JP2015229931A - エンジンの始動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能とした上で、燃料ポンプ内に発生したベーパーを確実に解消してエンジンの高温始動性を向上できるエンジンの始動制御装置を提供する。【解決手段】二輪車に搭載されたエンジン1の近接位置に燃料ポンプ26を配設し、イグニションスイッチがON操作されたときに、燃圧の回復のために予備燃圧制御として燃料ポンプ26を昇圧時間Tupに亘って作動させ、その後にスタートスイッチがON操作されると、エンジン1をクランキングしながら燃料ポンプ26の作動を再び開始させる。イグニションスイッチのON操作時においてエンジン1の冷却水温Twがベーパー判定値Tws以上のときには燃料ポンプ26にベーパー有と見なし、予備燃圧制御の開始当初に燃料ポンプ26の作動に並行してインジェクタ16をパージ時間Tvaporに亘って開弁状態に保持して、燃料ポンプ26内のベーパーを吸気ポート9a内に排出する。【選択図】図9

Description

本発明は、エンジンの始動制御装置に係り、特にエンジンの燃料系に発生したベーパーに起因する高温始動性の悪化を防止するエンジンの始動制御装置に関する。
従来から排ガス特性の改善や燃費向上等を目的として、エンジンへの燃料供給を電子制御化した燃料噴射装置が普及しており、その対象は四輪車のみならず、各種二輪車や発電機等にも及んでいる。この種の燃料噴射装置では、燃料タンク内の燃料を燃料ポンプにより汲み上げて所定圧に加圧し、加圧後の燃料をエンジンの吸気管に設けたインジェクタに供給し、エンジンの燃焼サイクルに同期してインジェクタを開閉制御して吸気管内に燃料を噴射するように構成されている。
ところで、二輪車等の多くの場合には燃料ポンプがアウトタンク型として燃料タンク外に設置され、しかもその設置位置がエンジンに近接しているためエンジンからの放射熱を直接的に受ける。このため燃料ポンプ等の燃料系が高温になって内部にベーパーが発生し、その後のエンジン始動性を悪化させるという問題がある。そこで、ベーパー対策として種々の提案がなされており、例えば特許文献1の技術を挙げることができる。
特許文献1に記載されたエンジンの燃料供給装置は、燃料タンク7内に配置した燃料ポンプ8からの燃料を燃料供給管32を経てデリバリパイプ31に供給し、このデリバリパイプ31から気筒毎のインジェクタ6に供給するように構成されている。デリバリパイプ31は燃料リターン管33を介して燃料タンク7と接続され、燃料リターン管33のインジェクタ6近傍に電磁式バイパス弁10を配置している。エンジンン始動時においてデリバリパイプ31内にベーパー有と判定した場合には、電磁式バイパス弁10を開弁させてデリバリパイプ31内のベーパーを燃料タンク7に戻している。
特開平06−317228号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、ベーパー対策として電磁式バイパス弁10を要すると共に、その設置のためのスペースをエンジン周辺に確保する必要がある。例えば二輪車や発電機等は、コスト低減のために部品点数の削減が強く望まれている上に、エンジン周辺に新たな部品を設置する余地がほとんどないことから、周辺の他部品のレイアウトを見直す必要が生じる。このため、ベーパー対策として特許文献1の技術を採用することは現実的とは言い難く、従来から他の手法によるベーパー対策が要望されていた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能とした上で、燃料ポンプ内に発生したベーパーを確実に解消してエンジンの高温始動性を向上することができるエンジンの始動制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のエンジンの始動制御装置は、燃料タンク外に設置されるアウトタンク型として構成され、駆動手段の駆動により所定圧に加圧した燃料をエンジンのインジェクタに供給する燃料ポンプと、燃料ポンプ内のベーパーの有無を判定するベーパー発生判定手段と、イグニションスイッチのON操作またはエンジンのスタート操作に応じてエンジンを始動すべく燃料ポンプの作動を開始させ、エンジン始動時においてベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、燃料ポンプ内に発生したベーパーの排出処理として、燃料ポンプの作動に並行してインジェクタを予め設定されたパージ時間に亘って開弁状態に保持する始動・ベーパー排出制御手段とを具備したことを特徴とする。
このように構成した燃料ポンプの制御装置によれば、エンジン始動時においてベーパー有と判定されているときには、燃料ポンプ内に発生したベーパーの排出処理として、燃料ポンプの作動に並行してインジェクタがパージ時間に亘って開弁状態に保持される。これにより燃料ポンプの内部とエンジンの吸気ポート内等とが連通すると共に、燃料ポンプの作動により内部のベーパーがインジェクタへと押し出されて吸気ポート内等に排出される。よって、燃料ポンプの内部に発生したベーパーが確実に解消されてエンジンの高温始動性が向上する。
そして、インジェクタの開弁保持と燃料ポンプの作動とを並行して実行するだけのため、新たな部品を必要としない。従って、製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能となる。
その他の態様として、始動・ベーパー排出制御手段が、イグニションスイッチがON操作されたときに、エンジンのクランキングに先だってインジェクタへの燃圧を所定圧に回復させる予備燃圧制御として燃料ポンプを予め設定された昇圧時間に亘って作動させ、ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、予備燃圧制御の開始当初にインジェクタをパージ時間に亘って開弁状態に保持するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、エンジンのクランキングに先だって実行される予備燃圧制御の開始当初にインジェクタが開弁状態に保持され、これにより燃料ポンプ内のベーパーが排出される。
その他の態様として、始動・ベーパー排出制御手段が、エンジンがスタート操作されたときに、エンジンのクランキング開始に応じて燃料ポンプの作動を開始させ、ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、クランキングの開始当初にインジェクタをパージ時間に亘って開弁状態に保持するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、エンジンのクランキング開始当初にインジェクタが開弁状態に保持され、これにより燃料ポンプ内のベーパーが排出される。そして、クランキング中に吸気ポート内等に排出されたベーパーは順次エンジンの筒内を経て排気側に排出されるため、点火プラグのカブリが未然に防止される。
その他の態様として、始動・ベーパー排出制御手段が、エンジンのスタート操作に呼応したクランキングに先だってイグニションスイッチがON操作されたときに、インジェクタへの燃圧を所定圧に回復させる予備燃圧制御として燃料ポンプを予め設定された昇圧時間に亘って作動させ、ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、予備燃圧制御による燃料ポンプの作動をクランキングの開始まで継続させるように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、クランキングの開始以前に燃料ポンプを作動させるため、燃料ポンプ内に残留している燃料が僅かながらリターン側に移送されて新たな低温の燃料の流入により冷却作用が奏され、再びベーパーが発生する事態を防止可能となる。
その他の態様として、始動・ベーパー排出制御手段が、エンジンスタート操作に呼応したクランキングに先だってイグニションスイッチがON操作されたときに、ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されていないときには、インジェクタへの燃圧を所定圧に回復させる予備燃圧制御として燃料ポンプを予め設定された昇圧時間に亘って作動させ、ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、予備燃圧制御を実行しないように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、予備燃圧制御を実行しないことから、昇圧時間に亘って燃料ポンプを作動させるために要する電力消費を節減可能となる。
その他の態様として、始動・ベーパー排出制御手段が、ベーパーの排出処理として予備燃圧制御の開始当初にインジェクタをパージ時間に亘って開弁状態に保持したときには、パージ時間相当分だけ昇圧時間を延長して延長後の昇圧時間に基づき燃料ポンプを作動させるように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、昇圧時間の延長により燃圧を確実に回復可能となる。
その他の態様として、始動・ベーパー排出制御手段が、ベーパーの排出処理としてクランキングの開始当初にインジェクタをパージ時間に亘って開弁状態に保持したときには、パージ時間の経過後にさらに昇圧時間が経過した時点からエンジンの燃料噴射制御及び点火時期制御を開始するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、昇圧時間が経過して燃圧が回復した時点から、燃料噴射制御及び点火時期制御が開始されるため、燃圧が回復していない状態での無駄なインジェクタによる燃料噴射及び点火プラグによる点火が未然に防止される。
その他の態様として、燃料ポンプの温度を検出する温度検出手段を備え、ベーパー発生判定手段が、温度検出手段により検出された燃料ポンプの温度が予め設定された第1のベーパー判定値以上のときにベーパー有と判定するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、燃料ポンプの温度を第1のベーパー判定値と比較するだけの簡単な処理により、ベーパーの有無を判定可能となる。
その他の態様として、エンジンの停止時に温度検出手段により検出された燃料ポンプの温度を記憶する記憶手段を備え、ベーパー発生判定手段が、燃料ポンプの温度が第1のベーパー判定値未満であっても、前回のエンジン停止時に記憶手段に記憶された燃料ポンプの温度が予め設定された第2のベーパー判定値以上のときにはベーパー有と判定するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、停止後のエンジンが放熱して温度低下するのに対し、その放射熱を受けて燃料ポンプが温度上昇するような場合でも、前回のエンジン停止時の燃料ポンプの温度に基づき適切にベーパー有と判定される。
その他の態様として、燃料ポンプの温度と第1のベーパー判定値との差、または燃料ポンプの温度と第2のベーパー判定値との差が大であるほど、パージ時間を増加側に補正する補正手段を備え、始動・ベーパー排出制御手段が、補正手段による補正後のパージ時間に基づき上記インジェクタを開弁状態に保持するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、燃料ポンプ内に発生したベーパー量に応じてパージ時間が延長化されるため、一層確実にベーパーを排出可能となる。
その他の態様として、燃料ポンプが、駆動手段として備えたモータの駆動によりダイヤフラムを振幅させると共に、ダイヤフラムの振幅に同期してプランジャを往復動させ、ダイヤフラムから送り出された燃料をプランジャで加圧してインジェクタに供給するように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、燃料ポンプのダイヤフラム室内にベーパーが発生して溜まり易くなるため、本発明のベーパー対策が特に有用となる。
その他の態様として、エンジンが走行用動力源として二輪車に搭載され、エンジンの近接位置に燃料ポンプが配設されるように構成することが望ましい。
このように構成した場合には、エンジンからの放射熱を受けて燃料ポンプが温度上昇し易くなるため、本発明のベーパー対策が特に有用となる。
本発明によれば、製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能とした上で、燃料ポンプ内に発生したベーパーを確実に解消してエンジンの高温始動性を向上することができる。
実施形態のエンジンの始動制御装置を示すシステム構成図である。 燃料ポンプの詳細を示す断面図である。 エンジン始動から通常の運転に移行するまでの制御状況を示すタイムチャートである。 ECUが実行する始動モード切換ルーチンを示すフローチャートである。 ECUが実行する冷却水温保存ルーチンを示すフローチャートである。 エンジン停止から再始動までの冷却水温及び燃料ポンプの温度の変化状況を示すタイムチャートである。 ECUが実行する始動制御ルーチンを示すフローチャートである。 第1実施形態のECUが実行するベーパー対応始動ルーチンを示すフローチャートである。 第1実施形態のベーパー対応始動モードの実行状況を示すタイムチャートである。 第2実施形態のECUが実行するベーパー対応始動ルーチンを示すフローチャートである。 第2実施形態のベーパー対応始動モードの実行状況を示すタイムチャートである。 第3実施形態のECUが実行するベーパー対応始動ルーチンを示すフローチャートである。 第3実施形態のベーパー対応始動モードの実行状況を示すタイムチャートである。
以下、本発明を二輪車に搭載されるエンジンの始動制御装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のエンジンの始動制御装置を示すシステム構成図である。
本実施形態のエンジン1は、排気量50ccの4サイクル単気筒ガソリンエンジンとして構成されており、走行用動力源として二輪車に搭載されている。但し、エンジン1の仕様については、これに限定されるものではなく任意に変更可能である。
エンジン1のシリンダブロック2に形成されたシリンダ3内にはピストン4が摺動可能に配設され、ピストン4はコンロッド5を介してクランク軸6に連結されてピストン4の往復動に連動してクランク軸6が回転するようになっている。クランク軸6の後端(図示しない変速機側)にはフライホイール7が取り付けられ、フライホイール7の外周上の所定位置にはクランク角を検出するためのリラクタ7aが形成されている。
シリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド9には吸気ポート9a及び排気ポート9bが形成されると共に、先端を筒内に臨ませた姿勢で点火プラグ10が配設されている。吸気ポート9aに接続された吸気通路11には、上流側よりエアクリーナ12、運転者のスロットル操作に応じて開閉されるスロットルバルブ13、ISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)14を備えたバイパス通路15、及び吸気ポート9aに向けて燃料を噴射するインジェクタ16が設けられている。また排気ポート9bに接続された排気通路17には、排ガスを浄化するための三元触媒18及び図示しない消音器が設けられている。
吸気ポート9aには吸気バルブ20が配設され、排気ポート9bには排気バルブ21が配設されている。これらの吸排気バルブ20,21はバルブスプリング22により閉弁側に付勢されると共に、シリンダヘッド9上でクランク軸6に同期して回転駆動される吸気カム軸23及び排気カム軸24により開弁される。これによりピストン4の往復動に同期した所定のタイミングで吸気バルブ20及び排気バルブ21が開閉し、吸気、圧縮、膨張、排気の4つの行程からなるエンジン1の燃焼サイクルがクランク角で720°CA毎に繰り返される。
上記インジェクタ16には、燃料タンク25内に貯留された燃料(ガソリン)が燃料ポンプ26により供給される。本実施形態の燃料ポンプ26はプランジャ式燃料ポンプの一種であり、その構成及び作動状態については後述するが、ダイヤフラムとプランジャとを併用することによりインジェクタ16の作動に必要な所定圧(例えば300MPa程度)の燃料を加圧して供給可能となっている。燃料ポンプ26はインジェクタ16と一体化され、供給ホース27及びリターンホース28を介してそれぞれ燃料タンク25に対して接続されている。
燃料ポンプ26が作動すると燃料タンク25内の燃料が供給ホース27を介して燃料ポンプ26内に導かれて所定圧に加圧され、加圧後の燃料がインジェクタ16に供給されると共に、余剰燃料がリターンホース28を介して燃料タンク25に回収される。これによりインジェクタ16には常に所定圧の燃料が供給され、インジェクタ16の開弁に応じて所定の噴射時期及び噴射量で吸気ポート9aに向けて燃料が噴射される。
エンジン1の運転中には、吸気行程でピストン4の下降に伴って発生した負圧によりエアクリーナ12を介して吸気通路11内に外気が吸入され、吸入空気はスロットルバルブ13の開度に応じて流量調整された後、インジェクタ16からの噴射燃料と混合しながら吸気バルブ20の開弁中にエンジン1の筒内に流入する。続く圧縮行程での圧縮を経て混合気は圧縮上死点の近傍で点火プラグ10により点火され、膨張行程中に燃焼してピストン4を介してクランク軸6に回転力を付与する。続く排気行程では燃焼後の排ガスが排気バルブ21の開弁中に筒内より排出され、排気通路17を流通しながら三元触媒18及び消音器を経て外部に排出される。
以上のエンジン1の燃焼サイクルは、ECU31(エンジン制御ユニット)の制御に基づき実行される。そのためにECU31の入力側には、上記フライホイール7に対向配置されてリラクタ7aに同期した信号を出力する電磁ピックアップ32、スロットルバルブ13の開度を検出するスロットルセンサ33、排気通路17に配設されてストイキ(理論空燃比)を中心とした排気空燃比の変動に応じて出力をステップ状に変動させるO2センサ34、エンジン1の冷却水温Twを検出する水温センサ35(温度検出手段)等の各種センサ類が接続されている。また、ECU31の出力側には、上記ISCV14、インジェクタ16、燃料ポンプ26、点火プラグ10を駆動するイグナイタ36等の各種デバイス類が接続されている。
これらのセンサ情報に基づきECU31は、インジェクタ16を駆動するための燃料噴射制御、点火プラグ10を駆動するための点火時期制御、燃料ポンプ26を駆動するためのポンプ制御等の各種制御を実行してエンジン1を運転する。
例えばECU31は燃料噴射制御として、電磁ピックアップ32の信号から算出したエンジン回転速度Ne及びスロットルセンサ33により検出されたスロットル開度θth等に基づき目標燃料噴射量を決定し、吸気行程の所定タイミングでインジェクタ16を駆動して燃料噴射を実行する。
またECU31は点火時期制御として、エンジン回転速度Ne及びスロットル開度θth等に基づき目標点火時期を決定する一方、電磁ピックアップ32の信号を波形整形してリラクタ7a(換言するとクランク角)に同期した矩形波状のクランク角信号を生成する。そして、クランク角信号に基づき目標点火時期に対応するタイミングを特定し、イグナイタ36を駆動して点火プラグ10を点火させる。
またECU31はポンプ制御として、エンジン1の運転中に燃料ポンプ26を駆動して所定圧に加圧した燃料をインジェクタ16に供給する。
エンジン1の始動に際しては、これらの燃料噴射制御、点火時期制御、ポンプ制御を開始した上で、エンジン1をクランキングして始動を試みるが、[背景技術]で述べたように、高温始動時には燃料ポンプ26等の内部に発生したベーパーによりエンジン始動性が悪化するという不具合がある。そして、対策として提案されている特許文献1の技術では、電磁式バイパス弁10を追加する必要があることから製造コスト及び設置の面で問題が生じ、特に二輪車や発電機等に対しては採用困難である。
このような問題を鑑みて本発明者は、燃料ポンプ26等の内部に溜まったベーパーを排出する手段としてインジェクタ16を利用可能なことを見出した。即ち、インジェクタ16の閉弁により燃料ポンプ26の内部と吸気ポート9a内とは遮断されているが、インジェクタ16を開弁状態に保持すれば両者は連通する。単にインジェクタ16を開弁するだけでは、燃料ポンプ26内に発生したベーパーはその場所に留まったままとなるが、インジェクタ16の開弁に並行して燃料ポンプ26を作動させれば、その内部のベーパーはインジェクタ16へと押し出されて吸気ポート9a内に排出される。
以上の知見に下に、本実施形態では、ベーパー有の判定を下したときに、ベーパーを排出すべくインジェクタ16の開弁保持と燃料ポンプ26の作動とを並行して行う始動モード(以下、通常の始動モードに対してベーパー対応始動モードと称する)を実行しており、その詳細を以下に述べるが、それに先だって、まず燃料ポンプ26の構成について説明する。
図2は燃料ポンプ26の詳細を示す断面図である。
燃料ポンプ26のケーシングは、モータケーシング41a、ポンプケーシング41b及びレギュレータケーシング41cから構成され、図示しないボルトで互いに結合されている。モータケーシング41a内には燃料ポンプ26の駆動源としてDCモータ42(本発明の駆動手段であり、図中に破線で示す)が収容され、DCモータ42の出力軸42aにはカム43が固定されて枠状のカム受け部材44の中で出力軸42aと共にカム43が回転するようになっている。カム受け部材44の先端部(図中の左側)にはポンプケーシング41b側から固定部材45が嵌合固定され、カム受け部材44と固定部材45との間にダイヤフラム46の中心部が挟持されている。ダイヤフラム46の外周部はモータケーシング41aとポンプケーシング41bとの間に挟持され、ダイヤフラム46のポンプケーシング41b側にダイヤフラム室47が画成されている。
レギュレータケーシング41cには一対の接続部48,49が形成され、これらの接続部48,49に上記燃料タンク25からの供給ホース27及びリターンホース28がそれぞれ接続されている。供給ホース27側の接続部48は、ポンプケーシング41bに形成された供給通路50を介してダイヤフラム室47内と連通し、供給通路50にはダイヤフラム室47内からの燃料の流出を規制する逆止弁51が設けられている。また、リターンホース28側の接続部49は、ポンプケーシング41bに形成されたリターン通路52を介してダイヤフラム室47内と連通し、リターン通路52にはダイヤフラム室47内への燃料の流入を規制する逆止弁53が設けられている。
従って、DCモータ42の出力軸42aと共にカム43が回転すると、その回転運動がカム受け部材44によって図中の左右方向への直線運動(以下、この方向を軸線L方向と称する)に変換される。この直線運動がダイヤフラム46に伝達され、結果としてダイヤフラム46が軸線L方向に沿って図中の右方(以下、吸込側と称する)と左方(以下、吐出側と称する)との間で交互に振幅する。そして、ダイヤフラム46が吸込側に振幅したときには、燃料タンク25からの燃料が供給ホース27及び供給通路50を経てダイヤフラム室47内に流入する。またダイヤフラム46が吐出側に振幅したときには、ダイヤフラム室47内の燃料がリターン通路52及びリターンホース28を経て燃料タンク25側に回収され、このような燃料の移送がダイヤフラム46の振幅毎に繰り返される。
ポンプケーシング41bにはダイヤフラム室47と連続するように軸線Lに沿ってスリーブ55が嵌合固定され、スリーブ55内にはプランジャ56が軸線Lに沿って摺動可能に配設されて加圧室57を画成している。プランジャ56には固定部材45の一端が連結され、固定部材45と共にプランジャ56が吸込側と吐出側との間で往復動する。結果として、プランジャ56の往復動はダイヤフラム46の振幅と同期したものとなる。
プランジャ56のダイヤフラム室47側には内外を連通するように吸込口56aが形成され、プランジャ56の加圧室57側にはプランジャ56内への燃料の逆流を規制する逆止弁58が設けられている。プランジャ56が吸込側に移動してストローク端に到達した位置では吸込口56aがダイヤフラム室47内に露出し、ダイヤフラム室47内の燃料の一部が吸込口56aを経てプランジャ56内に流入し、さらに逆止弁58を開弁させながら加圧室57内に流入する。この加圧室57内に流入した燃料は、その後のプランジャ56の吐出側への移動に伴って加圧され、このような燃料の加圧がプランジャ56の往復動毎に繰り返される。
ポンプケーシング41bには加圧室57と連通するように吐出室59が形成され、加圧室57と吐出室59との間には加圧室57側への燃料の逆流を規制する逆止弁60が設けられている。吐出室59はレギュレータケーシング41cに形成されたレギュレータ室62と連通し、レギュレータ室62内には弁体63が配設されている。弁体63は軸線Lに沿った筒状をなしてポンプケーシング41b側にフランジ部63aが形成され、弁体63にはレギュレータケーシング41c側よりリング状のリテーナ64が嵌め込まれている。
弁体63のフランジ部63aとリテーナ64との間にはダイヤフラム65の中心部が挟持され、ダイヤフラム65の外周部はポンプケーシング41bとレギュレータケーシング41cとの間に挟持されている。これによりダイヤフラム65のポンプケーシング41b側に圧力調整室66が画成され、レギュレータケーシング41c側にリリーフ室67が画成されている。圧力調整室66はインジェクタ通路68を介して上記インジェクタ16(図1に示す)に接続され、一方、リリーフ室67はリリーフ通路69を介して上記リターンホース28側の接続部49に接続されている。
レギュレータ室62内に配設されたリリーフスプリング70によりリテーナ64及び弁体63はポンプケーシング41b側に付勢され、弁体63のフランジ部63aがポンプケーシング41b側に当接して圧力調整室66と吐出室59とを区画している。弁体63には軸線Lに沿ってリリーフ孔63bが貫設され、このリリーフ孔63b内には圧力調整室66側からリリーフ室67側への燃料の流出を規制する逆止弁71が設けられている。レギュレータケーシング41cには軸線Lに沿って外部から調整ボルト72が螺合し、調整ボルト72の先端は弁体63のリリーフ孔63b内に挿入されて逆止弁71と対峙している。図示はしないがリリーフ孔63bの内周と調整ボルト72の先端の外周との間には間隙が形成され、逆止弁71の開弁時には圧力調整室66側からリリーフ室67側に燃料が排出されるようになっている。
次に、以上のように構成された燃料ポンプ26の作動状態を説明する。
DCモータ42の駆動によるカム43の回転に伴って、ダイヤフラム46の振幅とプランジャ56の往復動とが同期して行われる。ダイヤフラム46が吸込側に振幅すると、燃料タンク25からの燃料が供給ホース27及び供給通路50を経てダイヤフラム室47内に流入する。このときにはプランジャ56の吸込口56aがダイヤフラム室47内に露出していることから、ダイヤフラム室47内の燃料の一部が吸込口56aを経てプランジャ56内に流入し、さらに逆止弁58を開弁させながら加圧室57内に流入する。即ち、ダイヤフラム46の吸込側への振幅により、実質的にダイヤフラム室47側から加圧室57側に燃料が送り出されたことになる。
その後にプランジャ56が吐出側に移動すると加圧室57内の燃料が加圧されると共に、ダイヤフラム46の吐出側への振幅に伴ってダイヤフラム室47内の余剰燃料がリターン通路52及びリターンホース28を経て燃料タンク25側に回収される。加圧室57内での燃料の加圧により逆止弁60が開弁されて加圧後の燃料が吐出室59に移送され、吐出室59内の燃料圧力(以下、燃圧と称する)の上昇によりリリーフスプリング70を撓ませながら弁体63がレギュレータケーシング41c側に移動し、吐出室59の燃料が圧力調整室66内に移送される。
そして、レギュレータケーシング41c側に弁体63が移動することにより、内部の逆止弁71が調整ボルト72の先端に押圧されて開弁する。よって、圧力調整室66内の燃料が弁体63のリリーフ孔63bを経てリリーフ室67側に排出され、さらにリリーフ通路69を経てダイヤフラム室47からの余剰燃料と共に燃料タンク25側に回収される。結果として圧力調整室66内の燃圧は、リリーフスプリング70の付勢力に対応して定まる設定圧に保たれる。そして、このようにして設定圧に調整された燃料がインジェクタ通路68を経てインジェクタ16に供給され、インジェクタ16の開弁に伴ってエンジン1の吸気ポート9aに向けて燃料が噴射される。
燃料ポンプ26の作動状態は以上のとおりであるが、図1に示すように、燃料ポンプ26はインジェクタ16と共にエンジン1の吸気通路11付近に設けられているため、エンジン1からの放射熱を直接的に受ける。このため、例えば車両の全開走行後にエンジン1を停止させた場合等には、燃料ポンプ26内の燃料が蒸発してダイヤフラム室47内等にベーパーが発生し、ダイヤフラム46を振幅させてもプランジャ56内を経て燃料を加圧室57内に移送できない事態が発生し、それ故にベーパー対策が必要なのである。
また、ベーパーの排出のためにインジェクタ16を開弁して圧力調整室66内の燃圧を低下させても、圧力調整室66が逆止弁67,60によりダイヤフラム室47に対して遮断されているため、ダイヤフラム室47内のベーパーを圧力調整室66側に排出できない。よって、ベーパー対応始動モードとしてインジェクタ16の開弁保持に並行して燃料ポンプ26を作動させる必要があることも判る。
次いで、このようなベーパー対策のためにECU31がエンジン始動時に実行する処理について述べる。
図3はエンジン始動から通常の運転に移行するまでの制御状況を示すタイムチャートであり、まず同図に基づき、エンジン1の始動操作からエンジン1の運転に移行するまでのECU31による制御の概要について説明する。
ECU31による制御モードは、エンジン1を始動するための始動モードと始動完了後にエンジン1の運転を継続するための運転モードとに大別される。始動モードは、エンジン1の停止中に低下した燃圧を回復させる予備燃圧制御として燃料ポンプ26を作動させた後に、クランキングの開始に応じてエンジン1を始動すべく、再び燃料ポンプ26を作動させて燃料噴射制御及び点火時期制御を開始する手順で実行され、上記したように通常始動モードとベーパー対応始動モードとが選択的に実行される。
通常始動モードとベーパー対応始動モードとの切換は、図4に示す始動モード切換ルーチンに従ってECU31により実行される。ECU31は、車両のイグニションスイッチのON操作或いはエンジンスタート操作の何れかが運転者によって行われたときに、当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行して始動モードを選択しており、選択した始動モードに基づきエンジン1の始動処理を実行する。
ECU31は、まず図4のステップS2で、水温センサ35により検出された現在の冷却水温Twが予め設定されたベーパー判定値Tws(第1のベーパー判定値)以上であるか否かを判定する(ベーパー発生判定手段)。判定がNo(否定)のときにはステップS4に移行し、前回のエンジン停止時に記憶した冷却水温Twを読み出し、その冷却水温Twがベーパー判定値Tws(第2のベーパー判定値)以上であるか否かを判定する(ベーパー発生判定手段)。前回のエンジン停止は、エンジンストップ操作及びイグニションスイッチのOFF操作の何れによるものも含まれ、以下に述べる冷却水温保存ルーチンによりECU31に記憶される。
ステップS4の判定がNoのときには燃料ポンプ26内にベーパー無と見なし、ステップS6で始動モードとして通常始動モードを選択した後にルーチンを終了する。また、ステップS2及びステップS4の何れかでYes(肯定)の判定を下したときには燃料ポンプ26内にベーパー有と見なし、ステップS8に移行してベーパー対応始動モードを選択した後にルーチンを終了する。
一方、図5に示す冷却水温保存ルーチンにおいて、ECU31はステップS12で所定時間が経過したか否かを判定し、判定がYesのときには続くステップS14で現在の冷却水温Twを更新した後に一旦ル−チンを終了する。ECU31はこの処理を繰り返して所定時間毎に冷却水温Twを更新することにより、常に冷却水温Twを最新の値に保つ。そして、運転者によりエンジンストップ操作またはイグニションスイッチのOFF操作が行われてエンジン1が停止されたときには、その時点の冷却水温Twが最終的なエンジン停止時の値として記憶されて上記ステップS4の処理に適用される(記憶手段)。
ステップS2及びステップS4の処理の趣旨は、以下のとおりである。
二輪車ではエンジン1の近接位置に燃料ポンプ26が配設され、エンジン1の冷却水温Twに相関するように燃料ポンプ26の温度が変化する。このため本実施形態では冷却水温Twを燃料ポンプ26の温度と見なし、ステップS2では冷却水温Twに基づき燃料ポンプ26内のベーパーの発生状況(ベーパーの有無)を判定して始動モードを切り換えている。従ってベーパー判定値Twsは、燃料ポンプ26からのベーパー排出を必要とする下限付近の温度として予め設定されている。
但し、エンジン停止後のある期間中には、冷却水温Twとポンプ温度Tpとの間に乖離が生じ両者の相関性が崩れることがある。図6はエンジン停止から再始動までの冷却水温Tw及び燃料ポンプ26の温度Tpの変化状況を示すタイムチャートである。
図中のポイントaでエンジン1が停止されると、冷却水温Twが時間の経過と共に次第に低下するのに対し、ポンプ温度Tpは一旦上昇した後に低下に転じる。このようなポンプ温度Tpの変化はエンジン1からの放射熱に起因するものであり、全開走行後にエンジン1を停止させた場合等に顕著に生じる。エンジン1の運転中には、走行風等の冷却により燃料ポンプ26の温度Tpは冷却水温Twよりも低温域に保たれているが、車両が停車するとエンジン1は放熱して次第に温度低下するのに対し、その放射熱を受けて燃料ポンプ26は走行中よりも寧ろ温度上昇し、エンジン1からの放射熱がある程度収まった時点で低下し始める。
図6のポイントbの時点でエンジン1を再始動した場合、ポンプ温度Tpと共に冷却水温Twがベーパー判定値Tws以上であることを受けて、ステップS2の処理に基づき適切にベーパー対応始動モードが選択される。しかし、ポイントcの時点で再始動した場合には、ポンプ温度Tpがベーパー判定値Tws以上でありベーパー対策が必要であるにも拘わらず、ステップS2の処理では冷却水温Twがベーパー判定値Tws未満であるとして通常始動モードが不適切に選択されてしまう。
このような状況を想定してステップS4の処理が設定されており、前回のエンジン停止時の冷却水温Twがベーパー判定値Tws以上でありベーパー対策が必要な場合には、ステップS4の判定に基づき始動モードとしてベーパー対応始動モードが選択される。
よって、冷却水温Twをベーパー判定値Twsと比較するだけの簡単な処理により、ベーパー対策の要否に応じて適切に始動モードを選択できる上に、指標となる冷却水温Twは他の各種制御のために既存の水温センサ35により検出されているため、新たに検出手段を追加することなく実施できる。
なお、ステップS2,4では共通するベーパー判定値Twsを適用したが、これに限ることはなく、異なる値を用いてもよい。またステップS4の処理は、上記のような利点があるものの必ずしも実施する必要はなく、当該処理を省略してもよい。
一方、車両のイグニションスイッチがON操作されてECU31の電源が投入されると、ECU31は図7の始動制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し始める。まず、ステップS22で燃料ポンプ26のフェイル判定を実行し、続いてステップS24で選択されている始動モードを判定する。始動モードとして通常始動モードが選択されているときにはステップS26に移行し、予め設定された始動モード用のデューティ比に基づきDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させ、続くステップS28で、燃料ポンプ26の作動開始から予め予備燃圧制御の継続時間として設定された昇圧時間Tupが経過したか否かを判定する。
ステップS28でNoの判定を下している間はステップS26で燃料ポンプ26の作動を継続し、ステップS28の判定がYesになるとステップS30に移行し、この時点で予備燃料制御が終了して燃料ポンプ26の作動が一旦中止される。
テップS30ではエンジン1がクランキング中であるか否かを判定し、判定がNoのときには一旦ルーチンを終了する。従って、イグニションスイッチのON操作後にエンジンスタート操作が行われることなくイグニションスイッチがOFF操作される場合もあり、このときにはECU31の電源が遮断されるため、その後の処理を実行することなく本ルーチンが終了されることになる。
通常の場合には、イグニションスイッチのON操作後に運転者によりエンジンスタート操作が行われてエンジン1のクランキングが開始されるため、ECU31はステップS30でYesの判定を下してステップS32に移行する。ステップS32では上記した始動モード用の目標デューティ比に基づきDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させ、ステップS34で燃料噴射制御を開始して所定のタイミングでインジェクタ16を駆動する。なお、同フローチャート上には示されていないが、このときECU31は並行して点火時期制御も開始する。
続くステップS36では始動完了か否かを判定する。クランキング中のエンジン回転速度Neが予め設定された完爆判定値を超えるまでは未だエンジン1の始動が完了していないと見なし、ステップS36でNoの判定を下してステップS30に戻り、ステップS30〜36の処理を繰り返す。そして、エンジン回転速度Neが完爆判定値を超えると、エンジン始動完了としてステップS36からステップS38に移行する。
この時点でECU31は始動モードから運転モードに移行し、ステップS38では運転モード用の目標デューティ比に基づきDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させ、ステップS40で燃料噴射制御を実行してインジェクタ16を駆動し、並行して点火時期制御も実行する。
なお、本実施形態では、運転モード用の目標デューティ比を予め設定された固定値としているが、これに限るものではない。エンジン1の運転領域(回転速度Ne・スロットル開度θth)に対応してインジェクタ16の噴射量が大幅に変化し、それに応じて燃料ポンプ26への要求吐出量も変化することから、回転速度Ne及びスロットル開度θthに対応して目標デューティ比を逐次設定するようにしてもよい。この場合には、インジェクタ16の噴射量の増減に対応してDCモータ42の回転速度、ひいては燃料ポンプ26の作動速度が可変制御されることから、必要量の燃料をインジェクタ16に供給した上で、燃料ポンプ26の作動に要する消費電力を節減することができる。
ECU31は続くステップS42で運転者によるエンジンストップ操作に応じてエンジン1が停止されたか否かを判定し、判定がNoのときにはステップS38に戻ってステップS38〜42の処理を繰り返す。そして、エンジン停止によりステップS42でYesの判定を下すと、ステップS44に移行してエンジン停止から予め設定された運転継続時間Tdvが経過したか否かを判定する。ステップS44の判定がNoの間はステップS38〜44の処理を繰り返し、ステップS44の判定がYesになると、ステップS46で燃料ポンプ26のフェイル判定を実行した後にルーチンを終了する。
以上がECU31による通常始動モードの制御内容であり、図3のタイムチャートはこのときの通常モードの実行状況を示している。
車両のイグニションスイッチがON操作されると通常始動モードが開始され、予備燃圧制御により昇圧時間Tupに亘って燃料ポンプ26の作動が継続されて燃圧の回復が図られる。その後、運転者のスタート操作によりエンジン1のクランキングが開始されると、燃料ポンプ26が再び作動を開始し、これと並行して燃料噴射制御及び点火時期制御も開始される。エンジン1の始動が完了すると、通常始動モードから運転モードに切り換えられて、引き続き燃料ポンプ26の作動、燃料噴射制御及び点火時期制御が継続される。図3では冷態状態でエンジン1が始動された場合を示しており、始動完了後のエンジン1の運転に伴って冷却水温Twが次第に上昇している。
一方、ECU31は図7のルーチンのステップS24でベーパー対応始動モードが選択されているときには、ステップS48に移行して当該ベーパー対応始動モードを実行する。ベーパー対応始動モードとしては3種の制御内容があり、以下に第1〜3実施形態として順次説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態のベーパー対応始動モードは、予備燃圧制御による燃料ポンプ26の作動中にインジェクタ16を開弁状態に保持することにより、燃料ポンプ26内のベーパーを吸気ポート9a内に排出するものである。
図8は第1実施形態のベーパー対応始動ルーチンを示すフローチャートである。ステップS24でベーパー対応始動モードの選択を判定すると、ECU31は図8のステップS52に移行してインジェクタ16を開弁状態に保持する(始動・ベーパー排出制御手段)。続くステップS54では始動モード用の目標デューティ比に基づきDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させる(始動・ベーパー排出制御手段)。その後にステップS56で燃料ポンプ26の作動開始から予め設定されたパージ時間Tvaporが経過したか否かを判定し、NoのときにはステップS52〜56の処理を繰り返す。
パージ時間Tvaporの経過によりステップS56の判定がYesになるとステップS58に移行し、燃料ポンプ26の作動開始から昇圧時間Tupが経過したか否かを判定し、NoのときにはステップS54〜58の処理を繰り返す。そして、ステップS58の判定がYesになると図7のステップS30に移行し、以降は上記と同様の処理を実行してエンジン1を始動する。
図9は第1実施形態のベーパー対応始動モードの実行状況を示すタイムチャートであり、エンジン1は高温始動(冷却水温Tw≧Tws)され、燃料ポンプ26内にはベーパーが発生している。
予備燃圧制御により燃料ポンプ26の作動が開始されると、同時にインジェクタ16がパージ時間Tvaporに亘って開弁保持される。これにより燃料ポンプ26の内部と吸気ポート9a内とが連通すると共に、燃料ポンプ26の作動により内部のベーパーがダイヤフラム46の振幅及びプランジャ56の往復動に伴ってインジェクタ16へと押し出されて吸気ポート9a内に排出される。
このときの過程をより詳しく述べると、インジェクタ16の開弁により図2に示すインジェクタ通路68及び圧力調整室66内の圧力が大気圧相当まで低下する。ダイヤフラム46の振幅により、ダイヤフラム室47内のベーパーはプランジャ56内から逆止弁58、加圧室57、逆止弁60、吐出室59を経て圧力調整室66へと順次移送され、このときのベーパーの移送は圧力調整室66内が圧力低下することにより円滑且つ迅速に行われる。
よって、パージ時間Tvaporが経過した時点では、燃料ポンプ26内に発生したベーパーのほとんどがインジェクタ16から吸気ポート9a内に排出され、ベーパーに代えて燃料タンク25側からの低温の燃料が燃料ポンプ26内に導入される。また、インジェクタ16の開弁による燃料ポンプ26内の圧力低下は僅かに残留している燃料の気化を促し、気化潜熱により燃料ポンプ26の各部を冷却する作用を奏する。このため燃料ポンプ26内に新たに導入された燃料が蒸発して再びベーパーを発生する事態が未然に防止される。
このようにして燃料ポンプ26内のベーパーの排出が行われた後、昇圧時間Tup中の燃料ポンプ26の作動により燃圧が回復される。よって、その後のクランキングによりエンジン1の始動を迅速に完了することができる。
そして、以上の説明から明らかなように、ベーパー対応始動モードはインジェクタ16の開弁保持と燃料ポンプ26の作動とを並行して実行するだけであり、例えば特許文献1の技術の電磁式バイパス弁10のような新たな部品を必要とすることなく、燃料ポンプ26及びインジェクタ16の制御プログラムを変更するだけで容易に実施できる。よって、電磁式バイパス弁10のような新たな部品のために製造コストが高騰することはないし、エンジン周辺に新たな部品の設置スペースを確保する必要もない。加えて、燃料ポンプ26内のベーパーの有無の判定(始動モードの切換判定)についても、既存の水温センサ35による冷却水温Twを利用しているため、この点もコスト高騰の要因にはなり得ない。
従って、本実施形態のエンジン1の始動制御装置によれば、製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能とした上で、燃料ポンプ26内に発生したベーパーを確実に解消してエンジン1の高温始動性を向上することができる。
さらに本実施形態のような二輪車では、エンジン1の近接位置に燃料ポンプ26が配設されてエンジン1からの放射熱を直接的に受けるため、燃料ポンプ26が温度上昇し易く、しかもダイヤフラム46とプランジャ56とを併用した燃料ポンプ26はダイヤフラム室47内にベーパーが発生して溜まり易い。このようにベーパーに対して不利な条件が重なっているため、本実施形態のベーパー対策が特に有用となる。
なお、予備燃圧制御の昇圧時間Tupは、燃圧の回復に必要な燃料ポンプ26の作動時間として予め設定された値であるが、パージ時間Tvapor中はインジェクタ16が開弁保持されているため、燃料ポンプ26が作動しても燃圧回復に寄与せず、実質的な昇圧時間Tupが短縮化されてしまう。そこで、図9中に破線で示すように、ベーパー対応始動モードを実行する場合には、パージ時間Tvapor相当分だけ昇圧時間Tupを延長化してもよい。これによりベーパーを解消できるだけでなく燃圧を確実に回復できるという効果が得られる。
[第2実施形態]
第2実施形態のベーパー対応始動モードは、予備燃圧制御をクランキングの開始まで継続(昇圧時間Tupを延長化)してクラキングの開始と共にインジェクタ16を開弁保持することにより、燃料ポンプ26内のベーパーを吸気ポート9a内に排出するものである。
図10は第2実施形態のベーパー対応始動ルーチンを示すフローチャートである。ステップS24でベーパー対応始動モードの選択を判定すると、ECU31は図10のステップS62に移行して昇圧時間Tupに時間αを加算したものをTupとする。時間αは、運転者が通常どおりに操作した場合のイグニションスイッチのON操作からエンジンスタート操作までの所要時間よりも十分に大きな値として予め設定されたものである。従って、多くの場合には、昇圧時間Tupが経過する以前にエンジン1のクランキングが開始されることになる。
ECU31は続くステップS64で、始動モード用の目標デューティ比に基づきDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させる。その後にステップS66で昇圧時間Tupが経過したか否かを判定し、続くステップS68でクランキング中か否かを判定し、何れの判定もNoのときにはステップS64〜68の処理を繰り返す。クランキングが開始されることなく昇圧時間Tupが経過してステップS66でYesの判定を下したときにはルーチンを終了し、昇圧時間Tupが経過する前にクランキングが開始されると、ステップS70に移行する。
ステップS70では再度クランキング中であるか否かを判定し、Yesのときには続くステップS72で始動モード用の目標デューティ比に基づきDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させる(始動・ベーパー排出制御手段)。その後にステップS74で、クラキングの開始からパージ時間Tvaporが経過したか否かを判定し、NoのときにはステップS76でインジェクタ16を開弁保持した後に(始動・ベーパー排出制御手段)、ステップS78でエンジン1の始動が完了したか否かを判定する。
判定がNoの間はステップS70〜78の処理を繰り返し、その間にパージ時間Tvaporの経過によりステップS74でYesの判定を下すとステップS80に移行する。ステップS80では、エンジン1を始動すべく通常どおり燃料噴射制御を開始してクランク角に同期した所定タイミングでインジェクタ16を駆動すると共に、これと並行して点火時期制御も開始する。これによりエンジン始動が完了してステップS78の判定がYesになると図7のステップS38に移行し、以降は運転モードに移行して上記と同様の処理を実行する。
なお、エンジン始動の完了以前にクランキングが中止された場合にはそのままルーチンを終了し、これによりステップS76でのインジェクタ16を開弁保持、或いはステップS80での通常のインジェクタ16の駆動が中止される。
図11は第2実施形態のベーパー対応始動モードの実行状況を示すタイムチャートである。
イグニションスイッチのON操作に呼応して予備燃圧制御により燃料ポンプ26の作動が開始され、多くの場合には、昇圧時間Tupが経過する以前にエンジン1のクランキングが開始されるため、クランキングの開始後も引き続き燃料ポンプ26の作動が継続される。クランキングが開始された時点からインジェクタ16がパージ時間Tvaporに亘って開弁保持され、これにより燃料ポンプ26の内部と吸気ポート9a内とが連通すると共に、燃料ポンプ26の作動により内部のベーパーがインジェクタ16へと押し出されて吸気ポート9a内に排出される。よって、重複する説明はしないが、製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能とした上で、燃料ポンプ26内に発生したベーパーを確実に解消してエンジン1の高温始動性を向上することができる。
そして本実施形態では、ベーパーの排出のためにインジェクタ16を開弁させる以前(イグニションスイッチのON操作からクランキングの開始までの期間中)に燃料ポンプ26を作動させている。この期間中には、通常始動モードでは予備燃圧制御が実行されて燃圧の回復が図られるのであるが、このときの燃料ポンプ26内にはベーパーが発生しているため、プランジャ56が往復動しても燃料は加圧されずに燃圧の回復は望めない。しかし、ダイヤフラム室47内に残留している燃料がダイヤフラム46の振幅に応じて僅かながらリターン通路52へと移送されるため、供給通路50側から新たな低温の燃料がダイヤフラム室47内に流入して冷却作用を奏する。このため、排出されたベーパーの代わりにダイヤフラム室47内に新たに導入された燃料が蒸発して再びベーパーを発生する事態を防止できる。
また、インジェクタ16の開弁に並行して燃料ポンプ26を作動させると、燃料ポンプ26内のベーパーが完全に排出された後に引き続き燃料も吸気ポート9a内に排出される。第1実施形態ではエンジン停止状態でベーパーを排出するため、ベーパーに続いて排出された燃料が吸気ポート9a内に溜まり、その後のエンジン始動時に点火プラグ10に所謂カブリが生じて始動性が悪化する可能性がある。これに対してクランキング中にベーパーを排出する本実施形態では、たとえ吸気ポート9a内に燃料が排出されても順次エンジン1の筒内を経て排気側に排出されるため、点火プラグ10のカブリの要因にはならず、これによるエンジン始動性の悪化を防止することができる。
以上の2つの要因により、本実施形態では第1実施形態に比較してエンジン1の高温始動性を一層向上することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態のベーパー対応始動モードは、予備燃圧制御を廃止した上で、第2実施形態と同じくクラキングの開始と共にインジェクタ16を開弁保持することにより、燃料ポンプ26内のベーパーを吸気ポート9a内に排出するものである。
図12は第3実施形態のベーパー対応始動ルーチンを示すフローチャートである。本フローチャートは、第2実施形態で説明した図10のステップS70〜80と同一内容であるため、概略のみを述べる。ステップS24でベーパー対応始動モードの選択を判定すると、ECU31は図12のステップS82に移行してクランキング中であるか否かを判定する。YesのときにはステップS84でDCモータ42を駆動して燃料ポンプ26を作動させ(始動・ベーパー排出制御手段)、ステップS86でパージ時間Tvaporが経過したか否かを判定する。判定がNoの間はステップS88でインジェクタ16を開弁保持し(始動・ベーパー排出制御手段)、ステップS86の判定がYesになるとステップS92で燃料噴射制御を開始してインジェクタ16を駆動し、これによりエンジン1の始動が完了すると図7のステップS38に移行する。
図13は第3実施形態のベーパー対応始動モードの実行状況を示すタイムチャートである。
予備燃圧制御を行うことなくクランキングが開始され、この時点で燃料ポンプ26の作動が開始されると共に、インジェクタ16がパージ時間Tvaporに亘って開弁保持される。これにより燃料ポンプ26の内部と吸気ポート9a内とが連通すると共に、燃料ポンプ26の作動により内部のベーパーがインジェクタ16へと押し出されて吸気ポート9a内に排出される。よって、重複する説明はしないが、製造コストの高騰を抑制し且つエンジン周辺の他部品のレイアウトに影響を及ぼすことなく実施可能とした上で、燃料ポンプ26内に発生したベーパーを確実に解消してエンジン1の高温始動性を向上することができる。
また、第2実施形態と同じく、クランキング中にベーパーを排出するため、点火プラグ10のカブリに起因するエンジン始動性の悪化を防止することができる。
さらに、本実施形態では予備燃圧制御を実行しないことから、昇圧時間Tupに亘って燃料ポンプ26を作動させるために要する電力消費を節減することができる。
なお、第2,3実施形態では、パージ時間Tvaporの経過後(ステップS74,86がYes)に直ちに燃料噴射制御及び点火時期制御を開始したが、この時点では燃料ポンプ26からのベーパーの排出が完了しているものの、燃圧が回復していないため筒内での正常な混合気の形成、ひいては正常な燃焼は望めない。そこで、パージ時間Tvaporの経過後にさらに昇圧時間Tupが経過して燃圧が回復した時点から、燃料噴射制御及び点火時期制御を開始するようにしてもよい。このようにすれば、燃圧が回復していない状態での無駄なインジェクタ16による燃料噴射及び点火プラグによる点火を未然に防止できるという効果が得られる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、二輪車に搭載されるエンジン1の始動制御装置に具体化したが、エンジン1の搭載対象はこれに限るものではない。例えば三輪車や発電機に搭載されるエンジン1の始動制御装置に具体化してもよい。
また上記実施形態では、DCモータ42を駆動源としダイヤフラム46とプランジャ56とを併用した燃料ポンプ26に適用したが、燃料ポンプ26の形式はこれに限るものではない。例えばダイヤフラム46を有することなくプランジャ56のみにより燃料を加圧・供給するプランジャ式燃料ポンプに適用してもよいし、DCモータ42に代えて電磁コイルによりプランジャ56を駆動するようにしてもよい。また、ハウジング内でインペラーを回転させて外周に設けた羽根溝の前後に生じた圧力差を連続的に増加させることにより燃料を加圧するウエスコ式燃料ポンプに適用してもよい。
また上記実施形態では、燃料ポンプ26の温度Tpがエンジン1の冷却水温Twに相関して変化するとの観点の下に、冷却水温Twとベーパー判定値Twsとの比較結果に基づき始動モードを切り換えたが、この手法に限るものではない。例えば、冷却水温Twに代えて燃料ポンプ26の温度を直接的に検出してベーパー判定値Twsと比較してもよい。或いは特許文献1に記載された技術のように、デリバリパイプ内の燃圧上昇の変化率と、デリバリパイプ内が100%液体のときの変化率から所定値を減算した値とを比較し、その結果に基づき始動モードを切り換えてもよい(ベーパー発生判定手段)。
また上記実施形態では、インジェクタ16を開弁保持するパージ時間Tvaporを予め設定された固定値としたが、これに限るものではない。例えばエンジン1の冷却水温Twがベーパー判定値Twsを大きく上回っているときほど、燃料ポンプ26内に大量のベーパーが発生してその排出に長い時間を要する。そこで、冷却水温Twとベーパー判定値Twsとの差(Tw−Tws)が大であるほどパージ時間Tvaporを増加側に補正し(補正手段)、より長時間ベーパーの排出を継続するようにしてもよい。このように構成した場合には、燃料ポンプ26内に発生したベーパー量に応じてパージ時間Tvaporが延長化されるため、一層確実にベーパーを排出することができる。
1 エンジン
16 インジェクタ
25 燃料タンク
26 燃料ポンプ
31 ECU(ベーパー発生判定手段、始動・ベーパー排出制御手段、記憶手段、補正手段)
35 水温センサ(温度検出手段)
42 DCモータ(駆動手段)
46 ダイヤフラム
56 プランジャ

Claims (12)

  1. 燃料タンク外に設置されるアウトタンク型として構成され、駆動手段の駆動により所定圧に加圧した燃料をエンジンのインジェクタに供給する燃料ポンプと、
    上記燃料ポンプ内のベーパーの有無を判定するベーパー発生判定手段と、
    イグニションスイッチのON操作または上記エンジンのスタート操作に応じて上記エンジンを始動すべく上記燃料ポンプの作動を開始させ、該エンジン始動時において上記ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、上記燃料ポンプ内に発生したベーパーの排出処理として、上記燃料ポンプの作動に並行して上記インジェクタを予め設定されたパージ時間に亘って開弁状態に保持する始動・ベーパー排出制御手段と
    を具備したことを特徴とするエンジンの始動制御装置。
  2. 上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記イグニションスイッチがON操作されたときに、上記エンジンのクランキングに先だって上記インジェクタへの燃圧を所定圧に回復させる予備燃圧制御として上記燃料ポンプを予め設定された昇圧時間に亘って作動させ、上記ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、上記予備燃圧制御の開始当初に上記インジェクタを上記パージ時間に亘って開弁状態に保持する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動制御装置。
  3. 上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記エンジンがスタート操作されたときに、該エンジンのクランキング開始に応じて上記燃料ポンプの作動を開始させ、上記ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、上記クランキングの開始当初に上記インジェクタを上記パージ時間に亘って開弁状態に保持する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動制御装置。
  4. 上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記エンジンのスタート操作に呼応したクランキングに先だってイグニションスイッチがON操作されたときに、上記インジェクタへの燃圧を所定圧に回復させる予備燃圧制御として上記燃料ポンプを予め設定された昇圧時間に亘って作動させ、上記ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、上記予備燃圧制御による上記燃料ポンプの作動を上記クランキングの開始まで継続させる
    ことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの始動制御装置。
  5. 上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記エンジンスタート操作に呼応したクランキングに先だってイグニションスイッチがON操作されたときに、上記ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されていないときには、上記インジェクタへの燃圧を所定圧に回復させる予備燃圧制御として上記燃料ポンプを予め設定された昇圧時間に亘って作動させ、上記ベーパー発生判定手段によりベーパー有と判定されているときには、上記予備燃圧制御を実行しない
    ことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの始動制御装置。
  6. 上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記ベーパーの排出処理として上記予備燃圧制御の開始当初に上記インジェクタをパージ時間に亘って開弁状態に保持したときには、該パージ時間相当分だけ上記昇圧時間を延長して該延長後の昇圧時間に基づき上記燃料ポンプを作動させる
    ことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの始動制御装置。
  7. 上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記ベーパーの排出処理として上記クランキングの開始当初に上記インジェクタをパージ時間に亘って開弁状態に保持したときには、該パージ時間の経過後にさらに上記昇圧時間が経過した時点から上記エンジンの燃料噴射制御及び点火時期制御を開始する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載のエンジンの始動制御装置。
  8. 上記燃料ポンプの温度を検出する温度検出手段を備え、
    上記ベーパー発生判定手段は、上記温度検出手段により検出された燃料ポンプの温度が予め設定された第1のベーパー判定値以上のときにベーパー有と判定する
    ことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のエンジンの始動制御装置。
  9. 上記エンジンの停止時に上記温度検出手段により検出された燃料ポンプの温度を記憶する記憶手段を備え、
    上記ベーパー発生判定手段は、上記燃料ポンプの温度が第1のベーパー判定値未満であっても、前回のエンジン停止時に上記記憶手段に記憶された燃料ポンプの温度が予め設定された第2のベーパー判定値以上のときにはベーパー有と判定する
    ことを特徴とする請求項8に記載のエンジンの始動制御装置。
  10. 上記燃料ポンプの温度と上記第1のベーパー判定値との差、または上記燃料ポンプの温度と上記第2のベーパー判定値との差が大であるほど、上記パージ時間を増加側に補正する補正手段を備え、
    上記始動・ベーパー排出制御手段は、上記補正手段による補正後のパージ時間に基づき上記インジェクタを開弁状態に保持する
    ことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のエンジンの始動制御装置。
  11. 上記燃料ポンプは、上記駆動手段として備えたモータの駆動によりダイヤフラムを振幅させると共に、該ダイヤフラムの振幅に同期してプランジャを往復動させ、上記ダイヤフラムから送り出された燃料を上記プランジャで加圧して上記インジェクタに供給するように構成された
    ことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載のエンジンの始動制御装置。
  12. 上記エンジンが走行用動力源として二輪車に搭載され、該エンジンの近接位置に上記燃料ポンプが配設された
    ことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載のエンジンの始動制御装置。
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