JP2015226405A - コイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向に線材を複数層巻回した所望の形状を有する蛇行環状コイルを断線させること無く得る。
【解決手段】本発明のコイル成形装置は、少なくとも軸方向に線材11を複数層巻回した筒状を成す環状コイル12を成形して、周方向に複数の蛇行部13aを形成する装置であって、環状コイル12の蛇行部形成箇所12aを挟むように環状コイル12を支持する固定側支持手段20と、蛇行部形成箇所12aを支持する可動側支持手段30と、蛇行部形成箇所12aを支持した可動側支持手段30を固定側支持手段20から環状コイル12の軸方向に離間させて蛇行形成箇所12aを蛇行させる移動手段40とを備える。固定側支持手段20が支持する環状コイル12の支持部が描く円を縮径可能な固定側縮径手段27と、可動側支持手段30が支持する環状コイル12の支持部が描く円を縮径可能な可動側縮径手段37とを更に備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、線材が環状に巻回された環状コイルを成形して、周方向に複数の蛇行部を形成するコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法に関するものである。
従来、ハイブリッド車両用モータ、又は電気自動車用モータとして、ロータに永久磁石を使用した永久磁石式交流同期モータ又はブラシレスDCモータが良く使用されている。この種のモータとして、U相、V相、W相からなる3相の各相毎の巻線が周方向で隣り合うティース(クローポール)間を縫うようにして周回させられることで巻線が波状に巻装された蛇行環状コイルを備え、このような蛇行環状コイルを備えるステータによりロータを3相駆動する永久磁石式3相同期モータが知られている。
そして、このような波状の蛇行環状コイルを得る方法として、少なくとも径方向に線材が複数層巻装された円盤状の環状コイルを、複数の第1金型を有する第1金型ユニットと複数の第2金型を有する第2金型ユニットとの間に配置する工程と、第1金型ユニットと第2金型ユニットとを相対的に接近させるように移動して、環状コイルをその軸方向に第1金型と第2金型とでプレス成形する工程とを備え、プレス成形工程は、環状コイルに複数の蛇行部を形成すると同時に環状コイル径方向に縮径させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、小型のモータとしては、ステータコアを用いることの無いコアレスモータが知られており、このようなステータのコイルにあっても、蛇行環状コイルが用いられる。即ち、従来のコアレスコイル式モータは、ヨークをなすステータフレームの全周に界磁コイルをなす複数のコアレスコイルを取付け、これと対向する磁極を備えるロータをシャフトによって回転可能に軸支して構成する。このようなコアレスコイルは鉄心を持たないことから、ステータとロータとの間の磁気抵抗が全回転角度位置において変化することがなく、コギングトルクのない滑らかな回転特性を有するので、ブラシレス型の高効率高速回転用モータを構成することができるとしている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2009−225544号公報 特開2001−136696号公報
しかし、小型のコアレスモータにおける蛇行環状コイルを、車両に用いられるような比較的大型のモータにおける蛇行環状コイルと同様に、プレス成形により得ようとすると、使用される線材が比較的細いことから、そのプレス成形時に線材が局部的に圧縮されると断線してしまうおそれがある。
また、小型のコアレスモータにおける蛇行環状コイルにあっては、径方向に線材が巻層される上記従来の車両に用いられるモータと異なり、成形される以前の環状コイルにおける各線材が、軸方向に複数層巻装された筒状を成す。このために、上記車両に用いられるような比較的大型のモータにおける蛇行環状コイルと同様に、その環状コイルを軸方向にプレス成形すると、軸方向に複数層巻装された線材の一部又は全部が径方向に移動して崩れ、軸方向に線材が積層された蛇行環状コイルが得られないおそれもある。
本発明の目的は、軸方向に線材を複数層巻回した所望の形状を有する蛇行環状コイルを断線させること無く得るコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法を提供することにある。
本発明のコイル成形装置は、少なくとも軸方向に線材を複数層巻回した筒状を成す環状コイルを成形して、周方向に複数の蛇行部を形成する装置である。
その特徴ある構成は、環状コイルの蛇行部形成箇所を挟むように環状コイルを支持する固定側支持手段と、蛇行部形成箇所を支持する可動側支持手段と、蛇行部形成箇所を支持した可動側支持手段を固定側支持手段から環状コイルの軸方向に離間させて蛇行形成箇所を蛇行させる移動手段とを備えたところにある。
このコイル成形装置では、固定側支持手段が支持する環状コイルの支持部が描く円を縮径可能な固定側縮径手段と、可動側支持手段が支持する環状コイルの支持部が描く円を縮径可能な可動側縮径手段とを更に備えることが好ましい。
そして、固定側支持手段は環状コイルを内周側から支持する下内周側支持部と環状コイルを外周側から支持する下外周側支持部を備え、下内周側支持部と下外周側支持部の環状コイルを挟む対向面が得ようとする蛇行環状コイルの内径及び外径と略同一の曲率半径を有する湾曲面に形成され、下内周側支持部と下外周側支持部が環状コイルを挟むと下内周側支持部と下外周側支持部の間の間隔が環状コイルを形成する線材の外径と同一か又は僅かに広くなるように構成され、可動側支持手段は環状コイルを内周側から支持する上内周側支持部と環状コイルを外周側から支持する上外周側支持部を備え、上内周側支持部と上外周側支持部の環状コイルを挟む対向面が得ようとする蛇行環状コイルの内径及び外径と略同一の曲率半径を有する湾曲面に形成され、上内周側支持部と上外周側支持部が環状コイルを挟むと上内周側支持部と上外周側支持部の間の間隔が環状コイルを形成する線材の外径と同一か又は僅かに広くなるように構成されたことが更に好ましい。
一方、本発明のコイル成形方法は、上記コイル成形装置を用い、少なくとも軸方向に線材を複数層巻回した筒状を成す環状コイルを成形して、周方向に複数の蛇行部を形成する方法である。
その特徴ある点は、環状コイルの蛇行部形成箇所を挟むように環状コイルを固定側支持手段にて支持し、蛇行部形成箇所を可動側支持手段により支持し、蛇行部形成箇所を支持した可動側支持手段を固定側支持手段から環状コイルの軸方向に離間させて蛇行部形成箇所を蛇行させるところにある。
このコイル成形方法では、可動側支持手段を固定側支持手段から離間させる際に、固定側支持手段が支持する環状コイルの支持部が描く円及び可動側支持手段が支持する環状コイルの支持部が描く円を縮径させることが好ましく、環状コイルが溶剤又は熱により溶融する表層を有する自己融着線により作製され、その表層を溶融させた状態で可動側支持手段を固定側支持手段から離間させることが更に好ましい。
本発明のコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法では、環状コイルの蛇行部形成箇所を支持した可動側支持手段を固定側支持手段から離間させることにより、蛇行部を形成する。即ち、本願発明では、従来のプレス成形による蛇行部の形成では無く、引っ張り成形により蛇行部を形成するので、例え使用される線材が比較的細い環状コイルであっても、その線材が局部的に圧縮されるようなことはない。よって、線材が局部的に圧縮されることにより、その線材が断線するようなことはない。そして、その引っ張り成形の際に、環状コイルの支持部が描く円を縮径させて、環状コイルの全長が延びる様なことを防止することにより、その引っ張り成形の際に、線材が引き千切られることを回避することもできる。
また、筒状を成す環状コイルを、その内周側と外周側から支持部により支持し、それらの隙間を環状コイルを形成する線材の外径と同一か又は僅かに広くなるようにすれば、引っ張り成形の際に、それら支持部に挟まれた環状コイルの軸方向に複数層巻回された線材が径方向にずれて崩れるようなことを防止することができる。
更に、線材として、自己融着線を用いれば、環状コイル及びそれを成形することにより得られた蛇行環状コイルの形状を維持することもできる。よって、本発明は、軸方向に線材を複数層巻回した所望の形状を有する蛇行環状コイルを断線させること無く得ることができるコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法となる。
本発明実施形態におけるコイル成形装置の正面図である。 そのコイル成形装置の側面図である。 その固定側支持手段と可動側支持手段を示す側面図である。 図3のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 成形以前の固定側支持具と可動側支持具の配置状態を示す平面図である。 成形後の固定側支持具と可動側支持具の配置状態を示す図6に対応する平面図である。 その成形後の固定側支持手段と可動側支持手段を示す側面図である。 その縮径手段におけるカム板を示す図3のC−C線断面図である。 成形以前の環状コイルを支持する固定側支持具と可動側支持具の展開図である。 成形後の固定側支持具と可動側支持具の図9に対応する展開図である。 その成形に用いられる環状コイル及び成形後の蛇行環状コイルを示す図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のコイル成形装置10は、線材11が環状に巻回された環状コイル12(図12)を成形して、周方向に蛇行部13aを形成するものである。図12(a)に示すように、環状コイル12は少なくとも軸方向に線材11を複数層巻回した筒状を成すものである。
この環状コイル12は、図示しないが、断面が円形の巻芯を回転させて、線材11をその巻芯の外周に巻回して軸方向に複数層積層巻回することにより得ることができる。このような巻芯を回転させるような巻線機は市販されているので、そのような市販の巻線機を用いて、本発明において用いる環状コイル12を得ることができる。よって、この巻線機に関する詳細な説明は省略する。
図1及び図2に示すように、このような環状コイル12を成形する本発明のコイル成形装置10は、その環状コイル12(図12)を支持する固定側支持手段20を備える。この固定側支持手段20は、環状コイル12の蛇行部形成箇所12a(図10)を挟むように環状コイル12を支持するものである。
図3に詳しく示すように、この実施の形態における固定側支持手段20は、実際に環状コイル12を支持する複数の固定側支持具21と、その固定側支持具21により環状コイル12を支持させ又はその支持を解放させる複数の固定側アクチュエータ26と、それら複数の固定側支持具21が描く円を縮径可能な固定側縮径手段27とを有する。
そして、複数の固定側支持具21は、環状コイル12を内周側から支持する下側内周支持部材22と、その環状コイル12を外周側から支持する下側外周支持部材23とをそれぞれ備える。
この実施の形態では、環状コイル12の周方向の4カ所に蛇行部13a(図12)を形成する場合を示し、この4カ所の蛇行部形成箇所12a(図10)を挟むように水平状態の環状コイル12を支持するために、4箇の固定側支持具21を備える場合を示す。
そして、この4箇の固定側支持具21は、図4に示すように、下側支持板24の上面において放射状に移動可能に支持される。ここで、図1に示すように、下側支持板24は、台座16の水平な上面に支柱17を介してその上方に水平に設けられる。
図3及び図4に示すように、下側支持板24には、その上面中央から放射状に90度毎にスライド溝24aが形成され、このスライド溝24aに固定側支持具21における下側内周支持部材22が移動可能に設けられる。
この下側内周支持部材22は、そのスライド溝24aに進入する基部22aと、下側支持板24の中央側における基部22aから上方に突出して環状コイル12の内周側に当接する下内周側支持部22bとを有する。
アクチュエータ26は、流体圧によりスライダ26bを往復始動させる流体圧シリンダであって、そのスライダ26bがスライド溝24aに沿って移動するように、その本体部26aが、スライド溝24aから表出する下側内周支持部材22の基部22aに設けられる。
そのアクチュエータ26のスライダ26bには下側外周支持部材23が取付けられ、その下側外周支持部材23は、そのスライダ26bとともにスライド溝24aに沿って移動可能に構成される。
下側外周支持部材23は、その本体23aがスライダ26bに固定され、下側支持板24の中央側における本体23aには、下側外周支持部材23における下内周側支持部22bに対向する下外周側支持部23bが形成される。
下内周側支持部22bには、環状コイル12が載置される載置ピン22cが外側に向かって突出して設けられ、下外周側支持部23bには、その載置ピン22cが進入する孔23c(図3)が形成される。
また、下外周側支持部23bには、その載置ピン22cに載置された環状コイル12を下内周側支持部22bとともに挟んだ場合に、その環状コイル12の上側に支持片23dが設けられる。この実施の形態における支持片23dは一対のピン状物であって(図10)、この支持片23dのスライダ26b面から突出している高さは、環状コイル12を形成する線材11の外径と同一か又は僅かに高く形成される。
また、図4に示すように、下内周側支持部22bと下外周側支持部23bの環状コイル12を挟む対向面は、得ようとする蛇行環状コイル13(図12(b))の内径及び外径と略同一の曲率半径を有する湾曲面、すなわち図7に示す縮径された状態の曲率で形成され、図6及び図7に示すように、両者が環状コイル12を挟むと、支持片23dの先端に下内周側支持部22bの曲率面が当接し、その間の間隔を環状コイル12を形成する線材11の外径と同一か又は僅かに広くなるように構成される。
これにより、これらにより下内周側支持部22bと下外周側支持部23bに挟まれた環状コイル12の軸方向に複数層巻回された線材11が径方向にずれて崩れるようなことを防止するように構成される。
図3に示すように、下側内周支持部材22のスライド溝24aに進入する基部22aには、下側支持板24を貫通する支持ピン22dが設けられ、下側支持板24には、この支持ピン22dがスライド溝24aに沿って移動可能な長孔24b(図9)が形成される。
また、図3及び図9に示すように、下側内周支持部材22を含む複数の固定側支持具21が描く円を縮径可能な固定側縮径手段27は、このような支持ピン22dがカム溝28aに挿入された下側カム板28と、この下側カム板28を回転させる下側モータ29とを備える。
図9に示すように、下側カム板28には、4箇の下側内周支持部材22における支持ピン22dが進入するカム溝28aがそれぞれ形成され、それらのカム溝28aは、図3に示すスライド溝24aが形成された中央から支持ピン22dまでの距離が常に等しくなるように、周方向に延びて90度毎に形成され、一端がその中央に接近し、他端がその中央から離間するように形成される。
図3に示すように、下側モータ29の回転軸29aには、このような下側カム板28の中央が取付けられ、このような下側カム板28を下側モータ29はその中央を中心に回転可能に構成される。
そして、下側モータ29がその下側カム板28を回転させることにより、カム溝28aに進入した支持ピン22dはカム板28の回転軸を中心とする同心円状にあって、長孔24bに沿って放射状に移動し、支持ピン22dが設けられた複数の固定側支持具21が描く円を縮径し又は拡径可能に構成される。
図3及び図5に示すように、このコイル成形装置10は、上述した固定側支持手段20が支持する環状コイル12の蛇行部形成箇所12a(図10)の略中央を支持する可動側支持手段30を備える。
この可動側支持手段30は上記固定側支持手段20に対向して設けられ、この実施の形態では、固定側支持手段20に環状コイル12を水平に載置するので、この可動側支持手段30は上記固定側支持手段20における鉛直方向上方に設けられる。
そして、この可動側支持手段30にあっても、実際に環状コイル12を支持する複数の可動側支持具31と、その可動側支持具31により環状コイル12を支持させ又はその支持を解放させる複数のアクチュエータ36と、それら複数の可動側支持具31が描く円を縮径可能な可動側縮径手段37とを有する。
可動側支持手段30は、上述した固定側支持手段20の上下を逆にしたものと略同一構造である。このため、複数の可動側支持具31は、環状コイル12を内周側から支持する上側内周支持部材32と、その環状コイル12を外周側から支持する上側外周支持部材33とをそれぞれ備える。
この実施の形態では、環状コイル12の周方向の4カ所に蛇行部13a(図12)を形成する場合を示すので、4箇の可動側支持具31を備える場合を示す。そして、この4箇の可動側支持具31は、上側支持板34の下面において放射状に移動可能に支持される。
具体的に、上側支持板34には、その下面中央から放射状に90度毎にスライド溝34aが形成され、このスライド溝34aに可動側支持具31における上側内周支持部材32が移動可能に設けられる。
但し、固定側支持手段20は、環状コイル12の蛇行部形成箇所12aを挟むように支持するものであるのに対して、可動側支持手段30は、その蛇行部形成箇所12a自体を支持するものである(図10)。
このため、この可動側支持手段30を構成する上側内周支持部材32を移動可能に設けるスライド溝34aは、図5に示すように、下側支持板24に形成されたスライド溝24aの間において形成される。
即ち、下側支持板24には90度毎にスライド溝24aが形成されているので(図4)、上側支持板34には、そのスライド溝24aに対して、45度傾斜するようなスライド溝34aが形成される。
図3及び図5に示すように、上側内周支持部材32は、そのスライド溝34aに進入する基部32aと、上側支持板34の中央側における基部32aから下方に突出して環状コイル12の内周側に当接する上内周側支持部32bとを有する。
アクチュエータである流体圧シリンダ36の本体部36aはスライド溝34aから表出する基部32aに設けられ、そのアクチュエータ36のスライダ36bに上側外周支持部材33が取付けられる。そして、その上側外周支持部材33は、そのスライダ36bとともにスライド溝34aに沿って移動可能に構成される。
上側外周支持部材33は、その本体部33aがスライダ36bに固定され、上側支持板34の中央側における本体部33aには、上側外周支持部材33における上内周側支持部32bに対向する上外周側支持部33bが形成される。上外周側支持部33bには、環状コイル12を上内周側支持部32bとともに挟んだ場合に、その環状コイル12の下側に成形片33d(図5)が設けられる。
この実施の形態における成形片33dは一対のピン状物であって、この成形片33dの上外周側支持部33b面から突出している高さは、環状コイル12を形成する線材11の外径と同一か又は僅かに高く形成される。
図5に示すように、上内周側支持部32bと上外周側支持部33bは、得ようとする蛇行環状コイル13(図12(b))の内径及び外径取略同一の曲率半径を有する湾曲面、すなわち図7に示す縮径された状態の曲率で形成され、図6及び図7に示すように、両者が環状コイル12を挟むと、成形片33dの先端に上内周側支持部32bの曲率面が当接し、その間の間隔を環状コイル12を形成する線材11の外径と同一か又は僅かに広くなるように構成される。これにより、これらにより挟まれた環状コイル12の軸方向に複数層巻回された線材11が径方向にずれて崩れるようなことを防止する。
図3に示すように、上側内周支持部材32のスライド溝34aに進入する基部32aには、上側支持板34を貫通する支持ピン32dが設けられ、上側支持板34には、この支持ピン32dがスライド溝34aに沿って移動可能な長孔34bが形成される。このように構成された複数の可動側支持具31が描く円を縮径可能な可動側縮径手段37は、このような支持ピン32dがカム溝38aに挿入された上側カム板38と、この上側カム板38を回転させる上側モータ39とを備える。
上側モータ39は、その回転軸39aを下方に向けて水平板47に取付けられ、上側支持板34は水平板47の下方に支柱48を介して水平に取付けられる。上側カム板38は上述した下側カム板28と同一構造であり、繰り返しての説明を省略する。
図3に示すように、上側モータ39の回転軸39aには、このような上側カム板38の中央が取付けられ、このような上側カム板38を上側モータ39はその中央を中心に回転可能に構成される。そして、上側モータ39がその上側カム板38を回転させることにより、図5に示す複数の可動側支持具31が描く円を縮径又は拡径可能に構成される。
図1及び図2に示すように、このコイル成形装置10は、可動側支持手段30を固定側支持手段20から環状コイル12の軸方向に離間させる移動手段40を備える。台座16には、固定側支持手段20に隣接するように支持部材18が立設される。
移動手段40は、その固定側支持手段20より上方の支持部材18に鉛直方向に延びかつ水平方向に所定の間隔を空けて設けられた一対の鉛直レール41,41と、その鉛直レール41,41に移動可能に設けられた鉛直スライダ42,42と、その一対の鉛直レール41,41におけるそれぞれの鉛直スライダ42,42に水平方向における両端部が取付けられることによりその一対の鉛直レール41,41に昇降可能に架設された鉛直移動台43と、一対の鉛直レール41,41の間にそれらと平行に設けられて鉛直移動台43に螺合された鉛直ボールねじ44と、その鉛直ボールねじ44を回転させる鉛直方向サーボモータ46とを備える。
そして、鉛直移動台43に、可動側支持手段30を備える水平板47が取付けられる。水平板47の鉛直移動台43への取付けは、その水平板47に設けられた上側モータ39の回転軸39aが、台座16に設けられた固定側支持手段20における下側モータ29の回転軸29aに同軸になるように行われる。
よって、この移動手段40では、鉛直方向サーボモータ46により鉛直ボールねじ44を回転させると、それに螺合する鉛直移動台43が可動側支持手段30とともに、一対の鉛直レール41,41に沿って昇降するように構成される。
ここで、可動側支持手段30は固定側支持手段20の鉛直方向上方に設けられ、その固定側支持手段20には環状コイル12がその中心軸を鉛直にして水平に設けられる。このため、この移動手段40は、可動側支持手段30を固定側支持手段20から環状コイル12の軸方向に離間させるように構成される。
次に、上記コイル成形装置を用いた本発明のコイル成形方法について説明する。
本発明のコイル成形方法は、図12に示すように、少なくとも軸方向に線材11を複数層巻回した筒状を成す環状コイル12を成形して、周方向に複数の蛇行部13aを形成する方法である。
その特徴ある点は、図10に示すように、その環状コイル12の蛇行部形成箇所12aを挟むように環状コイル12を固定側支持手段20にて支持し、蛇行部形成箇所12aを可動側支持手段30により支持し、図11に示すように、蛇行部形成箇所12aを支持した可動側支持手段30を固定側支持手段20から環状コイル12の軸方向に離間させて蛇行部形成箇所12aを蛇行させるところにある。
その具体的な手順を以下に説明する。
図12(a)に示すように、成形する環状コイル12は、少なくとも軸方向に線材11を複数層巻回した筒状を成すものである。この環状コイル12は、図示しないが、市販の巻線機を用い、断面が円形の巻芯を回転させて、線材11をその巻芯の外周に巻回して軸方向に複数層積層巻回することにより得ることができる。
この環状コイル12は、溶剤又は熱により溶融する表層を有する自己融着線により作製されることが好ましい。自己融着線であれば、巻芯の外周に軸方向に巻回した線材11を、溶融可能な表層を介して隣接する線材11に接着することにより、得られた環状コイル12の形状を維持し、その取り扱いを容易にすることができる。
この環状コイル12は、図10に示すように、その蛇行部形成箇所12aを挟むように固定側支持手段20にて支持する。このため、図2及び図3に示すように、移動手段40により可動側支持手段30を上方に移動させて、固定側支持手段20の上方を開放させておく。
上方空間が開放された固定側支持手段20では、更に図4に示すように、固定側縮径手段27より複数の固定側支持具21が描く円が環状コイル12と略同一になる程度にまで拡径させ、固定側アクチュエータ26により、下内周側支持部22bに対して下外周側支持部23bを離間させる。
そして、下内周側支持部22bに設けられた載置ピン22c上に環状コイル12を載置させ、その後、下内周側支持部22bに下外周側支持部23bを接近させて、図6に示すように、その載置ピン22cに載置された環状コイル12を下外周側支持部23bと下内周側支持部22bにより挟む。
ここで、固定側支持手段20は、環状コイル12の蛇行部形成箇所12a(図10)を挟むように環状コイル12を支持するものであるので、図10に示すように、環状コイル12の下外周側支持部23bと下内周側支持部22bにより挟まれた部分以外の部分、即ち、それらから成る固定側支持具21と周方向に隣接する固定側支持具21の間の部分が、環状コイル12の蛇行部形成箇所12aとなる。
次に、蛇行部形成箇所を可動側支持手段30により支持する。具体的には、図5に示しように、可動側縮径手段37より複数の可動側支持具31が描く円が環状コイル12と略同一になる程度にまで拡径させ、可動側アクチュエータ36により、上内周側支持部32bに対して上外周側支持部33bを離間させる。
そして、移動手段40により可動側支持手段30を下方に移動させて、図10に示すように、固定側支持手段20により支持された環状コイル12を離間した上内周側支持部32bと上外周側支持部33bの間に進入させる。
その後、上内周側支持部32bに上外周側支持部33bを接近させて、図6の一点鎖線で示すように、その環状コイル12の蛇行部形成箇所12aの略中央部分を上外周側支持部33bと上内周側支持部32bにより挟む。
図8及び図11に示すように、その後、このように蛇行部形成箇所12aを支持した可動側支持手段30を固定側支持手段20から環状コイル12の軸方向である鉛直方向に離間させて、その蛇行部形成箇所12aを蛇行させて蛇行部13aを形成する。具体的には、図1及び図2に示す鉛直方向サーボモータ46により鉛直ボールねじ44を回転させ、それに螺合する鉛直移動台43を可動側支持手段30とともに上昇させ、これにより蛇行部形成箇所12aを蛇行させて蛇行部13aを形成する。
このように本発明では、環状コイル12の蛇行部形成箇所12aを支持した可動側支持手段30を固定側支持手段20から離間させることにより、蛇行部13aを形成するので、従来のプレス成形による蛇行部の形成と異なり、引っ張り成形により蛇行部13aを形成するものと言える。
このことから、例え使用される線材11が比較的細い環状コイル12であっても、その線材11が局部的に圧縮されるようなことはない。よって、本発明では、線材11が局部的に圧縮されることにより、その線材11が断線するようなことはない。
また、この可動側支持手段30を固定側支持手段20から離間させる際に、図7に示すように、固定側支持手段20が支持する環状コイル12の支持部が描く円を固定側縮径手段27により縮径させ、及び可動側支持手段30が支持する環状コイル12の支持部が描く円を可動側縮径手段37により縮径させる。
これにより、可動側支持手段30を固定側支持手段20から離間させる際に、環状コイル12の全長が延びる様なことを防止する。これにより、その蛇行部形成箇所12aを蛇行させる際に、その蛇行部形成箇所12aにおける線材11が引き千切られることを回避することができる。
環状コイル12は溶剤又は熱により溶融する表層を有する自己融着線により作製されているので、その蛇行部形成箇所12aを蛇行させて蛇行部13aを形成するには、線材11の表層を溶剤又は熱により溶融させて、線材11同士の接着を解消させた状態で可動側支持手段30を固定側支持手段20から離間させる。
そして、蛇行部13aが形成された後には、その表層を固化させて、隣接する線材11同士が接着して、得られた蛇行環状コイル13(図12(b))の形状を維持させる。
その後、蛇行環状コイル13を取り外すけれども、その取り外しには、可動側アクチュエータ36により、上内周側支持部32bに対して上外周側支持部33bを先ず離間させ、それらによる蛇行部13aの挟み込みを解消させる。その後、移動手段40により可動側支持手段30を上方に移動させて、固定側支持手段20の上方空間を開放させる。そして、固定側アクチュエータ26により、下内周側支持部22bに対して下外周側支持部23bを先ず離間させ、それらによる蛇行環状コイル13の挟み込みを解消させる。この状態で、得られた蛇行環状コイル13を固定側支持手段20から取り外す。このとき、蛇行環状コイル13は、隣接する線材11同士が接着された状態であるので、その形状を維持した状態で取り外されることになる。
そして、本発明のコイル成形装置10において、筒状を成す環状コイル12は、固定側支持手段20における各支持部22b,23b、及び可動側支持手段30における各支持部32b,33bにより、内周側と外周側から支持され、それらの隙間を環状コイル12を形成する線材11の外径と同一か又は僅かに広くなるようにしている。このため、可動側支持手段30を固定側支持手段20から離間させる引っ張り成形の際に、それら支持部22b,23b,32b,33bに挟まれた環状コイル12の軸方向に複数層巻回された線材11が径方向にずれて崩れるようなことはない。よって、本発明は、軸方向に線材11を複数層巻回した所望の形状を有する蛇行環状コイル13を断線させること無く得ることができるコイル成形装置及びそれを用いたコイル成形方法となる。
なお、上述した実施の形態では、環状コイル12の周方向の4カ所に蛇行部13a(図12)を形成するために、4箇の固定側支持具21を備える場合を示したけれども、形成する蛇行部13aの数はこれに限定されるものではない。固定側支持具21が湾曲部形成箇所12aを挟むものである限り、例えば、3箇の固定側支持具21を用いて蛇行部13aを3カ所形成しても良く、5箇以上の固定側支持具21を用いて蛇行部13aを5カ所以上形成しても良い。
また、上述した実施の形態では、固定側支持手段20に水平状態の環状コイル12を支持させて、可動側支持手段30をその鉛直方向上方に設ける場合を説明した。けれども、可動側支持手段30を固定側支持手段20から環状コイル12の軸方向に離間させ得る限り、固定側支持手段20に中心軸を水平にする環状コイル12を支持させて、可動側支持手段30をその水平方向に設けても良い。
また、上述した実施の形態では、一対のピン状物からなる支持片23d及び成形片33dを用いて説明したけれども、この支持片23d及び成形片33dは蛇行環状コイル13の蛇行箇所の形状を作るものであり、一対のピン状物に限定されるものではない。即ち、この支持片23d及び成形片33dは、一対のピン状物でなくても良く、蛇行箇所の形状を形作ることができる他の形状のものであっても良い。
更に、図12では、上側に膨出する湾曲部13aと隣接する湾曲部13aを連結する下辺が湾曲部13aにおける上辺と略同一に描いているけれども、この下辺と上辺は必ずしも同一でなくても良く、例えば、湾曲部13aにおける上辺に対して、湾曲部13aと隣接する湾曲部13aを連結する下辺を長くなるようにしても良い。
10 コイル成形装置
11 線材
12 環状コイル
12a 蛇行部形成箇所
13 蛇行環状コイル
13a 蛇行部
20 固定側支持手段
22b 下内周側支持部
23b 下外周側支持部
27 固定側縮径手段
30 可動側支持手段
32b 上内周側支持部
33b 上外周側支持部
37 可動側縮径手段
40 移動手段

Claims (6)

  1. 少なくとも軸方向に線材(11)を複数層巻回した筒状を成す環状コイル(12)を成形して、周方向に複数の蛇行部(13a)を形成する装置であって、
    前記環状コイル(12)の蛇行部形成箇所(12a)を挟むように前記環状コイル(12)を支持する固定側支持手段(20)と、
    前記蛇行部形成箇所(12a)を支持する可動側支持手段(30)と、
    前記蛇行部形成箇所(12a)を支持した前記可動側支持手段(30)を前記固定側支持手段(20)から前記環状コイル(12)の軸方向に離間させて前記蛇行形成箇所(12a)を蛇行させる移動手段(40)と
    を備えたコイル成形装置。
  2. 固定側支持手段(20)が支持する環状コイル(12)の支持部が描く円を縮径可能な固定側縮径手段(27)と、可動側支持手段(30)が支持する環状コイル(12)の支持部が描く円を縮径可能な可動側縮径手段(37)とを更に備える請求項1記載のコイル成形装置。
  3. 固定側支持手段(20)は環状コイル(12)を内周側から支持する下内周側支持部(22b)と前記環状コイル(12)を外周側から支持する下外周側支持部(23b)を備え、
    前記下内周側支持部(22b)と前記下外周側支持部(23b)の前記環状コイル(12)を挟む対向面が得ようとする蛇行環状コイル(13)の内径及び外径と略同一の曲率半径を有する湾曲面に形成され、
    前記下内周側支持部(22b)と前記下外周側支持部(23b)が前記環状コイル(12)を挟むと前記下内周側支持部(22b)と前記下外周側支持部(23b)の間の間隔が前記環状コイル(12)を形成する線材(11)の外径と同一か又は僅かに広くなるように構成され、
    可動側支持手段(30)は前記環状コイル(12)を内周側から支持する上内周側支持部(32b)と前記環状コイル(12)を外周側から支持する上外周側支持部(33b)を備え、
    前記上内周側支持部(32b)と前記上外周側支持部(33b)の前記環状コイル(12)を挟む対向面が得ようとする蛇行環状コイル(13)の内径及び外径と略同一の曲率半径を有する湾曲面に形成され、
    前記上内周側支持部(32b)と前記上外周側支持部(33b)が前記環状コイル(12)を挟むと前記上内周側支持部(32b)と前記上外周側支持部(33b)の間の間隔が前記環状コイル(12)を形成する線材(11)の外径と同一か又は僅かに広くなるように構成された
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のコイル成形装置、
  4. 請求項1ないし3いずれか1項に記載のコイル成形装置(10)を用い、少なくとも軸方向に線材(11)を複数層巻回した筒状を成す環状コイル(12)を成形して、周方向に複数の蛇行部(13a)を形成する方法であって、
    前記環状コイル(12)の蛇行部形成箇所(12a)を挟むように前記環状コイル(12)を固定側支持手段(20)にて支持し、
    前記蛇行部形成箇所(12a)を可動側支持手段(30)により支持し、
    前記蛇行部形成箇所(12a)を支持した前記可動側支持手段(30)を前記固定側支持手段(20)から前記環状コイル(12)の軸方向に離間させて前記蛇行部形成箇所(12a)を蛇行させる
    ことを特徴とするコイル成形方法。
  5. 可動側支持手段(30)を固定側支持手段(20)から離間させる際に、固定側支持手段(20)が支持する環状コイル(12)の支持部が描く円及び可動側支持手段(30)が支持する環状コイル(12)の支持部が描く円を縮径させる請求項4記載のコイル成形方法。
  6. 環状コイル(12)が溶剤又は熱により溶融する表層を有する自己融着線により作製され、前記表層を溶融させた状態で可動側支持手段(30)を固定側支持手段(20)から離間させる請求項4又は5記載のコイル成形方法。
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