JP2015220418A - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、基板に与えるダメージが小さく、且つ高いパッシベーション効果が得られる前処理を行える薄膜形成装置を提供する。【解決手段】チャンバーと、チャンバーの内部に配置され、サンプルホルダに搭載された基板と対向する高周波電極と、サンプルホルダと高周波電極との間に高周波パルス電力を供給し、前処理工程において前処理ガスを含むプラズマを励起し、成膜処理工程において原料ガスを含むプラズマを励起する高周波電源と、前処理工程において第1のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源から出力させ、成膜処理工程において第1のデューティ比よりもオン時間の比が長い第2のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源から出力させるように、高周波電源を制御する制御装置とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、原料ガスをプラズマ化して基板に薄膜を形成する薄膜形成装置に関する。
半導体デバイスの製造工程において、高精度のプロセス制御が容易であるという利点から、成膜処理、エッチング処理、アッシング処理などにおいてプラズマ処理装置が用いられている。例えば、薄膜形成工程に使用される装置としてプラズマ化学気相成長(CVD)装置が知られている。プラズマCVD装置では、成膜処理工程において高周波電力などにより原料ガスがプラズマ化され、化学反応によって基板上に薄膜が形成される。
また、成膜処理の前処理として、プラズマ処理を行うことが有効である(例えば、特許文献1参照。)。この前処理によって、チャンバー内の残留ガスの除去や基板のパッシベーション効果の向上など、種々の効果が得られる。
特開平06−45255号公報
しかしながら、前処理が基板に与えるダメージや適正なパッシベーション効果を得るための前処理の条件について、これまで十分な検討が行われてこなかった。本発明は、基板に与えるダメージが小さく、且つ高いパッシベーション効果が得られる前処理を行える薄膜形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、(ア)処理対象の基板が搭載されたサンプルホルダが格納されるチャンバーと、(イ)チャンバーの内部に配置され、サンプルホルダに搭載された基板と対向する高周波電極と、(ウ)前処理工程に使用される前処理ガス、又は基板上に形成する薄膜の原料ガスを含む反応ガスのいずれかを、チャンバーの内部に供給するガス供給機構と、(エ)サンプルホルダと高周波電極との間に高周波パルス電力を供給し、前処理工程において前処理ガスを含むプラズマを励起し、成膜処理工程において原料ガスを含むプラズマを励起する高周波電源と、(オ)前処理工程において第1のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源から出力させ、成膜処理工程において第1のデューティ比よりもオン時間の比が長い第2のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源から出力させるように、高周波電源を制御する制御装置とを備える薄膜形成装置が提供される。
本発明によれば、基板に与えるダメージが小さく、且つ高いパッシベーション効果が得られる前処理を行える薄膜形成装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る薄膜形成装置の構成を示す模式図である。 前処理工程を説明するための模式図である。 前処理条件を変えてキャリアライフタイムを測定した結果を示す表である。 キャリアライフタイムの測定結果を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る薄膜形成装置を用いた薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態に係る薄膜形成装置の高周波電極の例を示す模式図である。 図6に示した高周波電極の貫通孔の形状を説明するための、貫通孔の中心軸に沿った断面図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1に示した本発明の実施形態に係る薄膜形成装置10は、処理対象の基板100上に薄膜を形成する薄膜形成装置である。基板100は、例えば、半導体デバイスや太陽電池セルに使用されるシリコン基板などである。図1に示した薄膜形成装置10は、基板100が搭載されたサンプルホルダ12が格納されるチャンバー11と、チャンバー11の内部に配置され、サンプルホルダ12に搭載された基板100と対向する高周波電極13と、前処理工程に使用される前処理ガス121、又は基板100上に形成する薄膜の原料ガスを含む反応ガス122のいずれかを、チャンバー11の内部に供給するガス供給機構15と、前処理工程において前処理ガス121を含むプラズマを励起し、成膜処理工程において原料ガスを含むプラズマを励起する高周波電源14と、高周波電源14を制御する制御装置17とを備える。
高周波電源14は、サンプルホルダ12と高周波電極13間に高周波パルス電力を供給して、基板100の上面においてプラズマを励起する。制御装置17は、前処理工程において第1のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源14から出力させ、成膜処理工程において第1のデューティ比よりもオン時間の比が長い第2のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源14から出力させる。
ここで、高周波パルス電力のデューティ比は、パルスのオン時間とオフ時間の比である。制御装置17は、例えば、高周波電源14の出力する高周波パルス電力のオン時間を100μsec〜1000μsecの範囲で、オフ時間を10μsec〜100μsecの範囲で、それぞれ独立して制御することができる。
薄膜形成装置10は、チャンバー11内のガスを外部に排気するガス排気機構16を更に備える。ガス排気機構16には図示を省略するガス調圧弁が備えられ、チャンバー11内の圧力を一定に保つ。
ガス供給機構15は、ガス供給源18から供給される前処理ガス121又は反応ガス122をチャンバー11内に供給する。ガス供給源18は、前処理ガス121を格納する前処理ガス源181と、反応ガス122を格納する反応ガス源182を有する。ただし、反応ガス源182が複数の原料ガスを含む場合に、それらの原料ガスのいずれかを前処理ガス121として使用できる場合には、ガス供給源18が前処理ガス源181を含まずに、反応ガス源182源のみを有する構造にしてもよい。ガス供給機構15には図示を省略する流量調節計が備えられ、一定量の前処理ガス121又は反応ガス122をチャンバー11内に供給する。
なお、図1では、サンプルホルダ12が、基板100が垂直方向に搭載されるボートタイプのサンプルホルダである場合を例示した。サンプルホルダ12はアノード電極として使用される。一方、高周波電極13はカソード電極として機能する。図1に示したように、高周波電極13の主面が、サンプルホルダ12に搭載された基板100にそれぞれ対向している。後述するように、高周波電極13は、主面に凹部が形成されたホローカソード電極であることが好ましい。ホローカソード電極を用いたホローカソード放電によって、チャンバー11内に高密度プラズマが安定に生成される。その結果、前処理ガス121や原料ガスが効率よく分解され、基板100に対する前処理及び成膜処理を短時間で行うことが可能である。
また、サンプルホルダ12はヒータ19上に配置されている。基板100の温度が成膜処理などにおける最適温度になるように、サンプルホルダ12に装着された基板100の温度をヒータ19によって設定可能である。
薄膜形成装置10によれば、原料ガスを適宜選択することによって、基板100上に所望の薄膜を形成できる。例えば、シリコン半導体薄膜、シリコン窒化薄膜、シリコン酸化薄膜、シリコン酸窒化薄膜、カーボン薄膜などを基板100上に形成することができる。具体的には、アンモニア(NH3)ガスとモノシラン(SiH4)ガスの混合ガスを用いて、基板100上に窒化シリコン(SiN)膜が形成される。或いは、モノシラン(SiH4)ガスとN2Oガスの混合ガスを、又はTEOSガスと酸素ガスを用いて、基板100上に酸化シリコン(SiOx)膜が形成される。
薄膜形成装置10を用いた成膜処理では、基板100のパッシベーション効果を高めたり、基板100の表面をクリーニングしたりするために、前処理を行うことが有効である。即ち、成膜処理工程前の基板100の表面を、例えばアンモニアの高周波プラズマに曝す。これにより、図2に示すように高周波プラズマ中の水素ラジカルが基板100の未結合手(ダングリングボンド)と結合する。一般に、結晶シリコン系太陽電池の基板として使用される多結晶シリコン基板では、多結晶シリコンの粒界が欠陥となる。この欠陥にキャリアが補足され、太陽電池の変換効率が低下する。しかし、水素ラジカルが基板100の未結合手と結合することにより、欠陥によるキャリアの補足が減少し、パッシベーション効果が高まる。その結果、基板100におけるキャリアライフタイムが長くなる。したがって、上記の前処理を太陽電池の反射防止膜やパッシベーション膜の成膜工程の前に実施することにより、太陽電池の変換効率が向上する。
本発明者らの検討によれば、ホローカソード放電による高密度プラズマを用いた前処理ではパッシベーション効果が特に高い。例えば、5sec程度の前処理で十分なパッシベーション効果が得られた。
しかしながら、前処理において高周波電源14の供給する高周波電力のパワーが大きすぎると、基板100にダメージを与えてしまう。その結果、キャリアライフタイムが減少し、基板100を用いたデバイスの性能が低下する。
前処理時間を短く設定することによって、基板100に与えるダメージを低減することはできる。しかし、前処理時間が短い場合には、チャンバー11内でのプラズマが安定しない。
一方、前処理における高周波電力のパワーが小さすぎると、ホローカソード放電によって高密度プラズマを生成させることによる効果を十分に得ることができない。このため、適正なパッシベーション効果を得るためには、前処理時間を一定程度以上に長くする必要がある。しかしながら、前処理工程の時間を長くするほど生産効率が低下してしまう。したがって、高周波電力のパワーを低下させるだけの対応では不十分である。
また、成膜処理工程においては、高周波電力のパワーをできるだけ高くして成膜時間を短くし、生産効率を向上する必要がある。つまり、前処理工程と成膜処理工程とでは異なる特性のプラズマ放電が必要であり、その対応には高周波電源14の出力変更だけでは困難である。
これに対し、本発明者らは検討を重ねて、以下のように前処理工程に最適なプラズマ放電の条件を見出した。図3に、前処理条件を変えた場合の、成膜処理後の基板100のキャリアライフタイムを測定した結果を示す。図3に示した条件1〜条件4は、高周波電源14が出力する高周波パルス電力のパワー(以下において、「高周波パワー」という。)と高周波パルス電力のデューティ比、及び前処理時間を変化させている。ここで、基板100はn型シリコン単結晶の太陽電池基板であり、成膜処理前のバルクライフタイムは800μm程度である。成膜処理では、窒化シリコン(SiNx)膜を基板100に形成した。
なお、高周波電極13には、図6、図7に示すホローカソード電極を使用した。図6、図7の詳細は後述する。また、サンプルホルダ12の基板100が搭載される垂直方向に延伸する基板プレートには、690mm×220mmの矩形状の主面を有し、厚みが2mmのカーボン板を使用した。これに対向する高周波電極13は、710mm×210mmの矩形状の主面を有し、厚みが5mmの炭素材を使用した。高周波電源14によって高周波電極13に250kHzの高周波パルス電力を供給し、サンプルホルダ12はヒータ19によって450℃に加熱した。
また、前処理は、前処理ガス121としてアンモニアガスのみを使用し、アンモニアガスの流量を3600sccm、チャンバー11内の圧力を95Paとした。成膜処理の成膜条件は条件1〜条件4で同一として、原料ガスとしてモノシランガスとアンモニアガスの混合ガスを使用した。シランガスの流量は2150sccm、アンモニアガスの流量は12500sccmであり、チャンバー11内の圧力を95Paとした。なお、成膜処理では、高周波パワー4500W、オン時間600μsec、オフ時間50μsecの条件を使用した。
図3に、アニール処理を行っていない場合の成膜処理直後のライフタイムA、600℃でのアニール処理を行った場合のライフタイムB、700℃でのアニール処理を行った場合のライフタイムC、及び800℃でのアニール処理を行った場合のライフタイムDを示した。ライフタイムの測定は、レーザが照射されたサンプルに発生するキャリアの量を測定するμ−PCT法を使用した。図4は、条件1〜条件4でのライフタイムA〜Dをグラフ化したものである。
図3に示したように、条件1での高周波パルス電力の高周波パワーは6000W、高周波パルス電力のオン時間600μsec、オフ時間50μsec、且つ、前処理時間を5secとした。条件1では、成膜処理直後のライフタイムAが短く、アニール処理を行ってもライフタイムは440μsec程度である。これは、前処理での高周波パワーが高いために、基板100がプラズマによりダメージを受けたためである。
条件2では、条件1よりも前処理での高周波パワーを下げて3000Wとしている。このため、条件2では、成膜処理直後のライフタイムAが条件1よりも長く、アニール温度が600℃のライフタイムBは533μsecと長い。しかし、アニール温度が700℃のライフタイムCは低下し、アニール温度が800℃のライフタイムDは5μsecと著しく低下する。
条件3は、高周波パワーを条件2と同じ3000Wとしつつ、前処理時間を10secとして条件2よりも長くしている。処理時間を長くしたことにより、アニール温度が600℃〜700℃の場合においても、ライフタイムB〜Cは700μsec以上の長い値を示し、アニール温度が800℃のライフタイムDでも125μsecである。このように、条件3は条件1〜2よりもライフタイムが長く、十分なパッシベーション効果が得られていると考えられる。
条件4は、高周波パワーを条件1よりも低く、且つ条件2〜3よりも高い5000Wとしている。そして、条件1〜3での高周波パルス電力のオン時間600μsec、オフ時間50μsecに対して、条件4の高周波パルス電力のオン時間300μsec、オフ時間50μsecとした。つまり、条件1〜3よりもオン時間の比が短く、デューティ比を小さくしている。その結果、前処理時間が条件3よりも短い5secであるにも関わらず、ライフタイムB〜Cは条件3と同等以上の700μsec以上である。
上記のように、条件4によれば、比較的高い高周波パワーによって前処理時間を短くしつつ、オン時間の比を短くすることによって基板100に与えるダメージを抑制し、ライフタイムを長くできる。これは、高周波パルス電力のデューティ比が小さいために、高エネルギーのイオンが一旦消滅する周期が短く、基板100に高エネルギーのイオンが衝突する時間が短いためである。以上に説明したように、オン時間の比を短くして高周波パルス電力のデューティ比を小さくすることによって、基板100に与えるダメージが小さく、且つ高いパッシベーション効果が得られる前処理を実現できる。高周波パワーが高いほど前処理時間を短縮でき、生産効率が向上する。このため、条件4の高周波パワーは成膜処理工程での高周波パワーよりも大きい。
一方、成膜処理工程では、高周波パルス電力のデューティ比を小さくすると、成膜レートが低下する。その結果、成膜処理工程に要する時間が増大してしまう。このため、成膜処理工程での高周波パルス電力のデューティ比は、前処理工程でのデューティ比よりもオン時間の比を長く設定する。例えば、上記に示したように、前処理工程でのデューティ比をオン時間300μsec且つオフ時間50μsecであるように設定し、成膜処理工程でのデューティ比をオン時間600μsec且つオフ時間50μsecであるように設定する。これにより、成膜レートの低下を抑制しつつ、基板100へのダメージを抑制できる。
以下に、薄膜形成装置10によって薄膜を形成する方法の例を、図5を参照して説明する。
ステップS11において、成膜処理対象の半導体シリコン基板である基板100をチャンバー11内に格納する。次いで、ステップS12において、ガス供給機構15によってチャンバー11内に前処理ガス121を導入する。前処理ガス121は、アンモニア(NH3)ガス、アンモニアと窒素(N2)の混合ガス、或いは水素(H2)ガスなどが使用される。
ステップS13において、ガス排気機構16によってチャンバー11内を減圧して、チャンバー11内の前処理ガス121の圧力を所定の値に設定する。
ステップS14において高周波電源14をオンし、高周波パルス電力をサンプルホルダ12と高周波電極13間に供給する。これにより、チャンバー11内の前処理ガス121がプラズマ化され、成膜処理工程前の前処理が開始される。つまり、図2に示したように、前処理ガス121のプラズマ中の水素ラジカルが基板100の未結合手(ダングリングボンド)と結合する。このとき、制御装置17が、第1のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源14から出力させる。第1のデューティ比及び高周波パルス電力や前処理工程の時間は、基板100にダメージを与えず、且つ基板100のパッシベーション効果が得られるように設定されている。例えばオン時間300μsec且つオフ時間50μsecであるように第1のデューティ比を設定し、高周波パルス電力を5000W、前処理工程の時間を5secに設定する。
所定の時間、前処理を行った後、ステップS15において高周波電源14をオフし、前処理工程を終了する。その後、ステップS16において、ガス排気機構16によって前処理ガス121を排気し、チャンバー11内を高真空にする。
次いで、ステップS17において、ガス供給機構15によって反応ガス122をチャンバー11内に導入する。そして、ステップS18において、ガス排気機構16によってチャンバー11内が減圧され、チャンバー11内の反応ガス122が所定のガス圧に調整される。
その後、ステップS19において高周波電源14をオンし、所定の高周波パルス電力をサンプルホルダ12と高周波電極13間に供給する。これにより、チャンバー11内の原料ガスを含む反応ガス122がプラズマ化される。形成されたプラズマに基板100を曝すことにより、プラズマ中の励起種を基板100の表面で反応させ、基板100の表面に薄膜が形成される。このとき、制御装置17が、第2のデューティ比で高周波パルス電力を高周波電源14から出力させる。所定の成膜レートが得られるようにオン時間の比が長い第2のデューティ比は、第1のデューティ比よりも大きく設定される。
薄膜を所定の膜厚まで成長させた後、ステップS20において高周波電源14をオフし、成膜処理を終了する。その後、ステップS21において、ガス排気機構16によって反応ガス122を排気し、チャンバー11内を高真空にする。以上により、基板100上に薄膜が形成される。
例えば結晶シリコン系太陽電池の製造においては、基板100として、p型シリコン基板上に表面拡散濃度が1×1018〜1×1022のn型半導体層を形成した基板、或いは、n型シリコン基板上に表面拡散濃度が1×1018〜1×1022のp型半導体層を形成した基板などが採用可能である。また、太陽電池の反射防止膜として形成される薄膜は、屈折率が1.8〜3.0、膜厚が50〜150nm程度の窒化シリコン(SiN)膜などである。基板100上に窒化シリコン膜からなる薄膜を形成するためには、原料ガスにはモノシラン、アンモニアなどが使用され、キャリアガスとして窒素、水素、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などが使用される。
ところで、高周波電極13にホローカソード電極を採用することにより、チャンバー11内に高密度プラズマを安定に生成できる。その結果、前処理ガス121や原料ガスが効率よく分解され、基板100に対する前処理及び成膜処理を短時間で行うことが可能である。前処理を短時間で行うことにより、基板100に与えるダメージを低減できる。
例えば、図6、図7に示すように、貫通孔130を有する高周波電極13を採用可能である。高周波電極13は、基板100に対向する第1の主面131と第2の主面132にそれぞれ開口部が設けられ、第1の主面131と第2の主面132間を貫通する貫通孔130を有する。
表面に開口部が設けられた高周波電極13では、貫通孔130内部でのプラズマ生成がホローカソード放電であり、このホローカソード放電においては、電子が貫通孔130内部に閉じ込められ且つ運動エネルギーを持つことで、高密度電子の空間である高密度プラズマ領域が貫通孔130に形成される。
図6に示すように、ホローカソード放電が生じる多数の貫通孔130を高周波電極13の表面に一定の密度で形成することにより、高周波電極13の第1の主面131と第2の主面132に均一の高電子密度電界を容易に形成することができる。これは、高密度プラズマが生成される空間が貫通孔130であるため、高周波電極13の第1の主面131と第2の主面132間でプラズマの連続性が確保されているためである。つまり、貫通孔130を介するプラズマの両極性拡散の性質により、第1の主面131と第2の主面132間におけるプラズマ密度の濃淡の差が自動的に補正される。このため、薄膜形成装置10では、高周波電極13の両面で均一な高密度プラズマ領域の生成が可能である。
なお、図7に示したように、貫通孔130の開口部分にテーパがつけられている。即ち、貫通孔130の開口部分の口径d2は、貫通孔130の中央部分、即ち高周波電極13内部での貫通孔130の直径d1よりも大きい。例えば、貫通孔130の直径d1が5mm、開口部分の口径d2が7mmであるように、テーパが設けられる。これにより、以下のような効果を奏する。
貫通孔130のテーパを有する開口部分においても、高密度プラズマが形成される。したがって、漏斗形状の開口部を有する高周波電極13によれば、低密度プラズマ領域が生成される第1の主面131と第2の主面132の平坦な領域の面積を狭く、高密度プラズマ領域の面積を広くできる。その結果、高周波電極13の表面では全体的にプラズマ密度が高く、高周波電極13を有する薄膜形成装置10を用いて形成した膜の膜質が向上するなどの効果を奏する。
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る薄膜形成装置10では、前処理工程での高周波パルス電力のデューティ比を成膜処理工程よりも大きくする。これにより、基板100に与えるダメージが小さく、且つ高いパッシベーション効果を得られる前処理を実現できる。その結果、基板100中のキャリアライフタイムが長くなり、例えば太陽電池の変換効率を向上させることができる。
また、前処理工程と成膜処理工程とでそれぞれ高周波パルス電力のデューティ比を適切に設定することにより、前処理工程に要する時間を短縮すると共に、所望の成膜レートを確保できる。これにより、基板100の特性を劣化させることなく、生産効率の低下が抑制される。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上記では、サンプルホルダ12が基板100を垂直に搭載するボートタイプである例を示したが、サンプルホルダ12が他のタイプであっても本発明は適用可能である。例えば、基板100を水平に搭載するカートタイプのサンプルホルダ12の場合にも、高周波電極13を水平方向に延伸させて基板100と対向させた薄膜形成装置10によって、上記の前処理及び成膜処理を行うことができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
10…薄膜形成装置
11…チャンバー
12…サンプルホルダ
13…高周波電極
14…高周波電源
15…ガス供給機構
16…ガス排気機構
17…制御装置
18…ガス供給源
19…ヒータ
100…基板
121…前処理ガス
122…プロセスガス

Claims (5)

  1. 処理対象の基板が搭載されたサンプルホルダが格納されるチャンバーと、
    前記チャンバーの内部に配置され、前記サンプルホルダに搭載された前記基板と対向する高周波電極と、
    前処理工程に使用される前処理ガス、又は前記基板上に形成する薄膜の原料ガスを含む反応ガスのいずれかを、前記チャンバーの内部に供給するガス供給機構と、
    前記サンプルホルダと前記高周波電極との間に高周波パルス電力を供給し、前記前処理工程において前記前処理ガスを含むプラズマを励起し、成膜処理工程において前記原料ガスを含むプラズマを励起する高周波電源と、
    前記前処理工程において第1のデューティ比で前記高周波パルス電力を前記高周波電源から出力させ、前記成膜処理工程において前記第1のデューティ比よりもオン時間の比が長い第2のデューティ比で前記高周波パルス電力を前記高周波電源から出力させるように、前記高周波電源を制御する制御装置と
    を備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記第1のデューティ比が、前記前処理工程において前記基板にダメージを与えず、且つ、前記前処理ガスを含む前記プラズマ中の水素ラジカルが前記基板の未結合手と結合することによるパッシベーション効果が得られるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記前処理工程における前記高周波パルス電力よりも、前記成膜処理工程における前記高周波パルス電力の方が小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記高周波電極の前記基板と対向する主面に、前記高周波電極を貫通する貫通孔の開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
  5. 前記開口部の口径が前記貫通孔の中間部分での直径よりも大きいように、前記開口部にテーパがつけられていることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成装置。
JP2014104987A 2014-05-21 2014-05-21 薄膜形成装置 Expired - Fee Related JP6194850B2 (ja)

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