JP2015229753A - 光配向性を有する熱硬化性組成物、配向層、配向層付基材、位相差板およびデバイス - Google Patents
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Abstract
Description
本発明によれば、光配向性基を有する第1ポリマーおよび架橋構造を有する第2ポリマーが別々に含有されており、第1ポリマーは第2ポリマーと架橋されていないため、配向層の柔軟性を高め、配向層上に形成される液晶層との密着性を向上させることができる。また、架橋構造を有する第2ポリマーが含有されていることにより、耐熱性および耐溶剤性の良好な配向層とすることができる。
本発明によれば、配向層が上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成されるものである、または上述の配向層であることにより、液晶層との密着性に優れ、耐熱性および耐溶剤性の良好な配向層を得ることができる。
本発明によれば、上述の配向層付基材を有するため、配向層および液晶層の密着性に優れ、耐熱性および耐溶剤性の良好な位相差板を得ることができる。
本発明によれば、配向層が上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成されるものである、または上述の配向層であるため、液晶層との密着性に優れ、耐熱性および耐溶剤性が良く、光学特性の良好なデバイスを得ることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、光配向性基を有する光配向性ポリマーと、熱架橋性基を有する熱架橋性ポリマーとを含有することを特徴とするものである。
このように本発明においては、耐熱性および耐溶剤性が得られるとともに、液晶層との密着性に優れる配向層を形成可能な、光配向性を有する熱硬化性組成物とすることができる。
本発明における光配向性ポリマーは、光配向性基を有するものであり、光照射により光反応を生じることで異方性を発現するものである。
また、上記式(1−2)中、R21〜R25はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基または炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基またはシアノ基を表す。ただし、アルキル基、アリール基およびシクロアルキル基はエーテル結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合を介して結合していてもよく、置換基を有してもよい。R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基または炭素数1〜18のアルコキシ基を表す。
単量体単位がスチレンの場合、−L1−Xはオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合していてもよく、また複数結合していてもよい。複数の場合、L1およびXは互いに同一でもよく異なってもよい。中でも、−L1−Xが1つでありパラ位に結合していることが好ましい。
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのモノマーは、溶解性が高く、市販品として入手しやすく、共重合とした際の反応性が良いという利点を有する。
また、スチレンの場合、光配向性構成単位がスチレン骨格を有することにより、π電子系を多く含む光配向性ポリマーとすることができる。一般に液晶分子にはベンゼン環等の芳香環を有するものが多く、同じくπ電子系を含む。そのため、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成された配向層は、液晶分子との相互作用が強くなる。これにより、液晶分子を配向制御しやすくなり、優れた液晶配向能が得られると考えられる。また、π電子系の相互作用により、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成された配向層は、この配向層上に形成される液晶層との密着性もさらに良くなると考えられる。
中でも、光配向性基はシンナモイル基であることが好ましい。具体的には、上記式(1−1)、(1−2)で表される基であることが好ましい。
なお、光配向性ポリマーにおける各構成単位の含有割合は、1H NMR測定による積分値から算出することができる。
熱架橋性構成単位については、後述の熱架橋性ポリマーを構成する熱架橋性構成単位と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
光配向性ポリマーの合成方法としては、光配向性基を有するモノマー、および必要に応じて光配向性基および熱架橋性基を有さないモノマー等を重合する方法が挙げられる。
光配向性ポリマーの合成方法としては特に限定されないが、例えば、光配向性基を有するモノマーと重合開始剤等とを共存させた溶剤中において重合反応させることにより得ることができる。その際、用いられる溶剤は、光配向性基を有するモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、後述の光配向性を有する熱硬化性組成物に用いられる溶剤と同様とすることができる。また、重合反応の際の温度は、例えば50℃〜120℃程度で設定することができる。上記方法により得られる光配向性ポリマーは、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
すなわち、上記方法で得られた光配向性ポリマーの溶液を、攪拌下のジエチルエーテルやメタノール、水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過、洗浄した後に、常圧または減圧下で、常温乾燥または加熱乾燥し、光配向性ポリマーの粉体とすることができる。この操作により、光配向性ポリマーと共存する重合開始剤および未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した光配向性ポリマーの粉体が得られる。一度の操作で十分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上記の操作を繰り返し行えばよい。
本発明における熱架橋性ポリマーは、熱架橋性基を有するものであり、加熱により架橋剤と結合する部位である。
中でも、上記光配向性ポリマーの光配向性構成単位と同様に、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンが好ましい。
単量体単位がスチレンの場合、−L2−Yはオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合していてもよく、また複数結合していてもよい。複数の場合、L2およびYは互いに同一でもよく異なってもよい。中でも、−L2−Yが1つでありパラ位に結合していることが好ましい。
自己架橋性基を有する熱架橋性構成単位としては、例えば、オルト位がヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたフェノール性ヒドロキシ基、グリシジル基を有するものが挙げられる。
熱架橋性ポリマーにおける光配向性構成単位の含有割合としては、熱架橋性ポリマー全体を100モル%としたとき、25モル%未満であることが好ましい。中でも、熱架橋性ポリマーは光配向性構成単位を有さないことが好ましく、上記の熱架橋性ポリマーにおける光配向性構成単位の含有割合が0モル%であることが好ましい。熱架橋性ポリマーにおける光配向性構成単位の含有割合が多いと、相対的に熱架橋性構成単位の含有割合が少なくなり、十分な熱硬化性が得られず、良好な液晶配向能を維持するのが困難になる場合がある。
なお、熱架橋性ポリマーにおける各構成単位の含有割合は、1H NMR測定による積分値から算出することができる。
熱架橋性基および光配向性基を有さない構成単位については、上記光配向性ポリマーを構成する光配向性基および熱架橋性基を有さない構成単位と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
熱架橋性ポリマーの合成方法としては、熱架橋性基を有するモノマー、および必要に応じて熱架橋性基および光配向性基を有さないモノマー等を重合する方法が挙げられる。
なお、熱架橋性ポリマーの合成方法については、上記光配向性ポリマーの合成方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、上記熱架橋性ポリマーと結合するものであり、耐熱性および耐溶剤性を高めることができる。
アルコキシメチル化グリコールウリルとしては、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリノン、1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリノン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製グリコールウリル化合物(商品名サイメル1170、パウダーリンク1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名UFR65)、ブチル化尿素樹脂(商品名UFR300、U−VAN10S60、U−VAN10R、U−VAN11HV)、大日本インキ化学工業(株)製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名ベッカミンJ−300S、ベッカミンP−955、ベッカミンN)、三和ケミカル(株)社製グリコールウリル化合物(商品名ニカラックMX−270)、イミダゾリジン化合物(商品名ニカラックMX−280)等が挙げられる。
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンとしては、例えばテトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製(商品名サイメル1123)、(株)三和ケミカル製(商品名ニカラックBX−4000、ニカラックBX−37、ニカラックBL−60、ニカラックBX−55H)等が挙げられる。
アルコキシメチル化メラミンとしては、例えばヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350、サイメル3745)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名マイコート506、マイコート508、サイメル1156)、三和ケミカル製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名ニカラックMW−30、ニカラックMW−22、ニカラックMW−11、ニカラックMS−001、ニカラックMX−002、ニカラックMX−730、ニカラックMX−750、ニカラックMX−035、ニカラックMW−390、ニカラックMW−100LM、ニカラックMX−750LM)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名ニカラックMX−45、ニカラックMX−410、ニカラックMX−302)等が挙げられる。
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ブトキシメチルアクリルアミド)、N−ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N−エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、およびN−ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。このようなポリマーの重量平均分子量は、1,000〜500,000の範囲内であり、好ましくは2,000〜200,000の範囲内であり、より好ましくは3,000〜150,000の範囲内であり、さらに好ましくは3,000〜50,000の範囲内である。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、酸または酸発生剤を含有してもよい。酸または酸発生剤により、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の熱硬化反応を促進させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤により、光二量化反応や光異性化反応等の光反応を促進させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、主として溶剤に溶解した溶液状態で用いられる。
溶剤としては、上記の各成分を溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。溶剤は1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。また、液晶配向能の向上のために、液晶性モノマーを含有させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、通常、各成分が溶剤に溶解した溶液として用いられる。本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り特に限定されるものではなく、0.1質量%〜80質量%の範囲内であり、好ましくは0.5質量%〜60質量%の範囲内であり、より好ましくは0.5質量%〜40質量%の範囲内である。固形分の割合が少なすぎると、液晶配向能や熱硬化性を付与することが困難になる場合がある。また、固形分の割合が多すぎると、光配向性を有する熱硬化性組成物の粘度が高くなり、均一な膜を形成しにくくなる。
なお、固形分とは、光配向性を有する熱硬化性組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる光配向性ポリマーおよび熱架橋性ポリマーの溶液をそのまま使用することができる。この場合、光配向性ポリマーおよび熱架橋性ポリマーの溶液に、上述のように架橋剤、増感剤、その他の添加剤等を入れて均一な溶液とし、後から酸または酸発生剤を添加する。この際に、濃度調整を目的としてさらに溶剤を加えてもよい。このとき、光配向性ポリマーおよび熱架橋性ポリマーの生成過程で用いられる溶剤と、光配向性を有する熱硬化性組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく異なってもよい。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の用途としては、例えば位相差板等の各種光学素子の配向層、液晶表示素子の配向層を挙げることができる。また、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、液晶表示素子、有機EL素子、TFT、カラーフィルタ等の各種デバイスにおける絶縁膜や保護膜等に用いることもでき、例えば有機EL素子の絶縁膜、TFTの層間絶縁膜、カラーフィルタのオーバーコート層等を挙げることができる。
本発明の配向層は、光配向性基を有する第1ポリマーと、架橋構造を有する第2ポリマーとを含有し、上記光配向性基の光二量化構造または光異性化構造を有することを特徴とするものである。
なお、第2ポリマーの形成に用いられる熱架橋性ポリマーについては、上記「A.光配向性を有する熱硬化性組成物」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。第2ポリマーを構成する構成単位は、熱架橋性ポリマーの構成単位と同様とすることができる。
配向層が上記第2ポリマーを含有することは、配向層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
なお、配向層が上記光二量化構造または光異性化構造を有することは、NMRまたはIRにより分析可能である。
本発明の配向層付基材は、基材と、上記基材上に形成され、上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層または上述の配向層とを有することを特徴とするものである。
本発明における配向層は、上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成されるもの、または上述の配向層であり、液晶分子を配向させる機能を有するものである。
すなわち、配向層の形成においては、まず、基材上に光配向性を有する熱硬化性組成物を塗布し、乾燥させ、加熱して、硬化膜を形成する。次に、硬化膜に偏光紫外線を照射して、配向層を形成する。
本発明に用いられる基材は、配向層を支持するものである。
基材としては、特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜選択される。基材の材料としては、例えば、ガラスや石英、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエステル、アクリル等の樹脂、アルミニウム等の金属、シリコンやシリコンナイトライド等のセラミック等が挙げられる。また、基材は表面処理が施されたものであってもよい。
基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよく、用途等に応じて適宜選択される。
本発明においては、基材と配向層と間に導電層が形成されていてもよい。導電層は例えば各種デバイスの電極として機能するものである。導電層の材料としては、例えばITO、IZO等の透明導電材料や、アルミニウム、モリブデン、クロム等の金属材料が挙げられる。
本発明の配向層付基材の用途としては、例えば位相差板等の各種光学素子、液晶表示素子、発光素子等を挙げることができる。
本発明の位相差板は、上述の配向層付基材と、上記配向層付基材の配向層上に形成された位相差層とを有することを特徴とするものである。
位相差層に用いられる液晶組成物としては、位相差層に一般的に用いられるものを使用することができる。液晶組成物には、例えば水平配向、コレステリック配向、垂直配向、ハイブリッド配向等の配向性を有するものがあり、配向層との組み合わせや所望の位相差等に応じて適宜選択される。また、位相差層の膜厚および形成方法等は、一般的な位相差層と同様とすることができる。
位相差板は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
本発明のデバイスは、上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層または上述の配向層を有することを特徴とするものである。
以下、位相差板および液晶表示素子に分けて説明する。
本発明における位相差板は、基材と、基材上に形成され、上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層または上述の配向層と、配向層上に形成された位相差層とを有するものである。
なお、位相差層については、上記「D.位相差板」に記載したので、ここでの説明は省略する。
基材および配向層の間には導電層が形成されていてもよい。
なお、基材、配向層および導電層については、上記「C.配向層付基材」における基材、配向層および導電層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
位相差板は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
本発明における液晶表示素子は、2つの態様を有する。以下、各態様に分けて説明する。
本発明における液晶表示素子の第1態様は、第1基板上に第1配向層が形成された第1配向層付基板と、第2基板上に第2配向層が形成された第2配向層付基板と、第1配向層付基板および第2配向層付基板の間に配置された液晶層とを有するものであり、第1配向層および第2配向層は、上述の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成されるもの、または上述の配向層である。
なお、第1基材、第2基材、配向層および導電層については、上記「C.配向層付基材」における基材、配向層および導電層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、液晶表示素子の他の構成は、一般的な液晶表示素子の構成と同様とすることができる。
本発明における液晶表示素子の第2態様は、上記位相差板を有するものである。
液晶表示素子の構成は、一般的な液晶表示素子の構成と同様とすることができる。例えば、液晶表示素子を構成する基材の外側に位相差板を配置してもよく、液晶表示素子を構成する基材が位相差板を構成する基材を兼ねており、基材の内側に配向層および位相差層が配置されていてもよい。
下記スキームに示すように光配向性モノマーA1を合成した。
化合物(A1−1)の粗生成物をメタノール200mLに溶解させ、そこに水100mL、水酸化ナトリウム4g(100mmol)を加え、100℃で2時間攪拌した。反応液を冷却後、2M塩酸水溶液を加えてPHを2にした。酸析した白色沈殿を濾取し、さらに水100mLで2回洗浄し、真空乾燥した。粗体をメタノールにより再結晶精製し、化合物(A1−2)を22.0g得た。
化合物(A1−2)13.3g(50mmol)、4−シアノフェノール6.3g(53mmol)、ジメチルアミノピリジン250mg(2mmol)をジクロロメタン100mLに溶解し、5℃で攪拌した。そこにN,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド11.3g(55mmol)のジクロロメタン20mL溶液を約20分かけて滴下し、12時間攪拌した。得られた反応液を得られた反応溶液を濾過して不純物を除去した後、濾液にメタノールを加えて結晶を析出させ、濾取した結晶を真空乾燥し化合物(A1−3)17.1gを得た。
化合物(A1−3)14.7g(40mmol)、ジt−ブチル−ヒドロキシトルエン0.g(4mmol)、トリエチルアミン16.2g(160mmol)をジクロロメタン150mLに溶解させ、氷冷下で攪拌させた。そこにアクリル酸クロリド7.2g(80mmol)を滴下し、5℃以下を保持して5時間攪拌した。得られた反応液にジメチルアミノピリジン2.4g(20mmol)と水150mLを加えて抽出した。さらに有機層を1N塩酸水溶液150mL、水150mLで2回洗浄後した。有機層にメタノール200mLを加えて結晶を析出させ、濾取した結晶を真空乾燥し化合物(A1)を12.8g得た。
下記スキームに示すように光配向性モノマーA2を合成した。
下記スキームに示すように光配向性モノマーA3を合成した。
化合物(A3−1)12.1g(100mmol)、4−メトキシ桂皮酸18.7g(105mmol)、ジメチルアミノピリジン0.5g(4mmol)をジクロロメタン300mLに溶解し、5℃で攪拌した。そこにN,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド22.7g(110mmol)のジクロロメタン40mL溶液を約30分かけて滴下し、12時間攪拌した。得られた反応液を得られた反応溶液を濾過して不純物を除去した後、濾液にメタノールを加えて結晶を析出させた。得られた結晶を濾別、乾燥し化合物(A3)26.6gを得た。
200mLフラスコ中、窒素雰囲気、氷零下において、化合物(A3−1) 14.0g(118mmol)をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、水酸化ナトリウム7.07g(177mmol)を添加し、15分撹拌した後、4−クロロブタノール14.1g(130mmol)を約10分かけて滴下した。16時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認し、酢酸エチルで抽出した後、飽和炭酸水素水溶液、1N塩酸、純水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、乾燥させることで、熱架橋性モノマーB5を18.6g得た。
300mLフラスコ中、氷冷下において4−ビニル安息香酸20.15g(136mmol)、1,6−ヘキサンジオール13.9g(118mmol)、ジメチルアミノピリジン0.458g(3.82mmol)をジクロロメタン200mlに溶解し、ジクロロメタン40mlに溶解したN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド28.0g(136mmol)を約10分かけて滴下した。15時間撹拌した後、反応溶液を冷却し、沈殿物をろ別した。溶媒を留去し、メタノールを添加し、再結晶により熱架橋性モノマーB6を24.1g得た。
合成した各モノマーは、日本電子(株)製JEOL JNM−LA400WBを用いて、1H NMR測定により、化学構造を確認した。
光配向性モノマー(A1)4.2g(10mmol)、重合触媒としてα、α′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)25mg(0.15mmol)をジオキサン20mlに溶解し、90℃にて6時間反応させた。反応終了後、再沈殿法により精製することで、光配向ポリマー(C1)を得た。
表1に示す光配向性モノマー、必要に応じて他のモノマーを用いて、製造例1と同様に光配向ポリマーC2〜C10を合成した。
表2に示す熱架橋性モノマー、必要に応じて他のモノマーを用いて、製造例1と同様に熱架橋性ポリマーD1〜D11を合成した。
光配向性モノマーA1、熱架橋性モノマーB1を用いて、製造例1と同様に比較共重合体1を合成した。
合成した各ポリマーの数平均分子量(以下、Mnと称す)は、東ソー(株)製HLC−8220 GPCを用いて、ポリスチレンを標準物質とし、NMPを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて算出した。
(熱硬化性組成物1の調製)
下記に示す組成の熱硬化性組成物1を調製した。
・光配向性ポリマーC1:2.0g
・熱架橋性ポリマーD1:7.0g
・ヘキサメトキシメチルメラミン(HMM):1.0g
・p−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA):0.3g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):200g
TACフィルム上に、実施例1で調製した熱硬化性組成物をスピンコートにより塗布し、100℃のオーブンで1分間加熱乾燥させ、硬化膜を形成し、塗膜を得た。この硬化膜表面にHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を基板法線から垂直方向に20mJ/cm2照射することで、配向層を形成した。
下記式で表される液晶性モノマーをシクロヘキサンノンに固形分15質量%となるように溶解した溶液に、BASF株式会社製の光重合開始剤イルガキュア184を5質量%添加し、重合性液晶組成物を調製した。
架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン(HMM)、酸または酸発生剤としてp−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いて、実施例1と同様に、実施例2〜26および比較例1〜3の熱硬化性組成物を調製し、配向層を形成し、位相差板を作製した。
各熱硬化性組成物の組成を下記表4に示す。
得られた各位相差板について以下の評価を行った。
2枚の直線偏光板をクロスニコル状態にして、その間に位相差板を挟み、目視で観察した。基板を回転させた際に、面内に観察される明暗模様が明確なものを「○」、配向欠陥がみられるものを「×」として評価した。
位相差板に対し、等間隔スペーサーを用いて、カッターナイフで1mm間隔に切り込みを入れて、10×10の格子パターンを形成した。続いて、格子パターンの上にセロハンテープを置き、しっかりと密着させた後、セロハンテープを引き剥がした。セロハンテープを引き剥がした後の塗膜のカット部分を観察した。塗膜がカットの線に沿って、または交差する点において剥離が生じている格子の目の個数が、格子パターン全体の個数に対して10%未満の場合を「A」とし、10〜50%の場合を「B」とし、50%以上の場合を「C」とした。
Claims (9)
- 光配向性基を有する光配向性ポリマーと、
熱架橋性基を有する熱架橋性ポリマーと
を含有することを特徴とする光配向性を有する熱硬化性組成物。 - 架橋剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記光配向性基が光二量化反応または光異性化反応を生じる官能基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記光配向性基がシンナモイル基であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記熱架橋性基がヒドロキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 光配向性基を有する第1ポリマーと、架橋構造を有する第2ポリマーとを含有し、
前記光配向性基の光二量化構造または光異性化構造を有することを特徴とする配向層。 - 基材と、前記基材上に形成され、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層または請求項6に記載の配向層とを有することを特徴とする配向層付基材。
- 請求項7に記載の配向層付基材と、前記配向層付基材の配向層上に形成された位相差層とを有することを特徴とする位相差板。
- 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層または請求項6に記載の配向層を有することを特徴とするデバイス。
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