、S218と同様に測定間隔Twの間、待機処理を実行する。その後、S204に再び処理が戻される。
S228において、制御系5Aは、高電圧電源をオフにする。具体的には、電圧源3による試験電圧Vccの出力が停止される。S228の処理を実行した後に、フローチャートの処理は終了する。
図6は、図5のフローチャートによって測定される電流の一例を説明するための図である。図6には、図3の曲線I3,I2およびI1での短絡時間(すなわち、時刻t20〜t50、時刻t30〜t50および時刻t40〜t50)の場合に図5のフローチャートによる処理が実行されたときの電流変化が、曲線「I3A」,「I2A」および「I1A」としてそれぞれ示される。
図5および図6を参照して、たとえば曲線I1Aは、図5のフローチャートにおける1回目のループによって測定される電流を示す。すなわち、S201の処理によって短絡時間Tsが設定され(時刻t40〜t50)、S212の処理によって遮断時間Txが設定される(時刻t50〜t69)。曲線I1Aでは、ピーク点が最初に現れている。したがって、曲線I1Aは、正常遮断モードである。ピーク点が現れた場合、変曲点はその後に存在するがその位置は確認しなくても正常遮断モードであると判定できる。
図5のフローチャートにおける処理が繰り返されると、たとえば曲線I2Aで表わされる電流が測定される。S215の処理によって、曲線I2Aでの短絡時間Ts(時刻t30〜t50)は、曲線I1Aでの短絡時間Ts(時刻t40〜t50)よりも長く設定されている。また、S212の処理によって、曲線I2Aでの遮断時間Tx(時刻t50〜t59)は、曲線I1Aでのピーク位置の2倍に設定されている。曲線I2Aでは、やはりピーク点が最初に現れている。曲線I2Aでは遮断時間Txまでに変曲点は現れていないが、ピーク点が現れたことから、正常遮断モードであると判定できる。したがって、曲線I2Aは、正常遮断モードである。
図5のフローチャートにおける処理がさらに繰り返されると、たとえば曲線I3Aで表わされる電流が測定される。曲線I3Aにおいては、遮断時間Txまでにピーク点が現れず、変曲点のみが現れている。すなわち、変曲点が最初に現れている。したがって、曲線I3Aは、非正常遮断モード(破壊モード)である。
曲線I2Aから曲線I3Aの間で、正常遮断モードから非正常遮断モード(破壊モード)へのシフトが確認されたため、S223の処理によって短絡耐量が測定される。具体的には、図6中の時刻t30から時刻t50に至るまでの時間が短絡耐量として測定される。
図5のフローチャートによれば、S215の処理によって短絡時間Tsが変更されて、第1の所定期間が更新される。また、半導体素子1への電圧印加を実行する処理(S204)と、半導体素子1を導通させる処理および漏電流を測定する処理(S205)と、電圧印加を停止する処理(S206)と、ピーク点および変曲点を求める処理(S208)と、第1の所定期間を更新する処理(S215)とが、ピーク点および変曲点が時間軸上で互いに一致する(重なる)まで(あるいは、正常遮断モードから非正常遮断モード(破壊モード)への移行が確認されるまで)繰返し実行される。そして、第1の所定期間がピーク点および変曲点が時間軸上で互いに一致する(重なる)期間に更新される直前の第1の所定期間が、短絡耐量として求められる(S223)。
このようにして、半導体素子1の短絡耐量を測定することができる。測定する短絡耐量の精度は、短絡時間増加幅Tseによって決まる(S201,S215)。したがって、短絡時間増加幅Tseを小さくすることで、短絡耐量の測定精度を向上させることができる。
以上のように、実施の形態においては、パワーデバイスとして用いられる半導体素子の短絡耐量を、非破壊で自動的に行なうことができる。そのため、同一の半導体素子の短絡耐量を何度でも精度よく(精密に)測定することができる。これにより、たとえば量産されたある製品としての半導体素子の短絡耐量を全数検査し、製品ごとに正確な短絡耐量を保証することが可能になる。
全数検査を行なって不良品を排除したうえで、短絡耐量別にランク分けして販売することもできる。
開発段階における少数のサンプルについて、種々の条件下で繰り返し短絡耐量の測定を行なうことができる。それらの測定結果は、有用な知見として製品開発にフィードバックされ得る。
製品設計においては、短絡耐量に不必要に大きなマージンを設ける必要がなくなる。そのため、最小限の短絡耐量で半導体素子を設計・製造することができ、省資源化、低コスト化が図られる。なお、ここでのマージンは、たとえば半導体素子に適用される保護回路(たとえば短絡電流を遮断する回路)の動作時間に対して設定されるものである。
なお、実施の形態において図5のフローチャートを参照して説明した試験電圧Vcc、短絡時間Tsの初期値、短絡時間増加幅Tse、短絡時間上限値Tsm、測定間隔Tw(半導体素子の冷却時間)などの具体的な数値は、例示に過ぎない。これらのパラメータは、短絡耐量の測定対象である半導体素子によって、適宜異なる値に設定される。たとえば、半導体素子の定格電圧および定格電流などが異なる場合には、それらのパラメータも異なる値に設定され得る。
短絡時間Tsと、半導体素子の冷却期間である測定間隔Twとに相関を持たせてもよい。たとえば、短絡時間Tsが長くなると、測定間隔Twも長くされる。これにより、短絡時間Tsが長くされて半導体素子の発熱量が大きくなった場合でも、測定間隔Twが長くされるため、半導体素子が十分に冷却される。一方、短絡時間Tsが長くされる前は半導体素子の発熱量が小さいので、測定間隔Twが短く、全体の測定時間(検査時間)が短縮される。
実施の形態(たとえば図5のフローチャート)において、試験電圧Vccの大きさを切替えて、短絡耐量の測定を繰り返し実行する処理が含まれてもよい。これにより、異なる試験電圧における短絡耐量を自動的に測定することができる。
同様に、ゲート駆動電圧(図4の駆動回路7が半導体素子1の制御端子に印加する電圧)の大きさを切替えて、短絡耐量の測定を繰り返し実行する処理が含まれてもよい。これにより、異なるゲート駆動電圧における短絡耐量を自動的に測定することができる。
あるいは、環境温度(半導体素子1が置かれている環境の温度)を変えて、短絡耐量の測定を繰り返し実行する処理が含まれてもよい。これにより、異なる環境温度における短絡耐量を自動的に測定することができる。たとえば図4において、半導体素子1を図示しない恒温槽の内部に配置し、制御系5A(あるいは演算部6)が恒温槽を制御するように、検査装置20Aをカスタマイズすることで、環境温度を変えることができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 半導体素子、2,2A スイッチ、3 電圧源、4,4A 電流プローブ、5 制御部、5A 制御系、6 演算部、7,8 駆動回路、9 信号発生器、10 オシロスコープ、20,20A 検査装置。

Claims (4)

  1. 半導体素子への電圧印加を実行するステップと、
    第1の所定期間、前記電圧印加によって前記半導体素子に短絡電流が流れるように前記半導体素子を導通させるステップと、
    前記第1の所定期間が終了したときから第2の所定期間、前記電圧印加を継続して前記半導体素子を流れる漏電流を測定するステップと、
    前記漏電流に基づいて前記半導体素子の短絡耐量を求めるステップとを含み、
    前記第1の所定期間は、前記短絡電流によって前記半導体素子が破壊されない期間に設定され、
    前記第2の所定期間は、前記漏電流によって前記半導体素子が破壊されない期間に設定される、半導体素子の検査方法。
  2. 前記漏電流に基づいて前記半導体素子の前記短絡耐量を求めるステップは、
    時間変化における前記漏電流のピーク点および変曲点を求めるステップと、
    前記ピーク点および前記変曲点に基づいて前記短絡耐量を求めるステップとを有する、請求項1に記載の半導体素子の検査方法。
  3. 前記ピーク点および前記変曲点の時間軸上における互いの位置関係は、前記第1の所定期間に応じて変化し、
    前記半導体素子の検査方法は、
    前記第1の所定期間を更新するステップと、
    前記第2の所定期間が終了したときに、前記電圧印加を停止するステップと、
    前記電圧印加を実行するステップと、前記半導体素子を導通させるステップと、前記漏電流を測定するステップと、前記電圧印加を停止するステップと、前記ピーク点および変曲点を求めるステップと、前記更新するステップとを、前記変曲点が前記時間軸上で前記ピーク点と一致するかより早く出現するまで繰り返すステップとをさらに含み、
    前記ピーク点および変曲点に基づいて前記短絡耐量を求めるステップは、前記第1の所定期間が前記更新するステップによって前記変曲点が前記時間軸上で前記ピーク点と一致するかより早く出現する期間に更新される直前の前記第1の所定期間を前記短絡耐量として求める、請求項2に記載の半導体素子の検査方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体素子の検査方法を制御部に実行させて半導体素子を検査する、半導体素子の検査装置。
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