JP2015227081A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負圧式倍力装置のブースタシェルの前部シェルに設ける補強リブの形状を工夫して前部シェルの共通化を図り、タイロッド孔の設置ピッチと設置角を異ならせる要求に同一前部シェルで応えられるようにすることを課題としている。【解決手段】後部シェルと組み合わせてブースタシェルを構成する負圧式倍力装置の前部シェル2aがシェルを屈曲させて形成される補強リブ10を有しており、その補強リブ10が、楕円の中心が前記前部シェル2aの中心にあり、なおかつ、前部シェル2aに設けられる2個のタイロッド孔12の中心を結ぶ直線L1上に楕円の長軸が配設される仮想楕円に沿って形成されたものにした。【選択図】図2

Description

この発明は、車両のブレーキ装置に採用される負圧式倍力装置に関する。詳しくは、ブースタシェルの前部シェルに設ける補強リブの形状を工夫してマスタシリンダを締結するタイロッド孔の設置ピッチの違いやマスタシリンダの取付け方向の違いなどに同一形状の前部シェルで対応可能となす発明である。
首記の負圧式倍力装置は、パワーピストンを構成する隔壁部材をブースタシェルの内部に備えている。その隔壁部材は、プレッシャプレートとダイヤフラムを組み合わせたものであって、この隔壁部材がブースタシェルの内部を定圧室と変圧室に区画している。
前記定圧室はエンジンの給気マニホールドに接続され、変圧室は大気導入路に接続されている。また、前記パワーピストンは、内部に負圧弁と大気弁を備えたバルブピストンを前記隔壁部材の中心部に取り付けて構成される。
この負圧式倍力装置は、ブレーキ操作がなされると負圧弁が閉じて定圧室と変圧室の連通が断たれ、その後、大気弁が開いて前記大気導入路を通して変圧室に大気が導入される。これにより、定圧室と変圧室の間に圧力差が生じ、その圧力差を受けてパワーピストンが前進し、ブレーキ操作力に応じて増幅された力でマスタシリンダを作動させる。この作動メカニズムはよく知られているので詳細説明は省く。
かかる負圧式倍力装置のブースタシェルは、前部シェルと後部シェルを組み合わせており、前部シェルに2本のタイロッドを用いてマスタシリンダが締結される。
その前部シェルには、中心にマスタシリンダの入力側を挿入する挿通孔が形成され、その挿通孔の周りにタイロッドを通すタイロッド孔が形成されている。そのタイロッド孔は2個あり、その2個の孔が前記挿通孔を間に挟んで180°回転した位置にそれぞれ設置されている。
その2個のタイロッド孔は、後部シェルにも形成されている。後部シェルには、タイロッド孔の設置点から周方向にほぼ90°回転した位置に別途、取付けボルトを通すボルト孔も設けられている。
前記タイロッド孔の形成された前部シェルと後部シェルを組み合わせたブースタシェルの一例が、例えば、下記特許文献1に示されている。同文献に開示された負圧ブースタは、前部シェルと後部シェルの内側のタイロッド孔周りに補強リブを設けることでそれらのシェルの薄肉化を図っている。
補強リブは、前部シェル、後部シェルとも、それらのシェルの中心から放射状に延びるリブと、各シェルの中心と同心円上に配置される円形リブとタイロッド孔の開口周りを取り巻くリブを組み合わせており、円形リブは、直径の異なるものが同心配置にして複数設けられている。
特開2007−76437号公報
負圧式倍力装置のブースタシェルに設けるタイロッド孔の設置ピッチ(シェルの中心からタイロッド孔の中心までの距離。以下、単に設置ピッチと言う)は、数種類が用いられている。
例えば、乗用車用の10.5インチサイズの負圧式倍力装置においては、前記設置ピッチとして72×72ピッチや80×60ピッチなどが用いられている。
このように、同一サイズのシェルでありながらタイロッド孔の設置ピッチが統一されておらず、また、図5に実線と一点鎖線で示すように、タイロッド孔の設置角αも異なるものがあることから、前部シェルの補強リブは、それぞれの設置ピッチや設置角に合わせてタイロッド孔の中心からの距離が適切となる位置に配置されている。
負圧式倍力装置は、作動時に定圧室と外部との間に圧力差が生じる。また、非作動時には定圧室と変圧室が連通して定圧室及び変圧室の両者と外部との間に圧力差が生じる。その圧力差によって前部シェルと後部シェルは軸方向に押される。
このとき、タイロッドと前部シェル、後部シェルにそれぞれ設けられたタイロッド孔及び後部シェルに設けられたボルト孔は互いに固定されていることから、それらの孔周りに応力が集中する。
その応力は、後部シェルについては、周方向にほぼ90°ピッチで配置される計4個の孔(2個のタイロッド孔と2個のボルト孔)の周囲に分散されるので特に問題にはならないが、前部シェルは、応力の大部分を2個のタイロッド孔周りで負担することになる。
そのために、タイロッド孔の中心から補強リブまでの距離が適切でない場合、集中した応力によって前部シェルが変形することが懸念される。
その変形を防止するために、前部シェルについては補強リブの設置箇所をタイロッド孔の設置ピッチや設置角の違いに合わせて変えていたのであるが、この方法は、シェルの種類が増え、生産性やコストなどの面で好ましくない。
そこで、この発明は、負圧式倍力装置のブースタシェルの前部シェルに設ける補強リブの形状を工夫して前部シェルの共通化を図り、タイロッド孔の設置ピッチと設置角を異ならせる要求に同一前部シェルで対応できるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明は、前部シェルと後部シェルを組み合わせたブースタシェルを有し、そのブースタシェルの内部がパワーピストンの隔壁部材によって定圧室と変圧室に区画され、
前記前部シェルは、その前部シェルを屈曲させて形成される補強リブとタイロッドを挿通する2個のタイロッド孔を備え、前記2個のタイロッド孔が前記ブースタシェルの中心を通って径方向に延びる直線上に配置され、そのタイロッド孔に挿通されたタイロッドによって前記ブースタシェルにマスタシリンダが締結される負圧式倍力装置を改善の対象にして、
前記前部シェルの補強リブを、楕円の中心が前記前部シェルの中心にあり、なおかつ、前記タイロッド孔の中心と前記前部シェルの中心を結ぶ軸線上に楕円の長軸が配設される仮想楕円に沿って形成した。前記タイロッド孔の中心とは、同一前部シェルで対応しようとするタイロッド孔の中で設置ピッチが最大となる孔の中心を指す。
前記仮想楕円は、設置ピッチと設置角の異なるタイロッド孔を前部シェルの端面を表した図面上に描き、描かれた各タイロッド孔の中心がおかれる楕円を基準にしてその基準楕円の外周に平行に沿った楕円にすると好ましい。
その仮想楕円に沿って設ける補強リブは、周方向に連続したリブであってもよいし、周方向に不連続(断続配置)のリブであってもよい。
補強リブを周方向に不連続に形成する形態では、少なくとも仮想楕円の長軸の両端付近では補強リブを仮想楕円上に配置し、その他の領域の補強リブは、前記仮想楕円上、もしくは、その仮想楕円に近接した位置に配置する。
かかる負圧式倍力装置は、前記補強リブに囲まれる領域に内側補強リブを形成すると好ましい。
その内側補強リブは、前記仮想楕円の内側に、楕円の長軸が前記前部シェルの中心において前記仮想楕円の長軸と直交する内側仮想楕円を設定し、その内側仮想楕円上に配設するのがよい。
この発明の負圧式倍力装置は、補強リブを仮想楕円に沿う形状となしたので、設置ピッチと設置角が共に異なるタイロッド孔を形成する場合において、それぞれのタイロッド孔の中心から補強リブまでの距離が適切に保たれるようにその補強リブを配設することができる。
補強リブを前記基準楕円と相似形で基準楕円と平行な楕円に沿って配設するものは特に、設置ピッチと設置角が共に異なるタイロッド孔について、それらの孔の中心から補強リブまでの距離を一定に保つことができ、補強リブによる補強効果を安定して発揮させることが可能である。
これにより、タイロッド孔の設置ピッチと設置角を異ならせる要求に対して前部シェルを共通化することができ、補強リブを設けることでシェルの薄肉化や軽量化を図ったブースタシェルの種類の削減、生産性向上、コスト低減などの効果を期待できるようになる。
この発明の負圧式倍力装置の一例を示す断面図である。 図1の負圧式倍力装置を、マスタシリンダを取付けた状態にして示す前部シェル側の端面図である。 前部シェルの補強リブ設置部を、マスタシリンダを取外した状態にして示す拡大端面図である。 マスタシリンダの取付け方向が図2とは反対周りの方向に傾いた負圧式倍力装置の一例を示す前部シェル側の端面図である。 タイロッド孔の設置ピッチと設置角を異ならせる例を示す図
以下、この発明の負圧式倍力装置の実施の形態を、添付図面の図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示した負圧式倍力装置1は、ブースタシェル2と、パワーピストン3と、入力ロッド4と、出力ロッド5と、パワーピストン3を復帰させるリターンスプリング6と、2本のタイロッド7と、そのタイロッド7と組み合わせてブースタシェル2を自動車の車体に固定する取付けボルト15(図1参照)を組み合わせて構成されている。
ブースタシェル2は、前部シェル2aと後部シェル2bとからなる。前部シェル2aは、車のエンジンの給気マニホールドに接続される吸引ポート14を有する。
タイロッド7は、ブースタシェル2の中心を通って径方向に延びる直線上に配置されており、そのタイロッド7と後部シェル2bに係止させる既述の取付けボルト15を締結具にしてブースタシェル2が車両の車体に固定される。
パワーピストン3は、プレッシャプレートPpとダイヤフラムDpとからなる隔壁部材3aと、内部に負圧弁Vvと大気弁Avを備えたバルブピストン3bを組み合わせて構成されており、このパワーピストン3の隔壁部材3aによって、ブースタシェル2の内部が定圧室8と変圧室9に区画されている。
負圧弁Vvは、定圧室8と変圧室9を連通させる通路に配置されてその通路を開閉する。また、大気弁Avは、変圧室9を外部につなぐ通路に配置されてその通路を開閉する。
入力ロッド4はバルブピストン3bに挿入されており、運転者のブレーキ操作によってその入力ロッド4が押し込まれると負圧弁Vvの弁体が弁シートに接して負圧弁Vvが閉じ、定圧室8と変圧室9の連通が断たれる。
また、入力ロッド4の更なる押し込みによって、大気弁Avの弁体が弁シートから離れ、大気弁Avが開いて変圧室9に大気が流入する。
これにより、定圧室8と変圧室9に圧力差が生じ、その圧力差を受けたパワーピストン3が推進し、その推力(ブレーキ操作力に応じて増幅された力)が出力ロッド5を介してマスタシリンダMCに伝わってマスタシリンダMCが作動する。かかる作動メカニズムは、従来品の負圧式倍力装置と同じである。
例示の負圧式倍力装置1のブースタシェル2を構成する前部シェル2aと後部シェル2bは、それぞれがシェルを屈曲させて作り出された補強リブ10を内側に有している。
また、前部シェル2aと後部シェル2bは、それぞれがタイロッド7を挿通するタイロッド孔12を2個備えている。
図示の負圧式倍力装置1に採用された前部シェル2aの端面形状を図2に示す。前部シェル2aは、中心にマスタシリンダMCの入力側を挿入する挿通孔13(図1参照)を有する。
タイロッド孔12は、ブースタシェル2の中心を通って径方向に延びる直線上、かつ、挿通孔13を間に挟んで180°回転した位置に配設されている。
図には示していないが、後部シェル2bのタイロッド孔も、前部シェル2aと同様の配置になっている。
前部シェル2aの補強リブ10は、図3に示すように、仮想楕円BEに沿って形成されている。仮想楕円BEは楕円の中心が前部シェル2aの中心Oにあり、なおかつ、最大設置ピッチのタイロッド孔12の中心と前部シェルの中心Oを結ぶ直線L1上に長軸がある。
図示の前部シェル2aに設けた補強リブ10は、周方向に不連続(断続的)に形成され、仮想楕円BEの長軸の両端側に配設されるもの(説明の便宜上これを10aとする)と仮想楕円BEの短軸の両端側(その他の領域)に配設されるもの(同じくこれを10bとする)が切り離されている。
補強リブ10aは、仮想楕円BEと相似形で仮想楕円BEに重なる形状とされている。また、その他の領域に配設される補強リブ10bは、仮想楕円BEに近接して沿う領域に配設されている。
図示の仮想楕円BEは、図3に示すように、設置ピッチと設置角の異なるタイロッド孔(同一ブースタシェルで対応するタイロッド孔)12を前部シェル2aの端面図上に描き、描かれた各タイロッド孔12の中心が配置される楕円を基準にしてその基準楕円CEの外周に平行に沿わせた基準楕円CEと相似形の楕円となしている。
補強リブ10は、全域が周方向に連続している形状であってもよい。また、図2、図3のように、周方向に不連続に形成する補強リブ10は、少なくとも仮想楕円BEの長軸の両端付近におかれる補強リブ10aは仮想楕円BE上に配置する。
その他の領域の補強リブ10bは、仮想楕円BEに近接していれば仮想楕円BEから多少外れた位置にあってもよく、その形状も前部シェル2aの中心と同心の円に沿う図2、図3の如き形状にしても構わない。
なお、例示の前部シェル2aは、好ましい形態として、補強リブ10に囲まれる領域に内側補強リブ11を形成している。
その内側補強リブ11は、前部シェル2aの中心Oにおいて直線L1(即ち、仮想楕円BEの長軸)と直交する直線L2上に楕円の長軸がある内側仮想楕円BEを仮想楕円BEの内側に設定してその内側仮想楕円BE上に配設しており、内側補強リブ11の無いものと比較するとリブによる前部シェル2aの周方向各部の補強がバランスよくなされ、定圧室と外部の圧力差に対する前部シェル2aの耐性がより向上する。
図4は、マスタシリンダMCの取付け方向(取付けフランジFの取付け方向)が図2とは異なる方向に傾いた負圧式倍力装置に対してこの発明を適用したものである。
この形態も、楕円の中心が前部シェル2aの中心にあり、なおかつ、長軸が2個のタイロッド孔の中心を結ぶ直線L1上にある仮想楕円BEを設定してその仮想楕円BEに沿って補強リブ10を形成することで、設置ピッチと設置角の異なるタイロッド孔を設けるときに、設置されるタイロッド孔の中心から補強リブ10までの距離を適切に保つことができる。
マスタシリンダの取付け方向は、取付けフランジFがシェルの中心を通る垂直な線に対して左回りの方向に傾いた図2の方向と、右回りの方向に傾いた図4の方向があるが、この発明を適用すれば、どちらの形態においても、タイロッド孔の設置ピッチと設置角のずれに対して前記仮想楕円の長軸向きを異ならせた2種類の前部シェルで対応することが可能になる。
なお、後部シェル2bは、タイロッド孔とボルト孔が周方向にほぼ90°ピッチで交互に配置されているのでタイロッド孔周りに加わる応力が前部シェルに比べると小さい。従って、後部シェル2bは、その後部シェルの中心と同心円上に補強リブを設けたものでよい。
1 負圧式倍力装置
2 ブースタシェル
2a 前部シェル
2b 後部シェル
3 パワーピストン
3a 隔壁部材
Pp プレッシャプレート
Dp ダイヤフラム
3b バルブピストン
Vv 負圧弁
Av 大気弁
4 入力ロッド
5 出力ロッド
6 リターンスプリング
7 タイロッド
8 定圧室
9 変圧室
10,10a、10b 補強リブ
11 内側補強リブ
12 タイロッド孔
13 挿通孔
14 吸引ポート
15 取付けボルト
MC マスタシリンダ
L1 タイロッド孔の中心と前部シェルの中心とを結ぶ直線
L2 前部シェルの中心で直線L1と直交する直線
BE 仮想楕円
CE 基準楕円
BE 内側仮想楕円
O 前部シェルの中心

Claims (6)

  1. 前部シェルと後部シェルを組み合わせたブースタシェルを有し、そのブースタシェルの内部がパワーピストンの隔壁部材によって定圧室と変圧室に区画され、
    前記前部シェルは、その前部シェルを屈曲させて形成される補強リブとタイロッドを挿通する2個のタイロッド孔を備え、前記2個のタイロッド孔が前記前部シェルの中心を通って径方向に延びる直線上に配置され、そのタイロッド孔に挿通されたタイロッドによって前記ブースタシェルにマスタシリンダが締結される負圧式倍力装置において、
    前記前部シェルの補強リブを、楕円の中心が前記前部シェルの中心にあり、なおかつ、前記タイロッド孔の中心と前記前部シェルの中心とを結ぶ軸線上に楕円の長軸が配設される仮想楕円に沿って形成したことを特徴とする負圧式倍力装置。
  2. 前記補強リブに囲まれる領域に内側補強リブを形成した請求項1に記載の負圧式倍力装置。
  3. 前記仮想楕円の内側に、楕円の長軸が前記前部シェルの中心において前記仮想楕円の長軸と直交する内側仮想楕円を設定し、その内側仮想楕円上に前記内側補強リブを配設した請求項2に記載の負圧式倍力装置。
  4. 前記仮想楕円を、設置ピッチと設置角の異なるタイロッド孔を前部シェルの端面を表した図面上に描き、描かれた各タイロッド孔の中心がおかれる楕円を基準にしてその基準楕円の外周に平行に沿う楕円にした請求項1〜3のいずれかに記載の負圧式倍力装置。
  5. 前記補強リブを、周方向に不連続のリブにした請求項1〜4のいずれかに記載の負圧式倍力装置。
  6. 前記補強リブを、周方向に連続したリブにした請求項1〜4のいずれかに記載の負圧式倍力装置。
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