JP2015227171A - 電子レンジ対応の紙成形容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子レンジ加熱対応の紙成形容器の電子レンジ加熱時に焦げ発生しやすい局所領域に、樹脂粉末に焦げ防止物質粉末を混合した粉体を溶射して焦げ防止物質を含有する樹脂被覆層11を形成する。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は、従来の紙成形容器の基本的構造を変更することなく簡易な手段により容易にマイクロ波加熱時の焦げ発生を防止できるようにした電子レンジ対応の紙成形容器を提供することを目的するものである。
前記局所領域は、コップ状紙成形容器の場合、電子レンジ加熱時に焦げが発生しやすい糸尻部内周面であるのが望ましい。
前記樹脂被覆層は、樹脂粉末に焦げ防止物質粉末を混合した粉体を溶射して形成することによって、所定位置に少ない被覆材料で効果的に被覆層を形成できる。
前記樹脂粉末は、その種類特に限定されないが、粒径100〜300μmのポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂粉末やPET、PEN、PLA、PBT等のポリエステル樹脂粉末が効果的に採用できる。
一方、焦げ防止物質粉末としては、安価な低誘電率物質である炭酸カルシウムやタルクが採用できる。
そして、コップ状紙成形容器の場合、糸尻部内周面に焦げ防止物質を含有する樹脂被覆層を形成するのみで、従来のカップ状成形容器の底部形状を変更することなく、容易に焦げの発生を防止できる。
さらに、前記樹脂被覆層は、プラスチック粉末に無機物粉末を混合した粉体を溶射して形成することによって、糸尻部内周面に確実に且つ安価に焦げ防止層を形成することができる。
前記粉末樹脂としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂やPET、PEN、PLA、PBT等のポリエステル樹脂、前記焦げ防止物質粉末として安価な低誘電率物質である炭酸カルシウムやタルクを採用することによって、効果的に焦げ防止層を形成することができる。
そして、被覆層は、平均膜厚さが1mm以下とすることによって、安価に且つ確実に焦げ防止層を形成することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る紙成形容器としての紙を主体とするコップ状紙成形容器(以下、単にコップ状容器という)を示す。該コップ状容器1は、胴部2となる扇形状のブランクの両端縁を貼り合わせて接着して円錐台状或いは円筒状に成形し、その上端部をカール成形して開口カール部3とし、下端部を内側に折り返して折り返し片6を形成し、その間に断面コ字状に絞り成形した底板8の環状屈曲部9を圧着して糸尻部10となっており、開口カール部3にはブランク両端縁の貼り合わせによる段差4ができている。また、胴部には貼り合わせ部5ができ、該貼り合わせ部の両端縁には紙端がコップ内側及び外側で露出している。以上の構造は、従来周知のコップ状容器と同様である。
本発明に使用される粉末としては、以下に限定されないが、紙を主体とする紙成形容器に対して易接着性を有する材料を用いる。一般的な紙成形容器は、下地である紙基材に樹脂がコートされており、表面樹脂層と同種の樹脂、又は、表面樹脂層よりも融点の低い樹脂を用いることが易接着性の点で好ましい。
ここで、合成樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、高−中−低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、PET、PEN、PLA、PBT等のポリエステル樹脂の一種または複数種の樹脂粉末が採用できる。また、焦げ防止粉末物質としては、比誘電率の低い物質として、例えば炭酸カルシウム、タルク等が採用できる。これにより、糸尻部でのマイクロ波の吸収による発熱が減少し、焦げの発生を防止できる。
以上のような方法で糸尻部内周面に樹脂被覆をすることによって、糸引き現象が生じることなく所定の小領域に樹脂被覆を的確にすることができ、使用材料を最小限にすることができる。
供試容器:コップ状容器(材質:胴部及び底部とも同じ)
材質層構成:
胴部:(内)ポリエチレン(20μm)//スラッシュスラッシュ紙(250g/m2)
底部:(内)ポリエチレン(40μm)//紙250g/m2//ポリエチレン(15μm)
満杯内容量:565ml、 糸尻部高さ:10mm
溶射条件:
粉体樹脂:平均粒径120μmの粉体ポリエチレン
焦げ防止物質:炭酸カルシウム
樹脂塗膜:糸尻部内周全周に沿って幅約10mm、被膜厚さ1mm以下
以上のようにして糸尻部内周面に焦げ防止物質を含有する樹脂被覆層を形成した。コップ状容器の焦げの発生状況を確認するために、次のような試験を行った。
容器充填内容物:水330ml
電子レンジ出力:500W
加熱時間:6min
上記加熱条件は、内容物(うどん食品)を食するのに最適な通常の加熱温度である。
焦げの発生状況:被覆層を形成した本実施例の容器の方が糸底部に発生した焦げの色が、比較例として被覆層を設けていない容器よりも薄く範囲が狭かった。
2 胴部
3 開口カール部
4 段差部
5 胴部貼り合わせ部
6 折返し片
7 糸尻部内周面
8 底部
9 環状屈曲部
10 糸尻部
11 樹脂被覆層
Claims (6)
- 電子レンジ加熱対応の紙成形容器であって、該紙成形容器の局所領域に焦げ防止物質を含有する樹脂被覆層を形成してなることを特徴とする紙成形容器。
- 前記局所領域が、コップ状紙成形容器の糸尻部内周面である請求項1に記載の紙成形容器。
- 前記樹脂被覆層は、樹脂粉末に焦げ防止物質粉末を混合した粉体を溶射して形成したものである請求項1又は2に記載の紙成形容器。
- 前記樹脂粉末がポリオレフィンまたはポリエステル樹脂である請求項3に記載の紙成形容器。
- 前記焦げ防止物質粉末が比誘電率2以下の無機物である請求項3又は4に記載の紙成形容器。
- 前記樹脂被覆層は、平均膜厚さが1mm以下である請求項1〜5何れかに記載の紙成形容器。
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