JP2015218499A - 既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造 - Google Patents

既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】既存構造部材に面内方向のせん断力を受けてせん断変形する弾塑性ダンパーを付加する場合に、既存構造部材の塑性変形能力を発揮し得る状態で、既存構造部材に弾塑性ダンパーを付加する。
【解決手段】既存構造部材3の軸方向の端部を除く一部区間31の成方向の一部を、他の一部を残して除去し、除去部分32を既存構造部材3の軸方向に挟んだ両側のウェブ3bに、弾塑性ダンパー5を既存構造部材3のウェブ3bに接合するための取付部材4、4を、既存構造部材3の軸方向に互いに距離を置き、対になって接合し、対になった両取付部材4、4間に弾塑性ダンパー5を跨って設置し、各取付部材4に接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は既存の構造部材に、面内方向のせん断力を受けてせん断変形する弾塑性ダンパーを付加し、弾塑性ダンパーに振動エネルギを吸収させる既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造に関するものである。
既存の構造部材に振動エネルギの吸収能力を持たせるために、せん断変形型の弾塑性ダンパーを構造部材に付加する場合、構造部材が降伏する以前に弾塑性ダンパーを優先的に降伏させるために、構造部材は軸方向の一部において分断され、その分断された構造部材間に跨って弾塑性ダンパーが設置されることになる(特許文献1、2参照)。
この場合、既存構造部材としての例えば梁は軸方向に2本の構成部材に分離し、各構成部材はそれが接続する主構造部材としての柱から片持ち梁式に張り出しながら、弾塑性ダンパーを介して連結された状態になるため、見かけ上、並列する柱(主構造部材)と構成部材は柱・梁のフレームを構成する。
このフレームの構面内に水平力が作用し、並列する柱間に相対変形が生じたときには、各構成部材はそれぞれの柱に垂直に接続した状態を保とうとする一方、両構成部材を互いに連結している弾塑性ダンパーが両構成部材を互いに引き寄せようとするため、各構成部材には成方向に曲げモーメントが作用する。この結果、構成部材の柱との接合部寄りの曲げモーメントが最大になるため、弾塑性ダンパーの降伏耐力の程度によっては構成部材の柱との接合部寄りの部分が弾塑性ダンパーに先行して降伏する可能性があり、その場合、弾塑性ダンパーは降伏によるエネルギ吸収能力を十分に発揮することができない。
また各構成部材の断面形状(成(高さ))が全長に亘って一様である場合には、並列する柱間の相対変形時に曲げモーメントが最大になる構成部材と柱との接合部付近に変形と損傷が集中し、この接合部付近が降伏する可能性があるため、仮に弾塑性ダンパーが降伏することができたとしても、弾塑性ダンパーのエネルギ吸収能力が十分に発揮されなくなることが想定される。
特開平1−203543号公報(第2図、第3図) 特開平3−156075号公報(第1図)
前記のように構成部材の断面が全長に亘って一様で、構成部材と柱との接合部付近における降伏が弾塑性ダンパーの降伏に先行して発生した場合、構成部材の柱との接合部付近以外の区間は曲げモーメントに対して余力を持っており、曲げモーメントを負担する結果として降伏に至ることはないため、構成部材が弾塑性ダンパーと共に振動エネルギ吸収の機能を果たすことはない。このことは、構造部材が構成部材に分断されなければ本来、発揮し得る塑性変形能力を喪失した使用状態にあるとも言える。
本発明は上記背景より、構造部材が既存の場合に、塑性変形能力を発揮し得る状態で弾塑性ダンパーを構造部材に付加する既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造を提案するものである。
請求項1に記載の発明の既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造は、並列する主構造部材1、1間に架設され、前記主構造部材1、1を含む構面の面内方向にせん断変形し得る、フランジとウェブを有する既存構造部材3に弾塑性ダンパー5を付加する弾塑性ダンパーの取付構造であり、
前記既存構造部材3の軸方向の端部を除く一部区間31の成方向の一部が、他の一部を残して除去され、この除去部分32を前記既存構造部材3の軸方向に挟んだ両側の前記ウェブに、前記弾塑性ダンパー5を前記既存構造部材3の前記ウェブに接合するための取付部材が、前記既存構造部材3の軸方向に互いに距離を置き、対になって接合され、
この対になった両取付部材間に前記弾塑性ダンパー5が跨って設置され、各取付部材に接合されていることを構成要件とする。
主構造部材は主に柱、梁等を指し、主構造部材を含む構面は例えば柱・梁からなるフレームの構面を言う。主構造部材は距離を置いて並列していればよいため、隣接する構造物の端部に位置する柱の他、杭の場合もある。図1に示すように主構造部材1、1が柱の場合、既存構造部材3は梁であり、図6−(a)に示すように主構造部材1、1が梁の場合には既存構造部材3は間柱、耐震壁、ブレース等である。主構造部材1が隣接する構造物の柱の場合、既存構造部材3は各構造物の隣接する構造物側に位置する柱から張り出す梁になる。主構造部材1が杭の場合、既存構造部材3は杭をつなぐ基礎梁になる。但し、主構造部材1と既存構造部材3はこれらには限定されない。
図6−(b)に示すように主構造部材1を構成する柱、または梁を含むフレーム2内にブレースが架設され、ブレースがフレーム2を構成する柱、もしくは梁、または柱・梁の接合部のいずれかの部分に接合される場合、ブレースとフレーム2との間には両者が互いに接合されるためのブラケット等が設置されるが、このブレースとフレーム2とに跨って双方に接合されるブラケットが既存構造部材3になることもある。この場合、ブラケットはブレースとフレーム2に跨って連続するため、ブレースが、並列する主構造部材1、1の内の一方の主構造部材1になり、フレーム2(梁、または柱)が他方の主構造部材1になる。
弾塑性ダンパー5は面内方向にせん断力を受けてせん断変形する、あるいは曲げ変形を伴いながらせん断変形するせん断変形型のダンパーであり、ダンパー全体の内、中央部に位置する板状、あるいは棒状(線状)等の領域である塑性変形部51がせん断変形する。図面では塑性変形部51を、せん断力を受けたときのせん断力による曲げモーメント分布に対応した形状に形成しているが、塑性変形部51の形状は任意である。
請求項1における「フランジとウェブを有する既存構造部材」とは、既存構造部材3がH形鋼等、曲げモーメントに対する抵抗要素としてのフランジとせん断力に対する抵抗要素としてのウェブを有する開放形断面形状の鋼材であることを言い、主構造部材1、1を含む構面(フレーム2)の面内方向はウェブの面内方向を指す。「構面の面内方向にせん断変形し得る」とは、主構造部材1、1間に構面内の相対変形時に既存構造部材3がウェブの面内方向にせん断変形し得ることを言う。既存構造部材には主にH形鋼の他、例えばH形鋼のウェブやフランジにリブプレートが突設された鋼材等が使用される。
梁等の既存構造部材3が並列する柱等の主構造部材1、1間に架設され、主構造部材1、1に剛に接合されている状況下で、主構造部材1、1間に構面内の相対変形が生じたとき、既存構造部材3の端部は主構造部材1に垂直に接続した状態を保とうとするため、既存構造部材3のせん断変形は既存構造部材3の軸方向の全長の内、端部を除く中間部に生じ易い。この関係で、除去部分が形成される一部区間31は既存構造部材3の軸方向の端部を除く中間部の区間に設定される。一部区間31は図1に示すように既存構造部材3の全長の内、1箇所とは限らず、図7に示すように複数箇所であることもあり、せん断変形を起こし易い一部区間31の形成箇所に弾塑性ダンパー5が配置される。既存構造部材3のせん断変形の方向は既存構造部材3の成方向、すなわちせん断力と曲げモーメントの作用方向である。
請求項1における「一部区間31の成方向の一部が、他の一部を残して除去され、」とは、既存構造部材3の軸方向の一部区間31の範囲において、成方向の一部が他の成方向の一部を残したまま除去されることを言う。具体的には図1等に示すように既存構造部材3の上端側(上部フランジ側)と下端側(下部フランジ側)の少なくともいずれか一方側から他方側へ向かって成方向の一部を除去すること、または成方向の両側部分を残して成方向の中間部を除去することを言う。前者の場合、両側のフランジ3a、3aの内、一方のフランジ3aとウェブ3bの一部、または両側のフランジ3a、3aとウェブ3bの一部が除去され、後者の場合はウェブ3bの一部が除去される。
既存構造部材3の一部区間31において成方向の一部を残して他の部分が除去されることで、その除去された部分(除去部分32)を含む既存構造部材3の一部区間31の断面二次モーメント(断面係数)は他の区間の断面二次モーメントより低下し、曲げ応力度が大きくなるため、一部区間31が軸方向の端部等、他の区間に先行して降伏できる状況になる。図3では除去部分32をハッチングで示している。
一部区間31の曲げ応力度が大きくなる結果、一部区間31においては両主構造部材1、1間の相対変形時に既存構造部材3の除去部分32を除いた残存部分が塑性変形部33としてせん断力を受けて降伏し得る状態にあり、弾塑性ダンパー5と共に塑性変形能力を発揮可能になる。既存構造部材3の一部区間31が他の区間に先行して降伏できることで、その一部区間31は両主構造部材1、1間の相対変形時に塑性変形能力を発揮することができ、既存構造部材3は弾塑性ダンパー5と共に振動エネルギ吸収の機能を果たすことが可能になる。
また一部区間31は前記のように軸方向の端部を除く中間部の区間であるため、一部区間31が他の区間に先行して降伏できることで、既存構造部材3の軸方向の端部に応力と変形が集中することがなくなり、既存構造部材3の端部での破断の可能性が低下する一方、一部区間31が曲げモーメントで降伏し易くなる。結果として弾塑性ダンパー5の降伏とは独立して、または同期するように既存構造部材3の一部区間31の残存部分である塑性変形部33に塑性変形能力を発揮させ、エネルギ吸収能力を発揮させることが可能になる。
図1等に示すように既存構造部材3が梁である場合に、既存構造部材3にスラブ7の支持能力を持たせる上では、除去部分32は下端側から形成され、既存構造部材3の上端(フランジ)は平坦に保たれる。既存構造部材3の上端が一部区間31においても平坦に保たれることで、既存構造部材3が全長に亘って連続していることと併せ、既存構造部材3はスラブ7を支持する能力を持つ。
この場合、既存構造部材3は特許文献1、2の構造部材と異なり、軸方向に連続していることで、除去部分32を含む一部区間31がせん断力を受けて降伏し、塑性変形することがあっても、分断している場合程の変形量に至ることはないため、既存構造部材3に支持されたスラブ7を損傷させるに至ることは回避される。
既存構造部材3の一部区間31の除去部分32を既存構造部材3の軸方向に挟んだ両側のウェブ3bには、弾塑性ダンパー5を既存構造部材3のウェブ3bに接合するための取付部材4、4が接合される。取付部材4はウェブ3bには剛に接合される。取付部材4、4は既存構造部材3の軸方向にはウェブ3bの片面毎に除去部分32を挟んで対になるが、2個で1組になる必要はなく、ウェブ3bの片面毎に3個以上、配置されることもある。弾塑性ダンパー5はウェブ3bの両面側に均等に配置される場合もあり、その場合も取付部材4、4はウェブ3bの片面側においては対になって接合される。
弾塑性ダンパー5はその面内のせん断力作用方向に垂直な方向の両側部分(接合部52、52)において除去部分32の両側のウェブ3bに接合された取付部材4、4に接合される。弾塑性ダンパー5は取付部材4、4には剛に接合される。弾塑性ダンパー5が重なって接合される取付部材4は既存構造部材3のウェブ3bに重なって接合されるため、弾塑性ダンパー5は既存構造部材3のウェブ3bには間接的に接合される。この結果、弾塑性ダンパー5は両側部分に挟まれた中間部の塑性変形部51が取付部材4、4間の相対変位に伴って面内方向のせん断力を受けたときにせん断変形し、あるいは曲げ変形を伴いながらせん断変形し、せん断降伏、もしくは曲げ降伏することにより振動エネルギを吸収する。
取付部材4、4は既存構造部材3の除去部分32(一部区間31)を軸方向に挟んだ両側区間のウェブ3bに重なって接合されることから、弾塑性ダンパー5は既存構造部材3の除去部分32に重なった形で、除去部分32に代わって既存構造部材3に接合されることになる。結果として既存構造部材3の一部区間31においては成方向のせん断力によっては容易には降伏しにくい、除去前の除去部分32がせん断降伏し易い性質を持つ弾塑性ダンパー5に入れ替わる形になる。弾塑性ダンパー5は一部区間31においてウェブ3bの厚さ方向の少なくとも片面側に配置される。なお、弾塑性ダンパー5は既存構造部材3の両側区間のウェブ3bに重なって接合された取付部材4、4に重なって接合されるため、既存構造部材3のウェブ3bには直接、重ならず、ウェブ3bの表面との間には取付部材4の厚さ分の距離が確保される。以下、一部区間31を軸方向に挟んだ両側の区間を両側区間と言う。
除去される前の除去部分32はフランジ3a付きのウェブ3b、またはウェブ3b(無開口の板)であるのに対し、これらの除去部分32に、塑性変形部51を有する弾塑性ダンパー5が入れ替わることで、既存構造部材3の一部区間31に成方向のせん断力が作用したときには、既存構造部材3は除去部分32が除去される前の状態より、一部区間31で降伏が生じ易い状況が形成される。既存構造部材3の一部区間31において除去部分32になる、除去されるべき領域が弾塑性ダンパー5に入れ替わることから、除去部分32は主構造部材1、1間の、構面内の相対変形時に既存構造部材3の軸方向の全長の内の一部区間31に変形を集中させ、除去部分32に重なる弾塑性ダンパー5にせん断変形を生じさせるために除去され、形成されることになる。
弾塑性ダンパー5は立面上、一部区間31の除去部分32に重なるため、弾塑性ダンパー5が降伏するときには、前記のように一部区間31における除去部分32以外の残存部分(塑性変形部33)も追従して、もしくは先行して、あるいは同時期に降伏しようとする。このとき、一部区間31を挟んだ、一部区間31以外の軸方向両側の両側区間はせん断力作用方向に相対変形する。弾塑性ダンパー5は主構造部材1、1間の相対変形時には一部区間31の両側に位置する両側区間のウェブ3bから伝達される曲げモーメントとせん断力を負担することにより降伏する。
弾塑性ダンパー5は一部区間31において除去部分32に代わって配置される結果として既存構造部材3に組み込まれる形になる。この関係で、取付部材4、4は除去部分32の除去の結果、不在になった既存構造部材3のウェブ3bの一部を兼ねながら、既存構造部材3から弾塑性ダンパー5にせん断力と曲げモーメントを伝達させる目的で、除去部分32を挟んだ軸方向両側のウェブ3bに接合される。
図1に示すように立面上、弾塑性ダンパー5の接合部52、52が一部区間の31の除去部分32の領域に重なるように配置される場合には、両側区間(ウェブ3b)に接合部52、52を受ける部分がないため、取付部材4は既存構造部材3のウェブ3bの一部を兼ねることで、弾塑性ダンパー5の接合部52を受ける役目を持つ。この場合、取付部材4、4は両側区間から除去部分32側へ張り出した状態で両側区間のウェブ3bに接合される。前記のように弾塑性ダンパー5はその面内のせん断力作用方向に垂直な方向の両側部分(接合部52、52)において取付部材4、4に剛に接合される。この状態を得るために、取付部材4、4は図2−(b)に示すように少なくとも既存構造部材3のウェブ3bの片面側において、除去部分32を挟んで既存構造部材3の軸方向に互いに距離を置いて接合される。
取付部材4は既存構造部材3のウェブ3bには主に溶接、またはボルト等により接合されるが、ボルト接合による場合に、既存構造部材3のウェブ3bにボルト挿通用の挿通孔が形成されることによる断面欠損が両側区間のウェブ3bの剛性と耐力に影響し、取付部材4が弾塑性ダンパー5に曲げモーメントとせん断力を伝達するときに変形を生じる可能性があるような場合には、取付部材4の接合は溶接による。
取付部材4の接合が溶接によるか否かに拘わらず、取付部材4が弾塑性ダンパー5に曲げモーメントを伝達するときの曲げモーメントに対する抵抗力を高める上では、取付部材4が既存構造部材3の成方向両側寄りにおいて集中的に既存構造部材3のウェブ3bに接合されることが合理的である。「集中的に接合」とは、取付部材4全体(全面積)の内、ウェブ3bとの接合のために使用される接合部の領域が成方向両側に分散し、接合部が接合のための十分な面積を有することを言う。
そこで、取付部材4は既存構造部材3(ウェブ3b)の少なくとも成方向両側寄りに、既存構造部材3の軸方向に沿って連続した、接合部としての軸方向部41を持つことが適切である(請求項2)。「軸方向に沿って」とは、軸方向部41が全体として「既存構造部材3の軸方向に平行か、平行に近い方向を向いて」の意味であり、部分的には既存構造部材3の軸方向に平行でない区間がある場合を含む。「少なくとも成方向両側寄り」とは、図1等に示すようにウェブ3bの成方向両側寄りにのみ軸方向部41が形成される場合と、両側寄り以外の成方向中間部にも軸方向部41が形成される場合があることを言う。軸方向部41が成方向両側寄りにのみ形成される場合、取付部材4はコ字状になり、中間部にも形成される場合、取付部材4はE字状、または櫛状になる。
請求項2では既存構造部材3の成方向両側寄りに既存構造部材3の軸方向に沿って連続した軸方向部41が形成されることで、ウェブ3bとの接合のための十分な面積を持った軸方向部41を成方向両側寄りに分散させることができ、取付部材4が負担する曲げモーメントに対する抵抗力を決める腕の長さを最大に確保することができるため、曲げモーメントに抵抗する能力を取付部材4に有効に発揮させることが可能である。
軸方向部41、41が取付部材4の成方向両側寄りにのみ形成された場合には、軸方向部41、41に挟まれた区間に既存構造部材3の成方向に沿って連続した外形線を有する成方向部42が形成される。この場合、成方向部42において取付部材4が負担するせん断力の作用方向に連続した直線を含む平面を確保することができるため、成方向に連続した区間である成方向部42においてウェブ3bに接合されることで、せん断力に抵抗する(せん断力伝達)能力も取付部材4に有効に発揮させることが可能である。
軸方向部41、41が取付部材4の成方向両側寄りにのみ形成された場合に、特に取付部材4を軸方向部41と成方向部42においてウェブ3bに溶接する場合には、軸方向部41の軸方向に連続する溶接金属がウェブ3bとの間に溶着され、成方向部42の成方向に連続する溶接金属がウェブ3bとの間に溶着される。この場合、軸方向部41と成方向部42は溶接金属からなる連続した線、あるいは面でウェブ3bに接合された状態になるため、点状に接合されるボルト接合による場合との対比では取付部材4と既存構造部材3との間での応力の伝達効果が向上する。
但し、取付部材4をウェブ3bに溶接する場合には、軸方向部41が取付部材4の成方向両側にのみ形成される場合も、成方向両側以外の中間部にも形成される場合も、軸方向部41と成方向部42の外形線に沿ってウェブ3bに溶接されれば、成方向を向く溶接金属は不連続になるものの、成方向を向いた線の長さの合計に差はないため、せん断力の伝達効果が特段、低下することはないとも言える。只、軸方向部41が取付部材4の成方向両側にのみ形成される場合には、取付部材4とウェブ3b間でせん断力を伝達する成方向を向いた溶接金属が成方向に連続することで、不連続になる場合より溶接状態での安定性が高く、また成方向中間部の軸方向部41が不在になる分、取付部材4の使用鋼材量が削減される利点がある。
既存構造部材3の両側区間のウェブ3bから弾塑性ダンパー5に曲げモーメントとせん断力が伝達されるとき、ウェブ3bは弾塑性ダンパー5の接合部52から取付部材4を通じて反力を受ける。このときの反力によって両側区間のウェブ3bが面内で、あるいは面外方向に変形することがないよう、取付部材4は両側区間のウェブ3bに重なり、ウェブ3bの板厚を増すことで、両側区間のウェブ3bを補剛する役目も持つ。
両側区間のウェブ3bに対する補剛効果が取付部材4の接合のみでは十分でない場合には、両側区間のウェブ3bの、取付部材4が重ならない(取付部材5が重なった領域以外の)領域に補強部材8が重なって接合される(請求項3)。補強部材8はウェブ3bの、取付部材4が重ならない領域に重なることで、取付部材4の不在領域を埋め、ウェブ3b全体の板厚を増し、面内方向のせん断剛性と面外方向の曲げ剛性を高める役目を果たす。この結果、ウェブ3bは主構造部材1、1間の相対変形時に弾塑性ダンパー5に曲げモーメントとせん断力を伝達し、弾塑性ダンパー5を降伏させ、塑性変形させるときに、面内変形及び面外変形に対して安定性を確保する。
既存構造部材の軸方向の端部を除く一部区間の成方向の一部を、他の一部を残して除去し、除去部分を既存構造部材の軸方向に挟んだ両側のウェブに取付部材を、既存構造部材の軸方向に互いに距離を置いて接合し、対になった両取付部材間に弾塑性ダンパーを跨って設置し、各取付部材に接合するため、除去部分を含む既存構造部材の一部区間を他の区間に先行し、弾塑性ダンパーと共に降伏させることができる。この結果、既存構造部材に塑性変形能力を発揮させ、弾塑性ダンパーと共に振動エネルギ吸収の機能を果たさせることができる。
既存構造部材の一部区間を軸方向に挟んだ両側に取付部材を接合し、両取付部材に跨り、各取付部材の厚さ方向両面に弾塑性ダンパーを設置し、両取付部材に接合した様子を示した立面図である。 (a)は図1のx−x線断面図、(b)は図1のy−y線断面図である。 図1に示す既存構造部材における除去部分を示した立面図である。 (a)は図1における既存構造部材の一部区間を挟んだ両取付部材の厚さ方向片面に弾塑性ダンパーを設置し、両取付部材に接合した様子を示した立面図、(b)は(a)のx−x線断面図である。 (a)は図1における取付部材と弾塑性ダンパーとの関係を示した立面図、(b)は図1における補強部材と取付部材との関係を示した立面図、(c)は図1における弾塑性ダンパーと取付部材との関係を示した立面図である。 (a)は既存構造部材が隣接する梁間に架設された間柱である場合の、間柱への弾塑性ダンパーの設置状態を示した立面図、(b)は既存構造部材が、隣接する梁間に架設されたブレースと梁間に跨って設置されたブラケットである場合の、ブラケットへの弾塑性ダンパーの設置状態を示した立面図である。 (a)は既存構造部材が隣接する柱間に架設された梁であり、梁の軸方向の2箇所に一部区間が形成された場合の、梁への弾塑性ダンパーの設置状態を示した立面図、(b)は既存構造部材が隣接する梁間に架設された間柱であり、間柱の軸方向の2箇所に一部区間が形成された場合の、間柱への補強部材と弾塑性ダンパーの設置状態を示した立面図、(c)は既存構造部材が隣接する梁間に架設された間柱であり、間柱の軸方向の3箇所に一部区間が形成された場合の、間柱への弾塑性ダンパーの設置状態を示した立面図である。
図1、図2は並列する主構造部材1、1間に架設され、主構造部材1、1を含む構面(フレーム2)の面内方向にせん断変形し得る、フランジ3aとウェブ3bを有する既存構造部材3の軸方向の端部を除く一部区間31に形成された除去部分32に弾塑性ダンパー5が設置され、弾塑性ダンパー5の一部が除去部分32を既存構造部材3の軸方向に挟んだ両側のウェブ3bに接合された様子を示す。図1、図2は主構造部材1が柱で、既存構造部材3が梁である場合の例を示しているが、この場合、並列する主構造部材1、1と既存構造部材3は柱・梁のフレーム2を構成する。並列する主構造部材1、1を含む構面はフレーム2の構面でもある。
図面では主構造部材1に角形鋼管を使用し、既存構造部材3にH形鋼を使用しているが、主構造部材1の断面形状は問われず、既存構造部材3の断面形状も、既存構造部材3がフランジ3aとウェブ3bを有していれば問われない。図中、7は既存構造部材3に支持されるスラブを示す。既存構造部材3は元々、軸方向の両端部において主構造部材1、1に剛に接合されていることで、主構造部材1、1間の、構面内の相対変形時に両端部を除く中間部においてせん断変形しようとする。この両端部を除く1箇所の、もしくは図7に示すように複数箇所の中間部が除去部分32の形成される一部区間31になる。
除去部分32は図3に示すように既存構造部材3の一部区間31において、成方向の一部が、成方向の他の一部を残して除去されることにより形成される。図3は既存構造部材3がスラブ7を支持する梁である場合の例であるから、ここでは除去部分32の形成後も既存構造部材3が一部区間31においてもスラブ7を支持し続けるよう、一部区間31においては下部のフランジ3aとそれに連続するウェブ3bの一部を除去し、上部のフランジ3aとそれに連続するウェブ3bの一部を残している。既存構造部材3の成方向は既存構造部材3へのせん断力と曲げモーメントの作用方向であり、せん断変形の方向である。
除去部分32を既存構造部材3の軸方向に挟んだ両側のウェブ3bには、図1、図2に示すように弾塑性ダンパー5を受け、弾塑性ダンパー5をウェブ3bに間接的に接合するための取付部材4、4が接合される。取付部材4、4は既存構造部材3の軸方向に除去部分32を挟み、軸方向に互いに距離を置き、対になってウェブ3bに接合される。弾塑性ダンパー5は両取付部材4、4間に跨って設置され、既存構造部材3の軸方向両側の部分において各取付部材4に接合される。「既存構造部材3の軸方向両側の部分」は弾塑性ダンパー5のせん断力作用方向に直交する方向の両側の部分であり、後述の接合部52に該当する。
弾塑性ダンパー5はフレーム2の構面内方向に主構造部材1、1間に相対変形が生じたときにせん断力、またはせん断力と曲げモーメントを負担し、せん断力、またはせん断力と曲げモーメントによって塑性変形する塑性変形部51を少なくとも持ち、図1に示すように取付部材4にボルト6により接合される場合には塑性変形部51のせん断力作用方向に直交する方向の両側に取付部材4に接合されるための接合部52、52が形成される。
弾塑性ダンパー5は取付部材4に直接、もしくは間接的に溶接される場合には、塑性変形部51の、せん断力作用方向に直交する方向の両側において取付部材4に溶接されるが、その場合にも塑性変形部51の両側には溶接代が確保されるため、その溶接代は接合部52に相当する。接合部52が取付部材4にボルト6により接合される場合には、図5−(c)に示すように接合部52に複数個のボルト6用の挿通孔5aが形成される。その場合、図5−(a)に示すように取付部材4の、挿通孔5aに対応した位置にボルト6が挿通する挿通孔4aが形成される。
図1、図5では弾塑性ダンパー5の塑性変形部51が、両端固定梁の両側にせん断力作用方向に集中荷重が交互に作用したときに生じる曲げモーメント分布に対応した立面形状をした場合の例を示しているが、塑性変形部51の形状は任意であり、多角形状、方形状その他の、一部に曲線を含む形状である場合もある。
図面ではまた、フレーム2の立面上、既存構造部材3の軸方向に見たときの弾塑性ダンパー5の、接合部52を含めた全長が一部区間31(除去部分32)の長さにほぼ一致するように弾塑性ダンパー5の大きさと除去部分32の領域を設定しているが、必ずしもその必要はなく、弾塑性ダンパー5の全長が除去部分32の長さより大きくことも小さいこともある。除去部分32に弾塑性ダンパー5を設置する上では、立面上、弾塑性ダンパー5の接合部52が除去部分32の両側のウェブ3bに重なるように取付部材4を介して弾塑性ダンパー5を設置することもできるため、除去部分32の長さは原則的には少なくとも弾塑性ダンパー5の塑性変形部51の長さ以上であればよい。
但し、弾塑性ダンパー5の降伏後の塑性変形能力を十分に発揮させる上では、既存構造部材3の一部区間31における除去部分32を除いた塑性変形部33の剛性が弾塑性ダンパー5の変形能力を阻害しないようにすることが有効であるため、弾塑性ダンパー5の降伏時に、あるいは降伏後に塑性変形部33が塑性変形能力を発揮できるよう、図面では除去部分32(一部区間31)の長さとして弾塑性ダンパー5の全長以上の大きさを確保している。
除去部分32の長さを弾塑性ダンパー5の全長より大きく取ることにはまた、図2−(a)に示すように既存構造部材3のウェブ3bの片面側に対になる取付部材4、4を接合し、この取付部材4、4の両面側に弾塑性ダンパー5、5を配置する場合に、(b)に示すように取付部材4、4のウェブ3b側の面に重なる弾塑性ダンパー5がウェブ3bに干渉することなく、除去部分32内に納まるようにする意味がある。この観点からは、図4に示すように取付部材4、4の片面側にのみ弾塑性ダンパー5を配置し、取付部材4、4に接合する場合には、必ずしも除去部分32の長さを弾塑性ダンパー5の全長以上に設定する必要はないことになる。
取付部材4、4は既存構造部材3の軸方向に一部区間31の除去部分32を挟んだ両側のウェブ3bに重なり、ボルト、もしくは溶接により接合される。図面では除去部分32の長さが弾塑性ダンパー5の全長に揃えられている関係で、ウェブ3bに弾塑性ダンパー5の接合部52、52が重なる箇所がないため、取付部材4、4に弾塑性ダンパー5の接合部52、52を受けさせるために、取付部材4、4の除去部分32寄りの部分がウェブ3bから除去部分32側へ張り出した状態で、取付部材4、4をウェブ3bに重ねて接合している。
図面では特に取付部材4をウェブ3bに接合する上で、ボルト接合の場合の挿通孔の形成に伴う断面欠損によるウェブ3bの剛性低下を回避するために、取付部材4をウェブ3bに溶接により接合している。図1、図4において取付部材4の外形線の内、太線がウェブ3bへの溶接箇所を示している。図1、図4では取付部材4と共にウェブ3bの少なくとも片面に重なり、ウェブ3bを補剛する後述の補強部材8のウェブ3bへの溶接箇所も太線で示している。
取付部材4をウェブ3bに溶接した図示する例の場合、取付部材4がウェブ3bから弾塑性ダンパー5に曲げモーメントを伝達する際の、曲げモーメントに対する取付部材4の抵抗力を大きく確保するために、取付部材4の既存構造部材3の成方向両側に、ウェブ3bに重なり、既存構造部材3の軸方向に沿って連続した形状をする軸方向部41、41を形成し、軸方向に連続した溶接金属により取付部材4とウェブ3bが接合されるようにしている。
図1、図4に示すように軸方向部41、41が取付部材4の成方向両側にのみ形成された場合、軸方向部41、41に挟まれた区間には図5−(a)に示すように成方向に連続した外形線を持つ成方向部42が形成される。軸方向部41は成方向両側以外の中間部にも形成される場合があるが、その成方向中間部の軸方向部41は必ずしも成方向両側の軸方向部41程度の長さを持つ必要はない。
取付部材4はウェブ3bの厚さ方向の少なくとも片側の面に重なるため、取付部材4のウェブ3bへの溶接は隅肉溶接によることになる。従って取付部材4をウェブ3bに接合する溶接金属は取付部材4の外形線に沿って溶着されることから、取付部材4に作用する曲げモーメントに対しては主に成方向両側の軸方向部41、41の外形線に沿った溶接金属が抵抗し、取付部材4に作用するせん断力に対しては主に成方向を向く成方向部42の外形線に沿った溶接金属が抵抗力を発揮する。只、成方向を向く外形線は軸方向部41の一部にも形成されるため、せん断力に対する抵抗力は成方向両側にのみ軸方向部41が形成されるか、中間部にも形成されるかに大きく左右されることはなく、軸方向部41が成方向中間部に形成される場合にもせん断力に対する取付部材4の抵抗力が特に低下することはない。
但し、軸方向部41が成方向両側にのみ形成される場合には、その両側の軸方向部41、41間に成方向に連続した外形線を描く成方向部42が形成され、溶接金属が成方向に連続してウェブ3bに溶着されるため、成方向中間部に軸方向部41が形成され、成方向部42が成方向に不連続になる場合よりせん断力に対する抵抗力と安定性は高まる。
弾塑性ダンパー5は除去部分32を挟んだ両側の取付部材4、4から塑性変形部51に曲げモーメントとせん断力を確実に伝達させる上では、弾塑性ダンパー5の長さ方向両端部(接合部52、52)において両取付部材4、4との間で十分な重なり代を確保した状態で取付部材4、4に重なって接合される。弾塑性ダンパー5の長さ方向両端部を直接、既存構造部材3のウェブに重ねることができる場合にも、重なり代が十分でなければ、取付部材4、4から弾塑性ダンパー5への曲げモーメント等の伝達が不十分になり、弾塑性ダンパー5を確実に降伏させることができなくなる可能性があることによる。
図3は図1に示す取付部材4、4の背面側に存在している既存構造部材3の軸方向の端部を除く中間部である一部区間31を主構造部材1、1の相対変形時に降伏させるために、既存構造部材3の一部区間31に塑性変形部33を形成する要領を示す。一部区間31においては前記のように成方向の一部が残された状態で他の一部が除去され、残された部分が塑性変形部33になる。図3中、ハッチングを入れた領域が除去部分32を示している。
図3は前記のように既存構造部材3がH形鋼の梁である場合で、スラブ7を支持している場合の例を示している。この場合、下部のフランジ3aとこれに連続するウェブ3bの一部が除去され、スラブ7を支持している上部のフランジ3aが残される。但し、図6−(a)、(b)、図7−(b)、(c)に示すように既存構造部材3が水平材でない場合等、スラブ7の支持とは無関係な部位である場合には、フランジ3aがスラブ7からの制約を受けることがないため、除去部分32はウェブ3bにのみ形成される場合もある。図3に示すように既存構造部材3の除去部分32の形成前に、既存構造部材3を構成する、隣接する梁部材を接合するための継手プレート9が跨設されている場合には、除去部分32の形成後も継手プレート9の一部が図1に示すように残されることもある。
既存構造部材3の一部区間31において成方向の一部が除去されることで、残された部分(塑性変形部33)の成方向(面内方向)の剛性が一部区間31以外の区間の剛性より低下するため、一部区間31の残存部分が成方向のせん断力と曲げモーメントを受けたときにせん断変形し易い状態にあり、せん断変形により塑性変形可能な塑性変形部33になる。一部区間31は図3に示すように既存構造部材3の軸方向には除去部分32の両端を結ぶ区間になる。除去部分32の形成時には除去部分32の隅角部はその周辺の残存部分に応力の集中が生じないよう、曲線状に除去される。
図1、図2は既存構造部材3のウェブ3bの厚さ方向両面側に弾塑性ダンパー5、5を設置した場合の例をを示す。この例では前記のようにウェブ3bの片面側に、除去部分32を挟んで既存構造部材3の軸方向に対になる取付部材4、4を接合し、この対になる取付部材4、4の厚さ方向両面側に、取付部材4、4を挟むように弾塑性ダンパー5、5を配置し、両面側の弾塑性ダンパー5、5の各接合部52、52を各取付部材4に接合している。ここではウェブ3bの片面側に接合された取付部材4、4の両面を弾塑性ダンパー5、5の接合のために利用しているが、取付部材4、4をウェブ3bの両面に、ウェブ3bの厚さ方向に互いに距離を置いて接合し、その取付部材4、4の、ウェブ3bの反対側の面に弾塑性ダンパー5を接合することもある。
図1、図2に示すようにウェブ3bの片面側に接合された取付部材4、4の両面に弾塑性ダンパー5、5を接合する場合、ウェブ3bの除去部分32内に取付部材4、4の片面側の弾塑性ダンパー5が入り込むため、既存構造部材3の軸方向の除去部分32の長さは弾塑性ダンパー5の長さより大きく設定される。
図4−(a)、(b)はウェブ3bの片面側にのみ取付部材4、4を接合し、その取付部材4、4の、ウェブ3bの反対側の面にのみ弾塑性ダンパー5を接合した場合の例を示す。
図1、図4に示す例ではウェブ3bの、取付部材4が重なった領域以外の領域に、取付部材4の不在領域を埋め、ウェブ3bの板厚を増す補強部材8を重ねて接合することによりウェブ3bが弾塑性ダンパー5に曲げモーメントとせん断力を伝達するときに面内方向にせん断変形せず、面外方向に曲げ変形しないよう、ウェブ3bを補剛している。
補強部材8によるウェブ3bの補剛に対応し、図1、図4では主構造部材1寄りの端部のフランジ3a、3aの剛性がウェブ3bに対して相対的に低下しないよう、フランジ3aにも補強プレート10を接合することによりフランジ3aを補剛している。図面ではフランジ3aの端部寄りの区間においてフランジ3aの幅方向外側に補強プレート10を突き合わせて溶接しているが、補強プレート10はフランジ3aの厚さ方向の少なくとも片面側に重なって溶接等により接合されることもある。
図6−(a)は主構造部材1、1が梁で、既存構造部材3が梁間に架設された間柱である場合に、既存構造部材(間柱)3の軸方向中間部の1箇所に弾塑性ダンパー5を設置した場合の例を示す。この例でも既存構造部材3は成方向両側にフランジ3a、3aを有しているが、フランジ3aがスラブ7を支持する必要がないことから、主構造部材1、1間の相対変形時に、弾塑性ダンパー5の設置箇所である既存構造部材3の一部区間31がせん断変形を生じる方向のいずれの向きにも均等に降伏し得るよう、せん断変形方向両側のフランジ3a、3aとそれに連続するウェブ3bの一部を残し、ウェブ3bの一部に除去部分32を形成している。
図6−(b)は一方の主構造部材1がフレーム2内に架設されたブレースで、他方の主構造部材1がフレーム2を構成する梁であり、既存構造部材3がブレースと梁間に跨設されるブラケットである場合に、既存構造部材(ブラケット)3の軸方向中間部の1箇所に弾塑性ダンパー5を設置した場合の例を示す。ここでも既存構造部材3の一部区間31においてはせん断変形方向両側のフランジ3a、3aとウェブ3bの一部を残し、ウェブ3bの一部に除去部分32を形成しているが、図6−(a)、(b)のいずれの例においてもウェブ3bの一部を残し、両側のフランジ3aを除去することもある。
図7−(a)〜(c)は隣接する主構造部材1、1間に架設される梁や間柱等の既存構造部材3の2箇所以上の軸方向中間部に一部区間31(塑性変形部33)を形成し、この各一部区間31に弾塑性ダンパー5を設置した場合の例を示す。(a)は主構造部材1、1が柱で、既存構造部材3が梁である場合に、既存構造部材3の軸方向中央部を除く2箇所に一部区間31を形成した場合、(b)は主構造部材1、1が梁で、既存構造部材3が間柱である場合に、既存構造部材3の軸方向中央部を除く2箇所に一部区間31を形成した場合、(c)は主構造部材1、1が梁で、既存構造部材3が間柱である場合に、既存構造部材3の軸方向中央部を含む3箇所に一部区間31を形成した場合である。図7では弾塑性ダンパー5を方形状に簡略化して示している。
図7−(a)〜(c)でも既存構造部材3のせん断変形方向両側のフランジ3a、3aとウェブ3bの一部を残し、ウェブ3bの一部に除去部分32を形成しているが、ウェブ3bの一部を残し、両側のフランジ3aを除去することもある。
1……主構造部材、2……フレーム、
3……既存構造部材、3a……フランジ、3b……ウェブ、31……一部区間、32……除去部分、33……塑性変形部、
4……取付部材、4a……挿通孔、
5……弾塑性ダンパー、51……塑性変形部、52……接合部、5a……挿通孔、6……ボルト、
7……スラブ、
8……補強部材、
9……継手プレート、10……補強プレート。

Claims (3)

  1. 並列する主構造部材間に架設され、前記主構造部材を含む構面の面内方向にせん断変形し得る、フランジとウェブを有する既存構造部材に弾塑性ダンパーを付加する弾塑性ダンパーの取付構造であり、
    前記既存構造部材の軸方向の端部を除く一部区間の成方向の一部が、他の一部を残して除去され、この除去部分を前記既存構造部材の軸方向に挟んだ両側の前記ウェブに、前記弾塑性ダンパーを前記既存構造部材の前記ウェブに接合するための取付部材が、前記既存構造部材の軸方向に互いに距離を置き、対になって接合され、
    この対になった両取付部材間に前記弾塑性ダンパーが跨って設置され、各取付部材に接合されていることを特徴とする既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造。
  2. 前記取付部材は少なくとも前記既存構造部材の成方向両側寄りに前記既存構造部材の前記ウェブに重なり、前記既存構造部材の軸方向に沿って連続した軸方向部を有していることを特徴とする請求項1に記載の既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造。
  3. 前記既存構造部材の前記ウェブの、前記取付部材が重なった領域以外の領域に補強部材が重なって接合されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の既存構造部材への弾塑性ダンパーの取付構造。
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