JP2015227406A - カーボンブラック分散液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カーボンブラック、フタロシアニン骨格を有しその側鎖にSP値が7〜13(cal/cm)1/2の有機溶媒との相溶性に優れたポリオキシアルキレン基を有する分散剤、及びSP値が7〜13(cal/cm)1/2の有機溶媒を含有するカーボンブラック分散液。前記カーボンブラックの平均一次粒子径が5〜50nmであり、前記カーボンブラック分散液中の前記分散剤の含有量は、前記カーボンブラック分散液中のカーボンブラックを100質量部とすると、1〜50質量部であるカーボンブラック分散液。
【選択図】なし
Description
式(1)中、R1〜8はそれぞれ独立に芳香環のいずれかの位置に共有結合された、水素原子又は下記式(2)で表わされる官能基であり、R1〜8のうち少なくとも1つは下記式(2)で表わされる官能基である。
本発明の一態様であるカーボンブラック分散液の調製に使用されるカーボンブラック(成分A)としては、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられ、例えば、カーボンブラック分散液をリチウムイオン電池の製造に使用する場合には、アセチレンブラック及びケッチェンブラックが好ましく、例えば、カーボンブラック分散液をブラックレジスト組成物の製造に使用する場合には、ファーネスブラックが好ましい。また、従来から公知の、シランカツプリング剤等により表面修飾されたカーボンブラック、表面が酸化されたカーボンブラックであってもよい。
本開示のカーボンブラック分散液は、分散剤の有機溶媒への親和性の観点から、有機溶媒としてSP値が7(cal/cm)1/2以上13(cal/cm)1/2以下の有機溶媒(成分C)を含有する。SP値はSolubility Parameter(溶解度パラメータ)のことであり、SP値(δ)は、下記の(3)式のように凝集エネルギー密度の平方根で定義される。
δ=(ΔE/V)1/2 (3)
ここで、Vは溶媒のモル体積、ΔEは凝集エネルギーである。
具体的な数値はC.M.Hansen: J. Paint Tech., 39〔505〕,104-117(1967)に記載されており、記載のないものについては、簡易的にはFedorsの推算法が使用される。(R.F.Fedors: Polym. Eng. Sci., 14〔2〕, 147-154(1974))
フタロシアニン誘導体の合成方法は多数の文献に記載されており、脱離基や反応性官能基を有するフタロシアニンに置換や付加を行い、所望のフタロシアニン誘導体を合成することも可能であるが、原料として、無水フタル酸誘導体、フタルイミド誘導体又はフタロニトリル誘導体を用いて常法により4量化するのが一般的であり、反応の簡便さから、ニトロ基等の脱離基を有するフタロニトリルにエーテルアルコールを導入したのち、4量化する方法が好ましい。例えば、式(2)で表わされる官能基を0〜2個有するフタロニトリル誘導体の4量化反応によって、式(1)中のR1〜8のうち少なくとも1つが式(2)で表わされる官能基であり残りの0〜7つが水素原子であるフタロシアニン誘導体が得られる。また、例えば、式(1)中のR1〜8全てが式(2)で表わされる官能基である場合は、式(2)で表わされる官能基を2つ有するフタロニトリル誘導体を原料とすれば良く、式(1)中のR1、3、5、7が水素原子で、R2、4、6、8が式(2)で表わされる官能基である場合は、式(2)を1つ有するフタロニトリル誘導体を原料とすれば良い。また、式(2)で表わされる官能基を1つ有するフタロニトリル誘導体を1〜3つと、フタロニトリル(式(2)で表わされる官能基を有していない)を3〜1つとを混合して4量化することで、式(1)中のR1、3、5、7が水素原子で、R2、4、6、8のうちの平均1〜3つが式(2)であるフタロシアニン誘導体が得られる。
カーボンブラック分散液は、カーボンブラック(成分A)、前記式(1)で表わされる分散剤(成分B)、及びSP値が7(cal/cm)1/2以上13(cal/cm)1/2以下の有機溶媒を含む有機溶媒(成分C)を含むが、必要に応じて、他の炭素材料、無機フィラー、バインダー樹脂、活物質、アルカリ可溶性樹脂、粘性調整剤、その他の添加剤を含んでいてもよい。カーボンブラック分散液中の成分A〜成分C以外の成分の含有量について特に制限はないが、通常、0質量%以上60質量%以下であると好ましい。
「最小分散粒径」とは、下記の通り、カーボンブラックを過剰量の水系界面活性剤で水に分散した際に到達できる粒径であって、目標粒径を決定する指標となる。有機溶媒中に分散されたカーボンブラックの粒径が「最小分散粒径」に近いほど、分散安定性が良好であることを示す。
分散剤のカーボンブラックに対する吸着率は、カーボンブラックに吸着した分散剤と未吸着の分散剤を分離し定量することで求めることができる。すなわち、カーボンブラック分散液を遠心分離し、カーボンブラック粒子を完全に沈降させることで未吸着の分散剤が上澄みの液中に残留する。この上澄みの液中に含まれる分散剤(すなわち、カーボンブラックに吸着していない未吸着分散剤)の濃度Z(質量%)を下記の乾燥減量法で測定し、以下の式に、下記X(質量%)、Y(質量%)、及びZ(質量%)を代入することにより算出できる。ただし、カーボンブラック分散液には、カーボンブラックと分散剤と有機溶媒のみが含まれているものとする。カーボンブラック、分散剤、及び有機溶媒以外の成分(他の成分)を含む態様のカーボンブラック分散液について吸着率の評価を行う場合は、他の成分を除いたカーボンブラックと分散剤と有機溶媒のみで構成された分散液を別途用意し、これを吸着率の評価に用いることとする。
カーボンブラック分散液中のカーボンブラック濃度X(質量%)
カーボンブラック分散液中の全分散剤濃度Y(質量%)
上澄み中に含まれる分散剤濃度Z(質量%)
上澄み中に含まれる分散剤の濃度の測定は以下の方法で行った。質量W3(g)のシャーレに試料約5gを採り、小数点以下4桁まで計測可能な電子天秤を使用して、前記試料を含んだシャーレ全体の質量W1(g)を測定した。シャーレ全体を、減圧乾燥器(アドバンテック社製VO−320、圧力約20cmHg、窒素フロー)で130℃2時間乾燥させ、乾燥後さらにデシケータで30分放冷した後、前記試料の不揮発分を含んだシャーレ全体の質量を測定し、W2(g)とした。次式より得られた値を分散剤量とした。
上澄み中に含まれる分散剤の濃度Z(質量%)=100−(W1−W2)/(W1−W3)×100
本開示にかかるリチウムイオン電池用正極材料ペーストの一例としては、本開示のカーボンブラック分散液とリチウム活物質とを含む。本開示にかかるリチウムイオン電池用正極材料ペーストの一例は、本開示のカーボンブラック分散液を含んでいるので、塗膜形成性の向上が期待できる。尚、「塗膜形成性の向上」とは、乾燥後の塗膜の均質性が向上することであり、例えば、乾燥後の塗膜の平滑性が向上することを意味する。
本開示にかかるブラックレジスト組成物の一例としては、本開示のカーボンブラック分散液とアルカリ可溶性樹脂とを含む。本開示にかかるブラックレジスト組成物の一例は、本開示のカーボンブラック分散液を含んでいるので、塗膜形成性の向上や、未吸着分散剤の存在によって引き起こされる悪影響の低減が期待できる。
式(1)中、R1〜8はそれぞれ独立に芳香環のいずれかの位置に共有結合された、水素原子又は下記式(2)で表わされる官能基であり、R1〜8のうち少なくとも1つは下記式(2)である。
<2> 前記カーボンブラックの平均一次粒子径は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましく、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、40nm以下が更に好ましい、前記<1>に記載のカーボンブラック分散液。
<3> 前記カーボンブラック分散液の調製に使用されるカーボンブラックの25℃におけるpHは、2以上が好ましく、10以下が好ましい、前記<1>又は<2>に記載のカーボンブラック分散液。
<4> 前記SP値は、8(cal/cm)1/2以上が好ましく、8.5(cal/cm)1/2以上がより好ましく、12(cal/cm)1/2以下が好ましく、11.5(cal/cm)1/2以下がより好ましい、前記<1>〜<3>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<5> 前記有機溶媒は、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、エチレングリコールジアセテート、N-メチルピロリドン、及び2-プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒が好ましく、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、及びN-メチルピロリドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒がより好ましく、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒が更に好ましい、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<6> 前記式(1)中、Mは、好ましくは無金属(水素)、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、ケイ素、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム、パラジウム、スズ、インジウム、鉛、チタン、ルビジウム、バナジウム、ガリウム、テルビウム、セリウム、ランタン、亜鉛、及びこれらのハロゲン化物、水酸化物、酸化物であり、より好ましくは無金属(水素)、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム、スズ、亜鉛及びこれらのハロゲン化物であり、更に好ましくは無金属(水素)又は銅である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<7> 前記式(1)中、R1〜8のうちR1、R3、R5、及びR7は、水素原子である、前記<1>〜<6>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<8> 前記式(1)中、R2、R4、R6、R8は水素原子又は前記式(2)で表わされる官能基であることが好ましく、置換基4つ(R2、R4、R6、R8)のうち、式(2)で表わされる官能基が、2つ以上であることがより好ましく、3つ以上であることが更に好ましく、4つ全てであることが更により好ましい、前記<1>〜<7>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<9> 前記式(2)で表わされる官能基中のR9とR10は、少なくともいずれか一方が水素原子であると好ましい、前記<1>〜<8>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<10> 前記式(2)の構造中の下記式(3)で表わされる官能基は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、これら両方のブロック付加物若しくはランダム付加物、ポリオキシエチレン基、又はポリオキシプロピレン基であると好ましい、前記<1>〜<8>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<12> 前記式(3)で表わされるポリオキシアルキレン基中の最もフタロシアニン構造に近いオキシアルキレン基の、R9は水素原子であると好ましい、前記<10>に記載のカーボンブラック分散液。
<13> 前記式(2)中のR11は、炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基が更に好ましく、メチル基が更により好ましい、前記<1>〜<12>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<14> 前記式(2)中のnは、好ましくは1〜30であり、より好ましくは5〜20であり、更に好ましくは5〜15である、前記<1>〜<13>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<15> 前記カーボンブラック分散液中の前記カーボンブラックの含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい、前記<1>〜<14>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<16> 前記カーボンブラック分散液中の前記式(1)で表わされる前記分散剤の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.7質量%以上が更に好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい、前記<1>〜<15>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<17> 前記カーボンブラック分散液中の前記式(1)で表わされる前記分散剤の含有量は、カーボンブラック分散液中のカーボンブラックを100質量部とすると、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましい、前記<1>〜<16>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<18> 動的光散乱法に基づいて測定される前記カーボンブラック分散液中の前記カーボンブラックの粒径は、20nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上が更に好ましく、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい、前記<1>〜<17>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<19> 前記カーボンブラックの最小分散粒径を100とした場合、動的光散乱法に基づいて測定される前記カーボンブラック分散液中のカーボンブラックの粒径は、50以上が好ましく、70以上がより好ましく、200以下が好ましく、170以下がより好ましく、160以下が更に好ましく、150以下が更により好ましい、前記<1>〜<18>のいずれかに記載のカーボンブラック分散液。
<20> 前記<1>〜<19>のいずれかの項に記載のカーボンブラック分散液とリチウム活物質とを含むリチウムイオン電池用正極材料ペースト。
<21> 前記<1>〜<19>のいずれかの項に記載のカーボンブラック分散液とアルカリ可溶性樹脂とを含むブラックレジスト組成物。
カーボンブラック粉体を、透過型電子顕微鏡を用いて5万倍で撮影し、粒子径を100個測定し、その平均値をカーボンブラックの平均一次粒子径として求め、下記表2に示した。
測定するカーボンブラック 3g及び蒸留水 100gをビーカーに入れ全重量を測定し、これを1時間煮沸し、室温まで放冷した。全重量を測定して煮沸による減量分の蒸留水を加え攪拌した後10分間静置し、上澄液のpHをカーボンブラックのpHとして、ガラス電極式pHメーターで測定した。
[カーボンブラック分散液中のカーボンブラックの粒径の測定方法]
下記実施例1〜9、比較例1〜9のカーボンブラック分散液中のカーボンブラックの動的光散乱法に基づいて測定される粒径(nm)は、粒径測定器(Malvern社製Zetasizer Nano−S)を用い測定した。測定にはGlass cubetteセルを使用し、測定用に採取したサンプルは予め光が透過する程度に使用した溶媒で希釈したのち、直ちに測定を行った。尚、測定時のパラメーターは、機器に付属の資料に掲載されているカーボンブラックの数値(屈折率1.800、吸収10.000)を使用した。
100mLのポリ広口ビン(ニッコー・ハンセン社製)内で、表1記載の分散剤B−1 0.3gをN−メチルピロリドン(有機溶媒、SP値11.2(cal/cm)1/2)と混合して、分散剤B−1と有機溶媒との混合物の全量が38gとなるようにしたのち、広口ビン内にカーボンブラックA−1 2gを入れ、更にジルコニアビーズ(ニッカトー社製、0.3mmφ) 80gを入れて、密栓し、ペイントシェイカー(浅田鉄工社製)で3時間分散処理をした。得られた分散液を200メッシュのステンレス金網でろ過して、ジルコニアビーズをろ別除去し、カーボンブラック分散液1を得た。
実施例1で使用した分散剤B−1を市販分散剤DISPERBYK−167(ウレタン系高分子分散剤、有効分52%;ビックケミー社製)0.58gに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、カーボンブラック分散液2を得た。
分散剤として表1記載の分散剤B−2 2gを用い、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値9.2(cal/cm)1/2)を用い、分散剤B−2と有機溶媒との混合物の全量が30gとなるようにし、カーボンブラックとしてカーボンブラックA−2 10gを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によりカーボンブラック分散液3を得た。
実施例2で使用した分散剤B−2を市販分散剤DISPERBYK−167(ウレタン系高分子分散剤、有効分52%;ビックケミー社製)3.9gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法により、カーボンブラック分散液4を得た。
分散剤として表1記載の分散剤B−3 0.6gを用い、有機溶媒としてブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値8.7(cal/cm)1/2)を用い、分散剤B−3と有機溶媒との混合物の全量が36gとなるようにし、カーボンブラックとしてカーボンブラックA−3 4gを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によりカーボンブラック分散液5を得た。
実施例3で使用した分散剤の使用量を0.4gとしたこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液6を得た。
実施例3で使用した分散剤の使用量を0.8gとしたこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液7を得た。
実施例3で使用した分散剤B−3を市販分散剤DISPERBYK−167(ウレタン系高分子分散剤、有効分52%;ビックケミー社製) 1.15gに変更したこと以外は実施例3と同様の方法により、カーボンブラック分散液8を得た。
実施例3で使用した分散剤B−3を表1記載の分散剤B−4に変更したこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液9を得た。
実施例3で使用した分散剤B−3を表1記載の分散剤B−5に変更したこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液10を得た。
実施例3で使用した分散剤B−3を表1記載の分散剤B−6に変更したこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液11を得た。
実施例3で使用した分散剤B−3を市販のフタロシアニン化合物であるソルスパース5000(ルブリゾール社製;銅フタロシアニンモノスルホン酸のジメチルジアルキルアンモニウム中和塩)に変更したこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液12を得た。
実施例3で使用した有機溶媒をメタノール(SP値14.5)に変更したこと以外は実施例3と同様の方法によりカーボンブラック分散液13を得た。
[実施例7]
50mlスクリュー管に、実施例1で作成したカーボンブラック分散液 24gと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(JSR社製) 1.2gと、N−メチルピロリドン 1.7gを加えて手撹拌したのち10分静置し、続いて正極活物質(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2(日本化学工業社製) 27.6gを加えて密閉し、脱泡混練機である「あわとり練太郎」(シンキー社製自転・公転ミキサー、2000rpm5分混練、2000rpm1分脱泡)を用いてリチウムイオン電池用正極ペースト1を作製した。
実施例7で使用したカーボンブラック分散液に変えて、比較例1で作成したカーボンブラック分散液を用いた以外は実施例7と同様の方法でリチウムイオン電池用正極ペースト2を作製した。
[実施例8]
100mlスクリュー管に、実施例3で作成したカーボンブラック分散液 30gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 0.7gと、アルカリ可溶性樹脂としてフルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物(固形分56質量%、新日鐵化学社製V259ME) 5.15g、光重合開始剤イルガキュアOXE02(BASFジャパン社製) 0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 13.85gを加えて、マグネチックスターラーで10分撹拌して、ブラックレジスト組成物1を得た(組成物中のカーボンブラック含有量は6質量%)。
実施例8で使用したカーボンブラック分散液に変えて、比較例3で作成したカーボンブラック分散液を用いた以外は実施例8と同様の方法でブラックレジスト組成物2を作製した。ブラックレジスト組成物2を実施例8と同様にスピンコーターで塗工したが、放射状に塗工スジが発生し、乾燥後も表面が荒れたムラの多い塗膜が得られた。
実施例3で使用した分散剤の量を0.3g(7.5質量部)、0.4g(10質量部)、0.5g(12.5質量部)、0.6g(15質量部)、0.7g(17.5質量部)[( )内の数字はカーボンブラック分散液中のカーボンブラック全重量を100質量部とした場合の分散剤(有効分換算)についての質量部]とし、カーボンブラックを十分に分散するために分散処理時間を5時間としたこと以外は、実施例3と同様の方法により5種のカーボンブラック分散液を作製した。各カーボンブラック分散液中のカーボンブラックの粒径と分散剤の添加量との相関関係を確認したところ(図1参照)、分散剤の添加量が0.5g(最小粒径に到達するのに要した分散剤量)である場合において、カーボンブラックの粒径がカーボンブラックA−3の最小分散粒径(95nm)と同等の良好な分散状態となることがわかった。ほぼ最小分散粒径に到達した添加量(すなわち最少添加量)0.5g(12.5質量部)における、分散剤のカーボンブラックに対する吸着率は98%であった。
比較例3で使用した分散剤の量を1.15g(有効分15質量部)、1.5g(有効分20質量部)、1.8g(有効分24質量部)、2.5g(有効分32質量部)、3.1g(有効分40質量部)とし、カーボンブラックを十分に分散するために分散処理時間を5時間としたこと以外は、比較例3と同様の方法により5点のカーボンブラック分散液を作製した。各カーボンブラック分散液中のカーボンブラックの粒径と分散剤の添加量との相関関係を確認したところ(図1参照)、分散剤の添加量が2.5g(有効分32質量部)においてようやく最小分散粒径と同等の良好な分散状態となることがわかった。カーボンブラックの粒径が最小(最小粒径)となることがわかった。ほぼ最小分散粒径に到達した添加量(すなわち最少添加量)2.5g(有効分32質量部)における、分散剤のカーボンブラックに対する吸着率は64%であった。
Claims (5)
- カーボンブラック、下記式(1)で表わされる分散剤、及びSP値が7(cal/cm)1/2以上13(cal/cm)1/2以下の有機溶媒を含有するカーボンブラック分散液。
式(1)中、R1〜8はそれぞれ独立に芳香環のいずれかの位置に共有結合された、水素原子又は下記式(2)で表わされる官能基であり、R1〜8のうち少なくとも1つは下記式(2)である。
- 前記カーボンブラックの平均一次粒子径が5nm以上50nm以下である請求項1記載のカーボンブラック分散液。
- 前記カーボンブラック分散液中の前記分散剤の含有量は、前記カーボンブラック分散液中のカーボンブラックを100質量部とすると、1質量部以上50質量部以下である請求項1又は2に記載のカーボンブラック分散液。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載のカーボンブラック分散液とリチウム活物質とを含むリチウムイオン電池用正極材料ペースト。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載のカーボンブラック分散液とアルカリ可溶性樹脂とを含むブラックレジスト組成物。
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