JP2015224420A - せん断パネル - Google Patents

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【課題】スリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現すると同時に、大変形時の耐力上昇抑制という課題を克服したせん断パネルを提供する。【解決手段】支持部材5に取り付けられてせん断力Tが作用するせん断パネル1に関する。面外方向Yに突出して設けられる一又は複数の山部2と、山部2に隣り合って設けられる谷部3とを備える。山部2は、面外方向Yの外側に配置される上フランジ21と、上フランジ21から稜線部22を形成して面外方向Yの内側に延びるウェブ23とを有する。谷部3は、ウェブ23から境界部31を形成して面内方向Xで前記上フランジの反対側に延びる下フランジ32を有する。ウェブ23の少なくとも一部は、稜線部22から下フランジ32に向けて延びる垂線Pよりも、面内方向Xで前記上フランジの中央側に配置される。【選択図】図3

Description

本発明は、支持部材に取り付けられてせん断力が作用するせん断パネルに関する。
従来より、山部と谷部とが隣り合って屈曲形成された折板を枠材に接合させるものとして、特許文献1〜3に開示される折板パネル構造が提案されている。
特許文献1に開示された折板パネル構造は、折板が谷部を介して枠材に接合されて、折板に面内せん断力が負荷された場合に、断面が略長方形状に形成された山部を山部軸方向と略直交方向に歪ませることによって、面内せん断力に対してエネルギー吸収させるものである。
特許文献2に開示された折板パネル構造は、地震力が作用したときに折板のねじ回りが支圧変形するように構成されているので、折板と枠材とのねじ接合部の局所崩壊によりエネルギーが吸収されて、折板の座屈や枠材の変形等によって急激に耐力低下することを回避することができるものである。
特許文献3に開示された折板パネル構造は、水平力で層間変形を発生する柱梁架構、又は柱スラブ架構の面内に、折り筋が水平方向となるように配置された波形鋼板が組み入れられて、波形鋼板全体をせん断降伏させることでエネルギー吸収を志向するものである。
特開2010−090650号公報 特開2009−209582号公報 特開2005−264713号公報
ここで、特許文献1に開示された折板パネル構造は、折板の山部断面が倒れ込むように歪む幾何学的変形によってエネルギー吸収させるものである。特許文献1に開示された折板パネル構造は、折板の山部断面の幾何学的変形によって、折板の折曲げ部(稜線部)を積極的に塑性化させて、板厚の薄い鋼板を用いた場合であっても、荷重変形関係において負荷荷重が小さい領域で変形のみが進展するスリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現することが可能となっている。
しかし、特許文献1に開示された折板パネル構造は、折板の山部断面の幾何学的変形が増大するにしたがって、稜線部周辺の加工硬化、山部端部での局所的な張力の発生、及びフランジ面の面外変形による斜張力場の形成が促進されて、折板全体が必要以上に耐力上昇するものとなる。このため、特許文献1に開示された折板パネル構造は、折板全体が必要以上に耐力上昇することで、折板が接合される枠材の耐力、剛性を向上させることが必要となるため、枠材の構造設計が複雑化するとともに、枠材重量が増加するおそれがあるという問題点があった。
また、特許文献2に開示された折板パネル構造は、折板と枠材とのねじ接合部の局所崩壊によりエネルギー吸収性能を確保するものであるが、折板が繰返し力を受けることでねじ接合部の局所破壊部分に滑り挙動が発生して、スリップ性状を発現した履歴性状を示すことになるという問題点があった。特許文献3に開示された折板パネル構造は、波形鋼板全体がせん断降伏した後の板要素の剛性低下に起因して、波形鋼板全体の塑性座屈が誘起される傾向にあることから、板厚の大きい鋼板を用いて塑性座屈を防止することが必要となるため、波形鋼板の薄肉軽量化を図ることが困難になるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、スリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現すると同時に、大変形時の耐力上昇抑制という課題を克服したせん断パネルを提供することにある。
第1発明に係るせん断パネルは、支持部材に取り付けられてせん断力が作用するせん断パネルであって、面外方向に突出して設けられる一又は複数の山部と、前記山部に隣り合って設けられる谷部とを備え、前記山部は、面外方向の外側に配置される上フランジと、前記上フランジから稜線部を形成して面外方向の内側に延びるウェブとを有し、前記谷部は、前記ウェブから境界部を形成して面内方向で前記上フランジの反対側に延びる下フランジを有し、前記ウェブの少なくとも一部は、前記稜線部から前記下フランジに向けて延びる垂線よりも、面内方向で前記上フランジの中央側に配置されることを特徴とする。
第2発明に係るせん断パネルは、第1発明において、前記ウェブの少なくとも一部は、前記稜線部と前記境界部とを面外方向に離間させた距離の略半分となる位置における略中央部より面外方向の内側で、前記稜線部から前記下フランジに向けて延びる垂線よりも、面内方向で前記上フランジの中央側に配置されることを特徴とする。
第3発明に係るせん断パネルは、第1発明又は第2発明において、前記境界部は、前記稜線部から前記下フランジに向けて延びる垂線よりも、面内方向で前記上フランジの中央側に配置されることを特徴とする。
第4発明に係るせん断パネルは、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記上フランジは、前記上フランジの強度が、下記(1)式により規定される関係を満足することを特徴とする。
Figure 2015224420
ここで、τy:前記上フランジがせん断降伏するときの強度、τe:前記上フランジが弾性せん断座屈するときの強度とする。
第5発明に係るせん断パネルは、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記山部は、前記稜線部から略直線状に形成される前記上フランジと、前記稜線部から前記境界部まで略直線状に傾斜して形成される前記ウェブとによって、断面略逆台形状となるように形成されることを特徴とする。
第6発明に係るせん断パネルは、第1発明〜第5発明の何れかにおいて、前記ウェブ及び前記下フランジは、前記ウェブと前記下フランジとによって形成される内角の角度が、前記境界部で50°以上、85°以下となるものであることを特徴とする。
第1発明〜第6発明によれば、左右方向に倒れ込むように歪む幾何学的変形を山部に引き起こして、稜線部周辺を塑性化させることによって、支持部材から作用する面内方向のせん断力に対してエネルギー吸収させることが可能となる。第1発明〜第6発明によれば、山部に幾何学的変形を引き起こして、稜線部周辺を積極的に塑性化させることによって、板厚の薄い鋼板が用いられた場合であっても、スリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現することが可能となる。
第1発明〜第6発明によれば、稜線部周辺の塑性化に伴って生じる加工硬化が促進された場合であっても、山部の幾何学的変形を増大させることができることから、全体として山部の耐力上昇が抑制されて、せん断パネルが全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。第1発明〜第6発明によれば、山部の幾何学的変形を増大させた場合であっても、下フランジから支持部材に作用する張力を低下させて、見かけ上の山部の耐力上昇が抑制されるため、せん断パネルが全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
第1発明〜第6発明によれば、せん断パネルが必要以上に耐力上昇することを回避して、下フランジが接合される支持部材の耐力、剛性を向上させることを必要としないものとすることができる。これにより、第1発明〜第6発明によれば、スリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現すると同時に、大変形時の耐力上昇抑制という課題を克服して、支持部材の構造設計を単純化させるとともに、せん断パネルや支持部材の板厚増加や重量増加を抑制することが可能となる。
特に、第2発明及び第3発明によれば、山部の幾何学的変形を増大させた場合であっても、斜張力を打ち消す方向に引延力が作用することで、山部端部での局所的な張力の発生、上フランジの斜張力場の形成、進展を遅延させることができる。これにより、第2発明及び第3発明によれば、山部端部での局所的な張力の発生、上フランジの斜張力場の形成、進展を遅延させて、見かけ上の山部の耐力上昇が抑制されるため、せん断パネルが全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
特に、第4発明によれば、上フランジの強度が、上記(1)式により規定される関係を満足するように、上フランジの幅厚比等の形状が設定されるため、山部端部での局所的な張力の発生、斜張力による上フランジの斜張力場の形成、進展を遅延させた状態を実現して、見かけ上の山部の耐力上昇を効果的に抑制させることができるものとなり、せん断パネルが全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
特に、第5発明によれば、断面略逆台形状となるように山部が形成されることで、山部の断面形状を単純なものとして、鋼板等を屈曲変形させるときの加工を容易にすることができる。これにより、第5発明によれば、鋼板等を屈曲変形させるときの加工を容易にして、せん断パネルの製造、加工コストを低減させることが可能となる。
特に、第6発明によれば、ウェブと下フランジとによって形成される内角の角度θを、境界部で50°以上として、変形初期の剛性及び耐力を確保するとともに、上フランジの斜張力の要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向の引延力が過剰に作用して不安定な崩壊挙動に遷移することを回避することができる。これにより、第6発明によれば、せん断パネルの変形初期における構造性能と、大変形時における耐力劣化及び耐力上昇の抑制とを両立させることが可能となる。
本発明を適用したせん断パネルが支持部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルが支持枠材に取り付けられた状態を示す正面図であり、(b)は、本発明を適用したせん断パネルが支持板材に取り付けられた状態を示す正面図であり、(c)は、本発明を適用したせん断パネルが支持板材に取り付けられて、支持板材に連結材が取り付けられた状態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルの変形前の状態を示す正面図であり、(b)は、そのA−A断面図である。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルの変形後の状態を示す正面図であり、(b)は、そのB−B断面図である。 本発明を適用したせん断パネルが支持部材に取り付けられた状態を示す断面図である。 本発明を適用したせん断パネルの上フランジが屈曲又は湾曲した状態を示す断面図である。 本発明を適用したせん断パネルのウェブが屈曲又は湾曲した状態を示す断面図である。 本発明を適用したせん断パネルのウェブが屈曲又は湾曲した状態の変形例を示す断面図である。 本発明を適用したせん断パネルの上フランジ及びウェブが屈曲又は湾曲した状態を示す断面図である。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルの変形前の状態を示す断面図であり、(b)は、その変形後の状態を示す断面図である。 (a)は、従来の折板パネルの変形前の状態を示す断面図であり、(b)は、その変形後の状態を示す断面図である。 本発明を適用したせん断パネル及び従来の折板パネルの変位と耐力との関係を示すグラフである。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルに作用する引張力を示す断面図であり、(b)は、従来の折板パネルに作用する引張力を示す断面図である。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルに作用する斜張力を示す斜視図であり、(b)は、従来の折板パネルに作用する斜張力を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用したせん断パネルの寸法を示す正面図であり、(b)は、その断面図である。 本発明を適用したせん断パネル及び従来の折板パネルにおける一般化幅厚比と荷重変形関係を示すグラフである。 本発明を適用したせん断パネルの単位体積あたりの耐力上昇抑制効果と角度θとの関係を示すグラフである。 本発明を適用したせん断パネルにおける耐力上昇抑制効果と一般化幅厚比との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用したせん断パネル1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したせん断パネル1は、住宅等の建築物や構造物等の壁材、屋根材又は床材等に適用されるものであって、図1に示すように、支持部材5に取り付けられるものである。
支持部材5は、図2に示すように、支持枠材51及び支持板材52の何れか一方又は両方を有する。支持部材5は、支持枠材51に断面略溝形等の薄板軽量形鋼等が用いられるとともに、支持板材52に略平板状の鋼板等が用いられるものである。支持部材5は、これに限らず、支持枠材51及び支持板材52に、如何なる形状、材質のものが用いられてもよい。
支持枠材51は、図2(a)に示すように、面内方向Xで略矩形状に組み合わされて、上辺部51a、下辺部51b、左辺部51c及び右辺部51dが形成される。支持板材52は、図2(b)に示すように、支持枠材51の左辺部51c及び右辺部51d等に取り付けられて、支持枠材51の左辺部51c及び右辺部51d等から面内方向Xに延びて設けられる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図2(a)に示すように、上端部1a、下端部1b、左端部1c及び右端部1dが形成されて、面内方向Xで略矩形状に形成される。本発明を適用したせん断パネル1は、上端部1a及び下端部1b、並びに左端部1c及び右端部1dの何れか一方又は両方が支持枠材51に取り付けられる。本発明を適用したせん断パネル1は、図2(b)に示すように、支持板材52に左端部1c及び右端部1dが取り付けられてもよく、図2(c)に示すように、支持板材52に左端部1c及び右端部1dが取り付けられるとともに、さらに対向する支持板材52に架設させて連結材53が設けられていてもよい。
本発明を適用したせん断パネル1は、図1に示すように、面外方向Yに突出して設けられる複数の山部2と、山部2に隣り合って設けられる複数の谷部3とを備える。本発明を適用したせん断パネル1は、左端部1c及び右端部1dの谷部3において、複数のドリルねじ4が所定の間隔を空けて取り付けられることによって、支持枠材51に縦向きに接合される。
本発明を適用したせん断パネル1は、これに限らず、上端部1a及び下端部1bにおいて、複数の谷部3の全部又は一部にドリルねじ4が取り付けられることによって、支持枠材51に接合されてもよい。本発明を適用したせん断パネル1は、ボルト、ビス、鋲、リベット、接着、スポット溶接、連続溶接等によって、支持枠材51に接合されてもよい。
本発明を適用したせん断パネル1は、支持部材5より建築物等の外側に取り付けられる場合に、建築物等の外側で面外方向Yに突出して山部2が設けられるものとなる。また、本発明を適用したせん断パネル1は、支持部材5より建築物等の内側に取り付けられる場合に、建築物等の内側で面外方向Yに突出して山部2が設けられるものとなる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図3に示すように、一の山部2と、一対の谷部3とを備えるものとしてもよい。本発明を適用したせん断パネル1は、略平板状の鋼板等を屈曲変形等させることによって、山部2と谷部3とが横方向に交互に形成されるものとして、縦方向に延びる山部2と谷部3とを備えるものとなる。
本発明を適用したせん断パネル1は、建築物等に地震荷重、風荷重等が作用して、支持枠材51の左辺部51cと右辺部51dとが縦方向で互いに逆向きに移動することによって、支持枠材51の左辺部51c及び右辺部51dから面内方向Xのせん断力Tが作用する。
本発明を適用したせん断パネル1は、図4に示すように、支持枠材51の左辺部51c及び右辺部51dから面内方向Xのせん断力Tが作用して、山部2及び谷部3の軸方向Zで一対の谷部3が互いに逆向きに移動することによって、山部2の断面形状が変形するものとなる。
山部2は、図5に示すように、支持部材5より面外方向Yに離間させた位置で面外方向Yの外側に配置される上フランジ21と、上フランジ21から稜線部22を形成して、面外方向Yの内側に延びるウェブ23とを有する。谷部3は、山部2のウェブ23から境界部31を形成して、山部2の中央より反対側に向けて、面内方向Xで上フランジ21の反対側に延びる下フランジ32を有する。なお、稜線部22及び境界部31は、多少の湾曲を有するように形成されてもよい。
山部2は、面内方向Xの両端部に形成された稜線部22から、上フランジ21が略直線状に形成されるとともに、稜線部22から谷部3の境界部31まで、面内方向Xで上フランジ21の中央側に向けて、ウェブ23が略直線状に傾斜して形成されることによって、断面略逆台形状となるように形成されるものとなる。
ウェブ23及び下フランジ32は、ウェブ23と下フランジ32とによって形成される内角の角度θが、境界部31で50°以上、85°以下となるものである。この角度θは、特に、55°以上、75°以下とすることが好ましい。
なお、ウェブ23及び下フランジ32は、略平板状の鋼板等を屈曲変形させるときに、厳密に観察すると境界部31が湾曲して形成されることになるが、ウェブ23と下フランジ32との内角の角度θについて、ここでは、境界部31の湾曲を捨象して設定するものとしている。ウェブ23及び下フランジ32は、変形初期の剛性及び耐力を確保するとともに、上フランジ21の斜張力Dの要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向の引延力Eが過剰に作用して不安定な崩壊挙動に遷移することを回避するために、ウェブ23と下フランジ32とによって形成される内角の角度θを、境界部31で50°以上とすることが望ましい。
上フランジ21は、図6、図9に示すように、面外方向Yの外側又は内側に向けて屈曲又は湾曲させて形成されてもよい。また、ウェブ23は、図7〜図9に示すように、面内方向Xで上フランジ21の反対側又は中央側に向けて屈曲又は湾曲させて形成されてもよい。上フランジ21及びウェブ23は、山部2の中央から略対称形に形成されるものであるが、非対称形に形成されてもよい。
なお、上フランジ21、ウェブ23及び下フランジ32は、図4、図5に示すように、面内方向Xのせん断力Tによる曲げ応力を専らウェブ23が負担して、せん断応力を専ら上フランジ21と下フランジ32とが負担するものとなる。ここでは、建材分野の一般的な用法と若干相違するものとして、山部2及び谷部3の各要素の名称を設定するものとしている。
本発明を適用したせん断パネル1は、図4に示すように、支持枠材51の左辺部51c及び右辺部51dから面内方向Xのせん断力Tが作用して、軸方向Zの上端部1a及び下端部1bにおいて、各々の山部2が面内方向Xで互いに逆方向に倒れ込むように歪んで変形する。
本発明を適用したせん断パネル1は、図4(a)に示すように、支持枠材51の左辺部51cが下方向、支持枠材51の右辺部51dが上方向に変位して、上端部1aの山部2が左方向、下端部1bの山部2が右方向に歪んで変形する。本発明を適用したせん断パネル1は、支持枠材51の左辺部51cが上方向、支持枠材51の右辺部51dが下方向に変位して、上端部1aの山部2が右方向、下端部1bの山部2が左方向に歪んで変形する。
本発明を適用したせん断パネル1は、図4(b)に示すように、山部2が面内方向Xで倒れ込むように歪んで変形することで、山部2が軸方向Zと略直交方向に幾何学的に変形するものとなる。本発明を適用したせん断パネル1は、図4(a)に示すように、特に、軸方向Zの上端部1a及び下端部1bにおいて、この山部2の幾何学的変形が大きくなる傾向にある。
本発明を適用したせん断パネル1は、図4(b)に示すように、面内方向Xのせん断力Tが作用した場合に、山部2が幾何学的に変形することによって、上フランジ21及びウェブ23に二次的な曲げ変形が発生するものとなり、上フランジ21とウェブ23との境界で稜線部22にも曲げ変形が発生する。本発明を適用したせん断パネル1は、軸方向Zの上端部1a及び下端部1bにおいて、各々の山部2が左右方向に幾何学的変形を引き起こすことで、鋼材等の稜線部22周辺が弾性域から塑性域に遷移するものとなる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、山部2に左右方向の幾何学的変形を引き起こして、稜線部22周辺を塑性化させながら、建築物等に作用する地震荷重等のエネルギーを、弾塑性的に吸収させることができるものとなる。
なお、本発明を適用したせん断パネル1は、谷部3と支持枠材51とを接合させる部位が、せん断パネル1全体より先行して降伏しないものとなるように、ドリルねじ4の数量や外径等が設計される。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、谷部3と支持枠材51とを接合させる部位が、局所破壊を引き起こさないものとなるように設計されて、スリップ性状を発現することが回避されることで、安定した履歴性状を実現することができるものとなる。
ここで、本発明を適用したせん断パネル1は、稜線部22周辺を塑性化させながら、支持枠材51から谷部3に作用する面内方向Xのせん断力Tに対してエネルギー吸収させるものとなるが、他方で、稜線部22周辺が塑性化に伴い加工硬化して山部2の耐力上昇が引き起こされるものとなる。
本発明を適用したせん断パネル1は、支持枠材51から谷部3に面内方向Xのせん断力Tが作用することによって、山部2が歪んで変形することで幾何学的変形を引き起こすときの山部2の耐力上昇を抑制するものである。本発明を適用したせん断パネル1は、図10に示すように、山部2の耐力上昇を抑制するものとして、ウェブ23の一部又は全部が、稜線部22から下フランジ32に向けて延びる垂線Pよりも、面内方向Xで上フランジ21の中央側に配置される。
なお、本発明を適用したせん断パネル1は、図8(f)に示すように、ウェブ23の少なくとも一部が、稜線部22と境界部31とを面外方向Yに離間させた距離の略半分となる位置における略中央部Cより面外方向Yの内側で、稜線部22から下フランジ32に向けて延びる垂線Pよりも、面内方向Xで上フランジ21の中央側に配置されてもよい。このとき、境界部31は、稜線部22から延びる垂線Pよりも、図7(f)、図8(f)に示すように、面内方向Xで上フランジ21の反対側に配置されてもよく、また、図10に示すように、面内方向Xで上フランジ21の中央側に配置されてもよい。
本発明を適用したせん断パネル1は、図10(a)に示すように、ウェブ23の少なくとも一部が、稜線部22から下フランジ32に向けて延びる垂線Pよりも、面内方向Xで上フランジ21の中央側に配置される。本発明を適用したせん断パネル1は、図10(b)に示すように、山部2が幾何学的変形を引き起こすときに、一方のウェブ23が面外方向Yの内側に向けて倒れ込むとともに、他方のウェブ23が面外方向Yの外側に向けて起き上がり、上フランジ21が傾斜変形等するものとなる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、図12に示すように、山部2の幾何学的変形が増大して、山部2の耐力上昇が低下するものとなることから、稜線部22周辺の塑性化に伴って生じる加工硬化による耐力上昇にかかわらず、全体として山部2の耐力上昇が抑制される。
これに対して、従来の折板パネル9は、図11(a)に示すように、断面矩形状の折板山部91と折板谷部92とが設けられる。折板山部91は、矩形上辺部93と矩形両側辺部94とを直交させて形成される。折板谷部92は、矩形両側辺部94と谷下辺部95とを直交させて形成される。従来の折板パネル9は、図11(b)に示すように、折板山部91が歪んで変形するときに、矩形両側辺部94が同方向に倒れ込むものとなり、矩形上辺部93が傾斜しないものとなる。このとき、従来の折板パネル9は、図12に示すように、折板山部91の幾何学的変形が小さいものであるため、折板山部91の耐力上昇を十分に低下させることができないものとなり、全体として折板山部91の耐力上昇が抑制されないものとなる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図10に示すように、ウェブ23と下フランジ32とによって形成される内角の角度θを、境界部31で50°以上とすることで、山部2の展開長さが小さいものとなり、面内方向Xのせん断力Tが作用する初期状態の剛性及び耐力の低下を抑制して、従来の折板パネル9と同等の変形初期性能を確保することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図13に示すように、下フランジ32が支持枠材51に対して浮き上がらないようにして、山部2に幾何学的変形を引き起こさせる。本発明を適用したせん断パネル1は、これに限らず、下フランジ32が支持枠材51に対して多少浮き上がるようにして、山部2に幾何学的変形を引き起こさせるものであってもよい。
本発明を適用したせん断パネル1は、図13(a)に示すように、山部2が幾何学的変形を引き起こすときに、ウェブ23に作用する引張力Fが面外方向Yの外側に向けて作用するものとなる。このとき、本発明を適用したせん断パネル1は、下フランジ32に伝達される引張力Fの分力F1が小さいものとなることから、下フランジ32から支持枠材51に作用する張力が低下して、見かけ上の山部2の耐力上昇も抑制されるものとなる。
これに対して、従来の折板パネル9は、図13(b)に示すように、折板山部91が幾何学的変形を引き起こすときに、矩形両側辺部94の一方に作用する引張力Fが面内方向Xで折板山部91の中央側に向けて作用するものとなる。このとき、従来の折板パネル9は、谷下辺部95に伝達される引張力Fの分力F2が大きいものとなることから、谷下辺部95から支持枠材51に作用する張力が増大して、見かけ上の折板山部91の耐力上昇が抑制されないものとなる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図10に示すように、山部2の耐力上昇を抑制するものとして、稜線部22から下フランジ32に向けて延びる垂線Pよりも、面内方向Xで上フランジ21の中央側に、ウェブ23に形成された境界部31が配置される。このとき、本発明を適用したせん断パネル1は、ウェブ23と下フランジ32とによって形成される内角の角度θが、90°未満の鋭角となるものである。
本発明を適用したせん断パネル1は、図13(a)に示すように、山部2が幾何学的変形を引き起こすときに上フランジ21が傾斜変形して、一方の稜線部22が面外方向Yの内側に向けて移動するとともに、他方の稜線部22が面外方向Yの外側に向けて移動する。このとき、本発明を適用したせん断パネル1は、図14(a)に示すように、軸方向Zの上端部1a及び下端部1bで、面外方向Yの外側に向けて移動する稜線部22を結んだ対角線上に斜張力Dが作用するものとなるとともに、面外方向Yの内側に向けて移動する稜線部22を結んだ対角線上で、斜張力Dが生じる要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向に引延力Eが作用する。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、斜張力Dの要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向に引延力Eが作用することで、斜張力Dによる上フランジ21の斜張力場の形成、進展が遅延するものとなることから、見かけ上の山部2の耐力上昇が抑制されるものとなる。
ただし、引延力Eの作用は、内角の角度θが小さくなるほど大きくなり、上フランジ21を面外方向Yの外側に湾曲させるような異なる崩壊機構が誘起されることで、耐力劣化が生じるおそれがある。このため、本発明を適用したせん断パネル1では、内角の角度θを50°以上とすることで、引延力Eを過剰に作用させないものとして、上フランジ21が面外方向Yの外側に湾曲することを防ぎ、耐力劣化等の不安定挙動を回避しつつ、大変形時の耐力上昇を抑制することができるものとなる。
これに対して、従来の折板パネル9は、図13(b)に示すように、折板山部91が幾何学的変形を引き起こすときに、矩形上辺部93が傾斜しないものとなる。このとき、従来の折板パネル9は、図14(b)に示すように、面内方向Xの対角線上に作用する斜張力Dの要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向に力が作用しないものとなる。これにより、従来の折板パネル9は、斜張力Dの要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向に力が作用しないものとなることから、斜張力場の形成、進展を遅延されないものとなり、見かけ上の折板山部91の耐力上昇が抑制されないものとなる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図15に示すように、上フランジ21が所定の形状となるように設定されることによって、上フランジ21の強度が、下記(1)式により規定される関係を満足するものとなる。
Figure 2015224420
ここで、τy:上フランジ21がせん断降伏するときの強度、τe:上フランジ21が弾性せん断座屈するときの強度とする。
τy及びτeは、図15に示すように、上フランジ21及びウェブ23が略直線状に形成される場合に、下記(2)〜(5)式により略算することができる。
Figure 2015224420
Figure 2015224420
Figure 2015224420
Figure 2015224420
上記(2)〜(5)式においては、b:せん断パネル1の軸方向Zの長さ(mm)、t:せん断パネル1の板厚(mm)、f:上フランジ21の断面方向幅(mm)、F:せん断パネル1の材料降伏強度(N/mm2)、E:せん断パネル1の材料ヤング率(N/mm2)、ν:せん断パネル1の材料ポアソン比とする。
板要素において、弾性座屈強度に対する材料の降伏強度の比の平方根は、座屈等の不安定挙動のしやすさを示す指標であり、一般化幅厚比と呼ばれる。一般化幅厚比は、板厚tに対する上フランジ21の断面方向幅fの比として表現される幅厚比(f/t)と工学的に同じ概念に基づいている。すなわち、一般化幅厚比の値が大きくなることは、上フランジ21の断面方向幅fに対して板厚tが薄くなることと等価であり、座屈等の不安定挙動が生じ易くなることを意味している。
一般化幅厚比√(τy/τe)は、7.0より大きい場合に、図16(a)に示すように、変形初期に上フランジ21の不安定挙動(座屈等)によってせん断パネル1が崩壊することから、山部2の幾何学的変形を実現することができないため、安定的なエネルギー吸収が困難となる。一般化幅厚比√(τy/τe)は、1.0より小さい場合に、図16(b)に示すように、上フランジ21の面外変形を伴う山部2の幾何学的変形が誘起されにくくなり、本発明において想定している変形挙動及び耐力特性とは異なる性状を示すため、本発明の効果が小さくなる。本発明を適用したせん断パネル1は、図16(c)に示すように、上フランジ21の強度が、上記(1)式により規定される関係を満足するように、上フランジ21の幅厚比(f/t)等の形状が設定される。このとき、本発明を適用したせん断パネル1は、山部2を幾何学的変形させてから、上フランジ21に面外変形が生じることで、せん断パネル1全体が終局状態に至る前に、山部端部での局所的な張力の発生、斜張力Dによる上フランジ21の斜張力場の形成、進展を遅延させた状態を実現して、見かけ上の山部2の耐力上昇を効果的に抑制させることができるものとなる。なお、τy及びτeは、上記(2)〜(5)式から略算することができるほか、数値解析又は構造試験によって、より精緻に求めることもできる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図10に示すように、左右方向に倒れ込むように歪む幾何学的変形を山部2に引き起こして、稜線部22周辺を塑性化させることによって、支持部材5から作用する面内方向Xのせん断力Tに対してエネルギー吸収させることが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、山部2に幾何学的変形を引き起こして、稜線部22周辺を積極的に塑性化させることによって、板厚の薄い鋼板が用いられた場合であっても、スリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図17に示すように、単位体積あたりの耐力上昇抑制効果(従来の折板パネル9の単位体積あたりの耐力上昇率に対する、本発明を適用したせん断パネル1の単位体積あたりの耐力上昇率の比率の逆数)を縦軸として、ウェブ23と下フランジ32とによって形成される内角の角度θを横軸として表すと、内角の角度θを小さくすることで、せん断パネル1の耐力上昇がより抑制されたものとなることがわかる。ここで、耐力上昇率は、図17において、せん断パネル1のせん断変形角が1/50rad.となるときの耐力を、1/400rad.時点の耐力で除した値としている。
本発明を適用したせん断パネル1は、例えば、内角の角度θ=60°とした場合に、図18に示すように、単位体積あたりの耐力上昇抑制効果と一般化幅厚比√(τy/τe)との関係が表される。ここで、実施例1は、上フランジ21の断面方向幅fを一定のものとするとともに、板厚tを変数とすることで、一般化幅厚比√(τy/τe)を変化させたものであり、実施例2は、板厚tを一定のものとするとともに、上フランジ21の断面方向幅fを変数とすることで、一般化幅厚比√(τy/τe)を変化させたものである。一般化幅厚比√(τy/τe)は、上記(1)式により規定される関係を満足することで、1.0より小さい範囲(図16(b)に相当)や、7.0より大きい範囲(図16(a)に相当)を除いて、1.0以上、7.0以下となる範囲(図16(c)に相当)で、単位体積あたりの耐力上昇抑制効果が1.00を超えるものとなり、見かけ上の山部2の耐力上昇を効果的に抑制させることができることがわかる。
本発明を適用したせん断パネル1は、稜線部22周辺の塑性化に伴って生じる加工硬化が促進された場合であっても、図10に示すように、上フランジ21が傾斜変形等することによって、山部2の幾何学的変形を増大させることができる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、山部2の幾何学的変形を増大させて、全体として山部2の耐力上昇が抑制されるため、図17に示すように、せん断パネル1が全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、山部2の幾何学的変形を増大させた場合であっても、図13に示すように、下フランジ32に伝達される引張力Fの分力F1を小さいものとして、下フランジ32から支持部材5に作用する張力を低下することができる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、下フランジ32から支持部材5に作用する張力を低下させて、見かけ上の山部2の耐力上昇が抑制されるため、図17に示すように、せん断パネル1が全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、山部2の幾何学的変形を増大させた場合であっても、図14に示すように、斜張力Dを打ち消す方向に引延力Eが作用することで、上フランジ21の斜張力場の形成、進展を遅延させることができる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、上フランジ21の斜張力場の形成、進展を遅延させて、見かけ上の山部2の耐力上昇が抑制されるため、図17に示すように、せん断パネル1が全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図18に示すように、上フランジ21の強度が、上記(1)式により規定される関係を満足するように、上フランジ21の幅厚比等の形状が設定される。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、斜張力Dによる上フランジ21の斜張力場の形成、進展を遅延させた状態を実現して、見かけ上の山部2の耐力上昇を効果的に抑制させることができるため、せん断パネル1が全体として必要以上に耐力上昇することを回避することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、図4に示すように、せん断パネル1が必要以上に耐力上昇することを回避して、下フランジ32が接合される支持部材5の耐力、剛性を向上させることを必要としないものとすることができる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、スリップ性状を抑制した履歴性状及び安定したエネルギー吸収性能を実現すると同時に、大変形時の耐力上昇抑制という課題を克服して、支持部材5の構造設計を単純化させるとともに、せん断パネル1や支持部材5の板厚増加や重量増加を抑制することが可能となる。
本発明を適用したせん断パネル1は、断面略逆台形状となるように山部2が形成されることで、山部2の断面形状を単純なものとして、鋼板等を屈曲変形させるときの加工を容易にすることができる。本発明を適用したせん断パネル1は、ウェブ23と下フランジ32とによって形成される内角の角度θを、境界部31で50°以上として、変形初期の剛性及び耐力を確保するとともに、上フランジ21の斜張力Dの要因となる皺状の面外変形を引き伸ばす方向の引延力Eが過剰に作用して不安定な崩壊挙動に遷移することを回避することができる。これにより、本発明を適用したせん断パネル1は、せん断パネル1の変形初期における構造性能と、大変形時における耐力劣化及び耐力上昇の抑制とを両立させることが可能となる。
なお、本発明を適用したせん断パネル1は、谷部3と支持枠材51とを接合させる部位が、局所破壊を引き起こさないものとなるように設計されることで、スリップ性状を抑制した履歴性状を実現して、安定したエネルギー吸収性能を実現することが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
例えば、本発明を適用したせん断パネル1は、山部2と谷部3とを縦方向に交互に形成するものとして、横方向に延びる谷部3にドリルねじ4が所定の間隔を空けて取り付けられること等によって、支持枠材51の上辺部51a及び下辺部51b等に横向きに接合されてもよい。
1 :せん断パネル
1a :上端部
1b :下端部
1c :左端部
1d :右端部
2 :山部
21 :上フランジ
22 :稜線部
23 :ウェブ
3 :谷部
31 :境界部
32 :下フランジ
4 :ドリルねじ
5 :支持部材
51 :支持枠材
51a :上辺部
51b :下辺部
51c :左辺部
51d :右辺部
52 :支持板材
53 :連結材
9 :従来の折板パネル
91 :折板山部
92 :折板谷部
93 :矩形上辺部
94 :矩形両側辺部
95 :谷下辺部
P :垂線
D :斜張力
E :引延力
F :引張力
T :せん断力
X :面内方向
Y :面外方向
Z :軸方向

Claims (6)

  1. 支持部材に取り付けられてせん断力が作用するせん断パネルであって、
    面外方向に突出して設けられる一又は複数の山部と、前記山部に隣り合って設けられる谷部とを備え、
    前記山部は、面外方向の外側に配置される上フランジと、前記上フランジから稜線部を形成して面外方向の内側に延びるウェブとを有し、
    前記谷部は、前記ウェブから境界部を形成して面内方向で前記上フランジの反対側に延びる下フランジを有し、
    前記ウェブの少なくとも一部は、前記稜線部から前記下フランジに向けて延びる垂線よりも、面内方向で前記上フランジの中央側に配置されること
    を特徴とするせん断パネル。
  2. 前記ウェブの少なくとも一部は、前記稜線部と前記境界部とを面外方向に離間させた距離の略半分となる位置における略中央部より面外方向の内側で、前記稜線部から前記下フランジに向けて延びる垂線よりも、面内方向で前記上フランジの中央側に配置されること
    を特徴とする請求項1記載のせん断パネル。
  3. 前記境界部は、前記稜線部から前記下フランジに向けて延びる垂線よりも、面内方向で前記上フランジの中央側に配置されること
    を特徴とする請求項1又は2記載のせん断パネル。
  4. 前記上フランジは、前記上フランジの強度が、下記(1)式により規定される関係を満足すること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のせん断パネル。
    Figure 2015224420
    ここで、τy:前記上フランジがせん断降伏するときの強度、τe:前記上フランジが弾性せん断座屈するときの強度とする。
  5. 前記山部は、前記稜線部から略直線状に形成される前記上フランジと、前記稜線部から前記境界部まで略直線状に傾斜して形成される前記ウェブとによって、断面略逆台形状となるように形成されること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のせん断パネル。
  6. 前記ウェブ及び前記下フランジは、前記ウェブと前記下フランジとによって形成される内角の角度が、前記境界部で50°以上、85°以下となるものであること
    を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のせん断パネル。
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