JP2015223840A - 非粘着ローラの製造方法及び非粘着ローラ - Google Patents

非粘着ローラの製造方法及び非粘着ローラ Download PDF

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守 柴田
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Abstract

【課題】複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置における画像定着プロセス後の排紙装置に使用される従動ローラに対して、ローラ外周面へのトナー付着を防止し、記録媒体の汚れを抑制する非粘着ローラにおいて高品質でかつ生産性が高く安価に製造可能な製造方法を提供する。
【解決手段】トナーに対する非粘着ローラの製造で、ローラの芯部材は射出成形加工にて具現化し、その工程で金型内部に押し出し加工にて作製したフッ素チューブを配置して、アウトサート成形加工を行い、ローラ外周部のフッ素チューブとローラ芯部材を係止固定する。
【選択図】図3

Description

発明の詳細な説明
本発明は複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置で使用されるトナーに対して非粘着性を有するローラの製造方法に関する。
画像形成装置では、感光体ドラム上の画像を記録材として紙に転写する。トナーパターンを付着させた紙は定着部に送られ、ヒートローラの熱と加圧ローラの圧力により画像は定着される。定着装置から紙を排出する時に排出駆動ローラと従動ローラ(以下ピンチローラと呼ぶ)の間に画像定着を終了した紙を挟んで通過させる。
このピンチローラは、定着プロセスが済んだばかりのトナーと接触するために、トナーに対する非粘着性、離型性と言う性能を持つことが要求される。このため、従来はピンチローラとして熱可塑性フッ素樹脂であるPFA、FEP又はETFEの中の一つを使用して回転軸部も一体として構成するローラを射出成形する事により製造していた。
この様な一体形のフッ素樹脂ピンチローラの弱点は、回転軸部の摩耗である。一般に未強化グレードのフッ素樹脂は他部品との摺動に際して摩耗が大きいことが知られており、押し付け圧が負荷されているピンチローラの回転軸も摩耗が問題となる。さらに、耐摩耗性を改良するためにフッ素樹脂にガラス繊維等を配合した強化材料でピンチローラを射出成形加工した場合では、ローラ表面のトナーに対する非粘着性が損なわれてしまう。
このため、従来のピンチローラに対して、各種の改良タイプが提案され、既に実施されてもいる。改良タイプの例としては、中心部の芯材に耐摩耗性のある熱可塑性素樹脂を使用し、ローラの外周表面にPFA、FEP又はETFE等の熱可塑性フッ素樹脂を材料とした円筒部材を射出成形加工し、前記芯材と圧入組立等で複合化したピンチローラである。しかしながら、この改良タイプのピンチローラの弱点は、フッ素樹脂で射出成形加工する場合、円筒状外表面を均一で滑らかに成形することが困難である事にある。フッ素樹脂では、ジェッティングによる乱流が起こりやすく、トナーが入り込みやすいシワ状欠陥のあるローラ表面になりやすい。
一方、平滑度の高いフッ素樹脂表面層を利用したものとして定着部のヒートローラが知られている。このヒートローラは金属筒の外側にPTFEの熱収縮チューブを被せ、外部から加熱することでチューブを金属筒に密着させる方法で製造する。この方法をピンチローラに適用しようとすると、次の問題点が存在する;▲1▼収縮プロセスで加熱するため芯部材として汎用の合成樹脂が使えない▲2▼フッ素熱収縮チューブ自体材料費を含めて製造コストが高い。
例えば、PTFE熱収縮チューブでは収縮プロセスで200℃以上に加熱する事が必要でPOM等の廉価な合成樹脂を芯部材として利用できない。
またピンチローラの様な小型ローラ用のサイズとして内径φ25mm以下を考えると、フッ素樹脂熱収縮チューブは同一材料の通常の押し出しチューブに比較して単位長さ当りのコストは10倍以上高い。結局、熱収縮チューブを用いたピンチローラの非粘着ローラの製造方法は経済的に不適である。
更にまた非粘着ローラの他の製造方法例としては、フッ素樹脂の押し出し丸棒の利用がある。一部の食品加工機械では(長手寸法/ラジアル寸法)比が大きい長尺ローラをPTFEの押し出し丸棒から切削加工によって準備することがある。この場合、機械加工の際のローラ表面の引き目は、PTFE樹脂の非粘着性が優れている事により食品の付着の心配はない事が多い。但し、機械加工によるローラの製造コストは高いので、より安価な非粘着ローラの製造方法の開発が望まれている
本発明では、芯部材の外周部に押し出し加工により作製したフッ素樹脂チューブが該芯部材の射出成形加工により係合固定される事を特徴とする非粘着ローラによって解決しようとするものである。押し出し加工により製造したチューブの外表面は非常に平滑度にすぐれており、その表面アサラはRz(10点平均表面アラサ)で0.3μmを得ることは容易である。フッ素樹脂の射出成形品の成形表面のRzが(3〜5)μmのレベルにある事で比較してもその差は明瞭である。
本発明は、この様な平滑度にすぐれ、かつ非粘着性能の高いフッ素樹脂の押し出し加工にて製造したフッ素チューブの採用によって課題を解決しようとするものである。
また前記非粘着性能の高いフッ素樹脂チューブとして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFC)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)及びこれら樹脂のポリマーアロイの群から選ぶ事が可能である。
また前記芯部材として、一般的に利用されている熱可塑性素樹脂が使用可能であるが、その耐熱性能、軸受機能及び耐摩耗性等を考慮すると、ベース樹脂として、PPS、PA、及びPOM等の熱可塑性素樹脂の摺動グレード又は強化グレードの中から少なくとも1つ用いる事が望ましい。
以下本発明のフッ素樹脂非粘着ローラ及びその製造方法について詳細に説明する。本発明の非粘着ローラの一例を図1に示す。ローラ外周部を構成するフッ素チューブ2は押し出し加工により製造した円筒材をカットして準備し、芯部材1を射出成形加工する金型に配置し、アウトサート成形加工工程を行う。この工程で、熱可塑性素樹脂である芯部材の溶融樹脂圧力によってチューブ2は金型壁に強く押し付けられ、両部材1と2は一体結合する。この時、芯部材として、PA(ポリアミド)やPOM(ポリアセタール)等の摺動グレードであるポリマーアロイを適用すれば、回転軸受として軸の動きがスムーズになりローラ表面が紙に対して滑る危険性がなくなる。
また別の実施例として図2に示される様に回転軸を両端に突出させた円柱状の芯部材1がチューブと共にアウトサート成形加工される。この時、芯部材1の突出軸3aは、駆動ローラに押し付けられる荷重を受ける機能が必要で、PPS、PA、POM等のガラス繊維強化ポリマーアロイを適用すれば目的にかなう事になる。
図3は本発明における更にまた別の実施例であり、芯部材及びフッ素チューブの二部材の係合固定手段としてより強固な結合方法を提供するものである。図3は芯部材の両端部に設けられたR形状部4aにより前記二部材のスラスト方向(軸方向)のズレが使用中に発生しないようにフッ素チューブの両端がR形状部4aを包む様にアウトサート成形加工されている。
またフッ素樹脂チューブの射出成形金型への供給に関連して前述の様に、所定の長さにカットしてから金型はチャージする代わりに連続的にチューブを供給する事は可能である。前記金型の内部にチューブ・カッターの機能が具備されていると、該チューブが所定の位置に供給されてから該カッターにより切断される。この切断の後、芯部材の射出成形加工が実施され、該金型内部で本発明による非粘着ローラの製造が完了する。更に、チューブの連続供給の場合、射出成形加工の後にチューブのカットを行い本発明による非粘着ローラとして完成させる事も出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
図3に示された形状で芯部材1にガラス繊維強化PA66(GF15wt%)を用い、外周部材2としてPTFEの押し出し加工によるチューブを使った非粘着ローラを作製した。その仕上りローラ外周部の外径はφ10で長さ14mmであり、両端部にφ3長さ5mmの回転軸を両端に持っている。用いたPTFE押し出しチューブはフリーの状態で外径φ9内径φ8であり、長さ16mmにカットしてアウトサート成形した。ローラ外周の両端はR形状部4aを設け、R=1mmとした。このピンチローラをレーザービームプリンター機にセットし過大トナーを消費する原稿を使って、1,000枚A4版サイズの画像定着実験をした。ローラ表面にトナーの付着は見とめられなかった。またテストした記録媒体の紙にトナーによる汚れは発生しなかった。
発明の効果
本発明は、ローラ表面層として押し出し加工によって作製したフッ素チューブを採用し、ローラの芯部材の射出成形金型に供給してアウトサート成形を行う事で一体化した二重構造を持ち、トナー付着を防止できる非粘着ローラ及びその製造方法を提供できる。
本発明は、以上述べた様に定着部のピンチローラとしてトナーに対して非粘着性を発揮できるものであるが、ほかに複写機において記録紙の両面にコピーを取る場合に利用するADF装置を始めとして、定着部以外でもトナーに対する非粘着性を有するローラが求められている。その場合、本発明の実施例で説明した非粘着ローラが利用できる。更にインクジェット・プリンターの様にトナーを用いない画像形成装置においては、インクに対する非粘着性も求められており、本発明による非粘着ローラの製造方法は有効である。
更にまた、食品加工機械のいくつかでは、食品の位置移動に際して、対象食品の付着を防止できるローラが求められている。その様な場合でも、本発明による熱可塑性樹脂の芯部成形体とフッ素チューブを組合せた非粘着ローラはフッ素樹脂の押し出し丸棒から切削加工で準備する場合に比較して、生産性が高くかつ安価で有効である。
本発明の一実施例を示す図であり(A)は断面図、(B)は側面図である。 本発明の他の実施例を示す図であり(A)は断面図、(B)は側面図である。 本発明のまた他の実施例を示す図であり(A)はローラ両端のR形状部を含む断面図、(B)は側面図である。
1 射出成形による芯部材
2 押し出し加工によるフッ素チューブのローラ表面層
3a 回転軸
4a R形状部

Claims (5)

  1. 非粘着性能を具備した外層表面からなる非粘着ローラの製造方法であって、押し出し加工により得たフッ素樹脂チューブをローラの外周部材とし、ローラの芯部材を形成する射出成形金型に供給し、熱可塑性樹脂からなる該芯部材の溶融樹脂圧力により該フッ素樹脂チューブを成形金型壁に押し付けて係止固定するために射出成形工程を利用する事を特徴とする非粘着ローラの製造方法。
  2. 前記フッ素樹脂チューブは、所定の長さにカットされてから、前記射出成形金型に供給される事を特徴とする請求項1記載の非粘着ローラの製造方法。
  3. 前記フッ素樹脂チューブは、前記射出成形金型に連続的に供給され、前記射出成形工程の前又は後で所定の長さに切断する事を特徴とする請求項1記載の非粘着ローラの製造方法。
  4. 外周表面として押し出し加工によるフッ素樹脂層と芯部材として熱可塑性樹脂成形体とからなる複合体の非粘着ローラであって、請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の製造方法により製造される事を特徴とする非粘着ローラ。
  5. 請求項4記載の非粘着ローラが組み込まれた事を特徴とする機器。
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